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特開2024-172193制御装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172193
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/46 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J29/46 Z
B41J29/38 201
B41J29/38 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089747
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田崎 あすか
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS06
2C061HJ07
2C061HJ10
2C061HK23
2C061HN04
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】装置安全規制に適応し、装置の動作開始時の安全性を向上させる。
【解決手段】画像形成システム1の制御用PC200は、動作開始が指示された際の状況に応じて必要な警告期間の時間を決定する。例えば、制御用PC200は、リモート接続者数や装置構成、ジョブの内容、操作者のスキルレベル等に応じて警告期間を延長させる。これにより、安全確認の時間を十分に確保する。また、警告期間において制御用PC200は、UI画面上の実行ボタンを操作不可とし、パトランプ170及びブザー180とUI画面の表示とを連動させる。許容期間において制御用PC200は、UI画面上の実行ボタンを操作可能とし、パトランプ170及びブザー180とUI画面の表示とを連動させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置を制御する制御装置であって、
前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させる変動手段を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記変動手段は、前記動作の内容に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記変動手段は、前記動作が前記装置の本体の周辺での作業を含むか否か、前記動作の実行時間、前記動作を実行するための準備事項の数、及び前記動作に係るジョブの数のうち少なくともいずれか1つの要因に基づき、前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記変動手段は、前記装置の構成に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記装置は印刷装置であり、
前記変動手段は、特色印刷を行う記録ユニットの有無、後工程機の有無、及びリモートUI接続者数のうち少なくともいずれか1つの要因に基づき、前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記変動手段は、前記装置の操作者に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記変動手段は、前記操作者の操作スキルレベルが所定の基準と比較して低い旨の情報が設定されている場合、または前記操作者にハンディキャップがある旨の情報が設定されている場合に、前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記操作者のハンディキャップ情報を登録する第1の登録手段を備え、
前記変動手段は、登録された前記操作者のハンディキャップ情報を取得し、取得したハンディキャップ情報に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記操作者の操作スキルレベルを登録する第2の登録手段を備え、
前記変動手段は、登録された前記操作者の操作スキルレベル情報を取得し、取得した操作スキルレベル情報に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項10】
前記警告期間に必要な時間を決定する決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記決定手段は、前記警告期間を変動させる要因となる状況毎に予め設定された変動時間に基づき前記警告期間に必要な時間を決定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記決定手段は、リモート端末から前記指示が入力された場合は、前記装置の本体に設けられた操作部から前記指示が入力された場合よりも前記警告期間を長く設定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
前記決定手段は、前記警告期間を変動させる要因が複数ある場合は、前記要因それぞれに対する変動時間を加算して前記警告期間に必要な時間を決定することを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項14】
前記加算により前記変動時間が所定の上限値以上となる場合は、該上限値を前記変動時間とすることを特徴とする請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記警告期間において、装置の状態を確認するための確認画面を表示する表示制御手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記確認画面に前記警告期間を変動させた要因を表示することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項16】
前記表示制御手段は、更に、前記確認画面に前記警告期間の時間を表示することを特徴とする請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記警告期間に警告灯を点滅させる警告灯制御手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記警告灯の点滅と前記確認画面における表示とを連動させることを特徴とする請求項15に記載の制御装置。
【請求項18】
前記警告期間において、前記動作を実行させる操作を受け付けないよう制御する操作制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項19】
前記警告期間の後に設けられる許容期間において、
前記操作制御手段は、前記動作を実行させる操作を受け付けるよう制御することを特徴とする請求項18に記載の制御装置。
【請求項20】
前記動作は、印刷動作であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項21】
前記動作は、紙搬送動作であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項22】
前記変動手段は、前記警告期間を延長させることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれかに記載の制御装置。
【請求項23】
動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置の制御方法であって、
前記装置の制御装置が、
前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする制御方法。
【請求項24】
動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置を制御する制御装置を、
前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させる変動手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置を安全に動作開始させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機械の動作を開始させる際には、誤動作防止のために二重確認によって安全性を向上させることが要求されている。また、動作開始前に2秒以上の警告期間と6秒以内の許容期間を設ける必要があることが要求されている。これらの要求は、国際規格であるISO12643-1(以下、装置安全規制と呼ぶ)に定められている(非特許文献1、2)。
【0003】
非特許文献1には、「警告期間は、作動制御器を押し下げてから2秒以上経過した後に終わらなければならない。警告期間の間に、機械動作が起きてはならない。機械動作は、警告期間終了と同時に起きてもよい。」「警告期間が終了するときに、次のa)、b)のいずれかの操作が可能である。」と記載される。また、「a)“2度押し”のシーケンス。この方がb)よりも望ましい。警告期間の間又は終了後に作動制御器を解放し、更に、警告期間終了後の許容期間内に作動制御器を再び活性化することによって、機械作動を始動する。」
「b)a)の代わりとして、作動制御器を、警告期間を通して、かつ、警告期間終了後も押し続けることによって機械作動を始動する。」と記載される。
【0004】
