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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172268
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】屋根の敷設構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 15/00 20060101AFI20241205BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04D15/00 V
E04G21/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089863
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
(57)【要約】
【課題】各種の安全帯の一端を保持できる支持部材を容易に取り付けることができ、建物の屋根の施工や補修等の各種作業を安全に且つ容易に果たすことができる屋根の敷設構造を提供する。
【解決手段】本発明の屋根の敷設構造は、屋根下地(スレート屋根14)に固定される固定部24、該固定部24から上方に立ち上がる起立部22、該起立部22に設けられる架設部23を備える複数の支持部材2と、支持部材2に連結帯4と、が取り付けられ、連結帯4の一方端に前記支持部材2への取付部41が、その他方端に施工に用いられる用具類42が取り付けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地に固定される固定部、該固定部から上方に立ち上がる起立部、該起立部に設けられる架設部を備える複数の支持部材と、
前記支持部材に連結帯と、が取り付けられ、
前記連結帯の一方端に前記支持部材への取付部が、その他方端に施工に用いられる用具類が取り付けられていることを特徴とする屋根の敷設構造。
【請求項2】
前記支持部材の前記架設部に横架材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根の敷設構造。
【請求項3】
前記支持部材の前記固定部の上層に、断熱材及び屋根材が敷設されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根の敷設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の安全帯の一端を保持できる支持部材を容易に取り付けることができ、建物の屋根の施工や補修等の各種作業を安全に且つ容易に果たすことができる屋根の敷設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根は、風雨や騒音等から室内空間を防ぐ部位であるが、近年では太陽電池を敷設する支持体としての機能をも求められている。
そのため、屋根上における作業として、屋根材自体の取付、補修、或いは交換に加え、アンテナ等の付帯設備や太陽電池の取付、補修、或いは交換などにも及ぶ多種類の作業があるが、その都度、大型重機を導入したり、周囲に足場を形成するような手間を施すことは、費用面でも工期面でも到底許容できないので、作業者が屋根上に工具類を持ち込んで作業する必要があった。
【0003】
このような屋根上での多種類に亘る作業は、特に横風が強い環境においては、工具類の飛散や落下、或いは作業者の転倒や落下などの危険が想定されるために、安全に且つ容易に作業する手法が求められていた。
そこで、特許文献1には、屋根への安全金具11の取り付け構造として、棟頂部に固定した一対の棟木8を被覆する棟包み9に、外側上方へ跳ね上げ状の引っ掛け部10を備える安全金具11を固定することで、引っ掛け部10に形成した円孔状の引っ掛け孔10aに、綱等の端部のフック等を取り付けて屋根の点検や補修、アンテナの設置を行う構造が提供されている。
また、特許文献2には、命綱係合装置として、棒部材2の軸方向21に離間する複数部材にて形成され、円孔を有する正面視ブーメラン状の第1支持部材3、その左右に重合状に連結される第2支持部材4、矩形状の板材を折り返した連結部材5、が一体化されて形成されている。そして、第1支持部材3に設けた円孔に棒部材2が取り付けられて安全帯の端部が係合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4130819号公報
