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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172307
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】独立型水利用システム
(51)【国際特許分類】
   E03B 1/00 20060101AFI20241205BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20241205BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20241205BHJP
   E03C 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E03B1/00 B
C02F1/00 J
C02F1/50 510A
C02F1/50 520D
C02F1/50 531M
C02F1/50 531R
C02F1/50 540C
C02F1/50 540A
C02F1/50 560A
C02F1/50 560B
C02F1/50 560C
C02F1/50 560E
C02F1/50 560H
C02F1/50 560Z
E03C1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089933
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松本 賢
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翔
(72)【発明者】
【氏名】細田 将吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 規之
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AA03
2D060AA07
(57)【要約】
【課題】利便性の高い独立型水利用システムを提供する。
【解決手段】特定の水需要設備を対象として水を利用する独立型水利用システムであって、造水装置と、前記造水装置で造水された上水を上水需要設備に送水する上水管と、前記上水需要設備で利用された後の第一排水を送水する第一排水管と、前記第一排水管に接続され且つ前記第一排水を浄化する浄化装置と、前記浄化装置で前記第一排水が浄化されることによって生成された中水を中水需要設備に送水する中水管と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の水需要設備を対象として水を利用する独立型水利用システムであって、
造水装置と、
前記造水装置で造水された上水を上水需要設備に送水する上水管と、
前記上水需要設備で利用された後の第一排水を送水する第一排水管と、
前記第一排水管に接続され且つ前記第一排水を浄化する浄化装置と、
前記浄化装置で前記第一排水が浄化されることによって生成された中水を中水需要設備に送水する中水管と、を備えた独立型水利用システム。
【請求項2】
前記中水需要設備で利用された後の第二排水を前記浄化装置へ送水する第二排水管を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項3】
前記上水及び前記中水のうちの少なくともいずれかを外部に放流する放流管を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項4】
前記上水管に接続され且つ前記上水を貯留する上水貯留槽を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項5】
前記上水貯留槽に貯留されている前記上水を前記上水需要設備以外に流出させる上水流出管と、
前記上水流出管による前記上水の流出量を調節する上水流出装置と、を備えた請求項4に記載の独立型水利用システム。
【請求項6】
前記中水管に接続され且つ前記中水を貯留する中水貯留槽を備え、
前記上水流出管は、前記上水貯留槽に貯留されている前記上水を前記中水貯留槽に流出させる請求項5に記載の独立型水利用システム。
【請求項7】
前記上水貯留槽に貯留されている前記上水の水質及び水位の少なくともいずれかの状態を検出する上水状態検出装置を備え、
前記上水流出装置は、前記上水状態検出装置が検出した前記上水の状態に基づいて前記上水の流出量を調節可能に構成されている請求項5に記載の独立型水利用システム。
【請求項8】
前記上水貯留槽に貯留されている前記上水の状態を検出する上水状態検出装置を備え、
前記造水装置は、前記上水状態検出装置が検出した前記上水の状態に基づいて前記上水の造水量を調節可能に構成されている請求項4に記載の独立型水利用システム。
【請求項9】
前記上水状態検出装置は、前記上水貯留槽に貯留されている前記上水の水位を検出する上水水位計及び前記上水の水質を検出する上水水質計のうちの少なくともいずれかを含んでいる請求項7又は8に記載の独立型水利用システム。
【請求項10】
前記上水管にそれぞれ接続され且つ前記上水を貯留する複数の上水貯留槽と、
複数の前記上水貯留槽のそれぞれに対応するように設けられた複数の上水導入装置と複数の上水導出装置とを備え、
複数の前記上水導入装置は、それぞれ対応する前記上水貯留槽に流入させる前記上水の流量を調節可能に構成され、
複数の前記上水導出装置は、それぞれ対応する前記上水貯留槽から流出させる前記上水の流量を調節可能に構成されている請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項11】
前記上水に塩素を添加する塩素添加部を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム
【請求項12】
前記上水需要設備は住宅に設けられ、
前記上水は少なくとも飲料水として用いられる請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項13】
前記上水管は、複数の前記上水需要設備に前記上水をそれぞれ送水し、
複数の前記上水需要設備に送水される前記上水の流量を個別に調節する上水送水量調節器を備えた請求項12に記載の独立型水利用システム。
【請求項14】
前記中水管に接続され且つ前記中水を貯留する中水貯留槽を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項15】
前記中水貯留槽に貯留されている前記中水を前記中水需要設備以外に流出させる中水流出管と、
前記中水流出管による前記中水の流出量を調節する中水流出装置と、を備えた請求項14に記載の独立型水利用システム。
【請求項16】
前記中水貯留槽に貯留されている前記中水の水質及び水位の少なくともいずれかの状態を検出する中水状態検出装置を備え、
前記中水流出装置は、前記中水状態検出装置が検出した前記中水の状態に基づいて前記中水の流出量を調節可能に構成されている請求項15に記載の独立型水利用システム。
【請求項17】
前記中水貯留槽に貯留されている前記中水の状態を検出する中水状態検出装置を備え、
前記浄化装置は、前記中水状態検出装置が検出した前記中水の状態に基づいて前記中水の浄化水量を調節可能に構成されている請求項14に記載の独立型水利用システム。
【請求項18】
前記中水状態検出装置は、前記中水貯留槽に貯留されている前記中水の水位を検出する中水水位計及び前記中水の水質を検出する中水水質計のうちの少なくともいずれかを含んでいる請求項16又は17に記載の独立型水利用システム。
【請求項19】
前記中水管にそれぞれ接続され且つ前記中水を貯留する複数の中水貯留槽と、
複数の前記中水貯留槽のそれぞれに対応するように設けられた複数の中水導入装置と複数の中水導出装置とを備え、
複数の前記中水導入装置は、それぞれ対応する前記中水貯留槽に流入させる前記中水の流量を調節可能に構成され、
複数の前記中水導出装置は、それぞれ対応する前記中水貯留槽から流出させる前記中水の流量を調節可能に構成されている請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項20】
前記浄化装置に前記中水を消毒する中水消毒槽を設けた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項21】
前記浄化装置に前記中水に含まれる不純物を排除する排除器を設けた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項22】
前記中水需要設備は住宅に設けられ、
前記中水は洗濯用水、便所用水、及び散水用水のうちの少なくともいずれかとして用いられる請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項23】
前記中水管は、複数の前記中水需要設備に前記中水をそれぞれ送水し、
複数の前記中水需要設備に送水される前記中水の流量を個別に調節する中水送水量調節器を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項24】
前記造水装置による前記上水の造水過程で生じる熱を、前記上水、前記中水、又は前記浄化装置の加熱に利用する請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項25】
前記上水及び前記中水のうちの少なくともいずれかを、消防用水として利用する請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項26】
前記上水需要設備による前記上水の利用量を計測する上水利用量計測器と、
前記上水の利用量に基づいて前記上水の利用料金を算出する料金算出装置と、を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項27】
前記中水需要設備による前記中水の利用量を計測する中水利用量計測器と、
前記中水の利用量に基づいて前記中水の利用料金を算出する料金算出装置と、を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項28】
前記上水需要設備による前記上水の利用量を計測する上水利用量計測器と、
前記中水需要設備による前記中水の利用量を計測する中水利用量計測器と、
前記上水の利用量及び前記中水の利用量に基づいてシステム利用料金を算出する料金算出装置と、を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項29】
