(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172284
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】板金構造体および板金部材の接合方法
(51)【国際特許分類】
F16B 4/00 20060101AFI20241205BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241205BHJP
B21D 39/03 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F16B4/00 N
G03G21/16 119
F16B4/00 G
B21D39/03 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089891
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 準悟
(72)【発明者】
【氏名】上西 里奈
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA07
2H171GA25
2H171GA32
2H171HA02
2H171HA17
2H171HA22
2H171HA27
2H171PA02
2H171PA12
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171UA02
2H171UA14
(57)【要約】
【課題】複数の板金部材をカシメ方法により接合する際の設計の自由度を高めることが可能な板金構造体および板金部材の接合方法を提供する。
【解決手段】板金構造体は、第1板金部材と、第2板金部材と、が、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理により接合されてなる。第2板金部材は、第1板金部材に略垂直に連結される。第2板金部材は、それぞれ平板状の本体部と、折曲部と、を有する。折曲部は、本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される。折曲部は、第1板金部材の第1位置決め突起に嵌合する第1位置決め穴と、第1板金部材の第2位置決め突起に嵌合し、第1位置決め穴を中心とする第2板金部材の回転を規制する長穴状の第2位置決め穴と、を有する。第2位置決め穴に比べて第1位置決め穴に近い位置に、少なくとも1つのカシメ固定部が形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板金部材と、
前記第1板金部材に略垂直に連結される第2板金部材と、
が、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理により接合されてなる板金構造体であって、
前記第2板金部材は、
平板状の本体部と、
前記本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、前記第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される折曲部と、
を有し、
前記折曲部は、
前記第1板金部材の第1位置決め突起に嵌合する第1位置決め穴と、
前記第1板金部材の第2位置決め突起に嵌合し、前記第1位置決め穴を中心とする前記第2板金部材の回転を規制する長穴状の第2位置決め穴と、
を有し、
前記第2位置決め穴に比べて前記第1位置決め穴に近い位置に、前記カシメ処理によって少なくとも1つのカシメ固定部が形成されることを特徴とする板金構造体。
【請求項2】
前記カシメ固定部は、平面視円形状であり、
前記第1位置決め穴と、前記カシメ固定部のうち前記第1位置決め穴に最も近い第1カシメ固定部の中心との距離が15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の板金構造体。
【請求項3】
前記折曲部には、前記カシメ処理によって複数の前記カシメ固定部が形成されており、
前記第2位置決め穴と、前記カシメ固定部のうち前記第2位置決め穴に最も近い第2カシメ固定部の中心との距離が、前記第1位置決め穴と前記第1カシメ固定部の中心との距離よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の板金構造体。
【請求項4】
前記第1板金部材として、所定の間隔を隔てて対向配置される一対の側面フレームと、
前記第2板金部材として、一対の前記側面フレームの間に橋渡し状に連結される連結フレームと、
を含む、画像形成装置の本体フレームであることを特徴とする請求項1に記載の板金構造体。
【請求項5】
平板状の第1板金部材と、
前記第1板金部材に略垂直に連結される第2板金部材と、
を、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理によって接合する板金構造体の組み立て方法であって、
前記第2板金部材は、
平板状の本体部と、
前記本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、前記第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される折曲部と、
を有し、
前記折曲部は、
前記第1板金部材の第1位置決め突起に嵌合する第1位置決め穴と、
前記第1板金部材の第2位置決め突起に嵌合し、前記第1位置決め穴を中心とする前記第2板金部材の回転を規制する長穴状の第2位置決め穴と、
を有し、
