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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172168
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】搬送装置、印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/16 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65H23/16
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089712
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 大佑
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BC03
2C060BC14
2C060BC47
3F104EA10
(57)【要約】
【課題】媒体の搬送不良を抑制できる搬送装置、印刷システムを提供する。
【解決手段】媒体を搬送する第1搬送部と、搬送される媒体にテンションを付与する第1テンション付与部25と、を備え、第1テンション付与部25は、回転軸を中心に回転可能な一対のアーム33と、一対のアーム33同士を固定する内側部材45と、内側部材45の周囲を回転可能な外側部材46と、内側部材45と外側部材46の間に設けられるベアリング47と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
搬送される前記媒体にテンションを付与するテンション付与部と、
を備え、
前記テンション付与部は、
回転軸を中心に回転可能な一対のアームと、
前記一対のアーム同士を固定する内側部材と、
前記内側部材の周囲を回転可能な外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材の間に設けられるベアリングと、
を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記テンション付与部は、一対の前記ベアリングを有し、
前記内側部材は、
前記一対のアームにそれぞれ固定される一対の固定部材と、
前記一対の固定部材を接続する接続部材と、
を有し、
前記外側部材は、
回転可能な一対の回転部材と、
前記一対の回転部材に固定されて前記媒体に接触可能な接触部材と、
を有し、
前記一対のベアリングは、それぞれ前記固定部材と前記回転部材の間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記接続部材は、円筒形状であって、
前記固定部材は、小径部と、該小径部より直径が大きい大径部と、を有し、
前記小径部は、前記アームに固定され、
前記大径部は、前記接続部材に嵌ることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記アームは、前記回転軸の第1軸心と、前記外側部材の第2軸心と、を結ぶ仮想線分に交差するリブを有することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ベアリングは、
内輪と、
外輪と、
複数の転動体と、
複数の前記転動体を前記内輪と前記外輪との間に保持する保持器と、
前記外輪の外周面に設けられて該外周面から半径方向に突出するリングと、
を有し、
前記回転部材の内径は、前記外輪の外径より大きく、前記リングの外径より小さいことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記接触部材は、前記一対の回転部材に対して複数のねじで固定され、
前記接触部材には、前記ねじを通す第1穴及び第2穴が形成され、
前記回転部材の回転軸方向において、前記第2穴は、前記第1穴より大きいことを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の搬送装置と、
前記媒体に印刷を行う印刷装置と、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、印刷システムの一例である印字装置がある。印字装置は、ヘッドからインクを吐出することにより、媒体の一例であるロール紙に印刷する。印字装置は、一対のアームの一例である一対の揺動アームと、テンションバーと、を備える。一対の揺動アームは、回転軸の一例である軸体を中心として揺動可能である。一対の揺動アームは、テンションバーを回転可能に支持する。テンションバーは、搬送されるロール紙に圧接することによって、ロール紙にテンションを付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-269435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テンションバーを回転可能にすると、媒体の擦れを低減できる。しかし、一対のアームにテンションローラーを回転可能に取り付けた場合、それぞれのアームとテンションローラーの角度が固定されず、アーム同士の傾きがずれる、所謂ねじれが生じる虞がある。ねじれは、媒体が曲がって搬送されるなどの搬送不良に繋がる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にテンションを付与するテンション付与部と、を備え、前記テンション付与部は、回転軸を中心に回転可能な一対のアームと、前記一対のアーム同士を固定する内側部材と、前記内側部材の周囲を回転可能な外側部材と、前記内側部材と前記外側部材の間に設けられるベアリングと、を有する。
