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特開2024-172245接合レンズ、撮像レンズ、及び撮像装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172245
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】接合レンズ、撮像レンズ、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20241205BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G02B3/00 Z
G02B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089830
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 忠史
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AB02
2H044AB10
2H044AB21
(57)【要約】
【課題】接合レンズの接合レンズ面とフランジ面との境界部分における凸部の凸量また凹部の凹量を小さくする。
【解決手段】物体側レンズと像側レンズとが接合された接合レンズであって、前記物体側レンズは、前記像側レンズと接合する側において、凹状の第1レンズ面、第1フランジ面、及び前記第1レンズ面と前記第1フランジ面との第1境界部を備え、前記像側レンズは、前記物体側レンズと接合する側において、凸状の第2レンズ面、第2フランジ面、及び前記第2レンズ面と前記第2フランジ面との第2境界部を備え、前記第1境界部の光軸を含む断面は、前記複数の円弧形状を備え、前記第1境界部の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合の頂部の位置を仮想位置とした場合、前記複数の円弧形状において、前記断面の現実の頂部の位置と前記第1フランジ面との光軸方向の距離は、前記仮想位置と前記第1フランジ面との光軸方向の距離よりも短い。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側レンズと像側レンズとが接着剤層により接合された接合レンズであって、
前記物体側レンズは、前記像側レンズと接合する側において、凸状及び凹状のいずれか一方の第1レンズ面、前記第1レンズ面の外周縁に設けられる第1フランジ面、及び前記第1レンズ面と前記第1フランジ面との第1境界部を備え、
前記像側レンズは、前記物体側レンズと接合する側において、凸状及び凹状のいずれか他方の第2レンズ面、前記第2レンズ面の外周縁に設けられる第2フランジ面、及び前記第2レンズ面と前記第2フランジ面との第2境界部を備え、
前記第1境界部の光軸を含む断面は、複数の円弧形状を備え、
前記第1境界部の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合の頂部の位置を仮想位置とした場合、前記複数の円弧形状において、前記断面の現実の頂部の位置と前記第1フランジ面との光軸方向の距離は、前記仮想位置と前記第1フランジ面との光軸方向の距離よりも短い、
接合レンズ。
【請求項2】
各前記円弧形状の端と隣接する円弧形状の端とが接続される、請求項1に記載の接合レンズ。
【請求項3】
前記複数の円弧形状は、前記第1レンズ面に接続される一端と他端とを備える第1の半径の第1の円弧形状と、一端が前記他端に接続される前記第1の半径よりも長い第2の半径の第2の円弧形状と、を備え、
前記第1の円弧形状の最も前記2の境界部に近い位置が前記断面の現実の頂部の位置である、
請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
【請求項4】
前記第1境界部及び前記第2境界部の少なくとも一方に凹部が設けられる、請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
【請求項5】
前記物体側レンズ及び前記像側レンズの一方に接着剤が配置され且つ他方が前記一方に重ねられて流出した当該接着剤を貯留する貯留部が、前記一方のレンズのフランジ面の径方向外側に、設けられる、請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
【請求項6】
前記像側レンズの前記物体側レンズと反対側には、撮像部が配置され、
前記第1境界部の前記断面は、前記撮像部の撮影領域の最も径方向外側の位置を含む、
請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
【請求項7】
前記像側レンズの前記物体側レンズと反対側には、撮像部が配置され、
前記第1境界部の前記断面は、前記撮像部からの光の前記第1境界部の前記断面での反射光が前記撮像部以外の領域に進むように、向きが定められる、請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
【請求項8】
前記物体側レンズの屈折率をn1、前記像側レンズの屈折率をn2、前記接着剤層の屈折率をn3とすると、n1、n2、及びn3は、以下の式を満たす、請求項6又は請求項7に記載の接合レンズ。
|n2-n3|<|n1-n3|
【請求項9】
前記第1レンズ面及び前記第2レンズ面の内、レンズ面が凸状のレンズの光軸方向における中心厚をT2、当該レンズの光軸方向における最も薄い部分の長さをCとすると、T2及びCは、以下の式を満たす、請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
2.0<T2/C<3.2
【請求項10】
前記第1レンズ面及び前記第2レンズ面の内、レンズ面が凸状のレンズの当該凸状のレンズ面の頂部と当該レンズのフランジ面との間の光軸方向の距離をT21、当該レンズの光軸方向における最も薄い部分の長さをCとすると、T21及びCは、以下の式を満たす、請求項1又は請求項2に記載の接合レンズ。
T21/C<1.5
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の接合レンズを備える撮像レンズ。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像レンズを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、接合レンズ、撮像レンズ、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズと組み合わせて使用される撮像素子は、高画素化が進み、大型となる。このように撮像素子が大型化されても、撮像レンズは、良好な光学性能を確保しながら、大型化が抑制されることが求められる。小型化を意識した撮像レンズとしては、例えば下記特許文献1に記載された撮像レンズが知られている。特許文献1に記載の撮像レンズに備えられる接合レンズは、接合レンズ面とフランジ面との境界部分に凸部又は凹部を備える。これは、境界部分の面と撮像素子の物体側に配置されたカバーとの間で光が反射することによるゴーストの発生を抑制させるためである。具体的には、凸部の光軸に沿った断面を1つの半径の円弧形状にし、撮像素子のカバーで反射し境界部分に向かった光が、撮像素子に向かわないように、境界部分の面で、撮像素子以外の領域に進むように反射させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-97019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
境界部分における凸部の凸量は、凸部の上記断面の円弧形状を定める1つの半径の長さにより、定まる。
【0005】
