(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172252
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】印刷装置、及び、テストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 123
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089837
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】中澤 友紀
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EB13
2C056EB27
2C056EB45
2C056EC07
2C056EC72
2C056EE10
2C056EE17
2C056FA13
2C056HA42
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンを液滴が浸透し難い媒体に形成される場合でも読み取り易くさせる。
【解決手段】印刷ヘッドの複数のノズルは、有色成分を含む第一液滴を吐出可能な第一ノズル、及び、前記有色成分による発色を変化させる第二液滴を吐出可能な第二ノズルを含む。制御部は、前記第一液滴の吐出範囲に含まれるテストパターンを印刷対象の媒体に形成させる制御を実行可能であり、前記テストパターンを形成させる際、前記テストパターンに対応する第一領域における前記第二液滴の記録濃度が第一記録濃度となり、前記吐出範囲のうち前記第一領域を除く第二領域において0%よりも液滴の浸透し易い第二媒体に吐出される前記第二液滴の記録濃度よりも高く前記第一記録濃度よりも低い第二記録濃度となるように、前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一媒体と、該第一媒体よりも液滴が浸透し易い第二媒体と、を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体に印刷を行う印刷装置であって、
有色成分を含む第一液滴を前記媒体に吐出可能な第一ノズル、及び、前記有色成分による発色を変化させる第二液滴を前記媒体に吐出可能な第二ノズルを含む複数のノズルを有する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドからの前記第一液滴及び前記第二液滴の吐出を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第二ノズルからの前記第二液滴の着弾位置と着弾状態の少なくとも一方を取得するためのテストパターンであって前記第一液滴の吐出範囲に含まれる前記テストパターンを前記媒体に形成させる制御を実行可能であり、
前記テストパターンを形成させる際、前記テストパターンに対応する第一領域における前記第二液滴の記録濃度が第一記録濃度となり、前記吐出範囲のうち前記第一領域を除く第二領域において前記第一媒体に吐出される前記第二液滴の記録濃度が0%よりも高く前記第一記録濃度よりも低い第二記録濃度となるように、前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御する、印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第二記録濃度が、前記第二媒体に吐出される前記第二液滴の記録濃度よりも高い記録濃度となるように、前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一領域に前記第一液滴を着弾させる際、前記第二液滴が着弾した後に前記第一液滴が前記第二液滴に重なって着弾するように、前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記印刷が行われる前記媒体の種類を検出する媒体検出部を含み、
前記媒体検出部により検出された前記媒体の種類が前記第一媒体に対応する場合、前記第二領域における前記第二液滴の記録濃度が前記第二記録濃度となるように前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御し、
前記媒体検出部により検出された前記媒体の種類が前記第二媒体に対応する場合、前記第二領域における前記第二液滴の記録濃度が前記第二記録濃度よりも低くなるように前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記テストパターンを形成するための前記第一液滴は、黒色の液滴である、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記テストパターンを形成させる際、前記吐出範囲に前記第一液滴を吐出可能な最大量の40%から60%までの量の前記第一液滴が前記吐出範囲に吐出されるように、前記第一ノズルからの前記第一液滴の吐出を制御する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
第一媒体と、該第一媒体よりも液滴が浸透し易い第二媒体と、を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体に印刷を行う印刷装置のためのテストパターン形成方法であって、
前記印刷装置は、有色成分を含む第一液滴を前記媒体に吐出可能な第一ノズル、及び、前記有色成分による発色を変化させる第二液滴を前記媒体に吐出可能な第二ノズルを含む複数のノズルを有する印刷ヘッドを備え、前記第二ノズルからの前記第二液滴の着弾位置と着弾状態の少なくとも一方を取得するためのテストパターンであって前記第一液滴の吐出範囲に含まれる前記テストパターンを前記媒体に形成可能であり、
前記テストパターンに対応する第一領域における前記第二液滴の記録濃度が第一記録濃度となり、前記吐出範囲のうち前記第一領域を除く第二領域において前記第一媒体に吐出される前記第二液滴の記録濃度が0%よりも高く前記第一記録濃度よりも低い第二記録濃度となるように、前記第二ノズルから前記第二液滴を吐出する第二液滴吐出工程と、
前記第一ノズルから前記吐出範囲に前記第一液滴を吐出する第一液滴吐出工程と、を含む、テストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有色成分を含む液滴と該有色成分による発色を変化させる液滴とを吐出可能な印刷装置、及び、テストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、印刷媒体上にクリアのインク滴と有色成分を含むインク滴とを重ねるインクジェットプリンターが知られている。例えば、クリアインクが顔料成分を凝集させる処理液である場合、クリアインクと有色インクとが混ざることにより顔料成分が速やかに凝集して印刷媒体の表面にとどまる。
【0003】
印刷媒体上に複数種類のインク滴を重ねる場合、これら複数種類のインク滴の着弾位置を合わせる調整が必要である。ノズル列からのインク滴の着弾位置を取得するため、インク滴の種類別にテストパターンを印刷媒体に形成することが行われている。クリアインクは有色成分を含んでいないため、クリアインク単独でテストパターンを印刷媒体に形成してもテストパターンからクリアのインク滴の着弾位置を把握するのは容易ではない。そこで、印刷媒体上においてクリアのインク滴のテストパターンよりも広い範囲に有色成分を含むインク滴を吐出することにより、テストパターンの位置を判り易くさせることが考えられる。
【0004】
参考として、特許文献1には、有色インクの下地パターンの上に光沢制御用の透明インクの付与位置を調整するためのパッチパターンを形成するカラーインクジェット記録装置が開示されている。このカラーインクジェット記録装置は、パターンの正反射光を検出する反射センサーを備え、検出される信号強度を用いて、パッチパターンとその周囲の領域との平滑性の違いに係る情報を取得し、この情報に応じて透明インクのパッチパターンに基づく調整量の採用可否を決定する。透明インクのパッチパターンに基づく調整量は、記録媒体が光沢紙である場合に採用され、記録媒体が普通紙である場合に採用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クリアインクが有色成分による発色を変化させる場合、普通紙等のようにインクが浸透し易い印刷媒体において有色成分を含むインク滴の吐出範囲にクリアのインク滴のテストパターンを形成すると、テストパターンを明瞭に読み取り可能である。しかし、フィルムやコート紙等のようにインクが浸透し難い印刷媒体において有色成分を含むインク滴の吐出範囲にクリアのインク滴のテストパターンを形成すると、テストパターンを明瞭には読み取ることができないことが判った。
上述したカラーインクジェット記録装置では、透明インクより有色インクの下地パターンの光沢が変わるだけであり、インクが浸透し難い印刷媒体に形成されるテストパターンの読み取り性を向上させることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷装置は、第一媒体と、該第一媒体よりも液滴が浸透し易い第二媒体と、を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体に印刷を行う印刷装置であって、
有色成分を含む第一液滴を前記媒体に吐出可能な第一ノズル、及び、前記有色成分による発色を変化させる第二液滴を前記媒体に吐出可能な第二ノズルを含む複数のノズルを有する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドからの前記第一液滴及び前記第二液滴の吐出を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第二ノズルからの前記第二液滴の着弾位置と着弾状態の少なくとも一方を取得するためのテストパターンであって前記第一液滴の吐出範囲に含まれる前記テストパターンを前記媒体に形成させる制御を実行可能であり、
