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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172277
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20241205BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241205BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241205BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20241205BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241205BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20241205BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241205BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241205BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/249
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/6567
H01M50/211
H01M50/262 Z
B60K1/04 Z ZHV
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089879
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】立脇 正章
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 諒
(72)【発明者】
【氏名】安井 健
【テーマコード(参考)】
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB03
3D235BB18
3D235BB19
3D235BB36
3D235CC15
3D235DD35
3D235FF12
3D235HH26
3D235HH42
3D235HH44
5H031AA09
5H031EE01
5H031KK08
5H040AA03
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC20
5H040CC34
5H040JJ02
5H040JJ03
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】バッテリモジュールの保護と、部品点数の削減や軽量化とを両立できるバッテリパックを提供する。
【解決手段】車体1の床下に取り付けられるバッテリパック10は、前後方向に2つ並べて配置されたバッテリモジュール11と、左右方向に延在するクロスメンバ50を有するバッテリケース20と、を備える。クロスメンバ50は、上部クロスメンバ52と、上下方向から見て上部クロスメンバ52に重なる位置に配置される下部クロスメンバ51と、ケース本体21の底面に当接し、上部クロスメンバ52と下部クロスメンバ51とをボルトB3により互いに固定するボルト固定部53と、を有する。ケース本体21の底面には、下方に突出し、前後方向に連続して延在する第1突出部321が一体に設けられており、第1突出部321は、上下方向から見てボルト固定部53と重なる位置でクロスメンバ50と交差している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の床下に取り付けられるバッテリパックであって、
水平方向のうちの第1方向に複数積層されたバッテリセルを有し、前記水平方向のうち前記第1方向に直交する第2方向に少なくとも2つ並べて配置されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールを収容するケースと、を備え、
前記ケースは、
前記バッテリモジュールが載置されるケース本体と、
前記ケースの内側において前記第1方向に延在し、前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの間に設けられたクロスメンバと、を有し、
前記クロスメンバは、
上部クロスメンバと、
前記上部クロスメンバの下側において、上下方向から見て前記上部クロスメンバに重なる位置に配置される下部クロスメンバと、
前記ケース本体の底面に当接し、前記上部クロスメンバと前記下部クロスメンバとを締結部材により互いに固定する固定部と、を有し、
前記ケース本体の底面には、下方に突出し、前記第2方向に連続して延在する少なくとも1つの第1突出部が一体に設けられており、
前記第1突出部は、前記上下方向から見て前記クロスメンバの前記固定部と重なる位置で前記クロスメンバと交差している、
バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記クロスメンバの前記固定部は、前記上部クロスメンバ及び前記下部クロスメンバをフロアパネルに対して固定する、
バッテリパック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
各バッテリモジュールは、前記第2方向に延在し、前記バッテリセルよりも耐荷重が大きい耐荷重部材を有し、
前記上部クロスメンバ及び前記下部クロスメンバのうち少なくとも一方は、前記耐荷重部材に固定されている、
バッテリパック。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリパックであって、
前記上部クロスメンバ及び前記下部クロスメンバのうち少なくとも一方と前記耐荷重部材との固定部は、前記第2方向から見て前記クロスメンバの前記固定部と重なる位置に設けられている、
バッテリパック。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリモジュールを冷却する冷媒が流れるウォータジャケットをさらに備え、
前記ケース本体は、
前記バッテリモジュールが載置されるベースプレートと、
前記ベースプレートの下面に接合され、前記ベースプレートとの間に前記ウォータジャケットを形成するウォータジャケットプレートと、
前記ベースプレートの外縁部に接合され、前記ケースの外枠を構成するフレーム部材と、を有し、
前記ウォータジャケットプレートの下面には、前記第1方向に延在する第2突出部が設けられており、
前記第2突出部は、
前記ウォータジャケットよりも下方に突出し、又は前記上下方向における前記ウォータジャケットの下端位置まで突出し、
