(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172272
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】支援システム、支援方法および支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241205BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20241205BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20241205BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241205BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/04815
G05B23/02 301T
G05B23/02 301Z
G06T19/00 600
H04N7/18 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089868
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 諒明
(72)【発明者】
【氏名】岩村 慎太郎
【テーマコード(参考)】
3C223
5B050
5C054
5E555
【Fターム(参考)】
3C223AA11
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(57)【要約】
【課題】ユーザが装置の機構の状態をより容易に確認できる仕組みを提供する。
【解決手段】制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための支援システムが提供される。支援システムは、現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末を含む。支援システムは、生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定する処理と、制御装置から対象装置に関連する情報を取得する処理と、取得した情報に基づいて、対象装置の機構の状態を決定する処理と、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、対象装置の像に重ねて表示する処理とを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための支援システムであって、
現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末を備え、
前記支援システムは、
前記生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定する処理と、
前記制御装置から前記対象装置に関連する情報を取得する処理と、
前記取得した情報に基づいて、前記対象装置の機構の状態を決定する処理と、
前記決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、前記対象装置の像に重ねて表示する処理とを実行する、支援システム。
【請求項2】
前記仮想モデル映像は、前記対象装置の外部から見えない機構の状態を示す、請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記機構の状態を決定する処理は、前記制御装置からの情報に基づいて、前記機構の現在の位置、角度、移動量の少なくとも1つを決定する処理を含む、請求項1または2に記載の支援システム。
【請求項4】
前記対象装置の構造を示すデータは、CAD(Computer Aided Design)データを含む、請求項1または2に記載の支援システム。
【請求項5】
前記支援システムは、前記制御装置から取得した情報に基づく状態映像を前記仮想モデル映像とともに表示する処理をさらに実行する、請求項1または2に記載の支援システム。
【請求項6】
前記状態映像は、前記制御装置から取得した値と、当該値の時系列データとのうち少なくとも一方を示す、請求項5に記載の支援システム。
【請求項7】
前記ウェアラブル端末は、ユーザ操作を受け付けるように構成されており、
前記支援システムは、ユーザ操作を受け付けるためのユーザインターフェイス映像を表示する処理をさらに実行する、請求項1または2に記載の支援システム。
【請求項8】
制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための、現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末を用いた支援方法であって、
前記生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定するステップと、
前記制御装置から前記対象装置に関連する情報を取得するステップと、
前記取得した情報に基づいて、前記対象装置の機構の状態を決定するステップと、
前記決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、前記対象装置の像に重ねて表示するステップとを備える、支援方法。
【請求項9】
現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末で実行される支援プログラムであって、前記支援プログラムは、制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するためものであり、前記支援プログラムは前記ウェアラブル端末に、
前記生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定するステップと、
前記制御装置から前記対象装置に関連する情報を取得するステップと、
前記取得した情報に基づいて、前記対象装置の機構の状態を決定するステップと、
