(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172214
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】針組立体
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20241205BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61M5/32 510F
A61M39/02 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089779
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土取 保紀
(72)【発明者】
【氏名】亀井 一成
(72)【発明者】
【氏名】大澤津 正稀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英美
(72)【発明者】
【氏名】松永 卓也
(72)【発明者】
【氏名】高田 一生
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF03
4C066KK02
4C066LL26
4C066LL28
4C066NN07
(57)【要約】
【課題】安全機構が作動したことを容易に確認できる針組立体を提供すること。
【解決手段】針組立体1が、穿刺針5、一方に可撓性チューブが接続され、他方に穿刺針5が固定されたハブ70、穿刺針5が通過する通過部、及び第1係止部を有し、皮膚に載置される土台10、及び第1係止部に係止される第2係止部、及び土台10に組み付けられて、穿刺針5の針先が遮断位置に到達すると少なくとも穿刺針5の針先を保護する針先保護部42を有する安全機構40を備える。ハブ70が土台10に対して離間する方向に移動し、針先が遮断位置に到達すると同時か、又は針先が遮断位置に到達した後に、第1係止部に対する第2係止部の係止が解除されて、安全機構40が土台10から取り外し可能となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下ポートに穿刺される穿刺針と、
一方に可撓性チューブが接続され、他方に前記穿刺針が固定されたハブと、
前記穿刺針が通過する通過部、及び第1係止部を有し、皮膚に載置される土台と、
前記第1係止部に係止される第2係止部、及び、前記穿刺針の針先が遮断位置に到達すると前記針先を保護する針先保護部を有する安全機構と、を備え、
前記ハブが前記土台に対して離間する方向に相対移動し、前記針先が遮断位置に到達すると同時か、又は前記針先が遮断位置に到達した後に、前記第1係止部に対する前記第2係止部の係止が解除されて、前記安全機構が土台から取り外される、針組立体。
【請求項2】
前記安全機構が、前記第2係止部を付勢する付勢部材を備え、前記第2係止部は前記針先が遮断位置に到達することで前記付勢部材の付勢方向に移動し、前記第1係止部との係止が外れる、請求項1に記載の針組立体。
【請求項3】
前記安全機構が前記針先保護部及び前記付勢部材を収容するケースを備え、
前記付勢部材は前記針先保護部と別体に形成されており、
前記ケースは貫通孔を有し、
前記針先保護部は、前記ケースに対して前記付勢方向に相対移動可能に前記ケース内に配置される本体、前記本体から側方に突出する前記第2係止部、及び前記針先が遮断位置に到達すると前記針先の先端側に位置して前記貫通孔を遮断する遮断部を含む、請求項2に記載の針組立体。
【請求項4】
前記安全機構が前記土台に係止されている状態で、前記ハブは前記土台と係止する土台係止部を有する、請求項1に記載の針組立体。
【請求項5】
前記ケースは開口部を有する有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部を塞ぐキャップとから構成され、前記開口部は側方に形成されている、請求項1に記載の針組立体。
【請求項6】
前記土台は切り欠きを有し、前記切り欠きは前記通過部を形成している、請求項1に記載の針組立体。
【請求項7】
前記針先を外部に対して遮断した後で前記遮断部による遮断が解除されることを防止する遮断解除防止機構を有する、請求項3に記載の針組立体。
【請求項8】
前記安全機構が前記土台に係止されている状態で、前記安全機構と前記土台にはそれぞれに位置規制用の凹凸が形成されている、請求項1に記載の針組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体、例えば、抗癌剤等の薬液や栄養剤等を体内に注入する際に用いる針組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液や栄養剤等を体内に注入する際に用いる針組立体としては、特許文献1に記載されているものがある。この針組立体は、針先通過孔を有する細長い板状のベース、ベースの延在方向の一端側の幅方向両側から幅方向に間隔おいて高さ方向一方側に突出する2つの直立部、第1端部が2つの直立部にヒンジ連結されたアーム、アームの第2端部に固定された固定部を有する穿刺針、及び安全機構を備える。
