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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172290
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バイオ炭情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20241205BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q50/02
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089898
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦子
(72)【発明者】
【氏名】吉元 光児
(72)【発明者】
【氏名】金岡 真未
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L049CC35
5L050CC01
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】農家等の未利用資材を活用してバイオ炭を生成すると共に温室効果ガスの排出削減量や吸収量に係る認証を取得可能なバイオ炭情報管理システムを提供する。
【解決手段】バイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭6を生成する炭化車両3の炭化車両情報11を取得する炭化車両情報取得部10と、ユーザー2における未利用資材5の提供に関する未利用資材情報21、バイオ炭6に関する希望炭化処理地情報22、及びユーザー2におけるバイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21を取得するユーザー情報取得部20と、情報処理装置30とを備え、情報処理装置30は、炭化車両情報22及びユーザー情報21に基づいて、希望炭化処理地で未利用資材5の炭化処理を行い希望バイオ炭6を生成すると共に、バイオ炭需要情報24に基づき、バイオ炭6の提供を要請するユーザー2に対してバイオ炭6が提供されるように未利用資材5の炭化処理計画を作成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未利用資材を生成原料としてバイオ炭を生成する炭化車両における少なくとも配車情報を含む炭化車両情報を取得する炭化車両情報取得部と、
少なくとも一のユーザーにおける前記未利用資材の提供に関する未利用資材情報、前記ユーザーにおける前記バイオ炭の希望炭化処理地に関する希望炭化処理地情報、及び前記ユーザーにおける前記バイオ炭の需要に関するバイオ炭需要情報を含むユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、
情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記炭化車両情報及び前記ユーザー情報に基づいて、前記希望炭化処理地において前記未利用資材の炭化処理を行って希望バイオ炭を生成すると共に、前記バイオ炭需要情報に基づいて、前記バイオ炭の提供を要請する前記ユーザーに対して前記希望バイオ炭が提供されるように前記未利用資材の炭化処理計画を作成すること、を特徴とするバイオ炭情報管理システム。
【請求項2】
前記バイオ炭需要情報は、
前記未利用資材を提供した前記ユーザーによる需要、及び前記ユーザーとは異なる他のユーザーの需要いずれか一方又は双方を含むこと、を特徴とする請求項1に記載のバイオ炭情報管理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置が、前記未利用資材情報及び前記炭化車両情報に基づき、前記未利用資材の炭化処理条件を算出すること、を特徴とする請求項1又は2に記載のバイオ炭情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ炭を管理するためのバイオ炭情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農家においては、農産物を収穫した後に未利用資材として、わら等が残存することがあった。かかる場合は、未利用資材を野焼き等で焼却し、残った炭を圃場の肥料として利用することが行われていた。しかしながら、野焼きは、周辺住民等からの苦情や、温室効果ガスの排出等の問題があった。そのため、未利用資材の処分に困る農家が増大している。
【0003】
ところで、近年、環境問題の改善の観点から、各種の事業分野において温室効果ガスの排出量削減が求められている。そこで、バイオ炭の農用地(圃場)での利用が行われ始めている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の発明は、バイオ炭を含む土壌改良資材の特性を示す第1データと、農用地においてバイオ炭を含む土壌改良資材の施用量、農用地の種別及び面積、並びに施肥された肥料の種類及び施肥量を含む第2データと、農用地で栽培された農作物の品種及び収穫量を含む第3データとをストレージから読み出すデータ取得部と、データ取得部が取得した第1乃至第3データを用いて農用地の炭素貯留量及び温室効果ガス排出削減量の一方又は両方を計算するデータ処理部とを含むものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-153012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バイオ炭の製炭方法や施用量について把握している農家が少ないため、未利用資材の利用が十分に活用されていない。また、特許文献1に記載の発明は、使用する未利用資材の調達や未利用資材を用いたバイオ炭の製炭地、あるいは、未利用資材の
製炭地までの搬送などを考慮するものではない。そのため、特許文献1に記載の発明では、未だ未利用資材の活用が十分になされない懸念がある。
【0006】
また、近年、バイオ炭の農地施用による炭素貯留の方法論が、J-クレジット制度として制定されるなど、カーボンクレジットの取得手段として、バイオ炭が注目されている。しかしながら、カーボンクレジットの取得に向けた申請書の作成について把握している農家が少ないことや、申請書作成についての煩雑性等から、カーボンクレジットの積極的な利用がなされていないという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、農家等で発生する、わら等の未利用資材を活用して、効率的にバイオ炭を生成すると共に、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証を効果的に取得可能なバイオ炭情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のバイオ炭情報管理システムは、未利用資材を生成原料としてバイオ炭を生成する炭化車両における少なくとも配車情報を含む炭化車両情報を取得する炭化車両情報取得部と、少なくとも一のユーザーにおける前記未利用資材の提供に関する未利用資材情報、前記ユーザーにおける前記バイオ炭の希望炭化処理地に関する希望炭化処理地情報、及び前記ユーザーにおける前記バイオ炭の需要に関するバイオ炭需要情報を含むユーザー情報を取得するユーザー情報取得部と、情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記炭化車両情報及び前記ユーザー情報に基づいて、前記希望炭化処理地において前記未利用資材の炭化処理を行って希望バイオ炭を生成すると共に、前記バイオ炭需要情報に基づいて、前記バイオ炭の提供を要請する前記ユーザーに対して前記希望バイオ炭が提供されるように前記未利用資材の炭化処理計画を作成すること、を特徴とするものである。
【0009】
