(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172239
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/47 20060101AFI20241205BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241205BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20241205BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/47 101Z
G03G21/00 510
G03G21/14
G02B26/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089821
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆宏
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
2H270
【Fターム(参考)】
2C362AA13
2C362BA04
2C362BA40
2C362BB38
2C362CA18
2C362EA01
2H045AA01
2H045BA02
2H045BA22
2H045BA34
2H045DA41
2H045DA46
2H270KA59
2H270LA35
2H270LA70
2H270LA75
2H270NC07
2H270NC11
2H270ND13
2H270ND17
2H270ND31
2H270RA14
2H270RB04
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】ポリゴンミラーモータが完全に故障するよりも前の時点で故障予測可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る画像形成装置は、取得手段と、判断手段と、保存手段と、を備える。取得手段は、ポリゴンミラーモータの回転数が目標の回転数範囲となるまでの第1の時間を取得する。判断手段は、第1の時間が、ポリゴンミラーモータの回転数が目標の回転数範囲となる時間として予め規定された第2の時間と、ポリゴンミラーモータが故障していると判定する時間として予め規定された第3の時間との間の時間であるか否か判断する。保存手段は、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であれば、第1の時間に関する履歴データを保存する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリゴンミラーモータが回転させるポリゴンミラーにより感光体へレーザ光を走査して画像形成を行なう画像形成装置であって、
前記ポリゴンミラーモータの回転数が目標の回転数範囲となるまでの第1の時間を取得する取得手段と、
前記第1の時間が、前記ポリゴンミラーモータの回転数が前記目標の回転数範囲となる時間として予め規定された第2の時間と、前記ポリゴンミラーモータが故障していると判定する時間として予め規定された第3の時間との間の時間であるか否か判断する判断手段と、
前記第1の時間が前記第2の時間と前記第3の時間との間の時間であれば、前記第1の時間に関する履歴データを保存する保存手段と、
を備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記保存手段は、前記履歴データとして、前記第1の時間が前記第2の時間と前記第3の時間との間の時間であった回数を保存する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保存手段は、前記履歴データとして、現時点まで含めた最大の前記第1の時間を保存する、
前記請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記保存手段は、前記履歴データとして、最新から過去の予め決められた回数分、前記第1の時間を保存する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記履歴データを、ネットワークを介してサーバへ送信する通信手段を更に備える、
請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークプレイスに置かれる画像形成装置は、用紙上に画像データに対応する可視像を形成するプリンタを有している。また、画像形成装置としては、このようなプリンタに加えて、読取対象物上の文字、イラスト、または写真を、光の明暗として取得し、明暗に対応する画像データを生成するスキャナを有する、デジタル複合機(MFP,Multi-Functional Peripherals)も広く利用されている。画像形成装置のプリンタとしては、電子写真方式のプリンタが広く利用されている。この電子写真方式のプリンタは、複数のレーザ光の光源とポリゴンミラーなどの光学系を含む露光器を備える。露光器は、画像データに応じて制御されたレーザ光を感光体ドラム30に照射することにより、感光体ドラムに潜像を形成する。画像形成装置は、この潜像を、顕像化材(現像剤)により可視化することで、可視像を得る。画像形成装置は、この可視像を一旦、転写ベルトに移動させ、この転写ベルトに移動した可視像を更に用紙上に移動させる。そして、画像形成装置は、定着器により、この用紙上に移動した可視像を、用紙に固定(定着)させる。
【0003】
露光器のポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンミラーモータには、外部からの電源、オン信号、回転数制御用に内部または外部からのクロック信号、等が供給される。ポリゴンミラーモータは、オン信号が入力されると回転を開始し、回転数が上昇していく。そして、クロックに応じた回転数に達すると、ポリゴンミラーモータは、定常回転に入ると共に、回転同期信号を出力する。
【0004】
従来、ポリゴンミラーモータの異常検知は、ポリゴンミラーモータ回転開始から、画像形成装置本体側で当該モータから出力される回転同期信号の検知を開始する。そして、予め設定された時間内に同期信号が得られない場合、画像形成装置側でモータの異常と判断し、画像形成装置が備える操作パネルの表示部上に異常を表示すると共に、画像形成装置本体の動作を止めている。ポリゴンミラーモータ交換等の修理が完了するまでは、画像形成装置の使用ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、ポリゴンミラーモータが完全に故障するよりも前の時点で故障予測可能な画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、画像形成装置は、ポリゴンミラーモータが回転させるポリゴンミラーにより感光体へレーザ光を走査して画像形成を行なう画像形成装置であって、取得手段と判断手段と保存手段とを備える。取得手段は、ポリゴンミラーモータの回転数が目標の回転数範囲となるまでの第1の時間を取得する。判断手段は、第1の時間が、ポリゴンミラーモータの回転数が目標の回転数範囲となる時間として予め規定された第2の時間と、ポリゴンミラーモータが故障していると判定する時間として予め規定された第3の時間との間の時間であるか否か判断する。保存手段は、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であれば、第1の時間に関する履歴データを保存する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置を含む印刷システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置の構成例を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置に用いられる露光部の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置内に配置された露光部の構成例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像形成装置における制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像形成装置におけるプリンタの不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像形成装置におけるポリゴンミラーモータの診断動作の動作例を説明するための一連のフローチャートの第1の部分を示す図である。
