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  • 特開-インクジェット印刷装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172308
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20241205BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241205BHJP
   B41J 2/195 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/175
B41J2/18
B41J2/01 401
B41J2/195
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089934
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】矢森 雄大
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA28
2C056EB15
2C056EB30
2C056EC15
2C056EC29
2C056EC32
2C056EC40
2C056HA15
2C056KB11
2C056KB16
(57)【要約】
【課題】インクジェット印刷装置1の印刷環境温度に左右されることなく、急速にインク供給経路のインクを冷却する。
【解決手段】インクカートリッジに充填されたインクをインク補給経路を介して負圧タンク159に貯留し、負圧タンク159からインクジェットヘッドに供給し、インクジェットヘッドがインクを吐出し、吐出に用いられなかった余剰のインクをインク回収経路156を介して負圧タンク159に回収するインクジェット印刷装置1であって、負圧タンク159からインクジェットヘッドに供給されるインクの温度を検出するインク温度センサ1614と、インク補給経路153上であって、インクカートリッジから供給されるインクを冷却する冷却部と、インク温度センサ1614により検出されたインクの温度に応じて、冷却部によるインク冷却を制御する制御部10とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクカートリッジに充填されたインクをインク補給経路を介してインクタンクに貯留し、前記インクタンクからインクジェットヘッドに供給し、インクジェットヘッドがインクを吐出し、吐出に用いられなかった余剰のインクをインク回収経路を介して前記インクタンクに回収するインクジェット印刷装置であって、
前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに供給されるインクの温度を検出する温度検出部と、
前記インク補給経路上であって、前記インクカートリッジから供給されるインクを冷却する冷却部と、
前記温度検出部により検出されたインクの温度に応じて、前記冷却部によるインク冷却を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷環境温度に左右されることなく、急速にインクを冷却するインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印字ヘッドからインクを吐出して印刷を行なうインクジェット印刷装置では、インクがピエゾ素子により加温されインク温度が上昇し過ぎる場合がある。
【0003】
引用文献1には、インク循環経路に冷却ファンなどの放熱部材を設け、インク冷却するインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011―245737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、高温環境下で高印字率ジョブなどを印刷する際にインクの冷却が間に合わず、画像形成装置の適正インク温度を超えてしまい、印刷停止を余儀なくされることがあった。または、印字率やドロップ率を下げることで印刷を継続させ、印字品質を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
この冷却手段だとインク冷却が間に合わない理由としては、以下の(1)~(3)がある。
(1)インク循環機構内のインク冷却機構部以外の部分では、印刷環境の温度影響を受ける。
(2)インク温度変化を感知してから熱エネルギーを与える必要がありインク温度変化に時間を要する。
(3)補給されるカートリッジ内のインク温度がインク経路内のインク温度に影響する。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、印刷環境温度に左右されることなく、急速にインクタンク内のインクを冷却するインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴は、
インクカートリッジに充填されたインクをインク補給経路を介してインクタンクに貯留し、前記インクタンクからインクジェットヘッドに供給し、インクジェットヘッドがインクを吐出し、吐出に用いられなかった余剰のインクをインク回収経路を介して前記インクタンクに回収するインクジェット印刷装置であって、
前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに供給されるインクの温度を検出する温度検出部と、
前記インク補給経路上であって、前記インクカートリッジから供給されるインクを冷却する冷却部と、
前記温度検出部により検出されたインクの温度に応じて、前記冷却部によるインク冷却を制御する制御部と、を備えたことにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴によれば、インクジェット印刷装置の印刷環境温度に左右されることなく、急速にインク供給経路のインクを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置の全体構成を模式的に示した図である。