前記テストパターンを形成させる際、前記テストパターンに対応する第一領域における前記第二液滴の記録濃度が第一記録濃度となり、前記吐出範囲のうち前記第一領域を除く第二領域において前記第一媒体に吐出される前記第二液滴の記録濃度が0%よりも高く前記第一記録濃度よりも低い第二記録濃度となるように、前記第二ノズルからの前記第二液滴の吐出を制御する、態様を有する。
【0008】
また、本発明のテストパターン形成方法は、第一媒体と、該第一媒体よりも液滴が浸透し易い第二媒体と、を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体に印刷を行う印刷装置のためのテストパターン形成方法であって、
前記印刷装置は、有色成分を含む第一液滴を前記媒体に吐出可能な第一ノズル、及び、前記有色成分による発色を変化させる第二液滴を前記媒体に吐出可能な第二ノズルを含む複数のノズルを有する印刷ヘッドを備え、前記第二ノズルからの前記第二液滴の着弾位置と着弾状態の少なくとも一方を取得するためのテストパターンであって前記第一液滴の吐出範囲に含まれる前記テストパターンを前記媒体に形成可能であり、
前記テストパターンに対応する第一領域における前記第二液滴の記録濃度が第一記録濃度となり、前記吐出範囲のうち前記第一領域を除く第二領域において前記第一媒体に吐出される前記第二液滴の記録濃度が0%よりも高く前記第一記録濃度よりも低い第二記録濃度となるように、前記第二ノズルから前記第二液滴を吐出する第二液滴吐出工程と、
前記第一ノズルから前記吐出範囲に前記第一液滴を吐出する第一液滴吐出工程と、を含む、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】印刷ヘッドのノズル面の例を模式的に示す図。
【
図3】第二媒体としての浸透系媒体に液滴のドットが形成される例を模式的に示す図。
【
図4】媒体上のテストパターン、及び、読取部の例を模式的に示す図。
【
図5】第二液滴としてのCLインク滴のテストパターンを浸透系媒体に形成する例を模式的に示す図。
【
図6】第一媒体としての非浸透系媒体に液滴のドットが形成される例を模式的に示す図。
【
図7】第二液滴としてのCLインク滴のテストパターンを非浸透系媒体に形成する例を模式的に示す図。
【
図8】媒体対応テーブルの構造例を模式的に示す図。
【
図9】媒体検出部を含む制御部の例を模式的に示す図。
【
図10】テストパターン印刷制御処理の例を模式的に示すフローチャート。
【
図11】第二ノズルからの第二液滴の着弾状態を取得するためのテストパターンの例を模式的に示す図。
【
図12】CLインク滴のテストパターンを非浸透系媒体に形成する比較例を模式的に示す図。
【
図13】CLインク滴のテストパターンを浸透系媒体に形成する比較例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0011】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~13に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図の各部を認識可能な程度の大きさにするため各部の尺度が実際とは異なることがあり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
【0012】
[態様1]
図1~7等に例示するように、本技術の一態様に係る印刷装置1は、第一媒体(例えば非浸透系媒体ME1)と、該第一媒体(ME1)よりも液滴37が浸透し易い第二媒体(例えば浸透系媒体ME2)と、を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体ME0に印刷を行う印刷装置1であって、印刷ヘッド30と制御部U1を備える。前記印刷ヘッド30は、有色成分を含む第一液滴(例えばKインク滴DR1)を前記媒体ME0に吐出可能な第一ノズル(例えばKノズルNZ1)、及び、前記有色成分による発色を変化させる第二液滴(例えばCLインク滴DR2)を前記媒体ME0に吐出可能な第二ノズル(例えばCLノズルNZ2)を含む複数のノズル34を有する。前記制御部U1は、前記印刷ヘッド30からの前記第一液滴(DR1)及び前記第二液滴(DR2)の吐出を制御する。当該制御部U1は、前記第二ノズル(NZ2)からの前記第二液滴(DR2)の着弾位置と着弾状態の少なくとも一方を取得するためのテストパターンTP2(
図5,7,11参照)であって前記第一液滴(DR1)の吐出範囲AR0に含まれる前記テストパターンTP2を前記媒体ME0に形成させる制御を実行可能である。当該制御部U1は、前記テストパターンTP2を形成させる際、
図5,7等に例示するように、前記テストパターンTP2に対応する第一領域AR1における前記第二液滴(DR2)の記録濃度が第一記録濃度RD1となり、前記吐出範囲AR0のうち前記第一領域AR1を除く第二領域AR2において前記第一媒体(ME1)に吐出される前記第二液滴(DR2)の記録濃度が0%よりも高く前記第一記録濃度RD1よりも低い第二記録濃度RD2となるように、前記第二ノズル(NZ2)からの前記第二液滴(DR2)の吐出を制御する。
【0013】
図6,7に例示するように媒体ME0として液滴37が浸透し難い第一媒体(ME1)が選ばれている場合、テストパターンTP2の領域では、第一媒体(ME1)の表面において第二液滴(DR2)の記録濃度が高いため有色成分を含む第一液滴(DR1)のドット38が小さくなって発色が少ない。ここで、テストパターンTP2に対応していない第二領域AR2で第二液滴(DR2)の記録濃度が低いと、
図12に例示するように、テストパターンTP2の領域の近傍からテストパターンTP2の領域に第一液滴(DR1)の有色成分が吸い寄せられ、テストパターンTP2の領域の近傍が淡くなる。このため、テストパターンTP2を明瞭には読み取ることができない。第二領域AR2において、第一媒体(ME1)に吐出される第二液滴(DR2)の記録濃度が0%よりも高く第一記録濃度RD1よりも低い第二記録濃度RD2であることにより、第一液滴(DR1)の有色成分が第一媒体(ME1)の表面に広がって固定される。これにより、
図7に例示するように、テストパターンTP2の領域の近傍が淡くなり難く、第二領域AR2の発色がテストパターンTP2の領域の発色よりも強くなり、テストパターンTP2が明瞭に読み取られる。
以上より、上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンを液滴が浸透し難い媒体に形成される場合でも読み取り易くさせる印刷装置を提供することができる。
【0014】
上述した態様には、様々な例が考えられる。
第一媒体の例としては、フィルム、コート紙、等が挙げられる。
第二媒体の例としては、普通紙、上質紙、テスクチャ紙、等が挙げられる。
複数の媒体には、第一媒体と第二媒体とに分類されない媒体が含まれていてもよい。
第一液滴の有色成分の例としては、顔料、染料、等が挙げられる。
有色成分を含む液体の例としては、K(ブラック)インク、C(シアン)インク、M(マゼンタ)インク、Y(イエロー)インク、等が挙げられる。これらのインクは、有色インクと呼ばれる。
第二液滴の例としては、有色成分を凝集させる凝集剤を含む処理液、有色成分を不溶化させる不溶化剤を含む処理液、等が挙げられる。これらの処理液は、反応液やCL(クリア)インクと呼ばれることがある。
複数のノズルには、第一ノズルと第二ノズルとに分類されないノズルが含まれていてもよい。
第二液滴の着弾位置を取得するためのテストパターンの例としては、ノズル列間で液滴の着弾位置を合わせるためのノズル列間調整パターン、往方向への移動時と復方向への移動時とで第二液滴の着弾位置を合わせるための往復調整パターン、等が挙げられる。ノズル列間調整パターンは、有色インク吐出用のノズル列から吐出される第一液滴の着弾位置と、CLインク吐出用のノズル列から吐出される第二液滴の着弾位置と、を合わせるために使用される。
第二液滴の着弾状態の概念は、第二液滴の着弾有無の概念に限定されない。例えば、第二液滴の着弾状態の概念は、第二液滴が正常に着弾したか、第二液滴が不完全に着弾したか、又は、第二液滴が着弾しなかったかという概念等を含んでいる。従って、第二液滴の着弾状態を取得するためのテストパターンは、第二ノズルが第二液滴を吐出するか否かを表すことに限定されず、第二ノズルからの第二液滴の吐出状態を表している。
【0015】
尚、記録濃度(RDとする。)は、所定数の画素に対して液滴により形成されるドットの数の比(百分率を含む。)を意味し、大きさの異なるドットが形成される場合には最も大きいドット(例えば大ドット)に換算したときの比を意味する。画素は、色を独立に割り当てることができる、画像を構成する最小要素である。例えば、100個の画素に対してNd個の大ドットが形成される場合、記録濃度RDはNd%となる。
本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。
むろん、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0016】
[態様2]
図1,3,5に例示するように、前記制御部U1は、前記第一媒体(ME1)に吐出される前記第二液滴(DR2)の記録濃度が、前記第二媒体(ME2)に吐出される前記第二液滴(DR2)の記録濃度よりも高い第二記録濃度RD2となるように、前記第二ノズル(NZ2)からの前記第二液滴(DR2)の吐出を制御してもよい。
以上の場合において、媒体ME0として液滴37が浸透し易い第二媒体(ME2)が選ばれている場合、テストパターンTP2に対応していない第二領域AR2では、第二液滴(DR2)の記録濃度が低いため第一液滴(DR1)の有色成分が第二媒体(ME2)の内部に浸透し、第二領域AR2の発色がテストパターンTP2の領域の発色よりも弱くなる。これにより、液滴が浸透し易い媒体に形成されるテストパターンTP2が明瞭に読み取られる。従って、上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンを媒体の種類によらずに読み取り易くさせる印刷装置を提供することができる。