上述したバイオ炭情報管理システムは、配車情報を含む炭化車両情報及びユーザー情報に基づいて、希望炭化処理地において未利用資材(例えば、稲わらや麦わら等)の炭化処理を行って希望バイオ炭を生成することができる。すなわち、上述したバイオ炭情報管理システムによれば、ユーザーが希望する希望炭化処理地に炭化車両を配車することにより、ユーザーの圃場の近隣においてバイオ炭を生成(製炭)できる。そのため、ユーザーが所有する未利用資材を製炭地まで移送する負担や、バイオ炭製造者(バイオ炭事業者)がバイオ炭をユーザーまで移送する負担を軽減できる。ここで、ユーザーは、例えば、農家、農業協同組合(農協)、農業事業者など、バイオ炭を希望する各種の者や団体等を含めることができる。また、炭化車両は、バイオ炭を生成するための各種のバイオ炭製造装置(炭化処理装置とも称する)を搭載した各種の車両(例えば、軽トラック)が利用できる。また、炭化車両情報は、配車情報の他、例えば、車両の大きさ、バイオ炭製造装置の仕様、炭化処理条件等の情報を含めることができる。また、バイオ炭需要情報は、例えば、ユーザーが希望するバイオ炭の種類、量、成分等に関する情報やユーザーの希望日時等の情報を含めることができる。
【0010】
また、バイオ炭情報管理システムは、ユーザーにおけるバイオ炭需要情報に基づいて、バイオ炭の提供を要請するユーザーに対して希望バイオ炭が提供されるように未利用資材の炭化処理計画を作成できる。すなわち、上述したバイオ炭情報管理システムは、未利用資材から効率的にバイオ炭を生成できる炭化処理計画を作成できる。したがって、当該炭化処理計画に基づいてバイオ炭を生成することにより、未利用資材の効率的な利用が期待できると共に、バイオ炭の農地施用の促進が期待できる。
【0011】
(2)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムにおいて、前記バイオ炭需要情報は、前記未利用資材を提供した前記ユーザーによる需要、及び前記ユーザーとは異なる他のユーザーの需要いずれか一方又は双方を含むこと、を特徴とするとよい。
【0012】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、複数のユーザー間における未利用資材の調達や複数のユーザー間におけるバイオ炭の提供を円滑に調整できる。これにより、上述したバイオ炭情報管理システムは、効率良く未利用資材を回収できると共に、各ユーザーの需要に応じて効率良くバイオ炭を提供することができる。なお、未利用資材を提供するユーザーの圃場と、前記ユーザーとは異なる他のユーザーの圃場とは、ライフサイクルアセスメント(LCA)の観点から、近接した場所に位置することが望ましい。これにより、上述したバイオ炭情報管理システムは、バイオ炭の円滑な提供が期待できると共に、未利用資材の移送距離の低減が期待できる。また、近接した地域の未利用資材を利用できるので、ユーザーの圃場の土壌に適したバイオ炭の提供が期待できる。
【0013】
(3)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムは、前記情報処理装置が、前記未利用資材情報及び前記炭化車両情報に基づき、前記未利用資材の炭化処理条件を算出すること、を特徴とするとよい。
【0014】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、未利用資材に応じた最適な炭化処理条件を算出できる。これにより、バイオ炭情報管理システムは、効率良くバイオ炭を生成するための炭化処理計画を作成できる。
【0015】
(4)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムにおいて、前記未利用資材情報は、前記未利用資材の量、種類、採取地、及び成分の少なくとも1つを含むこと、を特徴とするとよい。
【0016】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、未利用資材の量、種類、採取地、及び成分の少なくとも1つに基づいて、未利用資材の炭化処理計画を作成できる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システムは、ユーザーの圃場や作物等に適したバイオ炭を提供することができる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システムによれば、作物の収穫量向上が期待でき、温室効果ガスの排出量削減効果も期待できる。
【0017】
(5)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムにおいて、前記未利用資材情報は、前記ユーザーが前記未利用資材を所有するか否かの未利用資材有無情報を含むものであり、前記情報処理装置は、前記未利用資材有無情報において、前記ユーザーが前記未利用資材を所有することを条件として、前記ユーザーが所有する前記未利用資材を前記炭化処理に供するように前記未利用資材の炭化処理計画を作成するものであり、前記未利用資材有無情報において、前記ユーザーが前記未利用資材を所有していないことを条件として、前記情報処理装置によって管理された管理未利用資材を前記炭化処理に供するように前記未利用資材の炭化処理計画を作成するものであること、を特徴とするとよい。
【0018】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、未利用資材の有無に関わらずユーザーがバイオ炭を利用することができる。すなわち、ユーザーが未利用資材を所有していない場合は、情報処理装置によって管理された管理未利用資材(例えば、他のユーザーによって提供された未利用資材)を生成原料としてバイオ炭を生成し、当該バイオ炭がユーザーに対して提供されるように炭化処理計画が作成される。一方、ユーザーが未利用資材を所有する場合は、当該未利用資材を利用した炭化処理計画が作成され、当該炭化処理計画に基づいて、未利用資材の回収やバイオ炭の生成が行われる。
【0019】
(6)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムは、前記バイオ炭を保持させる圃場に関する圃場情報を取得する圃場情報取得部を備え、前記圃場情報は、前記圃場における土壌情報を含むものであり、前記情報処理装置は、前記土壌情報が所定の基準値を下回ることを条件として、前記圃場を管理する前記ユーザーに対して前記バイオ炭の施用を推奨するバイオ炭施用リクエスト通知を発信すること、を特徴とするとよい。
【0020】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、圃場の土壌情報が所定の基準値を下回ることを条件として、自動的にバイオ炭の提供要請を行うことができる。これにより、ユーザーにおけるバイオ炭情報管理システムの利用負担が軽減されるので、ユーザーにおけるバイオ炭の活用が促進される。そのため、上述したバイオ炭情報管理システムによれば、未利用資材を有効的に活用でき、温室効果ガスの排出量削減効果が期待できる。ここで、土壌情報は、例えば、pH(水素イオン濃度)、含水率、各主成分の含有率等の土壌に関する各種の情報を含めることができる。
【0021】
(7)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムは、前記バイオ炭需要情報が、前記バイオ炭施用リクエスト通知、又は前記ユーザーの自発的な前記バイオ炭の自己施用通知に基づいて取得されること、を特徴とするとよい。
【0022】
上述したバイオ炭情報管理システムは、バイオ炭需要情報をバイオ炭施用リクエスト通知に基づいて取得できるので、圃場の土壌情報が所定の基準値を下回ることを条件として、自動的にバイオ炭の提供要請が行われる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システムは、ユーザーによるバイオ炭要請に係る負担を低減できる。一方、上述したバイオ炭情報管理システムは、バイオ炭需要情報を、ユーザーによる自発的なバイオ炭の自己施用通知に基づいて取得できるので、ユーザーは、未利用資材の在庫やバイオ炭の需要に応じて、任意のタイミングで未利用資材の回収要請やバイオ炭の提供要請を行うことができる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システムによれば、バイオ炭の利用促進が期待できる。
【0023】
(8)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムは、前記バイオ炭を保持させる圃場に関する圃場情報を取得する圃場情報取得部と、前記バイオ炭に係る種類、量、及び施用日時を含むバイオ炭情報を取得するバイオ炭情報取得部と、を備え、前記炭化車両情報は、前記未利用資材を炭化させる際の炭化処理条件に係る炭化処理条件情報を含むものであり、前記情報処理装置は、前記炭化処理条件情報、前記バイオ炭情報、前記圃場情報、及び作物に係る作物情報を記憶するデータベース部を備えていること、を特徴とするとよい。