前記決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、前記対象装置の像に重ねて表示するステップとを実行させる、支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援システム、支援方法および支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイなどを用いた効率的な生産設備の設備保全のための仕組みが提案されている。例えば、特開2022-109428号公報(特許文献1)は、ユーザ視野内で機器の所在位置と機器に関する情報とを関連付けて提示するための構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、生産設備は、様々な装置により構成されている。装置内部の機構は、一見しただけでは状態を確認できないことが多い。
【0005】
本発明は、ユーザが装置の機構の状態をより容易に確認できる仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従えば、制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための支援システムが提供される。支援システムは、現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末を含む。支援システムは、生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定する処理と、制御装置から対象装置に関連する情報を取得する処理と、取得した情報に基づいて、対象装置の機構の状態を決定する処理と、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、対象装置の像に重ねて表示する処理とを実行する。
【0007】
この構成によれば、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像が対象装置の像に重ねて表示される。ユーザは、対象装置の像に重ねて表示される仮想モデル映像を見ることで、対象装置に含まれる機構の状態をより容易に確認できる。
【0008】
仮想モデル映像は、対象装置の外部から見えない機構の状態を示してもよい。この構成によれば、ユーザは、対象装置の外部から見えない機構の状態を容易に確認できる。
【0009】
機構の状態を決定する処理は、制御装置からの情報に基づいて、機構の現在の位置、角度、移動量の少なくとも1つを決定する処理を含んでいてもよい。この構成によれば、制御装置からの情報に基づいて、現在の機構の状態をより正確に決定できる。
【0010】
対象装置の構造を示すデータは、CAD(Computer Aided Design)データを含んでいてもよい。この構成によれば、仮想モデル映像において、対象装置の機構をより適切に再現できる。
【0011】
支援システムは、制御装置から取得した情報に基づく状態映像を仮想モデル映像とともに表示する処理をさらに実行してもよい。この構成によれば、制御装置から取得した情報に基づく状態映像が仮想モデル映像とともに表示されるので、ユーザは、生産設備に対する設備保全に必要な情報をより容易に確認できる。
【0012】
状態映像は、制御装置から取得した値と、当該値の時系列データとのうち少なくとも一方を示してもよい。この構成によれば、ユーザは、制御装置が有している現在値または制御装置が有している値の時系列データをより容易に確認できる。
【0013】
ウェアラブル端末は、ユーザ操作を受け付けるように構成されていてもよい。支援システムは、ユーザ操作を受け付けるためのユーザインターフェイス映像を表示する処理をさらに実行してもよい。この構成によれば、ユーザは、仮想モデル映像を見ながら、ユーザインターフェイス映像に対してユーザ操作することで、特別なツールなどを用いることなく、所望の指令を与えることができる。
【0014】
本発明の別の局面に従えば、制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための、現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末を用いた支援方法が提供される。支援方法は、生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定するステップと、制御装置から対象装置に関連する情報を取得するステップと、取得した情報に基づいて、対象装置の機構の状態を決定するステップと、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、対象装置の像に重ねて表示するステップとを含む。
【0015】
本発明のさらに別の局面に従えば、現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末で実行される支援プログラムが提供される。支援プログラムは、制御装置により制御される生産設備に対する設備保全を支援するためものである。支援プログラムはウェアラブル端末に、生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定するステップと、制御装置から対象装置に関連する情報を取得するステップと、取得した情報に基づいて、対象装置の機構の状態を決定するステップと、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を、対象装置の像に重ねて表示するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが装置の機構の状態をより容易に確認できる仕組みを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に従う制御システムの全体構成例を示す模式図である。
【
図2】本実施の形態に従うウェアラブル端末が提供する仮想的な映像の一例を示す模式図である。
【
図3】本実施の形態に従う制御装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
【
図4】本実施の形態に従うサーバのハードウェア構成例を示す模式図である。
【
図5】本実施の形態に従うウェアラブル端末のハードウェア構成例を示す模式図である。
【
図6】本実施の形態に従う制御システムにおいて実行される処理手順例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態に従う制御システムにおける仮想モデル映像に含まれる部品のフィルタリングを説明するための図である。
【
図8】本実施の形態に従う制御システムにおける仮想モデル映像に含まれる部品のフィルタリング方法の一例を説明するための図である。
【
