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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172237
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】供給装置、及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/06 20060101AFI20241205BHJP
   B65G 60/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65G59/06
B65G60/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089817
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徳之
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲平
(72)【発明者】
【氏名】二橋 謙介
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA09
3F030EA05
3F030EB01
(57)【要約】
【課題】パレットを適切に供給する。
【解決手段】供給装置は、内部にパレットを収納する収納空間、及び、収納空間と外部の空間とを連通する入口部が形成される基台部と、収納空間内に設けられて、パレットの保持及び解放が可能であり、かつ上下方向に移動可能な保持部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にパレットを収納する収納空間、及び、前記収納空間と外部の空間とを連通する入口部が形成される基台部と、
前記収納空間内に設けられて、前記パレットの保持及び解放が可能であり、かつ上下方向に移動可能な保持部と、
を有する、
供給装置。
【請求項2】
前記保持部の動作を制御する制御装置を更に有し、前記制御装置は、前記パレットを保持している前記保持部を、前記上下方向における第1位置に位置させ、前記保持部に前記パレットを開放させることで、前記パレットを供給する、請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記保持部が、前記上下方向に積み重ねられた複数の前記パレットを保持している場合には、
前記制御装置は、前記第1位置において前記保持部に前記パレットを供給させた後に、前記保持部を前記第1位置よりも上方向の第2位置に移動させ、供給させた前記パレット以外のパレットを前記保持部に保持させる、請求項2に記載の供給装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記保持部が第2位置においてパレットを保持した後に、前記保持部を前記第2位置よりも上方向の第3位置に移動させる、請求項3に記載の供給装置。
【請求項5】
前記収納空間に、前記上下方向に積み重ねられた複数の前記パレットが搬入された場合には、前記制御装置は、前記保持部を前記第1位置よりも上方向の第2位置に移動させて、前記保持部に複数の前記パレットを回収させる、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の供給装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の供給装置と、自動で移動可能な移動体と、を有し、
前記移動体は、前記供給装置の前記収納空間内に進入して、前記供給装置から前記パレットが供給され、供給された前記パレットを搬送する、
搬送システム。
【請求項7】
前記供給装置及び前記移動体の動作を管理する管理装置を更に有し、
前記管理装置は、前記供給装置に、前記パレットを供給する旨の指令を出力し、前記移動体に、移動する旨の指令を出力する、請求項6に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、供給装置、及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パレットなどのトレイに物品を積み付けして、物品を出荷する方法が知られている。例えば特許文献1には、物品トレイをベルトコンベア上で搬送し、ベルトコンベア上の物品トレイに物品を積み付けて、積み付けられた物品を出荷する自動出荷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-85208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品を出荷する際においては、パレットを適切に供給することが求められている。
【0005】
本開示は、パレットを適切に供給可能な、供給装置、及び搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る供給装置は、内部にパレットを収納する収納空間、及び、前記収納空間と外部の空間とを連通する入口部が形成される基台部と、前記収納空間内に設けられて、前記パレットの保持及び解放が可能であり、かつ上下方向に移動可能な保持部と、を有する。
【0007】
本開示に係る搬送システムは、前記供給装置と、自動で移動可能な移動体と、を有し、前記移動体は、前記供給装置の前記収納空間内に進入して、前記供給装置から前記パレットが供給され、供給された前記パレットを搬送する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、パレットを適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る搬送システムの模式図である。
図2図2は、移動体の模式図である。
図3図3は、供給装置の模式図である。
図4図4は、管理装置の模式的なブロック図である。
図5図5は、移動体管理装置の模式的なブロック図である。
図6図6は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
図7図7は、供給装置の制御装置の模式的なブロック図である。
図8図8は、積付装置の制御装置の模式的なブロック図である。
図9図9は、供給装置の作業内容を示す模式図である。
図10図10は、供給装置の作業内容を示す模式図である。
図11図11は、供給装置の作業内容を示す模式図である。
図12図12は、供給装置の作業内容を示す模式図である。
図13図13は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図14図14は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図15図15は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図16図16は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図17図17は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図18図18は、残パレット数が所定数未満である場合の管理装置の処理フローを説明するフローチャートである。
図19図19は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図20図20は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図21図21は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
図22図22は、残パレット数が所定数以上である場合の管理装置の処理フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0011】
(搬送システム)
図1は、本実施形態に係る搬送システムの模式図である。本実施形態に係る搬送システム1は、設備W内においてパレットPを搬送するシステムであり、より好ましくは、搬送したパレットP上に物品Rを積み付けるシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備であるが、パレットPが搬送される任意の設備であってよい。ここで、パレットPは、一般社団法人日本パレット協会の定義では「一つの単位にまとめた貨物を置くための面があり、人手またはフォークリフト等の専用車両により荷役、輸送、及び保管の全てが可能な構造をもつもの。上部構造物をもつものを含む」とされる。本実施形態では、パレットPとは、物品Rが積付される容器や台を指す。すなわちここでいうパレットは、いわゆる平板状の台に限られず、かご車等も含まれ、任意の形状のものであってよい。物品Rとは、パレットPに積付されるものであり、例えば出荷される商品などである。パレットP上に積み付けられる物品Rの種類や、物品Rの数などは、オーダーなどに応じて適宜設定されてよい。なお、以降においては、特に断りのない限り、パレットPとは、物品Rが搭載されていない空パレットを指す。
【0012】
図1に示すように、搬送システム1は、少なくとも1つの移動体10と、供給装置20と、積付装置30と、管理装置40と、移動体管理装置50とを有する。移動体10は、設備Wの領域AR内を移動する移動体であり、パレットPを搬送する。供給装置20は、移動体10にパレットPを供給する装置である。積付装置30は、パレットPに物品Rを積み付ける装置である。管理装置40は、パレットPの搬送を管理する装置であり、詳しくは後述するが、移動体10、供給装置20、及び積付装置30に対して、指令を出力する。移動体管理装置50は、移動体10の移動を管理する装置である。搬送システム1に複数の移動体10が配備されている場合、移動体管理装置50は、それら複数の移動体10の移動を管理する。なお、搬送システム1は、移動体10、供給装置20、及び積付装置30の少なくともいずれかを、複数有してもよい。
