(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172261
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】安全管理システム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20241205BHJP
B66C 23/88 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C23/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089852
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】北川 博一
(72)【発明者】
【氏名】畑本 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】北原 成郎
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205AA07
3F205BA06
(57)【要約】
【課題】吊荷に対する作業員の位置を正確に把握して作業員の安全性を確保する。
【解決手段】
安全管理システム1は、クレーン2のフック2cの吊具座標を取得する測位装置3と、フック2cから離間して現場画像110を撮影する撮影装置4と、基準位置102の基準座標と撮影装置4の撮影座標とを記憶する記憶部11と、撮影座標及び基準座標と現場画像110の基準位置102の検出結果とに基づいて現場画像110の各位置の二次元座標を示し危険範囲103を含む二次元マップ120を作成する二次元マップ作成部20と、人物画像の学習データで現場画像110から人物のオブジェクトを検出しオブジェクトの位置情報と二次元マップ120とに基づいて人物座標を算出する人物検出部21と、危険範囲103に人物座標が存在するかを判定する危険判定部22と、危険範囲103に人物座標が存在する場合に警報を報知する警報報知部23とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場に設置されるクレーンの安全管理システムであって、
前記クレーンの吊具に設けられ、衛星測位システムによって前記吊具の二次元方向の吊具座標を取得する吊具座標取得部と、
前記吊具から離間して設けられ、前記吊具の下方を含む撮影範囲の現場画像を撮影する撮影部と、
前記作業現場に予め設定された基準位置の二次元方向の基準座標と、前記撮影部の三次元方向の撮影座標及び撮影方向を示す撮影角度とを予め記憶する記憶部と、
前記撮影座標及び前記撮影角度並びに前記基準座標と、前記現場画像における前記基準位置の検出結果とに基づいて、前記現場画像における各位置の二次元座標を示す二次元マップであって、前記吊具座標の周囲の危険範囲を含む二次元マップを作成する二次元マップ作成部と、
人工知能を用いて学習させた人物画像の学習データによって前記現場画像から人物のオブジェクトを検出し、前記現場画像における前記オブジェクトの位置情報と前記二次元マップとに基づいて、前記オブジェクトの人物の二次元方向の人物座標を算出する人物検出部と、
前記二次元マップにおける前記危険範囲に前記人物座標が存在するか否かを判定する危険判定部と、
前記危険範囲に前記人物座標が存在すると判定された場合に警報を報知する警報報知部と、
を備えることを特徴とする安全管理システム。
【請求項2】
前記二次元マップ及び前記現場画像を表示する表示部を更に備え、
前記表示部は、前記二次元マップを表示する際に、前記危険範囲を示す範囲標識と、前記人物座標を示す人物標識とを前記二次元マップに重ねて表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の安全管理システム。
【請求項3】
前記人物検出部は、検出した前記オブジェクトに識別情報を設定し、
前記表示部は、前記二次元マップにおいて、前記オブジェクトの前記人物座標の前記人物標識に当該オブジェクトの識別情報を付して表示し、また、前記現場画像において、前記オブジェクトに当該オブジェクトの識別情報を付して表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の安全管理システム。
【請求項4】
前記危険判定部は、前記二次元マップにおいて前記危険範囲内に前記人物座標が存在するか否かを判定し、また、前記危険範囲外で且つ前記危険範囲の周囲の注意範囲内に前記人物座標が存在するか否かを判定し、
前記警報報知部は、前記危険範囲内に前記人物座標が存在する場合と前記注意範囲内に前記人物座標が存在する場合とで異なる警報を報知する
ことを特徴とする請求項1に記載の安全管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン及び移動式クレーンの吊荷直下の安全を管理する安全管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンを用いて吊荷を吊り下げて運搬する作業では、吊荷の落下による事故を防止するために、吊荷の下方に危険範囲を設定して、危険範囲内に作業者が侵入しないようにする必要がある。
【0003】
