(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172305
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】光ファイバの曲げ付与装置および光ファイバの曲げ損失測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20241205BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01M11/02 J
G02B6/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089927
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 仁広
(72)【発明者】
【氏名】畑中 智祥
【テーマコード(参考)】
2G086
【Fターム(参考)】
2G086KK01
(57)【要約】
【課題】光パワーの測定誤差が小さくなるような、作業が面倒にならない光ファイバの曲げ付与装置および光ファイバの曲げ損失測定装置を提供する。
【解決手段】
本開示の曲げ付与装置は、光ファイバが巻き付けられることで、光ファイバに曲げを付与するように構成されているマンドレルと、光ファイバをマンドレルに案内しつつ、マンドレルの軸線回りを周回するように構成されているガイドローラと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバが巻き付けられることで、前記光ファイバに曲げを付与するように構成されているマンドレルと、
前記光ファイバを前記マンドレルに案内しつつ、前記マンドレルの軸線回りを周回するように構成されているガイドローラと、を備える、
光ファイバの曲げ付与装置。
【請求項2】
前記ガイドローラは、前記光ファイバにおける前記ガイドローラよりも上流部分と前記ガイドローラよりも下流部分とを、前記マンドレルに同時に巻き付けるように周回する、
請求項1に記載の光ファイバの曲げ付与装置。
【請求項3】
前記ガイドローラは、前記ガイドローラの回転軸線回りに形成され、前記光ファイバを案内する走行面を有し、
前記走行面の外径は、前記マンドレルの外径よりも大きい、
請求項1に記載の光ファイバの曲げ付与装置。
【請求項4】
前記マンドレルの半径方向に突出するように前記ガイドローラを回転自在に支持するアームと、
前記アームを回転させるモータと、を備え、
前記アームの回転により、前記ガイドローラは前記マンドレルの軸線回りを周回可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの曲げ付与装置。
【請求項5】
前記光ファイバが案内される位置で前記マンドレルを保持するマンドレル保持部と、
前記マンドレル保持部とは異なる位置に設けられ、互いに外径が異なる少なくとも2本以上の前記マンドレルを保管可能なマンドレル保管部と、
前記マンドレル保持部に保持されていた前記マンドレルを前記マンドレル保管部に移動させ、前記マンドレル保管部に保管されていた前記マンドレルを前記マンドレル保持部に移動させる搬送部と、を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの曲げ付与装置。
【請求項6】
前記光ファイバを前記ガイドローラに向けて繰り出す繰り出し部を備え、
前記繰り出し部は、繰り出される前記光ファイバの張力が一定となるように制御される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの曲げ付与装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの曲げ付与装置と、
前記光ファイバに光を入射させる光源と、
前記光ファイバの内部を通過して前記光ファイバから出射する光のパワーを測定する受光器と、を備える、
光ファイバの曲げ損失測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバの曲げ付与装置および光ファイバの曲げ損失測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
曲げ損失特性は、光ファイバの基本的な特性の一つである。国際規格ITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization sector)の勧告G.652には、汎用的なシングルモード光ファイバ(SMF:Single Mode Fiber)の特性が記され、同勧告G.657には、低曲げ損失シングルモード光ファイバの特性が記されている。
【0003】