【0013】
以降において、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、Y方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向、Y方向は、水平面に沿った方向といってもよい。本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、X方向及びY方向に直交する方向を、Z方向とする。Z方向は、上下方向(鉛直方向)ともいえる。
【0014】
(設備)
設備Wには、位置(座標)毎にウェイポイントWPが設定されている。移動体10の移動する経路は、ウェイポイントWPを繋ぐように設定される。すなわち、移動体10が通過を予定するウェイポイントWPを接続する経路が、移動体10の経路となる。ウェイポイントWPは、設備Wのレイアウトに応じて設定される。例えば、ウェイポイントWPは、領域AR内においてマトリクス状に設定されてよい。
【0015】
設備W内には、パレットPが配置される領域AR1(パレット設置場所)と、供給装置20が配置される領域AR2(供給装置設置場所)と、積付装置30が配置される領域AR3(積付装置設置場所)とが設けられている。領域AR1には、複数のパレットPが配置されている。本実施形態では、領域AR1内において、複数のパレットPが積み重ねられた状態で配置されている。以降においては、複数のパレットPが積み重ねられたパレットPの群を、適宜、パレット群Paと記載する。パレット群Paに含まれるパレットPの数は任意であってよい。領域AR1は、複数のウェイポイントWPのうちの1つのウェイポイントWPに対応する位置に設けられている。また、領域AR1は複数設けられてよく、それぞれの領域AR1に、パレット群Paが配置される。なお、図1の例では、領域AR1の数は3つであるが、それに限られない。
【0016】
領域AR2には、供給装置20が配置されている。領域AR2は、複数のウェイポイントWPのうちの1つのウェイポイントWPに対応する位置に設けられている。領域AR3には、積付装置30が配置されている。領域AR3は、複数のウェイポイントWPのうちの1つのウェイポイントWPに対応する位置に設けられている。なお、領域AR1、AR2、AR3の位置は、設備Wのレイアウトなどに応じて、適宜設定されてよい。
【0017】
(設備内での作業)
本実施形態においては、移動体10が、領域AR1に配置されたパレット群Pa(複数のパレットP)を取得し、取得したパレット群Paを領域AR2まで搬送して、供給装置20にパレット群Paを供給する。また、移動体10は、供給装置20から、供給装置20が保持するパレットPの供給を受け、供給されたパレットPを、領域AR3まで搬送する。積付装置30は、領域AR3まで搬送されたパレットPに物品Rを積付する。移動体10は、領域AR3で物品Rが積付されたパレットPを、他の領域に搬送する。なお、以上の各作業を実行する移動体10は、同じ移動体10であってもよいし、異なる移動体10であってもよい。
【0018】
(パレット群)
本実施形態においては、パレット群Paは、トレイQ上に配置されている。トレイQは、パレット群Paが配置される任意の形状であってよいが、本実施形態では、図1に示すように、台部Q1と、足部Q2とを有する。台部Q1は、上面にパレット群Paが配置される台である。足部Q2は、台部Q1の下面から延在する部材であり、台部Q1を、設備Wの床面よりも上方で保持する。移動体10は、台部Q1の下方の空間に進入して台部Q1の下面を保持し、移動することで、パレット群Paが搭載されたトレイQを(すなわち複数のパレットPを)保持して、搬送する。なお、トレイQの構造はこれに限られず、トレイQは、パレット群Paが配置可能であり、移動体10によって搬送可能な任意の構造であってよい。
【0019】
ただし、パレット群Paは、トレイQ上に配置されていることに限られず、例えば設備Wの床面に直接配置されていてよい。この場合例えば、領域AR1において、作業者により、パレット群Paを移動体10に搭載してもよいし、パレット群Paを移動体10に搭載する装置により、パレット群Paを移動体10に搭載してもよい。また例えば、移動体10がAGF(Automated Guided Forklift)である場合、移動体10に設けられたフォークにより、領域AR1の床面に配置されたパレット群Paをピックアップさせてよい。
【0020】
(各装置の構成)
次に、搬送システム1が有する各装置の構成について説明する。
【0021】
(移動体)
図2は、移動体の模式図である。移動体10は、自動で移動可能な装置である。すなわち、移動体10は、パレットPを搭載可能であり、自律移動可能な移動体である。本実施形態では、移動体10は、いわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)であり、フォークリフトとしての機能を有するものではない。すなわち、本実施形態における移動体10は、AGFのような、パレットPを持ち上げ可能なフォークを有さない。ただしそれに限られず、設備Wに配備される移動体10の少なくとも1つは、AGFであってもよい。
【0022】
図2に示すように、移動体10は、車体12と、車輪14と、センサ16と、制御装置60とを有する。車体12には、パレットPを搭載可能であり、言い換えれば、車体12に、パレットPを搭載する搭載部が設けられている。図2の例では、車体12の上面が、パレットPが搭載可能な搭載部となっている。車輪14は、車体12に取り付けられる車輪である。
【0023】
センサ16は、移動体10の周辺に存在する対象物を検出する。センサ16の設けられる位置及び数は任意であってよい。センサ16は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ16は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物を検出する。すなわち、センサ16は、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ16は、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0024】
制御装置60は、移動体10の移動を制御する装置である。制御装置60の構成については後述する。
【0025】
(供給装置)
図3は、供給装置の模式図である。供給装置20は、パレットPを保持して、保持したパレットPを、移動体10に供給(搭載)する装置である。図3に示すように、供給装置20は、基台部22と、保持部24と、制御装置70とを有する。
【0026】
(基台部)
基台部22は、パレットPを収納する機構であり、内部にパレットPを収納する収納空間22aが形成されている。図3の例では、基台部22は直方体の各辺を構成するフレームであり、それらのフレームで囲われた空間が、収納空間22aとなっている。ただし基台部22の構造は図3の例に限らず任意であってよい。
【0027】
収納空間22aは、入口部22bを介して、外部の空間(設備W内の収納空間22aの外側の空間)と連通している。すなわち、入口部22bは、収納空間22a内と収納空間22a外とを連通する開口である。このように収納空間22aが入口部22bを介して外部と連通しているため、移動体10は、入口部22bから収納空間22a内に進入可能となる。図3の例では、入口部22bは、収納空間22aのY方向側に形成されている。図3の例では、基台部22のうちのY方向側のフレームに囲われた領域が、入口部22bとなっている。
【0028】
(保持部)
保持部24は、パレットPを保持する機構である。保持部24は、基台部22の収納空間22a側に設けられており、収納空間22a内でパレットPを保持する。また、保持部24は、保持しているパレットPを解放することで、パレットPを移動体10などに供給する。
【0029】
保持部24は、Z方向に移動可能である。言い換えれば、保持部24は、Z方向の一方側(鉛直方向の上側)とZ方向の他方側(鉛直方向の下側)とに、移動可能である。また、保持部24は、パレットPの保持及び解放が可能である。保持部24は、保持状態とされることで、パレットPを保持する。また、保持部24は、開放状態とされることで、パレットPを解放する。
【0030】
保持部24は、Z方向に移動可能であり、かつ、パレットPの保持及び解放が可能であれば、任意の構造であってよいが、本実施形態においては、保持部24は、基部24Aと爪部24Bとを有する。また、基台部22には、案内部26が設けられている。
【0031】
案内部26は、収納空間22a内においてZ方向に延在する部材であり、Z方向に延びる溝が形成されている。図3の例では、案内部26は、収納空間22aの中央位置OよりもX方向側の基台部22と、中央位置OよりもX方向の反対側の基台部22とに設けられている。
【0032】
基部24Aは、爪部24Bを支持する部材である。基部24Aは、Z方向(上下方向)に移動可能に、案内部26の溝に取り付けられている。保持部24は、基部24Aが案内部26の溝に沿って移動することで、Z方向に移動する。本実施形態では、保持部24は、Z方向における第1位置PO1、第2位置PO2、及び第3位置PO3のいずれかの位置に固定される。第1位置PO1は、パレットPを解放する際の保持部24の位置である。第2位置PO2は、第1位置PO1よりも鉛直方向上方(上方向)の位置であり、パレットPを回収する際の保持部24の位置である。第3位置PO3は、第2位置PO2よりも鉛直方向上方(上方向)の位置であり、回収したパレットPを保持する際の保持部24の位置である。第1位置PO1~第3位置PO3への移動制御については、後述する。
【0033】