なお、特許文献1の警報システムでは、制御部が、揚重装置に吊り下げられた吊り荷の現在位置に関する情報を取得し、吊り荷の現在位置に基づいて注意喚起エリアを特定し、作業員の現在位置に関する情報を取得し、作業員の現在位置が注意喚起エリアに含まれる警報候補者を特定し、警報候補者の作業内容を特定し、作業内容に基づいて警報対象者を特定し、警報対象者の携帯端末に対して、警報を送信する。この警報システムでは、作業員の携帯端末の測位装置から、作業員の現在位置情報を取得する。あるいは、この警報システムでは、タワークレーンのジブの先端に、立入禁止区域を撮影するカメラを設けて、画像認識によって立入禁止区域内の作業員を特定する。
【0004】
また、特許文献2の警告制御装置は、監視エリア内の作業員の位置情報を受信する作業員位置受信部と、クレーンのブームの先端の位置情報を受信するブーム位置受信部と、ブームの先端から落下した吊り荷によって生じる災害の危険範囲を決定する決定部と、作業員の複数地点の位置情報に基づいて当該作業員の移動位置を推測する推測部と、推測部による推測結果が、危険範囲に入ると推測された場合に、警告装置を用いて警告を行う警告部と、を備える。この警告制御装置では、作業員位置検出装置は、作業ヤードを見渡せる位置に設けられた深度情報を持ったカメラやステレオカメラにより撮影された画像を認識することにより、予め定められた時間間隔で作業員の位置情報を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-060837号公報
【特許文献2】特開2022-135525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような従来技術のシステムでは、タワークレーンのジブの先端にカメラを設けているので、カメラから見て吊荷を挟んで吊荷の下方の立入禁止区域を撮影することになる。そのため、カメラによる立入禁止区域の撮影は、吊荷によって遮られるので、立入禁止区域域内の作業員を撮影することができない。従って、立入禁止区域域内の作業員の現在位置を正確に特定することは困難である。
【0007】
また、特許文献2のような従来技術のシステムでは、作業ヤードを見渡せる位置に設けられたカメラによって画像を撮影しているが、当該画像を認識するだけで作業員の位置情報を検出することはできない。なお、画像にクレーンと作業員とが写っている場合には、画像上でのクレーンと作業員との位置関係を把握することはできるが、水平方向における実際のクレーンの位置に対する実際の作業員の位置を正確に特定することはできない。特許文献2では、作業員の複数地点の位置情報に基づいて当該作業員の移動位置を推測するとしているが、そもそも作業員の複数地点の位置情報を正確に特定することができないので、作業員の移動位置を推測することはできない。
【0008】
上記したように、従来技術のシステムでは、クレーンに吊り下げられた吊荷に対する作業員の水平方向の位置を正確に把握することができないので、作業員が吊荷の直下の危険範囲に存在するか否かを正確に判定することができず、作業員の安全性を確保することができない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、吊荷に対する作業員の位置を正確に把握して作業員の安全性を確保することができる安全管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の安全管理システムは、作業現場に設置されるクレーンの安全管理システムであって、前記クレーンの吊具に設けられ、衛星測位システムによって前記吊具の二次元方向の吊具座標を取得する吊具座標取得部と、前記吊具から離間して設けられ、前記吊具の下方を含む撮影範囲の現場画像を撮影する撮影部と、前記作業現場に予め設定された基準位置の二次元方向の基準座標と、前記撮影部の三次元方向の撮影座標及び撮影方向を示す撮影角度とを予め記憶する記憶部と、前記撮影座標及び前記撮影角度並びに前記基準座標と、前記現場画像における前記基準位置の検出結果とに基づいて、前記現場画像における各位置の二次元座標を示す二次元マップであって、前記吊具座標の周囲の危険範囲を含む二次元マップを作成する二次元マップ作成部と、人工知能を用いて学習させた人物画像の学習データによって前記現場画像から人物のオブジェクトを検出し、前記現場画像における前記オブジェクトの位置情報と前記二次元マップとに基づいて、前記オブジェクトの人物の二次元方向の人物座標を算出する人物検出部と、前記二次元マップにおける前記危険範囲に前記人物座標が存在するか否かを判定する危険判定部と、前記危険範囲に前記人物座標が存在すると判定された場合に音声や光源等の警報を報知する警報報知部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吊荷に対する作業員の位置を正確に把握して作業員の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る安全管理システムを示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の例を示す概要図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の例を示す概要図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の現場画像の例を示す正