非特許文献2には、「警告期間は、すべての停止・安全押しボタンを開放した後に作動制御器を押し上げることによって開始し、2秒以上経過後に終了する。警告期間終了前に作動制御器を作動することによって、機械作動が起こってはならない。」と記載され、「許容期間は、全警告期間の終了後に開始し、6秒以内とする。」、「許容期間終了に合わせて、システムは自動的に用意完了状態に戻る。」と記載される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ISO 12643-1の起動シーケンスの項目13.2.2
【非特許文献2】ISO 12643-1の付属書C領域警告灯システムの項目C.2、C.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば産業印刷機においては印刷実行前の確認事項が多く、状況によっては、規定の警告期間では確認のための時間が不足する可能性がある。確認事項としては、例えば、装置の周囲にいる作業者の安全が確保されているか、実行するジョブが適切であるか、インクや用紙が十分であるか等がある。そのため、十分な確認時間を確保する必要がある。
【0007】
本開示は、装置安全規制に適応し、装置の動作開始時の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の制御装置は、動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置を制御する制御装置であって、前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させる変動手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、装置安全規制に適応し、装置の動作開始時の安全性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成システムの装置構成を示す図である。
図2】画像形成システムの基本的な機能構成を示すブロック図である。
図3】警告期間を変動させる機能の構成を示すブロック図である。
図4】警告期間を変動させる要因及び具体的な状況の例を示すテーブルである。
図5】印刷開始ボタンが操作された際の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】印刷実行確認画面の例を示す図である。
図7】警告期間に必要な時間を決定する処理の流れを示すフローチャートである。
図8】警告期間及び許容期間を示すタイムチャートである。
図9】警告期間における処理の流れを示すフローチャートである。
図10】許容期間における処理の流れを示すフローチャートである。
図11】パトランプと画面表示との連動を説明する図である。
図12】操作者状態設定画面の例を示す図である。
図13】リモート端末から印刷開始ボタンが操作された際の処理の流れを示すフローチャートである。
図14】リモートUIからの印刷実行確認画面の例を示す図である。
図15】紙搬送指示が入力された際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に記載された内容を限定するものではない。以下の実施形態では一例として産業印刷機として利用される画像形成システムについて記載するが、特許請求の範囲は産業印刷機に限定されない。また本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0012】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の装置構成の例を示す図である。図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置100、給紙装置110、排紙装置150、制御用PC200、及び操作パネル160を備える。画像形成装置100は、特色印刷ユニット120及び基本色印刷ユニット130を備える。また、画像形成システム1は、警告を報知するためのパトランプ170a、170b、ブザー180a、180bを備える。
【0014】
給紙装置110は、ロール紙111を画像形成装置100に供給する装置である。ロール紙111は、連続した画像形成が可能な連続紙であり、紙管等の芯材に巻かれている。給紙装置110は、回転軸112を中心にロール紙111の芯材を駆動モータによって回転させ、芯材に巻かれているロール紙111を、複数のローラ113、115、116を経由して、一定の速度で画像形成装置100に向けて搬送する。
【0015】
画像形成装置100の特色印刷ユニット120は、印刷基本色(CMYK)以外の特色インク(例えば、白インク等)を用いてロール紙111に画像を形成する記録ユニットである。基本色印刷ユニット130は、印刷基本色インク(CMYK)を用いてロール紙111に画像を形成する記録ユニットである。
【0016】
排紙装置150は、画像形成装置100によって画像が形成され、搬送されてきたロール紙111を、紙管等の芯材に巻き取る装置である。
【0017】
ここで、画像形成システム1におけるロール紙111の搬送経路について説明する。
ロール紙111は、印刷開始前に、給紙装置110から排紙装置150へ作業者の作業によりセットされる。給紙装置110にセットされたロール紙111は、その先端からローラ113を経由して斜行補正装置114の上に通される。その後、ロール紙111は、ローラ115、116を経由して、画像形成装置100の特色印刷ユニット120に搬送される。
【0018】
特色印刷ユニット120において、ロール紙111は、印刷装置121の下に搬送され、ローラ123、124を経由して、乾燥装置122の下に搬送される。更に、ロール紙111は、ローラ125、126を経由して、冷却装置127に搬送される。その後、ロール紙111は、ローラ128、搬送路129を経由して基本色印刷ユニット130に搬送される。
【0019】
基本色印刷ユニット130において、ロール紙111は、ローラ131、搬送路132を経由して、マーク検知センサ133及び印刷装置134の下に搬送される。その後、ロール紙111は、ローラ135、136を経由して、乾燥装置137の下に搬送される。
【0020】
マーク検知センサ133は、特色印刷ユニット120の印刷装置121によってロール紙111に形成された画像と、基本色印刷ユニット130の印刷装置134によってロール紙に形成される画像との位置合わせのためのセンサである。なお、マーク検知センサ131に代えてスキャナ装置を設け、スキャナ装置により読み取られた画像を用いて位置合わせが行われてもよい。
【0021】
その後ロール紙111は、ローラ138、139を経由して、冷却装置140の上に通され、スキャナ装置141を通過後、排紙装置150に搬送される。
【0022】
排紙装置150に給送後、ロール紙111は、ローラ151、152、153を経由して回転軸154にセットされた紙管等の芯材に巻き付けられる。排紙装置150は、駆動モータによって回転軸154を中心に芯材を回転させ、搬送されてきたロール紙111を成果物として巻き取る。
【0023】
上述したような経路でロール紙111が画像形成システム1の内部に通された状態で、図2に示すリモート端末220から制御用PC200に印刷ジョブが投入されると、制御用PC200は、印刷ジョブを記憶部205のジョブ記憶領域に記憶する。ジョブ記憶領域は、ネットワーク221を介してアクセス可能なストレージに設けられてもよい。
【0024】
制御用PC200は、CPU、ROM、RAM、操作部I/F(インターフェース)、デバイスI/F、通信I/F等を備えたコンピュータ端末である。制御用PC200は、画像形成システム1の各部を制御して、給紙・排紙動作、印刷動作、警告動作、検査動作等を実行させる。例えば、操作パネル160の印刷開始ボタンが操作される等、操作者により動作開始が指示されると、制御用PC200は、画像形成装置100、給紙装置110、排紙装置150の各部を駆動制御して印刷動作を開始させる。
【0025】
制御用PC200は、画像形成システム1の状態に応じてパトランプ170及びブザー180を駆動制御し、警告動作を行わせる。本実施形態の画像形成システム1では、操作者により動作実行が指示された後、3秒以上の警告期間及び6秒以内の許容期間が設けられる。警告動作は、パトランプ170a、170bの点灯・点滅、ブザー180a、180bの鳴動等により行われる。警告動作の詳細については後述する。
【0026】
パトランプ170a、170bは、警告を視覚的に通知するための警告灯であり、例えば赤色、黄色、緑色(青色)のセグメントを有する。図1の例では、パトランプ170aは、画像形成装置100の給紙装置110側の天面に設けられ、パトランプ170bは、画像形成装置100の排紙装置150側の天面に設けられる。パトランプ170a、170bの各セグメントの点灯、点滅、消灯は、制御用PC200によって制御される。各セグメントの点灯、点滅、消灯の状態によって画像形成システム1の状態(エラー発生中、警告発生中、警告期間中、通常運転等)が操作者に通知される。
【0027】
ブザー180a、180bは、警告を聴覚的に通知する装置であり、例えば、複数の鳴動パターンによって画像形成システム1の状態を操作者に通知する。ブザー180a、180bの動作は制御用PC200のCPU(制御部204)により制御される。図1の例では、ブザー180aは、画像形成装置100の給紙装置110側の側面に設けられ、ブザー180bは、画像形成装置100の排紙装置150側の側面に設けられる。
