(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172264
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20241205BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20241205BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B05B11/00 101E
B05B11/10 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089856
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084CB02
3E084CB04
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB17
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】携帯して使用する際に片手で操作し易い吐出器を提供する。
【解決手段】容器体2の口頸部4に装着され、この口頸部4の外面からスカート状部26を起立してなる装着キャップ22を含み、かつこの装着キャップ22から案内筒部36を上方へ延設させた装着体20と、吐出器10の非使用状態で前記装着キャップ22と吐出器10の吐出ヘッド19との間に挟まれるように案内筒部36の後面側に配備されるストッパ45を備えたストッパ部材40と、吐出器10の使用状態で前記装着キャップ22の前方に指を掛けることが可能な姿勢で配備される可動指当て部58を備えた指当て部材50とを具備する。ストッパ部材40と指当て部材50とは装着キャップ22に軸支され、相互に連動するように形成されている。吐出器の非使用状態で前記可動指当て部58は前側待機位置Sfで待機し、かつ、吐出器の使用状態で前記ストッパ45は後ろ側待機位置Sbで待機する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部(4)を起立する容器体(2)と、
前記口頸部(4)に装着され、この口頸部(4)の外面からスカート状部(26)を起立してなる装着キャップ(22)を含み、かつこの装着キャップ(22)から案内筒部(36)を上方へ延設させた装着体(20)と、
前記容器体(2)及び前記装着キャップ(22)の内部に配置され、前記案内筒部(36) の内側から上方付勢させて昇降可能に起立するステム(a)の上端部に吐出ヘッド(19)を付設させた吐出器(10)と、
前記装着キャップ(22)の側部(22s)に軸支され、押下げ力に抗して前記吐出ヘッド(19)をロックするために前記装着キャップ(22)と前記吐出ヘッド(19)との間に挟まれるように前記案内筒部(36)の後面側に配備されるストッパ(45)を備えたストッパ部材(40)と、
前記装着キャップ(22)の側部(22s)に軸支され、前記吐出ヘッド(19)の非ロック状態で前記装着キャップ(22)の前方に指を掛けることが可能な姿勢で配備される可動指当て部(58)を備えた指当て部材(50)と、を具備する吐出容器において、
前記ストッパ部材(40)と前記指当て部材(50)とは相互に連動するように形成されており、
前記可動指当て部(58)は前記吐出ヘッド(19)のロック状態で前記装着キャップ(22)の前方に設定された前側待機位置(Sf)で待機し、かつ、前記ストッパ(45)は、前記非ロック状態で前記装着キャップ(22)の後方に設定された後ろ側待機位置(Sb)で待機するように構成したことを特徴とする、吐出容器。
【請求項2】
前記ストッパ部材(40)と前記指当て部材(50)とは、前記スカート状部(26)の下端側で前記装着キャップ(22)の左右の側部(22s)にそれぞれ設けた共通の一対の軸部(27)に軸支されており、この軸支箇所で前記ストッパ部材(40)の端部(e1)及び前記指当て部材(50)の端部(e2)同士が相互にジョイントされていることを特徴とする、請求項1に記載した吐出容器。
【請求項3】
前記一対の軸部(27)の間において、前記ストッパ部材(40)は前記ロック状態で前記スカート状部(26)の後半部側をブリッジ状に跨るように、また、前記指当て部材(50)は前記非ロック状態で前記スカート状部(26)の前半部側をブリッジ状に跨るようにそれぞれ形成されており、前記ストッパ部材(40)の中間部(44)に前記ストッパ(45)が、また前記指当て部材(50)の中間部に前記可動指当て部(58)がそれぞれ配備されていることを特徴とする、請求項2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記可動指当て部(58)は、非ロック状態において上内方へ凹むように形成されており、
