(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172183
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/45 20200101AFI20241205BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
D06F58/45
D06F58/02 N
D06F58/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089736
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】青山 陽一
(72)【発明者】
【氏名】西口 和志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶久
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AB24
3B166AB29
3B166AB43
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3B167JA68
3B167KA08
3B167KA32
3B167KA66
3B167KA71
3B167LC17
3B167LE06
3B167LF25
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】被処理物の劣化を防止しながら、多種の被処理物を脱臭または除菌することができる衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】回転ドラム3と、回転ドラム3に対する給気と排気とを行う給排気ファン21と、回転ドラム3に供給される空気を加熱する加熱部9と、回転ドラム3内に脱臭または除菌機能を有する機能成分を供給する機能成分発生装置71と、被処理物を脱臭または除菌するクリーンモード運転を実行するためのユーザの入力操作を受け付ける操作部45と、制御部Cとを備える衣類乾燥機。操作部45でクリーンモード運転が入力操作されると、加熱部9の非作動状態で、機能成分発生装置71を作動させて、回転ドラム3内に機能成分を供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドラムと、
前記回転ドラムに対する給気と排気とを行う給排気ファンと、
前記回転ドラムに供給される空気を加熱する加熱部と、
脱臭または除菌機能を有する機能成分を発生させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給する機能成分発生装置と、
被処理物を脱臭または除菌するクリーンモード運転を実行するためのユーザの入力操作を受け付ける操作部と、
前記クリーンモード運転を制御する制御部と、を備える衣類乾燥機であって、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部の非作動状態で、前記機能成分発生装置を作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給するように構成されている衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥機において、
前記クリーンモード運転は、前記回転ドラム内に設置された静止棚上に前記被処理物を載置した状態で実行され、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部の非作動状態で、前記機能成分発生装置を作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給するように構成されている衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の衣類乾燥機において、
前記機能成分発生装置で発生させた前記機能成分を前記回転ドラム内に循環供給させる循環ファンを備え、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部及び前記給排気ファンの非作動状態で、前記機能成分発生装置及び前記循環ファンを作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を循環供給するように構成されている衣類乾燥機。
【請求項4】
請求項3に記載の衣類乾燥機において、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部、前記回転ドラム、及び前記給排気ファンの非作動状態で、前記機能成分発生装置及び前記循環ファンを作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を循環供給するように構成されている衣類乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の衣類乾燥機において、
前記回転ドラムと前記給排気ファンとを作動させる共通のモータを備える衣類乾燥機。
【請求項6】
請求項4に記載の衣類乾燥機において、