図9】本実施の形態に従うウェアラブル端末が提供する状態映像の一例を示す模式図である。
【
図10】本実施の形態に従うウェアラブル端末が提供する状態映像の別の一例を示す模式図である。
【
図11】本実施の形態に従うウェアラブル端末が提供する状態映像のさらに別の一例を示す模式図である。
【
図12】本実施の形態に従うウェアラブル端末が提供する状態映像のさらに別の一例を示す模式図である。
【
図13】本実施の形態に従うウェアラブル端末が提供する状態映像のさらに別の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
<A.適用例>
まず、本発明が適用される場面の一例について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に従う制御システム1の全体構成例を示す模式図である。
図1には、一例として、ロボットを含む制御システム1を示す。制御システム1は、1または複数の制御装置100と、サーバ200と、ユーザが装着するウェアラブル端末300とを含む。
【0021】
制御装置100は、例えば、PLCなどのコンピュータである。制御装置100は、予め用意された制御プログラム(以下、「ユーザプログラム」とも称す。)を実行することで、ロボットの動作を制御する。ユーザプログラムは、ロボットの動作を制御するだけではなく、生産設備を動作させるために必要な様々な制御を実行するためのコンピュータ読取可能な命令を含む。本明細書において、「生産設備」は、何らかの生産を行うための1または複数の装置を含む構成を包含する。
【0022】
説明の便宜上、1つの制御装置100を含む制御システム1について説明するが、制御システム1が複数の制御装置100を含んでいる場合であっても、同様の処理が実行される。
【0023】
制御システム1は、例えば、アクチュエータとして、ロボット10と、1または複数のモータ12とを含む。1または複数のモータ12は、ロボット10に内蔵されていてもよいし、ロボット10とは別の機構に内蔵されていてもよい。
【0024】
ロボット10のアームには、ツールチェンジャ32と、ハンド34と、エアシリンダ36とのうち少なくとも1つが装着可能であってもよい。ロボット10のアームまたはロボット10の周囲には、カメラ14が配置されてもよい。
【0025】
制御装置100は、フィールドネットワーク2を介して、ロボットコントローラ20と、モータドライバ22と、バルブ30と接続されている。
【0026】
ロボットコントローラ20は、制御装置100からの指令に従って、ロボット10を駆動する。モータドライバ22は、制御装置100からの指令に従って、1または複数のモータ12を駆動する。バルブ30は、制御装置100からの指令に従って、ツールチェンジャ32、ハンド34、およびエアシリンダ36にエアを供給する。
【0027】
制御装置100は、ローカルネットワーク4を介して、産業用コンピュータ(IPC:Industrial Personal Computer)24と接続されている。産業用コンピュータ24は、カメラ14が撮影した画像に対して画像処理を行う。制御装置100は、産業用コンピュータ24からの画像処理結果に基づいて、アクチュエータへの指令を生成する。
【0028】
サーバ200は、上位ネットワーク6を介して、制御装置100と接続されている。サーバ200は、ウェアラブル端末300に提供するための情報を生成するとともに、ウェアラブル端末300からのユーザ操作に応じた処理を実行する。
【0029】
サーバ200は、ローカルネットワーク8を介して無線中継器250と接続されている。ウェアラブル端末300は、無線中継器250と無線接続される。
【0030】
ウェアラブル端末300は、ユーザが装着可能な装置であり、例えば、MR(Mixed Reality)グラス、AR(Augmented Reality)グラス、またはVR(Virtual Reality)ゴーグルであってもよい。ウェアラブル端末300は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mount Display)であってもよい。
【0031】
例えば、ウェアラブル端末300がMRグラスであれば、ユーザに対して、現実空間内に3D映像(ホログラム)を見せることができる。すなわち、ウェアラブル端末300は、現実空間に存在する物体と仮想的な映像(3D映像)とを合成した状態をユーザに見せることができる。以下では、主として、ウェアラブル端末300がMRグラスであるとして説明する。
【0032】
ウェアラブル端末300は、ユーザに対して視覚的な情報を提供するとともに、ユーザ操作を受け付ける。ユーザ操作は、ユーザが手または体を動かすこと(すなわち、ユーザのジェスチャ)、ユーザによるコントローラの操作、ユーザの発話、ユーザの視線の動きなど、任意の方法で行われる。
【0033】
本実施の形態において、ウェアラブル端末300は、生産設備を構成する任意の構成要素(以下、単に「対象装置」と総称する。)の動作を示す仮想的な映像を、ウェアラブル端末300を装着しているユーザに提示する。例えば、ウェアラブル端末300は、外部から見えない機構(内部構造)を有している対象装置について、当該機構(内部構造)の状態を仮想的な映像として表現する。
【0034】
ウェアラブル端末300は、制御装置100が有している情報に基づいて、生産設備の稼動状態に関する情報を含む仮想的な映像を、ウェアラブル端末300を装着しているユーザに提示することもできる。
【0035】
図2は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300が提供する仮想的な映像の一例を示す模式図である。
図2(A)は、ユーザの視野に対象装置360が存在している状態を示す。
図2(B)において、現実空間に存在する対象装置360の像に重ねて、対象装置360の機構の状態を示す仮想モデル映像370が表示されている。
図2(B)に示す仮想モデル映像370は、対象装置360の内部に存在するシリンダおよびシリンダに連結されたアームの状態を示す。すなわち、ウェアラブル端末300を装着しているユーザは、対象装置360の内部をいわば透視して見ることができる。
【0036】
本明細書において、「仮想モデル映像」は、対象装置の機構の状態を可視化するための映像を包含する。仮想モデル映像は、対象装置の機構(対象装置を構成する部品)の現在位置または現在姿勢などを表現するものであれば、どのようなものであってもよい。一例として、仮想モデル映像は、対象装置の外部から見えない機構(対象装置の隠れている部分の機構)の状態を示すものであってもよい。