前記第2位置決め穴に比べて前記第1位置決め穴に近い位置に、前記カシメ処理によって少なくとも1つのカシメ固定部を形成することを特徴とする板金構造体の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板金部材をカシメによって機械的に接合した板金構造体、および板金部材の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の板金部材を接合する方法として、トックス(登録商標)カシメ法が知られている。トックスカシメ法は、2枚の金属板を凸型と凹型の金型により挟み込んで圧縮するものである。凹型の底面の円周には溝が設けてあり、凸型側の金属板が溝に沿って円周の外側に張り出すことにより、2枚の金属板が固着される。
【0003】
トックスカシメ法は、ビス固定が困難な薄肉の板金部材や、スポット溶接が困難な材料に用いられる。トックスカシメ法は金属板をせん断しないので、表面処理鋼板におけるせん断面からの錆の進行を防止できることから広く用いられている。
【0004】
例えば特許文献1には、凸型金型側の金属板をあらかじめ凸型金型に合わせた絞りを設けることにより、金属板の厚みが薄くならず、また張り出し部も大きくなり、カシメ強度の向上と高信頼性が得られるカシメ方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ステンレス鋼板またはZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板を原板とし、その少なくとも片面に潤滑剤含有樹脂塗膜が形成された金属板を接合するかしめ接合方法が開示されている。具体的には、金属板を重ねて可動ダイ上に載置し、パンチで塑性変形させながらアンビルの上面に押し込み、可動ダイを横方向に逃がして金属板の上面変形と同時に下面も塑性変形させてロック部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-310109号公報
【特許文献2】特開2005-8953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トックスカシメ法を用いて板金部材を接合する場合、カシメ箇所に合わせてカシメ用治具を挿入する空間を確保する必要がある。しかし、板金部材の絞り形状等によってカシメ用治具を挿入する空間が確保できず、カシメ位置が制約されることがある。また、板金部材の回転止め付近にカシメ位置を設ける必要がある場合、カシメ位置の自由度を上げるために板金形状が制約されることもある。そのため、設計の自由度が低くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、複数の板金部材をカシメ方法により接合する際の設計の自由度を高めることが可能な板金構造体および板金部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、第1板金部材と、第2板金部材と、が、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理により接合されてなる板金構造体である。第2板金部材は、第1板金部材に略垂直に連結される。第2板金部材は、平板状の本体部と、折曲部と、を有する。折曲部は、本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される。折曲部は、第1位置決め穴と、第2位置決め穴と、を有する。第1位置決め穴は、第1板金部材の第1位置決め突起に嵌合する。第2位置決め穴は、長穴状であって第1板金部材の第2位置決め突起に嵌合し、第1位置決め穴を中心とする第2板金部材の回転を規制する。第2位置決め穴に比べて第1位置決め穴に近い位置に、カシメ処理によって少なくとも1つのカシメ固定部が形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、第2位置決め穴よりも第1位置決め穴に近い位置にカシメ固定部が少なくとも1つ形成されている。これにより、第2位置決め穴の近傍においてカシメ用治具の挿入スペースに制約がある場合であっても第2位置決め穴の近傍にはカシメ固定部を形成する必要がない。従って、カシメ固定部の形成位置の自由度が高くなり、板金構造体の設計の自由度も高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の本体フレーム101を備えた画像形成装置100の概略断面図
【
図2】本発明の一実施形態に係る本体フレーム101の斜視図
【
図3】本実施形態の本体フレーム101の側面フレーム102と第1連結フレーム103の連結部分を側面フレーム102に垂直な方向から見た側面図
【
図4】側面フレーム102と第1連結フレーム103をカシメ固定する様子を上方から見た平面図
【
図5】
図3における第1折曲部110a付近の部分拡大図
【
図6】第1位置決め突起102a(
図6(a))および第2位置決め突起102b(
図6(b))の一例を示す断面図
【
図7】第1位置決め突起102aが第1位置決め穴111に係合した状態(
図7(a))、および第2位置決め突起102bが第2位置決め穴112に係合した状態(
図7(b))を示す断面図
【
図8】側面フレーム102と第3連結フレーム105の連結部分を側面フレーム102に垂直な方向から見た側面図
【
図9】第1連結フレーム103の第1折曲部110a付近の部分拡大図であって、第2位置決め穴112の近傍に第2カシメ固定部114を形成した変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の本体フレーム101を備えた画像形成装置100の構成を示す概略図である。