【0024】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、炭化処理条件情報、バイオ炭情報、圃場情報、及び作物情報をデータベース部に記憶させることができる。これにより、上述したバイオ炭情報管理システムは、最適な炭化処理条件で未利用資材を炭化させてバイオ炭を生成できるので、効率的に炭素貯留量を増大させることができる。また、上述したバイオ炭情報管理システムによれば、圃場や作物の特性に応じて最適なバイオ炭を提供できるので、作物の収穫量を向上させる効果が期待できる。
【0025】
(9)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムは、前記バイオ炭に係る種類、量、及び施用日時を含むバイオ炭情報を取得するバイオ炭情報取得部と、前記バイオ炭を保持させる圃場における少なくとも住所情報を取得する圃場情報取得部と、を備えており、前記情報処理装置は、生成された前記バイオ炭に係る炭素貯留量を算出する炭素貯留量算出部と、前記バイオ炭を生成したバイオ炭生成地から前記圃場までの前記バイオ炭の移送距離を取得するバイオ炭移送距離取得部と、前記バイオ炭移送距離取得部によって取得された前記移送距離に基づいて、前記バイオ炭の移送により排出される排出炭素量を算出する排出炭素量算出部と、前記炭素貯留量及び前記排出炭素量に基づいて、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証の申請に必要な申請情報を発行する申請情報発行部と、を備えること、を特徴とするとよい。
【0026】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、バイオ炭の移送距離を含めた排出炭素量を算出できるので、より精度の高い温室ガスの排出削減量、及び温室ガスの吸収量を算出できる。また、上述したバイオ炭情報管理システムは、上述の構成とすることにより、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証(例えば、J-クレジット等)の申請に必要な申請情報(例えば、申請書、オンラインを通じた電子データ等)を発行できる。そのため、農家等のユーザーにおいて、容易にJ-クレジット等の認証に係る申請書の発行が行えるので、農家等における手続きの負担が軽減できる。
【0027】
(10)上述した本発明のバイオ炭情報管理システムは、前記情報処理装置が、サーバーとして構成されていること、を特徴とするとよい。
【0028】
上述したバイオ炭情報管理システムは、かかる構成とすることにより、サーバーを拠点として、バイオ炭情報管理システムを一元的に管理することができる。サーバーには、クラウドサーバー等の各種のサーバーを利用することができる。ここで、ユーザー(例えば、農家、農業事業者等)や当該システムの管理者(例えば、炭化事業者等)は、サーバーと接続可能な端末装置を通じて、当該システムを利用できるようにするとよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、農家等で発生する、わら等の未利用資材を活用して、効率的にバイオ炭を生成すると共に、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証を効果的に取得可能なバイオ炭情報管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係るバイオ炭情報管理システムの構成図である。
図2図1のバイオ炭情報管理システムを構成する情報処理装置の構成図である。
図3】本発明のバイオ炭情報管理システムにおいて利用される炭化処理条件の一例を表す表である。
図4】本発明のバイオ炭情報管理システムにおいて用いられるバイオ炭施用リクエストにおける予約カレンダーの一例を表す説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るバイオ炭情報管理システムの動作フロー図である。
図6図5の続きの動作フロー図である。
図7】本発明の第1変形例に係るバイオ炭情報管理システムの動作フロー図である。
図8】本発明の第2変形例に係るバイオ炭情報管理システムの動作フロー図である。
図9図8の続きの動作フロー図である。
図10図8の続きの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図1図10を参照して、本発明の一実施形態に係るバイオ炭情報管理システム1の詳細を説明する。また、図1は模式図であって、必ずしも大きさを正確な比率で記したものではない。
【0032】
図1に示すように、バイオ炭情報管理システム1は、炭化車両情報取得部10、ユーザー2におけるユーザー情報を取得するユーザー情報取得部20、及び情報処理装置30を備えている。バイオ炭情報管理システム1は、前記の他、バイオ炭情報取得部40、及び圃場情報取得部50等を備えている。本実施形態では、炭化車両3が、バイオ炭製造装置4(炭化処理装置4とも称する)を搭載した軽トラックである場合を例として説明する。また、本実施形態では、バイオ炭製造装置4を搭載する炭化車両3が、バイオ炭6を提供する炭化事業者であり、かつ、バイオ炭情報管理システム1を管理するシステム管理者である場合を例として説明する。
【0033】
バイオ炭情報管理システム1は、少なくとも一のユーザー2における未利用資材5を炭化車両3におけるバイオ炭製造装置4で炭化処理することによりバイオ炭6を生成(製炭)するものとされている。ここで、ユーザー2は、例えば、農家等の個人や農業協同組合(農協)、農業事業者等のバイオ炭6を希望する各種の者や団体等を含めることができる。本実施形態では、ユーザー2が農家等の個人である場合を例として説明する。また、上述した未利用資材5は、例えば、農家から提供される稲わら、麦わら、もみ殻等のバイオ炭6の生成原料で構成されている。
【0034】
圃場7は、ユーザー2が保有する農地であり、作物が育成される土壌で形成されている。本実施形態では、ユーザー2によって要請されたバイオ炭6が、圃場7の土壌に保持(供給)されるものとされている。
【0035】
炭化車両3は、荷台にバイオ炭製造装置4が搭載されており、未利用資材5を生成原料としてバイオ炭6を生成することができる。炭化車両3は、1台だけではなく複数台設けられていてもよい。なお、炭化車両3は、バイオ炭6を生成するための各種のバイオ炭製造装置4を搭載した各種の車両が利用できる。ここで、バイオ炭製造装置4は、未利用資材5を熱分解する等して、炭化処理することによりバイオ炭6を生成するものとされている。バイオ炭製造装置4は、後述する情報処理装置30で算出された炭化処理条件に基づいて未利用資材5を炭化処理することができる。バイオ炭製造装置4は、軽トラックに搭載されており、当該軽トラックの移動に応じて、ユーザー2の管理する圃場7等へ移動することができる。すなわち、バイオ炭6の生成は、炭化車両3の移動に伴い、各所で行うことができる。
【0036】
炭化車両情報取得部10は、炭化車両3における少なくとも配車情報12を含む炭化車両情報11を取得することができる。炭化車両情報取得部10は、バイオ炭製造装置4に設けられた温度センサや含水量センサ等のセンサ(図示せず)を備えている。したがって、炭化車両情報取得部10は、バイオ炭製造装置4における温度や含水量等を含む炭化車両情報11を取得することができる。また、炭化車両情報取得部10は、後述する情報処理装置30を介して接続されたユーザー側端末装置15A及び炭化事業者側端末装置15Bの少なくとも一方を通じて、配車情報12を取得することができる。ユーザー側端末装置15A及び炭化事業者側端末装置15B(両者をそれぞれ端末装置15とも称する)は、情報処理装置30に無線LANや有線LAN等で接続されており、炭化車両3に関する配車情報12を含む炭化車両情報11を取得することができる。端末装置15,15は、それぞれ、例えば、パソコン、タブレット端末、スマートフォン等で構成することができる。
【0037】
炭化車両情報11は、配車情報12の他、例えば、車両の大きさ、バイオ炭製造装置4の仕様等の情報を含めることができる。また、炭化車両情報11は、未利用資材5を炭化させる際の炭化処理条件に係る炭化処理条件情報14を含むものとされている。ここで、炭化処理条件は、図3に示すように、例えば、未利用資材5の材料、炭化温度、炭化時間が例示される。
