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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172263
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ICタグ
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G06K19/077 220
G06K19/077 144
G06K19/077 280
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089855
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】高野 博貴
(72)【発明者】
【氏名】山岡 経之介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徳顕
(57)【要約】
【課題】通信距離を十分に長く確保しながら小型化を図ることが可能なICタグを提供できるようにする。
【解決手段】本発明のICタグ1は、ICチップ21、及び、両端がICチップ21に接続されたループ配線22を含むループ回路2と、ループ回路2を金属部品120に取り付けてループ配線22の少なくとも一部と金属部品120とを電気的に結合させる取付部3と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップ、及び、両端が前記ICチップに接続されたループ配線を含むループ回路と、
前記ループ回路を金属部品に取り付けて前記ループ配線の少なくとも一部と前記金属部品とを電気的に結合させる取付部と、を備えるICタグ。
【請求項2】
前記ループ配線が、直線状に延びる直線配線部を含み、
前記取付部は、前記直線配線部の少なくとも一部が前記金属部品のうち線状に延びる線状金属部に沿うように、前記ループ回路を前記金属部品に取り付ける請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記取付部は、
前記前記ループ回路が設けられる第一面、及び、前記第一面と反対側に向く第二面を有する基材シートと、
前記基材シートの第二面に積層された粘着層と、を備える請求項1又は請求項2に記載のICタグ。
【請求項4】
前記取付部は、前記金属部品が通る貫通孔を有するリング状体を備え、
前記ループ回路は、前記貫通孔の内周面に露出しないように前記リング状体に設けられる請求項1又は請求項2に記載のICタグ。
【請求項5】
前記金属部品が、ハンガーの構成部品である請求項1又は請求項2に記載のICタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハンガーに着脱可能に取り付けられるICタグ(非接触ICタグ)が開示されている。このICタグは、ICチップ及びループアンテナを内部に含むICタグ主部と、ICタグ主部に取り付けられてハンガーに対して着脱可能なクリップと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4658307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のICタグでは、通信距離を十分に長く確保するためにループアンテナのサイズが大きくなってしまう。このため、ICタグ(特にICタグ主部)の小型化が難しい、という問題がある。ICタグが大きい場合には、例えばハンガーを利用した商品陳列においてICタグが邪魔になってしまい、所定のスペースに陳列できる商品の数が少なくなってしまう。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、通信距離を十分に長く確保しながら小型化を図ることが可能なICタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ICチップ、及び、両端が前記ICチップに接続されたループ配線を含むループ回路と、前記ループ回路を金属部品に取り付けて前記ループ配線の少なくとも一部と前記金属部品とを電気的に結合させる取付部と、を備えるICタグである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通信距離を十分に長く確保しながら小型化を図ることが可能なICタグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係るICタグをハンガーのフックに取り付けた状態を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るICタグをハンガーのフックに取り付けた状態を示す拡大図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るICタグをハンガーのフックに取り付けた状態を示す拡大断面図である。