前記上水及び前記中水のうち、外部へ放流される水の放流水量を計測する放流水量計測器と、
前記放流水量に基づいて放流料金を算出する料金算出装置と、を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【請求項30】
前記上水需要設備による前記上水の利用量を計測する上水利用量計測器と、
前記中水需要設備による前記中水の利用量を計測する中水利用量計測器と、
前記上水及び前記中水のうち、外部へ放流される水の放流水量を計測する放流水量計測器と、
前記上水の利用量と前記中水の利用量と前記放流水量とに基づいてシステム利用料金を算出する料金算出装置と、を備えた請求項1に記載の独立型水利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の水需要設備を対象として水を利用する独立型水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特定の地域を対象として構築される循環水利用システムが開示されている。当該循環水利用システムは、循環水が一方向に流れる閉ループ状の循環流路と、閉ループ状の循環流路に接続して設けられ、循環流路を流れる循環水を使用する、住居、テナント、及び事務所のうちの少なくとも一種からなる小口水需要体が複数集まって構成される水需要体、からそれぞれ排出される排出水を循環流路2へ排水する排出流路と、閉ループ状の循環流路に接続して設けられ、循環流路を流れる排出水を含む循環水を浄化する浄化手段と、閉ループ状の循環流路における排出流路の接続部の上流、且つ浄化手段の下流から分岐して設けられ、浄化手段で浄化された循環水を水需要体に供給する供給流路と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5705936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような循環水利用システムでは、循環流路を流れる循環水の原水として、上水道網から導水した水道水が必要であり、上水道網が構築されていない地域などでは適用することができず、不便である。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、利便性の高い独立型水利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、特定の水需要設備を対象として水を利用する独立型水利用システムであって、造水装置と、前記造水装置で造水された上水を上水需要設備に送水する上水管と、前記上水需要設備で利用された後の第一排水を送水する第一排水管と、前記第一排水管に接続され且つ前記第一排水を浄化する浄化装置と、前記浄化装置で前記排水が浄化されることによって生成された中水を中水需要設備に送水する中水管と、を備えている。なお、上水需要設備として、例えば住宅の台所又は風呂のように、水が人に直接的に触れる設備を適用してもよい。また、中水需要設備として、例えば便所又は洗濯機のように、水が人に直接的には触れない設備を適用してもよい。
【0007】
本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記中水需要設備で利用された後の第二排水を前記浄化装置へ送水する第二排水管を備えてもよい。また、前記独立型水利用システムは、前記上水及び前記中水のうちの少なくともいずれかを外部に放流する放流管を備えてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記上水管に接続され且つ前記上水を貯留する上水貯留槽を備えてもよい。また、前記独立型水利用システムは、前記上水貯留槽に貯留されている前記上水を前記上水需要設備以外に流出させる上水流出管と、前記上水流出管による前記上水の流出量を調節する上水流出装置と、を備えてもよい
。なお、上水流出装置として、例えば上水貯留槽の槽内若しくは上水流出管に設けられた上水流出ポンプ、上水流出管に設けられた上水流出バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。また、上水需要設備への送水以外の目的として、例えば上水貯留槽に貯留される上水の水位を低下させる排水、中水としての利用、消防用水としての利用、又は散水用水としての利用などが挙げられる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記中水管に接続され且つ前記中水を貯留する中水貯留槽を備え、前記上水流出管は、前記上水貯留槽に貯留されている前記上水を前記中水貯留槽に流出させてもよい。また、前記独立型水利用システムは、前記上水貯留槽に貯留されている前記上水の水質及び水位の少なくともいずれかの状態を検出する上水状態検出装置を備え、前記上水流出装置は、前記上水状態検出装置が検出した前記上水の状態に基づいて前記上水の流出量を調節可能に構成されてもよい。例えば、上水状態検出装置が検出した上水の状態に基づいて、作業員が上水の流出量を手動で調節してもよい。或いは、上水流出装置の稼働及び停止を自動制御する制御装置を設けて、当該制御装置により上水の流出量を自動で調節してもよい。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記造水装置は、前記上水状態検出装置が検出した前記上水の状態に基づいて前記上水の造水量を調節可能に構成されてもよい。例えば、上水状態検出装置が検出した上水の状態に基づいて、作業員が上水の造水量を手動で調節してもよい。或いは、造水装置の稼働及び停止を自動制御する制御装置を設けて、当該制御装置により上水の造水量を自動で調節してもよい。また、前記上水状態検出装置は、前記上水貯留槽に貯留されている前記上水の水位を検出する上水水位計及び前記上水の水質を検出する上水水質計のうちの少なくともいずれかを含んでもよい。上水の水質とは、例えば水温、色、濁度、又はpHなどである。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記上水管にそれぞれ接続され且つ前記上水を貯留する複数の上水貯留槽と、複数の前記上水貯留槽のそれぞれに対応するように設けられた複数の上水導入装置と複数の上水導出装置とを備え、複数の前記上水導入装置は、それぞれ対応する前記上水貯留槽に流入させる前記上水の流量を調節可能に構成され、複数の前記上水導出装置は、それぞれ対応する前記上水貯留槽から流出させる前記上水の流量を調節可能に構成されてもよい。なお、上水導入装置として、例えば造水装置から上水貯留槽に到る上水管に設けられた上水流入ポンプ、上水流入バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。また、上水導出装置として、例えば上水貯留槽の槽内または上水流出管に設けられた上水流出ポンプ、上水流出管に設けられた上水流出バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記上水に塩素を添加する塩素添加部を備えてもよい。なお、塩素添加部として、例えば造水装置から上水需要設備に至る上水管に設けられた添加口又は添加用ホッパーを適用してもよい。また、前記上水需要設備は住宅に設けられ、前記上水は少なくとも飲料水として用いられてもよい。飲料水以外に、例えば調理用水として上水を用いてもよい。また、前記上水管は、複数の前記上水需要設備に前記上水をそれぞれ送水し、複数の前記上水需要設備に送水される前記上水の流量を個別に調節する上水送水量調節器を、前記独立型水利用システムに備えてもよい。なお、上水送水量調節器として、例えば造水装置から上水需要設備に至る上水管に設けられた上水送水ポンプ、上水送水バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記中水管に接続され且つ前記中水を貯留する中水貯留槽を備えてもよい。また、前記独立型水利用システムは、前記中水貯留槽に貯留されている前記中水を前記中水需要設備以外に流出させる中水流出管と、前記中水流出管による前記中水の流出量を調節する中水流出装置と、を備えてもよい
。なお、中水需要設備への送水以外の目的として、例えば中水貯留槽に貯留される中水の水位を低下させる排水、消防用水としての利用、又は散水用水としての利用などが挙げられる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記中水貯留槽に貯留されている前記中水の水質及び水位の少なくともいずれかの状態を検出する中水状態検出装置を備え、前記中水流出装置は、前記中水状態検出装置が検出した前記中水の状態に基づいて前記中水の流出量を調節可能に構成されてもよい。なお、中水流出装置として、例えば前記中水貯留槽の槽内若しくは前記中水流出管に設けられた中水流出ポンプ、中水流出管に設けられた中水流出バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。また、例えば、中水状態検出装置が検出した中水の状態に基づいて、作業員が中水の流出量を手動で調節してもよい。或いは、中水流出装置の稼働及び停止を自動制御する制御装置を設けて、当該制御装置により中水の流出量を自動で調節してもよい。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記浄化装置は、前記中水状態検出装置が検出した前記中水の状態に基づいて前記中水の浄水量を調節可能に構成されてもよい。なお、中水状態検出装置が検出した中水の状態に基づいて、作業員が中水の浄水量を手動で調節してもよい。或いは、浄化装置の稼働及び停止を自動制御する制御装置を設けて、当該制御装置により中水の浄水量を自動で調節してもよい。また、前記中水状態検出装置は、前記中水貯留槽に貯留されている前記中水の水位を検出する中水水位計及び前記中水の水質を検出する中水水質計のうちの少なくともいずれかを含んでいてもよい。なお、前記中水の水質とは、例えば水温、色、濁度、pHなどである。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記中水管にそれぞれ接続され且つ前記中水を貯留する複数の中水貯留槽と、複数の前記中水貯留槽のそれぞれに対応するように設けられた複数の中水導入装置と複数の中水導出装置とを備え、複数の前記中水導入装置は、それぞれ対応する前記中水貯留槽に流入させる前記中水の流量を調節可能に構成され、複数の前記中水導出装置は、それぞれ対応する前記中水貯留槽から流出させる前記中水の流量を調節可能に構成されてもよい。