前記回転ドラムを収容する本体ケースと、
前方に開放する衣類取出し口を画成する円筒部を有する入口形成部と、
前記回転ドラムの前端を支持する前ドラムサポートと、を備え、
前記入口形成部の前記円筒部の前端は、前記本体ケースの前壁に形成された開口部に嵌挿され、
前記前ドラムサポートは、前記入口形成部の前記円筒部の後端の外周に配設され、
前記機能成分発生装置及び前記循環ファンは、前記前壁と前記前ドラムサポートとの間に配設され、
前記静止棚は、前記入口形成部の前記円筒部に支持されることによって、前記回転ドラム内に設置されており、
前記前ドラムサポートは、前記回転ドラム内の空気を吸い込む取入れ口を有し、
前記円筒部は、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給する機能成分供給口を有しており、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部、前記回転ドラム、及び前記給排気ファンの非作動状態で、前記機能成分発生装置及び前記循環ファンを作動させて、前記前ドラムサポートに開設された前記取入れ口から前記回転ドラム内の前記空気を吸い込み、前記円筒部に開設された前記機能成分供給口から前記機能成分を前記回転ドラム内に循環供給するように構成されている衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥機に関する。特に、本発明は、回転ドラム内にイオン、オゾン、帯電粒子、ミストなどの機能成分を供給して衣類などの被処理物を脱臭または除菌するクリーンモード運転を有する衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ドラムと、回転ドラム内に熱源により加熱された熱風を供給する送風ファンと、衣類の乾燥度を検知する乾燥度検知手段と、回転ドラム内に機能成分の1種であるマイナスイオンを導入するイオン発生装置とを備え、回転ドラム内の衣類の乾燥度が90~100%になったとき、回転ドラム内にマイナスイオンを導入することにより衣類を脱臭する衣類乾燥機が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、デリケートな衣類や、帽子、靴などの被処理物は回転ドラム内に供給される熱風によって傷みやすい。特に、特許文献1では回転ドラムを作動させて被処理物を撹拌しながら回転ドラム内に熱風を供給しているため、型崩れや縮み、傷みなどの被処理物の劣化が生じやすい。そのため、処理可能な被処理物の種類が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、被処理物の劣化を防止しながら、多種の被処理物を脱臭または除菌することができる衣類乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の態様によれば、
回転ドラムと、
前記回転ドラムに対する給気と排気とを行う給排気ファンと、
前記回転ドラムに供給される空気を加熱する加熱部と、
脱臭または除菌機能を有する機能成分を発生させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給する機能成分発生装置と、
被処理物を脱臭または除菌するクリーンモード運転を実行するためのユーザの入力操作を受け付ける操作部と、
前記クリーンモード運転を制御する制御部と、を備える衣類乾燥機であって、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部の非作動状態で、前記機能成分発生装置を作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給するように構成されている衣類乾燥機が提供される。
【0007】
上記第1の態様によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラム内に温風が供給されない状態で、回転ドラム内に機能成分が供給されるから、加熱された空気による被処理物の傷みを防止しながら、被処理物を処理することができる。
【0008】
本技術の第2の態様によれば、上記第1の態様の衣類乾燥機において、
前記クリーンモード運転は、前記回転ドラム内に設置された静止棚上に前記被処理物を載置した状態で実行され、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部の非作動状態で、前記機能成分発生装置を作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給するように構成される。
【0009】
上記第2の態様によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、被処理物は静止棚上に静止状態で載置されており、回転ドラム内で被処理物が撹拌されない状態で、回転ドラム内に機能成分が供給されるから、撹拌によって傷みやすい衣類や、帽子、靴などの被処理物を処理することができる。また、被処理物は静止棚上に静止状態で載置されているから、被処理物に機能成分を集中して当てることができる。
【0010】
