(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172291
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】板金構造体および板金部材の接合方法
(51)【国際特許分類】
F16B 4/00 20060101AFI20241205BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241205BHJP
B21D 39/03 20060101ALI20241205BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F16B4/00 N
G03G15/00 550
F16B4/00 G
B21D39/03 B
G03G21/16 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089899
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 準悟
(72)【発明者】
【氏名】上西 里奈
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA07
2H171GA25
2H171GA32
2H171HA02
2H171HA17
2H171HA22
2H171HA27
2H171PA02
2H171PA12
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171UA02
2H171UA14
(57)【要約】
【課題】複数の板金部材をカシメ方法により接合する際に接合強度を確保するとともに、カシメ用治具の寿命も延長可能な板金構造体および板金部材の接合方法を提供する。
【解決手段】板金構造体は、第1板金部材と、複数の第2板金部材と、が、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理により接合されてなる。第2板金部材は、第1板金部材に略垂直に連結される。複数の前記第2板金部材は、それぞれ平板状の本体部と、折曲部と、を有する。折曲部は、本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される。第2板金部材の少なくとも一つは、カシメ処理によって第1板金部材と接合する際のカシメ深さおよびカシメ径の少なくとも一方が他の第2板金部材と異なる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板金部材と、
前記第1板金部材に略垂直に連結される複数の第2板金部材と、
が、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理により接合されてなる板金構造体であって、
複数の前記第2板金部材は、それぞれ
平板状の本体部と、
前記本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、前記第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される折曲部と、
を有し、
前記第2板金部材の少なくとも一つは、前記カシメ処理によって前記第1板金部材と接合する際のカシメ深さおよびカシメ径の少なくとも一方が他の前記第2板金部材と異なることを特徴とする板金構造体。
【請求項2】
複数の前記第2板金部材は厚みが同一であり、複数の前記第2板金部材のうち前記第1板金部材との接合に要求される接合強度が大きい前記第2板金部材は、他の前記第2板金部材に比べて前記カシメ深さが深いことを特徴とする請求項1に記載の板金構造体。
【請求項3】
前記第1板金部材と前記接合強度が大きい前記第2板金部材とが前記カシメ処理によって接合された後のカシメ固定部の厚みを基準値f1とするとき、他の前記第2板金部材の前記カシメ固定部の厚みf2は、基準値f1よりも圧縮度合いが10%減少するように前記カシメ深さが設定されることを特徴とする請求項2に記載の板金構造体。
【請求項4】
複数の前記第2板金部材のうち少なくとも一つは、他の前記第2板金部材と厚みが異なっており、
複数の前記第2板金部材のうち他の前記第2板金部材と比べて厚みが小さい前記第2板金部材は、前記カシメ処理によって前記第1板金部材と接合する際の前記カシメ径が他の前記第2板金部材よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の板金構造体。
【請求項5】
前記第1板金部材として、所定の間隔を隔てて対向配置される一対の側面フレームと、
前記第2板金部材として、一対の前記側面フレームの間に橋渡し状に連結される連結フレームと、
を含む、画像形成装置の本体フレームであることを特徴とする請求項1に記載の板金構造体。
【請求項6】
前記連結フレームは、前記画像形成装置内部の複数のユニットを支持し、
重量の大きい前記ユニットを支持する前記連結フレームは、他の前記連結フレームに比べて前記カシメ深さが深いことを特徴とする請求項5に記載の板金構造体。
【請求項7】
第1板金部材と、
前記第1板金部材に略垂直に連結される複数の第2板金部材と、
を、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理によって接合する板金構造体の組み立て方法であって、