【0006】
上記課題を解決する印刷システムは、上記構成の搬送装置と、前記媒体に印刷を行う印刷装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、印刷システムの模式側面図である。
図2図2は、テンション付与部の模式斜視図である。
図3図3は、図2における3-3線矢視断面図である。
図4図4は、図2における4-4線矢視断面図である。
図5図5は、テンション付与部の部分断面図である。
図6図6は、変更例のテンション付与部の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、搬送装置、印刷システムの一実施形態を、図面を参照して説明する。印刷システムは、例えば、用紙、布帛、ビニールなどの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
図面では、印刷システム11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0010】
図1に示すように、印刷システム11は、印刷装置12と、搬送装置の一例である繰出装置13と、搬送装置の一例である巻取装置14と、を備える。繰出装置13、印刷装置12、及び巻取装置14は、別々に設けられてもよいし、一体で設けられてもよい。
【0011】
<印刷装置>
印刷装置12は、媒体16に印刷を行う。印刷装置12は、支持部17と、搬送部18と、印刷部19と、を備えてもよい。印刷装置12は、複数の支持部17を備えてもよい。
【0012】
支持部17は、媒体16を支持するように構成される。支持部17は、媒体16の裏面に接触する。
搬送部18は、媒体16を搬送するように構成される。搬送部18は、一対のローラーが媒体16を挟んだ状態で回転することにより、媒体16を搬送してもよい。媒体16は、支持部17に沿って搬送方向Dcに搬送される。
【0013】
印刷部19は、液体吐出部21と、キャリッジ22と、を有してもよい。
液体吐出部21は、複数のノズル23を有する。液体吐出部21は、複数のノズル23から液体を吐出可能に構成される。
【0014】
キャリッジ22は、液体吐出部21を搭載する。キャリッジ22は、媒体16に対して走査するように構成される。液体吐出部21は、走査しながら液体を吐出することによって、媒体16に画像を印刷する。液体吐出部21は、媒体16の表面に印刷を行う。本実施形態の液体吐出部21は、媒体16に対して走査するシリアルタイプである。液体吐出部21は、媒体16の幅に対して長尺に設けられるラインタイプであってもよい。
【0015】
<繰出装置>
繰出装置13は、搬送部の一例である第1搬送部24と、テンション付与部の一例である第1テンション付与部25と、を備える。
【0016】
第1搬送部24は、長尺の媒体16を搬送する。第1搬送部24は、媒体16を搬送する搬送経路を定めてもよい。第1搬送部24は、繰出軸26と、第1従動ローラー27と、を備えてもよい。
【0017】
繰出軸26は、ロール状に巻かれた印刷前の媒体16を回転可能に支持する。繰出軸26は、回転することで媒体16を搬送する。具体的には、繰出軸26は、ロール状の媒体16を図1において時計回り方向に回転させることにより、媒体16を繰り出す。繰り出された媒体16は、第1従動ローラー27、第1テンション付与部25の順に巻き掛けられる。媒体16は、印刷装置12が備える搬送部18により、印刷装置12に引き込まれてもよい。媒体16は、第1従動ローラー27及び第1テンション付与部25を介して印刷装置12に搬送される。第1従動ローラー27は、媒体16の裏面に接触してもよい。第1従動ローラー27は、従動回転することで、媒体16を搬送してもよい。第1テンション付与部25は、媒体16の表面に接触してもよい。
【0018】
<巻取装置>
巻取装置14は、搬送部の一例である第2搬送部28と、テンション付与部の一例である第2テンション付与部29と、を備える。
【0019】
第2搬送部28は、長尺の媒体16を搬送する。第2搬送部28は、媒体16を搬送する搬送経路を定めてもよい。第2搬送部28は、巻取軸30と、第2従動ローラー31と、を備えてもよい。
【0020】
