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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017215
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】表示制御システム及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240201BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20240201BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240201BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240201BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G09G5/00 X
G09G5/00 510A
G09G5/02 B
G09G5/00 550C
G09G3/36
G09G3/20 N
G09G3/20 642J
G09G3/20 660P
G09G3/20 660U
G09G3/20 660V
G09G3/34 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119713
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【弁理士】
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 大助
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
5C006AA02
5C006AA14
5C006AA21
5C006AF13
5C006AF33
5C006AF63
5C006AF67
5C006AF69
5C006EA01
5C006EB01
5C006EC09
5C006EC11
5C006FA47
5C080AA10
5C080CC03
5C080DD04
5C080DD26
5C080EE01
5C080EE18
5C080EE19
5C080EE28
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ06
5C080JJ07
5C080KK20
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA05
5C182AA12
5C182AA22
5C182AB26
5C182AB31
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA14
5C182BA45
5C182CA01
5C182CA12
5C182CA22
5C182CA42
5C182CB47
5C182CC26
5C182DA18
5C182DA62
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】特定静止画像を有効利用した簡素な処理でエラーチェックを実現できる表示制御システム等の提供。
【解決手段】表示制御システム5は、処理装置200と、処理装置200からの制御によって表示装置100の表示制御を行う回路装置10を含む。処理装置200は、表示装置100に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値EVを出力し、回路装置10は、処理装置200から動画の画像データIMIを受けて、所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号値を演算し、誤り検出符号値と期待値EVとを比較して、エラーをチェックするエラーチェック回路40を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と、
前記処理装置からの制御によって表示装置の表示制御を行う回路装置と、
を含み、
前記処理装置は、
前記表示装置に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値を出力し、
前記回路装置は、
前記処理装置から前記動画の画像データを受けて、前記所定フレームにおける前記特定静止画像の誤り検出符号値を演算し、前記誤り検出符号値と前記期待値とを比較して、エラーをチェックするエラーチェック回路を含むことを特徴とする表示制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載された表示制御システムにおいて、
前記特定静止画像は、表示制御システムを有する移動体の始動時において表示される前記動画の前記所定フレームにおける画像であることを特徴とする表示制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載された表示制御システムにおいて、
前記特定静止画像は、特定文字、特定記号又は特定マークを含む画像であることを特徴とする表示制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された表示制御システムにおいて、
前記表示装置は、表示パネルと、バックライトとを含み、
前記回路装置は、前記バックライトの光源制御を行う光源制御回路を含み、
前記処理装置は、
前記光源制御回路が出力する光源制御情報の前記誤り検出符号の前記期待値を出力し、
前記エラーチェック回路は、
前記光源制御情報の前記誤り検出符号値と前記期待値とを比較することを特徴とする表示制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された表示制御システムにおいて、
前記表示装置は、表示パネルと、バックライトとを含み、
前記回路装置は、
前記画像データの歪み補正を行う歪み補正回路と、
前記歪み補正後の前記画像データを解析して、前記バックライトのローカルディミング制御のための調光情報を演算する調光制御回路と、
前記調光情報に基づいて、前記バックライトの光源制御を行う光源制御回路と、
前記歪み補正後の前記画像データと前記調光情報に基づいて、前記歪み補正後の前記画像データの色補正を行う色補正回路と、
を含み、
前記エラーチェック回路は、
前記色補正後の前記画像データの前記誤り検出符号値を演算して、前記期待値と比較することを特徴とする表示制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された表示制御システムにおいて、
前記表示装置は、表示パネルと、バックライトとを含み、
前記回路装置は、前記バックライトの光源制御を行う光源制御回路を含み、
前記エラーチェック回路は、
前記処理装置が、前記バックライトをオフにする指示を行った場合にも、前記誤り検出符号値と前記期待値を比較することを特徴とする表示制御システム。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された表示制御システムにおいて、
前記処理装置は、
第1動作環境~第n動作環境(nは2以上の整数)に応じた第1期待値~第n期待値を記憶し、
前記エラーチェック回路は、
動作環境が前記第1動作環境~前記第n動作環境のうちの第i動作環境(iは1≦i≦nとなる整数)のとき、第i誤り検出符号値と第i期待値を比較することを特徴とする表示制御システム。
【請求項8】
請求項7に記載された表示制御システムにおいて、
前記第1動作環境~前記第n動作環境は、明るさ環境であることを特徴とする表示制御システム。
【請求項9】
請求項7に記載された表示制御システムにおいて、
前記第1動作環境~前記第n動作環境は、前記回路装置の動作モードの環境であることを特徴とする表示制御システム。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載された表示制御システムと、
前記表示装置と、
