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特開2024-17217情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017217
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119716
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】593001901
【氏名又は名称】ミカサ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】湯川 淳
(72)【発明者】
【氏名】中里 丈雄
(72)【発明者】
【氏名】畑中 寿
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】児童又は生徒等が各々使用する情報端末装置を用いた活動からの問題検知を可能とする情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付ける受付部と、前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する送信部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付ける受付部と、
前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する送信部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記ユーザからの申告を受け付けた場合に、前記申告を問題発生の通知として受け付ける
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数のアプリケーションは、メッセージの送受信用のアプリケーションを含み、
前記抽出部は、前記メッセージの送受信用のアプリケーションのログから、前記ユーザを差出人又は宛先とするメッセージの記録を抽出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数のアプリケーションは、Webサイトの検索アプリケーションを含み、
前記抽出部は、前記検索アプリケーションにおける検索履歴から、前記ユーザによる検索履歴を抽出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付け、
前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出し、
抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する
処理を含む情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付け、
前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出し、
抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育現場で児童又は生徒等によって使用される情報端末装置を用いた活動からの問題検知を可能とする情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学校又は教育に関する団体にて、児童又は生徒一人ひとりに所謂タブレットと呼ばれる情報端末装置を使用させ、個別適切な教材提供や情報共有を実現するICT(Information and Communication Technology)活用が促進されている。各児童又は生徒は、各自で情報端末装置を用いて、教員等との間のやりとりのみならず、児童又は生徒同士でのデータ共有、メッセージのやり取りも可能である。また、教員等の学校又は団体におけるスタッフによる情報管理も紙媒体から脱却し、グループウェアシステムで提供されているアプリケーションを用いて成績管理等を行なえるようになっている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-027401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
児童又は生徒一人ひとりがタブレットを所持して、児童又は生徒同士のやり取りを行なうことができることから、児童又は生徒同士のコミュニケーションは、実空間のみならず、所謂ネット空間上でも行なわれる。即ち、教員等の学校又は団体のスタッフに認識され難いやり取りの範囲が以前よりも、広くなったと言える。ネット空間におけるやり取りは、なんらかのアプリケーションを用いて行なわれる。したがって、それらの履歴やログが残る点では、口頭や実空間で行なわれるやり取りよりも特定の実現性は高い。しかしながら、膨大なやり取りを、教員等のスタッフがその管理権限において実行するには、負荷も高く、また主観的な要素が入り得る。
【0005】
本発明は、斯かる事情を鑑みてなされたものであり、児童又は生徒等が各々使用する情報端末装置を用いた活動からの問題検知を可能とする情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の情報処理装置は、Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付ける受付部と、前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する送信部とを備える。