複数の前記第2板金部材は、それぞれ
平板状の本体部と、
前記本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、前記第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される折曲部と、
を有し、
複数の前記第2板金部材は厚みが同一であり、複数の前記第2板金部材のうち、前記第1板金部材との接合に要求される接合強度が大きい前記第2板金部材は、他の前記第2板金部材に比べて前記カシメ深さを深くして前記カシメ処理を施すことを特徴とする板金構造体の組み立て方法。
【請求項8】
第1板金部材と、
前記第1板金部材に略垂直に連結される複数の第2板金部材と、
を、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理によって接合する板金構造体の組み立て方法であって、
複数の前記第2板金部材は、それぞれ
平板状の本体部と、
前記本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、前記第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される折曲部と、
を有し、
複数の前記第2板金部材のうち少なくとも一つは、他の前記第2板金部材と厚みが異なっており、
複数の前記第2板金部材のうち他の前記第2板金部材と比べて厚みが小さい前記第2板金部材は、前記カシメ処理によって前記第1板金部材と接合する際のカシメ径を他の前記第2板金部材よりも大きくし、カシメ深さを他の前記第2板金部材と同一にして、同時に前記カシメ処理を施すことを特徴とする板金構造体の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板金部材をカシメによって機械的に接合した板金構造体、および板金部材の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の板金部材を接合する方法として、トックス(TOX)カシメ方法が知られている。トックスカシメ方法は、2枚の金属板を凸型と凹型の金型により挟み込んで圧縮するものである。凹型の底面の円周には溝が設けてあり、凸型側の金属板が溝に沿って円周の外側に張り出すことにより、2枚の金属板が固着される。
【0003】
トックスカシメ方法は、ビス固定が困難な薄肉の板金部材や、スポット溶接が困難な材料に用いられる。トックスカシメ方法は金属板をせん断しないので、表面処理鋼板におけるせん断面からの錆の進行を防止できることから広く用いられている。
【0004】
例えば特許文献1には、凸型金型側の金属板をあらかじめ凸型金型に合わせた絞りを設けることにより、金属板の厚みが薄くならず、また張り出し部も大きくなり、カシメ強度のUPと高信頼性が図れるカシメ方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ステンレス鋼板またはZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板を原板とし、その少なくとも片面に潤滑剤含有樹脂塗膜が形成された金属板を重ねて可動ダイ上に載置し、パンチで塑性変形させながらアンビルの上面に押し込み、可動ダイを横方向に逃がして金属板の上面変形と同時に下面も塑性変形させてロック部を形成するかしめ接合方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-310109号公報
【特許文献2】特開2005-8953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トックスカシメ方法を用いて板金部材を接合する場合、カシメ深さを深くすると2枚の板金部材の掛り量(絞り量)が大きくなるため接合強度が大きくなる。一方、カシメ深さを深くするとカシメ用治具(金型)に加わる圧力が大きくなるため、カシメ用治具の摩耗が顕著になる。そのため、全ての接合箇所において同一の深さでカシメ処理を行うと、カシメ用治具の耐用期間(寿命)が短くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、複数の板金部材をカシメ方法により接合する際に要求される接合強度を確保するとともに、カシメ用治具の摩耗を最小限に抑えることで寿命も延長可能な板金構造体および板金部材の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、第1板金部材と、複数の第2板金部材と、が、凸型と凹型の金型で挟み込むカシメ処理により接合されてなる板金構造体である。第2板金部材は、第1板金部材に略垂直に連結される。複数の前記第2板金部材は、それぞれ平板状の本体部と、折曲部と、を有する。折曲部は、本体部の端縁を略垂直に折り曲げて形成され、第1板金部材に重ね合わせてカシメ処理が施される。第2板金部材の少なくとも一つは、カシメ処理によって第1板金部材と接合する際のカシメ深さおよびカシメ径の少なくとも一方が他の第2板金部材と異なる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、接合強度の必要な第2板金部材ではカシメ深さを深くして適切なカシメ強度を確保することができる。また、接合強度が最も必要な箇所と比較して接合強度が小さい第2板金部材では、カシメ深さを浅くしてカシメ用治具の摩耗を抑制し、寿命を延長することができる。また、第2板金部材の厚みが薄い場合はカシメ径を大きくすることで、カシメ深さを深くすることなく第1板金部材と第2板金部材の接合強度を確保することができる。つまり、必要強度に応じたカシメ深さやカシメ径を選定することで、品質を確保するとともにカシメ用治具の摩耗を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る本体フレーム101を備えた画像形成装置100の概略断面図