を含むことを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御システム及び移動体等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置を制御する表示制御システムでは、表示制御システムの各回路ブロックが適正に動作しているかをチェックすることが望まれる。例えば特許文献1には、投影開始時のロゴを撮像して色補正を行うプロジェクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-236528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1はロゴ画像を利用して色補正を行うものであり、表示制御システムの各回路ブロックが適正に動作するかのエラーチェックを行うものではない。また表示制御システムの各回路ブロックのエラーチェックをダイナミックに実行しようとすると、回路規模が大きくなったり、処理が複雑化するなどの問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、処理装置と、前記処理装置からの制御によって表示装置の表示制御を行う回路装置と、を含み、前記処理装置は、前記表示装置に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値を出力し、前記回路装置は、前記処理装置から前記動画の画像データを受けて、前記所定フレームにおける前記特定静止画像の誤り検出符号値を演算し、前記誤り検出符号値と前記期待値とを比較して、エラーをチェックするエラーチェック回路を含む表示制御システムに関係する。
【0006】
本開示の他の態様は、上記に記載された表示制御システムと、前記表示装置と、を含む移動体に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の表示制御システム、回路装置の構成例。
図2】特定静止画像の一例。
図3】本実施形態の表示制御システム、回路装置の詳細な構成例。
図4】バックライト、表示パネルの構成例。
図5】光源及び表示エリアの説明図。
図6】調光制御の処理例を説明するフローチャート。
図7】色補正の説明図。
図8】本実施形態の回路装置の詳細な他の構成例。
図9】本実施形態の処理例の説明図。
図10】本実施形態の処理例を説明するフローチャート。
図11】バックライトのオフ時にもエラーチェックを行う手法の説明図。
図12】複数の動作環境に応じたエラーチェックの手法の説明図。
図13】本実施形態の表示システムの一例であるヘッドアップディスプレイの構成例。
図14】本実施形態の表示制御システムを含む移動体の例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.表示制御システム、回路装置
図1に本実施形態の表示制御システム5、回路装置10の構成例を示す。表示制御システム5は、処理装置200と回路装置10を含む。回路装置10は、画像処理回路12とエラーチェック回路40を含む。表示制御システム5は表示装置100の表示制御を行うシステムである。
【0010】
表示装置100は画像データに基づいて画像の表示を行う。ヘッドアップディスプレイを例にとれば、表示装置100は、ユーザーの視界に虚像を表示するための装置である。また表示装置100は、例えばヘッドアップディプレイに用いられる表示装置であるが、メーターパネルのディスプレイであるクラスターディスプレイなどの自動車用の他の表示装置であってもよいし、自動車用以外の用途の表示装置であってもよい。なお以下ではヘッドアップディプレイを、適宜、HUDと記載する。
【0011】
処理装置200は、例えばSoC(System on Chip)であり、例えばマスターデバイスとも呼ばれる。処理装置200は、例えばマイクロコンピューター、CPU、又はMPU等により実現できる。例えば回路装置10は、不図示のインターフェース回路を介して処理装置200と通信接続されている。そして処理装置200からの画像データIMIがインターフェース回路を介して回路装置10に入力される。
【0012】
回路装置10は、例えば半導体の基板に複数の回路素子が集積された集積回路装置である。回路装置10は、処理装置200からの制御によって表示装置100の表示制御を行う。例えば回路装置10は処理装置200からの画像データIMIや各種の制御情報に基づいて、表示装置100に画像を表示するための制御を行う。表示装置100は、回路装置10からの表示画像データに基づいて画像の表示を行う。表示装置100がHUDである場合には、回路装置10はHUDコントローラーである。
【0013】
そして本実施形態では処理装置200は、表示装置100に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値EVを出力する。例えば処理装置200は、表示装置100の表示映像である動画の画像データIMIを回路装置10に出力する。そして回路装置10の画像処理回路12が種々の画像処理を行って、例えば画像処理後の画像データが表示装置100に出力されて、当該画像データに対応する画像が表示される。画像処理は、例えば色補正、ガンマ補正又はホワイトバランス調整等である。
【0014】
そしてこの動画は特定静止画像を含んでいる。特定静止画像は例えばロゴ画像やエンブレム画像やオープニング画像などの既知の画像である。例えば動画の再生における所定フレームにおいて、特定静止画像が表示装置100に表示される。例えば動画の第1フレーム~第mフレームのうちの第kフレームにおいて特定静止画像が表示される。特定静止画像が表示されるフレームは複数フレームであってもよい。この特定静止画像は既知の画像であるため、当該特定静止画像の誤り検出符号における期待値EVも既知となる。誤り検出符号は、例えばCRC、チェックサム又はECC等である。CRC(Cyclic Redundancy Check)は巡回冗長検査と呼ばれる誤り検出符号である。CRCでは、送信側は特定の生成多項式で除算した余りを検査データとして付加して送信し、受信側で同じ生成多項式を使用してデータを除算し、その余りを比較照合することによって受信データの誤りを検出する。チェックサムは、例えばデータ列を整数値の列とみなして和を求め、これを定数で割った余りを検査用データとするものである。ECC(Error-Correcting Code)は、送信したデータの誤り検出と訂正ができる誤り訂正符号であり、チェック時の動作はパリティチェックと同様である。CRCとECCはチェック時の動作は同様であるが、CRCは、送信したデータを元に計算した結果を付加し、誤りを検出するが、訂正はできない。なお誤り検出符号はCRC、チェックサム、ECCには限定されず、種々の誤り検出符号方式を採用可能である。
【0015】
映像ソースとして動画を出力する処理装置200は、動画において特定静止画像が表示されるフレームと、特定静止画像の内容を把握しているため、この特定静止画像のCRCなどの誤り検出符号の期待値EVを、不図示の記憶部に記憶できる。そして処理装置200は、この動画の画像データIMIや、この動画における特定静止画像の誤り検出符号の期待値EVを、回路装置10に出力する。また処理装置200は、動画において特定静止画像が表示されるフレームの指示情報についても回路装置10に出力する。
【0016】
そして回路装置10はエラーチェック回路40を含み、エラーチェック回路40は、処理装置200から動画の画像データIMIを受けて、所定フレームにおける特定静止画像のCRC値などの誤り検出符号値を演算する。例えばエラーチェック回路40は、画像処理回路12での画像処理後の画像データの誤り検出符号値を演算する。或いはエラーチェック回路40は、画像データにより表示装置100に画像を表示する際のバックライトの光源制御情報の誤り検出符号値を演算する。例えばエラーチェック回路40は、処理装置200側で行われたCRC、チェックサム又はECC等の誤り検出符号の値を演算する。具体的にはエラーチェック回路40は、処理装置200からのフレームの指示情報により指示されるフレームを、特定静止画像が表示されるフレームとして特定し、そのフレームでの画像データに基づいて誤り検出符号値を演算する。そしてエラーチェック回路40は、演算された誤り検出符号値と、処理装置200からの期待値EVとを比較し、特定静止画像についてのエラーをチェックする。例えばエラーチェック回路40は、誤り検出符号値と期待値EVが一致しなかった場合には、エラーが検出されたと判断する。そしてエラーが検出されると、例えば処理装置200などにエラーの割り込み信号が出力される。また割り込み要因の情報が不図示のレジスターに書き込まれる。これにより処理装置200は、回路装置10の回路ブロックや処理に不具合があることを把握できるようになる。
【0017】
