(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172265
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両充電システム、車両充電方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241205BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20241205BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20241205BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241205BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20241205BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241205BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 G
H02J7/02 J
H02J7/00 X
H02J3/14
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
B60L53/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089857
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 正樹
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G066AE07
5G066AE09
5G066KA01
5G066KA12
5G066KB03
5G066KB07
5G066KC01
5G066KD01
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD05
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC01
5H125BC21
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE30
(57)【要約】
【課題】複数の車両について、所定の充電率以上となる車両を増加できる車両充電システム、車両充電方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】複数の充電器と、複数の充電器を制御する充電制御部とを備える車両充電システムであって、充電制御部は、充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得する取得部と、取得部が取得した車両の充電率情報に基づいて、車両の車載蓄電池の充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定する判定部と、複数の充電器に接続された車両のうち、判定部が車両の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する選択部と、選択部が選択した第1車両の充電を他の車両より優先して実行する充電処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電制御部とを備える車両充電システムであって、
前記充電制御部は、
前記充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記車両の前記充電率情報に基づいて、前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定する判定部と、
複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行する充電処理部と
を備える、車両充電システム。
【請求項2】
前記充電処理部は、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両のうち、前記第1車両の充電を第1電流値で実行し、前記第1車両以外の他の車両を前記第1電流値よりも低い第2電流値で実行する、請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項3】
前記充電処理部は、系統からの受電電力情報に基づいて、複数の前記充電器に接続された前記車両の充電に使用可能な電流の上限値を設定し、複数の前記車両の充電電流の合計が前記電流の前記上限値以下になるように制御する、請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1車両の車載蓄電池の充電率情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記第1車両の前記充電率情報に基づいて、前記第1車両の前記車載蓄電池の前記充電率が前記充電率閾値に達したか否かを判定し、
前記取得部は、前記判定部が前記第1車両の前記車載蓄電池の前記充電率が前記充電率閾値に達したと判定した場合に、前記充電器に接続された車両のうち、前記第1車両以外の一又は複数の車両の車載蓄電池の充電率情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記第1車両以外の一又は複数の前記車両の前記充電率情報に基づいて、一又は複数の前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が前記充電率閾値未満であるか否かを判定し、
前記選択部は、複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を新たに選択し、
前記充電処理部は、選択部が新たに選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行する、請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記取得部が取得した前記第1車両の前記充電率情報に基づいて、前記第1車両の前記車載蓄電池の前記充電率が満充電未満であるか否かを判定し、
前記充電処理部は、前記判定部が前記第1車両の前記充電率が満充電未満であると判定した場合に、前記第1車両の充電を新たに選択した前記第1車両よりも低い電流値で実行する、請求項4に記載の車両充電システム。
【請求項6】
前記充電処理部は、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の前記充電器に接続された前記車両を同じ電流値で充電する、請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項7】
前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の前記充電器に接続された前記車両の充電を継続するのか、充電を停止するのかを設定する設定部をさらに備え、
前記充電処理部は、前記設定部によって複数の前記充電器に接続された前記車両の充電を継続する設定が行われた場合に複数の前記充電器に接続された前記車両を同じ電流値で充電する、請求項6に記載の車両充電システム。
【請求項8】
複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電制御部とを備える車両充電システムが実行する車両充電方法であって、
前記充電制御部は、
前記充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得するステップと、
前記取得するステップで取得した前記車両の前記充電率情報に基づいて、前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定するステップと、
複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定するステップで車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択するステップと、
前記選択するステップで選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行するステップと
を実行する、車両充電方法。
【請求項9】
複数の充電器を制御する充電制御部のコンピュータに、
前記充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得するステップと、
前記取得するステップで取得した前記車両の前記充電率情報に基づいて、前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定するステップと、
複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定するステップで車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択するステップと、
