(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172269
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20241205BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241205BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B05B11/00 102G
B05B11/10 101G
B05B11/10 101E
B65D47/34 100
F04B9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089865
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA06
3H075BB03
3H075CC16
3H075DA01
3H075DA03
3H075DA04
3H075DA07
3H075DB13
3H075DB14
3H075DB44
(57)【要約】
【課題】正倒立用アダプタを備える構成であっても、外気導入孔を通じて外部に液体が漏れることを抑制できるトリガー式液体噴出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様のトリガー式液体噴出器は、噴出器本体と、ノズル部と、正倒立用アダプタと、を備えている。噴出器本体には、ピストン本体及びピストンガイド間を通じて前記シリンダ内及び中継空間を連通させる回収通路と、シリンダを保持するシリンダ保持筒及びシリンダ間を通じて外部空間及び中継空間を連通させる外気導入通路と、が形成されている。中継空間には、回収通路に連通する回収連通空間と外気導入通路に連通する導入連通空間とに前記中継空間を仕切る仕切部が設けられている。アダプタ本体と装着筒との間には、容器体内及び回収連通空間の間を連通させる回収連通路と、容器体内及び導入連通空間の間を連通させる導入連通路と、が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるとともに、容器体内から吸い上げられた液体が流通する縦供給筒部を有し、前記容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方に設けられ、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、
前記縦供給筒部の下端部に取り付けられた正倒立用アダプタと、を備え、
前記噴出器本体は、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記噴出孔に向けて流通させるトリガー機構と、
前記トリガー部に連係する筒状のピストン本体、及び前記ピストン本体に連なる摺動部を有し、前記トリガー部の前後動に伴い前後動するピストンと、
前記ピストン本体に挿入されたピストンガイドを有し、前記ピストンの前後動に伴って前記摺動部が摺動することで加圧又は減圧させられるシリンダと、を備え、
前記正倒立用アダプタは、
正立導入口を通じて前記容器体と前記縦供給筒部内との間を連通させる第1空間、及び倒立導入口を通じて前記容器体内と前記第1空間とを連通させる第2空間を画成し、前記縦供給筒部の下端部に位置する装着筒内に嵌め込まれることで前記装着筒との間に中継空間を形成するアダプタ本体と、
前記噴出器本体が前記容器体に装着された状態で前記容器体の正立時に前記第1空間及び前記第2空間の連通を遮断し、前記容器体の倒立時に前記第1空間及び前記第2空間を連通させる切替弁と、を備え、
前記噴出器本体には、
前記ピストン本体及び前記ピストンガイド間を通じて前記シリンダ内及び前記中継空間を連通させる回収通路と、
前記シリンダを保持するシリンダ保持筒及び前記シリンダ間を通じて外部空間及び前記中継空間を連通させる外気導入通路と、が形成され、
前記中継空間には、前記回収通路に連通する回収連通空間と前記外気導入通路に連通する導入連通空間とに前記中継空間を仕切る仕切部が設けられ、
前記アダプタ本体と前記装着筒との間には、
前記容器体内及び前記回収連通空間の間を連通させる回収連通路と、
前記容器体内及び前記導入連通空間の間を連通させる導入連通路と、が形成されているトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記導入連通路の流路断面積の最小値は、前記回収連通路の流路断面積の最小値よりも小さい請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記仕切部は、
有頂筒状に形成された前記装着筒の頂壁部から下方に延びる第1仕切壁と、
前記アダプタ本体のうち前記頂壁部と向かい合う部分から上方に延びる第2仕切壁と、を備え、
前記第1仕切壁及び前記第2仕切壁は、上下方向に交差する第1方向で向かい合う部分同士が互いに近接又は当接した状態で前記第1方向から見て重なり合っている請求項1又は請求項2に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器は、容器体内から吸い上げられた液体が流通する縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方移動可能に配設されたトリガー部を有するトリガー機構と、を備えている。トリガー機構は、縦供給筒部内を通じて射出筒部内に連通するシリンダと、トリガー部に連係するとともに、トリガー部の前後動に伴いシリンダ内を前後方向に摺動するピストンと、を備えている。
