(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172256
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】制御装置、制御装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241205BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/01 501
B41J2/175 121
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089843
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 紗月
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB29
2C056EC28
2C056EE18
2C056FC02
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】液体が撹拌された状態で液体交換タンクを交換する。
【解決手段】記録装置は、印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、バッファタンクに液体を供給する交換タンクと、を有し、液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御し、未使用交換タンクが装着された場合、未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示する表示制御手段と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、
未使用交換タンクが装着された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示する表示制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記未使用交換タンクが装着されたことを検知する制御手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記制御手段によって前記未使用交換タンクの装着が検知された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記液体が撹拌されたことが確認された場合、前記制御手段は前記未使用交換タンクから前記バッファタンクへ前記液体を供給する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
経過時間を計測するタイマーをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記液体の撹拌を確認する画面に、前記未使用交換タンクが装着されてからの経過時間を表示する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記タイマーが計測する経過時間が所定の時間に達した場合、前記表示制御手段は前記未使用交換タンクの液体の再撹拌を前記ユーザに通知する画面を表示する、ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認されない場合には前記未使用交換タンクのロックを解除せず、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認された場合には前記未使用交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記未使用交換タンクの液体の再撹拌を通知する画面に、前記未使用交換タンクが装着されてからの経過時間を表示する、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は前記液体の交換タンクが交換可能であると判定した場合、前記表示制御手段は前記液体の交換タンクの交換方法を説明する画面を表示する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記液体のバッファタンクは液体濃度を計測する濃度センサをさらに備え、
前記制御手段は前記濃度センサが示す値が所定の範囲内にあるか否かを判定する、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は前記濃度センサが示す値が所定の範囲内にないと判定した場合、前記制御手段は、前記液体を前記未使用交換タンクから前記液体のバッファタンクへ供給するのを中止し、前記表示制御手段は、前記未使用交換タンクの液体の再撹拌を通知する画面を表示する、ことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認されない場合には前記未使用交換タンクのロックを解除せず、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認された場合には前記未使用交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記液体の交換タンクが交換可能でない場合には前記液体の交換タンクをロックし、前記液体の交換タンクが交換可能である場合には前記液体の交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項13】
印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置の制御方法であって、