なお、中水導入装置として、例えば浄化装置から中水貯留槽に至る中水管に設けられた中水流入ポンプ、中水流入バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。また、中水導出装置として、例えば中水貯留槽の槽内若しくは中水流出管に設けられた中水流出ポンプ、中水流出管に設けられた中水流出バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記浄化装置に前記中水を消毒する中水消毒槽を設けてもよい。また、前記浄化装置に前記中水に含まれる不純物を排除する排除器を設けてもよい。また、排除器として、例えば逆浸透膜などを適用してもよい。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記中水需要設備は住宅に設けられ、前記中水は洗濯用水、便所用水、及び散水用水のうちの少なくともいずれかとして用いられてもよい。また、前記中水管は、複数の前記中水需要設備に前記中水をそれぞれ送水し、前記独立型水利用システムは、複数の前記中水需要設備に送水される前記中水の流量を個別に調節する中水送水量調節器を備えてもよい。なお、前記中水送水量調節器として、例えば浄化装置から中水需要設備に至る中水管に設けられた中水送水ポンプ、中水送水バルブ、又はこれらの組み合わせを適用してもよい。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記造水装置による前記上水の造水過程で生じる熱を、前記上水、前記中水、又は前記浄化装置の加熱に利用してもよい。例えば、前記造水装置の周囲に前記上水管又は前記中水管を配置することによって、前記造水装置で生じた熱を前記上水又は前記中水に直接的に伝導(熱伝導)させてもよい。或いは、熱交換器を用いて
、前記造水装置と前記上水又は前記中水との間で熱交換することにより、前記上水又は前記中水を加熱してもよい。また、前記上水及び前記中水のうちの少なくともいずれかを、消防用水として利用してもよい。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記上水需要設備による前記上水の利用量を計測する上水利用量計測器と、前記上水の利用量に基づいて前記上水の利用料金を算出する料金算出装置と、を備えてもよい。また、前記独立型水利用システムは、前記中水需要設備による前記中水の利用量を計測する中水利用量計測器と、前記中水の利用量に基づいて前記中水の利用料金を算出する料金算出装置と、を備えてもよい。また、前記料金算出装置は、前記上水利用量計測器により計測された前記上水の利用量と、前記中水利用量計測器により計測された前記中水の利用量とに基づいて、前記独立型水利用システム全体のシステム利用料金を算出してもよい。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記独立型水利用システムは、前記上水及び前記中水のうち、外部へ放流される水の放流水量を計測する放流水量計測器と、前記放流水量に基づいて放流料金を算出する料金算出装置と、を備えてもよい。また、前記料金算出装置は、前記上水利用量計測器により計測された前記上水の利用量と、前記中水利用量計測器により計測された前記中水の利用量と、前記放流水量計測器により計測された前記放流水量とに基づいて、前記システム利用料金を算出してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上水道網が構築されていない地域などでも、大気などから上水を造水して利用し、当該利用後の排水を浄化して中水として再利用するので、上水の造水量以上の水を利用することができ、利便性の高い独立型水利用システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第一実施形態に係る独立型水利用システムの構成図である。
図2】浄化装置の一例の構成図である。
図3】制御装置と制御装置に接続された装置の構成図である。
図4】第二実施形態に係る独立型水利用システムの構成図である。
図5】第三実施形態に係る独立型水利用システムの構成図である。
図6】第四実施形態に係る独立型水利用システムの構成図である。
図7】第五実施形態に係る独立型水利用システムの構成図である。
図8】第六実施形態に係る独立型水利用システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る独立型水利用システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、第一実施形態に係る独立型水利用システム101の構成図である。独立型水利用システム101は、例えば住宅1に設置された水需要設備(特定の水需要設備)を対象として水を利用する独立型水利用システムである。(後述する独立型水利用システム102~106も同様である。)独立型水利用システム101は、造水装置10、上水貯留槽12、上水需要設備20、浄化装置30、中水貯留槽32、中水需要設備40、及び当該独立型水利用システム101の稼働を自動制御する制御装置50(図3参照)などを備えている。
【0026】
造水装置10は、例えば大気中の水分を結露させて、又は大気中の水分を固体・液体乾燥剤に吸着させた後に加温及び加圧しながら脱着させて、フィルターにより埃及びゴミな
どを除去することにより、上水を造水するように構成されている。造水された上水は飲料水として用いることができる程度の水である。
【0027】
造水装置10と上水貯留槽12とは、第一上水管11aにより接続されている。造水装置10で造水された上水は、第一上水管11aを介して上水貯留槽12に送水される。上水貯留槽12は、造水装置10で造水した上水を一時的に貯留する。
【0028】
上水貯留槽12と上水需要設備20とは第二上水管11bにより接続されている。上水貯留槽12に貯留された上水は、第二上水管11bを介して上水需要設備20に送水される。なお、第一上水管11a及び第二上水管11bの少なくともいずれかには、制御装置50により制御されるポンプ又はバルブ(図示省略)が適宜備えられてもよい。
【0029】
上水需要設備20は、住宅1に設置された台所及び風呂などのように、水が人に直接的に触れる設備である。したがって、上水は飲料水及び調理用水として用いられる。造水装置10と上水需要設備20との間に上水貯留槽12が備わっていることで、上水需要設備20における需要に応じて上水を利用することができる。
【0030】
上水需要設備20と浄化装置30とは、第一排水管21aにより接続されている。上水需要設備20で利用された後に上水需要設備20から排出された第一排水は、第一排水管21aを介して浄化装置30に送水される。なお、第一排水管21aには、制御装置50により制御されるポンプ及びバルブ(図示省略)が適宜備えられてもよい。浄化装置30は、排水を浄化することによって中水を生成する。
【0031】
浄化装置30と中水貯留槽32とは、第一中水管31aにより接続されている。浄化装置30で浄化されることによって生成された中水は、第一中水管31aを介して中水貯留槽32に送水される。中水貯留槽32は、浄化装置30で生成された中水を一時的に貯留する。
【0032】
中水貯留槽32と中水需要設備40とは、第二中水管31bにより接続されている。中水貯留槽32に貯留された中水は、第二中水管31bを介して中水需要設備40に送水される。なお、第一中水管31a及び第二中水管31bの少なくともいずれかには、制御装置50により制御されるポンプ又はバルブ(図示省略)が適宜備えられてもよい。
【0033】
中水需要設備40は、住宅1に設置された、便所及び洗濯機のように水が人に直接的には触れない設備である。中水にUV(紫外線)を照射するUV照射器、オゾン発生器、及び逆浸透膜などの後処理装置の少なくともいずれかを、浄化装置30又は中水貯留槽32などに設けてもよい。また、中水需要設備40は、洗車・庭などへの散水設備であってもよい。したがって、中水は、洗濯用水、便所用水、及び散水用水のうちの少なくともいずれかとして用いられる。
【0034】
中水需要設備40と浄化装置30とは、第二排水管21bにより接続されている。中水需要設備40で利用された後に中水需要設備40から排出された第二排水は、第二排水管21bを介して浄化装置30に送水される。なお、第二排水管21bには、制御装置50により制御されるポンプ及びバルブ(図示省略)が適宜備えられてもよい。中水需要設備40が散水設備である場合、当該散水設備で利用後の水は、土壌に浸透したり、側溝へ流れ込んだりするなどのように、系外へ放出される(図1の中水需要設備40から伸びる破線矢印参照)。
【0035】
図2は、浄化装置30の一例の構成図である。浄化装置30は、曝気型スクリーン30a、流量調節槽30b、微細目スクリーン30c、脱窒素槽30d、硝化槽30e、逆浸
透膜30f、中水消毒槽30g、放流ポンプ槽30h、汚泥貯留槽30iなどを備えている。曝気型スクリーン30aは、第一排水管21aを介して送水された第一排水及び第二排水管21bを介して送水された第二排水にそれぞれ含まれる夾雑物を除去する。流量調節槽30bは、曝気型スクリーン30aから排出される処理水を貯留する。微細目スクリーン30cは、流量調節槽30bから流量調節されて排水される処理水に含まれる微細な夾雑物を除去する。
【0036】
微細目スクリーン30cから流出した処理水は、脱窒素槽30dを通過して硝化槽30eに流入する。硝化槽30eで硝化された処理水は、ポンプなどにより脱窒素槽30dに返送される。脱窒素槽30dは、脱窒反応により硝化槽30eから返送された処理水中の窒素を除去する。逆浸透膜30fは排除器であり、硝化槽30eから流出した処理水に含まれる不純物を排除する。中水消毒槽30gは、逆浸透膜30fから排出される処理水を消毒する。放流ポンプ槽30hは、中水消毒槽30gにおいて消毒された中水を中水貯留槽32に放流する。汚泥貯留槽30iは、硝化槽30eからの汚泥及び微細目スクリーン30cからのしさなど(ブラインが含まれていてもよい。)を貯留する。汚泥貯留槽30iに貯留された汚泥などは、例えば所定の汚水槽に貯留された後、汚水処理業者によって回収される。
【0037】
上記浄化装置30の構成のうち、例えば逆浸透膜30fは備わっていなくてもよい。この場合、中水消毒槽30gは、硝化槽30eから排出される処理水を消毒する。また、逆浸透膜30fに代えて又は加えて、オゾン発生器及び活性炭フィルターなどの後処理装置を備えてもよい。浄化装置30は、上述した構成に限定されず、その他の構成であってもよい。
【0038】