本実施形態では、保持部24は、Z方向における第1位置PO1、第2位置PO2、及び第3位置PO3のみに固定され、第1~第3位置PO3以外の位置には固定されない。例えば、案内部26の第1位置PO1、第2位置PO2、及び第3位置PO3に対応する位置にリミットスイッチが設けられて、リミットスイッチにより、第1位置PO1~第3位置PO3に到達したことが検知されたら、保持部24を停止(固定)してよい。これにより、シンプルな機構としつつ、パレットPの供給、回収、及び保持を適切に実行できる。ただし、保持部24は、第1~第3位置PO3以外の位置に固定可能であってもよい。これにより、保持部24のZ方向の位置をより柔軟に制御できる。
【0034】
爪部24Bは、基部24Aから、収納空間22aの中央位置O側に突出する部材である。爪部24Bは、収納空間22aの中央位置O側に向かう方向(図3の例ではX方向)に伸縮可能である。基部24A及び爪部24B(保持部24)は、収納空間22aの中央位置OよりもX方向側と、中央位置OよりもX方向の反対側とに設けられている。すなわち、X方向側の保持部24が有する基部24Aは、X方向側の案内部26の溝に取り付けられており、X方向側の保持部24が有する爪部24Bは、基部24AからX方向に伸縮可能である。同様に、X方向と反対側の保持部24が有する基部24Aは、X方向と反対側の案内部26の溝に取り付けられており、X方向と反対側の保持部24が有する爪部24Bは、基部24AからX方向に伸縮可能である。
【0035】
保持部24は、爪部24Bが基部24Aから伸びることで、保持状態となる。すなわち、爪部24Bは、中央位置O側に向かう方向に伸びることで、パレットPの開口に挿入された保持状態となり、パレットPを保持する。一方、爪部24Bが基部24A側に縮むことで、解放状態となる。すなわち、爪部24Bは、基部24A側に縮むことで、爪部24BがパレットPの開口外に位置する解放状態となり、パレットPを解放する。
【0036】
なお、供給装置20には、収納空間22a内の状況を検出するセンサが設けられていてもよい。センサとしては、例えば、収納空間22a内にトレイQが配置されているかを検出するセンサ、収納空間22a内のトレイQ上に、供給済みのパレットPが有るかを検出するセンサ、保持部24が保持しているパレットPの数(残パレット数)を検出するセンサなどが挙げられる。これらのセンサは、それぞれ異なるものであってもよいし、同じセンサでこれらの機能を兼ね備えてもよい。このようなセンサとしては、例えば近接センサ、LiDAR、カメラなどが挙げられる。
【0037】
(積付装置)
積付装置30は、パレットPに物品Rを積み付ける装置(ロボット)であり、いわゆるパレタイザである。図1に示すように、積付装置30は、アーム32と制御装置80とを有する。アーム32は、いわゆるロボットアームである。アーム32は、物品Rをピックアップし、ピックアップした物品RをパレットP上に配置することで、パレットPに物品Rを積み付ける機構である。積付装置30が配置される領域AR3のウェイポイントWPは、アーム32が届く位置に設定されることが好ましい。ただし、積付装置30の構造はこれに限られず、積付装置30は、パレットPに物品Rを積み付け可能な、任意の構造であってよい。制御装置80は、積付装置30の動作を制御する装置である。制御装置80の構成については後述する。
【0038】
(管理装置)
図4は、管理装置の模式的なブロック図である。管理装置40は、搬送システム1が有する各装置の動作を管理するシステムである。管理装置40は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置40が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理装置40は、コンピュータであり、図4に示すように、通信部42と記憶部44と制御部46とを含む。なお、管理装置40は、単体の装置で構成してもよいし、他の装置と一体に構成してもよいし、演算装置及びデータサーバ等の各種装置を組み合わせたシステムとして構成してもよく、特に限定されない。
【0039】
通信部42は、制御部46に用いられて、搬送システム1が有する各装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部42による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部44は、制御部46の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部44が保存する制御部46用のプログラムは、管理装置40が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0040】
制御部46は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部46は、作業設定部46Aと、情報取得部46Bと、指令出力部46Cとを含む。制御部46は、記憶部44からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業設定部46Aと情報取得部46Bと指令出力部46Cを実現して、その処理を実行する。なお、制御部46は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業設定部46Aと情報取得部46Bと指令出力部46Cとの少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0041】
作業設定部46Aは、搬送システム1が有する各装置の作業内容を設定する。情報取得部46Bは、搬送システム1が有する各装置から送信された情報を取得する。指令出力部46Cは、搬送システム1が有する各装置に、指令を出力する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0042】
(移動体管理装置)
図5は、移動体管理装置の模式的なブロック図である。移動体管理装置50は、移動体10を管理する装置である。移動体管理装置50は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10を管理する任意の装置であってよい。移動体管理装置50が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられてもよい。移動体管理装置50は、コンピュータであり、図5に示すように、通信部52と記憶部54と制御部56とを含む。なお、移動体管理装置50は、単体の装置で構成してもよいし、他の装置と一体に構成してもよいし、演算装置及びデータサーバ等の各種装置を組み合わせたシステムとして構成してもよく、特に限定されない。
【0043】
通信部52は、制御部56に用いられて、管理装置40や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部52による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部54は、制御部56の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部54が保存する制御部56用のプログラムは、移動体管理装置50が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0044】
制御部56は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部56は、情報取得部56Aと、経路設定部56Bと、情報出力部56Cとを含む。制御部56は、記憶部54からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、情報取得部56Aと経路設定部56Bと情報出力部56Cを実現して、その処理を実行する。なお、制御部56は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、情報取得部56Aと経路設定部56Bと情報出力部56Cとの少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0045】
情報取得部56Aは、搬送システム1が有する各装置から送信された情報を取得する。経路設定部56Bは、移動体10の経路を設定する。情報出力部56Cは、搬送システム1が有する各装置に、情報を出力する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0046】
なお、本実施形態では、管理装置40と移動体管理装置50とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置40が移動体管理装置50の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、移動体管理装置50が管理装置40の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0047】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置60について説明する。図6は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置60は、移動体10を制御する装置である。制御装置60は、コンピュータであり、図6に示すように、通信部62と記憶部64と制御部66とを含む。通信部62は、制御部66に用いられて、移動体管理装置50などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部62による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部64は、制御部66の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部64が保存する制御部66用のプログラムは、制御装置60が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0048】