図4】実施例のICタグをハンガーのフックに取り付けた状態を示す拡大図である。
図5】本発明の第二実施形態に係るICタグ、及び、当該ICタグの取付対象であるハンガーのフックを示す拡大図である。
図6図5のICタグをハンガーのフックに取り付ける過程を示す図である。
図7図5図6のICタグをハンガーのフックに取り付けた状態を示す図である。
図8図7に示すVIII-VIII線矢印方向に見た断面図である。
図9】本発明の第三実施形態に係るICタグの第一例を示す斜視図である。
図10】本発明の第三実施形態に係るICタグの第二例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、図1図4を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るICタグ1は、金属部品であるハンガー100のフック120に取り付けられる。ハンガー100は、衣服等を引っ掛けるためのものである。ハンガー100は、衣服が引っ掛かるハンガー本体110と、ハンガー本体110の上部に取り付けられたフック120とを有する。フック120は、金属からなり、ハンガー本体110から延びる線状又は棒状に形成されている。このため、フック120全体が線状に延びる線状金属部となっている。ハンガー本体110側に位置するフック120の基端部位は、直線状に延びる直線金属部121となっている。ハンガー本体110から離れて位置するフック120の先端部位は、鉤状に湾曲した曲線金属部122となっている。
【0010】
図2図3に示すように、ICタグ1は、ループ回路2と、取付部3と、を備える。
ループ回路2は、ICチップ21及びループ配線22を含む。ループ配線22は、両端がICチップ21に接続されるループ状の配線である。ループ配線22の周回数は、例えば複数周であってもよいが、本実施形態においては1周である。
【0011】
本実施形態のループ配線22は、矩形状に形成されている。このため、ループ配線22は、直線状に延びる4つの直線配線部23を含む。具体的に、ループ配線22は、長方形状に形成されている。このため、ループ配線22のうち2つの直線配線部23は、長さが短い短辺配線部23-1である。また、ループ配線22のうち残りの2つの直線配線部23は、長さが長い長辺配線部23-2である。図2において、ICチップ21は1つの長辺配線部23-2の途中に位置しているが、これに限ることはない。
【0012】
取付部3は、ループ回路2をハンガー100のフック120(金属部品)に取り付けるICタグ1の構成要素である。取付部3は、ループ回路2をフック120に取り付けることで、ループ配線22の少なくとも一部とフック120とを電磁界結合させる。
【0013】
図3に示すように、本実施形態の取付部3は、基材シート31と、粘着層32と、を備える。
基材シート31は、良好な電気絶縁性を有している。基材シート31を構成する材料は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)であってよい。基材シート31の第一面31aには、前述したループ回路2が設けられている。
粘着層32は、第一面31aと反対側に向く基材シート31の第二面31bに積層される。
【0014】
本実施形態のICタグ1は、基材シート31の第一面31aに積層される面材33をさらに備える。面材33は、良好な電気絶縁性を有している。面材33は、例えば紙であってよい。面材33は、基材シート31の第一面31aに設けられたループ回路2全体を覆う。図2においては、面材33の記載が省略されている。
【0015】
図1図2に示すように、本実施形態の取付部3は、ループ配線22の2つの長辺配線部23-2がフック120の直線金属部121(線状金属部)の長手方向に沿うように、ループ回路2をフック120に取り付ける。具体的には、取付部3の粘着層32を直線金属部121に接触させることで、当該粘着層32の粘着力によってループ回路2がフック120の直線金属部121に対して固定される。この状態では、図3に示すように、直線金属部121(フック120)とループ回路2との間に基材シート31及び粘着層32が介在する。このため、ループ回路2のループ配線22は直線金属部121に直接触れず、電気的に接続されない。
【0016】
そして、図2に示すように、ループ配線22の長辺配線部23-2がフック120の直線金属部121の長手方向に沿って延びることで、これら長辺配線部23-2と直線金属部121とが良好に電磁界結合される。また、基材シート31及び粘着層32の厚さが適切に設定されることで、長辺配線部23-2と直線金属部121との間隔が良好に保たれるため、長辺配線部23-2と直線金属部121を良好に電磁界結合させることができる。
また、上記のようにICタグ1をフック120に取り付けた状態では、ループ配線22の短辺配線部23-1がフック120の直線金属部121の周方向に沿って延びる。このため、短辺配線部23-1と直線金属部121とを電磁界結合させることもできる。
【0017】