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の現場画像の例を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の二次元マップの例を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の二次元マップの例を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の現場画像の例を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける作業現場の現場画像の例を示す正面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る安全管理システムにおける動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態の安全管理システム1について説明する。
図1は、安全管理システム1を示すブロック図である。
【0014】
安全管理システム1は、作業現場100に設置されるクレーン2の吊荷直下の安全を管理するシステムであり、クレーン2の位置情報を取得する測位装置3と、クレーン2の作業状況を撮影する撮影装置4と、角度計4aと、クレーン2の安全を管理する管理ユニット5と、警報出力部6とを備える。安全管理システム1は、管理ユニット5によって安全管理ソフトウェアを実行することにより作業現場100の安全管理を行う。
【0015】
クレーン2は、作業現場100の定位置に設置されて、資機材等の吊荷を吊り下げて運搬するものである。
図2及び
図3では、移動式クレーン2を例示しているが、本発明は、他のクレーンに適用されてもよい。
図2(a)及び
図3(a)は、クレーン2の設置される作業現場100の例を側方から見た概要図であり、
図2(b)及び
図3(b)は、クレーン2の設置される作業現場100の例を上方から見た概要図である。例えば、クレーン2は、
図2に示すように、作業現場100の地上の作業領域上で吊荷を吊り下げるために設置されてもよく、あるいは、
図3に示すように、作業現場100の地上から下方に掘削された立坑101内の作業領域上で吊荷を吊り下げるために設置されてもよい。クレーン2は、少なくとも、ブーム2aと、ブーム2aの先端のシーブに巻き回されて下方へと繰り出し可能なロープ2bと、ロープ2bに吊り下げられるフック2c(吊具)とを備える。
【0016】
測位装置3は、GNSS(衛星測位システム)から電波を受信して自身の現在位置を測定する衛星測位システムの受信装置である。測位装置3は、クレーン2のフック2cに取り付けられ、フック2cの現在位置として三次元方向の吊具座標を取得する吊具座標取得部として機能する。測位装置3は、フック2cの吊具座標を示す通信信号を管理ユニット5へと送信するために、所定のキャリア通信網を介して無線で通信信号を送信可能に構成される。測位装置3は、所定の時間間隔で(例えば、1秒に1回)吊具座標を示す通信信号を送信する。
【0017】
例えば、測位装置3は、クラウドサーバと通信可能に接続されて吊具座標を示す通信信号をクラウドサーバに送信して、クラウドサーバを介して通信信号を管理ユニット5へと送信してもよく、あるいは、測位装置3は、管理ユニット5と通信可能に接続されて吊具座標を示す通信信号を管理ユニット5へと送信してもよい。測位装置3は、例えば、クレーン2から電力の供給を受けて動作して、吊具座標の測定及び通信信号の送信を行う。
【0018】
撮影装置4は、作業現場100においてクレーン2のフック2cから水平方向に離間していて、フック2cの下方の作業領域を含む撮影範囲を撮影可能な固定位置に配置され、撮影範囲の現場画像110(
図4、
図5参照)を撮影する撮影部として機能する。固定位置の座標は予め測位されているものとする。撮影装置4は、例えば、GigEカメラ等の産業用カメラによって構成され、作業現場100において少なくとも1つ設けられる。例えば、撮影装置4は、
図2に示すように、クレーン2が作業現場100の地上の作業領域上で吊荷を吊り下げる場合には、地上の作業領域を含む撮影範囲を撮影可能な位置に配置され、
図4のような現場画像110を撮影する。また、撮影装置4は、
図3に示すように、クレーン2が作業現場100の立坑101内の作業領域上で吊荷を吊り下げる場合には、立坑101内の作業領域を含む撮影範囲を撮影可能な位置に配置され、例えば、立坑101内の中段に配置され、
図5のような中段の内側を撮影範囲とする現場画像110を撮影する。角度計4aは、撮影装置4に対して一体に取り付けられて、撮影装置4の撮影方向を示す撮影角度を計測する。
【0019】
撮影装置4は、例えば、支柱等の支持部材4bに固定され、支持部材4bには、雲台7に光源8が設けられている。光源8は、LEDやレーザー等の光を所定の照射先9に照射し、撮影装置4は、照射先9を含む撮影範囲を撮影する。雲台7は光源8と共に、支持部材4bに対して三次元方向に動作可能に構成される。測位装置3で測位された吊具座標に基づいて、吊荷の平面座標とキャリブレーションで取得したz座標(高さ)とからなる吊荷下位置を算出可能であり、光源8がこの吊荷下位置を照射先9として連続的に光を照射するように雲台7の動作を制御することができ、これにより、光源8が吊荷下位置を自動追尾することになる。光源8の照射先9である吊荷下位置及びその周囲に、後述する危険範囲103が設定される。