制御部66は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部66は、情報取得部66Aと、移動制御部66Bと、情報出力部66Cとを含む。制御部66は、記憶部64からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、情報取得部66Aと移動制御部66Bと情報出力部66Cを実現して、その処理を実行する。なお、制御部66は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、情報取得部66Aと移動制御部66Bと情報出力部66Cとの少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0049】
情報取得部66Aは、搬送システム1が有する各装置から送信された情報を取得し、移動制御部66Bは、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御し、情報出力部66Cは、搬送システム1が有する各装置に情報を出力する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0050】
(供給装置の制御装置)
次に、供給装置20の制御装置70について説明する。図7は、供給装置の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置70は、供給装置20を制御する装置である。制御装置70は、コンピュータであり、図7に示すように、通信部72と記憶部74と制御部76とを含む。通信部72は、制御部76に用いられて、管理装置40などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部72による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部74は、制御部76の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部74が保存する制御部76用のプログラムは、制御装置70が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0051】
制御部76は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部76は、情報取得部76Aと、動作制御部76Bと、情報出力部76Cとを含む。制御部76は、記憶部74からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、情報取得部76Aと動作制御部76Bと情報出力部76Cを実現して、その処理を実行する。なお、制御部76は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、情報取得部76Aと動作制御部76Bと情報出力部76Cとの少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0052】
情報取得部76Aは、管理装置40から指令を取得し、動作制御部76Bは、供給装置20の動作を制御し、情報出力部76Cは、管理装置40などに情報を出力する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0053】
なお、例えば供給装置20が複数設けられている場合などにおいては、複数の移動体10を管理する移動体管理装置50と同様に、複数の供給装置20を管理する管理装置が設けられていてよい。この場合、供給装置20の制御装置70は、供給装置20の管理装置を介して、管理装置40と、後述する各種情報や各種指令の送受信を行ってよい。
【0054】
(積付装置の制御装置)
次に、積付装置30の制御装置80について説明する。図8は、積付装置の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置80は、積付装置30を制御する装置である。制御装置80は、コンピュータであり、図8に示すように、通信部82と記憶部84と制御部86とを含む。通信部82は、制御部86に用いられて、管理装置40などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナなどを含んでよい。通信部82による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部84は、制御部86の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0055】
制御部86は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部86は、情報取得部86Aと、動作制御部86Bと、情報出力部86Cとを含む。制御部86は、記憶部84からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、情報取得部86Aと動作制御部86Bと情報出力部86Cを実現して、その処理を実行する。なお、制御部86は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、情報取得部86Aと動作制御部86Bと情報出力部86Cとの少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部84が保存する制御部86用のプログラムは、制御装置80が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0056】
情報取得部86Aは、管理装置40から指令を取得し、動作制御部86Bは、積付装置30の動作を制御し、情報出力部86Cは、管理装置40などに情報を出力する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0057】
なお、例えば積付装置30が複数設けられている場合などにおいては、複数の移動体10を管理する移動体管理装置50と同様に、複数の積付装置30を管理する管理装置が設けられていてよい。この場合、積付装置30の制御装置80は、積付装置30の管理装置を介して、管理装置40と、後述する各種情報や各種指令の送受信を行ってよい。
【0058】
(供給装置の作業)
供給装置20の作業内容について説明する。図9から図12は、供給装置の作業内容を示す模式図である。
【0059】
(パレットの回収)
ここで、供給装置20が保有しているパレットPの数(収納空間22a内で保持されているパレットPの数)を、残パレット数とする。残パレット数が所定数未満となった場合には、収納空間22a内にパレット群Paが補充(搬入)され、供給装置20は、補充されたパレット群Paを回収する。言い換えれば、残パレット数が所定数未満である場合には、供給装置20は、パレットPを供給する作業を実行する前に、パレット群Paを回収する作業を実行する。なお、ここでの所定数は、任意に設定されてよいが、本例では1つであってよい。また、収納空間22a内へのパレット群Paの補充方法は任意でよいが、本実施形態では、移動体10が、収納空間22aにパレット群Paを搬入する。移動体10の作業については後述する。
【0060】
図9は、パレットPを回収及び保持している状態を示している。図9のステップSAに示すように、供給装置20の制御装置70は、パレット群Paを回収する前には、保持部24を第1位置PO1に位置させ、かつ保持部24を解放状態としている。そして、収納空間22a内にパレット群Paが搬入されたら、制御装置70(動作制御部76B)は、図9のステップSBに示すように、保持部24を、Z方向における第2位置PO2に位置させる。すなわち本実施形態では、収納空間22a内にパレット群Paが搬入されたら、制御装置70は、保持部24を、第1位置PO1から第2位置PO2に移動させる。そして、図9のステップSCに示すように、制御装置70は、保持部24が第2位置PO2に位置している状態で、保持部24を保持状態(爪部24BがパレットPの開口に挿入された状態)にする。すなわち、制御装置70は、パレットPを回収する際には、保持部24が第2位置PO2に位置している状態で、保持部24を解放状態から保持状態に切り替えることで、爪部24Bを伸ばして、補充されたパレットPの開口に爪部24Bを挿入させる、これにより、パレット群Pa(爪部24Bが挿入されたパレットP及びそれよりも上に積まれたパレットP)が、回収される。
【0061】
第2位置PO2は、収納空間22a内に補充されたパレットPを回収できる位置に、予め設定されている。例えば本実施形態においては、収納空間22a内には、トレイQに複数のパレットPが積まれた状態で、パレットPが補充される。また、本実施形態においては、第2位置PO2は、トレイQ上で下から2段目に積まれたパレットPを保持可能な位置に設定される。そのため、保持部24が第2位置PO2に位置している状態で保持状態に切り替えられると、トレイQに積まれたパレット群Paのうちで、下から2段目及びそれよりも上に積まれたパレットPが回収され、最下段のパレットPは回収されずに残される。ただし、供給装置20は、下から2段目以上のパレットPのみを回収することに限られず、全てのパレットPを回収してもよいし、下から3段目以上に積まれたパレットPを回収してもよい。また、トレイQを用いず、収納空間22aの床面上や、移動体10の車体12の上面に置かれたパレットPを回収する場合には、第2位置PO2は、それらの合わせた位置に設定される。
【0062】
