(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172280
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】液晶表示装置およびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20241205BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241205BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 622C
G09G3/20 623C
G09G3/20 624D
G09G3/20 612A
G09G3/20 611A
G09G3/20 611G
G09G3/20 612G
G09G3/20 624B
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089886
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】山本 薫
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕平
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭一
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZA07
2H193ZE03
2H193ZE31
2H193ZE37
2H193ZF32
2H193ZF33
2H193ZF34
5C006AC24
5C006AC25
5C006AF01
5C006AF68
5C006AF69
5C006AF72
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC12
5C006BF02
5C006BF03
5C006BF04
5C006BF11
5C006BF34
5C006BF37
5C006BF42
5C006BF45
5C006BF46
5C006FA47
5C006FA48
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD26
5C080FF03
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080KK02
5C080KK23
5C080KK34
5C080KK43
5C080KK47
(57)【要約】
【課題】表示品位を低下させることなく従来よりも顕著に消費電力を低減することのできる液晶表示装置を実現する。
【解決手段】動作モードが通常モードから低消費電力モードへと遷移する第1遷移期間に、電源IC内のVCOM生成部は、休止期間中に画素トランジスタに流れるリーク電流が生じないように共通電極駆動電圧VCOMの電位を第1レベルの電位(例えば、5V)から第2レベルの電位(例えば、12V)へと変化させ、ゲートドライバは、各ゲートバスラインの電位を0Vへと変化させ、ソースドライバは、各ソースバスラインの電位を0Vへと変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードを通常モードと低消費電力モードとの間で切り替え可能な液晶表示装置であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線と交差する複数の映像信号線と、
それぞれが前記複数の走査信号線の1つと前記複数の映像信号線の1つとに接続された複数の画素形成部と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の画素形成部に共通的に設けられた共通電極と、
前記共通電極に与える第1電源電圧を生成する電源回路と
を備え、
前記複数の画素形成部のそれぞれは、
画素電極と、
前記複数の走査信号線の1つに接続された制御端子と、前記複数の映像信号線の1つに接続された第1導通端子と、前記画素電極に接続された第2導通端子とを有する画素トランジスタと、
前記共通電極と、
前記画素電極と前記共通電極とによって形成される液晶容量と
によって構成され、
前記動作モードが前記低消費電力モードとなっている期間は、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われる書換期間と、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われない休止期間とを含み、
前記動作モードが前記通常モードから前記低消費電力モードへと遷移する第1遷移期間には、
前記電源回路は、前記休止期間中に前記画素トランジスタに流れるリーク電流が生じないように、前記第1電源電圧の電位を第1レベルの電位から第2レベルの電位へと変化させ、
前記走査信号線駆動回路は、前記複数の走査信号線の電位を所定のオフレベルの電位から0Vへと変化させ、
前記映像信号線駆動回路は、前記複数の映像信号線の電位を0Vへと変化させ、
前記動作モードが前記低消費電力モードから前記通常モードへと遷移する第2遷移期間には、
前記走査信号線駆動回路は、前記複数の走査信号線の電位を0Vから前記所定のオフレベルの電位へと変化させ、
前記電源回路は、前記第1電源電圧の電位を前記第2レベルの電位から前記第1レベルの電位へと変化させることを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項2】
前記休止期間には、前記複数の映像信号線がハイインピーダンス状態で維持されるとともに前記映像信号線駆動回路の電源がオフ状態で維持されることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記電源回路は、更に、前記映像信号線駆動回路に与える第2電源電圧を生成し、
前記休止期間には、前記電源回路は、前記第2電源電圧の生成を休止することを特徴とする、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記走査信号線駆動回路は、基板上にモノリシックに形成されており、
前記休止期間には、前記走査信号線駆動回路の動作を制御する走査制御信号の電位が0Vで維持されることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記走査制御信号を生成するレベルシフタ回路を更に備え、
前記休止期間には、前記レベルシフタ回路の電源がオフ状態で維持されることを特徴とする、請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記電源回路は、更に、前記レベルシフタ回路に与える第3電源電圧を生成し、
前記休止期間には、前記電源回路は、前記第3電源電圧の生成を休止することを特徴とする、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記走査信号線駆動回路は、集積回路チップの形態で設けられ、
前記休止期間には、前記走査信号線駆動回路の動作を制御する走査制御信号の電位が0Vで維持されることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記走査制御信号を生成するタイミング制御回路を更に備え、
前記休止期間には、前記タイミング制御回路の電源がオフ状態で維持されることを特徴とする、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記電源回路は、更に、前記走査信号線駆動回路に与える第3電源電圧を生成し、
前記休止期間には、前記電源回路は、前記第3電源電圧の生成を休止することを特徴とする、請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1遷移期間には、前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を前記第1レベルの電位から前記第2レベルの電位へと変化させた後に、前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を前記所定のオフレベルの電位から0Vへと変化させることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第2遷移期間には、前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を0Vから前記所定のオフレベルの電位へと変化させた後に、前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を前記第2レベルの電位から前記第1レベルの電位へと変化させることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記画素トランジスタは、酸化物半導体によりチャネル層が形成された薄膜トランジスタであって、
前記酸化物半導体は、インジウム(In),ガリウム(Ga),亜鉛(Zn),および酸素(О)を主成分とする酸化インジウムガリウム亜鉛であることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記画素トランジスタは、2個のトランジスタが直列に接続されたデュアルゲート構造を有する薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記画素トランジスタは、前記制御端子としてトップゲートおよびバックゲートを備えたダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記第1遷移期間における前記第1電源電圧の電位についての前記第1レベルの電位から前記第2レベルの電位への変化幅と、前記第1遷移期間における前記複数の走査信号線の電位についての前記所定のオフレベルの電位から0Vへの変化幅とが等しいことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
動作モードを通常モードと低消費電力モードとの間で切り替え可能な液晶表示装置の駆動方法であって、
前記液晶表示装置は、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線と交差する複数の映像信号線と、
それぞれが前記複数の走査信号線の1つと前記複数の映像信号線の1つとに接続された複数の画素形成部と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の画素形成部に共通的に設けられた共通電極と、
前記共通電極に与える第1電源電圧を生成する電源回路と
を備え、
前記複数の画素形成部のそれぞれは、
画素電極と、
前記複数の走査信号線の1つに接続された制御端子と、前記複数の映像信号線の1つに接続された第1導通端子と、前記画素電極に接続された第2導通端子とを有する画素トランジスタと、
前記共通電極と、
前記画素電極と前記共通電極とによって形成される液晶容量と
によって構成され、
前記動作モードが前記低消費電力モードとなっている期間は、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われる書換期間と、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われない休止期間とを含み、
前記駆動方法は、
前記動作モードを前記通常モードから前記低消費電力モードへと遷移させる第1遷移ステップと、
前記動作モードを前記低消費電力モードから前記通常モードへと遷移させる第2遷移ステップと
を含み、
前記第1遷移ステップは、
前記映像信号線駆動回路が前記複数の映像信号線の電位を0Vへと変化させるステップと、
前記休止期間中に前記画素トランジスタに流れるリーク電流が生じないように、前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を第1レベルの電位から第2レベルの電位へと変化させるステップと、
前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を所定のオフレベルの電位から0Vへと変化させるステップと
を含み、
前記第2遷移ステップは、
