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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172224
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/46 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089793
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】友塚 昭之
(72)【発明者】
【氏名】大坂 宏
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄機の稼働停止後に熱交換ユニットの内部に残る水滴量を減少させることができる、洗浄機を提供する。
【解決手段】食器洗浄機1は、洗浄室3と洗浄室から水蒸気を排出する開口部と洗浄室を開閉可能なドア7とを有する洗浄機本体2と、開口部から排出された水蒸気を凝縮して水蒸気の包含量が減少した空気を排出する熱交換器と開口部から水蒸気を取り込んで熱交換器から空気を排出させる排気ファンとを有する蒸気回収装置と、洗浄機に対する運転電源のON/OFFを切り替える切替指示を受け付ける運転電源ボタンと、排気ファンの動作を制御するコントローラと、を備える。コントローラは、運転電源ボタンを介して運転電源をOFFに切り替える切替信号指示を受け付けると、その受け付けを起点として排気ファンが一定の時間作動した状態となるように排気ファンの動作を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、
前記被洗浄物を収容する洗浄室と、前記洗浄室から水蒸気を排出する開口部と、前記洗浄室を開閉可能なドアと、を有する本体部と、
前記開口部から排出された前記水蒸気を凝縮して前記水蒸気の包含量が減少した空気を排出するように設けられた排気部と、前記開口部から前記水蒸気を取り込んで前記排気部から前記空気を排出させるファンと、を有する熱交換ユニットと、
前記洗浄機に対する運転電源のON/OFFを切り替える切替指示を受け付ける受付部と、
前記ファンの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記受付部を介して前記運転電源をOFFに切り替える切替指示を受け付けると、その受け付けを起点として前記ファンが一定の時間作動した状態となるように前記ファンの動作を制御する、洗浄機。
【請求項2】
洗浄水タンクに貯留された水を洗浄室内に噴射する洗浄工程の実行と、濯ぎ水タンクに貯留された水を前記洗浄室内に噴射する濯ぎ工程の実行とを一サイクルに含む洗浄運転において、前記濯ぎ工程において前記洗浄室内に噴射された水を前記洗浄水タンクに回収して次サイクルの前記洗浄工程において使用すると共に、前記洗浄水タンクに貯留されている水の一部を前記一サイクルの洗浄運転で入れ替える、請求項1記載の洗浄機。
【請求項3】
前記排気部は、前記水蒸気の包含量が減少した空気を機外へ排出し、
前記ドアは、上下動自在に箱状に設けられており、かつ、上下方向の移動によって前記洗浄室を開閉可能に設けられている、請求項1又は2記載の洗浄機。
【請求項4】
前記受付部は、作業者から前記切替指示を受け付ける操作部である、請求項1又は2記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物の洗浄を行う洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されるような、洗浄室を有する本体と、洗浄室から排出された水蒸気を凝縮して水蒸気の包含量が減少した空気を排出する熱交換ユニットと、を備える洗浄機が知られている。特許文献1に記載の洗浄機では、従来排気されていた水蒸気(湯気)によって給水を昇温させると共に、水蒸気の包含量が減少した空気を機外に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-141249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような熱交換ユニットの内部は、洗浄機が稼働している間は水滴が付着している状態であるが、洗浄機が稼働しない例えば夜間も水滴が付着している状態となる。このため、熱交換ユニットの内部は、カビが発生しやすい環境となっている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、洗浄機の稼働停止後に熱交換ユニットの内部に残る水滴量を減少させることができる、洗浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る洗浄機は、被洗浄物を洗浄する洗浄機であって、被洗浄物を収容する洗浄室と、洗浄室から水蒸気を排出する開口部と、洗浄室を開閉可能なドアと、を有する本体部と、開口部から排出された水蒸気を凝縮して水蒸気の包含量が減少した空気を排出するように設けられた排気部と、開口部から水蒸気を取り込んで排気部から空気を排出させるファンと、を有する熱交換ユニットと、洗浄機に対する運転電源のON/OFFを切り替える切替指示を受け付ける受付部と、ファンの動作を制御する制御部と、を備え、制御部は、受付部を介して運転電源をOFFに切り替える切替指示を受け付けると、その受け付けを起点としてファンが一定の時間作動した状態となるようにファンの動作を制御する。
【0007】