未使用交換タンクが装着された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示するステップと、
を備える、
ことを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録装置における液体タンク交換の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置において、印刷ヘッドユニットに液体を供給するために、交換用の交換タンクおよび記録装置内に設置されているバッファタンクのように複数の段階の液体タンクを備える構成が知られている。交換タンクが空になると新しい交換タンクと交換することによりバッファタンクに液体を供給し、バッファタンクから印刷ヘッドユニットに液体を常に供給可能な構成とすることで、連続印刷を可能とする。粘度が高く沈降しやすい液体の交換タンクを交換する場合は、液体の沈降を抑制するために液体を撹拌する必要がある。液体の撹拌は、装置が液体タンクを揺らして自動的に行う方法がある。しかし、手振りによる撹拌の場合、ユーザが液体の撹拌を忘れると、液体が沈降し液体濃度が低い液体がバッファタンクに供給される可能性がある。ユーザが液体の撹拌を忘れるのを抑制する技術の一つとして、撹拌すべき日までの日数をユーザインターフェース(以下、「UI」と称する)に表示して液体を撹拌する回数が減少しないようにする技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザによって液体が撹拌された状態で液体交換タンクを交換することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る記録装置は、印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、未使用交換タンクが装着された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、液体が撹拌された状態で液体交換タンクを交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】記録装置システムの機能構成を示すブロック図。
【
図3】バッファタンクおよび交換タンクの構成を示す図。
【
図4】液体の撹拌確認の制御を示すフローチャート。
【
図7】液体の撹拌確認の制御を示すフローチャート。
【
図9】液体の撹拌確認の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本開示を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本開示の解決手段に必須のものとは限らない。尚、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、フローチャートにおける各工程(ステップ)については「S」で始まる符号を用いて示す。
【0009】
本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また「記録」とは、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に、画像、模様、パターン等を形成、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。したがって、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、あるいはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0010】
本実施形態に記載されているリモートUIとは、記録装置本体備え付けのUI操作パネルで表示するUIと同じネットワーク上からアクセス可能な、記録装置本体から離れた場所からUI操作パネルとは別の端末で操作するUIのことである。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における記録装置システムの装置構成の一例を示した図である。記録装置システム100(記録装置100)は、本実施形態において使用する連続した記録可能な連続紙130(以下、「ロール紙」と称する)に画像を記録する装置である。記録装置システム100は、制御用PC101、UI操作パネル102、ロール紙130を搬送する給紙ユニット103、特色印刷を行う第1室104、基本色印刷を行う第2室105、ロール紙130の巻き取りを行う排紙ユニット106を含む。なお本実施形態における記録装置はインクジェット記録装置とするが、液体トナーなどの液体を用いた電子写真方式の記録装置であってもよい。
【0012】
制御用PC101は記録装置システム100の各種制御を行うPCである。UI操作パネル102は装置の状態を表示して操作者に通知すると共に、操作者の操作指示に応じて記録装置システム100を制御するための機構である。UI操作パネル102は制御用PC101に接続されている。給紙ユニット103は、ロール紙130を第1室104および第2室105に供給する装置である。給紙ユニット103は、回転軸109を中心にロール紙130の紙管を回転させてその紙管に巻かれているロール紙130を、搬送ローラ、給紙ローラなどの複数ローラを経由して、一定の速度で第1室104および第2室105に向けて搬送する。排紙ユニット106は、第1室104および第2室105から搬送されてきたロール紙130を、紙管を中心としてロール状に巻き取る装置である。排紙ユニット106は、回転軸118を中心に回転させて紙管に搬送されてきたロール紙130を、搬送ローラ、排紙ローラなどの複数のローラを経由して、一定の速度で回転軸118にロール紙130の印刷物として巻き取る。