前記上下方向から見て前記フレーム部材と重なる位置に設けられている、
バッテリパック。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリモジュールを冷却する冷媒が流れるウォータジャケットをさらに備え、
前記ケース本体は、
前記バッテリモジュールが載置されるベースプレートと、
前記ベースプレートの下面に接合され、前記ベースプレートとの間に前記ウォータジャケットを形成するウォータジャケットプレートと、
前記ベースプレートの外縁部に接合され、前記ケースの外枠を構成するフレーム部材と、を有し、
前記ウォータジャケットプレートの下面には、下方に突出する第3突出部が設けられており、
前記第3突出部は、
前記ウォータジャケットよりも下方に突出し、又は前記上下方向における前記ウォータジャケットの下端位置まで突出し、
前記第1方向に並んで配置された複数の突起により構成される、
バッテリパック。
【請求項7】
請求項6に記載のバッテリパックであって、
前記複数の突起は、前記第2方向において前記フレーム部材と前記ウォータジャケットとの間に設けられている、
バッテリパック。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
各バッテリモジュールは、前記第2方向に延在し、前記バッテリセルよりも耐荷重が大きい少なくとも1つの耐荷重部材を有し、
前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの前記耐荷重部材は、前記第2方向から見て互いに重なる位置に配置され、
前記第1突出部は、前記上下方向から見て、前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの前記耐荷重部材と重なる位置に設けられ、
前記第1突出部の前記第2方向の長さは、各バッテリモジュールの前記耐荷重部材の前記第2方向の長さよりも長い、
バッテリパック。
【請求項9】
請求項8に記載のバッテリパックであって、
前記耐荷重部材は、各バッテリモジュールに前記第1方向に離隔して複数設けられており、
前記第1突出部は、前記ケースの底面に前記第1方向に並べて複数設けられており、
前記複数の第1突出部はそれぞれ、前記上下方向から見て、対応する前記耐荷重部材と重なる位置に設けられている、
バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の床下に取り付けられるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(以下、バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
バッテリ式電気自動車などの電動車両には、大容量のバッテリが搭載される。バッテリはケースに収容された状態で例えば車体のフロアパネルの下方に取り付けられるが、走行中に縁石や飛び石等が下方からケースに衝突した場合に、衝突による荷重入力からバッテリを保護する構造が求められる。
【0004】
これに対し、例えば特許文献1に記載される車体下部構造では、電池ケースの下に保護板が配置され、且つ、電池スタックの中間プレートの下の位置において電池ケースの底板又は保護板に突起が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-138187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、保護板を電池ケースの下方に配置して電池スタックを保護しているものの、その分部品点数が増加したり車両の重量が大きくなったりする。バッテリの保護と、部品点数の削減や軽量化とを両立することが要望されている。
【0007】
本発明は、バッテリモジュールの保護と、部品点数の削減や軽量化とを両立できるバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
車体の床下に取り付けられるバッテリパックであって、
水平方向のうちの第1方向に複数積層されたバッテリセルを有し、前記水平方向のうち前記第1方向に直交する第2方向に少なくとも2つ並べて配置されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールを収容するケースと、を備え、
前記ケースは、
前記バッテリモジュールが載置されるケース本体と、
前記ケースの内側において前記第1方向に延在し、前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの間に設けられたクロスメンバと、を有し、
前記クロスメンバは、
上部クロスメンバと、
前記上部クロスメンバの下側において、上下方向から見て前記上部クロスメンバに重なる位置に配置される下部クロスメンバと、
前記ケース本体の底面に当接し、前記上部クロスメンバと前記下部クロスメンバとを締結部材により互いに固定する固定部と、を有し、
前記ケース本体の底面には、下方に突出し、前記第2方向に連続して延在する少なくとも1つの第1突出部が一体に設けられており、
前記第1突出部は、前記上下方向から見て前記クロスメンバの前記固定部と重なる位置で前記クロスメンバと交差している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリモジュールの保護と、部品点数の削減や車両の軽量化とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車体1に取り付けられるバッテリパック10の斜視図である。
図2】バッテリパック10の分解斜視図である。
図3】バッテリモジュール11をカバープレート15側から見たときの部分斜視図である。
図4】バッテリモジュール11の上面図である。
図5】クロスメンバ50の拡大斜視図である。
図6】クロスメンバ50と前側のバッテリモジュール11及び後側のバッテリモジュール11との配置関係を示した上面図である。
図7図6のA-A線断面図である。
図8図6のB-B線断面図である。
図9】カバー22を外したバッテリパック10の上面図である。
図10】バッテリパック10の下面図である。
図11図9のC-C線断面図である。
図12図9のD-D線断面図である。
図13】第3突出部327がウォータジャケット70と後フレーム41の間に設けられた本実施形態(上段)と、第3突出部327が後フレーム41の真下に設けられる比較例(下段)と、を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態のバッテリパックを、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載する。図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0012】
