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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172176
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】除湿機及び除湿システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20241205BHJP
   D06F 58/10 20060101ALI20241205BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20241205BHJP
【FI】
F24F11/36
D06F58/10 Z
F24F11/86
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089727
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】露木 元
(72)【発明者】
【氏名】明里 好孝
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直毅
【テーマコード(参考)】
3B168
3L260
【Fターム(参考)】
3B168AB32
3B168AE05
3B168AE07
3B168AE12
3B168BA43
3B168BA82
3B168JM03
3L260AB13
3L260BA52
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA50
3L260FB02
3L260FB72
3L260JA15
3L260JA18
(57)【要約】
【課題】電流検知、温度検知、冷媒漏洩センサ等の従来からある冷媒漏洩検知方法を用いることなく冷媒漏洩を検知することのできる除湿機及び除湿システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る除湿機は、筐体と、筐体内に設けられ、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を膨張させる膨張器、及び、冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路と、空気を筐体内に取り込む送風機と、蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、除湿量取得手段で取得した情報に基づいて冷媒回路の冷媒漏洩を検知する制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、冷媒を圧縮する圧縮機、前記冷媒を凝縮させる凝縮器、前記冷媒を膨張させる膨張器、及び、前記冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路と、
空気を前記筐体内に取り込む送風機と、
前記蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、
前記除湿量取得手段で取得した情報に基づいて前記冷媒回路の冷媒漏洩を検知する制御装置と、
を備える除湿機。
【請求項2】
前記除湿量取得手段は、重量を検知する重量センサを含む請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記筐体内に取り込む空気の温度を取得する温度センサと、
前記筐体内に取り込む空気の湿度を取得する湿度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサで取得した温度と、前記湿度センサで取得した湿度と、
前記除湿量取得手段で取得した情報と、に基づいて前記冷媒回路の冷媒漏洩を検知する請求項1または請求項2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記除湿量取得手段は、重量を検知する重量センサを含み、
前記筐体内に取り込む空気の温度を取得する温度センサと、
前記筐体内に取り込む空気の湿度を取得する湿度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサで取得した温度と、前記湿度センサで取得した湿度とを用いて、除湿量の目標値を算出し、前記重量センサが検知する重量から計算される除湿量が前記目標値よりも少ない場合に前記冷媒が漏洩していると判断する請求項1に記載の除湿機。
【請求項5】
冷媒漏洩を検知した時に、前記圧縮機を停止し、前記送風機を動作させる請求項1、請求項2、請求項4のいずれか一項に記載の除湿機。
【請求項6】
冷媒漏洩を検知した時に、運転を停止し、冷媒漏洩を表す報知をする請求項1、請求項2、請求項4のいずれか一項に記載の除湿機。
【請求項7】
前記除湿量取得手段は、水位を検知する水位センサを含む請求項1または請求項2に記載の除湿機。