【0003】
ベースは、例えば、板状のパッド等を介して患者に取り付けられる。アームはヒンジ連結部を支点として旋回できるようになっている。針組立体が患者に設置されている状態では、アームの第2端部は、ベースに近接する位置に配置され、穿刺針の針先は、患者の体内に配置される。薬液等の注入が終了して穿刺針を患者から引き抜く際には、アームの第2端部を直立部に近づけるようにアームを旋回させ、その結果、針先が患者から引き抜かれる。安全機構は、針先がベースの針先通過孔に配置された状態でアームの第2端部がベース側に移動することを防止する。これにより、針先がベースから患者側に露出して患者に接触することを防止できる。
【0004】
また、他の針組立体としては、特許文献2に記載されているものも知られている。この針組立体は、穿刺針と、安全装置を備える。穿刺針は、安全装置を通過可能になっており、安全装置に対して安全装置の高さ方向に摺動可能になっている。針組立体が患者に設置されている状態では、安全装置の底側が患者に設置され、穿刺針は安全装置を通過して針先が患者の体内に配置される。薬液等の注入が終了して穿刺針を患者から引き抜く際には、患者から離れるように穿刺針を安全装置に対して摺動させ、その結果、針先が患者から引き抜かれる。針先が安全装置内の所定領域に収容された状態で所定領域の患者側の開口が安全装置の閉鎖部によって閉鎖される。これにより、針先が安全装置から患者側に露出して患者に接触することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5008678号公報
【特許文献2】特許第5795798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような皮下ポート用の穿刺針は、皮下ポートから穿刺針を引き抜く際に、施術者が針の重力方向上方側を把持しつつ肘を起点として上方側に穿刺針を移動させる。このため、血管用の穿刺針と異なり、針先を見る視線上に手や安全装置が位置しやすく、針の先端側を視認しにくい。このため、施術者は微細な音や持ち手から伝わる振動等を頼りに安全装置の作動を判断しがちである。針の引き抜き時には、針がその他部材に擦れたり、部材間で音や振動が生じたりすることがあり、当該音や振動により安全装置が完全に作動したと施術者が誤認し、針刺し事故が起こる可能性がある。
【0007】
そこで、本開示の目的は、安全機構が作動したことを容易に確認できる針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示に係る針組立体は、皮下ポートに穿刺される穿刺針と、一方に可撓性チューブが接続され、他方に前記穿刺針が固定されたハブと、前記穿刺針が通過する通過部、及び第1係止部を有し、皮膚に載置される土台と、前記第1係止部に係止される第2係止部、及び、前記針先が遮断位置に到達すると前記穿刺針の前記針先を保護する針先保護部を有する安全機構と、を備え、前記ハブが前記土台に対して離間する方向に移動し、前記針先が遮断位置に到達すると同時か、又は前記針先が遮断位置に到達した後に、前記第1係止部に対する前記第2係止部の係止が解除されて、前記安全機構が土台から取り外される。
【0009】
本開示によれば、使用者は土台が安全機構から取り外されている否かで安全機構が完全に作動しているか否かを判別することができる。また、土台が取り外されていない状態から、使用者に更に穿刺針を上方に持ち上げる等の追加操作を促すことができるので、針刺し事故を防止することができる。
【0010】
また、前記安全機構が、前記第2係止部を付勢する付勢部材を備え、前記第2係止部は前記針先が遮断位置に到達することで前記付勢部材の付勢方向に移動して、前記第1係止部との係止が外れてもよい。
【0011】
本構成によれば、付勢部材により第2係止部と第1係止部との係止が解除されるので、使用者の力によることなく第2係止部と第1係止部とを係止解除することができ、使用者の負担を減らすことができる。
【0012】
また、前記安全機構が前記針先保護部及び前記付勢部材を収容するケースを備え、前記付勢部材は前記針先保護部と別体に形成されており、前記ケースは貫通孔を有し、前記針先保護部は、前記ケースに対して前記付勢方向に相対移動可能に前記ケース内に配置される本体、前記本体から側方に突出する前記第2係止部、及び前記針先が遮断位置に到達すると前記針先の先端側に位置して前記貫通孔を遮断する遮断部を含んでもよい。
【0013】
本構成によれば、針先保護部に第2係止部が設けられているため、針先保護部と第2係止部との移動を一体的に生じさせることができ、作動安定性を向上させることができる。
【0014】
また、前記安全機構が前記土台に係止されている状態で、前記ハブは前記土台と係止する土台係止部を有してもよい。
【0015】
本構成によれば、上方に位置する部材であるハブと、下方に位置する部材である土台とが固定される。結果、各部材間のがたつきを効率的に低減することができる。