【0013】
印刷開始前に、給紙ユニット103から、排紙ユニット106へロール紙130を通す。給紙ユニット103にロール紙130をセットして、ロール紙130の先端を斜行補正ユニット110の上に通す。次に、ロール紙130は第1室104の第1印刷ヘッドユニット107(第1印刷ヘッドデバイス)の下を通る。続けて、ロール紙130は乾燥ユニット111の上を通り、冷却ユニット112の上を通る。ロール紙130は第2室105のタイミングマーク検知ユニット113の下を通して、第2印刷ヘッドユニット108の(第2印刷ヘッドデバイス)下を通る。その後、ロール紙130は乾燥ユニット114の上を通り、冷却ユニット115の上を通る。ロール紙130はスキャナユニット116を通り、測色ユニット117の下を通り、排紙ユニット106に搬送される。
【0014】
ロール紙130を記録装置システム100内に通した後、記録装置システム100の制御用PC101に印刷ジョブが投入される。印刷ジョブが投入された後、UI操作パネル102において印刷スタートボタンが押下されると印刷が開始される。第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108はロール紙130に液体(インク)を吐出することで画像を形成する。第1印刷ヘッドユニット107へはWバッファタンク107aから液体が供給される。Wバッファタンク107aへはW交換タンク107bから液体が供給される。第2印刷ヘッドユニット108へは液体の色毎のバッファタンク108aから液体が供給される。バッファタンク108aへは交換タンク108bから液体が供給される。ユーザが交換タンク107bおよび108bを交換することにより、液体は第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108に供給される。なお交換タンク107bおよび108bを交換するためには、当該箇所の蓋を開ける必要があり、タンク交換完了後に蓋を閉じることで交換作業を完了する。蓋にはロック機構が備えられており、交換可能なタイミング以外での交換は実行できないよう制御されている。
【0015】
図2は、本実施形態における記録装置システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。記録装置システム100は、記憶部201、制御部202、操作表示部203、画像解析部204、画像形成部205、通信部206、用紙搬送部207、給紙部208、排紙部209、検査部210、および測色部211を備える。記憶部201、操作表示部203、画像解析部204、画像形成部205、通信部206、用紙搬送部207、給紙部208、排紙部209、検査部210、および測色部211は、制御部202によって制御される。
【0016】
記憶部201は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等により構成される。記憶部201には、制御部202のCPUで実行されるシステムプログラムおよび処理プログラムなどの各種プログラム、並びにこれらのプログラムの実行に必要な各種データが記憶されている。
【0017】
制御部202は、制御用PC101であり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを含む。制御部202のCPUは、記憶部201に記憶されているシステムプログラムおよび処理プログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部202のCPUは、ユーザの指示に応じて、印刷ジョブ(以下、「ジョブ」と称する)を実行する画像形成処理を行うことが可能である。記録装置システム100を構成する各機能は制御部202のCPUの指示に基づき制御される。
【0018】
操作表示部203は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)で構成され、表示部203aおよび操作部203bを含む。表示部203aは、制御部202のCPUから入力される表示制御信号に従って、UI画面上に各種情報の表示を行う。操作部203bは、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを含み、ユーザによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部202のCPUに出力する。操作部203bからユーザ入力することにより、使用する用紙、印刷速度の情報、印刷枚数、印刷部数、印刷長さ等のいずれの条件を任意で設定することが可能である。表示部203aはバッファタンク107aおよび108aの液体残量、給紙ユニット103のロール紙残量、排紙ユニット106のロール紙空き容量を表示すると共に補給作業等の要否を表示することが可能である。具体的には、操作表示部203は、UI操作パネル102で実現される。
【0019】
画像解析部204は、出力指示を受けた印刷データに対して、解析処理、レンダリング処理、スクリーン処理を行い、記録装置システム100において印刷可能となるような出力形式へ変換する。画像形成部205は、第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108を介してロール紙130への画像の印刷を制御する。通信部206は、例えばLAN(Local Area Network)カードなどの通信制御カードで構成される。そして、LAN、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。