【特許文献2】特許第6918349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、安全金具11を取り付けるために、一対の棟木8及び棟包み9が必要であり、前記特許文献2の構造では、第1支持部材3、第2支持部材4、及び連結部材5が必要であるため、何れの構造においても、複数の部材を連結して取り付ける施工がそもそも面倒であって危険でもあった。
【0006】
そこで本発明は、各種の安全帯の一端を保持できる支持部材を容易に取り付けることができ、建物の屋根の施工や補修等の各種作業を安全に且つ容易に果たすことができる屋根の敷設構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、屋根下地に固定される固定部、該固定部から上方に立ち上がる起立部、該起立部に設けられる架設部を備える複数の支持部材と、前記支持部材に連結帯と、が取り付けられ、前記連結帯の一方端に前記支持部材への取付部が、その他方端に施工に用いられる用具類が取り付けられていることを特徴とする屋根の敷設構造に関するものである。
なお、用具類とは、施工作業者の衣服、工具などを指している。
【0008】
また、本発明は、前記屋根の敷設構造において、前記支持部材の前記架設部に横架材が配設されていることを特徴とする屋根の敷設構造をも提案する。
【0009】
また、本発明は、前記屋根の敷設構造において、前記支持部材の前記固定部の上層に、断熱材及び屋根材が敷設されてなることを特徴とする屋根の敷設構造をも提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の屋根の敷設構造は、屋根下地に固定部、起立部、架設部を備える複数の支持部材が取り付けられ、連結帯の一方端に支持部材への取付部が、他方端に施工に用いられる用具類が取り付けられているので、建物の屋根の施工や補修等の各種作業を安全に且つ容易に果たすことができる。
特に板状材に直線状の折り返し基端を設け、該基端に対して左右それぞれの対称体を回動させて起立部が重合される支持部材は、極めて容易に取り付けることができる。
また、連結帯の一方端の取付部を支持部材に取り付けることで、他方端に取り付けた施工作業者の衣服や道具等の用具類の落下を防止できるので、安全な作業を効率よく果たすことができる。
【0011】
また、支持部材の架設部に横架材が配設されている場合には、取付部を横架材から取り外すことなく横架材に沿うようにスライド状に移動させつつ施工作業を継続させることができる。
【0012】
さらに、支持部材の固定部の上層に、断熱材及び屋根材が敷設されてなる場合、屋根下地(被固定部)に沿わせた状態でビス等の固着具が打ち込まれるので、屋根材と断熱材(層)の二重の雨仕舞が構成され、固定具からの雨水の侵入が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)実施例1の屋根の敷設構造における一例を示す斜視図、(b)他の一例を示す斜視図である。
図2】(a)連結帯や施工作業者を省略した実施例1の換気機構を備えていない構造を示す側断面図、(b)それに用いた支持部材の成形時の側面図、(c)その支持部材を施工状態のように回動させた状態を示す側面である。
図3】(a)連結帯や施工作業者を省略した実施例2の換気機構を備えている構造を示す側断面図、(b)それに用いた支持部材の成形時の側面図、(c)その支持部材を施工状態のように回動させた状態を示す側面である。
図4】(a)~(d)実施例2の換気機構を備えていない構造の施工手順を示す側断面図である。
図5】(a)~(d)実施例2を換気機構を備える構造に適用した施工手順を示す側断面図である。
図6】実施例3の屋根の敷設構造における一例を示す斜視図である。
図7】(a)~(d)実施例3の換気機構を備えていない構造(新規屋根の施工)の施工手順を示す側断面図である。
図8】(a)~(d)実施例3の換気機構を備える構造(新規屋根の施工)の施工手順を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の屋根の敷設構造は、屋根下地に固定される固定部、該固定部から上方に立ち上がる起立部、該起立部に設けられる架設部を備える複数の支持部材と、前記支持部材に連結帯と、が取り付けられ、前記連結帯の一方端に前記支持部材への取付部が、その他方端に施工に用いられる用具類が取り付けられていることを特徴とする。