図2】本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置の動作手順を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施例2に係るインクジェット印刷装置の全体構成を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
<実施例1>
本発明の実施例1では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクをインク循環経路内で循環するとともに、インク循環経路に接続されたインクジェットヘッドからインクを吐出することにより印刷を行うインクジェット印刷装置を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置1の全体構成を模式的に示した図である。なお、ここでは、C(シアン)のインクのインク循環経路を代表して説明するが、他の色のインク循環経路についても同様の構成を有する。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置1では、加圧タンク158と、インクを吐出するインクジェットヘッド110の上流側に設けたインクバス123とが、インク供給経路155を介して接続されている。インク供給経路155上に、温度調節器161が設けられている。温度調節器161は冷却ファン1611とヒータ1612とを有している。冷却ファン1611によりインクは冷却され、ヒータ1612によりインクは加温される。温度調節器161により冷却または加温されたインクは、インク温度センサ1614により温度が検出される。
【0016】
加圧タンク158には、空気連通経路171が接続されており、この空気連通経路171を介して、加圧タンク158の上部の空気層と接続された加圧共通空気室172が設けられている。
【0017】
加圧共通空気室172には、大気開放管175が接続され、この大気開放管175には大気開放弁1741が備わっており、この大気開放弁1741を開放することにより加圧共通空気室172の気室内を大気開放する。また、大気開放弁1741を閉止することで加圧共通空気室172を密閉することもできる。また、大気開放管175には圧力調整弁1742が備わっており、圧力センサ172aにより測定された加圧共通空気室172内の圧力に基づいて圧力調整弁1742により加圧共通空気室172内の圧力を調整することができる。さらに、加圧共通空気室172には、加圧共通空気室172内に空気を送り込むポンプ173が設けられている。
【0018】
このように、加圧共通空気室172には、大気開放弁1741と圧力調整弁1742とポンプ173とが設けられているので、加圧共通空気室172内の空気圧を調整することができ、この加圧共通空気室172と連通された加圧タンク158上部の空気層の圧力を調整することができる。
【0019】
また、大気開放管175には、大気開放管175に空気中のゴミが入り込まないようにするエアフィルタ176と、下部に負圧タンク159からオーバーフローして大気開放管175に流入したインクを回収するオ-バーフローパン177とが設けられている。
【0020】
一方、インクジェットヘッド110のインクバス123で回収したインクを貯蔵する負圧タンク159と、ポンプ160と、加圧タンク158とは、インク回収経路156を介して接続されている。
【0021】
これにより、インクジェットヘッド110がインクを吐出し、吐出に用いられなかった余剰のインクをインクバス123で回収し、インクバス123で回収したインクはインク回収経路156を介して負圧タンク159に貯留され、負圧タンク159に貯留されたインクは、ポンプ160が起動することにより加圧タンク158側へ送出される。
【0022】
負圧タンク159は、インクを充填したインクカートリッジ151とインク補給経路153を介して接続されている。インク補給弁152が開放することにより、インクカートリッジ151内に貯留されたフレッシュなインクがインク補給経路153を介して負圧タンク159に供給される。
【0023】
インク補給経路153は、インク補給弁152の下流側で、第1インク補給経路153aと、第2インク補給経路153bとに分岐している。
【0024】
第1インク補給弁1531は、第1インク補給経路153a上に設けられており、第1インク補給弁1531を介して負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整する。第2インク補給弁1532は、第2インク補給経路153b上に設けられており、第2インク補給弁1532を介して負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整する。
【0025】
第1インク補給経路153aにおける第1インク補給弁1531の上流側には、冷却サブタンク1533が設けられており、第1インク補給弁1531を介して負圧タンク159に補給されるインクを冷却する。
【0026】
このように、第1インク補給弁1531および第2インク補給弁1532により負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整することにより、負圧タンク159に貯留するインクの温度を調整することができる。第1インク補給弁1531と、第2インク補給弁1532と、冷却サブタンク1533とを冷却部という。
【0027】
なお、負圧タンク159が大気圧に保たれている時には、負圧タンク159とインクジェットヘッド110のノズルとの水頭差によってノズルにメニスカスが生じるような適切圧力となるように、負圧タンク159の高さ位置が定められている。
