(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172309
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B28D 1/04 20060101AFI20241205BHJP
B23D 45/16 20060101ALI20241205BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20241205BHJP
B24B 23/02 20060101ALI20241205BHJP
B24B 55/05 20060101ALI20241205BHJP
B24B 55/04 20060101ALI20241205BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20241205BHJP
B27G 19/04 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B28D1/04 A
B23D45/16
B23D47/00 C
B24B23/02
B24B55/05
B24B55/04 Z
B25F5/00 A
B27G19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089935
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山西 竣介
(72)【発明者】
【氏名】津田 翔
【テーマコード(参考)】
3C040
3C047
3C064
3C069
3C158
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040DD01
3C040GG42
3C040JJ00
3C047FF06
3C047FF15
3C047HH03
3C047JJ02
3C064AA05
3C064AA06
3C064AC02
3C064AC03
3C064AC11
3C064BA01
3C064BA20
3C064BB32
3C064BB55
3C064BB80
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA23
3C064CA57
3C064CA62
3C064CB01
3C064CB09
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB72
3C064CB91
3C069AA01
3C069BA04
3C069BB02
3C069BC02
3C069CA01
3C069DA05
3C069EA01
3C158AA03
3C158AA14
3C158AA16
3C158AC03
3C158CA04
3C158CB03
(57)【要約】
【課題】回転刃の最大切り込み深さを大きくすることが可能な技術を提供する。
【解決手段】作業機は、回転刃と、回転刃が取り付けられる出力シャフトと、出力シャフトを回転駆動する原動機と、作業機本体と、回転刃の一部を覆うブレードカバーと、ブレードカバーをカバー回転軸周りに回転可能に保持するカバー保持機構と、を備える。カバー保持機構は、出力シャフトを囲う第1筒状部と、第1筒状部の外周面に規定された雄ネジと、ブレードカバーをカバー回転軸に沿った第1方向から支持する第1カバー支持部と、を含む第1部材と、第1筒状部の外側に配置される第2筒状部と、第2筒状部の内周面に規定され、雄ネジが螺合される雌ネジと、ブレードカバーを第1方向とは反対の第2方向から支持する第2カバー支持部と、を含む第2部材と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断物を切断するための回転刃と、
前記回転刃が取り付けられる出力シャフトと、
前記出力シャフトを回転駆動する原動機と、
前記出力シャフトを回転可能に保持するとともに、前記原動機を収容する作業機本体と、
前記回転刃の一部を覆うブレードカバーと、
前記作業機本体に設けられており、前記ブレードカバーをカバー回転軸周りに回転可能に保持するカバー保持機構と、を備えており、
前記カバー保持機構は、
前記出力シャフトを囲う第1筒状部と、前記第1筒状部の外周面に規定された雄ネジと、前記ブレードカバーを前記カバー回転軸に沿った第1方向から支持する第1カバー支持部と、を含む第1部材と、
前記第1筒状部の外側に配置される第2筒状部と、前記第2筒状部の内周面に規定され、前記雄ネジが螺合される雌ネジと、前記ブレードカバーを前記第1方向とは反対の第2方向から支持する第2カバー支持部と、を含む第2部材と、を備える、作業機。
【請求項2】
前記第1カバー支持部と前記第2カバー支持部のそれぞれは、前記カバー回転軸の略全周にわたって前記ブレードカバーを支持している、請求項1の作業機。
【請求項3】
前記出力シャフトを回転可能に支持するベアリングをさらに備えており、
前記第1部材は、前記ベアリングに前記第1方向から当接する第1ベアリング当接部をさらに含んでおり、
前記第2部材は、前記ベアリングに前記第2方向から当接する第2ベアリング当接部をさらに含む、請求項1または2の作業機。
【請求項4】
前記カバー回転軸に直交する方向から見た時に、前記雄ネジと、前記雌ネジと、前記ベアリングと、が互いにオーバーラップしている、請求項3の作業機。
【請求項5】
前記第1カバー支持部と前記ブレードカバーの間、および、前記第2カバー支持部と前記ブレードカバーの間のうち少なくとも一方に、弾性部材が設けられる、請求項1から4の何れか一項の作業機。
【請求項6】
前記出力シャフトに設けられており、前記回転刃が前記出力シャフトに対して固定されるように前記回転刃を保持する回転刃保持機構をさらに備えており、
前記出力シャフトの回転軸に直交する方向から見た時に、前記カバー保持機構のうち前記回転刃と前記ブレードカバーの間に存在する部分の外周面は、前記回転刃保持機構の外周面よりも前記出力シャフトの回転軸の径方向内側に退避している、請求項1から5の何れか一項の作業機。
