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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172221
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A47L15/42 D
A47L15/42 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089788
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】大坂 宏
(72)【発明者】
【氏名】福間 貴一
(72)【発明者】
【氏名】津森 衛
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BD02
3B082BG01
3B082BG02
3B082BG03
(57)【要約】
【課題】洗浄室内に噴射された水が、セパレータの貫通孔を通り、オーバーフローパイプにおける外周面を伝って連通孔に流れ込むことを抑制できる洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機1は、セパレータ30とオーバーフローパイプ40とを備える。セパレータは、平面部31と、平面部を貫通する貫通孔33と、貫通孔を形成する周縁33Aが平面部から筒状に立ち上がる立ち上げ部35とを有する。オーバーフローパイプ40は、筒状本体部41と連通孔41Cと把手部43と円盤状突起45とを有する。オーバーフローパイプは、把手部が立ち上げ部よりも上方に位置するように、かつ、円盤状突起における外周面45Aと立ち上げ部における内周面35Aとが隙間をあけて互いに対向するように、かつ、連通孔が平面部よりも下方に位置するような状態で、排出孔15Bに差し込まれている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収容する洗浄室と、
前記洗浄室の下方に配置され、前記洗浄室内に噴射される水を貯留する洗浄水タンクと、
前記洗浄室と前記洗浄水タンクとを仕切るように配置され、前記被洗浄物に噴射された水によって前記被洗浄物から流れ落ちる固形物をフィルタに案内するセパレータと、
前記洗浄水タンクに貯留された水を排出する排出孔に抜き差し可能に設けられ、前記洗浄水タンクにおける規定水位を超えた水を機外に排出するオーバーフローパイプと、を備え、
前記セパレータは、
平面部と、
前記平面部を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔を形成する周縁が前記平面部から筒状に立ち上がる立ち上げ部と、を有し、
前記オーバーフローパイプは、
前記貫通孔を貫通するように鉛直方向に延在する筒状本体部と、
前記筒状本体部における外周面と内周面との間を貫通する連通孔と、
前記オーバーフローパイプを前記排出孔に抜き差しするときに把持される把手部と、
前記把手部よりも鉛直方向下方に形成され、前記筒状本体部の外周面から径方向に突出する円盤状突起と、を有しており、
前記オーバーフローパイプは、前記把手部が前記立ち上げ部よりも上方に位置するように、かつ、前記円盤状突起における外周面と前記立ち上げ部における内周面とが隙間をあけて互いに対向するように、かつ、前記連通孔が前記平面部よりも下方に位置するような状態で、前記排出孔に差し込まれている、洗浄機。
【請求項2】
前記立ち上げ部は、前記平面部から曲線部を介して立ち上がっている、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記円盤状突起における上面の少なくとも一部は、前記円盤状突起における外周面に向かって下方に傾斜するように形成されている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記円盤状突起における外周面の下端部は、前記立ち上げ部における内周面の下端部よりも上方に位置している、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項5】
前記円盤状突起における外周面の上端部は、前記立ち上げ部における内周面の上端部よりも下方に位置している、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項6】
前記円盤状突起における外周面の上端部と前記立ち上げ部における内周面との水平方向における隙間距離は、前記円盤状突起における外周面の下端部と前記立ち上げ部における内周面との水平方向における隙間距離よりも小さく、かつ、前記立ち上げ部における内周面の内径は、鉛直方向上方から下方に向かうに連れて徐々に広がっている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機が広く知られている。このような洗浄機では、洗浄室内に被洗浄物を収容した後に開閉扉等で洗浄室を密閉し、洗剤が混ぜられた洗浄水を食器に噴射して洗浄を行う(洗浄工程)。洗浄工程では、洗浄室下部に設けられた洗浄水タンクに規定水位にまで貯留された洗浄水が循環使用される。洗浄水で洗浄された後、被洗浄物は、洗浄水タンクとは別の濯ぎ水タンクに貯留された清潔な濯ぎ水が噴射される(濯ぎ工程)。食器を濯いだ濯ぎ水は、洗浄水タンク内に流れ込み、次回の洗浄工程で利用される。洗浄水タンクには、例えば特許文献1に開示されているような、規定水位を超えた水を機外に排出するオーバーフローパイプが設けられている。オーバーフローパイプには、その周面に連通孔が形成されている。洗浄水タンクにおいて規定水位を超えた水は、この連通孔に流れ込み、オーバーフローパイプを介して機外に排出される。
【0003】
このようなオーバーフローパイプは、洗浄水タンクの底面部に形成された排水孔に対して抜き差し可能に構成されており、この排水孔からオーバーフローパイプを抜き出すことで、洗浄水タンクに貯留された水を全排水することが可能となっている。オーバーフローパイプの上端部には、オーバーフローパイプの外周面から径方向に突出する円盤状の把持部が形成されている。作業者は、把持部を把持して、オーバーフローパイプの排水孔への抜き差し作業を実施する。
【0004】
また、このような洗浄機では、洗浄室と洗浄水タンクとを仕切るように配置され、洗浄室内に噴射された水によって被洗浄物から流れ落ちた残菜等の固形物をフィルタに案内するセパレータが配置されている。セパレータにはオーバーフローパイプを貫通可能な貫通孔が設けられており、オーバーフローパイプは、円盤状の把持部がセパレータの上方に位置する状態、かつ筒状本体部が貫通孔に挿入された状態で、その先端が排水孔に差し込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4584013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の洗浄機では、オーバーフローパイプがセパレータの貫通孔に貫通されているので、洗浄室内に噴射された水の一部は、オーバーフローパイプの外周面と貫通孔の内周面との間を通り、オーバーフローパイプの外周面を伝って、当該外周面に形成された連通孔に流れ込むことがある。このように、規定水位を超えた水だけでなく、意図しない水がオーバーフローパイプから機外に排出されると、洗浄水タンクに貯留される水が減少する。洗浄水タンクに貯留される水が減少すると、例えば、洗浄水タンクに貯留された水を洗浄室に供給する洗浄ポンプがエア噛みを起こして、エア噛み音が大きくなったり、洗浄室への洗浄水の供給が停止したりする等の不具合が発生する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、洗浄室内に噴射された水が、セパレータの貫通孔を通り、オーバーフローパイプにおける外周面を伝って連通孔に流れ込むことを抑制できる洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一側面に係る洗浄機は、被洗浄物を収容する洗浄室と、洗浄室の下方に配置され、洗浄室内に噴射される水を貯留する洗浄水タンクと、洗浄室と洗浄水タンクとを仕切るように配置され、被洗浄物に噴射された水によって被洗浄物から流れ落ちる固形物をフィルタに案内するセパレータと、洗浄水タンクに貯留された水を排出する排出孔に抜き差し可能に設けられ、洗浄水タンクにおける規定水位を超えた水を機外に排出するオーバーフローパイプと、を備え、セパレータは、平面部と、平面部を貫通する貫通孔と、貫通孔を形成する周縁が平面部から筒状に立ち上がる立ち上げ部と、を有し、オーバーフローパイプは、貫通孔を貫通するように鉛直方向に延在する筒状本体部と、筒状本体部における外周面と内周面との間を貫通する連通孔と、オーバーフローパイプを排出孔に抜き差しするときに把持される把手部と、把手部よりも鉛直方向下方に形成され、筒状本体部の外周面から径方向に突出する円盤状突起と、を有しており、オーバーフローパイプは、把手部が立ち上げ部よりも上方に位置するように、かつ、円盤状突起における外周面と立ち上げ部における内周面とが隙間をあけて互いに対向するように、かつ、連通孔が平面部よりも下方に位置するような状態で、排出孔に差し込まれている。