この種のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を後方に引くと、シリンダに形成されたピストンガイドに案内されながらピストンが後方に移動する。これにより、シリンダ内が加圧され、シリンダ内の液体が縦供給筒部を通じて噴出孔から噴射される。また、下記特許文献1には、縦供給筒部の下端部に設けられた正倒立用アダプタによって、正立時及び倒立時の双方での噴出動作が可能になっている。
【0003】
ところで、下記特許文献1に開示されたトリガー式液体噴出器には、シリンダ内に存在する気泡を容器体に戻す回収通路と、容器体内に負圧が発生した場合に外気を導入させる外気導入通路と、が形成されている。回収通路は、例えばピストンが最後端位置まで移動したときに、ピストンガイドとピストンとの間を通じて容器体内とシリンダ内とが連通する。外気導入通路は、シリンダとシリンダを保持するシリンダ保持筒との間に形成され、例えばピストンが後方移動することで、容器体内と外部空間とが連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術にあっては、回収通路と外気導入通路との双方が正倒立用アダプタと縦供給筒部との間に形成された連通路を通じて容器体と連通している。そのため、容器体を倒立姿勢とした際に、容器体内の液体が連通路を通じて外気導入通路内に流入する場合がある。この場合において、容器体内の圧力が上昇した状態でピストンが後方に移動すると、外気導入通路内に流入した液体が外部に漏れる可能性がある。
【0006】
本発明は、正倒立用アダプタを備える構成であっても、外気導入孔を通じて外部に液体が漏れることを抑制できるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、上下方向に延びるとともに、容器体内から吸い上げられた液体が流通する縦供給筒部を有し、前記容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方に設けられ、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、前記縦供給筒部の下端部に取り付けられた正倒立用アダプタと、を備え、前記噴出器本体は、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記噴出孔に向けて流通させるトリガー機構と、前記トリガー部に連係する筒状のピストン本体、及び前記ピストン本体に連なる摺動部を有し、前記トリガー部の前後動に伴い前後動するピストンと、前記ピストン本体に挿入されたピストンガイドを有し、前記ピストンの前後動に伴って前記摺動部が摺動することで加圧又は減圧させられるシリンダと、を備え、前記正倒立用アダプタは、正立導入口を通じて前記容器体と前記縦供給筒部内との間を連通させる第1空間、及び倒立導入口を通じて前記容器体内と前記第1空間とを連通させる第2空間を画成し、前記縦供給筒部の下端部に位置する装着筒内に嵌め込まれることで前記装着筒との間に中継空間を形成するアダプタ本体と、前記噴出器本体が前記容器体に装着された状態で前記容器体の正立時に前記第1空間及び前記第2空間の連通を遮断し、前記容器体の倒立時に前記第1空間及び前記第2空間を連通させる切替弁と、を備え、前記噴出器本体には、前記ピストン本体及び前記ピストンガイド間を通じて前記シリンダ内及び前記中継空間を連通させる回収通路と、前記シリンダを保持するシリンダ保持筒及び前記シリンダ間を通じて外部空間及び前記中継空間を連通させる外気導入通路と、が形成され、前記中継空間には、前記回収通路に連通する回収連通空間と前記外気導入通路に連通する導入連通空間とに前記中継空間を仕切る仕切部が設けられ、前記アダプタ本体と前記装着筒との間には、前記容器体内及び前記回収連通空間の間を連通させる回収連通路と、前記容器体内及び前記導入連通空間の間を連通させる導入連通路と、が形成されている。
【0008】
本態様によれば、容器体を倒立姿勢とした際に、回収連通路を通じて回収通路内に液体が流入したとしても、液体が導入連通空間に到達することを仕切部185によって規制することができる。これにより、正倒立用アダプタを備える場合であっても、導入連通空間及び外気導入通路を通じて液体が外部に漏れることを抑制できる。
【0009】
上記態様に係るトリガー式液体噴出器において、前記導入連通路の流路断面積の最小値は、前記回収連通路の流路断面積の最小値よりも小さいことが好ましい。
本態様によれば、容器体を倒立姿勢とした際に、導入連通路内に液体が流入し難くなる。そのため、導入連通空間及び外気導入通路(外気導入孔)を通じて液体が外部に漏れることを、より確実に抑制できる。
【0010】
上記態様に係るトリガー式液体噴出器において、前記仕切部は、有頂筒状に形成された前記装着筒の頂壁部から下方に延びる第1仕切壁と、前記アダプタ本体のうち前記頂壁部と向かい合う部分から上方に延びる第2仕切壁と、を備え、前記第1仕切壁及び前記第2仕切壁は、上下方向に交差する第1方向で向かい合う部分同士が互いに近接又は当接した状態で前記第1方向から見て重なり合っていることが好ましい。
本態様によれば、頂壁部及びアダプタ本体のうち頂壁部と向かい合う部分の何れか一方のみに仕切部を設ける場合に比べて、導入連通空間及び回収連通空間の間を遮断し易くなる。これにより、液体が導入連通空間に到達することを仕切部によって規制し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、正倒立用アダプタを備える構成であっても、外気導入孔を通じて外部に液体が漏れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】実施形態に係る縦供給筒部(内筒)の底面図である。
