(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172238
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】装着型音響装置、装着型音響システム、及び音響処理方法
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20241205BHJP
G10K 11/178 20060101ALI20241205BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
G10K11/178 120
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089820
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】森高 冬毅
(72)【発明者】
【氏名】小長井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】増井 英喜
【テーマコード(参考)】
5D005
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
5D005BB03
5D061FF02
5D220AA50
5D220AB08
(57)【要約】
【課題】外部の音に応じて、外部の音を適切な音量と音色とで聴きつつ、利用者の耳を適切に保護する。
【解決手段】装着型音響装置は、利用者の耳に装着可能な装着型音響装置であって、外部の音を収音する第1収音部と、前記利用者の耳に装着した際に、出力音を含む耳に聞こえる音を収音する第2収音部と、前記第2収音部が収音した前記耳に聞こえる音に基づいて、前記第1収音部が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整する第1処理部と、前記入力音を所定のフィルタ処理する第2処理部と、前記入力音のレベルに応じて、前記第1処理部の出力と前記第2収音部の出力とを組み合わせて、周波数に対する前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整するゲイン調整部と、前記ゲイン調整部によって調整された音信号に基づく前記出力音を出力する出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の耳に装着可能な装着型音響装置であって、
外部の音を収音する第1収音部と、
前記利用者の耳に装着した際に、出力音を含む耳に聞こえる音を収音する第2収音部と、
前記第2収音部が収音した前記耳に聞こえる音に基づいて、前記第1収音部が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整する第1処理部と、
前記入力音を所定のフィルタ処理する第2処理部と、
前記入力音のレベルに応じて、前記第1処理部の出力と前記第2収音部の出力とを組み合わせて、周波数に対する前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整するゲイン調整部と、
前記ゲイン調整部によって調整された音信号に基づく前記出力音を出力する出力部と
を備える装着型音響装置。
【請求項2】
前記第1処理部は、複数分割した周波数帯域ごとに、演算量を調整して、前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が前記所定の特性になるように、音響調整を行い、
前記第2処理部は、前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が前記所定の特性になるように、複数分割した周波数帯域ごとに、前記入力音をフィルタ処理する
請求項1に記載の装着型音響装置。
【請求項3】
前記入力音のレベルに基づく音響暴露量と、前記入力音のレベルに対する前記耳に聞こえる音の調整量との少なくとも1つを、当該装着型音響装置と通信可能な端末装置に送信する通信処理部を備える
請求項1に記載の装着型音響装置。
【請求項4】
前記ゲイン調整部は、前記耳に聞こえる音が予め設定された設定音量になるように、前記出力音の音量を調整する
請求項1に記載の装着型音響装置。
【請求項5】
前記ゲイン調整部は、前記設定音量を超える場合に、前記耳に聞こえる音が前記設定音量になるように、前記出力音の音量を調整する
請求項4に記載の装着型音響装置。
【請求項6】
前記所定の特性は、所定の減衰量の範囲内に収まるフラットな特性である
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装着型音響装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装着型音響装置を、左右の耳用に2つ備え、
2つの前記装着型音響装置のそれぞれが、独立して、前記耳に聞こえる音の音量を調整する
装着型音響システム。
【請求項8】
外部の音を収音する第1収音部と、利用者の耳に装着した際に、出力音を含む耳に聞こえる音を収音する第2収音部とを備え、前記利用者の耳に装着可能な装着型音響装置の音響処理方法であって、
第1処理部が、前記第2収音部が収音した前記耳に聞こえる音に基づいて、前記第1収音部が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整し、