【0016】
また、前記ケースは開口部を有する有底筒状のケース本体と、前記ケース本体の開口部を塞ぐキャップとから構成され、前記開口部は側方に形成されていてもよい。
【0017】
本構成によれば、キャップがケース本体から離脱する方向と、穿刺針を引き抜く方向が異なるため、穿刺針を引き抜く工程において、安全機構がケースに力を加えた際にキャップが外れてしまう事態を低減することができる。
【0018】
また、前記土台は切り欠きを有し、前記切り欠きは前記通過部を形成してもよい。
【0019】
通過部の四方が土台により囲まれていると、組み付け時において針を通過部に入れる際に針先を傷つけてしまう可能性があるが、切り欠きが通過部を形成していることによりそのような事態を防止することができる。
【0020】
また、前記針先を外部に対して遮断した後で前記遮断部による遮断が解除されることを防止する遮断解除防止機構を有してもよい。
【0021】
本構成によれば、第1係止部に対する第2係止部の係止が外れた後で、人が誤って外部に対する針先の遮断を解除することを防止できる。
【0022】
また、前記安全機構が前記土台に係止されている状態で、前記安全機構と前記土台にはそれぞれに位置規制用の凹凸が形成されていてもよい。
【0023】
本構成によれば、前記安全機構と前記土台の位置を規制しがたつきを抑えることができ、各部材の動作を安定化させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示に係る針組立体によれば、安全機構が作動したことを容易に確認でき、誤認による針刺し事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】安全機構が動作していない状態の第1実施形態の針組立体の斜視図である。
【
図2】安全機構が動作していない状態の第1実施形態の針組立体を側方から見たときの外観図である。
【
図3】安全機構が動作していない状態の第1実施形態の針組立体を側方から見たときの断面図である。
【
図4】安全機構が動作した瞬間の第1実施形態の針組立体の斜視図である。
【
図5】安全機構が動作した瞬間の第1実施形態の針組立体を側方から見たときの外観図である。
【
図6】安全機構が動作した瞬間の第1実施形態の針組立体を側方から見たときの断面図である。
【
図7】安全機構が土台から離脱した状態の第1実施形態の針組立体の斜視図である。
【
図8】(a)は、土台から離脱した状態の第1実施形態の針組立体の安全機構を側方から見たとき外観図であり、(b)は、安全機構が離脱した後の第1実施形態の針組立体の土台を側方から見たとき外観図である。
【
図9】(a)は、土台から離脱した状態の第1実施形態の針組立体の安全機構を側方から見たとき断面図であり、(b)は、安全機構が離脱した後の第1実施形態の針組立体の土台を側方から見たとき断面図である。
【
図10】安全機構が動作していない状態の第2実施形態の針組立体を、高さ方向の斜め上側から見たときの斜視図である。
【
図11】安全機構が動作していない状態の針組立体を、高さ方向の斜め下側から見たときの斜視図である。
【
図12】安全機構が土台から離脱している離脱状態の第2実施形態の針組立体を、高さ方向の斜め上側から見たときの斜視図である。
【
図13】離脱状態の第2実施形態の針組立体を、高さ方向の斜め下側から見たときの斜視図である。
【
図14】離脱状態の第2実施形態の針組立体を、側方側から見たときの斜視図である。
【
図15】第2実施形態の針組立体の安全機構の動作を説明する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0027】
本開示は、下記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。また、図面及び以下で説明において、X方向は、付勢方向の一例であり、針組立体1の長手方向に一致する。また、Y方向は、針組立体1の幅方向に一致し、Z方向は、針組立体1の高さ方向に一致する。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、以下の説明では、針組立体1が患者(皮膚)に設置されている状態で皮膚から離れる方向をZ方向上側とし、その逆側は、Z方向下側とする。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、安全機構40が動作していない状態の第1実施形態の針組立体1の斜視図である。より詳しくは、
図1は、人の皮膚上に載置している状態の第1実施形態の針組立体1の斜視図であり、穿刺針5を介して液体、例えば、抗癌剤等の薬液、又は栄養剤等を人体に注入している液注入状態の針組立体1の斜視図である。また、
図2は、安全機構40が動作していない液注入状態の針組立体1を側方から見たとき外観図であり、
図3は、安全機構40が動作していない液注入状態の針組立体1を側方から見たとき断面図である。なお、図示しないが、液注入状態においては、針組立体1は、ドレッシング材でZ方向上側が全面的に覆われている。また、ドレッシング材の周縁部に固着されている粘着材料によりドレッシング材の周縁部が皮膚に固着されている。