【請求項8】
前記除湿量取得手段は、水位を検知する水位センサを含み、
前記筐体内に取り込む空気の温度を取得する温度センサと、
前記筐体内に取り込む空気の湿度を取得する湿度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサで取得した温度と、前記湿度センサで取得した湿度とを用いて、除湿量の目標値を算出し、前記水位センサが検知する水位から計算される除湿量が前記目標値よりも少ない場合に冷媒が漏洩していると判断する請求項1に記載の除湿機。
【請求項9】
冷媒を圧縮する圧縮機、前記冷媒を凝縮させる凝縮器、前記冷媒を膨張させる膨張器、前記冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路を備えた除湿機と、
前記蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、
前記除湿量取得手段で取得した情報を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報に基づいて前記除湿機の冷媒漏洩を判定する冷媒漏洩判定手段と、
を備える除湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、除湿機及び除湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
低GWP冷媒の中には可燃性のものがある。下記特許文献1には、冷凍サイクルの運転電流を検出する電流検出器と、圧縮機の運転を制御する制御回路と、この制御回路に設けられ、家電機器設置室内が爆発等の危険を生じる可能性を有す一定以上の漏洩速度を持つ可燃性冷媒の漏洩を、検出した時間当たりの運転電流減少量を実験等から得られた基準値と比較することにより検知する冷媒漏洩検知手段とを備えた家電機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-5548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、例えば電流値の絶対値が小さい機種では、減少幅の絶対値も小さく、検知精度が低いという課題がある。また、冷媒漏洩センサにて検知する方式を採用しているものもあるが、冷媒漏洩検知センサは高値となるためコストアップにつながるという課題がある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、電流検知、温度検知、冷媒漏洩センサ等の従来からある冷媒漏洩検知方法を用いることなく冷媒漏洩を検知することのできる除湿機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る除湿機は、筐体と、筐体内に設けられ、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を膨張させる膨張器、及び、冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路と、空気を筐体内に取り込む送風機と、蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、除湿量取得手段で取得した情報に基づいて冷媒回路の冷媒漏洩を検知する制御装置と、を備えたものである。
また、本開示に係る除湿システムは、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を膨張させる膨張器、冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路を備えた除湿機と、蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、除湿量取得手段で取得した情報を送信する送信手段と、送信手段から送信された情報に基づいて除湿機の冷媒漏洩を判定する冷媒漏洩判定手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電流検知、温度検知、冷媒漏洩センサ等の従来からある冷媒漏洩検知方法を用いることなく冷媒漏洩を検知することのできる除湿機及び除湿システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の除湿機の断面図である。
図2】実施の形態1の冷媒回路を模式的に示す図である。
図3】実施の形態1の実施の形態1に係る除湿機の機能ブロック図である。
図4】実施の形態1における正常時の除湿した水の重量の時間変化を模式的に示す図である。
図5】実施の形態1における冷媒が漏洩した時の除湿した水の重量の時間変化を模式的に示す図である。
図6】実施の形態1における制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