本技術の第3の態様によれば、上記第2の態様の衣類乾燥機において、
前記機能成分発生装置で発生させた前記機能成分を前記回転ドラム内に循環供給させる循環ファンを備え、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部及び前記給排気ファンの非作動状態で、前記機能成分発生装置及び前記循環ファンを作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を循環供給するように構成される。
【0011】
上記第3の態様によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラムに対する給排気が行われないから、回転ドラム内の機能成分の濃度を高く維持することができ、高濃度の機能成分で被処理物を効率的に処理することができる。また、消費電力の少ない小型のファンで回転ドラム内に機能成分を循環供給することができる。
【0012】
本技術の第4の態様によれば、上記第3の態様の衣類乾燥機において、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部、前記回転ドラム、及び前記給排気ファンの非作動状態で、前記機能成分発生装置及び前記循環ファンを作動させて、前記回転ドラム内に前記機能成分を循環供給するように構成される。
【0013】
上記第4の態様によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラムによる振動を防止できるとともに、回転ドラム内の機能成分の濃度を高く維持することができる。
【0014】
本技術の第5の態様によれば、上記第4の態様の衣類乾燥機において、
前記回転ドラムと前記給排気ファンとを作動させる共通のモータを備える。
【0015】
上記第5の態様によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラムによる振動を防止できるとともに、回転ドラム内の機能成分の濃度を高く維持することを低コストで実現できる。
【0016】
本技術の第6の態様によれば、上記第4の態様の衣類乾燥機において、
前記回転ドラムを収容する本体ケースと、
前方に開放する衣類取出し口を画成する円筒部を有する入口形成部と、
前記回転ドラムの前端を支持する前ドラムサポートと、を備え、
前記入口形成部の前記円筒部の前端は、前記本体ケースの前壁に形成された開口部に嵌挿され、
前記前ドラムサポートは、前記入口形成部の前記円筒部の後端の外周に配設され、
前記機能成分発生装置及び前記循環ファンは、前記前壁と前記前ドラムサポートとの間に配設され、
前記静止棚は、前記入口形成部の前記円筒部に支持されることによって、前記回転ドラム内に設置されており、
前記前ドラムサポートは、前記回転ドラム内の空気を吸い込む取入れ口を有し、
前記円筒部は、前記回転ドラム内に前記機能成分を供給する機能成分供給口を有しており、
前記操作部で前記クリーンモード運転が入力操作されると、前記加熱部、前記回転ドラム、及び前記給排気ファンの非作動状態で、前記機能成分発生装置及び前記循環ファンを作動させて、前記前ドラムサポートに開設された前記取入れ口から前記回転ドラム内の前記空気を吸い込み、前記円筒部に開設された前記機能成分供給口から前記機能成分を前記回転ドラム内に循環供給するように構成される。
【0017】
上記第6の態様によれば、回転ドラム内の前方で循環供給される高濃度の機能成分によって、静止棚上に静止状態で載置された被処理物を効率的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略縦断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略背面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機に用いられる静止棚を示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機の要部概略縦断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機のクリーンモード運転の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る衣類乾燥機について説明する。
図1は、本実施の形態に係る衣類乾燥機を示す概略斜視図であり、
図2は概略縦断面図であり、
図3は、本体ケースの後壁を省略した概略背面図であり、
図4は、回転ドラムの前後に配設される構成部品の要部概略分解斜視図である。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る衣類乾燥機1は、略矩形箱状の本体ケース11と、衣類取出し口100をその正面側から被蓋する開閉扉12とで、その外郭が構成されている。なお、本明細書では、衣類乾燥機1の開閉扉12側を正面側とし、衣類乾燥機1を正面側から見たときの奥行き方向を前後方向、横方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0020】