なお、図9の例では、パレット群Paを回収する前(すなわちパレット群Paが収納空間22a内に搬入された際)には、保持部24は、第1位置PO1に位置し、かつ解放状態であったが、それに限られない。例えば、パレット群Paが収納空間22a内に搬入された際に、保持部24は、第1位置PO1以外の位置にあってもよいし、固定状態とされていてもよい。
【0063】
(パレットの保持)
供給装置20は、パレット群Paを回収したら、回収したパレット群Paを保持する。図9のステップSDに示すように、制御装置70は、回収したパレット群Paを保持する際には、保持部24を、Z方向における第3位置PO3に位置させる。制御装置70は、保持部24が第3位置PO3に位置している状態で、保持部24を保持状態のままとする。すなわち、本実施形態では、制御装置70は、第2位置PO2で保持状態となっている保持部24を、第2位置PO2から第3位置OP3まで移動させる。これにより、回収されたパレット群Paが、第3位置PO3で保持される。なお、第3位置PO3は、第2位置PO2よりも上方の任意の位置に、予め設定されている。
【0064】
(パレットPの供給)
残パレット数が所定数以上である場合には、供給装置20は、保持しているパレットPを供給する。言い換えれば、残パレット数が所定数以上である場合には、供給装置20は、パレット群Paを回収する作業を実行する前に、パレットPを供給する作業を実行する。
【0065】
図10のステップSEに示すように、制御装置70は、パレットPを供給する前の状態においては、保持部24を、第3位置PO3において、保持状態としている。すなわち、パレットPを供給する前の状態においては、保持部24は、第3位置PO3において、パレットPを保持している。制御装置70は、パレットPを供給する際には、保持部24を、第1位置PO1に位置させる。すなわち本実施形態では、図10のステップSFに示すように、制御装置70は、保持状態にある保持部24を、第3位置PO3から第1位置PO1に移動させる。そして、制御装置70は、保持部24を解放状態にする。すなわち、図10のステップSGに示すように、制御装置70は、保持部24が第1位置PO1に位置している状態で、保持部24を保持状態から解放状態(爪部24BがパレットPの開口外にある状態)に切り替える。すなわち、爪部24Bを縮ませて、パレットPの開口外に戻す。これにより、パレットPが収納空間22a内に供給される。
【0066】
第1位置PO1は、解放したパレットPを収納空間22a内に供給できる位置に、予め設定されている。例えば本実施形態においては、供給装置20は、収納空間22a内に配置されたトレイQの上にパレットPを供給する。そのため、第1位置PO1は、収納空間22a内に配置されたトレイQの上にパレットPを配置可能な位置(例えばトレイQの上面よりも所定距離だけ上の位置)に設定される。これにより、保持部24が第1位置PO1に位置している状態で解放状態に切り替えられると、トレイQの上にパレットPが配置され、トレイQ上にパレットPが供給される。ただし、トレイQを用いず、収納空間22aの床面上や、移動体10の車体12の上面に、直接パレットPを配置する場合には、第1位置PO1は、それらの合わせた位置に設定される。
【0067】
(残パレット数が複数の場合)
本実施形態では、制御装置70は、残パレット数が複数の場合(保持部24が保持しているパレットPが複数の場合)と、残パレット数が1つの場合(保持部24が保持しているパレットPが1つの場合)とで、パレットPを供給する際の保持部24の動作を異ならせる。以下で、残パレット数が複数の場合の動作を説明する。
【0068】
図10及び図11は、残パレット数が複数の場合を示している。残パレット数が複数の場合においてパレットPを供給するまでの動作は、図10のステップSEからステップSGを用いて上述で説明したものと同じである。残パレット数が複数の場合には、制御装置70は、図10のステップSGに示すようにパレットPを供給したら、保持部24に残りのパレットPを回収、及び保持させる。すなわち本実施形態では、供給装置20は、保持している複数のパレットPのうちの一部のパレットP(本例では1つのパレットP)のみを供給して、他のパレットPを回収する。具体的には、制御装置70は、図10のステップSHに示すように、パレットPを供給したら、解放状態の保持部24を、解放状態としたまま、第1位置PO1から第2位置PO2に移動させる。その後、図11のステップSIに示すように、制御装置70は、保持部24が第2位置PO2に位置している状態で、保持部24を解放状態から保持状態に切り替える。これにより、供給したパレットPよりも上段に積まれたパレットP(爪部24Bが挿入されたパレットP及びそれよりも上に積まれたパレットP)が、回収される。その後、制御装置70は、回収したパレットPを保持部24に保持させる。具体的には、図11のステップSJに示すように、制御装置70は、第2位置PO2で保持状態となっている保持部24を、第2位置PO2から第3位置OP3まで移動させる。これにより、回収されたパレットPが、第3位置PO3で保持される。
【0069】
(残パレット数が1つの場合)
図12は、残パレット数が1つの場合を示している。残パレット数が1つの場合におけるパレットPを供給するまでの動作は、残パレット数が複数の場合の動作と同じである。すなわち図12のステップSKに示すように、制御装置70は、パレットPを供給する前の状態においては、保持部24を、第3位置PO3において保持状態としている。そして、パレットPを供給する際には、図12のステップSLに示すように、制御装置70は、保持状態にある保持部24を、第3位置PO3から第1位置PO1に移動させた後、ステップSMに示すように、保持部24を解放状態にする。すなわち、制御装置70は、保持部24が第1位置PO1に位置している状態で、保持部24を保持状態から解放状態に切り替える。これにより、パレットPが収納空間22a内に供給される。
【0070】
残パレット数が1つの場合には、制御装置70は、保持部24を、第1位置PO1において、解放状態のままとする。すなわち、残パレット数が1つの場合、パレットPが供給された後には、残パレット数は所定数未満(ゼロ)となる。図12のステップSNに示すように、収納空間22a内に供給されたパレットPが、移動体10により収納空間22a外に搬送された後にも、保持部24は、解放状態で第1位置PO1に位置し続ける。そして、供給装置20は、図10のステップSAに示すようにパレットPが補充(搬入)されたら、図10のステップSB以降に示すパレットPの回収を行う。
【0071】
(搬送システムの処理)
次に、搬送システム1全体の処理内容について説明する。
【0072】
(作業の設定)
管理装置40の作業設定部46Aは、移動体10、供給装置20、及び積付装置30の作業内容と、それぞれの作業内容の実施順とを設定する。作業設定部46Aは、移動体10の移動元の位置及び移動先の位置を、移動体10の作業内容として設定する。例えば、作業設定部46Aは、移動体10の移動元のウェイポイントWPと、移動先のウェイポイントWPとを設定してよい。また、作業設定部46Aは、供給装置20によるパレットPの回収と、供給装置20によるパレットPの供給とを、供給装置20の作業内容として設定する。また、作業設定部46Aは、積付装置30によるパレットPへの物品Rの積み付けを、積付装置30の作業内容として設定する。作業設定部46Aは、このようなそれぞれの作業内容の実施順も設定する。なお、作業内容及び実施順は、例えばオーダーの内容などに応じて、適宜設定されてよい。
【0073】
管理装置40は、作業設定部46Aによって設定された作業内容及び実施順に基づいて、移動体10、供給装置20、及び積付装置30の動作を管理する。管理装置40は、移動体10、供給装置20、及び積付装置30に対して、後述する各種指令(管理装置40から管理対象となる装置への指令)と各種情報(管理対象の装置から管理装置40への作業の進捗情報)とを送受信しながら、設定された作業内容及び実施順に応じた作業を行わせる。
【0074】
(作業の実行)
供給装置20にパレットPを補充する際の、移動体10及び供給装置20の作業内容を説明する。供給装置20にパレットPを補充する場合、移動体10は、パレット群Paが配置されている領域AR1(領域AR1に対応するウェイポイントWP)まで移動して、領域AR1に到着したら、領域AR1に配置されているパレット群Pa(本実施形態ではパレット群Paが搭載されたトレイQ)を取得する。パレット群Paを取得した移動体10は、領域AR1から、供給装置20が配置されている領域AR2(領域AR2に対応するウェイポイントWP)にまで移動することで、領域AR1から領域AR2にパレット群Paを搬送して、供給装置20にパレット群Paを供給する。供給装置20は、領域AR2に到着した移動体10が保持しているパレット群Paを、保持部24により回収して、パレット群Paを保持する。これにより、供給装置20にパレットPが供給(補充)される。
【0075】
移動体10にパレットPを搭載する際の、移動体10及び供給装置20の作業内容を説明する。移動体10にパレットPを搭載する場合、移動体10は、供給装置20が配置されている領域AR2まで移動する。供給装置20は、領域AR2に位置している移動体10に対して、保持しているパレットPを搭載(供給)する。供給装置20は、1台の移動体10に対して、1つのパレットPを搭載することが好ましい。なお、本実施形態の例では、供給装置20が保持しているパレットPが複数である場合には、供給装置20は、保持している複数のパレットPのうちの一部のパレットP(好ましくは1つのパレットP)を、移動体10に搭載する。一方、供給装置20が保持しているパレットPが1つである場合には、供給装置20は、保持している1つのパレットPを、移動体10に搭載する。
【0076】