第2処理部が、前記入力音を所定のフィルタ処理し、
ゲイン調整部が、前記入力音のレベルに応じて、前記第1処理部の出力と前記第2収音部の出力とを組み合わせて、周波数に対する前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整し、
出力部が、前記ゲイン調整部によって調整された音信号に基づく前記出力音を出力する
音響処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型音響装置、装着型音響システム、及び音響処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大音量による聴覚障害が問題となりつつあり、例えば、各種ライブやフェス、コンサートやイベント、等において、聴覚保護を目的としたイヤープラグが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。非特許文献1に記載のイヤープラグでは、特殊な形状や材質のプラグと、プラグに装着する固定の特性のフィルタとにより、利用者の耳を保護している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「製品の特徴 | Crescendo」、[online]、株式会社コルグ、[令和5年4月19日検索]、インターネット<URL: http://www.korg-kid.com/crescendo/feature/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、特殊な形状や材質のプラグと、物理構造による固定特性のフィルタとにより外部の音量を低減しているため、外部の音に合わせて柔軟に対応することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、外部の音に応じて、外部の音を適切な音量と音色とで聴きつつ、利用者の耳を適切に保護することができる装着型音響装置、装着型音響システム、及び音響処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、利用者の耳に装着可能な装着型音響装置であって、外部の音を収音する第1収音部と、前記利用者の耳に装着した際に、出力音を含む耳に聞こえる音を収音する第2収音部と、前記第2収音部が収音した前記耳に聞こえる音に基づいて、前記第1収音部が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整する第1処理部と、前記入力音を所定のフィルタ処理する第2処理部と、前記入力音のレベルに応じて、前記第1処理部の出力と前記第2収音部の出力とを組み合わせて、周波数に対する前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整するゲイン調整部と、前記ゲイン調整部によって調整された音信号に基づく前記出力音を出力する出力部とを備える装着型音響装置である。
【0007】
また、発明の一態様は、上記に記載の装着型音響装置を、左右の耳用に2つ備え、2つの前記装着型音響装置のそれぞれが、独立して、前記耳に聞こえる音の音量を調整する装着型音響システムである。
【0008】
また、発明の一態様は、外部の音を収音する第1収音部と、利用者の耳に装着した際に、出力音を含む耳に聞こえる音を収音する第2収音部とを備え、前記利用者の耳に装着可能な装着型音響装置の音響処理方法であって、第1処理部が、前記第2収音部が収音した前記耳に聞こえる音に基づいて、前記第1収音部が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整し、第2処理部が、前記入力音を所定のフィルタ処理し、ゲイン調整部が、前記入力音のレベルに応じて、前記第1処理部の出力と前記第2収音部の出力とを組み合わせて、周波数に対する前記耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整し、出力部が、前記ゲイン調整部によって調整された音信号に基づく前記出力音を出力する音響処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部の音に応じて、外部の音を適切な音量と音色とで聴きつつ、利用者の耳を適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による音響システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による音響システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態による音響システムの音響処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態による音響システムの音響処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による装着型音響装置、装着型音響システム、及び音響処理方法について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態による音響システム1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、音響システム1は、左イヤホン10-Lと、右イヤホン10-Rと、利用者端末20とを備える。
【0013】
