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  • 特開-車載カメラ設置構造 図1
  • 特開-車載カメラ設置構造 図2
  • 特開-車載カメラ設置構造 図3
  • 特開-車載カメラ設置構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172216
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車載カメラ設置構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089781
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴裕
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD01
3D020BD02
(57)【要約】
【課題】車両の美観の向上が可能な車載カメラ設置構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる車載カメラ設置構造100は、フロントガラス102のセラミック層106のセラミック開口部108と、カメラ104を保持するホルダ部材112と、レンズ110の周りを囲うフード部材114とを備える。ホルダ部材112は、セラミック開口部108の縁に沿ったホルダ枠状部118と、ホルダ枠状部118の内側に形成されるホルダ開口部120とを有する。フード部材114は、ホルダ部材112に沿った形状のフード前端部122と、フード前端部122の内側に形成されるフード開口部124とを有する。フード開口部124はホルダ開口部120よりも大きく開口し、フード前端部122はホルダ開口部120の外側を囲った状態になっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスの車室側に前方撮影用のカメラを設置する車載カメラ設置構造において、
前記フロントガラスの所定範囲に定着されるセラミック層と、
前記セラミック層の所定範囲を開口させたセラミック開口部と、
前記セラミック開口部に向けて前記カメラを保持するホルダ部材と、
前記カメラのレンズの周りを囲うフード部材とを備え、
前記ホルダ部材は、
前記セラミック開口部の縁に沿った枠状に設けられて前記フロントガラスに取り付けられるホルダ枠状部と、
前記ホルダ枠状部の内側に形成されるホルダ開口部とを有し、
前記フード部材は、
前記ホルダ枠状部に到達している該ホルダ枠状部に沿った形状のフード前端部と、
前記フード前端部の内側に形成されるフード開口部とを有し、
前記フード開口部は前記ホルダ開口部よりも大きく開口し、前記フード前端部は該ホルダ開口部の外側を囲った状態になっていることを特徴とする車載カメラ設置構造。
【請求項2】
前記フード前端部の下縁部分は、下方に凸になるよう湾曲していて、
前記フード部材の中底は、前記レンズの下方から前記ホルダ開口部の下方に向かって斜め下方に延びつつ車幅方向中央が次第に下方に凸に湾曲して前記下縁部分につながっていることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラ設置構造。
【請求項3】
前記ホルダ枠状部は、前記セラミック開口部の縁に重なっていて、
前記ホルダ開口部は、前記セラミック開口部よりも小さく開口して該セラミック開口部の範囲内に収まっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車載カメラ設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載カメラ設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両は、フロントガラスの車内側に車両前方を撮影するカメラが備えられていることが多い。例えば特許文献1の図2では、フロントガラス2の車内側に接着剤によってブラケット3が取り付けられ、このブラケット3に車載カメラ1が保持された状態になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6937923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した引用文献2の図2では、車載カメラ1の車両前側において、フロントガラス2との間に隙間が生じている。この隙間はユーザが車外からフロントガラス2を見降ろしたときに目立つことがあり、場合によっては隙間から車室内の構造物が露出して、車両の美観を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、車両の美観の向上が可能な車載カメラ設置構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車載カメラ設置構造の代表的な構成は、車両のフロントガラスの車室側に前方撮影用のカメラを設置する車載カメラ設置構造において、フロントガラスの所定範囲に定着されるセラミック層と、セラミック層の所定範囲を開口させたセラミック開口部と、セラミック開口部に向けてカメラを保持するホルダ部材と、カメラのレンズの周りを囲うフード部材とを備え、ホルダ部材は、セラミック開口部の縁に沿った枠状に設けられてフロントガラスに取り付けられるホルダ枠状部と、ホルダ枠状部の内側に形成されるホルダ開口部とを有し、フード部材は、ホルダ枠状部に到達しているホルダ部材に沿った形状のフード前端部と、フード前端部の内側に形成されるフード開口部とを有し、フード開口部はホルダ開口部よりも大きく開口し、フード前端部はホルダ開口部の外側を囲った状態になっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の美観の向上が可能な車載カメラ設置構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る車載カメラ設置構造を示す図である。