【0038】
図1に示すように、ユーザー情報取得部20は、未利用資材情報22、希望炭化処理地情報23、及びバイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21を取得することができる。ユーザー情報取得部20は、ユーザー2がユーザー側端末装置15Aにより入力した未利用資材情報22、希望炭化処理地情報23、及びバイオ炭需要情報24を取得して、情報処理装置30に送信することができる。
【0039】
未利用資材情報22は、少なくとも一のユーザー2における未利用資材5の提供に関するものとされている。未利用資材情報22は、例えば、未利用資材5の量、種類、採取地、及び成分の少なくとも1つを含むものとされている。ここで、未利用資材5の種類は、例えば、稲わら、麦わら、もみ殻等が例示される。また、未利用資材情報22は、ユーザー2が未利用資材5を所有するか否かの未利用資材有無情報を含むものとされている。
【0040】
希望炭化処理地情報23は、ユーザー2におけるバイオ炭6の希望炭化処理地に関する情報とされている。すなわち、希望炭化処理地情報23は、ユーザー2が希望するバイオ炭6の製炭地に関する情報とされている。希望炭化処理地情報23は、例えば、ユーザー2が保有する圃場7の住所情報が例示される。
【0041】
バイオ炭需要情報24は、ユーザー2におけるバイオ炭6の需要に関する情報とされている。バイオ炭需要情報24は、ユーザー2が提供を要請するバイオ炭6の量、種類、採取地、及び成分等のバイオ炭6の需要に関する各種の情報を含めることができる。バイオ炭需要情報24は、ユーザー2が自発的に行うバイオ炭6の自己施用通知に基づいて取得することができる。ここで、自己施用通知は、ユーザー2が施用予定のバイオ炭6の需要に関する情報を含む通知である。自己施用通知は、後述する情報処理装置30に送信される。
【0042】
また、バイオ炭需要情報24は、未利用資材5を提供したユーザー2による需要、及びユーザー2とは異なる他のユーザー(図示せず)の需要のいずれか一方又は双方を含むものとされている。ここで、ユーザー2とは異なる他のユーザー(単に、他ユーザーとも称する)とは、例えば、未利用資材5を所有しないユーザーが挙げられる。
【0043】
詳細は後述するがバイオ炭需要情報24は、圃場情報取得部50で取得された圃場情報51に基づいて、情報処理装置30に自動的に通知されるバイオ炭施用リクエスト通知54に含まれる情報も含むものとされている。すなわち、バイオ炭需要情報24は、ユーザー2により自発的に取得されるものと、バイオ炭施用リクエスト通知54(図2参照)に基づいて、自動的に取得されるものとの2通りの方法で取得される。
【0044】
バイオ炭情報取得部40は、バイオ炭6に係る種類、量、及び施用日時を含むバイオ炭情報41を取得するものとされている。バイオ炭情報取得部40は、ユーザー2及びシステム管理者(例えば、炭化事業者)による端末装置15,15を通じての入力により、バイオ炭情報41を取得することができる。なお、バイオ炭情報取得部40は、情報処理装置30への直接的な入力により、バイオ炭情報41を取得するようにしてもよい。
【0045】
圃場情報取得部50は、バイオ炭6を保持させる圃場7に関する圃場情報51を取得するものとされている。ここで、圃場情報51は、圃場7における面積・周辺の気候の他、育成される作物の作物情報53(図2参照)を含めることができる。また、圃場情報51は、前記の他、土壌情報52を含めることができる。土壌情報52は、例えば、pH(水素イオン濃度)、含水率、各主成分の含有率等の土壌に関する各種の情報を含めることができる。圃場情報取得部50には、土壌情報52を取得するために、例えば、pHセンサ、含水率センサ、含有率センサ等の各種のセンサが設けられている。圃場情報取得部50におけるセンサ類は、無線LANや有線LAN等を通じて情報処理装置30に接続されており、取得した土壌情報52を情報処理装置30に送信することができる。
【0046】
情報処理装置30は、コンピュータで構成されており、CPU等の演算装置により各種の演算を実行できる。情報処理装置30は、本実施形態では、クラウドサーバー等のサーバーとして構成されている。情報処理装置30は、図2に示すように、データベース部31、炭素貯留量算出部32、バイオ炭移送距離取得部33、排出炭素量算出部34、及び申請情報発行部35等を備えている。
【0047】
図1に示すように、情報処理装置30は、炭化車両情報11及びユーザー情報21に基づいて、希望炭化処理地において未利用資材5の炭化処理を行って希望バイオ炭6を生成する炭化処理計画を作成することができる。また、情報処理装置30は、バイオ炭需要情報24に基づいて、バイオ炭6の提供を要請するユーザー2に対して希望バイオ炭6が提供されるように未利用資材5の炭化処理計画を作成することができる。情報処理装置30は、未利用資材情報22及び炭化車両情報11に基づき、未利用資材5の炭化処理条件(図3参照)を算出することができる。
【0048】
また、情報処理装置30は、土壌情報52が所定の基準値を下回ることを条件として、圃場7を管理するユーザー2に対してバイオ炭6の施用を推奨するバイオ炭施用リクエスト通知54(図2参照)を発信することができる。
【0049】
また、情報処理装置30は、未利用資材有無情報において、ユーザー2が未利用資材5を所有することを条件として、ユーザー2が所有する未利用資材5を炭化処理に供するように未利用資材5の炭化処理計画を作成することができる。また、情報処理装置30は、未利用資材有無情報において、ユーザー2が未利用資材5を所有していないことを条件として、情報処理装置30によって管理された管理未利用資材5を炭化処理に供するように未利用資材5の炭化処理計画を作成することができる。また、情報処理装置30は、必要に応じて、システムの利用料等の支払い処理手続き(クレジットカード、バーコード決済等、携帯電話料金との合算引き落としなど)を実行できるように構成してもよい。当該支払処理手続きは、後述するユーザー側端末装置15A等を通じて行うことができる。
【0050】
図2に示すように、データベース部31は、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、記憶メモリ等で構成され、各種の情報を記憶して、データベース化することができる。データベース部31には、炭化処理条件情報14、バイオ炭情報41、圃場情報51、及び作物に係る作物情報53(例えば、作物毎の育成条件等)が記憶され、これらの情報がデータベース管理されている。そのため、データベース部31は、ユーザー2や炭化事業者の要請に応じて、必要な情報を提供することができる。また、例えば、バイオ炭情報管理システム1の利用開始時に、ユーザー2に係る情報(氏名、納品先住所等)が、データベース部31に予め登録されるようにすれば、ユーザー入力負担の軽減(例えば、登録済みの情報が入力画面に自動表示)が期待できる。
【0051】
炭素貯留量算出部32は、未利用資材5を使用して、生成されたバイオ炭6に係る炭素貯留量を算出するものとされている。すなわち、炭素貯留量算出部32は、温室効果ガスの吸収量を算出する基礎となる炭素貯留量を算出することができる。
【0052】
バイオ炭移送距離取得部33は、バイオ炭6を生成したバイオ炭生成地(希望炭化処理地に相当)から圃場7までのバイオ炭6の移送距離を取得するものとされている。すなわち、バイオ炭移送距離取得部33は、炭化車両3で生成されたバイオ炭6の圃場7までの移送距離を取得するものとされている。
【0053】
排出炭素量算出部34は、バイオ炭移送距離取得部33によって取得された移送距離に基づいて、バイオ炭6の移送(炭化車両3の移動)により排出される排出炭素量を算出するものとされている。すなわち、排出炭素量算出部34は、温室効果ガスの排出削減量を算出する基礎となる排出炭素量を算出することができる。
【0054】
申請情報発行部35は、炭素貯留量及び排出炭素量に基づいて、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証の申請に必要な申請情報36を発行するものとされている。ここで、申請情報36は、例えば、申請書37、オンラインを通じた電子データ等とされている。すなわち、申請情報36は、プリンタ等を通じて発行される申請書37や、メール等を通じて配信可能な電子データ等、各種の形態で提供することができる。
【0055】