なお、前記屋根としては、流れ勾配を有する勾配屋根でも平坦状の陸屋根でもよいが、この屋根上における各種施工を安全に行うことを目的としているので、後述する図示実施例に示すように専ら勾配屋根が想定される。
【0015】
本発明に用いられる支持部材は、前述のように屋根下地に固定される固定部と、該固定部から上方に立ち上がる起立部と、該起立部に設けられる架設部とを備え、特にその詳細な構成や成形法を限定しないが、後述する図示実施例のように板状材に直線状の折り返し基端を設け、該基端に対して左右それぞれの対称体を回動させて重合状に起立部が形成される構造が、極めて望ましい。何故ならこの構造では、固定部及び起立部が左右にそれぞれに対称状に形成され、左右の固定部にて安定な固定が果たされると共に、左右の起立部にて重合状の強固な起立部を形成できる。
【0016】
この支持部材における固定部は、屋根下地に沿うように取り付けられる部位であり、この固定部が固定される被固定部は、後述する図示実施例では屋根下地の棟頂部であるが、特にそれに限定されない。
【0017】
なお、この支持部材の固定部の上層には、断熱材及び屋根材が敷設されていることが望ましい。即ちこの固定部は、屋根下地(被固定部)に沿わせた状態でビス等の固着具が打ち込まれるので、断熱材及び屋根材が敷設されることにより、屋根材と断熱材(層)の二重の雨仕舞が構成され、固定具からの雨水の侵入が防止される。
【0018】
また、この支持部材における起立部は、前記固定部から立ち上がり、その途中に架設部を備える構成であり、後述する図示実施例では半円弧状の架設部が設けられ、該架設部に円管状の横架材が取り付けられている。
この架設部は、横架材が取り付けられる部位であり、後述する図示実施例のように半円弧状に成形した際には、円管状の横架材を左右から挟着状に保持することができる。この架設部の上側及び下側に位置する起立部に締着具を取り付けることで、架設部の保持性能を継続的に維持できる。
【0019】
なお、後述する図示実施例のように直線状の折り返し基端を設ける場合、該基端に対して左右それぞれの対称体を回動させて起立部が重合状に形成される構造とすることが可能であり、強固な重合状の起立部を形成できる。この折り返し基端には、複数の孔を設けて折り曲げ易くすることができる。
また、特に短幅状の板状材に、直線状の折り返し基端を設け、該基端に対して左右それぞれの対称体を回動させて起立部が重合される支持部材は、原材料が短幅状の板状であるため、複数の支持部材を配設する場合に好適である。
【0020】
この支持部材には、連結帯が連結され、その一方端には支持部材への取付部が、その他方端には各種の屋根施工に用いられる用具類が、取り付けられている。
この連結帯は、頑丈で柔軟な紐状材で形成されている。
また、一方端に取り付けられる取付部は、支持部材に取り付けられる金具類を指し、取付と取外しとが容易に行える構造が好ましく、後述する図示実施例のようにクリップ状の金具でもよいが特にそれに限定しない。
さらに、他方端に取り付けられる用具類は、施工作業者の安全器具(安全帯等)、作業工具等の落下防止用防護器具(墜落防止器具/設備、防護ネット等)などを指す。
【0021】
また、支持部材の架設部には、横架材が配設されていることが望ましい。
この横架材は、少なくとも隣り合う支持部材の架設部に亘る長さ以上の棒状(直管状)に形成され、後述する図示実施例ではパイプ状の横架材が、複数の支持部材に亘るように取り付けられている。
この横架材は、前記連結帯の一方端の取付部が取り付けられる部位であり、屋根施工に際し、取付部を横架材から取り外すことなくその長さ方向にスライド状に移動させつつ施工作業を継続させることができる。なお、この横架材は、各種の屋根施工が終了した時点で支持部材の架設部から取り外すようにしてもよいし、屋根施工後も継続的に取り付けたままとしてもよい。
【0022】
このような構成を有する支持部材や連結帯は、後述する図示実施例にも示すように既設屋根の補修施工にも新設屋根の施工にも適用できる。
そして、屋根下地に固定部、起立部、架設部を備える複数の支持部材が取り付けられ、連結帯の一方端に支持部材への取付部が、他方端に施工に用いられる用具類が取り付けられているので、建物の屋根の施工や補修等の各種作業を安全に且つ容易に果たすことができる。
特に板状材に直線状の折り返し基端を設け、該基端に対して左右それぞれの対称体を回動させて起立部が重合される支持部材は、極めて容易に取り付けることができる。