前記選択するステップで選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電システム、車両充電方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車を充電するための充電器を複数備えた車両充電システムに関して、充電量に閾値を設けて、商用電力からの受電電力を制限するデマンド制御が実施されても、閾値に達していない車両の充電を優先して実施し、閾値に達するまでの時間を短くできる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この技術では、車両を充電するための複数の充電器と、充電器の充電電流を一括制御する充電制御部とを有し、充電制御部は充電する車両に優先順位を設定するために車両毎に設けた充電量の閾値を記憶し、充電量が閾値に達していない車両の充電を、閾値以上に充電が進んでいる車両より優先する充電制御を実施し、且つ商用電力からの受電電力情報を電力量計から入手して、受電電力のデマンド値が設定された基準値を超えないように充電制御を個々の車両に対して実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した技術では、充電量が閾値に達していない車両の充電を、閾値以上に充電が進んでいる車両より優先して、満充電となるまで充電制御が行われる。このため、仮に複数の車両について、所定の充電率以上となる車両を増加させる充電制御は行うことができない。
本発明の目的は、複数の車両について、所定の充電率以上となる車両を増加できる車両充電システム、車両充電方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電制御部とを備える車両充電システムであって、前記充電制御部は、前記充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記車両の前記充電率情報に基づいて、前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定する判定部と、複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する選択部と、前記選択部が選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行する充電処理部とを備える、車両充電システムである。
【0006】
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の車両充電システムにおいて、前記充電処理部は、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両のうち、前記第1車両の充電を第1電流値で実行し、前記第1車両以外の他の車両を前記第1電流値よりも低い第2電流値で実行する。
【0007】
(3)本発明の一態様は、上記(1)に記載の車両充電システムにおいて、前記充電処理部は、系統からの受電電力情報に基づいて、複数の前記充電器に接続された前記車両の充電に使用可能な電流の上限値を設定し、複数の前記車両の充電電流の合計が前記電流の前記上限値以下になるように制御する。
【0008】
(4)本発明の一態様は、上記(1)に記載の車両充電システムにおいて、前記取得部は、前記第1車両の車載蓄電池の充電率情報を取得し、前記判定部は、前記取得部が取得した前記第1車両の前記充電率情報に基づいて、前記第1車両の前記車載蓄電池の前記充電率が前記充電率閾値に達したか否かを判定し、前記取得部は、前記判定部が前記第1車両の前記車載蓄電池の前記充電率が前記充電率閾値に達したと判定した場合に、前記充電器に接続された車両のうち、前記第1車両以外の一又は複数の車両の車載蓄電池の充電率情報を取得し、前記判定部は、前記取得部が取得した前記第1車両以外の一又は複数の前記車両の前記充電率情報に基づいて、一又は複数の前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が前記充電率閾値未満であるか否かを判定し、前記選択部は、複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を新たに選択し、前記充電処理部は、選択部が新たに選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行する。
【0009】
(5)本発明の一態様は、上記(4)に記載の車両充電システムにおいて、前記判定部は、前記取得部が取得した前記第1車両の前記充電率情報に基づいて、前記第1車両の前記車載蓄電池の前記充電率が満充電未満であるか否かを判定し、前記充電処理部は、前記判定部が前記第1車両の前記充電率が満充電未満であると判定した場合に、前記第1車両の充電を新たに選択した前記第1車両よりも低い電流値で実行する。
【0010】
(6)本発明の一態様は、上記(1)に記載の車両充電システムにおいて、前記充電処理部は、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の前記充電器に接続された前記車両を同じ電流値で充電する。
【0011】
(7)本発明の一態様は、上記(6)に記載の車両充電システムにおいて、前記判定部が前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の前記充電器に接続された前記車両の充電を継続するのか、充電を停止するのかを設定する設定部をさらに備え、前記充電処理部は、前記設定部によって複数の前記充電器に接続された前記車両の充電を継続する設定が行われた場合に複数の前記充電器に接続された前記車両を同じ電流値で充電する。
【0012】
(8)本発明の一態様は、複数の充電器と、複数の前記充電器を制御する充電制御部とを備える車両充電システムが実行する車両充電方法であって、前記充電制御部は、前記充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得するステップと、前記取得するステップで取得した前記車両の前記充電率情報に基づいて、前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定するステップと、複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定するステップで車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択するステップと、前記選択するステップで選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行するステップとを実行する、車両充電方法である。
【0013】
(9)本発明の一態様は、複数の充電器を制御する充電制御部のコンピュータに、前記充電器に接続された車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得するステップと、前記取得するステップで取得した前記車両の前記充電率情報に基づいて、前記車両の前記車載蓄電池の前記充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定するステップと、複数の前記充電器に接続された前記車両のうち、前記判定するステップで車両の前記車載蓄電池の前記充電率が充電率閾値未満であると判定した車両から、車載蓄電池の充電率が前記充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択するステップと、前記選択するステップで選択した前記第1車両の充電を他の車両より優先して実行するステップとを実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の車両について、所定の充電率以上となる車両を増加できる車両充電システム、車両充電方法およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両充電システム1の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る車両充電システム1の充電器2の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る車両充電システム1の動作の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る車両充電システム1の適用例を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係る車両充電システム1が表示する駐車場画像の一例を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例に係る車両充電システム1aの一例を示すブロック図である。
【
図7】実施形態の変形例に係る車両充電システム1aの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本実施形態の車両充電システム、車両充電方法およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0017】
(実施形態)
(車両充電システム)
図1は、本発明の一実施形態に係る車両充電システム1の一例を示すブロック図である。車両充電システム1は、
図1に示すように、充電器2-1~充電器2-n(nは、n>0の整数)と、充電制御部3とを備えている。
図1には、充電器2-1~充電器2-nと、充電制御部3とに加え、主開閉器MSと、電力量計(スマートメータ)10と、引込分電盤IDBと、管理サーバ100とが示されている。
【0018】