本開示の技術は、上記事情に鑑みなされたもので、接合レンズのレンズ面とフランジ面との境界部分における凸部の凸量または凹部の凹量を小さくすることができる接合レンズ、撮像レンズ、及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため本開示の技術の第1の態様は、物体側レンズと像側レンズとが接着剤層により接合された接合レンズであって、前記物体側レンズは、前記像側レンズと接合する側において、凸状及び凹状のいずれか一方の第1レンズ面、前記第1レンズ面の外周縁に設けられる第1フランジ面、及び前記第1レンズ面と前記第1フランジ面との第1境界部を備え、前記像側レンズは、前記物体側レンズと接合する側において、凸状及び凹状のいずれか他方の第2レンズ面、前記第2レンズ面の外周縁に設けられる第2フランジ面、及び前記第2レンズ面と前記第2フランジ面との第2境界部を備え、前記第1境界部の光軸を含む断面は、前記複数の円弧形状を備え、前記第1境界部の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合の頂部の位置を仮想位置とした場合、前記複数の円弧形状において、前記断面の現実の頂部の位置と前記第1フランジ面との光軸方向の距離は、前記仮想位置と前記第1フランジ面との光軸方向の距離よりも短い。
【0007】
本開示の技術の第2の態様の撮像レンズは、第1の態様に記載の接合レンズを備える。
【0008】
本開示の技術の第3の態様の撮像装置は、第2の態様に記載の撮像レンズを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術は、接合レンズの接合レンズ面とフランジ面との境界部分における凸部の凸量また凹部の凹量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1のレンズユニットの外観斜視図である。
図2】レンズユニットの断面図である。
図3】レンズユニットの分解斜視図である。
図4】物体側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。
図5】像側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。
図6】物体側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。
図7】像側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。
図8】ホルダ、レンズL5、およびレンズL6の斜視図である。
図9】第1鏡筒の断面図である。
図10】第2鏡筒を物体側から見た場合の斜視図である。
図11】第2鏡筒の断面図である。
図12】レンズL6の拡大断面図である。
図13】レンズL6の端部の拡大断面図である。
図14】レンズL6の物体側レンズの第1境界部の光軸に沿った断面の形状を示す図である。
図15】物体側レンズの第1境界部及び第1フランジ面と、像側レンズの第2境界部及び第2フランジ面との拡大端面斜視図である。
図16】像側レンズの第2境界部及び第2フランジ面との拡大端面斜視図である。
図17A】実施形態1の第1境界部の凸部の凸量が従来技術の第1境界部の凸部の凸量より小さいことを説明する説明図である。
図17B】像側レンズの中央から端部にかけての拡大断面図である。
図18】物体側レンズと像側レンズとの調芯方法の説明図である。
図19】物体側レンズと像側レンズとの調芯方法の別の例の説明図である。
図20】実施形態2のレンズL6の拡大断面図である。
図21】実施形態2のレンズL6の端部の拡大断面図である。
図22】実施形態2の第1境界部の凸部の光軸に沿った断面の領域が像側開口部の縁よりも径方向外側まで形成されていることを示す図である。
図23】実施形態3のレンズL6の拡大断面図である。
図24】実施形態3のレンズL6の端部の拡大断面図である。
図25】実施形態3のレンズL6の物体側レンズの第1境界部の光軸に沿った断面の形状を示す図である。
図26】変形例1の第1境界部及び第2境界部の拡大断面図である。
図27】変形例2のレンズL6の拡大断面図である。
図28】撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の技術のレンズユニットの実施形態について説明する。
(光学系)
図1は、本発明を適用したレンズユニットの外観斜視図である。図2は、レンズユニットの断面図である。図3は、レンズユニットの分解斜視図である。図4は、物体側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。図5は、像側から見た場合のレンズL3およびレンズL4の分解斜視図である。図6は、物体側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。図7は、像側から見た場合のレンズL5およびレンズL6の分解斜視図である。図8は、ホルダ、レンズL5、およびレンズL6の斜視図である。なお、図2では、2本の二点鎖線の間の領域(光軸周辺)の各レンズの形状を省略して示す。
【0012】
図1に示す本例のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。図2に示すように、レンズユニット1は、物体側から像側に向かって、レンズL1、レンズL2、レンズL3、レンズL4、レンズL5、およびレンズL6をこの順に備える。レンズL6は、接合レンズであり、物体側から像側に向かって、物体側レンズL61と像側レンズL62とをこの順に備える。また、レンズユニット1は、鏡筒2として、第1鏡筒3と、第1鏡筒3の内周側に保持された第2鏡筒4と、を備える。レンズL1は第1鏡筒3に収容される。レンズL2からレンズL6は、第2鏡筒4に収容される。第2鏡筒4は、第1鏡筒3の内周側に保持される。
【0013】
図3に示すように、レンズL1と第1鏡筒3とは、第1ユニット50を構成する。レンズL2からレンズL6と第2鏡筒4とは、第2ユニット60を構成する。以下では、レンズL1の光軸Lに沿った方向を光軸方向Xとする。レンズL1の光軸Lは、レンズユニット1の光軸Lである。光軸方向Xにおける物体側X1は、レンズL1が位置する側であり、像側X2は、レンズL6が位置する側である。
【0014】
図2に示すように、レンズL1は、レンズL2からレンズL6よりも外径寸法が大きい。本例において、レンズL1は、ガラス製である。レンズL1は、物体側X1に凸形状を備えるメニスカスレンズである。レンズL1は、像側X2のレンズ面の外周側に、光軸Lと直交する方向に広がる環状の端面11を備える。レンズL1の端面11の像側X2には、第1Oリング7が配置されている。
【0015】
レンズL2は、樹脂製である。レンズL2は、レンズ面を備えるレンズ本体部13と、レンズ本体部13を囲むフランジ部14とを備える。レンズL2は、物体側X1に凸形状を備えるメニスカスレンズである。フランジ部14の物体側X1の端面には、物体側X1に突出する環状突部15が設けられている。環状突部15の先端は、レンズL1の端面に面接触する環状接触部15aである。
【0016】
図2図4図5に示すように、レンズL3は、樹脂製である。レンズL3は、レンズ面を備えるレンズ本体部16と、レンズ本体部16を囲むフランジ部17とを備える。レンズL3は、像側X2に凸形状を備えるメニスカスレンズである。図5に示すように、フランジ部17の像側X2の端面には、像側X2に突出する環状の嵌合部18が設けられている。嵌合部18は、光軸Lを囲み、像側X2に向かって内周側に傾斜する嵌合部テーパー面18aと、嵌合部テーパー面18aの像側X2の端から内周側に向かって光軸Lと垂直に延びる嵌合部端面18bと、を備える。
【0017】
ここで、図2に示すように、光軸方向XにおけるレンズL2とレンズL3との間には、弾性部材が配置されている。弾性部材は、第2Oリング8である。第2Oリング8は、レンズL2のフランジ部14とレンズL3のフランジ部17との間で、光軸方向Xに圧縮されている。本例では、光軸方向XにおけるレンズL2とレンズL3との間に、樹脂製の遮光シート9が配置されている。遮光シート9は円環状である。第2Oリング8は、遮光シート9とレンズL3との間に位置する。
【0018】
レンズL4は、樹脂製である。図2図4図5に示すように、レンズL4は、レンズ面を備えるレンズ本体部20と、レンズ本体部20を囲むフランジ部21とを備える。レンズL4のレンズ本体部20における物体側X1のレンズ面は、物体側X1に突出する湾曲面である。レンズ本体部20における像側X2のレンズ面は、中央に、像側X2に突出する湾曲面部分を備える。