図1は、車体1の床下に取り付けられるバッテリパック10の斜視図である。本実施形態では、例えば、バッテリパック10は、車体1のフロアパネル3の下方に取り付けられる。バッテリパック10が取り付けられる車両は、例えばバッテリ式電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車などの電動車両である。
【0013】
フロアパネル3には、複数(ここでは4つ)のボルト穴4が左右方向に並んで設けられている。ボルト穴4は、バッテリパック10をフロアパネル3に対して固定する固定部の一部である。ボルト穴4には、後述するボルト固定部53におけるボルトB3が挿通し、ボルトB3をボルト固定部53に締結することで、バッテリパック10がフロアパネル3に固定される。
【0014】
図2は、バッテリパック10の分解斜視図である。バッテリパック10は、4つのバッテリモジュール11と、ジャンクションボックス17と、バッテリECU(Electronic Control Unit)18と、これらを収容するバッテリケース20と、ウォータジャケット70と、を備える。
【0015】
(バッテリモジュール)
4つのバッテリモジュール11は、前後方向に2列、且つ左右方向に2列並べて配置されている。4つのバッテリモジュール11は、不図示の電気接続部材(例えばバスバー)を介して互いに電気的に接続されている。バッテリモジュール11は、車両の駆動源となるモータ等に供給する電力を蓄電する。なお、バッテリモジュール11の数は任意に設定することができ、配置も特に限定されるものではない。
【0016】
図3及び図4はそれぞれ、バッテリモジュール11の部分斜視図及び上面図である。各バッテリモジュール11は、複数のバッテリセル110と、中間プレート12と、一対のエンドプレート13と、一対の拘束部材14と、一対のカバープレート15と、を備える。
【0017】
バッテリセル110は、例えば、固体電池からなるラミネート型セルである。本実施形態では、複数のバッテリセル110は、左右方向に積層されている。ラミネート型セルは、正極タブが連結された正極と、負極タブが連結された負極と、正極と負極との間に配置された固体電解質と、これらを収容するラミネートフィルムと、を有しており、固体電解質を介した正極と負極との間のイオン(例えば、リチウムイオン)の授受により充放電を行う。なお、各バッテリセル110は、ラミネート型に限らず、角型又は円筒型であってもよく、電解質は、液状であっても固体であってもよい。
【0018】
中間プレート12は、複数のバッテリセル110の積層方向(ここでは左右方向)における中間部に設けられており、積層方向と直交する方向(ここでは前後方向)に延在する。前側のバッテリモジュール11の中間プレート12及び後側のバッテリモジュール11の中間プレート12は、前後方向から見て重なる位置に設けられている。
【0019】
中間プレート12は、バッテリセル110よりも耐荷重の大きい部材であり、本発明の耐荷重部材の一例である。なお、各バッテリモジュール11は中間プレート12を複数備えてもよい。
【0020】
中間プレート12には、延在方向(ここでは前後方向)の両端部に、上方からボルトB1が挿通可能なボルト穴121が設けられている。各バッテリモジュール11は、ボルト穴121を挿通するボルトB1が後述するクロスメンバ50のバッテリ固定部N1、N3及びフレーム部材40のバッテリ固定部N1に締結されることで、バッテリケース20に固定される。
【0021】
一対のエンドプレート13は、複数のバッテリセル110の積層方向における両端部に設けられており、積層方向と直交する方向に延在する。前側のバッテリモジュール11のエンドプレート13及び後側のバッテリモジュール11のエンドプレート13は、前後方向から見て重なる位置に設けられている。
【0022】
一対のエンドプレート13は、中間プレート12と同様に、バッテリセル110よりも耐荷重の大きい部材であり、本発明の耐荷重部材の一例である。このように、各バッテリモジュール11には、左右方向において、耐荷重部材(すなわち、中間プレート12、一対のエンドプレート13)が離隔して複数設けられている。
【0023】
一対の拘束部材14は、上下方向において互いに対向し、一対のエンドプレート13に連結されて複数のバッテリセル110を拘束する。一対の拘束部材14は、例えばプレート形状を有し、複数のバッテリセル110、中間プレート12、及び一対のエンドプレート13を上下方向から覆う。
【0024】
一対のカバープレート15は、前後方向において複数のバッテリセル110よりも外側に設けられ、積層方向に延在する。カバープレート15は、長手方向の左端部15L及び右端部15Rに設けられ、一対のエンドプレート13と連結するエンドプレート連結部154を有する。
【0025】
また、カバープレート15の左右中央部と左端部15Lとの間、及び左右中央部と右端部15Rとの間には、上方からボルトB2が挿通可能なボルト穴158が設けられている。各バッテリモジュール11は、ボルト穴158を挿通するボルトB2が後述するクロスメンバ50のバッテリ固定部N2、N4及びフレーム部材40のバッテリ固定部N2に締結されることで、バッテリケース20に固定される。
【0026】
(ジャンクションボックス)
図2に戻り、ジャンクションボックス17には、バッテリケース20の内部の電力系統とバッテリケース20の外部のDC線とを接続する導電部材、ヒューズ、コンタクタ等の電子部品が配置される。
【0027】
ジャンクションボックス17は、前後方向に延在するアッパーフレーム19の上面に配置される。アッパーフレーム19は、バッテリケース20の左右中央部において、4つのバッテリモジュール11の上方に設けられる。
【0028】
(バッテリECU)
バッテリECU18は、バッテリモジュール11の充電及び放電を制御する制御装置であり、プロセッサ、メモリ、インターフェース等を備える。バッテリECU18は、ジャンクションボックス17よりも後方の位置においてアッパーフレーム19の上面に配置される。
【0029】
(バッテリケース)
バッテリケース20は、ケース本体21と、ケース本体21を上方から覆うカバー22と、を備える。
【0030】
ケース本体21は、トレイ形状を有し、バッテリモジュール11が載置される。ケース本体21は、ベースプレート31と、ウォータジャケットプレート32と、フレーム部材40と、クロスメンバ50と、を備える。
【0031】
ベースプレート31は、上面にバッテリモジュール11が載置される。ベースプレート31は、水平方向に延在する部材であり、例えばアルミニウム等の金属材料をプレス加工することにより形成される。
【0032】
ウォータジャケットプレート32は、ベースプレート31の下面に接合される。具体的には、ウォータジャケットプレート32は、外縁部がベースプレート31の下面にロウ付け等により接合される。ウォータジャケットプレート32は、水平方向に延在する部材である。
【0033】
ベースプレート31とウォータジャケットプレート32との間には、ウォータジャケット70が形成される。ウォータジャケット70及びウォータジャケットプレート32の詳細については後述する。