【0029】
図4は、安全機構40が動作した瞬間の針組立体1の斜視図である。より詳しくは、
図4は、人体への液体の注入が完了して、穿刺針5が人体から引き抜かれて、穿刺針5の針先が遮断位置に到達した瞬間の針組立体1の斜視図である。また、
図5は、安全機構40が動作した瞬間の針組立体1を側方から見たとき外観図であり、
図6は、安全機構が動作した瞬間の針組立体1を側方から見たとき断面図である。
【0030】
図7は、ハブ70が土台10から所定距離以上引き離なされて、安全機構40が土台10から離脱した状態の針組立体1の斜視図である。また、
図8(a)は、土台10から離脱した状態の安全機構40を側方から見たとき外観図であり、
図8(b)は、安全機構40が離脱した後の土台10を側方から見たとき外観図である。また、
図9(a)は、土台10から離脱した状態の安全機構40を側方から見たとき断面図であり、
図9(b)は、安全機構40が離脱した後の土台10を側方から見たとき断面図である。
【0031】
図1~
図3に示すように、針組立体1は、中空の穿刺針5、土台10、安全機構40、及びハブ70を備える。皮膚下には、図示しないポートが埋設されている。穿刺針5は、皮膚を介してポートに穿刺される。ポートに穿刺された穿刺針5は、皮膚に対して略垂直に延在し、土台10に対して軸直方向に延びる。土台10は、硬い材料、例えば、硬い樹脂材料で構成されている。
図7に示すように、土台10は、略平板で構成される底板部11と、底板部11の縁部からZ方向上側に突出する壁部18を有する。壁部18は、間隔をおいてX方向に延在する2つの一方向延在壁13を含む。2つの一方向延在壁13は安全機構40に係合することにより安全機構40と土台10とのがたつきが抑制されている。底板部11と壁部18は、高さ方向上側に開口する収容凹部12を画定する。収容凹部12には、安全機構40の下側端部が収容される。
【0032】
底板部11は、Y方向の中央部にX方向に延在する細長い凹部19を有し、凹部19のX方向の一方側は、開口している。凹部19は、底板部11をその厚さ方向(Z方向に一致)に貫通している。凹部19は切り欠きによって形成されており、穿刺針5は、凹部19内を通過して皮膚を穿刺する。凹部19は、穿刺針5が通過する通過部の一例である。通過部は穿刺針の回りを囲むように形成されていなくともよく、土台が穿刺針から離れた位置に位置していることで結果的に穿刺針の通過部ができ、穿刺針が皮下ポートに穿刺されるようであってもよい。一方向延在壁13は、土台10のX方向他方側に高さが高い他方側壁14を含む。各他方側壁14は、厚さ方向の両側(Y方向両側)とX方向一方側とが開口する凹部15を有する。凹部15は、第1係止部を構成する。底板部11は、X方向他方側にY方向両側に突出して広がる幅広部16を有する。このため、土台10を皮膚に安定に載置できる。
【0033】
図3に示すように、安全機構40は、ケース41、針先保護部42、及び付勢部材の一例としてのコイルバネ43を有する。ケース41、及び針先保護部42は、硬い材料、例えば、硬い樹脂で構成されている。ケース41は、内部室を有する。ケース41は、Y方向両側にX方向に延在する細長い貫通孔(図示せず)を有する。針先保護部42は、ケース41の内部室に配置される本体45と、本体45のY方向両側の側壁46からY方向外側に突出する2つの突出部47(
図1,
図2参照)を有する。突出部47は、第2係止部の一例であり、ケース41の上記貫通孔に収容される収容部と、該貫通孔からY方向外方に突出する先端部47aを有する。
【0034】
コイルバネ43は、X方向に伸縮可能になっている。針先保護部42は、X方向他方側に有底の筒状部48を有する。コイルバネ43のX方向一方側の端部は、筒状部48のX方向他方側の端面48aに接触し、コイルバネ43のX方向他方側の端部は、ケース41のX方向他方側の壁部50の内面50aに接触している。コイルバネ43は、内面50aに対して針先保護部42をX方向一方側(
図3の紙面における右側)に付勢している。
【0035】
図2に示すように、液体を人体に注入している液注入状態の針組立体1においては、2つの突出部47は、第1係止部を構成する2つの凹部15に嵌合している。この状態では、安全機構40は動作しておらず、安全機構40が、土台10に対してZ方向上側(上方)に移動不可能(離脱不可能)になっている。また、
図3に示すように、液注入状態では、安全機構40の針先保護部42のX方向一方側の先端面52が、穿刺針5に接触している。この接触は、コイルバネ43が、針先保護部42をケース41に対してX方向一方側に付勢することで実現している。
【0036】
なお、
図7に示すように、底板部11は、Y方向中央部にX方向に延びてZ方向に窪んでいる有底の位置決め用凹部17を有し、