前記装着キャップ(22)には、前記非ロック状態で前記装着キャップ(22)の前方に配備された前記可動指当て部(58)の真下に位置させて、下内方へ凹む窪み部(32)が形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部の外面に装着筒を介して装着され、かつ口頸部の内側から上方へ付勢させて昇降可能に起立するステムの上端に、前方へノズルを突設する吐出ヘッドを付設しており、そのノズルにストッパ部材を回転可能に装着したものが知られている(特許文献1)。
このストッパ部材は、前記ノズルの根元に装着した、前方から見てC字形の間欠リングと、この間欠リングから垂設された腕部とからなり、この腕部の先端を前記装着筒の上端に係止することで吐出ヘッドの押下げ不能なロック状態を実現するとともに、ストッパ部材の回転により、前記ロック状態を解除できるように形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ストッパ機能を有するとともに、片手で持ったままで内容物を吐出する使用態様に適した携帯用の吐出器が要望されている。しかしながら、特許文献1は、そうした要望に応えることができない。片手で持ったまま吐出操作を行うためには、片手で容器を把持することと、その片手の一本の指で吐出ヘッドを押し下げることとを同時にしなければならず、容器を安定的に把持することが困難であるため、片手での操作が難しい。
【0005】
本発明の目的は、携帯して使用する際に片手で操作し易い吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、口頸部4を起立する容器体2と、
前記口頸部4に装着され、この口頸部4の外面からスカート状部26を起立してなる装着キャップ22を含み、かつこの装着キャップ22から案内筒部36を上方へ延設させた装着体20と、
前記容器体2及び前記装着キャップ22の内部に配置され、前記案内筒部36の内側から上方付勢させて昇降可能に起立するステムaの上端部に吐出ヘッド19を付設させた吐出器10と、
前記装着キャップ22の側部22sに軸支され、押下げ力に抗して前記吐出ヘッド19をロックするために前記装着キャップ22と前記吐出ヘッド19との間に挟まれるように前記案内筒部36の後面側に配備されるストッパ45を備えたストッパ部材40と、
前記装着キャップ22の側部22sに軸支され、前記吐出ヘッド19の非ロック状態で前記装着キャップ22の前方に指を掛けることが可能な姿勢で配備される可動指当て部58を備えた指当て部材50と、を具備する吐出容器において、
前記ストッパ部材40と前記指当て部材50とは相互に連動するように形成されており、
前記可動指当て部58は前記吐出ヘッド19のロック状態で前記装着キャップ22の前方に設定された前側待機位置Sfで待機し、かつ、前記ストッパ45は、前記非ロック状態で前記装着キャップ22の後方に設定された後ろ側待機位置Sbで待機するように構成した。
【0007】
本手段では、
図1(A)に示す如く、容器体2の口頸部4に装着され、スカート状部26を有する装着キャップ22から案内筒部36を上方へ延設させてなる装着体20と、スカート状部26と吐出ヘッド19との間に挟まれることで吐出ヘッドの押下げをロックするストッパ45を備えたストッパ部材40と、吐出ヘッド19の非ロック状態で装着キャップ22の前方に配備される可動指当て部58を備えた指当て部材50とを具備する。
前記ストッパ部材40と前記指当て部材50とは装着キャップ22に軸支され、
図1(A)及び
図2(A)に示す如く相互に連動するように形成されている。
この構造によれば、ストッパ45をスカート状部26及び吐出ヘッド19の間から離脱させることにより、可動指当て部58への指掛けが可能となるから、片手での操作が容易であり、またロック状態において可動指当て部58が邪魔にならない。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記ストッパ部材40と前記指当て部材50とは、前記スカート状部26の下端側で前記装着キャップ22の左右の側部22sにそれぞれ設けた共通の一対の軸部27に軸支されており、この軸支箇所で前記ストッパ部材40の端部e1及び前記指当て部材50の端部e2同士が相互にジョイントされている。
【0009】
本手段では、
図1(A)及び