左イヤホン10-Lと、右イヤホン10-Rとは、無線通信により利用者端末20と接続可能である。また、左イヤホン10-Lと、右イヤホン10-Rとのそれぞれは、同一の構成であり、音響システム1が備える任意のイヤホンを示す場合、又は特に区別しない場合に、ワイヤレスイヤホン10として説明する。
【0014】
本実施形態において、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)は、装着型音響装置の一例である。また、音響システム1は、装着型音響システムの一例である。
【0015】
利用者端末20(端末装置の一例)は、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)に通信可能な端末装置であり、例えば、スマートホン、ミュージックプレーヤ、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などの装置である。利用者端末20は、利用者が所有する端末装置であり、例えば、専用アプリケーションを用いて、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)の各種設定を行う。
【0016】
また、利用者端末20は、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)を楽曲の視聴に用いる場合に、楽曲データを、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)に供給し、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)の出力を制御する。
利用者端末20は、無線通信部21と、入力部22と、表示部23と、端末記憶部24と、端末制御部25とを備える。
【0017】
無線通信部21は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信デバイスであり、ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)との間で、無線接続による通信を行う。
入力部22は、例えば、キーボードやタッチセンサなどの入力装置であり、利用者からの各種入力情報を受け付け、受け付けた各種入力情報を端末制御部25に出力する。
【0018】
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置である。表示部23は、端末制御部25から供給された各種情報を表示する。表示部23は、例えば、後述する音響暴露量及び耳に聞こえる音の減衰量(調整量)を表示する。
【0019】
端末記憶部24は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの記憶部である。端末記憶部24は、利用者端末20が利用する各種情報を記憶する。端末記憶部24は、例えば、楽曲データ、専用アプリケーションのプログラム、ワイヤレスイヤホン10の設定情報、等を記憶する。
【0020】
端末制御部25は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサであり、利用者端末20を統括的に制御する。端末制御部25は、OS(Operating System)に基づいて各種処理を実行する。OSは、例えば、iOS(登録商標)や、Android(登録商標)、Windows(登録商標)などである。
【0021】
端末制御部25は、例えば、CPUに端末記憶部24が記憶する専用アプリケーションのプログラムを実行させることで、ワイヤレスイヤホン10の各種設定処理を実行する。また、端末制御部25は、例えば、CPUに端末記憶部24が記憶するオーディオプレーヤのアプリケーションのプログラムを実行させることで、楽曲データを音信号の再生データに変換して、無線通信部21を介して、ワイヤレスイヤホン10に送信する。
【0022】
また、端末制御部25は、例えば、無線通信部21を介して、音響暴露量及び耳に聞こえる音の減衰量(調整量)を受信した場合に、受信した音響暴露量及び耳に聞こえる音の減衰量(調整量)を表示部23に表示させる。
【0023】
ワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)は、利用者の耳に装着可能なイヤホンであり、利用者端末20から受信した再生データに基づく音を利用者が聴くことが可能である。また、ワイヤレスイヤホン10は、コンサート会場やライブ会場などで、利用者の耳に装着することで、周囲音の音量を低減して、利用者の耳を保護することが可能である。
【0024】
ワイヤレスイヤホン10は、無線通信部11と、FFマイク(フィードフォワードマイク)12と、FBマイク(フィードバックマイク)13と、音響処理部14と、スピーカ15と、制御部16とを備える。
【0025】
無線通信部11は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信デバイスであり、利用者端末20との間で、無線通信を行う。無線通信部11は、例えば、利用者端末20から再生データを受信し、制御部16に出力する。また、無線通信部11は、例えば、後述する音響暴露量及び耳に聞こえる音の減衰量を利用者端末20に送信する。本実施形態において、無線通信部11は、通信処理部の一例であり、音響暴露量と、入力音のレベルに対する耳に聞こえる音の調整量である耳に聞こえる音の減衰量との少なくとも1つを、利用者端末20に送信する。