【0034】
フレーム部材40は、ベースプレート31の外縁部に接合され、ケース本体21の外枠(すなわち、後壁、前壁、左壁、及び右壁)を構成する。フレーム部材40は、例えばアルミニウムの鋳物材である。なお、本実施形態では、ベースプレート31とフレーム部材40とを別部材で構成したが、これに限られず、ベースプレート31とフレーム部材40とを一体に形成してもよい。
【0035】
フレーム部材40は、ベースプレート31の後縁部に設けられた後フレーム41と、ベースプレート31の前縁部に設けられた前フレーム42と、ベースプレート31の左右縁部に設けられた一対のサイドフレーム43、44(それぞれ左サイドフレーム43、右サイドフレーム44とも称する)と、を有する。後フレーム41及び前フレーム42は、左右方向に延設されており、一対のサイドフレーム43、44は、前後方向に延設されている。また、後フレーム41及び前フレーム42は、溶接等により一対のサイドフレーム43、44に連結される。
【0036】
後フレーム41及び前フレーム42には、バッテリモジュール11をバッテリケース20に固定するバッテリ固定部N1、N2が設けられている。なお、図2では、前フレーム42に設けられたバッテリ固定部N1、N2については図示を省略している。
【0037】
クロスメンバ50は、バッテリケース20の内側において、左右方向に延在する。クロスメンバ50は、前後方向におけるバッテリケース20の中央部に設けられ、前側に配置された2つのバッテリモジュール11と後側に配置された2つのバッテリモジュール11との間に配置される。クロスメンバ50は、後フレーム41及び前フレーム42と共に、衝突によりバッテリパック10の側方から入力された荷重を支え、バッテリケース20の内側に載置されたバッテリモジュール11を保護する。
【0038】
図5は、クロスメンバ50の拡大斜視図である。図6は、クロスメンバ50と前側のバッテリモジュール11及び後側のバッテリモジュール11との配置関係を示した上面図である。図7は、図6のA-A線断面図である。図8は、図6のB-B線断面図である。
【0039】
クロスメンバ50は、下部クロスメンバ51と、上部クロスメンバ52と、下部クロスメンバ51と上部クロスメンバ52とをボルトB3により互いに固定する複数の(本実施形態では、5つの)ボルト固定部53と、を有する。
【0040】
下部クロスメンバ51は、ベースプレート31に当接して設けられており、一対のサイドフレーム43、44の間を左右方向に延在する。下部クロスメンバ51は、上部クロスメンバ52の下側において、上下方向から見て上部クロスメンバ52に重なる位置に配置される。下部クロスメンバ51は、ベースプレート31、及び一対のサイドフレーム43、44に接合される。
【0041】
下部クロスメンバ51は、各バッテリモジュール11の中間プレート12のボルト穴121に挿通されたボルトB1と締結するバッテリ固定部N1と、各バッテリモジュール11のカバープレート15のボルト穴158に挿通されたボルトB2と締結するバッテリ固定部N2と、を有する。バッテリ固定部N1、N2は、下部クロスメンバ51の前側及び後側に設けられている。
【0042】
上部クロスメンバ52は、下部クロスメンバ51の上側に取り付けられる。上部クロスメンバ52は、各バッテリモジュール11の中間プレート12のボルト穴121に挿通されたボルトB1と締結するバッテリ固定部N3と、各バッテリモジュール11のカバープレート15のボルト穴158に挿通されたボルトB2と締結するバッテリ固定部N4と、を有する。バッテリ固定部N3、N4は、上部クロスメンバ52の前側及び後側に設けられている。
【0043】
下部クロスメンバ51のバッテリ固定部N1、上部クロスメンバ52のバッテリ固定部N3、及び中間プレート12のボルト穴121は、上下方向から見て重なる位置に設けられており、これらにボルトB1を挿通して締結することで、バッテリモジュール11がバッテリケース20に固定される。
【0044】
同様に、下部クロスメンバ51のバッテリ固定部N2、上部クロスメンバ52のバッテリ固定部N4、及びカバープレート15のボルト穴158は、上下方向から見て重なる位置に設けられており、これらにボルトB2を挿通して締結することで、バッテリモジュール11がバッテリケース20に固定される。
【0045】
バッテリ固定部N1、N3は、前後方向から見てボルト固定部53と重なる位置に設けられている。バッテリ固定部N2、N4は、隣り合うボルト固定部53の間に設けられている。
【0046】
なお、本実施形態では、バッテリモジュール11は下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52の両方に固定されたが、これに限られず、バッテリモジュール11が下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52のいずれか一方のみに固定される構成であってもよい。すなわち、下部クロスメンバ51のバッテリ固定部N1、N2を設けない構成であってもよいし、又は、上部クロスメンバ52のバッテリ固定部N3、N4を設けない構成であってもよい。
【0047】
また、左右方向における上部クロスメンバ52の中央部には、前述したアッパーフレーム19が取り付けられている。
【0048】
下部クロスメンバ51と上部クロスメンバ52とは、隣り合うボルト固定部53の間の位置において互いに離隔して配置されており、下部クロスメンバ51と上部クロスメンバ52との間に肉抜き部54が形成されている。これにより、バッテリパック10の軽量化を図ることができる。また、クロスメンバ50が下部クロスメンバ51と上部クロスメンバ52とを有する構成により、一つの部材で構成されたクロスメンバに肉抜き加工を行う場合と比較して、容易に肉抜き部54を形成することができる。
【0049】
複数のボルト固定部53は、クロスメンバ50が延在する方向(左右方向)に並んで設けられている。各ボルト固定部53は、バッテリケース20のうち耐荷重の大きい箇所である。なお、ボルト固定部53の数は任意である。
【0050】
各ボルト固定部53は、前後方向から見て、前側及び後側のバッテリモジュール11の中間プレート12又はエンドプレート13と重なる位置に配置されている。
【0051】
図7に示すように、各ボルト固定部53は、下部クロスメンバ51に設けられたボルト穴51aと、上部クロスメンバ52に設けられたボルト穴52aと、を有する。下部クロスメンバ51のボルト穴51aと上部クロスメンバ52のボルト穴52aとは、上下方向から見て重なる位置に配置されている。例えば、下部クロスメンバ51のボルト穴51aには雌ネジが形成されており、各ボルト固定部53は、例えば上部クロスメンバ52の上方からボルト穴51a、52aに挿通されたボルトB3がボルト穴51aと締結することにより、下部クロスメンバ51と上部クロスメンバ52とを互いに固定する。