【0019】
図4に示すように、フランジ部21の物体側X1の端面には、レンズL3の嵌合部18が嵌合する被嵌合部22が設けられている。被嵌合部22は、光軸Lを囲み、像側X2に向かって内周側に傾斜する被嵌合部テーパー面22aと、被嵌合部テーパー面22aの像側X2の端から内周側に向かって光軸Lと垂直に延びる被嵌合部端面22bと、を備える。図2に示すように、レンズL3の嵌合部テーパー面18aとレンズL4の被嵌合部テーパー面22aとは面接触する。レンズL3の嵌合部端面18bとレンズL4の被嵌合部端面22bとは光軸方向Xで離間する。本例では、レンズL3のフランジ部17における嵌合部18の外周側部分の像側X2の端面と、レンズL4のフランジ部21における被嵌合部22の外周側部分の物体側X1の端面とは、光軸方向Xで接触する。これにより、レンズL3はレンズL4に載置された状態となり、レンズL3は光軸方向Xで位置決めされる。
【0020】
レンズL5は、ガラス製である。図2に示すように、レンズL5は、レンズL2、レンズL3、レンズL4、およびレンズL6よりも外径寸法が小さい。レンズL5は、レンズ面を備えるレンズ本体部24と、レンズ本体部24を囲むフランジ部25とを備える。レンズL5は、両凸レンズである。図2図7に示すように、フランジ部25の像側X2は、レンズL6に物体側X1から接触する接触部26である。接触部26を光軸Lに沿って切断した断面は、外周側に向かって物体側X1に湾曲する円弧である。図7に示すように、接触部26の像側X2の面は、レンズ本体部24における像側X2のレンズ面24aの外周端に段差なく連続する。
【0021】
図2に示すように、レンズL5の径方向外側には、樹脂製のホルダ28が配置されている。図8に示すように、ホルダ28は、環状である。ホルダ28は、径方向でレンズL5と隙間28aを開けて隣り合う中央部29と、中央部29の外周側で中央部29よりも光軸方向Xで厚い外周部30とを備える。中央部29の物体側X1の面は、外周部30から内周側に向かって像側X2に傾斜する。中央部29および外周部30の周方向の3か所には、物体側X1および内周側から切り欠かれた切欠き部31が設けられている。切欠き部31の底面(物体側X1を向く面)は、中央部29の内周側の端縁に連続する。
【0022】
ここで、レンズL4とレンズL5との間には、絞り33が配置されている。絞り33は、円環状のシートであり、レンズL4とホルダ28との間に挟まれて、光軸方向Xの所定に位置に支持されている。
【0023】
レンズL6は、樹脂製である。すなわち、物体側レンズL61および像側レンズL62は、いずれも樹脂製である。図2に示すように、物体側レンズL61は、レンズ面を備えるレンズ本体部35と、レンズ本体部35を囲むフランジ部36とを備える。物体側レンズL61の物体側X1のレンズ面は、像側X2に湾曲する湾曲面であり、像側X2のレンズ面は、物体側X1に窪む湾曲面である。
【0024】
図6に示すように、物体側レンズL61のフランジ部36は、物体側X1に、レンズL5の接触部26が接触する被接触部37を備える。被接触部37は、外周側に向かって物体側X1に延びるテーパー面である。接触部26と被接触部37とは、線接触する。接触部26と被接触部37とが接触する接触線Mは、光軸Lと同軸の円環状であり、光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置する(後述する図12参照)。また、物体側レンズL61のフランジ部36は、像側X2に、光軸Lと垂直な環状端面38を備える。
【0025】
像側レンズL62は、レンズ面を備えるレンズ本体部40と、レンズ本体部40を囲むフランジ部41とを備える。像側レンズL62の物体側X1のレンズ面は、物体側X1に突出する湾曲面であり、像側X2のレンズ面は、像側X2に突出する湾曲面である。像側レンズL62は、物体側レンズL61に固定されている。像側レンズL62の外径寸法は、物体側レンズL61の外径寸法よりも小さい。従って、図7に示すように、像側X2から見た場合に、物体側レンズL61のフランジ部36は、像側レンズL62から外周側に張り出す部分を備える。
【0026】
ここで、図2に示すように、レンズL5は、レンズL6に積み重ねられている。また、レンズL4は、ホルダ28を介してレンズL6に積み重ねられている。レンズL4、ホルダ28、レンズL5、およびレンズL6は、積層体44を構成する。レンズL3は、レンズL4に積み重ねられている。すなわち、レンズL3は、積層体44に積み重ねられている。また、レンズL6の像側X2には、板状のカバー10が配置されている。
(鏡筒)
図2図3に示すように、レンズユニット1は、鏡筒2として、第1鏡筒3と、第1鏡筒3の内周側に保持された第2鏡筒4と、を備える。第1鏡筒3および第2鏡筒4は、いずれも樹脂製である。また、第1鏡筒3および第2鏡筒4は、金型内に樹脂を射出して成形した樹脂射出成型品である。レンズL1は第1鏡筒3に収容される。レンズL2からレンズL6、およびホルダ28は、第2鏡筒4に収容される。第2鏡筒4は、第1鏡筒3の内周側に保持される。
(第1鏡筒およびレンズL1)
図9は、第1鏡筒3の断面図である。第1鏡筒3は、円筒形状であり、レンズL2、レンズL3、レンズL4、ホルダ28、レンズL5、レンズL6、および第2鏡筒4の外周側に位置する。図3図9に示すように、第1鏡筒3は、内周面の物体側X1の端部分に物体側段部101を備え、像側X2の端部分に像側段部102を備える。また、第1鏡筒3は、内周面の光軸方向Xにおける物体側段部101と像側段部102との間に、中間段部103を備える。
【0027】
物体側段部101は、物体側X1を向く支持面105と、支持面105の内周側の端から像側X2に延びて径方向内側を向く環状壁面106と、支持面105の外周側の端から物体側X1に延びる周壁面107と、を備える。第1鏡筒3において、物体側段部101の物体側X1は、レンズL1の外周縁部分を収容する収容部108である。なお、第2鏡筒4は、環状壁面106の内周側に配置される。
【0028】
収容部108は、周壁面107と、支持面105と、カシメ部109と、を備える。図2に示すように、周壁面107は、レンズL1に径方向外側から対向する。支持面105は、レンズL1の端面11に像側X2から対向する。カシメ部109は、レンズL1の光軸Lに沿った光軸方向Xから見た場合に支持面105と重なる位置で、レンズL1に物体側X1から当接する。カシメ部109は、第1鏡筒3の物体側X1の端部を内周側に向かって折り曲げる熱カシメなどにより設けられた塑性変形部である。ここで、レンズL1の外周縁部分は、支持面105とカシメ部109との間に配置される。第1Oリング7は、レンズL1の像側X2の端面と支持面105との間に配置され、光軸方向Xに圧縮されている。
【0029】
図3に示すように、環状壁面106には、周方向の複数個所に径方向内側に突出する物体側突起110が設けられている。本例では、物体側突起110は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。物体側突起110は、第2鏡筒4を径方向で位置決めするための物体側位置決め部である。
【0030】
図3図10に示すように、像側段部102は、物体側X1を向く環状の像側端面112と、像側端面112の内周側の端から像側X2に延びて第1鏡筒3の像側X2の端に達する環状の像側内壁面113と、を備える。像側端面112には、物体側X1に突出して周方向に円弧形状に延びる複数のリブ114が設けられている。本例では、リブ114は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。リブ114は、第2鏡筒4を光軸方向Xで位置決めするための像側位置決め部である。
【0031】
