IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特開-車両用灯具 図1
  • 特開-車両用灯具 図2
  • 特開-車両用灯具 図3
  • 特開-車両用灯具 図4
  • 特開-車両用灯具 図5
  • 特開-車両用灯具 図6
  • 特開-車両用灯具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172274
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/50 20180101AFI20241205BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241205BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20241205BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20241205BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241205BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241205BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20241205BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20241205BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241205BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241205BHJP
【FI】
F21S43/50
F21S43/14
F21V7/09 510
F21S43/31
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
F21W103:35
F21W103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089871
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】中野 人太
(57)【要約】
【課題】点灯時の意匠性を高めることが可能な技術を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、光源110と、光源110からの光を灯具前方に反射するリフレクタ104と、リフレクタ104の灯具前方側に配置されるシェード106と、を備える。シェード106は、少なくともリフレクタ104の外縁部104cまで延在し、灯具後方側に、光源110からの当該シェード106への光の少なくとも一部をリフレクタ104に向けて反射させる反射面106bを有し、リフレクタ104で反射された光が通る開口部106cを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を灯具前方に反射するリフレクタと、
前記リフレクタの灯具前方側に配置されるシェードと、
を備え、
前記シェードは、
少なくとも前記リフレクタの外縁部まで延在し、
灯具後方側に、前記光源からの当該シェードへの光の少なくとも一部を前記リフレクタに向けて反射させる反射面を有し、
前記リフレクタで反射された光が通る開口部を有する、
車両用灯具。
【請求項2】
前記開口部は、前記リフレクタの外縁部の灯具前方を避けた位置に形成される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記シェードは、前記リフレクタの外側で固定される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記シェードは、前記リフレクタに固定される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源は、ソケットに搭載されたLEDである請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光源と、光源の灯具前方に配置された反射面と、光源および反射面を環囲するリフレクタと、を備える車両用灯具を開示する。この車両用灯具は、光源からの光を反射面、リフレクタの順に2回反射させて灯具前方に出射させる。この車両用灯具では、反射面によって光源が隠れるため、光源の光軸に対応する光が強く光る点光りを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-149382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用灯具は、点光りを抑制できるが、点灯時の意匠性を高めるという観点からはさらなる改善の余地がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、点灯時の意匠性を高めることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、光源と、光源からの光を灯具前方に反射するリフレクタと、リフレクタの灯具前方側に配置されるシェードと、を備える。シェードは、少なくともリフレクタの外縁部まで延在し、灯具後方側に、光源からの当該シェードへの光の少なくとも一部をリフレクタに向けて反射させる反射面を有する。リフレクタで反射された光が通る開口部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、点灯時の意匠性を高めることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る車両用灯具とその周辺を示す概略斜視図である。
図2図1の第1灯具ユニットの概略縦断面図である。
図3図2のリフレクタおよびシェードの概略正面図である。