図3は、制御装置50と制御装置50に電気的に接続された装置の構成図である。制御装置50は、CPUと、ROM若しくはEEPROMなどの不揮発性メモリ、RAMなどの不揮発性メモリ、及び通信インタフェイスなどを含んでいる。制御装置50では、CPUがROMに格納されている制御プログラムを読みだして所定の制御が行われるように構成されている。また、CPUが所定の制御を実行する際に、各種のデータ及び情報がRAMに対して読み書きされるように構成されている。
【0039】
制御装置50には、図3に示すように造水装置10、浄化装置30、30x、30y、バルブ14、16a、16b、17a、17b、18a、18b、35a、35b、36a、36b、37a、37b、44、45、水位計51、53、水質計52、54、43、計測器55~57、及び通信装置60などが電気的に接続されている。なお、これらの装置は適宜省略されてもよい。
【0040】
図1に示すように、上水貯留槽12には、上水状態検出装置として上水水位計51及び上水水質計52が備えられている。上水水位計51は、上水貯留槽12に貯留されている上水の水位を検出する。上水水質計52は、上水貯留槽12に貯留されている上水の水質を検出する。なお、上水の水質とは、水温、色、濁度、pHなどである。
【0041】
上水貯留槽12と中水貯留槽32とは、上水流出管13により接続されている。上水流出管13には、上水流出装置としての上水流出バルブ14が備えられている。上水流出バルブ14は、流量調節バルブから構成されている。例えば制御装置50が、上水流出バルブ14を開閉制御することで、上水流出管13による上水の流出量が調節可能になる。
【0042】
図1では、上水貯留槽12の外部に配置された上水流出バルブ14が上水流出装置として例示されているが、これ以外に、上水貯留槽12の槽内又は槽壁に配置された上水流出バルブ又は上水流出ポンプなどから上水流出装置が構成されてもよい。また、上水流出バ
ルブ14に代えて又は加えて、例えば上水流出管13の勾配に応じて、上水の流出量を調節する上水流出ポンプが上水流出装置として上水流出管13に備えられていてもよい。上記上水流出ポンプの駆動も、制御装置50により制御される。
【0043】
制御装置50は、上水水位計51によって検出された上水貯留槽12の水位に応じて、造水装置10による上水の造水量又は上水流出バルブ14による上水の流出量を調節する。具体的には、制御装置50は、例えば上水貯留槽12の水位が所定の第一水位よりも下がれば、造水装置10を稼働制御して、上水の造水量を増やすように調節する。
【0044】
また、制御装置50は、例えば上水貯留槽12の水位が所定の第二水位よりも上がれば、上水の排出を促すべきであるため、上水流出バルブ14を開閉制御し、上水貯留槽12からの上水の流出量を増やすように調節する。このとき、造水装置10による上水の造水量を維持してもよいし、又は制御装置50が造水装置10の稼働を制御して若しくは作業員が造水装置10を操作して、上水の造水量を減らしてもよい。なお、第二水位は、第一水位よりも高く設定される。造水装置10の稼働制御と、上水流出バルブ14の開閉制御とは、制御装置50により自動制御される構成に限らず、作業員により手動で行われる構成であってもよい。
【0045】
また、制御装置50は、上水水質計52によって検出された上水貯留槽12内の上水の水質に応じて、上水の造水量又は流出量を調節する。具体的には、制御装置50は、例えば上水貯留槽12内の上水の水質が所定水質よりも低ければ(上水の水質値が所定の第一水質値未満であれば)、造水装置10の稼働を制御して、上水の造水量を増やすように調節することと、上水流出バルブ14を開閉制御して、上水貯留槽12からの上水の流出量を増やすように調節することのうちの、少なくともいずれかを実行する。即ち、上水貯留槽12内の水質が低下した上水を、良質な上水に交換する。この場合の造水装置10の稼働制御と、上水流出バルブ14の開閉制御も、制御装置50により自動制御される構成に限らず、作業員により手動で行われる構成であってもよい。
【0046】
上水貯留槽12と中水貯留槽32との間に、上水流出管13と上水流出バルブ14とを備えることによって、上水貯留槽12に貯留されている上水を中水貯留槽32に適宜に送水することができる。例えば、後述するように中水貯留槽32における中水の需要量が増加したときに、上水流出管13を介して流出させた上水により、中水の不足量を補うことができる。上水は中水よりも綺麗な水であるため、中水貯留槽32における中水の状態が悪化(水質の低下など)したときに、上水流出管13を介して流出させた上水により中水が薄められ、中水の状態を改善することができる。
【0047】
なお、上水流出管13は、中途で分岐して、又は上水貯留槽12に代えて上水管11a、11bの少なくともいずれかに接続されて、上水を系外(独立型水利用システム101の外部)へ放流(排出)してもよい。この場合、上水流出管13は、上水を系外へ放流する放流管を構成する。また、上水流出管13へ流れる上水は、消防用水又は庭への散水用水などとして利用してもよい。このように上水を消防用水として利用する場合、上水貯留槽12は消防貯水槽として兼用され、当該消防用水にUV照射器などの追加装置が上水貯留槽12などに設けられてもよい。
【0048】
中水貯留槽32には、中水状態検出装置として中水水位計53及び中水水質計54が備えられている。中水水位計53は、中水貯留槽32に貯留されている中水の水位を検出する。中水水質計54は、中水貯留槽32に貯留されている中水の水質を検出するなお、中水の水質とは、水温、色、濁度、pHなどである。
【0049】
中水貯留槽32には、中水流出管33が接続されている。中水流出管33には、中水流
出装置としての中水流出バルブ34が備えられている。中水流出バルブ34は、流量調節バルブから構成されている。例えば制御装置50が、中水流出バルブ34を開閉制御することで、中水流出管33による中水の流出量が調節可能になる。
【0050】
図1では、中水貯留槽32の外部に配置された中水流出バルブ34が中水流出装置として例示されているが、これ以外に、中水貯留槽32の槽内又は槽壁に配置された中水流出バルブ又は中水流出ポンプなどから中水流出装置が構成されてもよい。また、中水流出バルブ34に代えて又は加えて、例えば中水流出管33の勾配に応じて、中水の流出量を調節する中水流出ポンプが中水流出装置として中水流出管33に備えられていてもよい。上記中水流出ポンプの駆動も、制御装置50により制御される。
【0051】
制御装置50は、中水水位計53によって検出された中水貯留槽32の水位に応じて、中水貯留槽32に対する上水又は中水の流入量及び流出量を調節する。具体的には、制御装置50は、例えば中水貯留槽32の水位が所定の第三水位よりも下がれば、浄化装置30を稼働制御して、中水の浄化水量を増やすように調節することと、上水流出バルブ14を開閉制御して、中水貯留槽32への上水の送水量を増やすように調節することのうちの、少なくともいずれかを実行する。
【0052】
また、制御装置50は、中水貯留槽32の水位が所定の第四水位よりも上がれば、中水の排出を促すべきであると判断し、中水流出バルブ34を開閉制御して、中水貯留槽32からの中水の流出量を増やすように調節する。なお、第四水位は、第三水位よりも高く設定される。浄化装置30の稼働制御と、上水流出バルブ14及び中水流出バルブ34の開閉制御とは、制御装置50により自動制御される構成に限らず、作業員により手動で行われる構成であってもよい。
【0053】
また、制御装置50は、中水水質計54によって検出された中水貯留槽32の水質に応じて、中水貯留槽32に対する上水又は中水の流入量及び流出量を調節する。具体的には、制御装置50は、例えば中水貯留槽32の水位が所定水質よりも低下すれば(中水の水質値が所定の第二水質値未満であれば)、浄化装置30を稼働制御して、中水の浄化水量を増やすように調節することと、上水流出バルブ14を開閉制御して、中水貯留槽32への上水の送水量を調節することと、中水流出バルブ34を開閉制御して、中水貯留槽32からの中水の流出量を調節することのうちの、少なくともいずれかを実行する。即ち、中水貯留槽32内の水質が低下した上水を、良質な上水に交換する。なお、浄化装置30の稼働制御と、上水流出バルブ14及び中水流出バルブ34の開閉制御とは、制御装置50により自動制御される構成に限らず、作業員により手動で行われる構成であってもよい。
【0054】
中水流出管33と中水流出バルブ34(中水流出装置)とにより、中水貯留槽32に貯留されている中水を、中水需要設備40への送水以外の目的で使用することができる。中水需要設備40への送水など以外の目的として、例えば、中水貯留槽32に貯留される中水の水位を低下させるための系外への放流、消防用水としての利用、又は庭などへの散水用水としての利用などが挙げられる。これらの場合、中水流出管33は、中水を系外へ放流する放流管を構成する。中水流出管33を介した中水の放流先は、例えば排水池又は河川などであってもよい。中水を消防用水として利用する場合、中水貯留槽32は消防貯水槽として兼用され、消防用水にUV照射器などの追加装置が中水貯留槽32又は浄化装置30などに設けられてもよい。なお、中水流出管33は、中途で分岐して、又は中水貯留槽32に代えて中水管31a、31bの少なくともいずれかに接続されて、中水を系外へ放流してもよい。
【0055】
上述した独立型水利用システム101の構成により、造水装置10で造水された上水が上水需要設備20で利用され、その後上水需要設備20からの第一排水が浄化装置30に
より浄化されて中水となり、当該中水が中水需要設備40で再利用されるので、造水装置10の造水量以上の水が利用可能になる。また、中水需要設備40からの第二排水も浄化装置30により浄化されて中水となり、当該中水が中水需要設備40で再利用されるというように、中水が循環利用されるので、造水装置10により造水された水を一層有効に利用可能となる。
【0056】
第一上水管11a及び第二上水管11bのいずれかには、上水に塩素を添加する塩素添加部15が備えられていてもよい。塩素添加部15は、例えば添加口から構成されている。塩素添加部15から上水に塩素を添加することにより上水の消毒が可能となる。なお、塩素添加部15は、上水管11に備えられた添加口だけでなく、塩素剤を貯留し且つ添加口に連通するホッパーなどを含んでいてもよい。また、塩素添加部15は、上水貯留槽12に備えられていてもよい。
【0057】