【0020】
用紙搬送部207は、記録装置システム100内部のロール紙130の搬送機構を制御する。用紙搬送部207は、複数のローラによって、給紙ユニット103から搬送されたロール紙130を第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108を経由して、排紙ユニット106へ搬送する。給紙部208は、給紙ユニット103を制御する。排紙部209は、排紙ユニット106を制御する。
【0021】
検査部210は、ロール紙130に吐出不良なく印刷できているかを確認するスキャナユニット116を制御する。検査部210は、第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108により印刷された吐出不良検査用のパターンをスキャナユニット116で読み取ることにより印刷された画像に吐出不良がないかを確認する。検査部210において吐出不良を検出した場合には、制御部202のCPUは記録装置システム100を停止させる。検査方法については、検査パターンを印刷してスキャナユニット116で読取る方法、印刷画像をカメラまたはスキャナで直接読取って検査する方法、ノズルからの吐出状況を監視する方法等、様々な方法がある。本実施形態では、検査パターンを印刷してスキャナユニット116で読取る方法で吐出不良がないか確認を行う構成を採用している。
【0022】
測色部211は、測色ユニット117を制御し、ロール紙130上から、制御部202のCPUによって指示された箇所を測色して色情報を取得する。なお、測色ユニット117はロール紙130の搬送方向および搬送方向の直交方向に移動可能であり、ロール紙130上の画像に限らず任意の箇所を測色することが可能である。また、測色ユニット117が測色するためには、ロール紙130の測色対象となる領域として、縦横共に1cm以上の正方形が同一の色で印刷されている必要がある。
【0023】
記録装置システム100においてロール紙130に画像形成処理を行う場合の動作について説明する。まず、ユーザは、ジョブの投入を行う。ユーザは外部装置においてジョブの画像データを作成し、ジョブの印刷設定を行い、通信ネットワークを介してこれらの情報を記録装置システム100に送信する。次に、記録装置システム100の制御部202のCPUは、通信部206を介して、外部装置から送信されたジョブの画像データ、ジョブの印刷設定情報及び納品巻数情報などが含まれたジョブチケットを受け付ける。これによりジョブの投入が完了する。投入されたジョブは画像解析部204により解析される。具体的にはジョブチケットの情報を抽出すると共に画像データから画素データを抽出し、印刷設定を反映した印刷物となるよう、画素位置毎に第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108で印刷可能な液体色に分解する。
【0024】
投入されたジョブの印刷が開始されると、ロール紙130は
図1で説明した経路を搬送し、制御部202のCPUは画像形成部205を介して第1印刷ヘッドユニット107にてタイミングマークおよび下地を印刷する。ロール紙130の搬送に伴い、乾燥ユニット111および冷却ユニット112を経由してロール紙130に印刷されたタイミングマークおよび下地がタイミングマーク検知ユニット113に到達する。タイミングマーク検知ユニット113がタイミングマークを検知したタイミングに基づいて制御部202のCPUはロール紙130に印刷を開始するタイミングを判定し、第2印刷ヘッドユニット108にて印刷を行う。印刷されたロール紙130がスキャナユニット116に到達すると、検査部210は前述した通り吐出不良がないかを確認する。印刷されたロール紙130が測色ユニット117に到達すると、測色部211は前述した通り、制御部202のCPUに指示されたロール紙130上の箇所を測色する。
【0025】
最後に、ロール紙130は
図1において説明した経路を搬送され、排紙ユニット106に巻き取られる。制御部202のCPUは、交換タンク107bおよび108bから第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108までの液体供給制御、交換タンク107bおよび108bの交換作業に関する機構、およびUI画面を制御する。
【0026】
図3は、バッファタンクおよび交換タンクの構成を示す図である。第2印刷ヘッドユニット108は撹拌が不要な液体であるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(以下、「C、M、Y、K」と呼ぶ)の各色を吐出する装置であり、各々の色のバッファタンク108aと接続している。バッファタンク108a内の液体は第2印刷ヘッドユニット108に供給され、バッファタンク108aの液体残量が空にならない限り印刷を継続できる構成である。バッファタンク108aは各々の交換タンク108bと接続しており、交換タンク108b内部の液体は適宜バッファタンク108aへと供給される。バッファタンク108aには残量センサ108cが搭載されておりバッファタンク内の液体残量を取得する。交換タンク108bには残量センサ108dが搭載され、残量センサ108dは交換タンク108b内に液体が残っているか否かを取得する。このように交換タンク108b内部の液体はバッファタンク108aを経由して第2印刷ヘッドユニット108へ供給される。印刷が継続すると最初に交換タンクの液体残量が空になる構成である。空になった交換タンク108bはユーザにより未使用交換タンク108bに交換される。なお、交換タンク1個分の液体容量は、バッファタンクが収容可能な液体容量の20%である。なお、この数値はあくまでも例示であり、この数値以外の値であっても良い。