図4図1の第1灯具ユニットの点灯状態を模式的に示す図である。
図5】変形例に係る車両用灯具の正面図である。
図6】変形例に係る車両用灯具の斜視図である。
図7】変形例に係る車両用灯具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具10とその周辺を示す概略斜視図である。車両用灯具10は、車両の後部に搭載される左右一対のリアコンビネーションランプである。左右に配置される2つの車両用灯具10は、左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であり、図1には例として右側の灯具を示す。
【0011】
車両用灯具10は、2つの灯具ユニットに分割された構成を有しており、第1灯具ユニット100および第2灯具ユニット200を備える。第2灯具ユニット200は、隙間をあけて第1灯具ユニット100と隣接配置されている。第1灯具ユニット100が第2灯具ユニット200に対して上側にあり、これら2つの灯具ユニットは上下方向に並び、ひとつのまとまりのある灯具意匠を構築している。なお、車両用灯具10は、他の構成もとりうる。例えば、車両用灯具10は、第1灯具ユニット100のみを備えてもよい。
【0012】
図2は、第1灯具ユニット100の概略縦断面図である。図3は、図2のリフレクタ104およびシェード106の概略正面図である。図2は、図3のA-A線断面図に対応する。第1灯具ユニット100は、光源ユニット102と、リフレクタ104と、シェード106と、を備える。第1灯具ユニット100は、特に限定されないが、ストップランプおよび/またはテールランプとして機能する。
【0013】
光源ユニット102は、特に限定されないがソケット型の光源ユニットであり、光源(発光素子)110と、光源110が搭載されるソケット112と、を含む。ソケット型の光源ユニット102は、従来の自動車用電球と同様に、ランプボディ(図示せず)に着脱可能に構成される。
【0014】
光源110は、典型的にはLED(発光ダイオード)である。なお、光源110がLEDであるソケット型の光源ユニット102は、LEDソケットとも称される。光源110は、LD(レーザダイオード)、有機EL(エレクトロルミネセンス)、無機ELまたはその他であってもよい。光源110は、発光面110aは灯具前方を向いている。つまり、光源ユニット102は、発光面110aが灯具前方を向くようにランプボディに装着される。
【0015】
リフレクタ104は、椀形状を有し、その底部104aを灯具後方側にして、ランプボディなどに固定される。リフレクタ104は、凹曲面形状の反射面104bを有する。反射面104bは、回転体形状を有してもよい。リフレクタ104は、灯具前方側に、反射面104bで反射された光を散らすためのステップを有してもよい。リフレクタ104の底部104a側は、光源110を環囲する。
【0016】
シェード106は、椀形状を有し、その底部106aを灯具後方側にして、光源ユニット102およびリフレクタ104の灯具前方側に配置される。シェード106は、少なくとも、リフレクタ104の灯具前方側の外縁部104cまで延在する。シェード106は、図示されるように、リフレクタ104の外縁部104cよりも外側(反射面104bと灯具前後方向で対向しない位置)まで延在してもよい。
【0017】
シェード106は、リフレクタ104の外縁部104cよりも外側で固定されてもよい。例えば、シェード106は、リフレクタ104の外縁部104cよりも外側においてエクステンション部材108、ランプボディ、またはその他の部材に固定されてもよい。あるいは、シェード106は、リフレクタ104に固定されてもよい。
【0018】
シェード106は、灯具前後方向に貫通する少なくとも1つの開口部106cを有する。開口部106cは、光源110からの光、特にリフレクタ104の反射面104bで反射された光を通過させるために設けられる。したがって開口部106cは、リフレクタ104の反射面104bの灯具前方に形成される。開口部106cの数および形状は特に限定されない。シェード106が左右および/または上下に対称となるように開口部106cが形成されてもよい。
【0019】
一例として、シェード106は、図示されるように、4つの、灯具前後方向に見て台形状の開口部106cを有し、左右および上下に対称の形状を有する。
【0020】
開口部106cは、光源110の灯具前方を避けた位置に形成される。これにより、光源110はシェード106に隠され、光源110の光軸Axに対応する光が強く光る点光りを抑制できる。好ましくは開口部106cは、図示されるように、リフレクタ104の外縁部104cの灯具前方を避けた位置に形成される。この場合、リフレクタ104の外縁部104cがシェード106に隠されるため、第1灯具ユニット100ひいては車両用灯具10の意匠性が向上する。
【0021】
別の捉え方をすると、シェード106は、光源110の灯具前方に位置して光源110を覆い隠す中央部106dと、リフレクタ104の外縁部104cの灯具前方に位置して外縁部104cを覆い隠す外周部106eと、中央部106dと外周部106eとを連結する少なくとも1つの連結部106fと、を含むように構成される。
【0022】
中央部106dの形状は特に限定されない。一例として、中央部106dは、図示されるように灯具前後方向に見て矩形状であってもよい。
【0023】
連結部106fの数および形状は特に限定されない。連結部106fは、耐久性の観点から、好ましくは2本以上であり、さらに好ましくは3本以上である。一例として、図示されるように、連結部106fの数は4つで、連結部106fは中央部106dの角部に連結され、連結部106fは直線的に延在してもよい。灯具前後方向に見たときの連結部106fの幅Wは、延在方向に沿って一定であってもよいし、延在方向に沿って一定でなくてもよい。例えば幅Wは、外側ほど(すなわち中央部106dから離れるほど)細くてもよいし、外側ほど太くてもよいし、長手方向における中央は細く、両端は太くてもよい。
【0024】