この構成の洗浄機では、運転電源をOFFに切り替える切替指示を受け付けると、その受け付けを起点としてファンが一定の時間作動する。これにより、例えば作業者によって洗浄水タンクに貯留された水が排出されて洗浄水タンクに水が貯留されていない状態でファンを一定時間作動させることができるので、熱交換ユニットの内部が一定時間換気される。この結果、洗浄機の稼働停止後に熱交換ユニットの内部に残る水滴量を減少させることができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の洗浄機では、洗浄水タンクに貯留された水を洗浄室内に噴射する洗浄工程の実行と、濯ぎ水タンクに貯留された水を洗浄室内に噴射する濯ぎ工程の実行とを一サイクルに含む洗浄運転において、濯ぎ工程において洗浄室内に噴射された水を洗浄水タンクに回収して次サイクルの洗浄工程において使用すると共に、洗浄水タンクに貯留されている水の一部を一サイクルの洗浄運転で入れ替えてもよい。洗浄運転後に洗浄水タンクの水が全排出されるタイプの洗浄機と比較して、洗浄水タンクに貯留された水を次のサイクルでも使用するタイプの洗浄機では、洗浄運転が終了しても次の洗浄運転が開始されるまで洗浄水タンクに水が貯留されたままとなるので、熱交換ユニットの内部は濡れたままとなりやすい。この構成では、熱交換ユニットの内部が濡れたままとなりやすいタイプの洗浄機においても、洗浄機の稼働停止後に熱交換ユニットの内部に残る水滴量を減少させることができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の洗浄機では、排気部は、水蒸気の包含量が減少した空気を機外へ排出し、ドアは、上下動自在に箱状に設けられており、かつ、上下方向の移動によって洗浄室を開閉可能に設けられていてもよい。洗浄室の前面のみを開放するドアを有するタイプの洗浄機と比べて、箱状のドアが上下に移動するタイプの洗浄機では、洗浄室を機外に大きく露出する。また、熱交換ユニットは、水蒸気の包含量が減少した空気を機外へ排出する排気部とを有している。このため、厨房内に設置されたファンや厨房内のドアの開放によって発生する空気の流れによって、熱交換ユニットの内部にカビの要素となる栄養素が侵入し易くなっている。この構成では、箱状のドアが上下に移動するタイプの洗浄機においても、洗浄機の稼働停止後における熱交換ユニット内部の水滴量を減少させることができる。これにより、熱交換ユニットの内部にカビが発生することを抑制できる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)の何れか一つに記載の洗浄機では、受付部は、作業者から切替指示を受け付ける操作部であってもよい。この構成では、作業者による操作部のOFF操作に連動して、その受け付けを起点としてファンが一定の時間作動した状態となるようにファンの動作が制御される。これにより、作業者は、特に意識することなく、閉店時等に操作部において運転電源をOFFにする切替操作をするだけで、熱交換ユニットの内部の水滴量を減少させることができるファンの制御を実行できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗浄機の稼働停止後に熱交換ユニットの内部に残る水滴量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る食器洗浄機の斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、食器洗浄機の熱交換ユニットを示す断面図である。
図4図4は、熱交換ユニットを示す斜視図である。
図5図5は、食器洗浄機の機能構成を示すブロック図である。
図6図6(A)は、操作表示部の構成を示した図である。図6(B)は、操作表示部の表示部に表示される内容の一例を示した図である。図6(C)は、操作表示部の表示部に表示される内容のその他の例を示した図である。
図7図7は、図1の食器洗浄機の動作を示したフローチャートである。
図8図8は、変形例に係る食器洗浄機の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、説明の便宜のため、図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)を定義する。
【0014】
図1及び図2に示されるように、食器洗浄機(洗浄機)1は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体(本体部)2を有している。洗浄機本体2は、洗浄室3が形成された上側部分2Aと、機械室4が形成された下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2の背面側におけるコーナ部には、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びる支柱6が配置され、支柱6,6間には背面パネル5が配置されている。
【0015】
洗浄機本体2の上側部分2Aには、洗浄室3の開閉を行うための箱型のドア7が設けられている。このドア7は、ステンレス製の一対の支柱6,6により上下動自在に案内されると共に、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。ドア7は、上下方向において最下高さ位置に位置して、洗浄室3を閉じる第一位置P1(図3参照)と、上下方向において最高高さ位置に位置して、洗浄室3を開く第二位置P2(図3参照)と、の間で移動する。
【0016】
このハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7が上下運動可能となっている。洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられている。
【0017】
図2に示されるように、洗浄室3内には、ラックレール10が着脱自在に配置されており、このラックレール10上に、飲食後の皿や茶碗等の食器(被洗浄物)が並べられた格子状の食器ラックが載置される。洗浄室3の上部には、上側ノズル11が配置されている。洗浄室3の下部には、下側ノズル12が配置されている。
【0018】