曲げ損失は、曲げた光ファイバに対する光の減衰で求められる。例えば、特許文献1には、光ファイバ全長にわたる曲げ損失を求める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、光ファイバを繰り出している状態で光ファイバに曲げを付与して曲げ損失を求めている。これでは、マンドレルに対する光ファイバの位置が随時変わるため、測定バラツキが大きくなる場合がある。そこで、測定バラツキが大きくならない曲げ損失の測定手法が望まれる。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の技術では、作業者がマンドレルに光ファイバを引掛ける必要があり、作業が面倒である。このため、作業が面倒にならない曲げ損失の測定手法も望まれる。
【0007】
本開示は、光パワーの測定誤差が小さくなるような、作業が面倒にならない光ファイバの曲げ付与装置および光ファイバの曲げ損失測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る光ファイバの曲げ付与装置は、
光ファイバが巻き付けられることで、前記光ファイバに曲げを付与するように構成されているマンドレルと、
前記光ファイバを前記マンドレルに案内しつつ、前記マンドレルの軸線回りを周回するように構成されているガイドローラと、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る光ファイバの曲げ損失測定装置は、
上記の曲げ付与装置と、
前記光ファイバに光を入射させる光源と、
前記光ファイバの内部を通過して前記光ファイバから出射する光のパワーを測定する受光器と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光パワーの測定誤差が小さくなるような、作業が面倒にならない光ファイバの曲げ付与装置および光ファイバの曲げ損失測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光ファイバの曲げ損失測定装置の模式図である。
【
図2】
図2は、マンドレルに光ファイバが巻き付けられる様子を例示する図である。
【
図3】
図3は、マンドレルに光ファイバが巻き付けられる様子を例示する図である。
【
図4】
図4は、マンドレルに光ファイバが巻き付けられる様子を例示する図である。
【
図5】
図5は、マンドレルに光ファイバが巻き付けられる様子を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の実施形態の説明)
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る光ファイバの曲げ付与装置は、
(1)光ファイバが巻き付けられることで、前記光ファイバに曲げを付与するように構成されているマンドレルと、
前記光ファイバを前記マンドレルに案内しつつ、前記マンドレルの軸線回りを周回するように構成されているガイドローラと、を備える。
上記構成によれば、光ファイバがマンドレルに巻かれるため、光ファイバの曲率が大きくばらつかないように光ファイバに曲げが付与される。また、ガイドローラによって光ファイバが案内されるので、マンドレルに対する光ファイバの巻き付け位置を安定させながら効率的に曲げを付与できる。これにより、光ファイバに曲げが付与された際に、光ファイバに捻りが発生することが抑制されるので、曲げ損失の測定誤差が小さくなるように光ファイバに曲げを付与する曲げ付与装置が提供される。
【0013】
(2)上記(1)に係る光ファイバの曲げ付与装置において、
前記ガイドローラは、前記光ファイバにおける前記ガイドローラよりも上流部分と前記ガイドローラよりも下流部分とを、前記マンドレルに同時に巻き付けるように周回してもよい。
上記構成によれば、光ファイバの上流部分と下流部分とがマンドレルに同時に巻き付けられるので、曲げ付与のために光ファイバをマンドレルに巻き付ける作業が効率的となる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)に係る光ファイバの曲げ付与装置において、
前記ガイドローラは、前記ガイドローラの回転軸線回りに形成され、前記光ファイバを案内する走行面を有し、
前記走行面の外径は、前記マンドレルの外径よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、ガイドローラにおける光ファイバの曲率がマンドレルよりも小さくなるので、ガイドローラによる光ファイバの曲げの影響を小さくして、マンドレルによって付与された光ファイバの曲げの影響を大きくすることができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに係る光ファイバの曲げ付与装置において、
前記マンドレルの半径方向に突出するように前記ガイドローラを回転自在に支持するアームと、
前記アームを回転させるモータと、を備え、
前記アームの回転により、前記ガイドローラは前記マンドレルの軸線回りを周回可能であってもよい。
上記構成によれば、アームの回転により、ガイドローラはマンドレルの軸線回りを周回する。ガイドローラが光ファイバをマンドレルに案内しつつ、アームが回転することにより、マンドレルに光ファイバが巻き付けられる。これにより、光ファイバの曲げの付与に要する作業員の労力および時間が低減される。