【0037】
ウェアラブル端末300は、例えば、制御装置100が有している情報と、対象装置360のCAD(Computer Aided Design)データとを用いて、仮想モデル映像370を生成する。
【0038】
ユーザは、現実空間に存在する対象装置360と、仮想モデル映像370とを見ながら、生産設備の動作状態の確認、トラブルの原因究明、およびトラブルからの復旧操作などを行うことができる。
【0039】
仮想モデル映像370に加えて、制御装置100が有している情報に基づいて、状態映像380が併せて表示されてもよい。本明細書において、「状態映像」は、生産設備を制御する制御装置100が有している情報に基づいて、ユーザに提供される様々な情報を含む。状態映像は、ユーザが生産設備の稼動状態を確認するための情報を含む。
【0040】
ユーザ操作を受け付けるためのユーザインターフェイス映像390が併せて表示されてもよい。本明細書において、「ユーザインターフェイス映像」は、ユーザ操作を受け付けるための任意の映像を包含する。
【0041】
このように、ウェアラブル端末300を装着しているユーザは、対象装置360の見えない部分の状態を仮想的に確認できるので、トラブルの原因究明およびトラブルからの復旧のための操作を効率的に行うことができる。
【0042】
本明細書において、「支援システム」は、制御装置100により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための構成を包含する。支援システムは、制御システム1に含まれていてもよいし、制御システム1とは別に用意されていてもよい。
図1に示す構成例においては、ウェアラブル端末300単体、および/または、サーバ200およびウェアラブル端末300が支援システムに相当する。支援システムは、ウェアラブル端末300に加えて、クラウドなどのコンピューティングリソースを含んでいてもよい。
【0043】
本実施の形態は、制御装置100により制御される生産設備に対する設備保全を支援するためのウェアラブル端末300を用いた支援方法を含む。
【0044】
<B.ハードウェア構成例>
次に、本実施の形態に従う制御システム1を構成する装置のハードウェア構成例について説明する。
【0045】
(b1:制御装置100)
図3は、本実施の形態に従う制御装置100のハードウェア構成例を示す模式図である。
図3を参照して、制御装置100は、例えば、プロセッサ102と、主メモリ104と、ストレージ106と、USB(Universal Serial Bus)コントローラ112と、メモリカードインターフェイス114と、内部バスコントローラ120と、フィールドネットワークコントローラ122と、ローカルネットワークコントローラ124と、上位ネットワークコントローラ126とを含む。
【0046】
プロセッサ102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ106に格納されたプログラムを読み出して、主メモリ104に展開して実行する。
【0047】
ストレージ106は、制御プログラムの一例であるユーザプログラム110と、ユーザプログラム110を実行するための環境を提供するためのシステムプログラム108とを格納する。
【0048】
USBコントローラ112は、USBにより接続された任意の情報処理装置とデータをやり取りする。
【0049】
メモリカードインターフェイス114は、着脱可能なメモリカード116に対してデータを読み書きする。
【0050】
内部バスコントローラ120は、内部バスを介して、図示しない1または複数の機能ユニットとデータをやり取りする。フィールドネットワークコントローラ122は、フィールドネットワーク2を介したデータ通信を担当する。ローカルネットワークコントローラ124は、ローカルネットワーク4を介したデータ通信を担当する。上位ネットワークコントローラ126は、上位ネットワーク6を介したデータ通信を担当する。
【0051】
(b2:サーバ200)
図4は、本実施の形態に従うサーバ200のハードウェア構成例を示す模式図である。
図4を参照して、サーバ200は、例えば、プロセッサ202と、主メモリ204と、ストレージ206と、光学ドライブ216と、上位ネットワークコントローラ220と、ローカルネットワークコントローラ222とを含む。
【0052】
プロセッサ202は、例えば、CPUであり、ストレージ206に格納されたプログラムを読み出して、主メモリ204に展開して実行する。
【0053】
ストレージ206は、OS(Operating System)208と、ウェアラブル端末300と連係して以下に説明する処理を実行するための支援プログラム210とを格納する。
【0054】
光学ドライブ216は、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に格納する記録媒体218(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体)から、記録媒体218に格納されたプログラムを読み取る。光学ドライブ216が読み取ったプログラムは、ストレージ206にインストールされてもよい。
【0055】
なお、サーバ200が実行するプログラムは、記録媒体218から読み出されてもよいし、ネットワーク上のファイルサーバからダウンロードされてもよい。サーバ200が実行する処理は、OS208が提供するモジュールの一部を利用する形で実現されてもよい。
【0056】
上位ネットワークコントローラ220は、上位ネットワーク6を介したデータ通信を担当する。ローカルネットワークコントローラ222は、ローカルネットワーク8を介したデータ通信を担当する。
【0057】
(b3:ウェアラブル端末300)
図5は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300のハードウェア構成例を示す模式図である。
図5を参照して、ウェアラブル端末300は、例えば、制御部310と、表示部312と、無線通信部320と、マイク322と、スピーカ324と、入力装置326と、1または複数のカメラ330と、深度センサ332と、ジャイロセンサ334と、加速度センサ336と、磁力センサ338とを含む。
【0058】