上側ノズル11は、洗浄室3の上方に設けられた上部支持体13に回転自在に設けられている。上側ノズル11は、上側ノズル11における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在する本体部11Aを有している。本体部11Aには、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水を噴射する上側洗浄噴射孔11Bと、回転中心から洗浄噴射孔(図示省略)まで延在すると共に洗浄水が流通する上側洗浄流路(図示省略)と、濯ぎ水タンク25に貯留された濯ぎ水を噴射する上側濯ぎ噴射孔11Cと、回転中心から濯ぎ噴射孔まで延在すると共に濯ぎ水が流通する上側濯ぎ流路(図示省略)と、が一体的に形成されている。
【0019】
上側ノズル11は、洗浄流路に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。上側ノズル11には、上部支持体13を介して、洗浄流路に洗浄水を供給する第一洗浄水吐出管21A及び濯ぎ流路に濯ぎ水を供給する第一濯ぎ水吐出管31Aが接続されている。
【0020】
下側ノズル12は、洗浄室3の下方に設けられた下部支持体14に回転自在に設けられている。下側ノズル12は、下側ノズル12における回転軸の回転中心である基端部から半径方向に沿って先端部まで延在する本体部12Aを有している。本体部12Aには、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水を噴射する下側洗浄噴射孔12Bと、回転中心から洗浄噴射孔まで延在すると共に洗浄水が流通する下側洗浄流路(図示省略)と、濯ぎ水タンク25に貯留された濯ぎ水を噴射する下側濯ぎ噴射孔12Cと、回転中心から濯ぎ噴射孔まで延在すると共に濯ぎ水が流通する下側濯ぎ流路と、が一体的に形成されている。
【0021】
下側ノズル12は、洗浄流路に発生する洗浄水の流れ又は濯ぎ流路に発生する濯ぎ水の流れが回転力に変換されることによって回転する。下側ノズル12には、洗浄流路に洗浄水を供給する第二洗浄水吐出管21B及び濯ぎ流路に濯ぎ水を供給する第二濯ぎ水吐出管31Bが接続されている。下側ノズル12及び下部支持体14は、ノズル構造を構成している。
【0022】
洗浄室3の底部には、機械室4内に突出するように洗浄水タンク15が設けられている。洗浄室3と洗浄水タンク15との間には、フィルタ18が着脱自在に配置されている。洗浄水タンク15の前面には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ23が接続されている。洗浄ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管21が接続されている。洗浄水吐出管21は、第一洗浄水吐出管21Aと第二洗浄水吐出管21Bとに分岐する。第一洗浄水吐出管21Aは上側洗浄流路に接続され、第二洗浄水吐出管21Bは下側洗浄流路に接続されている。
【0023】
洗浄水タンク15には、洗浄水検知部15Aと、洗浄水ヒータ15Bと、洗浄水温度センサ15Cと、が設けられている。洗浄水検知部15Aは、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水の水位を検知する。洗浄水ヒータ15Bは、殺菌能力及び洗浄能力を向上させるために洗浄水タンク15に貯留された洗浄水を加熱する。洗浄水温度センサ15Cは、洗浄水タンク15に貯留された洗浄水の温度を検知する。
【0024】
洗浄水タンク15には、上下方向に延在するパイプ状部材であり、洗浄水タンク15において規定水位Hを超えた水を洗浄水タンク15の外部に排出することで、洗浄水タンク15に貯留される洗浄水の水位を規定するオーバーフローパイプ33が設けられている。オーバーフローパイプ33は、洗浄水タンク15に貯留された水を排出する排出孔15dに抜き差し可能に設けられる。オーバーフローパイプ33が排出孔15dから抜き出されると排出管35を介して洗浄水タンク15に貯留されている水が排出される。
【0025】
機械室4内には、外部から給水管(図示せず)を介して濯ぎ水が供給される濯ぎ水タンク25が配置されている。濯ぎ水タンク25には、濯ぎ水吸込管29を介して濯ぎポンプ27が接続されている。濯ぎポンプ27の吐出口には濯ぎ水吐出管31が接続されている。濯ぎ水吐出管31は、第一濯ぎ水吐出管31Aと第二濯ぎ水吐出管31Bとに分岐して、第一濯ぎ水吐出管31Aは上側濯ぎ流路に接続され、第二濯ぎ水吐出管31Bは下側濯ぎ流路に接続されている。第一濯ぎ水吐出管31Aは、第一洗浄水吐出管21A内に配置されている。すなわち、第一洗浄水吐出管21A及び第一濯ぎ水吐出管31Aは、二重管構造を成している。
【0026】
濯ぎ水タンク25には、濯ぎ水検知部25Aと、濯ぎ水ヒータ25Bと、濯ぎ水温度センサ25Cと、が設けられている。濯ぎ水検知部25Aは、濯ぎ水タンク25に貯留された濯ぎ水の水位を検知する。濯ぎ水ヒータ25Bは、殺菌能力及び濯ぎ能力を向上させるために濯ぎ水タンク25に貯留された濯ぎ水を加熱する。濯ぎ水温度センサ25Cは、濯ぎ水タンク25に貯留された濯ぎ水の温度を検知する。
【0027】
洗浄機本体2は、洗浄室3を形成する。図3に示されるように、洗浄機本体2は、洗浄室3内の水蒸気を排気する開口部2Hを有する。開口部2Hは、背面パネル5を厚み方向(前後方向)に貫通して形成されている。開口部2Hは、洗浄機本体2の背面パネル5の上方に配置されている。開口部2Hは、洗浄機本体2の左右方向に沿って延在している。
【0028】
図1図4に示されるように、食器洗浄機1は、蒸気回収装置(熱交換ユニット)60を備えている。蒸気回収装置60は、洗浄機本体2の洗浄室3から排出された水蒸気を取り込んで、取り込んだ水蒸気を凝縮して水蒸気の包含量が減少した空気(以下、単に「空気」とも称する。)を機外に排出するユニットである。機外とは、洗浄室3を形成する洗浄機本体2の外部空間を意味している。蒸気回収装置60は、排気ダクト61(排気部)と、熱交換器(排気部)90と、排気ファン(ファン)95と、を有している。