【0028】
以下の説明では、個々のパトランプ170a、170bを区別しない場合は、パトランプ170と表記する。また、個々のブザー180a、180bを区別しない場合は、ブザー180と表記する。パトランプ170やブザー180の設置数はこの例に限定されず、任意である。
【0029】
印刷動作によってロール紙111に画像が形成されると、制御用PC200は、画像形成装置100内のスキャナ装置141で画像を読取り、制御用PC200に送信する。制御用PC200は、スキャナ装置141から送信された画像を解析し、印刷物に不具合がないか検査を行う。
【0030】
次に、画像形成システム1の内部構成について説明する。
図2は、画像形成システム1の基本的な機能構成を示すブロック図である。画像形成システム1は、用紙搬送部201、画像形成部202、通信部203、制御部204、記憶部205、本体UI(ユーザインターフェース)206、検査部207、給紙制御部208、及び巻取制御部209等を備える。また、画像形成システム1は、警報を通知するためのパトランプ制御部210、及びブザー制御部211等を有する。
【0031】
画像形成システム1は、通信部203によりネットワーク221を介してリモート端末220と接続される。リモート端末220は、画像形成システム1の本体とは離れた場所に設置された情報処理端末である。リモート端末220は、例えば、CPU、ROM、RAM、記憶部、通信部、表示部、入力部等を備えたPC、タブレット、スマートフォン等により構成される。
【0032】
画像形成システム1の制御部204は、リモート端末220からアクセスがあると操作者のログイン処理を行った後に、リモート端末220からのアクセスを許可する。画像形成システム1にログイン中、リモート端末220にはリモートUI222が表示部に表示される。
【0033】
リモートUI222とは、画像形成システム1のリモート端末220に表示される操作画面である。装置本体の操作パネル160に表示される操作画面(本体UI206)と同様に、動作指示の入力や、各種設定操作を受け付ける。リモートUI222にて入力された指示や設定情報は、ネットワーク221を介して制御用PC200に送信され、通信部203で受信され、制御部204に入力される。制御部204は、画像形成システム1の各装置の状態の情報等を含むUI画面表示用のデータをリモート端末220に送信し、リモートUI222を表示させる。
【0034】
本体UI206は、画像形成システム1の装置本体に設けられた操作パネル160であり、表示部206a及び操作部206bを備える。表示部206aは、LCDディスプレイや有機ELディスプレイ等である。表示部206aは、制御部204から入力される表示制御信号に従って、画像形成システム1の状態の情報や設定値等を含む各種情報を表示する。入力部206bは、テンキー、スタートキー等の各種のハードキー、及びタッチパネル等の入力機器を備える。入力部206bは、操作者による入力操作を受け付け、入力された操作信号を制御部204に出力する。
【0035】
操作者は、本体UI206またはリモートUI222からジョブ情報の設定やジョブ開始の指示等を行うことができる。ジョブ情報の設定とは、具体的には、使用する用紙や、印刷速度の情報、印刷枚数、印刷部数、印刷長さ、印刷重さ、印刷直径等の条件を設定することである。操作者は、これらの条件を任意で設定可能である。以下の説明において、本体UI206とリモートUI222とを特に区別しない場合は、UI画面という。
【0036】
用紙搬送部201は、画像形成装置100におけるロール紙111の搬送機構であり、複数のローラ、ローラを駆動するモータ、搬送路等を備える。用紙搬送部201は、給紙制御部208の制御によって給紙装置110から給送されたロール紙111を画像形成部202(画像形成装置100)へ搬送する。また、用紙搬送部201は、画像形成部202(画像形成装置100)を通過したロール紙111を排紙装置150へ搬送する。
【0037】
給紙制御部208は、制御部204から送信される制御信号に従って、給紙装置110の回転軸112等に設けられた駆動モータを動作させ、ロール紙111を画像形成部202(画像形成装置100)に給紙する。
巻取制御部209は、制御部204から送信される制御信号に従って、排紙装置150の回転軸154等に設けられた駆動モータを動作させ、画像形成装置100によって画像が形成されたロール紙111を芯材に巻取る。
【0038】
画像形成部202は、制御部204から送信される制御信号に従って画像形成装置100(特色印刷ユニット120、基本色印刷ユニット130)の各部を動作させ、印刷実行指示を受けた印刷ジョブの印刷データに基づいてロール紙111に画像を形成する。
【0039】
通信部203は、例えばLAN(Local Area Network)カード等であり、通信制御回路及び通信ポート等を備える。通信部203は、LAN、WAN(Wide Area Network)等のネットワーク221に接続されたリモート端末220との間で通信接続を確立し、リモート端末220と制御用PC200との間で各種データの送受信を行う。
【0040】
制御部204は、例えば、CPU、ROM、RAM等により構成される。制御部204のCPUは、記憶部205またはROMに記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。制御部204は、操作者により操作パネル160やリモートUI222を介して入力された指示に従って、ロール紙111に画像を形成する動作(印刷ジョブ)を実行する。
【0041】
記憶部205は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やHDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)等により構成される。記憶部205には、制御部204で実行されるシステムプログラムや処理プログラムを始めとする各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要な各種データが記憶されている。
【0042】
制御部204、通信部203、及び記憶部205は、制御用PC200に設けられる。なお、記憶部205の一部は、ネットワーク221を介して通信接続可能なストレージに設けられてもよい。
【0043】
検査部207は、印刷画像がロール紙111に吐出不良なく印刷できているか確認する機能であり、スキャナ装置及び解析装置等の検査装置を有する。検査部207は、吐出不良検査時の検知用パターンを印刷し、印刷された検知用パターンをスキャナで読み取り、読み取った画像を解析することで印刷画像に吐出不良がないか確認する。吐出不良を検出した場合は、画像形成装置100の印刷動作を停止させる。
【0044】
検査部207における検査方法は、検知用パターンを印刷してスキャナで読取る方法の他、印刷画像をカメラやスキャナで直接読取って検査する方法、ノズルからの吐出状況を監視する方法等、様々な方法がある。本実施形態では、例として、検知用パターンを印刷してスキャナで読取る方法によりインクの吐出不良がないか確認を行う。
【0045】
パトランプ制御部210は、制御部204から送信される制御信号に基づきパトランプ170の各色を点灯・点滅・消灯させる。例えば、印刷ジョブ実行中は青を点灯、警告発生中は黄色を点灯、エラー発生中は赤を点灯、動作開始指示が入力された後の警告期間・許容期間では赤を点滅させる。
【0046】
ブザー制御部211は、制御部204から送信される制御信号に基づきブザー180を鳴動させる。例えば、警告発生中、エラー発生中、及び警告期間にブザー180を用いて警告音を鳴らす。
【0047】
ここで、画像形成システム1の警告期間及び許容期間について説明する。
警告期間及び許容期間は、例えば、ISO12643-1の「起動シーケンスの項目13.2.2」、及びISO12643-1の「付属書C 領域警告灯システムの項目C.2、C.3」にて規定される警告期間及び許容期間である。待機状態においてUI画面から印刷開始指示が入力されると、警告期間が開始される。本実施形態において、警告期間は3秒を基準時間とするが、印刷開始指示が入力された際の状況に応じて制御部204は、警告期間を変動(延長)させる。
【0048】
警告期間中、制御部204は、UI画面(図6)に設けられる動作実行ボタン604の操作を受け付けず、キャンセルボタン603または強制停止ボタン1403(図14)の操作を受け付ける。キャンセルボタン603または強制停止ボタン1403が操作された場合は、警告期間を中止し、印刷指示が取り消される。
【0049】
警告期間が終了すると許容期間が開始される。許容期間は、例えば6秒である。許容期間中に2度目の印刷開始の操作(動作実行ボタン604の操作)が入力されると、制御部204は、印刷動作を開始させる。許容期間中に2度目の印刷開始の操作が入力されないまま許容期間が終了した場合は、待機状態に戻る。
【0050】
ここで、画像形成システム1における画像形成(印刷)動作について説明する。操作者は、リモート端末220において、印刷ジョブに係る画像データを作成し、印刷設定及び納品巻数設定を行い、通信部203を介してこれらの情報を画像形成システム1に送信する。画像形成システム1の制御部204は、通信部203を介して、リモート端末220から送信されてきた印刷ジョブに係る画像データと、印刷設定情報及び納品巻数情報を含むジョブチケットを受け付ける。制御部204は、受け付けたジョブチケットをジョブIDに紐づけて記憶部205に保存するとともに、ジョブリストに追加する。
