(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172171
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両姿勢制御装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/1755 20060101AFI20241205BHJP
B60T 8/26 20060101ALI20241205BHJP
B60W 30/02 20120101ALI20241205BHJP
B60G 17/016 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B60T8/1755 Z
B60T8/26 Z
B60W30/02
B60G17/016
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089721
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇作
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
3D301
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241CC08
3D241CC18
3D241DA39Z
3D241DB05Z
3D241DB32Z
3D246BA02
3D246DA01
3D246EA17
3D246FA04
3D246GB04
3D246GB12
3D246GC14
3D246HA02A
3D246HA48A
3D246HA64A
3D246HA93A
3D246JA12
3D246JB22
3D246JB43
3D246JB51
3D301AA06
3D301AA07
(57)【要約】
【課題】車両に加減速が発生する場合に、当該車両の乗員の頭部の回動を抑制できるようにすること。
【解決手段】車両10の制動装置30は、前輪制動力と後輪制動力との総和のうち、後輪制動力が占める割合である制動力割合を変えることにより、車体の車両上下方向の位置を調整する。制動装置30を制御する制動制御装置50は、車両10の減速時に車体が車両下方に変位するように制動装置30を制御することにより、シートの座面と乗員との接触面圧を低下させる接触面圧低下制御を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の車両の姿勢を調整する車両姿勢制御装置であって、
前記車両の走行中における加減速の発生時に、当該車両の車体の車両上下方向における位置の調整が可能に構成された上下位置調整部と、
前記車両に加減速が発生する場合に、前記車体が車両下方に変位するように前記上下位置調整部を制御することにより、前記車両の乗員が着座するシートの座面と当該乗員との接触面圧を低下させる接触面圧低下制御を実行する制御部と、を備える
車両姿勢制御装置。
【請求項2】
前記車両は、車輪として前輪及び後輪を備えるものであり、
前記上下位置調整部は、
前記車両の走行路面から前記車体への衝撃を緩和するサスペンションと、
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方の車輪に制動力を付与する制動装置と、
前記接触面圧低下制御において、前記車体を車両下方に変位させるべく、前記制動装置により前記車輪に付与する前記制動力の制御により、前記サスペンションによるアンチダイブ力及びアンチリフト力の少なくとも一方を調整する
請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項3】
前記上下位置調整部は、前記前輪に付与する制動力である前輪制動力と、前記後輪に付与する制動力である後輪制動力との総和のうち、前記後輪制動力が占める割合である制動力割合を変えることにより、前記車体の前記車両上下方向における位置を調整するものであり、
前記制御部は、前記接触面圧低下制御において、前記接触面圧低下制御を実行していない場合よりも前記制動力割合を大きくする
請求項2に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両に対する制動要求が発生した場合において、
当該車両の制動力の要求値である制動力要求値が増大しているときには前記接触面圧低下制御を実行し、
前記接触面圧低下制御の実行中に前記制動力要求値が増大しないようになると、前記接触面圧低下制御を終了し、前記制動力割合を徐々に小さくする
請求項3に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項5】
前記上下位置調整部は、
前記車両の前輪及び後輪の各々に上下力を付与するサスペンション装置を有し、