図8(a)に示すように、安全機構40は、Z方向下側(下方側)に突出すると共に、凹部17に対応する形状を有する位置決め用突出部54を有する。安全機構40が、収容凹部12に収容されている状態で、突出部54が凹部17に係合する。このため、液注入状態では、安全機構40は、土台10に対して位置決めされており、安全機構40と土台10間のがたつきが抑制されている。
【0037】
ハブ70は、樹脂材料で構成されている。
図1及び
図3に示すように、ハブ70は、本体部71と、把持部72を有する。本体部71と、把持部72は、一体に構成される。本体部71は、貫通孔74(
図3参照)を有し、穿刺針5の一方側端部は、貫通孔74の一方側の開口から貫通孔74に挿入され、貫通孔74に固定されている。また、貫通孔74の他方側の開口付近には図示しない可撓性チューブが固定されるようになっている。把持部72は、2つの羽根75を含む。人は、2つの羽根75を羽根75同士が接触するように摘まんで、羽根75を土台10から引き離すように移動させることが可能になっている。なお、
図1に示すように、羽根75は、外力が付与されていない状態で、Z方向上側に行くにしたがってY方向外側に変位していると好ましい。このようにすると、包装されたハブ70を取り出した際や、液注入が完了した針組立体1からドレッシング材を取り外した際に、各羽根75が弾性復元力で自動的にZ方向上側に行くにしたがってY方向外側に変位する。このことから、人が2つの羽根75を掴み易くなって好ましい。
【0038】
図1、
図3に示すように、安全機構40が土台10に係止される係止状態で、安全機構40と土台10のうちの少なくとも一方が、Z方向上側が開口する凹部53を画定し、本実施形態では、安全機構40と土台10が、互いに相俟ってZ方向上側が開口する凹部53を画定している。また、
図3、
図7に示すように、ハブ70が、凹部53に挿入可能となる突出部78を有しており、安全機構40が土台10に係止されている状態で、ハブ70は土台10と係止する土台係止部(突出部78)を有している。具体的には、突出部78の側面にはY方向に延びる係止突起が形成されていると共に、当該係止突起に対応する凹部53内面にY方向に延びる係止凹部が形成されている。なお、土台係止部を凹部とし、土台にその凹部に係止する凸部を設けてもよい。
【0039】
土台係止部を設けていることにより、ハブ70が土台10から意図せず相対移動することを防止している。また、土台係止部を介して、最上方に位置する部材であるハブ70と、最下方に位置する部材である土台との相対位置が固定されているため、その間の部材のがたつきが抑制されている。突出部78はX方向において安全機構40のケース41と土台10との間に位置しており、ハブ70、ケース41及び土台10間のがたつきが抑制されている。
【0040】
がたつきを抑制することで、各部材10,41,70が意図せぬ挙動を示すことを防止し、安全機構40や係止解除機構の作動安定性を向上させることができる。なお、突出部78の寸法はケース41や土台10に対して圧入するように設計されると好ましい。しかし、突出部78の寸法はケース41や土台10に対してゼロタッチになるように設計されてもよいし、非接触になるように設計されてもよい。また、係止状態において、ハブ70の突出部78が挿入される凹部53は、土台10とケース41により画定されてもよく、安全機構40のケース41のみで画定されてもよい。
【0041】
ハブ70は、ハブ70における穿刺針5側とは反対側の高さが先端に行くにしたがって徐々に低くなる傾斜部73を有し、針組立体1の小型化に寄与している。針組立体1は皮下ポートに穿刺された状態で長時間留置される。針組立体1が小型であることで、服が盛り上がって見えてしまう事態を低減でき、針組立体1を設置された人が、針組立体設置状態で精神的な平穏を得易い。
【0042】
図3に示すように、ケース41は、有底筒状であって、X方向(側方)に開口部を有するケース本体41aと、ケース本体41aの開口部を塞ぐキャップ41bとで構成されており、針の引き抜き方向(Z方向)がケース本体41aとキャップ41bの分離方向に合致しないようにされている。ケース41には、Z方向上側に第1貫通孔55を有すると共に、Z方向下側に第2貫通孔56を有し、第1貫通孔55及び第2貫通孔56は穿刺針5等の組み付け性の観点からケース本体41aとキャップ45との間に形成されている。また、安全機構40は、Z方向上側に第1貫通孔57を有すると共にZ方向下側に第2貫通孔58を有する筒状部材60を有する。第1貫通孔57は、穿刺針5の外径よりも僅かに大きい内径を有し、第2貫通孔58の内径は、第1貫通孔57の内径よりも大きくなっている。
【0043】
筒状部材60は、Z方向下側に円環状のフランジ61を有している。フランジ61の外径は、ケース41のZ方向上側の第1貫通孔55の内径よりも大きくなっている。このことから、筒状部材60のフランジ61は、ケース41の第1貫通孔55を通過できなくなっており、ケース41に対して筒状部材60をZ方向上側に相対移動させると、筒状部材60のフランジ61が、ケース41のZ方向上側の内面部に係止されるようになっている。筒状部材60は遮断位置において穿刺針の一部を覆うことができるため、土台10及び安全機構40の高さ方向における大型化を低減することができる。