以上が、本発明の一実施形態に係るバイオ炭情報管理システム1の構成であり、次にバイオ炭情報管理システム1の動作について、図5図10の動作フロー図を参照しつつ、適宜、図1図4も参照しながら以下に詳細を説明する。まず、土壌情報52に基づいてバイオ炭施用リクエスト通知54がなされた場合のバイオ炭情報管理システム1の動作フローについて説明する。
【0056】
図5に示すように、処理が開始されると、土壌情報52が取得される(ステップS10:土壌情報取得ステップ)。続いて、土壌情報52におけるpH・含水率が所定の基準値を下回るか否かの判定が行われる(ステップS11:土壌情報判定ステップ)。ステップS11において、pH・含水率が所定の基準値以上である場合は、一連の処理を終了するか、処理がステップS10に戻される。ステップS11において、pH・含水率が所定の基準値を下回ると判定された場合は、ユーザー2に対してバイオ炭施用リクエスト通知54がなされる(ステップS12:バイオ炭施用リクエストステップ)。
【0057】
ステップS12の処理が実行されると、バイオ炭6を施用するか否かの判定が行われる(ステップS13:バイオ炭施用有無判定ステップ)。ステップS13において、バイオ炭6の施用がなされないと判定された場合は、一連の処理を終了するか、ステップS10の処理に戻される。ステップS13において、バイオ炭6の施用がなされると判定された場合は、炭化利用可能な未利用資材5の有無の判定が行われる(ステップS14:炭化可能未利用資材有無判定ステップ)。
【0058】
ステップS14において、炭化利用可能な未利用資材5が存在すると判定された場合は、システム側(炭化事業者側)で在庫管理しているユーザー2が所有する未利用資材5をユーザー2の要求に対して割り当てる処理を内部的に行い、バイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21の入力を受け付ける(ステップS15:第1ユーザー情報取得ステップ)。ステップS15においては、未利用資材5の種類・量や炭化実施地(希望炭化処理地情報23)が取得される。なお、希望炭化処理地情報23は、例えば、ユーザー2における位置情報を、GPS等を利用して取得することも可能である。
【0059】
一方、ステップS14において、炭化可能な未利用資材5がないと判定された場合は、システム側(炭化事業者側)で在庫管理しているユーザー2が所有する未利用資材5をユーザー2の要求に対して割り当てる処理を内部的に行い、ユーザー2におけるバイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21の入力を受け付ける(ステップS115:第2ユーザー情報取得ステップ)。ステップS115においては、未利用資材5の種類・量や納品先住所が取得される。なお、納品先住所は、例えば、ユーザー2における位置情報を、GPS等を利用して取得することも可能である。ステップS115以降の処理は、後述する。
【0060】
ステップS15における処理が実行されると、図6に示すように、ユーザー2のリクエスト情報(炭化車両情報11及びユーザー情報21)を基に、炭化車両3の割り当て(配車)を行い、炭化処理可能日時をWEBやユーザー側端末装置15A等に出力し、予約カレンダー13(図4参照)に反映させる(ステップS16:炭化車両配車要請ステップ)。予約カレンダー13は、図4に示すように、年度、月毎に時間帯毎の対応可能な状況を、WEB等で表示することができる。予約カレンダー13は、左右のスピンボタン13A,13Aをクリックすることで、年度、月を前後にスクロールさせることができる。
【0061】
続いて、図6に示すように、ユーザー2は、ユーザー側端末装置15Aに表示された予約カレンダー13から炭化希望日時を選択する(ステップS17:炭化希望日時要請ステップ)。ステップS17においては、炭化車両情報11及びユーザー情報21の最終確認が行われ、炭化車両情報11及びユーザー情報21に基づく申請が行われる。これにより、炭化車両情報11及びユーザー情報21が情報処理装置30に送信される。なお、ユーザー2が入力したリクエスト情報(炭化車両情報11及びユーザー情報21)は、ユーザー2が任意で取り消しできるようにすることもできる。かかる場合は、ユーザー2による取り消しが、例えば希望日時の24時間前までのように制限してもよい。また、ユーザー2の都合で、その日時に炭化を実行しなかった場合には、一定の禁止条件に該当することを条件として、所定の費用を支払ってもらうなどの措置機能が実行されるようにしてもよい。
【0062】
続いて、情報処理装置30において、ユーザー2のリクエスト情報が受信される(ステップS18:リクエスト情報受信ステップ)。ステップS18において、情報処理装置30がリクエスト情報を受信すると、情報処理装置30において、炭化処理計画が作成され、炭化事業者側端末装置15Bにリクエスト情報(炭化処理計画)が通知される。これにより、炭化事業者は、リクエスト情報(炭化処理計画)に基づいて、炭化車両3の手配(配車)を行うと共に、未利用資材5に適した炭化処理条件で、ユーザー2の炭化希望日時に希望炭化処理地で炭化処理を実施し、バイオ炭6を提供する(ステップS19:バイオ炭生成ステップ)。
【0063】
ステップS19において、ユーザー2にバイオ炭6の提供が行われると、ユーザー2は、圃場7に、バイオ炭6を散布して保持させる(バイオ炭6の施用)。バイオ炭6の圃場7への保持が完了すると、ユーザー側端末装置15Aは、ユーザー2による圃場情報51及び作業完了通知の入力を受け付け、取得した圃場情報51及び作業完了通知を情報処理装置30に送信する(ステップS20:作業完了通知送信ステップ)。続いて、情報処理装置30が、圃場情報51及び作業完了通知を登録する(ステップS21:作業完了登録ステップ)。ステップS21の処理が完了すると、一連の処理が終了する。なお、ステップS21の処理が完了した後、ステップS10に処理が戻されてもよい。このように、ステップS21の処理が完了することにより、情報処理装置30を通じて、削減CO累積量の確認を行うことができる。そのため、各ユーザー2は、自身がバイオ炭施用により削減したCO累積量を確認することができる。また、炭化事業者は、全ユーザー分の合算した削減CO累積量を確認することができる。これにより、炭化事業者等は、企業としてのサステナビリティレポートへの記載や各個別ユーザー分を合算してJ-クレジットを一括申請(代行申請)する場合の確認を行うことができる。
【0064】
次に、ステップS115以降に行われる処理について、以下に説明する。図5に示すステップS115の処理が完了すると、図6に示すように、炭化車両情報11及びユーザー情報21に基づいたリクエスト情報を基に、炭化処理の対応可能日時を出力する(ステップS116:炭化処理日時出力ステップ)。ここで、バイオ炭6は製造日が古い物から順に納品に割り当てられる。
【0065】
続いて、ユーザー2が、リクエスト情報の内容を最終確認し、リクエスト情報に基づくバイオ炭需要情報24による申請を行う(ステップS117:バイオ炭申請ステップ)。ステップS117の処理が完了すると、情報処理装置30において、バイオ炭6の在庫データが更新される(ステップS118:バイオ炭在庫データ更新ステップ)。
【0066】
続いて、処理が上述したステップS20に移行する。ステップS20以降の処理は、上述と同様であるため、詳細な説明を省略する。以上が、土壌情報52に基づいてバイオ炭施用リクエスト通知54がなされた場合のバイオ炭情報管理システム1の動作フローであり、次に、ユーザー2から自発的にバイオ炭6のリクエスト(要請)を行う場合(第1変形例)のバイオ炭情報管理システム1の動作フローについて、以下に説明する。なお、上述した動作フローと同様部分の説明は省略する。
【0067】
≪第1変形例≫
図7に示すように、処理が開始されると、ユーザー2からのバイオ炭施用リクエスト(自己施用通知)が開始される(ステップS40:自己施用通知ステップ)。続いて、ユーザー2が、炭化可能な未利用資材5を所有しているか否かの判定が行われる(ステップS41:未利用資材所有有無判定ステップ)。
【0068】
ステップS41において、ユーザー2が、炭化可能な未利用資材5を所有している場合は、システム側(炭化事業者側)でユーザー2が所有する未利用資材5をユーザー2の要求に対して割り当てる処理を内部的に行う。また、バイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21の入力の受け付けが行われる(ステップS42:第3ユーザー情報取得ステップ)。ステップS42においては、未利用資材5の種類・量や炭化実施地(希望炭化処理地情報23)が取得される。なお、希望炭化処理地情報23は、例えば、ユーザー2における位置情報を、GPS等を利用して取得することも可能である。ステップS42の処理が完了すると、図6のステップS16の処理に移行する。ステップS16以降の処理は、上述した処理と同様であるので説明を省略する。