積付装置30にパレットPを搬送する際の、移動体10及び積付装置30の作業内容を説明する。積付装置30にパレットPを搬送する場合、供給装置20からパレットPが供給された移動体10が、供給装置20が配置されている領域AR2から、積付装置30が配置されている領域AR3(領域AR3に対応するウェイポイントWP)にまで移動することで、領域AR2から領域AR3にパレットPを搬送する。積付装置30は、領域AR3に搬送されたパレットPに、物品Rを積付する。物品Rの積付が完了したパレットPは、移動体10により他の場所に搬送される。
【0077】
なお、以上で説明した、供給装置20にパレットPを搬送する移動体10と、供給装置20からパレットPが供給される移動体10(積付装置30にパレットPを搬送する移動体10)と、物品Rの積付が完了したパレットPを他の場所に搬送する移動体10とは、同じ移動体10であってもよいし、別の移動体10であってもよい。作業を行う対象となる移動体10は、作業内容により設定される。
【0078】
また、移動体10が移動する経路は、任意に設定されてよい。例えば本実施形態では、移動体管理装置50の経路設定部56Bが、作業内容に示された移動元及び移動先の情報に基づき、移動元から移動先までの経路を、移動体10が移動する経路として設定してよい。そして、移動体10の情報取得部66Aが、移動体管理装置50から、移動元から移動先までの経路を取得して、移動体10の移動制御部66Bが、取得した経路に従って、移動体10を移動先まで移動させてよい。なお、移動元から移動先までの経路は、移動元のウェイポイントWPから移動先のウェイポイントWPまでの各ウェイポイントWPを経由する経路であってもよい。また、移動元から移動先までの経路は、移動元から移動先までの各ウェイポイントWPを経由する経路に基づいて設定された、移動体10が追従可能な経路であってもよい。
【0079】
また、移動体10の移動制御部66Bは、移動体10の位置及び姿勢(位置情報)を逐次把握することで、設定された経路を通るように、移動体10を移動させる。移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wの床面のウェイポイントWPに対応する位置に、その位置情報を示す識別子が設けられており、移動制御部66Bは、センサ16などにより識別子を検出させて、識別子の検出結果に基づき、移動体10の位置情報を取得する。ただし、移動体10の位置情報の取得方法は、床面に配置された識別子を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。また例えば、移動体10が、設備Wに設けられた検出体にレーザ光を照射し、その反射波を検出することで、移動体10の位置情報を検出してもよい。
【0080】
(一連の作業)
以降において、移動体10、供給装置20、及び積付装置30による一連の作業を、より詳細に説明する。図13から図17は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。
【0081】
(残パレット数が所定数未満の場合の作業)
移動体10は、残パレット数が所定数未満である場合には、供給装置20へパレット群Paを搬送して、供給装置20にパレット群Paを補充する。言い換えれば、残パレット数が所定数未満である場合には、供給装置20が移動体10にパレットPを搭載する作業を実行する前に、供給装置20にパレット群Paを補充する作業を実行する。なお、ここでの所定数は、任意に設定されてよいが、本例では1つであってよい。
【0082】
(残パレット数の取得)
本実施形態においては、管理装置40の情報取得部46Bは、残パレット数の情報を取得する。管理装置40は、残パレット数の情報を逐次取得してよい。管理装置40による残パレット数の情報の取得方法は任意であってよい。例えば、供給装置20が、供給装置20に設けられたセンサにより、供給装置20が保有しているパレットPの数を残パレット数として検出し、情報出力部76Cにより、検出した残パレット数を管理装置40に送信してもよい。また例えば、管理装置40は、これまでに実施された作業内容に基づいて、残パレット数を算出してよい。すなわち、これまでに実施された作業内容から、供給装置20に補充されたパレットPの数と、供給装置20から移動体10に搭載された(搬出された)パレットPの数を算出可能なので、管理装置40は、これらの作業内容から、残パレット数を算出できる。
【0083】
(供給装置へのパレットの搬送)
管理装置40の指令出力部46Cは、残パレット数が所定数未満である場合には(本例では残パレット数が0個である場合には)、パレット搬送指令C1を出力する。パレット搬送指令C1とは、移動体10により供給装置20へパレット群Paを搬送する旨の指令である。本実施形態では、指令出力部46Cは、移動体管理装置50を介して、対象となる移動体10にパレット搬送指令C1を出力する。対象となる移動体10は、作業内容において予め設定されてよい。管理装置40は、移動体管理装置50にパレット搬送指令C1を出力し、移動体管理装置50の情報取得部56Aが、管理装置40からパレット搬送指令C1を取得する。そして、移動体管理装置50の情報出力部56Cは、パレット搬送指令C1を移動体10に出力する。ただし、管理装置40は、移動体管理装置50を介して移動体10にパレット搬送指令を出力することに限られず、パレット搬送指令C1を、移動体10に直接出力してもよい。以降においても、管理装置40は、移動体管理装置50を介して、移動体10に各種指令を出力する旨を説明するが、同様に、各種指令を移動体10に直接出力してもよい。
【0084】
(パレット搭載指令の出力)
より詳しくは、管理装置40の指令出力部46Cは、残パレット数が所定数未満である場合には、パレット搭載指令C0を出力する。パレット搭載指令C0とは、パレット群Paが配置される領域AR1に移動体10を移動させる旨の指令である。図13は、パレット搭載指令C0が出力された場合の例を示している。指令出力部46Cは、移動体管理装置50を介して、対象となる移動体10にパレット搭載指令C0を出力する。図13に示すように、パレット搭載指令C0を取得した移動体10は、領域AR1に向けて移動する。具体的には、パレット搭載指令C0を取得した移動体10は、作業内容に示された移動元のウェイポイントWP0から、作業内容に示された移動先(領域AR1)に対応するウェイポイントWP1まで、設定された経路に従って移動する。
【0085】
(搭載完了情報の出力)
図13に示すように、移動体10は、領域AR1に対応するウェイポイントWP1に到着したら、領域AR1に設置されたパレット群Pa(本例ではパレット群Paが搭載されたトレイQ)を取得(搭載)する。移動体10は、ウェイポイントWP1に到着してパレット群Paを搭載したら、情報出力部66Cにより、搭載完了情報C1Aを出力する。搭載完了情報C1Aとは、移動体10が領域AR1に到着した旨を示す情報であってもよいし、移動体10へのパレット群Paの搭載が完了した旨を示す情報であってもよい。搭載完了情報C1Aを生成及び出力するトリガは任意であってよい。例えば、移動体10の位置情報から、移動体10がウェイポイントWP1に到着した旨を認識したことを、トリガとしてもよい。又は、移動体10がウェイポイントWP1に到着し、かつパレット群Paの搭載が完了した旨を認識したことを、トリガとしてもよい。
【0086】
移動体10の情報出力部66Cは、搭載完了情報C1Aを、移動体管理装置50を介して管理装置40に出力する。すなわち、移動体10は、移動体管理装置50に搭載完了情報C1Aを出力し、移動体管理装置50の情報取得部56Aが、移動体10から搭載完了情報C1Aを取得する。そして、移動体管理装置50の情報出力部56Cは、搭載完了情報C1Aを管理装置40に出力する。ただし、移動体10は、移動体管理装置50を介して管理装置40に搭載完了情報C1Aを出力することに限られず、搭載完了情報C1Aを、管理装置40に直接出力してもよい。以降においても、移動体10は、移動体管理装置50を介して、管理装置40に各種情報を出力する旨を説明するが、同様に、各種情報を管理装置40に直接出力してもよい。
【0087】
(パレット搬送指令の出力)
図14は、パレット搬送指令C1が出力された場合の例を示している。管理装置40の指令出力部46Cは、搭載完了情報C1Aを取得したら、移動体管理装置50を介して、パレット群Paを搭載した移動体10に(搭載完了情報C1Aを送信した移動体10に)、パレット搬送指令C1を出力する。図14に示すように、パレット搬送指令C1を取得した移動体10は、領域AR1から領域AR2に向けて移動する。具体的には、パレット搬送指令C1を取得した移動体10は、作業内容に示されていた移動元(領域AR1)のウェイポイントWP1から、作業内容に示されていた移動先(領域AR2)に対応するウェイポイントWP2まで、設定された経路に従って移動する。これにより、パレット群Paが、移動体10により、領域AR2(ウェイポイントWP2)まで搬送される。本実施形態の例では、領域AR2に到着した移動体10は、パレット群Paを搭載したまま、領域AR2(ウェイポイントWP2)に待機する。
【0088】
(搬送完了情報の出力)
図14に示すように、移動体10の情報出力部66Cは、移動体10が領域AR2に対応するウェイポイントWP2に到着したら、供給装置20へのパレット群Paの搬送が完了した旨を示す搬送完了情報C2Aを出力する。移動体10の情報出力部66Cは、搬送完了情報C2Aを、移動体管理装置50を介して管理装置40に出力する。搬送完了情報C2Aを生成及び出力するトリガは任意であってよい。例えば、移動体10の位置情報から、移動体10がウェイポイントWP2に到着した旨を認識したことを、トリガとしてもよい。
【0089】
(パレット回収指令の出力)