図2図1のフロントガラスを正面から示した図である。
図3図2(a)の車載カメラ設置構造のA-A断面における断面斜視図である。
図4図2(a)の車載カメラ設置構造の各断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車載カメラ設置構造は、車両のフロントガラスの車室側に前方撮影用のカメラを設置する車載カメラ設置構造において、フロントガラスの所定範囲に定着されるセラミック層と、セラミック層の所定範囲を開口させたセラミック開口部と、セラミック開口部に向けてカメラを保持するホルダ部材と、カメラのレンズの周りを囲うフード部材とを備え、ホルダ部材は、セラミック開口部の縁に沿った枠状に設けられてフロントガラスに取り付けられるホルダ枠状部と、ホルダ枠状部の内側に形成されるホルダ開口部とを有し、フード部材は、ホルダ枠状部に到達しているホルダ枠状部に沿った形状のフード前端部と、フード前端部の内側に形成されるフード開口部とを有し、フード開口部はホルダ開口部よりも大きく開口し、フード前端部はホルダ開口部の外側を囲った状態になっていることを特徴とする。
【0010】
上記構成では、フード前端部は、ホルダ枠状部に到達しつつ、ホルダ開口部の外側を囲った状態になっている。したがって、ユーザが車外からフロントガラスを覗き込んだとしても、フード前端部はホルダ枠状部に隠れて視認できない。よって、フード前端部とホルダ枠状部の間の見切り線から車室内の構造物が露出することを回避でき、車外のユーザから見て見栄えが良く、車両の美観を向上させることができる。
【0011】
上記のフード前端部の下縁部分は、下方に凸になるよう湾曲していて、フード部材の中底は、レンズの下方からホルダ開口部の下方に向かって斜め下方に延びつつ車幅方向中央が次第に下方に凸に湾曲して下縁部分につながっていてもよい。
【0012】
上記構成では、フード前端部の下縁が下方に凸になるよう湾曲していて、これに応じてフード部材の中底も下方に凸に湾曲している。すなわち、フード部材の中底やフード前端部は、カメラのレンズの画角に沿って湾曲した形状になっていて、カメラの撮影可能範囲を好適に確保することが可能になっている。これに応じて、セラミック開口部も湾曲した形状に設けることができ、カメラの撮影可能範囲を確保すると共に、画角から外れる範囲はセラミック層を省略するなど、フロントガラスに対する配置の自由度も向上する。
【0013】
上記のホルダ枠状部は、セラミック開口部の縁に重なっていて、ホルダ開口部は、セラミック開口部よりも小さく開口してセラミック開口部の範囲内に収まっていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、ホルダ枠状部がセラミック開口部の縁に重なっているため、車外からフロントガラスを見たときにセラミック開口部とホルダ部材との間に隙間が生じず、車室内の構造物の露出を防ぐことができる。よって、車外のユーザに対する見栄えが良く、車両の美観を向上させることができる。
【実施例0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施例に係る車載カメラ設置構造100を示す図である。以下、図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0017】
当該車載カメラ設置構造100は、フロントガラス102の車室側の上部に前方撮影用のカメラ104(図4(a)参照)を設置するための構造である。本実施例の車載カメラ設置構造100は、カメラ104をフロントガラス102の上部中央に設けていて、映像の記録や運転支援など、様々な用途に利用することが可能になっている。
【0018】
図2は、図1のフロントガラス102を正面から示した図である。図2(a)は、図1のフロントガラス102の全体を示している。
【0019】
フロントガラス102には、上縁、下縁、そして左右の側縁に沿って、セラミック層106が設けられている。セラミック層106は、フロントガラス102の製造工程においてフロントガラス102の表面に定着され、フロントガラス102の車体への接着に使うシーラの目隠しや、日差しを軽減する役割を担っている。
【0020】
当該車載カメラ設置構造100は、セラミック層106のうちフロントガラス102の上縁に沿った箇所にて、その車幅方向中央の範囲に設けられている。
【0021】
図2(b)は、図2(a)の車載カメラ設置構造100の拡大図である。当該車載カメラ設置構造100は、セラミック層106に横長の台形に近い形に開口させたセラミック開口部108を設け、このセラミック開口部108の車室側にレンズ110が車両前方を向くようにカメラ104を設置している。
【0022】
図3は、図2(a)の車載カメラ設置構造100のA-A断面における断面斜視図である。車載カメラ設置構造100には、ホルダ部材112およびフード部材114が含まれている。
【0023】
ホルダ部材112は、セラミック開口部108に向けてカメラ104(図4(a)参照)およびフード部材114を保持する部材であって、セラミック開口部108の車室側にてフロントガラス102に接着等によって取り付けられている。
【0024】
フード部材114は、カメラ104(図4(a)参照)のレンズ110の周りを囲うひさしの役割を担う部材である。フード部材114は、カメラ104のレンズ110がはめ込まれるレンズ設置部116を有し、レンズ設置部116からセラミック開口部108に向かって次第に広がる形状になっている。
【0025】
図4は、図2(a)の車載カメラ設置構造100の各断面図である。図4(a)は、図2(a)の車載カメラ設置構造100のA-A断面図である。