【0051】
操作者は、UI画面(本体UI206またはリモートUI222)を操作して、ジョブリストをUI画面に表示させることができる。制御部204は、UI画面において操作者によるジョブの選択を受け付け、UI画面に設けられる印刷開始ボタンの操作によって印刷開始指示の入力を受け付ける。
【0052】
図3は、画像形成システム1に対して動作を開始する指示が入力された後、動作を開始する前に警告期間を変動させる機能の構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部204は、動作開始指示取得部301、状況判定部302、警告期間変動部303、UI表示制御部304、UI操作制御部305等を有する。
【0053】
動作開始指示取得部301は、UI画面を介して画像形成システム1に対して入力される動作開始指示を取得する。第1の実施形態では、本体UI206から印刷ジョブの開始指示が入力される例を説明する。
【0054】
状況判定部302は、画像形成システム1に対して動作を開始する指示が入力された際の状況に関する情報を取得し、状況を判定する。図4は、警告期間を変動させる要因と、具体的な状況の例を示すテーブル400である。図4に示すように、要因は大別して(1)指示された動作の内容に起因する事項、(2)装置構成に起因する事項、(3)操作者に起因する事項がある。
【0055】
(1)指示された動作の内容に起因する事項。
具体的な状況403としては、以下の状況を含む。
(a)本体装置の周辺に作業者がいる可能性がある特定の動作が指示された場合(411)。
(b)動作時間が長くなると予測される動作が指示された場合(412)。
(c)動作を行うための準備事項(確認項目)の数が所定の閾値以上となる動作が指示された場合(413)。
(d)ジョブ数が所定の閾値以上である場合(印刷装置の場合、動作は印刷ジョブであり、印刷ジョブ数が所定の閾値以上である場合)(414)。
【0056】
(2)装置構成に起因する事項。
具体的な状況403としては、以下の状況を含む。
(e)印刷装置の場合、特色印刷を行う記録ユニット(特色印刷ユニット120)がある場合(415)。
(f)印刷装置の場合、後工程機(不図示)がある場合(416)。
(g)印刷装置の場合、リモートUI接続者数が所定閾値以上の場合(417)。
【0057】
(3)操作者に起因する事項。
具体的な状況403としては、以下の状況を含む。
(h)操作者の操作スキルレベルが低い場合(418)。
(i)操作者にハンディキャップがある場合(419)。
【0058】
(a)において、特定の動作とは、例えばロール紙111の交換やインク交換等のような、装置本体の操作が必要な動作である。この種の動作では、他の作業者が装置本体の近くにいる可能性が高く、作業者を退避させ、安全確認を行う時間を設ける必要がある。
【0059】
(b)について、装置が長時間稼働するような動作では、より注意深く周囲の安全確認が必要である。制御部204は、印刷ジョブ数や、印刷ジョブの設定情報に基づいて動作時間を判断する。例えば、基本色印刷の他に特色印刷を行うか、納品巻数等に基づいて動作時間が長くなるか判断される。
【0060】
(c)の具体例としては、例えば、印刷時に使用するインクの種類が多い場合等がある。この場合、各インクの残量を確認するために、多くの時間が必要となる。制御部204は、印刷ジョブの設定情報に基づいて準備事項(確認項目)の数が予め設定された閾値以上となるか判断する。準備事項(確認項目)の数が予め設定された閾値未満であれば基準の警告期間(3秒)とし、準備事項(確認項目)の数が予め設定された閾値以上となる場合は、警告期間を3秒以上に延長する。
【0061】
(d)について、制御部204はジョブに基づいて装置の動作を制御する。ジョブ数が多い場合は装置が長時間稼働することが予測され、より注意深く周囲の安全確認が必要である。ジョブ数の閾値は、管理者によって例えば「5」等に予め設定される。制御部204は、開始指示が入力されたジョブの数が閾値未満であれば基準の警告期間(3秒)とし、開始指示が入力されたジョブの数が閾値以上であれば警告期間を3秒以上に延長する。
【0062】
(e)、(f)については、画像形成装置100に特色印刷ユニット120が含まれる場合や後工程機(不図示)が含まれる場合には、基本色印刷ユニット130だけの場合と比較して確認事項が多くなる。よって、より周囲への安全確認を行う時間を確保する必要がある。
(g)について、制御部204は、リモートUI222の接続者数(ログインした操作者の数)を監視し、接続者数が閾値未満であれば基準の警告期間(3秒)とし、閾値以上である場合は警告期間を3秒以上に延長する。閾値は例えば3人のように、予め管理者により設定される。
【0063】
(h)、(i)について、操作者にハンディキャップがある旨の情報が設定されている場合や操作のスキルレベルが低い旨の情報が設定されている場合は、操作者が安全確認を行うために時間を要する場合がある。制御部204は、ログイン時に入力された操作者の識別情報に基づき、操作者のハンディキャップ情報やスキルレベル情報を取得する。ハンディキャップがある旨の情報が設定されている場合やスキルレベルが低い旨の情報が設定されている場合に警告期間を延長させる。ハンディキャップ情報やスキルレベル情報の設定については後述する。
【0064】
上記の状況(d)~(g)は、印刷装置(画像形成装置100)に特有の状況である。その他の状況(a)、(b)、(c)、(h)、(i)は、印刷装置(画像形成装置100)を含む装置一般について適用可能な状況である。例えば、図1に示す画像形成システム1であれば、給紙装置110や排紙装置150を対象とする動作についても適用できる。また、(d)については印刷ジョブ以外であれば印刷装置以外の装置一般に適用できる。
【0065】
図3の説明に戻る。
警告期間変動部303は、画像形成システム1に対して動作を開始する指示が入力された際の状況に応じて、警告期間を変動させる。具体的には、状況判定部302による判定の結果、上記のいずれかの状況(a)~(i)に該当する場合は、警告期間を基準の警告期間より長くなるように設定する。警告期間変動部303は、警告期間を変動させる時間(変動時間)を決定する。変動時間を決定する方法としては、以下の方法が考えられる。
【0066】
変動時間を状況毎に予め設定しておき、状況に応じて変動時間を決定する。例えば、図4のテーブル400に示す各状況にそれぞれ変動時間が紐づけて設定される。
【0067】
また、図4に示す状況(a)~(i)のうち複数の状況に該当する場合は、該当する複数の状況それぞれに設定された変動時間を加算して得た値を変動時間とする。加算により変動時間が所定の上限値を超える場合は、上限値を変動時間とする。
【0068】
UI表示制御部304は、操作パネル160及びリモート端末220にUI画面を表示させる。UI画面には、装置の状態を示す情報、ジョブリスト、動作開始ボタン、キャンセルボタン等が設けられる。またUI画面には機能を選択するためのメニューリストが表示され、操作者により選択されたメニューの画面へ遷移できる。各メニューの画面では、例えばユーザ情報の登録、印刷設定、給紙設定、インク供給に関する設定等、各種機能に関する設定を行える。
【0069】
操作パネル160またはリモート端末220からUI画面を介して印刷ジョブの開始が指示されると、UI表示制御部304は、印刷実行確認画面600(図6)を表示させる。印刷実行確認画面600の表示内容については後述する。また、UI表示制御部304は、警告灯の点灯・点滅と印刷実行確認画面600における表示とを連動させる。具体的には、例えば、印刷実行確認画面600のヘッダーを警告灯の点灯・点滅パターンと一致させる。警告灯との連動については後述する。
【0070】
UI操作制御部305は、警告期間において、印刷実行確認画面600に表示される印刷実行ボタン604の操作を受け付けないよう制御する。例えば、印刷実行ボタン604はグレーアウト表示され、タッチ、クリック等の操作による信号は生成されないものとする。また、警告期間の後に設けられる許容期間において、UI操作制御部305は、印刷実行ボタン604への操作を受け付ける。即ち、印刷実行ボタン604のグレーアウト表示を解除して操作者による操作を受け付ける。UI操作制御部305は、操作に応じた操作信号を生成して制御部204に送信する。
【0071】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1が実行する処理の流れについて説明する。
図5は、印刷実行時の処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートに示す処理は、記憶部205に記憶されたプログラムが制御部204により呼び出され、RAMに展開され、CPUによって実行される。本フローチャートは画像形装置100が起動された後に開始される。以下の説明において記号「S」はステップを意味する。
【0072】
S501において、制御用PC200の制御部204は、画像形成装置100の状態(ステイタス)の情報を取得し、待機中であるか判断する。画像形成装置100の状態が待機中であった場合、S502へ進む。画像形成装置100の状態が待機中でない場合は、本フローチャートを終了する。
【0073】
S502において、制御部204は、本体UI206(操作パネル160)に表示されるジョブ一覧画面(不図示)から操作者が選択したジョブを認識する。