【0052】
また、各ボルト固定部53は、下部クロスメンバ51のボルト穴51a周囲において、ケース本体21のベースプレート31に当接して設けられている。
【0053】
図7及び図8に示すように、各ボルト固定部53(ただし、左右方向における中央のボルト固定部53は除く)は、下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52をフロアパネル3に対して固定する。具体的には、各ボルト固定部53は、フロアパネル3に設けられたボルト穴4及びカバー22に設けられたボルト穴22aにもボルトB3を挿通させ、ボルトB3を下部クロスメンバ51のボルト穴51aと締結することにより、下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52をフロアパネル3に対して固定する。
【0054】
一方、左右方向における中央のボルト固定部53は、アッパーフレーム19に形成されたボルト穴19a(図8参照)にボルトB3を挿通させ、アッパーフレーム19を上部クロスメンバ52に対して固定する。
【0055】
ここで、各ボルト固定部53(ただし、左右方向における中央のボルト固定部53は除く)について詳述する。ボルトB3は、下側ボルトB3aと上側ボルトB3bとを有する。下側ボルトB3aは、ネジ部の先端部(下端部)にボルト穴51aと締結する雄ネジが形成され、頭部(上端部)に上側ボルトB3bと締結する雌ネジが形成されている。
【0056】
下側ボルトB3aの雄ネジがボルト穴51aと締結することにより、下部クロスメンバ51と上部クロスメンバ52とが互いに固定される。
【0057】
また、下側ボルトB3aの頭部の一部はカバー22のボルト穴22aから露出しており、上側ボルトB3bがフロアパネル3のボルト穴4の上方から下側ボルトB3aの頭部に形成された雌ネジに締結することにより、下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52がフロアパネル3に対して固定される。
【0058】
図2に戻り、バッテリケース20には、例えば発泡ポリプロピレンで形成された断熱材34が下方から取り付けられ、ウォータジャケット70を下方から覆う。さらに、バッテリケース20には、断熱材34の下方から下カバー35が取り付けられる。下カバー35は、例えば樹脂のような軽量な部材により形成される。なお、図2以外の図では、断熱材34及び下カバー35については図示を省略している。
【0059】
カバー22は、フレーム部材40に上方から取り付けられる。フレーム部材40の上面とカバー22の外縁部との間には、シール部材23(例えばゴム発泡体。図11図12参照)が設けられ、カバー22がフレーム部材40の上面に取り付けられることで、バッテリケース20の内側がシールされる。フレーム部材40に対するカバー22の取り付けは、例えば不図示のボルト等により行われる。ここで、カバー22が取り付けられた状態において、シール部材23に対してバッテリモジュール11側をバッテリケース20の内側とし、シール部材23に対してバッテリモジュール11とは反対側をバッテリケース20の外側とする。
【0060】
(ウォータジャケット)
図9は、カバー22を外したバッテリパック10の上面図である。図9においては、後述する突出部320を破線で示す。図10は、バッテリパック10の下面図である。図10においては、ウォータジャケット70を破線で示す。また、ウォータジャケット70の断面については、前述した図8を用いて説明する。
【0061】
図2及び図8に示すように、ウォータジャケット70は、ベースプレート31とウォータジャケットプレート32とにより区画形成された流路によって構成され、内部にはバッテリモジュール11を冷却する冷媒(例えば冷却水)が流れる。本実施形態では、ウォータジャケットプレート32に凹凸を設けることによりウォータジャケット70の流路が区画形成されているが、これに限られず、ベースプレート31に凹凸を設けてもよいし、ベースプレート31及びウォータジャケットプレート32の両方に凹凸を設けてもよい。
【0062】
図10に示すように、本実施形態では、ウォータジャケット70は、バッテリケース20の左側に設けられた左側のウォータジャケット70Lと、バッテリケース20の右側に設けられた右側のウォータジャケット70Rと、を有する。左側のウォータジャケット70L及び右側のウォータジャケット70Rは、左右対称の形状を有する。
【0063】
各ウォータジャケット70L、70Rの前端部には、供給口70a及び排出口70bが設けられている。供給口70a及び排出口70bには不図示のホースが接続され、供給口70aから冷媒が各ウォータジャケット70L、70Rに供給され、排出口70bから冷媒が外部に排出される。
【0064】
各ウォータジャケット70L、70Rは、前後方向に延在する複数の流路71、73、75、77と、左右方向に延在する複数の流路72、74、76と、を有する。流路71は、前端に供給口70aを有し、供給口70aからウォータジャケットプレート32の左縁部又は右縁部に沿って延在する。流路73は、流路71のウォータジャケットプレート32の中央部において延在する。流路71及び流路73は、後端において流路72により接続される。流路75及び流路77は、流路71と流路73との間に設けられ、流路75は流路73の隣に設けられ、流路77は流路71の隣に設けられる。流路73及び流路75は、前端において流路74により接続される。流路75及び流路77は、後端において流路76により接続される。また、流路77は、前端に排出口70bを有する。
【0065】
(バッテリケースの底面の突出部)
バッテリケース20の底面、すなわち、ウォータジャケットプレート32には、下方に突出した複数の突出部320が設けられている。複数の突出部320は、ウォータジャケットプレート32に一体に設けられている。以下、複数の突出部320について、図8から図13を参照して説明する。
【0066】
図9及び図10に示すように、突出部320は、前後方向に連続して延在する第1突出部321と、ウォータジャケットプレート32の前端部に設けられた第2突出部325と、ウォータジャケットプレート32の後端部に設けられた第3突出部327と、を含む。
【0067】
突出部320(すなわち、第1突出部321、第2突出部325、及び第3突出部327)は、ウォータジャケット70よりも下方に突出する(図8参照)。よって、例えば縁石等の物体が下方からバッテリパック10に衝突して荷重が入力されたとき、ウォータジャケット70に荷重が入力される前に突出部320に荷重が入力される。これにより、ウォータジャケット70を保護することができる。なお、突出部320は、ウォータジャケット70の突出量と同一、すなわち、突出部320の下端位置がウォータジャケット70の下端位置と上下方向において一致する構成であってもよい。
【0068】