【
図4】実施形態に係る縦供給筒部(内筒)及び第1取付部材の部分断面図である。
【
図5】実施形態に係る正倒立用アダプタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明に係るトリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられて構成された噴出容器について説明する。
図1に示す噴出容器1は、液体が収容される容器体2と、容器体2の口部2aに着脱可能に取り付けられたトリガー式液体噴出器(以下、単に噴出器3という。)と、を備えている。
噴出器3は、噴出器本体10と、ノズル部11と、正倒立用アダプタ12と、を備えている。なお、本実施形態の容器体2内に収容される液体には、例えば浴室やトイレに使用される洗剤(界面活性剤を含み泡化するもの)等、水と同等の粘度を有するものが好適に用いられている。但し、容器体2内に収容される液体は、適宜変更が可能である。
【0014】
噴出器本体10は、縦供給筒部14と、射出筒部15と、トリガー機構16と、カバー体17と、を備えている。
以下の説明において、縦供給筒部14(後述する上外筒部23)の第1軸線O1に沿う方向を上下方向という。噴出容器1の正立姿勢において、上下方向における容器体2に向かう方向を下側、噴出器3に向かう方向を上側という。上下方向から見た平面視において、第1軸線O1に交差する方向を径方向という。径方向のうち、一方向を前後方向といい、縦供給筒部14から射出筒部15が延びる方向を前側といい、その反対方向を後側という。また、径方向のうち、前後方向に直交する方向を左右方向という。図示の例において、第1軸線O1は、容器体2の容器軸線に対して後方に偏心している。但し、第1軸線O1と容器軸線とは同軸であってもよい。
【0015】
縦供給筒部14は、容器体2から吸い上げられた液体が流通する。縦供給筒部14は、外筒21と、内筒22と、を備えている。
外筒21は、下方に位置するものほど拡径された多段筒状に形成されている。具体的に、外筒21は、上外筒部23と、上外筒部23から下方に連なる下外筒部24と、を備えている。本実施形態において、上外筒部23及び下外筒部24は、何れも有頂筒状に形成されている。
【0016】
上外筒部23の上端部には、前方に向けて開口する吐出口26が形成されている。上外筒部23における上下方向の中央部には、前方に向けて開口する供給口27及び排出口28が形成されている。供給口27は、排出口28よりも上方に位置している。但し、供給口27は、排出口28よりも下方に位置していてもよい。
【0017】
上外筒部23(周壁部)の内周面には、上下方向に延びる連通溝29が形成されている。連通溝29の上端部は、排出口28に連通している。連通溝29の下端部は、上外筒部23の下端縁で開口している。なお、上外筒部23の周壁部は、下外筒部24の頂壁部を貫いている。
【0018】
内筒22は、外筒21の下方から外筒21内に嵌め込まれている。内筒22は、下方に位置するものほど拡径された多段筒状に形成されている。具体的に、内筒22は、上内筒部31と、上内筒部31の下方に連なる下内筒部(装着筒)32と、を備えている。
上内筒部31は、上外筒部23と同軸に配置されている。上内筒部31は、上外筒部23内に上外筒部23の下方から嵌め込まれている。上内筒部31の上部は、下部に比べて外径が小さい小径部34を構成している。したがって、上内筒部31(周壁部)の内周面と、小径部34の外周面と、の間には連絡通路S1が形成されている。連絡通路S1は、吐出口26及び供給口27間を接続している。小径部34の上端縁は、上外筒部23の天壁部に上外筒部23の下方から近接又は当接している。
【0019】
小径部34には、径方向の内側に向けて弁座部35が突設されている。弁座部35は、径方向の内側に向かうに従い下方に延在するテーパ筒状に形成されている。内筒22内において、小径部34、弁座部35及び上外筒部23の天壁部で囲まれた空間は、ボール弁41が収容される収容空間40を画成している。ボール弁41は、縦供給筒部14から射出筒部15への液体の流通を許容し、射出筒部15から縦供給筒部14への液体の流通を規制する逆止弁である。ボール弁41は、収容空間40内の圧力や自重によって弁座部35から接離可能に構成されている。なお、本実施形態のボール弁41は、水、若しくは容器体2内に収容される液体よりも比重が大きく、噴出容器1の正立姿勢のとき自重によって弁座部35に着座可能な材質により形成されている。このような材料として、本実施形態のボール弁41には、金属材料(例えば、SUS)が好適に用いられている。
【0020】
収容空間40は、小径部34の上端縁に形成された切欠き部42を通じて上述した連絡通路S1に連通している。収容空間40は、ボール弁41が弁座部35に着座した状態で、上内筒部31内と連絡通路S1との連通を遮断する。収容空間40は、ボール弁41が弁座部35から離間した状態で、上内筒部31内と連絡通路S1とを連通させる。
【0021】