車両充電システム1及び管理サーバ100は、ネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。
【0019】
電柱を経由して商用電源PSは、配電線DLによって主開閉器MSを経由して、引込分電盤IDBに供給される。主開閉器MSと引込分電盤IDBとの間には電力量計10が設けられ、電力量計10は、通信線L2を介して車両充電システム1と接続されている。電力量計10は、系統からの受電電力を測定する。
【0020】
引込分電盤IDBは、主幹6及びブレーカ5-1からブレーカ5-10を含む。ブレーカ5-1からブレーカ5-10の定格電流の一例は、3AT、5AT、10AT、15AT、20AT、50AT、100ATなどである。例えば、ブレーカ5-1からブレーカ5-7の定格電流は100ATであり、ブレーカ5-8からブレーカ5-9の定格電流は20ATである。
【0021】
図1に示される例では、ブレーカ5-1は充電器2-n-1及び充電器2-nに接続され、ブレーカ5-5は充電器2-1及び充電器2-2に接続される。ブレーカ5-2からブレーカ5-4及びブレーカ5-6からブレーカ5-7は、それぞれ一又は複数の充電器(図示なし)と接続されている。また、ブレーカ5-7は計測部と接続され、ブレーカ5-8は照明などの負荷と接続され、ブレーカ5-10は負荷と接続されていない。
【0022】
充電器2-1~充電器2-nは、電気自動車EV(Electric Vehicle)等の車両4-1~車両4-nからそれぞれ延びたケーブルL1-1~ケーブルL1-nが接続される。ケーブルL1-1~ケーブルL1-nの各々には電力線及び通信線が含まれる。充電器2-1~充電器2-nは、それぞれ車両4-1~車両4-nを充電する。充電器2-1~充電器2-nの各々は、充電制御部3からの制御信号を受けて、充電電流を増減する回路(図示せず)を備えている。
【0023】
充電制御部3は、計測部31と、記憶部32と、通信部33と、制御部34と、通信部35-1~通信部35-nとを備えている。以下、通信部35-1~通信部35-nのうちの任意の通信部を通信部35と記載し、充電器2-1から充電器2-nのうちの任意の充電器を充電器2と記載し、ケーブルL1-1~ケーブルL1-nのうち任意のケーブルをケーブルL1と記載し、車両4-1~車両4-nのうちの任意の車両を車両4と記載する。
【0024】
充電制御部3は、電力量計10が測定した系統からの受電電力情報を取得し、取得した受電電力情報に基づいて、充電器2-1~充電器2-nに接続された一又は複数の車両4の充電に使用可能な電流の上限値を設定する。充電制御部3は、充電器2-1~充電器2-nに接続された一又は複数の車両4の充電電流の合計が充電に使用可能な電流の上限値以下になるように制御する。
具体的には、充電制御部3は、契約電力の契約アンペア、もしくは契約アンペアより数割(例えば、1割から3割)減のアンペアを上限の設定値(値A)とし、実際に電力量計の受電点で計測した電流値(値B)との差分を充電に使用可能な電流の上限値とする。例えば、充電制御部3は、式(1)に基づいて、充電に使用可能な電流の上限値を制御する。
充電に使用可能な電流の上限値=上限の設定値(値A)-受電点で計測した電流値(値B) (1)
また、充電に使用可能な電流の上限値は予め設定されてもよい。
【0025】
充電器2に車両4の充電プラグが接続されることによって、充電器2に車両4の車載蓄電池が接続される。充電制御部3は、充電開始操作が行われた場合に、充電器2-1~充電器2-nに接続された一又は複数の車両4の車載蓄電池の充電率(SOC: State Of Charge)を示す充電率情報を取得する。
以下、一例として、充電制御部3が、充電器2-1~充電器2-nに接続された複数の車両4の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得した場合について説明を続ける。充電制御部3は、取得した複数の車両4の車載蓄電池の充電率情報に基づいて、複数の車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定する。
【0026】
充電制御部3は、充電器2-1~充電器2-nに接続された複数の車両4のうち、車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の車両4(以下「第1車両」という)を選択する。充電制御部3は、選択した第1車両に充電順位の優先度を与えることによって充電を他の車両より優先して実行する。以下、車両4の車載蓄電池を充電することを、車両4を充電するとも記載する。
【0027】
計測部31は、ブレーカ5-7に接続されるとともに、電力量計10に通信線L2を介して接続され、電力量計10から、系統からの受電電力情報を取得し、取得した系統からの受電電力情報を制御部34へ出力する。
記憶部32は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現され、充電率閾値等を記憶する。
【0028】
通信部33は、通信モジュールによって実現される。通信部33は、ネットワークNWを介して、管理サーバ100などの外部の通信装置と通信する。通信部33は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信する。通信部33は、ネットワークNWを介して、管理サーバ100と通信するために必要な通信情報を保持する。
【0029】
通信部35-1~通信部35-nは、通信モジュールによって実現される。通信部35-1~通信部35-nは、それぞれ充電器2-1~充電器2-nと通信する。通信部35-1~通信部35-nは、例えば有線LANなどの通信方式で通信してもよい。また、通信部35-1~通信部35-nは、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。通信部35-1~通信部35-nは、それぞれ充電器2-1~充電器2-nと通信するために必要な通信情報を保持する。
【0030】
制御部34について詳細に説明する。制御部34は、充電器2-1~充電器2-nに接続された複数の車両4の充電電流を決定すると共に充電制御部3の各部を制御する。制御部34は、取得部34-1、判定部34-2、選択部34-3及び充電処理部34-4として機能する。
充電器2-1から充電器2-nに接続された複数の車両4は、車両ID及び車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を含む充電率通知を作成し、管理サーバ100へ送信する。
【0031】
管理サーバ100は、例えばクラウドサーバであり、複数の車両4が送信した充電率通知を受信し、受信した複数の充電率通知を車両充電システム1へ送信する。
車両充電システム1において、通信部33は、管理サーバ100が送信した複数の充電率通知を受信する。取得部34-1は、通信部33から複数の充電率通知を取得する。
【0032】
判定部34-2は、取得部34-1が取得した複数の充電率通知を取得し、取得した複数の充電率通知に基づいて判定処理を行う。判定処理では、判定部34-2は、取得した複数の充電率通知の各々に含まれる車両ID及び車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定処理では、判定部34-2は、取得した車両ID及び車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報の複数の組み合わせに基づいて、車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定する。充電率閾値の一例は、60%以上90%以下であり、より具体的には70%以上80%以下である。
【0033】
選択部34-3は、判定部34-2から車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両ID及びその車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。選択部34-3は、取得した車両ID及びその車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報に基づいて、選択処理を行う。選択処理では、選択部34-3は、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する。
【0034】
充電処理部34-4は、充電器2-1~充電器2-nから、それぞれ通信部35-1~通信部35-nを介して接続されている車両の車両IDを取得する。充電処理部34-4は、選択部34-3から第1車両の車両IDを取得する。充電処理部34-4は、充電制御部3から充電に使用可能な電流の上限値を示す情報を取得する。充電処理部34-4は、取得した充電に使用可能な電流の上限値を示す情報および第1車両の車両IDに基づいて、第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を作成する。制御情報には、充電電流の指示値を示す情報が含まれる。
充電処理部34-4は、一台の車両4の充電を優先して行うため、充電電流の指示値として充電に使用可能な電流の上限値を使用してもよい。充電処理部34-4は、作成した制御情報を、通信部35-1から通信部35-nのうち第1車両が接続されている充電器2に接続されている通信部35に出力する。
【0035】