【0007】
本開示の一実施形態の情報処理方法は、Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付け、前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出し、抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する処理を含む。
【0008】
本開示の一実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、Web上で提供される複数のアプリケーションを使用可能な第1情報端末装置のユーザについての問題発生の通知を受け付け、前記通知を受け付けた場合、複数の第1情報端末装置からの前記複数のアプリケーションの使用により記録装置に記憶されるデータから、前記問題発生に関するデータを抽出し、抽出されたデータから作成されるレポートデータを、前記ユーザの所属組織に対応する第2情報端末装置へ送信する処理を実行させる。
【0009】
本開示の情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムでは、Web上で提供される複数のアプリケーションのログから、児童又は生徒であるユーザの問題に関する記録を抽出したレポートが作成可能となる。
【0010】
本開示の情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラムでは、ユーザのみならず、このユーザを含む複数のユーザの使用により記憶されるデータが一旦抽出され、その抽出されたデータから、問題発生に関するデータが抽出されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、児童又は生徒であるユーザの問題に関する記録を抽出したレポート(即ち、問題発生のエビデンスとなるデータ)が記録可能である。これにより、学校等における組織での問題の自動検知を、根拠を持って実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における問題検知システムの概要図である。
図2】第1情報端末装置及び第2情報端末装置の構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図4】アカウントの所属等を管理するデータの内容例を示す。
図5】アプリに基づく通知画面例を示す図である。
図6】問題検知システムにおける処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図7】問題検知システムに基づく対応の概要図である。
図8】第2情報端末装置にて表示される設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の情報処理装置の処理によって問題検知を可能とする問題検知システム100について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態における問題検知システム100の概要図である。問題検知システム100は、複数の第1情報端末装置1と、複数の第2情報端末装置2と、情報処理装置3と、これらの装置間を通信接続するネットワークNとを含む。第1情報端末装置1は、複数の児童又は生徒が使用する端末である。第2情報端末装置2は、児童又は生徒が活動する学校や団体における教員、他のスタッフ、保健管理者、管理者等が使用する端末である。
【0015】
ネットワークNは、プライベートネットワークであるローカルネットワークN1と、所謂インターネットである公衆通信網N2と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN3とを含む。ローカルネットワークN1には、アクセスポイントAPが含まれる。キャリアネットワークN3には基地局BSが含まれる。第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2はローカルネットワークN1を介して、相互に通信接続が可能であり、また、公衆通信網N2又はキャリアネットワークN3を介して情報処理装置3及びグループウェア提供サーバ8と通信接続が可能である。
【0016】
第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2はいずれも、システム外のグループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーション群801~804にWebブラウザ及びネットワーク経由でアクセス可能である。グループウェア提供サーバ8は以下の説明を容易にするために1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理又は機能を分散させて構成されている。グループウェア提供サーバ8によって提供され、第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2にて使用可能なWebアプリケーション801~804は、検索801、メール又はチャット(メッセージ交換)802、動画プラットフォーム803、データ共有アプリケーション804等を含む。Webアプリケーションはこれらのアプリケーション801~804には限らない。