第一実施形態のICタグ1によれば、当該ICタグ1がフック120に取り付けられることで、ループ配線22の一部とフック120(金属部品)とを電磁界結合することができる。この状態では、ループ配線22と電磁界結合したフック120の部位が、ICタグ1のアンテナ(ブースターアンテナ)として機能する。すなわち、ICタグ1及びフック120を含むユニットが、RFICタグとして機能する。これにより、ループ配線22を小さく形成しても、ICタグ1の通信距離を十分に長く確保することが可能となる。したがって、通信距離を十分に長く確保しながらICタグ1の小型化を図ることができる。
【0018】
また、第一実施形態のICタグ1によれば、ループ配線22の直線配線部23がフック120のうち直線状に延びる直線金属部121(線状金属部)の長手方向に沿うことで、直線配線部23と直線金属部121とを良好に電磁界結合することができる。これにより、ICタグ1の通信距離をより長く確保することが可能となる。
【0019】
また、第一実施形態のICタグ1によれば、基材シート31の第一面31aにループ回路2が設けられ、基材シート31の第二面31bに粘着層32が設けられている。これにより、粘着層32をフック120に接触させるだけで、粘着層32の粘着力によりICタグ1を簡単にフック120に貼り付ける(すなわち取り付ける)ことができる。
また、ループ配線22とフック120との間に介在する基材シート31及び粘着層32の厚みによって、ループ配線22とフック120との間隔を適正に設定することができる。これにより、ループ配線22とフック120とを良好に電磁界結合させることができる。
【0020】
以下、図4を参照して第一実施形態のICタグ1の具体例について説明する。
図4に示すICタグ1の構成は、図2図3の構成と同様である。すなわち、図4のICタグ1では、基材シート31の第一面31aにループ回路2が設けられ、基材シート31の第二面31bに粘着層32(図3参照)が積層される。図4においては、粘着層32及び面材33(図3参照)の記載が省略されている。
【0021】
図4に示すICタグ1において、ループ配線22の太さ(幅)は1mmであり、ループ配線22の厚さは9μmである。ループ配線22の短辺配線部23-1の長さW1は5mmであり、ループ配線22の長辺配線部23-2の長さL1は30mmである。ICチップ21の厚さは120μmである。基材シート31はPETからなる厚さ50μmのシートである。粘着層32の厚さは20μmである。面材33は紙からなる厚さ60μmのシートである。
【0022】
一方、ICタグ1が取り付けられるフック120の直径寸法D2は3mmである。また、フック120の直線金属部121の長さL2は15mmである。
【0023】
ICタグ1は、その粘着層32の粘着力によってフック120に貼り付けられる。この状態において、ループ配線22の長辺配線部23-2の長手方向が直線金属部121の長手方向に平行する。また、長辺配線部23-2の長手方向におけるループ配線22の下半分がフック120の直線金属部121に重なる。すなわち、ループ配線22のうち長辺配線部23-2の長手方向において下端から15mmまでの部分が、直線金属部121に重なる。ループ配線22の上半分は、フック120の直線金属部121と重ならない。ただし、ループ配線22の上半分の一部は、フック120の曲線金属部122と重なる。また、ループ配線22の下端に位置する短辺配線部23-1は、直線金属部121の周方向に沿うように配される。ループ配線22(特に下半分)とフック120(特に直線金属部121)との間隔は、基材シート31及び粘着層32の合計厚さによって規定され、70μmである。
【0024】
図4に示したようにICタグ1をフック120に貼り付けた構成の通信性能を、RFID評価装置を用いて測定した。その結果、日本のUHF帯の周波数帯である920MHz帯において、約6m程度の通信距離を確保できることが明らかとなった。一方、ICタグ1単体の通信性能を上記と同様に測定したところ、ICタグ1単体の通信距離は、約2mであった。
以上のことから、小型のICタグ1をフック120(金属部品)に取り付けて、ICタグ1のループ配線22の一部とフック120とを電磁界結合することで、通信距離を十分に長く確保しながらICタグ1の小型化を図れることが明らかとなった。
なお、図4に示したICタグ1及びフック120を含むユニットにおける各種の寸法、数値は、一例であり、これに限られることはない。
【0025】
<第二実施形態>
次に、図5図8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0026】
図5図6に示すように、第二実施形態のICタグ1Dは、第一実施形態と同様に、ループ回路2と、ループ回路2をフック120(金属部品)に取り付けるための取付部3Dと、を備える。
取付部3Dは、第一実施形態と同様の基材シート31及び粘着層32を含むシート状体35である。図示しないが、シート状体35は、例えば面材33(図3参照)を含んでもよい。