S503において、制御部204は、本体UI206に表示されている印刷開始ボタンの操作信号を受信する。
【0074】
S504において、制御部204は、制御用PC200が警告期間に必要な時間を決定する。警告期間に必要な時間の決定の仕方については後述する。
【0075】
S505において、制御部204は、印刷実行確認画面600を操作パネル160に表示する。
【0076】
図6は、印刷実行確認画面600の例を示す図である。印刷実行確認画面600は、例えばポップアップ表示されるが、この限りではない。印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面から遷移して、印刷実行確認画面600が表示されるようにしてもよい。印刷実行確認画面600には、警告期間を変動させた要因となる状況(以下、変動要因601という)、警告期間602、ジョブ表示領域605が設けられる。
【0077】
図6の例では、変動要因601として「同時接続:3人」が表示され、警告期間602として「5秒」が表示され、ジョブ表示領域605には、実行開始が指示されたジョブとして「ジョブ1、ジョブ2」が表示される。
【0078】
警告期間602に表示される時間は、S504で決定された警告期間に必要な時間である。変動要因601の表示内容は、テーブル400のいずれの状況に該当するかを示す情報である。図6に例示される「同時接続:3人」は、テーブル400の状況(g)に該当することを示している。人数は、実行開始指示が入力された時点で制御部204が取得したリモート接続者数(例えば、画像形成システム1にログインしているユーザ数)の情報である。
【0079】
また、印刷実行確認画面600には、キャンセルボタン603、印刷実行ボタン604が設けられる。キャンセルボタン603は、印刷実行確認画面600が表示された後、警告期間中及び許容期間中のいずれも操作可能である。印刷実行ボタン604は、警告期間においてはグレーアウト表示され操作不可である。その後の許容期間においてはグレーアウト表示が解除され、操作可能となるように制御される。
【0080】
操作者により印刷実行ボタン604が操作されると、制御部204はジョブ表示領域605に表示されているジョブに係る印刷動作を実行する。キャンセルボタン603が操作されると、制御部204は印刷実行確認画面600を閉じ、印刷実行確認画面600を表示する前に表示されていた画面に遷移する。
【0081】
図5の説明に戻る。
S506において、制御部204は警告期間を開始する。警告期間の長さは、S504で決定された警告期間に必要な時間である。警告期間の基準時間は、例えば3秒とし、状況に応じて変動時間が設定され、変動時間分延長される。警告期間中に制御部204が実行する警告処理については後述する(図9)。
【0082】
S507において、制御部204は、警告期間中にキャンセルボタン603の操作信号を受信したか否かを判断する。キャンセルボタン603の操作信号を受信した場合、制御部204は印刷実行を行わず、S514に移行して印刷実行確認画面600を閉じる。その後、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。S507においてキャンセルボタン603の操作信号を受信しなかった場合は、S508に進む。
【0083】
警告期間終了後、S508において制御部204は、6秒間の許容期間を開始する。
S509において制御部204は、許容期間中に印刷実行ボタン604の操作信号を受信したか否かを判断する。S509において印刷実行ボタン604の操作信号を受信した場合は、S511に進み、印刷実行ボタン604の操作信号を受信しなかった場合は、S510に進む。
【0084】
S511において、制御部204は、印刷実行確認画面600を閉じ、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。そしてS512において、制御部204は、印刷処理を開始する。S513において印刷処理が完了すると、制御部204は、装置動作を終了させて本フローチャートの処理を終了する。
【0085】
S509において、印刷実行ボタン604の操作信号を受信しなかった場合は、印刷処理を実行せず、S510において、制御部204は印刷実行確認画面600を閉じる。その後、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移して、本フローチャートの処理を終了する。
【0086】
ここで、S504の警告期間に必要な時間を決定する処理について説明する。
図7は、警告期間に必要な時間を決定する処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、図5に示すフローチャートのS504において制御部204により実行される。
【0087】
S701において、制御部204は、動作を開始する指示が入力された際の状況に関する情報を取得する。状況に関する情報は、例えば、リモート接続者数、操作者のハンディキャップ情報、操作者のスキルレベル情報、装置構成情報、実行開始が指示された動作(ジョブ)の内容の情報、ジョブの設定情報等である。
【0088】
S702において、制御部204は、S701で取得した状況に関する情報が、警告期間を変動させる特定の状況(図4に示すテーブル(a)~(i))に該当するか否かを判定する。S702において、状況に関する情報が警告期間を変動させる特定の状況に該当する場合にはS704に進み、状況に関する情報が警告期間を変動させる特定の状況に該当しない場合は、S703に進む。
【0089】
S703において、制御部204は、警告期間を基準の時間(例えば、3秒)に決定する。
S704において、制御部204は、状況に応じた警告期間(変動時間)を決定する。
S703またはS704で警告に必要な時間が決定されると、本フローチャートの処理を終了する。
【0090】
S704において、警告期間に必要な時間[秒]は下記の式(1)で決定される。式(1)において、変動時間は、状況に応じて決定される時間[秒]である。
【0091】
警告期間=基準時間(3[秒])+変動時間・・・(1)
【0092】
図8は、警告期間及び許容期間を示すタイムチャートである。
例えば、図8(a)に示すように、リモート端末220からの接続者数が3人未満であって、印刷するジョブ数が5つ未満、その他の状況も図4に示す特定の状況に該当しない場合、状況(a)~(i)のいずれにも該当しない。その場合、警告期間はタイムチャート801に示すように、基準時間の3秒間実施される。その後、許容期間がタイムチャート802に示すように6秒間実施される。
【0093】
また例えば、図8(b)に示すように、リモート端末220からの接続者数が3人以上、印刷するジョブ数が5未満、その他の状況が図4に示す特定の状況に該当しない場合、状況(g)の条件に該当する。この場合、制御部204は、状況(g)に対応する変動時間(+2[秒])を基準時間(3[秒])に加算する。タイムチャート803に示すように、警告期間は5秒間実施され、その後、許容期間がタイムチャート804に示すように6秒間実施される。
【0094】
また、n個の変動要因が組み合わさる場合、制御部204は、警告期間を下記の式(2)、(3)により決定する。
【0095】
警告期間=基準時間(3秒)+変動時間 ・・・(2)
変動時間=(変動要因1による変動時間)+(変動要因2による変動時間)+・・・+(変動要因nによる変動時間)・・・(3)
【0096】
例えば、図8(c)に示すように、リモート端末220からの接続者数が3人以上、印刷するジョブ数が5つ以上、その他の状況が図4に示す特定の状況に該当しない場合、状況(d)、(g)の条件に該当する。この場合、制御部204は、状況(g)に対応する変動時間(+2[秒])と状況(d)に対応する変動時間(+3[秒])を基準時間(3[秒])に加算する。その結果、タイムチャート805に示すように、警告期間は8秒間実施され、その後、許容期間がタイムチャート806に示す通り6秒間実施される。
【0097】
組み合わさる変動要因の数が多くなることで警告期間が増えすぎてしまう。これを防ぐために、例えば10[秒]等、警告期間の上限値が設定されていてもよい。式(2)、(3)で算出される警告期間が上限値を超える場合は、制御部204は、上限値を警告期間とする。
【0098】
なお、例示した変動時間の算出方法は一例であり、これに限定されない。変動時間は変動要因となる状況に応じて、または、対象とする装置に応じて適切な値が設定されることが望ましい。
【0099】
次に、図9を参照して、警告期間(図5のS506)において実行される処理について説明する。図9は警告期間において制御部204が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0100】
警告期間が開始されると、S901において制御部204は、印刷実行確認画面600の印刷実行ボタン604を操作不可とする。このとき制御部204は、印刷実行ボタン604をグレーアウト表示させてもよい。同時に、制御部204は、S902においてパトランプ170を赤点滅させ、画面の表示をパトランプに連動させる。S903においてブザー180を鳴動させる。警告期間が終了すると、S904において制御部204は、ブザー180を停止させる。
【0101】
次に、図10を参照して、許容期間(図5のS508)において実行される処理について説明する。図10は許容期間において制御部204が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0102】