図7】実施の形態2における除湿システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。以下に示す実施の形態に示した構成は、本開示に係る技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る除湿機を示す断面側面図である。本実施の形態の除湿機は、衣類乾燥モードを備える。図1の紙面左側は除湿機100の「前方」であるものとし、図1の紙面右側は除湿機100の「後方」であるものとする。図2は、実施の形態1に係る除湿機100が備える冷媒回路を示す模式的に示す図である。図3は、実施の形態1に係る除湿機100の機能ブロック図である。
【0011】
図1に示すように、吐出口4は、筐体1の上部に形成される。空気を筐体1内に取り込む送風機5は、筐体1の前後方向において筐体1の中央部に設けられる。例えば、送風機5は、送風ファンとモータとを備える。送風機5の回転軸は、筐体1の中央部において除湿機100の前後方向軸と平行である。送風機5の回転軸は、水平方向に向けられている。図1では図示しないが、湿度センサ12が筐体1の下部における筐体1の片方の側面に設けられる。湿度センサ12は、筐体1内に取り込まれる空気の湿度を検知する。図1では図示しないが、温度センサ13が筐体1の下部における筐体1の片方の側面に備えている。温度センサ13は、筐体1内に取り込まれる空気の温度を検知する。
【0012】
筐体1は、表示操作装置7と貯水タンク8とを備える。表示操作装置7は、筐体1の上部に設けられる。図1では図示しないが、表示操作装置7は、操作部及び表示部を備える。貯水タンク8は、筐体1の下部に設けられている。貯水タンク8は、除湿機100から取り外すことができる。
【0013】
筐体1は、後方に吸込口9を備える。吸込口9は、筐体1の上部に設けられる。
【0014】
除湿機100は、制御装置10を備えている。制御装置10は、筐体1内の前方に設けられる。制御装置10は、表示操作装置7の操作部の操作状態と湿度センサ12に検出された湿度とに基づいて送風機5の動作を制御する。送風機5のモータは、制御装置10による制御に応じた回転数で回転する。その結果、室内の空気Aは、吸込口9から水平方向に筐体の内部に吸い込まれる。その後、空気Aは、蒸発器31及び凝縮器33を通過する。その後、送風機5は、吐出口4から上方に向けて空気Bを室内へ吐き出す。
【0015】
制御装置10は、表示操作装置7の操作部の操作状態と、湿度センサ12にて検出された湿度とに基づいて圧縮機32の動作を制御する。圧縮機32は、制御装置10による制御で指定された周波数で冷媒を圧縮する。凝縮器33は、圧縮機32が圧縮した冷媒を冷却する。減圧装置34は、凝縮器33が冷却した冷媒を減圧する。減圧装置34は、冷媒を膨張させる膨張器に相当する。蒸発器31は、減圧装置34が減圧した冷媒への吸熱を行うことで空気Aに含まれる水分を除去する。その結果、除湿された空気Bが生成される。空気Aから除去された水分は、貯水タンク8に貯められる。重量計14は貯水タンク8の重量を測定する重量センサに相当する。
【0016】
除湿機100は、除湿手段を備える。除湿手段とは、空気中の水分を除去するためのものである。除湿手段は、冷媒回路によって構成される。冷媒回路とは、冷媒が循環する回路である。図2に示すように、本実施の形態の冷媒回路は、蒸発器31、圧縮機32、凝縮器33及び減圧装置34によって形成される。
【0017】
蒸発器31、圧縮機32、凝縮器33及び減圧装置34には、冷媒が流れる。蒸発器31、圧縮機32、凝縮器33及び減圧装置34は、冷媒が流れる配管を介し、環状に接続される。
【0018】
蒸発器31と凝縮器33は、冷媒と空気との間での熱交換を行うための熱交換器である。圧縮機32は、冷媒を圧縮させる装置である。減圧装置34は、冷媒を減圧させる装置である。減圧装置34は、例えば、膨張弁またはキャピラリーチューブ等である。
【0019】
蒸発器31、圧縮機32、凝縮器33及び減圧装置34は、それぞれ、冷媒の入口及び出口を有している。
【0020】
蒸発器31の出口は、圧縮機32の入口に接続される。圧縮機32には、蒸発器31を通過した冷媒が流入する。圧縮機32は、当該圧縮機32に流入した冷媒を圧縮する。圧縮機32によって圧縮された冷媒は、高温高圧の気体状となって当該圧縮機32の出口から流出する。
【0021】
圧縮機32の出口は、凝縮器33の入口に接続される。凝縮器33には、圧縮機32によって圧縮された冷媒が流入する。凝縮器33によって放熱された冷媒は高圧の液体状となって当該凝縮器33の出口から流出する。
【0022】
凝縮器33の出口は、減圧装置34の入口に接続される。減圧装置34には、凝縮器33を通過した冷媒が流入する。減圧装置34は、当該減圧装置34に流入した冷媒を減圧させる。減圧装置34によって減圧した冷媒は、膨張して低温低圧の気液二相状態となって当該減圧装置34の出口から流出する。
【0023】
減圧装置34の出口は、蒸発器31の入口に接続される。蒸発器31には、減圧装置34によって減圧した冷媒が流入する。蒸発器31によって吸熱された冷媒は低圧の気体状となって当該蒸発器31の出口から流出する。