中間段部103は、物体側X1を向く環状の段部端面116と、段部端面116の内周側の端から像側X2に延びる環状の段部壁面117と、を備える。本例では、中間段部103は、周方向の複数個所に、光軸方向Xに延びて段部端面116および段部壁面117を周方向に分断する切欠き溝118が設けられている。本例では、切欠き溝118は、周方向の3か所に等角度間隔で設けられている。従って、中間段部103は、切欠き溝118により周方向で3つに分断されている。切欠き溝118の底面(内周側を向く面)は、テーパー面であり、像側X2に向かって内径寸法が小さくなる。図2に示すように、切欠き溝118の底面は、第1鏡筒3の内周面において像側段部102の像側端面112の外周側の端から物体側X1に延びる内周面部分に連続する。
【0032】
ここで、図3に示すように、切欠き溝118は、像側段部102のリブ114と同一の角度位置に設けられている。また、切欠き溝118は、物体側段部101の物体側突起110と同一の角度位置に設けられている。なお、第1鏡筒3と第1鏡筒3の内周側に配置された第2鏡筒4とを接続する際には、3つに分断された中間段部103のそれぞれの段部端面116に、接着剤が塗布される。これにより、段部端面116および段部壁面117に鏡筒接続用接着剤層51が設けられる。
(第2鏡筒およびレンズL2~レンズL6)
図10は、第2鏡筒4を物体側から見た場合の斜視図である。図11は、第2鏡筒4の断面図である。図11の鎖線で囲んだ領域は、嵌合突起210の周辺の部分拡大図である。第2鏡筒4は、レンズL2、レンズL3、レンズL4、レンズL5、ホルダ28、およびレンズL6を内周側に収容する。
【0033】
図10図11に示すように、第2鏡筒4は、内周面の物体側X1の端部分に物体側段部201を備える。また、第2鏡筒4は、像側X2の端部分に像側段部202を備える。さらに、第2鏡筒4は、物体側段部201と像側段部202との間であって、物体側段部201よりも像側段部202に近い位置に、位置決め段部203を備える。さらに、第2鏡筒4は、像側X2の端部分に、カバー10を保持するカバー保持部204を備える。
【0034】
図11に示すように、物体側段部201は、物体側X1を向く座面205と、座面205の内周側の端から像側X2に延びる環状壁面206と、座面205の外周側の端から物体側X1に延びる周壁面207と、を備える。環状壁面206は、物体側X1に向かって内径寸法が大きくなるテーパー面である。第2鏡筒4において、物体側段部201の物体側X1は、レンズL2の外周縁部分を収容する収容部208である。
【0035】
収容部208は、周壁面207と、座面205と、カシメ部209と、を備える。図2に示すように、周壁面207は、レンズL2に径方向外側から対向する。座面205は、レンズL2のフランジ部14の像側X2の端面に像側X2から対向する。カシメ部109は、光軸方向Xから見た場合に座面205と重なる位置でレンズL2に物体側X1から当接する。
【0036】
図10に示すように、周壁面207は、座面205から物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。周壁面207は、周方向で離間する複数個所に、レンズL2に圧着する嵌合突起210Aを備える。本例では、嵌合突起210Aは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Aは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Aは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Aは、圧着面210aが、収容部208に収容されるレンズL2に径方向外側から圧着して、レンズL2を径方向で位置決めする。
【0037】
図11に示すように、像側段部202は、物体側X1を向く環状の像側端面212と、像側端面212の内周側の端から像側X2に延びる像側内壁面213と、を備える。像側内壁面213は、像側X2に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。図2に示すように、像側端面212は、光軸方向Xで、レンズL6の像側レンズL62と隙間を開けて対向する。カバー保持部204は、像側内壁面213の外周側に設けられている。
【0038】
図10図11に示すように、位置決め段部203は、物体側X1を向く環状の位置決め面215と、位置決め面215の内周側の端から像側X2に延びる位置決め段部周壁面216と、を備える。位置決め面215には、物体側X1に突出して周方向に円弧形状に延びる複数の位置決めリブ217が設けられている。本例では、位置決めリブ217は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。位置決め段部周壁面216の下端は、像側端面212の像側端面212に達する。位置決め段部周壁面216は、径方向で、レンズL6の像側レンズL62と隙間を開けて対向する。
【0039】
図2に示すように、位置決めリブ217は、レンズL6の物体側レンズL61のフランジ部36に像側X2から当接して、レンズL6を光軸方向Xで位置決めする位置決め部である。ここで、レンズL6の物体側レンズL61のフランジ部36が位置決め部に当接することにより、レンズL4、ホルダ28、レンズL5、およびレンズL6からなる積層体44およびレンズL3は、光軸方向Xで位置決めされる。
【0040】
より詳細には、ホルダ28は、レンズL6により像側X2から支持されることにより、光軸方向Xの所定の位置に位置決めされる。レンズL4は、ホルダ28により像側X2から支持されることにより、光軸方向Xの所定の位置に位置決めされる。レンズL5は、レンズL6に接触することにより、光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。レンズL3は、レンズL4に嵌合することにより、光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。ここで、レンズL5が光軸方向Xおよび径方向で位置決めされたときに、レンズL5とホルダ28とは接触しない。レンズL3とレンズL4が光軸方向Xおよび径方向で位置決めされたときに、レンズL3と第2鏡筒4とは接触しない。レンズL3、レンズL4、ホルダ28、レンズL5は、光軸方向Xで、物体側段部201と位置決め段部203との間に位置する。
【0041】
図10図11に示すように、第2鏡筒4の内周面において、レンズL6の物体側レンズL61の径方向外側に位置する内周面部分4aは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。内周面部分4aは、周方向で離間する複数個所に、レンズL6に圧着する嵌合突起210Bを備える。嵌合突起210Bは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Bは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Bは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Bは、圧着面210aが、第2鏡筒4に収容されるレンズL6に径方向外側から圧着して、レンズL6を径方向で位置決めする。
【0042】
また、第2鏡筒4の内周面において、ホルダ28の径方向外側に位置する内周面部分4bは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。内周面部分4bは、周方向で離間する複数個所に、レンズL6に圧着する嵌合突起210Cを備える。嵌合突起210Cは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Cは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Cは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Cは、圧着面210aが、第2鏡筒4に収容されるホルダ28に径方向外側から圧着して、ホルダ28を径方向で位置決めする。
【0043】