通信部35は、充電処理部34-4が出力した制御情報を取得した場合に、取得した制御情報を、接続されている充電器2に出力する。充電器2は、通信部35が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて充電器2にケーブルL1によって接続されている第1車両を充電する。
充電処理部34-4は、充電器2が送信した車両ID及び車両4に供給している実際の電流値情報を取得し、取得した実際の電流値情報に基づいて、制御情報に含める充電電流の指示値を調整する。
【0036】
制御部34は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部32に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0037】
図2は、本実施形態に係る車両充電システム1の充電器2の一例を示す図である。充電器2は、通信部22、制御部24、記憶部25、計測部26及び出力部28を備える。
通信部22は、通信モジュールによって実現される。通信部22は、外部の通信装置と通信する。通信部22は、例えば有線LANなどの通信方式で通信してもよい。また、通信部22は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。通信部22は、通信部35を介して、制御部34との間で通信を行う。通信部22は、車両4が送信した車両ID及び制御部34が送信した制御情報を受信する。通信部22は、受信した車両ID及び車両4に供給している実際の電流値情報を制御部34へ送信する。
【0038】
計測部26は、車両4に供給している実際の電流値を計測する。
出力部28は、充電電流を出力することによって車両4を充電する。
制御部24は、通信部22が受信した車両IDを取得し、取得した車両IDを通信部22から充電制御部3へ送信する。また、制御部24は、通信部22から制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる充電電流の指示値を取得する。制御部24は、取得した充電電流の指示値に基づいて出力部28に充電電流を出力させることによって車両4を充電させる。制御部24は、計測部26から車両4に供給している実際の電流値を取得し、取得した実際の電流値情報を、通信部22から制御部34に送信する。
記憶部25は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。
【0039】
制御部24及び出力部28は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部25に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0040】
(車両充電システム1の動作)
図3は、本実施形態に係る車両充電システム1の動作の一例を示す図である。
図3を参照して、車両充電システム1に接続された車両4-1及び車両4-2の各々に充電の優先度を割り当て、充電する処理について説明する。
【0041】
(ステップS1-1)
充電器2-1に車両4-1の充電プラグが接続されることによって、充電器2-1に車両4-1が接続される。車両4-1は、車両IDを充電器2-1に送信する。
【0042】
(ステップS2-1)
充電器2-1において、通信部22は、車両4-1が送信した車両IDを受信する。制御部24は、通信部22から車両IDを取得し、取得した車両IDを通信部22から充電制御部3へ送信する。充電制御部3において、通信部35-1は、充電器2-1の通信部22が送信した車両IDを受信する。充電処理部34-4は、通信部35-1から車両IDを取得する。
【0043】
(ステップS3-1)
充電器2-2に車両4-2の充電プラグが接続されることによって、充電器2-2に車両4-2が接続される。車両4-2は、車両IDを充電器2-2に送信する。
(ステップS4-1)
充電器2-2において、通信部22は、車両4-2が送信した車両IDを受信する。制御部24は、通信部22から車両IDを取得し、取得した車両IDを通信部22から充電制御部3へ送信する。充電制御部3において、通信部35-2は、充電器2-2の通信部22が送信した車両IDを受信する。充電処理部34-4は、通信部35-2から車両IDを取得する。
【0044】
(ステップS5-1)
車両4-1は、車両ID及び車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を含む充電率通知を作成する。
(ステップS6-1)
車両4-1は、作成した充電率通知を、管理サーバ100へ送信する。
【0045】
(ステップS7-1)
管理サーバ100は、車両4-1が送信した充電率通知を受信し、受信した充電率通知を充電制御部3へ送信する。充電制御部3において、通信部33は、管理サーバ100が送信した充電率通知を受信する。
(ステップS8-1)
車両4-2は、作成した充電率通知を、管理サーバ100へ送信する。
【0046】
(ステップS9-1)
管理サーバ100は、車両4-2が送信した充電率通知を受信し、受信した充電率通知を充電制御部3へ送信する。充電制御部3において、通信部33は、管理サーバ100が送信した充電率通知を受信する。
(ステップS10-1)
充電制御部3において、取得部34-1は、通信部33から複数の充電率通知を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した複数の充電率通知を取得し、取得した複数の充電率通知の各々に含まれる車両ID及び充電率情報を取得する。
【0047】
(ステップS11-1)
充電制御部3において、判定部34-2は、取得した車両ID及び充電率情報の複数の組み合わせに基づいて判定処理を行う。
(ステップS12-1)
充電制御部3において、選択部34-3は、判定部34-2から車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両ID及びその車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。選択部34-3は、取得した車両ID及びその車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報に基づいて、選択処理を行う。
【0048】
(ステップS13-1)
充電制御部3において、充電処理部34-4は、選択部34-3から第1車両の車両IDを取得する。充電処理部34-4は、充電制御部3から充電に使用可能な電流の上限値を示す情報を取得する。充電処理部34-4は、取得した充電に使用可能な電流の上限値を示す情報および第1車両の車両IDに基づいて、第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を作成する。一例として第1車両が車両4-1である場合について説明を続ける。
(ステップS14-1)
充電制御部3において、充電処理部34-4は、作成した制御情報を、通信部35-1から通信部35-2のうち、第1車両が接続されている充電器2-1に接続されている通信部35-1に出力する。通信部35-1は、充電処理部34-4が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報を充電器2-1に出力する。
【0049】
(ステップS15-1)
充電器2-1は、通信部35-1が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて、充電器2-1にケーブルL1によって接続されている車両4-1を充電する。その後、ステップS5-1へ戻る。
【0050】
ステップS5-1へ戻った場合の処理について説明する。車両4-1及び車両4-2は、充電率通知を作成し、作成した充電率通知を、管理サーバ100へ送信する。管理サーバ100は、車両4-1及び車両4-2が送信した充電率通知を受信し、受信した充電率通知を充電制御部3へ送信する。充電制御部3において、通信部33は、管理サーバ100が送信した充電率通知を受信する。
【0051】
充電制御部3において、取得部34-1は、通信部33から複数の充電率通知を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した複数の充電率通知を取得し、取得した複数の充電率通知の各々に含まれる車両ID及び充電率情報を取得する。つまり、判定部34-2は、車両4-1(第1車両)及び車両4-2の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した車両4-1(第1車両)及び車両4-2の充電率情報に基づいて、車両4-1(第1車両)及び車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したか否かを判定する。
【0052】