【0029】
排気ダクト61は、洗浄室3と洗浄機本体2の機外との間を連通しており、洗浄室3に形成された開口部2Hから上方に向かって延在する第一連通路S1と、第一連通路S1が延在する上下方向と交差する前後方向に第一連通路S1から機外まで延在する第二連通路S2と、を有している。また、排気ダクト61は、第一連通路S1を形成する第一筐体62と、第一連通路S1の一部及び第二連通路S2を形成する第二筐体70とを有している。第一筐体62及び第二筐体70は、例えばステンレス鋼によって形成されている。
【0030】
第一筐体62は、洗浄機本体2の背面に設けられており、上下方向に延在している。第一筐体62には、吸気口62aと、連通口62bとが形成されている。吸気口62aは、水蒸気を第一筐体62の内部(第一連通路S1)に取り入れる。吸気口62aは、第一筐体62の下部に設けられており、洗浄機本体2の背面パネル5に設けられた開口部2Hに接続されている。これにより、洗浄機本体2の洗浄室3と第一筐体62とが連通する。連通口62bは、第二筐体70の連通口70aに連通している。これにより、第一筐体62と第二筐体70とが連通する。
【0031】
第一筐体62は、フレーム63,63と、フレーム63,63を覆うパネル64と、ブラケット65,65と、を有している。パネル64によって囲まれる空間は、第一連通路S1であり、かつ後段にて詳述する熱交換器90が配置される空間である。ブラケット65,65は、第一筐体62を、洗浄機本体2の背面パネル5に固定する。より詳細には、ブラケット65,65は、第一筐体62の下端部に設けられており、洗浄機本体2の背面パネル5の上端部に固定されている。
【0032】
熱交換器90は、第一筐体62の内部である第一連通路S1に配置されている。熱交換器90は、洗浄室3において発生した水蒸気を凝縮して、水蒸気の包含量が減少した空気に変換する。熱交換器90は、フィン及び流路管(いずれも図示せず)等を有している。流路管の一端には、給水管(図示せず)が接続されている。給水管は、流路管に水を供給する。給水管には、図示しない水道等の水源から水が供給される。流路管の他端には、排水管(図示せず)が接続されている。排水管は、流路管を通過した水を排出する。排水管は、濯ぎ水タンク25(図2参照)に接続されている。すなわち、熱交換器90の流路管を流通した水は、濯ぎ水タンク25(図2参照)に排出される。熱交換器90は、第一筐体62の内部である第一連通路S1を流通する水蒸気と接触する。熱交換器90は、流路管を流通する水と水蒸気との間で熱交換を行う。
【0033】
第二筐体70は、第一筐体62の上方かつ洗浄機本体2の上方に設けられており、左右方向から見てL字状に形成されている。第二筐体70は、連通口70aと、開口部70bと、が形成されている。連通口70aは、第一筐体62の連通口62bに連通している。これにより、第一筐体62と第二筐体70とが連通する。開口部70bは、第二筐体70の前側端部に形成されている。開口部70bは、水蒸気の包含量が減少した空気を機外に排出する。
【0034】
第二筐体70は、一対の側面部71,71と、底面部72と、下前面部73と、背面部74と、上面部75と、前面部76と、を有している。一対の側面部71,71、底面部72、下前面部73、背面部74及び上面部75は、板状部材によって構成されており、折り曲げ及び接合等の加工によって構成されている。
【0035】
前面部76は、第二連通路S2の端部である前端を形成する。前面部76には、前面部76を厚み方向に貫通する複数の貫通部76aが形成されている。複数の貫通部76aは、第二筐体70の開口部70bを形成している。すなわち、前面部76に形成される複数の貫通部76aからは、水蒸気の包含量が減少した空気が排出される。前面部76は、後段にて詳述する排気ファン95を前方から覆い、空気の排出を可能にしつつも作業者等が排気ファン95に接触することを防止する。前面部76は、上下方向において最高高さ位置に位置するドア7(すなわち、洗浄室3を開放状態にするドア7の第二位置P2)よりも上方かつドア7の上方の空間に向けて前方に空気を排出するように設けられている(図3参照)。
【0036】
第二連通路S2には、排気ファン95が設けられている。排気ファン95は、ブラケット78を介して第二筐体70に固定されている。排気ファン95は、空気を吸い込んで機外に向かって送り出す。排気ファン95は、開口部2Hから蒸気回収装置60に水蒸気を取り込んで貫通部76aから空気を排出する空気の流れを作り出す機能も有している。
【0037】
操作表示部40は、作業者から各種操作を受け付ける操作部である。操作表示部40は、運転電源のON、OFFを切り換える切替指示を受け付ける運転電源ボタン(受付部)41、各種設定ボタン43、洗浄水や濯ぎ水の温度情報その他の情報を表示する表示部45、運転を休止又はセルフクリーニングを実行させるための休止/クリーニングボタン49及び食器洗浄機1の運転状態及び初期給湯における異常の有無を使用者に知らせるための表示ランプ(図示せず)が設けられている。また、操作表示部40は、警告音又は音声アナウンスを出力する音声出力機能を有していてもよい。
【0038】
操作表示部40に設けられる運転電源ボタン41は、後段にて説明する電源スイッチ55とは異なり、運転電源をOFFにしても食器洗浄機1への通電が遮断されるものではない。運転電源ボタン41は、ONに切り替えると操作表示部40の操作が可能になるボタンであり、食器洗浄機1の操作を可能とするためのボタンであり、また、洗浄運転を実行可能な状態とするためのボタンである。ここでいう洗浄運転を実行可能な状態とは、操作表示部40を操作せずとも、ドア7が閉められたことをドアスイッチが検知して、自動的に洗浄運転を開始することができる状態等をいう。また、運転電源ボタン41は、OFFに切り替えられると、運転電源ボタン41以外の操作が無効となるボタンであり、また、運転電源の切り替え以外の食器洗浄機1の動作を不可とするボタンである。