前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を前記第2レベルの電位から前記第1レベルの電位へと変化させるステップと、
前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を0Vから前記所定のオフレベルの電位へと変化させるステップと
を含むことを特徴とする、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、動作モードを通常モードと低消費電力モードとの間で切り替え可能な液晶表示装置およびその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、テレビ受像機、カーナビゲーション装置などの車載用ディスプレイ、ノートパソコン、スマートフォンやタブレット型端末のような携帯端末など、様々な電子機器に使用されている。このような液晶表示装置に関し、低消費電力化の要求が高まっている。従来の一般的な液晶表示装置は60Hzの駆動周波数(フレーム周波数)で駆動されているが、駆動周波数が高いほど消費電力が大きくなるので、低消費電力化を図るために駆動周波数を低減する技術の開発が盛んである。そのような技術として、液晶容量への映像信号の書き込み動作を停止する休止期間を設ける「休止駆動」と呼ばれる技術が知られている。休止駆動を採用する液晶表示装置では、連続する複数フレーム期間のうちの1フレーム期間のみに映像信号の書き込みが行われ、残りの期間には映像信号の書き込みは行われない。
【0003】
休止駆動を採用する液晶表示装置では、例えば、駆動周波数を60Hzとする通常モードと駆動周波数を1Hzとする低周波モードとの間で動作モードが切り替えられる。これに関し、例えば、所定期間を通じて表示画像に変化がなかったときに通常モードから低周波モードへの切り替えが行われ、ユーザーが何らかの操作を行ったときや外部からデータが送られてきたときに低周波モードから通常モードへの切り替えが行われる。なお、インジウム(In),ガリウム(Ga),亜鉛(Zn),および酸素(О)を主成分とする酸化物半導体によりチャネル層が形成された薄膜トランジスタ(以下、「IGZO-TFT」という。)はオフ電流が極めて小さいので、休止駆動を採用する液晶表示装置では、典型的には、画素トランジスタにIGZO-TFTが用いられている。
【0004】
本件に関連して、特開2002-182619号公報には、休止期間(表示画像の更新を休止する期間)において共通電極(対向電極)の交流駆動を停止するとともにソースドライバをハイインピーダンス状態にすることによって消費電力を低減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IGZO-TFTを用いた液晶表示装置では、上述した休止駆動を採用することによって、従来の液晶表示装置よりも消費電力が低減されている。例えば、ノートパソコンや携帯端末などに用いられている液晶表示装置において、休止駆動は広く採用されている。ところで、近年、サイネージ用途の反射型あるいは微透過型の大型液晶表示装置の需要が高まっているが、そのような大型液晶表示装置については、上述した休止駆動を採用した場合でも外部電源が必要となる。それ故、設置場所が限定されてしまう。そこで、例えば太陽電池などによって電力消費が賄えるようになるよう、更なる低消費電力化が求められている。また、低消費電力化が実現されたとしても、従来に比べて表示品位が低下することは好ましくない。
【0007】
なお、特開2002-182619号公報に開示された技術によれば、ソースドライバ内のアンプを流れる電流は小さくなる。しかしながら、例えば電源ICやゲートドライバ(走査信号線駆動回路)の動作を制御するためのゲート制御信号を出力するレベルシフタICでは休止期間においても電力が消費される。従って、消費電力を従来よりも大幅に低減するという効果は期待できない。
【0008】
そこで、以下の開示は、表示品位を低下させることなく従来よりも顕著に消費電力を低減することのできる液晶表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、動作モードを通常モードと低消費電力モードとの間で切り替え可能な液晶表示装置であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線と交差する複数の映像信号線と、
それぞれが前記複数の走査信号線の1つと前記複数の映像信号線の1つとに接続された複数の画素形成部と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の画素形成部に共通的に設けられた共通電極と、
前記共通電極に与える第1電源電圧を生成する電源回路と
を備え、
前記複数の画素形成部のそれぞれは、
画素電極と、
前記複数の走査信号線の1つに接続された制御端子と、前記複数の映像信号線の1つに接続された第1導通端子と、前記画素電極に接続された第2導通端子とを有する画素トランジスタと、
前記共通電極と、
前記画素電極と前記共通電極とによって形成される液晶容量と
によって構成され、
前記動作モードが前記低消費電力モードとなっている期間は、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われる書換期間と、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われない休止期間とを含み、
前記動作モードが前記通常モードから前記低消費電力モードへと遷移する第1遷移期間には、
前記電源回路は、前記休止期間中に前記画素トランジスタに流れるリーク電流が生じないように、前記第1電源電圧の電位を第1レベルの電位から第2レベルの電位へと変化させ、
前記走査信号線駆動回路は、前記複数の走査信号線の電位を所定のオフレベルの電位から0Vへと変化させ、
前記映像信号線駆動回路は、前記複数の映像信号線の電位を0Vへと変化させ、
前記動作モードが前記低消費電力モードから前記通常モードへと遷移する第2遷移期間には、
前記走査信号線駆動回路は、前記複数の走査信号線の電位を0Vから前記所定のオフレベルの電位へと変化させ、
前記電源回路は、前記第1電源電圧の電位を前記第2レベルの電位から前記第1レベルの電位へと変化させる。
【0010】
(2)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記休止期間には、前記複数の映像信号線がハイインピーダンス状態で維持されるとともに前記映像信号線駆動回路の電源がオフ状態で維持される。
【0011】
(3)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(2)の構成を含み、
前記電源回路は、更に、前記映像信号線駆動回路に与える第2電源電圧を生成し、
前記休止期間には、前記電源回路は、前記第2電源電圧の生成を休止する。
【0012】
(4)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記走査信号線駆動回路は、基板上にモノリシックに形成されており、
前記休止期間には、前記走査信号線駆動回路の動作を制御する走査制御信号の電位が0Vで維持される。
【0013】
(5)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(4)の構成に加え、前記走査制御信号を生成するレベルシフタ回路を備え、
前記休止期間には、前記レベルシフタ回路の電源がオフ状態で維持される。
【0014】
(6)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(5)の構成を含み、
前記電源回路は、更に、前記レベルシフタ回路に与える第3電源電圧を生成し、
前記休止期間には、前記電源回路は、前記第3電源電圧の生成を休止する。
【0015】
(7)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記走査信号線駆動回路は、集積回路チップの形態で設けられ、
前記休止期間には、前記走査信号線駆動回路の動作を制御する走査制御信号の電位が0Vで維持される。
【0016】
(8)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(7)の構成に加え、前記走査制御信号を生成するタイミング制御回路を備え、
前記休止期間には、前記タイミング制御回路の電源がオフ状態で維持される。
【0017】
(9)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(7)の構成を含み、
前記電源回路は、更に、前記走査信号線駆動回路に与える第3電源電圧を生成し、
前記休止期間には、前記電源回路は、前記第3電源電圧の生成を休止する。
【0018】
(10)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記第1遷移期間には、前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を前記第1レベルの電位から前記第2レベルの電位へと変化させた後に、前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を前記所定のオフレベルの電位から0Vへと変化させる。
【0019】
(11)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記第2遷移期間には、前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を0Vから前記所定のオフレベルの電位へと変化させた後に、前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を前記第2レベルの電位から前記第1レベルの電位へと変化させる。
【0020】
(12)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記画素トランジスタは、酸化物半導体によりチャネル層が形成された薄膜トランジスタであって、
前記酸化物半導体は、インジウム(In),ガリウム(Ga),亜鉛(Zn),および酸素(О)を主成分とする酸化インジウムガリウム亜鉛である。
【0021】
(13)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記画素トランジスタは、2個のトランジスタが直列に接続されたデュアルゲート構造を有する薄膜トランジスタである。
【0022】
(14)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)の構成を含み、
前記画素トランジスタは、前記制御端子としてトップゲートおよびバックゲートを備えたダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタである。
【0023】
(15)また、本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置は、上記(1)から(14)までのいずれかの構成を含み、
前記第1遷移期間における前記第1電源電圧の電位についての前記第1レベルの電位から前記第2レベルの電位への変化幅と、前記第1遷移期間における前記複数の走査信号線の電位についての前記所定のオフレベルの電位から0Vへの変化幅とが等しい。
【0024】
(16)また、本発明のいくつかの実施形態による駆動方法は、動作モードを通常モードと低消費電力モードとの間で切り替え可能な液晶表示装置の駆動方法であって、
前記液晶表示装置は、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線と交差する複数の映像信号線と、
それぞれが前記複数の走査信号線の1つと前記複数の映像信号線の1つとに接続された複数の画素形成部と、
前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記複数の映像信号線を駆動する映像信号線駆動回路と、
前記複数の画素形成部に共通的に設けられた共通電極と、
前記共通電極に与える第1電源電圧を生成する電源回路と
を備え、
前記複数の画素形成部のそれぞれは、
画素電極と、