判定部34-2によって車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定されない場合には、前述した処理と同様の処理が行われる。取得部34-1は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定した場合に、充電器2-1及び充電器2-2に接続された車両のうち、車両4-1(第1車両)以外の車両4-2の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した車両4-1(第1車両)以外の車両4-2の充電率情報に基づいて、車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定する。判定部34-2によって車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達した(充電率閾値以上)と判定された場合には、処理を終了する。選択部34-3は、判定部34-2が車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した場合に、車両4-2を第1車両として新たに選択する。充電処理部34-4は、選択部34-3が新たに選択した第1車両に優先度を与えることによって充電を優先して実行する。
【0053】
判定部34-2は、取得した車両4-1(第1車両)の充電率情報に基づいて、車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が満充電に達したか否かを判定するようにしてもよい。充電処理部34-4は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の充電率が満充電未満であると判定した場合に、車両4-1の充電を新たに選択した車両4-2(第1車両)よりも低い電流値で充電し続けるようにしてもよい。
このように構成することによって、車両4-2の車載蓄電池の充電率を充電率閾値に近づけつつ、車両4-1の車載蓄電池の充電率を満充電に近づけることができる。
また、充電処理部34-4は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の充電率が満充電未満であると判定した場合に、車両4-1の充電を夜間(22時から5時)に行うことによって満充電としてもよい。このように構成することによって、ピークシフトに繋がるため、契約電力を下げることが可能になる。
【0054】
図3では、車両充電システム1が、二台の車両4-1及び車両4-2のうち、優先して充電する車両を決定し、決定した車両に優先度を与えることによって充電する場合について説明したがこの例に限られない。例えば、車両充電システム1が、三台以上の車両4のうち、優先して充電する車両4を決定し、充電する場合にも適用できる。
【0055】
車両4を三台以上とした場合に、ステップS15-1の後ステップS5-1へ戻ったときの処理について説明する。取得部34-1は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定した場合に、複数の充電器に接続された車両4のうち、第1車両以外の複数の車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。
判定部34-2は、取得部34-1が取得した第1車両以外の複数の車両4の充電率情報に基づいて、複数の車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定する。選択部34-3は、複数の充電器2に接続された車両4のうち、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を新たに選択する。充電処理部34-4は、選択部34-3が新たに選択した第1車両に優先度を与えることによって充電を他の車両より優先して実行する。
【0056】
車両充電システム1の適用例について説明する。車両充電システム1は、複数の車両4を使用してサービスを提供するシステムに適用できる。一例として、車両充電システム1をデリバリー配送サービスに適用した場合について説明する。
図4は、本実施形態に係る車両充電システム1の適用例を説明するための図である。
図4は、一例として、デリバリー配送サービスにおいて、配送に使用する20台の車両の各々について、10時から23時の時間での配送状況と充電情報とを示す。
図4では、10時から23時の時間が30分を単位として区分され、配送に出発した時刻と配送から到着した時刻との間を色付きで示す。配送に出発した時刻の区分及び配送から到着した時刻の区分に示されている数値は充電率情報である。20台の車両の各々は最大5件配達する。
【0057】
図4によれば、車両No.2152のように14時30分から18時30分にかけて1回の配達で充電率100%から充電率30%に減少することによって充電率70%に相当する電力を消費している車両及び車両No.2172のように16時から20時30分にかけて1回の配達で充電率100%から充電率30%に減少することによって充電率70%に相当する電力を消費している車両が存在する。
車両充電システム1において、仮に充電率70%に充電率10%を加えて充電率閾値を80%とすることによって、例えば夕方(15時から18時)において、充電率80%の車両を増加させることができる。このため、従来技術のように充電量が閾値に達していない車両の充電を閾値以上に充電が進んでいる車両より優先して満充電となるまで充電制御を行う場合と比較して、より多くの配達を行うことが可能となる。
【0058】
車両充電システム1の適用例では、一つの充電率閾値が設定される場合について説明したがこの例に限られない。例えば、車両充電システム1に、複数の充電率閾値が設定されてもよい。具体的には、デリバリー配送サービスでは、基本的に近距離配送、ごく稀に長距離配送があることが多い。このため、車両充電システム1に、近距離配送用で絶対必要な充電率である第1充電率閾値と、ごく稀にある長距離配送を加味した充電率である第2充電率閾値とを設定する。第1充電率閾値の一例は充電率70%であり、2充電率閾値の一例は充電率80%である。
この場合、充電器2-1から充電器2-nに接続された複数の車両4は、車両ID及び車両の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を含む充電率通知を定期的に作成し、管理サーバ100へ送信する。管理サーバ100は、複数の車両4が送信した充電率通知を受信し、受信した複数の充電率通知を車両充電システム1へ送信する。
【0059】
車両充電システム1において、通信部33は、管理サーバ100が送信した複数の充電率通知を受信する。取得部34-1は、通信部33から複数の充電率通知を取得する。
判定部34-2は、取得部34-1から複数の充電率通知を取得し、取得した複数の充電率通知に基づいて判定処理を行う。判定処理では、判定部34-2は、取得した複数の充電率通知の各々に含まれる車両ID及び車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定処理では、判定部34-2は、取得した車両ID及び車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報の複数の組み合わせに基づいて、車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率が第1充電率閾値未満であるか否かを判定する。
【0060】
選択部34-3は、判定部34-2から車両4の車載蓄電池の充電率が第1充電率閾値未満である車両ID及びその車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。選択部34-3は、取得した車両ID及びその車両IDに該当する車両4の車載蓄電池の充電率情報に基づいて、選択処理を行う。選択処理では、選択部34-3は、車載蓄電池の充電率が第1充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する。
【0061】
充電処理部34-4は、充電器2-1~充電器2-nから、それぞれ通信部35-1~通信部35-nを介して接続されている車両の車両IDを取得する。充電処理部34-4は、選択部34-3から第1車両の車両IDを取得する。充電処理部34-4は、充電制御部3から充電に使用可能な電流の上限値を示す情報を取得する。充電処理部34-4は、取得した充電に使用可能な電流の上限値を示す情報および第1車両の車両IDに基づいて、第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を作成する。充電処理部34-4は、作成した制御情報を、通信部35-1から通信部35-nのうち第1車両が接続されている充電器2に接続されている通信部35に出力する。
また、充電処理部34-4は、充電器2-1~充電器2-nを一斉に制御する場合に、充電率閾値と充電器2-1~充電器2-nに接続されている車両4の充電率情報とに基づいて、充電率閾値と充電率との比率で換算することによって充電電流の抑制率を求める。充電処理部34-4は、求めた抑制率で、充電電流を抑制する。ここで、充電器2-1~充電器2-nを一斉に制御する場合には、デマンド目標値を超過した場合、トランス容量が目標値を超過した場合、ブレーカ容量が目標値を超過した場合が含まれる。
【0062】
通信部35は、充電処理部34-4が出力した制御情報を取得した場合に、取得した制御情報を、接続されている充電器2に出力する。充電器2は、通信部35が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて充電器2にケーブルL1によって接続されている第1車両を充電する。
【0063】
充電器2-1から充電器2-nに接続された複数の車両4からの充電率通知に基づいて、判定部34-2によって充電率が第1充電率閾値以上となったと判定された場合に、第1充電率閾値から第2充電率閾値に変更し、同様の処理が行われる。