【0039】
洗浄機本体2の下側部分2Bには、食器洗浄機1への通電のON/OFFを切り替えるレバー式の電源スイッチ55が設けられている。電源スイッチ55は、本体カバー2Cによって覆われている。本実施形態では、レバー式のスイッチを例に挙げて説明したがボタン式のスイッチ等、他の型式のスイッチであってもよい。
【0040】
食器洗浄機1には、食器洗浄機1における動作全般を制御するコントローラ(制御部)50が内蔵された電装ボックス(図示せず)が設けられている。コントローラ50は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。コントローラ50は、食器洗浄機1における各種動作を制御する部分であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、相互に接続されている。図5に示されるように、コントローラ50は、食器洗浄機1における各種制御処理を実行し、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行される。
【0041】
コントローラ50は、排気ファン95の動作を制御する。コントローラ50は、運転電源ボタン41を介して運転電源をOFFに切り替える切替指示を受け付けると、その受け付けを起点として排気ファン95が一定の時間作動した状態となるように排気ファン95の動作を制御する。なお、コントローラ50による制御は、下記の食器洗浄機1の動作の説明にて詳述する。
【0042】
続いて、食器洗浄機1の動作について説明する。最初に、洗浄運転について説明する。食器洗浄機1は、操作表示部40の運転電源ボタン41がONされると、濯ぎ水タンク25内の温水を濯ぎポンプ27によって洗浄室3へ噴射することにより、洗浄水タンク15内へ温水が供給される。濯ぎ水タンク25内の温水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。これにより初期給湯が行われる。そして、初期給湯量に合った量の洗剤が洗浄水タンク15内へ供給されて、洗浄水タンク15内の洗浄水の洗剤濃度が所定濃度となる。
【0043】
初期給湯後、作業者が食器をラッキングして、ドア7を閉めると、ドアスイッチにより、ドアが閉められたことが検知されると共に、運転開始信号がコントローラ50へ入力される。運転開始信号がコントローラ50へ入力されると、食器の洗浄(洗浄工程)が開始される。食器の洗浄は、洗浄水タンク15内の洗浄水を洗浄室3内の食器に向けて噴射することにより行われる。洗浄水タンク15内の洗浄水の温度は、例えば、60℃~70℃となるように設定されている。
【0044】
洗浄ポンプ23が始動することにより、洗浄水タンク15内に貯留された洗浄水は、洗浄水吐出管21等を介して上側ノズル11及び下側ノズル12に圧送されて、上側ノズル11及び下側ノズル12から洗浄室3内の食器に向けて噴射される。このとき、上側ノズル11及び下側ノズル12は噴射力の反力によって回転し続けるため、洗浄水が食器に満遍なく当てられて、食器の汚れが効率良く洗い落とされる。
【0045】
洗浄室3内に噴射された洗浄水は、食器から洗い落とされた残菜等がフィルタ18によって取り除かれつつ洗浄水タンク15内に回収される。洗浄水タンク15内に回収された洗浄水は、洗浄ポンプ23により再び洗浄室3内に循環供給される。洗浄水による食器の洗浄が所定時間行われると、洗浄ポンプ23の作動を停止する。これにより、食器洗浄機1の動作が一時的に休止する。
【0046】
次に、濯ぎポンプ27が始動することにより、濯ぎ水タンク25内に貯留された濯ぎ水は、濯ぎ水吐出管31等を介して上側ノズル11及び下側ノズル12に圧送されて、上側ノズル11及び下側ノズル12から食器に向けて噴射される(濯ぎ工程)。濯ぎ水タンク25から圧送される濯ぎ水の温度は、例えば、80℃前後に設定されている。このとき、上側ノズル11及び下側ノズル12もまた、噴射力の反力によって回転し続けるため、濯ぎ水が食器に満遍なく当てられて、食器の濯ぎが効率良く行われる。
【0047】
食器に噴射された濯ぎ水は、フィルタ18を介して洗浄水タンク15内に回収されて洗浄水と混ざり合い、次回の洗浄工程における洗浄水として使用される。洗浄室3内に濯ぎ水が噴射されて洗浄水タンク15内に回収されると、一定水位を超える余剰な洗浄水は、オーバーフローパイプ33から排出管35を介して外部に排出される。
【0048】
上側ノズル11及び下側ノズル12から食器に濯ぎ水が噴射されると、洗浄室3内に水蒸気が発生する。本実施形態の食器洗浄機1では、濯ぎ工程が開始されると排気ファン95が作動を開始し、洗浄室3内で発生した水蒸気が排気ファン95によって排出される(蒸気回収工程)。なお、排気ファン95の作動開始タイミングは、このタイミングに限定されず、上側ノズル11及び下側ノズル12から水が噴射される洗浄工程から開始されてもよいし、洗浄工程の終了後に開始されてもよいし、濯ぎ工程の終了後に開始されてもよい。
【0049】
このように本実施形態の食器洗浄機1は、洗浄水タンク15に貯留された水を洗浄室3内に噴射する洗浄工程の実行と、濯ぎ水タンク25に貯留された水を洗浄室3内に噴射する濯ぎ工程の実行と、洗浄室3内の蒸気を回収する蒸気回収工程とを一サイクルに含む洗浄運転において、濯ぎ工程において洗浄室3内に噴射された水を洗浄水タンク15に回収して次サイクルの洗浄工程において使用すると共に、洗浄水タンク15に貯留されている水の一部を一サイクルの洗浄運転で入れ替える。一サイクル終了後、通常は、洗浄水タンク15に貯留された水を排出することはなく、次のサイクルまで洗浄水タンク15に水が貯留された状態を維持する。洗浄水タンク15に貯留された水の汚れがひどい場合には例外的に洗浄水タンク15に貯留された水を排出させることがあるものの、通常は、一日の営業が終了して食器洗浄機1の電源スイッチ55をOFFにする前、すなわち、食器洗浄機1を長時間使用しなくなる時間帯(例えば夜間)の前に、洗浄水タンク15に貯留された水を排出させる作業が行われる。