【0017】
[態様3]
図2,3,6に例示するように、前記制御部U1は、前記第一領域AR1に前記第一液滴(DR1)を着弾させる際、前記第二液滴(DR2)が着弾した後に前記第一液滴(DR1)が前記第二液滴(DR2)に重なって着弾するように、前記第二ノズル(NZ2)からの前記第二液滴(DR2)の吐出を制御してもよい。
以上の場合、有色成分を含む第一液滴(DR1)が第一領域AR1に着弾した瞬間に第二液滴(DR2)に触れて有色成分が媒体の表面に止まって固定される。従って、上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンをさらに読み取り易くさせることができる。
【0018】
[態様4]
図1,9に例示するように、前記制御部U1は、前記印刷が行われる前記媒体ME0の種類を検出する媒体検出部U2を含んでいてもよい。当該制御部U1は、前記媒体検出部U2により検出された前記媒体ME0の種類が前記第一媒体(ME1)に対応する場合、前記第二領域AR2における前記第二液滴(DR2)の記録濃度が前記第二記録濃度RD2となるように前記第二ノズル(NZ2)からの前記第二液滴(DR2)の吐出を制御してもよい。当該制御部U1は、前記媒体検出部U2により検出された前記媒体ME0の種類が前記第二媒体(ME2)に対応する場合、前記第二領域AR2における前記第二液滴(DR2)の記録濃度が前記第二記録濃度RD2よりも低くなるように前記第二ノズル(NZ2)からの前記第二液滴(DR2)の吐出を制御してもよい。
以上の場合、媒体検出部U2の検出結果により第二領域AR2における第二液滴(DR2)の記録濃度が自動的に制御される。従って、上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンを媒体の種類によらずに読み取り易くさせる好適な印刷装置を提供することができる。
【0019】
[態様5]
図3,6に例示するように、前記テストパターンTP2を形成するための前記第一液滴(DR1)は、黒色の液滴でもよい。
以上の場合、テストパターンTP2の領域とテストパターンTP2に対応していない第二領域AR2とで濃淡の差が大きくなる。従って、上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンをさらに読み取り易くさせることができる。
【0020】
[態様6]
前記制御部U1は、前記テストパターンTP2を形成させる際、前記吐出範囲AR0に前記第一液滴(DR1)を吐出可能な最大量の40%から60%までの量(例えば
図5,7に例示するKインク記録濃度RD4)の前記第一液滴(DR1)が前記吐出範囲AR0に吐出されるように、前記第一ノズル(NZ1)からの前記第一液滴(DR1)の吐出を制御してもよい。
以上の場合、テストパターンTP2に対応していない第二領域AR2が中間的な記録濃度であるので、テストパターンTP2の領域とテストパターンTP2に対応していない第二領域AR2とで濃淡の差が大きく現れる。従って、上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンをさらに読み取り易くさせることができる。
【0021】
[態様7]
ところで、本技術の一態様に係るテストパターン形成方法は、第一媒体(ME1)と、該第一媒体(ME1)よりも液滴37が浸透し易い第二媒体(ME2)と、を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体ME0に印刷を行う印刷装置1のためのテストパターン形成方法であって、以下の工程を含む(
図5,7参照)。
(a1)前記テストパターンTP2に対応する第一領域AR1における前記第二液滴(DR2)の記録濃度が第一記録濃度RD1となり、前記吐出範囲AR0のうち前記第一領域AR1を除く第二領域AR2において前記第一媒体(ME1)に吐出される前記第二液滴(DR2)の記録濃度が0%よりも高く前記第一記録濃度RD1よりも低い第二記録濃度RD2となるように、前記第二ノズル(NZ2)から前記第二液滴(DR2)を吐出する第二液滴吐出工程Sa。
(a2)前記第一ノズル(NZ1)から前記吐出範囲AR0に前記第一液滴(DR1)を吐出する第一液滴吐出工程Sb。
上記態様は、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンを媒体の種類によらずに読み取り易くさせるテストパターン形成方法を提供することができる。
【0022】
さらに、本技術は、上述した印刷装置を含む印刷システム、上述した印刷装置の制御方法、前述の印刷システムの制御方法、上述した印刷装置の制御プログラム、前述の印刷システムの制御プログラム、前述のいずれかの制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体、等に適用可能である。また、上述した印刷装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0023】
(2)印刷装置の具体例:
図1は、印刷装置1を模式的に例示している。本具体例の印刷装置1はプリンター2自体であるものとするが、印刷装置1はプリンター2とホスト装置HO1との組合せでもよい。プリンター2は、
図1に示されていない追加要素を含んでいてもよい。
図2は、印刷ヘッド30のノズル面30aを模式的に例示している。
図3は、第二媒体としての浸透系媒体ME2に液滴37のドット38が形成される様子を模式的に例示している。
図4は、媒体ME0上のテストパターンTP1,TP2、及び、読取部60を模式的に例示している。尚、
図4に示すドット38の形状はあくまでも媒体ME0への着弾位置を示すための模式的な形状であり、実際にはテストパターンTP1,TP2に含まれる複数のドット38は媒体ME0上で広がって繋がることがある。
【0024】
図1に示すプリンター2は、液滴37としてインク滴を吐出するインクジェットプリンターの一種であるライン式プリンターである。プリンター2は、コントローラー10、半導体メモリーであるRAM21、通信I/F22、記憶部23、操作パネル24、印刷ヘッド30、搬送部50、読取部60、媒体検出部U2、等を備える。ここで、RAMはRandom Access Memoryの略称であり、I/Fはインターフェイスの略称である。コントローラー10と媒体検出部U2は、制御部U1の例である。尚、読取部60と媒体検出部U2の少なくとも一方は、プリンター2に無くてもよい。コントローラー10、RAM21、通信I/F22、記憶部23、及び、操作パネル24は、バスに接続され、互いに情報を入出力可能とされている。
【0025】
図2,3に示すように、プリンター2は、黒色の液滴であるKインク滴DR1のように有色成分を含む第一液滴に加えてCLインク滴DR2を印刷ヘッド30から吐出可能である。有色成分は、有彩色成分でもよいし、無彩色成分でもよい。有色成分の例としては、Cの色材、Mの色材、Yの色材、Kの色材、等が挙げられる。これらの色材は、顔料でもよいし、染料等でもよい。黒色顔料を含むKインクLQ1は有色成分を含む第一液体の例であり、Kインク滴DR1は有色成分を含む第一液滴の例である。CLインク滴DR2は、第一液滴の有色成分による発色を変化させるCLインクLQ2の液滴であり、有色成分を含んでいない。CLインクLQ2は、第一液体の有色成分による発色を変化させる第二液体の例であり、処理液や反応液とも呼ばれる。本具体例では、第一液体の有色成分が顔料であり、CLインクLQ2が顔料を凝集させる凝集剤を含んでいるものとする。CLインク滴DR2は、第一液滴の有色成分による発色を変化させる第二液滴の例である。
【0026】
KインクLQ1といった第一液体には、例えば、例えば、水といった分散媒、顔料、界面活性剤、等を含む顔料インクを用いることができる。顔料は、無機顔料でもよいし、有機顔料でもよい。界面活性剤には、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、等を用いることができる。CLインクLQ2といった第二液体には、例えば、水といった溶媒、カチオン性化合物、上述した界面活性剤、等を含む液体を用いることができる。カチオン性化合物は、顔料を凝集させ、滲みや発色低下を抑制する。カチオン性化合物には、多価金属塩、有機酸、カチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤、等を用いることができる。
尚、第一液体の有色成分が染料である場合、CLインクLQ2は染料を不溶化させる不溶化剤を含んでいてもよい。
【0027】
コントローラー10は、プロセッサーであるCPU11、色変換部12、ハーフトーン処理部13、駆動信号送信部15、等を備えている。ここで、CPUは、Central Processing Unitの略称である。コントローラー10は、ホスト装置HO1、不図示のメモリーカード、等のいずれかから取得した元画像データDA1に基づいて、印刷媒体である媒体ME0に印刷画像IM0が形成されるように、搬送部50と印刷ヘッド30を制御する。元画像データDA1には、例えば、各画素にR、G、及び、Bの28階調や216階調の整数値を有するRGBデータを適用することができる。ここで、Rは赤を意味し、Gは緑を意味し、Bは青を意味する。
コントローラー10は、SoC等により構成することができる。ここで、SoCは、System on a Chipの略称である。
【0028】
CPU11は、プリンター2における情報処理や制御を中心的に行う装置である。
色変換部12は、例えば、R、G、及び、Bの階調値とC、M、Y、及び、Kの階調値との対応関係が規定された色変換LUTを参照し、RGBデータを各画素にC、M、Y、及び、Kの2
8階調や2
16階調の整数値を有するインク量データDA2に変換する。ここで、LUTは、ルックアップテーブルの略称である。インク量データDA2は、
図4に示す画素PX0の単位でC、M、Y、及び、Kの液体36の使用量を表している。また、RGBデータの解像度が印刷解像度とは異なる場合、色変換部12は、先にRGBデータの解像度を印刷解像度に変換するか、又は、インク量データDA2の解像度を印刷解像度に変換する。