【0013】
図1に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンターであり、以下のような構成になっている。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像を順次形成する。
【0014】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dが配設されている。さらに
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において記録媒体の一例としての用紙S上に一度に転写される。
【0015】
トナー像が転写される用紙Sは、画像形成装置100の本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。
【0016】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、メインモーター(図示せず)により感光体ドラム1a~1dの回転が開始され、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5から出射されたビーム光(レーザー光)によって感光体ドラム1a~1dの表面を光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0017】
現像装置3a~3dには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。現像装置3a~3dにより現像剤中のトナーが感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することで静電潜像をトナー像に現像する。なお、各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。
【0018】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0019】
ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー10の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8の表面に残存したトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。
【0020】
定着部13に搬送された用紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面印字された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0021】
図2は、画像形成装置100を構成する本発明の一実施形態に係る本体フレーム101の斜視図である。なお、説明の便宜のため、
図2では本体フレーム101を透過状態で示している。本体フレーム101は、一対の側面フレーム102と、第1連結フレーム103、第2連結フレーム104、第3連結フレーム105とを有する。
【0022】
側面フレーム102は、画像形成装置100の前面側(
図1の紙面手前側)および背面側(
図1の紙面奥側)に対向配置される板金部材(第1板金部材)である。第1連結フレーム103、第2連結フレーム104、第3連結フレーム105は、それぞれ一対の側面フレーム102の間に橋渡し状に連結される板金部材(第2板金部材)である。
【0023】
第1連結フレーム103~第3連結フレーム105は、それぞれ長手方向の両端部を略垂直に折り曲げて形成された折曲部110を有する。折曲部110を一対の側面フレーム102の内側面に接触させた状態でカシメ処理を施すことにより、第1連結フレーム103~第3連結フレーム105が一対の側面フレーム102の間に橋渡し状に連結される。
【0024】
図3は、本実施形態の本体フレーム101の側面フレーム102と第1連結フレーム103の連結部分を側面フレーム102に垂直な方向から見た側面図である。なお、
図3は第1連結フレーム103の長手方向の一端側(
図2の紙面奥側)の連結部分を図示しているが、第1連結フレーム103の長手方向の他端側(
図2の紙面手前側)の連結部分についても、左右対称である以外は
図3と同様の構成である。
【0025】
図3に示すように、第1連結フレーム103は、平板状の本体部103aと、本体部103aの長手方向の両端部に形成される折曲部110とを有する。本体部103aは、側面視クランク状に屈曲している。折曲部110は、本体部103aのそれぞれの屈曲部分に形成される第1折曲部110a、第2折曲部110b、第3折曲部110cを含む。
【0026】
第1折曲部110aには、第1位置決め穴111および第2位置決め穴112が形成されている。第1位置決め穴111は丸穴であり、側面フレーム102の内面に突出する第1位置決め突起102aに嵌合することで、側面フレーム102の面方向(
図3の紙面と平行な方向)に対する第1連結フレーム103の位置決めを行う。第2位置決め穴112は水平方向に延びる長穴であり、側面フレーム102の内面に突出する第2位置決め突起102bに嵌合することで、第1位置決め穴111を回転中心とする第1連結フレーム103の回転を規制する。
【0027】
第1折曲部110a~第3折曲部110cには、カシメ固定部(第1カシメ固定部)113が形成されている。カシメ固定部113は、平面視円形状であり、カシメ用治具130(