【0009】
この構成の洗浄機では、筒状本体部から径方向に突出する円盤状突起が形成され、円盤状突起における外周面と立ち上げ部における内周面との間の隙間から水が流れ出る。この隙間は、筒状本体部の外周面から水平方向に離れた位置に形成されているので、隙間から流れ出た水が筒状本体部における外周面を伝うことが抑制される。また、円盤状突起の上面を伝って上記隙間に流れ込む水は、径方向外側に向かう流れを有しているので、上記隙間の下端から径方向外側に向かって流れ出ようとする。これにより、洗浄室内に噴射された水が、セパレータの貫通孔を通り、オーバーフローパイプにおける外周面を伝って連通孔に流れ込むことを抑制できる。
【0010】
(2)上記(1)に記載の洗浄機では、立ち上げ部は、平面部から曲線部を介して筒状に立ち上がっていてもよい。この構成では、円盤状突起における外周面と立ち上げ部における内周面との間の隙間から流れ出た水は、曲線部によって平面部の下面方向に案内され、平面部の下面をしばらく伝った後、洗浄水タンク内に落下するようになる。これにより、上記隙間から流れ出た水が筒状本体部における外周面を伝うことがより確実に抑制される。
【0011】
(3)上記(1)又は(2)に記載の洗浄機では、円盤状突起における上面の少なくとも一部は、円盤状突起における外周面に向かって下方に傾斜するように形成されていてもよい。この構成では、円盤状突起の上面を伝って隙間に流れ込む水の径方向外側に向かう速度を高めることができる。これにより、平面部の下面に案内される水の量を増やすことが可能となる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)の何れか一つに記載の洗浄機では、円盤状突起における外周面の下端部は、立ち上げ部における内周面の下端部よりも上方に位置していてもよい。この構成では、上記の隙間に流れ込んだ水は、立ち上げ部における内周面の下端部付近で表面張力が働きやすくなり、立ち上げ部側の内周面を伝って下方に水が流れやすくなる。これにより、平面部の下面に水が誘導され易くなる。
【0013】
(5)上記(1)~(4)の何れか一つに記載の洗浄機では、円盤状突起における外周面の上端部は、立ち上げ部における内周面の上端部よりも下方に位置していてもよい。この構成では、円盤状突起の上面を流れてきた水は、立ち上げ部の内周面によって受け止められて、そのまま隙間に案内される。これにより、隙間に案内された水は、立ち上げ部の内周面に沿う流れとなり易くなる。
【0014】
(6)上記(1)~(5)の何れか一つに記載の洗浄機では、立ち上げ部における内周面の内径は、上方から下方に向かって徐々に大きくなるように形成されていると共に、円盤状突起における外周面の上端部と立ち上げ部における内周面との水平方向における隙間距離は、円盤状突起における外周面の下端部と立ち上げ部における内周面との水平方向における隙間距離よりも小さくてもよい。この構成では、隙間は、上から下に向かうにつれ、径方向外側に向かって広がっているので、上方から流れ込む水(特に円盤状突起の上面を伝って上記隙間に流れ込む水)は、径方向外側に向かって流れやすくなり、円盤状突起の外周面側と流れ込む水との隙間が大きくなって、外周面側に発生する表面張力が弱くなる。これにより、隙間の下端部において立ち上げ部側に流れ易くなり、平面部の下面に水が誘導され易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗浄室内に噴射された水が、セパレータの貫通孔を通り、オーバーフローパイプにおける外周面を伝って連通孔に流れ込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図2図2は、図1に示される食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、下側ノズルを取り外した状態を示す斜視図である。
図4図4(A)は、オーバーフローパイプの正面図である。図4(B)は、オーバーフローパイプを延在方向に切断した断面図である。図4(C)は、オーバーフローパイプと排水孔との接続部を拡大して示した断面図である。
図5図5(A)は、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。図5(B)は、図5(A)に示される上端部近傍における水の流れを説明した図である。
図6図6(A)は、変形例1の構成において、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。図6(B)は、変形例2の構成において、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。
図7図7(A)は、変形例3の構成において、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。図7(B)は、変形例4の構成において、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。
図8図8(A)は、従来構成において、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。図8(B)は、他の従来構成において、セパレータに貫通されたオーバーフローパイプを延在方向に切断したときの上端部近傍の断面図である。
図9図9は、第二実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図10図10は、図9に示される食器洗浄機の概略構成を示す図である。
図11図11は、図9に示されるドア部の後面を示す斜視図である。
図12図12は、図9に示される収容部の内部構成を示す斜視図である。
図13図13(A)は、第二板バネ部材に接触するローラを拡大して示した斜視図である。図13(B)は、アーム部に取り付けられたローラを拡大して示した斜視図である。図13(C)は、Oリング取り外された状態のローラを拡大して示した斜視図である。
図14図14(A)は、開状態となる直前のドア部を示した斜視図である。図14(B)は、開状態となるドア部を示した斜視図である。
図15図15は、洗浄ポンプユニットを斜め上方から見たときの斜視図である。
図16図16は、洗浄ポンプユニットの取付方法の説明に用いられる図である。
図17図17(A)は、ファンモータを取り付けるためのブラケットを示した斜視図である。図17(B)は、ブラケットにファンモータが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図18図18は、機械室の後部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
(第一実施形態)
以下の説明においては、説明の便宜のため、図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向(幅方向))を定義する。図1及び図2に示されるように、食器洗浄機(洗浄機)1は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体2を有している。洗浄機本体2は、洗浄室3が形成された上側部分2Aと、機械室4が形成された下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2の背面側におけるコーナ部には、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置され、支柱6,6間には背面パネル5が配置されている。
【0019】
洗浄機本体2の上側部分2Aには、洗浄室3の開閉を行うための箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレス製の一対の支柱6,6により上下動自在に案内されると共に、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。
【0020】
このハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7が上下運動可能となっている。洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられている。
【0021】