造水装置10は、上水の造水過程で熱を利用するため、造水装置10の本体は高温になる。造水装置10の本体の周囲に第一上水管11a、第一排水管21a、及び第一中水管31aのうちの少なくともいずれかを配置することにより、造水装置10からの発熱で上水、第一排水、及び中水のうちの少なくともいずれかを加熱してもよい。また、造水装置10の本体の周囲に浄化装置30を配置することにより、造水装置10からの発熱で浄化装置30を加熱して、浄化装置30における排水の浄化効率を向上させてもよい。また、上水、第一排水、中水、又は浄化装置30をより効率的に加熱するために、造水装置10と、第一上水管11a、第一排水管21a、第一中水管31a、又は浄化装置30との間に熱交換器が設けられてもよい。
【0058】
独立型水利用システム101は、図3に示す上水利用量計測器55、中水利用量計測器56、及び放流水量計測器57のすべてを備えていてもよいし、又は上記計測器55~57のうちの少なくともいずれかを選択的に備えていてもよい。上水利用量計測器55は、例えば第二上水管11b又は第一排水管21aに備えられた水量計である。上水利用量計測器55は、上水需要設備20による上水の利用量を計測する。中水利用量計測器56は、例えば第二中水管31b又は第二排水管21bに備えられた水量計である。中水利用量計測器56は、中水需要設備40による中水の利用量を計測する。
【0059】
制御装置50には、料金算出装置58が備わっている。料金算出装置58は、制御装置50に備わるCPU若しくはASICなどのハードウェアであってもよいし、又は当該CPUが実行するソフトウェアプログラムであってもよい。料金算出装置58は、上水利用量計測器55により計測された上水の利用量に基づいて、上水の利用料金を算出する。また、料金算出装置58は、中水利用量計測器56により計測された中水の利用量に基づいて、中水の利用料金を算出する。
【0060】
また、料金算出装置58は、水利用量計測器55により計測された上水の利用量及び中水利用量計測器56により計測された中水の利用量に基づいて、独立型水利用システム101全体のシステム利用料金を算出してもよい。例えば料金算出装置58は、上水の利用量に基づいて算出した上水の利用料金及び中水の利用料に基づいて算出した中水の利用料金の合算値を、システム利用料金として決定してもよい。また、料金算出装置58は、第一排水及び第二排水のうち、浄化装置30により浄化されて中水となった中水量に応じて、上水の利用料金及び中水の利用料金のうちの少なくともいずれかを割り引いてもよい。中水量を計測するため、中水管31a、31b、浄化装置30、及び中水貯留槽32のいずれかに水量計が備わっていてもよい。
【0061】
放流水量計測器57(図3)は、例えば上水流出管13及び中水流出管33のうちの少なくともいずれかに備えられた水量計である。放流水量計測器57は、上水流出管13及
び中水流出管33のうちの少なくともいずれかを介して系外へ放流される放流水量を計測する。料金算出装置58は、放流水量計測器57により計測された放流水量に基づいて放流料金を算出する。また、料金算出装置58は、上述した上水の利用量、中水の利用量、及び放流水量に基づいて、システム利用料金を算出してもよい。例えば料金算出装置58は、上述した上水の利用料金、利用料金、及び放流料金の合算値を、システム利用料金として決定してもよい。
【0062】
例えば図4に示す第二実施形態に係る独立型水利用システム102のように、第二中水管31bが中途で分岐して複数の中水需要設備40c、40dにそれぞれ接続され、中水が第二中水管31bを通って複数の中水需要設備40c、40dにそれぞれ送水されるように構成してもよい。
【0063】
独立型水利用システム102において、第二中水管31bは、中水貯留槽32に接続されていると共に、中途で第三中水管31cと第四中水管31dとに分岐している。第三中水管31cは第一中水需要設備40cに接続され、第四中水管31dは第二中水需要設備40dに接続されている。第一中水需要設備40cと浄化装置30とは、第二排水管21bにより接続されている。第二中水需要設備40dは、浄化装置30に接続されていない。なお、独立型水利用システム102においても、図1に示した水位計51、53及び水質計52、54が備わっていてもよい。
【0064】
第一中水需要設備40cは、例えば洗濯機又は便所である。第二中水需要設備40dは、例えば散水設備である。第一中水需要設備40cからの第二排水は、第二排水管21bを通って浄化装置30で浄化され、再度中水として第一中水需要設備40c又は第二中水需要設備40dで利用される。対して、第二中水需要設備40dからの第二排水(散水後の水)は、系外(独立型水利用システム102の外部)へ放流される。
【0065】
第三中水管31c及び第四中水管31dには、中水送水量調節器としての中水送水バルブ37a、37bがそれぞれ備わっていてもよい。中水送水バルブ37a、37bは、第一中水需要設備40c及び第二中水需要設備40dにそれぞれ対応するように設けられる。そして、複数の中水送水バルブ37a、37bの開閉が所定の条件の成否に応じてそれぞれ調節されることで、第一中水需要設備40cからの第二排水が浄化装置30で浄化されて中水となり、当該中水が、第一中水需要設備40c又は第二中水需要設備40dに対して所望の流量だけ個別に送水可能になる。
【0066】
例えば、第一中水需要設備40cからの第二排水の浄化後の中水の水質を中水水質計54によって検出し、当該中水の水質が所定水質と同等か又は所定水質よりも高いときには、中水送水バルブ37aを開き且つ中水送水バルブ37bを閉じて、当該中水を第一中水需要設備40cに供給する。また、上記中水の水質が所定水質よりも低いときには、中水送水バルブ37aを閉じ且つ中水送水バルブ37bを開いて、当該中水を第二中水需要設備40dに供給する。このような中水送水バルブ37a、37bの開閉は、制御装置50によって自動制御されてもよいし、又は作業員よって手動で操作されてもよい。
【0067】
図4では、上水需要設備20からの第一排水と第一中水需要設備40cからの第二排水とが同一の浄化装置30で浄化されるが、これに代えて、後述する図7の第五実施形態のように、上水需要設備20からの第一排水を浄化する浄化装置と、第一中水需要設備40cからの第二排水を浄化する浄化装置とが、別々に備わっていてもよい。また、図4では、上水需要設備20からの第一排水の浄化後の中水と第一中水需要設備40cからの第二排水の浄化後の中水とが同一の中水貯留槽32に貯留されるが、これに代えて、上水需要設備20からの第一排水の浄化後の中水を貯留する中水貯留槽と、第一中水需要設備40cからの第二排水の浄化後の中水を貯留する中水貯留槽とが、別々に備わっていてもよい。
【0068】
また、例えば図5に示す第三実施形態に係る独立型水利用システム103のように、第二上水管11bが中途で分岐して複数の住宅1a、1bにそれぞれ設けられた複数の上水需要設備20a、20bにそれぞれ接続され、上水が第二上水管11bを通って複数の上水需要設備20a、20bに送水されるようにしてもよい。また、第二中水管31bが中途で分岐して複数の住宅1a、1bにそれぞれ設けられた複数の中水需要設備40a、40bにそれぞれ接続され、中水が第二中水管31bを通って複数の中水需要設備40a、40bに送水されるようにしてもよい。なお、独立型水利用システム103においても、図1に示した水位計51、53及び水質計52、54が備わっていてもよい。
【0069】
独立型水利用システム103において、第二上水管11bは、上水貯留槽12に接続されていると共に、中途で第三上水管11cと第四上水管11dとに分岐している。第三上水管11cは住宅1aの上水需要設備20aに接続され、第四上水管11dは住宅1bの上水需要設備20bに接続されている。この構成により、上水が上水貯留槽12から複数の住宅1a、1bにそれぞれ設置された上水需要設備20a、20bに送水される。
【0070】
第一排水管21aは、浄化装置30に接続されていると共に、中途で第一排水分岐管21cと第一排水分岐管21dとに分岐している。第一排水分岐管21cは住宅1aの上水需要設備20aに接続され、第一排水分岐管21dは住宅1bの上水需要設備20bに接続されている。この構成により、複数の住宅1a、1bにそれぞれ設置された上水需要設備20a、20bからの第一排水が、浄化装置30へそれぞれ送水される。
【0071】
第二中水管31bは、中水貯留槽32に接続されていると共に、中途で第三中水管31cと第四中水管31dとに分岐している。第三中水管31cは住宅1aの中水需要設備40aに接続され、第四中水管31dは住宅1bの中水需要設備40bに接続されている。この構成により、中水が中水貯留槽32から複数の住宅1a、1bにそれぞれ設置された中水需要設備40a、40bに送水される。
【0072】
第三上水管11c及び第四上水管11dには、上水送水量調節器としての上水送水バルブ18a、18bがそれぞれ備わっている。上水送水バルブ18a、18bは、複数の上水需要設備20a、20bにそれぞれ対応するように設けられている。上水送水バルブ18a、18bの開閉が調節されることによって、上水が複数の住宅1a、1bの上水需要設備20a、20bに対して所望の流量で個別に送水される。
【0073】
なお、上水送水量調節器として、上水送水バルブ18a、18bに代えて又は加えて、上水送水ポンプを複数の上水需要設備20a、20bにそれぞれ対応するように設けてもよい。即ち、上水送水バルブ18a、18b、上水送水ポンプ、又はこれらの組み合わせが、上水送水量調節器として第三上水管11c及び第四上水管11dに設けられてもよい。また、上水送水バルブ18a、18bの開閉は、制御装置50によって自動制御されてもよいし、又は作業員により手動で操作されてもよい。
【0074】
第三中水管31c及び第四中水管31dには、中水送水量調節器としての中水送水バルブ37a、37bがそれぞれ備わっている。中水送水バルブ37a、37bは、複数の中水需要設備40a、40bにそれぞれ対応するように設けられている。中水送水バルブ37a、37bの開閉が調節されることによって、中水が複数の住宅1a、1bの中水需要設備40a、40bに対して所望の流量で個別に送水される。
【0075】
なお、中水送水量調節器として、中水送水バルブ37a、37bに代えて又は加えて、中水送水ポンプを複数の中水需要設備40a、40bにそれぞれ対応するように設けても
よい。即ち、中水送水バルブ37a、37b、中水送水ポンプ、又はこれらの組み合わせが、中水送水量調節器として第三中水管31c及び第四中水管31dに設けられてもよい。また、中水送水バルブ37a、37bの開閉は、制御装置50によって自動制御してもよいし、又は作業員によって手動で操作されてもよい。
【0076】
第二排水管21bは、浄化装置30に接続されていると共に、中途で第二排水分岐管21eと第二排水分岐管21fとに分岐している。第二排水分岐管21eは住宅1aの中水需要設備40aに接続され、第二排水分岐管21fは住宅1bの中水需要設備40bに接続されている。この構成により、複数の住宅1a、1bにそれぞれ設置された中水需要設備40a、40bからの第二排水が、浄化装置30へそれぞれ送水される。