前記車体の前記車両上下方向における位置を、車両下方への前記サスペンション装置の上下力により調整するものである
請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項6】
前記上下位置調整部は、
前記車両の前輪及び後輪の各々に駆動力を付与する駆動装置を有し、
前記前輪に付与する駆動力である前輪駆動力と、前記後輪に付与する駆動力である後輪駆動力との総和のうち、前記後輪駆動力が占める割合である駆動力割合を変えることにより、前記車体の前記車両上下方向における位置を調整するものである
請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両の姿勢を調整する車両姿勢制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の走行状態が減速から停止に切り替わる際に、シートベルトによって乗員の背中をシートバックに押し付けることにより、停車に起因する乗員の姿勢の変化を抑制する運転支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両走行中に乗員の頭部の回動量が大きいと、乗員が乗り物酔いしやすい。
上記した運転支援装置は、車両の減速時における当該車両のピッチ姿勢の変化を抑制するものではない。そのため、当該運転支援装置が適用される車両では、当該車両の減速時におけるピッチ姿勢の変化に起因して乗員の頭部が回動するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両姿勢制御装置は、走行中の車両の姿勢を調整する装置である。当該車両姿勢制御装置は、前記車両の走行中における加減速の発生時に、当該車両の車体の車両上下方向における位置の調整が可能に構成された上下位置調整部と、前記車両に加減速が発生する場合に、前記車体が車両下方に変位するように前記上下位置調整部を制御することにより、前記車両の乗員が着座するシートの座面と当該乗員との接触面圧を低下させる接触面圧低下制御を実行する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
車両に加減速が発生する場合に、当該車両の乗員の頭部の回動を抑制できるようにすること。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、車両姿勢制御装置の一実施形態を備える車両の概略を示す構成図である。
【
図2】
図2は、
図1の車両の制動時における車両の姿勢を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1の車両の制動時において、
図2の場合よりも制動力割合が大きい場合における車両の姿勢を示す模式図である。
【
図4】
図4は、車両制動時における前部ストローク量及び後部ストローク量の推移を示すグラフである。
【
図5】
図5は、
図1の車両が備える制動制御装置で実行される一連の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、車両制動時に接触面圧低下制御が実行された場合のタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、車両制動時に接触面圧低下制御が実行された場合における車両と乗員とを示す模式図である。
【
図8】
図8は、車両制動時に接触面圧低下制御が実行されない比較例における車両と乗員とを示す模式図である。
【
図9】
図9は、変更例の車両姿勢制御装置を備える車両の概略を示す構成図である。
【
図10】
図10は、変更例の車両姿勢制御装置を備える車両の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、車両姿勢制御装置の一実施形態を
図1~
図8に従って説明する。
<車両>
図1及び
図2に示すように、車両10は、制動操作部材11と、複数の車輪と、複数のサスペンション16と、車体15とを備えている。制動操作部材11は、車両10に制動力を付与する際に運転者が操作する部材である。制動操作部材11の一例はブレーキペダルである。複数の車輪は、2つの前輪12と2つの後輪13とを含んでいる。複数のサスペンション16は、対応する車輪と車体15との間にそれぞれ介装されている。これにより、複数のサスペンション16は、車両10の走行路面100から車体15への衝撃を緩和できる。
【0009】
図1に示すように、車両10は、複数の摩擦ブレーキ20と、制動装置30と、制動制御装置50とをさらに備えている。本実施形態では、複数の摩擦ブレーキ20と制動装置30と制動制御装置50とにより、走行中の車両10の姿勢を調整する「車両姿勢制御装置」の一例が構成される。
【0010】
<摩擦ブレーキ>