【0020】
撮影装置4は、有線LAN又は無線LANによって、好ましくはギガビット・イーサネットによって、管理ユニット5と通信可能に接続され、現場画像110を示す通信信号を管理ユニット5へと送信する。撮影装置4は、PoE等によって管理ユニット5から電力の供給を受けてもよく、あるいは、作業現場100における電源から電力の供給を受けてもよい。例えば、撮影装置4は、管理ユニット5によって安全管理ソフトウェアを実行している間に、管理ユニット5から電力の供給を受けて動作して、現場画像110の撮影及び通信信号の送信を行う。
【0021】
管理ユニット5は、安全管理システム1によって作業現場100を管理する管理者等のユーザーによって使用されるものである。管理ユニット5は、CPU等のコンピュータで構成される制御部10を備えている。制御部10は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部11や、測位装置3、撮影装置4及び警報出力部6と通信可能な通信部12に接続されている。管理ユニット5は、キーボードやポインティングデバイス等の操作部13、液晶ディスプレイ等の表示部14、スピーカ等の音声出力部15を備える。管理ユニット5は、撮影装置4から現場画像110を受信して録画する録画装置16、録画装置16で録画された現場画像110を入力する画像入力部17を備える。なお、録画装置16及び画像入力部17は、管理ユニット5に一体的に構成されていてもよく、あるいは、管理ユニット5とは別体で構成されていてもよい。
【0022】
記憶部11は、管理ユニット5の各部及び各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。本実施形態の安全管理システム1では、作業現場100に少なくとも1つの基準位置102を予め設定して、当該基準位置102の二次元方向の基準座標を衛星測位システムを用いて予め測定し、当該基準座標を記憶部11に予め記憶しておく。例えば、
図2(b)や
図3(b)に示すように、作業現場100の撮影装置4の撮影範囲において、好ましくは離間した4点に、あるいは離間した3点に基準位置102を設定し、各基準位置102の基準座標を測定して記憶部11に記憶する。
【0023】
なお、安全管理システム1は、作業員が衛星測位システムの受信装置によって基準位置102の基準座標を測定して管理ユニット5に入力することで基準座標を記憶部11に記憶してもよく、あるいは、基準位置102に備えた衛星測位システムの受信装置によって基準位置102の基準座標を測定して管理ユニット5に送信することで基準座標を記憶部11に記憶してもよい。
【0024】
また、本実施形態の安全管理システム1では、作業現場100における撮影装置4の二次元方向の撮影座標を衛星測位システムを用いて予め測定し、当該撮影座標を記憶部11に予め記憶しておく。なお、安全管理システム1は、作業員が衛星測位システムの受信装置によって撮影装置4の撮影座標を測定して管理ユニット5に入力することで撮影座標を記憶部11に記憶してもよく、あるいは、撮影装置4に備えた衛星測位システムの受信装置によって撮影装置4の撮影座標を測定して管理ユニット5に送信することで撮影座標を記憶部11に記憶してもよい。
【0025】
本実施形態の安全管理システム1では、作業現場100における撮影装置4の撮影方向を示す撮影角度を角度計4aを用いて予め測定し、当該撮影角度を記憶部11に予め記憶しておく。なお、安全管理システム1は、作業員が角度計4aによって撮影装置4の撮影角度を測定して管理ユニット5に入力することで撮影角度を記憶部11に記憶してもよく、あるいは、角度計4aによって計測した撮影装置4の撮影角度を撮影装置4が管理ユニット5にイーサネットを通じて送信することで撮影角度を記憶部11に記憶してもよい。
【0026】
制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、管理ユニット5の各部及び各種機能を制御する。例えば、本実施形態の制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムとして安全管理ソフトウェアを実行することにより、作業現場100の二次元マップ120(
図6、
図7参照)を作成する二次元マップ作成部20、作業現場100の人物を検出する人物検出部21、人物が危険範囲103(
図2、
図3参照)に存在するか否かを判定する危険判定部22、危険範囲103に存在する人物に警報を報知する警報報知部23、及び二次元マップ120や現場画像110を表示する表示制御部24として動作する。
【0027】
安全管理ソフトウェアは、人工知能(AI)を利用したAI監視機能をオン又はオフに設定することができる。AI監視機能がオンの場合、安全管理ソフトウェアは、二次元マップ作成部20、人物検出部21、危険判定部22、警報報知部23及び表示制御部24を実行する。一方、AI監視機能がオフの場合、安全管理ソフトウェアは、表示制御部24のみを実行し、現場画像110の表示のみを行う。
【0028】
二次元マップ作成部20は、基準位置102の二次元方向の基準座標と撮影装置4の二次元方向の撮影座標及び撮影方向を示す撮影角度とに基づいて、基準位置102と撮影装置4の撮影範囲とを含むように二次元マップ120(