【請求項7】
前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも一方は、中心軸が前記カバー回転軸に沿った多角柱形状を含む、請求項1から6の何れか一項の作業機。
【請求項8】
前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方には、アルミニウム合金が用いられている、請求項1から7の何れか一項の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被切断物を切断するための回転刃と、前記回転刃が取り付けられる出力シャフトと、前記出力シャフトを回転駆動する原動機と、前記出力シャフトを回転可能に保持するとともに、前記原動機を収容する作業機本体と、前記回転刃の一部を覆うブレードカバーと、前記作業機本体に設けられており、前記ブレードカバーをカバー回転軸周りに回転可能に保持するカバー保持機構と、を備える作業機が開示される。前記カバー保持機構は、前記ブレードカバーを挟み込む部材と、当該部材を締結するネジ部材と、を備える。このカバー保持機構では、前記ブレードカバーを挟み込む部材に、出力シャフトとの干渉を回避するための穴と、前記ネジ部材を取り付けるための穴と、が互いに別個に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される作業機の構成では、カバー保持機構が、カバー回転軸の径方向に関して大型化するおそれがある。また、カバー保持機構が径方向に関して大型化することにより、回転刃の最大切り込み深さが小さくなるおそれがある。本明細書では、回転刃の最大切り込み深さを大きくすることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する作業機は、被切断物を切断するための回転刃と、前記回転刃が取り付けられる出力シャフトと、前記出力シャフトを回転駆動する原動機と、前記出力シャフトを回転可能に保持するとともに、前記原動機を収容する作業機本体と、前記回転刃の一部を覆うブレードカバーと、前記作業機本体に設けられており、前記ブレードカバーをカバー回転軸周りに回転可能に保持するカバー保持機構と、を備える。前記カバー保持機構は、前記出力シャフトを囲う第1筒状部と、前記第1筒状部の外周面に規定された雄ネジと、前記ブレードカバーを前記カバー回転軸に沿った第1方向から支持する第1カバー支持部と、を含む第1部材と、前記第1筒状部の外側に配置される第2筒状部と、前記第2筒状部の内周面に規定され、前記雄ネジが螺合される雌ネジと、前記ブレードカバーを前記第1方向とは反対の第2方向から支持する第2カバー支持部と、を含む第2部材と、を備える。
【0006】
上記の構成によれば、第1筒状部の内側に出力シャフトを通過させることにより、カバー保持機構が出力シャフトに干渉することを回避できる。そして、第1筒状部の外周面に規定された雄ネジを第2部材の雌ネジに螺合させることにより、第1部材と第2部材の間にブレードカバーを挟み込むことができる。このため、特許文献1に開示されるようなネジ部材を用意する必要がない。これに伴い、ネジ部材を取り付けるための穴を設ける必要もなくなるので、カバー保持機構を、カバー回転軸の径方向に関して小型化することができる。従って、回転刃の最大切り込み深さを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例に係るパワーカッタ2を前方右方上方から見た全体斜視図である。
【
図2】実施例に係るパワーカッタ2の、メインハウジング10の内部構造を左方から見た図である。
【
図3】実施例に係るパワーカッタ2の、ベルトハウジング12の内部構造を左方から見た図である。
【
図4】実施例に係るパワーカッタ2の、回転刃保持機構56およびカバー保持機構76の近傍の構造を、
図2中のV-V断面で見た断面図である。
【
図5】実施例に係るパワーカッタ2の、カバー保持機構76の近傍の構造を、
図2中のV-V断面で見た断面図である。
【
図6】実施例に係るパワーカッタ2の、カバー保持機構76の分解図である。
【
図7】実施例に係るパワーカッタ2の、回転刃保持機構56およびカバー保持機構76の近傍の構造を、下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された作業機を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1カバー支持部と前記第2カバー支持部のそれぞれは、前記カバー回転軸の略全周にわたって前記ブレードカバーを支持してもよい。
【0012】
仮に第1カバー支持部と第2カバー支持部が、カバー回転軸の略全周にわたってブレードカバーを支持していないと、ブレードカバーが作業機本体に対してガタつくおそれがある。上記の構成によれば、第1カバー支持部と第2カバー支持部のそれぞれが、カバー回転軸の略全周にわたってブレードカバーを支持している。このため、ブレードカバーが作業機本体に対してガタつくことを抑制できる。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記作業機は、前記出力シャフトを回転可能に支持するベアリングをさらに備えてもよい。前記第1部材は、前記ベアリングに前記第1方向から当接する第1ベアリング当接部をさらに含んでもよい。前記第2部材は、前記ベアリングに前記第2方向から当接する第2ベアリング当接部をさらに含んでもよい。
【0014】