【0029】
ハーフトーン処理部13は、インク量データDA2を構成する各画素PX0の階調値に対してディザ法、誤差拡散法、等のいずれかによるハーフトーン処理を行うことにより前記階調値の階調数を減らし、ドットデータDA3を生成する。ドットデータDA3は、画素PX0の単位で液滴37のドット38の形成状態を表している。ドットデータDA3は、ドットの形成有無を表す2値データでもよいし、小中大の各ドットといった異なるサイズのドットに対応可能な3階調以上の多値データでもよい。また、ハーフトーン処理部13は、
図3,4に示すようにKインク滴DR1等のカラーインク滴の着弾位置に合わせて画素PX0の単位でCLインク滴DR2のドット38の形成状態を表す2値データ又は多値データをドットデータDA3に含める。
【0030】
駆動信号送信部15は、印刷ヘッド30の駆動素子32に印加する電圧信号に対応した駆動信号SG1をドットデータDA3から生成して印刷ヘッド30の駆動回路31に出力する。例えば、ドットデータDA3が「ドット形成」であれば、駆動信号送信部15はドット形成用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力する。また、ドットデータDA3が4値データである場合、駆動信号送信部15は、ドットデータDA3が「大ドット形成」であれば大ドット用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力し、ドットデータDA3が「中ドット形成」であれば中ドット用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力し、ドットデータDA3が「小ドット形成」であれば小ドット用の液滴を吐出させる駆動信号SG1を出力する。
【0031】
上記各部11,12,13,15は、ASICで構成されてもよく、RAM21から処理対象のデータを直接読み込んだりRAM21に処理後のデータを直接書き込んだりしてもよい。ここで、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
【0032】
図1~3に示す印刷ヘッド30は、媒体ME0の送り方向D3へ順に並べられた印刷ヘッド30CL、印刷ヘッド30K、印刷ヘッド30C、印刷ヘッド30M、及び、印刷ヘッド30Yに分かれている。むろん、印刷ヘッド30CL,30K,30C,30M,30Yの分割数は2~4でもよく、印刷ヘッド30CL,30K,30C,30M,30Yが分かれていなくてもよい。印刷ヘッド30CLは、CLインク滴DR2を媒体ME0に吐出可能なCLノズルNZ2を複数有している。CLノズルNZ2は、第二液滴を吐出可能な第二ノズルの例である。KノズルNZ1は、Kインク滴DR1を媒体ME0に吐出可能なKノズルNZ1を複数有している。KノズルNZ1は、第一液滴を吐出可能な第一ノズルの例である。印刷ヘッド30Cは、Cインクの液滴37を媒体ME0に吐出可能なノズル34を複数有している。印刷ヘッド30Mは、Mインクの液滴37を媒体ME0に吐出可能なノズル34を複数有している。印刷ヘッド30Yは、Yインクの液滴37を媒体ME0に吐出可能なノズル34を複数有している。複数のノズル34は、第一ノズルとしてのKノズルNZ1と第二ノズルとしてのCLノズルNZ2を含んでいる。
【0033】
印刷ヘッド30CL,30K,30C,30M,30Yは、それぞれ、媒体ME0の幅方向D1の全体にわたって複数のノズル34が連続するように並べられた複数のチップ40を含んでいる。幅方向D1は、
図2において送り方向D3に直交する方向であり、送り方向D3と交差する方向である。各チップ40は、複数のノズル34が並び方向D2へ千鳥状に並べられたノズル列33をノズル面30aに有している。言い換えると、各ノズル列33に含まれる複数のノズル34は、並び方向D2へ2列に並べられている。並び方向D2は、
図2において幅方向D1であるが、送り方向D3と交差する限り幅方向D1からずれていてもよい。ここで、ノズルは液滴が噴射する小孔を意味し、ノズル列は複数のノズルの並びを意味する。ノズル面30aは、液滴37の吐出面である。各液滴37は、媒体ME0の画素PX0を目標にしてノズル34から吐出される。むろん、CLインク滴DR2から媒体ME0にCLのドット38が形成され、Kインク滴DR1から媒体ME0にKのドット38が形成され、Cの液滴37から媒体ME0にCのドット38が形成され、Mの液滴37から媒体ME0にMのドット38が形成され、Yの液滴37から媒体ME0にYのドット38が形成される。
【0034】
コントローラー10に制御される搬送部50は、ローラー駆動部55の駆動により媒体ME0を搬送経路59に沿って送り方向D3へ送る。
図1において、送り方向D3は右方向であり、左側を上流側と呼び、右側を下流側と呼ぶことにする。ローラー駆動部55は、搬送ローラー対56と排出ローラー対57を含んでいる。ローラー駆動部55は、サーボモーターで構成され、コントローラー10の制御に従って、搬送ローラー対56の駆動搬送ローラーと排出ローラー対57の駆動排出ローラーを定速で回転させることにより媒体ME0を定速で送り方向D3へ送る。従って、搬送部50は、送り方向D3に沿って媒体ME0と印刷ヘッド30の少なくとも一方を移動させるといえる。プラテン58は、搬送経路59の下側にあり、搬送経路59にある媒体ME0に接することにより媒体ME0を支持する。コントローラー10に制御される印刷ヘッド30は、駆動回路31や駆動素子32等を備え、プラテン58に支持されている媒体ME0に向けて液滴37を吐出することにより媒体ME0に液体36を付着させる。従って、制御部U1は、印刷ヘッド30からの第一液滴、第二液滴、等の液滴37の吐出を制御するといえる。
【0035】
駆動回路31は、駆動信号送信部15から入力される駆動信号SG1に従って駆動素子32に電圧信号を印加する。駆動素子32は、ノズル34に連通する圧力室内の液体36に圧力を加える圧電素子でもよいし、熱により圧力室内に気泡を発生させてノズル34から液滴37を吐出させる駆動素子等でもよい。印刷ヘッド30の圧力室には、液体カートリッジ35から液体36が供給される。圧力室内の液体36は、駆動素子32によってノズル34から媒体ME0に向かって液滴37として吐出される。これにより、媒体ME0に液滴37のドット38が形成され、ドット38のパターンで表現される印刷画像IM0が媒体ME0に形成される。
【0036】
RAM21は、ホスト装置HO1や不図示のメモリー等から受け入れた元画像データDA1等を格納する。通信I/F22は、ホスト装置HO1に有線又は無線で接続され、ホスト装置HO1に対して情報を入出力する。ホスト装置HO1の例としては、パーソナルコンピューターやタブレット端末といったコンピューター、スマートフォンといった携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、等が挙げられる。記憶部23は、フラッシュメモリーといった不揮発性半導体メモリーでもよいし、ハードディスクといった磁気記憶装置等でもよい。操作パネル24は、情報を表示する液晶パネルといった出力部25、表示画面への操作を受け付けるタッチパネルといった入力部26、等を備えている。
【0037】
プリンター2は、
図4に示すように、KノズルNZ1からのKインク滴DR1の着弾位置を取得するためのテストパターンTP1、及び、CLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の着弾位置を取得するためのテストパターンTP2を形成可能である。コントローラー10は、テストパターンTP1,TP2を媒体ME0に形成させる制御を実行可能である。読取部60は、例えば幅方向D1に沿って読取解像度となるように並べられた複数の読取素子61を含み、テストパターンTP1,TP2を複数の読取素子61で読み取る。尚、複数の読取素子61の並び方向は、送り方向D3と交差する限り幅方向D1からずれていてもよい。
図1に示す読取部60は、印刷ヘッド30の下流側に配置されている。読取部60は、CIS方式と略されるContact Image Sensor方式やCCD方式と略されるCharge Coupled Devices方式のイメージセンサー等でもよいし、CMOSイメージセンサー、CCDで構成されるラインセンサーやエリアセンサーといった固体撮像素子、等でもよい。ここで、CMOSは、Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略称である。
プリンター2に読取部60が無い場合、テストパターンTP1,TP2は外部の読取装置に読み取られてもよい。
【0038】
図1~4に示す媒体ME0は、送り方向D3へ連続した長尺な印刷媒体である。このような長尺な印刷媒体は、例えば、ロール紙として供給される。むろん、媒体ME0は、カット紙のように連続していない印刷媒体でもよい。従って、媒体ME0の形状は、ロール状に限定されず、長方形、円形、等でもよく、立体形状でもよい。
プリンター2にセットされる媒体ME0には様々な種類があり、液滴37が浸透し易い媒体もあれば、液滴37が浸透し難い媒体もある。本具体例では、液滴37が浸透し難い媒体を非浸透系媒体ME1と呼び、液滴37が浸透し易い媒体を浸透系媒体ME2と呼ぶことにする。非浸透系媒体ME1の例としては、フィルム、コート紙、金属、等が挙げられる。浸透系媒体ME2の例としては、普通紙、上質紙、テスクチャ紙、布帛、等が挙げられる。非浸透系媒体ME1は、浸透系媒体ME2よりも液滴37が浸透し難い第一媒体の例である。浸透系媒体ME2は、非浸透系媒体ME1よりも液滴37が浸透し易い第二媒体の例である。プリンター2は、非浸透系媒体ME1と浸透系媒体ME2を含む複数の媒体の中から選ばれる媒体ME0に印刷を行う。
図1に示す媒体検出部U2は、印刷が行われる媒体ME0の種類を検出可能である。媒体検出部U2の詳細は、後述する。
【0039】
まず、
図3を参照して、KノズルNZ1及びCLノズルNZ2から浸透系媒体ME2に吐出されるKインク滴DR1及びCLインク滴DR2の挙動の例を説明する。