第1突出部321は、左右方向に複数(本実施形態では5つ)並べて設けられている。各第1突出部321の前端部は、クロスメンバ50よりも前方に位置し、後端部は、クロスメンバ50よりも後方に位置する。各第1突出部321は、上下方向から見て、クロスメンバ50と交差するように設けられている。本実施形態では、各第1突出部321は、上下方向から見て前後方向に直線状に設けられているが、これに限られず、上下方向から見て曲線を有する形状(例えば波形状)に設けられてもよい。
【0069】
各第1突出部321は、上下方向から見て、クロスメンバ50のボルト固定部53と重なる位置でクロスメンバ50と交差している。ボルト固定部53はバッテリケース20のうち耐荷重が大きい箇所であるので、換言すると、各第1突出部321は、上下方向から見て、耐荷重の大きい箇所と重なる位置でクロスメンバ50と交差している。
【0070】
縁石等の物体が下方からバッテリパック10に衝突するとき、バッテリケース20の底面から下方に突出した第1突出部321に荷重が入力される。そして、第1突出部321で受けた荷重は、ボルト固定部53と、ボルト固定部53により固定された下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52とで支えられる。よって、バッテリパック10の下方から入力された荷重からバッテリモジュール11を保護できる。
【0071】
また、第1突出部321は、ウォータジャケットプレート32に一体に設けられているので、バッテリモジュール11及びウォータジャケット70を保護するために例えばウォータジャケットプレート32の下方に高強度の金属製の保護プレートを設ける必要はなく、部品点数の削減を図ることができる。また、ベースプレート31及びウォータジャケットプレート32を厚肉に形成したり、樹脂製の下カバー35を高強度の金属製にしたりする必要はなく、軽量化を図ることができる。このようにして、バッテリモジュール11の保護と、部品点数の削減やバッテリパック10の軽量化とを両立できる。
【0072】
また、前述のとおり、ボルト固定部53は、下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52をフロアパネル3に対して固定しているので、下方からの物体の衝突により第1突出部321で受けた荷重を、ボルト固定部53、下部クロスメンバ51、及び上部クロスメンバ52に加えて、フロアパネル3でさらに支えることができる。
【0073】
また、前述のとおり、下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52は、バッテリ固定部N1、N3において、バッテリモジュール11のうち耐荷重が大きい中間プレート12に固定されている。これにより、下方からの物体の衝突により第1突出部321で受けた荷重を、ボルト固定部53、下部クロスメンバ51、及び上部クロスメンバ52を介して中間プレート12に伝達することができる。よって、ボルト固定部53、下部クロスメンバ51、及び上部クロスメンバ52の耐荷重を高めることができる。
【0074】
また、前述のとおり、下部クロスメンバ51及び上部クロスメンバ52と中間プレート12との固定部であるバッテリ固定部N1、N3は、前後方向から見てクロスメンバ50のボルト固定部53と重なる位置に設けられている。これにより、ボルト固定部53から中間プレート12までの荷重の伝達経路が短くなるので、下方からの物体の衝突により第1突出部321で受けた荷重を、より効率的に中間プレート12に伝達することができる。
【0075】
ここで、第1突出部321について詳述する。5つの第1突出部321は、上下方向から見て、前後方向に並べて配置される2つのバッテリモジュール11の中間プレート12と重なる位置に設けられた2つの第1突出部321aと、前後方向に並べて配置された2つのバッテリモジュール11のエンドプレート13と重なる位置に設けられた3つの第1突出部321bと、を含む。
【0076】
各第1突出部321aは、バッテリモジュール11の中間プレート12の真下に配置されるので、第1突出部321aに対して上方に向かう荷重が加わっても、耐荷重の大きい中間プレート12で荷重を受け止めることができる。よって、バッテリセル110を保護できる。
【0077】
各第1突出部321aの前後方向の長さは、各バッテリモジュール11の中間プレート12の前後方向の長さよりも長く、各第1突出部321aは、前側のバッテリモジュール11の中間プレート12及び後側のバッテリモジュール11の中間プレート12の下方に設けられている。よって、バッテリパック10の下方から入力された荷重を第1突出部321aで受けたとき、荷重を前後方向に分散させて中間プレート12で受けることができる。
【0078】
各第1突出部321bは、バッテリモジュール11のエンドプレート13の真下に配置されるので、第1突出部321bに対して上方に向かう荷重が加わるときであっても、耐荷重の大きいエンドプレート13で荷重を受けることができる。よって、バッテリセル110を保護できる。
【0079】
各第1突出部321bの前後方向の長さは、各バッテリモジュール11のエンドプレート13の前後方向の長さよりも長く、各第1突出部321bは、前側のバッテリモジュール11のエンドプレート13及び後側のバッテリモジュール11のエンドプレート13の下方に設けられている。よって、バッテリパック10の下方から入力された荷重を第1突出部321bで受けたとき、荷重を前後方向に分散させてエンドプレート13で受け止めることができる。
【0080】
複数の第1突出部321はそれぞれ、上下方向から見て、対応する中間プレート12又はエンドプレート13と重なる位置に配置されるので、左右方向の位置によらず、バッテリパック10の下方から入力される荷重を複数の第1突出部321で受け、中間プレート12及び/又はエンドプレート13で支えることができる。
【0081】
第2突出部325は、左右方向に延出し、ウォータジャケットプレート32の前端部に設けられている。前述のとおり、各ウォータジャケット70L、70Rの前端部には供給口70a及び排出口70bが設けられており、第2突出部325は供給口70a及び排出口70bの近傍において非連続に設けられている。
【0082】
図11は、図9のC-C線断面図を示す。第2突出部325は、上下方向から見て前フレーム42と重なる位置に設けられている。このような構成によると、バッテリパック10の下方から入力されて第2突出部325で受けた荷重を、前フレーム42でさらに支えることができる。
【0083】
ベースプレート31及びウォータジャケットプレート32の前端部は、第2突出部325よりもバッテリケース20の外側方向(ここでは前方向)に延設された前クラッシュストローク部S1を有する。バッテリパック10の前方から水平方向の荷重が加わったとき、相対的に小さい荷重に対してはベースプレート31及びウォータジャケットプレート32で荷重を支え、相対的に大きい荷重に対しては前クラッシュストローク部S1が変形しながら荷重を吸収する。これにより、バッテリケース20の内側に配置されたバッテリモジュール11を保護する。