図4参照)を用いて側面フレーム102と第1折曲部110a~第3折曲部110cとを挟み込んで圧縮することにより形成される。
【0028】
第1折曲部110aおよび第3折曲部110cは、
図3の上方向に向かって折り曲げられている。第2折曲部110bは、
図3の右方向に向かって折り曲げられている。即ち、第1折曲部110a~第3折曲部110cは、それぞれ側面フレーム102の外側(端縁102cに近い側)に向かって折り曲げられている。
【0029】
図4は、側面フレーム102と第1連結フレーム103をカシメ固定する様子を上方から見た平面図である。なお、説明の便宜のため、
図4では第2折曲部110bおよび第3折曲部110cと側面フレーム102の端縁102cとの距離を実際よりも近づけて記載している。
【0030】
カシメ用治具130は、ポンチ(凸型)131とダイ(凹型)132とを有する。ポンチ131は円柱状であり、駆動源(図示せず)によってダイ132に圧接される。ダイ132は、ポンチ131が挿入される有底円筒状の受け部(図示せず)を有する。受け部の底面の周縁部には溝が形成されている。
【0031】
側面フレーム102と第2連結フレーム103とをカシメ固定する場合、先ず、
図3に示したように、一対の側面フレーム102の内面に形成された第1位置決め突起102a、第2位置決め突起102bを、それぞれ第1連結フレーム103の第1折曲部110aに形成された第1位置決め穴111、第2位置決め穴112に挿入する。これにより、一対の側面フレーム102に対して第1連結フレーム103が位置決めされる。
【0032】
次に、
図4に示すように、第2折曲部110b~第3折曲部110c側にダイ(凹型)132を配置し、駆動源(図示せず)によって側面フレーム102側からポンチ131を打ち込む。図示されていないが、第1折曲部110aも同様に、第1折曲部110a側にダイ132を配置し、側板フレーム102側からポンチ131を打ち込む。これにより、側板フレーム102および第1折曲部110a~第3折曲部110cがポンチ131とダイ132に挟み込まれて変形し、ダイ132の受け部に形成された溝に沿って円周の外側に張り出すことにより、側面フレーム102と第1連結フレーム103が接合される。
【0033】
以上、側面フレーム102と第1連結フレーム103とをカシメ固定する手順について説明したが、側面フレーム102と第2連結フレーム104、第3連結フレーム105とをカシメ固定する手順についても全く同様に説明される。
【0034】
次に、本実施形態の本体フレーム101における、第1位置決め穴111、第2位置決め穴112とカシメ固定部113との位置関係について説明する。
図5は、
図3における第1折曲部110a付近の部分拡大図である。
図6(a)、(b)は、それぞれ第1位置決め突起102aおよび第2位置決め突起102bの一例を示す断面図である。
図7(a)、(b)は、それぞれ第1位置決め突起102aおよび第2位置決め突起102bが第1位置決め穴111および第2位置決め穴112に係合した状態を示す断面図である。
【0035】
図6(a)、(b)に示すように、第1位置決め突起102aおよび第2位置決め突起102bは、例えば側面フレーム102をプレス加工することにより側面視台形状に形成される。
図7(a)に示すように、第1位置決め穴111の内径は第1位置決め突起102aの外径と略同一径である。
図7(b)に示すように、第2位置決め穴112の水平方向(図の左右方向)の内径は第2位置決め突起102aの外径よりも大きい。
【0036】
第1連結フレーム103は、第1位置決め穴111と第1位置決め突起102aとの嵌合によって側面フレーム102に位置決めされる。そのため、側面フレーム102と第1連結フレーム103を精度よく接合するためには第1位置決め穴111の近傍にカシメ固定部113が必要となる。
【0037】
一方、第2位置決め穴112は、第2位置決め突起102bとの嵌合によって第1連結フレーム103の回転を規制するものである。そのため、第2位置決め穴112の近傍には必ずしもカシメ固定部113を設ける必要はない。
【0038】
そこで、本実施形態では、第2位置決め穴112よりも第1位置決め穴111に近い位置にカシメ固定部113が1つ形成されている。この構成によれば、例えば第1連結フレームの本体部103aにリブや凹凸等の補強形状が形成されており、カシメ用治具130の挿入スペースに制約がある場合であっても、第2位置決め穴112の近傍にカシメ固定部113を形成する必要がない。従って、カシメ固定部113の形成位置の自由度が高くなり、本体フレーム101の設計の自由度も高くなる。
【0039】
ここで、カシメ固定部113が第1位置決め穴111から一定以上離れると、側面フレーム102と第1連結フレーム103を精度よく接合することが困難となる。そのため、カシメ固定部113の中心O1は、第1位置決め穴111からの距離rが一定範囲の領域R(
図5の破線円)内にあることが好ましい。側面フレーム102と第1連結フレーム103との位置精度を保持するために、距離rは15mm以下であることが好ましい。
【0040】
なお、
図5では第1連結フレーム103における第1位置決め穴111、第2位置決め穴112とカシメ固定部113との位置関係について説明したが、第2連結フレーム104についても第1連結フレーム103と同様に、第2位置決め穴112よりも第1位置決め穴111に近い位置、好ましくは第1位置決め穴111からの距離rが一定範囲の領域に中心O1が入るようなカシメ固定部113が1つ形成される。
【0041】
図8は、側面フレーム102と第3連結フレーム105の連結部分を側面フレーム102に垂直な方向から見た側面図である。なお、