このように本実施形態では、処理装置200は、表示装置100に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値を出力する。そして回路装置10は、処理装置200から動画の画像データを受けて、所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号値を演算し、誤り検出符号値と期待値とを比較して、エラーをチェックする。このようにすれば、動画に含まれる特定静止画像を有効利用し、その特定静止画像の誤り検出符号の期待値を処理装置200が回路装置10に出力することで、回路装置10が、特定静止画像の誤り検出符号値と期待値とを比較できるようになる。これにより、特定静止画像の誤り検出符号値と期待値とが一致しているか否かを判断するという簡素で負荷の軽い処理で、回路装置10の回路ブロックや処理に不具合があるか否かをチェックできるようになる。
【0018】
図2に特定表示画像の一例を示す。図2の特定表示画像は、例えば自動車等の移動体の始動時に表示される画像である。例えば自動車等では、エンジンやモーターなどの駆動機構の起動時に、メーカーや車のロゴやエンブレムなどの動画表示が行われる。この動画ではA1、A2に示すように、自動車のメーカーの名前やロゴを表す特定文字、特定マーク又は特定記号を含む特定静止画像が表示される。或いはA3、A4に示すように自動車の名前を表す特定文字や自動車を表す画像なども表示される。図2に示す特定静止画像は、自動車の始動時における特定フレームで表示されるものであり、処理装置200は、この特定静止画像の誤り検出符号の期待値を記憶しておくことができる。また回路装置10は、例えば図2の画像が表示されるフレームが既知であれば、その時の画像データの誤り検出符号を演算することで、演算された誤り検出符号値と処理装置200からの期待値とを比較して、エラーを検出することが可能になる。
【0019】
このように特定静止画像は、表示制御システム5を有する移動体の始動時において表示される動画の所定フレームにおける画像である。移動体は後述するように自動車、バイク、船舶等である。移動体の始動時とは、例えば自動車、バイク、船舶等の移動体の駆動機構であるエンジンやモーター等の起動時などである。このようにすれば、移動体の始動時に表示される特定静止画像を有効活用して、その特定静止画像の誤り検出符号値と期待値とを比較するという簡素で負荷の軽い処理で、移動体が有する表示制御システム5の各回路ブロックや処理のエラーを検出できるようになる。
【0020】
また特定静止画像は、図2に示すように例えば特定文字、特定記号又は特定マークを含む画像である。特定文字、特定記号、特定マークは、例えば表示制御システム5が組み込まれる移動体又は電子機器に関連する文字、記号、マークである。例えば特定文字、特定記号、特定マークは、移動体又は電子機器のメーカー又は製品等の名称や、移動体又は電子機器のメーカー又は製品等を表象する記号、マークである。マークは、記号、符号、しるし、標章又は図案等であり、特定記号も特定マークの1つであると言うことができる。このようにすれば、特定文字、特定記号又は特定マークを含む特定静止画像を有効活用して、その誤り検出符号値と期待値とを比較することで、表示制御システム5の各回路ブロックや処理のエラーを検出できるようになる。
【0021】
例えば自動車のエンジン等を起動する際、車載のヘッドアップディスプレイ(HUD)、センターインフォーメンションディスプレイ(CID)、又はメーターなどのクラスターディスプレイ等には、各社のメーカーロゴやエンブレム、又は車種名などが出力される。この起動時の決まった特定画像を使用して、画像データや、バックライトの光源制御信号に対応する光源制御情報についてCRC等のチェックを行う。このようにすることで、回路装置10の出力エラーチェックを、自動的に、簡素的に、且つ確実に行うことが可能になる。この起動時のタイミングで画像データの信号だけでなく、LED等の光源の制御信号についてもCRC等のチェックをすることが可能となる。後述するように、バックライトの光源制御情報のチェック時は、画像の表示をオフにすることで、表示装置100には何も映さずにチェックすることも可能である。例えばこれまでは、CRC等のチェックを行う場合は、それぞれの回路ブロックのモジュールを、その都度、エラーをダイナミックにチェックする必要があった。
【0022】
例えば後述する色補正や歪み補正の逆変換機能があれば、リアルタイムに出力エラーチェックが可能とはなるものの、逆変換機能を不要とする回路構成では、出力エラーチェックのみに逆変換機能を追加することは、リーゾナブルではなく、回路規模の増加が避けられない。また、ガンマ補正、FRC等の画像エンハンスメントの画像処理を行った後では、CRCの結果を比較することが困難であるという問題もある。この点、本実施形態によれば、車載のディスプレイなどに特有の起動時の決まったアニメーションの動画を使用して、決まったタイミングでフレームを指定し、画像データのライン、光源制御信号のラインを、同時に、入力から出力までの経路を全てCRC等のチェックを行うことが可能になるという利点がある。例えばロゴ映像等は動画であるので、あるタイミングのフレームを切り出し、静止画像をとらえるために、SoCである処理装置200からチェックするフレームを回路装置10に指示する。また後述するように外光や表示位置に対応する動作環境のテーブルを持たせておくことで、バリエーションを持たせることも可能である。
【0023】
2.詳細な構成例
図3に本実施形態の表示制御システム5、回路装置10の詳細な構成例を示す。図3では回路装置10は、歪み補正回路20、色補正回路30、エラーチェック回路40、調光制御回路50、光源制御回路60、インターフェース回路70、72を含む。例えば歪み補正回路20、色補正回路30が図1の画像処理回路12に対応する。なお回路装置10、処理装置200、表示装置100は、図3の構成例や後述する他の構成例の構成には限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加したり、一部の構成要素を他の構成要素に置き換えるなどの種々の変形実施が可能である。また以下では、誤り検出符号がCRCであり、誤り検出符号値がCRC値であり、誤り検出符号の期待値がCRCの期待値である場合を主に例にとり説明する。但し誤り検出符号はCRCには限定されず、前述したようにチェックサムやECC等であってもよい。
【0024】
表示装置100は、表示パネル110とバックライト120と光源ドライバー130を含む。表示パネル110は例えば電気光学パネルである。光源ドライバー130は、バックライト120の光源を駆動する回路である。例えばバックライト120には、複数の光源LSが設けられている。具体的にはバックライト120には、LED等により実現される複数の光源LSがアレイ配置されている。光源ドライバー130は、これらの複数の光源LSを駆動して発光させる。また表示装置100は、不図示の表示コントローラーや、表示パネル110を駆動する不図示の表示ドライバーを含んでもよい。表示ドライバーは、表示パネル110のデータ線を駆動するデータドライバーや、表示パネル110の走査線を駆動する走査ドライバーなどを含むことができる。
【0025】
図4は、バックライト120及び表示パネル110の構成例である。図4において、方向D1は表示パネル110の水平走査方向であり、方向D2は表示パネル110の垂直走査方向である。方向D3は、方向D1及びD2に直交する方向であり、表示パネル110を平面視する方向である。バックライト120は、表示パネル110の方向D3側に設けられており、表示パネル110への方向である方向D3の反対方向に向けて、照明光を出射する。
【0026】
バックライト120は複数の光源LSを含む。図4には、8×5個の光源LSが2次元アレイ状に配置された例を図示している。即ち、方向D1に沿って8個の光源LSが並び、方向D2に沿って5個の光源LSが並ぶ。なお適切なローカルディミングのためには例えば100個以上の光源LSをバックライト120に設けることが望ましい。光源LSは、例えばLED(Light Emitting Diode)である。なお光源LSはLEDに限定されず、独立に光量が制御され且つ点光源に近い光源であればよい。点光源に近い光源とは、光源LSの発光部の大きさが、その光源LSに対応したエリアARよりも十分に小さい光源ということである。また光源LSの配置としては、正方配置、六方配置などの種々の配置形態が考えられる。
【0027】