【0050】
次に、作業者が食器洗浄機1の電源スイッチ55をOFFにするときの作業者の作業及び食器洗浄機1の動作について、図7を参照しながら説明する。一日の営業が終了して、食器洗浄機1の電源スイッチ55をOFFにするとき、いきなり電源スイッチ55をOFFにしないで、操作表示部40の運転電源ボタン41をOFFにした後で電源スイッチ55をOFFにすることが勧められている。
【0051】
作業者は、操作表示部40の運転電源ボタン41を押下してOFFにする(ステップS1)。これにより、操作表示部40の運転電源ボタン41以外の操作が不可となる。コントローラ50は、運転電源ボタン41がOFFにされたことのOFF信号(切替指示)を取得する。コントローラ50は、OFF信号を受信すると、排気ファン95の作動を開始させる(ステップS2)。これにより、排気ファン95は作動を開始する。次に、作業者は、オーバーフローパイプ33を取り外し、洗浄水タンク15に貯留された水を排出させる。なお、洗浄水タンク15に貯留された水の排出は、操作表示部40の運転電源ボタン41をOFFにする前に行われてもよい。
【0052】
コントローラ50は、ステップS1時に運転電源ボタン41から送信されるOFF信号を受信するとタイマーを作動させ、OFF信号の受信時を起点に一定時間(例えば、15分)が経過したと判定されるまで、排気ファン95を作動させる(ステップS3)。これにより、排気ファン95は、運転電源ボタン41がOFFにされてから一定時間作動することになる。このとき、操作表示部40の表示部45には、図6(B)に示される情報が表示される。なお、洗浄運転の蒸気回収工程中に運転電源ボタン41が押下された場合等、ステップS1の時点で排気ファン95が作動している場合、ステップS2を省略するが、OFF信号の受信時を起点に一定時間が経過したと判定されるまで、排気ファン95を作動させる点は同じである。
【0053】
次に、コントローラ50は、ステップS3が完了したと判定すると、排気ファン95を停止させる。これにより、排気ファン95の作動が停止する。このとき、操作表示部40の表示部45には、図6(C)に示される情報が表示される。例えば、図6(C)に示されるような情報を見た作業者は、蒸気回収装置60の乾燥が完了したと認識する。作業者は、洗浄機本体2の下側部分2Bに設けられた本体カバー2Cをあけて、電源スイッチ55をOFFにする(ステップS4)。以下、上述のステップS1~ステップS3までの動作による機能を「乾燥運転機能」と称する。
【0054】
本実施形態の食器洗浄機1では、「乾燥運転機能」の他に、「セルフクリーニング機能」を有している。「セルフクリーニング機能」とは、濯ぎ水タンク25に貯留された水を洗浄室3内に噴射して、洗浄室3の内壁、上側ノズル11及び下側ノズル12等に付着した残菜及びゴミ等の汚れを洗い流す機能である。より具体的には、セルフクリーニング機能は、洗浄室3内に洗剤を供給しないで、濯ぎ運転のみを5回繰り返し行う機能である。セルフクリーニング機能は、必要に応じて実行される。
【0055】
以下、作業者がセルフクリーニング機能を実行したい場合の作業者の作業及び食器洗浄機1の動作について、図7を参照しながら説明する。作業者は、電源スイッチ55をONにする(ステップS5)。これにより、操作表示部40の全ての操作が可能となる。次に、作業者は、操作表示部40の休止/クリーニングボタン49を押下する。コントローラ50は、休止/クリーニングボタン49を押下されたことを検知すると、濯ぎポンプ27を作動させて洗浄室3内に水を噴射させることによってセルフクリーニングを実行させる(ステップS6)。コントローラ50は、セルフクリーニングを実行中である旨を、操作表示部40の表示部45に表示させる。上側ノズル11及び下側ノズル12から洗浄室3に濯ぎ水が噴射されると、洗浄室3内に水蒸気が発生する。本実施形態の食器洗浄機1では、セルフクリーニングが開始されると同時に排気ファン95が作動を開始し、洗浄室3で発生した水蒸気が排気ファン95によって蒸気回収装置60に排出され、洗浄室3内の水蒸気が回収される。
【0056】
コントローラ50は、セルフクリーニングを終了すると、セルフクリーニングが終了した旨を、操作表示部40の表示部45に表示させる。コントローラ50は、セルフクリーニングが終了した後も、排気ファン95の作動を継続する。排気ファン95における作動の継続時間は、例えば30秒とすることができる。セルフクリーニングが終了した旨の表示を見てセルフクリーニングが終了したと認識した作業者は、洗浄機本体2の下側部分2Bに設けられた本体カバー2Cをあけて、電源スイッチ55をOFFにする(ステップS7)。
【0057】
次に、上記実施形態の食器洗浄機1の作用効果について説明する。上記実施形態の食器洗浄機1では、コントローラ50は、運転電源をOFFに切り替える切替指示を受け付けると、その受け付けを起点として排気ファン95が一定の時間作動する。これにより、例えば、作業者が洗浄水タンク15に貯留された水を排出して洗浄水タンク15に水が貯留されていない状態で排気ファン95を一定時間作動させることができるので、蒸気回収装置60の内部(排気ダクト61の内部)が一定時間換気される。この結果、食器洗浄機1の稼働停止後に蒸気回収装置60の内部に残る水滴量を減少させることができる。
【0058】
なお、洗浄水タンク15に貯留された水を排出することなく、洗浄水タンク15に水が貯留された状態で排気ファン95を一定時間作動させた場合であっても、洗浄水タンク15に水がない状態で排気ファン95を作動させた場合と比べて効果は劣るものの、蒸気回収装置60の内部に残る水滴量を減少させることができる。
【0059】
なお、ここでいう蒸気回収装置60の内部に残る水滴量とは、蒸気回収装置60の内部の濡れ具合を示す一指標であり、例えば、蒸気回収装置60の内部の湿度、蒸気回収装置60における内面への水の付着面積と同義である。