【0077】
また、例えば図6に示す第四実施形態に係る独立型水利用システム104のように、複数の上水貯留槽12a、12bが、上水管11a、11bに並列に備わっていてもよい。また、複数の中水貯留槽32a、32bが、中水管31a、31bに並列に備わっていてもよい。即ち、上水貯留槽及び中水貯留槽のうちの少なくともいずれかが、独立型水利用システムに複数備わっていてもよい。なお、独立型水利用システム104においても、図1及び図4に示した水位計51、53、上水水質計52、54、流出管13、及びバルブ14が備わっていてもよい。また、複数の上水貯留槽12a、12bのうちの少なくともいずれかから、複数の中水貯留槽32a、32bのうちの少なくともいずれかに上水を流出させるように、上水流出管13及びバルブ14を備えてもよい。或いは、複数の上水貯留槽12a、12bのそれぞれから複数の中水貯留槽32a、32bのそれぞれに対して選択的に上水を流出させるように、上水流出管13及びバルブ14を備えてもよい。
【0078】
独立型水利用システム104において、第一上水管11aは、造水装置10に接続されていると共に、中途で分岐して複数の上水貯留槽12a、12bにそれぞれ接続されている。複数の上水貯留槽12a、12bは、造水装置10から第一上水管11aを通って送水された上水をそれぞれ貯留する。第二上水管11bは、上水需要設備20に接続されていると共に、中途で分岐して複数の上水貯留槽12a、12bにそれぞれ接続されている。複数の上水貯留槽12a、12bに貯留された上水は、第二上水管11bを通って上水需要設備20にそれぞれ送水される。なお、複数の上水貯留槽12a、12bは、それぞれ同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0079】
第一上水管11aの分岐点X2よりも下流(上水貯留槽12a、12b側)の部分には、上水貯留槽12a、12bにそれぞれ対応するように、上水導入装置としての上水導入バルブ16a、16bが備わっている。第二上水管11bの分岐点X3よりも上流(上水貯留槽12a、12b側)の部分には、上水貯留槽12a、12bにそれぞれ対応するように、上水導出装置としての上水導出バルブ17a、17bが備わっている。なお、複数の上水導入バルブ16a、16b及び複数の上水導出バルブ17a、17bは、それぞれ同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0080】
複数の上水導入バルブ16a、16bの開閉がそれぞれ調節されることによって、造水装置10からの上水が、複数の上水貯留槽12a、12bに対して所望の流量で個別に送水される。複数の上水導出バルブ17a、17bの開閉がそれぞれ調節されることによって、上水が複数の上水貯留槽12a、12bから上水需要設備20に対して所望の流量で個別に送水される。上水導入バルブ16a、16b及び上水導出バルブ17a、17bの開閉は、制御装置50によって自動制御されてもよいし、又は作業員によって手動で操作されてもよい。
【0081】
上水導入バルブ16a、16b及び上水導出バルブ17a、17bにより、複数の上水貯留槽12a、12bごとに、導入する上水の流量と導出する上水の流量とを調節するこ
とができる。このため、上水を貯留すべき上水貯留槽12a、12bと、上水を流出させるべき上水貯留槽12a、12bとを適宜選択することができる。例えば、複数の上水貯留槽12a、12bのうちの一方の上水貯留槽を稼働させたまま、他方の上水貯留槽の稼働を停止して、当該他方の上水貯留槽のメンテナンスを行うことができる。また、例えば、一方の上水貯留槽で不具合が生じた場合に、他方の上水貯留槽から上水需要設備20に上水を安定に送水することができる。さらに、例えば、一方の上水貯留槽に貯留された上水を上水需要設備20に送水し、他方の上水貯留槽を消防貯水槽として用いて、当該他方の上水貯留槽に貯留された上水を消防目的で利用することもできる。
【0082】
なお、上水導入バルブ16a、16b及び上水導出バルブ17a、17bに代えて又は加えて、例えば上水導入ポンプ又は上水導出ポンプが上水管11a、11bの勾配に応じて上水管11a、11bに備えられてもよい。この場合、上水導入ポンプ及び上水導出ポンプの駆動は、制御装置50によって自動制御されてもよいし、又は作業員によって手動で操作されてもよい。
【0083】
また、独立型水利用システム104において、第一中水管31aは、浄化装置30に接続されていると共に、中途で分岐して複数の中水貯留槽32a、32bにそれぞれ接続されている。複数の中水貯留槽32a、32bは、浄化装置30から第一中水管31aを通って送水された中水をそれぞれ貯留する。第二中水管31bは、中水需要設備40に接続されていると共に、中途で分岐して複数の中水貯留槽32a、32bにそれぞれ接続されている。複数の中水貯留槽32a、32bに貯留された中水は、第二中水管31bを通って中水需要設備40にそれぞれ送水される。なお、複数の中水貯留槽32a、32bは、それぞれ同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0084】
第一中水管31aの分岐点X4よりも下流(中水貯留槽32a、32b側)の部分には、中水貯留槽32a、32bにそれぞれ対応するように、中水導入装置としての中水導入バルブ35a、35bが備わっている。第二中水管31bの分岐点X5よりも上流(中水貯留槽32a、32b側)の部分には、中水貯留槽32a、32bにそれぞれ対応するように、中水導出装置としての中水導出バルブ36a、36bが備わっている。なお、複数の中水導入バルブ35a、35b及び複数の中水導出バルブ36a、36bは、それぞれ同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0085】
複数の中水導入バルブ35a、35bの開閉がそれぞれ調節されることによって、浄化装置30からの中水が、複数の中水貯留槽32a、32bに対して所望の流量で個別に送水される。複数の中水導出バルブ36a、36bの開閉がそれぞれ調節されることによって、中水が複数の中水貯留槽32a、32bから中水需要設備40に対して所望の流量で個別に送水される。中水導入バルブ35a、35b及び中水導出バルブ36a、36bの開閉は、制御装置50によって自動制御されてもよいし、又は作業員によって手動で操作されてもよい。
【0086】
中水導入バルブ35a、35b及び中水導出バルブ36a、36bにより、複数の中水貯留槽32a、32bごとに、導入する中水の流量と導出する中水の流量とを調節することができる。このため、中水を貯留すべき中水貯留槽32a、32bと、中水を流出させるべき中水貯留槽32a、32bとを適宜選択することができる。例えば、複数の中水貯留槽32a、32bのうちの一方の中水貯留槽を稼働させたまま、他方の中水貯留槽の稼働を停止して、当該他方の中水貯留槽のメンテナンスを行うことができる。また、例えば、一方の中水貯留槽で不具合が生じた場合に、他方の中水貯留槽から中水需要設備40に中水を安定に送水することができる。さらに、例えば、一方の中水貯留槽に貯留された中水を中水需要設備40に送水し、他方の中水貯留槽を消防貯水槽として用いて、当該他方の中水貯留槽に貯留された中水を消防目的で利用することもできる。
【0087】
なお、中水導入バルブ35a、35b及び中水導出バルブ36a、36bに代えて又は加えて、例えば上水導入ポンプ又は上水導出ポンプが中水管31a、31bの勾配に応じて中水管31a、31bに備えられてもよい。この場合、中水導入ポンプ及び中水導出ポンプの駆動は、制御装置50によって自動制御されてもよいし、又は作業員によって手動で操作されてもよい。
【0088】
図6では、上水貯留槽12a、12bと中水貯留槽32a、32bとがそれぞれ2つずつ備えられているが、上水貯留槽と中水貯留槽とはそれぞれ3つ以上備えられてもよいし、また上水貯留槽と中水貯留槽の設置数が異なってもよい。また、複数の上水貯留槽12a、12bの設置場所は、同じ箇所である必要はなく、離れた箇所であってもよい。複数の中水貯留槽32の設置場所も、同じ箇所である必要はなく、離れた箇所であってもよい。
【0089】
また、例えば、複数の上水貯留槽12a、12bが上水管11a、11b以外の管で接続されて、複数の上水貯留槽12a、12b間で当該管を介して上水が流入出するように構成してもよい。また、複数の中水貯留槽32a、32bも同様に、中水管31a、31b以外の管で接続されて、複数の中水貯留槽32a、32b間で当該管を介して中水が流入出するように構成してもよい。
【0090】
また、例えば図7に示す第五実施形態に係る独立型水利用システム105のように、上水需要設備20からの第一排水が浄化装置30xで浄化された後、中水として中水管31a、31b及び中水貯留槽32aを介して第一中水需要設備40cに送水され、第一中水需要設備40cからの第二排水が浄化装置30yで浄化された後、中水として中水管31e、31f及び中水貯留槽32bを介して第二中水需要設備40dに送水されてもよい。なお、独立型水利用システム105では、上水需要設備20からの第一排水と第一中水需要設備40cからの第二排水とを別々に浄化するために、複数の浄化装置30x、30yが備えられているが、浄化装置30xと浄化装置30yとは、同一の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0091】
また、図7に示すように複数の中水貯留槽32a、32bが備わっている場合には、中水が一方の中水貯留槽32aから他方の中水貯留槽32bに対して中水を流出させる中水流出管33a及び中水流出バルブ34aが備わっていてもよい。
【0092】
また、例えば上水貯留槽12及び中水貯留槽32が省略され、図8に示す第六実施形態に係る独立型水利用システム106のように、造水装置10で送水された上水が上水管11を通って上水需要設備20に送水され、浄化装置30で浄化された中水が中水管31を通って中水需要設備40に送水されてもよい。この場合、上水及び中水をそれぞれ貯留するタンクなどの槽が、造水装置10、上水需要設備20、及び中水需要設備40に一体的に備わっていてもよい。
【0093】