巻取軸30は、ロール状に巻かれた印刷前の媒体16を回転可能に支持する。巻取軸30は、回転することで媒体16を搬送する。具体的には、巻取軸30は、ロール状の媒体16を図1において時計回り方向に回転させることにより、媒体16を引き寄せる。印刷装置12から送られた媒体16は、第2テンション付与部29、第2従動ローラー31の順に巻き掛けられる。媒体16は、第2テンション付与部29及び第2従動ローラー31を介して巻取軸30に巻き取られる。第2テンション付与部29は、媒体16の表面に接触してもよい。第2従動ローラー31は、媒体16の裏面に接触してもよい。第2従動ローラー31は、従動回転することで媒体16を搬送してもよい。
【0021】
<テンション付与部>
第1テンション付与部25と第2テンション付与部29は、互いに反転した姿勢で設けられるものの構成が同じである。そのため、以下では第1テンション付与部25について説明し、第2テンション付与部29についての説明を省略する。
【0022】
図2に示すように、第1テンション付与部25は、一対のアーム33と、テンションローラー34と、を有する。一対のアーム33とテンションローラー34は、アルミニウム、ジュラルミン、チタン、鉄、及びステンレスなどの金属、樹脂、セラミックス、もしくはこれらの組み合わせによって構成されてもよい。
【0023】
一対のアーム33は、回転軸36を中心に回転可能である。一方のアーム33の回転軸36と他方のアーム33の回転軸36は、一体であってもよいし、一対の回転軸36が同軸に設けられてもよい。一対のアーム33は、それぞれ先端においてテンションローラー34を支持してもよい。一対のアーム33は、テンションローラー34の両端を支持してもよい。換言すると、テンションローラー34は、軸方向Daにおいて一対のアーム33の内側に位置する。
【0024】
図3に示すように、アーム33は、二点鎖線で示す下方位置Pd及び上方位置Puの間を双方向に回転可能である。一対のアーム33は、回転することでテンションローラー34を変位させる。
【0025】
アーム33は、リブの一例である第1リブ38と、第2リブ39と、第3リブ40と、第4リブ41と、を有してもよい。アーム33は、複数の第1リブ38を有してもよい。
第1リブ38は、回転軸36の第1軸心Cfと、テンションローラー34の第2軸心Csと、を結ぶ仮想線分43に交差してもよい。本実施形態の第1軸心Cfと、第2軸心Csは、X軸に平行である。仮想線分43は、第2軸心Csに直交すると共に、アーム33の側面に沿う。
【0026】
第1リブ38は、仮想線分43に垂直な方向に延びてもよい。複数の第1リブ38は、回転軸36とテンションローラー34との間に位置してもよい。第1リブ38は、アーム33を隆起させることで形成されてもよいし、別の部材を取り付けることで形成されてもよい。
【0027】
第2リブ39は、仮想線分43と略平行に設けられてもよい。第2リブ39の長さは、仮想線分43より長くてもよい。第3リブ40は、仮想線分43に対して斜めに設けられてもよい。第4リブ41は、アーム33の先端に、仮想線分43と略平行に設けられてもよい。第2リブ39、第3リブ40、及び第4リブ41は、アーム33を曲げることで形成されてもよいし、別の部材を取り付けることで形成されてもよい。
【0028】
図4図5に示すように、テンションローラー34は、内側部材45と、外側部材46と、ベアリング47と、を有する。テンションローラー34は、一対のベアリング47を有してもよい。
【0029】
内側部材45は、一対のアーム33同士を固定する。内側部材45は、一対の固定部材49と、接続部材50と、を有してもよい。
一対の固定部材49は、一対のアーム33にそれぞれ固定される。固定部材49は、アーム33を貫通して設けられてもよい。アーム33を貫通させることにより、固定部材49の位置精度を向上させることができる。一対の固定部材49は、中心を第2軸心Csに合わせて、軸方向Daに互いに離れて設けられる。固定部材49は、円柱形状であってもよい。固定部材49は、小径部52と、大径部53と、を有してもよい。
【0030】
小径部52は、大径部53より軸方向Daの外側に位置する。小径部52は、アーム33に固定される。小径部52は、アーム33に1以上のねじ55で固定されてもよい。
大径部53は、小径部52より直径が大きい。大径部53は、半径方向に突出するフランジ56を有してもよい。フランジ56は、軸方向Daにおいて、大径部53の内側の端より小径部52近い位置に設けられる。
【0031】
接続部材50は、一対の固定部材49を接続してもよい。接続部材50は、一端が一方の固定部材49に固定され、他端が他方の固定部材49に固定されてもよい。接続部材50は、複数のねじ55により大径部53に固定されてもよい。接続部材50は、円筒形状であってもよい。
【0032】
大径部53の外径は、接続部材50の内径より小さくてもよい。大径部53は、接続部材50に嵌ってもよい。フランジ56の外径は、接続部材50の内径より大きくてもよい。一対の固定部材49は、フランジ56により接続部材50を軸方向Daに挟んでもよい。
【0033】
外側部材46は、内側部材45の周囲を回転可能に設けられる。外側部材46は、搬送される媒体16に対して従動回転する。外側部材46は、第2軸心Csを中心として回転可能である。すなわち、内側部材45と外側部材46は、同軸である。外側部材46は、一対の回転部材58と、接触部材59と、を有してもよい。