複数の摩擦ブレーキ20は、対応する車輪に制動力をそれぞれ付与する。摩擦ブレーキ20は、ホイールシリンダ21と回転体22と摩擦部23とを有している。回転体22は車輪と一体に回転するため、摩擦部23を回転体22に押し付けることにより、車輪に制動力が付与される。回転体22に摩擦部23を押し付ける力は、ホイールシリンダ21内の液圧であるホイール液圧が高いほど大きくなる。そのため、摩擦ブレーキ20は、ホイール液圧が高いほど大きい制動力を車輪に付与できる。
【0011】
以降では、前輪12に付与する制動力を「前輪制動力BPf」という。後輪13に付与する制動力を「後輪制動力BPr」という。
<制動装置>
制動装置30は、前輪12及び後輪13の少なくとも一方の車輪に制動力を付与する。本実施形態では、制動装置30は、複数のホイールシリンダ21のホイール液圧を制御することによって、車輪12,13に付与する制動力を制御する。例えば、制動装置30は、複数のホイールシリンダ21にブレーキ液を供給する加圧源を有している。加圧源は、例えば、電動ポンプ及び電動シリンダである。制動装置30は、前輪12用のホイールシリンダ21のホイール液圧を制御することによって前輪制動力BPfを調整する。制動装置30は、後輪13用のホイールシリンダ21のホイール液圧を制御することによって後輪制動力BPrを調整する。
【0012】
以降の記載では、複数の車輪12,13に付与される制動力の総和を、「合計制動力BPAl」ともいう。合計制動力BPAlのうち、後輪制動力BPrが占める割合を「制動力割合RT」という。
【0013】
<車両制動時における車両姿勢について>
図2~
図4を参照し、車両制動時における車両姿勢の変化について説明する。
車両10が減速する場合、減速に起因する慣性力FI1が車両10の車体15に働く。この慣性力FI1は、車両10の減速度、すなわち合計制動力BPAlが大きいほど大きくなる。慣性力FI1は、車両10のピッチ角θpを大きくする力である。そのため、車両10の減速時には、慣性力FI1によって車両10の姿勢がノーズダイブ側に変化する。ノーズダイブとは、車両前部を車両後部よりも車両下方Zaに配置させる車両10の挙動である。車両下方Zaとは、車両10の走行路面100に車体15を接近させる方向である。車両上方Zbは、車両下方Zaの反対方向であって、走行路面100から車体15を離間させる方向である。
【0014】
以降では、車両10で加減速が発生した場合における、車両前部の車両上下方向Zへの移動量を「前部ストローク量STf」というとともに、車両後部の車両上下方向Zへの移動量を「後部ストローク量STr」という。加減速が発生していない場合の車両前部の車両上下方向Zの位置を基準前部位置とする。このとき、車両前部が基準前部位置よりも車両下方Zaに位置する場合には前部ストローク量STfが負の値となる。一方、車両前部が基準前部位置よりも車両上方Zbに位置する場合には前部ストローク量STfが正の値となる。加減速が発生していない場合の車両後部の車両上下方向Zの位置を基準後部位置とする。このとき、車両後部が基準後部位置よりも車両下方Zaに位置する場合には後部ストローク量STrが負の値となる。一方、車両後部が基準後部位置よりも車両上方Zbに位置する場合には後部ストローク量STrが正の値となる。
【0015】
前輪12に前輪制動力BPfが付与されると、車両10には、前輪12用のサスペンション16によるアンチダイブ力が付与される。アンチダイブ力は、車両前部を車両上方Zbに変位させる力である。前輪制動力BPfが大きいほどアンチダイブ力は大きくなる。一方、後輪13に後輪制動力BPrが付与されると、車両10には、後輪13用のサスペンション16によるアンチリフト力が付与される。アンチリフト力は、車両後部を車両下方Zaに変位させる力である。後輪制動力BPrが大きいほどアンチリフト力は大きくなる。
【0016】
図2及び
図3に示す車両10は、アンチリフト力がアンチダイブ力よりも支配的になるように設計されている。具体的には、車両10は、前輪制動力BPfと後輪制動力BPrとが互いに等しい車両制動時にはアンチリフト力がアンチダイブ力よりも大きくなるように設計されている。そのため、車両10の減速度が一定であるという条件下においては、前輪制動力BPfを大きくしても前部ストローク量STfはあまり変化しない一方で、後輪制動力BPrが大きいほど、後部ストローク量STrが小さくなる。
【0017】
図2は、制動力割合RTが通常時割合RTBである場合の車両10の姿勢を示している。
図3は、制動力割合RTがリア優先割合RTAである場合の車両10の姿勢を示している。リア優先割合RTAは通常時割合RTBよりも大きい。通常時割合RTBの一例は、前輪12用のホイールシリンダ21のホイール液圧と後輪13用のホイールシリンダ21のホイール液圧とが互いに等しい場合の制動力割合である。
図4の(A)には、車両制動時における前部ストローク量STfの推移が図示されているとともに、
図4の(B)には、車両制動時における後部ストローク量STrの推移が図示されている。詳しくは、