【0027】
第1印刷ヘッドユニット107は撹拌が必要な、沈降成分を含む液体である白バッファタンク107a(以下、「Wバッファタンク107a」と呼ぶ)と接続している。Wバッファタンク107aはW交換タンク107bと接続している。Wバッファタンク107aには残量センサ107cが搭載され、残量センサ107cはWバッファタンク内の液体残量を取得する。Wバッファタンク107aにW交換タンク107b1個分以上の空き容量がある場合、W交換タンク107bはユーザにより未使用W交換タンク107bに交換される。交換された未使用W交換タンク107bのW液体の全量はWバッファタンク107aへ供給される。ここで、W液体の全量とは、W交換タンク107b内に残留物がある場合も含まれる。撹拌ユニットを有さないW交換タンク107bを交換直後に使い切ることにより、W交換タンク107b内でW液体の分離および沈降は発生しない。なお、W交換タンク1個分の液体容量は、Wバッファタンクが収容可能な液体容量の20%である。この数値はあくまでも例示であり、この数値以外の値であっても良い。また、Wバッファタンク107aの内部には撹拌ユニット107eが備わっている点、および、W交換タンク107bが2個存在する点がC、M、Y、Kのタンク構成とは異なる。W交換タンク107bは本実施形態では2個であるが、これは例示に過ぎない。W交換タンク107bは3個以上であっても良い。
【0028】
図4は、液体の撹拌確認の制御を示すフローチャートである。
図4に示されるフローチャートの開始トリガは、S401において、制御部202のCPUが、交換タンク107bまたは108bの空を検知することである。S402において、制御部202のCPUは、UI操作パネル102に液体交換警告を表示し、処理はS403に進む。S403において、制御部202のCPUは、液体交換の指示が出されている交換タンク107bまたは108bのロックを解除する。当該交換タンクは、交換可能な状態となり、処理はS404に進む。S404において、制御部202のCPUが未使用交換タンクの装着を検知し、処理はS405に進む。S405において、制御部202のCPUは、交換タンクが装着された交換タンクをロックし、処理はS406に進む。交換タンクをロックするタイミングは、S404の交換タンク装着の検知後に限られない。
【0029】
S406において、制御部202のCPUは、装着された未使用交換タンクがW液体か否かを判定する。装着された未使用交換タンクがカラー用の交換タンク108bと判定された場合には、処理はS407に進む。装着された交換タンクがW交換タンク107bと判定された場合には、処理S408に進む。S407において、装着された未使用交換タンクからバッファタンク107aまたは108aへの液体供給が開始される。バッファタンク107aまたは108aへの液体供給が完了すると、
図4に示されるフローチャートの処理は完了する。
【0030】
S408において、制御部202のCPUはUI操作パネル102に未使用交換タンク内の液体が撹拌されたことを確認する画面を表示し、処理はS409に進む。液体撹拌の確認画面には、タイマーにより計測された、未使用交換タンクを装着してからの経過時間も表示される。液体撹拌の確認画面は、リモートUIにおいても表示することができる。リモートUIでは、ユーザが任意のタイミングで液体撹拌の確認画面を表示することができる。S409において、制御部202のCPUがUI操作パネル102またはリモートUIにおいてYESボタンが押下されたことを検知した場合には、処理はS407に進む。S409において、制御部202のCPUがUI操作パネル102またはリモートUIにおいてNOボタンが押下されたことを検知した場合には、処理はS403に戻る。S403において、当該未使用交換タンクのロックが解除され、再度交換タンクの交換が可能となる。S409において、制御部202のCPUはYESボタンの押下またはNOボタンの押下を受信しない場合には、処理はS410に進む。S410において、制御部202のCPUは液体撹拌の確認画面を表示してから所定時間が経過したかを判定する。所定時間が経過した場合には、処理はS411に進む。所定時間が経過していない場合には、処理はS409に戻る。
【0031】
S411において、制御部202のCPUはUI操作パネル102に未使用交換タンクの液体の再撹拌の警告画面を表示し、処理はS412に進む。ここで、液体撹拌の確認画面と同様に交換タンクを装着してからの経過時間を液体再撹拌の警告画面に表示しても良い。S412において、制御部202のCPUがOKボタンの押下を受信した場合には、処理はS403に戻る。S403において、当該未使用交換タンクのロックが解除され、再度交換タンクの交換が可能となる。S412において、制御部202のCPUがOKボタンの押下を受信しない場合には、処理はS413に進む。S413において、制御部202のCPUはバッファタンク107aが空であるかを判定する。バッファタンク107aが空である場合には、処理はS414に進む。バッファタンク107aが空ではない場合には、処理はS411に戻る。S412からS413へ処理が進む際に、印刷処理が実行され、バッファタンク107aからW液体が消費される。S414において、制御部202のCPUは印刷処理を停止し、
図4に示されるフローチャートの処理は終了する。
【0032】
図5は、本実施形態における液体撹拌の確認画面のUI表示を示す図である。本実施形態では、ポップアップ画面を想定しているが、これに限られない。