図3の上段は、KノズルNZ1が浸透系媒体ME2にKインク滴DR1を吐出し、同時にCLノズルNZ2が浸透系媒体ME2にCLインク滴DR2を吐出した状態ST1を示している。浸透系媒体ME2は、送り方向D3へ定速で移動している。
図3の中段は、KノズルNZ1がCLインク滴DR2の着弾位置にKインク滴DR1を吐出した状態ST2を示している。この時、浸透系媒体ME2に着弾済みのKインク滴DR1はKインクLQ1として浸透系媒体ME2の内部に浸透し、浸透系媒体ME2に着弾済みのCLインク滴DR2はCLインクLQ2として浸透系媒体ME2の内部に浸透している。
図3の中段は、浸透系媒体ME2に単独で着弾したKインク滴DR1により浸透系媒体ME2の表面に生じる第一ドットDT1も示されている。Kインク滴DR1がCLインク滴DR2の着弾位置に着弾すると、Kインク滴DR1の顔料は、CLインクLQ2により凝集し、浸透系媒体ME2の表面にとどまる。
図3の下段は、Kインク滴DR1がCLインク滴DR2の着弾位置に着弾することにより浸透系媒体ME2の表面に第二ドットDT2が生じた状態ST3を示している。第二ドットDT2は、第一ドットDT1よりも濃い。図示していないが、C、M、又は、Yの液滴37がCLインク滴DR2の着弾位置に着弾しても、同じ作用により濃いドット38が浸透系媒体ME2に形成される。従って、顔料を含む液滴37とCLインク滴DR2が浸透系媒体ME2上で重なることにより、明瞭なドット38のパターンを有する印刷画像IM0が浸透系媒体ME2に形成される。
【0040】
顔料を含む液滴とCLインクLQ2の液滴とを媒体ME0上に重ねる場合、これらの液滴の着弾位置を合わせるノズル列間調整が必要である。このノズル列間調整のため、コントローラー10は、
図4に示すようなテストパターンTP1,TP2を媒体ME0に形成させる制御を実行可能である。上述したように、実際にはテストパターンTP1,TP2に含まれる複数のドット38は媒体ME0上で広がって繋がることがある。テストパターンTP1,TP2は、印刷ヘッド30K,30C,30M,30Yのノズル列33と印刷ヘッド30CLのノズル列33とからの液滴37の着弾位置を合わせるため、幅方向D1に沿った線状のドットパターンとされている。テストパターンTP1,TP2は、ノズル列間調整パターンともいえる。
図4には、Kインク滴DR1による第一ドットDT1で形成されたテストパターンTP1、及び、CLインク滴DR2とKインク滴DR1とによる第二ドットDT2で形成されたテストパターンTP2が示されている。CLインクLQ2は有色成分を含んでいないため、CLインクLQ2単独でテストパターンを媒体ME0に形成してもテストパターンからCLインク滴DR2の着弾位置を把握するのは容易ではない。そこで、媒体ME0上においてCLインク滴DR2のテストパターンよりも広い範囲にKインク滴DR1のように顔料を含む液滴を吐出することにより、テストパターンTP2の位置を判り易くさせることにしている。このため、Kインク滴DR1のように顔料を含む液滴の吐出範囲AR0は、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1、及び、第一領域AR1を除く第二領域AR2を含んでいる。
尚、コントローラー10は、Kインク滴DR1のテストパターンTP1よりも広い範囲に所定の記録濃度のCLインク滴DR2を印刷ヘッド30CLに吐出させてもよい。この場合、テストパターンTP1の領域においてKインク滴DR1の顔料がCLインクLQ2により媒体ME0の表面において凝集し、視認可能なテストパターンTP1が形成される。
【0041】
図5は、第二液滴としてのCLインク滴DR2のテストパターンTP2を浸透系媒体ME2に形成する例を模式的に示している。
図5の最上部には、テストパターンTP2を形成するためのKインク滴DR1の吐出範囲AR0におけるCLインク滴DR2の吐出パターン80が示されている。吐出パターン80の直下には、Kインク滴DR1の吐出パターン81が示されている。吐出パターン81の直下には、浸透系媒体ME2上のテストパターンTP2及び背景画像IM1が示されている。
図5の最下部には、送り方向D3における位置Pに応じた読取濃度Dが示されている。読取濃度Dは、読取部60が吐出範囲AR0を読み取った結果に相当する。
プリンター2は、吐出パターン80が形成されるようにCLノズルNZ2からCLインク滴DR2を吐出する第二液滴吐出工程Sa、及び、吐出パターン81が形成されるようにKノズルNZ1から吐出範囲AR0にKインク滴DR1を吐出する第一液滴吐出工程Sbを実施する。
【0042】
CLインク滴DR2の吐出パターン80において、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1におけるCLインク滴DR2の記録濃度を第一記録濃度RD1とする。尚、記録濃度RDは、対象の領域の画素数に対するCLインク滴DR2の吐出数の比(百分率を含む。)を意味し、大きさの異なるCLインク滴DR2が吐出される場合には最も大きいCLインク滴DR2に換算したときの比を意味する。第一記録濃度RD1が高いとテストパターンTP2が明瞭になるので、第一記録濃度RD1は高い方が好ましい。
図5に示す線状のテストパターンTP2に対応する第一領域AR1の第一記録濃度RD1は、全画素PX0にCLインク滴DR2が吐出される100%である。CLノズルNZ2から大きさの異なるCLインク滴DR2が吐出される場合、第一記録濃度RD1が100%であることは全画素PX0に最も大きいCLインク滴DR2が吐出されることを意味する。
また、CLインク滴DR2の吐出パターン80において、Kインク滴DR1の吐出範囲AR0のうち第一領域AR1を除く第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度を第三記録濃度RD3とする。媒体ME0が浸透系媒体ME2である場合、第三記録濃度RD3が低いとテストパターンTP2が明瞭になるので、第三記録濃度RD3は低い方が好ましい。
図5に示す第二領域AR2の第三記録濃度RD3は、全画素PX0にCLインク滴DR2が吐出されない0%である。
【0043】
Kインク滴DR1の吐出パターン81は、Kインク滴DR1の吐出範囲AR0の全体にわたってKインク滴DR1の記録濃度が実質的に均等である。この記録濃度をKインク記録濃度RD4とすると、Kインク記録濃度RD4は、40~60%が好ましい。言い換えると、テストパターンTP2の形成時、吐出範囲AR0にKインク滴DR1を吐出可能な最大量の40%から60%までの量のKインク滴DR1が吐出範囲AR0に吐出されることが好ましい。これは、Kインク記録濃度RD4が中間的な記録濃度であると、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1の濃さと周辺の第二領域AR2の薄さとの濃度差が大きくなるためである。
以上より、コントローラー10は、テストパターンTP2を形成させる際、吐出範囲AR0にKインク滴DR1を吐出可能な最大量の40%から60%までの量のKインク滴DR1が吐出範囲AR0に吐出されるように、KノズルNZ1からのKインク滴DR1の吐出を制御する。
【0044】
図2,3で示したように、印刷ヘッド30Kは、CLインク滴DR2の着弾位置にKインク滴DR1を着弾させることが可能である。コントローラー10は、第一領域AR1と第二領域AR2を含む吐出範囲AR0にKインク滴DR1を着弾させる際、CLインク滴DR2が着弾した後にKインク滴DR1がCLインク滴DR2に重なって着弾するように、CLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の吐出を制御する。
【0045】
媒体ME0として浸透系媒体ME2が選ばれている場合、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1では、CLインク滴DR2が着弾すると
図3で示したようにCLインクLQ2として浸透系媒体ME2の内部に浸透する。その後、Kインク滴DR1が第一領域AR1に着弾すると、Kインク滴DR1の顔料がCLインクLQ2により凝集して浸透系媒体ME2の表面にとどまり、濃い第二ドットDT2が浸透系媒体ME2に形成される。テストパターンTP2に対応していない第二領域AR2では、CLインク滴DR2の記録濃度が低いためKインク滴DR1の顔料が浸透系媒体ME2の内部に浸透する。すると、
図5に示すように、背景画像IM1の発色は、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1の発色よりも弱くなる。
図5の最下部に示すように、読取部60による読取濃度Dは、テストパターンTP2の位置において高く、周辺の第二領域AR2において低くなる。
以上により、浸透系媒体ME2に印刷されたテストパターンTP2が明瞭に読み取られる。
【0046】
試験を行ったところ、
図6に示すような非浸透系媒体ME1が媒体ME0として選ばれている場合、
図5に示す吐出パターン80,81に従ってテストパターンTP2を形成すると、テストパターンTP2を明瞭には読み取ることができないことが判った。
まず、
図6を参照して、KノズルNZ1及びCLノズルNZ2から第一媒体としての非浸透系媒体ME1に吐出されるKインク滴DR1及びCLインク滴DR2の挙動の例を説明する。
【0047】
図6の上段は、KノズルNZ1が非浸透系媒体ME1にKインク滴DR1を吐出し、同時にCLノズルNZ2が非浸透系媒体ME1にCLインク滴DR2を吐出した状態ST11を示している。非浸透系媒体ME1は、送り方向D3へ定速で移動している。
図6の中段は、KノズルNZ1がCLインク滴DR2の着弾位置にKインク滴DR1を吐出した状態ST12を示している。この時、非浸透系媒体ME1に着弾済みのKインク滴DR1はKインクLQ1として非浸透系媒体ME1の表面にとどまっており、非浸透系媒体ME1に着弾済みのCLインク滴DR2はCLインクLQ2として非浸透系媒体ME1の表面にとどまっている。