図4の(A)及び(B)において、実線は制動力割合RTがリア優先割合RTAである場合の前部ストローク量STf及び後部ストローク量STrの推移であり、破線は制動力割合RTが通常時割合RTBである場合の前部ストローク量STf及び後部ストローク量STrの推移である。
図4からも明らかなように、制動力割合RTが異なっていても、前部ストローク量STfの推移はあまり変わらない。これに対し、制動力割合RTが大きいと、後部ストローク量STrが小さくなる。
【0018】
図2及び
図3において、「WB」は車両10のホイールベース長である。「G」は車両10の重心位置であり、「RC」は車両制動時における車体15の回転中心である。前輪間隔Lfは、車両前後方向Xにおける回転中心RCと前輪12の車軸との間隔である。後輪間隔Lrは、車両前後方向Xにおける回転中心RCと後輪13の車軸との間隔である。
【0019】
図2に示すように、制動力割合RTとして通常時割合RTBが設定された状態での車両制動時にあっては、車両10に制動力BPAlが付与される前と比較し、車両10のピッチ角θpが大きくなる。つまり、車両前部にアンチダイブ力が付与されたとしても、慣性力FI1によって車両前部が車両下方Zaに変位する。車両後部にアンチリフト力が付与されたとしても、アンチリフト力が小さいため、慣性力FI1によって車両後部が車両上方Zbに変位する。その結果、
図2に示すように、回転中心RCが、車両前後方向Xにおける前輪12と後輪13との間に位置する。この場合、前輪間隔Lfと後輪間隔Lrとの和がホイールベース長WBと等しくなる。
【0020】
その一方で、
図3に示すように、制動力割合RTとしてリア優先割合RTAが設定された状態での車両制動時にあっては、制動力割合RTとして通常時割合RTBが設定された場合と比較し、車両10のピッチ角θpの増大が抑制される。さらに、車体15が車両下方Zaに変位する。具体的には、制動力割合RTとして通常時割合RTBが設定された場合と比較して、後輪制動力BPrが大きい分、アンチリフト力が大きくなる。そのため、車体15に慣性力FI1が作用しても、アンチリフト力によって車両後部が車両下方Zaに変位する。一方、車両前部にあっては、アンチダイブ力が付与されたとしても、慣性力FI1によって車両前部が車両下方Zaに変位する。ただし、後部ストローク量STrの絶対値は、前部ストローク量STfの絶対値よりも小さい。その結果、
図3に示すように、回転中心RCが、後輪13よりも車両後方Xaに位置する。この場合、前輪間隔Lfと後輪間隔Lrとの差がホイールベース長WBと等しくなる。
【0021】
つまり、車両10にあっては、制動力割合RTが大きいほど、アンチリフト力を大きくできるため、車体15を車両下方Zaに変位させることができる。したがって、本実施形態では、制動装置30及び複数の摩擦ブレーキ20により、車両10の走行中における加減速の発生時に、車体15の車両上下方向Zにおける位置の調整が可能に構成された「上下位置調整部」の一例が構成される。
【0022】
<検出系>
図1に示すように、制動制御装置50には検出系から検出信号が入力される。検出系は複数のセンサを有している。複数のセンサは、ブレーキセンサ101と、前後加速度センサ102と、複数の車輪速センサ103とを含んでいる。
【0023】
ブレーキセンサ101は、運転者による制動操作部材11の操作に関連する情報を検出する。ブレーキセンサ101は、運転者の制動操作部材11の操作量を検出するセンサであってもよいし、運転者の制動操作部材11の操作力を検出するセンサであってもよい。
【0024】
前後加速度センサ102は、車両10に作用する加速度のうち、車両前後方向Xの加速度を検出する。前後加速度センサ102の検出信号に基づいた車両前後方向Xの加速度を「前後加速度Gx」という。
【0025】
車輪速センサ103は、複数の車輪の各々に対して設けられている。複数の車輪速センサ103は、対応する車輪の回転速度をそれぞれ検出する。車輪速センサ103は、車輪の回転速度に応じた検出信号を出力する。車輪速センサ103の検出信号に基づいた車輪の回転速度を「車輪速度VW」という。
【0026】
<制動制御装置>
制動制御装置50は処理回路51を備えている。処理回路51の一例は電子制御装置である。この場合、処理回路51はCPU52及びメモリ53を有している。メモリ53は、CPU52によって実行される制御プログラムを記憶している。CPU52が当該制御プログラムを実行することにより、処理回路51は、制動装置30を制御して複数の摩擦ブレーキ20を作動させる。すなわち、処理回路51は、複数の摩擦ブレーキ20を作動させることによって、車両10に付与する制動力である合計制動力BPAlを調整できる。
【0027】
<機能部>
処理回路51は、CPU52が制御プログラムを実行することにより、要求制動力導出部M11と制御部M13として機能する。