【0069】
一方、ステップS41において、ユーザー2が炭化可能な未利用資材5を所有しないと判定された場合は、システム側(炭化事業者側)で在庫管理しているユーザー2が所有する未利用資材5をユーザー2の要求に対して割り当てる処理を内部的に行い、ユーザー2におけるバイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21の入力を受け付ける(ステップS142:第4ユーザー情報取得ステップ)。ステップS142においては、未利用資材5の種類・量や納品先住所が取得される。なお、納品先住所は、例えば、ユーザー2における位置情報を、GPS等を利用して取得することも可能である。ステップS142の処理が完了すると、図6のステップS116の処理に移行する。ステップS116以降の処理は、上述した処理と同様であるので説明を省略する。
【0070】
以上が、本発明の第1変形例に係るバイオ炭情報管理システム1の動作フローであり、次に、本発明の第2変形例に係るバイオ炭情報管理システム1の動作フローについて、以下に説明する。なお、上述した動作フローと同様部分の説明は省略する。
【0071】
≪第2変形例≫
第2変形例に係るバイオ炭情報管理システム1は、未利用資材5の回収に係る工程を含めたものである。図8に示すように、処理が開始されると、未利用資材5を所有するユーザー2から未利用資材5の回収依頼通知が、情報処理装置30に対して送信される(ステップS50;未利用資材回収依頼ステップ)。
【0072】
続いて、ユーザー2が炭化可能な未利用資材5を所有しているか否かの判定が行われる(ステップS51:未利用資材所有有無判定ステップ)。ステップS51において、ユーザー2が、炭化利用可能な未利用資材5を所有すると判定された場合は、未利用資材5の回収に係るユーザー情報21の入力を受け付ける(ステップS52:第5ユーザー情報取得ステップ)。ステップS52においては、未利用資材5の種類・量や指定回収地に係る情報が取得される。なお、指定回収地に係る情報は、例えば、ユーザー2における位置情報を、GPS等を利用して取得することも可能である。
【0073】
一方、ステップS51において、ユーザー2が、未利用資材の回収のみではないと判定された場合は、ユーザー2におけるバイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21の入力を受け付ける(ステップS152:第6ユーザー情報取得ステップ)。ステップS152においては、未利用資材5の種類・量や納品先住所が取得される。なお、納品先住所は、例えば、ユーザー2における位置情報を、GPS等を利用して取得することも可能である。ステップS152の処理が完了すると、図6に示すステップS116の処理に移行する。ステップS116以降の処理は、上述と同様であるので説明を省略する。
【0074】
ステップS52の処理が完了すると、未利用資材5を炭化したバイオ炭6を要請している(バイオ炭施用ニーズがある)別のユーザー(ユーザー2とは異なる他のユーザー:他ユーザーとも称する)のバイオ炭需要があるか否かの判定が行われる(ステップS53:バイオ炭需要有無判定ステップ)。
【0075】
ステップS53において、他ユーザーによるバイオ炭需要情報24があると判定された場合は、炭化車両情報11及びユーザー情報21に基づくリクエスト情報を基に、炭化車両3の割り当て(配車)が実施される(ステップS54:炭化車両配車ステップ)。
【0076】
一方、ステップS53において、他ユーザーによるバイオ炭需要情報24がないと判定された場合は、未利用資材5の回収要請をしている他ユーザーの端末装置から未利用資材回収リクエスト情報が情報処理装置30に送信される(ステップS154:未利用資材回収リクエスト送信ステップ)。ステップS154以降の処理は、後述する。
【0077】
ステップS54の処理が完了すると、図9に示すように、未利用資材回収リクエスト情報を基に、未利用資材5の回収が指定日時に実施される(ステップS55:未利用資材回収ステップ)。ステップS55においては、未利用資材回収ステップの実行と共に、バイオ炭需要情報24に基づいたマッチング情報を基に、バイオ炭6の提供を要請しているユーザー2(他ユーザー)の元へ炭化車両3が配車される(炭化車両配車ステップ)。また、ユーザー2(他ユーザー)の元に移動した炭化車両3において、未利用資材5の炭化処理が行われ(バイオ炭生成ステップ)、生成されたバイオ炭6がユーザー2(他ユーザー)に提供される(バイオ炭提供ステップ)。すなわち、ステップS55においては、未利用資材回収ステップ、炭化車両配車ステップ、バイオ炭生成ステップ、及びバイオ炭提供ステップが順次実行される。また、ステップS55の処理が完了すると、これらの作業完了通知が情報処理装置30に送信される。
【0078】
ステップS55の処理が完了すると、未利用資材5を所有するユーザー2における端末装置において、未利用資材授受に関する情報が入力・送信されると共に、圃場情報51が、情報処理装置30に送信される(ステップS56:未利用資材受渡ステップ)。続いて、送信された圃場情報51が、情報処理装置30に登録される(ステップS57:作業完了登録ステップ)。ステップS57の処理が完了すると、一連の処理を終了する。なお、ステップS57の処理が完了した後に、ステップS50の処理が実行されるよう、処理を戻してもよい。
【0079】
一方、ステップS55の処理が完了し、バイオ炭6の提供を要請するユーザー2(他ユーザー)が存在する場合には、ユーザー2(他ユーザー)においてバイオ炭施用が行われる。また、ユーザー2(他ユーザー)におけるバイオ炭施用が完了すると、圃場情報51及び作業完了通知が、情報処理装置30に送信される(ステップS156:バイオ炭施用ステップ)。ここで、ステップ56及びステップS156は、並行して処理を行うことができる。
【0080】
続いて、送信された圃場情報51及び作業完了通知が、情報処理装置30に登録される(ステップS57:作業完了登録ステップ)。ステップS57の処理が完了すると、一連の処理を終了する。なお、ステップS57の処理が完了した後に、ステップS50の処理が実行されるよう、処理を戻してもよい。
【0081】
上述したステップ154(図8参照)の処理が完了すると、図10に示すように、炭化事業者が、受信した未利用資材回収リクエスト情報を基に、未利用資材5の回収を実施する(ステップS71:未利用資材回収ステップ)。また、ステップS71の処理が完了すると、炭化事業者は、炭化事業者側端末装置15B等を通じて情報処理装置30に、回収した未利用資材5の保管方法や炭化処理条件情報14等に関する未利用資材管理情報を送信する(ステップS72:未利用資材管理ステップ)。続いて、ステップS72で送信された未利用資材管理情報が情報処理装置30に登録される(ステップS73:未利用資材管理情報登録ステップ)。ステップS73の処理が完了すると、一連の処理を終了する。なお、ステップS73の処理が完了した後に、ステップS50の処理が実行されるよう、処理を戻してもよい。
【0082】
以上が、本発明の第2変形例に係るバイオ炭情報管理システム1の動作フローである。次に、本発明の一実施形態に係るバイオ炭情報管理システム1の作用効果についての詳細を以下に説明する。
【0083】
(1)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、未利用資材5を生成原料としてバイオ炭6を生成する炭化車両3における少なくとも配車情報12を含む炭化車両情報11を取得する炭化車両情報取得部10と、少なくとも一のユーザー2における未利用資材5の提供に関する未利用資材情報22、ユーザー2におけるバイオ炭6の希望炭化処理地に関する希望炭化処理地情報23、及びユーザー2におけるバイオ炭6の需要に関するバイオ炭需要情報24を含むユーザー情報21を取得するユーザー情報取得部20と、情報処理装置30と、を備え、情報処理装置30は、炭化車両情報11及びユーザー情報21に基づいて、希望炭化処理地において未利用資材5の炭化処理を行って希望バイオ炭6を生成すると共に、バイオ炭需要情報24に基づいて、バイオ炭6の提供を要請するユーザー2に対して希望バイオ炭6が提供されるように未利用資材5の炭化処理計画を作成するものとされている。