【0017】
グループウェア提供サーバ8にて児童又は生徒に割り振られたアカウントに基づき、児童又は生徒はそれぞれ、そのアカウントに対して許可された複数のWebアプリケーション801~804等の利用が可能である。例えば、児童又は生徒は、自身のアカウントに基づいてWebブラウザにてグループウェアサービスにログインした状態で、ブラウザ上で検索801を利用することができる。また、児童又は生徒は、ログインした状態で、そのアカウントに対して許可されたデータをWebブラウザのデータ共有アプリケーション804でデータにアクセスしたり、データの編集を行なったり、データをメール又はチャット802経由で他の児童又は生徒に通知したりすることが可能である。
【0018】
これらのグループウェア提供サーバ8によって提供されるWebアプリケーション群801~804に対する各児童又は生徒の操作内容や生成されるデータは、許可される範囲において、アカウントに紐づけて1又は複数の記録装置81に記録される。例えば、グループウェアサービスにログインした状態での検索履歴、Webサイトの閲覧履歴、メール、チャットの内容は、アカウントに紐づけてグループウェア提供サーバ8がアクセス可能な1又は複数の記録装置81に記録される。児童又は生徒のアカウントに基づきOS(Operation System)にログインした段階で、操作履歴の一部又は全部が、OSの管理サーバがアクセス可能な1又は複数の記録装置81に記録される設定としてもよい。
【0019】
記録装置81に記録されたデータは、アカウントの所有者である児童又は生徒自身により、第1情報端末装置1上のWebブラウザ経由で履歴、保存データとして読み出し又は編集が可能である。児童又は生徒がデータを共有するためにWebアプリケーション内のメール又はチャット802のメッセージに添付することにより、送付先の他の児童、生徒、学校の教員等のスタッフと共有可能である。更に、児童、生徒、スタッフ間で、共有データをデータ共有アプリケーション(ネットワーク上の記憶域)804にアップロードすることで、共有データを相互に編集可能である。このように、グループウェア提供サーバ8により提供されるサービス内で、データ共有及び編集ができることから、メッセージのやり取り、教材データの共有、レポート提出等の活動をオンラインで実行可能である。
【0020】
本実施形態における問題検知システム100で情報処理装置3は、グループウェア提供サーバ8によって児童、又は生徒、あるいは教員等のスタッフのアカウントに紐づいて記録装置81に記録された活動履歴を、許可される範囲(アカウント及び内容)で参照可能である。情報処理装置3は、児童又は生徒のアカウントそれぞれについて所属等を管理するデータをデータベース310に記憶している。情報処理装置3は、児童若しくは生徒、又は教員などのスタッフについての問題が発生した際に、データベース310及び記録装置81のデータに基づき活動履歴等を分析・解析処理を行ない、問題の根拠となるやり取りや活動があったか否かを判断し、根拠となるデータをまとめる処理を実行する。例えば情報処理装置3は、関連するアカウントにおいて、メッセージ(メール、チャット)の交換に問題がないか、閲覧履歴に問題がないか、データ共有に問題がなかったか、等について機械的解析を実行し、報告データを作成する。
【0021】
上述のような問題の発見及び報告データ作成の実現について、以下に問題検知システム100の具体的構成及び処理内容を説明する。
【0022】
図2は、第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2の構成を示すブロック図である。第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2はいずれも、通信機能を有するラップトップ型、又はタブレット型のパーソナルコンピュータを用いる。
【0023】
第1情報端末装置1は、処理部10、記憶部11、通信部12、表示部13、及び操作部14を備える。
【0024】
処理部10は、CPU(Central Processing Unit )又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサと、内蔵するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を用いて各構成部を制御する。処理部10は、記憶部11に記憶してあるブラウザプログラム、及びアプリケーションプログラムP1(以下、アプリP1という)を読み出して実行することにより、汎用コンピュータを本実施形態における第1情報端末装置として機能させる。
【0025】
記憶部11は、HDD(Hard disk drive:ハードディスク)、フラッシュメモリ又はSSD(Solid State Drive )を用いる。記憶部11は、ブラウザプログラム及びアプリケーションプログラムP1を記憶しているほか、ユーザである児童又は生徒のアカウントデータ、処理部10が参照する他のデータ等を記憶する。
【0026】