【0028】
要求制動力導出部M11は、車両10に対する制動要求が発生した場合に、合計制動力BPAlの要求値である要求合計制動力BPRqを導出する。要求合計制動力BPRqが「制動力要求値」に対応する。例えば制動操作部材11が操作されている場合、要求制動力導出部M11は、ブレーキセンサ101の検出信号に基づいた値を要求合計制動力BPRqとして導出する。また例えば制動制御装置50以外の他の制御装置から車両10の減速が要求された場合、要求制動力導出部M11は、他の制動装置からの減速度の要求値に応じた値を要求合計制動力BPRqとして導出する。
【0029】
制御部M13は、車両制動時に、車体15が車両下方Zaに変位するように制動装置30を制御する接触面圧低下制御を実行する。本実施形態では、制御部M13は、接触面圧低下制御において、制動力割合RTとしてリア優先割合RTAを設定する。例えば、制御部M13は、要求合計制動力BPRqが増大しているときに接触面圧低下制御を実行する。つまり、制御部M13は、要求合計制動力BPRqが増大している場合に、制動力割合RTがリア優先割合RTAとなるように制動装置30を制御する。接触面圧低下制御の実行中に要求合計制動力BPRqが増大しないようになると、制御部M13は接触面圧低下制御を終了する。接触面圧低下制御の終了後において、制御部M13は、制動力割合RTが徐々に小さくなるように制動装置30を制御する。具体的には、制御部M13は、制動力割合RTが通常時割合RTBに向けて徐々に小さくなるように制動装置30を制御する。制動力割合RTが通常時割合RTBに達すると、制御部M13は、制動力割合RTが保持されるように制動装置30を制御する。
【0030】
制動力割合RTを変更すると、アンチダイブ力とアンチリフト力との大きさの関係が変わるため、車両10の姿勢が変化する。つまり、合計制動力BPAlが保持されている状況下で制動力割合RTが急に変化すると、車両10の姿勢の変化速度が大きくなるため、車両10の乗員が違和感を覚える可能性がある。その一方で、合計制動力BPAlが保持されている状況下で制動力割合RTが緩やかに変化する場合では、車両10の姿勢が緩やかに変化するため、乗員が違和感を覚えにくい。接触面圧低下制御の終了後において制動力割合RTを徐々に小さくするとは、制動力割合RTの変更に起因する車両10の姿勢の変化に対する違和感を乗員に与えない程度の速度で制動力割合RTを変化させることである。
【0031】
<制動力割合調整処理>
図5を参照し、車両制動時に処理回路51が実行する一連の処理である制動力割合調整処理を説明する。CPU52がメモリ53の制御プログラムを実行することにより、処理回路51は所定の制御サイクル毎に制動力割合調整処理を繰り返し実行する。
【0032】
ステップS11において、処理回路51は、車両10に対して制動要求があるか否かを判定する。例えばブレーキセンサ101の検出信号に基づいて制動操作部材11が操作されていることを検知した場合には、制動要求があると見なす。また例えば他の制御装置から車両10の減速が要求されている場合には、制動要求があると見なす。処理回路51は、制動要求があると判定した場合(S11:YES)、処理をステップS13に移行する。一方、処理回路51は、制動要求がないと判定した場合(S11:NO)、制動力割合調整処理を一旦終了する。
【0033】
ステップS13において、処理回路51は、要求制動力導出部M11として機能することにより、要求合計制動力BPRqを導出する。
続くステップS15において、処理回路51は、要求合計制動力BPRqが増大中であるか否かを判定する。例えば要求合計制動力BPRqの最新値が要求合計制動力BPRqの前回値よりも大きい場合は、要求合計制動力BPRqが増大中であると見なす。この場合、要求合計制動力BPRqの最新値が要求合計制動力BPRqの前回値以下である場合は、要求合計制動力BPRqが増大中ではないと見なす。要求合計制動力BPRqの前回値とは、前回の制御サイクルで制動力割合調整処理が実行された際に導出された要求合計制動力BPRqである。処理回路51は、要求合計制動力BPRqが増大中であると判定した場合(S15:YES)、処理をステップS17に移行する。一方、処理回路51は、要求合計制動力BPRqが増大中ではないと判定した場合(S15:NO)、処理をステップS21に移行する。
【0034】
ステップS17において、処理回路51は、制御部M13として機能することにより、制動力割合RTの指示値である指示制動力割合RTTrを設定する。具体的には、処理回路51は、指示制動力割合RTTrとしてリア優先割合RTAを設定する。続くステップS19において、処理回路51は、制御部M13として機能することにより、制動装置30を制御する。具体的には、処理回路51は、合計制動力BPAlが要求合計制動力BPRqと等しくなること、及び、制動力割合RTが指示制動力割合RTTr(=RTA)と等しくなることの何れをも満たすように、制動装置30を制御する。つまり、本実施形態では、ステップS17及びステップS19が、「接触面圧低下制御」に対応する。その後、処理回路51は制動力割合調整処理を一旦終了する。