【0024】
本実施の形態において冷媒は、蒸発器31、圧縮機32、凝縮器33及び減圧装置34を順に通過する。減圧装置34を通過した冷媒は、再び蒸発器31を流れる。本実施の形態において冷媒は、このように冷媒回路を循環する。
【0025】
除湿機100は、蒸発器31を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、除湿量取得手段で取得した情報に基づいて冷媒回路の冷媒漏洩を検知する制御装置10とを備える。本実施の形態における除湿量取得手段は、重量計14を含む。本開示に係る除湿機100によれば、除湿した水の量を重量計14により測定することで、除湿機100が異常なく除湿をしているか判断することが可能であり、主たる異常である冷媒漏洩を検知することが可能である。本実施の形態であれば、高価な冷媒漏洩センサを用いないので、低コスト化が図れる。
【0026】
除湿した水の量を測定する方法として、貯水タンク8の重量を測定してもよいし、除湿機100全体の重量を測定してもよい。本実施の形態であれば、重量を検知する重量センサを用いたことで、除湿した水の量を安価かつ高精度に測定することができる。
【0027】
図4及び図5は、実施の形態1における重量計14の測定結果を模式的に時系列で示した図である。図4は、正常時における除湿した水の重量の時間変化を模式的に示す図である。図5は、冷媒が漏洩した時の除湿した水の重量の時間変化を模式的に示す図である。
【0028】
重量目標値Wは、定格除湿能力[L/d]と湿度センサ12より取得した湿度[%]と温度センサ13より取得した室温[℃]より決定され、定期的に更新される。
【0029】
除湿運転が開始されてからT[s]経過後に、水の重量Wを測定して定格除湿能力[L/d]と湿度センサ12より取得した湿度[%]と温度センサ13より取得した室温[℃]から水の重量増加速度W[g/s]を決定する。
重量目標値と重量増加速度は、定格除湿能力に基づき決定される。例えば、湿度センサ12が取得する湿度と温度センサ13が取得する温度により除湿能力を補正するテーブルを用意して、温度と湿度から重量目標値と重量増加速度を補正して決定するようにしてもよい。
【0030】
上記結果から、水の重量目標値Wを次式により算出する。ここでT[s]は除湿運転を開始してからの経過時間である。
=W+W×(T-T) ・・・(1)
【0031】
湿度センサ12より取得した湿度[%]もしくは温度センサ13より取得した室温[℃]が一定量変化した時間を変化点とすると、変化点では以下の数値に更新する。
:除湿運転開始から変化点までの経過時間[s]
:重量計14より取得した変化点での水重量[g]
:湿度センサ12より取得した湿度[%]と温度センサ13より取得した室温[℃]から再計算
【0032】
重量計14より取得する現在の水重量Wが次式を満たすとき、冷媒が漏洩している可能性があるとして、制御装置10は、通常の運転から冷媒漏洩時の運転に切り替わる。
-α>W ・・・(2)
【0033】
ここで、αは個体差による水の重量増加速度Wのばらつきを考慮したり、誤検知を防止することを考慮して決定される尤度である。
【0034】
(W-α)は、除湿量の目標値に相当する。式(2)が成り立つことは、貯水タンク8の重量から計算される実際の除湿量が目標値よりも少ないことに相当する。したがって、式(2)により、冷媒が漏洩しているかどうかを判定することができる。
【0035】
上述したように、本実施の形態では、制御装置10は、温度センサ13で取得した温度と、湿度センサ12で取得した湿度と、除湿量取得手段で取得した情報と、に基づいて冷媒回路の冷媒漏洩を検知する。これにより、簡単な構成で精度良く冷媒漏洩を検知することが可能となる。
【0036】
また、制御装置10は、温度センサ13で取得した温度と、湿度センサ12で取得した湿度とを用いて、除湿量の目標値を算出し、重量計14が検知する重量から計算される除湿量が目標値よりも少ない場合に冷媒が漏洩していると判断する。これにより、簡単な構成で精度良く冷媒漏洩を検知することが可能となる。
【0037】
冷媒漏洩時の運転として、圧縮機32を停止し、送風機5のみを運転しても良い。この運転により、漏洩した冷媒を拡散することができ、冷媒の濃度を下げることができる。冷媒の濃度を下げることで、発火の危険性を低減することができる。
【0038】
冷媒漏洩時の運転として、圧縮機32及び送風機5の運転を停止して、冷媒漏洩を表す報知をしてもよい。冷媒漏洩を表す報知は、エラー表示でもよいし、音声による報知でも良い。冷媒漏洩を表す報知により、ユーザーは除湿機100本体の異常を認知することができ、修理を依頼するなど適切な対応をすることが可能となる。冷媒漏洩時の報知について、ネットワークに繋がっている除湿機100の場合、除湿機100が冷媒漏洩を検知した時に、ユーザが所持する通信端末あるいは外部サーバに冷媒漏洩を検知した旨の情報を送信するようにしてもよい。これと合わせて除湿機100本体での報知(エラー表示など)も行ってもよい。除湿機100の使い方として連続除湿(旅行で長期不在の間に室内を除湿、別荘の除湿など)があり、除湿機100の本体で報知してもユーザがその場にいないことがある。上記のようにすることで、ユーザが除湿機100の近くにいない場合にも冷媒漏洩をすぐにユーザあるいは管理者へ知らせることができる。