図2に示されるように、洗浄室3内には、ラックレール10が着脱自在に配置されており、このラックレール10上に、飲食後の皿や茶碗等の食器(被洗浄物)Dが並べられた格子状の食器ラックが載置される。洗浄室3の上部には、上側ノズル11が配置されている。洗浄室3の下部には、下側ノズル12が配置されている。
【0022】
上側ノズル11は、洗浄室3の上方に設けられた上部支持体13に回転自在に設けられている。上側ノズル11は、上側ノズル11における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在する本体部11Aを有している。本体部11Aには、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔(図示省略)と、回転中心から洗浄噴射孔(図示省略)まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路(図示省略)と、濯ぎ水タンク19に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔(図示省略)と、回転中心から濯ぎ噴射孔まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路(図示省略)と、が一体的に形成されている。
【0023】
上側ノズル11は、洗浄流路に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル11には、上部支持体13を介して、洗浄流路に洗浄水を供給する第一洗浄水吐出管18A及び濯ぎ流路に濯ぎ水を供給する第一濯ぎ水吐出管22Aが接続されている。
【0024】
上側ノズル11は、上部支持体13から本体部11Aを着脱する着脱機構(図示省略)を備えている。着脱機構は、例えば、一対のつまみ部(図示省略)を有している。上側ノズル11は、着脱機構の一対のつまみ部を操作することによって、上部支持体13において着脱される。
【0025】
下側ノズル12は、洗浄室3の下方に設けられた下部支持体14に回転自在に設けられている。下側ノズル12は、下側ノズル12における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在する本体部12Aを有している。本体部12Aには、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔(図示省略)と、回転中心から洗浄噴射孔まで延在すると共に洗浄水が流通する洗浄流路(図示省略)と、濯ぎ水タンク19に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔(図示省略)と、回転中心から濯ぎ噴射孔まで延在すると共に濯ぎ水が流通する濯ぎ流路と、が一体的に形成されている。
【0026】
下側ノズル12は、洗浄流路に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル12には、洗浄流路に洗浄水を供給する第二洗浄水吐出管18B及び濯ぎ流路に濯ぎ水を供給する第二濯ぎ水吐出管22Bが接続されている。下側ノズル12及び下部支持体14は、ノズル構造を構成している。
【0027】
下側ノズル12は、下部支持体14から本体部12Aを着脱する着脱機構(図示省略)を備えている。着脱機構は、例えば、一対のつまみ部(図示省略)を有している。下側ノズル12は、着脱機構の一対のつまみ部を操作することによって、下部支持体14において着脱される。
【0028】
洗浄室3の底部には、機械室4内に突出するように洗浄水タンク15が設けられている。洗浄水タンク15の前面には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ17が接続されている。洗浄ポンプ17の吐出口には洗浄水吐出管18が接続されている。洗浄水吐出管18は、第一洗浄水吐出管18Aと第二洗浄水吐出管18Bとに分岐する。第一洗浄水吐出管18Aは上側ノズル11に接続され、第二洗浄水吐出管18Bは下側ノズル12に接続されている。洗浄水タンク15の底面15Aには、洗浄水タンク15に貯留された水を排出する排出孔15Bが形成されており、排出孔15Bには排水管25が接続されている。排水管25は、洗浄水タンク15に接続される接続部25A(図4(C)参照)を有している。
【0029】
機械室4内には、外部から給水管(図示せず)を介して濯ぎ水が供給される濯ぎ水タンク19が配置されている。濯ぎ水タンク19には、濯ぎ水吸込管20を介して濯ぎポンプ21が接続されている。濯ぎポンプ21の吐出口には濯ぎ水吐出管22が接続されている。濯ぎ水吐出管22は、第一濯ぎ水吐出管22Aと第二濯ぎ水吐出管22Bとに分岐して、第一濯ぎ水吐出管22Aは上側ノズル11に接続され、第二濯ぎ水吐出管22Bは下側ノズル12に接続されている。
【0030】
機械室4内には、食器洗浄機1の動作全般を制御するコントローラ23が内蔵された電装ボックス(図示せず)等が収容されている。
【0031】
続いて、本実施形態の一つの特徴部であるセパレータ30と、オーバーフローパイプ40とについて、詳細に説明する。
【0032】
図2図5に示されるように、セパレータ30は、洗浄室3と洗浄水タンク15との間において、洗浄室3と洗浄水タンク15とを仕切るように配置されている。セパレータ30は、板状の部材であり、洗浄機本体2に対して着脱自在に配置されている。セパレータ30は、板部分である平面部31と、平面部31を板厚方向に貫通する開口部37と、平面部31を板厚方向に貫通すると共にオーバーフローパイプ40が挿入される貫通孔33と、貫通孔33を形成する周縁33Aが平面部31から円筒状に立ち上がる立ち上げ部35と、を有している。立ち上げ部35は、平面部31から曲線部35Bを介して円筒状に立ち上がっている。すなわち、立ち上げ部35は、曲線部35Bと直線部35Cとを有している。立ち上げ部35は、バーリング加工によって形成されている。
【0033】
開口部37には、フィルタ39が着脱自在に設けられている。フィルタ39は、水と共にフィルタ39に流れてくる残菜等の固形物を、水と固形物とに分離する。本実施形態のフィルタ39は、線状部材を編んだようなメッシュ状に形成されており、フィルタ39に流れ込んだ水及び固形物について、水は通過させつつ、網目以上の大きさの固形物は通過させないことによって、水と固形物とを分離する。つまり、フィルタ39は、フィルタ39に流れ込んだ水及び固形物について、水を洗浄水タンク15に案内し、固形物をフィルタ39上に残す。フィルタ39は、洗浄水タンク15に向かって下方に凹形状であり、取り外すときに固形物を収容したまま取り外すことができる。セパレータ30は、食器D等に噴射された水及び食器Dから流れ落ちた固形物をフィルタ39に案内する。セパレータ30の平面部31では大部分が水平に形成されているが、所々がフィルタ39へ向けて僅かに傾斜させるように形成されており、平面部31に落ちてきた水は、フィルタ39へと案内される流れとなる。また、セパレータ30は、洗浄水タンク15の上方の開放面部分に蓋をするように取り付けられるので、洗浄時に落ちてきた水が直接洗浄水タンク15内へと入ることは基本的にはない。このため、洗浄時に落ちてきた水は、フィルタ39を介して洗浄水タンク15内に入るようになっているので、セパレータ30はフィルタの一部としても機能する。
【0034】
オーバーフローパイプ40は、上下方向に延在するパイプ状部材であり、洗浄水タンク15において規定水位Hを超えた水を洗浄水タンク15の外部に排水することで、洗浄水タンク15に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ40は、洗浄水タンク15に貯留された水を排出する排出孔15Bに抜き差し可能に設けられる。
【0035】
オーバーフローパイプ40は、筒状本体部41と、連通孔41Cと、把手部43と、円盤状突起45と、接続部49と、を有している。筒状本体部41は、円筒状に形成され、セパレータ30の貫通孔33を貫通するように鉛直方向に延在する部分である。筒状本体部41には、水が流通可能な流路が形成されている。連通孔41Cは、筒状本体部41における外周面41Aと内周面41Bとの間を貫通する。把手部43は、オーバーフローパイプ40を洗浄水タンク15の排出孔15Bに抜き差しするときに把持される部分である。把手部43は、オーバーフローパイプ40の上端に形成されており、筒状本体部41の外周面41Aから径方向に突出するように円盤状に形成されている。
【0036】
円盤状突起45は、把手部43よりも鉛直方向下方に形成され、筒状本体部41の外周面41Aから径方向に突出する。円盤状突起45は、外周面45Aと、筒状本体部41の外周面41Aと円盤状突起45の外周面45Aとを接続する上面45B及び下面45Cと、を有している。接続部49は、洗浄水タンク15の排出孔15Bに抜き差しされると共に、排出孔15Bに接続される排水管25に接続される部分である。接続部49は、外周面49Aが下端ほど細くなるようにテーパ状に形成されている。接続部49は、接続部49の外周面49Aと同様に下端ほど細くなるようにテーパ状に形成された排水管25の接続部25Aの内周面25Aaに差し込まれるように接続される。これにより、オーバーフローパイプ40の接続部49が排水管25の接続部25Aに接続された状態において。洗浄水タンク15に貯留された水の止水が可能となる。