図2(A)に示す如く、前記ストッパ部材40と前記指当て部材50とは、前記装着キャップ22の左右の側部22sにそれぞれ設けた共通の一対の軸部27に軸支させており、ストッパ部材40及び指当て部材50の端部e1、e2同士が相互にジョイントされている。
この構造によれば、ストッパ部材40及び指当て部材50を一体的に回転させることができるので、片手での操作性が良好である。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ、
前記一対の軸部27の間において、前記ストッパ部材40は前記ロック状態で前記スカート状部26の後半部側をブリッジ状に跨るように、また、前記指当て部材50は前記非ロック状態で前記スカート状部26の前半部側をブリッジ状に跨るようにそれぞれ形成されており、前記ストッパ部材40の中間部44に前記ストッパ45が、また前記指当て部材50の中間部に前記可動指当て部58がそれぞれ配備されている。
【0011】
本手段によれば、
図1(A)に示すロック状態で、スカート状部26の後半側をストッパ部材40が跨るように、また、
図2(A)に示す非ロック状態で、前記スカート状部26の前半部側を指当て部材50が跨るように形成している。
この構造によれば、装着キャップ22に対してストッパ部材40及び指当て部材50を嵩張ることなく組み付け、軸部27を中心としてスムーズに回動させることができる。
【0012】
第4の手段は、第1の手段から第3の手段のいずれかを有し、かつ、前記可動指当て部58は、非ロック状態において上内方へ凹むように形成されており、
前記装着キャップ22には、前記非ロック状態で前記装着キャップ22の前方に配備された前記可動指当て部58の真下に位置させて、下内方へ凹む窪み部32が形成されている。
【0013】
本手段では、
図2(A)に示す如く、可動指当て部58の真下に、下内方へ凹む窪み部32を形成している。
この構造によれば、可動指当て部58に指を当てるときに、その指が窮屈となることを回避でき、指の収まりがよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯して使用する際に片手で操作し易い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る吐出容器のロック状態の構成を示しており、同図(A)は側面図、同図(B)は同図(A)のI(B)-I(B)方向から見た断面図である。
【
図2】
図1に示す吐出容器の非ロック状態の構成を示しており、同図(A)は側面図、同図(B)は同図(A)のII(B)-II(B)方向から見た断面図である。
【
図3】
図1に示す吐出容器の非ロック状態で側方から見た断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図3は、本発明の実施形態に係る吐出容器を示している。この吐出容器は、容器体2と、吐出器10と、装着体20と、ストッパ部材40と、指当て部材50とを具備する。これら各部材は、例えば合成樹脂や金属で形成することができる。
【0017】
容器体2は、
図3に示す如く、胴部から起立する口頸部4を有する。この口頸部4の外面にはオネジ部6が形成されている。
【0018】
吐出器10は、本実施形態において、
図3に示す如く、容器体2及び装着体20の内部に配置されており、後述の装着キャップ22の案内筒部36の内側から上方付勢させて昇降可能に起立するステムaの上端に吐出ヘッド19を付設している。
前記吐出器10の構成は、ほぼ公知であるため、簡単に説明する。図示例の吐出器10は、泡吐出器であるが、その態様は適宜変更することができる。
図示例において、前記吐出器10は、上端に鍔部rを有し、前記容器体2内へ垂下されたシリンダ11と、このシリンダ11内に昇降可能に嵌挿した作動部材12とを備える。前記鍔部rは、パッキンを介して口頸部4の上端面に配置されている。
図示例のシリンダ11は、大径シリンダ11aから小径シリンダ11bを垂設してなる。シリンダ11の下部からは吸上げパイプpが垂設されている。
本実施形態において、作動部材12は、小径シリンダ11bに摺接する液用ピストン14と、大径シリンダ11aに主設するエアピストン16と、これら両ピストンを案内するためのピストンガイド13と、液用ピストン14内に上半部を嵌挿させたポペット弁体15と、ピストンガイド13の上部に下端部を嵌合したステムaを有するヘッド部材18と、ステムaの内部に配置された発泡部17とを備えている。図示のヘッド部材18は、ステムaの上端を吐出ヘッド19の天板19aに連設されており、この天板19aからは、ステムaを囲む外周壁19b及び内周壁19cが垂設されている。またこれら外周壁及び内周壁を貫通して前記ステムaの上部から前方へノズル筒19dが突設されている。もっとも、ステムaと吐出ヘッド19とを別体に形成し、その天板19aから垂設した取付筒部にステムaの上部を嵌合させてもよい。図中、cは作動部材12を上方へ付勢する付勢手段(コイルスプリング)である。