制御部310は、ウェアラブル端末300で必要な処理を実行する。制御部310は、例えば、プロセッサ302と、主メモリ304と、ストレージ306と、映像エンジン308とを含む。プロセッサ302は、ストレージ306に格納されたプログラムを読み出して、主メモリ304に展開して実行する。ストレージ306は、OSに加えて、後述するような処理を実行するための支援プログラム340とを格納する。
【0059】
映像エンジン308は、表示部312に3D映像(ホログラム)を表示させるための処理を実行する。映像エンジン308は、プロセッサ302に含まれていてもよい。
【0060】
表示部312は、3D映像を視覚化する。表示部312は、例えば、プロジェクタ314と、レンズ316と、回折光学素子318とを含む。プロジェクタ314は、制御部310からの指令に従って光学像を生成する。プロジェクタ314が生成した光学像は、レンズ316を通過した後に回折光学素子318を伝搬する。回折光学素子318は、ユーザの目に近接した位置に配置されており、光学像の回折によってホログラムが生成される。
【0061】
無線通信部320は、無線中継器250(
図1)と無線接続するための処理を担当する。
【0062】
マイク322は、ウェアラブル端末300の周囲に発生する音声を収集する。スピーカ324は、制御部310からの指令に従って音声を発生する。
【0063】
入力装置326は、ユーザ操作を受け付ける。入力装置326は、ウェアラブル端末300の本体とは別の装置として構成されてもよい。
【0064】
1または複数のカメラ330は、ウェアラブル端末300の周囲を撮影する。カメラ330は、可視カメラであってもよいし、赤外カメラであってもよい。
【0065】
深度センサ332は、測定対象物までの距離を計測する。ジャイロセンサ334は、角速度を計測する。加速度センサ336は、加速度を計測する。磁力センサ338は、磁力を計測する。例えば、ジャイロセンサ334、加速度センサ336および磁力センサ338は、ウェアラブル端末300の姿勢を推定するための情報を提供する。
【0066】
(b4:その他の構成例)
制御システム1は、制御装置100に対するユーザ操作の受付およびユーザへの情報の提示を行う表示装置を含んでいてもよい。表示装置は、HMI(Human Machine Interface)として機能してもよい。
【0067】
制御システム1は、例えば、製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)、データベース、AI(Artificial Intelligence)システムなどを含んでいてもよい。
【0068】
制御装置100とサーバ200とが別体の構成例を示すが、両装置が一体化されていてもよい。この場合には、サーバ200で実行される処理は、制御装置100で実行される。
【0069】
図3~
図5には、プロセッサがプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードワイヤード回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。
【0070】
<C.処理手順例>
次に、本実施の形態に従う制御システム1において実行される処理手順例について説明する。
【0071】
図6は、本実施の形態に従う制御システム1において実行される処理手順例を示すフローチャートである。
【0072】
図6に示すステップの少なくとも一部は、ウェアラブル端末300のプロセッサ302が支援プログラム340を実行することで実現されてもよい。説明の便宜上、以下では、ウェアラブル端末300がすべての処理を実行する場合について説明するが、
図6に示すステップの一部は、サーバ200のプロセッサ202が支援プログラム210を実行することで実現されてもよい。
【0073】
図6に示す処理は、ユーザがウェアラブル端末300を装着した状態において繰り返し実行されてもよいし、ユーザが特定の操作を行うことで、開始されてもよい。
【0074】
図6を参照して、ウェアラブル端末300は、ウェアラブル端末300を装着しているユーザの視野に対象装置が存在するか否かを判断する(ステップS2)。ユーザの視野に対象装置が存在しなければ(ステップS2においてNO)、ステップS2の処理が繰り返される。
【0075】
ユーザの視野に対象装置が存在していれば(ステップS2においてYES)、ウェアラブル端末300は、対象装置の位置を決定する(ステップS4)。ウェアラブル端末300は、生産設備に含まれる対象装置の構造を示すデータを決定する(ステップS6)。対象装置の構造を示すデータは、例えば、対象装置のCADデータが用いられる。ウェアラブル端末300は、制御装置100から対象装置に関連する情報を取得し(ステップS8)、取得した情報に基づいて、対象装置の機構の状態を決定する(ステップS10)。
【0076】
また、ウェアラブル端末300は、取得した情報に基づいて、生産設備の稼動状態に関する情報を決定する(ステップS12)。
【0077】
ウェアラブル端末300は、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像370を生成し(ステップS14)、生成した仮想モデル映像370を対象装置の像に重ねて表示する(ステップS16)。
【0078】
ウェアラブル端末300は、決定した生産設備の稼動状態に関する情報に基づいて状態映像380を生成および表示する(ステップS18)。すなわち、ウェアラブル端末300は、制御装置100から取得した情報に基づく状態映像380を仮想モデル映像370とともに表示してもよい。なお、ステップS18の処理は、所定の条件が満たされた場合に限って実行されてもよい。
【0079】
また、ウェアラブル端末300は、所定の条件が満たされた場合には、ユーザ操作を受け付けるためのユーザインターフェイス映像390を表示してもよい。
【0080】
ウェアラブル端末300は、処理終了の条件が成立していなければ(ステップS20においてNO)、ステップS2以下の処理が繰り返される。
【0081】
<D.対象装置の特定>
次に、
図6のステップS2およびS4に示す処理をより詳細に説明する。
【0082】
ステップS2およびS4において、ウェアラブル端末300は、特定の画像パターン(例えば、ARマーカまたは二次元コードなど)に基づいて、対象装置に対するウェアラブル端末300の相対位置を決定してもよい。
【0083】