【0035】
ステップS21において、処理回路51は、制御部M13として機能することにより、指示制動力割合RTTrから所定量ΔRTを引いた値を、指示制動力割合RTTrの仮値RTTr1として導出する。所定量ΔRTは、リア優先割合RTAから通常時割合RTBへの制動力割合RTの減少速度を規定するための値である。続くステップS23において、処理回路51は、制御部M13として機能することにより、仮値RTTr1と通常時割合RTBとのうちの大きい方を指示制動力割合RTTrとして設定する。処理回路51は、指示制動力割合RTTrを設定すると、処理をステップS19に移行する。ステップS19において、処理回路51は、制御部M13として機能することにより、制動装置30を制御する。具体的には、処理回路51は、合計制動力BPAlが要求合計制動力BPRqと等しくなること、及び、制動力割合RTが指示制動力割合RTTrと等しくなることの何れをも満たすように、制動装置30を制御する。その後、処理回路51は制動力割合調整処理を一旦終了する。
【0036】
<作用及び効果>
図6~
図8を参照し、車両制動時における作用及び効果について説明する。
図6に示すように、車両10が走行しているタイミングt11で車両10に加減速が発生する。
図6に示す例では、
図6の(A)に示すように車両10への制動力の付与が開始される。これにより、
図6の(B)に示すように車両10が減速し始めるため、前後加速度Gxの絶対値が大きくなる。タイミングt11からタイミングt12までの期間では、要求合計制動力BPRqが大きくなるため、前後加速度Gxの絶対値が徐々に大きくなる。
【0037】
本実施形態では、タイミングt11から接触面圧低下制御が開始される。すなわち、指示制動力割合RTTrとしてリア優先割合RTAが設定される。そして、当該指示制動力割合RTTrに基づいて制動装置30が作動する。そのため、
図6の(D)に示すように、前輪制動力BPf及び後輪制動力BPrの何れもが増大される。この場合、指示制動力割合RTTrとして通常時割合RTBが設定される場合と比較して、後輪制動力BPrが大きくなるため、車両後部に作用するアンチリフト力が大きくなる。すなわち、接触面圧低下制御が実行されると、車体15を車両下方Zaに変位させるべく、制動装置30による前輪制動力BPf及び後輪制動力BPrの制御により、アンチダイブ力及びアンチリフト力が調整される。その結果、
図6の(E)及び(F)に示すように、前部ストローク量STf及び後部ストローク量STrの何れもが負の値を示す。すなわち、車体15が車両下方Zaに変位するとともに、
図3に示したように車体15の回転中心RCが、後輪13よりも車両後方Xaに設定される。これにより、回転中心RCが、車両前後方向Xにおける後輪13と前輪12との間に設定される場合と比較し、車両10のピッチ角θpが大きくなることが抑制される。
【0038】
図7には、接触面圧低下制御が実行されている場合の模式図が図示されている。接触面圧低下制御が実行されると、
図7の(A)に示すように、前部ストローク量STf及び後部ストローク量STrの何れもが負の値となる。そのため、車体15が車両下方Zaに変位する。すると、
図7の(B)において矢印D1に示すように、車両10の乗員60が着座するシート17は、車体15とともに車両下方Zaに変位する。この際、乗員60には、車両上方Zbへの慣性力FI2が働く。そのため、シート17の座面17aが車両下方Zaに変位することにより、座面17aと乗員60との接触面圧が低下する。
【0039】
ここで、
図8を参照し、接触面圧低下制御が実行されない比較例について説明する。比較例では、
図8の(A)に示すように、車両10の減速時には、車体15が車両下方Zaに変位しないとともに、車両10のピッチ角θpが大きくなる。その結果、
図8の(B)において矢印D2に示すようにピッチ角θpの増大に伴ってシート17が車両上方Zbに変位する。さらに、乗員60には、車両下方Zaへの慣性力FI3が働く。そのため、座面17aと乗員60との接触面圧が上昇する。つまり、乗員60と座面17aとの間で発生する静止摩擦力が大きくなる。よって、車両10の減速に起因する車両前方Xbへの慣性力FI1が乗員60に働くと、
図8の(B)において矢印D3で示すように、乗員60と座面17aとの接触点P1を中心とした乗員60の頭部61の回動量が比較的大きくなる。
【0040】
これに対し、本実施形態では、接触面圧低下制御が実行されることにより、座面17aと乗員60との接触面圧が低下する。つまり、乗員60と座面17aとの間で発生する静止摩擦力が小さくなる。そのため、車両10の減速に起因する車両前方Xbへの慣性力FI1が乗員60に働くと、