許容期間が開始されると、S1001において制御部204は、印刷実行確認画面600の印刷実行ボタン604を操作可能にする。警告期間中に印刷実行ボタン604をグレーアウト表示させていた場合は、グレーアウト表示を解除し、通常の表示状態に戻す。許容期間が終了すると、S1002において制御部204は、パトランプ170の赤点滅を停止させる。画面の表示もパトランプに連動させる。
【0103】
図11は、パトランプ170とUI画面1100との連動について示す図である。図11(a)は、エラー発生中のUI画面1101Aとパトランプ170の状態を示している。制御部204は、画像形成システム1におけるエラーの発生を検知すると、パトランプ170を赤点灯(1105a)させる。それに連動し、制御部204は、UI画面1101Aのヘッダー1102a、エラーアイコン1103a、及びエラー文言表示領域1104aの表示をパトランプ170の点灯色と同色である赤色に変化させる。
【0104】
図11(b)は、警告発生中におけるUI画面1101Bとパトランプ170の状態を示している。警告発生中、制御部204は、パトランプ170を黄点灯(1105b)させる。それに連動し、制御部204は、UI画面1101Bのヘッダー1102b、エラーアイコン1103b、及びエラー文言表示領域1104bの表示をパトランプ170と同色である黄色に変化させる。
【0105】
図11(c)は、印刷実行中におけるUI画面1101Cとパトランプ170の状態を示している。印刷実行中、制御部204は、パトランプ170を青点灯(1105c)させる。それに連動し、制御部204は、UI画面1101Cのヘッダー1102cの表示をパトランプ170と同色である青に変化させる。エラーアイコンやエラー文言は表示されない。
【0106】
図11(d)は、印刷動作の開始指示が入力された後、印刷動作が開始される前の警告期間におけるUI画面1101Dとパトランプ170の状態を示している。制御部204は、パトランプ170を赤点滅(1105d)させる。それに連動し、制御部204は、UI画面1101Dのヘッダー1102dの表示を赤と白の縞模様に変化させて、パトランプ170の赤点滅を表現する。なお、UI画面1101Dにおけるヘッダー1102dの縞模様の例は一例であり、その他の表現でパトランプ170の赤点滅を表現してもよい。また、パトランプ170の点灯色、点滅色も一例であり、これに限定されない。
【0107】
次に、画像形成システム1における操作者の状態の登録について説明する。
図12は、操作パネル160に表示される操作者状態の設定画面1200の一例を示す図である。操作者にハンディキャップがある場合、操作者または管理者により、事前に操作者状態の設定画面1200から情報の登録が行われる。操作者が画像形成システム1にログイン後、UI画面に設けられるメニュー欄から操作者情報の設定メニューを選択すると、制御部204は、操作者状態の設定画面1200を表示させる。操作者のユーザIDやログインに必要な情報は予め記憶部205に記憶されているものとする。
【0108】
図12に示すように、操作者状態の設定画面1200には、ハンディキャップの有無設定の項目1201、操作スキルレベル設定の項目1204、及び保存ボタン1207が配置される。ハンディキャップの有無設定の項目1201には、「有」ボタン1202、「無」ボタン1203が並べて配置される。「有」ボタン1202及び「無」ボタン1203はラジオボタンであり、どちらか一方のみが選択可能である。
【0109】
操作スキルレベル設定の項目1204には、「低」ボタン1205、「高」ボタン1206が並べて配置される。「低」ボタン1205及び「高」ボタン1206はラジオボタンであり、どちらか一方のみが選択可能である。
【0110】
操作者にハンディキャップがある場合、操作者または管理者は、ハンディキャップの有無設定の項目1201の「有」ボタン1202を選択し、保存ボタン1207を操作する。制御部204は、操作者のユーザIDと紐づけて、ハンディキャップ「有」の情報を記録する。なお、操作者のハンディキャップの有無の情報は、初期状態では、「無」または「有」のいずれかに設定されており、変更する場合のみ操作者状態の設定画面1200における設定操作を行うものとしてもよい。
【0111】
また操作者のスキルレベルが所定の基準と比較して低い場合、操作者または管理者は、操作スキルレベル設定項目1204の「低」ボタン1205を選択し、保存ボタン1207を操作する。制御部204は、操作者のユーザIDと紐づけて、操作スキルレベル「低」の情報を記録する。スキルレベルの判定基準は、例えば、経験年数に関する値としてもよいし、検定、資格等としてもよい。なお、操作者のスキルレベルの情報は、初期状態では、「低」または「高」のいずれかに設定されており、変更する場合のみ操作者状態の設定画面1200における設定操作を行うものとしてもよい。
【0112】
このように操作者のハンディキャップ情報やスキルレベル情報がユーザIDと紐づけて管理される。これにより、操作者がログインする際に、制御部204は当該操作者のハンディキャップ情報やスキルレベル情報を取得して、警告期間を変動させる特定の状況に該当するか否かを判定できる。なお、操作者のハンディキャップ情報やスキルレベル情報の設定操作は、例えば管理者等、本人以外の人物が行ってもよい。その場合、管理者は対象とする操作者を入力または選択した後に、ハンディキャップ情報やスキルレベル情報の設定を行う。
【0113】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成システム1は、装置安全規制に対応すべく、印刷ジョブを開始する指示が入力された後、印刷ジョブを開始する前に警告期間及び許容期間を設ける。制御部204は、警告期間を印刷ジョブを開始する指示が入力された際の状況に応じて延長させる。よって、確認のために十分な時間を確保することができるため、装置の動作開始時の安全性を向上できる。
【0114】
なお、制御部204は、警告期間に必要な時間を決定する処理において、基準時間(3秒)に変動時間を加算することで警告期間が3秒以上に延長される例を示したが、決定方法はこれに限定されない。例えば、警告期間の上限値(10秒等)から図4に示す状況に該当しない要因については、所定の時間(秒数)を減算することで警告期間に必要な時間を算出してもよい。この場合、警告期間の下限値として例えば3秒等の値が予め設定される必要がある。
【0115】
また、警告期間を変動させる要因は、図4に示す状況に限定されず、その他の状況を追加してもよい。また、装置によっては図4に示す状況からいくつかの状況を除外してもよい。また、管理者により警告期間を変動させる要因の追加や削除の設定が行われてもよい。
【0116】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態として、リモートUI222から印刷動作の開始指示が入力される場合について説明する。別室に配置されたリモート端末220の操作者からは装置の状態や装置近傍の様子が把握しにくい。そのため、現場の操作者や作業者にとって都合の悪いタイミングでリモート端末222から実行開始が指示される場合もあり得る。そのような場合に、装置本体の操作者がキャンセル操作を行えるよう、十分な時間を確保する必要がある。
【0117】
図13は、印刷開始ボタンが操作された際に、画像形成システム1の制御部204が実行する処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは画像形装置100が起動された後に開始される。なお、第2の実施形態の画像形成システム1の構成は第1の実施形態(図1図3)と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0118】
S1301において、制御用PC200の制御部204は、画像形成装置100の状態(ステイタス)の情報を取得し、待機中であるか判断する。画像形成装置100の状態が待機中である場合、S1302へ進む。画像形成装置100の状態が待機中でない場合は、本フローチャートを終了する。
【0119】
S1302において、制御部204は、本体UI206またはリモートUI222に表示されるジョブ一覧画面から操作者が選択したジョブを認識する。
S1303において、制御部204は、本体UI206またはリモートUI222から印刷開始ボタンの操作信号を受信する。
【0120】
S1304において、制御用PC200の制御部204は、S1303における印刷開始ボタンの操作が、リモートUI222で実行された操作であるか否かを判断する。印刷開始ボタンの操作がリモートUI222で行われた操作ではない場合、S1305に進み、図5のS504~S514の処理を実行する。印刷開始ボタンの操作がリモートUI222で行われた操作である場合は、S1306に進む。
【0121】
S1306において、制御部204は、警告期間に必要な時間を決定する。リモートUI222から印刷開始ボタンの操作が行われた場合、制御部204は、本体UI206から操作が行われた場合と比較して警告期間を長く設定する。これは、装置本体とは別の場所に配置されたリモート端末220の操作者は、装置周辺の様子を直接確認できないためである。
【0122】