図2に示すように、下内筒部32は、下外筒部24に下外筒部24の下方から嵌め込まれている。下内筒部32の頂壁部32aにおいて、内周部分には頂壁部32aを上下方向に貫通する第1貫通孔48が形成されている。第1貫通孔48内には、上外筒部23の下端部(下内筒部32から突出した部分)が挿入されている。上外筒部23の下端部は、第1貫通孔48内の前側に配置されている。すなわち、上外筒部23は、下内筒部32と下外筒部24との間に形成された空間を前後方向(径方向)に仕切っている。これにより、連通溝29は、第1貫通孔48を通じて下内筒部32内に開放されている。なお、上外筒部23の下端部は、連通溝29が第1貫通孔48に連通する構成であれば、第1貫通孔48内に挿入されていなくてもよい。
【0022】
図2、
図3に示すように、頂壁部32aにおいて、第1貫通孔48よりも前方に位置する部分には、第2貫通孔49が形成されている。第2貫通孔49は、軸線O2に対して左右方向の一方側にずれた位置に形成されている。第2貫通孔49は、下内筒部32と下外筒部24との間の空間のうち上外筒部23に対して径方向の外側の空間(途中空間S2)に連通している。なお、図示の例において、第2貫通孔49の開口面積は、第1貫通孔48の開口面積に比べて小さい。
【0023】
下内筒部32の周壁部32bには、径方向の外側に張り出す外フランジ51が形成されている。なお、本実施形態において、下外筒部24及び下内筒部32の軸線(以下、第2軸線O2という。)は、例えば第1軸線O1に対して前方に偏心している。
【0024】
噴出器本体10は、噴出器3を容器体2に取り付ける装着キャップ52を備えている。装着キャップ52は、上下方向に延びる筒状に形成されている。装着キャップ52は、外フランジ51を口部2aの上端縁との間に挟んだ状態で、口部2aに装着(例えば、螺着)される。
【0025】
図1に示すように、射出筒部15は、上外筒部23に一体で形成されている。射出筒部15は、上外筒部23の上端部から前方に向けて突出している。射出筒部15内は、吐出口26を通じて連絡通路S1に連通している。
【0026】
トリガー機構16は、シリンダ71及びピストン72を有するポンプ部61と、トリガー部63と、弾性板部64と、を備えている。
シリンダ71は、前方に開口する有底筒状に形成されている。なお、以下の説明では、シリンダ71の中心軸線をシリンダ軸O3とする。シリンダ軸O3は、前後方向に沿っている。
【0027】
シリンダ71は、シリンダ軸O3と同軸に延びる収容筒77及びピストンガイド78と、収容筒77及びピストンガイドの後端縁同士を接続する底壁部79と、を備えている。
【0028】
収容筒77は、射出筒部15の下方に形成されたシリンダ保持筒75内に嵌め込まれている。収容筒77には、シリンダ71内への液体の流入に伴い、容器体2内に外気を導入する外気導入孔80が形成されている。なお、シリンダ保持筒75は、縦供給筒部14及び射出筒部15と一体に形成されている。シリンダ保持筒75は、前方に向けて開口する有底筒状に形成されている。具体的に、シリンダ保持筒75は、前後方向に延びる筒部の後端開口部が底壁によって閉塞されている。底壁は、上外筒部23に形成されている。収容筒77は、前後方向の両端部がシリンダ保持筒75(筒部)の内周面に密接している。一方、収容筒77の外周面と、シリンダ保持筒75の内周面と、の間のうち、前後方向の中央部には環状の隙間P1が形成されている。隙間P1は、外気導入孔80を通じてシリンダ71内に連通している。隙間P1は、シリンダ保持筒75に形成された外気連通孔82及び途中空間S2を通じて第2貫通孔49に連通している。
【0029】
底壁部79の上部には、連通口81が形成されている。連通口81は、供給口27に連通している。
ピストンガイド78は、底壁部79の内周縁から前方に向けて突出している。ピストンガイド78は、後方に向けて開口する有頂筒状に形成されている。ピストンガイド78の後端開口部は、排出口28に連通している。ピストンガイド78の頂壁部には、頂壁部を前後方向に貫通する貫通孔83が形成されている。ピストンガイド78の後端部には、シリンダ軸O3に向けて窪む窪み部84が形成されている。窪み部84は、周方向に間欠的に形成されている。但し、窪み部84は、ピストンガイド78の全周に亘って形成されていてもよい。
【0030】
ピストン72は、収容筒77内に前後動可能に収容されている。ピストン72は、ピストン本体91と、内摺動部92と、外摺動部93と、を備えている。
ピストン本体91は、後方に向けて開口する有頂筒状に形成されている。ピストン本体91の内側には、ピストンガイド78が挿入されている。
【0031】
内摺動部92は、ピストン本体91の後端開口縁から後方に向かうに従いシリンダ軸O3に向けて延びている。内摺動部92の後端部は、ピストン72の前後動に伴いピストンガイド78の外周面に摺動可能に構成されている。内摺動部92は、ピストン72が最後端位置に到達した際にピストンガイド78の外周面から離間する。これにより、ピストン本体91内とシリンダ71内とが内摺動部92及び窪み部84の間を通じて連通する。
【0032】
外摺動部93は、ピストン本体91の下端部に接続されている。外摺動部93は、ピストン本体91の周囲を取り囲んでいる。外摺動部93は、前後方向の中央部から前方及び後方に向かうに従い漸次拡径したテーパ筒状に形成されている。外摺動部93の前後両端部は、ピストン72の前後動に伴い収容筒77の内周面に摺動可能に構成されている。外摺動部93は、ピストン72が最前端位置にあるとき上述した外気導入孔80を閉塞している。一方、外摺動部93は、ピストン72が後方移動することで、外気導入孔80を開放する。
【0033】