表示パネル110は画素アレイを有し、その画素アレイにおいて表示画像が表示されるエリアを表示エリアとする。表示エリアは複数のエリアARに分割される。各エリアARには各光源LSが対応して配置される。即ち、1つのエリアARに1つの光源LSが対応している。例えば表示パネル110を平面視したとき、エリアARの中心に光源LSが配置される。但し、光源LSの配置位置はこれに限定されない。図4では、8×5個の光源LSに対応して、表示エリアが8×5個のエリアARに分割される。なお、エリアARは回路装置10における処理に用いられるものであり、表示パネル110に実際に表示される表示画像においてエリアARの境界があるわけではない。表示パネル110は、表示画像に応じて各画素の透過率が制御され、その各画素がバックライト120の照明光を透過することによって表示画像を表示するようなパネルである。表示パネル110は例えば液晶表示パネルである。
【0028】
このように、表示パネル110の表示エリアを、各エリアARに各光源LSが配置されるような複数のエリアに分割したときに、表示パネル110を照明する光源LSは、光源LSから離れるほど光強度が小さくなるような光強度分布を有する。このため、エリアARの中央よりも周辺部において光強度が小さくなる。この光源LSの光強度分布をPSFと呼ぶ。図5にPSFの光強度分布の例を示す。図5では光強度分布をグラデーションで示しており、白いほど光強度分布の係数が大きい。図5では、PSFのサイズは3×3個のエリアAR1~AR9に対応しており、PSFの中心が光源の位置に配置されている。
【0029】
また図3に示すように回路装置10は歪み補正回路20、色補正回路30を含む。歪み補正回路20は、処理装置200からの入力画像データである画像データIMIの歪み補正を行って、歪み補正後の画像データIMを出力する。そして色補正回路30は、歪み補正回路20からの画像データIMに対して色補正を行う。
【0030】
具体的には、歪み補正回路20は、画像データIMIにおける画素座標と、画像データIMにおける画素座標との間の座標変換を用いて、画像データIMIに対して歪み補正を行い、その結果を、画像データIMとして出力する。歪み補正とは、表示パネル110に表示された画像が投影されるときの画像歪みと逆の画像歪みを画像に施すことであり、歪みが無い又は低減されたHUD表示にするための画像補正である。投影による画像歪みは、HUDにおけるスクリーンの曲面による画像歪み、HUD光学系による画像歪み、又はそれら両方を含む。例えばHUDは、透明スクリーンに画像を投影することで、又は透明表示パネルに画像を表示させることで、画像をユーザーに提示する。このとき、透明スクリーン又は透明表示パネルの湾曲等に合わせて画像を変形させることで、ユーザーには歪みの無い画像として見える。歪み補正回路20は、このような画像の変形処理を、歪み補正として行う。
【0031】
例えば歪み補正回路20は、リバースマッピング又はフォワードマッピングの処理を行う。リバースマッピングは、リバースワープとも呼ばれ、出力画像データである画像データIMにおける画素座標を、それに対応した参照座標に座標変換し、その参照座標における画像データIMIの画素データから画像データIMの画素データを求めるマッピング処理である。フォワードマッピングは、フォワードワープとも呼ばれ、画像データIMIにおける画素座標を、それに対応した移動先座標に座標変換し、画素座標における画像データIMIの画素データから、移動先座標における画像データIMの画素データを求めるマッピング処理である。リバースマッピング及びフォワードマッピングにおける座標変換は、マップデータとも呼ばれるマッピングパラメーターにより定義される。マッピングパラメーターは、入力画像上の座標と、出力画像上の座標を対応付けたテーブル、入力画像上の座標と出力画像上の座標との間の移動量を示すテーブル、又は入力画像上の座標と出力画像上の座標を対応付ける多項式の係数等である。
【0032】
色補正回路30は画像データIMに対して色補正を行い、表示画像データIMDを表示装置100に出力する。即ち色補正回路30は、画像データIMに対して色補正を行って、色補正後の画像データIMを表示画像データIMDとして表示装置100に出力する。色補正は、例えば画像データIMの色調整処理であり、色のレベルを調整する補正処理である。色補正は画像データIMの輝度補正又は階調補正と言うこともできる。
【0033】
例えば表示装置100での表示画像データIMDの表示の際に調光制御が行われる場合に、色補正回路30は、この調光制御における調光量に応じた色補正を画像データIMに対して行う。調光制御はバックライト120である光源装置の光量を調整する制御である。調光制御は、バックライト120の明るさを複数のエリアの各エリア毎に制御するローカルディミングの調光制御や、表示画面全体の明るさをグローバルに制御する調光制御である。そして調光制御においては、光源装置の低消費電力化や、黒色の画素をより黒く見せるために、光源装置の光源の光量を減少させる制御が行われる。この場合に色補正回路30は、光源の光量を減少させた分だけ、表示装置100の表示画面において、光源に対応する画素の輝度を上昇させる色補正を行う。例えば色補正回路30は、表示画像データIMDに基づき表示装置100に表示される画像が、画像データIMの画像と同じ明るさ、色合いの画像になるように、画像データIMの各画素値に対する色補正を行って、色補正後の画像データを表示画像データIMDとして表示装置100に出力する。なお色補正回路30が行う色補正は、このような調光制御を補償するための色補正には限定されず、表示装置100の表示画像の色合い等を調整するための色補正であってもよい。
【0034】
調光制御回路50は、画像データIMに基づいて光源の調光制御を行う。具体的には調光制御回路50は、複数の光源を有するバックライト120の調光制御を行い、例えばローカルディミングと呼ばれる調光制御を実現する。例えば調光制御回路50が画像データIMに基づいて調光量の情報を求める演算処理を行う。ここでの調光量の情報は、調光制御により光源を光らせる輝度を指定するための情報である。
【0035】
光源制御回路60は、調光制御回路50からの調光量の情報に基づいて、表示装置100の光源ドライバー130の制御処理や指示処理を行う。そしてLEDドライバーである光源ドライバー130が、バックライト120の光源LSを調光量の情報に基づき駆動することで、バックライト120の調光制御が実現される。例えば表示パネル110の表示エリアを分割した複数のエリアの各エリア毎の調光制御が行われるローカルディミングが実現される。
【0036】
例えば調光制御回路50は、輝度解析回路52と調光量演算回路54を含む。輝度解析回路52は、画像データIMの輝度解析を行う。そして調光量演算回路54は、輝度解析の結果に基づいて各光源の調光量を演算する。具体的には輝度解析回路52は、画像データIMに基づいて、表示エリアの複数のエリアの各エリア毎に、各エリアにおいて輝度が最大輝度となる画素をサーチする。そして、サーチされた最大輝度の色を表示できるように、光源毎の輝度分布を決定する。そして調光量演算回路54は、決定された光源の輝度分布と、光源の拡散係数情報と基づいて、各画素毎に輝度を再計算する演算処理を行って、画素毎のバックライト120の輝度値に対応する調光量を演算する。拡散係数情報は、例えば後述の図13の拡散板115の拡散係数パラメーターの情報である。また調光量演算回路54からの調光量の情報が、光源制御回路60を介して光源ドライバー130に送られ、光源ドライバー130が、複数のエリアの各エリアの光源を、調光量に応じて発光させる駆動を行うことで、ローカルディミングが実現される。
【0037】
インターフェース回路70は、処理装置200とのインターフェース処理を行う回路であり、例えばホストインターフェース回路である。例えば処理装置200からの画像データIMIやCRCの期待値EVは、インターフェース回路70を介して処理装置200から受信される。受信されたCRCの期待値EV等は、不図示のレジスターに記憶される。インターフェース回路72は、表示装置100とのインターフェース処理を行う回路である。例えば表示画像データIMDは、インターフェース回路72を介して表示装置100に出力される。具体的には表示画像データIMDは表示装置100の不図示の表示ドライバーに出力される。
【0038】