【0037】
オーバーフローパイプ40は、把手部43が立ち上げ部35よりも上方に位置するように、かつ、鉛直方向において円盤状突起45が立ち上げ部35の配置位置に位置するように、かつ、連通孔41Cがセパレータ30の平面部31よりも下方に位置するような状態で、洗浄水タンク15の排出孔15Bに差し込まれている。より詳細には、円盤状突起45は、円盤状突起45における外周面45Aと立ち上げ部35における内周面35Aとが隙間をあけて互いに対向するように、オーバーフローパイプ40が配置されている。
【0038】
上記実施形態の食器洗浄機1における作用効果について説明する。ここで、図8を参照しながら従来のオーバーフローパイプ240と、セパレータ230に対するオーバーフローパイプ240の配置方法について説明する。
【0039】
セパレータ230には、板部分である平面部231と、平面部231を貫通すると共にオーバーフローパイプ240が挿入される貫通孔233と、貫通孔233を形成する周縁233Aが平面部231から円筒状に立ち上がる立ち上げ部235とを有している。オーバーフローパイプ240は、筒状本体部241と、把手部243と、を有している。筒状本体部241は、円筒状に形成され、セパレータ230の貫通孔233を貫通するように鉛直方向に延在する部分である。筒状本体部241には、水が流通可能な流路が形成されている。筒状本体部241には、外周面241Aと内周面241Bとを貫通する連通孔241Cが形成されている。把手部243は、オーバーフローパイプ240を洗浄水タンク15の排出孔15Bに抜き差しするときに把持される部分である。把手部243は、オーバーフローパイプ240の上端に形成されており、筒状本体部241の外周面241Aから径方向に突出するように円盤状に形成されている。
【0040】
オーバーフローパイプ240は、筒状本体部241がセパレータ230の平面部231の貫通孔233に挿入されると共に、把手部243が立ち上げ部235よりも上方に位置するように、かつ、連通孔241Cがセパレータ230の平面部231よりも下方に位置するような状態で、洗浄水タンク15の排出孔15Bに差し込まれている。
【0041】
このような従来の実施態様においては、食器Dに噴射された洗浄水は、図8(A)に示されるように、矢印f1及び矢印f2に示されるような流れで、筒状本体部241の外周面241Aと立ち上げ部235の内周面235Aとの間の隙間に入り込む。このような隙間に入り込んだ水は、矢印f3に示されるような流れで、筒状本体部241の外周面241Aを伝って下方に流れ、連通孔241Cを介して筒状本体部241の内周面241Bに形成される流路に流れ込む。筒状本体部241の流路に流れ込んだ水は、機外に排出される。このように、規定水位を超えた水だけでなく、意図しない水がオーバーフローパイプ240から機外に排出されると、洗浄水タンク15に貯留される水が減少する。洗浄水タンク15に貯留される水が減少すると、例えば、洗浄水タンク15に貯留された水を洗浄室3に供給する洗浄ポンプ17がエア噛みを起こして、エア噛み音が大きくなったり、洗浄室3への洗浄水の供給が停止したりする等の不具合が発生する。
【0042】
そこで、例えば図8(B)に示されるように、把手部243の外縁に下方に垂れ下がる垂下部243Bを設け、筒状本体部241の外周面241Aと立ち上げ部235の内周面235Aとの間の隙間に入り込む水の流れを抑止することも考えられる。しかしながら、セパレータ30に流れ着いた水の一部は、一時的に平面部231に溜まり、図8(B)に示される矢印f4のように波打つ状態となり、やはり筒状本体部241の外周面241Aと立ち上げ部235の内周面235Aとの間の隙間に入り込むので好ましくない。
【0043】
また、立ち上げ部235の高さを高くすることも考えられるが、立ち上げ部235はセパレータ230の平面部231を絞り加工することで形成される。このとき絞り量を大きくして、立ち上げ部235の高さを大きく確保すると、狭い範囲に加工時の大きな力が加わると周囲の平面部231に残留応力が発生し易くなり、立ち上げ部235に歪みや割れ等を発生させる原因となる。セパレータ230に歪みが発生するとセパレータ(仕切)としての機能を果たさなくなるおそれ(セパレータ230を配置したときに隙間ができるおそれ)があるため、立ち上げ部235の高さをあまり大きくすることはできない。なお、立ち上げ部235に該当する部分を平面部231とは別部材によって形成することも考えられる。しかしながら、別部材を平面部231に取り付けるためには、水密加工等、工数やコストがかかり好ましくない。
【0044】
また、実開昭61-190976号公報に記載される発明のように、ブッシングを介して水密にオーバーフローパイプ240を貫通孔233に取り付けることも考えられる。しかしながら、オーバーフローパイプ240は毎日取り外される部材であるため、その取り外しによってブッシングを形成する部材が劣化して、やがて機能を果たさなくなる可能性が高い。したがって、このブッシングを介してオーバーフローパイプ240を貫通孔233に取り付けることも好ましくない。
【0045】
また、特許第4584013号公報に記載された発明のように、セパレータよりも把手部の位置が下方にある場合、把手部の上面に上方から水が流れ落ちて、そこからオーバーフローパイプ240の外周面に回り込み、外周面に形成された連通孔に水が流れ込む可能性は小さい。これに対して、上記実施形態のように、把手部43がセパレータ30よりも上方に位置する場合には、洗浄室3に噴射されて食器を洗った後の水は、一旦セパレータ30の平面部31に流れ落ちるが、平面部31上に流れ落ちた水の全てが瞬時にフィルタ39に案内されるわけではなく、一部の水がある程度溜まった状態となった後にフィルタ39に案内される。このため、オーバーフローパイプ40の周囲にも水が集まり、オーバーフローパイプ40と立ち上げ部35との間からも水が流れ落ちる。
【0046】
なお、特許第4584013号公報に記載された発明のように、セパレータ30よりもオーバーフローパイプ40の把手部43の位置が下方にある場合、排水作業の度にセパレータ30を取り除く必要がある。このため、排水作業の作業性を考慮すると、オーバーフローパイプ40の把手部43の位置をセパレータ30よりも下げる構成とすることも好ましくない。
【0047】
そこで、上記実施形態の食器洗浄機1では、セパレータ30においてオーバーフローパイプ40を貫通させるための貫通孔33が形成され、オーバーフローパイプ40において把手部43とは別に円盤状突起45が形成されている。そして、オーバーフローパイプ40は、把手部43が立ち上げ部35よりも上方に位置するように、かつ、円盤状突起45における外周面45Aと立ち上げ部35における内周面35Aとが隙間をあけて互いに対向するように、かつ、連通孔41Cが平面部31よりも下方に位置するような状態で、洗浄水タンク15の排出孔15Bに差し込まれている。
【0048】
上記実施形態では、図5(A)及び図5(B)に示されるように、円盤状突起45における外周面45Aと立ち上げ部35における内周面35Aとの間の隙間から水が流れ込むところ、上述した本願発明の特徴的な構成によって、図5(B)に示されるF1及びF2に示される矢印のような流れを作り出すことができる。図5(B)に示されるF1の流れは、円盤状突起45の上方に形成された把手部43を伝って円盤状突起45の上面45Bに流れ込む水の流れを示している。図5(B)に示されるF2の流れは、平面部31に流れ落ちた水が平面部31上で波打つことで、立ち上げ部35を乗り越えて円盤状突起45の上面45Bに流れ込む水の流れを示している。
【0049】
上記実施形態の構成では、図5(B)のF1及びF2に示される矢印の流れで隙間に水が流れ込んだ場合、円盤状突起45の上面45Bを伝って上記隙間に流れ込む水は、径方向外側に向かう流れを有しているので、図5(B)のF3に示される矢印の流れのように上記隙間の下端から径方向外側に向かって流れ出ようとする。これにより、洗浄室3内に噴射された水が、セパレータ30の貫通孔33を通り、オーバーフローパイプ40における外周面41Aを伝って連通孔41Cに流れ込むことを抑制できる。仮に、図5(B)のF1及びF2に示される矢印の流れ以外で隙間に水が流れ込んだ場合であっても、この隙間は、筒状本体部41の外周面41Aから水平方向に離れた位置に形成されているので、隙間から流れ出た水が筒状本体部41における外周面41Aを伝うことが抑制される。