トリガー部63は、下方に向かうに従い前方に向けて湾曲しながら延びている。トリガー部63の上端部は、左右方向に延びる軸線C1回りに回動可能に射出筒部15に連結されている。トリガー部63における上下方向の中央部は、ピストン本体91の前端部に、左右方向に沿う軸線C2回りに回動可能、かつ前後方向に移動可能に連結されている。ピストン72は、トリガー部63の軸線C1回りの回動動作に伴い、シリンダ71に対して前後動する。
【0034】
弾性板部64は、射出筒部15とトリガー部63との間に介在している。弾性板部64は、トリガー部63を軸線C1回りの前方に向けて付勢している。
【0035】
ノズル部11は、射出筒部15から前方に突出している。ノズル部11は、連結部材100と、ノズル本体101と、蓄圧弁102と、を備えている。
連結部材100は、前後方向に延びる筒状に形成されている。連結部材100の後端部内には、連結部材100の後方から射出筒部15の前端部が嵌め込まれている。
【0036】
ノズル本体101は、後方に開口する有頂筒状に形成されている。ノズル本体101内には、連結部材100の前端部が嵌め込まれている。ノズル本体101の前端部には、噴出孔101aが形成されている。
【0037】
蓄圧弁102は、ノズル本体101と連結部材100とで囲まれた空間(以下、蓄圧室115という。)において、コイルスプリング120によって前方に付勢された状態で、後方移動可能に収容されている。蓄圧弁102は、ノズル本体101の前壁部に着座し、噴出孔101aを閉塞する。蓄圧弁102の後半部には小径ピストン部102aが形成され、蓄圧弁102の前半部には大径ピストン部102bが形成されている。蓄圧弁102は、連結部材100を通じて蓄圧室115に導入される液体の圧力を両ピストン部102a,102bに作用させる。この圧力が一定以上となると、両ピストン部102a、102bの受圧面積の差により蓄圧弁102が後退し、噴出孔101aを開放する。
【0038】
本実施形態の噴出器3は、噴出孔101aを通した外部とノズル部11内との連通を遮断する遮断手段として、蓋部130を備えている。蓋部130は、ノズル部11に配設され、噴出孔101aを前方から開閉可能に閉塞する。蓋部130の上端部は、ノズル部11の前壁部に、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に装着されている。
【0039】
図2に示すように、正倒立用アダプタ12は、縦供給筒部14の下端部に装着されている。正倒立用アダプタ12は、噴出容器1が正立姿勢(口部2aを上方に向けた姿勢)、及び倒立姿勢(口部2aを下方に向けた姿勢)の何れにおいても、容器体2の内の液体の噴射を可能とするものである。
【0040】
正倒立用アダプタ12は、上下方向に組み付けられた第1取付部材140及び第2取付部材141と、第1取付部材140及び第2取付部材141間を仕切る仕切部材142と、を備えている。なお、第1取付部材140、第2取付部材141及び仕切部材142によって本実施形態のアダプタ本体が構成されている。
第1取付部材140は、上方に位置するものほど縮径された多段筒状に形成されている。具体的に、第1取付部材140は、小径部145、中径部146及び大径部147を備えている。
【0041】
小径部145は、第1軸線O1と同軸に配置されている。小径部145の上部は、上内筒部31内に嵌合されている。小径部145のうち、下端縁よりも上方に位置する部分には、径方向の外側に張り出す第1フランジ150が形成されている。
中径部146は、第1フランジ150の外周縁から下方に延びている。中径部146は、第2軸線O2と同軸に配置されている。中径部146は、下内筒部32内に下内筒部32の下方から嵌め込まれている。これにより、下内筒部32の下端開口部が閉塞されている。第1取付部材140と下内筒部32とで囲まれた空間は、中継空間S3として機能する。中径部146の下端縁には、径方向の外側に張り出す第2フランジ152が形成されている。第2フランジ152は、下内筒部32(周壁部32b)の下端縁に近接又は当接している。
【0042】
大径部147は、第2フランジ152の外周縁から下方に延びている。
図2、
図4に示すように、大径部147の前部(第2軸線O2よりも前方)には、倒立導入口153が形成されている。倒立導入口153は、大径部147に形成された凹部154を径方向に貫通している。凹部154は、大径部147の外周面に対して径方向の内側に窪むとともに、第2フランジ152上に開口している。なお、凹部154及び倒立導入口153は、大径部147の前部において、軸線O2に対して左右両側に位置する部分に形成されている。
【0043】
図2に示すように、仕切部材142は、第1連通筒160と、第2連通筒161と、を有している。
第1連通筒160は、第1軸線O1と同軸に配置されている。第1連通筒160には、小径部145の下端部(第1フランジ150よりも下方に突出した部分)が第1連通筒160の上方から嵌め込まれている。
第2連通筒161は、第1連通筒160の前方に連なっている。第2連通筒161は、下方に向かうに従い漸次縮径している。本実施形態において、第2連通筒161と第1取付部材140との間に画成された空間は、弁室(第2空間)165を構成している。弁室165は、倒立導入口153を通じて容器体2内に連通している。弁室165には、ボール弁164が収容されている。ボール弁164は、第2連通筒161の下端開口縁に接離することで、第2連通筒161の下端開口を開閉する。
【0044】
第2取付部材141は、閉塞部170と、固定筒171と、を有している。
閉塞部170は、上方に開口する有底筒状に形成されている。閉塞部170は、仕切部材142を間に挟んだ状態で、大径部147内に嵌合されている。