【
図3】側面フレーム102と第1連結フレーム103の連結部分を側面フレーム102に垂直な方向から見た側面図
【
図4】側面フレーム102と第1連結フレーム103をカシメ固定する様子を上方から見た平面図
【
図5】本発明の第1実施形態に係る本体フレーム101の、側面フレーム102と第1連結フレーム103のカシメ固定部113の断面図
【
図6】第1実施形態の本体フレーム101の、側面フレーム102と第3連結フレーム105のカシメ固定部113の断面図
【
図7】本発明の第2実施形態に係る本体フレーム101の、側面フレーム102と第1連結フレーム103のカシメ固定部113の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る本体フレーム101を備えた画像形成装置100の構成を示す概略図である。
【0013】
図1に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンターであり、以下のような構成になっている。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像を順次形成する。
【0014】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dが配設されている。さらに
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において記録媒体の一例としての用紙S上に一度に転写される。
【0015】
トナー像が転写される用紙Sは、画像形成装置100の本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。
【0016】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、メインモーター(図示せず)により感光体ドラム1a~1dの回転が開始され、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5から出射されたビーム光(レーザー光)によって感光体ドラム1a~1dの表面を光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。
【0017】
現像装置3a~3dには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。現像装置3a~3dにより現像剤中のトナーが感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することで静電潜像をトナー像に現像する。なお、各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。
【0018】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0019】
ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー10の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8の表面に残存したトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。
【0020】
定着部13に搬送された用紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が用紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面印字された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0021】
図2は、画像形成装置100を構成する本体フレーム101の斜視図である。なお、説明の便宜のため、
図2では本体フレーム101を透過状態で示している。本体フレーム101は、一対の側面フレーム102と、第1連結フレーム103、第2連結フレーム104、第3連結フレーム105とを有する。
【0022】
側面フレーム102は、画像形成装置100の前面側(
図1の紙面手前側)および背面側(
図1の紙面奥側)に対向配置される板金部材(第1板金部材)である。第1連結フレーム103、第2連結フレーム104、第3連結フレーム105は、それぞれ一対の側面フレーム102の間に橋渡し状に固定される板金部材(第2板金部材)である。
【0023】