【0016】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに係る光ファイバの曲げ付与装置において、
前記光ファイバが案内される位置で前記マンドレルを保持するマンドレル保持部と、
前記マンドレル保持部とは異なる位置に設けられ、互いに外径が異なる少なくとも2本以上の前記マンドレルを保管可能なマンドレル保管部と、
前記マンドレル保持部に保持されていた前記マンドレルを前記マンドレル保管部に移動させ、前記マンドレル保管部に保管されていた前記マンドレルを前記マンドレル保持部に移動させる搬送部と、を備えてもよい。
上記構成によれば、マンドレル保持部に保持されていたマンドレルをマンドレル保管部に移動させ、マンドレル保管部に保管されていたマンドレルをマンドレル保持部に移動させることができる。これにより、曲げ付与のために複数のマンドレルが用いられる場合であっても、光ファイバの曲げの付与に要する作業員の労力および時間が低減される。
【0017】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに係る光ファイバの曲げ付与装置において、
前記光ファイバを前記ガイドローラに向けて繰り出す繰り出し部を備え、
前記繰り出し部は、繰り出される前記光ファイバの張力が一定となるように制御されてもよい。
上記構成によれば、繰り出される光ファイバの張力が一定となるので、マンドレルに巻かれた光ファイバの張力のばらつきが抑制される。この状態で曲げ損失の測定が行われると、曲げ損失の測定精度が向上する。
【0018】
本開示の一態様に係る光ファイバの曲げ損失測定装置は、
(7)上記(1)から(6)のいずれかに係る光ファイバの曲げ付与装置と、
前記光ファイバに光を入射させる光源と、
前記光ファイバの内部を通過して前記光ファイバから出射する光のパワーを測定する受光器と、を備える。
上記構成によれば、光ファイバがマンドレルに巻かれるため、光ファイバの曲率が大きくばらつかないように光ファイバに曲げが付与される。このため、光ファイバに曲げが付与された際に、光ファイバに撚りが発生することが抑制される。また、上記の曲げ損失測定装置は、マンドレルに光ファイバが巻かれた状態で、光ファイバの曲げ損失を測定できる。これにより、曲げ損失の測定誤差が小さくなるような光ファイバの曲げ損失測定装置が提供される。
【0019】
(本開示の実施形態の詳細)
本開示の実施形態に係る光ファイバの曲げ付与装置および光ファイバの曲げ損失測定装置の具体例を、以下に図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「上下方向」、「左右方向」、および「前後方向」について適宜言及する。ここで、「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。以降に説明する図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。また、水平方向とは、上下方向に対して垂直な方向を示している。
【0021】
図1は、本実施形態に係る光ファイバの曲げ損失測定装置1の模式図である。曲げ損失測定装置1は、光ファイバGの内部に光を入射させて、光ファイバにおける曲げ損失を測定するように構成されている。
【0022】
曲げ損失測定装置1は、光ファイバの曲げ付与装置100、受光器200、および、光源300を備えている。曲げ付与装置100は、光ファイバGの曲げ損失測定時において、適切な曲げを光ファイバに付与するように構成されている。光源300は、光ファイバGに光を入射させるように構成されている。受光器200は、光ファイバの内部を通過して光ファイバから出射する光のパワーを測定するように構成されている。
【0023】
曲げ付与装置100は、マンドレル110、マンドレル保持部115、ガイドローラ120、アーム130、モータ131、第一ローラR1、第二ローラR2、繰り出し部140、および昇降運搬機150を備えている。
【0024】
本実施形態の曲げ付与装置100においては、マンドレル110として、第一マンドレル111、第二マンドレル112、および第三マンドレル113の3種類のマンドレルが使用されうる。第一マンドレル111、第二マンドレル112、および第三マンドレル113は、円柱形状であり、光ファイバGが巻き付けられることで、光ファイバGに曲げを付与するように構成されている。
【0025】
第一マンドレル111、第二マンドレル112、および第三マンドレル113は、互いに異なる外径を有している。本実施形態においては、第一マンドレル111は、第二マンドレル112よりも小さい外径を有している。第二マンドレル112は、第三マンドレル113よりも小さい外径を有している。
【0026】