前記複数の走査信号線の1つに接続された制御端子と、前記複数の映像信号線の1つに接続された第1導通端子と、前記画素電極に接続された第2導通端子とを有する画素トランジスタと、
前記共通電極と、
前記画素電極と前記共通電極とによって形成される液晶容量と
によって構成され、
前記動作モードが前記低消費電力モードとなっている期間は、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われる書換期間と、前記液晶容量への映像信号の書き込みが行われない休止期間とを含み、
前記駆動方法は、
前記動作モードを前記通常モードから前記低消費電力モードへと遷移させる第1遷移ステップと、
前記動作モードを前記低消費電力モードから前記通常モードへと遷移させる第2遷移ステップと
を含み、
前記第1遷移ステップは、
前記映像信号線駆動回路が前記複数の映像信号線の電位を0Vへと変化させるステップと、
前記休止期間中に前記画素トランジスタに流れるリーク電流が生じないように、前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を第1レベルの電位から第2レベルの電位へと変化させるステップと、
前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を所定のオフレベルの電位から0Vへと変化させるステップと
を含み、
前記第2遷移ステップは、
前記電源回路が前記第1電源電圧の電位を前記第2レベルの電位から前記第1レベルの電位へと変化させるステップと、
前記走査信号線駆動回路が前記複数の走査信号線の電位を0Vから前記所定のオフレベルの電位へと変化させるステップと
を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明のいくつかの実施形態による液晶表示装置によれば、動作モードが低消費電力モードとなっている期間には、映像信号線駆動回路への映像信号の供給が不要になるのに加えて、走査信号線駆動回路および映像信号線駆動回路への電源電圧の供給が不要となる。従って、動作モードが低消費電力モードとなっている期間には、動作モードが通常モードとなっている期間に比べて、消費電力のうちのAC成分およびDC成分の双方が大きく低減される。以上より、従来に比べて消費電力が大きく低減される。また、電源回路は、動作モードが低消費電力モードとなっている期間のうちの休止期間中に画素トランジスタに流れるリーク電流が生じないように、第1電源電圧の電位を変化させる。従って、駆動周波数を低くしても、従来と比較して表示品位が低下することはない。以上より、表示品位を低下させることなく従来よりも顕著に消費電力を低減することのできる液晶表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1の実施形態において、動作モードが通常モードからSPモードへと遷移する第1遷移期間の液晶表示装置の動作について説明するための信号波形図である。
【
図2】上記第1の実施形態に係る液晶表示装置の概略構成図である。
【
図3】上記第1の実施形態において、TFT基板に設けられている構成要素およびシステム基板に設けられている構成要素について説明するためのブロック図である。
【
図4】上記第1の実施形態において、画素形成部の構成について説明するための回路図である。
【
図5】上記第1の実施形態に係る液晶表示装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】上記第1の実施形態において、システム基板の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図7】上記第1の実施形態において、ゲートドライバの概略構成について説明するためのブロック図である。
【
図8】上記第1の実施形態において、ゲートドライバ内のシフトレジスタの構成を示すブロック図である。
【
図9】上記第1の実施形態において、単位回路の一構成例を示す回路図である。
【
図10】上記第1の実施形態において、安定化回路の一構成例を示す回路図である。
【
図11】上記第1の実施形態において、動作モードが通常モードで維持されている期間の単位回路の動作について説明するための信号波形図である。
【
図12】上記第1の実施形態において、ソースドライバの一構成例を示すブロック図である。
【
図13】上記第1の実施形態において、通常モード期間の液晶表示装置の動作について説明するための信号波形図である。
【
図14】上記第1の実施形態において、動作モードがSPモードから通常モードへと遷移する第2遷移期間の液晶表示装置の動作について説明するための信号波形図である。
【
図15】上記第1の実施形態において、通常モード期間における各構成要素の状態を模式的に示す図である。
【
図16】上記第1の実施形態において、SPモード期間のうちの休止期間における各構成要素の状態を模式的に示す図である。
【
図17】従来型休止駆動が採用されている液晶表示装置についての休止期間における各構成要素の状態を模式的に示す図である。
【
図18】上記第1の実施形態において、通常モードと従来型低周波モードとSPモードとの間での各構成要素の動作状態の違いについて説明するための図である。
【
図19】上記第1の実施形態において、通常モードと従来型低周波モードとSPモードとの間での消費電力の違いを模式的に示す図である。
【
図20】上記第1の実施形態における効果について説明するための図である。
【
図21】上記第1の実施形態における効果について説明するための図である。
【
図22】第2の実施形態に係る液晶表示装置の概略構成図である。
【
図23】上記第2の実施形態において、TFT基板に設けられている構成要素およびシステム基板に設けられている構成要素について説明するためのブロック図である。
【
図24】上記第2の実施形態において、システム基板の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図25】上記第2の実施形態において、通常モード期間の液晶表示装置の動作について説明するための信号波形図である。
【
図26】上記第2の実施形態において、第1遷移期間の液晶表示装置の動作について説明するための信号波形図である。
【
図27】上記第2の実施形態において、第2遷移期間の液晶表示装置の動作について説明するための信号波形図である。
【
図28】上記第2の実施形態において、通常モード期間における各構成要素の状態を模式的に示す図である。
【
図29】上記第2の実施形態において、SPモード期間のうちの休止期間における各構成要素の状態を模式的に示す図である。
【
図30】第1の変形例における画素トランジスタの構成について説明するための図である。
【
図31】第2の変形例における画素トランジスタの構成について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施形態について説明する前に、本明細書で用いる用語について説明する。以下の各実施形態に係る液晶表示装置では、上述した休止駆動が行われる。これに関し、説明の便宜上、従来の休止駆動を「従来型休止駆動」といい、以下の各実施形態における休止駆動を「超低電力休止駆動」という。また、休止駆動を採用する液晶表示装置では上述したように通常モードと低周波モードとの間で動作モードの切り替えが行われるが、従来型休止駆動における低周波モードを「従来型低周波モード」といい、超低電力休止駆動における低周波モードを「SPモード」(Super Pause Mode)という。また、液晶容量への映像信号の書き込みが行われる期間(書き込みのための準備期間を含む)を「書換期間」といい、液晶容量への映像信号の書き込みが行われない期間を「休止期間」という。
【0028】
以下、添付図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0029】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成および動作概要>
図2は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の概略構成図である。この液晶表示装置は、対向する2枚のガラス基板であるTFT基板2と対向基板8とによって構成された液晶パネル9と、システム基板5とによって構成されている。TFT基板2と対向基板8とはシール材によって貼り合わせられており、TFT基板2と対向基板8との間には液晶が狭持されている。TFT基板2とシステム基板5とは、FPC(フレキシブルプリント基板)6を介して互いに接続されている。
【0030】
図3に、TFT基板2に設けられている構成要素およびシステム基板5に設けられている構成要素を示す。TFT基板2には、複数本のゲートバスライン(走査信号線)GLと、それら複数本のゲートバスラインGLと交差する複数本のソースバスライン(映像信号線)SLとが配設されている。また、TFT基板2には、複数本のゲートバスラインGLを駆動するゲートドライバ(走査信号線駆動回路)30と、複数本のソースバスラインSLを駆動するソースドライバ(映像信号線駆動回路)40とが設けられている。本実施形態においては、ゲートドライバ30はTFT基板2上にモノリシックに形成されており、ソースドライバ40はICチップ(集積回路チップ)の形態でTFT基板2上に設けられている。なお、TFT基板2と対向基板8とは上述したようにシール材によって貼り合わせられており、シール材が形成されている領域の内側の領域が表示部20となる。
図3に示す例ではゲートドライバ30は表示部20の一端側および他端側の双方に設けられているが、これには限定されず、表示部20の一端側のみにゲートドライバ30が設けられた構成を採用することもできる。ソースドライバ40としてのICチップの数についても特に限定されない。
【0031】
システム基板5には、各種の電源電圧を生成する電源IC(電源回路)51と、表示部20に画像を表示する動作におけるタイミングを制御するためのタイミング信号等を生成するICであるTCON52と、TCON52で生成されたタイミング信号の電圧レベル(電位)を変化させるためのレベルシフタIC53とが設けられている。本実施形態においては、TCON52とレベルシフタIC53とによって、後述する表示制御部10が実現されている。
【0032】
表示部20には、複数本のゲートバスラインGLと複数本のソースバスラインSLとの各交差点に対応して、画素を形成する画素形成部200が設けられている(
図4参照)。
図4に示すように、各画素形成部200は、対応する交差点を通過するゲートバスラインGLにゲート端子(制御端子)が接続されると共に当該交差点を通過するソースバスラインSLにソース端子(第1導通端子)が接続された薄膜トランジスタ(以下、「画素トランジスタ」という。)21と、その画素トランジスタ21のドレイン端子(第2導通端子)に接続された画素電極22と、表示部20内の複数個の画素形成部200に共通的に設けられた共通電極29と、画素電極22と共通電極29とによって形成される液晶容量23とによって構成されている。本実施形態における画素トランジスタ21は、上述したIGZO-TFTである。なお、共通電極29は、対向基板8上に設けられている。
【0033】
次に、
図5に示す機能ブロック図を参照しつつ、本実施形態に係る液晶表示装置の動作概要について説明する。
図5に示すように、この液晶表示装置は、機能的には、表示制御部10と表示部20とゲートドライバ30とソースドライバ40とを含んでいる。上述したように、表示制御部10は、TCON52とレベルシフタIC53とによって実現される。
【0034】
表示制御部10は、ホストから送られる画像信号DAを受け取り、デジタル映像信号DVと、ゲートドライバ30の動作を制御するためのゲート制御信号(走査制御信号)GCTLと、ソースドライバ40の動作を制御するためのソース制御信号SCTLとを出力する。すなわち、表示制御部10は、ゲートドライバ30の動作およびソースドライバ40の動作を制御する。なお、ゲート制御信号GCTLには、ゲートスタートパルス信号、クリア信号、およびゲートクロック信号が含まれており、ソース制御信号SCTLには、ソーススタートパルス信号、ソースクロック信号、ラッチストローブ信号、および極性制御信号が含まれている。
【0035】