なお、本明細書において、
図3の左方を「前」と、同図の右方を「後」と、紙面に直交する方向を「左右」と称する。
そして吐出器10は、作動部材12の下降により、小径シリンダ11内の液体及び大径シリンダ11内のエアが下流側へ圧送され、相互に混合した後に発泡部17で発泡し、ノズル筒19dから泡として吐出されるとともに、吐出ヘッド19の押下げの解放により、容器体内の液体が小径シリンダ11内へ、外気が大径シリンダ11内へ吸入されるように構成している。
【0019】
装着体20は、容器体2の口頸部4に装着された装着キャップ22と、この装着キャップ22の内周から起立する案内筒部36とを有する。
本実施形態では、前記装着キャップ22は、
図1(A)に示す如く、直筒部24から上内方へ窄まるスカート状部26を起立するとともに、このスカート状部26の上端部に水平かつ平坦な連結壁部28を付設してなる。
そして、この連結壁部28の内周から前記案内筒部36が起立されている。また、図示例では、
図3に示す如く、この案内筒部36から延長壁部38が下方へ垂設されている。
【0020】
前記直筒部24は、前記口頸部4の外面に嵌合された装着筒であり、その内面には、前記オネジ部6とかみ合うメネジ部25が形成されている。
【0021】
前記スカート状部26は、図示例において、直筒部24の上端から上内方へ略ドーム状に窄まっており、かつ、前側に窪み部32を有する前後非対称な形状に形成されている。
前記窪み部32は、側方(左右方向)から見て下内方へ凹む円弧状に凹むように形成されている。この窪み部32は、
図2(A)に示す非ロック状態において、後述の可動指当て部58の真下に位置するように配置されている。
窪み部32の役割は、可動指当て部58との間に、指当て操作のための操作スペース(一本の指の指先分のスペース)を確保することである。窪み部32を設けることで、可動指当て部58に指を当てるときにその指が窮屈となることがなく、指の収まりが良好となる。
図示例の窪み部32は、左右方向の全長に亘って同一形状を有する。もっとも窪み部32の形状は適宜変更することができる。また窪み部32は省略することができる。
前記スカート状部26の下面からは、前記鍔部rを口頸部4の上端面との間に挟持する係止筒部iが垂設されており、この係止筒部iと口頸部4の上端面との間に前記鍔部rを挟持させている。
【0022】
前記連結壁部28は、
図3に示す如く、スカート状部26の上端と案内筒部36とを連結する部位であり、かつ、
図1(A)に示す如く、後述のストッパ45の抱持筒部46の下面を支える支持部としての役割も有する。
上方から見た前記連結壁部28の輪郭は、
図1(B)に示す如く、後半部では、案内筒部36の外形に対応した半円形であり、前半部では、前方に向かって幅広となる台形状である。
そして、前記連結壁部28の前端には、
図1(A)に示す如く、前方へ突き出た係止爪30が形成されている。この係止爪30は、前記連結壁部28の前端の全長に亘って形成されている。
【0023】
前記案内筒部36は、
図3に示す如く、前記内周壁19cの下端部内側まで直筒状に延びている。本実施形態では、ステムaと案内筒部36との間に、大径シリンダ11内への外気導入路である空隙が形成されているが、この構造は適宜変更することができる。
前記延長壁部38は、前記エアピストン16の近傍まで垂下されている。
【0024】
ストッパ部材40は、
図1(A)に示す如く、前記装着キャップ22の側部22sに軸支され、押下げ力に抗して前記吐出ヘッド19をロックするための部材である。
本明細書では、
図1(A)に示すように、ストッパ部材40によって吐出ヘッド19が押下げできない状態を「ロック状態」と、
図2(A)に示すように、吐出ヘッド19を押し下げることができる状態を「非ロック状態」という
前記ストッパ部材40は、前記装着キャップ22と前記吐出ヘッド19との間で前記案内筒部36の後面側に配備されるストッパ45と、このストッパ45を回転可能に保持する第1ブリッジ42とで構成される。
第1ブリッジ42の長手方向の各端部e1は、
図1(B)に示す如く、後述の指当て部材50の第2ブリッジ52の長手方向の端部e2と重ねて、装着キャップ22の側部22sに設けた共通の軸部27に枢着されており、この第1ブリッジ42の中間部(第1中間板部44)に前記ストッパ45が連設されている。