図6の中段は、非浸透系媒体ME1に単独で着弾したKインク滴DR1により非浸透系媒体ME1の表面に生じる第一ドットDT1も示されている。Kインク滴DR1がCLインク滴DR2の着弾位置に着弾すると、Kインク滴DR1の顔料は、非浸透系媒体ME1の表面にとどまっているCLインクLQ2により即座に凝集する。
図6の下段は、Kインク滴DR1がCLインク滴DR2の着弾位置に着弾することにより非浸透系媒体ME1の表面に第二ドットDT2が生じた状態ST13を示している。CLインク滴DR2の着弾位置に着弾したKインク滴DR1の顔料がCLインクLQ2により即座に凝集することにより、第二ドットDT2は、CLインク滴DR2に重なっていない第一ドットDT1よりも小さくなる。その結果、非浸透系媒体ME1上で第二ドットDT2が集まっている部分と第一ドットDT1が集まっている部分とを比較すると、第一ドットDT1が集まっている部分よりも第二ドットDT2が集まっている部分の方が薄くなるという、濃淡の逆転現象が生じる。図示していないが、C、M、又は、Yの液滴37が非浸透系媒体ME1においてCLインク滴DR2の着弾位置に着弾しても、同じ作用により、CLインク滴DR2に重なっていないドットが集まっている部分よりもCLインク滴DR2に重なったドットが集まっている部分の方が薄くなる。
【0048】
また、
図12に示すように、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1では、非浸透系媒体ME1の表面においてCLインク滴DR2の記録濃度(第一記録濃度RD1)が高いため顔料を含むKインク滴DR1の第一ドットDT1が小さくなって発色が少ない。また、テストパターンTP2に対応していない第二領域AR2にCLインク滴DR2が着弾していないので、第一領域AR1の近傍から第一領域AR1にKインク滴DR1の顔料が吸い寄せられ、テストパターンTP2の領域の近傍が淡くなる。
図12の最下部に示すように、読取部60による読取濃度Dは、テストパターンTP2の位置において高いものの、テストパターンTP2の領域の近傍において周辺の第二領域AR2よりも低くなる。
【0049】
以上より、
図12に例示するように、
図5で示した吐出パターン80,81に従ってCLインク滴DR2のテストパターンTP2を非浸透系媒体ME1に形成しても、テストパターンTP2を明瞭に読み取ることができない。
図12は、吐出パターン80,81に従ってCLインク滴DR2のテストパターンTP2を非浸透系媒体ME1に形成する比較例を模式的に示している。吐出パターン81の直下には、非浸透系媒体ME1上のテストパターンTP2及び背景画像IM1が示されている。
図12の最下部には、送り方向D3における位置Pに応じた読取濃度Dが示されている。
【0050】
そこで、
図7に例示するように、Kインク滴DR1の吐出範囲AR0のうち第一領域AR1を除く第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度が
図5に示される第三記録濃度RD3よりも高く第一記録濃度RD1よりも低くされている。
図7は、第二液滴としてのCLインク滴DR2のテストパターンTP2を非浸透系媒体ME1に形成する例を模式的に示している。
図7の最上部には、Kインク滴DR1の吐出範囲AR0におけるCLインク滴DR2の吐出パターン82が示されている。吐出パターン82の直下には、Kインク滴DR1の吐出パターン81が示されている。吐出パターン81の直下には、非浸透系媒体ME1上のテストパターンTP2及び背景画像IM1が示されている。
図7の最下部には、送り方向D3における位置Pに応じた読取濃度Dが示されている。
プリンター2は、吐出パターン82が形成されるようにCLノズルNZ2からCLインク滴DR2を吐出する第二液滴吐出工程Sa、及び、吐出パターン81が形成されるようにKノズルNZ1から吐出範囲AR0にKインク滴DR1を吐出する第一液滴吐出工程Sbを実施する。
【0051】
CLインク滴DR2の吐出パターン82において、第二領域AR2の記録濃度を第二記録濃度RD2とする。
図12で示したようなテストパターンTP2の領域の近傍に淡い筋が生じることを好ましく抑制する点で、第二記録濃度RD2は、20~30%が好ましい。言い換えると、媒体ME0に非浸透系媒体ME1が選択されている場合において、テストパターンTP2の形成時、第二領域AR2にCLインク滴DR2を吐出可能な最大量の20%から30%までの量のCLインク滴DR2が第二領域AR2に吐出されることが好ましい。
【0052】
媒体ME0として非浸透系媒体ME1が選ばれている場合、第二領域AR2における第二記録濃度RD2は、第一記録濃度RD1よりも低いことを前提として浸透系媒体ME2を対象とした第三記録濃度RD3よりも高い。これにより、Kインク滴DR1の顔料が非浸透系媒体ME1の表面に広がって固定され、
図7に示すように、テストパターンTP2の領域の近傍が淡くなり難く、背景画像IM1の発色がテストパターンTP2の領域の発色よりも強くなる。
図7の最下部に示すように、読取部60による読取濃度Dは、テストパターンTP2の位置において低く、周辺の第二領域AR2において高くなる。
以上により、非浸透系媒体ME1に印刷されたテストパターンTP2が明瞭に読み取られる。
【0053】
ただ、
図13に例示するように、媒体ME0が浸透系媒体ME2である場合、
図7で示した吐出パターン82,81に従ってCLインク滴DR2のテストパターンTP2を浸透系媒体ME2に形成しようとしても、テストパターンTP2を明瞭に読み取ることができない。
図13は、吐出パターン82,81に従ってCLインク滴DR2のテストパターンTP2を浸透系媒体ME2に形成する比較例を模式的に示している。吐出パターン81の直下には、浸透系媒体ME2上のテストパターンTP2及び背景画像IM1が示されている。
図13の最下部には、送り方向D3における位置Pに応じた読取濃度Dが示されている。
【0054】
図13に例示するように、テストパターンTP2に対応していない第二領域AR2において、記録濃度20~30%程度のCLインク滴DR2が着弾しているので、浸透系媒体ME2の内部にCLインクLQ2が浸透している。Kインク滴DR1が吐出範囲AR0に着弾すると、Kインク滴DR1の顔料は、第一領域AR1であっても第二領域AR2であってもCLインクLQ2により凝集し、浸透系媒体ME2の表面にとどまる。テストパターンTP2の発色と背景画像IM1の発色との差が少ないため、
図13の最下部に示すように、読取部60による読取濃度Dは第一領域AR1と第二領域AR2とで差が少ない。
以上により、テストパターンTP2を明瞭には読み取ることができない。
【0055】
そこで、本具体例の制御部U1は、テストパターンTP2の形成時、媒体ME0として浸透系媒体ME2が選ばれている場合に
図5で示した吐出パターン80,81に従った制御を行い、媒体ME0として非浸透系媒体ME1が選ばれている場合に
図7で示した吐出パターン82,81に従った制御を行うことにしている。これにより、媒体ME0の種類によらずCLインク滴DR2のテストパターンTP2が読み取り易くなる。
【0056】
図1に示す制御部U1は、印刷が行われる媒体ME0として非浸透系媒体ME1及び浸透系媒体ME2を特定する処理を実行可能である。
例えば、ホスト装置HO1が非浸透系媒体ME1及び浸透系媒体ME2を特定可能な媒体特定情報をプリンター2に送信する場合、制御部U1は媒体特定情報に基づいて媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定可能である。媒体特定情報が媒体ME0の種類を表している場合、制御部U1は、
図8に例示する媒体対応テーブルTA1に従って印刷対象の媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定してもよい。
【0057】
図8に示す媒体対応テーブルTA1は、媒体ME0の種類を表す媒体特定情報IN1に非浸透系媒体ME1又は浸透系媒体ME2が紐付けられていることを示す情報を有している。例えば、媒体特定情報IN1で表される媒体ME0の種類としてのフィルムやコート紙には、印刷対象の媒体ME0として非浸透系媒体ME1が紐付けられている。媒体特定情報IN1で表される媒体ME0の種類としての普通紙や上質紙やテスクチャ紙には、印刷対象の媒体ME0として浸透系媒体ME2が紐付けられている。媒体特定情報IN1がフィルム等を表している場合、制御部U1は、印刷対象の媒体ME0が非浸透系媒体ME1であると特定することができる。媒体特定情報IN1が普通紙等を表している場合、制御部U1は、印刷対象の媒体ME0が浸透系媒体ME2であると特定することができる。
また、媒体特定情報は、印刷が行われる媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを直接表していてもよい。
【0058】
プリンター2の操作パネル24が媒体特定情報の入力を受け付ける場合も、制御部U1は媒体特定情報に基づいて媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定可能である。
図1に示すように制御部U1が媒体検出部U2を備えている場合、制御部U1は、媒体検出部U2により検出された媒体ME0の種類に基づいて媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定してもよい。
【0059】
図9は、媒体検出部U2を含む制御部U1を模式的に例示している。
図9に示す媒体検出部U2は、媒体ME0に光L1を照射する発光部71、媒体ME0による光L1の正反射成分を検出する受光部72、及び、媒体ME0による光L1の拡散反射成分の一部を検出する受光部73を備えている。従って、媒体検出部U2は、反射型光学センサーといえる。発光部71には、発光ダイオード等を用いることができる。受光部72,73には、フォトトランジスター等を用いることができる。受光部72は、入射した正反射光の検出強度に対応する出力値OUT1をコントローラー10に出力する。受光部73は、入射した拡散反射光の検出強度に対応する出力値OUT2をコントローラー10に出力する。
【0060】