さらに、第2鏡筒4の内周面において、レンズL4の径方向外側に位置する内周面部分4cは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。内周面部分4cは、周方向で離間する複数個所に、レンズL4に圧着する嵌合突起210Dを備える。嵌合突起210Dは、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。嵌合突起210Dは、内周側の端に、光軸Lと平行な圧着面210aを備える。また、嵌合突起210Dは、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面210bを備える。複数の嵌合突起210Dは、圧着面210aが、第2鏡筒4に収容されるレンズL4に径方向外側から圧着して、レンズL4を径方向で位置決めする。
【0044】
また、第2鏡筒4の内周面において、レンズL3の径方向外側に位置する内周面部分4dは、物体側X1に向かって外周側に傾斜するテーパー面である。レンズL3の径方向外側に位置する内周面部分4dは、物体側段部201の環状壁面206の像側X2に段差なく連続する。内周面部分4dは、周方向で離間する複数個所に、レンズL3を光軸方向Xに案内するガイド突起220を備える。ガイド突起220は、周方向の6か所に、等角度間隔で設けられている。ガイド突起220は、内周側の端に、光軸Lと平行な案内面220aを備える。また、ガイド突起220は、圧着面210aから物体側X1に向かって外周側に湾曲する湾曲面220bを備える。レンズL3がレンズL4に嵌合したときに、複数のガイド突起220はレンズL3の径方向外側に位置するが、複数のガイド突起220とレンズL3とは接触しない。各ガイド突起220の案内面220aとレンズL3とは、径方向で僅かな隙間を開けて対向する。
【0045】
ここで、第2Oリング8は、複数のガイド突起220の物体側X1であって、物体側段部201の環状壁面206の径方向内側に配置される。図2に示すように、第2Oリング8は、収容部208に収容されたレンズL2と、レンズL3との間で、光軸方向Xに圧縮されている。
【0046】
図11に示すように、レンズL6の径方向外側に位置するテーパーの内周面部分4aが光軸Lに対して傾斜する第1傾斜角度θ1と、レンズL4の径方向外側に位置するテーパーの内周面部分4cが光軸Lに対して傾斜する第2傾斜角度θ2と、は相違する。すなわち、各レンズおよびホルダ28の径方向外側に位置する内周面部分4a~4dの傾斜は、各レンズまたはホルダ28の外径寸法に合わせて適宜に設定できる。なお、第2鏡筒4の内周面において、物体側段部201と位置決め段部203との間に位置する内周面部分4aは、全体として、物体側X1に向かって外周側に傾斜している。
【0047】
次に、第2鏡筒4は、外周面の物体側X1の端部分に環状の外周面側位置決め面223を備える。外周面側位置決め面223は、収容部208の径方向外側に位置する。外周面側位置決め面223は、径方向外側を向く。また、第2鏡筒4は、外周面の像側X2部分に、外周面像側段部224を備える。外周面像側段部224は、像側X2を向く環状面225および環状面225の外周端から物体側X1に延びる外周面部分226を備える。さらに、第2鏡筒4は、外周面における物体側X1の端部分(外周面側位置決め面223)と外周面像側段部224との間に、外周面中間段部227を備える。外周面中間段部227は、像側X2を向く環状面228および環状面228の内周側の端から像側X2に延びる外周面部分229を有する。
【0048】
(レンズ6の構成)
次に、レンズ6の構成を詳細に説明する。図12は、レンズL6の拡大断面図である。
図13は、レンズL6の端部の拡大断面図である。図14は、レンズL6の物体側レンズL61の第1境界部356の光軸に沿った断面の形状を示す図である。図15は、物体側レンズL61の第1境界部356及び第1フランジ面36sと、像側レンズL62の第2境界部401及び第2フランジ面41sとの拡大端面斜視図である。図16は、像側レンズL62の第2境界部401及び第2フランジ面41sとの拡大端面斜視図である。図17Aは、実施形態1の第1境界部356の凸部の凸量が従来技術の第1境界部356の凸部の凸量より小さいことを説明する説明図である。図17Bは、像側レンズL62の中央から端部にかけての拡大断面図である。
【0049】
図12及び図13に示すように、レンズL6は、物体側レンズL61と像側レンズL62とが接着剤層により接合された接合レンズである。上記のように、物体側レンズL61は、レンズ面を備えるレンズ本体部35と、レンズ本体部35を囲むフランジ部36とを備え、像側レンズL62は、レンズ面を備えるレンズ本体部40と、レンズ本体部40を囲むフランジ部41とを備える。
【0050】
物体側レンズL61は、像側レンズL62と接合する側において、凸状及び凹状のいずれか一方の第1レンズ面35s、第1レンズ面35sの外周縁に設けられる第1フランジ面36s、及び第1レンズ面35sと第1フランジ面36sとの第1境界部356を備える。
【0051】
像側レンズL62は、物体側レンズL61と接合する側において、凸状及び凹状のいずれか他方の第2レンズ面40s、第2レンズ面40sの外周縁に設けられる第2フランジ面41s、及び第2レンズ面40sと第2フランジ面41sとの第2境界部401を備える。
【0052】
実施形態1では、物体側レンズL61の第1レンズ面35sは、物体側X1に向かって窪む凹状のレンズ面であり、像側レンズL62の第2レンズ面40sは、物体側X1に向かって突出する凸状のレンズ面である。
【0053】
図12から図17Aに示すように、第1境界部356及び第2境界部401の少なくとも一方、実施形態1では第2境界部401に、凹部43が設けられる。上記のように、物体側レンズL61および像側レンズL62は樹脂製である。物体側レンズL61および像側レンズL62の各々は、射出成型により金型内に樹脂を流し込むことにより製造される。金型は複数の入れ子によって構成されており、入れ子と入れ子の境界部分に微細なバリが生じる場合がある。実施形態1では、凹部43付近に入れ子と入れ子の境界部分が配置される。バリが生じると、物体側レンズL61と像側レンズL62とを接着するための接着剤が径方向外側に流出しにくくなる。そこで、実施形態1では、フランジ面41sよりも一段低い凹部43を設け、接着剤の上記流出を円滑にさせる。
【0054】
図12から図15、及び図17Aに示すように、第1境界部356の面356s(凸部)は、像側X2に向かって凸状であり、第2境界部401の面401s(凹部)は、像側X2に向かって凹状である。第1境界部356の光軸を含む断面は、複数、実施形態1では、2つの円弧形状(37a、37b)を備える。複数の円弧形状37a、37bは互いに、端で接続される。図14に示すように、2つの円弧形状は、第1レンズ面35sに接続される一端と他端とを備える第1円弧形状37aと、一端が第1円弧形状37aの他端に接続される第2円弧形状37bと、を備える。第2円弧形状37bの他端は、凹部43の径方向内側の端H1から所定距離M1、径方向外側の位置H2の光軸方向の像側X2の位置Iに位置する。第1円弧形状37aは、第1半径R1で定まる。第2円弧形状37bは、第2半径R2で定まる。第2半径R2は、第1半径R1よりも長い(R2>R1)。第1円弧形状37aの曲率中心C1と、第2円弧形状37bの曲率中心C2とは、第1境界部356に位置する。なお、円弧とは、円周上の二点によって区切られた円周の部分である。
【0055】
図17Aに示すように、第1境界部356の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合の頂部の位置を仮想位置VPとする。一方、実施形態1において、複数の円弧形状37a、37bにおいて、第1境界部356の光軸を含む断面の現実の頂部の位置、具体的には、第1円弧形状37aの最も第2境界部401に近い位置を、位置Pとする。実施形態1では、位置Pと第1フランジ面36sとの光軸方向の距離PLは、仮想位置VPと第1フランジ面36sとの光軸方向の距離VLよりも短い。第1境界部356における凸部の凸量を、第1境界部356の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合より、小さくすることができる。よって、物体側レンズL61の偏肉率(光軸方向の長さにおいて最も長い部分の長さと最も短い部分の差さとの比率)を向上させることができる。
【0056】