【0034】
一対の回転部材58は、回転可能である。回転部材58の回転軸方向は、軸方向Daである。回転部材58は、円環形状であってもよい。回転部材58は、内周面に凹部61を有してもよい。凹部61は、軸方向Daにおける内側の端に、周方向に亘って設けられてもよい。
【0035】
接触部材59は、円筒形状であってもよい。接触部材59は、外周面が媒体16に接触可能である。接触部材59は、一対の回転部材58に固定されてもよい。接触部材59は、第1端部59fが一方の回転部材58に固定されてもよい。接触部材59は、第2端部59sが他方の回転部材58に固定されてもよい。第1端部59fは、軸方向Daにおいて第2端部59sとは反対の端部である。第1端部59fは、一方の回転部材58に重なる部分である。第2端部59sは、他方の回転部材58に重なる部分である。接触部材59は、一対の回転部材58に対して複数のねじ55で固定されてもよい。接触部材59の内径は、回転部材58の外径より大きくてもよい。回転部材58は、接触部材59に嵌ってもよい。
【0036】
接触部材59には、ねじ55を通す第1穴63及び第2穴64が形成されてもよい。第1穴63は、第1端部59fに1以上形成されてもよい。第2穴64は、第2端部59sに1以上形成されてもよい。軸方向Daにおいて、第2穴64は、第1穴63より大きくてもよい。第1穴63は、丸穴であってもよい。第2穴64は、長穴であってもよい。
【0037】
一対のベアリング47は、内側部材45と外側部材46の間に設けられる。具体的には、一対のベアリング47は、それぞれ固定部材49と回転部材58の間に設けられる。
ベアリング47は、内輪66と、外輪67と、複数の転動体68と、保持器69と、リング70と、を有してもよい。内輪66と外輪67は、複数の転動体68と、保持器69と、を挟む。外輪67は、内輪66に対して回転可能である。外輪67は、第2軸心Csを中心として回転可能である。転動体68は、例えばボールである。保持器69は、内輪66と外輪67との間に転動体68を保持して位置決めする。
【0038】
リング70は、外輪67の外周面に設けられる。リング70は、外輪67の外周面から半径方向に突出する。リング70は、外輪67の外周面に、周方向に形成された溝に嵌められてもよい。リング70は、軸方向Daにおいて、外輪67の中央より内側に位置する。リング70は、円環状のOリングであってもよいし、周方向の一部が開放されたCリング、Eリングなどであってもよい。
【0039】
ベアリング47は、内輪66の内周面が小径部52に接触すると共に、内輪66の軸方向Daにおける内側の側面が大径部53に当たる。ベアリング47は、外輪67の外周面が回転部材58に接触すると共に、リング70の軸方向Daにおける外側の側面が凹部61に当たる。すなわち、回転部材58の内径は、外輪67の外径より大きく、リング70の外径より小さくてもよい。
【0040】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
第1テンション付与部25と第2テンション付与部29は、搬送される媒体16にテンションを付与する。第1テンション付与部25と第2テンション付与部29は、自重によりテンションローラー34が媒体16を押し下げる。テンションローラー34は、媒体16の表面に接触する。第1テンション付与部25は、印刷前の媒体16にテンションを付与する。第2テンション付与部29は、印刷された媒体16にテンションを付与する。
【0041】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)外側部材46は、ベアリング47を介して内側部材45の周囲を回転可能である。内側部材45は、一対のアーム33同士を固定する。従来のように、外側部材46を一対のアーム33に回転可能に取り付けた場合には、外側部材46と一対のアーム33の角度が固定されていなかったのに対し、本実施形態では内側部材45を一対のアーム33に固定することによって、外側部材46と一対のアーム33の角度が固定される。すなわち、一対のアーム33は、傾きのずれが抑制されるため、媒体16の搬送不良を抑制できる。
【0042】
(1-2)一対のベアリング47は、それぞれ固定部材49と回転部材58の間に設けられる。一対の固定部材49は、一対のアーム33にそれぞれ固定される。そのため、外側部材46は、例えば1つのベアリング47を介して回転する場合に比べ、回転を安定させることができる。
【0043】
(1-3)固定部材49は、大径部53が接続部材50に嵌る。すなわち、接続部材50の直径は、固定部材49の直径よりも大きい。したがって、接続部材50の直径を固定部材49の直径より小さくする場合に比べ、接続部材50の剛性を高めることができる。
【0044】
(1-4)アーム33は、第1軸心Cfと第2軸心Csとを結ぶ仮想線分43に交差する第1リブ38を有する。第1リブ38を設けることにより、アーム33の仮想線分43に沿う方向への剛性が高くなるため、アーム33が変形する虞を低減することができる。
【0045】