図4のS408において液体撹拌の確認画面を表示する際、UI操作パネル102に液体撹拌の確認画面500が表示される。液体撹拌の確認画面500上には、未使用交換タンク装着後の経過時間501を表示する。また、「YES」ボタン502およびと「NO」ボタン503が液体撹拌の確認画面500上に配置される。「YES」ボタン502が押下されると、装着した未使用交換タンクからバッファタンクへ液体が供給される。「NO」ボタン503が押下されると、未使用交換タンクのロックが解除され、再度交換タンクの交換が可能となる。「YES」ボタン502と「NO」ボタン503は常時押下することが可能である。「YES」ボタンまたは「NO」ボタンが押下されると、液体撹拌の確認画面500は閉じられ、液体撹拌の確認画面500を表示する前の画面に遷移する。ボタンが押下されない場合は、交換タンク装着後の経過時間501が所定時間を経過するまで液体撹拌の確認画面500が表示される。
【0033】
図6は、本実施形態における液体再撹拌の警告画面のUI表示を示す図である。本実施形態では、ポップアップ画面を想定しているが、これに限られない。
図4のS411において液体撹拌の確認画面を表示する際、UI操作パネル102に液体再撹拌の警告画面600が表示される。液体再撹拌の警告画面600上には、「OK」ボタン601が液体再撹拌の警告画面600上に配置される。「OK」ボタン601が押下されると、未使用交換タンクのロックが解除され、再度交換タンクの交換が可能となる。「OK」ボタンは常時押下することが可能である。「OK」ボタンが押下されると、液体再撹拌の警告画面600が閉じられ、液体再撹拌の警告画面600を表示する前の画面に遷移する。ボタンが押下されない場合は、記録装置がバッファタンクの空を検知して印刷停止となるまで液体再撹拌の警告画面600は表示される。液体再撹拌の警告画面600上には、交換タンク装着後の経過時間を表示しても良い。ユーザは、経過時間を確認することにより未使用交換タンクを振る程度を決定することが可能となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、液体が撹拌された状態で液体交換タンクを交換することが可能となる。
【0035】
[第2実施形態]
第1実施形態において交換タンクを交換する前に、液体の撹拌および交換タンクを交換した後液体の撹拌を実行したことをUI画面上でユーザに確認させることで、ユーザの液体撹拌忘れを抑制することができる。
【0036】
図7は、本実施形態における液体撹拌確認の制御を示すフローチャートである。S701からS714までは前述のS401からS414までと同一のフローである。S702において、制御部202のCPUはUI操作パネル102に液体交換警告を表示し、処理はS715に進む。S715において、制御部202のCPUは空の交換タンクがW交換タンク107bであるか否かを判定する。空の交換タンクがカラー液体の交換タンク108bであると判定された場合には、処理はS703に進む。空の交換タンクがW交換タンク107bであると判定された場合には、処理はS716に進む。S716において、制御部202のCPUは、UI操作パネル102に液体交換方法の説明画面を表示する。S716において、制御部202のCPUがOKボタンの押下を受信した場合、処理はS703に進む。以降の処理は、
図4のフローチャートの処理と同一である。
【0037】
図8は、本実施形態における交換タンクの交換方法の説明画面のUI表示を示す図である。本実施形態では、ポップアップ画面を想定しているが、これに限られない。S716において、交換タンクの交換方法の説明画面を表示する際、制御部202のCPUはUI操作パネル102に交換タンクの交換方法の説明画面800を表示する。交換タンクの交換方法の説明画面800上には、「OK」ボタン801が配置される。「OK」ボタン801が押下されると、W交換タンク107bのロックが解除され、W交換タンク107bの交換が可能となる。「OK」ボタン801は常時押下することが可能であり、「OK」ボタン801が押下されると交換タンクの交換方法の説明画面800は閉じられ、交換タンクの交換方法の説明画面800を表示する前の画面に遷移する。「OK」ボタン801が押下されるまで、交換タンクの交換方法の説明画面800が表示される。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、液体が撹拌された状態で液体交換タンクを交換することが可能となる。また、W交換タンクが空であると判定された後に、W交換タンクの交換方法の説明画面を表示することによりユーザビリティが向上する。
【0039】
[第3実施形態]
第3実施形態では、液体供給後に液体の濃度チェックを行い、濃度が適切でない場合に液体再撹拌の警告画面をUI操作パネルに表示する。
【0040】
図9は、第3実施形態における液体撹拌確認の制御を示すフローチャートである。S901からS914までは前述のS401からS414までと同一のフローである。S909において、「YES」ボタンが押下された場合、処理はS906に進む。S906において、未使用W交換タンク107bからWバッファタンク107aへW液体が供給され、処理はS915に進む。S915において、制御部202のCPUは、Wバッファタンク107a内に配置された、液体濃度を計測する濃度センサ107f(不図示)からW液体の濃度を取得し、処理はS916に進む。S916において、制御部202のCPUは、W液体の濃度が所定の範囲内にあるか否かを判定する。W液体の濃度が所定の範囲内にあると判定した場合には、
図9に示されるフローチャートの処理は終了する。W液体の濃度が所定の範囲内にないと判定した場合には、制御部202のCPUはW液体を未使用W交換タンク107bからWバッファタンク107aへ供給するのを中止し、処理はS911に進む。以降の処理は、