前記第1ブリッジ42の長手方向の端部e1と第2ブリッジ52の長手方向の端部e2とは、相互にジョイントされており、これにより、前記ストッパ部材40と前記指当て部材50とが相互に連動するように形成されている。すなわち、ストッパ45と可動指当て部58のうちの一方を下げると他方が上がるというシーソー作用が可能となる。これにより、ストッパ部材40と指当て部材50とをそれぞれ回動させる手間が省け、使い勝手がよい。
ここで、「ジョイント」という用語は、後付けで接合すること、及び、予め一体成形することの双方を含むものとする。
本実施形態では、ストッパ部材40と指当て部材50とは予め一体成形されている。
【0025】
前記第1ブリッジ42は、その中間部である第1中間板部44の両側に、左右一対の第1側板部43を連設させてなり、これら第1側板部43の下端部を前記軸部27に軸支させている。
なお、本明細書において、「ブリッジ」とは、装着キャップの両側の2カ所の間に架設され、当該箇所で支承することが可能な構造をいうものとする。
第1ブリッジ42は、前記ロック状態で、
図1(A)に示す如く、後傾姿勢で前記スカート状部26の後半部側に跨るように、前記一対の軸部27の間に架設されている。
前記第1側板部43は、
図1(A)に示すように、ロック状態において、側方から見て軸部27より上後方へ斜行しており、また、
図2(B)に示すように、非ロック状態において、上方から見て円弧状となる湾曲板部に形成されている。その状態で第1側板部43と直筒部24との間には、間隙g1が存する。
前記第1中間板部44は、
図1(A)に示すロック状態で水平板部であり、
図2(A)に示す非ロック状態で前記直筒部24に当接するように垂直向きとなる。
【0026】
前記ストッパ45は、前記装着キャップ22と前記吐出ヘッド19との間に挟まれるように前記案内筒部36の後面側に配備される部位であり、第1中間板部44に連結されている。
ストッパ45は、案内筒部36を後方から抱持する抱持筒部46と、抱持筒部46の後面に連結された摘み部47とで形成されている。
ロック状態において、
図1(B)に示す如く、抱持筒部46は上方から見てC字状の部分であり、また摘み部47は後方側で二股状に分かれた上方から見て略Y字状の部分である。もっとも、これらの形状は適宜変更することができる。この摘み部47は、前記第1中間板部44から上方へ一体的に立設されている。
前記ストッパ45は、ストッパ部材40の回転により、
図1(A)に示す案内筒部36に装着された位置(ロック位置)から、
図2(A)に示す、前記装着キャップ22の後方に設定された後ろ側待機位置Sbへ移動するように形成されている。
【0027】
指当て部材50は、前記装着キャップ22の側部22sに軸部27に軸支され、軸部を中心とする回転により、可動指当て部58が
図1(A)に示す前側待機位置Sfと、
図2(A)に示す、装着キャップ22の前方へ突設された位置(指当て位置)との間を回動することが可能に形成した部材である。
前側待機位置Sfは前記装着キャップ22及び容器体2の前方に設定されている。
【0028】
本実施形態では、指当て部材50は、
図2(B)に示す如く、装着キャップ22の一対の軸部27に軸支され、これら軸部27の間に案内筒部36を前寄りに迂回するように架設された第2ブリッジ52に形成されている。
この第2ブリッジ52は、前記非ロック状態において、上方から見て前記軸部27から案内筒部36側へ延びる一対の第2側板部53と、これら第2側板部53の先端(上端)から前方へ延びる左右一対の連結片55と、これら連結片55の前部同士に間に架設された第2中間板部58とからなり、この第2中間板部58で可動式指当て部を形成している。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
第2側板部53の下端部は前記軸部27に軸支させている。
第2ブリッジ52は、前記非ロック状態で、
図2(A)に示す如く、前記スカート状部26の前半部側に跨るように、前記一対の軸部27の間に架設されている。
前記第2側板部53は、
図2(A)に示すように、非ロック状態において、側方から見て軸部27より真上に延びており、また、
図1(B)に示すように、ロック状態において、上方から見て円弧状となる湾曲板部に形成されている。その状態で第2側板部53と直筒部24との間には、間隙g2が存する。
連結片55は、
図2(B)に示すように、非ロック状態で前記第2側板部53の上端から前方へ延びている。
図示例では、連結片55は、剛性を有する横長帯状の連結板部として形成されている。
【0029】
第2中間板部である可動指当て部58は、非ロック状態で