図15は、パレット回収指令C2が出力された場合の例を示している。管理装置40の指令出力部46Cは、搬送完了情報C2Aを取得したら、供給装置20の制御装置70に、パレット回収指令C2を出力する。パレット回収指令C2とは、供給装置20にパレット群Paを回収させる旨の指令である。供給装置20の制御装置70は、情報取得部76Aによりパレット回収指令C2を取得したら、図15に示すように、動作制御部76Bにより保持部24を制御して、保持部24により、領域AR2に搬送されたパレット群Paを回収する。具体的には、動作制御部76Bは、図9などを用いて上述で説明したように、パレット群Paを回収する。
【0090】
供給装置20は、領域AR2に搬送されたパレット群Paのうちの、一部のパレットPを領域AR2(本例では領域AR2で待機している移動体10)に残しつつ、他のパレットPのみを回収することが好ましい。具体的には、供給装置20は、領域AR2に搬送されたパレット群Paのうちの、1つのパレットPを領域AR2に残しつつ、他のパレットPを回収することが好ましい。すなわち図15の例では、4つのパレットPが搬送されたため、供給装置20は、最下段に積まれた1つのパレットPを移動体10に残しつつ、それよりも上段に積まれた3つのパレットPを回収する。これにより、領域AR2で待機している移動体10は、パレットP(本例では1つのパレットP)が搭載された状態となる。
【0091】
(搭載完了情報の出力)
領域AR2に待機している移動体10にパレットPが搭載された状態になったら、移動体10の情報出力部66Cは、移動体10にパレットPが搭載された旨を示す搭載完了情報C3Aを出力する。移動体10の情報出力部66Cは、搭載完了情報C3Aを、移動体管理装置50を介して管理装置40に出力する。ただし、搭載完了情報C3Aを出力する主体は、移動体10に限られず、供給装置20の制御装置70により、搭載完了情報C3Aを管理装置40に出力してもよい。
【0092】
(パレット搬送指令の出力)
図16は、パレット搬送指令C3が出力された場合の例を示している。管理装置40の指令出力部46Cは、搭載完了情報C3Aを取得したら、移動体管理装置50を介して、領域AR2でパレットPを搭載した移動体10に(搭載完了情報C3Aを送信した移動体10に)、パレット搬送指令C3を出力する。パレット搬送指令C3とは、移動体10により積付装置30へパレットPを搬送する旨の指令である。図16に示すように、パレット搬送指令C3を取得した移動体10は、領域AR2から領域AR3に向けて移動する。具体的には、パレット搬送指令C3を取得した移動体10は、作業内容に示されていた移動元のウェイポイントWP2から、作業内容に示されていた移動先(領域AR3)に対応するウェイポイントWP3まで、設定された経路に従って移動する。これにより、パレットPが、移動体10により、領域AR3(ウェイポイントWP3)まで搬送される。本実施形態の例では、領域AR3に到着した移動体10は、パレットPを搭載したまま、領域AR3(ウェイポイントWP3)に待機する。
【0093】
(搬送完了情報の出力)
図16に示すように、移動体10の情報出力部66Cは、移動体10が領域AR3に対応するウェイポイントWP3に到着したら、積付装置30へのパレットPの搬送が完了した旨を示す搬送完了情報C4Aを出力する。移動体10の情報出力部66Cは、搬送完了情報C4Aを、移動体管理装置50を介して管理装置40に出力する。搬送完了情報C4Aを生成及び出力するトリガは任意であってよい。例えば、移動体10の位置情報から、移動体10がウェイポイントWP3に到着した旨を認識したことを、トリガとしてもよい。
【0094】
(積付指令の出力)
図17は、積付指令C4が出力された場合の例を示している。管理装置40の指令出力部46Cは、搬送完了情報C4Aを取得したら、積付装置30の制御装置80に、積付指令C4を出力する。積付指令C4とは、積付装置30にパレットPへ物品Rを積み付けさせる旨の指令である。積付装置30は、情報取得部86Aにより管理装置40からの積付指令C4を取得したら、図17に示すように、動作制御部86Bによりアーム32を制御して、アーム32により、領域AR3(ウェイポイントWP3)に位置しているパレットPに、物品Rを搭載する。積付装置30は、作業内容に基づき、パレットPに物品Rを搭載する。
【0095】
(積付完了情報の出力)
領域AR3に位置しているパレットPへの物品Rの積付が完了したら、積付装置30の情報出力部86Cは、パレットPへの物品Rの積付が完了した旨を示す積付完了情報C5Aを出力する。積付装置30の情報出力部86Cは、積付完了情報C5Aを管理装置40に出力する。
【0096】
(パレット搬送指令の出力)
図17は、パレット搬送指令C5が出力された場合の例を示している。管理装置40の指令出力部46Cは、積付完了情報C5Aを取得したら、移動体管理装置50を介して、領域AR3でパレットPを搭載したまま待機している移動体10に、パレット搬送指令C5を出力する。パレット搬送指令C5とは、物品Rの積付が完了したパレットPを移動体10により搬送する旨の指令である。図17に示すように、パレット搬送指令C5を取得した移動体10は、領域AR3から移動する。これにより、物品Rの積付が完了したパレットPが、移動体10により、領域AR3(ウェイポイントWP3)から搬送される。なお、物品Rの積付が完了したパレットPの搬送先(移動体10の移動先)は、適宜設定されてよい。移動体10により搬送先に搬送されたパレットPは、例えば、AGFにより、収納棚などの収納箇所に搬送されてよい。
【0097】
(処理フロー)
以上説明した、残パレット数が所定数未満である場合の管理装置40の処理フローを、フローチャートに基づき説明する。図18は、残パレット数が所定数未満である場合の管理装置の処理フローを説明するフローチャートである。図18に示すように、残パレット数が所定数未満である場合(ステップS10)、管理装置40は、パレット群Paが配置される領域AR1に移動体10を移動させる旨のパレット搭載指令C0を、移動体10に出力する(ステップS12)。パレット搭載指令C0を取得した移動体10は、領域AR1に移動して、領域AR1でパレット群Paの搭載が完了したら、管理装置40に搭載完了情報C1Aを出力する。管理装置40は、搭載完了情報C1Aを取得したら(ステップS14;Yes)、移動体10に、供給装置20が配置された領域AR2にパレット群Paを搬送する旨のパレット搬送指令C1を出力する(ステップS16)。パレット搬送指令C1を取得した移動体10は、領域AR2に移動して、領域AR2への移動が完了したら、管理装置40に搬送完了情報C2Aを出力する。管理装置40は、搬送完了情報C2Aを取得したら(ステップS18;Yes)、供給装置20に、搬送されたパレット群Paを回収する旨のパレット回収指令C2を出力する(ステップS20)。供給装置20は、パレット回収指令C2を取得したら、1つのパレットPを移動体10に残しつつ、他のパレットPを回収して、移動体10にパレットPが搭載された旨を示す搭載完了情報C3Aを出力する。管理装置40は、搭載完了情報C3Aを取得したら(ステップS22;Yes)、移動体10に、積付装置30が配置される領域AR3へパレットPを搬送する旨のパレット搬送指令C3を出力する(ステップS24)。パレット搬送指令C3を取得した移動体10は、領域AR3に移動して、領域AR3への移動が完了したら、管理装置40に搬送完了情報C4Aを出力する。管理装置40は、搬送完了情報C4Aを取得したら(ステップS26;Yes)、積付装置30に、搬送されたパレットPに物品Rを積付する旨の積付指令C4を出力する(ステップS28)。積付装置30は、積付指令C4を取得したら、搬送されたパレットPに物品Rを積付し、積付が完了したら、積付完了情報C5Aを管理装置40に出力する。管理装置40は、積付完了情報C5Aを取得したら(ステップS30;Yes)、移動体10に、物品Rの積付が完了したパレットPを搬送する旨のパレット搬送指令C35を出力する(ステップS32)。パレット搬送指令C5を取得した移動体10は、物品Rの積付が完了したパレットPを、領域AR3から搬送する。
【0098】
(他の例)
以上が、残パレット数が所定数未満である場合の作業の流れである。ただし、残パレット数が所定数未満である場合の作業の流れは以上の説明に限られない。例えば、図14に示すように、パレット群Paを領域AR2に搬送した移動体10は、パレット群Paを搭載したまま領域AR2に待機するが、それに限られない。パレット群Paを領域AR2に搬送した移動体10は、パレット群Paを領域AR2に荷下ろしして、パレット群Paを搭載しない状態で、他の場所に移動してもよい。また例えば、図15に示すように、供給装置20は、領域AR2に搬送されたパレット群Paのうちの、一部のパレットPを残しつつ、他のパレットPのみを回収していたが、それに限られず、領域AR2に搬送されたパレット群Paの全てを回収してもよい。このような場合には、残パレット数が所定数以上である状態となるため、以降で説明する残パレット数が所定数以上である場合と、同様の流れで作業が行われる。
【0099】
また例えば、図15及び図16に示すように、パレットPを領域AR3に搬送した移動体10は、物品Rの積み付けが完了するまで、パレットPを搭載したまま領域AR3に待機するが、それに限られない。パレットPを領域AR3に搬送した移動体10は、パレットPを領域AR3に荷下ろしして、パレットPを搭載しない状態で、他の場所に移動してもよい。この場合、管理装置40の指令出力部46Cは、積付完了情報C5Aを取得したら、移動体管理装置50を介して、対象となる移動体10に、パレット搬送指令C5を出力する。パレット搬送指令C5を取得した移動体10は、領域AR3まで移動して、物品Rが搭載されたパレットPを取得して、物品Rの積付が完了したパレットPを、領域AR3から搬送する。
【0100】
(残パレット数が所定数以上の場合の作業)