図4のフローチャートの処理と同一である。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、液体が撹拌された状態で液体交換タンクを交換することが可能となる。また、W液体の供給した後にW液体の濃度をチェックするため、ユーザは早期に未使用W交換タンクの撹拌忘れを認識することが可能になる。これにより、ユーザビリティが向上する。
【0042】
[その他の実施形態]
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0043】
上述した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0044】
(構成1)印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、未使用交換タンクが装着された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示する表示制御手段と、を備える、ことを特徴とする制御装置。
【0045】
(構成2)前記未使用交換タンクが装着されたことを検知する制御手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記制御手段によって前記未使用交換タンクの装着が検知された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示することを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0046】
(構成3)前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記液体が撹拌されたことが確認された場合、前記制御手段は前記未使用交換タンクから前記バッファタンクへ前記液体を供給する、ことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0047】
(構成4)経過時間を計測するタイマーをさらに備え、前記表示制御手段は、前記液体の撹拌を確認する画面に、前記未使用交換タンクが装着されてからの経過時間を表示する、ことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0048】
(構成5)前記タイマーが計測する経過時間が所定の時間に達した場合、前記表示制御手段は前記未使用交換タンクの液体の再撹拌を前記ユーザに通知する画面を表示する、ことを特徴とする構成4に記載の制御装置。
【0049】
(構成6)前記制御手段は、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認されない場合には前記未使用交換タンクのロックを解除せず、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認された場合には前記未使用交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする構成5に記載の制御装置。
【0050】
(構成7)前記表示制御手段は、前記未使用交換タンクの液体の再撹拌を通知する画面に、前記未使用交換タンクが装着されてからの経過時間を表示する、ことを特徴とする構成5に記載の制御装置。
【0051】
(構成8)前記制御手段は前記液体の交換タンクが交換可能であると判定した場合、前記表示制御手段は前記液体の交換タンクの交換方法を説明する画面を表示する、ことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0052】
(構成9)前記液体のバッファタンクは液体濃度を計測する濃度センサをさらに備え、前記制御手段は前記濃度センサが示す値が所定の範囲内にあるか否かを判定する、ことを特徴とする構成3に記載の制御装置。
【0053】
(構成10)前記制御手段は前記濃度センサが示す値が所定の範囲内にないと判定した場合、前記制御手段は、前記液体を前記未使用交換タンクから前記液体のバッファタンクへ供給するのを中止し、前記表示制御手段は、前記未使用交換タンクの液体の再撹拌を通知する画面を表示する、ことを特徴とする構成9に記載の制御装置。
【0054】
(構成11)前記制御手段は、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認されない場合には前記未使用交換タンクのロックを解除せず、前記ユーザによって前記表示制御手段を介して前記未使用交換タンクの液体の再撹拌の通知が確認された場合には前記未使用交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする構成10に記載の制御装置。
【0055】
(構成12)前記制御手段は、前記液体の交換タンクが交換可能でない場合には前記液体の交換タンクをロックし、前記液体の交換タンクが交換可能である場合には前記液体の交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0056】
(構成13)印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置の制御方法であって、未使用交換タンクが装着された場合、前記未使用交換タンク内の液体が撹拌された状態であることをユーザに確認する画面を表示するステップと、を備える、ことを特徴とする制御装置の制御方法。
【0057】
(構成14)コンピュータを、構成1乃至12のいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。