図6、
図7参照)を作成する。また、二次元マップ作成部20は、二次元方向の基準座標と三次元方向の撮影座標及び撮影方向を示す撮影角度とに基づいて、撮影装置4から基準位置102までの実際の距離(実距離)を算出しておく。二次元マップ作成部20は、現場画像110から基準位置102を検出して、現場画像110における基準位置102の画素位置を算出し、当該画素位置に対応する実際の二次元方向の座標(実座標)として基準座標を割り当てる。二次元マップ作成部20は、撮影装置4から基準位置102までの実距離や、現場画像110における基準位置102の画素位置に割り当てた実座標(基準座標)等に基づいて、現場画像110における各位置(各画素位置)の二次元座標を算出可能となる。そして、二次元マップ作成部20は、基準位置102と撮影装置4の位置とを含み、現場画像110における各位置の二次元座標を示す二次元マップ120を作成する。
【0029】
このとき、二次元マップ作成部20は、クレーン2のフック2cの二次元方向(水平方向)の吊具座標を示す通信信号を測位装置3から受信し、当該吊具座標の周囲に設定された危険範囲103(
図2、
図3参照)を含むように二次元マップ120を作成する。二次元マップ作成部20は、例えば、吊具座標を中心とする所定の半径(例えば、5m)の円内を危険範囲103に設定する。なお、危険範囲103を構成する半径は、吊荷の大きさに応じて可変設定されてもよく、また、ユーザーによる任意の操作に応じて設定可能にしてもよい。
【0030】
人物検出部21は、人工知能を用いて学習させた人物画像の学習データによって、現場画像110から人物のオブジェクト(バウンディングボックス)を検出する。人物検出部21は、人物として検出したオブジェクト毎に人物識別情報(例えば、検出した順の番号等)を割り当てるとよい。なお、人物検出部21は、作業現場100で作業を行う作業員について様々な作業状況(作業時間帯や作業姿勢等)を包含するように人物画像の学習データを学習させるとよい。また、人物検出部21は、作業現場100で作業を行う作業員について様々な撮影状況(撮影装置4からの撮影距離や撮影角度等)を包含するように人物画像の学習データを学習させるとよい。
【0031】
人物検出部21は、現場画像110におけるオブジェクトの大きさや画素位置等の位置情報を取得し、オブジェクトの位置情報と二次元マップ120とに基づいて、オブジェクトに対応する人物の実際の二次元方向の座標を人物座標として算出し、人物座標を二次元マップ120に設定する。このとき、人物検出部21は、検出したオブジェクトに示される人物の接地部分が現場画像110に写っているか否かに拘わらず、人物画像の学習データとオブジェクトの位置情報とに基づいて、オブジェクトに示される人物の接地部分の現場画像110における位置(画素位置)を算出する。そして、人物検出部21は、現場画像110における人物の接地部分の位置に対応する二次元方向の座標を人物座標として算出する。
【0032】
危険判定部22は、二次元マップ120における吊具座標の周囲の危険範囲103に現場画像110におけるオブジェクトに対応する人物座標(特に、現場画像110における人物の接地部分の位置に対応する二次元方向の座標)が存在するか否かを判定する。危険判定部22は、危険範囲103に人物座標が存在すると判定した場合、当該人物座標に対応するオブジェクトの人物について危険判定情報を取得して記憶部11に記憶する。例えば、危険判定部22は、危険判定情報として、判定した日時、フック2cの二次元方向の吊具座標、危険範囲103を構成する吊具座標からの半径、フック2cの高さ方向の吊具座標に基づく吊荷の高さ、危険範囲103内の人物座標を含むCSVデータを記憶する。
【0033】
警報報知部23は、二次元マップ120における吊具座標の周囲の危険範囲103に現場画像110におけるオブジェクトに対応する人物座標が存在すると判定された場合に、危険範囲103に人物が侵入したことを示す警報を報知する。警報報知部23は、表示部14にメッセージ画面を表示して警報を報知してもよく、音声出力部15で音声やブザーを出力して警報を報知してもよい。また、警報報知部23は、警報の報知を示す警報信号を警報出力部6に送信して、警報出力部6に警報を報知させてもよい。
【0034】
表示制御部24は、AI監視機能がオンの場合には、二次元マップ作成部20で作成した二次元マップ120及び管理ユニット5が撮影装置4から受信した現場画像110をリアルタイムに表示部14に表示させ、一方、AI監視機能がオフの場合には、現場画像110のみをリアルタイムに表示部14に表示させる。
【0035】
表示制御部24は、例えば、二次元マップ120を表示する際に、クレーン2のフック2cの吊具座標を示す吊具標識121(例えば、+や×のような記号等)や、吊具座標の周囲の危険範囲103を示す範囲標識122(例えば、円形状の囲い等)を二次元マップ120の対応する位置に重ねて表示する。
【0036】
また、表示制御部24は、二次元マップ120を表示する際に、現場画像110の人物のオブジェクトに対応する人物座標を示す人物標識123(例えば、丸や三角、四角のような多角形状等)を二次元マップ120の対応する位置に重ねて表示する。このとき、表示制御部24は、二次元マップ120において、オブジェクトの人物座標の人物標識123に対して、当該オブジェクトに割り当てた人物識別情報を付して表示し、例えば、人物標識123に囲まれる文字(例えば、丸囲み数字や三角囲み数字、四角囲み数字等)で人物識別情報を表示する。