また、ウェアラブル端末300は、3D形状マッチングにより、対象装置に対するウェアラブル端末300の相対位置を決定してもよい。ウェアラブル端末300は、画像マッチングおよび深度センサ332の測距結果により、対象装置に対するウェアラブル端末300の相対位置を決定してもよい。
【0084】
また、ウェアラブル端末300は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)、または、電波を用いた三角測量、などにより自端末の位置を推定してもよい。ウェアラブル端末300は、自端末の推定位置と、予め用意されたデータベースに登録された各対象装置の配置位置とに基づいて、ウェアラブル端末300の近傍に存在する対象装置を決定するともに、対象装置に対するウェアラブル端末300の相対位置を決定してもよい。
【0085】
さらに、ウェアラブル端末300は、ユーザによる名称などのテキスト入力および/または発話などに基づいて、対象装置を決定してもよい。
【0086】
このように、ウェアラブル端末300は、任意の方法で対象装置を決定するとともに、対象装置に対するウェアラブル端末300の相対位置を決定してもよい。
【0087】
<E.仮想モデル映像370>
次に、
図6のステップS6~S14に示す処理をより詳細に説明する。
【0088】
ウェアラブル端末300は、対象装置の隠れている部分の構造を示す仮想モデル映像370を現実空間に存在する対象装置360に重畳する。
【0089】
仮想モデル映像370は、対象装置のCADデータに基づいて生成することができる。ウェアラブル端末300は、制御装置100が有している情報(入力値、出力値、内部状態値など)に基づいて、対象装置を構成する機構の状態をリアルタイムに決定し、仮想モデル映像370を生成する。典型的には、対象装置の機構の状態を決定する処理は、制御装置100からの情報に基づいて、機構の現在の位置、角度、移動量の少なくとも1つを決定する処理を含んでいてもよい。
【0090】
例えば、制御装置100から対象装置に含まれるアクチュエータ(リニアモータまたはシリンダなど)への指令(出力値)に基づいて、アクチュエータの動作状態(現在の位置、現在の角度、現在の移動量など)を推定できる。また、制御装置100の入力値に基づいて、当該入力値のソースとなっているセンサの検出値を推定できる。
【0091】
仮想モデル映像370は、このような推定値に基づいて、対象装置のCADデータに含まれる部品(要素)の位置などを変更することで、仮想モデル映像370を生成する。
【0092】
各対象装置について、CADデータと機構の状態を決定するために必要な情報(制御装置100が有している入力値、出力値、内部状態値など)との対応関係が予め定義されていてもよい。このような対応関係は、ユーザが設計ツールを操作して行ってもよいし、設計情報(例えば、BOM(Bill Of Materials))などから自動的に生成されてもよい。
【0093】
また、CADデータと機構の状態を決定するために必要な情報との対応関係は、生産設備を含む制御システム1のシミュレーションにおいても必要となるため、シミュレーションのための事前設定が行われる場合には、当該事前設定された内容を利用するようにしてもよい。
【0094】
対象装置は、組み合わせられた複数の部品で構成される場合もある。このような場合に、すべての部品の動作状態を示す仮想モデル映像370を表示すると、ユーザの視認性が低下する可能性がある。そのため、複数の部品のうち、仮想モデル映像370として表示する部品がフィルタリングされてもよい。
【0095】
図7は、本実施の形態に従う制御システム1における仮想モデル映像に含まれる部品のフィルタリングを説明するための図である。
【0096】
図7を参照して、例えば、対象装置360の見えない機構(隠れている機構)が3つの部品361,362,363で構成されているとする。仮想モデル映像370として部品361を表示すると、部品362のすべてを表示することができない。例えば、ユーザが部品362に注目していることが明示的または暗示的に指令されると、仮想モデル映像370として部品362のみを表示するようにしてもよい。
【0097】
仮想モデル映像370として表示される映像が重なることで、奥側に存在する部品を表示することができない場合がある。このような場合には、特定の部品をフィルタリングして表示することで、ユーザは、目的の部品の動作状態をより確実に把握できる。
【0098】
部品のフィルタリングは、どのような方法で行ってもよいが、例えば、以下のような方法を採用できる。
【0099】
図8は、本実施の形態に従う制御システム1における仮想モデル映像に含まれる部品のフィルタリング方法の一例を説明するための図である。
図8には、対象装置360が3つの部品361,362,363で構成されている例を示す。
【0100】
図8(A)を参照して、奥行方向に複数のレイヤを設定してもよい。
図8(A)に示す例では、部品361,362,363に対応して3つのレイヤが設定されている。対象装置360に対するウェアラブル端末300の相対位置に基づいて、特定のレイヤが選択されるようにしてもよい。このような複数のレイヤに分割して、特定のレイヤに属する部品のみを有効に表示することで、部品が重なって表示されることを防止できる。
【0101】
また、状態映像380の位置に応じて、複数のレイヤのうち特定のレイヤを選択するようにしてもよい。
【0102】
このように、奥行方向に複数のレイヤを設定することで、ウェアラブル端末300を装着しているユーザの意図に応じて、仮想モデル映像370として表示される部品を選択できる。
【0103】
図8(B)を参照して、生産設備が複数の工程を実行する場合において、各工程において使用される部品が異なっているときには、現在実行中の工程に対応する部品を有効に表示するようにしてもよい。
【0104】
工程1,2,3に部品361,362,363がそれぞれ対応する場合において、例えば、現在実行中の工程が工程1であれば、部品361が仮想モデル映像370として表示される。同様に、現在実行中の工程が工程2であれば、部品362が仮想モデル映像370として表示される。
【0105】
このように、現在実行中の工程に応じて、表示される部品が選択されることで、ユーザは実行中の工程に関連する部品に注目することができる。
【0106】
図8(C)を参照して、制御装置100から取得した対象装置に関連する情報に基づいて、現在動作している部品を有効に表示するようにしてもよい。例えば、対象装置を構成する部品のうち、位置または角度などが変化している部品を仮想モデル映像370として表示してもよい。各部品の位置または角度などは、制御装置100から取得した対象装置に関連する情報に基づいて決定できる。