【0050】
上記実施形態の構成では、立ち上げ部35は、平面部31から曲線部35Bを介して筒状に立ち上がっている。この構成では、円盤状突起45における外周面45Aと立ち上げ部35における内周面35Aとの間の隙間から流れ出た水は、図5(B)に示されるF3に示される矢印の流れのように、曲線部35Bに引き寄せられるように平面部31の下面方向に案内され、平面部31の下面をしばらく伝った後、洗浄水タンク15内に落下するようになる。これにより、上記隙間から流れ出た水が筒状本体部41における外周面41Aを伝うことがより確実に抑制される。
【0051】
なお、立ち上げ部35は、上述したような機能の他に、平面部31に流れ落ちた水が、上記隙間に直接かつ大量に流れ込むことを抑制すると共に、上述した図5(B)に示されるF1及びF2の水の流れが打ち消されることを抑制している。更に、立ち上げ部35が形成されていない場合には、平面部31の周縁は水平方向に鋭い形状となり、オーバーフローパイプ40を排出孔15Bに抜き差しするときに接触して外周面41Aを傷つけるところ、立ち上げ部35が形成されていることによって、水平方向に鋭い形状となる部分がなくなり、オーバーフローパイプ40を排出孔15Bに抜き差しするときに接触した場合であっても外周面41Aが傷つくことが抑制される。更に、平面部31に貫通孔33を形成すると、貫通孔33の周囲の強度が弱くなるところ、立ち上げ部35を形成することによって、貫通孔33の周囲の強度を高めることができる。
【0052】
以上、第一実施形態について説明したが、本発明は、上記第一実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
(変形例1)
上記第一実施形態では、円盤状突起45の上面45Bについて特に言及しなかったが、例えば上記実施形態の図5(A)に示されるように、円盤状突起45の上面45Bは、水平方向に平坦に形成されてもよいし、図6(A)に示されるように、上面45Bの少なくとも一部を外周面45Aに向かって下方に傾斜させてもよい。なお、図6(A)に示される変形例では、上面45Bの全面が外周面45Aに向かって下方に傾斜している。上面45Bの少なくとも一部が外周面45Aに向かって下方に傾斜する変形例1に係る構成では、円盤状突起45の上面45Bを流れる水の速度を高めることができるので、上記隙間の下端から径方向外側に向かって(図5(B)のF3に示される矢印の流れ)流れ出やすくなる。これにより、セパレータ30の平面部31の下面に案内される水の量を増やすことができるので、上記隙間から流れ出た水が筒状本体部41における外周面41Aを伝うことがより確実に抑制される。この結果、洗浄室3内に噴射された水が、セパレータ30の貫通孔33を通り、オーバーフローパイプ40における外周面41Aを伝って連通孔41Cに流れ込むことを上記実施形態と比べてより一層抑制できる。
【0054】
(変形例2)
上記第一実施形態及び上記変形例では、立ち上げ部35における内周面35Aの下端部(曲線部35Bの下端部)に対する円盤状突起45の外周面45Aの下端部45Dの位置については特に言及しなかったが、円盤状突起45の外周面45Aの下端部45Dは、例えば上記実施形態の図5(A)に示されるように、立ち上げ部35における内周面35Aの下端部と同じ位置にあってもよいし、下方にあってもよいし、図6(B)に示されるように、上方に位置していてもよい。円盤状突起45の外周面45Aの下端部45Dが、立ち上げ部35における内周面35Aの下端部よりも上方に位置する変形例2の構成では、上記の隙間に流れ込んだ水は、立ち上げ部35における内周面35Aの下端部付近で表面張力が働きやすくなり、立ち上げ部35側の内周面35Aを伝って下方に水が流れやすくなる。これにより、平面部31の下面に水が誘導され易くなるので、上記隙間から流れ出た水が筒状本体部41における外周面41Aを伝うことがより確実に抑制される。この結果、上記変形例と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(変形例3)
上記第一実施形態及び上記変形例では、立ち上げ部35における内周面35Aの上端部35Dに対する円盤状突起45における外周面45Aの上端部45Eの位置については特に言及しなかったが、円盤状突起45における外周面45Aの上端部45Eは、例えば上記実施形態の図5(A)に示されるように、立ち上げ部35における内周面35Aの上端部35Dよりも上方にあってもよいし、同じ位置にあってもよいし、図7(A)に示されるように、下方にあってもよい。円盤状突起45における外周面45Aの上端部45Eが、立ち上げ部35における内周面35Aの上端部35Dよりも下方に位置する変形例3の構成では、円盤状突起45の上面45Bを流れてきた水は、立ち上げ部35の内周面35Aによって受け止められて、そのまま隙間に案内される。これにより、隙間に案内された水は、立ち上げ部35の内周面35Aに沿う流れ、すなわち、径方向外側に向かう流れとなり易くなり、平面部31の下面に水が誘導され易くなるので、上記隙間から流れ出た水が筒状本体部41における外周面41Aを伝うことがより確実に抑制される。この結果、上記実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(変形例4)
上記第一実施形態及び上記変形例では、円盤状突起45における外周面45Aの上端部45Eと立ち上げ部35における内周面35Aとの水平方向における隙間距離G1と、円盤状突起45における外周面45Aの下端部45Dと立ち上げ部35における内周面35Aとの水平方向における隙間距離G2との関係について特に言及しなかったが、例えば上記実施形態の図5(A)に示されるように、隙間距離G1と隙間距離G2とは同じとしてよい。また、例えば図7(B)に示されるように、隙間距離G1が隙間距離G2よりも小さく、かつ立ち上げ部35における内周面35Aの内径が鉛直方向上方から下方に向かうに連れて徐々に広がるように形成してもよい。この変形例4に係る構成では、立ち上げ部35における内周面35Aが径方向外側に向かって広がっているので、上方から流れ込む水(特に円盤状突起45の上面45Bを伝って上記隙間に流れ込む水)は、内周面35Aに沿って径方向外側に向かって流れ易くなる。そして、この水は、円盤状突起45における外周面45Aの下端部45Dと立ち上げ部35における内周面35Aとの水平方向における隙間距離G2が長くなって表面張力が弱くなる部分から平面部31の下面に水が誘導され易くなるので、上記隙間から流れ出た水が筒状本体部41における外周面41Aを伝うことがより確実に抑制される。この結果、上記実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(その他の変形例)
上記実施形態のオーバーフローパイプ40の上端には、把手部43が設けられ、把手部43は円盤状に突出するように形成されている例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、上記実施形態の円盤状の把手部43に代えて又は加えて、オーバーフローパイプ40の上端部に半円弧状かつ針金状の取っ手からなる把手部43を備えてもよい。また、把手部43は、円盤状突起45よりも上方であって、セパレータ30の立ち上げ部35よりも上方の筒状本体部41の一部によって把手部43を形成してもよい。この場合であっても、作業者は、オーバーフローパイプ40を把手することができる。また、把手部43は、必ずしもオーバーフローパイプ40の上端に設けられる必要はなく、セパレータ30の立ち上げ部35よりも上方に位置するように設けられれば、上端から下がった位置に形成されてもよい。
【0058】
なお、本願発明は、上記第一実施形態及びその他の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0059】
(第二実施形態)
以下、図面を参照して第二実施形態に係る食器洗浄機(洗浄機)100について説明する。図9において、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ設定した。
【0060】
図9に示されるように、一実施形態に係る食器洗浄機100は、洗浄室101Bの前面にドア部150が設けられたアンダーカウンタ式の洗浄機である。図9及び図10に示されるように、食器洗浄機100は、本体部101と、ドア部150と、洗浄水タンク120と、上側ノズル103と、下側ノズル104と、洗浄ポンプ105と、濯ぎ水タンク106と、濯ぎポンプ107と、洗剤供給ポンプ108と、リンス剤供給ポンプ109と、コントローラ110と、を備えている。
【0061】