なお光源制御回路60と光源ドライバー130との間に、光源ドライバー130の機種に依存した通信プロトコルの違い吸収するためのMCU等の処理装置を設けてもよい。この場合には、このMCU等の処理装置を経由して、光源制御回路60により光源ドライバー130が制御されることになる。またインターフェース回路70、72は1つのインターフェース回路により実現してもよい。また歪み補正回路20、色補正回路30、エラーチェック回路40、調光制御回路50、光源制御回路60、インターフェース回路70、72は、ロジック回路である。これらのロジック回路は、別個の回路として構成されてもよいし、或いは自動配置配線等により一体化された回路として構成されてもよい。或いは、これらのロジック回路の一部又は全部が、DSP等のプロセッサーにより実現されてもよい。この場合、各回路の機能が記述されたプログラムや命令セットがメモリーに記憶され、そのプログラムや命令セットをプロセッサーが実行することで、各回路の機能が実現される。
【0039】
次に本実施形態の調光制御の具体的例について説明する。図6は画素毎の輝度計算の処理例を説明するフローチャートである。まず、各光源のエリア毎に、輝度が最大輝度である画素をサーチする(ステップS1)。例えば図4図5で説明した、各光源に対応する各エリアにおいて、画像データIMに基づいて、そのエリアに存在する画素の輝度を探索し、そのエリアにおいて輝度が最大輝度となる画素を見つける。そして、その最大輝度の画素の色を表示できるように、各光源毎の輝度分布を決定する(ステップS2)。例えば輝度範囲が0~100であり、対象となるエリアにおいて、最大輝度の画素の輝度が50であったとする。この場合には、最大輝度である50の輝度の画素が、例えば輝度範囲の上限である100の輝度の色で表示できるように、光源の輝度分布を決定する。最大輝度の画素の輝度が、輝度範囲の上限の輝度であれば、それ以外の画素の輝度が、輝度範囲である0~100内に入ることが保証されるようになる。そして表示パネル110の画素毎に、拡散係数情報に基づいて輝度を再計算する(ステップS3)。これにより画素毎のバックライト120の輝度の値が求まる。
【0040】
例えば後述の図13に示すように、表示装置100には光源からの光を拡散して一様な輝度分布にするための拡散板115が、例えばバックライト120と表示パネル110の間に設けられている。拡散板115は拡散シートとも呼ばれる。例えば図5に示すように光源の光強度分布PSFは光源から離れるほど光強度が小さくなる強度分布になっているが、拡散板115を設けて光源からの光を拡散することで、輝度ムラを低減でき、均一な面光源の実現が可能になる。ここで光拡散の方式としては直下型、サイドライト方式、エッジライト方式などがある。そして図6のステップS3では、図5の光源の光強度分布PSFに加えて、拡散板115による光源からの光の拡散も反映させて、表示パネル110の画素毎の輝度を再計算して、画素毎のバックライト120の輝度の値が求めている。一例としては、対象となる画素について、その画素の周囲の例えば4×4個のLEDの光源からの光の強度を、図5の光強度分布PSFと拡散板115の拡散係数情報とに基づいて求めることで、輝度を再計算して、画素毎のバックライト120の輝度の値を求める。このようにすることで、複数の光源を有するバックライト120と拡散板115を有する表示装置100において、画素毎のバックライト120の輝度の値を適正に求めることが可能になる。
【0041】
図7は色補正の処理例の説明図である。まず図6で説明したように対象画素のバックライト120の輝度Bを求める。また回路装置10の不図示の記憶回路に、輝度-係数のテーブルを記憶しておき、このテーブルを用いて、バックライト120の輝度Bから係数Kを計算する。図7の輝度-係数のテーブルは、輝度Bが低くなるほど係数Kが大きくなるようなテーブルになっている。なおこのような輝度-係数のテーブルを用いるのではなく、所定の計算式に基づいて輝度Bから係数Kを求めてもよい。また図7の輝度-係数のテーブルは1次の特性になっているが、これには限定されず、光の明るさに対する人間の目の特性に応じた適切な特性にすればよい。また輝度-係数のテーブルの2つの出力値を、1次補間やスプライン補間などで補間して係数Kを求めてもよい。そして、このようにして求められた係数Kと、対象画素の色Cのレベルとの乗算処理を行って、表示装置100に出力する色のレベルを求める。即ちバックライト120の輝度Bが低い画素に対して、画像データの色のレベルを上昇させる処理が行われる。このようにすることで色補正回路30は、画像データIMから表示画像データIMDを求めて表示装置100に出力できるようになる。図7の輝度-係数のテーブルでは、バックライト120の輝度Bが低くなるほど係数Kが大きくなるため、対象画素についてのバックライト120の輝度が低くなるほど、対象画素の色のレベルが高くなり、調光制御を実現できるようになる。
【0042】
以上のように本実施形態では、図3に示すように、表示装置100は表示パネル110とバックライト120を含む。また回路装置10は歪み補正回路20と調光制御回路50と光源制御回路60を含む。そして歪み補正回路20は、画像データIMIの歪み補正を行う。即ち処理装置200からの特定静止画像を含む動画の画像データIMIの歪み補正を行い、歪み補正後の画像データIMを出力する。このような歪み補正回路20を設けることで、表示パネル110の表示画像が投影されるスクリーンの曲面等による画像歪みと逆の画像歪みを画像に施す歪み補正が可能になる。これによりユーザーには歪みのない画像として見えるようになる。そして調光制御回路50は、歪み補正後の画像データIMを解析して、バックライト120のローカルディミング制御のための調光情報を演算する。例えば図3図4図5で説明したように、バックライト120は複数の光源LSを有し、表示パネル110の複数のエリアARの各エリアに対応して複数の光源LSの各光源が設けられる。そして調光制御回路50は、各エリアでの画像データIMの輝度解析を行い、各エリアでの輝度解析の結果に基づいて、各エリアに対応する各光源の調光量を、調光情報として演算する。そして光源制御回路60は、演算された調光情報に基づいて、バックライト120の光源制御を行う。即ち複数のエリアARの各エリアに対応する複数の光源LSの各光源を、演算された調光情報により発光させるための光源制御を行う。例えば光源制御回路60は、調光情報であるバックライト120の各エリアでの輝度情報を、光源制御情報CLSとして出力する。光源制御情報CLSは光源制御信号に対応する。光源ドライバー130は、この光源制御情報CLSに基づいてバックライト120の複数の光源LSの各光源を駆動する。
【0043】
また色補正回路30は、歪み補正後の画像データIMと調光情報に基づいて、歪み補正後の画像データIMの色補正を行う。例えば色補正回路30は、調光制御回路50からの調光情報である調光量の情報に基づいて、バックライト120の調光制御に応じた色補正を行う。例えば、光源に対応するエリアにおいて光源の光量を減少させる調光制御が行われた場合には、色補正回路30は、当該エリアの光源の光量を減少させた分だけ、当該エリアでの画素の輝度を上昇させる色補正を行って、色補正後の表示画像データIMDを表示装置100に出力する。これにより、当該エリアでの光源の光量を減少できる共に、元の画像データIMに対応する画像を、色補正された表示画像データIMDに基づき当該エリアに表示できるようになり、ローカルディミングを実現できる。この結果、バックライト120の低消費電力化や、黒色の画素をより黒く見せる画像表示などが可能になる。
【0044】
そして図3に示すようにエラーチェック回路40は、色補正後の表示画像データIMDの誤り検出符号値を演算して、期待値EVと比較する。例えばエラーチェック回路40は、色補正後の表示画像データIMDの誤り検出符号値を、処理装置200から受信した期待値EVと比較する。誤り検出符号値が演算される表示画像データIMDは、処理装置200によりフレームが指示された特定静止画像の画像データである。そしてエラーチェック回路40は、誤り検出符号値と期待値EVが一致しなかった場合には、エラーが発生したと判断し、例えば割り込み信号等を処理装置200等に出力する。
【0045】