第1連結フレーム103~第3連結フレーム105は、それぞれ長手方向の両端部を略垂直に折り曲げて形成された折曲部110を有する。折曲部110を一対の側面フレーム102の内側面に接触させた状態でカシメ処理を施すことにより、第1連結フレーム103~第3連結フレーム105が一対の側面フレーム102の間に橋渡し状に連結される。
【0024】
図3は、側面フレーム102と第1連結フレーム103の連結部分を側面フレーム102に垂直な方向から見た側面図である。なお、
図3は第1連結フレーム103の長手方向の一端側(
図2の紙面奥側)の連結部分を図示しているが、第1連結フレーム103の長手方向の他端側(
図2の紙面手前側)の連結部分についても、左右対称である以外は
図3と同様の構成である。
【0025】
図3に示すように、第1連結フレーム103は、平板状の本体部103aと、本体部103aの長手方向の両端部に形成される折曲部110とを有する。本体部103aは、側面視クランク状に屈曲している。折曲部110は、本体部103aのそれぞれの屈曲部分に形成される第1折曲部110a、第2折曲部110b、第3折曲部110cを含む。
【0026】
第1折曲部110aには、第1位置決め穴111および第2位置決め穴112が形成されている。第1位置決め穴111は丸穴であり、側面フレーム102の内面に突出する第1位置決め突起102aに嵌合することで、側面フレーム102に対する第1連結フレーム103の位置決めを行う。第2位置決め穴112は水平方向に延びる長穴であり、側面フレーム102の内面に突出する第2位置決め突起102bに嵌合することで、第1連結フレーム103の回転を規制する。
【0027】
第1折曲部110a~第3折曲部110cには、カシメ固定部113が形成されている。カシメ固定部113は、カシメ用治具130(
図4参照)を用いて側面フレーム102と第1折曲部110a~第3折曲部110cとを挟み込んで圧縮することにより形成される。
【0028】
第1折曲部110aおよび第3折曲部110cは、
図3の上方向に向かって折り曲げられている。第2折曲部110bは、
図3の右方向に向かって折り曲げられている。即ち、第1折曲部110a~第3折曲部110cは、それぞれ側面フレーム102の外側(端縁102cに近い側)に向かって折り曲げられている。
【0029】
図4は、側面フレーム102と第1連結フレーム103をカシメ固定する様子を上方から見た平面図である。なお、説明の便宜のため、
図4では第2折曲部110bおよび第3折曲部110cと側面フレーム102の端縁102cとの距離を実際よりも近づけて記載している。
【0030】
カシメ用治具130は、ポンチ(凸型)131とダイ(凹型)132とを有する。ポンチ131は円柱状であり、駆動源(図示せず)によってダイ132に圧接される。ダイ132は、ポンチ131が挿入される有底円筒状の受け部(図示せず)を有する。受け部の底面の周縁部には溝が形成されている。
【0031】
側面フレーム102と第2連結フレーム103とをカシメ固定する場合、先ず、
図3に示したように、一対の側面フレーム102の内面に形成された第1位置決め突起102a、第2位置決め突起102bを、それぞれ第1連結フレーム103の第1折曲部110aに形成された第1位置決め穴111、第2位置決め穴112に挿入する。これにより、一対の側面フレーム102に対して第1連結フレーム103が位置決めされる。
【0032】
次に、
図4に示すように、第1折曲部110a~第3折曲部110c側にダイ(凹型)132を配置し、駆動源(図示せず)によって側面フレーム102側からポンチ131を打ち込む。これにより、側板フレーム102および第1折曲部110a~第3折曲部110cがポンチ131とダイ132に挟み込まれて変形し、ダイ132の受け部に形成された溝に沿って円周の外側に張り出すことにより、側面フレーム102と第1連結フレーム103が接合される。
【0033】
以上、側面フレーム102と第1連結フレーム103とをカシメ固定する手順について説明したが、側面フレーム102と第2連結フレーム104、第3連結フレーム105とをカシメ固定する手順についても全く同様に説明される。
【0034】
図5は、本発明の第1実施形態に係る本体フレーム101の、側面フレーム102と第1連結フレーム103のカシメ固定部113の断面図である。
図6は、第1実施形態の本体フレーム101の、側面フレーム102と第3連結フレーム105のカシメ固定部113の断面図である。
図5および
図6を用いて、カシメ用治具130を用いてカシメ処理を行う際の、カシメ深さと接合強度の関係について説明する。
【0035】
図5および
図6に示すように、側面フレーム102と第1連結フレーム103の折曲部110(第1~第3折曲部110a~110c)とを接合するカシメ固定部113のカシメ深さ(ポンチ131の押し込み量)d1は、側面フレーム102と第3連結フレーム105の折曲部110とを接合するカシメ固定部113のカシメ深さd2よりも深い。
【0036】
また、カシメ深さを深くすると、二枚の金属板をカシメ固定した際の掛り量(絞り量)が大きくなる。そのため、側面フレーム102と第1連結フレーム103の掛り量(絞り量)h1は、側面フレーム102と第3連結フレーム105の掛り量(絞り量)h2よりも大きい。その結果、側面フレーム102に対する第1連結フレーム103の接合強度(カシメ強度)は第3連結フレーム105に比べて大きくなる。
【0037】