本体部101は、図示しないフレームと、ステンレス鋼製の外装パネル111と、内装パネル102と、を含んで形成されている。外装パネル111は、左右方向における側面を形成する一対の側部パネル111A,111Aと、上部パネル111Bと、上側前部パネル111Cと、下側前部パネル111Dと、後部パネル111Eと、を有している。少なくとも、下側前部パネル111Dは、フレームに対して容易に着脱可能に設けられている。本体部101の下部の四隅には、脚部112が取り付けられている。上側前部パネル111Cには、食器洗浄機100の各種動作を操作でき、食器洗浄機100の状態を表示する操作表示部113が設けられている。
【0062】
本体部101の下部領域には、洗浄水タンク120と、洗浄ポンプ105と、濯ぎ水タンク106と、濯ぎポンプ107と、洗剤供給ポンプ108と、リンス剤供給ポンプ109と、を収容する機械室101Aが形成されている。本体部101の上部領域には、食器(被洗浄物)D等がセットされたラックを収容する洗浄室101Bが形成されている。洗浄室101Bは、洗浄水タンク120の上方の空間であって、内装パネル102によって構成されている。内装パネル102は、主に、一対の側部パネル102A,102Aと、上部パネル102Bと、後部パネル(図示せず)と、を有している。一対の側部パネル102A,102Aの内面には、ラックを支持するラックレール123が形成されている。本体部101には、食器D等がセットされたラックを洗浄室101Bに出し入れする開口部101Cが形成されている。
【0063】
ドア部150は、開口部101Cの外側に配置されている。ドア部150は、開口部101Cを開閉可能に設けられており、ドア部150が開けられると、開口部101Cの内側の洗浄室101Bが本体部101の外部に開放される。ドア部150は、ドア部150の下端において左右方向に延在する軸を回転軸として回動可能に設けられている。なお、ドア部150の構成については、後段にて詳述する。
【0064】
洗浄水タンク120は、洗浄室101Bの下方に設けられている。洗浄水タンク120は、洗浄室101Bに収容された食器D等の洗浄に用いられる洗浄水を貯留する貯留部122を有する。洗浄水タンク120には、洗浄水検知部124と、洗浄水ヒータ125Aと、洗浄水温度センサ125Bと、が設けられている。洗浄水検知部124は、貯留部122に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水ヒータ125Aは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために貯留部122に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ125Bは、貯留部122に貯留された洗浄水の温度を検知する。
【0065】
上側ノズル103は、洗浄室101Bの上方に設けられている。上側ノズル103は、洗浄室101Bの上方に設けられた上部支持部121Aに回転自在に設けられている。上側ノズル103には、洗浄水タンク120の貯留部122に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔131と、濯ぎ水タンク106に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔133と、が設けられている。上側ノズル103には、洗浄水を供給する上側洗浄配管148及び濯ぎ水を供給する上側濯ぎ配管178が接続されている。
【0066】
下側ノズル104は、洗浄室101Bの下方に設けられている。下側ノズル104は、洗浄室101Bの下方に設けられた下部支持部121Bに回転自在に設けられている。下側ノズル104には、洗浄水タンク120の貯留部122に貯留された洗浄水を噴射する洗浄噴射孔135と、濯ぎ水タンク106に貯留された濯ぎ水を噴射する濯ぎ噴射孔137と、が設けられている。下側ノズル104には、洗浄水を供給する下側洗浄配管149及び濯ぎ水を供給する下側濯ぎ配管179が接続されている。
【0067】
食器ラックに並べられた食器Dは、洗浄工程において上側ノズル103及び下側ノズル104によって洗浄水が噴射され、濯ぎ工程において上側ノズル103及び下側ノズル104によって濯ぎ水が噴射される。
【0068】
洗浄ポンプ105は、機械室101Aに配置されている。洗浄ポンプ105は、食器D等を収容する洗浄室101Bに洗浄水タンク120の貯留部122に貯留された洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ105は、接続部140を介して洗浄水タンク120の洗浄水を取り込み、上側ノズル103及び下側ノズル104に洗浄水を送り出す。洗浄ポンプ105の第一吐出口105aには、上側洗浄配管148が接続されている。上側洗浄配管148は、上側ノズル103に接続されている。洗浄ポンプ105の第二吐出口105bには、下側洗浄配管149が接続されている。下側洗浄配管149は、下側ノズル104に接続されている。
【0069】
図15に示されるように、本実施形態の洗浄ポンプ105は、接続部140と一体的に形成されている。洗浄ポンプ105と接続部140とは、樹脂によって一体化され、洗浄ポンプユニット142として構成されている。接続部140は、洗浄水タンク120の下部に着脱可能に設けられている。接続部140は、洗浄水タンク120の底面120aに形成された貫通孔120bに接続される第一接続孔140aが設けられている固定部143と、本体部101の外部に水を排出する排水管128に接続される排水孔140bが設けられている底部144と、第一接続孔140aと洗浄ポンプ105とを連通する連通部145と、を含んでいる。固定部143には、洗浄水タンク120に固定するためのボルトに螺合する螺合孔143aが複数設けられている。
【0070】
洗浄水タンク120には、上下方向に延びるオーバーフローパイプ40が設けられている。オーバーフローパイプ40は、貯留部122において規定水位を超えた水をその上端から流入させて洗浄水タンク120の外部に排水し、貯留部122に貯留される洗浄水の水位を規定する。オーバーフローパイプ40の下端は貫通孔120bを覆うバーリング加工されたポンプガード126を通って接続部140に形成された排水孔140bに着脱可能に差し込まれている。オーバーフローパイプ40は、その下端が排水孔140bから抜き取られることで、貯留部122に貯留された洗浄水を、貫通孔120b及び排水孔140bを介して排出することができる。なお、オーバーフローパイプ40の詳細は、第一実施形態と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0071】
セパレータ30は、洗浄室101Bと洗浄水タンク120との間において、洗浄室101Bと洗浄水タンク120とを仕切るように配置されている。なお、セパレータ30の詳細は、第一実施形態と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0072】
濯ぎ水タンク106は、機械室101Aに配置されている。濯ぎ水タンク106は、食器D等の濯ぎに用いられる濯ぎ水を貯留する。濯ぎ水タンク106には、外部の水源から給水管160を介して水が供給される。給水管160には、ストレーナ160Aが設けられている。給水管160におけるストレーナ160Aの下流側には、給水弁180が設けられている。給水弁180は、給水管160の開閉を行う弁部181と弁部181を駆動する駆動部182とを有し、濯ぎ水タンク106への水の供給の有無を切り替える。
【0073】
濯ぎ水タンク106には、濯ぎ水検知部162と、オーバーフロー部163と、濯ぎ水ヒータ164Aと、濯ぎ水温度センサ164Bと、が設けられている。濯ぎ水検知部162は、濯ぎ水タンク106に貯留された水の水位を検知する。オーバーフロー部163は、濯ぎ水タンク106において定水位H2よりも高い水位である高水位H3を超えた水を排出する。濯ぎ水ヒータ164Aは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎ水タンク106に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ164Bは、濯ぎ水の温度を検知する。濯ぎポンプ107は、濯ぎ水タンク106に貯留された濯ぎ水を取込管177Aを介して取り込み、上側ノズル103及び下側ノズル104を介して、洗浄室101Bに濯ぎ水を送り出す。濯ぎポンプ107の吐出口には、濯ぎ配管177を介して上側濯ぎ配管178と下側濯ぎ配管179とが接続されている。上側濯ぎ配管178は、上側ノズル103に接続されている。下側濯ぎ配管179は、下側ノズル104に接続されている。
【0074】
洗剤供給ポンプ108は、機械室101Aに配置されている。洗剤供給ポンプ108は、洗剤タンク108A内に貯留された洗剤を配管108Bを介して洗浄室101Bに供給する。リンス剤供給ポンプ109は、機械室101Aに配置されている。リンス剤供給ポンプ109は、リンス剤タンク109Aに貯留されたリンス剤を配管109Bを介して濯ぎ配管177に供給する。