図7の(B)において矢印D4及び矢印D5で示すように、乗員60の頭部61、及び、乗員60における座面17aとの接触部分が車両前方Xbに変位する。すなわち、乗員60全体が車両前方Xbに移動する。これにより、接触面圧低下制御が実行されない場合と比較して乗員60の頭部61の回動が抑制される。したがって、制動制御装置50は、車両10の減速時において、乗員60の頭部61の回動を抑制できる。つまり、制動制御装置50は、車両制動に起因して乗員60が乗り物酔いすることを抑制できる。
【0041】
図6に戻り、タイミングt12以降では要求合計制動力BPRqが保持されるため、接触面圧低下制御が終了される。すると、
図6の(C)に示すように、指示制動力割合RTTrが通常時割合RTBに向けて徐々に小さくなる。これにより、要求合計制動力BPRqが保持されているにも拘わらず、後輪制動力BPrが減少される一方で、前輪制動力BPfが増大される。その結果、
図6の(F)に示すように後部ストローク量STrが徐々に大きくなる。その後のタイミングt13で指示制動力割合RTTrが通常時割合RTBに達すると、それ以降では、指示制動力割合RTTrが通常時割合RTBで保持される。
【0042】
タイミングt12以降でも指示制動力割合RTTrとしてリア優先割合RTAで保持する場合を考える。制動力割合RTが大きいほど後輪制動力BPrが大きい。後輪制動力BPrが大きいほど、後輪13の減速スリップが大きくなりやすいため、車両制動時における車両挙動の安定性が低下しやすい。この点、本実施形態では、要求合計制動力BPRqが増大されなくなると、制動力割合RTが減少される。つまり、後輪制動力BPrが減少される。そのため、車両制動時に車両挙動の安定性の低下が抑制される。
【0043】
なお、接触面圧低下制御の実行によってシート17の座面17aと乗員60との接触面圧を低下させる効果は一時的なものである。そのため、接触面圧を低下させる効果が小さくなった以降では、制動力割合RTを小さくすることにより、車両制動に伴う車両挙動の安定性の低下が抑制される。したがって、制動制御装置50は、車両制動時において、乗員60の乗り物酔いの発生を抑制しつつ、車両挙動の安定性の低下を抑制できる。
【0044】
本実施形態では、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(1)制動力割合RTがリア優先割合RTAから通常時割合RTBに変わると、アンチリフト力が小さくなるため、車両10のピッチ角θpが大きくなる。この点、本実施形態では、接触面圧低下制御が終了されると、指示制動力割合RTTrが通常時割合RTBに向けて徐々に変更される。これにより、接触面圧低下制御の終了に起因して車両10のピッチ角θpが急に大きくなることを抑制できる。
【0045】
(2)本実施形態では、接触面圧低下制御において、制動力割合RTを制御することにより、車体15の車両上下方向Zの位置が変位される。すなわち、車体15の車両上下方向Zの位置を可変させるための専用のアクチュエータを車両10に設けなくてもよい。
【0046】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・接触面圧低下制御の実行に伴う車両挙動の安定性の低下が許容範囲に収まるのであれば、要求合計制動力BPRqが増大されなくなった以降でも接触面圧低下制御を継続してもよい。
【0048】
・処理回路51は、制動要求の発生時点から所定時間が経過するまで接触面圧低下制御を実行し、所定時間が経過した以降では接触面圧低下制御を終了するようにしてもよい。
・処理回路51は、接触面圧低下制御を終了して制動力割合RTを徐々に小さくする場合、制動力割合RTの変化速度を、車両10のピッチ挙動の変化態様や車両10の減速度などに応じて可変させてもよい。
【0049】
・制動装置は、前輪12及び後輪13のうち、一方の車輪のみに制動力を付与するものであってもよい。制動装置によって制動力が付与される車輪を「対象車輪」という。この場合、接触面圧低下制御が実行されると、車体15を車両下方Zaに変位させるべく、制動装置による対象車輪に付与する制動力の制御により、アンチダイブ力及びアンチリフト力の少なくとも一方が調整される。
【0050】
・上下位置調整部は、車両10の加減速の発生時に車体15の車両上下方向Zの位置を調整できるのであれば、制動力割合RTを可変させるものでなくてもよい。例えば、上下位置調整部は、アクティブサスペンションを備えた構成であってもよい。また例えば、上下位置調整部は、前輪12及び後輪13の各々に駆動力を付与する駆動装置を備えた構成であってもよい。
【0051】
図9は、アクティブサスペンション16Aを備えた車両の一例を示している。前輪12用のアクティブサスペンション16Aが、前輪12に上下力を付与する一方、後輪13用のアクティブサスペンション16Aが、後輪13に上下力を付与する。