シェード106は、灯具後方側に、光源110からシェード106への光の少なくとも一部をリフレクタ104に向けて反射させる反射面106bを有する。反射面106bは、凸曲面形状を有する。反射面106bは、回転体形状を有してもよい。反射面106bは、中央部106dの裏面(すなわち灯具後方側の面)106gにのみ設けられてもよい。いずれにせよ、反射面106bがシェード106の灯具後方側の面に設けられるため、反射面106bがシェード106と別体に設けられる場合と比べ、部品点数を少なくできる。
【0025】
光源110から出射された光の一部(光L1)は、シェード106の反射面106bに入射し、そこで反射されてリフレクタ104の反射面104bに入射する。また、光源110から出射された光の他の少なくとも一部(光L2)は、直接、リフレクタ104の反射面104bに入射する。リフレクタ104の反射面104bに入射した光(光L1および光L2)の少なくとも一部は、そこで反射され、開口部を通って灯具前方に出射される。
【0026】
一例として、シェード106の反射面106bは回転双曲面を基調とした形状を有し、リフレクタ104の反射面104bは回転放物面を基調とした形状を有し、シェード106の反射面106bの回転双曲面の一方の焦点Fs1は、光源110の発光面110a上に位置し、他方の焦点Fs2は、リフレクタ104の反射面104bの回転放物面の焦点Frと重なる。この場合、シェード106の反射面106bに入射した光源110から(すなわち焦点Fs1から)の光は、あたかも焦点Fs2、すなわち焦点Frから出射したかのように反射されてリフレクタ104の反射面104bに入射するため、リフレクタ104の反射面104bの回転放物面の回転中心軸と平行な方向(すなわち灯具前後方向)に反射される。なお、焦点Fs1が発光面110a上に位置するとは、焦点Fs1が完全に発光面110a上に位置する場合の他に、発光面aの近傍に位置する場合も含まれる。また、焦点Fs2が焦点Frと重なるとは、焦点Fs2が焦点Frに完全に重なる場合の他に、焦点Frの近傍に位置する場合も含まれる。
【0027】
図4は、第1灯具ユニット100の点灯状態を模式的に示す図である。図4は、図3に対応する。図4において、ハッチングが付されている領域R1は、シェード106の開口部106cに対応する領域であって、発光して(すなわち明るく)見える領域を示している。ハッチングが付されていない領域R2は、シェード106に遮光された領域であって、暗く見える領域を示している。
【0028】
なお、シェード106(中央部106d、外周部106eおよび連結部106f)の表面(すなわち灯具前方側の面)106hの反射率は、リフレクタ104の反射面104bの反射率より低くてもよい。例えば、シェード106の表面106hは、黒色の塗装されていてもよい。この場合、第1灯具ユニット100の外部からシェード106の表面106hに差し込んだ光がシェード106の表面106hで反射するのが抑止され、シェード106の開口部106cに対応する明るく見える領域R1と、シェード106に遮光された暗く見える領域R2との明暗の差がはっきりする。
【0029】
以上説明した本実施の形態によれば、シェード106は、少なくともリフレクタ104の外縁部104cまで延在し、リフレクタ104で反射された光は開口部106cを通って灯具前方に出射される。シェード106の開口部106cに対応する領域R1は明るく見え、シェード106に遮光される領域R2は暗く見える。したがって、開口部106cの数および形状を適宜デザインすることで、明るく見える領域R1と暗く見える領域R2とによって、所望の光り方、例えば斬新な光り方を実現できる。つまり、車両用灯具10の点灯時の意匠性を高めることができる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、シェード106に向かう光をリフレクタに向けて反射させる反射面が、シェード106の灯具後方側の面に設けられるため、反射面がシェード106と別体に設けられる場合と比べ、部品点数を少なくできる。
【0031】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0032】
シェード106には種々の変形例が考えられる。以下に、いくつかの変形例を示す。
【0033】
図5の例では、車両用灯具10は、第1灯具ユニット100、第2灯具ユニット200および第3灯具ユニット300の3つの灯具ユニットを備える。第1灯具ユニット100のシェード106の中央部106dは灯具前後方向に見て円形状である。シェード106は3つの開口部106cを有している。言い換えると、シェード106は3つの連結部106fを有している。3つの連結部106fはそれぞれ開口部を有し、開口部にはレンズ114がはめられている。光L1(図2参照)のうち、反射面104bで反射されてレンズ114を通過する光は、光L1のうち、反射面104bで反射されて開口部106cを通過する光とは異なる配光分布を形成するため、点灯時の意匠性をより向上させることが可能である。
【0034】
図6の例では、連結部106fの1つが左右方向に延び、その上端の延長線L1、下端の延長線L2はそれぞれ、バックドア8の左右方向に帯状に延びる装飾部8aの上端の延長線L3、下端の延長線L4と滑らかに連続する、言い換えると重なっている。したがって、シェード106とバックドア8の装飾部8aとを一続きの装飾として認識させることができる。
【0035】
図7の例では、シェード106の中央部106dは灯具前後方向に見て円形状である。中央部106dの表面106hには、外部から、例えば後続車からの光りを反射させるための反射板106jが設けられている。
【0036】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0037】
10 車両用灯具、 100 第1灯具ユニット、 102 光源ユニット、 110 光源、 112 ソケット、 104 リフレクタ、 104b 反射面、 104c 外縁部、 106 シェード、 106b 反射面、 106c 開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7