固定筒171は、閉塞部170の後部(第1軸線O1と同軸となる位置)において、閉塞部170の底壁部を上下方向に貫いている。固定筒171の下部には、吸上パイプ175が嵌合されている。固定筒171の上端開口部(正立導入口)171aは、第1連通筒160内に連通している。したがって、第1連通筒160は、固定筒171を通じて容器体2内に連通している。一方、第2連通筒161は、倒立導入口153を通じて容器体2内に連通している。
【0045】
閉塞部170、固定筒171及び第2連通筒161で画成された空間は、弁室165と固定筒171とを接続する接続流路177を構成している。接続流路177は、固定筒171に形成されたスリット178を通じて固定筒171内に連通している。なお、接続流路177からスリット178を経て小径部145に至る空間が本実施形態の第1空間を構成している。
【0046】
ここで、
図2、
図3に示すように、頂壁部32aのうち軸線O2に対して前方に位置する部分には、第1仕切壁180が形成されている。第1仕切壁180は、頂壁部32aから下方に延びるとともに、第1フランジ150に近接又は当接している。具体的に、第1仕切壁180は、
図3に示す平面視において、後方に開口するU字状に形成されている。具体的に、第1仕切壁180は、第1正面壁180aと、第1側壁部180bと、延設壁180cと、を備えている。
【0047】
第1正面壁180aは、頂壁部32aのうち第1貫通孔48よりも前方に位置する部分から下方に突出している。第1正面壁180aは、前後方向を厚さ方向として、頂壁部32aの外周部分まで左右方向に延びている。
第1側壁部180bは、第1正面壁180aにおける左右方向の両端部から後方に向けてそれぞれ延びている。第1側壁部180bは、周壁部32bの内周面と間隔をあけた状態で周壁部32bの内周面に倣って延びている。
延設壁180cは、各第1側壁部180bにおける後端部から左右方向の外側に向けてそれぞれ延びている。延設壁160cにおける左右方向の外側端面は、周壁部32bの内周面に接続されている。なお、本実施形態において、第1仕切壁180における頂壁部32aからの突出高さは、全長に亘って一様に設定されている。
【0048】
一方、
図3、
図5に示すように、第1フランジ150のうち、第1仕切壁180よりも前方に位置する部分には、第2仕切壁183が形成されている。第2仕切壁183は、第1フランジ150から上方に延びるとともに、頂壁部32aに近接又は当接している。具体的に、第2仕切壁183は、
図5に示す平面視において、後方に開口するU字状に形成されている。第2仕切壁183の内側には、第1仕切壁180が嵌め込まれている。すなわち、第1仕切壁180及び第2仕切壁183は、中継空間S3を前後方向に仕切る仕切部185として機能する。具体的に、第2仕切壁183は、第2正面壁183aと、第2側壁部173bと、補強壁183cと、を備えている。
【0049】
第2正面壁183aは、第1フランジ150のうち第1正面壁180aよりも前方に位置する部分から上方に突出している。第2正面壁183aは、前後方向を厚さ方向として左右方向に延びている。第1正面壁180a及び第2正面壁183aは、前後方向から見て互いに重なり合っている。第1正面壁180a及び第2正面壁183aが重なり合う部分において、第2正面壁183aの後面及び第1正面壁180aの前面は、互いに近接又は当接している。
【0050】
第2側壁部173bは、第2正面壁183aにおける左右方向の両端部から後方に向けてそれぞれ延びている。第2側壁部173bは、中径部146の内周面に倣って延びている。第1側壁部170b及び第2側壁部173bは、左右方向から見て互いに重なり合っている。第1側壁部170b及び第2側壁部173bが重なり合う部分において、第2側壁部173bにおける左右方向の内側を向く面及び第1側壁部170bにおける左右方向の外側を向く面は、互いに近接又は当接している。なお、図示の例において、各第2側壁部173bの後端部は、対応する延設壁180cに前後方向で近接又は当接している。
補強壁183cは、第2正面壁183aにおける左右方向の中央部から前方に向けて延びている。補強壁183cの下端縁は、第1フランジ150に接続されている。図示の例において、補強壁183cの上端縁は、第2正面壁183aの上端縁よりも下方に位置している。
【0051】
図2に示すように、中継空間S3のうち仕切部185よりも前方に位置する空間は、導入連通空間S3aを構成している。導入連通空間S3aは、第2貫通孔49を通じて途中空間S2に連通している。本実施形態において、第2貫通孔49、途中空間S2、外気連通孔82、隙間P1及び外気導入孔80に至る部分は、外気導入路を構成している。外気導入通路は、導入連通空間S3aと外部空間とを連通可能とする。
一方、中継空間S3のうち仕切部185よりも後方に位置する空間は、回収連通空間S3bを構成している。回収連通空間S3bは、第1貫通孔48を通じて連通溝29に連通している。本実施形態において、第1貫通孔48、連通溝29、排出口28、ピストンガイド78内、及びピストンガイド78の貫通孔83に至る部分は、回収通路を構成している。回収通路は、シリンダ71内及び回収連通空間S3bの間を連通可能とする。
【0052】
第1取付部材140には、導入連通路190及び回収連通路191が形成されている。