このようにすれば、歪み補正が行われると共に調光情報に基づいて色補正が行われた後の表示画像データIMDについて、誤り検出符号値と期待値EVとを比較するエラーチェックが行われるようになる。従って、誤り検出符号値と期待値EVとを比較することで、歪み補正、調光量の演算処理、色補正等が適正に行われたか否かをチェックできるようになる。これにより歪み補正回路20、色補正回路30、調光制御回路50等が適正に動作しているか否かのエラーチェックを、誤り検出符号値と期待値EVを比較するという簡素な処理で実現できるようになる。例えば本実施形態の比較例の手法として、逆歪み補正や逆色補正を行って、元の画像データと比較することでエラーをチェックする手法が考えられる。しかしながら、この手法では逆歪み補正回路や逆色補正回路などの逆変換機能を有する回路が必要になり、回路の大規模化や処理負荷の増加などを招く。これに対して本実施形態では、歪み補正回路20により歪み補正が行われ、調光制御回路50からの調光情報に基づき色補正回路30により色補正が行われた表示画像データIMDの誤り検出符号値を演算し、期待値EVと比較するという簡素な処理で、適正な表示画像データIMDが出力されたかをチェックする出力エラーチェックを実現できる。従って、回路規模の増加や処理負荷の増加などを抑制しながら、歪み補正回路20、色補正回路30、調光制御回路50等が適正に動作しているか否かをチェックできるようになる。
【0046】
また本実施形態では回路装置10は、バックライト120の光源制御を行う光源制御回路60を含み、処理装置200は、光源制御回路60が出力する光源制御情報CLSの誤り検出符号の期待値EVを出力する。光源制御情報CLSは例えば光源制御信号に対応し、例えばバックライト120の光源LSをどのような輝度で発光させるかを設定又は指示するための情報である。そして図3に示すようにエラーチェック回路40は、光源制御情報CLSの誤り検出符号値と期待値EVとを比較する。誤り検出符号値が演算される光源制御情報CLSは、処理装置200によりフレームが指示された特定静止画像を表示する際の光源制御情報である。そしてエラーチェック回路40は、誤り検出符号値と期待値EVが一致しなかった場合には、エラーが発生したと判断し、例えば割り込み信号等を処理装置200等に出力する。
【0047】
このようにすれば、光源制御回路60から適正な光源制御情報CLSが出力されたかを、誤り検出符号値とその期待値EVを比較するという簡素な処理でチェックできるようになる。従って、誤り検出符号値と期待値EVとを比較することで、光源制御や調光制御等が適正に行われたか否かをチェックできるようになる。例えば図2に示すような特定静止画像が表示される際に、バックライト120の各光源が、特定静止画像に応じた適正な調光量で発光するように制御されているかをチェックできるようになる。これにより、光源制御を行う光源制御回路60や、光源制御のための調光制御を行う調光制御回路50等が適正に動作して、適正な光源制御情報CLSが出力されたか否かの出力エラーチェックを、誤り検出符号値と期待値EVを比較するという簡素な処理で実現することが可能になる。
【0048】
図8に本実施形態の表示制御システム5、回路装置10の詳細な他の構成例を示す。図3の構成例は、例えばヘッドアップディスプレイ等に表示制御システム5が用いられる場合の構成例である。これに対して、図8は、例えばセンターインフォーメンションディスプレイやメーターのクラスターディスプレイ等に表示制御システム5が用いられる場合の構成例である。例えば図8では図3に示すような歪み補正回路20は設けられていないが、ホワイトバランス調整回路14、ガンマ補正回路15、FRC回路16が設けられている。図8のホワイトバランス調整回路14、ガンマ補正回路15、FRC回路16、色補正回路30が、例えば図1の画像処理回路12に対応する。ホワイトバランス調整は、白い表示物が適正に白く表示されるように色温度等を調整する処理である。ガンマ補正は、表示装置100に表示される画像が、自然の色に近くなるように、画像の明るさや彩度を補正する処理である。FRCは、フレームレートコントロールにより高精細な階調表示を行うための処理である。
【0049】
図8では、このようなホワイトバランス調整、ガンマ補正、FRCなどの処理が行われた後の画像データIMに対して、例えば色補正回路30により調光情報に基づく色補正が行われる。そしてエラーチェック回路40は、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、FRC、色補正が行われた後の表示画像データIMDについての誤り検出符号値と期待値EVとを比較して、特定静止画像についてのエラーチェックを行う。
【0050】
このようにすれば、誤り検出符号値と期待値EVとを比較することで、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、FRC、色補正等が適正に行われたか否かをチェックできるようになる。従って、ホワイトバランス調整回路14、ガンマ補正回路15、FRC回路16、色補正回路30等が適正に動作して、適正な表示画像データIMDが出力されたか否かの出力エラーチェックを、誤り検出符号値と期待値EVを比較するという簡素な処理で実現することが可能になる。
【0051】
3.処理例
次に本実施形態の処理例について詳細に説明する。図9は本実施形態の処理例の説明図である。図9に示すように、映像ソースである動画は、ロゴ画像、オープニング画像などの特定静止画像を含んでおり、処理装置200は、この特定静止画像のCRCの期待値を回路装置10に出力する。回路装置10は、処理装置200からの動画の画像データの画像解析や画像処理を行う。画像解析は例えば調光制御のための画像解析であり、画像処理は、例えば色補正、歪み補正、ホワイトバランス調整又はガンマ補正等である。そして回路装置10は、画像処理後の画像データや、画像解析に基づき求められた光源制御情報についてのエラーチェックを行う。即ち回路装置10は、特定静止画像に対応する画像データや、特定静止画像を表示する際の光源制御情報についてのCRC値を演算し、処理装置200から受信したCRCの期待値と比較する。そして回路装置10は、CRC値と期待値が一致しなかった場合には、処理装置200等に割り込み信号を出力する。これにより処理装置200等は、回路装置10での画像処理や、画像解析に基づく調光制御等にエラーが発生したか否かを適正に確認できるようになる。
【0052】
図10は本実施形態の処理例を説明するフローチャートである。まず自動車等の移動体のエンジン、モーターが始動し(ステップS1)、エラーチェックをするフレームが決められる(ステップS2)。エンジン、モーターの始動により、ロゴやエンブレムなどの画像が表示される動画の再生が開始される。そして処理装置200側において、動画においてロゴ、エンブレムなどの特定表示画像が表示されるフレームが決められており、処理装置200は、例えばこのフレームを指示する情報を回路装置10に伝える。そして画像データと光源制御情報を、複数のエリアの各エリア毎にマッピングする処理が行われる(ステップS3)。例えばローカルディミングのための調光制御や、調光制御情報に基づく色補正が行われる。このとき、歪み補正や、ホワイトバランス、ガンマ補正、FRCなどの画像エンハンスメントの処理が行われる場合には、それも見込んだ期待値を用意して、処理装置200が回路装置10に送信する。そして特定静止画像の画像データについて、CRC値とその期待値とを比較するエラーチェックが行われ(ステップS4、S5)、CRC値と期待値が一致しなかった場合には、割り込み信号が出力される(ステップS8)。また特定静止画像を表示する際の光源制御信号に対応する光源制御情報について、CRC値とその期待値とを比較するエラーチェックが行われ(ステップS6、S7)、CRC値と期待値が一致しなかった場合には、割り込み信号が出力される(ステップS8)。
【0053】
また本実施形態では、回路装置10は、バックライト120の光源制御を行う光源制御回路60を含み、エラーチェック回路40は、処理装置200が、バックライト120をオフにする指示を行った場合にも、誤り検出符号値と期待値を比較する処理を行う。例えば車載の表示装置100などでは、ユーザーがオプション設定により、ロゴやエンブレムが表示される動画を非表示に設定できる場合がある。このような設定が行われた場合に、本実施形態では図11に示すように処理装置200がバックライト120のオフを指示する。このバックライト120のオフの指示は、処理装置200が表示装置100に対して直接に行ってもよいし、表示コントローラーである回路装置10を介して表示装置100に対してバックライト120のオフを指示するようにしてもよい。そしてバックライト120がオフになると、表示画像データIMDに基づく画像が表示パネル110に表示されていても、ユーザーには見えないようになる。これにより、ロゴやエンブレムが表示される動画を非表示にする設定が可能になる。
【0054】