また、利用後の水がそのまま自然回帰するのを規制されていない散水設備のような特定の設備だけで中水需要設備40が構成されている場合には、図1などに示した第二排水管21bを省略してもよい。この場合、造水装置10で造水された水が上水需要設備20で利用された後、浄化装置30で浄化されて中水となり、当該中水が中水需要設備40で利用されて、当該利用後の第二排水が系外へ放流されるので、浄化装置30と中水貯留槽32と中水需要設備40とに対して水が循環されることはない。
【0094】
上述した実施形態においては、中水が中水貯留槽32,32a、32bから中水流出管33、33aを通して系外へ放流される例を示したが、これに限らない。例えば浄化装置
30、30x、30yに放流管を接続し、浄化装置30で浄化された中水を当該放流管へ通して系外へ放流させてもよい。またこの場合、上記放流管にバルブを備えると共に水質計を接続し、制御装置50又は作業員が、所定の条件の成否に応じて、浄化装置30で浄化された中水を上記放流管へ通して系外へ放流させてもよい。さらに、当該所定の条件として、浄化装置30で浄化された中水の水質が所定の水質より低いことと、中水貯留槽32,32a、32bの水位が所定の水位以上であることとのうち少なくともいずれかが設定されてもよい。
【0095】
上述した実施形態においては、造水装置10が大気から上水を造水する構成であったが、これに限らない。造水装置10は、雨水又は河川などから上水を造水する構成であってもよい。また、造水装置10が、独立型水利用システム101~106に複数備わっていてもよい。また、造水装置10の稼働電力を確保するために、太陽光発電システムを独立型水利用システム101~106と連携させてもよい。
【0096】
上述した実施形態においては、水位計51、53及び水質計52、54により測定した上水貯留槽12内の上水及び中水貯留槽32内の中水の水位及び水質に基づいて、当該上水及び中水の増減を調節する構成であったが、これ以外に、例えば制御装置50(図3)が、水位計51、53及び水質計52、54により測定した上水貯留槽12内の上水及び中水貯留槽32内の中水の水位及び水質を通信装置60により、作業員又は独立型水利用システム101~106の利用者が使用するモニタリング装置70に送信してもよい。そして、モニタリング装置70に備わるディスプレイなどにより、上水貯留槽12内の上水及び中水貯留槽32内の中水の水位及び水質を表示させてもよい。
【0097】
また、計測器55~57により計測された上水、中水、及び放流水量、独立型水利用システム101~106の各装置の作動状況なども、同様に制御装置50が通信装置60によりモニタリング装置70に送信して、モニタリング装置70に表示させてもよい。なお、例えば、モニタリング装置70はコンピュータ又はスマートフォンなどで構成され、通信装置60はインターネットなどの広域通信網又はWi-Fi(登録商標)などの狭域通信網を介してモニタリング装置70と通信可能に構成される。
【0098】
上述した各実施形態の独立型水利用システム101~106の各部の構成を、適宜組み合わせてもよい。また、上述した実施形態では、特定の水需要設備として、住宅1、1a、1bに設置された水需要設備を対象として水を利用するために、独立型水利用システム101~106を適用したが、これに限らない。戸建て住宅、マンションなどの集合住宅、商業施設、公共施設、又は工場などの各所に設置された水需要設備を対象として水を利用するために、独立型水利用システム101~106を適用してもよい。また、装置、管、及び槽の設置数は、図1図8に示した数に限定せず、適宜設定してもよい。また、独立型水利用システム101~106を利用する住宅などの水需要施設は、1つでも2つ以上でもよい。また、水需要者(契約者)も1人でもよいし、2人以上でもよい。さらに、上水需要設備及び中水需要設備はそれぞれ1つでもよいし、2つ以上でもよい。
【0099】
以上説明した本実施形態は、以下の構成を備え、効果を奏する。
本実施形態の独立型水利用システム101~106は、特定の水需要設備20、20a、20b、40、40a~40dを対象として水を利用する独立型水利用システムであって、造水装置10と、造水装置10で造水された上水を上水需要設備20、20a、20bに送水する上水管11a~11d、11と、上水需要設備20、20a、20bで利用された後の第一排水を送水する第一排水管21a、21c、21dと、第一排水管21a、21c、21dに接続され且つ第一排水を浄化する浄化装置30、30x、30yと、浄化装置30、30x、30yで第一排水が浄化されることによって生成された中水を中水需要設備40、40a~40dに送水する中水管31a~31f、31と、を備えている。
【0100】
上記構成によれば、上水道網が構築されていない地域などでも、造水装置10により大気などから上水を造水して、当該上水を上水需要設備20、20a、20bで利用し、上水需要設備20、20a、20bによる利用後の第一排水を浄化装置30、30x、30yで浄化して、中水として中水需要設備40、40a~40dで再利用することができ、上水の造水量以上の水を利用して、独立型水利用システム101~106の利便性を高めることが可能となる。
【0101】
独立型水利用システム101~106は、中水需要設備40、40cで利用された後の第二排水を浄化装置30、30yへ送水する第二排水管21b、21e、21fを備えている。これにより、中水需要設備40、40a~40cからの第二排水を浄化装置30、30yで浄化して、再度中水として中水需要設備40、40a~40dで再利用すること、即ち中水を循環利用することができるので、一層上水の造水量以上の水を利用して、利便性を高めることが可能となる。
【0102】
独立型水利用システム101~105は、上水及び中水のうちの少なくともいずれかを外部に放流する放流管13、33、33a(上水流出管13、中水流出管33、33a)を備えている。これにより、例えば、上水又は中水を水需要設備20、20a、20b、40、40a~40dへの送水以外の目的で使用することができ、また上水又は中水の水量及び水質を調節することができる。
【0103】
独立型水利用システム102、103は、複数の中水需要設備40a~40dにそれぞれ対応するように、中水送水バルブ37a~37dなどの中水送水量調節器を中水管31c、31dに備えている。このため、例えば、第一中水需要設備40cからの第二排水を浄化装置30で浄化することによって得られた中水の水質又は水量などの所定の条件と、複数の中水需要設備40a~40dの種類などに応じて、中水送水バルブ37a~37dを開閉して、中水を複数の中水需要設備40a~40dに選択的に送水することができる。
【0104】
独立型水利用システム101~105は、上水管11a~11dに接続され且つ上水を貯留する上水貯留槽12、12a、12bを備えている。これにより、造水装置10で造水された上水を上水貯留槽12、12a、12bで一時的に貯留し、当該貯留した上水を上水需要設備20、20a、20bでの需要に応じて利用することができる。また、独立型水利用システム101~103、105などは、上水貯留槽12に貯留されている上水を上水需要設備20以外に流出させる上水流出管13と、上水流出管13による上水の流出量を調節する上水流出装置(上水流出バルブ)14とを備えている。これにより、上水貯留槽12に貯留されている上水を上水需要設備20への送水以外の目的で使用することができる。
【0105】
独立型水利用システム101~105は、中水管31a、31b、31e、31fに接続され且つ中水を貯留する中水貯留槽32、32aを備え、上水流出管13は、上水貯留槽12に貯留されている上水を中水貯留槽32、32aに流出させる。これにより、中水貯留槽32、32aにおける中水の需要量が増加したときに、上水流出管13を介して流出させた上水によって、中水の不足量を補うことができる。また、上水は中水よりも綺麗な水であるため、中水貯留槽32、32aにおける中水の水質又は水位などの状態が低下したときに、上水流出管13を介して流出させた上水により、中水の状態を改善することができる。
【0106】
独立型水利用システム101、105などは、上水貯留槽12に貯留されている上水の
水質及び水位の少なくともいずれかの状態を検出する上水状態検出装置51、52(上水水位計51、上水水質計52)を備え、上水流出装置(上水流出バルブ)14は、上水状態検出装置51、52が検出した上水の状態に基づいて上水の流出量を調節可能に構成されている。これにより、上水状態検出装置51、52が検出した上水の状態に基づいて、上水流出装置14により上水貯留槽12からの上水の流出量を適切に調節することができる。造水装置10は、上水状態検出装置51、52が検出した上水の状態に基づいて、上水の造水量を調節可能に構成されている。これにより、上水状態検出装置51、52が検出した上水の状態に基づいて、造水装置10による上水の造水量を適切に調節することができる。
【0107】
上水状態検出装置51、52は、上水貯留槽12に貯留されている上水の水位を検出する上水水位計51及び当該上水の水質を検出する上水水質計52のうちの少なくともいずれかを含んでいる。これにより、上水貯留槽12の水位が所定水位よりも下がれば、造水装置10による造水量を増やすべきと判断することができる。また、上水貯留槽12の水位が所定水位よりも上がれば、上水の排出を促すべきと判断することができる。さらに、上水貯留槽12に貯留されている上水の水質が、上水としての利用が推奨される所定水質より低下すれば、造水装置10による造水量を増やすべきと判断したり、中水を上水需要設備20以外に送水すべきと判断したりすることができる。
【0108】
独立型水利用システム104は、上水管11a、11bにそれぞれ接続され且つ上水を貯留する複数の上水貯留槽12a、12bと、複数の上水貯留槽12a、12bのそれぞれに対応するように設けられた複数の上水導入装置(上水導入バルブ)16a、16bと複数の上水導出装置(上水導出バルブ)17a、17bとを備え、複数の上水導入装置16a、16bは、それぞれ対応する上水貯留槽12a、12bに流入させる上水の流量を調節可能に構成され、複数の上水導出装置17a、17bは、それぞれ対応する上水貯留槽12a、12bから流出させる上水の流量を調節可能に構成されている。これにより、複数の上水貯留槽12a、12bごとに、流入する上水の流量と流出する上水の流量とを調節することができるため、上水を貯留すべき上水貯留槽と、上水を流出させるべき上水貯留槽とを適宜選択することが可能となる。例えば、複数の上水貯留槽12a、12bのうち、一方の上水貯留槽を稼働させたまま、他方の上水貯留槽の稼働を停止して、上水需要設備20に上水を供給しつつ、他方の上水貯留槽のメンテナンスを行うことができる。
【0109】