ゲートドライバ30は、表示制御部10から送られるゲート制御信号GCTLに基づいて、アクティブな走査信号の各ゲートバスラインGLへの印加を1垂直走査期間を周期として繰り返す。但し、休止期間には、ゲートドライバ30は、ゲートバスラインGLに走査信号を印加する動作を休止する。
【0036】
ソースドライバ40は、表示制御部100から送られるデジタル映像信号DVとソース制御信号SCTLとに基づいて、複数本のソースバスラインSLに駆動用映像信号を印加する。但し、休止期間には、ソースドライバ40は、ソースバスラインSLに駆動用映像信号を印加する動作を休止する。
【0037】
以上のようにして、ゲートバスラインGLに走査信号が印加され、ソースバスラインSLに駆動用映像信号が印加されることにより、ホストから送られた画像信号DAに基づく画像が表示部20に表示される。
【0038】
ところで、本実施形態に係る液晶表示装置では、駆動周波数を60Hzとして毎フレーム期間に表示画像の更新を行う通常モードと駆動周波数を0.01Hzとして複数フレーム期間に1回だけ表示画像の更新を行うSPモードとの間で動作モードを切り替える超低電力休止駆動が行われる。なお、動作モードが通常モードで維持されている期間を「通常モード期間」といい、動作モードがSPモードになっている期間を「SPモード期間」といい、動作モードが通常モードからSPモードに遷移するための期間を「第1遷移期間」といい、動作モードがSPモードから通常モードに遷移するための期間を「第2遷移期間」という。なお、SPモード期間は、従来型低周波モードにおける休止期間よりも顕著に長い休止期間と、書換期間とを含んでいる。
【0039】
<1.2 システム基板の詳細な構成>
図6は、本実施形態におけるシステム基板5の詳細な構成を示すブロック図である。上述したように、システム基板5には、電源IC51とTCON52とレベルシフタIC53とが設けられている。なお、電源IC51には、バッテリー等によって外部電源電圧VINが供給される。
【0040】
電源IC51には、VGH生成部511とVGL生成部512とVDD生成部513とVDDIO生成部514とAVDD生成部515とGMA生成部516とVCOM生成部517とが含まれている。VGH生成部511は、ゲートドライバ30の動作用のハイレベル側の電源電圧であるゲートハイ電源電圧VGHを生成する。VGL生成部512は、ゲートドライバ30の動作用のローレベル側の電源電圧であるゲートロー電源電圧VGLを生成する。ゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLは、レベルシフタIC53に供給される。VDD生成部513は、TCON52内のロジック回路で使用されるロジック電源電圧VDDを生成する。VDDIO生成部514は、TCON52内の入出力回路521で使用される入出力用電源電圧VDDIOを生成する。ロジック電源電圧VDDおよび入出力用電源電圧VDDIOは、TCON52に供給される。AVDD生成部515は、ソースドライバ40の動作用の電源電圧であるソース用電源電圧AVDDを生成する。GMA生成部516は、ソースドライバ40での階調電圧の生成に用いられるガンマ用電源電圧GMAを生成する。ソース用電源電圧AVDDおよびガンマ用電源電圧GMAは、ソースドライバ40に供給される。VCOM生成部517は、共通電極駆動電圧VCOMを生成する。共通電極駆動電圧VCOMは、共通電極29に印加される。
【0041】
なお、本実施形態においては、共通電極駆動電圧VCOMによって第1電源電圧が実現され、ソース用電源電圧AVDDおよびガンマ用電源電圧GMAによって第2電源電圧が実現され、ゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLによって第3電源電圧が実現される。
【0042】
TCON52には、入出力回路521とRAM522とオシレータ523とタイミング制御部524とソース出力用I/F(インタフェース)525とが含まれている。入出力回路521は、ホストから送られる画像信号DAを受信し、当該画像信号DAをRAM522に書き込む。入出力回路521は、また、適宜のタイミングでRAM522から取り出した画像信号DAをタイミング制御部524に与える。RAM522は、ホストから送られた画像信号DAを一時的に保持する。オシレータ523は、タイミング制御部524の動作用の基本クロックを生成する。タイミング制御部524は、入出力回路521から与えられた画像信号DAとオシレータ523で生成された基本クロックとに基づいて、ゲートドライバ30およびソースドライバ40の動作を制御するための各種の制御信号を生成する。ソース出力用I/F525は、画像信号DAと、上述したソース制御信号SCTLとを出力する。
【0043】
レベルシフタIC53は、タイミング制御部524から送られる各種の制御信号の電圧レベル(電位)をゲートハイ電源電圧VGHまたはゲートロー電源電圧VGLの電位に変換することによって、ゲート制御信号GCTLとゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDとゲート用ローレベル側電源電圧GVSSとを出力する。ゲート制御信号GCTLとゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDとゲート用ローレベル側電源電圧GVSSとは、ゲートドライバ30に与えられる。
【0044】
<1.3 ゲートドライバ>
次に、本実施形態におけるゲートドライバ30について説明する。なお、ここでは、i本のゲートバスラインGL1~GLiとj本のソースバスラインSL1~SLjとが表示部20に配設されているものと仮定する。
【0045】
図7は、本実施形態におけるゲートドライバ30の概略構成について説明するためのブロック図である。
図7に示すように、ゲートドライバ30は複数段からなるシフトレジスタ300によって構成されている。表示部20にはi行×j列の画素マトリクスが形成されているところ、それら画素マトリクスの各行と1対1で対応するようにシフトレジスタ300の各段が設けられている。すなわち、シフトレジスタ300にはi個の単位回路3(1)~3(i)が含まれている。なお、1段目よりも前およびi段目よりも後にダミー段としての単位回路が設けられていることもあるが、ダミー段については、本開示内容に直接には関係しないので、その説明を省略する。
【0046】
<1.3.1 シフトレジスタ>
図8は、ゲートドライバ30内のシフトレジスタ300の構成を示すブロック図である。上述したように、このシフトレジスタ300にはi個の単位回路3(1)~3(i)が含まれている。なお、
図8には、1段目から4段目までの単位回路3(1)~3(4)を示している。以下においては、i個の単位回路3(1)~3(i)を互いに区別する必要がない場合には単位回路に符号3を付す。
【0047】
シフトレジスタ300には、ゲート制御信号GCTLとして、ゲートスタートパルス信号GSPとクリア信号GCLRとゲートクロック信号GCK1,GCK2とが与えられる。ゲートクロック信号GCK1,GCK2は2相のクロック信号であって、ゲートクロック信号GCK1とゲートクロック信号GCK2とは、位相が180度ずれている。また、シフトレジスタ300には、動作用の電源電圧として、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDとゲート用ローレベル側電源電圧GVSSとが与えられる。
【0048】
各単位回路3は、ゲートクロック信号GCK1またはゲートクロック信号GCK2を入力クロック信号CKAとして受け取る入力端子と、クリア信号GCLRを受け取る入力端子と、セット信号Sを受け取る入力端子と、リセット信号Rを受け取る入力端子と、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDを受け取る入力端子と、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSを受け取る入力端子と、出力信号Qを出力するための出力端子とを含んでいる。
【0049】
シフトレジスタ300の各段(各単位回路3)の入力端子に与えられる信号は次のようになっている。奇数段目の単位回路3には、ゲートクロック信号GCK1が入力クロック信号CKAとして与えられ、偶数段目の単位回路3には、ゲートクロック信号GCK2が入力クロック信号CKAとして与えられる。また、任意の段(ここではk段目とする)の単位回路3(k)について、1段前の単位回路3(k-1)から出力される出力信号Q(k-1)がセット信号Sとして与えられ、1段後の単位回路3(k+1)から出力される出力信号Q(k+1)がリセット信号Rとして与えられる。但し、1段目の単位回路3(1)にはゲートスタートパルス信号GSPがセット信号Sとして与えられ、i段目の単位回路3(i)にはクリア信号GCLRがリセット信号Rとして与えられる。なお、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDD、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSS、およびクリア信号GCLRについては、全ての単位回路3(1)~3(i)に共通的に与えられる。
【0050】
シフトレジスタ300の各段(各単位回路3)の出力端子からは出力信号Qが出力される。任意の段(ここではk段目とする)から出力される出力信号Qは、走査信号としてk行目のゲートバスラインGLkに与えられるほか、リセット信号Rとして1段前の単位回路3(k-1)に与えられるとともに、セット信号Sとして1段後の単位回路3(k+1)に与えられる。
【0051】
以上のような構成において、シフトレジスタ300の1段目の単位回路3(1)にセット信号Sとしてのゲートスタートパルス信号GSPのパルスが与えられると、ゲートクロック信号GCK1,GCK2のクロック動作に基づいて、各単位回路3から出力される出力信号Qに含まれるシフトパルスが1段目の単位回路3(1)からi段目の単位回路3(i)へと順次に転送される。そして、このシフトパルスの転送に応じて、各単位回路3から出力される出力信号Qが順次にハイレベルとなる。これにより、表示部20に配設されているi本のゲートバスラインGL1~GLiにそれぞれ与えられるi個の走査信号が順次にハイレベル(アクティブ)となる。すなわち、i本のゲートバスラインGL1~GLiが順次に選択状態となる。
【0052】
<1.3.2 単位回路の構成>
図9は、単位回路3の一構成例を示す回路図である。なお、
図9に示す単位回路3はn段目の単位回路3(n)であると仮定する。
図9に示すように、この単位回路3には、11個の薄膜トランジスタM1a,M1b,M2a,M2b,M3a,M3b,M4a,M4b,M9,M10,およびM11と、1個のキャパシタ(容量素子)Cbstと、安定化回路301とが含まれている。また、この単位回路3は、6個の入力端子31~36と1個の出力端子39とを有している。入力端子31には、1段前の単位回路3(n-1)からの出力信号Q(n-1)であるセット信号Sが与えられる。入力端子32には、1段後の単位回路3(n+1)からの出力信号Q(n+1)であるリセット信号Rが与えられる。入力端子33には、ゲートクロック信号GCK1またはゲートクロック信号GCK2が入力クロック信号CKAとして与えられる。入力端子34には、クリア信号GCLRが与えられる。入力端子35には、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDが与えられる。入力端子36には、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSが与えられる。出力端子39からは出力信号Q(n)が出力される。この出力信号Q(n)は、対応するゲートバスラインGLnに走査信号として与えられ、1段前の単位回路3(n-1)にリセット信号Rとして与えられ、1段後の単位回路3(n+1)にセット信号Sとして与えられる。
【0053】
次に、単位回路3内における構成要素間の接続関係について説明する。以下、ゲート端子のことを「制御端子」といい、ドレイン端子およびソース端子として機能する2つの端子の一方を「第1導通端子」、他方を「第2導通端子」という。薄膜トランジスタM1bの第2導通端子、薄膜トランジスタM2aの第1導通端子、薄膜トランジスタM3aの第1導通端子、薄膜トランジスタM4aの第1導通端子、薄膜トランジスタM10の制御端子、キャパシタCbstの一端、および安定化回路301は、第1ノードN1を介して互いに接続されている。薄膜トランジスタM4aの制御端子、薄膜トランジスタM4bの制御端子、薄膜トランジスタM9の制御端子、および安定化回路301は、第2ノードN2を介して互いに接続されている。