【0084】
図9及び図10に戻り、第3突出部327は、ウォータジャケットプレート32の後端部に設けられ、下方に突出した複数の突起327aにより構成されている。複数の突起327aは、左右方向に並んで設けられ、隣り合う突起327aは所定の間隔を空けて設けられている。
【0085】
図12は、図9のD-D線断面図を示す。ベースプレート31及びウォータジャケットプレート32の後端部は、第3突出部327よりもバッテリケース20の外側方向(ここでは後方向)に延設された後クラッシュストローク部S2を有する。バッテリパック10の後方から水平方向の荷重が加わったとき、相対的に小さい荷重に対してはベースプレート31及びウォータジャケットプレート32で荷重を支え、相対的に大きい荷重に対しては後クラッシュストローク部S2が変形しながら荷重を吸収する。これにより、バッテリケース20の内側に配置されたバッテリモジュール11を保護する。
【0086】
第3突出部327は複数の突起327aにより構成されているので、隣り合う突起327aの間の水平部分でも後方からの水平方向の荷重を受けることができる。これにより、ベースプレート31及びウォータジャケットプレート32の後端部における水平方向の耐荷重を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、第3突出部327は、前後方向において後フレーム41とウォータジャケット70との間に設けられている。
【0088】
図13は、第3突出部327がウォータジャケット70と後フレーム41の間に設けられた本実施形態(上段)と、第3突出部327が後フレーム41の真下に設けられる比較例(下段)と、を示す。比較例では、後フレーム41の真下に設けられた第3突出部327、及び後クラッシュストローク部S2の存在により、バッテリケース20の外側(すなわち、シール部材23よりも後側)の部分が長くなる。一方、本実施形態では、第3突出部327が後フレーム41の真下に設けられていないので、後クラッシュストローク部S2のうちバッテリケース20の外側の部分を短くすることができる。よって、バッテリパック10を前後方向にコンパクトにすることができる。
【0089】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0090】
例えば、前述した実施形態では、クロスメンバ50と耐荷重部材の一例である中間プレート12とを固定したが、これに限られない。例えば、クロスメンバ50と中間プレート12との固定に変えて又は加えて、耐荷重部材の他の一例であるエンドプレート13にクロスメンバ50との固定部を設け、クロスメンバ50とエンドプレート13とを固定してもよい。
【0091】
また、前述した実施形態では、第2突出部325を上下方向から見て前フレーム42と重なる位置に設けたが、これに限られない。例えば、第3突出部327と同様に、第2突出部325を上下方向から見てウォータジャケット70と前フレーム42の間に設けてもよい。また、第2突出部325を第3突出部327と同様に、左右方向に並べて配置した複数の突起により構成してもよい。
【0092】
また、前述した実施形態では、第3突出部327を上下方向から見てウォータジャケット70と後フレーム41の間に設けたが、これに限られない。例えば、第2突出部325と同様に、第3突出部327を上下方向から見てウォータジャケット70と後フレーム41の間に設けてもよい。
【0093】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0094】
(1) 車体(車体1)の床下に取り付けられるバッテリパック(バッテリパック10)であって、
水平方向のうちの第1方向(左右方向)に複数積層されたバッテリセル(バッテリセル110)を有し、前記水平方向のうち前記第1方向に直交する第2方向(前後方向)に少なくとも2つ並べて配置されたバッテリモジュール(バッテリモジュール11)と、
前記バッテリモジュールを収容するケース(バッテリケース20)と、を備え、
前記ケースは、
前記バッテリモジュールが載置されるケース本体(ケース本体21)と、
前記ケースの内側において前記第1方向に延在し、前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの間に設けられたクロスメンバ(クロスメンバ50)と、を有し、
前記クロスメンバは、
上部クロスメンバ(上部クロスメンバ52)と、
前記上部クロスメンバの下側において、上下方向から見て前記上部クロスメンバに重なる位置に配置される下部クロスメンバ(下部クロスメンバ51)と、
前記ケース本体の底面に当接し、前記上部クロスメンバと前記下部クロスメンバとを締結部材(ボルトB3)により互いに固定する固定部(ボルト固定部53)と、を有し、
前記ケース本体の底面には、下方に突出し、前記第2方向に連続して延在する少なくとも1つの第1突出部(第1突出部321)が一体に設けられており、
前記第1突出部は、前記上下方向から見て前記クロスメンバの前記固定部と重なる位置で前記クロスメンバと交差している、
バッテリパック。
【0095】
(1)によれば、ケースの底面に設けられた第1突出部は上下方向から見てクロスメンバの固定部と重なる位置クロスメンバと交差しているので、バッテリパックの下方から入力されて第1突出部で受けた荷重を、固定部、上部クロスメンバ、及び下部クロスメンバで支えることができる。したがって、バッテリパックの下方から入力された荷重からバッテリモジュールを保護できる。また、第1突出部はケース本体の底面に一体に設けられているので、バッテリモジュールの保護と、部品点数の削減や軽量化とを両立できる。
【0096】
なお、前述した実施形態では、上記第1方向を左右方向とし、上記第2方向を前後方向として説明したが、第1方向は前後方向であってもよいし、第2方向は左右方向であってもよい。
【0097】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記クロスメンバの前記固定部は、前記上部クロスメンバ及び前記下部クロスメンバをフロアパネル(フロアパネル3)に対して固定する、
バッテリパック。
【0098】
(2)によれば、バッテリパックの下方から入力されて第1突出部で受けた荷重を、フロアパネルでさらに支えることができる。
【0099】
(3) (1)又は(2)に記載のバッテリパックであって、
各バッテリモジュールは、前記第2方向に延在し、前記バッテリセルよりも耐荷重が大きい耐荷重部材(中間プレート12、エンドプレート13)を有し、
前記上部クロスメンバ及び前記下部クロスメンバのうち少なくとも一方は、前記耐荷重部材に固定されている、
バッテリパック。
【0100】
(3)によれば、バッテリパックの下方から入力されて第1突出部で受けた荷重を、クロスメンバの固定部と、上部クロスメンバ及び下部クロスメンバのうち少なくとも一方とを介して、バッテリモジュールの耐荷重部材に伝達することができる。