図2に示したように、第3連結フレーム105は側面フレーム102に沿って長く延びている。そのため、
図8では第3連結フレーム105の折曲部110の両端部付近のみを図示している。
【0042】
第3連結フレーム105は、平板状の本体部105aと、本体部105aの対向する二辺に沿って形成される折曲部110とを有する。折曲部110は、本体部105aの側面フレーム102に沿って延びる両端部(
図2参照)を下向きに折り曲げて形成される。折曲部110の長手方向の一方側の端部近傍には第1位置決め穴111が形成されている。折曲部110の長手方向の他方側の端部近傍には第2位置決め穴112が形成されている。第1位置決め穴111、第2位置決め穴112は、それぞれ側面フレーム102の第1位置決め突起102a、第2位置決め突起102bに嵌合する。
【0043】
図2に示したように、第3連結フレーム105は、第1連結フレーム103、第2連結フレーム104に比べて側面フレーム102に沿って長く延びている。そのため、第1位置決め穴111の近傍の1箇所にカシメ固定部113を形成しただけでは、側面フレーム102と第3連結フレーム105とを十分な強度で接合することが困難である。
【0044】
そこで、
図8に示すように、第1位置決め穴111の近傍にカシメ固定部113を形成するとともに、第2位置決め穴112の近傍にカシメ固定部(第2カシメ固定部)114を形成している。
【0045】
前述したように、第2位置決め穴112は第2連結フレーム105の回転を規制するものである。そのため、カシメ固定部114が第2位置決め穴112からある程度離れていても側面フレーム102と第3連結フレーム105との位置決め精度に影響を及ぼすおそれはない。
【0046】
本実施形態のように、第2位置決め穴112とカシメ固定部114の中心O2との距離d2を、第1位置決め穴111とカシメ固定部113の中心O1との距離d1よりも大きくすることで、第2位置決め穴112の近傍においてカシメ用治具130の挿入スペースに制約がある場合であってもカシメ固定部114を形成することができる。従って、カシメ固定部114の形成位置の自由度が高くなり、本体フレーム101の設計の自由度も高くなる。
【0047】
なお、
図8では図示しないが、第3連結フレーム105の折曲部110には、カシメ固定部113、114に加えてさらに1つ以上のカシメ固定部を形成してもよい。カシメ固定部の個数および間隔は、第3連結フレーム105の寸法や要求される強度等に応じて任意に設定可能である。
【0048】
図9は、第1連結フレーム103の第1折曲部110a付近の部分拡大図であって、第2位置決め穴112の近傍に第2カシメ固定部114を形成した変形例を示す図である。
図5に示した構成では、側面フレーム102に第1連結フレーム103を接合する際に、第1折曲部110aの第1位置決め穴111の近傍にカシメ固定部113を1箇所形成したが、
図9に示すように、カシメ固定部113に加えて第2位置決め穴112の近傍にカシメ固定部114を形成してもよい。
【0049】
図9の変形例によれば、カシメ固定部113のみを形成する
図5の構成に比べて側面フレーム102に第1連結フレーム103をより強固に接合することができる。また、
図8と同様に、カシメ固定部114の形成位置の自由度が高くなり、本体フレーム101の設計の自由度も高くなる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の本体フレーム101では、第2位置決め穴112に比べて第1位置決め穴111に近い位置に、少なくとも1つのカシメ固定部113が形成されている。これにより、第2位置決め穴112の近傍には必ずしもカシメ固定部を形成する必要がない。また、第2位置決め穴112の近傍にカシメ固定部114を形成する場合は、カシメ固定部114の形成位置の自由度が高くなる。
【0051】
従って、側面フレーム102や第1連結フレーム103~第3連結フレーム105の形状等によらず、カシメ用治具130を挿入するスペースが確保し易くなり、本体フレーム101の組み立て工程を簡素化することができる。
【0052】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では画像形成装置100の本体フレーム101を構成する側面フレーム102と第1連結フレーム103~第3連結フレーム105とのカシメ固定について説明したが、画像形成装置以外の他の電子機器のフレームにも同様に適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、複数の板金部材をカシメによって機械的に接合した板金構造体に利用可能である。本発明の利用により、複数の板金部材をカシメ方法により接合する際の設計の自由度を高めることが可能な板金構造体および板金部材の接合方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
100 画像形成装置
101 本体フレーム(板金構造体)
102 側面フレーム(第1板金部材)
102a 第1位置決め突起
102b 第2位置決め突起
103 第1連結フレーム(第2板金部材)
104 第2連結フレーム(第2板金部材)
105 第3連結フレーム(第2板金部材)
110 折曲部
110a 第1折曲部
110b 第2折曲部
110c 第3折曲部
111 第1位置決め穴
112 第2位置決め穴
113 カシメ固定部(第1カシメ固定部)
114 カシメ固定部(第2カシメ固定部)
130 カシメ用治具
131 ポンチ(凸型)
132 ダイ(凹型)