そしてこのようにバックライト120をオフにする指示が行われた場合にも、エラーチェック回路40は、誤り検出符号値と期待値を比較する処理を行っている。例えば表示画像データIMDについての誤り検出符号値と期待値を比較したり、光源制御情報CLSについての誤り検出符号値と期待値を比較する処理を行って、エラーがないか否かをチェックしている。即ちロゴ、エンブレム等の動画については非表示としながら、バックグランドでエラーチェックを実行するようにする。このようにすれば、特定静止画像を含む動画を非表示にするユーザー等の設定を遵守しながら、特定静止画像の誤り検出符号値と期待値との比較によるエラーチェックを実現できるようになる。従って、ユーザーの利便性の向上と信頼性の向上とを両立して実現することが可能になる。
【0055】
また本実施形態では処理装置200は、第1動作環境~第n動作環境に応じた第1期待値~第n期待値を記憶する。例えば不図示の処理装置200の記憶部に第1期待値~第n期待値が記憶される。ここでnは2以上の整数である。そしてエラーチェック回路40は、動作環境が第1動作環境~第n動作環境のうちの第i動作環境のとき、第i誤り検出符号値と第i期待値を比較する処理を行う。例えばエラーチェック回路40は、第i誤り検出符号値と第i期待値を比較して、不一致の場合にエラーが検出されたと判断するエラーチェック処理を行う。ここでiは1≦i≦nとなる整数である。この場合に例えば処理装置200が第1動作環境~第n動作環境に応じた第1期待値~第n期待値を回路装置10に出力し、エラーチェック回路40が、対応する特定静止画像についての第i誤り検出符号値と、第1期待値~第n期待値のうちの第i期待値を比較してもよい。或いは、処理装置200が、第1期待値~第n期待値のうちの第i期待値を回路装置10に出力し、エラーチェック回路40が、第i期待値に対応する特定静止画像の第i誤り検出符号値と第i期待値とを比較してもよい。
【0056】
例えば図12では、第1動作環境~第n動作環境である動作環境OPE1~OPEnに対応するCRCの第1期待値~第n期待値である期待値EV1~EVnが用意されている。そして例えば表示制御システム5や処理装置200の動作環境が、第i動作環境である動作環境OPEiである場合には、第i期待値である期待値EViとCRC値とが比較されて、エラーチェックが行われる。
【0057】
このようにすれば表示制御システム5が複数の動作環境で動作する場合に、各動作環境に応じた適切な誤り検出符号値とその期待値とを比較して、エラーチェックによるエラー検出を実現できるようになる。これにより多様な動作環境において表示制御システム5や回路装置10の信頼性を確保することが可能になる。
【0058】
例えば本実施形態では、第1動作環境~第n動作環境は、明るさ環境である。例えば第1動作環境~第n動作環境の各動作環境は明るさが異なる動作環境である。例えば表示制御システム5では、外光センサー等からの検出情報に基づいて、バックライト120のグローバルディミング制御が行われる場合がある。例えば外光が明るい場合には、バックライト120の光源LSの光を明るくし、外光が暗い場合には、バックライト120の光源LSの光を暗くするなどのグローバルディミング制御が行われる。そしてこのようなグローバルディミング制御が行われた場合には、グローバルディミングの調光情報に基づいて、画像データの色補正が行われる。例えばバックライト120の光源の色等が原因で、バックライト120の輝度の変化に応じて表示画像の色味も変化してしまうため、バックライト120の輝度の変化に応じた表示画像の色味の変化を抑制するための色補正が行われる。なお、グローバルディミング制御や色補正は、処理装置200が行ってもよいし、回路装置10が行ってもよく、或いは処理装置200と回路装置の協働した処理により行ってもよい。
【0059】
このように動作環境である明るさ環境が変化すると、例えばグローバルディミング制御等により画像データに対しても色補正等が行われて、画像データの内容も変化してしまう。従って、1つの環境に応じた1つの期待値だけを用意して、エラー検出を行っても、このような明るさ環境の変化に対応できない場合がある。
【0060】
そこで本実施形態では、第1明るさ環境~第n明るさ環境に応じた第1期待値~第n期待値を用意する。例えば4ビットの調光情報で制御する場合には、16段階の明るさが設定されるため、16段階の明るさに対応する16個の期待値を用意する。そしてエラーチェック回路40は、明るさ環境が第i明るさ環境であるときには、第i明るさ環境に対応する第i誤り検出符号値と第i期待値を比較することで、エラー検出を実現する。この場合に、明るさ環境についての複数の期待値のうちの少なくとも1つの期待値が誤り検出符号値と一致した場合に、エラーが非検出であると判断してもよい。
【0061】
このようにすれば表示制御システム5が複数の明るさ環境で動作する場合に、それぞれの明るさ環境に応じた適切な誤り検出符号値とその期待値とを比較して、エラーチェックによるエラー検出を実現できるようになる。これにより多様な明るさ環境において表示制御システム5や回路装置10の信頼性を確保することが可能になる。
【0062】
或いは第1動作環境~第n動作環境は、回路装置10の動作モードの環境であってもよい。動作モードでは例えば回路装置10のFRCの動作モードである。例えば下位ビットである2ビットの制御データにより、4フレームごとのFRCの階調表示が行われる場合を想定する。この場合には、例えば階調特性が異なる4フレームの画像データを用意し、これらの4フレームの画像データの中から、2ビットの制御データにより指定される画像データが表示されるFRCの階調表示が行われる。この場合には、例えば4フレームの画像データに対応する4つの誤り検出符号の期待値を用意する。そして、例えば4フレームの画像データのうちの第i画像データを表示する場合には、第i画像データに対応する第i誤り検出符号値と第j期待値とを比較することで、エラー検出を実現する。この場合に、動作モードの環境についての複数の期待値のうちの少なくとも1つの期待値が誤り検出符号値と一致した場合に、エラーが非検出であると判断してもよい。
【0063】
このようにすれば回路装置10が複数の動作モードの環境で動作する場合に、それぞれの動作モードの環境に応じた適切な誤り検出符号値とその期待値とを比較して、エラーチェックによるエラー検出を実現できるようになる。これにより多様な動作モードの環境において回路装置10や表示制御システム5の信頼性を確保することが可能になる。なお動作モードの環境はFRCの動作モードの環境には限定されない。例えば回路装置10が、動作モードに応じて異なる画像処理を行う場合に、それぞれの画像処理に対応する期待値を用意しておく。そして回路装置10が第i動作モードとして第i画像処理を行う場合には、第i画像処理に対応する第i誤り検出符号値と第j期待値とを比較することで、エラー検出を実現すればよい。
【0064】
4.表示システム、移動体
図13に本実施形態の表示システムの一例として、ヘッドアップディプレイ190の構成例を示す。本実施形態の表示システムであるヘッドアップディプレイ190は、本実施形態の表示制御システム5と表示装置100を含む。なお表示制御システム5は処理装置200を含まない構成であってもよい。表示装置100は、回路装置10からの表示画像データIMDに基づいて表示画像を表示する。ヘッドアップディプレイ190の表示システムの場合には表示装置100は表示画像を投影することで、虚像をユーザーに表示する。例えば表示装置100は、表示パネル110とバックライト120を含む。また表示装置100は、表示パネル110を駆動する表示ドライバー140や、表示パネル110とバックライト120の間に設けられる拡散板115を含むことができる。また表示装置100は、投影画像の投影光を反射するミラー150などの投影光学系を含むことができる。
【0065】
表示ドライバー140は、回路装置10からの表示画像データIMDに基づいて、表示パネル110のデータ線や走査線を駆動して画像を表示させる。バックライト120が出射する光は拡散板115、表示パネル110を透過し、ミラー150によって透明スクリーン160の方向へ反射される。透明スクリーン160は例えば自動車のフロントガラスである。透明スクリーン160の反射面は例えば凹面になっており、ユーザーから見て投影画像は虚像となる。即ち、ユーザーから見て投影画像は透明スクリーン160よりも遠くに結像しているように見える。これにより背景内に投影画像を表示できる。
【0066】