【0039】
本実施の形態では、除湿した水の量を重量計14によって検知する構成としたが、除湿量取得手段は、重量センサを備える構成に限定されない。変形例として、除湿した水の量を検知する構成として貯水タンク8の水位を検知する水位センサを除湿量取得手段が有していても良い。この場合、制御装置10は、温度センサ13で取得した温度と、湿度センサ12で取得した湿度とを用いて、除湿量の目標値を算出し、水位センサが検知する水位から計算される除湿量が目標値よりも少ない場合に冷媒が漏洩していると判断して、冷媒漏洩時の運転に切り替わるようにしてもよい。
【0040】
また、本開示では、温度センサ13及び湿度センサ12を備えた構成に限定されるものではない。例えば、冷媒漏洩を判断する除湿量の閾値を定格能力(定格運転時の除湿量)に基づき予め設定しておくようにしてもよい。
【0041】
図6は、実施の形態1における制御装置10の機能を実現する構成の一例を示す図である。制御装置10の各機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア600であってもよい。処理回路は、プロセッサ601及びメモリ602を備えていてもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア600として形成され、且つ、当該処理回路は更にプロセッサ601及びメモリ602を備えていてもよい。図6に示す例において、処理回路の一部は専用ハードウェア600として形成されている。また、図6に示す例において、処理回路は、専用ハードウェア600に加えて、プロセッサ601及びメモリ602を更に備えている。
【0042】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア600である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0043】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ601及び少なくとも1つのメモリ602を備える場合、制御装置10の各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0044】
ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ602に格納される。プロセッサ601は、メモリ602に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ601は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ602には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0045】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御装置10の機能を実現することができる。なお、制御装置10の各機能は、複数の機器が連携することで実現されてもよいし、単一の機器によって実現されてもよい。また、制御装置10の各機能の少なくとも一部は、外部ネットワーク上のサーバ等に実装されていてもよい。
【0046】
実施の形態2.
次に、図7を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
【0047】
図7は、実施の形態2における除湿システムを示す図である。図7に示す除湿システムは、冷媒を圧縮する圧縮機、冷媒を凝縮させる凝縮器、冷媒を膨張させる膨張器、冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路を備えた除湿機101と、蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、除湿量取得手段で取得した情報を送信する送信手段と、送信手段から送信された情報に基づいて除湿機の冷媒漏洩を判定する冷媒漏洩判定手段とを備える。
【0048】
除湿機101は、通信網200を介して、保守業者などが管理する外部サーバ102と通信可能になっている。また、除湿機101は、通信網200を介して、ユーザが所持するスマートフォンあるいはウェアラブル端末などの通信端末103と通信可能になっている。例えば、除湿機101が除湿量取得手段及び送信手段を有しており、外部サーバ102が冷媒漏洩判定手段を有している。除湿機101から送信された除湿量、温度、湿度などの情報を用いて外部サーバ102が冷媒漏洩を判定する。つまり、除湿機101の運転状態を遠隔で監視し、冷媒漏洩の有無を判定する。冷媒漏洩ありと判定したら除湿機101へ信号送信して除湿機101の運転停止や運転モードの変更をしたり、除湿機101での報知のトリガーとしたり、ユーザの通信端末103に連絡したりする。