【
図8】
図8は、ポリゴンミラーモータの診断動作の動作例を説明するための一連のフローチャートの第2の部分を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る画像形成装置におけるポリゴンミラーモータが正常である場合のモータ回転数と回転同期信号の関係を示すタイムチャートである。
【
図10】
図10は、ポリゴンミラーモータが故障している場合のモータ回転数と回転同期信号の関係を示すタイムチャートである。
【
図11】
図11は、ポリゴンミラーモータが完全には故障していないが故障の予兆が見られる場合のモータ回転数と回転同期信号の関係を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る画像形成装置について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を適宜省略している。
【0010】
図1は、実施形態に係る画像形成装置100を複数台含む印刷システムの概略構成図である。印刷システムは、更に、複数のユーザ端末200と、サーバ装置300と、サービスマン端末400と、を備えている。各画像形成装置100は、ワークプレイスに置かれ、例えば同じワークプレイスに配置されたユーザ端末200に、LAN(Local Area Network)等の社内ネットワーク500を介して通信可能に接続され得る。この接続は、有線接続であっても良いし、無線接続であっても良い。また、社内ネットワーク500は、インターネット等の社外ネットワーク600と接続される。サーバ装置300及びサービスマン端末400は、社外ネットワーク600と接続される。これにより、画像形成装置100は、社内ネットワーク500及び社外ネットワーク600を介してサーバ装置300と通信可能に接続され得る。
【0011】
ユーザ端末200は、何れかの画像形成装置100での印刷を指示する、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット端末、デジタルカメラ、等の情報処理装置である。なお、ユーザ端末200は、社外ネットワーク600及び社内ネットワーク500を介して画像形成装置100に通信可能に接続されるものどあっても良い。即ち、ユーザ端末200は、画像形成装置100が置かれたワークプレイス外にあっても良い。また、ユーザ端末200は、社外ネットワーク600及び社内ネットワーク500を介することなく、直接、画像形成装置100と接続される、つまりローカルに接続されていても良い。このローカル接続についても、有線接続であっても良いし、無線接続であっても良い。
【0012】
サーバ装置300は、画像形成装置100の保守点検を請け負う管理会社が直接またはサービス提供会社に委託して運用するコンピュータ装置である。サーバ装置300は、定期的にまたは必要に応じて各画像形成装置100の動作状況を示すデータを取得し、或いは画像形成装置100から送信されてきたアラート等の通知データを取得する。サーバ装置300は、取得したデータに基づいて、各画像形成装置100の点検や修理の必要性を判別する。そして、点検や修理が必要な画像形成装置100が存在すれば、サーバ装置300は、その画像形成装置100を特定する情報を、サービスマン端末400に送信することで、サービスマンに当該画像形成装置100の点検や修理に向かわせることができる。
【0013】
サービスマン端末400は、画像形成装置100の点検や修理を実施するサービスマンが携帯するスマートフォンやタブレット端末等の情報処理装置である。なお、
図1では、サービスマン端末400を一つしか示していないが、印刷システムは、複数のサービスマン端末400を含み得る。その場合、サーバ装置300は、サービスマン端末400が備える位置検出機能を利用した各サービスマンの位置情報、各サービスマンの空き状況、等の情報に基づいて、点検や修理が必要な画像形成装置100へ適切なサービスマンを割り当てることもできる。
【0014】
図2は、実施形態に係る画像形成装置100の構成例を概略的に示す断面図である。
図2に示す画像形成装置は、MFPであり、スキャナ1、プリンタ2、操作パネル4、及びシステム制御部5を有する。
【0015】
スキャナ1は、原稿の画像を読み取って画像データに変換する装置である。スキャナ1は、例えば、原稿の読取面における画像を画像データに変換するCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサなどにより構成する。スキャナ1は、原稿台ガラス上に載置された原稿をスキャンする機能を有するものであっても良い。また、スキャナ1は、ADF(Auto Document Feeder)が搬送する原稿の画像を読み取る機能を有するものであっても良い。スキャナ1は、例えば、MFPの本体上部に設置する。スキャナ1は、システム制御部5により制御される。スキャナ1は、原稿の画像データをシステム制御部5へ出力する。
【0016】
プリンタ2は、電子写真方式のプリンタである。プリンタ2は、記録媒体としての用紙に画像を形成する。プリンタ2は、カラー画像を用紙に印刷するカラー印刷機能と、モノクロ(例えば、黒)の画像を用紙に印刷するモノクロ印刷機能と、を有する。プリンタ2は、複数色(例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の3色)のトナーを用いてカラー画像を形成する。また、プリンタ2は、モノクロ(例えば、黒(K))のトナーを用いてモノクロ画像を形成する。
【0017】
図2に示す構成例において、プリンタ2は、給紙カセット20(20A、20B、20C)を有する。給紙カセット20は、画像を印刷する用紙を供給する給紙部である。また、プリンタ2は、給紙部として、手差しトレイなどを有しても良い。例えば、各給紙カセット20A、20B、20Cは、MFP本体の下部に着脱可能な状態で設けられる。これらの給紙カセット20A、20B、20Cは、それぞれに設定した種類(例えば、サイズ、紙質)の用紙を収納する。
【0018】
各給紙カセット20A、20B、20Cは、それぞれピックアップローラ21A、21B、21Cを有する。ピックアップローラ21A、21B、21Cは、各給紙カセット20A、20B、20Cから用紙を一枚ずつ取り出す。ピックアップローラ21A、21B、21Cは、取り出した用紙を複数の搬送ローラ22A、22B、22Cなどから構成される搬送路(搬送部22)へ供給する。
【0019】
搬送部22は、プリンタ2内で用紙を搬送する。例えば、搬送部22は、ピックアップローラ21A、21B、21Cが取り出した用紙をレジストローラ24へ搬送する。レジストローラ24は、転写ベルト27から用紙に画像を転写するタイミングで、当該用紙を転写位置へ搬送する。搬送部22は、レジストローラ24を通過した用紙を転写位置へ搬送する。搬送部22は、転写位置を通過した用紙を転写位置から定着器29へ搬送する。搬送部22は、定着器29を通過した用紙を排紙部又は自動両面装置(ADU,automatic double-sided unit))の何れかへ搬送する。
【0020】
画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、用紙に転写する画像を形成する。
図2に示す構成例において、画像形成部25Yは、イエローのトナーで画像を形成する。画像形成部25Mは、マゼンタのトナーで画像を形成する。画像形成部25Cは、シアンのトナーで画像を形成する。画像形成部25Kは、ブラックのトナーで画像を形成する。
【0021】
各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、感光体ドラム30(30y、30m、30c、30k)、帯電器31(31y、31m、31c、31k)、現像器32(32y、32m、32c、32k)、転写ローラ33(33y、33m、33c、33k)、及びクリーナ34(34y、34m、34c、34k)を有する。