【0054】
薄膜トランジスタM1aについては、制御端子は入力端子31に接続され、第1導通端子は入力端子35に接続され、第2導通端子は薄膜トランジスタM1bの第1導通端子に接続されている。薄膜トランジスタM1bについては、制御端子は入力端子31に接続され、第1導通端子は薄膜トランジスタM1aの第2導通端子に接続され、第2導通端子は第1ノードN1に接続されている。薄膜トランジスタM2aについては、制御端子は入力端子34に接続され、第1導通端子は第1ノードN1に接続され、第2導通端子は薄膜トランジスタM2bの第1導通端子に接続されている。薄膜トランジスタM2bについては、制御端子は入力端子34に接続され、第1導通端子は薄膜トランジスタM2aの第2導通端子に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。薄膜トランジスタM3aについては、制御端子は入力端子32に接続され、第1導通端子は第1ノードN1に接続され、第2導通端子は薄膜トランジスタM3bの第1導通端子に接続されている。薄膜トランジスタM3bについては、制御端子は入力端子32に接続され、第1導通端子は薄膜トランジスタM3aの第2導通端子に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。薄膜トランジスタM4aについては、制御端子は第2ノードN2に接続され、第1導通端子は第1ノードN1に接続され、第2導通端子は薄膜トランジスタM4bの第1導通端子に接続されている。薄膜トランジスタM4bについては、制御端子は第2ノードN2に接続され、第1導通端子は薄膜トランジスタM4aの第2導通端子に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。薄膜トランジスタM9については、制御端子は第2ノードN2に接続され、第1導通端子は出力端子39に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。薄膜トランジスタM10については、制御端子は第1ノードN1に接続され、第1導通端子は入力端子33に接続され、第2導通端子は出力端子39に接続されている。薄膜トランジスタM11については、制御端子は入力端子34に接続され、第1導通端子は出力端子39に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。キャパシタCbstについては、一端は第1ノードN1に接続され、他端は出力端子39に接続されている。
【0055】
図10は、安定化回路301の一構成例を示す回路図である。
図10に示すように、この安定化回路301には、6個の薄膜トランジスタM5a,M5b,M5c,M6,M7,およびM8が含まれている。薄膜トランジスタM5aについては、制御端子および第1導通端子は入力端子35に接続され、第2導通端子は薄膜トランジスタM5bの第1導通端子に接続されている。薄膜トランジスタM5bについては、制御端子は入力端子35に接続され、第1導通端子は薄膜トランジスタM5aの第2導通端子に接続され、第2導通端子は薄膜トランジスタM5cの第1導通端子に接続されている。薄膜トランジスタM5cについては、制御端子は入力端子35に接続され、第1導通端子は薄膜トランジスタM5bの第2導通端子に接続され、第2導通端子は第2ノードN2に接続されている。薄膜トランジスタM6については、制御端子は第1ノードN1に接続され、第1導通端子は第2ノードN2に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。薄膜トランジスタM7については、制御端子は入力端子31に接続され、第1導通端子は第2ノードN2に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。薄膜トランジスタM8については、制御端子は入力端子34に接続され、第1導通端子は第2ノードN2に接続され、第2導通端子は入力端子36に接続されている。
【0056】
<1.3.3 単位回路の動作>
次に、
図11に示す信号波形図を参照しつつ、動作モードが通常モードで維持されている期間におけるn段目の単位回路3(n)の動作について説明する。時刻t00の直前の時点には、セット信号Sはローレベル、第1ノードN1の電位はローレベル、出力信号Q(n)はローレベル、第2ノードN2の電位はハイレベル、リセット信号Rはローレベル、クリア信号GCLRはローレベルである。
【0057】
時刻t00になると、セット信号Sがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタM1a,M1b,およびM7がオン状態となる。薄膜トランジスタM1a,M1bがオン状態となることによって第1ノードN1の電位が上昇し、薄膜トランジスタM6,M10がオン状態となる。薄膜トランジスタM6,M7がオン状態となることによって第2ノードN2の電位がハイレベルからローレベルに変化する。なお、時刻t00から時刻t02までの期間には、入力クロック信号CKAはローレベルであるので、薄膜トランジスタM10がオン状態となっていても出力信号Q(n)はローレベルで維持される。時刻t01になると、セット信号Sがハイレベルからローレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタM1a,M1b,およびM7がオフ状態となる。
【0058】
時刻t02になると、入力クロック信号CKAがローレベルからハイレベルに変化する。このとき、薄膜トランジスタM10はオン状態であるので、入力端子33の電位の上昇とともに出力端子39の電位が上昇する。ここで、
図9に示すように第1ノードN1-出力端子39間にはキャパシタCbstが設けられているので、出力端子39の電位の上昇とともに第1ノードN1の電位も上昇する(第1ノードN1がブースト状態となる)。その結果、薄膜トランジスタM10の制御端子には大きな電圧が印加され、この出力端子39に接続されているゲートバスラインGLnが選択状態となるのに充分なレベルにまで出力信号Q(n)の電位が上昇する。
【0059】
時刻t03になると、入力クロック信号CKAがハイレベルからローレベルに変化する。これにより、入力端子33の電位の低下とともに出力端子39の電位が低下する。すなわち、出力信号Q(n)の電位がハイレベルからローレベルに変化する。また、キャパシタCbstを介して第1ノードN1の電位が低下する。
【0060】
時刻t04になると、リセット信号Rがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタM3a,M3bがオン状態となり、第1ノードN1の電位がローレベルとなる。第1ノードN1の電位がローレベルとなることによって、薄膜トランジスタM6,M10はオフ状態となる。このとき、薄膜トランジスタM5a,M5b,およびM5cはオン状態であるので、薄膜トランジスタM6がオフ状態となることによって、第2ノードN2の電位がローレベルからハイレベルに変化する。時刻t05になると、リセット信号Rがハイレベルからローレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタM3a,M3bがオフ状態となる。
【0061】
時刻t06になると、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位が低下する。これにより、薄膜トランジスタM5a,M5b,およびM5cがオフ状態となる。その後、時刻t07になると、クリア信号GCLRがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタM2a,M2b,M8,およびM11がオン状態となる。薄膜トランジスタM2a,M2bがオン状態となることによって、第1ノードN1の電位は完全なローレベルへと引き込まれる。薄膜トランジスタM8がオン状態となることによって、第2ノードN2の電位はハイレベルからローレベルに変化する。薄膜トランジスタM11がオン状態となることによって、出力信号Q(n)の電位は完全なローレベルへと引き込まれる。
【0062】
時刻t08になると、クリア信号GCLRがハイレベルからローレベルに変化する。これにより、薄膜トランジスタM2a,M2b,M8,およびM11がオフ状態となる。その後、時刻t09になると、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位が上昇する。これにより、薄膜トランジスタM5a,M5b,およびM5cがオン状態となり、第2ノードN2の電位はローレベルからハイレベルに変化する。
【0063】
ところで、第2ノードN2の電位がハイレベルで維持されている期間には、薄膜トランジスタM4a,M4b,およびM9はオン状態である。それ故、第1ノードN1の電位および出力信号Q(n)の電位(出力端子39の電位)は確実にローレベルで維持される。従って、ゲートドライバ30の動作が安定化する。
【0064】
以上のような動作が各単位回路3で行われることによって、この液晶表示装置に設けられているi本のゲートバスラインGL1~GLiが順次に選択状態となり、液晶容量23への映像信号の書き込みが順次に行われる。これにより、外部から送られた画像信号DAに基づく画像が表示部20に表示される。
【0065】
<1.4 ソースドライバ>
図12は、ソースドライバ40の一構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、ソースドライバ40は、シフトレジスタ回路410とサンプリング回路420とラッチ回路430とDA変換回路440とソース出力回路450と階調電圧生成回路460とによって構成されている。
【0066】
シフトレジスタ回路410にはソーススタートパルス信号SSPとソースクロック信号SCKとが入力される。シフトレジスタ回路410は、ソースクロック信号SCKに基づいて、ソーススタートパルス信号SSPに含まれるパルスを入力端から出力端へと順次に転送する。このパルスの転送に応じてシフトレジスタ回路410から各ソースバスラインSLに対応するサンプリングパルスSMPが順次に出力され、当該サンプリングパルスSMPはサンプリング回路420に順次に入力される。
【0067】
サンプリング回路420は、デジタル映像信号DVをシフトレジスタ回路410から出力されるサンプリングパルスSMPのタイミングでサンプリングして、それを内部画像信号dとして出力する。ラッチ回路430は、サンプリング回路420から出力される内部画像信号dをラッチストローブ信号LSのパルスのタイミングで取り込み、それを出力する。
【0068】
階調電圧生成回路460は、電源IC51より供給されるガンマ用電源電圧GMAから正負それぞれ256個の階調電圧GV(H0)~(H255),GV(L0)~(L255)を生成し、それらをDA変換回路440に供給する。
【0069】
DA変換回路440は、ソース出力回路450に接続されている複数本のソースバスラインSLと1対1で対応する複数個のDAコンバータによって構成されている。DA変換回路440には、階調電圧生成回路460から正極性用の256個の階調電圧GV(H0)~GV(H255)および負極性用の256個の階調電圧GV(L0)~GV(L255)が供給される。各DAコンバータは、極性制御信号POLとラッチ回路430から出力される内部画像信号dとに基づき、いずれかの階調電圧GVを選択し、その選択した階調電圧GVを出力する。
【0070】
ソース出力回路450は、DA変換回路440を構成する各DAコンバータから出力された階調電圧GVにインピーダンス変換を施して、変換後の階調電圧GVを駆動用映像信号として各ソースバスラインSLに出力する。
【0071】
<1.5 駆動方法>
本実施形態に係る液晶表示装置の駆動方法について説明する。なお、各種の信号等の電位(電圧レベル)に関し、以下で示す値は一例であって、それらに限定されない。
【0072】
<1.5.1 通常モード期間の液晶表示装置の動作>
図13は、通常モード期間の信号波形図である。なお、