また、連結帯の一方端の取付部を支持部材に取り付けることで、他方端に取り付けた施工作業者の衣服や道具等の用具類の落下を防止できるので、安全な作業を効率よく果たすことができる。
【0023】
また、支持部材の架設部に横架材が配設されている場合には、取付部を横架材から取り外すことなく横架材に沿うようにスライド状に移動させつつ施工作業を継続させることができる。
【0024】
さらに、支持部材の固定部の上層に、断熱材及び屋根材が敷設されてなる場合、屋根下地(被固定部)に沿わせた状態でビス等の固着具が打ち込まれるので、屋根材と断熱材(層)の二重の雨仕舞が構成され、固定具からの雨水の侵入が防止される。
【実施例0025】
図1(a),(b)は、流れ勾配を有する屋根1の棟頂部11に取り付けられた支持部材2に架設した横架材3に、連結帯4の一方端の取付部41が取り付けられ、他方端に用具類42として施工作業者Aのフルハーネス型安全帯が取り付けられている。
なお、図1(a)では狭い配設間隔で合計7つの支持部材2が併設状に固定され、図1(b)ではやや広い配設間隔で合計4つの支持部材2が併設状に固定されている。
この実施例1における屋根は、流れ勾配を有する既設の勾配屋根であって、流れ勾配に直交するように複数の横葺き屋根材が葺かれた横葺き屋根の補修作業に用いている。
【0026】
なお、連結帯4は、突風等にて作業工具や作業者自体が落下しようとする引っ張り応力にも耐える剛直な強度を有する紐状材であり、その連結金具である取付部41にも同様な強度が求められる。
【0027】
図2(a)は、この実施例1における連結帯4や施工作業者Aを省略した状態を示し、既設屋根の補修に適用した例であり、その棟頂部に配設した支持部材2の成形時の状態、及び組み付ける状態を、図2(b),(c)に示している。
この実施例1に用いられる支持部材2は、図2(b)に示すように短幅の板状材を折り曲げ加工した成形体2'を組み付けて形成され、その長さの中央に折り返し基端21となる折り部21'、その左右に半円弧状の架設部23'を備える起立部22'、さらにその外側に脚片状の固定部23'を有している。このうち折り部21'には、複数の孔が設けられるので、組み付ける際には、図2(c)に示すように直線状に折り曲げて折り返し基端21を最上端に形成でき、左右の対称体である起立部22'及び固定部24'を回動させ、縦重合状の起立部22及び脚片状の固定部24,24を形成できる。なお、縦重合状の起立部22には、円形状の空間230を備える架設部23が形成されている。
【0028】
この支持部材2の架設部23には、図1に示すように円管状の横架材3が配設され、該横架材3に、連結帯4の一方端の取付部41が取り付けられ、他方端に施工作業者Aの安全帯(用具類)42が取り付けられている。
この横架材3は、二本のパイプ状材が直列状に連結され、複数の支持部材2に亘るように取り付けられている。
なお、この横架材3の脱落を防止するため、起立部22に締着具2cを取り付けてもよく、図1には架設部23の上端及び下端の両方に締着具2cを取り付けた態様を示し、図2にはその上端のみに締着具2cを取り付けた態様を示している。
【0029】
この実施例1では、既設屋根の補修に適用している例を示し、前記支持部材2の固定部24が固定される屋根下地は、既存棟木の上面を覆うように取り付けられた既存棟包み12であり、固定具2bが棟躯体13に達するように打ち込まれて固定されている。
なお、符号14は既存スレート屋根板を、符号15はその表面にアスファルトルーフィングが敷設された既存野地板を、符号16は更に裏面側に配された垂木を示している。
そして、既存スレート屋根板14の表面側に敷設されていた部材を剥がし、既存スレート屋根板14の上面を露出させた後、新たな断熱材5を固着具5Bにて固定すると共に、更にその表面側に横葺き外装材である外装材6を敷設している。
【0030】
このように実施例1の屋根の敷設構造は、屋根下地(既存棟包み12)に、固定部24、起立部22、及び架設部23を備える複数の支持部材2が取り付けられ、連結帯4の一方端に支持部材2への取付部41が、他方端に施工に用いられる安全帯(用具類)42が取り付けられているので、建物の屋根の施工や補修等の各種作業を安全に且つ容易に果たすことができる。
特に板状材に直線状の折り返し基端21を設け、該基端に対して左右それぞれの対称体(起立部22及び固定部24)を回動させて起立部22が重合される支持部材2は、極めて容易に取り付けることができる。