図9に示す変更例では、前輪12用のアクティブサスペンション16A及び後輪13用のアクティブサスペンション16Aにより、「サスペンション装置」の一例が構成される。上下力とは、車体15を走行路面100に接近させたり、車体15を走行路面100から離間させたりすべく、サスペンション装置が車体15に付与する力である。この場合、前輪12用のアクティブサスペンション16Aが車両前部に付与する上下力、及び、後輪13用のアクティブサスペンション16Aが車両後部に付与する上下力の少なくとも一方により、車体15の車両上下方向Zにおける位置が調整される。
【0052】
車両は、複数のアクティブサスペンション16Aを制御するサスペンション制御装置70を備えている。サスペンション制御装置70は処理回路71を備えている。処理回路71の一例は電子制御装置である。当該変更例では、処理回路71が、接触面圧低下制御を実行する制御部として機能する。例えば、処理回路71は、車両の減速時には、後輪13用のアクティブサスペンション16Aによって車両後部を車両下方Zaに変位させることにより、車体15の車両上下方向Zの位置を調整する。また例えば、処理回路71は、車両の加速時には、前輪12用のアクティブサスペンション16Aによって車両前部を車両下方Zaに変位させることによって車体15の車両上下方向Zの位置を調整する。つまり、複数のアクティブサスペンション16A及びサスペンション制御装置70により、「車両姿勢制御装置」の一例が構成される。
【0053】
図10は、上下位置調整部として機能する駆動装置80を備えた車両の一例を示している。駆動装置80は、前輪12用の駆動装置81と、後輪13用の駆動装置82とを有している。駆動装置81が前輪12に付与する駆動力を前輪駆動力というとともに、駆動装置82が後輪13に付与する駆動力を後輪駆動力という。この場合、上下位置調整部は、前輪駆動力と後輪駆動力との総和のうち、後輪駆動力が占める割合である駆動力割合を変えることにより、車体15の車両上下方向Zにおける位置を調整できる。
【0054】
車両は、駆動装置80を備える駆動力制御装置85を備えている。駆動装置80は処理回路86を備えている。処理回路86の一例は電子制御装置である。当該変更例では、処理回路86が、接触面圧低下制御を実行する制御部として機能する。例えば、処理回路86は、車両の加速時には、駆動力割合を小さくして前輪駆動力を大きくすることにより、車両前部を車両下方Zaに変位させる。前輪駆動力が大きくなると、車両前部を車両下方Zaに変位させる力が大きくなるため、車両前部が車両下方Zaに変位する。したがって、車両の加速時において、車体15の車両上下方向Zの位置を調整できる。つまり、駆動装置80及び駆動力制御装置85により、「車両姿勢制御装置」の一例が構成される。
【0055】
・処理回路51は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0056】
<他の技術的思想>
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[付記1]車両の前輪に付与する制動力である前輪制動力と、前記車両の後輪に付与する制動力である後輪制動力とを調整する制動装置と、
前記車両に制動力が付与される場合に、前記前輪制動力と前記後輪制動力との総和のうち、前記後輪制動力が占める割合である制動力割合が第1割合となるように前記制動装置を制御し、その後に前記制動力割合が、前記第1割合よりも小さい第2割合に向けて小さくなるように前記制動装置を制御する制御部と、を備える、車両制御装置。
【0057】
[付記2]車両の前輪に付与する駆動力である前輪駆動力と、前記車両の後輪に付与する駆動力である後輪駆動力とを調整する駆動装置と、
前記車両に駆動力が付与される場合に、前記前輪駆動力と前記後輪駆動力との総和のうち、前記後輪駆動力が占める割合である駆動力割合が第1割合となるように前記駆動装置を制御し、その後に前記駆動力割合が、前記第1割合よりも大きい第2割合に向けて大きくなるように前記駆動装置を制御する制御部と、を備える、車両制御装置。
【符号の説明】
【0058】
10…車両
12…前輪
13…後輪
15…車体
16…サスペンション
16A…アクティブサスペンション(車両姿勢制御装置、上下位置調整部及びサスペンション装置の一例を構成)
17…シート
17a…座面
20…摩擦ブレーキ(車両姿勢制御装置及び上下位置調整部の一例を構成)
30…制動装置(車両姿勢制御装置及び上下位置調整部の一例を構成)
50…制動制御装置(車両姿勢制御装置の一例を構成)
51,71,86…処理回路
60…乗員
61…頭部
70…サスペンション制御装置(車両姿勢制御装置の一例を構成)
80…駆動装置(車両姿勢制御装置及び上下位置調整部の一例を構成)
81,82…駆動装置
85…駆動力制御装置(車両姿勢制御装置の一例を構成)
100…走行路面
M13…制御部