図2(A)に符号wで示す方向に利用者の指を当接させるための所要の幅を有する。そして、軸部27を中心とする指当て部材50の回動により、その幅方向wが
図2(A)に示す水平方向と
図1(A)に示す垂直方向との間で回動するように形成されている。
本実施形態において、可動指当て部58は、
図2(B)に示すように、上方から見て左右方向に長い矩形であり、かつ、側方から見て弓状に曲がった湾曲板部に形成されている。もっとも、第2中間板部58の形態は適宜変更することができる。
前記第2中間板部58の後端には、前記係止爪30の下面に突き当たる爪受部59が形成されている。図示例の爪受部59は第2中間板部58の長手方向の全長に亘って形成されている。
そして、図示例の可動指当て部58は、側方から見て、上後方へ凹む凹状に形成されており、その形状は可動指当て部58の長手方向全長に亘って一定である。
図示例では、前記連結片55の前部の下辺に、可動指当て部58の形状に対応した凹み56が形成されている。これにより、これにより可動指当て部58へ当てた指の触感を良好とすることができる。
【0030】
前記構成において、
図1(A)に示す状態では、前記案内筒部36の後ろ側に嵌合された前記ストッパ45が、装着キャップ22と吐出ヘッド19の内周壁19cとに挟まれており、吐出ヘッド19をロックしている。
このとき、可動指当て部58は前側待機位置Sfにある。従って、指を支えるための板部(可動指当て部58及び連結片55)がロック状態において邪魔にならない。
次に摘み部47を摘まんで、
図2(A)に示す如く、ストッパ部材40を後方へ回転させると、指当て部材50も同じ方向へ回転し、ストッパ45が案内筒部36から外れて後ろ側待機位置Sbへ移動するとともに、可動指当て部58が前述の指当て位置(窪み部32と向かい合う位置)へ移動する。
次に、片手の一本の指(例えば人差し指)を可動指当て部58に掛けるとともに、片手の他の一本の指(例えば親指)を吐出ヘッド19の上面に沿え、2本の指で可動指当て部58及び吐出ヘッド19を挟むようにして、携帯用の吐出容器を支える。
そして吐出ヘッド19に沿えた指を下げると、シリンダ11内の内容物がノズル筒19dから吐出される。可動指当て部58に一本の指を当てた状態で吐出ヘッド19を押し下げることができる。吐出容器を安定的に支えながら容易に吐出ヘッドを押し下げる操作ができるので、持ち運んで自由に使用でき、片手での操作性が良好である。
吐出ヘッド19の押下げを解放すると、作動部材12が付勢手段cの付勢力により上昇し、容器体2内の液体がシリンダ11内へ吸い上げられる。
次に、ストッパ45の摘み部47を摘まんでストッパ部材40を上方へ回転させ、抱持筒部46を案内筒部36に嵌合させると、吐出ヘッド19がロックされるとともに、可動指当て部58が前側待機位置Sfへ移動し、
図1(A)の状態に戻る。
【0031】
前記構成及び作用によれば、ストッパ部材40と前記指当て部材50とは相互に連動するから、ストッパ45を案内筒部36から離脱させると、装着キャップ22の前方に指当て部が指を掛けることが可能な姿勢で配備されるから、片手での操作が容易である。
前記ストッパ部材40と前記指当て部材50とは、前記装着キャップ22の左右の側部22sにそれぞれ設けた共通の一対の軸部27に軸支させたから、ストッパ部材40及び指当て部材50を一体的に回転させることができ、片手の操作性が良好となる。
可動指当て部58の下側に、下内方へ凹む窪み部32を形成したから、指当て操作の操作スペースを確保することができ、指の収まりがよい。
【符号の説明】
【0032】
2…容器体 4…口頸部 6…オネジ部
10…吐出器 11…シリンダ 11a…大径シリンダ 11b…小径シリンダ
12…作動部材 13…ピストンガイド 14…液用ピストン 15…ポペット弁体
16…エアピストン 17…発泡部 18…ヘッド部材 19…吐出ヘッド
19a…天板 19b…外周壁 19c…内周壁 19d…ノズル筒
20…装着体 22…装着キャップ 22s…側部 24…直筒部 25…メネジ部
26…スカート状部 27…軸部 28…連結壁部 30…係止爪 32…窪み部
36…案内筒部 38…延長筒部
40…ストッパ部材 42…第1ブリッジ 43…第1側板部
44…中間部(第1中間板部) 45…ストッパ 46…抱持筒部 47…摘み部
50…指当て部材 52…第2ブリッジ 53…第2側板部 55…連結片
56…凹み 58…可動指当て部(中間部・第2中間板部) 59…爪受部
a…ステム c…付勢手段 e1…第1ブリッジの端部 e2…第2ブリッジの端部
g1、g2…間隙 i…係止筒部 p…吸上げパイプ r…鍔部
Sb…後ろ側待機位置 Sf…前側待機位置