なお本実施形態の表示システムは図13の構成には限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば表示パネル110として液晶表示パネル以外の表示パネルを用いてもよいし、拡散板115や投影光学系の配置構成も種々の変形実施が可能である。また本実施形態の表示システムは、図13のようなヘッドアップディプレイ190には限定されず、クラスターディスプレイやセンターインフォーメンションディスプレイなどの自動車用の他の表示ステムであってもよいし、自動車用以外の表示システムであってもよい。
【0067】
図14は、本実施形態の移動体の一例を示す図である。移動体は、本実施形態の表示制御システム5と、表示制御システム5により表示制御される表示装置100を含む。また移動体は、エンジン又はモーターなどの駆動機構と、駆動機構を制御するECU(Electronic Control Unit)等の制御装置を含むことができる。駆動機構は移動体の動力源と言うこともできる。移動体は、例えば自動車、バイク、自転車、船舶又は飛行機等である。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器を備えて、地上や空や海上を移動する機器又は装置である。図14は移動体の具体例としての自動車206を概略的に示している。移動体の制御装置は、例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり、個々の車輪209のブレーキを制御する。表示装置100は、例えば自動車206のHUD、CID又はクラスターディスプレイとして用いられる。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態の表示制御システムは、処理装置と、処理装置からの制御によって表示装置の表示制御を行う回路装置と、を含む。処理装置は、表示装置に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値を出力する。そして回路装置は、処理装置から動画の画像データを受けて、所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号値を演算し、誤り検出符号値と期待値とを比較して、エラーをチェックするエラーチェック回路を含む。
【0069】
本実施形態によれば、処理装置は、表示装置に表示される動画の所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号の期待値を出力し、回路装置は、動画の画像データを受けて、所定フレームにおける特定静止画像の誤り検出符号値を演算し、誤り検出符号値と期待値とを比較して、エラーをチェックする。このようにすれば、動画に含まれる特定静止画像を有効利用し、その特定静止画像の誤り検出符号の期待値を処理装置が回路装置に出力することで、回路装置が特定静止画像の誤り検出符号値と期待値とを比較するという簡素な処理でエラーをチェックできるようになる。従って、特定静止画像を有効利用した簡素な処理でエラーチェックを実現できる表示制御システム等の提供が可能になる。
【0070】
また本実施形態では、特定静止画像は、表示制御システムを有する移動体の始動時において表示される動画の所定フレームにおける画像であてもよい。
【0071】
このようにすれば、移動体の始動時に表示される特定静止画像を有効活用して、その特定静止画像の誤り検出符号値と期待値とを比較するという簡素で処理で、エラーを検出できるようになる。
【0072】
また本実施形態では、特定静止画像は、特定文字、特定記号又は特定マークを含む画像であってもよい。
【0073】
このようにすれば、特定文字、特定記号又は特定マークを含む特定静止画像を有効活用して、その誤り検出符号値と期待値とを比較することで、エラーを検出できるようになる。
【0074】
また本実施形態では、表示装置は、表示パネルと、バックライトとを含み、回路装置は、バックライトの光源制御を行う光源制御回路を含んでもよい。そして処理装置は、光源制御回路が出力する光源制御情報の誤り検出符号の期待値を出力し、エラーチェック回路は、光源制御情報の誤り検出符号値と期待値とを比較してもよい。
【0075】
このようにすれば、光源制御回路から適正な光源制御情報が出力されたか否かを、誤り検出符号値とその期待値を比較するという簡素な処理でチェックできるようになる。
【0076】
また本実施形態では、表示装置は、表示パネルと、バックライトとを含み、回路装置は、画像データの歪み補正を行う歪み補正回路と、歪み補正後の画像データを解析して、バックライトのローカルディミング制御のための調光情報を演算する調光制御回路を含んでもよい。また回路装置は、調光情報に基づいて、バックライトの光源制御を行う光源制御回路と、歪み補正後の画像データと調光情報に基づいて、歪み補正後の画像データの色補正を行う色補正回路を含んでもよい。そしてエラーチェック回路は、色補正後の画像データの誤り検出符号値を演算して、期待値と比較してもよい。
【0077】
このようにすれば、歪み補正が行われると共に調光情報に基づいて色補正が行われた後の表示画像データについて、誤り検出符号値と期待値とを比較するエラーチェックが行われるようになり、歪み補正、調光量の演算処理、色補正等が適正に行われたか否かをチェックできるようになる。
【0078】
また本実施形態では、表示装置は、表示パネルと、バックライトとを含み、回路装置は、バックライトの光源制御を行う光源制御回路を含んでもよい。そしてエラーチェック回路は、処理装置が、バックライトをオフにする指示を行った場合にも、誤り検出符号値と期待値を比較してもよい。
【0079】
このようにすれば、特定静止画像を含む動画を非表示にする設定を遵守しながら、誤り検出符号値と期待値との比較によるエラーチェックを実現できるようになる。
【0080】
また本実施形態では、処理装置は、第1動作環境~第n動作環境(nは2以上の整数)に応じた第1期待値~第n期待値を記憶してもよい。そしてエラーチェック回路は、動作環境が第1動作環境~第n動作環境のうちの第i動作環境(iは1≦i≦nとなる整数)のとき、第i誤り検出符号値と第i期待値を比較してもよい。
【0081】
このようにすれば表示制御システムが複数の動作環境で動作する場合に、各動作環境に応じた適切な誤り検出符号値とその期待値とを比較して、エラーチェックによるエラー検出を実現できるようになる。
【0082】
また本実施形態では、第1動作環境~第n動作環境は、明るさ環境であってもよい。
【0083】
このようにすれば表示制御システムが複数の明るさ環境で動作する場合に、それぞれの明るさ環境に応じた適切な誤り検出符号値とその期待値とを比較して、エラーチェックによるエラー検出を実現できるようになる。
【0084】
また本実施形態では、第1動作環境~第n動作環境は、回路装置の動作モードの環境であってもよい。
【0085】
このようにすれば回路装置が複数の動作モードの環境で動作する場合に、それぞれの動作モードの環境に応じた適切な誤り検出符号値とその期待値とを比較して、エラーチェックによるエラー検出を実現できるようになる。
【0086】
また本実施形態の移動体は、上記に記載された表示制御システムと、表示装置と、を含んでもよい。
【0087】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また表示制御システム、回路装置、表示装置、表示システム、ヘッドアップディスプレイ等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0088】
5…表示制御システム、10…回路装置、12…画像処理回路、14…ホワイトバランス調整回路、15…ガンマ補正回路、16…FRC回路、20…歪み補正回路、30…色補正回路、40…エラーチェック回路、50…調光制御回路、52…輝度解析回路、54…調光量演算回路、60…光源制御回路、70、72…インターフェース回路、100…表示装置、110…表示パネル、115…拡散板、120…バックライト、130…光源ドライバー、140…表示ドライバー、150…ミラー、160…透明スクリーン、190…ヘッドアップディプレイ、200…処理装置、206…自動車、207…車体、209…車輪、AR、AR1~AR9…エリア、CLS…光源制御情報、EV…期待値、IM、IMI…画像データ、IMD…表示画像データ、LS…光源、PSF…光強度分布
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