リモートUI222から印刷開始指示が入力されると、本体UI206の操作者は作業者が装置本体の近くにいるか否かを確認し、もし作業者が近くにいる場合には退避させる必要がある。そのような場合に、警告期間を長く設定することで、本体UI206の操作者は、余裕をもって確認作業を行うことが可能となる。
【0123】
S1306において、制御部204は、警告期間に必要な時間を、図7のフローチャートに示す手順で算出する。図7のS702における特定の状況は、リモートUI222から印刷開始ボタンの操作信号を受信していることである。また、制御部204は、上述の式(1)または式(2)、(3)に基づいて警告期間に必要な時間をする。基準時間を3[秒]とし、変動要因の1つとして、変動時間(例えば、+2[秒])を加算する。
【0124】
S1307において、制御部204は、本体UI206(操作パネル160)にリモートUIからの印刷実行確認画面1400を表示させる。
S1308において、制御部204は、リモートUI222に印刷実行確認画面600(図6)を表示させる。
【0125】
図14は、リモートUIからの印刷実行確認画面1400の例を示す図である。
リモートUIからの印刷実行確認画面1400は、リモートUI222から印刷開始指示が入力された場合に、本体UI206(操作パネル160)に表示される。本実施形態では、リモートUIからの印刷実行確認画面1400がポップアップ表示される例を示すが、表示形態はこの限りではない。
【0126】
図14に示すように、リモートUIからの印刷実行確認画面1400には、警告期間の変動要因1401、警告期間1402、ジョブ表示領域1405が設けられる。図14の例では、警告期間の変動要因1401として「同時接続:3人」が表示され、警告期間1402として「7秒」が表示され、ジョブ表示領域1405には、実行開始が指示されたジョブとして「ジョブ1、ジョブ2」が表示される。
【0127】
リモートUIからの印刷実行確認画面1400には、リモートUI222から操作が行われた旨の情報1406が表示される。図14の例では、「リモートUIから印刷が実行されようとしています。」というメッセージが表示される。
【0128】
リモートUIからの印刷実行確認画面1400には、強制停止ボタン1403と印刷許可ボタン1404が配置される。強制停止ボタン1403が操作されると、制御部204はリモートUI222からの印刷実行要求をキャンセルし、リモートUIからの印刷実行確認画面1400を閉じる。また、印刷許可ボタン1404が操作されると、制御部204はリモートUIからの印刷実行確認画面1400を閉じて、リモートUI222からの印刷実行操作を待機する。印刷実行確認画面1400を閉じた後は、本体UI206は、リモートUIからの印刷実行確認画面1400を表示する前の画面に遷移する。
【0129】
警告期間1402に表示される時間は、S1306で決定された警告期間に必要な時間である。リモートUI222から印刷開始指示が入力された場合は、本体UI206から印刷開始指示が入力された場合よりも長い警告期間が設定される。図14の例では、基準時間3[秒]+同時接続3人以上(+2[秒])+リモートUIからの指示(+2[秒])=7[秒]となる。
【0130】
警告期間の変動要因1401は、図4に示すテーブル400のいずれの状況に該当するかを示す情報である。例示される「同時接続:3人」は、テーブル400の状況(g)に該当することを示している。人数は、実行開始指示が入力された時点で制御部204が取得した、リモート端末220からログインしている人数の情報である。
【0131】
リモートUI222に表示される印刷実行確認画面600の警告期間602には、リモートUIからの印刷実行確認画面1400の警告期間1402と同じ時間が表示される。
【0132】
S1309において、制御部204は警告期間を開始する。警告期間の長さは、S1306で決定された警告期間に必要な時間である。第1の実施形態と同様に、警告期間の基準時間は例えば3秒であり、変動時間が設定された場合は、変動時間分延長される。
【0133】
警告期間中、S1310において制御部204は、本体UI206から強制停止ボタン1403の操作信号を受信したか否かを判断する。強制停止ボタン1403の操作信号を受信した場合、制御部204は印刷実行を行わずに、S1315に進む。S1315において制御部204は、本体UI206及びリモートUI222の印刷実行確認画面600、1400を閉じる。その後、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。S1310において強制停止ボタン1403の操作信号を受信しなかった場合は、S1311に進む。
【0134】
S1311において制御部204は、警告期間内にキャンセルボタン(リモートUI222に表示される印刷開始画面600のキャンセルボタン603)の操作信号を受信したか否かを判断する。キャンセルボタン603の操作信号を受信した場合、制御部204は印刷実行を行わずS1315に進む。S1315において制御部204は、本体UI206及びリモートUI222の印刷実行確認画面600、1400を閉じる。その後、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。
【0135】
警告期間中に強制停止ボタン1403及びキャンセルボタン603の操作信号を受信しなかった場合(S1310;No→S1311;No)、S1312に進む。
【0136】
警告期間終了後、S1312において、制御部204は、6秒間の許容期間を開始する。S1313において、制御部204は、許容期間中に本体UI206から強制停止ボタン1403の操作信号を受信したか否かを判断する。許容期間中に強制停止ボタン1403の操作信号を受信した場合、制御部204は印刷実行を行わず、S1315に移行する。
【0137】
S1315において制御部204は、本体UI206及びリモートUI222の印刷実行確認画面600、1400を閉じ、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。S1313において制御部204は、許容期間中に強制停止ボタン1403の操作信号を受信しなかった場合は、S1314に進む。
【0138】
許容期間中、S1314において制御部204は、リモートUI222から印刷実行ボタン604の操作信号を受信したか否かを判断する。印刷実行ボタン604の操作信号を受信した場合は、S1317に進む。印刷実行ボタン604の操作信号を受信しなかった場合は、制御部204は印刷実行を行わず、S1316に進む。S1316において、制御部204は本体UI206及びリモートUI222の印刷実行確認画面600、1400を閉じた後、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。
【0139】
S1317において、制御部204は、印刷実行確認画面600、1400を閉じた後、印刷開始ボタンが操作される直前に表示されていた画面に遷移する。その後、S1318において制御部204は、印刷処理を開始する。S1319において印刷処理が完了すると、制御部204は装置動作を終了させて本フローチャートを終了する。
【0140】
以上説明したように、第2の実施形態において、画像形成システム1は、リモートUI222から動作開始指示が入力された場合は、本体UI206から動作開始指示が入力された場合よりも、警告期間を長く設定する。これにより、安全確認のための時間をより多く取ることができ、より安全に動作を開始させることが可能となる。
【0141】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
警告期間の変動は、印刷装置(画像形成装置100)以外の機械の動作を伴う場合にも適用できる。例として、紙搬送を開始させる指示が入力された際における警告期間の変動について説明する。
【0142】
図15は、紙搬送指示が入力された際に画像形成システム1の制御部204が実行する処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートは画像形成システム1が起動された後に開始される。
【0143】
S1501において、制御用PC200の制御部204は、画像形成装置100の状態(ステイタス)の情報を取得し、待機中であるか判断する。画像形成装置100の状態が待機中であった場合、S1502へ進む。画像形成装置100の状態が待機中でない場合は、本フローチャートを終了する。
【0144】
S1502において、制御部204は、本体UI206(操作パネル160)から紙搬送指示を受信する。
S1503において制御部204は、警告期間に必要な時間を決定する。警告期間に必要な時間の決定方法は、第1の実施形態における警告期間に必要な時間の決定方法と同様とする。制御部204は、図4に示す特定の状況(a)~(i)に該当するかを判定し、警告期間に必要な時間を決定する。
【0145】
S1504において、制御部204は、紙搬送実行確認画面(不図示)を操作パネル160に表示する。紙搬送実行確認画面は、図6の印刷実行確認画面600と同様に、警告期間の変動要因601、警告期間602、キャンセルボタン603が設けられる。また、印刷実行ボタン604に代えて紙搬送実行ボタンが設けられる。
【0146】
S1505において制御部204は、警告期間を開始する。警告期間の長さは、S1503で決定された警告期間に必要な時間である。警告期間の基準時間は、例えば3[秒]とし、変動時間が設定された場合は、変動時間分延長される。
【0147】