本体ケース11は、開口部11hを有する前壁11aと、前後方向で前壁11aと対向する後壁11bと、前壁11aと後壁11bの上下側辺を連結する上下壁11c,11dと、前壁11aと後壁11bの左右側辺を連結する左右壁11e,11fとからなる周壁110を有する。前壁11aの後方には
図4及び
図5に示す入口形成部101が配設されている。入口形成部101は、その前端が前壁11aの開口部11hに嵌挿されて、衣類取出し口100を画成する円筒部102と、円筒部102の下方部分から下方に延びる中空の下ダクト部103とを有する。
【0021】
本体ケース11内には、その正面側に円形状の開口部130を有する円筒形状の回転ドラム3が横向き姿勢で収容されている。入口形成部101の円筒部102の後端側の外周には、円環状の前ドラムサポート14が配設されている。前ドラムサポート14の後面下部には、図示しない回転ドラム3内で被処理物Dが撹拌されている状態で、被処理物Dが接触する一対の電極51a,51b間の抵抗変化から乾燥度合いを検知する電極センサ50が配設されている。電極センサ50で検知された検知信号は、後述する制御回路に出力される。
【0022】
図2及び
図5に示すように、入口形成部101の円筒部102の下方部分の一定領域には、半円弧形状の開口部121(以下、「温風排出口121」という)が開設されている。温風排出口121は下ダクト部103と連通している。温風排出口121には、取り外し可能な網目状のエアフィルタ19が装着されている。回転ドラム3内の温風が温風排出口121から下ダクト部103へ送り出される際、このエアフィルタ19によって回転ドラム3内に浮遊するごみや糸くずが除去される。
【0023】
入口形成部101は、回転ドラム3内に静止棚500を設置するための保持部104を有する。保持部104は、円筒部102の内周面に形成された、左右方向に対向する一対の支持部105及び左右方向に対向する一対の段部106と、円筒部102の後端下部に形成された左右の支持後端面107とを有する(図中、左側の保持部104のみを示す)。一対の支持部105は、衣類取出し口100の上下方向の中心よりも下方に位置している。また、一対の支持部105は、円筒部102の左右方向に対向する一対の対向内面108の前後方向中央部から互いに近接する内方に向かって突出している。一対の支持部105は、上方に凸の矩形状を有している。
【0024】
一対の段部106は、一対の支持部105の下端から前方及び後方に向かって水平に延びている。一対の段部106のうち、一対の支持部105の下端から後方に延びる一対の後方段部106は、支持後端面107まで延びている。支持後端面107は、一対の段部106の後端から下方に延在している。
【0025】
図6に示すように、回転ドラム3内に着脱可能に設置される静止棚500は、平面視略U字状に折り曲げられた金属製の2本の枠用線材を、上下方向に一定距離、離間して並設した上枠体501及び下枠体502と、下枠体502の左右方向に対向する側辺を前後方向に所定の間隔で連結し、左右両端部で上方に向かって折り曲げられて上下枠体501,502を連結する複数の金属製の連結線材503とを有する。これらの線材によって、被処理物Dを載置する載置部が形成される。上下枠体501,502は、前端の連結線材503よりも前方に延びている。また、静止棚500は、前端の連結線材503よりも前方に、連結線材503の下端よりも下方に突出する前端支持部504を有する。この前端支持部504の前端は、回転ドラム3内に静止棚500が設置されるとき、既述した支持後端面107に当接する。また、上枠体501の前端部は、後方に向かってU字状に折り曲げられ、下枠体502の前端部は、上枠体501の前端部よりも後方位置で、上方に向かってL字状に折り曲げられている。また、上枠体501の折り曲げられた部分と下枠体502の折り曲げられた部分との間には、一定の大きさの隙間505が形成されている。この隙間505は、回転ドラム3内に静止棚500が設置されるとき、既述した支持部105に係合する係合部を形成する。また、折り曲げられた上枠体501の前端部の下端及び折り曲げられた下枠体502の前端部の下端は、回転ドラム3内に静止棚500が設置されるとき、既述した段部106に当接する。これにより、静止棚500は、衣類取出し口100から回転ドラム3内に向かって水平に延びるように回転ドラム3内に設置される。
【0026】
図7及び
図8に示すように、前ドラムサポート14の左上方部分には、複数の小円孔14a(以下、「取入れ口14a」という)が穿設されており、円筒部102の左上方部分の一定領域には、複数のスリット状開口102a(以下、「イオン供給口102a」という)が開設されている。また、取入れ口14aと前後方向で対向する前壁11aと前ドラムサポート14との間の隙間には、脱臭機能を有するプラスイオンやマイナスイオンを放電によって生成するイオン発生装置71を収容するイオン発生ユニット70と、循環ファン76及びファンモータ77を収容する循環ファンユニット75とが一体に形成された連結ユニットが配設されている。イオン発生ユニット70の前端部は循環ファンユニット75の吸込み口と連通しており、イオン発生ユニット70の後端部は取入れ口14aと連通している。また、循環ファンユニット75の下方の吹き出し口は、イオン供給口102aと連通している。このため、イオン発生装置71を作動させて、図示しないイオン発生電極に所定電圧が印加されると、プラスイオンとしてH