【0026】
FFマイク12(第1収音部の一例)は、外部の音である周囲音を収音可能な位置に配置されたマイクであり、外部の音である周囲音を収音する。FFマイク12は、収音した音信号を、入力音の音信号として、音響処理部14に供給する。
【0027】
FBマイク13(第2収音部の一例)は、ワイヤレスイヤホン10を利用者の耳に装着した際に、耳に聞こえる音を収音可能な位置に配置されたマイクである。ここで、耳に聞こえる音は、ワイヤレスイヤホン10を利用者の耳に装着した際に、実際に聞こえる音の一例であり、スピーカ15が出力(放音)する出力音と、ワイヤレスイヤホン10を利用者の耳に装着した際に漏れこんでくる周囲音(漏れ周囲音)とが含まれる。FBマイク13は、収音した音信号を、フィードバック音の音信号として、音響処理部14に供給する。
【0028】
音響処理部14は、所定の音響処理を実行し、音響処理した出力音の音信号をスピーカ15に供給し、出力音を出力させる。音響処理部14は、音響処理として、予め設定された設定音量になるように、出力音の音量を調整する処理を実行する。
【0029】
音響処理部14は、FFANC部141と、AS部142と、レベル検知部143Aと、レベル検知部143Bと、FBANC部144と、アンプ(145、146、148)と、ゲイン調整部147と、加算器149とを備える。
【0030】
FFANC(Feed Forward Active Noise Control)部141は、フィードフォワード型アクティブノイズコントロールの制御手法を用いて、FFマイク12が収音した入力音(周囲音)に対して、フィルタ処理を行う。ここで、FFANC部141が実行するフィルタ処理をFFANC処理とする。FFANC部141は、FFANC処理を実行した出力を、アンプ145に供給する。
【0031】
AS(Ambient Sound)部142(第2処理部の一例)は、FFマイク12が収音した入力音(周囲音)に対して、所定のフィルタ処理を実行して、環境音(周囲音)を取り込む。ここで、AS部142が実行するフィルタ処理を、AS処理とする。AS部142は、出力音が所定の周波数特性になるように、入力音をフィルタ処理する。AS部142は、AS処理を実行した出力を、アンプ146に供給する。
【0032】
レベル検知部143Aは、FFマイク12が収音した入力音のレベルを測定する。レベル検知部143Aは、測定した入力音のレベルをゲイン調整部147に供給するとともに、制御部16に出力する。レベル検知部143Aが測定した入力音のレベルは、ゲイン調整に利用されるとともに、音響暴露量の算出に利用される。
【0033】
レベル検知部143Bは、FBマイク13が収音したフィードバック音のレベルを測定する。レベル検知部143Bは、測定したフィードバック音のレベルを制御部16に出力する。レベル検知部143Bが測定したフィードバック音のレベルは、耳に聞こえる音の減衰量(調整量)の算出に利用される。
【0034】
FBANC(Feed Back Active Noise Control)部144は、フィードバック型アクティブノイズコントロールの制御手法を用いて、FBマイク13が収音したフィードバック音に対して、フィルタ処理を行う。ここで、FBANC部144が実行するフィルタ処理をFBANC処理とする。FBANC部144は、FBANC処理を実行した出力を、アンプ148に供給する。
【0035】
アンプ145は、ゲイン調整可能なアンプであり、FFANC部141の出力を、ゲイン調整部147からの指示により指定されたゲイン値により増幅又は減衰して、加算器149に出力する。なお、ゲイン調整の概念には、増幅と、減衰とが含まれる。
【0036】
アンプ146は、ゲイン調整可能なアンプであり、AS部142の出力を、ゲイン調整部147からの指示により指定されたゲイン値により増幅又は減衰して、加算器149に出力する。
【0037】
アンプ148は、ゲイン調整可能なアンプであり、FBANC部144の出力を、ゲイン調整部147からの指示により指定されたゲイン値により増幅又は減衰して、加算器149に出力する。
【0038】
加算器149は、アンプ145の出力と、アンプ146の出力と、アンプ148の出力とを加算して、ゲイン調整したFFANC処理、AS処理、及びFBANC処理の結果を合成した合成信号を生成する。加算器149は、合成信号をスピーカ15に出力する。
【0039】
なお、FFANC部141及びアンプ145と、FBANC部144及びアンプ148と、加算器149の一部(アンプ145の出力とアンプ148の出力との加算部分)とは、ANC処理部140(第1処理部の一例)に対応する。
【0040】
ANC処理部140は、FBマイク13が収音したフィードバック音に基づいて、アクティブノイズコントロールを用いて、FFマイク12が収音した入力音を調整する。ANC処理部140は、アクティブノイズコントロールを用いて、外耳道に至る周囲音を適切に抑制する。なお、本実施形態におけるANC処理部140は、フィードフォワード型アクティブノイズコントロールと、フィードバック型アクティブノイズコントロールとを組み合わせている。
【0041】