マンドレル保持部115は、光ファイバGが案内される位置でマンドレル110を保持するように構成されている。マンドレル保持部115は、マンドレル110の軸線Xが水平となるように、マンドレル110を保持するように構成されている。本実施形態においては、マンドレル保持部115は、軸線Xが左右方向に沿うように、マンドレル110を保持可能である。マンドレル保持部115は、例えば、マンドレル110の一部を把持することで、マンドレルを保持するように構成されてもよい。
【0027】
ガイドローラ120は、光ファイバGをマンドレル110に案内しつつ、マンドレル110の軸線X回りを周回するように構成されている。
【0028】
ガイドローラ120は、ガイドローラ120の回転軸線Y回りに形成され、光ファイバGを案内する走行面120aを備えている。ガイドローラ120は、回転軸線Yがマンドレル110の軸線Xと平行となるように設けられている。走行面120aの外径DG(
図2参照)は、マンドレル110の外径よりも大きいことが望ましい。本実施形態の例示であれば、最も外径が大きいマンドレル110は第三マンドレル113であるから、走行面120aの外径DGは、第三マンドレルの外径D3(
図6参照)よりも大きいことが望ましい。
【0029】
アーム130は、マンドレル110の左方に設けられている。アーム130は、マンドレル110の半径方向に突出している。アーム130は、ガイドローラ120を回転自在に支持している。
【0030】
モータ131は、アーム130を回転させるためのアクチュエータである。モータ131によってアーム130が回転することにより、ガイドローラ120は、マンドレル110の軸線X周りを周回可能に構成されている。アーム130は、回転すると同時に軸線Xに沿う方向、つまり、左右方向に変位するように構成されていてもよい。アーム130が軸線Xに沿う方向に変位するように構成されている場合、アーム130はモータ131とともに軸線Xに沿う方向に変位してもよく、アーム130だけが軸線Xに沿う方向に変位してもよい。
【0031】
本実施形態において、第一ローラR1および第二ローラR2(
図2参照)は、マンドレル110の上方に設けられている。第一ローラR1および第二ローラR2は、ガイドローラ120に光ファイバGを案内するように構成されている。
【0032】
繰り出し部140は、ダンサローラR3,R4、繰り出しボビン141、および制御部142を備えている。ダンサローラR3,R4は、光ファイバGにかかる張力の変動を抑制するように構成されている。
【0033】
繰り出しボビン141は、曲げが付与される予定の光ファイバGが巻かれている。繰り出しボビン141は、光ファイバGをガイドローラ120に向けて繰り出すように構成されている。繰り出しボビン141は、その回転速度を制御部142によって調整されるように構成されている。これにより、繰り出しボビン141は、繰り出される光ファイバGの張力が一定となるように制御される。
【0034】
昇降運搬機150は、光ファイバGが案内されるマンドレル110を交換可能に構成されている。昇降運搬機150の詳細な説明は後述する。
【0035】
光ファイバGは、所定の測定長となるように定められた長さの光ファイバGが繰り出しボビン141に巻かれて用意される。光ファイバGにおける2つの端部のうちの第一の端部は、繰り出しボビン141から繰り出されて、ダンサローラR3,R4、第二ローラR2、ガイドローラ120、第一ローラR1、を経て受光器200に接続されている。光ファイバGにおける2つの端部のうちの第二の端部は、光源300に接続されている。
【0036】
ガイドローラ120は、光ファイバGにおけるガイドローラ120よりも上流部分G1と、光ファイバGにおける、ガイドローラ120よりも下流部分G2と、をマンドレル110に案内するように構成されている。光ファイバGにおける上流部分G1は、ガイドローラ120から受光器200までの光ファイバを示している。光ファイバGにおける下流部分G2は、ガイドローラ120から光源300までの光ファイバを示している。換言すれば、光ファイバGにおける上流部分G1と下流部分G2との境界は、ガイドローラ120が規定している(
図2参照)。
【0037】
つまり、上流部分G1は、ガイドローラ120から、第一ローラR1(
図2参照)を介して、受光器200まで繋がっている。第一ローラR1は、受光器200から延びる上流部分G1の光ファイバGをガイドローラ120に案内するように構成されている。下流部分G2は、ガイドローラ120から、第二ローラR2(
図2参照)、ダンサローラR3,R4、および繰り出しボビン141を介して、光源300まで繋がっている。第二ローラR2は、下流部分G2の光ファイバGをガイドローラ120に案内するように構成されている。
【0038】
図2から
図5は、マンドレル110に光ファイバGが巻き付けられる様子を順に例示している。ガイドローラ120の走行面120aには、光ファイバGがかけられている。この状態で、ガイドローラ120は、アーム130の回転により、マンドレル110の軸線X回りを周回するように移動する。
図2から
図5では、