【0022】
感光体ドラム30は、静電潜像が形成される像担持体である。感光体ドラム30は、回転軸により回転する。帯電器31は、感光体ドラム30の表面を所定の電位に帯電させる。帯電器31は、感光体ドラム30に対する帯電出力を調節するための図示しないグリッドを有している。現像器32は、感光体ドラム30上に形成された静電潜像をトナーで現像する。転写ローラ33は、感光体ドラム30上で現像されたトナー像を転写ベルト27に転写する。クリーナ34は、転写後の感光体ドラム30の表面をクリーニングする。
【0023】
露光部26は、レーザ光により各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)の感光体ドラム30に静電潜像を形成する。露光部26は、画像データに応じて制御するレーザ光をポリゴンミラーなどの光学系を介して感光体ドラム30に照射する。露光部26からのレーザ光は、各感光体ドラム30の表面に静電潜像を形成する。露光部26は、システム制御部5からの制御信号に応じてレーザ光を制御する。
【0024】
各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、各現像器32により各感光体ドラム30に形成された静電潜像を現像する。各現像器32は、現像ローラを有する現像容器を備える。現像容器は、各色の現像剤としてのトナーを収納する。トナーは、キャリアと共に現像容器内で撹拌されることにより帯電する。現像ローラは、現像バイアスが印加される。現像バイアスが印加された現像ローラは、トナーを感光体ドラム30上の静電潜像に供給する。感光体ドラム30上の静電潜像は、供給されるトナーによりトナー像として現像される。
【0025】
転写ベルト27は、中間転写体である。各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)は、転写ローラ33により転写ベルト27に1次転写電圧を印加することで、感光体ドラム30上に形成したトナー像を転写ベルト27上に転写(一次転写)する。例えば、画像形成部25Kは、現像器32kがブラックのトナーで現像したトナー像を、転写ローラ33kが転写ベルト27上に転写する。また、カラー画像を形成する場合、各画像形成部25Y、25M、25C、25Kは、各色のトナーで現像したトナー像を転写ベルト27上に重ねて転写する。
【0026】
転写部28は、転写ベルト27上のトナー像を2次転写位置において用紙に転写する。2次転写位置は、転写ベルト27上のトナー像を用紙に転写する位置である。2次転写位置は、支持ローラ28a及び2次転写ローラ28bが対向する位置である。
【0027】
定着器29は、トナーを用紙に定着させる。定着器29は、定着用の熱を用紙に与える。
図2に示す例では、定着器29は、加熱部29aを内蔵したヒートローラ29bとヒートローラ29bに加熱される定着ベルトに加圧状態で接する加圧ローラ29cとにより構成する。加熱部29aは、温度制御可能なヒータであれば良い。例えば、加熱部29aは、ハロゲンランプ等のヒータランプで構成しても良いし、誘導加熱(Induction Heating,IH)方式のヒータであっても良い。また、加熱部29aは、複数のヒータで構成しても良い。定着器29は、定着処理した用紙を排紙部あるいはADUの何れかへ搬送する。
【0028】
操作パネル4は、ユーザインタフェースである。操作パネル4は、各種のボタンと、タッチパネル4bを具備する表示部4aと、を有する。システム制御部5は、操作パネル4の表示部4aに表示する内容を制御する。表示部4aは、通知部として機能する。また、操作パネル4は、表示部4aのタッチパネル4b或いはボタンに入力した情報をシステム制御部5へ出力する。ユーザは、操作パネル4において動作モードを指定したり、設定情報などの情報を入力したりする。
【0029】
次に、露光部26の構成について説明する。
【0030】
図3は、画像形成装置100に用いられる露光部26の構成例を示す図である。
図4は、画像形成装置100内に設置された露光部26の構成例を示す断面図である。
【0031】
図3及び
図4に示す露光部26は、画像形成する各色の露光ユニットを含む。
図2に示すようなカラー画像を形成する画像形成装置100では、露光部26は、カラー画像を構成する各色の露光ユニットを有する。なお、モノクロ画像のみを形成する画像形成装置では、露光部26は、モノクロ画像を形成するための1セットの露光ユニットを具備すれば良い。
【0032】
図3及び
図4に示す露光部26は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色用の露光ユニットと、ビームディテクト(BD)検知部と、を含む。各色の露光ユニットは、レーザユニット40(40y、40m、40c、40k)と、光学系と、を含む。各レーザユニット40は、複数の発光素子を有する。例えば、複数のレーザダイオード(Laser Diode,LD)がアレイ化されたレーザアレイで構成する。各色の露光ユニットを構成する光学系は、ミラー41k、ミラー42(42m、42c、42k)、ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48(48y、48m、48c、48k)などを含む。
【0033】
イエロー用の露光ユニットは、レーザユニット40y、ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48yを含む。レーザユニット40yは、イエローの画像を形成するためのレーザ光を発する。ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48yは、レーザユニット40yが発光するレーザ光を感光体ドラム30y上に導くための光学系である。ポリゴンミラー43は、ポリゴンミラーモータ43aにより回転する。ポリゴンミラー43は、回転することにより、感光体ドラム30y上においてレーザ光を主走査方向に走査させる。主走査方向は、感光体ドラム30yの回転軸の方向である。また、レーザユニット40yが発光するレーザ光の走査位置は、回転するポリゴンミラー43により、感光体ドラム30y上における副走査方向に移動する。副走査方向は、主走査方向に直交する方向である。
【0034】
マゼンタ用の露光ユニットは、レーザユニット40m、ミラー42m、ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48mを含む。レーザユニット40mは、マゼンタの画像を形成するためのレーザ光を発する。ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48mは、レーザユニット40mが発光するレーザ光を感光体ドラム30m上に導くための光学系である。ポリゴンミラー43は、ポリゴンミラーモータ43aにより回転する。ポリゴンミラー43は、回転することにより、感光体ドラム30m上においてレーザ光を主走査方向に走査させる。主走査方向は、感光体ドラム30mの回転軸の方向である。また、レーザユニット40mが発光するレーザ光の走査位置は、回転するポリゴンミラー43により、感光体ドラム30m上における副走査方向に移動する。副走査方向は、主走査方向に直交する方向である。
【0035】
シアン用の露光ユニットは、レーザユニット40c、ミラー42c、ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48cを含む。レーザユニット40cは、シアンの画像を形成するためのレーザ光を発する。ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48cは、レーザユニット40cが発光するレーザ光を感光体ドラム30c上に導くための光学系である。ポリゴンミラー43は、ポリゴンミラーモータ43aにより回転する。ポリゴンミラー43は、回転することにより、感光体ドラム30c上においてレーザ光を主走査方向に走査させる。主走査方向は、感光体ドラム30cの回転軸の方向である。また、レーザユニット40cが発光するレーザ光の走査位置は、回転するポリゴンミラー43により、感光体ドラム30c上における副走査方向に移動する。副走査方向は、主走査方向に直交する方向である。