【0027】
シート状体35は、その厚さ方向から見て、折線FLの両側に位置する第一、第二シート部35-1,35-2を含む。第一、第二シート部35-1,35-2は、例えば互いに異なる形状、大きさに形成されてよいが、本実施形態では同じ形状及び大きさに形成されている。具体的に、シート状体35は、その厚さ方向から見て横長の長方形状に形成されている。折線FLは、シート状体35の長辺の中間においてシート状体35の短辺に沿う方向に直線状に延びている。これにより、シート状体35において、折線FLの両側に、同じ形状及び大きさの矩形状とされた第一、第二シート部35-1,35-2が現れる。
以下の説明においては、第一、第二シート部35-1,35-2が並ぶ方向を「幅方向」と呼ぶことがある。
【0028】
図6に示すように、シート状体35は、基材シート31の第一面31a側から見て折線FLが山折り線となるようにシート状体35を折り曲げることで、第一、第二シート部35-1,35-2が互いに重なるようにシート状体35を折畳むことができる。このようにシート状体35を折り畳む際には、第一、第二シート部35-1,35-2の粘着層32(基材シート31の第二面31b)が対向する。
【0029】
ループ回路2は、上記したシート状体35の第一シート部35-1に配置される。ループ配線22の長辺配線部23-2は、折線FLに平行する。
【0030】
次に、図6図8を参照して、フック120に対するICタグ1Dの取付方法の一例について説明する。
第二実施形態のICタグ1Dをフック120の直線金属部121に取り付ける際には、はじめに図6に示すように、第一、第二シート部35-1,35-2の粘着層32が対向するように折線FLにおいてシート状体35を折り曲げる。次いで、シート状体35の第一シート部35-1と第二シート部35-2との間に直線金属部121を配置する。最後に、図7図8に示すように、粘着層32の粘着力によって、第一、第二シート部35-1,35-2の幅方向の両端部同士を貼り合わせることで、ICタグ1Dの取り付けが完了する。なお、第一、第二シート部35-1,35-2を貼り合わせる際には、例えば、幅方向において第一、第二シート部35-1,35-2がつながっていない側(図8において左側)に位置する第一、第二シート部35-1,35-2の端部だけを貼り合わせてもよい。
【0031】
図7図8に示すようにICタグ1Dをフック120の直線金属部121に取り付けた状態では、第一実施形態の場合と同様に、ループ配線22の長辺配線部23-2が直線金属部121の長手方向に沿うように配置される。また、ループ配線22の短辺配線部23-1が直線金属部121の周方向に沿うように配置される。これにより、ループ配線22と直線金属部121とが良好に電磁界結合される。
【0032】
第二実施形態のICタグ1Dによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第二実施形態のICタグ1Dでは、基材シート31及び粘着層32を含むシート状体35が、折線FLを境界とした第一、第二シート部35-1,35-2を有する。また、シート状体35は、第一、第二シート部35-1,35-2の粘着層32同士が対向するように折線FLにおいて折り曲げ可能である。これにより、ICタグ1Dを簡単にハンガー100のフック120に取り付けることができる。また、ICタグ1Dがハンガー100のフック120から不意に脱落することを効果的に抑制又は防止できる。
【0033】
<第三実施形態>
次に、図9図10を参照して本発明の第三実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図9図10に示すように、第三実施形態のICタグ1F(1F-1、1F-2)は、第一、第二実施形態と同様に、ループ回路2と、ループ回路2をフック120(金属部品)に取り付けるための取付部3F(3F-1、3F-2)と、を備える。
第三実施形態の取付部3Fは、フック120が通る貫通孔371を有するリング状体37を備える。リング状体37の具体的な特性や素材、形状は任意であってよい。第三実施形態のリング状体37は電気的な絶縁性を有している。また、第三実施形態のリング状体37は、円筒状に形成されている。リング状体37は、例えばハンガー100に取り付けられて衣服のサイズを示す「サイズチップ」であってよい。
ループ回路2は、貫通孔371の内周面37aに露出しないようにリング状体37に設けられる。
【0035】
図9は、第三実施形態における第一例のICタグ1F-1を示している。第一例のICタグ1F-1では、ループ回路2がリング状体37の外周面37bに取り付けられている。
具体的に、第一例のICタグ1F-1の取付部3F-1は、上記したリング状体37の他に、ループ回路2をリング状体37に取り付けるためのシート状体36を備える。当該シート状体36は、第一実施形態と同様の基材シート31及び粘着層32(図3参照)を含む。また、シート状体36は、第一実施形態と同様の面材33(図3参照)をさらに含んでよい。図9においては、粘着層32及び面材33の記載が省略されている。粘着層32の粘着力によってシート状体36がリング状体37の外周面37bに貼り付けられることで、ループ回路2がリング状体37の外周面37bに取り付けられる。