一方、カシメ深さを深くすると、カシメ処理時にカシメ用治具130に加わる圧力が大きくなるため、カシメ用治具130の摩耗速度は早くなる。カシメ深さを浅くすると、カシメ処理時にカシメ用治具130に加わる圧力が小さくなるため、カシメ用治具130の摩耗速度は遅くなる。
【0038】
本実施形態では、接合強度を強くする必要がある箇所ではカシメ深さを深くして接合強度を大きくする。具体的には、重量の大きい定着部13(
図1参照)を支持する第1連結フレーム103では、カシメ深さd1を深くする。一方、最も接合強度が必要な箇所と比較して接合強度を強くする必要がない第3連結フレーム105ではカシメ深さd2を浅くする。
【0039】
また、ここでは図示しないが、第2連結フレーム104は、重量が大きく位置精度も要求される露光装置5(
図1参照)を支持するため、第1連結フレーム103と同様にカシメ深さd1を深くする。
【0040】
なお、適切なカシメ強度を確保するためのカシメ深さ(基準値)は、接合する金属板の厚みによって決まっている。カシメ深さの基準値は、カシメ処理を行った後の二枚の金属板の厚みfで表される。即ち、カシメ深さが深くなるほど厚みfは小さくなる。例えば、カシメ深さd1のときの厚みf1を基準値とすると、カシメ深さd2のときの厚みf2は、f1よりも圧縮度合いが10%減少する程度に設定される。
【0041】
本実施形態の構成によれば、接合強度の必要な第1連結フレーム103、第2連結フレーム104ではカシメ深さを深くして適切なカシメ強度を確保することができる。また、接合強度がそれほど必要でない第3連結フレーム105ではカシメ深さを浅くしてカシメ用治具130の摩耗を抑制し、寿命を延長することができる。
【0042】
図7は、本発明の第2実施形態に係る本体フレーム101の、側面フレーム102と第1連結フレーム103のカシメ固定部113の断面図である。本実施形態では、第1連結フレーム103の厚みが、第2連結フレーム104、第3連結フレーム105に比べて薄い場合について説明する。
【0043】
適切なカシメ強度を確保するためのカシメ深さの基準値は、接合対象となる金属板の厚みによって異なる。より詳細には、カシメ深さを深くして掛り量を(絞り量)大きくし、接合強度を大きくする必要がある。
【0044】
そのため、本実施形態のように第1連結フレーム103の厚みが第2連結フレーム104、第3連結フレーム105に比べて薄い場合は、側面フレーム102と第1連結フレーム103とを接合するカシメ固定部113のカシメ深さを、側面フレーム102と第2連結フレーム104、第3連結フレーム105とを接合するカシメ固定部113のカシメ深さに比べて深くする必要がある。
【0045】
しかし、第1連結フレーム103のカシメ深さだけを他に比べて深くすると、第1連結フレーム103~第3連結フレーム105のカシメ処理を同一のカシメ深さで同時に(一工程で)行うことができない。そこで、本実施形態では、
図7に示すように、第1連結フレーム103にカシメ処理を行う際のカシメ深さは変えずに、カシメ径(ポンチ131の外径)r2を、第2連結フレーム104、第3連結フレーム105にカシメ処理を行う際のカシメ径r1(
図5参照)に比べて大きくしている。
【0046】
これにより、第1連結フレーム103の厚みが薄い場合であっても、カシメ深さを深くすることなく、側面フレーム102と第1連結フレーム103の掛り量(絞り量)h1を大きくして接合強度を確保することができる。従って、第1連結フレーム103~第3連結フレーム105のカシメ処理を同一のカシメ深さで同時に(一工程で)行うことができ、本体フレーム101の組み立て工数を削減することができる。カシメ径r2は、第1連結フレーム103の厚みに応じて適宜設定すればよい。
【0047】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第1実施形態では必要な接合強度に応じてカシメ深さを変更し、第2実施形態では必要な接合強度に応じてカシメ径を変更しているが、カシメ深さおよびカシメ径の両方を変更することもできる。
【0048】
また、第1実施形態では第1連結フレーム103および第2連結フレーム104と第3連結フレーム105とでカシメ深さを2段階に変更したが、要求される接合強度に応じてカシメ深さを3段階以上に変更してもよい。第2実施形態では第1連結フレーム103と第2連結フレーム104および第3連結フレーム105とでカシメ径を2段階に変更したが、側面フレーム102に接合される連結フレームの個数および厚みに応じてカシメ径を3段階以上に変更してもよい。
【0049】
また、上記各実施形態では画像形成装置100の本体フレーム101を構成する側面フレーム102と第1連結フレーム103~第3連結フレーム105とのカシメ固定について説明したが、画像形成装置以外の他の電子機器のフレームにも同様に適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
100 画像形成装置
101 本体フレーム(板金構造体)
102 側面フレーム(第1板金部材)
103 第1連結フレーム(第2板金部材)
104 第2連結フレーム(第2板金部材)
105 第3連結フレーム(第2板金部材)
110 折曲部
111 第1位置決め穴
112 第2位置決め穴
113 カシメ固定部
130 カシメ用治具
131 ポンチ
132 ダイ