【0107】
このように、実際に動作している部品が選択されることで、ユーザは動作中の部品に注目することができる。
【0108】
<F.状態映像380>
次に、状態映像380の一例について説明する。
図2には、現在の数値を表示する状態映像380を例示するが、状態映像380が表示する情報は、制御装置100および制御装置100により制御される生産設備の状態を示す任意の情報を含む。
【0109】
例えば、状態映像380は、以下のような現在値または時系列データの数値または図表の表現を含む。
【0110】
(1)センサの検出値(制御装置の入力値)
(2)アクチュエータへの指令(制御装置の出力値)
(3)ロボットの状態値(制御装置の入力値)
(4)(1)~(3)の値から算出された特徴量(例えば、最大値、最小値、平均値など)
(5)(1)~(3)の値から決定された稼動状態(例えば、正常、異常、警告など)
状態映像380は、制御装置100から取得した値と、当該値の時系列データとのうち少なくとも一方を示すものであってもよい。
【0111】
図9は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300が提供する状態映像380の一例を示す模式図である。
図9を参照して、状態映像380は、位置、速度、力の3つの現在値表示381と、各値に対応する時系列グラフ382とを含む。
【0112】
状態映像380は、仮想モデル映像370と併せて表示されてもよいし、仮想モデル映像370とは独立して表示されてもよい。
【0113】
図10は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300が提供する状態映像380の別の一例を示す模式図である。
図10を参照して、状態映像380は、位置、速度、回転力の3つの現在値表示381と、各値に対応するグラフ表示383とを含む。
【0114】
グラフ表示383は、各値の現在値に加えて、特徴量(最小値および最大値)ならびに警告領域の範囲を示す。ユーザは、グラフ表示383を参照することで、各値の時間的な変動を確認することができるとともに、警告領域までの尤度などを確認できる。
【0115】
なお、状態映像380は、対象装置の名称、対象装置の型式、制御装置100が実行するユーザプログラムにおける対象装置に関連する変数名、制御装置100が実行するユーザプログラムにおける対象装置に関連するファンクションブロックのインスタンス名などを含んでいてもよい。
【0116】
図11は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300が提供する状態映像380のさらに別の一例を示す模式図である。
図11を参照して、状態映像380は、3つのパラメータの時間的変化を示す時系列グラフ384を含む。パラメータは、制御装置100が有している現在値(入力値、出力値、内部状態値など)であってもよいし、現在値から算出された特徴量であってもよい。
【0117】
時系列グラフ384は、異常領域表示385を含んでいてもよい。
図11に示す例では、パラメータ2が異常領域に到達しており、何らかの異常が発生していることが通知されている。
【0118】
時系列グラフ384の時間軸は、予め定められた、または、ユーザにより指定された任意の時間単位(例えば、秒、分、時間、日など)を採用できる。
【0119】
なお、何らかの異常が発生していると判断されると、状態映像380の表示態様を異ならせてもよい。例えば、状態映像380の表示色またはデザインを異ならせて、強調表示させてもよい。
【0120】
図12は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300が提供する状態映像380のさらに別の一例を示す模式図である。
図12には、
図10に示す状態映像380に加えて、設定ボタン386が表示されている例を示す。ユーザ操作によって、設定ボタン386が選択されると、状態映像380に代えて、または、状態映像380に重畳された状態で、設定変更映像387が表示される。
【0121】
設定変更映像387は、センサの検出値またはアクチュエータへの指令についての設定値の変更を受け付ける。設定変更映像387は、静的パラメータを表示してもよい。ユーザは、任意の設定値を任意に変更できる。例えば、トグルスイッチ操作またはテンキーのようなユーザインターフェイスがさらに表示されてもよい。
【0122】
設定変更映像387は、ユーザが特定の操作(例えば、状態映像380に対するボタン操作またはボイスコマンドなど)を行った場合にのみ表示されてもよい。なお、設定変更映像387は、表示項目を増加させるために、スクロール可能であってもよい。
【0123】
図13は、本実施の形態に従うウェアラブル端末300が提供する状態映像380のさらに別の一例を示す模式図である。
図13を参照して、状態映像380は、センサの検出値またはアクチュエータへの指令に関連する制御装置100が有しているパラメータを表示する。表示されるパラメータとしては、例えば、制御装置100の稼動状態またはステートマシーンの値などが挙げられる。
【0124】
<G.変形例>
上述した実施の形態に加えて、以下のような変形が可能である。
【0125】
ウェアラブル端末300が上述した処理を実行してもよいし、処理の全部または一部をサーバ200が実行してもよい。
【0126】
基本的な処理をサーバ200が実行する場合には、ウェアラブル端末300は、仮想モデル映像370の表示、および、ユーザ操作の受付といったユーザインターフェイスとして機能する。サーバ200は、制御装置100が有している情報に基づいて、仮想モデル映像370、状態映像380、ユーザインターフェイス映像390などをウェアラブル端末300で表示するのに適したデータを生成する。あるいは、サーバ200は、仮想モデル映像370、状態映像380、ユーザインターフェイス映像390などを描画した結果をウェアラブル端末300へ送信してもよい。
【0127】
上述の説明においては、トラブルシューティングにおいて使用される代表的な処理について説明したが、上述した処理に限らず、制御装置100が実行するユーザプログラム110および関連する装置に対するトラブルシューティングにおいて必要な任意の情報をユーザに提供してもよい。
【0128】
<H.利点>