【0044】
針組立体1を介して所定量の液体を体内に注入し終えると、穿刺針5を体内から抜き取る。詳しくは、
図4を参照して、人が、把持部72を、2つの羽根75同士が接触するように摘まんで、土台10から引き離すようにZ方向上側に移動させる。安全機構40の動作前においては、穿刺針5と安全機構40との間で生じる抵抗力(摩擦抵抗等)が、土台10と安全機構40との抵抗力に比して小さくなっている。一方、
図6に示すように、穿刺針5の針先が、Z方向上側に移動して皮膚から抜け出て、更に、針先保護部42の先端面52よりもZ方向上側の遮断位置まで移動し、先端面52と非接触となると、安全機構40が動作する。
【0045】
詳しくは、針先保護部42においてケース41に収容されている本体45がコイルバネ43からX方向一方側の力を受けてX方向一方側に移動し、針先保護部42の底部42aが、穿刺針5の針先の先端側に位置して、穿刺針5の針先を外部に対して遮断し、その結果、穿刺針5が、皮膚に接触することが不可能になる。針先保護部42の底部42aは、安全機構40の遮断部を構成する。また、安全機構40が動作し終えると同時に、すなわち、針先保護部42の底部42aが穿刺針5の針先の先端側に位置すると同時に、第2係止部を形成すると共に本体45から側方に延びる突出部47(
図1参照)がX方向一方側に移動して、第1係止部を形成している土台10の凹部15から離脱し、安全機構40が、土台10に対してZ方向上側に離脱可能になる。
【0046】
その後、把持部72を、更に、Z方向上側に移動させると、
図6に示すように、穿刺針5の針先部が、筒状部材60に引っ掛かって、筒状部材60が、穿刺針5からのZ方向上側の力によって土台10に対してZ方向上側に移動し、筒状部材60のフランジ61が、ケース41のZ方向上側の内面部に係止される。そして、
図7~
図9に示すように、ケース41がフランジ61からZ方向上側の力を受けて、安全機構40が土台10から離脱する。この一連の動作から明らかなように、安全機構40が動作し終えなければ、安全機構40が土台10から離脱可能にならない。よって、患者から穿刺針5の引き抜きを行う人は、安全機構40が土台10から離脱したことを視認するだけで、安全機構が作動したことを確認でき、患者からの穿刺針の引き抜き作業を円滑かつ安全に行うことができる。
【0047】
図4及び
図5に示すように、ケース41は、X方向一方側に移動した針先保護部42の突出部47を被覆する被覆部67を有し、X方向一方側に移動した針先保護部42の突出部47が、穿刺針5の針先が遮断位置に位置している状態で、外部に露出することがない。被覆部67は、遮断解除防止機構の一例である。被覆部67を設けることで、人が誤ってコイルバネ43を縮めるように突出部47をX方向他方側に移動させることができず、針先保護部42による穿刺針5の外部に対する遮断が人為的なミスで解除されることがない。よって、一度作動した安全機構40が解除されることを確実に防止できる。また、突出部である第2係止部は土台10及びケース41に対してガイドされて移動する。具体的には、土台10に形成された凹部内面と被覆部67の内面に形成されたガイド溝にガイドされて移動する。このように、土台10或いはケース41に、付勢部材によって相対移動する部材(第2係止部或いは針先保護部)の移動をガイドするガイド部を形成することで作動安定性を向上させることができる。
【0048】
図6に示すように、穿刺針5の針先側は、Z方向に延在するZ方向延在部5aと、Z方向延在部5aよりも先端側に位置すると共に、Z方向延在部5aに対して傾斜する方向に延在する傾斜延在部5bを有する。傾斜延在部5bより上方には穿刺針5を側面から僅かに潰すことによって外形が変化した大径部が形成されており、大径部と筒状部材60が引っ掛かることができる。なお、筒状部材60にひっかける部分として傾斜延在部5bを利用してもよいし、穿刺針5に別の部材を固定して大径部を形成してもよい。
【0049】
なお、上述のように、針先保護部42に一体の第2係止部を形成し、針先保護部42と別体の付勢部材を設けてもよいし、第2係止部を針先保護部と別体にしてもよいし、針先保護部と付勢部材43を一体としてもよい。例えば、穿刺針に対して付勢力を加えるように穿刺針を挟んで設けられた一対の弾性アームを針先保護部とし、当該一対の弾性アームに第2係止部として作用する突出部を形成することで、針先保護部と付勢部材を一体として安全機構の作動と係止機構の解除とを連動させることができる。また、針先保護部が別体の第2係止部に外力を与え、針先保護部の移動に伴って第2係止部が移動するようにすることもできる。
【0050】
また、安全機構40が動作したときに、針先保護部42が穿刺針5の一部のみを覆う場合について説明したが、安全機構が動作したときに、針先保護部が穿刺針の全てを覆う構成でもよい。例えば、針先保護部を、特開2008-000554のような針全体を覆う筒状部としてもよい。また、針先保護部とハブとの相対移動を規制する構成として、穿刺針の外形変化部分と係合する筒状部を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、特開2011-115615のように紐状のアームを利用するなどして針先保護部とハブとの相対移動を規制してもよい。