また、連結帯4の一方端の取付部41を支持部材2に取り付けることで、他方端に取り付けた施工作業者の安全帯42や作業工具等の落下防止用防護器具によって安全な作業を効率よく果たすことができる。
【0031】
また、特にこの実施例1では、支持部材2の架設部23に横架材3が配設されているので、取付部41を横架材3から取り外すことなく横架材3に沿うようにスライド状に移動させつつ施工作業を継続させることができる。
【実施例0032】
図3(a)は、前記図2と同様に連結帯4や施工作業者Aを省略した状態を示す実施例2の屋根の敷設構造であり、前記実施例1とほぼ同様に既設屋根の補修に適用した例であるが、換気機構を備え、その棟頂部に配設した支持部材7の成形時の状態、及び組み付ける状態を、図3(b),(c)に示している。
【0033】
この実施例2に用いられる支持部材7は、図3(b)に示すように短幅の板状材を折り曲げ加工した成形体7'を組み付けて形成され、その長さの中央に折り返し基端71となる折り部71'、その左右に半円弧状の架設部73'を備える起立部72'、さらにその外側に脚片状の固定部74'を有している概略構成では前記実施例1における支持部材2と同様である。このうち折り部71'には、複数の孔が設けられるので、組み付ける際には、図3(c)に示すように直線状に折り曲げて折り返し基端71を最上端に形成でき、左右の対称体である起立部72'及び固定部74'を回動させ、縦重合状の起立部72及び脚片状の固定部74,74を形成できる点でも前記実施例1における支持部材2と同様である。なお、縦重合状の起立部72には、円形状の空間730を備える架設部73が形成され、該架設部73に架設材3を保持させる構成も前記支持部材2と同様である。
【0034】
この実施例2における支持部材7と前記実施例1における支持部材2との相違は、起立部72,22の寸法(縦長さ)、並びに固定部74,24の寸法(横幅)であり、この支持部材7の方が何れも長く形成されている。そのため、横架材3の脱落を防止するため、起立部72に締着具7cを架設部73の上端及び下端の両方に取り付けている。
【0035】
この図3(a)でも、前記支持部材7の固定部74が固定される屋根下地は、既存スレート屋根板14であり、固定具7bが既存野地板15を貫通して垂木16に至るように打ち込まれて固定されている。
そして、図3(a)の左側に示すように既存スレート屋根板14の表面側に敷設されていた部材を剥がし、既存スレート屋根板14の上面を露出させた後、図3(a)の右側に示すように新たな断熱材5を固着具5Bにて固定すると共に、更にその表面側に横葺き外装材である外装材6を敷設している点も前記実施例1と同様である。
それに加え、その棟頂部には、複数部材(8A~8E)からなる換気機構8が設置されている。なお、換気構造8を形成する符号8Aは複数の換気孔80を備えるカバー材、符号8B~8Dはそれを取り付けるための取付部材、符号8Eはカバー材8Aの水上端を被覆するハカマ(抑え材)である。
【0036】
図4(a)~(d)は、換気機構を備えていない構造を施工する手順を示しており、既設屋根の補修に適用した例である。
まず、図4(a)は図中に点線にて示す棟包みや貫板を撤去し、既存スレート屋根板14を露出させて屋根下地としている状態を示す。
次に、図4(b)はその屋根下地(既存スレート屋根14)に、支持部材7を取り付けた状態を示す。なお、図中の符号721はその左右側端を折り曲げることで、起立部72の強度を向上させることで、変形等を防止したものである。
続いて図4(c)は取り付けた支持部材7の固定部74を覆うように断熱材5及び外装材6を施工した状態を示す。この支持部材7の配設に際し、その架設部73に架設材3を保持させる。
最後に、図4(d)は換気作用を有しない複数部材からなる棟構造9が設置された状態を示している。なお、棟構造9を形成する符号9Aは化粧材、符号9Bはその取付材、符号9Cはハカマ(抑え材)である。
保持させた架設材3は、この補修施工の後も、将来的なメンテナンス作業に備えてそのまま継続的に取り付けた状態が維持される。
【0037】
図5(a)~(d)は、前記屋根の換気機構を備えている構造を施工する手順を示している。
まず、図5(a)は図中に点線にて示す棟包みや貫板を撤去し、既存スレート屋根板14を露出させて屋根下地としている状態を示す。
次に、図5(b)はその屋根下地(既存スレート屋根14)に、支持部材7を取り付けた状態を示す。