次に、残パレット数が所定数以上の場合の作業について説明する。図19から図21は、移動体、供給装置、及び積付装置による一連の作業を説明する模式図である。残パレット数が所定数以上である場合には(本例では残パレット数が1個以上である場合には)、供給装置20は、移動体10にパレットPを供給(搭載)する。言い換えれば、残パレット数が所定数以上である場合には、供給装置20にパレット群Paを補充する作業を実行する前に、供給装置20により移動体10にパレットPを供給する作業を実行する。管理装置40の指令出力部46Cは、残パレット数が所定数以上である場合には、パレット搭載指令D1を出力する。パレット搭載指令D1とは、供給装置20により移動体10へパレットPを搭載する旨の指令である。指令出力部46Cは、供給装置20の制御装置70に、パレット搭載指令D1を出力する。
【0101】
(移動指令の出力)
より詳しくは、管理装置40の指令出力部46Cは、残パレット数が所定数以上である場合には、移動体管理装置50を介して、対象となる移動体10に、移動指令D0を出力する。移動指令D0とは、移動体10を、供給装置20が設置されている領域AR2へ移動させる旨の指令である。指令出力部46Cは、移動体管理装置50を介して、対象となる移動体10に移動指令D0を出力する。図19は、移動指令D0が出力された場合の例を示している。図19に示すように、移動指令D0を取得した移動体10は、領域AR2に向けて移動する。具体的には、本実施形態では、移動指令D0を取得した移動体10は、トレイQを搭載した状態で、作業内容に示された移動先(領域AR2)に対応するウェイポイントWP2まで、設定された経路に従って移動する。
【0102】
なお、対象となる移動体10がトレイQを搭載していない場合には、管理装置40は、移動体10にトレイを搭載する旨の指令を出力する。この指令を取得した移動体10は、トレイQが設置されたトレイ設置場所まで移動してトレイQを搭載し、トレイQを搭載した旨を示す情報を管理装置40に出力する。管理装置40は、トレイQを搭載した旨を示す情報を取得したら、移動体10に移動指令D0を出力して、移動体10を領域AR2まで移動させる。ただし、トレイQを用いずにパレットPを搬送する場合は、これらの処理は不要である。
【0103】
(移動完了情報の出力)
図19に示すように、移動体10の情報出力部66Cは、移動体10が領域AR2に対応するウェイポイントWP2に到着したら、領域AR2への移動が完了した旨を示す移動完了情報D1Aを、移動体管理装置50を介して管理装置40に出力する。移動完了情報D1Aを生成及び出力するトリガは任意であってよい。例えば、移動体10の位置情報から、移動体10がウェイポイントWP2に到着した旨を認識したことを、トリガとしてもよい。
【0104】
(パレット搭載指令の出力)
図20は、パレット搭載指令が出力された場合の例を示している。管理装置40の指令出力部46Cは、移動完了情報D1Aを取得したら、供給装置20の制御装置70に、パレット搭載指令D1を出力する。供給装置20の制御装置70は、情報取得部76Aによりパレット搭載指令D1を取得したら、図20に示すように、動作制御部76Bにより保持部24を制御して、保持部24により、領域AR2(ウェイポイントWP2)に位置している移動体10にパレットPを搭載する。具体的には、動作制御部76Bは、図10から図12などを用いて上述で説明したように、パレットPを供給する(移動体10にパレットPを搭載する)。
【0105】
なお、供給装置20は、移動体10に対して、1つのパレットPを搭載することが好ましい。従って、供給装置20が保持しているパレットPが複数である場合には、供給装置20は、保持している複数のパレットPのうちの1つのパレットPを、移動体10に搭載する。一方、供給装置20が保持しているパレットPが1つである場合には、供給装置20は、保持している1つのパレットPを、移動体10に搭載する。
【0106】
(搭載完了情報の出力)
領域AR2に位置している移動体10にパレットPが搭載されたら、移動体10の情報出力部66Cは、移動体10にパレットPが搭載された旨を示す搭載完了情報C3Aを出力する。移動体10の情報出力部66Cは、搭載完了情報C3Aを、移動体管理装置50を介して管理装置40に出力する。ただし、搭載完了情報C3Aを出力する主体は、移動体10に限られず、供給装置20の制御装置70により、搭載完了情報C3Aを管理装置40に出力してもよい。
【0107】
搭載完了情報C3Aを出力した後の処理は、残パレット数が所定数未満であった場合における、搭載完了情報C3Aを出力した後の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。すなわち、管理装置40は、搭載完了情報C3Aを取得したら、領域AR2でパレットPを搭載した移動体10にパレット搬送指令C3を出力する。パレット搬送指令C3を取得した移動体10は、図21に示すように、積付装置30が配置された領域AR3まで移動する。その後は、図16図17を用いて説明した処理と同様の処理が行われる。
【0108】
(処理フロー)
以上説明した、残パレット数が所定数以上である場合の管理装置40の処理フローを、フローチャートに基づき説明する。図22は、残パレット数が所定数以上である場合の管理装置の処理フローを説明するフローチャートである。図22に示すように、残パレット数が所定数以上である場合(ステップS40)、管理装置40は、移動体10に、供給装置20が配置された領域AR2に移動する旨の移動指令D0を出力する(ステップS42)。移動指令D0を取得した移動体10は、領域AR2に移動して、領域AR2への移動が完了したら、管理装置40に移動完了情報D1Aを出力する。管理装置40は、移動完了情報D1Aを取得したら(ステップS44;Yes)、供給装置20に、移動体10にパレットPを搭載する旨のパレット搭載指令D1を出力する(ステップS46)。供給装置20は、パレット搭載指令D1を取得したら、1つのパレットPを移動体10に搭載して、移動体10にパレットPが搭載された旨を示す搭載完了情報C3Aを出力する。ステップS48からステップS58の処理は、図18で説明したステップS22からステップS32までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
(効果)
本開示の第1態様に係る供給装置20は、内部にパレットPを収納する収納空間22a、及び、収納空間22aと外部の空間とを連通する入口部22bが形成される基台部22と、収納空間22a内に設けられて、パレットPの保持及び解放が可能であり、かつ上下方向に移動可能な保持部24と、を有する。本開示の供給装置20は、外部に連通する収納空間22a内に、保持部24が設けられている。従って、本開示によると、自律移動可能な移動体10が収納空間22a内に進入可能となり、移動体10により供給装置20へパレットPを補充したり、供給装置20により移動体10にパレットPを供給したりすることが可能となる。そのため、本開示によると、パレットPを適切に供給することができる。
【0110】
本開示の第1態様に係る供給装置20は、第1態様に係る供給装置20であって、保持部24の動作を制御する制御装置70を更に有する。制御装置70は、パレットPを保持している保持部24を、上下方向における第1位置PO1に位置させ、保持部24にパレットPを開放させることで、パレットPを供給する。本開示によると、このように保持部24を制御することで、パレットPをより適切に供給できる。
【0111】
本開示の第3態様に係る供給装置20は、第2態様に係る供給装置20であって、保持部24が、上下方向に積み重ねられた複数のパレットP(パレット群Pa)を保持している場合には、制御装置70は、第1位置PO1において保持部24にパレットPを供給させた後に、保持部24を第1位置PO1よりも上方向の第2位置PO2に移動させ、供給させたパレットP以外のパレットPを保持部24に保持させる。本開示によると、このように保持部24を制御することで、パレットPを適切に供給しつつ、残ったパレットPを適切に回収できる。
【0112】
本開示の第4態様に係る供給装置20は、第3態様に係る供給装置20であって、制御装置70は、保持部24が第2位置PO2においてパレットPを保持した後に、保持部24を第2位置PO2よりも上方向の第3位置PO3に移動させる。本開示によると、このように保持部24を制御することで、パレットPを適切に供給しつつ、残ったパレットPを適切な位置で保持できる。
【0113】
本開示の第5態様に係る供給装置20は、第2態様から第4態様のいずれかに係る供給装置20であって、収納空間22aに、上下方向に積み重ねられた複数のパレットP(パレット群Pa)が搬入(補充)された場合には、制御装置70は、保持部24を第1位置PO1よりも上方向の第2位置PO2に移動させて、保持部24に複数のパレットPを回収させる。本開示によると、このように保持部24を制御することで、パレットPを適切に回収できる。
【0114】
本開示の第6態様に係る搬送システム1は、第1態様から第5態様のいずれかの供給装置20と、自動で移動可能な移動体10と、を有する。移動体10は、供給装置20の収納空間22a内に進入して、供給装置20からパレットPが供給され、供給されたパレットPを搬送する。本開示によると、パレットPを適切に搬送することができる。
【0115】
本開示の第7態様に係る搬送システム1は、第6態様に係る搬送システム1であって、供給装置20及び移動体10の動作を管理する管理装置40を更に有し、管理装置40は、供給装置20に、パレットPを供給する旨の指令を出力し、移動体10に、移動する旨の指令を出力する。本開示によると、パレットPを適切に搬送することができる。
【0116】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0117】
1 搬送システム
10 移動体
20 供給装置
22 基台部
22a 収納空間
22b 入口部
24 保持部
30 積付装置
40 管理装置
50 移動体管理装置
70 制御装置
AR1、AR2、AR3 領域
P パレット
Pa パレット群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22