【0037】
なお、表示制御部24は、二次元マップ120において、危険範囲103内の人物座標の人物標識123と危険範囲103外(安全範囲内)の人物座標の人物標識123とを異なる表示形式で表示し、例えば、危険範囲103内の人物標識123を赤で表示し、危険範囲103外の人物標識123を緑で表示する。
【0038】
また、表示制御部24は、現場画像110を表示する際に、
図8や
図9に示すように、人物のオブジェクトを示すオブジェクト標識111(例えば、オブジェクトの人物を囲う矩形状の囲い)を当該オブジェクトに対応する位置に重ねて表示する。このとき、表示制御部24は、現場画像110において、オブジェクトのオブジェクト標識111に対して、当該オブジェクトに割り当てた人物識別情報を付して表示し、例えば、オブジェクト標識111の矩形の角部に付される文字で人物識別情報を表示する。
【0039】
なお、表示制御部24は、現場画像110において、危険範囲103内のオブジェクト標識111と危険範囲103外(安全範囲内)のオブジェクト標識111とを異なる表示形式で表示し、例えば、危険範囲103内のオブジェクト標識111を赤で表示し、危険範囲103外のオブジェクト標識111を緑で表示する。
【0040】
警報出力部6は、作業現場100において作業員が作業を行う場所の近傍に配置され、例えば、クレーン2のフック2cの吊具座標の周囲に設定された危険範囲103の近傍に配置されるとよい。あるいは、警報出力部6は、クレーン2の機体外側に取り付けられてもよい。警報出力部6は、例えば、警報ランプや、警報ブザー、スピーカ等によって構成される。無線又は有線で管理ユニット5と通信可能に接続されて、管理ユニット5の警報報知部23から警報信号を受信したときに、警報ランプの点灯又は点滅、警報ブザーやスピーカの警報音出力によって、危険範囲103に人物が侵入したことを示す警報を出力する。
【0041】
次に、本実施形態の安全管理システム1による動作例について、
図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
まず、ユーザーは、安全管理システム1の事前設定(ステップS1)として、作業現場100における基準位置102の設定及び基準座標の測定を行い、基準座標を管理ユニット5に入力して記憶部11に記憶する。また、ユーザーは、安全管理システム1の事前設定(ステップS1)として、撮影装置4の撮影座標の測定を行い、撮影座標を管理ユニット5に入力して記憶部11に記憶する。
【0043】
次に、ユーザーが管理ユニット5を操作して安全管理ソフトウェアを実行させて、作業現場100の安全管理を開始する(ステップS2:YES)。安全管理ソフトウェアが実行している間、管理ユニット5は、撮影装置4が作業現場100の撮影範囲を撮影した現場画像110を撮影装置4から受信する(ステップS3)。
【0044】
安全管理ソフトウェアにおいてAI監視機能がオフになっている場合(ステップS4:NO)、管理ユニット5は、表示制御部24によって現場画像110のみを監視結果として表示部14に表示する(ステップS5)。その後、管理ユニット5は、ステップS2に戻る。
【0045】
一方、安全管理ソフトウェアにおいてAI監視機能がオンになっている場合(ステップS4:YES)、管理ユニット5は、二次元マップ作成部20によって、上記したように、現場画像110における各位置の二次元座標を示す二次元マップ120であって、吊具座標の周囲の危険範囲103を含む二次元マップ120を作成する(ステップS6)。また、管理ユニット5は、人物検出部21によって、人工知能を用いて学習データによって現場画像110から人物のオブジェクトを検出し、当該オブジェクトの人物の二次元方向の人物座標を算出する(ステップS7)。
【0046】
そして、管理ユニット5は、危険判定部22によって、二次元マップ120における危険範囲103に人物座標が存在するか否かを判定し(ステップS8)、その判定結果の危険判定情報を記憶部11に記憶する。(ステップS9)
【0047】
また、管理ユニット5は、表示制御部24によって、二次元マップ120及び現場画像110を監視結果として表示部14に表示し(ステップS5)、このとき、二次元マップ120には、危険範囲103を示す範囲標識122と、人物座標を示す人物標識123とを重ねて表示する。なお、管理ユニット5は、危険範囲103に人物座標が存在する場合には、警報報知部23によって警報を報知し、例えば、警報出力部6によって、警報ランプを点灯又は点滅させたり、警報ブザーやスピーカで警報音を出力させたりする。その後、管理ユニット5は、ステップS2に戻る。
【0048】