続いて図5(c)は取り付けた支持部材7の固定部74を覆うように断熱材5及び外装材6を施工した状態を示す。
最後に、図5(d)は換気作用を有しない複数部材(8A~8E)からなる換気機構8が設置されている。
保持させた架設材3は、この補修施工の後も、将来的なメンテナンス作業に備えてそのまま継続的に取り付けた状態が維持される。
【0038】
このように実施例2の屋根の敷設構造は、屋根下地(スレート屋根板14)に支持部材7が取り付けられ、その架設部73に横架材3が配設されているので、前述の実施例1と同様の効果、即ち横架材3に沿うように図示しない連結帯等を横架材3に沿ってスライド状に移動させつつ施工作業を継続させることができる。
【実施例0039】
図6は、流れ勾配を有する屋根1"の棟頂部11"に取り付けられた支持部材2に架設した横架材3に、連結帯4の一方端の取付部41が取り付けられ、他方端に安全帯(用具類)42として施工作業者Aのフルハーネス型安全帯が取り付けられている。
なお、この図6では前記図1(b)と同様にやや広い配設間隔で合計4つの支持部材2が併設状に固定され、新規の屋根の施工に用いられる屋根下地である。
【0040】
図7(a)~(d)は、換気機構を備えていない構造を施工する手順を示しており、新規屋根の施工に適用した例である。なお、当該図7では、支持部材2に代えて支持部材7を用いた。
まず、図7(a)は垂木16"の上面に新規野地板15"を敷設した後、その表面に防水材17を敷設した。なお、その頂部において二つの野地板15"の上端は突き合わせ状に配設されている。
次に、図7(b)はその屋根下地(野地板15")に、支持部材7を取り付けた状態を示す。
続いて図7(c)は取り付けた支持部材7の固定部74を覆うように断熱材5及び外装材6を施工した状態を示す。この支持部材7の配設に際し、その架設部73に架設材3を保持させる。
最後に、図7(d)は換気作用を有しない複数部材からなる棟構造9が設置された状態を示している。なお、棟構造9を形成する符号9Aは化粧材、符号9Bはその取付材、符号9Cはハカマ(抑え材)である。
保持させた架設材3は、この補修施工の後も、将来的なメンテナンス作業に備えてそのまま継続的に取り付けた状態が維持される。
【0041】
図8(a)~(d)は、換気機構8を備えている構造を施工する手順を示しており、新規屋根の施工に適用した例である。なお、当該図7では、支持部材2に代えて支持部材7を用いた。
まず、図8(a)は垂木16"の上面に新規野地板15"を敷設した後、その表面に防水材17を敷設した。なお、その頂部において二つの野地板15"の上端は、対向状に離間(符号18は対向間隔)されて配設されている。
次に、図8(b)はその屋根下地(野地板15")に、支持部材7を取り付けた状態を示す。
続いて図8(c)は取り付けた支持部材7の固定部74を覆うように断熱材5及び外装材6を施工した状態を示す。
最後に、図8(d)は換気作用を有しない複数部材(8A~8E)からなる換気機構8が設置されている。この換気機構8による換気作用は、屋根裏面(位置的には垂木16"に並列状の換気通路)を通って吹き込み風が上昇し、換気機構8の換気孔80から放出することができる。
保持させた架設材3は、この補修施工の後も、将来的なメンテナンス作業に備えてそのまま継続的に取り付けた状態が維持される。
【0042】
このように実施例3の屋根の敷設構造は、屋根下地(野地材15")に支持部材7が取り付けられ、その架設部73に横架材3が配設されているので、前述の実施例1や実施例2と同様の効果、即ち横架材3に沿うように図示しない連結帯等を横架材3に沿ってスライド状に移動させつつ施工作業を継続させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 屋根
11 横葺き屋根材
12 棟包み
13 棟躯体
14 スレート屋根
15,15" 野地板
16,16" 垂木(換気路)
17 防水材
18 対向間隔
2 支持部材
21 折返し基端
22 起立部
23 架設部
24 固定部
2b 固定具
2c 締着具
3 架設材
4 連結帯
41 取付部
42 用具類(フルハーネス型安全帯)
5 断熱材
5B 固着具
6 外装材
7 支持部材
71 折返し基端
72 起立部
73 架設部
74 固定部
7b 固定具
7c 締着具
8 換気機構
80 換気孔
9 換気作用を有しない棟構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8