【0049】
除湿機101の使い方として連続除湿(旅行で長期不在の間に室内を除湿、別荘の除湿など)があり、除湿機101の本体で報知してもユーザがその場にいないことがある。上記のようにすることで、ユーザが除湿機101の近くにいない場合にも冷媒漏洩をすぐにユーザあるいは管理者へ知らせることができる。
【0050】
なお、本実施の形態の除湿システムは、外部サーバ102が冷媒漏洩判定手段を有しているものに限らず、例えば、保守業者が持ち運びする端末装置が冷媒漏洩判定手段を有していてもよい。この場合、端末装置は、除湿機101と通信を行い、除湿機101が記憶している除湿量、温度、湿度などの情報を除湿機101から受信し、冷媒漏洩判定手段で除湿機101の冷媒漏洩の有無を判定する。
【0051】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0052】
(付記1)
筐体と、
前記筐体内に設けられ、冷媒を圧縮する圧縮機、前記冷媒を凝縮させる凝縮器、前記冷媒を膨張させる膨張器、及び、前記冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路と、
空気を前記筐体内に取り込む送風機と、
前記蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、
前記除湿量取得手段で取得した情報に基づいて前記冷媒回路の冷媒漏洩を検知する制御装置と、
を備える除湿機。
(付記2)
前記除湿量取得手段は、重量を検知する重量センサを含む付記1に記載の除湿機。
(付記3)
前記筐体内に取り込む空気の温度を取得する温度センサと、
前記筐体内に取り込む空気の湿度を取得する湿度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサで取得した温度と、前記湿度センサで取得した湿度と、
前記除湿量取得手段で取得した情報と、に基づいて前記冷媒回路の冷媒漏洩を検知する付記1または付記2に記載の除湿機。
(付記4)
前記除湿量取得手段は、重量を検知する重量センサを含み、
前記筐体内に取り込む空気の温度を取得する温度センサと、
前記筐体内に取り込む空気の湿度を取得する湿度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサで取得した温度と、前記湿度センサで取得した湿度とを用いて、除湿量の目標値を算出し、前記重量センサが検知する重量から計算される除湿量が前記目標値よりも少ない場合に前記冷媒が漏洩していると判断する付記1に記載の除湿機。
(付記5)
冷媒漏洩を検知した時に、前記圧縮機を停止し、前記送風機を動作させる付記1、付記2、付記4のいずれか一項に記載の除湿機。
(付記6)
冷媒漏洩を検知した時に、運転を停止し、冷媒漏洩を表す報知をする付記1、付記2、付記4、付記5のいずれか一項に記載の除湿機。
(付記7)
前記除湿量取得手段は、水位を検知する水位センサを含む付記1から付記6のいずれか一項に記載の除湿機。
(付記8)
前記除湿量取得手段は、水位を検知する水位センサを含み、
前記筐体内に取り込む空気の温度を取得する温度センサと、
前記筐体内に取り込む空気の湿度を取得する湿度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサで取得した温度と、前記湿度センサで取得した湿度とを用いて、除湿量の目標値を算出し、前記水位センサが検知する水位から計算される除湿量が前記目標値よりも少ない場合に冷媒が漏洩していると判断する付記1に記載の除湿機。
(付記9)
冷媒を圧縮する圧縮機、前記冷媒を凝縮させる凝縮器、前記冷媒を膨張させる膨張器、前記冷媒を蒸発させる蒸発器を有する冷媒回路を備えた除湿機と、
前記蒸発器を通過した空気から除去された水の量に関する情報を取得する除湿量取得手段と、
前記除湿量取得手段で取得した情報を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された情報に基づいて前記除湿機の冷媒漏洩を判定する冷媒漏洩判定手段と、
を備える除湿システム。
【符号の説明】
【0053】
1 筐体、 4 吐出口、 5 送風機、 7 表示操作装置、 8 貯水タンク、 9 吸込口、 10 制御装置、 12 湿度センサ、 13 温度センサ、 14 重量計、 31 蒸発器、 32 圧縮機、 33 凝縮器、 34 減圧装置、 50 制御部、 100 除湿機、 101 除湿機、 102 外部サーバ、 103 通信端末、 600 専用ハードウェア、 601 プロセッサ、 602 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7