図1における右方向から見て、ガイドローラ120がマンドレル110の軸線X周りを反時計回りに周回する場合について例示されている。例えば、
図2において、ガイドローラ120はマンドレル110の上方に位置している。例えば、
図3において、ガイドローラ120はマンドレル110の前方に位置している。例えば、
図4において、ガイドローラ120はマンドレル110の下方に位置している。例えば、
図5において、ガイドローラ120はマンドレル110の後方に位置している。
【0039】
本実施形態において、第一ローラR1および第二ローラR2は、ガイドローラ120より上方に位置している。このため、
図2および
図3において例示されるように、ガイドローラ120が、マンドレル110より上方または前方に位置しているとき、光ファイバGはマンドレル110と接触していない。
【0040】
しかしながら、
図4において例示されるように、ガイドローラ120がマンドレル110の下方に位置しているとき、光ファイバGはマンドレル110と接触している。さらに、
図5において例示されるように、ガイドローラ120が移動して、ガイドローラ120がマンドレル110の後方に位置しているとき、光ファイバGはマンドレル110に対して巻き付けられている。光ファイバGがマンドレル110に対して巻き付けられることにより、光ファイバGに曲げが付与される。
【0041】
ガイドローラ120がさらにマンドレル110の軸線X周りを周回する(
図2から
図5の周回動作を繰り返す)ことで、さらにマンドレルに巻き付けられる長さは増加する。この際に、アーム130が回転すると同時に軸線Xに沿う方向、つまり、左右方向に変位することにより、光ファイバGは、既に巻き付けられた光ファイバGに対して光ファイバG同士が重ならないように、マンドレル110に螺旋状に巻き付けられる。なお、マンドレル110に光ファイバGを巻き付ける際、光ファイバGがマンドレル110の表面に擦られないよう、マンドレル110が軸線Xを中心に回転してもよい。例えば、モータ131によりアーム130の回転と一緒に回転させてもよい。または、マンドレル110を自由に回転できるようしておき、光ファイバGの巻き付けに倣って回転するようにしてもよい。
【0042】
図5に例示されるように、光ファイバGの上流部分G1および下流部分G2は、ともにマンドレル110に巻き付けられている。換言すると、ガイドローラ120は、上流部分G1と下流部分G2とをマンドレル110に同時に巻き付けるように周回する。このため、マンドレル110に対して光ファイバGの上流部分G1だけ、あるいは、下流部分G2だけを巻いたときと比較して、曲げの付与に要する時間が短縮される。
【0043】
上記構成によれば、光ファイバGがマンドレル110に巻かれるため、光ファイバGの曲率が大きくばらつかないように光ファイバGに曲げが付与される。また、ガイドローラ120によって光ファイバGが案内されるので、作業者が手作業で光ファイバGをマンドレル110に巻き付ける場合と比較して、マンドレル110に対する光ファイバGの巻き付け位置を安定させながら効率的に曲げを付与できる。これにより、光ファイバGに曲げが付与された際に、光ファイバGに捻りが発生することが抑制されるので、曲げ損失の測定誤差が小さくなるように光ファイバGに曲げを付与する曲げ付与装置100が提供される。
【0044】
上記構成によれば、光ファイバGの上流部分G1と下流部分G2とがマンドレル110に同時に巻き付けられるので、付与曲げ付与のために光ファイバをマンドレルに巻き付ける作業が効率的となる。
【0045】
上記構成によれば、走行面120aの外径は、マンドレル110の外径よりも大きいので、ガイドローラ120における光ファイバGの曲率が小さくなる。このため、ガイドローラ120による光ファイバGの曲げの影響を小さくして、マンドレル110によって付与された光ファイバGの曲げの影響を大きくすることができる。
【0046】
上記構成によれば、モータ131によるアーム130の回転により、ガイドローラ120はマンドレル110の軸線X回りを周回する。ガイドローラ120が光ファイバGをマンドレル110に案内しつつ、アーム130が回転することにより、マンドレル110に光ファイバGが巻き付けられる。これにより、光ファイバGの曲げの付与に要する作業員の労力および時間が低減される。
【0047】
上記構成によれば、繰り出し部である繰り出しボビン141は、繰り出される光ファイバGの張力が一定となるように制御されるので、マンドレル110に巻かれた光ファイバGの張力のばらつきが抑制される。この状態で曲げ損失の測定が行われると、曲げ損失の測定精度が向上する。
【0048】
上記構成によれば、光ファイバGがマンドレル110に巻かれるため、光ファイバGの曲率が大きくばらつかないように光ファイバに曲げが付与される。このため、光ファイバGに曲げが付与された際に、光ファイバに撚りが発生することが抑制される。また、上記構成の曲げ損失測定装置1は、マンドレル110に光ファイバGが巻かれた状態で、光ファイバGの曲げ損失を測定できる。これにより、曲げ損失の測定誤差が小さくなるような光ファイバの曲げ損失測定装置1が提供される。