【0026】
ホルダ部材112は、ホルダ枠状部118を有している。ホルダ枠状部118は、セラミック開口部108の縁に沿った枠状に設けられて、セラミック開口部108の縁に重なった状態でフロントガラス102に取り付けられる。ホルダ枠状部118の内側には、セラミック開口部108に沿って開口したホルダ開口部120が形成されている。
【0027】
フード部材114は、カメラ104のレンズ110の周囲からセラミック開口部108の周囲に向かって延びた状態になっている。特に、フード部材114の車両前側の端部であるフード前端部122は、ホルダ枠状部118の車室側に沿った枠状に設けられていて、ホルダ枠状部118に到達する位置まで延び、内側にフード開口部124を形成している。
【0028】
図4(b)は、図2(b)の車載カメラ設置構造100のB-B断面図である。フード前端部122が形成するフード開口部124は、ホルダ開口部120よりも大きく開口している。よって、フード前端部122は、ホルダ開口部120の外側を囲った状態になっている。
【0029】
本実施例では、フード前端部122は、ホルダ枠状部118に到達しつつ、ホルダ開口部120の外側を囲った状態になっている。したがって、ユーザが車外からフロントガラス102を覗き込んだとしても、フード前端部122はホルダ枠状部118に隠れて視認できない。よって、フード前端部122とホルダ枠状部118の間の見切り線126から車室内の構造物が露出することを回避でき、車外のユーザから見て見栄えが良く、これによって車両の美観を向上させることができる。
【0030】
本実施例では、ホルダ枠状部118は、セラミック開口部108の縁に重なった状態でフロントガラス102の車内側に設置される。そして、ホルダ枠状部118が形成するホルダ開口部120は、セラミック開口部108よりも小さく開口していて、セラミック開口部108の範囲内に収まっている。
【0031】
上記構成によれば、ホルダ枠状部118がセラミック開口部108の縁に重なっているため、車外からフロントガラス102を見たときにセラミック開口部108とホルダ部材112との間に隙間が生じず、車室内の構造物の露出を防ぐことができる。
【0032】
図3に示したように、フロントガラス102は曲面であり、フロントガラス102を斜めから覗き込んだときにホルダ部材112との間で隙間が生じやすい傾向がある。本実施例によれば、ホルダ部材112のホルダ枠状部118がセラミック開口部108の縁を覆い隠す構成になっていることで、車室内の構造物を車外から視認できないようにして、車外のユーザに対する見栄えを良くして車両の美観を向上させることができる。
【0033】
本実施例では、セラミック層106に形成されるセラミック開口部108は、ホルダ開口部120よりも面積が広くなるよう設けられている。よって、セラミック層106がカメラ104に写り込むことを防ぐことができる。また、セラミック開口部108がホルダ開口部120よりも広いことで、ホルダ部材112を設置するときに誤差が生じてもカメラ104の画角にセラミック開口部108の縁が入ることを防ぎ、当該誤差を吸収することができる。
【0034】
図4(a)に示すように、フード部材114の中底130は、レンズ110の下方からホルダ開口部120の下方に向かって斜め下方に延びている。そのため、フード部材114の中底130は、後側のレンズ設置部116の部分に比べて、前側の下縁部分128の部分のほうが、上下方向において低い位置になるよう形成されている。
【0035】
図2(b)に示すように、本実施例では、フード前端部122の下縁部分128は、中央側が下方に凸になるよう湾曲した状態に形成されている。このとき、フード部材114の中底130は、レンズ設置部116の部分が直線的に形成されている一方で、レンズ110からホルダ開口部120に近づくほど中央側が次第に下方に凸に湾曲し、そして下方に凸に湾曲した下縁部分128(図2(b)参照)が形成されている。すなわち、フード部材114の中底130やフード前端部122は、カメラ104のレンズ110の画角に沿って湾曲した形状になっていて、カメラ104の撮影可能範囲を好適に確保することが可能になっている。
【0036】
また、本実施例では、上述したフード部材114の中底130および下縁部分128の下方に凸に湾曲した形状に応じて、セラミック開口部108も下縁132が下方に湾曲した形状に設けることができる。この構成によっても、カメラ104の撮影可能範囲を確保すると共に、画角から外れる範囲はセラミック層106を省略してフロントガラス102の可視光透過率の高い部分をより広く確保するなど、フロントガラス102に対する配置の自由度も向上する。
【0037】
より詳しくは、セラミック開口部108は、下縁132の中央が下方に凸に湾曲し、左右の角部134a、134bが高い位置になるよう形成することができる。フロントガラス102の主要な範囲は所定の可視光透過率を有するよう規制されているところ、上記構成によればセラミック層106の範囲が車幅方向に広がらないようにして、フロントガラス102の可視光透過率の高い範囲をより広く確保することが可能になる。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、車載カメラ設置構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
100…車載カメラ設置構造、102…フロントガラス、104…カメラ、106…セラミック層、108…セラミック開口部、110…レンズ、112…ホルダ部材、114…フード部材、116…レンズ設置部、118…ホルダ枠状部、120…ホルダ開口部、122…フード前端部、124…フード開口部、126…見切り線、128…下縁部分、130…中底、132…下縁、134a、134b…角部
図1
図2
図3
図4