通信部12は、ネットワークNを介した通信を実現する通信モジュールである。通信部12は、無線通信モジュールであってローカルネットワークN1に含まれるアクセスポイントAPと無線により通信可能である。通信部12は、無線に限られない。処理部10は、通信部12によりネットワークNを介して他の第1情報端末装置1、第2情報端末装置2、情報処理装置3、又はグループウェア提供サーバ8とデータの送受信が可能である。
【0027】
表示部13は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部14は、利用者の操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部14は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部13で表示している画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0028】
第1情報端末装置1は、GPS(Global Positioning System)受信デバイス等の位置情報取得部を備えて、使用されている場所を特定可能であってもよい。
【0029】
第2情報端末装置2は、アカウントの種別によって第1情報端末装置1と区別されるが、ハードウェアとしては第1情報端末装置1と同様であるから、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。第2情報端末装置2においては、記憶部21にはユーザである教員等のスタッフのアカウントデータが記憶されている。第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2は、共用のパーソナルコンピュータであってもよく、この場合、アカウントデータは記憶されておらず、ブラウザプログラムに対してアカウントが入力されると第1情報端末装置1及び第2情報端末装置2として機能する。
【0030】
図3は、情報処理装置3の構成を示すブロック図である。情報処理装置3は、サーバコンピュータを用いる。情報処理装置3は、説明を容易にするために1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理又は機能を分散させた構成としてよい。
【0031】
情報処理装置3は、処理部30、記憶部31、通信部32及び入出力部33を備える。処理部30は、CPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵するRAM、ROMを用いて各構成部を制御する。処理部30は、記憶部31に記憶されている情報処理プログラムP3に基づき、後述する通知受け付け処理、判断処理、報告データ作成処理等を実行する。
【0032】
記憶部31は、ハードディスク又はSSDを用いる。記憶部31は、情報処理プログラムP3を記憶しているほか、処理部30が参照する他のプログラム、及びデータを記憶する。情報処理装置3は、内部又は外部に設けた記録装置にデータベース310を構築している。データベース310には、児童又は生徒の個別のアカウントそれぞれについて所属クラス、所属学校、又は所属団体の紐付け、学校等で担当するスタッフのアカウントとの関連付けが記録されている。記憶部31に記憶されている情報処理プログラムP3は、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体9に記憶されていた情報処理プログラムP9をCPUが読み出して記憶部11に記憶したものであってもよい。
【0033】
通信部32は、公衆通信網N2又はキャリアネットワークN3への通信接続を実現する。処理部30は、通信部32により公衆通信網N2又はキャリアネットワークN3を介して第1情報端末装置1、第2情報端末装置2、グループウェア提供サーバ8との間でデータの送受信が可能である。
【0034】
入出力部33は、データベース310への接続インタフェースである。データベース310が記憶部31内に設けられている場合は不要である。
【0035】
このように構成されている問題検知システム100において、情報処理装置3は、図3に示すように、グループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーション801~804を利用した履歴、イベントログ、データ等が記憶されている記録装置81に、所定の範囲でアクセスが可能である。具体的には、情報処理装置3は、グループウェア提供サーバ8から提供されるサービスを受けるためのアカウントデータの管理事業者によって管理されている。情報処理装置3は、グループウェア提供サーバ8から提供されている各種Webアプリケーションの呼び出し可能なAPI(Application Programming Interface )によって、対象の学校、団体に所属する児童、生徒、教員等のスタッフへのアカウントの発行、情報抽出・管理等を行なうことが可能であり、そのアカウントに関するデータへのアクセス権限が与えられている。
【0036】
図4は、アカウントの所属等を管理するデータの内容例を示す。データベース310には、上述したように児童又は生徒のアカウントそれぞれについて所属等を記憶している。図4では、データベース310には、各ユーザについて、ユーザが所属しているドメイン(学校、学区、行政区等)、所属組織が対応付けられて管理されている。これらのデータは、グループウェア提供サーバ8が読み書きする記録装置81に記憶されていて、これを情報処理装置3から読み出せるようにしてもよい。