図13に関し、Vpix1は1行目1列目の画素形成部200に含まれている画素電極22の電位(画素電位)であって、Vpix2は1行目2列目の画素形成部200に含まれている画素電極22の電位(画素電位)である(
図1、
図14、
図25、
図26、
図27についても同様)。
図13に示すように、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSの電位は-7Vで維持され、共通電極駆動電圧VCOMの電位は5Vで維持され、ゲートハイ電源電圧VGHの電位は21Vで維持され、ゲートロー電源電圧VGLの電位は-7Vで維持され、ソース用電源電圧AVDDの電位は12Vで維持され、ガンマ用電源電圧GMAの電位は10Vで維持され、ロジック電源電圧VDDの電位は3.3Vで維持され、入出力用電源電圧VDDIOの電位は1.8Vで維持される。このように、動作モードが通常モードで維持されている期間には、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSの電位、共通電極駆動電圧VCOMの電位、ゲートハイ電源電圧VGHの電位、ゲートロー電源電圧VGLの電位、ソース用電源電圧AVDDの電位、ガンマ用電源電圧GMAの電位、ロジック電源電圧VDDの電位、および入出力用電源電圧VDDIOの電位は、一定の値で維持される。ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位については、大半の期間は21Vで維持される。
【0073】
時刻t10にゲートスタートパルス信号GSPのパルスが発生した後、時刻t11になってゲートクロック信号GCK1がローレベルからハイレベルに変化すると、1行目のゲートバスラインGL1が選択状態となり、1行目の画素形成部200に含まれている画素電極22に駆動用映像信号が印加される。これにより、1行目1列目の画素形成部200の画素電位Vpix1が例えば0Vから10Vに変化し、1行目2列目の画素形成部200の画素電位Vpix2が例えば10Vから0Vに変化する。このように、1行目の奇数列目の画素形成部200において、液晶印加電圧の極性が正極性となるように液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが行われ、1行目の偶数列目の画素形成部200において、液晶印加電圧の極性が負極性となるように液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが行われる。
【0074】
時刻t12になってゲートクロック信号GCK2がローレベルからハイレベルに変化すると、2行目のゲートバスラインGL2が選択状態となり、2行目の画素形成部200に含まれている画素電極22に駆動用映像信号が印加される。これにより、2行目の画素形成部200において、液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが行われる。
【0075】
時刻t13にi行目の画素形成部200での液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが終了した後、時刻t14になると、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位が21Vから-7Vに変化する。このようにゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位が-7Vになっている状態下、時刻t15になると、クリア信号GCLRがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、ゲートドライバ30内のシフトレジスタ300を構成する全ての単位回路3(
図9,
図10を参照)において、薄膜トランジスタM2a,M2b,M8,およびM11がオン状態となる。その結果、全ての単位回路3において、第1ノードN1の電位および出力信号Qの電位は完全なローレベルへと引き込まれ、第2ノードN2の電位はハイレベルからローレベルへと変化する。このように、ゲートドライバ30の状態が初期化される。
【0076】
時刻t16になると、クリア信号GCLRがハイレベルからローレベルに変化する。そして、時刻t17になると、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位が-7Vから21Vに変化する。
【0077】
動作モードが通常モードで維持されているときには、以上のような動作が繰り返され、毎フレーム期間に表示画像が更新される。
【0078】
<1.5.2 動作モードが遷移する際の液晶表示装置の動作>
次に、動作モードが遷移する際の液晶表示装置の動作について説明する。なお、第1遷移期間の動作によって第1遷移ステップが実現され、第2遷移期間の動作によって第2遷移ステップが実現される。
【0079】
<1.5.2.1 通常モードからSPモードへの遷移>
図1は、第1遷移期間の信号波形図である。時刻t20にクリア信号GCLRがハイレベルからローレベルに変化した後、時刻t21に第1遷移期間が開始する。なお、時刻t21の直前には、ゲートスタートパルス信号GSPの電位は-7V、ゲートクロック信号GCK1の電位は-7V、ゲートクロック信号GCK2の電位は-7V、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位は-7V、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSの電位は-7V、クリア信号GCLRの電位は-7V、1行目1列目の画素形成部200における画素電位Vpix1は10V、1行目2列目の画素形成部200における画素電位Vpix2は0V、共通電極駆動電圧VCOMの電位は5V、ゲートハイ電源電圧VGHの電位は21V、ゲートロー電源電圧VGLの電位は-7V、ソース用電源電圧AVDDの電位は12V、ガンマ用電源電圧GMAの電位は10V、ロジック電源電圧VDDの電位は3.3V、入出力用電源電圧VDDIOの電位は1.8Vとなっている。各ソースバスラインSLの電位については、例えば、最大電位と最小電位との中間電位となっている。
【0080】
時刻t21になると、全てのソースバスラインSL1~SLjで電荷が放電される。これにより、全てのソースバスラインSL1~SLjの電位が0Vとなる。なお、
図1では、ソースバスラインSL1~SLjのうちソースバスラインSL1,SL2についてのみ電位の変化を示している。そして、全てのソースバスラインSL1~SLjは、ハイインピーダンス状態にされる。時刻t21~時刻t22の期間には、共通電極駆動電圧VCOMの電位は5Vで維持されるので、画素電位Vpix1は10Vで維持され、画素電位Vpix2は0Vで維持される。
【0081】
時刻t22になると、VCOM生成部517が共通電極駆動電圧VCOMの電位を5Vから12Vに変化させる。このとき、各画素形成部200において、画素トランジスタ21はオフ状態で維持されている。それ故、共通電極駆動電圧VCOMの電位が5Vから12Vへと上昇することによって、各画素形成部200において画素電位も上昇する。例えば、画素電位Vpix1は10Vから17Vへと上昇し、画素電位Vpix2は0Vから7Vへと上昇する。なお、液晶印加電圧は変化しないので、表示画像に変化はない。
【0082】
時刻t23になると、電源IC51において、ゲートハイ電源電圧VGH、ゲートロー電源電圧VGL、ソース用電源電圧AVDD、ガンマ用電源電圧GMA、および入出力用電源電圧VDDIOの生成が停止する。これにより、ゲートハイ電源電圧VGHの電位、ゲートロー電源電圧VGLの電位、ソース用電源電圧AVDDの電位、ガンマ用電源電圧GMAの電位、および入出力用電源電圧VDDIOの電位は0Vとなる。なお、ロジック電源電圧VDDの電位は3.3Vで維持される。ゲートハイ電源電圧VGHの電位およびゲートロー電源電圧VGLの電位が0Vとなることによって、ゲート制御信号GCTLを生成するレベルシフタIC53の電源がオフ状態となる。その結果、ゲートスタートパルス信号GSPの電位、ゲートクロック信号GCK1の電位、ゲートクロック信号GCK2の電位、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSの電位、およびクリア信号GCLRの電位が0Vとなる。このようにして、SPモード期間のうちの休止期間には、ゲートドライバ30の動作を制御するゲート制御信号GCTLの電位が0Vで維持される。
【0083】
ところで、時刻t23にゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLの生成が停止することによって、ゲートスタートパルス信号GSPの電位、ゲートクロック信号GCK1の電位、ゲートクロック信号GCK2の電位、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSの電位、およびクリア信号GCLRの電位は、-7Vから0Vに上昇する。これに伴い、各ゲートバスラインGLの電位も-7Vから0Vに上昇する(ゲートドライバ30が各ゲートバスラインGLの電位を-7Vから0Vへと変化させる)。すなわち、各ゲートバスラインGLの電位は7V上昇する。これを考慮して、VCOM生成部517は、SPモード期間のうちの休止期間中に画素トランジスタ21に流れるリーク電流が生じないように、時刻t22に、共通電極駆動電圧VCOMの電位を7V上昇させている。このように、本実施形態においては、第1遷移期間における共通電極駆動電圧VCOMの電位の変化幅と当該第1遷移期間におけるi本のゲートバスラインGL1~GLiの電位の変化幅とは等しい。
【0084】
以上のようにして、通常モード期間からSPモード期間へと遷移する。上述したように第1遷移期間には表示画像に変化はないので、当該第1遷移期間の直前の通常モード期間の終了時点の表示画像がSPモード期間にもそのまま表示される。
【0085】
上述したように、時刻t21には全てのソースバスラインSL1~SLjはハイインピーダンス状態にされ、時刻t23にはソース用電源電圧AVDDおよびガンマ用電源電圧GMAの生成が停止する。このようにして、SPモード期間のうちの休止期間には、全てのソースバスラインSL1~SLjがハイインピーダンス状態で維持されるとともにソースドライバ40の電源がオフ状態で維持される。
【0086】
また、上述したように、VCOM生成部517は、時刻t22に共通電極駆動電圧VCOMの電位を5Vから12Vに変化させる。これに関し、5Vが第1レベルの電位に相当し、12Vが第2レベルの電位に相当する。また、時刻t23に、ゲートドライバ30は各ゲートバスラインGLの電位を-7Vから0Vへと変化させる。これに関し、-7Vが所定のオフレベルの電位に相当する。
【0087】
<1.5.2.2 SPモードから通常モードへの遷移>
図14は、第2遷移期間の信号波形図である。時刻t30になると、電源IC51において、ゲートハイ電源電圧VGH、ゲートロー電源電圧VGL、ソース用電源電圧AVDD、ガンマ用電源電圧GMA、および入出力用電源電圧VDDIOの生成が再開される。これにより、ゲートハイ電源電圧VGHの電位は0Vから21Vに変化し、ゲートロー電源電圧VGLの電位は0Vから-7Vに変化し、ソース用電源電圧AVDDの電位は0Vから12Vに変化し、ガンマ用電源電圧GMAの電位は0Vから10Vに変化し、入出力用電源電圧VDDIOの電位は0Vから1.8Vに変化する。ゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLの生成が再開されることによって、ゲートスタートパルス信号GSPの電位、ゲートクロック信号GCK1の電位、ゲートクロック信号GCK2の電位、ゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位、ゲート用ローレベル側電源電圧GVSSの電位、およびクリア信号GCLRの電位は、0Vから-7Vに低下する。以上より、各ゲートバスラインGLの電位は0Vから-7Vに低下する(ゲートドライバ30が各ゲートバスラインGLの電位を0Vから-7Vへと変化させる)。
【0088】