本実施形態によれば、上述のように、作業現場100に設置されるクレーン2の安全管理システム1は、クレーン2のフック2c(吊具)に設けられ、衛星測位システムによってフック2cの二次元方向の吊具座標を取得する測位装置3(吊具座標取得部)と、フック2cから離間して設けられ、フック2cの下方を含む撮影範囲の現場画像110を撮影する撮影装置4(撮影部)と、クレーン2の安全を管理する管理ユニット5と、を備える。管理ユニット5は、作業現場100に予め設定された基準位置102の二次元方向の基準座標と、撮影装置4の三次元方向の撮影座標及び撮影方向の撮影角度とを予め記憶する記憶部11と、撮影座標及び撮影角度並びに基準座標と、現場画像110における基準位置102の検出結果とに基づいて、現場画像110における各位置の二次元座標を示す二次元マップ120であって、吊具座標の周囲の危険範囲103を含む二次元マップ120を作成する二次元マップ作成部20と、人工知能を用いて学習させた人物画像の学習データによって現場画像110から人物のオブジェクトを検出し、現場画像110におけるオブジェクトの位置情報と二次元マップ120とに基づいて、オブジェクトの人物の二次元方向の人物座標を算出する人物検出部21と、二次元マップ120における危険範囲103に人物座標が存在するか否かを判定する危険判定部22と、危険範囲103に人物座標が存在すると判定された場合に音声や光源等の警報を報知する警報報知部23と、を備える。
【0049】
これにより、安全管理システム1では、作業現場100における撮影装置4の撮影座標や基準位置102の基準座標を利用することで、より正確な作業現場100の二次元マップ120を作成することができる。また、フック2cから離間した撮影装置4を利用することで、フック2cに吊り下げられた吊荷の下方の人物を撮影することができる。更に、その現場画像110を利用することで、より正確な作業現場100の二次元マップ120を作成することができ、また、二次元マップ120における人物座標をより正確に検出することができ、危険範囲103に対する人物の存在をより正確に判定することができる。そのため、吊荷に対する作業員の位置を正確に把握して、危険範囲103に人物が存在した場合に、的確に警報を報知することが可能となり、作業員の安全性を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態の安全管理システム1によれば、管理ユニット5は、二次元マップ120及び現場画像110を表示する表示部14を更に備え、表示部14は、二次元マップ120を表示する際に、危険範囲103を示す範囲標識122と、人物座標を示す人物標識123とを二次元マップ120に重ねて表示する。
【0051】
これにより、安全管理システム1では、作業現場100において危険範囲103に対する人物の位置を、二次元マップ120によって管理者等のユーザーに対してより正確に提示することができる。そのため、ユーザーは、危険範囲103に対する作業員の位置を正確に把握して作業員の安全性を確保することができる。
【0052】
また、本実施形態の安全管理システム1によれば、人物検出部21は、検出したオブジェクトに人物識別情報(識別情報)を設定し、表示部14は、二次元マップ120において、オブジェクトの人物座標の人物標識123に当該オブジェクトの識別情報を付して表示し、また、現場画像110において、オブジェクトに当該オブジェクトの識別情報を付して表示する。
【0053】
これにより、安全管理システム1では、現場画像110に撮影された人物に対応する二次元方向の位置を、現場画像110と二次元マップ120とによって確認することが可能となる。
【0054】
なお、上記した実施形態では、危険判定部22が二次元マップ120における吊具座標の周囲に1つの危険範囲103を設定して、人物座標が危険範囲103内に存在するか否かを判定する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0055】
他の例では、危険判定部22は、複数段階の判定範囲に対して人物座標が存在すか否かを判定してもよい。例えば、危険判定部22は、上記した危険範囲103を設定すると共に、吊具座標を中心として危険範囲103よりも大きい半径の円内であって危険範囲103の周囲に注意範囲を設定する。そして、危険判定部22は、人物座標が危険範囲103内に存在するか否か、人物座標が危険範囲103外で且つ注意範囲内に存在するか否か、人物座標が注意範囲外(即ち、安全範囲内)に存在するか否かを判定する。
【0056】
この場合、表示制御部24は、二次元マップ120を表示する際に、上記した危険範囲103を示す範囲標識122に加えて、範囲標識122と異なる表示方式の注意範囲を示す他の標識(例えば、円形状の囲い等)を二次元マップ120の対応する位置に重ねて表示する。
【0057】
また、警報報知部23や警報出力部6は、危険範囲103に人物座標が存在する場合と、注意範囲に人物座標が存在する場合とで、異なる報知方式で警報を報知する。
【0058】
また、上記した実施形態では、安全管理システム1において1台の撮影装置4が作業現場100に設けられる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0059】
他の例では、安全管理システム1において複数台の撮影装置4が作業現場100に設けられてもよい。例えば、2台の撮影装置4は、並べて配置されて、フック2cの下方を含む撮影範囲を撮影する複眼撮影装置として機能して、それぞれの撮影装置4で撮影された現場画像110に基づいて視差を算出し、当該視差を反映した1つの現場画像110を作成して管理ユニット5に送信してもよい。
【0060】