【0036】
ブラック用の露光ユニットは、レーザユニット40k、ミラー41k、42k、ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48kを含む。レーザユニット40kは、ブラックの画像を形成するためのレーザ光を発する。ポリゴンミラー43、レンズ44,45、ミラー群48kは、レーザユニット40kが発光するレーザ光を感光体ドラム30k上に導くための光学系である。ポリゴンミラー43は、ポリゴンミラーモータ43aにより回転する。ポリゴンミラー43は、回転することにより、感光体ドラム30k上においてレーザ光を主走査方向に走査させる。主走査方向は、感光体ドラム30kの回転軸の方向である。また、レーザユニット40kが発光するレーザ光の走査位置は、回転するポリゴンミラー43により、感光体ドラム30k上における副走査方向に移動する。副走査方向は、主走査方向に直交する方向である。
【0037】
露光部26のBD検知部は、ミラー46と、BDセンサ47と、を含む。ミラー46は、ポリゴンミラー43で走査されるレーザ光をBDセンサ47に導く。BDセンサ47は、レーザユニット40における何れかの1つの光源からのレーザ光を検出する。BDセンサ47は、主走査方向への走査の基準となる信号(BD信号、基準信号)としてレーザ光を検出する。BDセンサ47は、検出すべきLD(基準発光素子)からのレーザ光が走査される走査線上にセットされる。つまり、BDセンサ47は、レーザ光が主走査方向の基準位置であることを検出する。各レーザユニット40のLDは、BDセンサ47が検知するBD信号を基準にレーザ光の発光が制御される。
【0038】
次に、画像形成装置100の制御系の構成について説明する。
【0039】
図5は、画像形成装置100のシステム制御部5及びプリンタ2における制御系の構成例を概略的に示すブロック図である。
【0040】
この構成例において、システム制御部5は、プロセッサであるシステムCPU(Central Processing Unit)51、RAM(Random Access Memory)52、ROM(Read Only Memory)53、不揮発性メモリ(図では、NVM(Non-volatile Memory)と記す)54、HDD(Hard Disk Drive)55、外部インタフェース(図では、I/Fと記す)56、入力画像処理部57、ページメモリ58、及び出力画像処理部59を有する。
【0041】
システムCPU51は、画像形成装置100の各部を統括的に制御する制御部である。システムCPU51は、プログラムを実行することにより処理を実現するプロセッサである。システムCPU51は、システムバスを介して、システム制御部5内の各部に接続する。また、システムCPU51は、システムバスを介して、スキャナ1、プリンタ2、操作パネル4なども接続する。システムCPU51は、スキャナ1、プリンタ2、及び操作パネル4との双方向の通信により、各部へ動作指示を出力したり、各部から種々の情報を取得したりする。
【0042】
なお、制御部を構成するプロセッサであるCPUは、マルチコア/マルチスレッドのものであって良く、複数の処理を並行して実行することができる。また、プロセッサは、CPUに限定されず、MPU(micro processing unit)であっても良い。更には、プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Digital Signal processor)、SoC(system on a chip)、PLD(programmable logic device)、等の集積回路を含む、他の多様な形式で実現されても良い。また、プロセッサは、これらのうちの複数を組み合わせたものであっても良い。
【0043】
RAM52は、揮発性のメモリで構成される。RAM52は、ワーキングメモリ、或いはバッファメモリとして機能する。ROM53は、プログラム及び制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。システムCPU51は、RAM52を使用しながらROM53(或は不揮発性メモリ54、HDD55)に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。例えば、システムCPU51は、プログラムを実行することにより印刷の実行を指示する機能及び印刷を禁止する機能を実現する。
【0044】
不揮発性メモリ54は、書換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ54は、システムCPU51が実行する制御プログラム及び制御データを記憶する。また、不揮発性メモリ54は、各種の設定情報及び処理条件などを記憶する。例えば、不揮発性メモリ54は、各給紙カセット(給紙部)に対する設定情報を記憶する。
【0045】
HDD55は、大容量の記憶装置である。HDD55は、画像データ及び各種の動作履歴情報などを記憶する。また、HDD55は、制御プログラム及び制御データなどを記憶しても良い。HDD55は、設定情報及び処理条件などを記憶しても良い。
【0046】
外部インタフェース56は、外部装置と通信するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース56は、外部装置であるユーザ端末200からの印刷ジョブを受信したり、外部装置であるサーバ装置300にデータを送信したりする。外部インタフェース56は、外部装置とデータ通信を行うインタフェースであれば良い。
【0047】
入力画像処理部57は、スキャナ1が読み取った画像データを画像処理する。入力画像処理部57は、例えば、シェーディング補正処理、階調変換処理、ライン間補正処理、圧縮伸張処理などの機能を有する。入力画像処理部57は、画像処理した画像データをページメモリ58に記憶する。
【0048】
ページメモリ58は、画像データを展開するためのメモリである。例えば、ページメモリ58は、スキャナ1が読み取った画像データに対して入力画像処理部57が画像処理した画像データを格納する。ページメモリ58は、外部インタフェース56により取得した印刷ジョブに含まれる画像データを格納しても良い。
【0049】
出力画像処理部59は、プリンタ2が用紙にプリントするプリント用の画像データを生成する。出力画像処理部59は、ページメモリ58に格納した画像データをプリント用の画像データに変換する画像処理する。出力画像処理部59は、画像処理したデータをプリンタ2へ送信する。
【0050】
次に、プリンタ2における制御系の構成例について説明する。
【0051】
図5に示す構成例において、プリンタ2は、制御系統の構成として、プリンタCPU61、RAM62、ROM63、不揮発性メモリ(NVM)64、搬送制御部65、露光制御部70、画像形成制御部71、転写制御部72、及び定着制御部73などを有する。
【0052】
プリンタCPU61は、プリンタ2全体の制御を司る。プリンタCPU61は、プログラムを実行することにより処理を実現するプロセッサである。なお、プロセッサは、CPUに限定されず、MPU、ASIC、GPU、FPGA、DSP、SoC、PLD、等の集積回路を含む、他の多様な形式で実現されても良い。また、プロセッサは、これらのうちの複数を組み合わせたものであっても良い。プリンタCPU61は、システムバスなどを介して、プリンタ2内の各部に接続する。プリンタCPU61は、システムCPU51からの動作指示に応じて、プリンタ2内の各部へ動作指示を出力する。また、プリンタCPU61は、プリンタ2における処理状況を示す情報をシステムCPU51へ通知する。
【0053】
RAM62は、揮発性のメモリで構成される。RAM62は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリとして機能する。ROM63は、プログラム及び制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。プリンタCPU61は、RAM62を使用しながらROM63(或は不揮発性メモリ64)に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0054】