このように構成することによって、充電率閾値が1つの場合と比較して、複数の車両について、充電率が第1充電率以上となる車両を増加させ、全ての車両4の充電率が第1充電率閾値以上となった後に充電率が第2充電率以上となる車両を増加できる。ここでは、一例として、車両充電システム1に、2種類の充電率閾値が設定される場合について説明したが、3種類以上の充電率閾値が設定されてもよい。
【0064】
車両充電システム1の適用例では、充電率閾値が固定値である場合について説明したがこの例に限られない。例えば、車両充電システム1は、複数の充電率閾値を、所定の条件で切り替えるようにしてもよい。具体的には、デリバリー配送サービスでは、曜日、月末等によって注文件数がばらつくことが多い。例えば、火曜日、金曜日、土曜日、日曜日、月末は注文件数が多い。月末に注文件数が多い理由はクーポンの期限間近であるためであると想定される。
そこで、車両充電システム1は、注文件数の多い日、少ない日によって、充電制御のモードを任意で切り替える。車両充電システム1に、充電制御モードとして、注文件数が多い場合に使用される第1充電率閾値と、注文件数が少ない場合に使用される第2充電率閾値とが設定される。第1充電率閾値の一例は充電率70%であり、第2充電率閾値の一例は充電率80%である。
【0065】
注文件数が多い日には第1充電率閾値を使用して、前述した実施形態と同様の処理が行われる。注文件数が多い日には第2充電率閾値を使用して、前述した実施形態と同様の処理が行われる。
このように構成することによって、充電率閾値が固定値である場合と比較して、複数の車両について、注文件数が多い日又は少ない日に応じて、充電率が第1充電率以上又は第2充電率以上となる車両を増加できる。注文件数が多い日に充電率閾値を第1充電率とすることによって、充電率閾値を第2充電率とした場合と比較して、より多くの車両を充電できる。より多くの車両を充電できることによって、より多くの注文に対応できる。
ここでは、一例として、車両充電システム1が2種類の充電率閾値を切り替える場合について説明したが、3種類以上の充電率閾値が設定され、所定の条件に基づいて、使用する充電率閾値が切り替えられるように構成してもよい。所定の条件として、曜日、月末等に限らず、天候が含まれてもよい。
【0066】
前述した実施形態では、一例として車両4が充電率通知情報を作成し、管理サーバ100へ送信する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、車両4のユーザが所持するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ等の端末装置によって充電率通知情報を作成し、管理サーバ100へ送信するようにしてもよい。また、車両充電システム1の操作部(図示なし)に車両ID及び車両の車載蓄電池の充電率情報を入力するようにしてもよい。この場合、入力された車両ID及び車両の車載蓄電池の充電率情報は、制御部34に入力される。
【0067】
前述した実施形態において、充電処理部34-4は、選択部34-3から、車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両ID及び車両IDに該当する車両の車載蓄電池の充電率情報を取得するようにしてもよい。充電処理部34-4は、取得した車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両ID及び車両IDに該当する車両の車載蓄電池の充電率情報に基づいて、充電予測を行うようにしてもよい。
例えば、充電処理部34-4は、所定の時刻毎に、その時刻において充電率閾値以上となる車両の数を予測する。充電処理部34-4は、充電予測の結果を通信部33から管理サーバ100へ送信するようにしてもよい。このように構成することによって、管理サーバ100において、管理者は、車両充電システム1に接続されている車両4のうち、所定の時刻毎に充電率閾値以上となる車両の数を把握できる。
【0068】
前述した実施形態において、充電処理部34-4は、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の充電器2に接続された車両4を同じ電流値で充電するようにしてもよい。
判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両4が無いと判定した場合に、複数の充電器2に接続された車両4の充電を継続するのか、充電を停止するのか設定する設定部(図示なし)をさらに備えるようにしてもよい。充電処理部34-4は、設定部によって複数の充電器2に接続された車両4の充電を継続する設定が行われた場合に複数の充電器2に接続された車両4を同じ電流値で充電するようにしてもよい。
前述した実施形態において、充電処理部34-4は、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両が複数あると判定した場合に、複数の充電器2に接続された車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である複数の車両4の各々を、充電に使用可能な電流の上限値を均等に分割した充電電流で充電を実行してもよいし、充電に使用可能な電流の上限値を車両4の充電率及び充電率閾値に基づいて分割した充電電流で充電を実行してもよい。
【0069】
前述した実施形態において、取得部34-1は、充電器2-1~充電器2-nから、それぞれ通信部35-1~通信部35-nを介して接続されている車両の車両IDを取得するようにしてもよい。取得部34-1は、取得した充電器2-1~充電器2-nに接続されている車両の車両ID及び複数の充電率通知に基づいて、充電器2-1~充電器2-nと充電器2-1~充電器2-nに接続されている車両の充電率情報とを関連付けた充電器充電率情報関連情報を作成するようにしてもよい。
【0070】
車両充電システム1において、制御部34は、取得部34-1が作成した充電器充電率情報関連情報に基づいて、駐車場に含まれる複数の駐車位置PP-1から駐車位置PP-nにそれぞれ設置されている充電器2-1から充電器2-nと駐車位置PP-1から駐車位置PP-nに駐車している車両4の充電率情報とを関連付けた駐車場画像を表示部(図示なし)に表示する画像処理部(図示なし)を備えるようにしてもよい。
【0071】
図5は、本実施形態に係る車両充電システム1が表示する駐車場画像の一例を示す図である。
図5には、駐車位置A1~駐車位置A3、駐車位置B1~駐車位置B3、駐車位置C1~駐車位置C3、駐車位置D1~駐車位置D3、駐車位置E1~駐車位置E3、駐車位置F1~駐車位置F3及び駐車位置G1~駐車位置G2を示すボックスが示されている。さらに、
図5には、駐車位置H1~駐車位置H3、駐車位置I1~駐車位置I3、駐車位置J1~駐車位置J3、駐車位置K1~駐車位置K3、駐車位置L1~駐車位置L3、駐車位置M1~駐車位置M3及び駐車位置N1~駐車位置N2を示すボックスが示されている。
【0072】
駐車位置A1~駐車位置A3、駐車位置B1~駐車位置B3、駐車位置C1~駐車位置C3、駐車位置D1~駐車位置D3、駐車位置E1~駐車位置E3、駐車位置F1~駐車位置F3及び駐車位置G1~駐車位置G2を示すボックスの下側には車両4の駐車の有無及び駐車している車両4の充電率情報を示すボックスが表示されている。
駐車位置H1~駐車位置H3、駐車位置I1~駐車位置I3、駐車位置J1~駐車位置J3、駐車位置K1~駐車位置K3、駐車位置L1~駐車位置L3、駐車位置M1~駐車位置M3及び駐車位置N1~駐車位置N2を示すボックスの上側には車両4の駐車の有無及び駐車している車両4の充電率情報を示すボックスが表示されている。具体的には、駐車位置A1には、車両4が駐車しており、その車両の充電率は80%である。
【0073】
また、充電率を示すボックスにおいて、充電率に基づいて、色分けされている。
図5では、色分けを異なるハッチングで示す。例えば、充電率閾値を充電率80%とした場合に、充電率が40%未満、充電率が40%以上50%未満、充電率が50%以上80%未満及び充電率が80%以上である場合の各々について異なる色で表される。このように構成することによって、駐車場に含まれる複数の駐車位置に駐車している車両4の充電率の状況をモニタリングできる。
【0074】
また、取得部34-1は、充電器充電率情報関連情報を、通信部33から管理サーバ100へ送信するようにしてもよい。管理サーバ100は、車両充電システム1が送信した充電器充電率情報関連情報を受信し、受信した充電器充電率情報関連情報に基づいて駐車場画像を作成し、作成した駐車場情報を表示部(図示なし)に表示するようにしてもよい。このように構成することによって、管理サーバ100において、管理者は、遠隔から駐車場に含まれる複数の駐車位置に駐車している車両4の充電率の状況をモニタリングできる。
【0075】
本実施形態に係る車両充電システム1によれば、車両充電システム1は、複数の充電器2と、複数の充電器2を制御する充電制御部3とを備える。充電制御部3は、充電器2に接続された車両4の車載蓄電池の充電率を示す充電率情報を取得する取得部34-1と、取得部34-1が取得した車両4の充電率情報に基づいて、車両4の車載蓄電池の充電率が予め設定される充電率閾値未満であるか否かを判定する判定部34-2と、複数の充電器2に接続された車両4のうち、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する選択部34-3と、選択部34-3が選択した第1車両の充電を他の車両より優先して実行する充電処理部34-4とを備える。