【0037】
図4に示すように、各ユーザに対して所属する組織(ドメイン)内で、「管理者」、「先生」、「生徒」、及び「保護者」の「属性」が記憶されている。また、その「属性」でも校長等の「学校代表者」、複数の学校を管轄する「教育委員会」又は「連合会」等の「階層」が設けられ、情報処理装置3は、いずれの階層へ通知するか等を適宜判断できる。各ユーザには姓名等の属性情報が対応付けられて記憶される。
【0038】
図4に示したようなデータベース310により、情報処理装置3は、後述の処理で特定の児童又は生徒のアカウントを特定すると、そのアカウントと同一の所属組織に属する他の児童又は生徒のアカウントを特定できる。また、情報処理装置3は、特定した児童又は生徒の所属組織における「先生」、「主任」「教育委員会」等の他の階層のアカウントを特定できる。
【0039】
児童又は生徒が使用する第1情報端末装置1には、上述したように、アプリP1が記憶されている。アプリP1は、児童又は生徒が所属している学校若しくは教育委員会などの組織、又は、外部の教育支援団体への通知を行なうためのアプリケーションプログラムである。アプリP1は、各第1情報端末装置1にてダウンロードサーバからダウンロードして記憶部11に記憶され、実行可能にインストールされている。アプリP1は、情報処理装置3の管理者から提供されて第1情報端末装置1にインストールされたものとして説明するが、これに限らず、ブラウザプログラム上で動作するプラグインアプリであってもよく、グループウェア提供サーバ8から提供されるWebアプリケーションの1つであってもよい。
【0040】
図5は、アプリP1に基づく通知画面例を示す図である。児童又は生徒が使用する第1情報端末装置1において、アプリP1が選択されて実行されると、第1情報端末装置1の処理部10は、アプリP1に基づき、通知画面130を表示部13に表示する。図5は、通知画面130の例を示している。通知画面130には、「なにを」「いつ」「どこで」「された/みた/きいた」といった報告を選択するための選択肢ごとのメニューボタン131が表示されている。アプリP1は、グループウェア提供サーバから提供されるサービスへのログイン用のアカウントと同一又は対応付けられたアカウントに紐づいて起動する。
【0041】
児童又は生徒が、図5に示す通知画面130のメニューボタン131を、操作部14の操作によって選択すると、第1情報端末装置1の処理部10は、選択された内容と、アプリP1に紐づいたアカウントのデータとを含む「SOSサイン」を送信する。送信先は基本的に、児童又は生徒が所属する組織の第2情報端末装置2である。「SOS」サインは、例えば電子メール等のメッセージ形式で送信される。送信先は、児童又は生徒によっていずれのアカウント(教員、学校代表者、教育委員会等)とするかが選択されてもよいし、内容によって送信先が切り替えられるように設定されていてもよい。なお、選択された内容には、選択に応じて、第1情報端末装置1の操作を行なった児童又は生徒ではなく、何らかの問題に関する他の児童又は生徒の名前、識別番号等が含まれる場合がある。
【0042】
例えば、図5に示す通知画面130において、「SNSでのトラブル」が選択され、その場合に表示される「場所」等を選択される画面において「端末でのメッセージアプリにおいて」といった選択が可能である。この場合、第1情報端末装置1の処理部10は、「SNSでのトラブル」及び「端末でのメッセージアプリ」(トラブルが起こった場所)を示すデータと、操作者(ログインしたアカウント)のアカウントデータと、その他の具体的相談に係るテキスト又は画像等とを取得する。処理部10は、取得したデータ、アカウントデータ及びテキスト又は画像等を含む「SOSサイン」を、第2情報端末装置2へ送信する。このとき処理部10は、第1情報端末装置1を識別するハードウェア情報(例えばMACアドレス)等を共に送信してもよい。
【0043】
図6は、問題検知システム100における処理手順の一例を示すシーケンス図である。以下に示すフローチャートでは、図5に示した通知画面130にて、児童又は生徒により操作がなされ、「SOSサイン」が第2情報端末装置2へ送信されると、処理が開始されるものとして説明する。処理が開始されるトリガは、後述するように「SOSサイン」には限られない。
【0044】
情報処理装置3の処理部30は、問題発生の通知を受け付ける(ステップS301)。問題発生の通知は、第1例においては、第1情報端末装置1から第2情報端末装置2への「SOSサイン」の送信である。情報処理装置3は、アプリP1に基づく第1情報端末装置1からの「SOSサイン」を第2情報端末装置2で受信する場合、それを同様に受信するように設定してある。または、第2情報端末装置2から、「SOSサイン」を受信したことの通知を受け付けてもよい。問題発生の通知は、第2例においては、情報処理装置3自身によるグループウェア提供サーバから提供されるWebアプリケーションの使用履歴に対する解析処理の結果である。メール又はチャットのWebアプリケーションにおいて、特定のキーワードが所定の頻度以上に、特定のアカウント(特定のグループ)から使用された場合、処理部30はこれを検知する。この場合、情報処理装置3から第2情報端末装置2へ問題発生通知を送信する。