不揮発性メモリ64は、書換え可能な不揮発性のメモリである。例えば、不揮発性メモリ64は、プリンタCPU61が実行する制御プログラム及び制御データ、及び、プリンタCPU61が制御プログラムを実行することで生成した履歴データを記憶する。また、不揮発性メモリ64は、設定情報及び処理条件などを記憶するようにしても良い。
図6は、この不揮発性メモリ64の構成例を示すブロック図である。本実施形態では、不揮発性メモリ64は、第1の時間に関する履歴データを記憶するための記憶部として、例えば、履歴保存部641、最大時間保存部642及び回数カウンタ643を含むことができる。
【0055】
履歴保存部641は、第1の時間に関する履歴データとして、最新から過去の予め決められた回数分、例えば10回分、第1の時間を保存するメモリである。第1の時間は、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標の回転数範囲となるまでの時間である。この第1の時間の詳細については、後述する。
【0056】
最大時間保存部642は、第1の時間に関する履歴データとして、現時点まで含めた最大の第1の時間を保存するメモリである。
【0057】
回数カウンタ643は、第1の時間に関する履歴データとして、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であった回数を保存するカウンタである。第2の時間は、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標の回転数範囲となる時間として予め規定された時間である。第3の時間は、ポリゴンミラーモータ43aが故障していると判定する時間として予め規定された時間である。これら第2及び第3の時間の詳細については、後述する。
【0058】
搬送制御部65は、プリンタ2内における用紙の搬送を制御する。搬送制御部65は、ピックアップローラ21及び搬送部22の搬送ローラ22A,22B,22Cなどの駆動を制御する。搬送制御部65は、プリンタCPU61からの動作指示に応じてプリンタ2内における搬送部22としての搬送ローラ22A,22B,22Cの駆動を制御する。例えば、プリンタCPU61は、システム制御部5からの印刷開始の指示に応じて搬送制御部65に用紙の搬送制御を指示する。
【0059】
露光制御部70は、露光部26を制御する。露光制御部70は、プリンタCPU61からの動作指示に応じて露光部26により各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)の感光体ドラム30(30y、30m、30c、30k)に静電潜像を形成する。例えば、露光制御部70は、プリンタCPU61に印刷の実行が指示される画像データに応じて露光部26が各感光体ドラム30に照射するレーザ光を制御する。例えば、露光制御部70は、露光部26から取得するBD信号を基準に、各レーザユニットが発光するレーザ光の走査を制御する。
【0060】
画像形成制御部71は、各画像形成部25(25Y、25M、25C、25K)の駆動を制御する。例えば、画像形成制御部71は、感光体ドラム30上を帯電器31により所定の電位に帯電させる。画像形成制御部71は、帯電処理後に感光体ドラム30上に形成される静電潜像を、現像器32により各色のトナー像で現像する。画像形成制御部71は、現像器32に対して現像バイアスなどを制御することにより現像するトナーの濃度を制御する。画像形成制御部71は、感光体ドラム30上で現像されたトナー像を転写ローラ33により転写ベルト27に転写する。また、画像形成制御部71は、転写処理後の感光体ドラム30の表面を、クリーナ34で清掃する。
【0061】
また、転写制御部72は、転写部28の駆動及び転写電流などを制御する。転写制御部72は、プリンタCPU61からの動作指示に応じて転写ベルト27に転写されたトナー像を転写部28により用紙に転写する。定着制御部73は、定着器29の駆動を制御する。定着制御部73は、プリンタCPU61からの動作指示に応じてヒートローラ29b及び加圧ローラ29cを駆動する。定着制御部73は、加熱部29aを制御することによりヒートローラ29bの表面温度を定着温度に制御する。
【0062】
このような構成の画像形成装置100においては、図示しない電源スイッチのON操作により電源が投入されると、システムCPU51及びプリンタCPU61は、ROM53、63(或いは不揮発性メモリ54、64)に記憶されたそれぞれのプログラムに従った動作を実行する。例えば、システムCPU51は、ユーザ端末200からの印刷ジョブの受信に応じてプリンタ2にその印刷ジョブで示される印刷を指示したり、ユーザによる操作パネル4のタッチパネル4bに対するコピー指示に応じてスキャナ1で原稿をスキャンし、プリンタ2でそのスキャンした原稿の画像の印刷を指示したりする。また、プリンタ2のプリンタCPU61は、システムCPU51からの印刷指示に応じて印刷を行う。
【0063】
また、プリンタCPU61は、この通常動作に加えて、プリンタ2の各部の不具合箇所診断動作を実行する。その一つとして、ポリゴンミラーモータ43aの診断動作が有る。
図7及び
図8は、このポリゴンミラーモータ43aの診断動作の動作例を説明するための一連のフローチャートである。なお、
図7及び
図8に示すと共に以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用することができる。プリンタCPU61は、例えば、電源スイッチのON操作により電源が投入されると、不揮発性メモリ64に記憶された制御プログラムに基づいてこの診断動作の処理を実行する。なお、特に説明が無い限り、プリンタCPU61の処理は、ACTn(nは、自然数。)の後、ACT(n+1)へと遷移するものとする。
【0064】
プリンタCPU61は、ACT1において、不揮発性メモリ64に記憶されている第1の時間に関する履歴データをサーバ装置300へ送信する。具体的には、プリンタCPU61は、不揮発性メモリ64に記憶されている履歴データを読み出し、その履歴データの送信をシステム制御部5のシステムCPU51に依頼する。システムCPU51は、この依頼に応じて、外部インタフェース56により、履歴データをサーバ装置300へ送信する。なお、サーバ装置300へ送信する履歴データは、履歴保存部641に保存されている例えば最近10回分の第1の時間、最大時間保存部642に保存されている最大の第1の時間、及び回数カウンタ643に保存されている回数の全てであっても良いし、任意の一つ又は二つであっても良い。
【0065】
ACT2において、プリンタCPU61は、履歴データをサーバ装置300へ送信するか否か判断する。具体的には、プリンタCPU61は、システムCPU51から履歴データの読み出し要求が有ったか否か判定する。システムCPU51は、サーバ装置300から履歴データの送信要求を受信したとき、プリンタCPU61にこの履歴データの読み出し要求を行う。プリンタCPU61は、履歴データの読み出し要求が有った、即ち、履歴データをサーバ装置300へ送信するという判定に基づき(ACT2、YES)、上記ACT1の処理動作に移行する。
【0066】
プリンタCPU61は、履歴データの読み出し要求が無い、即ち、履歴データをサーバ装置300へ送信しないという判定に基づき(ACT2、NO)、ACT3において、印刷を開始するか否か判定する。具体的には、プリンタCPU61は、システムCPU51からの印刷指示が有ったか否か判定する。プリンタCPU61は、印刷を開始しないという判定に基づき(ACT3、NO)、上記ACT2の処理動作に移行する。
【0067】
プリンタCPU61は、印刷を開始するという判定に基づき(ACT3、YES)、ACT4において、計時を開始する。
【0068】
図9は、ポリゴンミラーモータ43aが正常である場合のモータ回転数と回転同期信号の関係を示すタイムチャートである。
【0069】
印刷開始時である時間t0において、プリンタCPU61から露光部26のポリゴンミラーモータ43aへ回転オン信号が送られる。この回転オン信号に応じて、ポリゴンミラーモータ43aが回転を開始する。プリンタCPU61からポリゴンミラーモータ43aに供給されるクロック、またはポリゴンミラーモータ43a内部に具備されるクロックに応じて、目標回転数範囲TRRが規定される。ポリゴンミラーモータ43aの回転数が上昇していき、回転数が目標回転数範囲TRRに入ると、ポリゴンミラーモータ43aは定常回転に入る。ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRに入っている間、ポリゴンミラーモータ43aからプリンタCPU61へ回転同期信号が送られる。プリンタCPU61は、この同期信号を検知し、印字動作を継続する。