あるいは、2台の撮影装置4は、フック2cの下方を含む撮影範囲をそれぞれ異なる方向から撮影可能な固定位置に配置されて、それぞれ独立した装置として機能して、それぞれの撮影装置4で撮影された現場画像110を管理ユニット5に送信してもよい。この場合、管理ユニット5において、安全管理ソフトウェアは、2台の撮影装置4の内、何れの撮影装置4の現場画像110を利用するかについて、ユーザーによる任意の操作に応じて選択可能にし、二次元マップ作成部20、人物検出部21、危険判定部22、警報報知部23及び表示制御部24は、選択された現場画像110に対して処理を行うとよい。
【0061】
また、上記した実施形態では、管理ユニット5の人物検出部21は、人工知能を用いて学習させた人物画像の学習データによって、現場画像110から人物のオブジェクトを検出する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0062】
他の例では、人物検出部21は、人物画像の学習データによって現場画像110から人物のオブジェクトを検出することに加えて、作業現場100における作業員の顔画像を学習データとして登録しておいて、顔画像の学習データに基づいてオブジェクトにおける人物の顔画像の顔判定を行ってもよい。この場合、人物検出部21は、作業員の顔画像の学習データと作業員の名前や社名等の作業員情報とを対応付けて登録しておいて、顔判定に成功したオブジェクトに対して、対応する作業員情報を人物識別情報として割り当てるとよい。
【0063】
また、危険判定部22は、顔判定に成功したオブジェクトの人物座標が危険範囲103に存在する場合、上記した危険判定情報に加えて、対応する作業員情報を含むCSVデータを記憶するとよい。警報報知部23や警報出力部6は、顔判定に成功したオブジェクトの人物座標が危険範囲103に存在する場合、対応する作業員情報を含む警報を報知するとよい。
【0064】
あるいは、他の例では、人物検出部21は、人物画像の学習データによって現場画像110から人物のオブジェクトを検出することに加えて、作業現場100における作業員のヘルメットやユニホームや社名、社章等の社別画像を学習データとして登録しておいて、社別画像の学習データに基づいてオブジェクトにおける人物の社別判定を行ってもよい。
【0065】
なお、上記した実施形態では、安全管理システム1は、二次元マップ作成部20によって、現場画像110における各位置(各画素位置)の二次元座標を示す二次元マップ120を作成する例を説明した。他の例では、安全管理システム1は、更にオートキャリブレーションを行って二次元マップ120の各二次元座標の精度を向上することができる。
【0066】
この場合、撮影装置4は、支持部材4bに対して三次元方向に動作可能に構成され、吊荷下位置を所定位置に固定した状態で、フック2c(例えば、作業者が触れているフック2c)及び基準位置102を含む校正用画像を様々な撮影角度で撮影し、角度計4aで計測した各撮影角度及び撮影した各校正用画像を管理ユニット5へと送信する。また、撮影装置4の配置された所定高さ(z座標)を、撮影装置4から管理ユニット5へと送信し、あるいは、管理ユニット5の記憶部11に予め記憶しておく。
【0067】
このとき、二次元マップ作成部20は、各校正用画像を各撮影角度及び所定高さに基づいて解析することで、現場画像110における各位置(各画素位置)の二次元座標を算出する。例えば、二次元マップ作成部20は、撮影装置4の撮影角度及び高さと、校正用画像におけるフック2cや基準位置102の位置情報とに基づいて、画像の1ピクセルが意味する縦横サイズ情報テーブルあるいは当該テーブルから作成された関数を用いて、校正用画像における各位置(各画素位置)の二次元座標を算出する。二次元マップ作成部20は、各校正用画像におけるフック2cや基準位置102の二次元座標に基づいて、現場画像110における各画素位置の二次元座標を補正することで、現場画像110における人等の位置を、歪みのない二次元の絶対位置座標へと変換することができる。なお、縦横サイズ情報テーブルは、予め作成して管理ユニット5の記憶部11に予め記憶しておく。
【0068】
また、上記した実施形態では、管理ユニット5は、表示制御部24によって、二次元マップ作成部20で作成した二次元マップ120及び管理ユニット5が撮影装置4から受信した現場画像110を表示部14に表示させる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。
【0069】
他の例では、管理ユニット5は、ユーザーのスマートフォンやタブレット端末等のユーザー端末に対して二次元マップ120や現場画像110を送信して表示させてもよい。また、管理ユニット5は、危険範囲103内や注意範囲内のユーザー端末に警報信号を送信して、警報信号によってユーザー端末のバイブレーション機能を起動させてもよく、この場合、危険範囲103と注意範囲とで振動の強弱を変えてもよい。
【0070】
なお、実施形態の説明は、本発明に係る安全管理システムにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0071】
1 安全管理システム
2 クレーン
2c フック(吊具)
3 測位装置(吊具座標取得部)
4 撮影装置(撮影部)
4a 角度計
5 管理ユニット
6 警報出力部
7 雲台
8 光源
9 照射先
10 制御部
11 記憶部
14 表示部
15 音声出力部
20 二次元マップ作成部
21 人物検出部
22 危険判定部
23 警報報知部
24 表示制御部
100 作業現場
101 立坑
102 基準位置
103 危険範囲
110 現場画像
120 二次元マップ