【0076】
このように構成することによって、車両充電システム1は、複数の車両4のうち、車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択し、選択した第1車両の充電を他の車両より優先して実行できる。充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を他の車両より優先して充電できるため、複数の車両について、充電率閾値に最も近い充電率の第1車両の充電を他の車両より優先して充電しない場合と比較して、充電率閾値以上となる車両を早く増加できる。
【0077】
車両充電システム1において、充電処理部34-4は、系統からの受電電力情報に基づいて、複数の充電器2に接続された車両4の充電に使用可能な電流の上限値を設定し、複数の車両4の充電電流の合計が電流の上限値以下になるように制御する。
このように構成することによって、充電処理部34-4は、系統からの受電電力情報に基づいて複数の車両4の充電に使用可能な電流の上限値を設定できるため、電流の上限値以下になるように第1車両の充電を他の車両より優先して実行できる。電流の上限値以下になるように第1車両の充電を他の車両より優先して充電できる。
【0078】
車両充電システム1において、取得部34-1は、第1車両の車載蓄電池の充電率情報を取得し、判定部34-2は、取得部34-1が取得した第1車両の充電率情報に基づいて、第1車両の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したか否かを判定し、取得部34-1は、判定部34-2が第1車両の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定した場合に、充電器2に接続された車両のうち、第1車両以外の一又は複数の車両の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した第1車両以外の一又は複数の車両4の充電率情報に基づいて、一又は複数の車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定し、選択部34-3は、複数の充電器2に接続された車両4のうち、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を新たに選択し、充電処理部34-4は、選択部が新たに選択した第1車両の充電を他の車両より優先して実行する。
【0079】
このように構成することによって、車両充電システム1は、第1車両の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定した場合に、第1車両以外の一又は複数の車両の車載蓄電池の充電率情報に基づいて、一又は複数の車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を新たに選択できるため、第1車両以外の一又は複数の車両4の車載蓄電池の充電率を充電率閾値に達するようにできる。
【0080】
車両充電システム1において、判定部34-2は、取得部34-1が取得した第1車両の充電率情報に基づいて、第1車両の車載蓄電池の充電率が満充電未満であるか否かを判定する。充電処理部34-4は、判定部34-2が第1車両の充電率が満充電未満であると判定した場合に、第1車両の充電を第1電流値よりも低い電流値で実行する。
このように構成することによって、第1車両の車載蓄電池の充電率を満充電に近づけることができる。
【0081】
車両充電システム1において、充電処理部34-4は、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の充電器2に接続された車両4を同じ電流値で充電する。
このように構成することによって、複数の充電器2に接続された車両4を満充電に近づけることができる。
【0082】
車両充電システム1において、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両が無いと判定した場合に、複数の充電器2に接続された車両4の充電を継続するのか、充電を停止するのかを設定する設定部をさらに備える。充電処理部34-4は、設定部によって複数の充電器2に接続された車両4の充電を継続する設定が行われた場合に複数の充電器に接続された車両を同じ電流値で充電する。
このように構成することによって、設定部によって複数の充電器2に接続された車両4の充電を継続する設定が行われた場合に複数の充電器2に接続された車両4を満充電に近づけることができる。
【0083】
(実施形態の変形例)
(車両充電システム)
図6は、実施形態の変形例に係る車両充電システム1aの一例を示すブロック図である。車両充電システム1aは、
図6に示すように、充電器2-1~充電器2-nと、充電制御部3aとを備えている。
充電制御部3aは、充電制御部3の機能に加えて以下の機能を有する。充電制御部3aは、充電器2-1~充電器2-nに接続された複数の車両4のうち、車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択する。充電制御部3は、選択した第1車両を第1電流値で充電するように制御し、第1車両以外の他の車両を第1電流値よりも低い第2電流値で充電するように制御する。具体的には、充電制御部3は、充電器2-1~充電器2-nに接続された一又は複数の車両4の充電に使用可能な電流の上限値と、1車両あたりに流せる最大電流値とを使用して、第1電流値および第1電流値を導出する。ここで、6kW充電器では最大電流値は30Aであり、3kW充電器では最大電流値は15Aである。
【0084】
充電に使用可能な電流の上限値が1車両あたりに流せる最大電流値を超える場合について説明する。この場合、第1電流値は1車両あたりに流せる最大電流値であり、第2電流値は充電に使用可能な電流の上限値から第1電流値を減算したものである。ただし、第2電流値の換算結果(減算)が1車両あたりに流せる最大電流値を超える場合は、1車両あたりに流せる最大電流値を第2電流値とする。
充電に使用可能な電流の上限値が1車両あたりに流せる最大電流値以下である場合について説明する。この場合、第1電流値は充電に使用可能な電流の上限値であり、第2電流値は0である。
【0085】
充電制御部3aは、充電制御部3において、制御部34の代わりに制御部34aを備える。制御部34aは、制御部34において、充電処理部34-4の代わりに充電処理部34a-4を備える。
充電処理部34a-4は、充電器2-1~充電器2-nから、それぞれ通信部35-1~通信部35-nを介して接続されている車両の車両IDを取得する。充電処理部34a-4は、選択部34-3から、第1車両の車両ID及び車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両IDのうち第1車両以外の他の車両4の車両IDを取得する。つまり、充電処理部34a-4は、通信部35-1~通信部35-nから、複数の車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両IDを取得する。
【0086】
充電処理部34a-4は、取得した第1車両の車両ID及び他の車両の車両IDに基づいて、それぞれ第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報及び他の車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を作成する。第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報には充電電流の指示値を示す情報として第1電流値を示す情報が含まれ、他の車両の車載蓄電池を充電するための制御情報には充電電流の指示値を示す情報として第1電流値よりも低い第2電流値を示す情報が含まれる。
【0087】
充電処理部34a-4は、作成した制御情報を、通信部35-1から通信部35-nのうち、第1車両が接続されている充電器2に接続されている通信部35及び他の車両が接続されている充電器2に接続されている通信部35に出力する。
また、充電処理部34a-4は、充電器2-1~充電器2-nを一斉に制御する場合に、充電率閾値と充電器2-1~充電器2-nに接続されている車両4の充電率情報とに基づいて、充電率閾値と充電率との比率で換算することによって充電電流の抑制率を求める。充電処理部34a-4は、求めた抑制率で、充電電流を抑制する。ここで、充電器2-1~充電器2-nを一斉に制御する場合には、デマンド目標値を超過した場合、トランス容量が目標値を超過した場合、ブレーカ容量が目標値を超過した場合が含まれる。
通信部35は、充電処理部34-4が出力した制御情報を取得した場合に、取得した制御情報を接続されている充電器2に出力する。
充電器2は、通信部35が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に基づいて、充電器2にケーブルL1によって接続されている車両4を充電する。
【0088】
制御部34aは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部32に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0089】
(車両充電システム1aの動作)
図7は、実施形態の変形例に係る車両充電システム1aの動作の一例を示す図である。