【0070】
但し、回転数が目標回転数範囲TRRに入っても、直ちにポリゴンミラーモータ43aの定常回転領域SSRでモータ回転数が安定するものではない。即ち、モータ回転数が目標回転数範囲TRRに最初に到達した時には回転がオーバーシュートするので、回転数を目標回転数範囲TRRに維持するよう調整する。この調整期間の間は、モータ回転数が上下動して不安定となっており、同期信号も複数回オン/オフした後、最終的に定常回転が継続される。ポリゴンミラーモータ43aが定常回転していないと、ポリゴンミラーで回転走査されるレーザ光の走査速度が不安定になり、印字に歪みを生ずる。そのため、プリンタCPU61は、最初の同期信号検知タイミングである時間t1から回転数不安定領域USR分の時間を待って、印刷動作を行う。回転数不安定領域USRは、ポリゴンミラーモータ43aの性能やポリゴンミラー43の重量等のパラメータに基づいて計算され、画像形成装置100毎の設定情報として、不揮発性メモリ64に記憶されている。例えば、回転数不安定領域USRは、0.5秒~1.5秒程度である。
【0071】
ポリゴンミラーモータ43aの回転開始の時間t0から、最初の同期信号検知タイミングである時間t1からの回転数不安定領域USRを待って定常回転となる時間t2までの間の期間を、モータ起動時間MSTと定義する。一例としては、時間t1は印刷開始時である時間t0を起点として2秒、回転数不安定領域USRは時間t1を起点として0.5秒とすると、モータ起動時間MSTは、2.5秒となる。
【0072】
ポリゴンミラーモータ43aに不具合が生じた場合、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRまで達しない、或いは、目標回転数範囲TRRまでモータ回転数が達するが正常時よりもモータ起動時間MSTが長い、の2つのモードがある。
【0073】
前者のモードは、レーザの走査速度が通常より遅く、回転も不安定のため、縮んだり歪みを生じたりといった画像不具合が発生するので、使用ができない。モータ故障の誤判定防止のため、正常な場合におけるモータ起動時間MSTよりも十分に長い時間を、プリンタCPU61がポリゴンミラーモータ43aの完全な故障と判断する時間として使用する。この時間を、以下、異常発生判断時間Taと称する。異常発生判断時間Taは、一例として、印刷開始時である時間t0を起点として30秒とする。異常発生判断時間Taは、画像形成装置100毎の設定情報として、不揮発性メモリ64に記憶されている。
【0074】
これに対して、後者のモードの場合は、完全に故障したわけではなく、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRまで達するので、使用は可能である。しかしながら、いずれは前者の使用不可状態になる可能性がある。そのため、後者の状態を検知し、完全に使用できなくなるまでの間に修理を行うことで、画像形成装置100が使用できなくなる事を防止することができる。或いは、予め修理の手配をしておくことで、実際に修理を行う前に故障してしまったとしても、修理までの使用不可の期間を短縮することができる。本実施形態では、後者の状態を検知するために、プリンタCPU61がポリゴンミラーモータ43aの完全な故障と判断する異常発生判断時間Taよりは短いが、正常な場合におけるモータ起動時間MSTよりは長い時間を、異常可能性判断時間Tpと設定する。前述の例によれば、異常可能性判断時間Tpとしては、印刷開始時である時間t0を起点として2.5秒超30秒未満の任意の時間となる。なお、異常可能性判断時間Tpは、正常な場合におけるモータ起動時間MST以上異常発生判断時間Ta未満としても良いが、誤判定防止のためには、或る程度、正常な場合におけるモータ起動時間MSTよりも大きな値とすることが望ましい。異常可能性判断時間Tpは、画像形成装置100毎の設定情報として、不揮発性メモリ64に記憶されている。
【0075】
本実施形態では、時間t1が前述した第1の時間である。また、正常な場合におけるモータ起動時間MSTに基づいて規定された異常可能性判断時間Tpが前述した第2の時間であり、異常発生判断時間Taが前述した第3の時間である。
【0076】
図8の説明に戻る。
ACT5において、プリンタCPU61は、ポリゴンミラーモータ43aが同期状態であるか否か判定する。具体的には、プリンタCPU61は、ポリゴンミラーモータ43aから送られてくる回転同期信号がロー状態であるか否か判定する。
【0077】
同期状態ではないという判定に基づき(ACT5、NO)、ACT6において、プリンタCPU61は、計時している時間が異常発生判断時間Taに到達したか否か判定する。異常発生判断時間Taに到達していないという判定に基づき(ACT6、NO)、プリンタCPU61は、上記ACT5の処理動作に移行する。
【0078】
こうして、プリンタCPU61は、ポリゴンミラーモータ43aが同期状態となるか、計時している時間が異常発生判断時間Taに到達するまで、ACT5とACT6の処理動作を繰り返す。プリンタCPU61は、同期するか異常発生判断時間Taに到達するのを待つと言うこともできる。
【0079】
同期状態であるという判定に基づき(ACT5、YES)、プリンタCPU61は、ACT7において、履歴を保存する。具体的には、プリンタCPU61は、履歴保存部641に、第1の時間である、最初の同期信号検知の時間t1を追加保存する。なお、既に履歴保存部641に予め決められた回数分、例えば10回分、の第1の時間が保存されている場合には、プリンタCPU61は、履歴保存部641から最も古い第1の時間を削除して、今回の即ち最新の第1の時間を追加保存する。
【0080】
ACT8において、プリンタCPU61は、今回の同期信号検知の時間t1が過去最大であるか否か判定する。具体的には、プリンタCPU61は、今回の同期信号検知の時間t1が、最大時間保存部642に保存されている最大の第1の時間よりも大きいか否か判定する。過去最大ではないという判定に基づき(ACT8、NO)、プリンタCPU61は、後述するACT10の処理動作に移行する。
【0081】
また、過去最大であるという判定に基づき(ACT8、YES)、プリンタCPU61は、ACT9において、最大時間保存部642に保存されている最大の第1の時間を、今回の同期信号検知の時間t1により更新する。
【0082】
ACT10において、プリンタCPU61は、今回の同期信号検知の時間t1が異常可能性判断時間Tpを経過しているか否か判定する。異常可能性判断時間Tpを経過していない場合とは、ポリゴンミラーモータ43aが正常に動作していることを意味する。
【0083】
異常可能性判断時間Tpを経過していないという判定に基づき(ACT10、NO)、プリンタCPU61は、ACT11において、印刷が終了されるか否か、つまり、ポリゴンミラーモータ43aが停止されるか否か判定する。プリンタCPU61は、印刷が終了されないという判定に基づき(ACT11、NO)、このACT11の処理動作を繰り返す。即ち、プリンタCPU61は、印刷が終了されると判定するまで、このACT11の処理動作を継続する。プリンタCPU61は、印刷が終了されるのを待つと言うこともできる。プリンタCPU61は、印刷が終了されるという判定に基づき(ACT11、YES)、上記ACT2の処理動作に移行する。
【0084】
以上のようにして、プリンタCPU61は、印刷開始時つまりポリゴンミラーモータ43aの回転開始時に、履歴保存部641の記憶内容を更新すると共に、必要により最大時間保存部642の記憶内容を更新する。
【0085】
図10は、ポリゴンミラーモータ43aが故障している場合のモータ回転数と回転同期信号の関係を示すタイムチャートである。ポリゴンミラーモータ43aに不具合が生じた場合、
図10に示されるように、異常発生判断時間Taまでにポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRまで達しない。