警告期間中、S1506において制御部204は、紙搬送実行確認画面のキャンセルボタン603の操作信号を受信したか否かを判断する。キャンセルボタン603の操作信号を受信した場合、制御部204は印刷実行を行わず、S1513に移行して紙搬送実行確認画面を閉じる。その後、紙搬送指示を送る直前に表示されていた画面に遷移する。S1506においてキャンセルボタン603の操作信号を受信しなかった場合は、S1507に進む。警告期間中に制御部204が実行する警告処理は、第1の実施形態の警告処理(図9)と同様である。
【0148】
警告期間終了後、S1507において制御部204は、6秒間の許容期間を開始する。許容期間中、S1508において制御部204は、紙搬送実行ボタンの操作信号を受信したか否かを判断する。S1508において、紙搬送実行ボタンの操作信号を受信した場合は、S1510に進み、紙搬送実行ボタンの操作信号を受信しなかった場合は、S1509に進む。
【0149】
S1510において、制御部204は、紙搬送実行確認画面を閉じ、紙搬送指示を送る直前に表示されていた画面に遷移する。そしてS1511において、給紙装置110及び排紙装置150を制御して紙搬送動作を開始させる。S1512において紙搬送が完了すると制御部204は、装置動作を終了させて本フローチャートの処理を終了する。
【0150】
S1508において、紙搬送実行ボタンの操作信号を受信しなかった場合は、制御部204は紙搬送処理を実行せず、S1509において紙搬送実行確認画面を閉じる。その後、紙搬送指示を送る直前に表示されていた画面に遷移して、本フローチャートの処理を終了する。
【0151】
以上説明したように、画像形成装置100以外の装置(給紙装置110、排紙装置150、後工程機、その他の装置安全規制の対象となる装置)において、動作開始が指示された時の状況に適した警告期間を設けることが可能となる。
【0152】
なお、第3の実施形態では、本体UI206から紙搬送指示が入力された場合について説明したが、リモートUI222から紙搬送指示が入力された場合についても同様に、状況に応じて警告期間を延長させることが可能である。また、リモートUI222から紙搬送指示が入力された場合は、第2の実施形態と同様に、本体UI206から紙搬送指示が入力された場合よりも警告期間を長く設定することが望ましい。
【0153】
また、各実施形態において表示される画面の表示内容や表示形態は一例であり、適宜変更可能である。
【0154】
(その他の実施形態)
上述した実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータで連動させて実行させるようにしてもよい。
【0155】
また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、処理の一部または全部をASIC等のハードウェアで実現するようにしてもよい。また、CPUも1つのCPUで全ての処理を行うものに限らず、複数のCPUが適宜連携をしながら処理を行うものとしてもよい。
【0156】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施例の機能が実現されるだけでない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0157】
なお、上述した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置を制御する制御装置であって、
前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させる変動手段を備えることを特徴とする制御装置。
【0158】
(構成2)
前記変動手段は、前記動作の内容に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0159】
(構成3)
前記変動手段は、前記動作が前記装置の本体の周辺での作業を含むか否か、前記動作の実行時間、前記動作を実行するための準備事項の数、及び前記動作に係るジョブの数のうち少なくともいずれか1つの要因に基づき、前記警告期間を変動させることを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0160】
(構成4)
前記変動手段は、前記装置の構成に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする構成1から構成3のいずれかに記載の制御装置。
【0161】
(構成5)
前記装置は印刷装置であり、
前記変動手段は、特色印刷を行う記録ユニットの有無、後工程機の有無、及びリモートUI接続者数のうち少なくともいずれか1つの要因に基づき、前記警告期間を変動させることを特徴とする構成4に記載の制御装置。
【0162】
(構成6)
前記変動手段は、前記装置の操作者に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする構成1から構成5のいずれかに記載の制御装置。
【0163】
(構成7)
前記変動手段は、前記操作者の操作スキルレベルが所定の基準と比較して低い旨の情報が設定されている低い場合、または前記操作者にハンディキャップがある旨の情報が設定されている場合に、前記警告期間を変動させることを特徴とする構成6に記載の制御装置。
【0164】
(構成8)
前記操作者のハンディキャップ情報を登録する第1の登録手段を備え、
前記変動手段は、登録された前記操作者のハンディキャップ情報を取得し、取得したハンディキャップ情報に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする構成7に記載の制御装置。
【0165】
(構成9)
前記操作者の操作スキルレベルを登録する第2の登録手段を備え、
前記変動手段は、登録された前記操作者の操作スキルレベル情報を取得し、取得した操作スキルレベル情報に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする構成7に記載の制御装置。
【0166】
(構成10)
前記警告期間に必要な時間を決定する決定手段を更に備えることを特徴とする構成1から構成9のいずれかに記載の制御装置。
【0167】
(構成11)
前記決定手段は、前記警告期間を変動させる要因となる状況毎に予め設定された変動時間に基づき前記警告期間に必要な時間を決定することを特徴とする構成10に記載の制御装置。
【0168】
(構成12)
前記決定手段は、リモート端末から前記指示が入力された場合は、前記装置の本体に設けられた操作部から前記指示が入力された場合よりも前記警告期間を長く設定することを特徴とする構成10または構成11に記載の制御装置。
【0169】
(構成13)
前記決定手段は、前記警告期間を変動させる要因が複数ある場合は、前記要因それぞれに対する変動時間を加算して前記警告期間に必要な時間を決定することを特徴とする構成10から構成12のいずれかに記載の制御装置。
【0170】
(構成14)
前記加算により前記変動時間が所定の上限値以上となる場合は、該上限値を前記変動時間とすることを特徴とする構成13に記載の制御装置。
【0171】
(構成15)
前記警告期間において、装置の状態を確認するための確認画面を表示する表示制御手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記確認画面に前記警告期間を変動させた要因を表示することを特徴とする構成1から構成14のいずれかに記載の制御装置。
【0172】
(構成16)
前記表示制御手段は、更に、前記確認画面に前記警告期間の時間を表示することを特徴とする構成15に記載の制御装置。
【0173】
(構成17)
前記警告期間に警告灯を点滅させる警告灯制御手段を更に備え、
前記表示制御手段は、前記警告灯の点滅と前記確認画面における表示とを連動させることを特徴とする構成15または構成16に記載の制御装置。
【0174】
(構成18)
前記警告期間において、前記動作を実行させる操作を受け付けないよう制御する操作制御手段を更に備えることを特徴とする構成1から構成17のいずれかに記載の制御装置。
【0175】
(構成19)
前記警告期間の後に設けられる許容期間において、
前記操作制御手段は、前記動作を実行させる操作を受け付けるよう制御することを特徴とする構成18に記載の制御装置。
【0176】
(構成20)
前記動作は、印刷動作であることを特徴とする構成1から構成19のいずれかに記載の制御装置。
【0177】
(構成21)
前記動作は、紙搬送動作であることを特徴とする構成1から構成19のいずれかに記載の制御装置。
【0178】
(構成22)
前記変動手段は、前記警告期間を延長させることを特徴とする構成1から構成21のいずれかに記載の制御装置。
【0179】
(構成23)
動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置の制御方法であって、
前記装置の制御装置が、
前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させることを特徴とする制御方法。
【0180】
(構成24)
動作を開始する指示が入力された後、前記動作を開始する前に警告期間が設けられた装置を制御する制御装置を、
前記指示が入力された際の状況に応じて前記警告期間を変動させる変動手段として機能させるためのプログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15