【0060】
本実施形態の食器洗浄機1は、洗浄水タンク15に貯留された水を洗浄室3内に噴射する洗浄工程の実行と、濯ぎ水タンク25に貯留された水を洗浄室3内に噴射する濯ぎ工程の実行とを一サイクルに含む洗浄運転において、濯ぎ工程において洗浄室3内に噴射された水を洗浄水タンク15に回収して次サイクルの洗浄工程において使用すると共に、洗浄水タンク15に貯留されている水の一部を一サイクルの洗浄運転で入れ替える。洗浄運転後に洗浄水タンク15の水が全排出されるタイプの洗浄機と比較して、洗浄水タンク15に貯留された水を次のサイクルでも使用するタイプの洗浄機では、洗浄運転が終了しても次の洗浄運転が開始されるまで洗浄水タンク15に水が貯留されたままとなるので、蒸気回収装置60の内部は濡れたままとなりやすい。この構成では、蒸気回収装置60の内部が濡れたままとなりやすいタイプの洗浄機においても、食器洗浄機1の稼働停止後に蒸気回収装置60の内部に残る水滴量を減少させることができる。
【0061】
本実施形態の食器洗浄機1では、熱交換器90は、水蒸気の包含量が減少した空気を開口部2Hとは反対側の貫通部76aから機外へ排出し、ドア7は、上下動自在に箱状に設けられており、かつ、上下方向の移動によって洗浄室3を開閉可能に設けられている。洗浄室3の前面のみを開放するドアを有するタイプの洗浄機と比べて、箱状のドア7が上下に移動するタイプの上記実施形態のような食器洗浄機1では、洗浄室3を機外に大きく露出する。また、蒸気回収装置60は、洗浄室3に接続される一端とは反対側の端部が機外に開口している。このため、厨房内に設置されたファンや厨房内のドアの開放によって発生する空気の流れによって、蒸気回収装置60の内部にカビの要素となる栄養素が侵入し易くなっている。この構成では、このような箱状のドア7が上下に移動するタイプの洗浄機においても、食器洗浄機1の稼働停止後における蒸気回収装置60内部の水滴量を減少させることができる。これにより、蒸気回収装置60の内部にカビが発生することを抑制できる。
【0062】
本実施形態の食器洗浄機1では、操作表示部40は、作業者から切替操作を受け付ける操作部である。この構成では、作業者による操作表示部40の運転電源ボタン41のOFF操作に連動して、排気ファン95が一定の時間作動した状態となるように排気ファン95の動作が制御される。これにより、作業者は、特に意識することなく、閉店時等に操作表示部40において運転電源ボタン41をOFFにする切替操作をするだけで、蒸気回収装置60の内部の水滴量を減少させることができる排気ファン95の制御を実行できる。
【0063】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
(変形例1)
上記実施形態で説明した乾燥運転及びセルフクリーニングの動作において、図8に示されるステップS31~S34に示される動作を追加してもよい。以下、ステップS31~ステップS34について説明する。
【0065】
コントローラ50は、排気ファン95の動作を開始した(ステップS2)所定時間後に、洗浄水検知部15Aによって、洗浄水タンク15に水が貯留されているか否かを判定する(ステップS31)。ここでいう所定時間は、例えば、オーバーフローパイプ33を洗浄水タンク15から引き抜き、洗浄水タンク15に貯留された水が全排出されるまでに要する時間(例えば5分)とすることができる。ステップS31において、コントローラ50は、洗浄水検知部15Aが水を検知したことを取得すると(S31:YES)、操作表示部40にアラームを発報させる(ステップS32)。アラームの態様は、音の出力でもよいし、ランプの点灯でもよいし、表示部45への警告表示であってもよい。なお、コントローラ50は、アラームの発報を契機として排気ファン95の作動を停止してもよいし、継続させてもよい。また、ステップS32でのアラームの発報は、発報時点で止めることもできるし、そのまま継続させることもできる。
【0066】
次に、コントローラ50は、アラームを発報した(ステップS32)所定時間後(例えば10分後)に、洗浄水検知部15Aによって、洗浄水タンク15に水が貯留されているか否かを判定する(ステップS33)。ステップS33において、コントローラ50は、洗浄水検知部15Aが水を検知したことを取得すると(S33:YES)、操作表示部40にアラームを発報させる(ステップS34)。なお、ステップS32からアラームの発報が継続している場合には、そのまま発報を継続させる(ステップS34)。
【0067】
次に、コントローラ50は、ステップS34のアラーム発報後にタイマーを作動させ、ステップS34のアラーム発報を起点に一定時間(例えば、15分)が経過したと判定されるまで、排気ファン95を作動させる(ステップS3)。これにより、排気ファン95は、運転電源ボタン41がOFFにされてから、最初の5分(場合によってはその後の10分)に加えて、ステップS3での一定時間(例えば、15分)作動することになる。
【0068】
一方、ステップS31又はステップS33において、コントローラ50は、洗浄水検知部15Aが水を検知していないことを取得すると(S31:NO,S33:NO)タイマーを作動させ、洗浄水検知部15Aにおける検知結果(洗浄水が無いという結果)の受信時を起点に一定時間(例えば、15分)が経過したと判定されるまで、排気ファン95を作動させる(ステップS3)。これにより、排気ファン95は、運転電源ボタン41がOFFにされてから、最初の5分(場合によってはその後の10分を含む)に加えて、ステップS3での一定時間(例えば、15分)作動することになる。以下、図8に示されるステップS4~ステップS7については、上記実施形態と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0069】