例えば、生産設備のいずれかの装置でトラブルが発生した場合に、当該装置がカバーで覆われていたり、他の装置の奥側に存在していたりすると、トラブルの原因究明およびトラブルからの復旧操作などに時間を要する。例えば、ユーザは、カバーを取り外して、制御装置が実行するユーザプログラムの状態を参照しながら、装置の内部を確認する。
【0129】
本実施の形態に従う制御システム1は、制御装置100から対象装置に関連する情報を取得し、取得した情報に基づいて対象装置の機構の状態を決定し、決定した機構の状態を示す仮想モデル映像を対象装置の像に重ねて表示する。
【0130】
仮想モデル映像を対象装置の像に重ねて表示することで、ユーザは、制御装置100が実行するユーザプログラムに従って、対象装置の機構がどのような状態であるかを一見して把握できる。これによって、ユーザは、トラブルの原因究明およびトラブルからの復旧操作などをより効率的に行うことができる。すなわち、生産設備に対する設備保全に必要な手間および時間を短縮できる。
【0131】
<I.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
【0132】
[構成1]
制御装置(100)により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための支援システム(300;200,300)であって、
現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末(300)を備え、
前記支援システムは、
前記生産設備に含まれる対象装置(360)の構造を示すデータを決定する処理(S6)と、
前記制御装置から前記対象装置に関連する情報を取得する処理(S8)と、
前記取得した情報に基づいて、前記対象装置の機構の状態を決定する処理(S10)と、
前記決定した機構の状態を示す仮想モデル映像(370)を、前記対象装置の像に重ねて表示する処理(S16)とを実行する、支援システム。
【0133】
[構成2]
前記仮想モデル映像は、前記対象装置の外部から見えない機構の状態を示す、構成1に記載の支援システム。
【0134】
[構成3]
前記機構の状態を決定する処理は、前記制御装置からの情報に基づいて、前記機構の現在の位置、角度、移動量の少なくとも1つを決定する処理を含む、構成1または2に記載の支援システム。
【0135】
[構成4]
前記対象装置の構造を示すデータは、CAD(Computer Aided Design)データを含む、構成1~3のいずれか1項に記載の支援システム。
【0136】
[構成5]
前記支援システムは、前記制御装置から取得した情報に基づく状態映像(380)を前記仮想モデル映像とともに表示する処理(S18)をさらに実行する、構成1~4のいずれか1項に記載の支援システム。
【0137】
[構成6]
前記状態映像は、前記制御装置から取得した値と、当該値の時系列データとのうち少なくとも一方を示す、構成5に記載の支援システム。
【0138】
[構成7]
前記ウェアラブル端末は、ユーザ操作を受け付けるように構成されており、
前記支援システムは、ユーザ操作を受け付けるためのユーザインターフェイス映像(390)を表示する処理をさらに実行する、構成1~6のいずれか1項に記載の支援システム。
【0139】
[構成8]
制御装置(100)により制御される生産設備に対する設備保全を支援するための、現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末(300)を用いた支援方法であって、
前記生産設備に含まれる対象装置(360)の構造を示すデータを決定するステップ(S6)と、
前記制御装置から前記対象装置に関連する情報を取得するステップ(S8)と、
前記取得した情報に基づいて、前記対象装置の機構の状態を決定するステップ(S10)と、
前記決定した機構の状態を示す仮想モデル映像(370)を、前記対象装置の像に重ねて表示するステップ(S16)とを備える、支援方法。
【0140】
[構成9]
現実に存在する物体と仮想的な映像とを合成した状態をユーザに見せるためのウェアラブル端末(300)で実行される支援プログラム(340)であって、前記支援プログラムは、制御装置(100)により制御される生産設備に対する設備保全を支援するためものであり、前記支援プログラムは前記ウェアラブル端末に、
前記生産設備に含まれる対象装置(360)の構造を示すデータを決定するステップ(S6)と、
前記制御装置から前記対象装置に関連する情報を取得するステップ(S8)と、
前記取得した情報に基づいて、前記対象装置の機構の状態を決定するステップ(S10)と、
前記決定した機構の状態を示す仮想モデル映像(370)を、前記対象装置の像に重ねて表示するステップ(S16)とを実行させる、支援プログラム。
【0141】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
1 制御システム、2 フィールドネットワーク、4,8 ローカルネットワーク、6 上位ネットワーク、10 ロボット、12 モータ、14,330 カメラ、20 ロボットコントローラ、22 モータドライバ、24 産業用コンピュータ、30 バルブ、32 ツールチェンジャ、34 ハンド、36 エアシリンダ、100 制御装置、102,202,302 プロセッサ、104,204,304 主メモリ、106,206,306 ストレージ、108 システムプログラム、110 ユーザプログラム、112 USBコントローラ、114 メモリカードインターフェイス、116 メモリカード、120 内部バスコントローラ、122 フィールドネットワークコントローラ、124,222 ローカルネットワークコントローラ、126,220 上位ネットワークコントローラ、200 サーバ、208 OS、210,340 支援プログラム、216 光学ドライブ、218 記録媒体、250 無線中継器、300 ウェアラブル端末、308 映像エンジン、310 制御部、312 表示部、314 プロジェクタ、316 レンズ、318 回折光学素子、320 無線通信部、322 マイク、324 スピーカ、326 入力装置、332 深度センサ、334 ジャイロセンサ、336 加速度センサ、338 磁力センサ、360 対象装置、361,362,363 部品、370 仮想モデル映像、380 状態映像、381 現在値表示、382,384 時系列グラフ、383 グラフ表示、385 異常領域表示、386 設定ボタン、387 設定変更映像、390 ユーザインターフェイス映像。