+(H
2O)
m(mは、任意の自然数である)と、マイナスイオンとしてO
2
-(H
2O)
n(nは、任意の自然数である)とが空気中に放出される。そして、ファンモータ77を作動させて循環ファン76を回転駆動させると、取入れ口14aから回転ドラム3内の空気がイオン発生ユニット70に吸い込まれ、放出されたイオンが吸い込まれた空気とともにイオン供給口102aから回転ドラム3内に循環供給される。従って、本実施の形態では、イオン発生装置71を作動させることによって発生するプラスイオン及びマイナスイオンが機能成分に対応し、イオン発生装置71が機能成分発生装置に対応し、イオン供給口102aが機能成分供給口に対応する。なお、プラスイオンのみまたはマイナスイオンのみを発生するイオン発生装置を用いてもよい。
【0027】
図2及び
図4に示すように、回転ドラム3の胴部131の後端には、後壁133が接続されている。回転ドラム3の後壁133の中央部には、円筒形状の支軸15が挿通されている。
【0028】
支軸15は、回転ドラム3の後壁133の後方で本体ケース11内に立設する後ドラムサポート111に挿通されている。後ドラムサポート111の平板部の外周部には、前方に膨出する円形状の凸部が形成されている。凸部は、後述する給気ダクト17の前面に形成されているダクト連絡口171に対向する環状領域に一定幅の開口部112を有する。
【0029】
回転ドラム3の外周部とモータ16の図示しない一端側の出力軸のドラム駆動プーリとの間には、伝動ベルト160が架け渡されている。図示しないが、モータ16には、モータ16の回転数を検出するためにホール素子を使用した回転数センサが設けられている。回転数センサで検知された検知信号は、制御回路に出力される。
【0030】
支軸15の後端部には、ファンプーリ151が取り付けられている。ファンプーリ151とモータ16の他端側の出力軸に取り付けられたファン駆動プーリ154との間には、ファンベルト155が架け渡されている。共通のモータ16によるベルト駆動によって、回転ドラム3及び給排気ファン21が回転駆動される。
【0031】
後ドラムサポート111の後面側の左領域には、加熱部であるバーナ9によって加熱された温風を回転ドラム3内へ送り込むための扁平な略半円弧形状の給気ダクト17が配設されている。給気ダクト17の後面上部には、後方に開放し、後述する燃焼室5に連通する流入口170が開設されている。また、給気ダクト17の前面の略全面には、前方に開放し、温風を前方に吹き出すダクト連絡口171が開設されている。
【0032】
後ドラムサポート111の後面側の中心部には、排気ダクト20の排気部200が配設されている。排気部200の後方の開口部210(以下、「排気出口210」という)は、ファンケース4の吸気口40と対向している。また、排気ダクト20の下端には、前方に開放する開口部が設けられている。そして、排気ダクト20は、後ドラムサポート111の下端の開口を介して、衣類取出し口100の下方部分の温風排出口121と連通する下ダクト部103の下端から、回転ドラム3と本体ケース11の下壁11dとの間に形成される隙間Gを通って回転ドラム3の後方まで延びる連絡ダクト120と接続されている。このため、温風排出口121から排出される温風は、下ダクト部103、連絡ダクト120、及び排気ダクト20を通って、ファンケース4に送り込まれる。
【0033】
給気ダクト17及び排気ダクト20の後方には、給排気ファン21を収容するファンケース4が配設されている。ファンケース4は、所定形状に成形した後方に開放する浅皿形状の前壁43と、所定形状に成形した平板形状の後壁44とを接合することにより、扁平な略円筒箱状に形成されている。ファンケース4は、前壁43に開口し、排気ダクト20の排気出口210と連通する吸気口40と、ファンケース4の周面から接線方向に上方に突出し、本体ケース11の上壁11cに形成された排気口10に連通する吐出口41とを有する。吐出口41近傍の排気経路には、外部に排気される温風の排気温度を検知する排気温センサ52が配設されており、排気温センサ52で検知された検知信号は、制御回路に出力される。図示しないが、排気口10には、屋外に連通する排気筒が接続される。
【0034】
回転ドラム3の後壁133の凹部には、支軸15から放射状に複数の小円孔135(以下、「温風吹き出し口135」という)が穿設されている。燃焼室5から給気ダクト17へ送り込まれる温風は、これらの温風吹き出し口135を通って、後壁133と後述するカバー板153との間の間隙へ導かれる。図示しないが、温風吹き出し口135近傍には、吹出温センサが配設されており、吹出温センサで検知された検知信号は制御回路に出力される。
【0035】
支軸15の前端部には、その外周方向へ広がる略円板形状の固定フランジ152が固設されている。固定フランジ152の前面には、後壁133の前面の略全体を回転ドラム3の内側から覆う円板形状のカバー板153が非回転状態で固設されている。図示しないが、カバー板153の外周の所定幅の環状領域には、複数の小円孔が穿設されている。カバー板153の前面には、図示しない回転ドラム3内で撹拌されている状態の被処理物Dの温度を検知するための衣類温センサM1が設けられており、衣類温センサM1で検知された検知信号は、制御回路に出力される。