【0101】
(4) (3)に記載のバッテリパックであって、
前記上部クロスメンバ及び前記下部クロスメンバのうち少なくとも一方と前記耐荷重部材との固定部(バッテリ固定部N1、N3)は、前記第2方向から見て前記クロスメンバの前記固定部と重なる位置に設けられている、
バッテリパック。
【0102】
(4)によれば、クロスメンバの固定部からバッテリモジュールの耐荷重部材までの荷重の伝達経路が短くなるので、バッテリパックの下方から入力されて第1突出部で受けた荷重をより効率的に耐荷重部材に伝達することができる。
【0103】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記バッテリモジュールを冷却する冷媒が流れるウォータジャケット(ウォータジャケット70)をさらに備え、
前記ケース本体は、
前記バッテリモジュールが載置されるベースプレート(ベースプレート31)と、
前記ベースプレートの下面に接合され、前記ベースプレートとの間に前記ウォータジャケットを形成するウォータジャケットプレート(ウォータジャケットプレート32)と、
前記ベースプレートの外縁部に接合され、前記ケースの外枠を構成するフレーム部材(フレーム部材40)と、を有し、
前記ウォータジャケットプレートの下面には、前記第1方向に延在する第2突出部(第2突出部325)が設けられており、
前記第2突出部は、
前記ウォータジャケットよりも下方に突出し、又は前記上下方向における前記ウォータジャケットの下端位置まで突出し、
前記上下方向から見て前記フレーム部材と重なる位置に設けられている、
バッテリパック。
【0104】
(5)によれば、バッテリパックの下方から荷重入力があったとき、第2突出部で荷重を受けるので、ウォータジャケットを保護することができる。また、第2突出部は上下方向から見てフレーム部材と重なる位置に配置されるので、バッテリパックの下方から入力されて第2突出部で受けた荷重を、フレーム部材で支えることができる。
【0105】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記バッテリモジュールを冷却する冷媒が流れるウォータジャケット(ウォータジャケット70)をさらに備え、
前記ケース本体は、
前記バッテリモジュールが載置されるベースプレート(ベースプレート31)と、
前記ベースプレートの下面に接合され、前記ベースプレートとの間に前記ウォータジャケットを形成するウォータジャケットプレート(ウォータジャケットプレート32)と、
前記ベースプレートの外縁部に接合され、前記ケースの外枠を構成するフレーム部材(フレーム部材40)と、を有し、
前記ウォータジャケットプレートの下面には、下方に突出する第3突出部(第3突出部327)が設けられており、
前記第3突出部は、
前記ウォータジャケットよりも下方に突出し、又は前記上下方向における前記ウォータジャケットの下端位置まで突出し、
前記第1方向に並んで配置された複数の突起(突起327a)により構成される、
バッテリパック。
【0106】
(6)によれば、バッテリパックの下方から荷重入力があったとき、第3突出部で荷重を受けるので、ウォータジャケットを保護することができる。また、第3突出部は並んで配置された複数の突起により構成されるので、隣り合う突起の間の部分でベースプレート及びウォータジャケットプレートに平行な方向の荷重を受けることができる。
【0107】
(7) (6)に記載のバッテリパックであって、
前記複数の突起は、前記第2方向において前記フレーム部材と前記ウォータジャケットとの間に設けられている、
バッテリパック。
【0108】
(7)によれば、ベースプレート及びウォータジャケットプレートの先端部から複数の突起までのクラッシュストローク部を、ケースの外側に長く延出させる必要がないので、バッテリパックをコンパクトにすることができる。
【0109】
(8) (1)から(7)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
各バッテリモジュールは、前記第2方向に延在し、前記バッテリセルよりも耐荷重が大きい少なくとも1つの耐荷重部材(中間プレート12、エンドプレート13)を有し、
前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの前記耐荷重部材は、前記第2方向から見て互いに重なる位置に配置され、
前記第1突出部は、前記上下方向から見て、前記第2方向に並べて配置された前記少なくとも2つのバッテリモジュールの前記耐荷重部材と重なる位置に設けられ、
前記第1突出部の前記第2方向の長さは、各バッテリモジュールの前記耐荷重部材の前記第2方向の長さよりも長い、
バッテリパック。
【0110】
(8)によれば、バッテリパックの下方から入力されて第1突出部で受けた荷重を、バッテリモジュールの耐荷重部材で支えることができる。また、第1突出部の第2方向の長さは各バッテリモジュールの耐荷重部材の第2方向の長さよりも長いので、第1突出部で受けた荷重を第2方向に分散させることができ、より大きな荷重が入力されても耐荷重部材で支えることができる。
【0111】
(9) (8)に記載のバッテリパックであって、
前記耐荷重部材は、各バッテリモジュールに前記第1方向に離隔して複数設けられており、
前記第1突出部は、前記ケースの底面に前記第1方向に並べて複数設けられており、
前記複数の第1突出部(第1突出部321a、321b)はそれぞれ、前記上下方向から見て、対応する前記耐荷重部材と重なる位置に設けられている、
バッテリパック。
【0112】
(9)によれば、第1突出部が第1方向に複数設けられ、それぞれ対応する耐荷重部材に重なる位置に配置されるので、第1方向の位置によらずバッテリパックの下方から入力される荷重を第1突出部で支えることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 車体
3 フロアパネル
10 バッテリパック
11 バッテリモジュール
12 中間プレート(耐荷重部材)
13 エンドプレート(耐荷重部材)
20 バッテリケース(ケース)
21 ケース本体
31 ベースプレート
32 ウォータジャケットプレート
40 フレーム部材
50 クロスメンバ
51 下部クロスメンバ
52 上部クロスメンバ
53 ボルト固定部(固定部)
70 ウォータジャケット
110 バッテリセル
321 第1突出部
321a 第1突出部
321b 第1突出部
325 第2突出部
327 第3突出部
327a 突起
B3 ボルト(締結部材)
N1 バッテリ固定部(固定部)
N3 バッテリ固定部(固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
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