以上に説明した変形例1に係る構成・制御では、乾燥運転を開始後、洗浄水タンク15に水があることが検知されるとアラームが発報される。洗浄水タンク15に水が貯留されていると水蒸気が発生し、このような状態で乾燥運転を実行した場合、乾燥効果が低減してしまうところ、変形例1に係る制御では、乾燥運転を実行するにあたり、洗浄水タンク15に貯留された水の排出忘れを防止することができる。仮に、アラームを発報したにもかかわらず、洗浄水タンク15に貯留された水が排出されなかった場合であっても、排気ファン95は所定時間作動する。これにより、効果は低減するものの、排気ファン95を作動させない場合と比べて、蒸気回収装置60内の水滴量を低減することができる。
【0070】
(変形例2)
上記実施形態及び変形例では、排気ファン95が一定の時間作動した状態となるように排気ファン95の動作を制御するに際し、タイマーによる時間経過情報に基づいて制御する例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、蒸気回収装置60の内部に湿度を測定する湿度計93を配置し、コントローラ50は、湿度計93によって取得される湿度が所定値以下となるまで排気ファン95を動作させてもよい。この場合であっても、蒸気回収装置60の内部の湿度が所定値となるまで一定の時間、排気ファン95を作動させることができる。また、変形例2に係る構成・制御では、蒸気回収装置60の内部環境を確実に制御できるので、蒸気回収装置60に残る水滴の量をほぼ確実に低減させることができる。
【0071】
(変形例3)
変形例2のように、蒸気回収装置60の内部に湿度計93を備える構成において、コントローラ50は、作業者によって操作表示部40の運転電源ボタン41がOFFにされた(ステップS1)後、湿度計93による湿度の情報を取得し、取得された湿度が所定値よりも低い場合には、ステップS2を実行しない制御としてもよい。ここで、蒸気回収装置60の内部の湿度が一定値以下の場合、蒸気回収装置60の内部は乾燥している(水滴量が少ない状態)と考えられる。このような変形例3に係る構成・制御によれば、蒸気回収装置60の内部に水蒸気があるとは考え難い状況において、排気ファン95を無駄に動作させることを防止できる。また、食器洗浄機1の始動時において、何らかの事情で食器洗浄機1の動作を一旦停止させる場合に、作業者によって運転電源ボタン41がOFFにされることがある。変形例3に係る構成・制御では、このような操作が行われる場合に、排気ファン95が無駄に動作しない点で特に有効である。
【0072】
(変形例4)
コントローラ50は、作業者によって操作表示部40の運転電源ボタン41がOFFにされた(ステップS1)後、洗浄水タンク15に配置された洗浄水温度センサ15Cによる洗浄水の温度の情報を取得し、取得された温度が所定値よりも低い場合には、ステップS2を実行しない制御としてもよい。洗浄水タンク15に貯留された水の水温が低い場合には、一般的に水蒸気が発生し難く、また、洗浄水温度センサ15Cによって水温が取得できない場合には、そもそも洗浄水タンク15に水が貯留されていないこともある。このような変形例4に係る構成・制御によれば、変形例3と同様の効果を得ることができる。ただし、変形例4に係る構成・制御によれば、洗浄水タンク15に設けられている既存の洗浄水温度センサ15Cを利用することができる。これにより、蒸気回収装置60の排気ダクト61の中に湿度計93を新たに追加する変形例3に係る構成・制御と比べて安価な構成で、変形例3と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(その他の変形例)
上記実施形態及び変形例では、食器洗浄機1に対する運転電源のON/OFFを切り替える切替指示を受け付ける受付部として操作表示部40(運転電源ボタン41)を例に挙げて説明したが、受付部は、例えば、通信可能に設けられたパソコンによって構成してもよいし、スマートフォン、タブレット等の携帯端末によって構成してもよい。
【0074】
上記実施形態及び変形例では、作業者が洗浄水タンク15に貯留された水を排出した後に乾燥運転を実行する例を主に説明したが、例えば洗浄水タンク15に接続される排水管に開閉弁等を設け、洗浄運転の終了後や、乾燥運転を実施する際に、洗浄水タンク15に貯留される水を自動で排出するような構成としてもよい。
【0075】
上記実施形態及び変形例では、営業終了時間に近い時間帯等に電源スイッチ55をOFFに切り替えることを前提に、運転電源ボタン41をOFFにすることで、上記ステップS1~ステップS3(図7参照)の乾燥運転を実行する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、昼の営業が終了してから夜の営業が開始されるまでの間等、食器洗浄機1の稼働を停止する場合がある。この場合には、電源スイッチ55をOFFににしないまでも、誤操作等によって不要に食器洗浄機1が動作しないように運転電源ボタン41をOFFにすることがある。このような場合にも、上記ステップS1~ステップS3(図7参照)の乾燥運転を実行する本願発明を適用することが可能である。
【0076】
なお、本願発明は、上記実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…食器洗浄機(洗浄機)、2…洗浄機本体(本体部)、2H…開口部、3…洗浄室、4…機械室、7…ドア、11…上側ノズル、12…下側ノズル、15…洗浄水タンク、15A…洗浄水検知部、15C…洗浄水温度センサ、23…洗浄ポンプ、25…濯ぎ水タンク、27…濯ぎポンプ、33…オーバーフローパイプ、35…排出管、40…操作表示部(操作部)、41…運転電源ボタン(受付部)、45…表示部、50…コントローラ(制御部)、55…電源スイッチ、60…蒸気回収装置(熱交換ユニット)、61…排気ダクト(排気部)、90…熱交換器(排気部)、93…湿度計、95…排気ファン(ファン)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8