【0028】
また、負圧タンク159の空気層と連通された負圧共通気室101が備えられている。負圧共通気室101には、大気開放管175が接続され、この大気開放管175には大気開放弁104が備わっている。この大気開放弁104を開放することにより、負圧共通気室101の気室内を大気開放し、また、大気開放弁104を閉止することで負圧共通気室101内を密閉することもできる。また、大気開放管175には圧力調整弁105が備わっており、圧力センサ101aにより測定された負圧共通気室101内の圧力に基づいて圧力調整弁105により負圧共通気室101内の圧力を調整することができる。
【0029】
制御部10は、インクジェット印刷装置1内の全ての機能部の動作を制御するもので、特に、インク温度センサ1614により検出されたインクの温度に応じて、冷却部によるインク冷却を制御する。具体的には、制御部10は、インク温度センサ1614により検出されたインクの温度が適正インク温度となるように、負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整するため第1インク補給弁1531および第2インク補給弁1532を制御する。
(実施例1のインクジェット印刷装置1の動作)
次に、本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置1の動作について説明する。
【0030】
図2は、本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置1の動作手順を示すフローチャートである。
【0031】
実施例1のインクジェット印刷装置1は、ステップS101において、制御部10は、インク温度センサ1614により検出されたインク供給経路155内のインクの温度を取得する。
【0032】
ステップS103において、制御部10は、インクカートリッジ151に貯留されたインクの残量に基づいてインクの補給が可能か否かを判定する。
【0033】
インクの補給が不可である場合(ステップS103;NO)、ステップS105において、制御部10は、インク供給経路155内の温度調節器161のみでインク供給経路155内のインク温度を制御する。
【0034】
一方、インクの補給が可能である場合(ステップS103;YES)、ステップS107において、制御部10は、インク供給経路155内のインクの温度が印字適正温度から+T1℃以上乖離しているか否かを判定する。
【0035】
インク供給経路155内のインクの温度が印字適正温度から+T1℃以上乖離している場合(ステップS107;YES)、ステップS109において、制御部10は、冷却済みインクのみ補給させる。具体的には、制御部10は、第1インク補給弁1531を全開とすると共に、第2インク補給弁1532を全閉とすることにより、冷却サブタンク1533により冷却されたインクを負圧タンク159に補給する。これにより、急速にインク供給経路155のインクを冷却することができる。
【0036】
インク供給経路155内のインクの温度が印字適正温度からの乖離した温度が+T1℃未満である場合(ステップS107;NO)、ステップS111において、制御部10は、インク供給経路155内のインクの温度が印字適正温度から-T1℃以上乖離しているか否かを判定する。
【0037】
インク供給経路155内のインクの温度が印字適正温度から-T1℃以上乖離している場合(ステップS111;YES)、ステップS113において、制御部10は、加温済みインクのみ補給させる。具体的には、制御部10は、第1インク補給弁1531を全閉とすると共に、第2インク補給弁1532を全開とすることにより、冷却サブタンク1533により連脚されることなくインクカートリッジ151に貯留されたインクを負圧タンク159に補給する。
【0038】
インク供給経路155内のインクの温度が印字適正温度からの乖離した温度が-T1℃未満である場合(ステップS111;NO)、ステップS115において、制御部10は、冷却済みインクと加温済みインクを組み合わせて適正インク温度となるようにインク補給弁を開放させる。具体的には、制御部10は、インク温度センサ1614により検出されたインクの温度が適正インク温度となるように、負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整するため第1インク補給弁1531および第2インク補給弁1532を制御する。
【0039】
以上のように、本発明の実施例1のインクジェット印刷装置1によれば、制御部10が、インク温度センサ1614により検出されたインクの温度に応じて、冷却サブタンク1533を含む冷却部によるインク冷却を制御する。冷却サブタンク1533に一定温度のインクを保持しておくことは熱エネルギーを保持していることになる。そのため、例えば印刷環境の変化による急激な温度変化などが生じた場合でも保持していた熱エネルギーを利用して、インク供給経路の温度を一定に保つこと(インク温度を安定させること)が可能である。例えば、インク温度上昇を検知してから冷却部を稼働させた場合、上昇したインク温度を冷却させるには、一定量の熱エネルギーが必要となるが、あらかじめ熱エネルギーを装置内(冷却サブタンク1533内)に用意しておくことで、短い時間でインクを冷却することが可能となる。これにより、インクジェット印刷装置1の印刷環境温度に左右されることなく、急速にインク供給経路のインクを冷却することができる。
【0040】
<実施例2>
本発明の実施例1では、インク補給経路153がインク補給弁152の下流側で、第1インク補給経路153aと第2インク補給経路153bとに分岐し、第1インク補給経路153a上に冷却サブタンク1533を設けたインクジェット印刷装置1を例に挙げて説明したがこれに限らない。
【0041】