【0036】
図3に示すように、ファンケース4の外周面と、本体ケース11の周壁110の上壁11cと右壁11fのコーナ部との間に形成される空間Sには、略横L字状の燃焼室5が配設されている。燃焼室5は、所定形状に形成した複数の金属板を接合することにより形成されている。燃焼室5の前壁は、前方に開放する流出口57を有する。流出口57は、給気ダクト17の後面上部に設けられた流入口170と接続されている。
【0037】
燃焼室5内の右端近傍には、複数本のバーナ9が配置されている。バーナ9によって生成される燃焼排気は、燃焼室5の長手方向の右から左に向かって流れる。図示しないが、各バーナ9のガス入口は、開口方向を揃えて下方に開口しており、ガス入口にはバルブユニット92から延びるガスノズルが臨んでいる。
【0038】
図示しないが、燃焼室5内には、バーナ9を点火するための点火電極と、バーナ9の点火及び消火を検知するための熱電対が配設されている。点火電極は、制御回路からの指示によりバーナ9を点火させる。熱電対は、バーナ9に形成される燃焼炎に晒されると熱起電力を発生し、熱起電力の検知信号は制御回路に出力される。
【0039】
バーナ9の下方には、バルブユニット92が配設されている。バルブユニット92は従来公知の構成を有するため図示しないが、電磁弁や比例弁等を有する。これらの制御弁が開弁されることにより、先端のノズルからバーナ9内へ所定量のガスと周辺の空気とが送り込まれる。そして、点火電極から火花放電を生じさせて混合気を点火させると、バーナ9に燃焼炎が形成されて、燃焼排気が燃焼室5内へ放出され、燃焼室5内に取り込まれる空気が加熱されて、温風が生成される。
【0040】
前壁11aの前面右上部には、ユーザが操作する電源スイッチ、乾燥運転スイッチ、クリーンモード運転スイッチ等の各種操作スイッチや運転状態を表示する表示部などが配置された操作表示部45が配設されている。
【0041】
本体ケース11内には、衣類乾燥機1全体の運転を制御する制御回路Cが組み込まれている。既述したモータ16、回転数センサ、イオン発生装置71、ファンモータ77、回転ドラム3内の衣類温センサM1や電極センサ50、吹出温センサ、排気温センサ52、燃焼室5内の点火電極や熱電対、操作表示部45は、配線を介して制御回路Cに接続されている。
【0042】
図示しないが、制御回路Cは、バルブユニット92の作動及び停止を行うことによりバーナ9の点火及び消火を行う点消火回路、バルブユニット92の電磁弁の開閉や比例弁の開度を調整する弁駆動回路、モータ16の作動を制御するモータ作動回路、イオン発生装置71の作動を制御するイオン発生回路、ファンモータ77の作動を制御するファンモータ作動回路、操作表示部45や図示しないスピーカから所定の情報を報知する報知回路等によって構成されており、これらの各回路によって乾燥運転やクリーンモード運転などの各種運転が実行される。また、制御回路Cは、各種運転を実行するための運転プログラムや各種運転を制御するための各種設定値のデータが格納されたメモリを備える。従って、本実施の形態では、制御回路Cが制御部を構成する。
【0043】
まず、通常の乾燥運転における制御動作について説明する。乾燥運転の制御動作は従来と同様である。ユーザが操作表示部45の電源スイッチをオン操作した後、乾燥運転スイッチを押して乾燥運転の入力操作がなされると、制御回路Cはモータ16を作動させて回転ドラム3及び給排気ファン21を回転駆動させ、さらにバルブユニット92を作動させる。これにより、バーナ9を点火する一連の乾燥動作が開始される。すると、給排気ファン21の回転駆動によって、外部の空気が本体ケース11の取り込み口(図示せず)から本体ケース11内に吸い込まれる。本体ケース11内に取り込まれた空気の一部は、燃焼室5内に取り込まれ、バーナ9から放出された燃焼排気によって加熱されて温風となる。温風は給気ダクト17内へ導かれ、温風吹き出し口135から回転ドラム3内へ供給される。そして、回転ドラム3内へ供給された温風は、撹拌される被処理物Dの水分を蒸発させつつ温風排出口121に向かって流れ、温風排出口121を介して連絡ダクト120に排出される。さらに、連絡ダクト120に排出された温風は、連絡ダクト120を通じて排気ダクト20へ導かれ、ファンケース4を介して排気口10から本体ケース11の外部へ排気される。被処理物Dが所定の乾燥状態になれば、制御回路Cは、バーナ9を消火させた後、モータ16を停止させて、回転ドラム3及び給排気ファン21の回転駆動を停止させ、操作表示部45や図示しないスピーカから乾燥運転の終了を報知させる。なお、静止棚500上に被処理物Dを載置させた状態で乾燥運転を行ってもよい。
【0044】
次に、ユーザが操作表示部45でクリーンモード運転を入力操作した場合の衣類乾燥機1の制御動作について、
図9を参照して説明する。
【0045】
ユーザが回転ドラム3内に静止棚500を設置し、静止棚500上に被処理物Dを載置させた後、ユーザが操作表示部45で電源スイッチをオン操作し、さらにクリーンモード運転スイッチを押すと(ステップS1)、制御回路Cは、所定時間、クリーンモード運転を実行するための運転時間を計測する運転タイマtmをスタートさせる(ステップS2)。