(1-5)回転部材58の内径は、外輪67の外径より大きい。そのため、ベアリング47は、回転部材58に嵌る。ベアリング47は、リング70を有する。リング70の外径は、回転部材58の内径より大きいため、リング70を回転部材58に当てることで、回転部材58とベアリング47の位置決めを容易に行うことができる。
【0046】
(1-6)軸方向Daにおいて、第2穴64は第1穴63より大きい。すなわち、第2穴64は、長穴状に形成される。そのため、接触部材59と回転部材58などの寸法に誤差が生じた場合でも、誤差を吸収して組み付けることができる。
【0047】
(1-7)内側部材45は、外側部材46の内側に位置する。そのため、一対のアーム33同士を固定する部材を外側部材46の外側に設ける場合に比べ、外側部材46に媒体16をセットしやすくすることができる。
【0048】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・リング70と外輪67は、一体で構成されてもよい。すなわち、ベアリング47は、外輪67の外周面から半径方向に突出する凸部を有してもよい。凸部は、周方向に延びてもよい。
【0050】
・内側部材45、外側部材46、及びベアリング47のうち1つもしくは2つは、リング70を有してもよい。
図6に示すように、固定部材49は、第1リング70fを有してもよい。第1リング70fは、固定部材49の外周面に形成された溝に嵌められてもよい。第1リング70fは、内輪66の軸方向Daにおける内側の側面に接触してもよい。回転部材58は、第2リング70sを有してもよい。第2リング70sは、回転部材58の内周面に形成された溝に嵌められてもよい。第2リング70sは、外輪67の軸方向Daにおける外側の側面に接触してもよい。
【0051】
・軸方向Daにおいて、第1穴63と第2穴64は、同じ大きさであってもよい。第1穴63と第2穴64は、丸穴であってもよい。
・アーム33は、第1リブ38~第4リブ41のうち、少なくとも1つを有してもよい。アーム33は、第1リブ38~第4リブ41を有さない構成としてもよい。アーム33は、板状であってもよいし、棒状であってもよい。
【0052】
・接続部材50は、角筒形状であってもよいし、角柱形状であってもよいし、円柱形状であってもよい。内側部材45は、複数の接続部材50により一対の固定部材49を接続してもよい。
【0053】
・固定部材49は、接続部材50に接触する部分の直径と、ベアリング47に接触する部分の直径と、が同じであってもよい。
・内側部材45は、1つの部材により構成されてもよい。
【0054】
・外側部材46は、1つの部材により構成されてもよい。
・第1テンション付与部25と第2テンション付与部29は、それぞれ1つのベアリング47を有してもよい。第1テンション付与部25と第2テンション付与部29は、それぞれ3つ以上のベアリング47を有してもよい。
【0055】
・第1従動ローラー27及び第2従動ローラー31は、テンションローラー34と同様に、内側部材45と外側部材46を備えてもよい。
・複数のねじ55のうち、少なくとも2つは、長さ、太さ、ピッチ、及び頭部形状などの構成が異なっていてもよい。
【0056】
・繰出軸26は、従動回転してもよい。例えば、印刷装置12が備える搬送部18により繰出装置13から媒体16を引き出してもよい。この場合、繰出装置13及び印刷装置12が搬送装置として機能する。
【0057】
・繰出装置13と巻取装置14の少なくとも一方は、一対のローラーにより媒体16を挟んで搬送する搬送部を備えてもよい。
・印刷システム11は、繰出装置13の第1テンション付与部25と、巻取装置14の第2テンション付与部29と、の一方を備える構成としてもよい。
【0058】
・印刷装置12は、第1テンション付与部25と、第2テンション付与部29の少なくとも一方を備えてもよい。印刷装置は、搬送装置として機能してもよい。
・印刷装置12は、インクジェット式のプリンターに限らず、レーザープリンター、サーマルプリンター、ドットインパクトプリンター、デジタル印刷機などでもよい。
【0059】
・印刷装置12は、媒体16にインクなどの液体やトナーなどの流体を付着させることにより文字や絵、写真などの画像を印刷する装置であって、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンターなどとしてもよい。また、印刷装置は、オフセット印刷装置、捺染印刷装置などとしてもよい。
【0060】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0061】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0062】
(A)搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送される前記媒体にテンションを付与するテンション付与部と、を備え、前記テンション付与部は、回転軸を中心に回転可能な一対のアームと、前記一対のアーム同士を固定する内側部材と、前記内側部材の周囲を回転可能な外側部材と、前記内側部材と前記外側部材の間に設けられるベアリングと、を有する。