物体側レンズL61と像側レンズL62とが接着剤層により接合される。物体側レンズL61と像側レンズL62とは一定の長さ離間する。第1境界部356の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合、像側レンズL62は、当該円弧形状の頂部の位置(仮想位置)VPから、一定の長さ離間する。第1境界部356における凸部の凸量を、第1境界部356の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合より、小さくすることができると、第2境界部401を、より第1境界部356側に位置させることができる。よって、像側レンズL62の偏肉率を向上させることができる。
【0057】
図17Bに示すように、第1レンズ面35s及び第2レンズ面40sの内、レンズ面が凸状の像側レンズL62の光軸方向における中心厚をT2、像側レンズL62の光軸方向における最も薄い部分の長さをCとすると、T2及びCは、以下の式(1)を満たす。
【0058】
2.0<T2/C<3.2 (1)
上記式(1)に示すように、下限以上であるため、像側レンズL62の第2レンズ面40s(凸レンズ面)を大きく突出させることができる。従って、色収差等の収差を効果的に低減することができる。
【0059】
上記式(1)に示すように、上限未満であるため、像側レンズL62を成形する際、像側レンズL62のフランジ部41の側面に生じたゲート痕から像側レンズL62の第2レンズ面40sの頂部までの光軸方向の距離が制限される。従って、第2レンズ面40s(凸レンズ面)の頂部まで樹脂成形時の射出圧が適正に伝達されるので、ヒケ等に起因する成形精度を低下させてしまうことを防げる。なお、ゲートは、金型における成型部分(レンズ)に樹脂を流入するための入り口部分を指す。ゲートは切断されるが痕が残る。
【0060】
また、像側レンズL62の凸状の第2レンズ面40sの頂部と像側レンズL62の第2フランジ面41sとの間の光軸方向の距離をT21とすると、T21及びCは、以下の式(2)を満たす。
【0061】
T21/C<1.5 (2)
図12図13、及び図15に示すように、物体側レンズL61及び像側レンズL62の一方に接着剤が配置され且つ他方が一方に重ねられて流出した当該接着剤を貯留する貯留部45が、一方のレンズのフランジ面の径方向外側に、設けられる。実施形態1では、第1フランジ面36sの径方向外側に貯留部45設けられる。具体的には、物体側レンズL61を、第1レンズ面35sが上側を向くように、位置させた状態で、当該第1レンズ面35sに一定量の接着剤を乗せる。この状態で、像側レンズL62を、像側レンズL62の第2レンズ面40sが、物体側レンズL61の第1レンズ面35sに接合するように配置する。これにより、接着剤は、物体側レンズL61の第1レンズ面35sに沿って上昇し、第1境界部356と第2境界部401との間、及び、第1フランジ面36sと第2フランジ面41sとの間を、流出する。上記のように物体側レンズL61を、第1レンズ面35sが上側を向くように、位置しているので、第1フランジ面36sと第2フランジ面41sとの間を流出した接着剤は更に、第1フランジ面36sの径方向外側に設けられる貯留部45まで流出し、貯留部45に貯留される。
【0062】
(レンズユニットの組み立て)
図18は、レンズL6とレンズL5との調芯方法の説明図である。レンズユニット1を組み立てる際には、まず、第2鏡筒4にレンズL2からレンズL6を収容する第2ユニット組み立て動作を行う。次に、第2鏡筒4を第1鏡筒3に保持させて固定する鏡筒固定動作を行う。その後、第1鏡筒3にレンズL1を収容する第1ユニット組立動作を行う。
【0063】
第2ユニット組み立て動作では、図18に示すように、まず、第2鏡筒4の外で、レンズL6にレンズL5を積み上げて、レンズL5の接触部26とレンズL6の被接触部37とを、線接触させる(ステップST1)。しかる後に、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまで、レンズL6を振動させる(ステップST2)。ここで、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置すると、レンズL5とレンズL6とは調芯される。すなわち、レンズL5とレンズL6とは光軸方向Xおよび径方向で相対的に位置決めされる。
【0064】
調芯が完了した後には、接触線Mの外周側でレンズL1とレンズL2との間に接着剤を塗布する。また、この接着剤を硬化させる。これにより、レンズL6とレンズL5とは、これらの間に形成される接着剤層52により、固定される(ステップST3)。
【0065】
次に、互いに固定されたレンズL5とレンズL6を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、図10から分かるように、レンズL6を、第2鏡筒4の内周面において最も像側X2に設けられた複数の嵌合突起210Bの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Bの圧着面210aが径方向外側からレンズL6(物体側レンズL61)に圧着して、レンズL6は、径方向で位置決めされる。また、レンズL6の物体側レンズL61のフランジ部36を、第2鏡筒4の位置決め段部203の位置決めリブ217に当接させる。これにより、レンズL6は、光軸方向Xで位置決めされる。レンズL6が光軸方向Xおよび径方向で位置決めされると、レンズL6に固定されたレンズL5も光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。
【0066】
その後、ホルダ28を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、ホルダ28を、第2鏡筒4の内周面において像側X2から2番目の複数の嵌合突起210Cの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Cの圧着面210aが径方向外側からホルダ28に圧着して、ホルダ28は径方向で位置決めされる。また、ホルダ28をレンズL6に物体側X1から当接させることにより、ホルダ28はレンズL6により像側X2から支持されて、光軸方向Xに位置決めされる。ここで、ホルダ28の内周面とレンズL5との間には隙間28aが形成される。従って、これらの隙間28aに接着剤を滴下し、ホルダ28とレンズL5とを接着剤層53(図8参照)を介して、固定する。本例では、ホルダ28の外周部30に設けられた切欠き部31に接着剤を塗布する。これにより、接着剤は、中央部29を伝わって、ホルダ28と内周面とレンズL5との隙間28aに達する。
【0067】
しかる後に、レンズL4を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、レンズL4を、第2鏡筒4の内周面において像側X2から3番目の複数の嵌合突起210Dの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Dの圧着面210aが径方向外側からレンズL4に圧着して、レンズL4は径方向で位置決めされる。また、レンズL4をホルダ28に物体側X1から当接させることにより、レンズL4はホルダ28により像側X2から支持されて、光軸方向Xに位置決めされる。ここで、第2鏡筒4の内部には、レンズL4、ホルダ28、レンズL5、およびレンズL6からなる積層体44が構成される。
【0068】
次に、レンズL3を物体側X1から第2鏡筒4に収容する。この際に、レンズL3を、複数のガイド突起220の内周側に挿入する。これにより、レンズL3は、所定の姿勢で光軸方向Xに案内され、レンズL3の嵌合部18はレンズL4の被嵌合部22に挿入される。また、ガイド突起220によりガイドされたレンズL3を物体側X1からレンズL4に押し込む。これにより、レンズL3の嵌合部18とレンズL4の被嵌合部22とを嵌合させる。レンズL3の嵌合部18とレンズL4の被嵌合部22とが嵌合した状態では、嵌合部18の嵌合部テーパー面18aと、被嵌合部22の被嵌合部テーパー面22aとは面接触する。これにより、レンズL3は、レンズL4に対して径方向で位置決めされた状態となる。また、レンズL3の嵌合部18とレンズL4の被嵌合部22とが嵌合した状態では、レンズL3のフランジ部17における嵌合部18の外周側部分と、レンズL4のフランジ部21における被嵌合部22の外周側部分とは、光軸方向Xで接触する。これにより、レンズL3は光軸方向Xで位置決めされた状態となる。