【0046】
次いで、制御回路Cは、イオン発生装置71を作動させるとともに、ファンモータ77を作動させる(ステップS3)。これにより、イオン発生装置71でプラスイオン及びマイナスイオンが発生する。また、循環ファン76の回転駆動によって取入れ口14aを介して回転ドラム3からイオン発生ユニット70内に吸い込まれた空気は、イオン発生ユニット70及び循環ファンユニット75を通ってイオン供給口102aから回転ドラム3内に送風される。このため、イオン発生ユニット70内で発生したイオンは、循環ファン76によって形成される空気流に乗って、イオン発生ユニット70から循環ファンユニット75を通って回転ドラム3内に放出される。また、回転ドラム3内に放出されたイオンの一部は、吸込み口14aからイオン発生ユニット70に戻る。これにより、イオンが回転ドラム3内に循環供給される。このとき、モータ16は作動されないから、回転ドラム3及び給排気ファン21は非作動状態であり、回転ドラム3に対する給排気は行われない。また、バーナ9も非作動状態であるから、回転ドラム3内に温風が供給されることもない。運転タイマtmがタイムアップすると(ステップS4で、Yes)、イオン発生装置71及びファンモータ77の作動を停止させ(ステップS5)、操作表示部45や図示しないスピーカからクリーンモード運転の終了を報知させる。
【0047】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、加熱部であるバーナ9が作動されないから、回転ドラム3内に温風が供給されない状態で、回転ドラム3内に機能成分であるイオンが供給される。従って、加熱された空気による被処理物Dの傷みを防止しながら、被処理物Dを脱臭することができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラム3が作動されず、被処理物Dは静止棚500上に静止状態で載置されているから、回転ドラム3内で被処理物Dが撹拌されない状態で、回転ドラム3内にイオンが供給される。従って、撹拌によって傷みやすい衣類や、帽子、靴などの被処理物Dを脱臭することができる。これにより、処理可能な被処理物Dの制限を緩和することができ、多種の被処理物Dを処理することができる。また、被処理物Dは静止棚500上に静止状態で載置されているから、被処理物Dにイオンを集中して当てることができる。なお、被処理物Dが静止棚500上に載置された静止状態であれば、回転ドラム3内で被処理物Dが撹拌されないから、回転ドラム3を作動させてもよい。ただし、上記のように回転ドラム3を作動させなければ、回転ドラム3による振動も防止できる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、給排気ファン21が作動されないから、回転ドラム3に対する給排気が行われない。また、クリーンモード運転が実行されるとき、イオン発生装置71を作動させるとともに、給排気ファン21とは独立した循環ファン76を作動させて、回転ドラム3内にイオンが循環供給されるから、回転ドラム3内のイオンの濃度を高く維持することができ、高濃度のイオンで被処理物Dを効率的に脱臭することができる。また、消費電力の少ない小型の循環ファン76で回転ドラム3内にイオンを循環供給することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラム3と給排気ファン21とを作動させる共通のモータ16を停止させているから、回転ドラム3による振動を防止できるとともに、回転ドラム3内のイオンの濃度を高く維持することを低コストで実現できる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、クリーンモード運転が実行されるとき、回転ドラム3内の前方で循環供給される高濃度のイオンによって、静止棚500上に静止状態で載置された被処理物Dを効率的に脱臭することができる。
【0052】
なお、上記実施の形態では、加熱部としてバーナ9が用いられている。しかしながら、加熱部としてヒータを用いてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、機能成分発生装置としてイオン発生装置71が用いられている。しかしながら、被処理物を脱臭または除菌する機能を有する機能成分を発生させる機能成分発生装置を用いてもよい。例えば、オゾンを発生させるオゾン発生装置、イオンやラジカルが水分子に結合した帯電粒子液を発生させる帯電粒子液発生装置、次亜塩素酸水などの除菌ミストを発生させるミスト発生装置などの機能成分発生装置を用いることができる。これらの機能成分は、脱臭機能または除菌機能のいずれか一方を有してもよいし、両方を有してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 衣類乾燥機
3 回転ドラム
9 バーナ
11 本体ケース
14 前ドラムサポート
14a 取入れ口
21 給排気ファン
45 操作表示部
500 静止棚
C 制御回路
71 イオン発生装置
76 循環ファン
101 入口形成部
102 円筒部
102a イオン供給口