【0086】
この場合には、上記ACT6において、計時している時間が異常発生判断時間Taに到達したと判定されることになる。この異常発生判断時間Taに到達したという判定に基づき(ACT6、YES)、プリンタCPU61は、ACT12において、プリンタ2の動作を停止する。これにより、
図10に示されるように、ポリゴンミラーモータ43aは回転を停止する。
【0087】
ACT13において、プリンタCPU61は、システムCPU51にモータ異常を通知する。そして、プリンタCPU61は、動作を終了する。このモータ異常の通知を受けたシステムCPU51は、操作パネル4の表示部4aに、ポリゴンミラーモータ43aが故障し、印刷ができないことを表示する。この表示を見たユーザは、保守点検会社に修理を依頼することがでる。また、システムCPU51は、外部インタフェース56によりサーバ装置300へモータ異常を通知するようにしても良い。これにより、サーバ装置300がサービスマン端末400へ、当該画像形成装置100の修理を手配することができる。
【0088】
なお、プリンタCPU61からシステムCPU51に送信されるモータ異常の通知及びシステムCPU51からサーバ装置300に送信されるモータ異常の通知は、不揮発性メモリ64に記憶されている第1の時間に関する履歴データを含んでも良い。第1の時間に関する履歴データは、履歴保存部641に保存されている例えば最近10回分の第1の時間、最大時間保存部642に保存されている最大の第1の時間、及び回数カウンタ643に保存されている回数の全てであっても良いし、任意の一つ又は二つであっても良い。サーバ装置300は、サービスマン端末400に当該画像形成装置100の修理を手配する際、この履歴データも送信することができる。これにより、サービスマン端末400を使用するサービスマンは、画像形成装置100にて不揮発性メモリ64の記憶内容の読み出し操作を行うこと無く、しかも事前に、修理するべき故障したポリゴンミラーモータ43aの動作履歴を確認することが可能となる。
【0089】
以上のようにして、ポリゴンミラーモータ43aの回転を開始したときに、回転数が目標回転数範囲TRRまで上がらないまま異常発生判断時間Taを経過してしまった場合、プリンタCPU61は、ポリゴンミラーモータ43aに故障等の異常が発生したと判定して、動作を終了する。
【0090】
図11は、ポリゴンミラーモータ43aが完全には故障していないが故障の予兆が見られる場合のモータ回転数と回転同期信号の関係を示すタイムチャートである。この場合には、正常時よりもモータ起動時間MSTが長くなる。即ち、モータ回転数が上がりにくいことで、目標回転数範囲TRRまでモータ回転数が達しはするが、その到達時点である最初の同期信号検知の時間t1が遅くなる。
【0091】
この場合には、上記ACT10において、今回の同期信号検知の時間t1が異常可能性判断時間Tpを経過していると判定されることになる。この異常可能性判断時間Tpを経過しているという判定に基づき(ACT10、YES)、プリンタCPU61は、ACT14において、回数カウンタ643が計数している、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であった回数を、一つ加算する。
【0092】
ACT15において、プリンタCPU61は、回数カウンタ643が計数している回数が、規定回数に達したか否か判定する。この規定回数は、1以上の任意の回数である。設定情報値として不揮発性メモリ64に予め記憶されている。規定回数に達していないという判定に基づき(ACT15、NO)、プリンタCPU61は、上記ACT11の処理動作に移行する。
【0093】
規定回数に達したという判定に基づき(ACT15、YES)、プリンタCPU61は、ACT16において、システムCPU51にモータ異常予兆を通知する。その後、プリンタCPU61は、上記ACT2の処理動作に移行する。
【0094】
モータ異常予兆の通知は、不揮発性メモリ64に記憶されている第1の時間に関する履歴データを含む。第1の時間に関する履歴データは、履歴保存部641に保存されている例えば最近10回分の第1の時間、最大時間保存部642に保存されている最大の第1の時間、及び回数カウンタ643に保存されている回数の全てであっても良いし、任意の一つ又は二つであっても良い。回数カウンタ643に保存されている回数を含むことが望ましい。
【0095】
このモータ異常予兆の通知を受けたシステムCPU51は、操作パネル4の表示部4aに、当該通知に含まれる履歴データを表示する、または、履歴データに基づくアラートを表示する。この表示を見たユーザは、保守点検会社に点検を依頼することができる。また、システムCPU51は、外部インタフェース56によりサーバ装置300へ、履歴データ又はアラート内容を含むモータ異常予兆通知を送信するようにしても良い。これにより、サーバ装置300がサービスマン端末400へ、当該画像形成装置100の点検を手配することができる。
【0096】
以上のようにして、プリンタCPU61は、印刷開始時つまりポリゴンミラーモータ43aの回転開始時に、回転数が目標回転数範囲TRRまで上がるまでの時間である時間t1が、異常発生判断時間Taに到達する前ではあるが、異常発生判断時間Taを経過している場合、履歴保存部641の記憶内容を更新すると共に、必要により最大時間保存部642の記憶内容を更新し、更に、この状況が発生した回数を回数カウンタ643に記憶させておく。
【0097】
これら履歴保存部641、最大時間保存部642、及び/又は回数カウンタ643の内容は、プリンタCPU61からシステムCPU51に提供されて、その内容がそのまま又はその内容に基づくアラートとして操作パネル4の表示部4aに表示されたり、その内容又はアラート内容がサーバ装置300へ送信されたりすることができる。
【0098】
よって、表示を見たユーザや上記内容を受信したサーバ装置300は、まだ画像形成装置100が使えている間にサービスマンに修理を手配することが可能となる。これにより、ポリゴンミラーモータ43aの完全な故障により画像形成装置100が使用できなくなる事を防止すること、或いは、実際に修理を行う前に故障してしまったとしても修理までの使用不可の期間を短縮することができるようになる。
【0099】
以上のように、ポリゴンミラーモータ43aが回転させるポリゴンミラー43により感光体ドラム30へレーザ光を走査して画像形成を行なう本実施形態に係る画像形成装置100のプリンタCPU61は、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRとなるまでの第1の時間としての、最初の同期信号検知タイミングである時間t1を取得する。このように、プリンタCPU61は、取得手段として機能する。そして、プリンタCPU61は、第1の時間が、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRとなる時間として予め規定された第2の時間である異常可能性判断時間Tpと、ポリゴンミラーモータ43aが故障していると判定する時間として予め規定された第3の時間である異常発生判断時間Taと、の間の時間であるか否か判断する。このように、プリンタCPU61は、判断手段として機能する。プリンタCPU61は、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であれば、例えば不揮発性メモリ64に、第1の時間に関する履歴データを保存する。このように、プリンタCPU61及び不揮発性メモリ64は、保存手段として機能する。
このように、本実施形態に係る画像形成装置100においては、プリンタCPU61は、印刷開始時つまりポリゴンミラーモータ43aの回転開始時に、その回転数が目標回転数範囲TRRとなる第1の時間が、第3の時間に到達する前ではあるが第2の時間を経過している場合、不揮発性メモリ64に第1の時間に関する履歴データを保存する。よって、この履歴データを確認することで、ポリゴンミラーモータ43aが完全に故障するよりも前の時点で、ポリゴンミラーモータ43aの故障等の異常発生可能性の有無を判別することが可能となる。これにより、異常発生可能性が有れば、ポリゴンミラーモータ43aの点検を依頼することができ、ポリゴンミラーモータ43aの完全な故障により画像形成装置100が使用できなくなる事を防止すること、或いは、実際に修理を行う前に故障してしまったとしても修理までの使用不可の期間を短縮することができるようになる。