【0069】
その後、レンズL3のフランジ部17に物体側X1から第2Oリング8を載置する。次に、遮光シート9を支持面105に支持させる。また、レンズL2を、遮光シート9を介して、支持面105に支持させる。この際に、レンズL2を、第2鏡筒4の内周面において最も物体側X1に位置する嵌合突起210Aの内周側に圧入する。これにより、各嵌合突起210Aの圧着面210aが径方向外側からレンズL2に圧着して、レンズL2は径方向で位置決めされる。また、レンズL2を遮光シート9に物体側X1から当接させることにより、レンズL2は光軸方向Xに位置決めされる。
【0070】
しかる後に、第2鏡筒4の物体側X1の端部分に内周側に屈曲するカシメ部109を形成して、カシメ部109をレンズL2の外周縁部分に物体側X1から当接させる。本例では、熱カシメによりカシメ部109を形成する。これにより、第2ユニット組立動作は完了する。第2ユニット組立動作は完了した状態では、第2Oリング8は、レンズL2とレンズL3との間で、光軸方向Xに圧縮されている。
【0071】
次に、第2ユニット60を第1ユニット50に保持させる鏡筒固定動作を行う。鏡筒固定動作では、図3図9から分かるように、第1鏡筒3の内周面に設けられた3つの中間段部103のそれぞれの段部端面116に、接着剤を塗布する。しかる後に、第1鏡筒3の内周側に、物体側X1から、第2ユニット60を挿入する。そして、図11および図9から分かるように、第2鏡筒4の外周面の像側部分に設けた外周面像側段部224の環状面225を、第1鏡筒3の内周面に設けられた像側段部102のリブ114(像側位置決め部)に当接させる。また、第2鏡筒4の物体側X1の端部分に設けた環状の外周面側位置決め面223を、第1鏡筒3の物体側段部101の環状壁面106に設けた物体側突起110に当接させる。
【0072】
ここで、第1鏡筒3の内周面と第2鏡筒4の外周面とは、第2鏡筒4の像側段部102と第1鏡筒3の像側段部102との接触部分、および第2鏡筒4の環状の位置決め面215と第1鏡筒3の物体側段部101との接触部分を除き、隙間を開けて対向している。従って、第2鏡筒4は、2つの接触部分により、第1鏡筒3に対して、光軸方向Xおよび径方向で位置決めされる。
【0073】
また、第1鏡筒3の内周側に第2ユニット60を挿入すると、第1鏡筒3の内周面の中間段部103と、第2鏡筒4の外周面の外周面中間段部227とは、隙間を開けて対向する。すなわち、第1鏡筒3の中間段部103の段部端面116と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の環状面228とは、光軸方向Xで隙間を開けて対向する。また、第1鏡筒3の中間段部103の段部壁面117と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の外周面部分229とは、径方向で隙間を開けて対向する。ここで、第1鏡筒3の中間段部103の段部端面116に塗布した接着剤は、第1鏡筒3の内周側に第2ユニット60を挿入する際に、段部壁面117まで広がる。従って、図2に示すように、第1鏡筒3の中間段部103の段部端面116と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の環状面228との間には、鏡筒接続用接着剤層51が介在する。また、第1鏡筒3の中間段部103の段部壁面117と、第2鏡筒4の外周面中間段部227の外周面部分229との間には、鏡筒接続用接着剤層51が介在する。第1鏡筒3の中間段部103と、第2鏡筒4の外周面中間段部227とは、鏡筒接続用接着剤層51を介して第1鏡筒3と第2鏡筒4とを接続する接着固定部である。
【0074】
次に、第1ユニット組み立て動作では、第1鏡筒3の支持面105に第1Oリング7を載置する。その後、レンズL1を、第1Oリング7を介して、支持面105に支持させる。しかる後に、第1鏡筒3の物体側X1の端部分に内周側に屈曲するカシメ部109を形成する。これにより、カシメ部109をレンズL1の外周縁部分に物体側X1から当接させる。本例では、熱カシメによりカシメ部109を形成する。カシメ部109が形成されると、第1Oリング7は、レンズL1の像側X2の端面と第1鏡筒3の支持面105との間で光軸方向Xに圧縮される。
【0075】
ここで、レンズL1が第1鏡筒3に保持されると、レンズL1の像側X2の端面11には、第2鏡筒4に保持されたレンズL2のフランジ部14に設けた環状突部15が面接触した状態となる。
【0076】
また、図2に示すように、第1鏡筒3と第2鏡筒4との間には、第1鏡筒3の像側X2の端3aと第2鏡筒4の像側X2の端4eとの間から、第1鏡筒3の像側段部102において周方向で隣り合うリブ114の間、第1鏡筒3の中間段部103に設けられた切欠き溝118、および、第1鏡筒3の物体側段部101の環状壁面106において周方向で隣り合う物体側突起110の間を経由する空気路70が形成される。空気路70は、レンズL1と支持面105との間であって第1Oリング7よりも内周側の空間に連通する。
【0077】
図19は、レンズL6とレンズL5との調芯方法の別の例の説明図である。本例のレンズL6とレンズL5との調芯方法では、図13に示すように、レンズL5の接触部26とレンズL6の被接触部37とを線接触させた後に(ステップST11)、接触線Mの外周側でレンズL6とレンズL5との間に接着剤を塗布する(ステップST12)。その後、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線MがレンズL6の光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまでレンズL6を振動させ、しかる後に、接着剤を硬化させる(ステップST13)。このようにしても、レンズL6およびレンズL5の一方を振動させることにより、レンズL6とレンズL5とを相対移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。また、接着剤像により、レンズL6とレンズL5とを固定できる。
【0078】
なお、上記の例では、レンズL6を振動させて調芯を行っているが、レンズL5にレンズL6を積み上げて、レンズL5を振動させて調芯を行うこともできる。
【0079】
(効果)
実施形態1では、第1境界部356における凸部の凸量を、第1境界部356の光軸を含む断面が単一の半径の円弧形状の場合より、小さくすることができる。よって、物体側レンズL61の偏肉率を向上させることができる。第2境界部401を、より第1境界部356側に位置させることができる。よって、像側レンズL62の偏肉率を向上させることができる。
【0080】
(実施形態2)
次に、実施形態2を説明する。実施形態2の構成は、実施形態1と略同様であるので、同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0081】
図20は、実施形態2のレンズL6の拡大断面図である。図21は、実施形態2のレンズL6の端部の拡大断面図である。図22は、実施形態2の第1境界部356の凸部の光軸に沿った断面の領域が像側段部202の像側端面212の縁213Pよりも径方向外側まで形成されていることを示す図である。
【0082】
図20図22に示すように、実施形態2の第2円弧形状36b1は、実施形態の第2円弧形状36bよりも長い点で相違する。
【0083】
前述した実施形態1では、図14に示すように、第2円弧形状37bの他端は、凹部43の径方向内側の端H1から所定距離M1、径方向外側の位置H2の光軸方向の像側X2の位置Iに位置する。
【0084】