送信先は、組織の管理者の権限を有するアカウントの第2情報端末装置であってもよいし、通知先として予め登録されているアカウントの第2情報端末装置2であってもよい。解析の結果、関連する児童又は生徒の名前、所属する学校等の組織、学年及びクラスのいずれかを、データベースを参照して特定し、通知に含めてもよい。問題発生の通知は、第3例においては、学校又は団体等の組織からの「問い合わせ」であってもよい。組織において、教員等のスタッフが使用する第2情報端末装置2にて問題発生通知を受信したことから、トラブルの問い合わせがあった場合、情報処理装置3の処理部30は、これを問題発生の通知として受け付ける。例えば、アプリP1からの通知を受信した場合以外で、組織内でトラブルの兆候が把握された場合、スタッフが第2情報端末装置2を用いて情報処理装置3へ問い合わせを行なう。若しくは、情報処理装置3の管理事業者に対し、メールや電話等の連絡手段によって問い合わせが行なわれてもよく、この場合、管理事業者による操作によって処理部30は、問い合わせを問題発生の通知として受け付ける。問い合わせには、トラブル又はその兆候に関連する生徒若しくは児童のアカウントデータ、又は、生徒若しくは児童の所属クラス、学年等のデータが含まれる。
【0045】
第2情報端末装置では、問題発生通知を受信すると(ステップS201)、第2情報端末装置向けのアプリP2に基づき、対象組織における情報のアクセス制限ルールに基づき、問題発生通知を出力する(ステップS202)。問題発生通知は、第1情報端末装置1のアプリP1からの「SOSサイン」であるが、他にも情報処理装置3からの通知であってもよい。アプリP2は、メールアプリであってもよいし、特定のアプリケーションであってもよいし、グループウェア提供サーバによって提供されるアプリケーションの1つであってもよい。ステップS202において処理部20は、表示部23に問題発生通知に含まれる特定アカウントに関する情報を表示する。ステップS202において第2情報端末装置2の処理部20は、アプリP2に基づき、校長、教頭、主任教員、他の教員、保健スタッフ、又はスクールカウンセラー等のアカウントの区別に応じて、トリガ通知に含まれる情報(アカウント、学年、クラス、児童又は生徒名)等の表示方法を切り替えてもよい。例えば、校長等の管理者向けにはアカウントに対応する生徒名まで表示させるが、他のスタッフには当該クラスのみを表示させる、といった差異を設けてもよい。
【0046】
第2情報端末装置2の処理部20は、トリガ通知に対する詳細レポートの要否の指示を受け付け(ステップS203)、指示を情報処理装置3へ送信する(ステップS204)。ステップS203において処理部20は、表示部23に詳細レポートの要否を受け付けるボタン画像を表示させて受け付けてもよいし、メールの返信にて指示を受け付けてもよい。
【0047】
情報処理装置3の処理部30は、詳細レポートの要否の指示を受信する(ステップS302)。処理部30は、詳細レポートの要否の指示に基づき、関連するアカウントを特定する(ステップS303)。処理部30は、詳細レポートの要否の指示に含まれる、「SOSサイン」の発信元のアカウント及び通知内容に含まれる他の児童又は生徒のアカウントと、関連するクラス又は学年等に属する他の児童又は生徒のアカウントとを特定する。処理部30は、詳細レポートの要否の指示に含まれる関連する児童又は生徒のアカウントと、その所属クラス、学年に属する児童又は生徒のアカウントとを特定する。ステップS301の問題発生通知の受け付けが、解析処理の結果である場合、処理部30は、解析処理において例えば特定のキーワードを使用している児童又は生徒のアカウント、相手の児童又はアカウントを特定する。問題発生を周期やスケジュールに基づいて検索する場合、処理部30は、クラス単位で、そのクラスに属する児童又は生徒のアカウントを特定する。
【0048】
処理部30は、ステップS302で受信した指示において、詳細レポートが要であるか否かを判断する(ステップS304)。詳細レポートが不要である場合(S304:NO)、処理部30は、ステップS301の問題発生通知のログをデータベースに記録し(ステップS305)、処理を終了する。
【0049】
詳細レポートが要である場合(S304:YES)、処理部30は、ステップS303で特定したアカウントを含む複数のアカウントについて、グループウェア提供サーバによって提供されるWebアプリケーション群のデータを抽出する(ステップS306)。
【0050】
処理部30は、抽出したデータに対し、特定のキーワードがメール、チャット、共有データ、又は検索履歴に含まれているか、特定のWebサイトへの閲覧履歴があるか等の条件に基づきデータを抽出する(ステップS307)。
【0051】
ステップS307において処理部30は、特定のキーワードが直接的にメール等に含まれていない場合であっても、問題が検知できるように、言語処理に係るニューラルネットワークを用いた学習済みモデルを利用してもよい。例えば、検知対象とすべきパターンのメール又はチャットのやり取りが入力された場合に、問題として報告すべき度合が高い指標値を出力するように、過去の事例を教師データとして学習されたモデルを利用する。
【0052】
処理部30は、データの抽出結果と、ステップS307における条件とを含むレポートデータを作成し(ステップS308)、対象の児童又は生徒が所属する学校等の組織の第2情報端末装置2へ送信する(ステップS309)。処理部30は、ステップS306-S308の処理を、ステップS308の処理以降の特定期間においても実行するように設定し(ステップS310)、処理を終了する。