ゲイン調整部147は、入力音のレベルに応じて、ANC処理部140の出力とFBマイク13の出力とを組み合わせて、周波数に対する耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整する。ここで、所定の特性とは、所定の減衰量の範囲内に収まるフラットな特性である。ゲイン調整部147は、レベル検知部143Aで測定された周囲音の音量レベルを基に、耳に聞こえる音が所定の音量及び周波数特性(例えば、可聴領域でフラットな特性)になるようなゲインを算出し、アンプ145、アンプ146、アンプ148のゲイン、及びAS部142の特性(不図示)を調整する。
ゲイン調整部147は、予め設定された設定音量になるように、スピーカ15の出力音の音量を調整する。例えば、ゲイン調整部147は、入力音のレベルに基づいて。設定音量を超える場合に、設定音量になるように、スピーカ15の出力音の音量を調整する。
【0042】
ゲイン調整部147は、レベル検知部143Aが測定した入力音のレベルに応じて、アンプ145、アンプ146、及びアンプ148のゲインを調整して、利用者にとって安全な音量の耳に聞こえる音になるように制御する。
【0043】
スピーカ15(出力部の一例)は、ゲイン調整部147によって調整された音信号に基づく出力音を出力する。
【0044】
制御部16は、例えば、CPUを含むプロセッサであり、ワイヤレスイヤホン10を統括的に制御する。制御部16は、例えば、無線通信部11を介して、音響処理部14の各種設定情報を利用者端末20から受信し、各種設定情報を音響処理部14に設定する。
【0045】
また、制御部16は、例えば、通常のワイヤレスイヤホンの機能として、無線通信部11を介して、再生データを利用者端末20から受信し、再生データに基づく音を、スピーカ15から出力させる。
【0046】
また、制御部16は、例えば、ライブ用AS(アンビエントサウンド)機能がON(オン)された場合に、音響処理部14に対して、周囲音を取り込んで、出力音が予め指定された音量になるようにゲイン調整させる処理を実行させる。
また、制御部16は、例えば、音響処理部14から取得した入力音(周囲音)のレベルに基づいて、音響暴露量を算出し、算出した音響暴露量を、無線通信部11を介して、利用者端末20に送信する。制御部16は、音響暴露量が閾値以上である場合に、音響暴露量とともに、警告メッセージを送信するようにしてもよい。
【0047】
また、制御部16は、例えば、レベル検知部143Bから取得したフィードバック音(耳に聞こえる音)のレベルに基づいて、入力音(周囲音)のレベルに対する耳に聞こえる音の調整量(減衰量)を算出し、算出した調整量(減衰量)を、無線通信部11を介して、利用者端末20に送信する。制御部16は、調整量(減衰量)の代わりに、入力音から減衰された出力音のレベルを利用者端末20に送信するようにしてもよい。
【0048】
なお、本実施形態による音響システム1は、ワイヤレスイヤホン10を、左右の耳用に2つ(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)備えている。2つのワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)のそれぞれが、独立して、耳に聞こえる音の音量を調整する。
【0049】
次に、図面を参照して、本実施形態により音響システム1の動作について説明する。
図2は、本実施形態による音響システム1の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、音響システム1のワイヤレスイヤホン10のライブ用AS機能の動作について説明する。
【0050】
図2に示すように、音響システム1のワイヤレスイヤホン10は、まず、FFマイク12が周囲音を収音し、レベル検知部143Aが収音した入力音(周囲音)のレベルを測定する(ステップS101)。レベル検知部143Aは、測定した入力音のレベルを制御部16に出力する。
【0051】
次に、ワイヤレスイヤホン10の制御部16は、入力音のレベルから音響暴露量を算出して、音響暴露量を利用者端末20に送信する(ステップS102)。制御部16は、無線通信部11を介して、無線通信により、音響暴露量を利用者端末20に送信する。
【0052】
次に、ワイヤレスイヤホン10の音響処理部14は、入力音を、FFANC処理及びAS処理するとともに、FBマイク13が収音したフィードバック音をFBANC処理し、入力音のレベルに応じたレベルを調整して合成して、出力音として出力する(ステップS103)。音響処理部14において、FFANC部141が、入力音をFFANC処理し、AS部142が、入力音をAS処理するとともに、FBANC部144が、フィードバック音をFBANC処理する。音響処理部14のゲイン調整部147が、入力音のレベルに応じて、予め設定された音量(例えば、85dB)になるように調整し、加算器149で合成して出力音を生成させる。その結果、スピーカ15が、耳元(外耳道)で予め設定された音量(例えば、85dB)になるように調整された出力音を出力する。なお、ワイヤレスイヤホン10を装着した状態において、耳に聞こえる音は、スピーカ15の出力音と、外耳道内に漏れこんでくる周囲音とが併さって、例えば、85dBの周囲音となる。
【0053】
次に、音響処理部14のレベル検知部143Bが、フィードバック音のレベルを測定して、制御部16が、フィードバック音のレベルと、入力音のレベルとに基づいて、減衰量を算出して、音減衰量を利用者端末20に送信する(ステップS104)。制御部16は、無線通信部11を介して、無線通信により、減衰量を利用者端末20に送信する。ステップS104の処理後に、制御部16は、処理を終了する。
【0054】