【0036】
第一例のICタグ1F-1では、第一実施形態と同様にループ配線22が長方形状に形成されている。そして、ループ配線22の長辺配線部23-2がリング状体37の周方向に延びている。また、ループ配線22の短辺配線部23-1がリング状体37の軸方向に延びている。
第一例のICタグ1F-1をフック120に取り付けた状態では、ループ配線22の短辺配線部23-1が直線金属部121の長手方向(フック120の軸方向)に沿うように配置される。また、ループ配線22の長辺配線部23-2が直線金属部121の周方向(フック120の周方向)に沿うように配置される。これにより、ループ配線22と直線金属部121(フック120)とが良好に電磁界結合される。
【0037】
図10は、第三実施形態における第二例のICタグ1F-2を示している。第二例のICタグ1F-2では、取付部3F-2がリング状体37のみによって構成されている。ループ回路2は、リング状体37の内部に埋められており、リング状体37の表面(内周面37a、外周面37bなど)に露出しない。
第二例のICタグ1F-2では、第一例のICタグ1F-1と同様に、ループ配線22の長辺配線部23-2がリング状体37の周方向に延びる。また、図10には示さないが、ループ配線22の短辺配線部23-1がリング状体37の軸方向に延びる。これにより、第二例のICタグ1F-2をフック120に取り付けた状態でも、第一例と同様に、ループ配線22とフック120とが良好に電磁界結合される。
【0038】
第三実施形態のICタグ1Fによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第三実施形態のICタグ1Fは、ループ回路2をフック120(金属部品)に取り付けるための取付部3Fとして、フック120が通るリング状体37を含む。このため、リング状体37の貫通孔371にフック120を通すだけで、ICタグ1Fを簡単にフック120に取り付けることができる。また、ICタグ1Fをフック120に対して着脱できるため、同一のICタグ1Fを繰り返し使用することも可能となる。
さらに、リング状体37のうちループ回路2よりもリング状体37の内周面37a側に位置する部位によって、ループ配線22とフック120との間隔を適切に設定することができる。これにより、ループ配線22とフック120とを良好に電磁界結合することができる。
【0039】
第三実施形態のICタグ1Fにおいては、例えば、第一例と同様のシート状体36がリング状体37の内周面37aに貼り付けられることで、ループ回路2がリング状体37に取り付けられてもよい。この場合、ループ回路2は面材33によって覆われていればよい。これにより、フック120をリング状体37に通した状態では、面材33によってループ配線22がフック120と電気的に接続されることを抑制又は防止できる。
【0040】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0041】
本発明のICタグにおいては、少なくともループ配線22の一部だけが直線状に延びていればよく、ループ配線22の残部は例えば湾曲していてもよい。このような構成であっても、当該ループ配線22の直線部分(直線配線部23)の長手方向が棒状又は線状に延びるフック120に沿うように配置されることで、ループ配線22とフック120とを良好に電磁界結合させることができる。
【0042】
また、本発明においては、ループ配線22の少なくとも一部とフック120とが電磁界結合するように、ループ配線22が形成されていればよく、例えばループ配線22が直線状に延びなくてもよい。
【0043】
本発明のICタグは、ハンガー100のフック120に取り付けられることに限らず、ハンガーを構成する金属製の部品(構成部品)に取り付けられてよい。また、ICタグは、ハンガーに取り付けられることに限らず、任意の金属部品に取り付けられてよい。ただし、ループ配線22と金属部品とを良好に電磁界結合させるためには、金属部品は、棒状あるいは線状に形成されていることがより好ましい。
【0044】
本発明のICタグの取付部は、ICタグのループ配線と任意の金属部品とを、電磁界結合させることに限らず、少なくとも電気的に結合させればよい。すなわち、本発明は、ICタグのループ配線と金属部品との電磁界結合以外の他の電気的結合にも適用されてよい。
【符号の説明】
【0045】
1,1D,1F ICタグ
2 ループ回路
3,3D,3F 取付部
21 ICチップ
22 ループ配線
23 直線配線部
31 基材シート
31a 第一面
31b 第二面
32 粘着層
37 リング状体
37a 内周面
100 ハンガー
120 フック(金属部品)
371 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10