【0084】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、配車情報12を含む炭化車両情報11及びユーザー情報21に基づいて、希望炭化処理地において未利用資材5の炭化処理を行って希望バイオ炭6を生成することができる。すなわち、上述したバイオ炭情報管理システム1によれば、ユーザー2が希望する希望炭化処理地に炭化車両3を配車することにより、ユーザー2の圃場7の近隣においてバイオ炭6を生成(製炭)できる。そのため、ユーザー2が所有する未利用資材5を製炭地まで移送する負担や、バイオ炭製造者(バイオ炭事業者)がバイオ炭6をユーザー2まで移送する負担を軽減できる。
【0085】
また、バイオ炭情報管理システム1は、ユーザー2におけるバイオ炭需要情報24に基づいて、バイオ炭6の提供を要請するユーザー2に対して希望バイオ炭6が提供されるように未利用資材5の炭化処理計画を作成できる。すなわち、上述したバイオ炭情報管理システム1は、未利用資材5から効率的にバイオ炭6を生成できる炭化処理計画を作成できる。したがって、当該炭化処理計画に基づいてバイオ炭6を生成することにより、未利用資材5の効率的な利用が期待できると共に、バイオ炭6の農地施用の促進が期待できる。
【0086】
(2)本発明のバイオ炭情報管理システム1において、バイオ炭需要情報24は、未利用資材5を提供したユーザー2による需要、及びユーザー2とは異なる他のユーザーの需要いずれか一方又は双方を含むものとされている。
【0087】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、複数のユーザー2間における未利用資材5の調達や複数のユーザー2間におけるバイオ炭6の提供を円滑に調整できる。これにより、上述したバイオ炭情報管理システム1は、効率良く未利用資材5を回収できると共に、各ユーザー2の需要に応じて効率良くバイオ炭6を提供することができる。なお、未利用資材5を提供するユーザー2の圃場7と、ユーザー2とは異なる他のユーザーの圃場7とは、近接した場所に位置することが望ましい。これにより、上述したバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭6の円滑な提供が期待できると共に、未利用資材5の移送距離の低減が期待できる。また、近接した地域の未利用資材5を利用できるので、ユーザー2の圃場7の土壌に適したバイオ炭6の提供が期待できる。
【0088】
(3)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、情報処理装置30が、未利用資材情報22及び炭化車両情報11に基づき、未利用資材5の炭化処理条件を算出するものとされている。
【0089】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、未利用資材5に応じた最適な炭化処理条件を算出できる。これにより、バイオ炭情報管理システム1は、効率良くバイオ炭6を生成するための炭化処理計画を作成できる。
【0090】
(4)本発明のバイオ炭情報管理システム1において、未利用資材情報22は、未利用資材5の量、種類、採取地、及び成分の少なくとも1つを含むものとされている。
【0091】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、未利用資材5の量、種類、採取地、及び成分の少なくとも1つに基づいて、未利用資材5の炭化処理計画を作成できる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システム1は、ユーザー2の圃場7や作物等に適したバイオ炭6を提供することができる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システム1によれば、作物の収穫量向上が期待でき、温室効果ガスの排出量削減効果も期待できる。
【0092】
(5)本発明のバイオ炭情報管理システム1において、未利用資材情報22は、ユーザー2が未利用資材5を所有するか否かの未利用資材有無情報を含むものであり、情報処理装置30は、未利用資材有無情報において、ユーザー2が未利用資材5を所有することを条件として、ユーザー2が所有する未利用資材5を炭化処理に供するように未利用資材5の炭化処理計画を作成するものであり、未利用資材有無情報において、ユーザー2が未利用資材5を所有していないことを条件として、情報処理装置30によって管理された管理未利用資材5を炭化処理に供するように未利用資材5の炭化処理計画を作成するものとされている。
【0093】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、未利用資材5の有無に関わらずユーザー2がバイオ炭6を利用することができる。すなわち、ユーザー2が未利用資材5を所有していない場合は、情報処理装置30によって管理された管理未利用資材5(例えば、他のユーザー2によって提供された未利用資材5)を生成原料としてバイオ炭6を生成し、当該バイオ炭6がユーザー2に対して提供されるように炭化処理計画が作成される。一方、ユーザー2が未利用資材5を所有する場合は、当該未利用資材5を利用した炭化処理計画が作成され、当該炭化処理計画に基づいて、未利用資材5の回収やバイオ炭6の生成が行われる。
【0094】
(6)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭6を保持させる圃場7に関する圃場情報51を取得する圃場情報取得部50を備え、圃場情報51は、圃場7における土壌情報52を含むものであり、情報処理装置30は、土壌情報52が所定の基準値を下回ることを条件として、圃場7を管理するユーザー2に対してバイオ炭6の施用を推奨するバイオ炭施用リクエスト通知54を発信するものとされている。
【0095】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、圃場7の土壌情報52が所定の基準値を下回ることを条件として、自動的にバイオ炭6の提供要請を行うことができる。これにより、ユーザー2におけるバイオ炭情報管理システム1の利用負担が軽減されるので、ユーザー2におけるバイオ炭6の活用が促進される。そのため、上述したバイオ炭情報管理システム1によれば、未利用資材5を有効的に活用でき、温室効果ガスの排出量削減効果が期待できる。
【0096】
(7)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭需要情報24が、バイオ炭施用リクエスト通知54、又はユーザー2の自発的な前記バイオ炭の自己施用通知に基づいて取得されるものとされている。
【0097】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭需要情報24をバイオ炭施用リクエスト通知54に基づいて取得できるので、圃場7の土壌情報52が所定の基準値を下回ることを条件として、自動的にバイオ炭6の提供要請が行われる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システム1は、ユーザー2によるバイオ炭要請に係る負担を低減できる。一方、上述したバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭需要情報24を、ユーザー2による自発的なバイオ炭6の自己施用通知に基づいて取得できるので、ユーザー2は、未利用資材5の在庫やバイオ炭6の需要に応じて、任意のタイミングで未利用資材5の回収要請やバイオ炭6の提供要請を行うことができる。そのため、上述したバイオ炭情報管理システム1によれば、バイオ炭6の利用促進が期待できる。
【0098】
(8)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭6を保持させる圃場7に関する圃場情報51を取得する圃場情報取得部50と、バイオ炭6に係る種類、量、及び施用日時を含むバイオ炭情報41を取得するバイオ炭情報取得部40と、を備え、炭化車両情報11は、未利用資材5を炭化させる際の炭化処理条件に係る炭化処理条件情報14を含むものであり、情報処理装置30は、炭化処理条件情報14、バイオ炭情報41、圃場情報51、及び作物に係る作物情報53を記憶するデータベース部31を備えるものとされている。