【0075】
コントローラ110は、本体部101における上部パネル111Bと洗浄室101Bを構成する上部パネル102Bとの間に配置されている。コントローラ110は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
【0076】
図9図11及び図12に示されるように、ドア部150は、本体部151と、アーム部152と、ドアヒンジ153と、を有する。本体部151は、開口部101Cを覆う部分である。アーム部152は、ドア部150が本体部101に取り付けられた状態において、左右方向に厚みを有する板状部材である。アーム部152は、本体部151の下側部分において左右方向の両端に固定されている。
【0077】
ドアヒンジ153は、ドア部150を本体部101に取り付けるための部材である。ドアヒンジ153の一端153Aは、アーム部152の固定部152Bに対して回動可能に固定され、ドアヒンジ153の他端153Bは、本体部101に固定されている。ドアヒンジ153が本体部101に固定された状態において、ドアヒンジ153に対して回動自在のアーム部152に固定された本体部151は、左右方向かつ水平方向に延在する軸周りに回動する。ドア部150は、本体部151が開口部101Cを覆う閉状態(図12参照)と、本体部151が開口部101Cを開放する開状態(図9参照)との間で回動可能に設けられている。
【0078】
アーム部152は、閉状態(図12参照)において、本体部151の後方かつ下方に延在する本体部152Aと、本体部152Aの下端部における前方に形成される固定部152Bと、本体部152Aの下端部における後方に形成される被係止部152Cと、を有している。アーム部152の一部は、内装パネル102における側部パネル102Aと外装パネル111における側部パネル111Aとの間に形成される収容部190に収容される。
【0079】
固定部152Bは、ドアヒンジ153の一端153Aが回動可能に固定される部分である。固定部152Bは、ドア部150が閉状態(図12参照)において、本体部151の真下に位置している。被係止部152Cは、開状態(図9及び図14(B)参照)において、係止部191に係止される部分である。すなわち、被係止部152Cは、ドア部150を開状態に維持するための位置決め部材である。被係止部152Cは、ドア部150の回動に伴って収容部190内を移動する。図13(A)及び図13(B)に示されるように、被係止部152Cには、後段にて詳述する第一板バネ部材193、第二板バネ部材194及び第三板バネ部材196に接触するローラ155が回転自在に固定されている。
【0080】
収容部190には、係止部191と、第一板バネ部材193と、第二板バネ部材194と、第三板バネ部材196と、が配置されている。係止部191は、ブロック部191Aと、緩衝部材191Bと、を有している。ブロック部191Aは、開状態(図9参照)のドア部150において、アーム部152に設けられたローラ155を係止する部分である。本実施形態では、ブロック部191Aの後方に緩衝部材191Bが設けられている。緩衝部材191Bは、ゴム材料から形成されている。閉状態のドア部150におけるローラ155は、緩衝部材191Bを介してブロック部191Aに係止される。
【0081】
第一板バネ部材193は、閉状態(図12参照)のドア部150において、アーム部152に設けられたローラ155が接触可能な位置に設けられている。第一板バネ部材193は、支持部192に取り付けられる部分である取付部193Aと、本体部193Bと、ローラ155が接触する部分である接触部193Cと、を有する。取付部193Aと、本体部193Bと、接触部193Cとは、板状の金属部材が折り曲げられることによって形成されている。第一板バネ部材193は、板バネとして機能する。第一板バネ部材193は、ドア部150を閉状態とするときの衝撃を吸収する。第一板バネ部材193は、閉状態にあるドア部150のアーム部152に設けられたローラ155を接触部193Cによって支持することによって、ドア部150を閉状態に保持する機能も有する。
【0082】
第三板バネ部材196は、開状態(図14(B)参照)のドア部150において、アーム部152に設けられたローラ155が接触可能な位置に設けられている。第三板バネ部材196は、支持部195に取り付けられる部分である取付部196Aと、本体部196Bと、ローラ155が接触する部分である接触部196Cと、を有する。取付部196Aと、本体部196Bと、接触部196Cとは、板状の金属部材が折り曲げられることによって形成されている。第三板バネ部材196は、接触部196Cと緩衝部材191Bとが隙間をあけた状態となるように配置されている。第三板バネ部材196は、板バネとして機能する。第三板バネ部材196は、ドア部150を開状態とするときの衝撃を吸収する。
【0083】
第二板バネ部材194は、開状態(図14(B)参照)の少し手前となる状態(図14(A)参照)のドア部150において、アーム部152に設けられたローラ155が接触可能な位置に設けられている。第二板バネ部材194は、支持部192に取り付けられる部分である取付部194Aと、本体部194Bと、ローラ155が接触する部分である接触部194Cと、を有する。取付部194Aと、本体部194Bと、接触部194Cとは、板状の金属部材が折り曲げられることによって形成されている。第二板バネ部材194は、板バネとして機能する。第二板バネ部材194も、第三板バネ部材196と同様に、ドア部150を開状態とするときの衝撃を吸収する。
【0084】
ここで、ドア部150を閉状態から開状態にするときの動作について説明する。図12に示されるように閉状態のドア部150を回動させると、アーム部152のローラ155によって第一板バネ部材193の接触部193Cが押圧される。これにより、本体部193B及び接触部193Cが変形して、ローラ155が接触部193Cを乗り越える。更に、開状態となる方向にドア部150を回動させると、図14(A)に示されるように、開状態(図14(B)参照)の少し手前となる状態(図14(A)参照)で、ドア部150のローラ155が第二板バネ部材194の接触部194Cに接触し、接触部194Cを押圧する。これにより、本体部194B及び接触部194Cが変形する。このとき、第二板バネ部材194の本体部194Bは、取付部194Aに対して初期状態よりも撓んだ(曲がった)状態となり復元力が生じる。この結果、第二板バネ部材194に接触するドア部150のローラ155に反力が作用し、開状態に向かうドア部150の回動の勢いが弱められる。
【0085】
第二板バネ部材194にローラ155が接触したドア部150は、開状態に向かう回動の勢いが弱まった状態で、次は、第三板バネ部材196にローラ155が接触し、接触部196Cを押圧する。これにより、第三板バネ部材196の本体部196Bは、取付部196Aに対して初期状態よりも撓んだ状態となり復元力が生じる。この結果、第三板バネ部材196に接触するドア部150のローラ155に反力が作用し、開状態に向かうドア部150の回動の勢いを更に弱められる。第三板バネ部材196にローラ155が接触したドア部150は、開状態に向かう回動の勢いが更に弱まった状態で、図14(B)に示されるように、次は、緩衝部材191Bを介してブロック部191Aに係止される。この係止状態のとき、ローラ155は、第三板バネ部材196の接触部196Cと第二板バネ部材194の接触部194Cとの両方に接触した状態となる。第二板バネ部材194は、開状態にあるドア部150のローラ155を接触部194Cによって支持することによって、ドア部150を開状態に保持する機能も有する。
【0086】
上記第二実施形態では、第二板バネ部材194及び第三板バネ部材196を配置することによって、ドア部150を閉状態にするときの衝撃を効果的に吸収することが可能となる。なお、上記第二実施形態では、第二板バネ部材194及び第三板バネ部材196を配置することによって、二段階で開状態に向かうドア部150の回動の勢いを弱める構成を例に挙げて説明したが、第二板バネ部材194を設けず、第三板バネ部材196のみを設けた場合であっても、ドア部150の回動の勢いを弱めることができる。
【0087】
次に、アーム部152に設けられたローラ155について詳細に説明する。ローラ155は、樹脂材料から形成されている。ローラ155は、アーム部152に対して回転可能に設けられている。これにより、ブロック部191A(緩衝部材191B)、第一板バネ部材193、第二板バネ部材194及び第三板バネ部材196に接触するローラ155の外周面上の位置が変わり、衝撃、摩耗位置がローラ155の外周面全体に分散される。これにより、ローラ155の寿命が延びる。
【0088】