【0051】
また、安全機構40が、ケース41を有する場合について説明した。しかし、安全機構は、ケースを有さなくてもよく、遮断部に第2係止部を設けてもよい。例えば、再表2016/080525のように、穿刺針に対して付勢力を加えるように穿刺針を挟んで設けられた一対の弾性アームに第2係止部として機能する係止アームを設ければ、針先保護部、付勢部材及び第2係止部を一部材で構成できるため、ケースは省略することができる。
【0052】
また、初期の状態において、針先保護部42は穿刺針5の外面に直接接しているが、初期の状態において、筒状部材60の外面に針先保護部42が接する形でもよい。このようにすることで、針を引き抜く際の針先保護部42と穿刺針5間の摺動抵抗を低減することができる。
【0053】
また、遮断解除防止機構が、突出部47を被覆する被覆部67である場合について説明したが、遮断解除防止機構は、針先の遮断が解除されることを防止できる如何なる構造で構成されてもよい。例えば、遮断解除防止機構は、ケースの内面から内側に突出する第1可撓片としてもよいし、針先保護部の外面から外側に突出する第2可撓片を含んでもよい。すなわち、付勢部材の付勢力によって、針先保護部がケースに対して相対移動する際に、第1可撓片或いは第2可撓片が針先保護部或いはケースに設けられた突起等を乗り越えて針先が遮断位置に到達した後に、針先保護部が初期の位置に戻らないようにしてもよい。
【0054】
又は、上述の被覆部67の内面に内側に突出する可撓片を設けて、突出部47がその可撓片を一度乗り越えて、針先が遮断位置に到達した後に、突出部47がその可撓片を乗り越えることができないようにしてもよい。このようにすると、遮断解除防止機構を、2重の解除防止構造とすることができる。また、付勢部材を、コイルバネ43で構成したが、付勢部材は、針先保護部を付勢できる如何なる部材で構成してもよく、例えば、板バネ等で構成してもよい。また、土台又は安全機構には、土台と安全機構が外れることによって外面に表れる表示部を設けてもよい。例えば、土台の底面や側面にロゴや特定の色やマークを印字し、土台から針先保護部が外れることで初めて外部から視認できるようにしてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図10は、安全機構140が動作していない状態の第2実施形態の針組立体101を、高さ方向の斜め上側から見たときの斜視図である。より詳しくは、
図10は、土台110の第1係止部に安全機構140の第2係止部が係止している係止状態の第2実施形態の針組立体101をZ方向の斜め上側から見たときの斜視図である。また、
図11は、安全機構140が動作していない状態の針組立体101を、Z方向の斜め下側から見たときの斜視図である。
【0056】
また、
図12は、安全機構140が土台110から離脱している離脱状態の針組立体101を、Z方向の斜め上側から見たときの斜視図であり、
図13は、離脱状態の針組立体101を、Z方向の斜め下側から見たときの斜視図である。また、
図14は、離脱状態の針組立体101を、側方側から見たときの斜視図であり、
図15は、針組立体101の安全機構140の動作を説明する模式断面図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成に第1実施形態と同一の参照番号を付して説明を省略する。また、第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果及び変形例についての説明を省略する。
【0057】
図10及び
図11に示すように、針組立体101は、中空の穿刺針5、土台110、安全機構140、及びハブ70を備える。
図12に示すように、土台110は、略矩形の平板で構成される底板部111と、底板部111の縁部からZ方向上側に突出する壁部118を有する。壁部118は、Y方向に間隔をおいてX方向に延在する2つの一方向延在壁113を含む。一方向延在壁113は、略矩形の形状を有する。底板部111と壁部118は、高さ方向上側に開口する収容凹部112を画定する。収容凹部112には、安全機構140の下側端部が収容される。底板部111は、X方向一方側における2つの一方向延在壁113のY方向中間部に穿刺針5を通過させる貫通孔119を有する。貫通孔119は、穿刺針5が通過する通過部の一例である。
【0058】
図15に示すように、安全機構140は、ケース141、針先保護部42、付勢部材の一例としてのコイルバネ43、及び筒状部材60を有する。安全機構140の穿刺針5の針先の遮断動作は、第1実施形態の安全機構40と同一であるので説明を省略する。
図15に示すように、ケース141は、Z方向上側に貫通孔151を有し、
図13及び
図15に示すように、ケース141は、Z方向下側に貫通孔152を有する。各貫通孔151,152は、穿刺針5を通過させる孔である。
【0059】