時刻t31になると、VCOM生成部517が共通電極駆動電圧VCOMの電位を12Vから5Vに変化させる。このとき、各画素形成部200において、画素トランジスタ21はオフ状態で維持されている。それ故、共通電極駆動電圧VCOMの電位が12Vから5Vへと低下することによって、各画素形成部200において画素電位も低下する。例えば、画素電位Vpix1は17Vから10Vへと低下し、画素電位Vpix2は7Vから0Vへと低下する。なお、液晶印加電圧は変化しないので、表示画像に変化はない。
【0089】
時刻t32になると、クリア信号GCLRがローレベルからハイレベルに変化する。これにより、ゲートドライバ30内のシフトレジスタ300を構成する全ての単位回路3(
図9,
図10を参照)において、薄膜トランジスタM2a,M2b,M8,およびM11がオン状態となる。その結果、全ての単位回路3において、第1ノードN1の電位および出力信号Qの電位は完全なローレベルへと引き込まれ、第2ノードN2の電位はハイレベルからローレベルへと変化する。このように、ゲートドライバ30の状態が初期化される。
【0090】
時刻t33になると、タイミング制御部524による制御に基づき、レベルシフタIC53から出力されるゲート用ハイレベル側電源電圧GVDDの電位が-7Vから21Vに変化する。また、各ソースバスラインSLはソースドライバ40に電気的に接続された状態となり、各ソースバスラインSLの電位は第1遷移期間の開始時刻(
図1の時刻t21)の直前の電位(例えば、最大電位と最小電位との中間電位)と等しくなる。
【0091】
以上のようにして、SPモード期間から通常モード期間へと遷移する。そして、ゲートスタートパルス信号GSPのパルスが発生した後、ゲートクロック信号GCK1,GCK2のクロック動作に基づいて各行の画素形成部200に含まれている液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが行われる。すなわち、表示画像の更新が行われる。
【0092】
<1.6 効果>
本実施形態によれば、液晶表示装置の動作モードは、駆動周波数を60Hzとする通常モードと駆動周波数を0.01HzとするSPモードとの間で切り替え可能となっている。ここで、ソースドライバ40およびシステム基板5に設けられている構成要素について、
図15および
図16を参照しつつ、通常モード期間における状態とSPモード期間のうちの休止期間における状態との違いについて説明する。
図15に通常モード期間における状態を模式的に示し、
図16にSPモード期間のうちの休止期間における状態を模式的に示している。なお、動作中の構成要素には網掛けを施している。通常モード期間には、
図15に示すように、全ての構成要素が動作している。一方、SPモード期間のうちの休止期間には、
図16に示すように、VDD生成部513、VCOM生成部517、RAM522、およびオシレータ523は動作しているが、それら以外の構成要素の動作は休止している。
【0093】
ところで、従来型休止駆動が採用されている液晶表示装置においては、休止期間には、外部からのアクションに応じて速やかに動作モードが通常モードに切り替えられるよう電源IC51内の各構成要素は休止状態とはされずにスタンバイ状態とされていた。すなわち、
図17に示すように、ソースドライバ40のみが休止状態となっていた。これに対して、本実施形態においては、SPモード期間のうちの休止期間には、電源IC51内の構成要素に関し、VGH生成部511、VGL生成部512、VDDIO生成部514、AVDD生成部515、およびGMA生成部516が休止状態とされ、TCON52内の構成要素に関し、入出力回路521、タイミング制御部524、およびソース出力用I/F(インタフェース)525が休止状態とされ、さらに、レベルシフタIC53およびソースドライバ40が休止状態とされる。
【0094】
通常モードと従来型低周波モード(休止期間)とSPモード(休止期間)との間での各構成要素の動作状態の違いは、
図18に示すようなものとなる。動作モードが通常モードとなっている期間には、ソースドライバ40、ゲートドライバ30、電源(ここでの電源は、VGH生成部511、VGL生成部512、AVDD生成部515、GMA生成部516、およびVDDIO生成部514を意味する。)、およびTCON52のいずれもが駆動している。従来型休止駆動が採用されている液晶表示装置において動作モードが低周波モード(従来型低周波モード)となっている期間のうちの休止期間には、ソースドライバ40のみが休止状態となり、ゲートドライバ30、電源、およびTCON52は駆動している。動作モードがSPモードとなっている期間のうちの休止期間については、ソースドライバ40、ゲートドライバ30、および電源は休止状態となり、TCON52は駆動動作が最小化される。
【0095】
以上より、通常モードと従来型低周波モードとSPモードとの間での消費電力の違いを模式的に表すと
図19に示すようなものとなる。なお、
図19に関し、符号71を付した網掛け部分は消費電力のうちのDC(直流)成分を表し、符号72を付した網掛け部分は消費電力のうちのAC(交流)成分を表している。まず、通常モードと従来型低周波モードとを比較する。AC成分については従来型低周波モードによれば通常モードに比べて大きく低減されるが、DC成分については従来型低周波モードと通常モードとで同じである。次に、通常モードとSPモードとを比較する。AC成分については、SPモードによれば通常モードに比べて大きく低減される。また、DC成分についても、SPモードによれば通常モードに比べて大きく低減される。以上より、SPモードによれば、従来型低周波モードに比べて消費電力が大きく低減される。
【0096】
図20のA部に従来型低周波モードでの電力消費の様子の一例を示し、
図20のB部にSPモードでの電力消費の様子の一例を示す。従来型低周波モードについては、休止期間における電力は約900mWであり、書換期間における電力は約1.8Wである。なお、書換期間の長さは、1フレーム期間の長さに相当する。これに対して、SPモードについては、休止期間における電力は約90mWであり、書換期間における電力は平均約2.5Wである。但し、SPモードにおいては、休止期間中に電源IC51内の構成要素等がスタンバイ状態とはされないので、書換期間の長さは、電源オンに要する期間の長さ(5フレーム期間の長さに相当)と実際に表示画像を更新するのに要する期間の長さ(1フレーム期間の長さに相当)との合計の長さ(6フレーム期間の長さに相当)である。このように、SPモードによれば、従来型低周波モードに比べて、書換期間における電力が大きくなる。しかしながら、休止期間における電力は、SPモードによれば従来型低周波モードに比べて約10分の1となる。なお、上記のようにSPモードによれば書換期間における電力が大きくなることから、本実施形態に係る液晶表示装置は、画面の更新頻度が少ない用途に用いることが好ましい。
【0097】
図21は、従来型低周波モードおよびSPモードのそれぞれについての1フレーム当たりの平均消費電力を示すグラフである。符号73を付した太点線は従来型低周波モードでの平均消費電力を示し、符号74を付した太実線はSPモードでの平均消費電力を示している。ところで、1フレーム当たりの平均消費電力Pは次式(1)で算出される。
P=((P1・F1・NW)+(P2・F2))/TF ・・・(1)
ここで、P1は書換期間における電力であって、F1は書換期間の長さ(フレーム数)であって、NWは表示画像の更新回数であって、P2は休止期間における電力であって、F2は休止期間の長さ(フレーム数)であって、TFは合計フレーム数である。
【0098】
駆動周波数が低くなるほど、上式(1)において、F1とF2との合計に対するF2の割合が高くなる。すなわち、駆動周波数が低くなるにつれて、上記平均消費電力Pは休止期間における電力に近づく。
図21より、SPモードにおいて駆動周波数を0.01Hzにすると従来型低周波モードに比べて平均消費電力が10分の1程度となることが把握される。
【0099】
また、本実施形態によれば、動作モードを通常モードからSPモードに切り替えるための第1遷移期間において、ゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLの生成を休止することによって各ゲートバスラインGLの電位を-7Vから0Vへと変化させる前に、VCOM生成部517が共通電極駆動電圧VCOMの電位を5Vから12Vに変化させる。これにより、各画素形成部200において画素電位が上昇し、SPモード期間中に各ゲートバスラインGLの電位が0Vで維持されていることに起因して画素トランジスタ21にリーク電流が流れることが防止される。それ故、駆動周波数を60Hzとする通常モードと駆動周波数を0.01HzとするSPモードとの間で動作モードを切り替える超低電力休止駆動が行われても、従来と比較して表示品位が低下することはない。
【0100】
以上より、本実施形態によれば、表示品位を低下させることなく従来よりも顕著に消費電力を低減することのできる液晶表示装置が実現される。これにより、例えばサイネージ用途の大型液晶表示装置を外部電源が存在しない場所でも使用することが可能となる。
【0101】
<2.第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の点については、説明を省略する。
【0102】
<2.1 全体構成>
図22は、第2の実施形態に係る液晶表示装置の概略構成図である。この液晶表示装置は、上記第1の実施形態における構成要素に加えて、コントロール基板7が設けられている。コントロール基板7は、液晶パネル9の一端側および他端側の双方に設けられている。TFT基板2とコントロール基板7とは、FPC6を介して互いに接続されている。例えば、システム基板5に設けられている構成要素から出力された信号等が、このコントロール基板7を介してゲートドライバ30に与えられる。
【0103】
図23は、本実施形態においてTFT基板2に設けられている構成要素およびシステム基板5に設けられている構成要素について説明するための図である。本実施形態においては、上記第1の実施形態とは異なり、ゲートドライバ30はICチップ(集積回路チップ)の形態でTFT基板2上に設けられている。ゲートドライバ30としてのICチップの数については特に限定されない。ゲートドライバ30は、例えば、シフトレジスタとバッファ回路とによって構成されている。システム基板5には、電源IC51とTCON52とが設けられている。上記第1の実施形態とは異なり、システム基板5にレベルシフタIC53は設けられていない。なお、本実施形態においては、TCON52によって表示制御部10が実現されている。
【0104】
<2.2 システム基板の構成>
図24は、本実施形態におけるシステム基板5の詳細な構成を示すブロック図である。上述したように、本実施形態においては、システム基板5には、電源IC51とTCON52とが設けられている。
【0105】
電源IC51には、上記第1の実施形態と同様、VGH生成部511とVGL生成部512とVDD生成部513とVDDIO生成部514とAVDD生成部515とGMA生成部516とVCOM生成部517とが含まれている。TCON52には、上記第1の実施形態と同様の構成要素に加えて、ゲート出力用I/F(インタフェース)526が含まれている。ゲート出力用I/F526は、ゲート制御信号GCTL(ゲートスタートパルス信号およびゲートクロック信号)を出力する。
【0106】
本実施形態においては、上述したようにレベルシフタIC53が設けられていないので、VGH生成部511で生成されるゲートハイ電源電圧VGHおよびVGL生成部512で生成されるゲートロー電源電圧VGLがゲートドライバ30の動作用の電源電圧としてゲートドライバ30に供給される。
【0107】
なお、本実施形態においても、共通電極駆動電圧VCOMによって第1電源電圧が実現され、ソース用電源電圧AVDDおよびガンマ用電源電圧GMAによって第2電源電圧が実現され、ゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLによって第3電源電圧が実現される。
【0108】
<2.3 駆動方法>
本実施形態に係る液晶表示装置の駆動方法について説明する。
【0109】
<2.3.1 通常モード期間の液晶表示装置の動作>
図25は、通常モード期間の信号波形図である。