導入連通路190は、導入連通空間S3aと容器体2内との間を連通させている。導入連通路190は、第1取付部材140のうち仕切部185(第2仕切壁183)よりも前方であって、軸線O2に対して左右方向の両側に位置する部分(凹部154に平面視で重なり合う部分)にそれぞれ形成されている。導入連通路190は、中径部146に対して径方向に窪むとともに上下方向に延びている。導入連通路190の上端開口部は、第1フランジ150上で開口することで、導入連通空間S3aに連通している。導入連通路190の下端開口部は、対応する凹部154内に開口することで、容器体2内に連通している。なお、導入連通路190の流路断面積(延在方向に直交する断面積)は、全長に亘って一様になっている。この場合、導入連通路190の流路断面積は、液体が進入し難い大きさに設定されている。
【0053】
回収連通路191は、第1取付部材140のうち仕切部185(第2仕切壁183)よりも後方に位置する部分であって、軸線O2に対して左右方向の両側に位置する部分に形成されている。回収連通路191は、中径部146、大径部147、第1フランジ150及び第2フランジ152に対して径方向の内側に窪んで形成されている。回収連通路191の上端開口部は、第1フランジ150上で開口することで、回収連通空間S3bに連通している。回収連通路191の下端部は、下内筒部32よりも下方に位置する部分が径方向の外側に露呈することで、容器体2内に開放されている。本実施形態において、回収連通路191における流路断面積(延在方向に直交する断面積)の最小値は、導入連通路190における流路断面積の最小値よりも大きくなっている。但し、各連通路190,191の流路断面積は、適宜変更が可能である。
【0054】
次に、
図1、
図2等に基づいて噴出容器1の動作について説明する。まず、正立姿勢での噴出動作について説明する。噴出容器1の正立姿勢において、ボール弁41は自重によって弁座部35に着座し、ボール弁164は自重によって第2連通筒161の下端開口縁に着座している。
噴出容器1の正立姿勢において、容器体2内の液体を噴出させるには、トリガー部63を弾性板部64の付勢力に抗して後方に引く。すると、トリガー部63の後方移動に伴ってピストン72が後退することで、シリンダ71内が加圧される。シリンダ71内が加圧されると、シリンダ71内の液体が連絡通路S1を通じて収容空間40に流入することで、ボール弁41が弁座部35に押さえ付けられる。これにより、容器体2内と連絡通路S1の間の連通が遮断される。そのため、シリンダ71内の液体が、連絡通路S1を通して射出筒部15内に導入される。射出筒部15内に導入された液体は、ノズル部11内を通って噴出孔101aから噴射される。
【0055】
トリガー部63を引く操作を止めると、シリンダ71内から縦供給筒部14の連絡通路S1を通した射出筒部15内への液体の供給が停止される。そして、トリガー部63は、弾性板部64の弾性復元力によって前方に移動する。トリガー部63の前方移動に伴いピストン72が前進することで、シリンダ71内に負圧が生じる。この際、シリンダ71内で発生した負圧によって容器体2の液体が吸上パイプ175を通じて正倒立用アダプタ12内に流入する。正倒立用アダプタ12内に流入した液体は、その後内筒22内を流通することで、ボール弁41を押し上げる。これにより、ボール弁41が弁座部35から離間し、液体が連絡通路S1及び連通口81(供給口27)を通してシリンダ71内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。
【0056】
なお、容器体2内の液体が吸上パイプ175を通じて吸い上げられると、容器体2内に負圧が発生する。また、ピストン72が最前端位置よりも後方に位置している状態において、外気導入孔80はシリンダ71内を通じて外部空間に連通している。そのため、容器体2内の負圧が、外気導入通路(第2貫通孔49、途中空間S2、外気連通孔82、隙間P1及び外気導入孔80に至る空間)、導入連通空間S3a、導入連通路190及び凹部154に作用する。その結果、外気導入通路、導入連通空間S3a、導入連通路190及び凹部154を通じて容器体2内に外気が導入される(空気置換される)。
【0057】
続いて、倒立姿勢での噴出動作について説明する。噴出容器1の倒立姿勢において、ボール弁41は自重によって弁座部35から離間し、ボール弁164は自重によって第2連通筒161の下端開口縁から離間している(
図2中鎖線参照)。
噴出容器1の倒立姿勢においても、トリガー部63を後方に引くことで、シリンダ71内が加圧される。すると、シリンダ71内や連絡通路S1内の液体は、射出筒部15内及び収容空間40のそれぞれに導入される。この際、射出筒部15を通過する際の流通抵抗は、ボール弁41と弁座部35との隙間を通過する際の流通抵抗に比べて小さくなるように隙間が設定されている。そのため、液体は、射出筒部15内に積極的に導入されることで、上述したように噴出孔101aから噴射される。
【0058】
一方、液体の噴出後、トリガー部63が前方に復帰する際には、上述した正立姿勢と同様にシリンダ71内に負圧が発生する。すると、倒立導入口153を通じて弁室165内に流入した液体が第2連通筒161の下端開口、接続流路177、スリット178を通じて第1連通筒160内に流入する。第1連通筒160内に流入した液体は、内筒22内を流通した後、連絡通路S1及び連通口81(供給口27)を通してシリンダ71内に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。
【0059】
ところで、蓄圧弁102を有する噴出器3では、プライミング(シリンダ71内の空気を排出して、シリンダ71内に液体を導入すること)時にシリンダ71内から排出される空気が噴出孔101aから抜けきらず、シリンダ71内と縦供給筒部14内や射出筒部15内とで往来する可能性がある。この場合には、シリンダ71内に液体をスムーズに導入することが難しい。