【0099】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、炭化処理条件情報14、バイオ炭情報41、圃場情報51、及び作物情報53をデータベース部31に記憶させる(登録する)ことができる。これにより、上述したバイオ炭情報管理システム1は、最適な炭化処理条件で未利用資材5を炭化させてバイオ炭6を生成できるので、効率的に炭素貯留量を増大させることができる。また、上述したバイオ炭情報管理システム1によれば、圃場7や作物の特性に応じて最適なバイオ炭6を提供できるので、作物の収穫量を向上させる効果が期待できる。
【0100】
(9)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、バイオ炭6に係る種類、量、及び施用日時を含むバイオ炭情報41を取得するバイオ炭情報取得部40とバイオ炭6を保持させる圃場7における少なくとも住所情報を取得する圃場情報取得部50と、を備えており、情報処理装置30は、生成されたバイオ炭6に係る炭素貯留量を算出する炭素貯留量算出部32と、バイオ炭6を生成したバイオ炭生成地から圃場7までのバイオ炭6の移送距離を取得するバイオ炭移送距離取得部33と、バイオ炭移送距離取得部33によって取得された移送距離に基づいて、バイオ炭6の移送により排出される排出炭素量を算出する排出炭素量算出部34と、炭素貯留量及び排出炭素量に基づいて、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証の申請に必要な申請情報36を発行する申請情報発行部35と、を備えるものとされている。
【0101】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、バイオ炭6の移送距離を含めた排出炭素量を算出できるので、より精度の高い温室ガスの排出削減量、及び温室ガスの吸収量を算出できる。また、上述したバイオ炭情報管理システム1は、上述の構成とすることにより、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証(例えば、J-クレジット等)の申請に必要な申請情報36(例えば、申請書37、オンラインを通じた電子データ等)を発行できる。そのため、農家等のユーザー2において、容易にJ-クレジット等の認証に係る申請書の発行が行えるので、農家等における手続きの負担が軽減できる。
【0102】
(10)本発明のバイオ炭情報管理システム1は、情報処理装置30が、サーバーとして構成されている。
【0103】
上述したバイオ炭情報管理システム1は、かかる構成とすることにより、サーバーを拠点として、バイオ炭情報管理システム1を一元的に管理することができる。サーバーには、クラウドサーバー等の各種のサーバーを利用することができる。
【0104】
以上が、本発明のバイオ炭情報管理システム1の一実施形態であるが、本発明のバイオ炭情報管理システム1は、上述した実施形態に係るものに限定されるものではなく、様々な変形を行うことができる。
【0105】
本実施形態では、炭化車両3が、軽トラックの荷台に炭化処理装置4を搭載することにより構成されているが、炭化車両3は、軽トラックだけではなく各種の車両を用いることができる。また、炭化処理装置4は、車両の荷台に搭載されているものだけではなく、例えば、トラックや乗用車等で牽引されるものでもよい。また、炭化処理装置4には、各種の処理方式のものが利用できる。また、未利用資材5は、上述した実施形態のものだけではなく、各種のバイオ炭生成原料を利用できる。例えば、未利用資材5には、木材や竹、家畜の排せつ物等が利用できる。また、炭化車両情報11は、各種の配車に関する情報(例えば、車両の形態・大きさ等)や、炭化処理装置4の規模・種類等を含めることができる。本実施形態では、炭化車両情報11に配車情報12を含める構成としたが、配車情報12が炭化車両情報11と別々に設けられていてもよい。また、本実施形態では、炭化車両情報11が、炭化処理条件情報14を含むものとしたが、炭化処理条件情報14は、必要に応じて含めるとよい。
【0106】
また、ユーザー情報21は、未利用資材情報22、希望炭化処理地情報23、及びバイオ炭需要情報24だけには限定されず、バイオ炭6の生成に関する各種の情報のうちの少なくとも一の情報を含めることができる。また、炭化処理計画には、バイオ炭6の生成や未利用資材5の利用等に関する各種の体系のものが作成できる。また、バイオ炭需要情報24には、一又は複数のユーザー2による各種のバイオ炭需要に関する情報を含めることができる。また、ユーザー2は、農家等の個人によるものだけではなく、農協等の団体であってもよい。
【0107】
本実施形態では、情報処理装置30が、未利用資材5の炭化処理条件を算出するものとしたが、炭化処理条件は、必要に応じて算出すればよく、情報処理装置30が未利用資材5の炭化処理条件を算出するものでなくてもよい。また、未利用資材情報22は、未利用資材5の量、種類、採取地、及び成分だけではなく、未利用資材5に関する各種の情報を含めることができる。また、本実施形態では、未利用資材情報22に、未利用資材有無情報が含まれるものを例示したが、未利用資材有無情報は必要に応じて含めればよい。
【0108】
また、本実施形態では、バイオ炭情報管理システム1が、圃場情報51を取得する圃場情報取得部50を備えるものとしたが、圃場情報取得部50は、必要に応じて設ければよい。また、圃場情報51を取得する場合において、圃場情報51には、圃場7に関する各種の情報(住所地、土壌情報、気候等)を含めることができる。
【0109】
また、本実施形態では、情報処理装置30が、データベース部31を備えるものとしたが、データベース部31は、必要に応じて設ければよい。また、データベース部31には、炭化処理条件情報14、バイオ炭情報41、圃場情報51、及び作物情報53を記憶するものとしたが、データベース部31は、上記には限定されず、各種の情報を記憶することができる。
【0110】
また、本実施形態では、炭素貯留量及び排出炭素量に基づいて、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証の申請に必要な申請情報36を発行可能なものとしたが、申請情報36の発行は、電子データによるものや紙媒体などの申請書37等、各種の形態で発行することができる。申請情報36は、例えば、J-クレジット等の温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る各種の認証を含めることができる。
【0111】
本実施形態では、情報処理装置30がサーバーとして構成されているが、本発明は、これには限定されず、各種のコンピュータ(例えば、端末装置)を利用できる。また、情報処理装置30は、サーバーとして構成する場合、仮想サーバー(例えば、クラウドサーバー)や、物理サーバー等、各種のサーバーを利用できる。また、情報処理装置30は、各所に配置することができる。例えば、情報処理装置30が、炭化事業者に配置されていてもよい。
【0112】
以上が、本発明に係るバイオ炭情報管理システム1の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明のバイオ炭情報管理システムは、炭化車両を利用したバイオ炭の製炭管理や、麦わら・稲わら・もみ殻等の未利用資材の管理に利用することができる。また、本発明のバイオ炭情報管理システムは、温室効果ガスの排出削減量、及び温室効果ガスの吸収量に係る認証(例えば、J-クレジット)の申請に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1:バイオ炭情報管理システム
2:ユーザー
3:炭化車両
4:炭化処理装置(バイオ炭製造装置)
5:未利用資材(管理未利用資材)
6:バイオ炭(希望バイオ炭)
7:圃場
10:炭化車両情報取得部
11:炭化車両情報
14:炭化処理条件情報
20:ユーザー情報取得部
21:ユーザー情報
22:未利用資材情報
23:希望炭化処理地情報
24:バイオ炭需要情報
30:情報処理装置
31:データベース部
32:炭素貯留量算出部
33:バイオ炭移送距離取得部
34:排出炭素量算出部
35:申請情報発行部
40:バイオ炭情報取得部
41:バイオ炭情報
50:圃場情報取得部
51:圃場情報
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