なお、ワイヤレスイヤホン10は、上述したステップS101からステップS104の処理を一定間隔で繰り返し実行する。
【0055】
次に、
図3を参照して、上述した
図2に示す音響処理部14によるステップS103の処理の詳細について説明する。
図3は、本実施形態による音響システム1の音響処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図3に示すように、まず、ワイヤレスイヤホン10のFFマイク12が周囲音を収音するとともに、FBマイク13が耳に聞こえる音を収音する(ステップS201)。なお、FBマイク13が収音する音は、スピーカ15の出力音と漏れ周囲音とを加算した音に、外耳道の伝達特性を乗算したもの((出力音+漏れ周囲音)×外耳道の伝達特性)になる。
【0057】
次に、音響処理部14が、周囲音を収音した入力音をFFANC処理及びAS処理するとともに、耳に聞こえる音を収音したフィードバック音をFBANC処理する(ステップS202)。すなわち、音響処理部14のFFANC部141が、入力音をFFANC処理して、アンプ145に出力するとともに、音響処理部14のAS部142が、入力音をAS処理して、アンプ146に出力する。また、音響処理部14のFBANC部144が、フィードバック音をFFANC処理して、アンプ148に出力する。
【0058】
次に、音響処理部14は、各処理の出力を、入力音のレベルに応じて、ゲイン調整して合成する(ステップS203)。音響処理部14のゲイン調整部147は、レベル検知部143Aが測定した入力音のレベルに応じて、耳に聞こえる音が予め設定された音量になるように、アンプ145、アンプ146、及びアンプ148のゲイン調整を行って、音響処理部14の加算器149に合成させる。
【0059】
次に、音響処理部14は、ゲイン調整して合成した音信号をスピーカ15に出力し、出力音を出力させる(ステップS204)。加算器149が、調整された音信号(例えば、85dBに調整された音信号)を、スピーカ15に出力し、スピーカ15が、出力音を利用者の耳に出力する。ステップS204の処理後に、音響処理部14は、処理をステップS201に戻して、ステップS201からステップS204の処理を繰り返す。
【0060】
次に、
図4を参照して、音響処理部14による音響制御の方法について説明する。
図4は、本実施形態による音響システム1の音響処理の一例を説明する図である。
【0061】
図4に示すグラフは、縦軸が減衰量(dB)を示し、横軸が周波数(Hz)を示している。
図4において、波形W1は、基準となる音量のフラットな周波数特性の波形を示している。
【0062】
また、波形W2は、ワイヤレスイヤホン10を耳に装着した状態で、電気的なフィルタ処理を行っていないアコースティックの遮音特性を示している。波形W2に示すように、一般的なイヤホンの遮音特性は、周波数の高い領域で減衰が大きくなる傾向を示している。すなわち、このままでは、コンサート会場やライブ会場での音の高音領域がカットされることになる。
【0063】
次に、波形W3は、波形W2のアコースティックの遮音特性に加えて、ANC処理部140のANC処理(FFANC処理+FBANC処理)を行った場合の周波数特性を示している。ANC処理部140は、波形W3に示すように、波形W2に示すアコースティックで遮音できない低域を含めて周囲音を減衰させるフィルタ処理を行う。
【0064】
次に、波形W4は、波形W2のアコースティックの遮音特性に加えて、AS部142のAS処理を行った場合の周波数特性を示している。AS部142は、波形W4に示すように、波形W2のアコースティックで遮音される高域を補完して、フラットな特性(所定の減衰量の範囲D1内に収まる特性)になるように、フィルタ処理を行う。
【0065】
次に、波形W5は、波形W2のアコースティックの遮音特性に加えて、ANC処理部140のANC処理(FFANC処理+FBANC処理)と、AS部142のAS処理とを組み合わせてゲイン調整した周波数特性を示している。波形W5は、本実施形態の音響処理部14による総合的な周波数特性に相当し、適切に減衰されて、フラットな特性(所定の減衰量の範囲D2内に収まる特性)になる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10(装着型音響装置)は、利用者の耳に装着可能な装着型音響装置であって、FFマイク12(第1収音部)と、FBマイク13(第2収音部)と、ANC処理部140(第1処理部)と、AS部142(第2処理部)と、ゲイン調整部147と、スピーカ15(出力部)とを備える。FFマイク12は、外部の音(周囲音)を収音する。FBマイク13は、利用者の耳に装着した際に、実際に耳に聞こえる音を収音する。ANC処理部140は、FBマイク13が収音した耳に聞こえる音に基づいて、FFマイク12が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整する。AS部142は、入力音を所定のフィルタ処理する。ゲイン調整部147は、入力音のレベルに応じて、ANC処理部140の出力とFBマイク13の出力とを組み合わせて、周波数に対する耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整する。スピーカ15は、ゲイン調整部147によって調整された音信号に基づく出力音を出力する。
【0067】