【0049】
図6は、昇降運搬機150の模式図である。
図6に例示されるように、昇降運搬機150は、マンドレル保管部151、搬送部152、および昇降機153を備えている。マンドレル保管部151は、互いに外径が異なる少なくとも2本以上のマンドレルを保管可能に構成されている。本実施形態では、互いに外径が異なる3本のマンドレルである、第一マンドレル111、第二マンドレル112、および第三マンドレル113を保管可能に構成されている。このため、マンドレル保管部151は3種類のマンドレルを保持できるように3つ設けられている。
【0050】
マンドレル保管部151は、マンドレル保持部115とは異なる位置に設けられている。本実施形態においては、3つのマンドレル保管部151は、それぞれマンドレル保持部115の下方に設けられている。マンドレル保管部151は、U字状のフックとして形成されていてもよい。
【0051】
搬送部152は、マンドレル保持部115に保持されていたマンドレル110をマンドレル保管部151に移動させ、マンドレル保管部151に保管されていたマンドレル110をマンドレル保持部115に移動させるように構成されている。
【0052】
本実施形態において、搬送部152は、マンドレル110を保持した状態で前後方向および上下方向に変位するように構成されている。
【0053】
搬送部152は、前後方向に変位することで、マンドレル保持部115およびマンドレル保管部151においてマンドレル110を授受できるように構成されている。搬送部152の前後方向の変位は、例えば図示しないアクチュエータ等によって実現される。
【0054】
搬送部152は、昇降機153によって上下方向に変位可能に構成されている。これにより、搬送部152は、マンドレル110を上下方向における異なる位置に移動させることが可能となっている。
【0055】
マンドレル保持部115にマンドレル110を設置する場合、まず、対象のマンドレル110(
図6の例示では第二マンドレル112)を保持するマンドレル保管部151と同じ高さとなるように搬送部152が上下方向に変位する。次に、搬送部152は、前方向に変位して、マンドレル保管部151が保持するマンドレル110を受け取る。マンドレル110を受け取った搬送部152は、後方向に変位する。その後、搬送部152は、昇降機153によってマンドレル保持部115と同じ高さまで上方向に変位させられる。マンドレル保持部115と同じ高さまで変位させられた搬送部152は、前方向に変位することで、マンドレル保持部115にマンドレル110を設置できる。
【0056】
逆に、マンドレル保持部115がマンドレル110を保持しているときに、マンドレル保持部115と同じ高さに位置する搬送部152が前方向に変位することで、搬送部152はマンドレル110を受け取ることができる。マンドレル110を受け取った搬送部152は、後方向に移動した後、マンドレル保管部151と同じ高さまで下方向に移動し、さらに、前方向に移動することで、マンドレル保管部151にマンドレル110を設置できる。
【0057】
このように、搬送部152が上下方向および前後方向に変位することで、マンドレル保持部115において保持されるマンドレル110を交換することができる。
【0058】
上記構成によれば、曲げ付与装置100は、マンドレル保持部115に保持されていたマンドレル110をマンドレル保管部151に移動させ、マンドレル保管部151に保管されていたマンドレル110をマンドレル保持部115に移動させる搬送部152を備えている。これにより、曲げ損失の測定のために複数のマンドレル110による曲げの付与が必要な場合であっても、光ファイバGの曲げの付与に要する作業員の労力および時間が低減される。
【0059】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0060】
例えば、第一ローラR1および第二ローラR2は、マンドレル110の上方以外の空間に設けられてもよい。また、第一ローラR1と第二ローラR2は、異なる位置に設けられていてもよい。例えば、第一ローラR1はマンドレル110の上方に設けられ、第二ローラR2はマンドレル110の下方に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 曲げ損失測定装置
100 曲げ付与装置
110 マンドレル
111 第一マンドレル
112 第二マンドレル
113 第三マンドレル
115 マンドレル保持部
120 ガイドローラ
120a 走行面
130 アーム
131 モータ
140 繰り出し部
141 繰り出しボビン
142 制御部
150 昇降運搬機
151 マンドレル保管部
152 搬送部
153 昇降機
200 受光器
300 光源
D3 外径
DG 外径
G 光ファイバ
G1 上流部分
G2 下流部分
R1 第一ローラ
R2 第二ローラ
R3 ダンサローラ
R4 ダンサローラ
X 軸線
Y 回転軸線