図12及び
図13に示すように、一方向延在壁113は、Y方向内側にX方向に延在する溝116を有する。溝116は、Y方向内側に開口すると共にX方向一方側に開口する。また、ケース141は、Y方向の両側側面にX方向に延在する突条部117を有する。
図10に示す係止状態で、ケース141の2つの突条部117は、2つの一方向延在壁113の溝116に嵌合する。溝116は、第1係止部の一例であり、突条部117は、第2係止部の一例である。
【0060】
上記構成において、針組立体101を介して所定量の液体を体内に注入し終えると、次に説明する動作で、穿刺針5を体内から抜き取る。詳しくは、人は、把持部72を、2つの羽根75同士が接触するように摘まんで、土台10から引き離すようにZ方向上側に移動させる。すると、
図15(b)に示すように、穿刺針5の針先が、Z方向上側に移動して皮膚から抜け出て、更に、針先保護部42の先端面52よりもZ方向上側の遮断位置まで移動し、先端面52と非接触となる。
【0061】
すると、針先保護部42がコイルバネ43からX方向一方側の力を受けてX方向一方側に移動し、針先保護部42の底部42aが、穿刺針5の針先の先端側に位置して、穿刺針5の針先を外部に対して遮断し、その結果、穿刺針5が、皮膚に接触することが不可能になる。
【0062】
把持部72を、更に、Z方向上側に移動させると、穿刺針5の針先部が、筒状部材60に引っ掛かって、筒状部材60が、穿刺針5からの力によって土台10に対してZ方向上側に移動し、筒状部材60のフランジ61が、ケース141のZ方向上側の内面部に係止される。筒状部材60は、安全機構140に対する穿刺針5の相対移動を規制する規制部を構成する。その後、フランジ61がケース141に付与するZ方向上側の力が、突条部117が溝116からZ方向上側に離脱する力以上の力になるように、把持部72を、更に、Z方向上側に引っ張る。すると、
図12~
図14に示すように、安全機構140が土台110から離脱して、土台110から切り離される。
【0063】
Z方向上側に移動する穿刺針5の針先部から受ける力で筒状部材60がZ方向上側に移動する。ケース141のZ方向上側の内面部に係止するフランジ61からの力でケース141がZ方向上側に移動するようになっていると共に、安全機構40の動作前においては、穿刺針5と安全機構40との間で生じる抵抗力(摩擦抵抗等)が、土台10と安全機構40との第1係止部及び第2係止部との間で生じる抵抗力に比して小さくなっているので、
図15(b)に示すように、安全機構140が土台110から離脱するタイミングでは、必ず穿刺針5の針先が遮断位置に位置する。よって、安全機構140が動作した後で穿刺針5が皮膚に接触することを確実に防止することができる。
【0064】
以上、第2実施形態の針組立体101では、安全機構140が、穿刺針5の相対移動を規制する規制部(筒状部材60)、及び穿刺針5の針先が遮断位置に到達すると針先を外部に対して遮断する遮断部(底部42a)を有する。また、ハブ70が土台110に対して離間する方向に移動すると、筒状部材60により穿刺針5の安全機構140に対する相対移動が規制される。
【0065】
本構成によれば、ハブ70を土台110に対して引き離すように引っ張ったときに、安全機構140に対する穿刺針5の相対移動が筒状部材60によって規制され、穿刺針5が安全機構140と一体となるようにできる。そして、針先が底部42aによって外部に対して遮断された後、安全機構140が筒状部材60から受ける力によって第1係止部(溝116)と第2係止部(突条部117)の係止が外れるようにできる。本構成によれば、動作した後で土台110から引き離されることが可能になる安全機構140を簡易な構成で作製できる。
【0066】
なお、第2実施形態では、規制部が、係止部を構成するフランジ61を有する筒状部材60で構成される場合について説明した。しかし、規制部は、フラットなディスク状の円環状部材でもよい。又は、規制部は、穿刺針に設けたれた曲げられた部分でもよく、穿刺針に設けたれた潰し部(大径部)でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,101 針組立体、 5 穿刺針、 10,110 土台、 11,111 底板部、 12,112 収容凹部、 13,113 一方向延在壁、 14 他方側壁、 15,17,19,53 凹部、 16 幅広部、 18,50,118 壁部、 40,140 安全機構、 41,141 ケース、 41a ケース本体、 41b キャップ 42 針先保護部、 42a 底部、 43 コイルバネ、 45 本体、 46 側壁、 47 突出部、 47a 先端部、 48 筒状部、 48a 端面、 50a 内面、 52 先端面、 54 突出部、 55 第1貫通孔、 56 第2貫通孔、 57 第1貫通孔、 58 第2貫通孔、 60 筒状部材、 61 フランジ、 67 被覆部、 70 ハブ、 71 本体部、 72 把持部、 73 傾斜部、 74,119,151,152 貫通孔、 75 羽根、 78 突出部、 116 溝、 117 突条部。