本実施形態のローラ155は、図13(C)に示されるように、外周面の円周方向に沿って溝155Aが形成されている。ローラ155の溝155Aには、図13(B)に示されるように、ゴム製のOリング156が嵌め込まれている。これにより、ローラ155が、ブロック部191A(緩衝部材191B)、第一板バネ部材193、第二板バネ部材194及び第三板バネ部材196に接触するときの衝撃及び衝撃音を抑制することができる。また、ローラ155を単一のゴム材料から形成する場合には、回転軸に対して回転し難くなる場合があるところ、Oリング156が嵌め込まれたローラ155を用いることで、回転軸に対して回転し易くなる。また、上述したように、ドア部150を閉状態から開状態に回動させるとき、ドア部150のローラ155が第一板バネ部材193の接触部193Cを乗り越えるが、このときのOリング156と接触部193Cとの摩擦抵抗が、ローラ155の回転によって低減されるので、作業者は大きな力を加えることなくドア部150を開閉することができる。また、Oリング156は、汎用品であり一般的に安価であるので、使用によってOリング156が劣化した場合には、安価かつ簡易の作業で交換をすることができる。
【0089】
また、本実施形態の第一板バネ部材193、第二板バネ部材194及び第三板バネ部材196は、ローラ155(Oリング156)が接触する部分として、ローラ155よりも幅広の面をそれぞれ有している。具体的には、第一板バネ部材193の接触部193C、第二板バネ部材194の接触部194C(図13(A)参照)及び第三板バネ部材196の接触部196Cが、ローラ155に接触する。
【0090】
第二板バネ部材194にローラ155が接触する、図13(A)に示される例では、接触部194CにOリング156を当接させながらローラ155が回動方向に移動するので、Oリング156がローラ155に形成された溝155A内を滑って回転をする。これにより、ローラ155がブロック部191A(緩衝部材191B)によって係止されるときは、ブロック部191A(緩衝部材191B)によって係止されるOリング156の位置がその都度変わることとなる。これにより、Oリング156の摩耗を均一化することができ寿命を延ばすことができる。ひいては、食器洗浄機100のランニングコストを低減することができる。なお、第一板バネ部材193の接触部193C、第二板バネ部材194の接触部194C及び第三板バネ部材196の接触部196Cに加えて、ローラ155(Oリング156)を回転させる別部材を設けてもよい。
【0091】
次に、機械室101Aにおける洗浄ポンプユニット142周辺の構造について説明する。図16に示されるように、機械室101Aの底部102Dには、後述の洗浄ポンプユニット142における洗浄ポンプ105を載置するための複数の載置部102Eが設けられている。第二実施形態では、載置部102Eは、五個設けられている。載置部102Eは、洗浄ポンプ105が洗浄水タンク120に接続されている状態において、洗浄ポンプユニット142が配置される位置に配置されている。載置部102Eは、底部102Dよりも上方に突出している。載置部102Eは、円錐台形状を呈している。
【0092】
機械室101Aの後端部には、ストッパー117Bが設けられている。ストッパー117Bは、洗浄ポンプ105の位置を規定する。ストッパー117Bは、洗浄ポンプ105の外面と当接する。ストッパー117Bは、洗浄ポンプ105が後方に向かって移動した際、洗浄ポンプ105の外面と当接することで、洗浄ポンプ105の前後方向における位置を規定する。
【0093】
図17(A)及び図17(B)に示されるように、ストッパー117Bは、機械室101A内の空気を機械室101A外に排気するファンモータ119を取り付けるブラケット117の一部として構成されている。ブラケット117は、取付部117Aと、ストッパー117Bと、接続部117Cと、支持部117Dと、風向板117Eと、を有している。取付部117Aと、ストッパー117Bと、接続部117Cと、支持部117Dと、風向板117Eとは、一枚の板状部材を折り曲げることによって形成されている。
【0094】
取付部117Aは、底部102Dに取り付けられる部分である。ストッパー117Bは、取付部117Aから立設しており、前後方向に直交する主面を有している。接続部117Cは、ストッパー117Bから後方に折れ曲がった部分であり、鉛直方向に直交する面を有している。接続部117Cは、ストッパー117Bと支持部117Dとを接続する部分である。支持部117Dは、接続部117Cの後端から上方に折れ曲がった部分であり、ファンモータ119を支持する部分である。支持部117Dは、矩形状の板状部材の中央部分を円形状に切り抜いたような形状に形成されている。ファンモータ119は、当該円形状の切り抜き部分の周縁部にネジ等を介して固定される。風向板117Eは、ファンモータ119から送り出される風の下流方向に配置される。風向板117Eは、支持部117Dの上端、左端及び右端のそれぞれから後方に折れ曲がった部分であり、鉛直方向に直交する面を有している。風向板117Eは、ファンモータ119から送り出される風の向きを制御する。
【0095】
図18に示されるように、ファンモータ119から送り出される風は、後部パネル111Eに形成された排気口111Edから排出される。後部パネル111Eは、上方後部パネル111Eaと、上方後部パネル111Eaよりも前後方向における前方に配置される下方後部パネル111Ecと、上方後部パネル111Eaと下方後部パネル111Ecとを接続すると共に前方に下方傾斜する接続パネル111Ebと、を有している。排気口111Edは、接続パネル111Ebに形成されている。
【0096】
風向板117Eは、上面と左面と右面とを形成するように設けられており、各風向板117Eの後端は、後部パネル111Eに接触するように、後部パネル111Eの形状に合わせて形成されている。より詳細には、第一端部117Eaは、上方後部パネル111Eaに接触し、第二端部117Ebは、接続パネル111Ebに接触するように配置される。これにより、風向板117Eと後部パネル111Eとをネジ等の固定部材によって固定しなくても、ブラケット117の上方部分を位置決めすることができ、また、排気口111Edへ風を誘導することができる。また、各風向板117Eの後端と後部パネル111Eとは、緩衝材を介して接触するように配置されてもよい。これにより、隙間無く密な状態で風向板117Eを接触させることができるので、より効果的に排気口111Edに風を誘導することができ、振動による接触音の発生も抑制することができる。
【0097】
次に、図15に示される洗浄ポンプユニット142の取付方法について説明する。洗浄ポンプユニット142を機械室101Aに取り付ける場合には、機械室101Aの底部102Cに洗浄ポンプユニット142を載置する。このとき、洗浄ポンプ105が後方に位置する状態で洗浄ポンプユニット142を前後方向において後方に移動させ、ストッパー117Bに洗浄ポンプユニット142の洗浄ポンプ105部分を当接させる。これにより、洗浄ポンプユニット142の前後方向の位置決めをする。続いて、洗浄ポンプユニット142を左側にスライドさせて第一吐出口105aに上側洗浄配管148を接続する。洗浄ポンプユニット142の洗浄ポンプ105部分は、載置部102Eに載置される。また、洗浄ポンプユニット142の接続部140を洗浄水タンク120に接続する。
【0098】
上記第二実施形態の食器洗浄機100における作用効果について説明する。上記第二実施形態の食器洗浄機100においても、第一実施形態で説明したセパレータ30とオーバーフローパイプ40とを備えるので、洗浄室101B内に噴射された水が、セパレータ30の貫通孔33を通り、オーバーフローパイプ40における外周面41Aを伝って連通孔41Cに流れ込むことを抑制できる。
【符号の説明】
【0099】
1,100…食器洗浄機、3…洗浄室、15…洗浄水タンク、15B…排出孔、30…セパレータ、31…平面部、33…貫通孔、33A…周縁、35…立ち上げ部、35A…内周面、35B…曲線部、35C…直線部、35D…上端部、40…オーバーフローパイプ、41…筒状本体部、41A…外周面、41B…内周面、41C…連通孔、43…把手部、45…円盤状突起、45A…外周面、45B…上面、45C…下面、45D…下端部、45E…上端部、101…本体部、101A…機械室、101B…洗浄室、105…洗浄ポンプ、117…ブラケット、117B…ストッパー、119…ファンモータ、120…洗浄水タンク、150…ドア部、152…アーム部、153…ドアヒンジ、155…ローラ、190…収容部、191…係止部、191A…ブロック部、191B…緩衝部材、193…第一板バネ部材、194…第二板バネ部材、196…第三板バネ部材。
図1
図2
図3
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