図25に示すように、共通電極駆動電圧VCOMの電位は5Vで維持され、ゲートハイ電源電圧VGHの電位は21Vで維持され、ゲートロー電源電圧VGLの電位は-7Vで維持され、ソース用電源電圧AVDDの電位は12Vで維持され、ガンマ用電源電圧GMAの電位は10Vで維持され、ロジック電源電圧VDDの電位は3.3Vで維持され、入出力用電源電圧VDDIOの電位は1.8Vで維持される。このように、動作モードが通常モードで維持されている期間には、共通電極駆動電圧VCOMの電位、ゲートハイ電源電圧VGHの電位、ゲートロー電源電圧VGLの電位、ソース用電源電圧AVDDの電位、ガンマ用電源電圧GMAの電位、ロジック電源電圧VDDの電位、および入出力用電源電圧VDDIOの電位は、一定の値で維持される。
【0110】
時刻t40にゲートスタートパルス信号GSPのパルスが発生した後、時刻t41になってゲートクロック信号GCK1がローレベルからハイレベルに変化すると、1行目のゲートバスラインGL1が選択状態となり、1行目の画素形成部200に含まれている画素電極22に駆動用映像信号が印加される。これにより、上記第1の実施形態における時刻t11(
図13参照)と同様、1行目1列目の画素形成部200の画素電位Vpix1が例えば0Vから10Vに変化し、1行目2列目の画素形成部200の画素電位Vpix2が例えば10Vから0Vに変化する。時刻t42には、上記第1の実施形態における時刻t12と同様の動作が行われる。時刻t43には、i行目の画素形成部200での液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが終了する。
【0111】
動作モードが通常モードで維持されているときには、以上のような動作が繰り返され、毎フレーム期間に表示画像が更新される。
【0112】
<2.3.2 動作モードが遷移する際の液晶表示装置の動作>
<2.3.2.1 通常モードからSPモードへの遷移>
図26は、第1遷移期間の信号波形図である。時刻t50にi行目の画素形成部200での液晶容量23への駆動用映像信号の書き込みが終了した後、時刻t51に第1遷移期間が開始する。なお、時刻t51の直前には、各ゲートバスラインGLの電位は-7V、1行目1列目の画素形成部200における画素電位Vpix1は10V、1行目2列目の画素形成部200における画素電位Vpix2は0V、共通電極駆動電圧VCOMの電位は5V、ゲートハイ電源電圧VGHの電位は21V、ゲートロー電源電圧VGLの電位は-7V、ソース用電源電圧AVDDの電位は12V、ガンマ用電源電圧GMAの電位は10V、ロジック電源電圧VDDの電位は3.3V、入出力用電源電圧VDDIOの電位は1.8Vとなっている。各ソースバスラインSLの電位については、例えば、最大電位と最小電位との中間電位となっている。
【0113】
時刻t51になると、全てのソースバスラインSL1~SLjで電荷が放電される。これにより、全てのソースバスラインSL1~SLjの電位が0Vとなる。そして、全てのソースバスラインSL1~SLjは、ハイインピーダンス状態にされる。時刻t51~時刻t52の期間には、共通電極駆動電圧VCOMの電位は5Vで維持されるので、画素電位Vpix1は10Vで維持され、画素電位Vpix2は0Vで維持される。
【0114】
時刻t52になると、VCOM生成部517が共通電極駆動電圧VCOMの電位を5Vから12Vに変化させる。このとき、各画素形成部200において、画素トランジスタ21はオフ状態で維持されている。それ故、共通電極駆動電圧VCOMの電位が5Vから12Vへと上昇することによって、各画素形成部200において画素電位も上昇する。例えば、画素電位Vpix1は10Vから17Vへと上昇し、画素電位Vpix2は0Vから7Vへと上昇する。なお、液晶印加電圧は変化しないので、表示画像に変化はない。
【0115】
時刻t53になると、電源IC51において、ゲートハイ電源電圧VGH、ゲートロー電源電圧VGL、ソース用電源電圧AVDD、ガンマ用電源電圧GMA、および入出力用電源電圧VDDIOの生成が停止する。これにより、ゲートハイ電源電圧VGHの電位、ゲートロー電源電圧VGLの電位、ソース用電源電圧AVDDの電位、ガンマ用電源電圧GMAの電位、および入出力用電源電圧VDDIOの電位は0Vとなる。なお、ロジック電源電圧VDDの電位は3.3Vで維持される。ゲートハイ電源電圧VGHの電位およびゲートロー電源電圧VGLの電位が0Vとなることによって、各ゲートバスラインGLの電位も0Vとなる。
【0116】
ところで、時刻t53には、各ゲートバスラインGLの電位は-7Vから0Vに上昇する(ゲートドライバ30が各ゲートバスラインGLの電位を-7Vから0Vへと変化させる)。すなわち、各ゲートバスラインGLの電位は7V上昇する。これを考慮して、VCOM生成部517は、SPモード期間のうちの休止期間中に画素トランジスタ21に流れるリーク電流が生じないように、時刻t52に、共通電極駆動電圧VCOMの電位を7V上昇させている。このように、本実施形態においても、第1遷移期間における共通電極駆動電圧VCOMの電位の変化幅と当該第1遷移期間におけるi本のゲートバスラインGL1~GLiの電位の変化幅とは等しい。
【0117】
なお、時刻t51以降、ゲートスタートパルス信号GSPの電位およびゲートクロック信号GCKの電位は0Vで維持される。すなわち、SPモード期間のうちの休止期間には、ゲートドライバ30の動作を制御するゲート制御信号GCTLの電位が0Vで維持される。また、SPモード期間のうちの休止期間には、ゲート制御信号GCTLを生成するタイミング制御部524(
図24参照)の電源がオフ状態で維持される。
【0118】
以上のようにして、通常モード期間からSPモード期間へと遷移する。上記第1の実施形態と同様、本実施形態においても第1遷移期間には表示画像に変化はないので、当該第1遷移期間の直前の通常モード期間の終了時点の表示画像がSPモード期間にもそのまま表示される。
【0119】
<2.3.2.2 SPモードから通常モードへの遷移>
図27は、第2遷移期間の信号波形図である。時刻t60になると、電源IC51において、ゲートハイ電源電圧VGH、ゲートロー電源電圧VGL、ソース用電源電圧AVDD、ガンマ用電源電圧GMA、および入出力用電源電圧VDDIOの生成が再開される。これにより、ゲートハイ電源電圧VGHの電位は0Vから21Vに変化し、ゲートロー電源電圧VGLの電位は0Vから-7Vに変化し、ソース用電源電圧AVDDの電位は0Vから12Vに変化し、ガンマ用電源電圧GMAの電位は0Vから10Vに変化し、入出力用電源電圧VDDIOの電位は0Vから1.8Vに変化する。ゲートハイ電源電圧VGHおよびゲートロー電源電圧VGLの生成が再開されることによって、各ゲートバスラインGLの電位は0Vから-7Vに変化する(ゲートドライバ30が各ゲートバスラインGLの電位を0Vから-7Vへと変化させる)。
【0120】
時刻t61になると、VCOM生成部517が共通電極駆動電圧VCOMの電位を12Vから5Vに変化させる。このとき、各画素形成部200において、画素トランジスタ21はオフ状態で維持されている。それ故、共通電極駆動電圧VCOMの電位が12Vから5Vへと低下することによって、各画素形成部200において画素電位も低下する。例えば、画素電位Vpix1は17Vから10Vへと低下し、画素電位Vpix2は7Vから0Vへと低下する。なお、液晶印加電圧は変化しないので、表示画像に変化はない。
【0121】
時刻t62になると、各ソースバスラインSLはソースドライバ40に電気的に接続された状態となり、各ソースバスラインSLの電位は第1遷移期間の開始時刻(
図26の時刻t51)の直前の電位(例えば、最大電位と最小電位との中間電位)と等しくなる。なお、ノイズの発生を防止するために、時刻t61~時刻t62の期間にゲートドライバ30の内部の状態の初期化を行うようにしても良い。
【0122】
<2.4 効果>
ゲートドライバ30、ソースドライバ40、およびシステム基板5に設けられている構成要素について、
図28および
図29を参照しつつ、通常モード期間における状態とSPモード期間のうちの休止期間における状態との違いについて説明する。
図28に通常モード期間における状態を模式的に示し、
図29にSPモード期間のうちの休止期間における状態を模式的に示している。通常モード期間には、
図28に示すように、全ての構成要素が動作している。一方、SPモード期間のうちの休止期間には、
図29に示すように、VDD生成部513、VCOM生成部517、RAM522、およびオシレータ523は動作しているが、それら以外の構成要素の動作は休止している。なお、上述したように、従来型休止駆動が採用されている液晶表示装置においては、休止期間には、ソースドライバ40のみが休止状態となっている。以上より、上記第1の実施形態と同様、SPモードによれば、消費電力に関してAC成分のみならずDC成分についても通常モードに比べて大きく低減される。このように、本実施形態によっても、従来よりも顕著に消費電力を低減することのできる液晶表示装置が実現される。
【0123】
<3.変形例>
上記各実施形態においては、画素トランジスタ21には、ゲート端子とソース端子とドレイン端子とを有する一般的な構成のIGZO-TFTが採用されていた。しかしながら、これには限定されない。そこで、画素トランジスタ21に関する変形例について、以下に説明する。
【0124】
<3.1 第1の変形例>
図30は、第1の変形例における画素トランジスタ21の構成について説明するための図である。本変形例における画素トランジスタ21は、
図30に示すように、直列に接続された2つの薄膜トランジスタ21a,21bによって構成されている。すなわち、本変形例における画素トランジスタ21は、2個のトランジスタが直列に接続されたデュアルゲート構造を有する薄膜トランジスタである。
【0125】
ところで、SPモード期間には、表示画像を維持する必要がある。SPモード期間には画素トランジスタ21のゲート-ソース間電圧が0Vになっているが、表示画像を維持するためには画素トランジスタ21にリーク電流が流れることを防止しなければならない。この点、デュアルゲート構造を有する薄膜トランジスタについては、オフリーク電流が顕著に小さい。それ故、本変形例のようにデュアルゲート構造を有する薄膜トランジスタを画素トランジスタ21に採用することによって、SPモード期間に効果的に表示画像を維持することが可能となる。また、SPモード時の駆動周波数をより低い周波数にすることが可能となる。
【0126】
<3.2 第2の変形例>
図31は、第2の変形例における画素トランジスタ21の構成について説明するための図である。本変形例における画素トランジスタ21は、
図31に示すように、制御端子としてトップゲートおよびバックゲートを備えたダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタである。なお、バックゲートはソース端子に接続されている。
【0127】
ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタは、一般的な薄膜トランジスタに比べて、光を受けることによる劣化への耐性が強く、オフリーク電流が顕著に小さい。それ故、本変形例のようにダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタを画素トランジスタ21に採用することによって、SPモード期間に効果的に表示画像を維持することが可能となる。また、SPモード時の駆動周波数をより低い周波数にすることが可能となる。
【0128】
<4.その他>
以上において本発明を詳細に説明したが、以上の説明は全ての面で例示的なものであって制限的なものではない。多数の他の変更や変形が本発明の範囲を逸脱することなく案出可能であると了解される。
【符号の説明】
【0129】
2…TFT基板
5…システム基板
8…対向基板
9…液晶パネル
20…表示部
21…画素トランジスタ
30…ゲートドライバ
40…ソースドライバ
51…電源IC
52…TCON
53…レベルシフタIC
GL,GL1~GLi…ゲートバスライン
SL,SL1~SLj…ソースバスライン
AVDD…ソース用電源電圧
GMA…ガンマ用電源電圧
GCK1,GCK2…ゲートクロック信号
GCLR…クリア信号
GSP…ゲートスタートパルス信号
GVDD…ゲート用ハイレベル側電源電圧
GVSS…ゲート用ローレベル側電源電圧
VCOM…共通電極駆動電圧
VDD…ロジック電源電圧
VGH…ゲートハイ電源電圧
VGL…ゲートロー電源電圧