これに対し、実施形態2では、図22に示すように、第2円弧形状37b1の他端は、凹部43の径方向内側の端H1から所定距離M2(>M1)、径方向外側の位置H3の光軸方向の像側X2の位置I2に位置する。位置I2は、第2円弧形状37b1の他端が、図11にも示す像側段部202の像側端面212の縁213Pよりも径方向外側に位置するように定められる。換言すると、第1境界部356の断面は、後述する撮像部300(図28)の撮影領域の最も径方向外側の位置を含む。また、第1境界部356の断面は、撮像部300からの光の第1境界部356の断面での反射光が撮像部300以外の領域に進むように、向きが定められる。これにより、ゴーストの発生を抑制することができる。
【0085】
更に、実施形態2では、物体側レンズL61の屈折率をn1、像側レンズL62の屈折率をn2、接着剤層の屈折率をn3とすると、n1、n2、及びn3は、以下の式(3)を満たす。
|n2-n3|<|n1-n3| (3)
実施形態2は、屈折率n1は1.656、屈折率n2は1.486、屈折率n3は1.544であり、上記式を満たす。
【0086】
上記ゴーストは、接着剤の屈折率との差が大きいレンズ(物体側レンズL61)との面で発生しやすい。そこで、実施形態2では、像側レンズL62の屈折率に近い屈折率の接着剤を選定することで、像側レンズL62に形成された第2境界部401の面401sも鏡筒2の像側段部202の像側端面212の縁213Pよりも径方向外側まで位置させなくてもゴーストの発生を抑制する。
【0087】
したがって、像側端面212の縁213Pと対向する像側レンズL62の物体側X1部分を、第2フランジ面41s((光軸と直交する面)接着剤通路部分)とすることができるため、像側レンズL62の第2境界部401の面401sの径が大きくなりすぎない。このことから、面401sを深く窪ませることを抑制できる。
【0088】
(実施形態3)
次に、実施形態3を説明する。実施形態3の構成は、実施形態1と略同様であるので、同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0089】
図23は、実施形態3のレンズL6の拡大断面図である。図24は、実施形態3のレンズL6の端部の拡大断面図である。図25は、実施形態3のレンズL6の物体側レンズの第1境界部の光軸に沿った断面の形状を示す図である。
【0090】
前述した実施形態1では、図14に示すように、第1境界部356の光軸を含む断面は、2つの円弧形状(37a、37b)を備える。2つの円弧形状は、第1円弧形状37aと第2円弧形状37bとを備える。
【0091】
これに対し、実施形態3では、図25に示すように、第1境界部356の光軸を含む断面は、3つの円弧形状を備える点で相違する。3つの円弧形状は、第1レンズ面35sに接続される一端と他端とを備える第1円弧形状37aと、一端が第1円弧形状37aの他端に接続される第2円弧形状37bと、一端が第2円弧形状37bの他端に接続される第3円弧形状37cと、を備える。上記のように、第1円弧形状37aは第1半径R1で定まり、第2円弧形状37bは第2半径R2で定まる。第3円弧形状37cは、第3半径R3で定まる。第1円弧形状37aの曲率中心C1、第2円弧形状37bの曲率中心C2、及び第3円弧形状37cの曲率中心C3は、第1境界部356に位置する。
【0092】
実施形態3も実施形態2と同様に、第3円弧形状37cの他端は、図11にも示す像側段部202の像側端面212の縁213Pよりも径方向外側に位置する。実施形態3も実施形態2と同様に、n1、n2、及びn3は、上記式(3)を満たす。
【0093】
実施形態3も実施形態2と同様の効果を奏する。
【0094】
(変形例)
次に、変形例を説明する。変形例の構成は、実施形態1と略同様であるので、同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0095】
[変形例1]
図26は、変形例1の第1境界部356及び第2境界部401の拡大断面図である。図26に示すように、第1境界部356の光軸を含む断面は、多数(実施形態1から実施形態3の円弧形状よりも多い数の円弧形状37nを備える。
【0096】
第1境界部356の光軸を含む断面の円弧形状と第2境界部401の光軸を含む断面の円弧形状とが、同じ間隔である。各円弧の曲率中心の位置が、径方向外側に向かって、第1境界部356と第2境界部401とに交互に位置する。
【0097】
[変形例2]
図27は、変形例2のレンズL6の拡大断面図である。
【0098】
前述した実施の形態1では、図12に示すように、物体側レンズL61の第1レンズ面35sは、物体側X1に向かって窪む凹状のレンズ面であり、像側レンズL62の第2レンズ面40sは、物体側X1に向かって突出する凸状のレンズ面である。
【0099】
これに対し、変形例2では、図27に示すように、物体側レンズL61の第1レンズ面35sは、像側X2に向かって突出する凸状のレンズ面であり、像側レンズL62の第2レンズ面40sは、物体側X1に向かって窪む凹状のレンズ面である。
【0100】
変形例2は、接合レンズであるレンズL6の物体側レンズL61の第1境界部356における凹部の凹量を小さくすることができる。
【0101】
前述した実施形態1では、貯留部45は、物体側レンズL61の第1フランジ面36sの径方向外側に設けられる。
【0102】
これに対し、変形例2では、貯留部45Hは、像側レンズL62の第2フランジ面41sの径方向外側に設けられる。
【0103】
(撮像装置)
図28は、撮像装置350の概略図である。図28に示すように、撮像装置350は、レンズユニット1と、撮像部300と、撮像部300からの出力信号を演算処理する信号処理部と、を備える。なお、レンズユニット1は、実施形態1から実施形態3、変形例1、2の何れのレンズユニット1でもよい。
【0104】
撮像部300は、赤外線カットフィルタと、撮像素子と、を備える。撮像素子は、レンズユニット1により形成された被写体の像を撮像して電気信号に変換するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子は、その撮像面がレンズユニット1の像面に一致するように配置される。
【0105】
撮像装置350は、例えば、車載用の撮影装置、具体的には、ドライブレコーダに用いることができる。撮像装置350置は、自車両の前方、後方、又は側方を撮影する。
【0106】
赤外線カットフィルタに代えて、バンドパスフィルタを用いてもよい。
【0107】
[その他の変形例]
なお、レンズL5の接触部を、外周側に向かって物体側X1に延びるテーパー面とし、レンズL6の被接触部を光軸Lに沿って切断した断面を、物体側X1に向かって外周側に湾曲する円弧としてもよい。このようにしても、第1レンズおよび第2レンズの一方を振動させることにより、第1レンズと第2レンズとを相対移動させて2つのレンズの調芯を行うことができる。
【0108】
レンズL6とレンズL5との調芯は、これらのレンズを第2鏡筒4に収容した状態で行ってもよい。この場合には、第2鏡筒4にレンズL6を挿入して、レンズL6を光軸方向Xおよび径方向で位置決めする。その後、レンズL6にレンズL5を積み上げて、レンズL5の接触部26とレンズL6の被接触部37とを、線接触させる(ステップST1)。しかる後に、接触部26と被接触部37とが接触する円環状の接触線Mが、光軸Lと同軸で当該光軸Lと垂直な仮想の垂直面S上に位置するまで、第2鏡筒を振動させる。すなわち、レンズL6を振動させる(ステップST2)。接触線Mの外周側でレンズL6とレンズL5との間に接着剤を塗布してレンズL6とレンズL5とを固定する(ステップST3)。
【0109】
また、この場合には、第2鏡筒を振動させる前に、ホルダ28を第2鏡筒4に収容して、ホルダ28を光軸方向Xおよび径方向で位置決めしてもよい。このようにしても、ホルダ28とレンズL5との間には隙間があるので、レンズL6とレンズL5との調芯が可能である。
【符号の説明】
【0110】
L6 レンズ
L61 物体側レンズ
L62 像側レンズ
35 レンズ本体部
36 フランジ部
40 レンズ本体部
41 フランジ部
35s 第1レンズ面
36s 第1フランジ面
356 第1境界部
40s 第2レンズ面
41s 第2フランジ面
401 第2境界部
43 凹部
37a、37b 円弧形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28