図7を参照して、車両充電システム1aに接続された車両4-1及び車両4-2の各々に充電の優先順位を割り当て、充電する処理について説明する。
ステップS1-2からステップS12-2は、
図3を参照して説明したステップS1-1からステップS12-1を適用できるため、ここでの説明は省略する。
【0090】
(ステップS13-2)
充電制御部3aにおいて、充電処理部34a-4は、選択部34-3から、第1車両の車両ID及び車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満である車両IDのうち第1車両以外の他の車両の車両IDを取得する。充電処理部34a-4は、取得した第1車両の車両ID及び他の車両の車両IDに基づいて、それぞれ第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報及び他の車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を作成する。一例として第1車両が車両4-1である場合について説明を続ける。
【0091】
(ステップS14-2)
充電制御部3aにおいて、充電処理部34a-4は、通信部35-1から通信部35-2のうち、作成した第1車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を第1車両が接続されている充電器2-1に接続されている通信部35-1に出力する。
【0092】
(ステップS15-2)
充電制御部3aにおいて、充電処理部34a-4は、通信部35-1から通信部35-2のうち、作成した他の車両の車載蓄電池を充電するための制御情報を他の車両が接続されている充電器2-2に接続されている通信部35-2に出力する。
【0093】
(ステップS16-2)
充電器2-1は、通信部35-1が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる第1電流値を示す情報に基づいて、充電器2-1にケーブルL1-1によって接続されている車両4-1を第1電流値で充電する。
【0094】
(ステップS17-2)
充電器2-1は、通信部35-2が出力した制御情報を取得し、取得した制御情報に含まれる第2電流値を示す情報に基づいて、充電器2-2にケーブルL1-2によって接続されている車両4-2を第2電流値で充電する。その後、ステップS5-2へ戻る。
【0095】
ステップS5-2へ戻った場合の処理について説明する。車両4-1及び車両4-2は、充電率通知を作成し、作成した充電率通知を、管理サーバ100へ送信する。管理サーバ100は、車両4-1及び車両4-2が送信した充電率通知を受信し、受信した充電率通知を充電制御部3へ送信する。充電制御部3において、通信部33は、管理サーバ100が送信した充電率通知を受信する。
【0096】
充電制御部3aにおいて、取得部34-1は、通信部33から複数の充電率通知を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した複数の充電率通知を取得し、取得した複数の充電率通知の各々に含まれる車両ID及び充電率情報を取得する。つまり、判定部34-2は、車両4-1(第1車両)及び車両4-2の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した車両4-1(第1車両)及び車両4-2の充電率情報に基づいて、車両4-1(第1車両)及び車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したか否かを判定する。
【0097】
判定部34-2によって車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定されない場合には、前述した処理と同様の処理が行われる。取得部34-1は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定した場合に、充電器2-1及び充電器2-2に接続された車両のうち、車両4-1(第1車両)以外の車両4-2の車載蓄電池の充電率情報を取得する。判定部34-2は、取得部34-1が取得した車両4-1(第1車両)以外の車両4-2の充電率情報に基づいて、車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定する。判定部34-2によって車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達した(充電率閾値以上)と判定された場合には、処理を終了する。選択部34a-3は、判定部34-2が車両4-2の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した場合に、車両4-2を第1車両として新たに選択する。充電処理部34a-4は、選択部34-3が新たに選択した第1車両に優先度を与えることによって充電を優先して第1電流値で実行する。
【0098】
判定部34-2は、取得した車両4-1(第1車両)の充電率情報に基づいて、車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が満充電に達したか否かを判定するようにしてもよい。充電処理部34a-4は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の充電率が満充電未満であると判定した場合に、車両4-1の充電を新たに選択した車両4-2(第1車両)よりも低い電流値で充電し続けるようにしてもよい。また、充電処理部34a-4は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の充電率が満充電未満であると判定した場合に、車両4-1の充電を夜間(22時から5時)に行うことによって満充電としてもよい。このように構成することによって、ピークシフトに繋がるため、契約電力を下げることが可能になる。
このように構成することによって、車両4-2の車載蓄電池の充電率を充電率閾値に近づけつつ、車両4-1の車載蓄電池の充電率を満充電に近づけることができる。
【0099】
図7では、車両充電システム1aが、二台の車両4-1及び車両4-2のうち、優先して充電する車両を決定し、充電する場合について説明したがこの例に限られない。例えば、車両充電システム1aが、三台以上の車両4のうち、優先して充電する車両4を決定し、充電する場合にも適用できる。
【0100】
車両4を三台以上とした場合に、ステップS15-1の後ステップS5-1へ戻ったときの処理について説明する。取得部34-1は、判定部34-2が車両4-1(第1車両)の車載蓄電池の充電率が充電率閾値に達したと判定した場合に、複数の充電器に接続された車両4のうち、第1車両以外の複数の車両4の車載蓄電池の充電率情報を取得する。
判定部34-2は、取得部34-1が取得した第1車両以外の複数の車両4の充電率情報に基づいて、複数の車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であるか否かを判定する。選択部34-3は、複数の充電器2に接続された車両4のうち、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、車載蓄電池の充電率が充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を新たに選択する。充電処理部34-4は、選択部34-3が新たに選択した第1車両の充電を他の車両より優先して第1電流値で実行し、他の車両の充電を第2電流値で実行する。
【0101】
実施形態の変形例に係る車両充電システム1aによれば、車両充電システム1aは、車両充電システム1において、充電処理部34a-4は、判定部34-2が車両4の車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4のうち、第1車両の充電を第1電流値で実行し、第1車両以外の他の車両を第1電流値よりも低い第2電流値で実行する。
【0102】
このように構成することによって、車両充電システム1aは、複数の車両4のうち、車載蓄電池の充電率が充電率閾値未満であると判定した車両4から、充電率閾値に最も近い充電率の第1車両を選択し、選択した第1車両の充電を第1電流値で実行でき、他の車両の充電を第2電流値で実行できる。充電率閾値に最も近い充電率の第1車両の充電を第1電流値で実行でき、他の車両の充電を第2電流値で実行できるため、複数の車両について、充電率閾値以上となる車両を増加できる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0104】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0105】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0106】
1、1a…車両充電システム、2-1~2-n…充電器、3、3a…充電制御部、4-1~4-n…車両、5-1~5-10…ブレーカ、6…主幹、10…電力量計、22…通信部、24…制御部、25…記憶部、26…計測部、28…出力部、31…計測部、32…記憶部、33…通信部、34、34a…制御部、34-1…取得部、34-2…判定部、34-3、34a-3…選択部、34-4、34a-4…充電処理部、35-1~35-n…通信部、100…管理サーバ