独立型水利用システム101~105は、上水に塩素を添加する塩素添加部15を備えている。これにより、塩素添加部15から上水に塩素を添加して、上水を消毒することができる。上水需要設備20、20a、20bは、住宅1、1a、1bに設けられ、上水は少なくとも飲料水として用いられる。これにより、上水道網が構築されていない地域にある住宅1、1a、1bにおいて、飲料水を確保することができる。
【0110】
独立型水利用システム103では、上水管11a~11dは、複数の上水需要設備20a、20bに上水をそれぞれ送水し、複数の上水需要設備20a、20bに送水される上水の流量を個別に調節する上水送水量調節器(上水送水バルブ)18a、18bを備えている。これにより、複数の上水需要設備20a、20bに対して、上水を上水送水量調節器18a、18bにより所望の流量だけ個別に送水することができる。
【0111】
独立型水利用システム101~105は、中水管31a、31bに接続され且つ中水を貯留する中水貯留槽32、32a、32bを備えている。これにより、浄化装置30で浄化した中水を中水貯留槽32、32a、32bで一時的に貯留し、当該貯留した中水を中水需要設備40、40a~40dにおける水需要に応じて利用することができる。
【0112】
独立型水利用システム101~105は、中水貯留槽32、32aに貯留されている中
水を中水需要設備40、40c以外に流出させる中水流出管33、33aと、中水流出管33、33aによる中水の流出量を調節する中水流出装置(中水流出バルブ)34、34aとを備えている。これにより、中水貯留槽32、32aに貯留されている中水を、中水需要設備40への送水以外の目的で使用することができる。
【0113】
独立型水利用システム101、105などは、中水貯留槽32、32a、32bに貯留されている中水の水質及び水位の少なくともいずれかの状態を検出する中水状態検出装置53、54(中水水位計53、中水水質計54)を備え、中水流出装置(中水流出バルブ)34、34aは、中水状態検出装置53、54が検出した中水の状態に基づいて、中水の流出量を調節可能に構成されている。これにより、中水状態検出装置53、54によって検出された中水の状態に基づいて、中水貯留槽32、32a、32bからの中水の流出量を適切に調節することができる。
【0114】
浄化装置30、30x、30yは、中水状態検出装置53、54が検出した中水の状態に基づいて、中水の浄水量を調節可能に構成されている。これにより、中水状態検出装置53、54によって検出された中水の状態に基づいて、浄化装置30、30x、30yによる中水の浄水量を適切に調節することができる。
【0115】
中水状態検出装置53、54は、中水貯留槽32、32a、32bに貯留されている中水の水位を検出する中水水位計53及び当該中水の水質を検出する中水水質計54のうちの少なくともいずれかを含んでいる。これにより、例えば中水貯留槽32、32a、32b内の中水の水位が所定水位よりも下がれば、浄化装置30による浄水量を増やすべきと判断することができる。また、中水貯留槽32、32a、32b内の中水の水位が所定水位よりも上がれば、中水貯留槽32からの中水の排出を促すべきと判断することができる。また、中水貯留槽32、32a、32b内の中水の水質が、中水としての利用が推奨される所定水質より低下すれば、浄化装置30、30x、30yによる浄水量を増やすべきと判断したり、中水需要設備40、40a~40c以外に送水すべきと判断したりすることができる。
【0116】
独立型水利用システム104は、中水管31a、31bにそれぞれ接続され且つ中水を貯留する複数の中水貯留槽32a、32bと、複数の中水貯留槽32a、32bのそれぞれに対応するように設けられた複数の中水導入装置(中水導入バルブ)35a、35bと複数の中水導出装置(中水導出バルブ)36a、36bとを備え、複数の中水導入装置35a、35bは、それぞれ対応する中水貯留槽32a、32bに流入させる中水の流量を調節可能に構成され、複数の中水導出装置36a、36bは、それぞれ対応する中水貯留槽32a、32bから流出させる中水の流量を調節可能に構成されている。これにより、複数の中水貯留槽32a、32bごとに、流入する中水の流量と流出する中水の流量とを調節することができるため、中水を貯留すべき中水貯留槽と、中水を流出させるべき中水貯留槽とを適宜選択することが可能となる。例えば、複数の中水貯留槽32a、32bのうち、一方の中水貯留槽を稼働させたまま、他方の中水貯留槽の稼働を停止して、中水需要設備40に上水を供給しつつ、他方の中水貯留槽のメンテナンスを行うことができる。
【0117】
浄化装置30、30x、30yには、中水を消毒する中水消毒槽30gが設けられている。これにより、浄化装置30、30x、30yで生成した中水を、中水消毒槽30gで適切に消毒してから、中水需要設備40、40a~40dに送水することができる。また、浄化装置30、30x、30yには、中水に含まれる不純物を排除する排除器(逆浸透膜)30fが設けられている。これにより、浄化装置30、30x、30yで生成した中水から不純物を排除器30fにより適切に排除した後、当該中水を中水需要設備40、40a~40dに送水することができる。
【0118】
独立型水利用システム101~106では、中水需要設備40、40a~40dは住宅1、1a、1bに設けられ、中水は洗濯用水、便所用水、及び散水用水のうちの少なくともいずれかとして用いられている。これにより、水道網が構築されていない地域にある住宅1、1a、1bにおいて、少なくとも便所用水又は散水用水を確保することができる。
【0119】
独立型水利用システム102、103では、中水管31b~31dは、複数の中水需要設備40a~40dに中水をそれぞれ送水し、複数の中水需要設備40a~40dに送水される中水の流量を個別に調節する中水送水量調節器(中水送水バルブ)37a、37bが備わっている。これにより、複数の中水需要設備40a~40dに対して、中水を所望の流量だけ個別に送水することができる。
【0120】
独立型水利用システム101~106では、造水装置10による上水の造水過程で生じる熱を、上水、中水、又は浄化装置30、30x、30yの加熱に利用する。これにより、造水装置10で生じる熱を利用して、上水、中水、浄化装置30、30x、30yを加熱することができ、例えば寒冷地での上水又は中水の凍結を防止したり、浄化装置30、30x、30yでの浄化作用を向上させたりすることが可能となる。
【0121】
独立型水利用システム101~106では、上水及び中水のうちの少なくともいずれかを、消防用水として利用する。これにより、例えば独立型水利用システム101~106が、消防署から離れた遠隔地で導入されても、上水又は中水を消防用水として有効利用して、当該遠隔地で消化活動を行うことができる。
【0122】
独立型水利用システム101~106は、上水需要設備20、20a、20bによる上水の利用量を計測する上水利用量計測器55と、上水の利用量に基づいて上水の利用料金を算出する料金算出装置58と、を備えている。これにより、造水装置10で造水された上水の上水需要設備20、20a、20bによる利用量に応じた利用料金を、料金算出装置58により自動で算出することができる。
【0123】
独立型水利用システム101~106は、中水需要設備40、40a~40dによる中水の利用量を計測する中水利用量計測器56と、中水の利用量に基づいて中水の利用料金を算出する料金算出装置58と、を備えている。これにより、浄化装置30、30x、30yで生成された中水の中水需要設備40、40a~40dによる利用量に応じた利用料金を、料金算出装置58により自動で算出することができる。
【0124】
独立型水利用システム101~106は、上水及び中水のうち、外部へ放流される水の放流水量を計測する放流水量計測器57と、当該放流水量に基づいて放流料金を算出する料金算出装置58と、を備えている。これにより、放流管13、33、33aを介して独立型水利用システム101~106の外部へ放流される放流水量に応じた利用料金を、料金算出装置58により自動で算出することができる。
【0125】
独立型水利用システム101~106では、料金算出装置58が、上水利用量計測器55、中水利用量計測器56、放流水量計測器57、及び料金算出装置58による計測値のうち、上水の利用量と中水の利用量とに基づいてシステム利用料金を算出し、又は上水の利用量と中水の利用量と放流水量とに基づいてシステム利用料金を算出する。これにより、独立型水利用システム101~106全体の利用料金を自動で算出することができる。また、第一排水及び第二排水のうち、浄化装置30により浄化されて中水となった水量に応じて、上水の利用料金及び中水の利用料金のうちの少なくともいずれかを割り引くこともできる。さらに、外部への放流水量に応じた利用料金は、料金算出装置58により算出されず、システム利用料金に含まれないようにして、利用者の経済的負担を軽減することができる。
【0126】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1、1a、1b 住宅
10 造水装置
11 上水管
11a 第一上水管
11b 第二上水管
11c 第三上水管
11d 第四上水管
12、12a、12b 上水貯留槽
13 上水流出管(放流管)
14 上水流出バルブ(上水流出装置)
15 塩素添加部
16a、16b 上水導入バルブ(上水導入装置)
17a、17b 上水導出バルブ(上水導出装置)
18a、18b 上水送水バルブ(上水送水量調節器)
20、20a、20b 上水需要設備
21a 第一排水管
21b 第二排水管
21c 第一排水分岐管
21d 第一排水分岐管
21e 第二排水分岐管
21f 第二排水分岐管
30、30x、30y 浄化装置
30f 排除器(逆浸透膜)
30g 中水消毒槽
31、31e、31f 中水管
31a 第一中水管
31b 第二中水管
31c 第三中水管
31d 第四中水管
32、32a、32b 中水貯留槽
33、33a 中水流出管(放流管)
34、34a 中水流出バルブ(中水流出装置)
35a、35b 中水導入バルブ(中水導入装置)
36a、36b 中水導出バルブ(中水導出装置)
37a、37b 中水送水バルブ(中水送水量調節器)
40、40a、40b 中水需要設備
40c 第一中水需要設備
40d 第二中水需要設備
50 制御装置
51 上水水位計(上水状態検出装置)
52 上水水質計(上水状態検出装置)
53 中水水位計(中水状態検出装置)
54 中水水質計(中水状態検出装置)
55 上水利用量計測器
56 中水利用量計測器
57 放流水量計測器
58 料金算出装置
101~106 独立型水利用システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8