【0100】
ここで、プリンタCPU61は、例えば回数カウンタ643を用いて、履歴データとして、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であった回数を保存する。
よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、回数カウンタ643に保存された回数を確認することで、第1の時間が第2の時間と第3の時間との間の時間であった回数が判別可能なる。従って、この回数が何回であるのかによって、ポリゴンミラーモータ43aの故障等の異常発生可能性の有無を判別して、ポリゴンミラーモータ43aの点検を依頼することが可能となる。
【0101】
或いは、プリンタCPU61は、例えば最大時間保存部642に、履歴データとして、現時点まで含めた最大の第1の時間を保存する。
よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、最大時間保存部642に保存された時間を確認することで、現時点まで含めた最大の第1の時間が判別可能なる。従って、この時間がどれだけであるのかによって、ポリゴンミラーモータ43aの故障等の異常発生可能性の有無を判別して、ポリゴンミラーモータ43aの点検を依頼することが可能となる。
【0102】
或いは、プリンタCPU61は、例えば履歴保存部641に、履歴データとして、最新から過去の予め決められた回数分、例えば10回分、第1の時間を保存する。
よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、履歴保存部641に保存された複数の時間を確認することで、第1の時間がどのように変化しているのかが判別可能なる。従って、この第1の時間の変化状況によって、ポリゴンミラーモータ43aの故障等の異常発生可能性の有無を判別して、ポリゴンミラーモータ43aの点検を依頼することが可能となる。
【0103】
なお、第1の時間は、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が目標回転数範囲TRRに到達した時間である。
よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、ポリゴンミラーモータ43aの回転数が、回転開始からどれだけの時間をかけて目標回転数範囲TRRに到達しているのかが判別可能なる。
【0104】
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、履歴データを提示する表示部4aを更に備える。このように、表示部4aは、提示手段として機能する。
よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、ユーザに、履歴データを確認して、ポリゴンミラーモータ43aの点検を依頼するか否かを容易に判別させることができるようになる。また、点検を依頼されたサービスマンも、容易に履歴データを確認可能となる。
【0105】
或いは、本実施形態に係る画像形成装置100は、履歴データを、社外ネットワーク600を介してサーバ装置300へ送信する外部インタフェース56を更に備える。このように、外部インタフェース56は、通信手段として機能する。
よって、本実施形態に係る画像形成装置100は、サーバ装置300へ履歴データを送信することで、サーバ装置300において、その履歴データに基づいてポリゴンミラーモータ43aの故障等の異常発生可能性の有無を判別することが可能となる。
【0106】
以上、上記一実施形態について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、第1の時間は、最初の同期信号検知タイミングであるt1としている。しかしながら、第1の時間は、時間t1からの回転数不安定領域USRを待ってポリゴンミラーモータ43aが定常回転となる時間t2としても良い。
【0107】
また、上記実施形態では、ACT1における履歴データのサーバ装置300への送信を、電源投入時とサーバ装置300からの要求が有ったときに実施するものとしている。しかしながら、電源投入時には送信しないようにしても良い。その代わりとして、例えば、画像形成装置100が夜中等の規定の時間にタイマ起動するようにし、そこでカウント値のサーバ装置300へ送信するというように、何らかの別の規定された時間にカウント値を送信するようにしても良い。また、ポリゴンミラーモータ43aの回転開始回数が一定回数となる毎というように、時間以外の別の条件に基づいてカウント値を送信するようにしても良い。
【0108】
また、上記実施形態では、ACT15において回数カウンタ643が計数している回数が規定回数に達したと判別したきに、ACT16でモータ異常予兆を通知するものとしている。しかしながら、故障予兆を検出する毎にモータ異常予兆を通知し、規定回数カウントしたときに、点検依頼を通知する、というような2段階通知としても良い。或いは、最大時間が第2の時間と第3の時間の間に設定された第4の時間を経過したとき等、モータ異常予兆を通知するタイミングは、別の指標に基づいて決定するようにしても構わない。更に、モータ異常予兆を通知する判定条件についても、回数ではなく、最大時間保存部642が記憶する最大時間が規定の時間を超えた場合等、別の条件を作用しても良い。
【0109】
また、上記実施形態では、システムCPU51とプリンタCPU61の2つのプロセッサを備えるものとしている。しかしながら、一つのプロセッサで、画像形成装置100の各種処理動作を実現するようにしても良いことは勿論である。
【0110】
また、上記実施形態では、画像形成装置100のプリンタ2の不揮発性メモリ64に制御プログラムが事前に記憶されているものとした。この点に関しては、画像形成装置100が備える書き込み可能な記憶デバイスに、これら画像形成装置とは個別に譲渡された制御プログラムが管理者などの操作に応じて書き込まれても良い。これら制御プログラム等の譲渡は、リムーバブルなコンピュータ可読記憶媒体に記憶して、或いはネットワークを介した通信により行うことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0111】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1…スキャナ、 2…プリンタ、 4…操作パネル、 4a…表示部、 4b…タッチパネル、 5…システム制御部、 25、25Y、25M、25C、25K…画像形成部、 26…露光部、 27…転写ベルト、 28…転写部、 28a…支持ローラ、 28b…2次転写ローラ、 29…定着器、 29a…加熱部、 29b…ヒートローラ、 29c…加圧ローラ、 30、30y、30m、30c、30k…感光体ドラム、 31、31y、31m、31c、31k…帯電器、 32、32y、32m、32c、32k…現像器、 33、33y、33m、33c、33k…転写ローラ、 34、34y、34m、34c、34k…クリーナ、 40、40y、40m、40c、40k…レーザユニット、 41k、42、42m、42c、42k…ミラー、 43…ポリゴンミラー、 43a…ポリゴンミラーモータ、 44,45…レンズ、 46…ミラー、 47…BDセンサ、 48、48y、48m、48c、48k…ミラー群、 51…システムCPU、 52,62…RAM、 53,63…ROM、 54、64…不揮発性メモリ(NVM)、 55…HDD、 56…外部インタフェース(I/F)、 57…入力画像処理部、 58…ページメモリ、 59…出力画像処理部、 61…プリンタCPU、 65…搬送制御部、 70…露光制御部、 71…画像形成制御部、 72…転写制御部、 73…定着制御部、 100…画像形成装置、 200…ユーザ端末、 300…サーバ装置、 400…サービスマン端末、 500…社内ネットワーク、 600…社外ネットワーク、 641…履歴保存部、 642…最大時間保存部、 643…回数カウンタ、 MST…モータ起動時間、 SSR…定常回転領域、 TRR…目標回転数範囲、 Ta…異常発生判断時間、 Tp…異常可能性判断時間、 USR…回転数不安定領域。