【0060】
これに対して、本実施形態では、トリガー部63を最後端位置まで移動させると、ピストン本体91内とシリンダ71内とが内摺動部92及び窪み部84の間を通じて連通する。そのため、シリンダ71内と容器体2内とが、回収通路(第1貫通孔48、連通溝29、排出口28、ピストンガイド78内、及びピストンガイド78の貫通孔83に至る空間)、回収連通空間S3b、回収連通路191を通じて連通する。そのため、プライミング時において、シリンダ71内に存在する空気は、回収通路、回収連通空間S3b及び回収連通路191を通じて容器体2内に排出される。その結果、シリンダ71内にスムーズに液体を導入することができる。
【0061】
ここで、本実施形態の噴出器3において、中継空間S3には、回収通路に連通する回収連通空間S3bと外気導入通路に連通する導入連通空間S3aに中継空間S3を仕切る仕切部185が設けられた構成とした。
この構成によれば、噴出容器1を倒立姿勢とした際に、回収連通路191を通じて回収通路内に液体が流入したとしても、液体が導入連通空間S3aに到達することを仕切部185によって規制することができる。これにより、正倒立用アダプタ12を備える場合であっても、導入連通空間S3a及び外気導入通路(外気導入孔80)を通じて液体が外部に漏れることを抑制できる。
【0062】
本実施形態の噴出器3において、導入連通路190の流路断面積の最小値は、回収連通路191の流路断面積の最小値よりも小さい構成とした。
この構成によれば、噴出容器1を倒立姿勢とした際に、導入連通路190内に液体が流入し難くなる。そのため、導入連通空間S3a及び外気導入通路(外気導入孔80)を通じて液体が外部に漏れることを、より確実に抑制できる。
【0063】
本実施形態の噴出器3において、仕切部185が、頂壁部32aから下方に延びる第1仕切壁180と、第1フランジ150から上方に延びる第2仕切壁183と、を備え、第1仕切壁180及び第2仕切壁183は、前後方向で向かい合う部分同士が互いに接触した状態で前後方向から見て重なり合っている構成とした。
この構成によれば、頂壁部32a及び第1フランジ150の何れか一方のみに仕切部185を設ける場合に比べて、導入連通空間S3a及び回収連通空間S3bの間を遮断し易くなる。これにより、液体が導入連通空間S3aに到達することを仕切部185によって規制し易くなる。
【0064】
また、本実施形態の噴出器3において、各仕切壁180,183がそれぞれ正面壁180a,183aと、正面壁180a,183aから交差する方向に延びる側壁部180b,183bを備える構成とした。
この構成によれば、各仕切壁180,183の剛性を確保でき、縦供給筒部14と正倒立用アダプタ12とを組み付ける際等において、各仕切壁180,183の変形等を抑制できる。
その上で、各仕切壁180,183が互いにU字状に形成されるとともに、第2仕切壁183の内側に第1仕切壁180が嵌め込まれているので、導入連通空間S3a及び回収連通空間S3bの間をより確実に遮断することができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、ピストン72が最後端位置に到達した際にピストン本体91内とシリンダ71内とが窪み部84を通じて連通する構成について説明したが、この構成のみに限られない。ピストン本体91内とシリンダ71内とは、少なくとも一部で連通していればピストン72の位置は限られない。例えば、ピストンガイド78や内摺動部92に形成された溝等を介してピストン本体91内とシリンダ71内とが連通していてもよい。
上述した実施形態では、正倒立用アダプタ12に導入連通路190や回収連通路191が形成された構成について説明したが、この構成のみに限られない。各連通路190,191は、正倒立用アダプタ12の外周面及び縦供給筒部14(下内筒部32)の内周面との間に、正倒立用アダプタ12及び縦供給筒部14の少なくとも一方に形成されていればよい。
【0066】
上述した実施形態では、頂壁部32a及び第1フランジ150の双方に仕切壁が設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。頂壁部32a及び第1フランジ150の何れか一方のみに仕切壁(仕切部)が設けられていてもよい。
上述した実施形態では、導入連通路190が凹部154を通じて容器体2内に連通する構成について説明したが、この構成に限られない。導入連通路190が直接容器体2内に連通していてもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
2:容器体
3:トリガー式液体噴出器
10:噴出器本体
11:ノズル部
11a:噴出孔
12:正倒立用アダプタ
14:縦供給筒部
16:トリガー機構
32:下内筒部(装着筒)
32a:頂壁部
63:トリガー部
71:シリンダ
72:ピストン
75:シリンダ保持筒
78:ピストンガイド
91:ピストン本体
92:内摺動部(摺動部)
93:外摺動部(摺動部)
140:第1取付部材(アダプタ本体)
141:第2取付部材(アダプタ本体)
142:仕切部材(アダプタ本体)
150:第1フランジ(アダプタ本体のうち頂壁部と向かい合う部分)
153:倒立導入口
171a:上端開口部(正立導入口)
180:第1仕切壁
183:第2仕切壁
185:仕切部
190:導入連通路
191:回収連通路
S3:中継空間
S3a:導入連通空間
S3b:回収連通空間