光L1の強度が一定であっても、媒体ME0の種類に応じて出力値OUT1,OUT2の取り得る範囲が異なる。そこで、出力値OUT1,OUT2から媒体ME0の種類を検出するための閾値TH1,TH2,…を定めておけば、コントローラー10は出力値OUT1,OUT2から媒体ME0の種類を検出することができる。
例えば、フィルムを検出するための閾値として、出力値OUT1の下限に相当する閾値TH1、出力値OUT1の上限に相当する閾値TH2、出力値OUT2の下限に相当する閾値TH3、出力値OUT2の上限に相当する閾値TH4、出力値の比OUT2/OUT1の下限に相当する閾値TH5、及び、出力値の比OUT2/OUT1の上限に相当する閾値TH6が定められてもよい。媒体ME0がフィルムである場合、光L1の正反射成分が多く、光L1の拡散反射成分が少ない。従って、閾値TH1,TH2は比較的大きく、閾値TH3,TH4は比較的小さく、閾値TH5,TH6は比較的小さい。コントローラー10は、TH1≦OUT1≦TH2、TH3≦OUT2≦TH4、且つ、TH5≦OUT2/OUT1≦TH6が満たされる場合、印刷が行われる媒体ME0の種類がフィルムであると検出することができる。
【0061】
媒体ME0の種類が普通紙である場合、閾値TH1,TH2はフィルムの場合よりも小さく、閾値TH3,TH4はフィルムの場合よりも大きく、閾値TH5,TH6はフィルムの場合よりも大きくなる。このように、閾値TH1~TH6は、媒体ME0の種類に応じて異なる。そこで、媒体ME0の種類に応じた閾値TH1~TH6を出力値OUT1,OUT2に適用することにより、媒体ME0の種類を検出することができる。
尚、出力値OUT1,OUT2は、媒体ME0の位置に応じて変化することがある。そこで、媒体検出部U2が媒体ME0の複数の位置において光L1の反射成分を検出し、コントローラー10が出力値OUT1,OUT2の平均値に閾値TH1~TH6を適用することにより媒体ME0の種類を検出してもよい。これにより、媒体ME0の種類をさらに精度よく検出することができる。また、媒体ME0の種類に応じて出力値OUT1,OUT2の分散値や標準偏差値が異なるので、出力値OUT1,OUT2の分散値や標準偏差値に適用する閾値も定められてもよい。前述の閾値を出力値OUT1,OUT2の分散値や標準偏差値に適用することにより、媒体ME0の種類をさらに精度よく検出することができる。
【0062】
(3)印刷装置の処理の具体例:
図10は、
図4,5,7に示すテストパターンTP1,TP2の印刷を制御するテストパターン印刷制御処理を模式的に例示している。テストパターン印刷制御処理は、ステップS102~S110の処理を含んでいる。
図1に示すコントローラー10は、ホスト装置HO1や操作パネル24からテストパターンTP1,TP2の印刷指示を受け付けると、テストパターン印刷制御処理を開始させる。以下、「ステップ」の記載を省略し、括弧内にステップの符号を示すことがある。
テストパターン印刷制御処理が開始すると、コントローラー10は、印刷が行われる媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定する媒体特定処理を行う(S102)。
【0063】
例えば、通信I/F22がホスト装置HO1から媒体特定情報を受信すると、コントローラー10は、S102においてホスト装置HO1からの媒体特定情報に基づいて媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定する。
図8を参照して説明すると、例えば、媒体特定情報IN1がフィルムやコート紙を表している場合、コントローラー10は、媒体対応テーブルTA1に従って媒体特定情報IN1に紐付けられている非浸透系媒体ME1を印刷対象の媒体ME0として特定する。また、媒体特定情報IN1が普通紙や上質紙やテクスチャ紙を表している場合、コントローラー10は、媒体対応テーブルTA1に従って媒体特定情報IN1に紐付けられている浸透系媒体ME2を印刷対象の媒体ME0として特定する。操作パネル24が媒体特定情報IN1の入力を受け付けた場合も、同じようにして印刷対象の媒体ME0を特定可能である。
【0064】
図9に示す媒体検出部U2が光L1の反射成分を検出する場合、コントローラー10は、S102において媒体検出部U2から出力値OUT1,OUT2を取得し、これらの出力値OUT1,OUT2から媒体ME0の種類を検出する。例えば、フィルムを検出するための閾値TH1~TH6と出力値OUT1,OUT2とがTH1≦OUT1≦TH2、TH3≦OUT2≦TH4、且つ、TH5≦OUT2/OUT1≦TH6の関係を満たす場合、コントローラー10は、媒体ME0の種類がフィルムであると検出する。この場合、コントローラー10は、媒体対応テーブルTA1に従って非浸透系媒体ME1を印刷対象の媒体ME0として特定する。他の種類の媒体ME0についても、コントローラー10は、同じようにして媒体ME0の種類を検出し、印刷対象の媒体ME0が非浸透系媒体ME1であるか浸透系媒体ME2であるかを特定する。
【0065】
媒体特定処理の後、コントローラー10は、印刷が行われる媒体ME0が浸透系媒体ME2であるか非浸透系媒体ME1であるかに応じて処理を分岐させる(S104)。媒体ME0が浸透系媒体ME2である場合、コントローラー10は、
図5に示すようにテストパターンTP2に対応していない第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度を第三記録濃度RD3に設定する(S106)。媒体ME0が非浸透系媒体ME1である場合、コントローラー10は、
図7に示すようにテストパターンTP2に対応していない第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度を第二記録濃度RD2に設定する(S108)。上述したように、第二記録濃度RD2は、第三記録濃度RD3よりも高く第一記録濃度RD1よりも低い。
【0066】
S106又はS108の処理後、コントローラー10は、テストパターンTP1,TP2を媒体ME0に形成するための駆動信号SG1を印刷ヘッド30に出力し(S110)、テストパターン印刷制御処理を終了させる。CLインク滴DR2のテストパターンTP2については、
図5に示す吐出パターン80,81、又は、
図7に示す吐出パターン82,81に対応する駆動信号SG1が印刷ヘッド30CL,Kに出力される。Kインク滴DR1のテストパターンTP1については、
図4に示すテストパターンTP1の吐出パターンに対応する駆動信号SG1が印刷ヘッド30Kに出力される。
【0067】
CLインク滴DR2のテストパターンTP2の形成については、以下のように制御される。
まず、媒体ME0が浸透系媒体ME2である場合に
図5の吐出パターン80となり、媒体ME0が非浸透系媒体ME1である場合に
図7の吐出パターン82となるように、コントローラー10はCLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の吐出を制御する。
図5に示す吐出パターン80において、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1におけるCLインク滴DR2の記録濃度は第一記録濃度RD1であり、第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度は第三記録濃度RD3である。
図7に示す吐出パターン82において、第一領域AR1におけるCLインク滴DR2の記録濃度は第一記録濃度RD1であり、第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度は第二記録濃度RD2である。上述したように、第一記録濃度RD1は例えば100%であり、第三記録濃度RD3は例えば0%であり、RD3<RD2<RD1である。ここで、第三記録濃度RD3は0%を含むため、第二記録濃度RD2の範囲は0%<RD2<RD1とも換言できる。コントローラー10がCLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の吐出を制御することにより、CLノズルNZ2からCLインク滴DR2を吐出する第二液滴吐出工程Saが実施される。
【0068】
プリンター2が媒体検出部U2を備えている場合、コントローラー10は、媒体検出部U2により検出された媒体ME0の種類に応じて
図5の吐出パターン80又は
図7の吐出パターン82を選択する。媒体検出部U2により検出された媒体ME0の種類が浸透系媒体ME2に対応する場合、コントローラー10は、第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度が第三記録濃度RD3となるようにCLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の吐出を制御する。媒体検出部U2により検出された媒体ME0の種類が非浸透系媒体ME1に対応する場合、第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の記録濃度が第二記録濃度RD2となるようにCLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の吐出を制御する。
【0069】
次に、
図5,7に示す吐出パターン81となるように、コントローラー10はKノズルNZ1からのKインク滴DR1の吐出を制御する。吐出パターン81におけるKインク滴DR1の記録濃度は、CLインク滴DR2の第三記録濃度RD3よりも大きく、CLインク滴DR2の第一記録濃度RD1よりも小さいKインク記録濃度RD4、例えば、40~60%である。コントローラー10がKノズルNZ1からのKインク滴DR1の吐出を制御することにより、KノズルNZ1から吐出範囲AR0にKインク滴DR1を吐出する第一液滴吐出工程Sbが実施される。
【0070】
媒体ME0が浸透系媒体ME2である場合、テストパターンTP2に対応する第一領域AR1では、CLインク滴DR2が着弾すると