【0053】
ステップS308においてレポートデータは、予め設定したフォーマットに基づき自動的に作成されてもよいし、情報処理装置3の管理事業者によって作成されてもよい。この際、情報処理装置3が、抽出したデータを半自動的にレポートデータに組み込むように処理を実行してもよい。
【0054】
第2情報端末装置2において処理部20は、情報処理装置3から送信されるレポートデータを受信して記憶し(ステップS205)、レポートデータに基づくレポート内容を出力して(ステップS206)、処理を終了する。出力方法は、表示部23への表示、印刷媒体への印刷等である。
【0055】
図6の処理は、「SOSサイン」が通知されることをトリガとして開始されるだけでなく、スケジュールの到来によって定期的に又はイベントによって開始されてもよい。情報処理装置3は、学校又は団体等の組織別に、例えば1か月に1度、3か月に1度等の周期到来、あるいは、特定の日時等の設定を受け付けておき、設定された周期又は日時が到来した場合に、スケジュールが到来したと判別し、ログを記録したり、特定のデータを抽出したりしてもよい。
【0056】
以後、情報処理装置3は、問題発生に係るアカウントとして特定したアカウントについて、対象の組織から解除の指示を受けるか、特定期間が経過するまで、Webアプリケーション群801~804のデータからの抽出処理を持続するとよい。これらの設定について、情報処理装置3において記録しておき、設定に基づいてステップS305-S309に亘るログの保存、データ抽出、レポート作成及び送信を実行する。
【0057】
情報処理装置3による処理に基づき、問題検知システム100にて実行可能となるトラブル発生時の対応を説明する。図7は、問題検知システム100に基づく対応の概要図である。図7には、児童又は生徒と、管理事業者と、児童又は生徒が所属する学校、団体等の組織と、グループウェア提供サービスとの四者間でのデータのやり取りが示されている。児童又は生徒は、図7に示すように、第1情報端末装置1を用いて、グループウェア提供サーバ8によって提供されるメール又はチャット、検索等のWebアプリケーション801~804を使用できる。使用による使用履歴やメッセージ履歴が記録装置81に記録される。児童又は生徒がアプリP1を用いて申告(相談)すると、組織の第2情報端末装置2へ通知が届く。情報処理装置3がこれを問題発生通知として受け付ける。組織の「学校代表者」「主任」等の属性を有するアカウントからレポート要の指示が、情報処理装置3へなされると、情報処理装置3は、申告した児童又は生徒のアカウント及び周辺の児童又は生徒のアカウントのメッセージ履歴や検索履歴を抽出し、解析した結果のレポートデータを出力する。これにより、実際に問題となるメッセージ、又は予兆が予測されるメッセージの送受信があったか否か、問題となるようなWebサイトへのアクセスがあったか等の証拠となる記録を、膨大な記録から得ることができる。
【0058】
情報処理装置3は、組織ごとに、どのWebアプリケーション801~804の、どのような内容について、グループウェア提供サーバ8から記録装置81に記録させるか、の設定について受け付ける機能を有する。図8は、第2情報端末装置2にて表示される設定画面230の例を示す図である。第2情報端末装置2は、アプリP2に基づき、例えばいずれのWebサイトをブロックするか、どのようなキーワードを設定するかを複数の段階(図8中では学年別)で受け付けることが可能である。詳細設定も可能である。また、図8の例では、Webアプリケーション801~804毎に、ログをどの程度残すかを選択したり、詳細設定にて、特定のキーワードに関するログを残すなどのフィルタリングを設定したりすることができる。設定ボタン231が選択されると、選択された情報が情報処理装置3にて設定され、記憶部31に記憶される。
【0059】
情報処理装置3は、図8に示した設定画面で受け付けた内容に基づき、グループウェア提供サーバ8で提供されている設定用のWebAPIから、組織に属する児童又は生徒のアカウントに対する設定を反映させる。これにより、学校又は団体等の組織の教員等のスタッフは、グループウェア提供サーバ8によって提供されるサービスそれぞれに対しての知識を有していなくても、組織の運営方針に沿った適切なグループウェアの運用が可能となる。
【0060】
このように、情報処理装置3が、問題発生の通知から、実際に問題のあるやり取り、あるいは問題が疑われるようなやり取りがあったか否かの根拠となる報告データを残すことが可能である。またこの際に、報告データは、情報処理装置3の上述の処理手順によって自動的になされるため、機械的解析によって、人間の主観を極力排除することも期待される。
【0061】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 第1情報端末装置
10 処理部
11 記憶部
P1 アプリケーションプログラム(アプリ)
2 第2情報端末装置
20 処理部
21 記憶部
P2 アプリケーションプログラム(アプリ)
3 情報処理装置
30 処理部
31 記憶部
P3 情報処理プログラム
8 グループウェア提供サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8