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10(装着型音響装置)は、ANC処理部140(第1処理部)と、AS部142(第2処理部)とを組み合わせて、耳に聞こえる音の減衰量が所定の特性(例えば、フラットな特性)になるように調整し、耳に聞こえる音の音量を調整(低減)するため、外部の音を聴きつつ、利用者の耳を適切に保護することができる。すなわち、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、外部の音に応じて、外部の音を適切な音量と音色とで聴きつつ、利用者の耳を適切に保護することができる。
【0068】
また、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、入力音のレベルに基づく音響暴露量と、入力音のレベルに対する耳に聞こえる音の調整量(減衰量)との少なくとも1つを、当該ワイヤレスイヤホン10と通信可能な利用者端末20(端末装置)に送信する無線通信部11(通信処理部)を備える。
【0069】
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、音響暴露量と、耳に聞こえる音の調整量(減衰量)との少なくとも1つを、利用者端末20(端末装置)に送信するため、これらの情報を、利用者端末20を用いて利用者に通知することができ、利用者の耳の保護に関する意識を高めることができる。
【0070】
本実施形態によるワイヤレスイヤホン10では、例えば、ワイヤレスイヤホン10を装着した状態で、利用者は、例えば、周囲音の音響暴露量が危険なレベル(例えば、110dBSPL、等)であることの警告を受けることができる。また、利用者は、ライブ用AS機能をONすることで、利用者端末20により、音量の低減効果(耳に聞こえる音の減衰量)を知ることができる。
【0071】
なお、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10では、コンサート会場やライブ会場まで、通常のワイヤレスイヤホンとして、楽曲を聴きながら移動し、コンサート会場やライブ会場内に入ったら、装着したまま、大音量の演奏を安全なレベルに低減させて聴くことが可能である。
【0072】
また、本実施形態では、ゲイン調整部147は、耳に聞こえる音が予め設定された設定音量になるように、出力音の音量を調整する。
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、利用者の好みに応じて、出力音の音量を柔軟に設定することができ、利用者の耳を適切に保護することができる。
【0073】
また、本実施形態では、ゲイン調整部147は、耳に聞こえる音の設定音量を超える場合に、耳に聞こえる音が設定音量になるように、出力音の音量を調整する。
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、設定音量を超える場合に、耳に聞こえる音が設定音量になるように、出力音の音量を調整するため、自動的に、利用者の耳を適切に保護することができる。
【0074】
また、本実施形態では、ANC処理部140は、フィードフォワード型アクティブノイズコントロールの制御手法を用いたフィルタ処理を行うFFANC部141と、フィードバック型アクティブノイズコントロールの制御手法を用いたフィルタ処理を行うFBANC部144とを備える。ANC処理部140は、フィードフォワード型アクティブノイズコントロールと、フィードバック型アクティブノイズコントロールとを組み合わせてフィルタ処理を行う。
【0075】
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、2つの放式を組み合わせることで、より適切なANC処理を行うことができ、耳に聞こえる音のフラットな周波数特性を容易に実現することができる。
【0076】
また、本実施形態による音響システム1(装着型音響システム)は、上述したワイヤレスイヤホン10を、左右の耳用に2つ(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)備える。2つのワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)のそれぞれが、独立して、耳に聞こえる音の音量を調整する。
【0077】
これにより、本実施形態による音響システム1(装着型音響システム)は、上述したワイヤレスイヤホン10と同様の効果を奏し、外部の音を適切な音量と音色とで聴きつつ、利用者の耳を適切に保護することができる。
また、左右の耳にワイヤレスイヤホン10を装着した場合、利用者の体の向きや、音源との位置関係により、左右の周囲音(入力音)のレベルが異なる場合がある。このような場合に、本実施形態による音響システム1では、2つのワイヤレスイヤホン10(左イヤホン10-L、右イヤホン10-R)のそれぞれが、独立して、耳に聞こえる音の音量を調整するため、利用者は、左右の耳で同一の音量の音を聴くことができる。すなわち、本実施形態による音響システム1は、利用者の立ち位置によらずに、同一の周波数特性で、左右同一の音量で聴くことができる。
【0078】