本発明の実施例2では、第1インク補給経路153a上に冷却サブタンク1533を設けると共に、第2インク補給経路153b上に加温サブタンクを設けたインクジェット印刷装置を例に挙げて説明する。
【0042】
本発明の実施例2でも、実施例1と同様に、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクをインク循環経路内で循環するとともに、インク循環経路に接続されたインクジェットヘッドからインクを吐出することにより印刷を行うインクジェット印刷装置を例に挙げて説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施例1に係るインクジェット印刷装置1の全体構成を模式的に示した図である。図3に示した構成のうち、図1に示した構成と同一の符号が付された構成については、同一構成として説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、本発明の実施例2に係るインクジェット印刷装置1では、インク補給経路153は、インク補給弁152の下流側で、第1インク補給経路153aと、第2インク補給経路153bとに分岐している。
【0045】
第1インク補給弁1531は、第1インク補給経路153a上に設けられており、第1インク補給弁1531を介して負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整する。第2インク補給弁1532は、第2インク補給経路153b上に設けられており、第2インク補給弁1532を介して負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整する。
【0046】
第1インク補給経路153aにおける第1インク補給弁1531の上流側には、冷却サブタンク1533が設けられており、第1インク補給弁1531を介して負圧タンク159に補給されるインクを冷却する。
【0047】
第2インク補給経路153bにおける第2インク補給弁1532の上流側には、加温サブタンク1534が設けられており、第2インク補給弁1532を介して負圧タンク159に補給されるインクを加温する。
【0048】
冷却サブタンク1533と加温サブタンク1534との間には、ペルチェ素子1535が設けられている。ペルチェ素子1535は、通電すると、冷却サブタンク1533側に「冷却」、加温サブタンク1534側に「発熱」といった現象が起こるように設けられている。すなわち、低温側(冷却サブタンク1533側)で吸熱し、高温側(加温サブタンク1534側)で放熱する温度差による熱の移動現象(ヒートポンプ)を用いている。通電量を変更することにより、温度調節も可能である。なお、電気の流れる方向を変えれば、冷却と発熱を逆にすることも可能である。 この働きを「ペルチェ効果」といい、冷却と加熱の温度制御を簡単に行える仕組みとなっている。
【0049】
このように、第1インク補給経路153aに冷却サブタンク1533を設け、第2インク補給経路153bに加温サブタンク1534を設け、第1インク補給弁1531および第2インク補給弁1532により負圧タンク159に補給されるインクの流量を調整することにより、負圧タンク159に貯留するインクの温度を調整することができる。これにより、インクジェット印刷装置1の印刷環境温度に左右されることなく、より急速にインク供給経路のインクを冷却または加温して適正温度にすることができる。
【0050】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0051】
(付記1)
インクカートリッジに充填されたインクをインク補給経路を介してインクタンクに貯留し、前記インクタンクからインクジェットヘッドに供給し、インクジェットヘッドがインクを吐出し、吐出に用いられなかった余剰のインクをインク回収経路を介して前記インクタンクに回収するインクジェット印刷装置であって、
前記インクタンクから前記インクジェットヘッドに供給されるインクの温度を検出する温度検出部と、
前記インク補給経路上であって、前記インクカートリッジから供給されるインクを冷却する冷却部と、
前記温度検出部により検出されたインクの温度に応じて、前記冷却部によるインク冷却を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【0052】
これにより、温度検出部により検出されたインクの温度に応じて、冷却部によるインク冷却を制御するので、冷却部に一定温度のインクを保持しておくことは熱エネルギーを保持していることになる。そのため、例えば印刷環境の変化による急激な温度変化などが生じた場合でも保持していた熱エネルギーを利用して、短い時間でインクを冷却することが可能となる。これにより、インクジェット印刷装置1の印刷環境温度に左右されることなく、急速にインク供給経路のインクを冷却することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 インクジェット印刷装置
10 制御部
101 負圧共通気室
101a 圧力センサ
104 大気開放弁
105 圧力調整弁
110 インクジェットヘッド
123 インクバス
151 インクカートリッジ
152 インク補給弁
153 インク補給経路
153a 第1インク補給経路
153b 第2インク補給経路
155 インク供給経路
156 インク回収経路
158 加圧タンク
159 負圧タンク
160 ポンプ
161 温度調節器
171 空気連通経路
172 加圧共通空気室
172a 圧力センサ
173 ポンプ
175 大気開放管
176 エアフィルタ
177 オ-バーフローパン
1531 第1インク補給弁
1532 第2インク補給弁
1533 冷却サブタンク
1534 加温サブタンク
1535 ペルチェ素子
1611 冷却ファン
1612 ヒータ
1614 インク温度センサ
1741 大気開放弁
1742 圧力調整弁
図1
図2
図3