【0063】
この構成によれば、外側部材は、ベアリングを介して内側部材の周囲を回転可能である。内側部材は、一対のアーム同士を固定する。従来のように、外側部材を一対のアームに回転可能に取り付けた場合には、外側部材と一対のアームの角度が固定されていなかったのに対し、本実施形態では内側部材を一対のアームに固定することによって、外側部材と一対のアームの角度が固定される。すなわち、一対のアームは、傾きのずれが抑制されるため、媒体の搬送不良を抑制できる。
【0064】
(B)(A)に記載の搬送装置において、前記テンション付与部は、一対の前記ベアリングを有し、前記内側部材は、前記一対のアームにそれぞれ固定される一対の固定部材と、前記一対の固定部材を接続する接続部材と、を有し、前記外側部材は、回転可能な一対の回転部材と、前記一対の回転部材に固定されて前記媒体に接触可能な接触部材と、を有し、前記一対のベアリングは、それぞれ前記固定部材と前記回転部材の間に設けられてもよい。
【0065】
この構成によれば、一対のベアリングは、それぞれ固定部材と回転部材の間に設けられる。一対の固定部材は、一対のアームにそれぞれ固定される。そのため、外側部材は、例えば1つのベアリングを介して回転する場合に比べ、回転を安定させることができる。
【0066】
(C)(B)に記載の搬送装置において、前記接続部材は、円筒形状であって、前記固定部材は、小径部と、該小径部より直径が大きい大径部と、を有し、前記小径部は、前記アームに固定され、前記大径部は、前記接続部材に嵌ってもよい。
【0067】
この構成によれば、固定部材は、大径部が接続部材に嵌る。すなわち、接続部材の直径は、固定部材の直径よりも大きい。したがって、接続部材の直径を固定部材の直径より小さくする場合に比べ、接続部材の剛性を高めることができる。
【0068】
(D)(A)~(C)に記載の搬送装置において、前記アームは、前記回転軸の第1軸心と、前記外側部材の第2軸心と、を結ぶ仮想線分に交差するリブを有してもよい。
この構成によれば、アームは、第1軸心と第2軸心とを結ぶ仮想線分に交差するリブを有する。リブを設けることにより、アームの仮想線分に沿う方向への剛性が高くなるため、アームが変形する虞を低減することができる。
【0069】
(E)(A)~(D)に記載の搬送装置において、前記ベアリングは、内輪と、外輪と、複数の転動体と、複数の前記転動体を前記内輪と前記外輪との間に保持する保持器と、前記外輪の外周面に設けられて該外周面から半径方向に突出するリングと、を有し、前記回転部材の内径は、前記外輪の外径より大きく、前記リングの外径より小さくてもよい。
【0070】
この構成によれば、回転部材の内径は、外輪の外径より大きい。そのため、ベアリングは、回転部材に嵌る。ベアリングは、リングを有する。リングの外径は、回転部材の内径より大きいため、リングを回転部材に当てることで、回転部材とベアリングの位置決めを容易に行うことができる。
【0071】
(F)(B)~(E)に記載の搬送装置において、前記接触部材は、前記一対の回転部材に対して複数のねじで固定され、前記接触部材には、前記ねじを通す第1穴及び第2穴が形成され、前記回転部材の回転軸方向において、前記第2穴は、前記第1穴より大きくてもよい。
【0072】
この構成によれば、回転部材の回転軸方向において、第2穴は第1穴より大きい。すなわち、第2穴は、長穴状に形成される。そのため、接触部材と回転部材などの寸法に誤差が生じた場合でも、誤差を吸収して組み付けることができる。
【0073】
(G)印刷システムは、上記構成の搬送装置と、前記媒体に印刷を行う印刷装置と、を備える。
この構成によれば、上記搬送装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0074】
11…印刷システム、12…印刷装置、13…搬送装置の一例である繰出装置、14…搬送装置の一例である巻取装置、16…媒体、17…支持部、18…搬送部、19…印刷部、21…液体吐出部、22…キャリッジ、23…ノズル、24…搬送部の一例である第1搬送部、25…繰出軸、26…第1従動ローラー、27…テンション付与部の一例である第1テンション付与部、28…搬送部の一例である第2搬送部、29…テンション付与部の一例である第2テンション付与部、30…、巻取軸、31…第2従動ローラー、33…アーム、34…テンションローラー、36…回転軸、38…リブの一例である第1リブ、39…第2リブ、40…第3リブ、41…第4リブ、43…仮想線分、45…内側部材、46…外側部材、47…ベアリング、49…固定部材、50…接続部材、52…小径部、53…大径部、55…ねじ、56…フランジ、58…回転部材、59…接触部材、59f…第1端部、59s…第2端部、61…凹部、63…第1穴、64…第2穴、66…内輪、67…外輪、68…転動体、69…保持器、70…リング、70f…第1リンク、70s…第2リング、Cf…第1軸心、Cs…第2軸心、Da…軸方向、Dc…搬送方向、Pd…下方位置、Pu…上方位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6