また、本実施形態による音響処理方法は、外部の音(周囲音)を収音するFFマイク12と、利用者の耳に装着した際に、出力音を含む耳に聞こえる音を収音するFBマイク13とを備え、利用者の耳に装着可能なワイヤレスイヤホン10の音響処理方法であって、第1処理ステップと、第2処理ステップと、ゲイン調整ステップと、出力ステップとを含む。第1処理ステップにおいて、ANC処理部140が、FBマイク13が収音した耳に聞こえる音に基づいて、FFマイク12が収音した入力音を、アクティブノイズコントロールを用いて、音響調整する。第2処理ステップにおいて、AS部142が、入力音を所定のフィルタ処理する。ゲイン調整ステップにおいて、ゲイン調整部147が、入力音のレベルに応じて、ANC処理部140の出力とFBマイク13の出力とを組み合わせて、周波数に対する耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性及び音量になるように調整する。出力ステップにおいて、スピーカ15が、ゲイン調整部147によって調整された音信号に基づく出力音を出力する。
これにより、本実施形態による音響処理方法は、上述したワイヤレスイヤホン10と同様の効果を奏し、外部の音を適切な音量と音色とで聴きつつ、利用者の耳を適切に保護することができる。
【0079】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、装着型音響装置の一例として、ワイヤレスイヤホン10である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ヘッドホンなどの他の装着型音響装置に本発明を適用してもよい。
【0080】
また、上記の実施形態において、ワイヤレスイヤホン10は、無線通信により利用者端末20と通信する例を説明したが、これに限定されるものではなく、有線通信により通信するようにしてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態において、ワイヤレスイヤホン10と利用者端末20との間を、Bluetooth(登録商標)により通信する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、2.4GHz無線通信などの他の無線通信をもちいてもよい。
【0082】
また、上記の実施形態において、ANC処理部140は、複数分割した周波数帯域ごとに、演算量を調整して、周波数に対しる耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性になるように、音量調整を行うようにしてもよい。また、AS部142は、周波数に対しる耳に聞こえる音の減衰量の特性が所定の特性になるように、複数分割した周波数帯域ごとに、入力音をフィルタ処理するようにしてもよい。ここで、所定の特性は、所定の減衰量の範囲内に収まるフラットな特性である。
【0083】
これにより、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、ANC処理部140及びAS部142において、複数分割した周波数帯域ごとに処理することで、周波数に対しる耳に聞こえる音の減衰量の所定の特性(フラットな特性)を容易に実現することができる。また、本実施形態によるワイヤレスイヤホン10は、周波数に対しる耳に聞こえる音の減衰量が、入力音をフラットな特性になるように処理することで、例えば、コンサートやライブの演奏を、利用者の耳を適切に保護しつつ、音の品質を劣化させずに高品質で聴くことができる。
【0084】
また、上記の実施形態において、制御部16は、レベル検知部143Bから取得したフィードバック音(耳に聞こえる音)のレベルと、入力音(周囲音)のレベルと基づいて、入力音(周囲音)のレベルに対する耳に聞こえる音の調整量(減衰量)を算出する例を説明したが、これに限定されるものではない。制御部16は、レベル検知部143Aから取得した入力音(周囲音)のレベルと、予め設定された設定音量とに基づいて、入力音(周囲音)のレベルに対する耳に聞こえる音の調整量(減衰量)を算出してもよい。
【0085】
また、上記の実施形態において、制御部16は、レベル検知部143Bから取得したフィードバック音(耳に聞こえる音)のレベルである耳に聞こえる音量値を利用者端末20に送信するようにしてもよい。
【0086】
なお、上述した音響システム1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した音響システム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した音響システム1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0087】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に音響システム1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0088】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個片にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…音響システム、10…ワイヤレスイヤホン、10-L…左イヤホン、10-R…右イヤホン、11,21…無線通信部、12…FFマイク、13…FBマイク、14…音響処理部、15…スピーカ、16…制御部、20…利用者端末、22…入力部、23…表示部、24…端末記憶部、25…端末制御部、140…ANC処理部、141…FFANC部、142…AS部、143A,143B…レベル検知部、144…FBANC部、145,145,148…アンプ、149…加算器