図3で示したようにCLインクLQ2として浸透系媒体ME2の内部に浸透する。その後、Kインク滴DR1が第一領域AR1に着弾すると、Kインク滴DR1の顔料が第一領域AR1の表面にとどまり、濃い第二ドットDT2が第一領域AR1に形成される。第二領域AR2では、CLインク滴DR2の記録濃度が低いためKインク滴DR1の顔料が浸透系媒体ME2の内部に浸透する。
図5に示すように背景画像IM1の発色が第一領域AR1の発色よりも弱くなるので、テストパターンTP2が明瞭に読み取られる。
【0071】
媒体ME0が非浸透系媒体ME1である場合、CLインク滴DR2が着弾しても
図6で示したように非浸透系媒体ME1の表面にとどまる。テストパターンTP2に対応する第一領域AR1では、非浸透系媒体ME1の表面においてCLインク滴DR2の記録濃度が高い。Kインク滴DR1が第一領域AR1に着弾すると、Kインク滴DR1の顔料が非浸透系媒体ME1の表面にとどまっているCLインクLQ2により即座に凝集し、小さい第二ドットDT2が第一領域AR1に形成される。第二ドットDT2が小さいため、テストパターンTP2の発色が少ない。第二領域AR2では、RD3<RD2<RD1であること、つまり、0%<RDとなり、第二領域AR2にCLインク滴DR2が吐出されることにより、Kインク滴DR1の顔料が非浸透系媒体ME1の表面に広がって固定される。
図7に示すように、テストパターンTP2の領域の近傍が淡くなり難く、背景画像IM1の発色がテストパターンTP2の領域の発色よりも強くなるので、テストパターンTP2が明瞭に読み取られる。
以上より、媒体ME0の種類によらずCLインク滴DR2のテストパターンTP2が読み取り易くなる。
【0072】
コントローラー10は、
図4に示すように、CLインク滴DR2のテストパターンTP2の形成に加えて、Kインク滴DR1のテストパターンTP1の形成も制御する。これにより、テストパターンTP1が形成されるように、KノズルNZ1からKインク滴DR1が吐出される。読取部60がテストパターンTP1,TP2を読み取ると、コントローラー10は、送り方向D3におけるテストパターンTP1,TP2の位置を表す情報を読取結果から取得することができる。そこで、コントローラー10は、送り方向D3におけるテストパターンTP1,TP2の位置に基づいて、送り方向D3においてKインク滴DR1の着弾位置とCLインク滴DR2の着弾位置とが合うようにKインク滴DR1の吐出タイミングとCLインク滴DR2の吐出タイミングとを合わせることができる。
以上により、印刷ヘッド30Kのノズル列33と印刷ヘッド30CLのノズル列33とのノズル列間調整が行われる。従って、印刷ヘッド30CLが他の印刷ヘッド30から分かれていても、送り方向D3においてCLインク滴DR2の着弾位置を有色インク滴の着弾位置に合わせることができる。尚、上述したノズル列間調整が行われない場合、有色インク滴の着弾範囲に広いマージンを加えた吐出範囲にCLインク滴DR2を吐出する必要がある。上述したノズル間調整が行われることにより、前述のマージンを少なくさせることができ、CLインクLQ2の使用量を削減することができる。
【0073】
以上説明したように、本具体例の印刷装置1は、第一液滴の有色成分による発色を変化させる第二液滴のテストパターンTP2を媒体ME0の種類によらずに読み取り易くさせることができる。
【0074】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、プリンター2は、ライン式プリンターに限定されず、印刷ヘッド30を送り方向D3と交差する往方向及び復方向へ相対移動させるシリアル式プリンター等でもよい。
上述した処理を行う主体は、CPUに限定されず、ASIC等といったCPU以外の電子部品でもよい。むろん、複数のCPUが協働して上述した処理を行ってもよいし、CPUと他の電子部品(例えばASIC)とが協働して上述した処理を行ってもよい。
上述した処理の一部は、ホスト装置HO1が行ってもよい。この場合、コントローラー10とホスト装置HO1の組合せが制御部U1の例となり、プリンター2とホスト装置HO1の組合せが印刷装置1の例となる。
CLインクを除く液体の色の組合せは、C、M、Y、及び、Kに限定されず、オレンジ、グリーン、Cよりも低濃度のライトシアン、Mよりも低濃度のライトマゼンタ、Yよりも高濃度のダークイエロー、Kよりも低濃度のライトブラック、等を含んでいてもよい。むろん、印刷装置1がC、M、Y、及び、Kのいずれかの液体を使用しない場合にも、本技術を適用可能である。
【0075】
テストパターンTP2を含む吐出範囲AR0に吐出される第一液滴は、テストパターンTP2と背景画像IM1との濃淡の差が大きくなるKの液滴が好ましいものの、Cの液滴、Mの液滴、Yの液滴、等でもよい。従って、吐出範囲AR0に第一液滴を吐出する第一ノズルは、Kノズルに限定されず、Cの液滴を吐出するCノズル、Mの液滴を吐出するMノズル、Yの液滴を吐出するYノズル、等でもよい。
プリンター2は、吐出範囲AR0にKインク滴DR1といった第一液滴を着弾させる際、第一液滴が着弾した直後にCLインク滴DR2といった第二液滴が第一液滴に重なるように第一液滴を着弾させてもよい。
【0076】
テストパターンTP2に対応する第一領域AR1におけるCLインク滴DR2の第一記録濃度RD1は、100%に限定されず、99%等、第二記録濃度RD2よりも高い範囲で100%よりも低くてもよい。
媒体ME0が浸透系媒体ME2である場合において第二領域AR2におけるCLインク滴DR2の第三記録濃度RD3は、0%に限定されず、1%等、第二記録濃度RD2よりも低い範囲で0%よりも高くてもよい。
【0077】
CLノズルといった第二ノズルからの第二液滴の着弾位置を取得するためのテストパターンTP2は、ノズル列間調整パターンに限定されず、往方向への移動時と復方向への移動時とでCLインク滴DR2の着弾位置を合わせるための往復調整パターン等でもよい。
また、テストパターンTP2は、第二ノズルからの第二液滴の着弾状態を取得するためのノズルテストパターンでもよい。
【0078】
図11は、CLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の着弾状態を取得するためのテストパターンTP2を模式的に例示している。便宜上、媒体ME0の送り方向D3と交差する幅方向D1において異なる位置にあるn個のCLノズルNZ2を順に#1、#2、…、#n-1、#nと識別することにする。
図11に示すテストパターンTP2は、幅方向D1における各CLノズルNZ2の位置に対応する個別パターンTP2iを含んでいる。Kインク滴DR1の吐出範囲AR0は、個別パターンTP2iと背景画像IM1を含んでいる。個別パターンTP2iと背景画像IM1は、印刷ジョブが変わった時や、媒体ME0のロットが変わった時に、印刷される。各個別パターンTP2iは、送り方向D3へドットが連なった直線状のパターンである。幅方向D1において個別パターンTP2iとCLノズル#1~#nとの対応関係を分かり易く示すため、幅方向D1において隣り合うCLノズルNZ2のそれぞれに対応する個別パターンTP2iは送り方向D3においてずれた位置にある。
図11に示す例では、複数のCLノズルNZ2が均等に6グループに分けられて送り方向D3における位置がグループ同士で重ならないように個別パターンTP2iが配置されている。
【0079】
ここで、CLノズル#1~#nの内、CLノズル#dが吐出不良である不良ノズルNZ2dであり、残りのCLノズルが吐出正常である正常ノズルであるものとする。各正常ノズルからはCLインク滴DR2が正常に吐出されるので、各正常ノズルに対応する個別パターンTP2iが媒体ME0に形成される。一方、不良ノズルNZ2dからはCLインク滴DR2が正常に吐出されないので、不良ノズルNZ2dに対応する個別パターンTP2iは正常には形成されない。
図11には、媒体ME0において不良ノズルNZ2dに対応する箇所が欠落パターンTP2dとして示されている。ユーザーは、テストパターンTP2における欠落パターンTP2dを視認することにより、CLノズル#1~#nに含まれる不良ノズルNZ2dの位置及び個数を把握することができる。むろん、読取部60が個別パターンTP2iを読み取り、コントローラー10が読取部60による読取結果に基づいて不良ノズルNZ2dの位置及び個数を判別してもよい。
以上説明したように、
図11に示す例では、CLノズルNZ2からのCLインク滴DR2の着弾状態を取得するためのテストパターンTP2が媒体ME0の種類によらずに読み取り易くなる。
【0080】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、有色成分による発色を変化させる液滴のテストパターンを媒体の種類によらずに読み取り易くさせる技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1…印刷装置、2…プリンター、10…コントローラー、22…通信I/F、24…操作パネル、30,30C,30M,30Y,30K,30CL…印刷ヘッド、30a…ノズル面、33…ノズル列、34…ノズル、36…液体、37…液滴、38…ドット、40…チップ、50…搬送部、60…読取部、61…読取素子、71…発光部、72,73…受光部、80~82…吐出パターン、AR0…吐出範囲、AR1…第一領域、AR2…第二領域、D1…幅方向、D2…並び方向、D3…送り方向、DR1…Kインク滴(第一液滴の例)、DR2…CLインク滴(第二液滴の例)、DT1…第一ドット、DT2…第二ドット、HO1…ホスト装置、IM0…印刷画像、IM1…背景画像、IN1…媒体特定情報、LQ1…Kインク(第一液体の例)、LQ2…CLインク(第二液体の例)、ME0…媒体、ME1…非浸透系媒体(第一媒体の例)、ME2…浸透系媒体(第二媒体の例)、NZ1…Kノズル(第一ノズルの例)、NZ2…CLノズル(第二ノズルの例)、OUT1,OUT2…出力値、PX0…画素、RD1…第一記録濃度、RD2…第二記録濃度、RD3…第三記録濃度、RD4…Kインク記録濃度、Sa…第二液滴吐出工程、Sb…第一液滴吐出工程、TA1…媒体対応テーブル、TP1,TP2…テストパターン、U1…制御部、U2…媒体検出部。