上記の構成によれば、カバー保持機構は、ベアリングを挟み込むことにより、ベアリングの抜け止めとしても機能する。このため、ベアリングの抜け止めを別個に用意する必要がないので、作業機の部品点数を削減することができる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記カバー回転軸に直交する方向から見た時に、前記雄ネジと、前記雌ネジと、前記ベアリングと、が互いにオーバーラップしていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、カバー回転軸の軸方向において、カバー保持機構を小型化することができる。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1カバー支持部と前記ブレードカバーの間、および、前記第2カバー支持部と前記ブレードカバーの間のうち少なくとも一方に、弾性部材が設けられてもよい。
【0018】
第1部材、第2部材、および、ブレードカバーのそれぞれには、硬度の高い材料(例えば、金属)が用いられることが予想される。このため、第1カバー支持部(または、第2カバー支持部)とブレードカバーが互いに接触していると、ブレードカバーの回転に伴って、第1カバー支持部(または、第2カバー支持部)とブレードカバーのそれぞれが著しく摩耗してしまう。上記の構成によれば、第1カバー支持部(または、第2カバー支持部)とブレードカバーの間に、比較的硬度の低い弾性部材が設けられる。このため、第1カバー支持部(または、第2カバー支持部)とブレードカバーが摩耗することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、ブレードカバーが作業機本体に対してガタつくことを抑制できる。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記作業機は、前記出力シャフトに設けられており、前記回転刃が前記出力シャフトに対して固定されるように前記回転刃を保持する回転刃保持機構をさらに備えてもよい。前記出力シャフトの回転軸に直交する方向から見た時に、前記カバー保持機構のうち前記回転刃と前記ブレードカバーの間に存在する部分の外周面は、前記回転刃保持機構の外周面よりも前記出力シャフトの回転軸の径方向内側に退避していてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、カバー保持機構を、回転刃の最大切り込み深さに影響を与えない程度まで小型化することができる。これにより、回転刃の最大切り込み深さを可能な限り大きくすることができる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1部材および前記第2部材のうち少なくとも一方は、中心軸が前記カバー回転軸に沿った多角柱形状を含んでもよい。
【0022】
仮に第1部材および第2部材が多角柱形状を有していない場合、レンチ等の工具によって第1部材および第2部材を把持することができない。この場合、作業機の製造者(具体的には、作業機の組み立て作業を行う者)にとって、十分な締め付けトルクをもって雄ネジと雌ネジを締結することが困難になり得る。上記の構成によれば、第1部材および第2部材の少なくとも一方が多角柱形状を有するので、レンチ等の工具によって第1部材および第2部材の少なくとも一方を把持することができる。このため、作業機の製造者にとって、十分な締め付けトルクをもって雄ネジと雌ネジを締結することが容易になる。
【0023】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方には、アルミニウム合金が用いられてもよい。
【0024】
アルミニウム合金は、金属の中では比較的軽量である。また、アルミニウム合金は、ネジを含む様々な形状への加工が容易である。上記の構成によれば、第1部材および第2部材の少なくとも一方に、アルミニウム合金が用いられる。このため、第1部材および第2部材の少なくとも一方を軽量化できる。さらに、第1部材および第2部材の少なくとも一方を容易に加工することができる。
【0025】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の作業機は、パワーカッタ2である。パワーカッタ2は、ユーザが持ち運び可能な手持ち式の作業機である。パワーカッタ2は、外周縁に複数の刃先又は研削砥石を有する回転刃4を用いて、主に石材や鉄材といった被切断物を切断する。パワーカッタ2には、再充電可能な電池パックBが、着脱可能に取り付けられている。パワーカッタ2は、電池パックBから供給される電力によって動作する。
図2に示すように、パワーカッタ2は、平面P(例えば、地面)に載置可能である。
【0026】
本明細書では、パワーカッタ2が平面Pに載置されている状態を基準として、前後上下左右方向を定める。具体的には、平面Pに直交する方向であって、平面Pからパワーカッタ2に向かう方向を上方向と定め、パワーカッタ2から平面Pに向かう方向を下方向と定める。また、上下方向に直交する方向であって、回転刃4の回転軸A(単に軸Aとも呼ぶ。)が延びる方向を左右方向と定める。そして、上下方向および左右方向に垂直な方向であって、回転刃4が向けられる方向を前方向と定め、その逆方向を後方向と定める。
【0027】
図1に示すように、パワーカッタ2は、回転刃4の一部を覆うブレードカバー6と、回転刃4およびブレードカバー6を保持するパワーカッタ本体8を備える。詳細は後述するが、ブレードカバー6は、パワーカッタ本体8に対して回転可能に取り付けられる。ブレードカバー6には、ユーザが把持するための取手6aが設けられる。ユーザは、ブレードカバー6に設けられた取手6aを把持することで、ブレードカバー6を比較的容易に回転させることができる。
【0028】
パワーカッタ本体8は、メインハウジング10と、ベルトハウジング12を備える。メインハウジング10の上面には、電池パックBを上方から挿入可能な開口部14が規定されている。ベルトハウジング12は、メインハウジング10から見て前方上方に向かって延びている。
【0029】
メインハウジング10には、ユーザが一方の手(例えば、左手)で把持可能な前方ハンドル16と、ユーザが他方の手(例えば、右手)で把持可能な後方ハンドル18が設けられている。前方ハンドル16は、メインハウジング10に取り付けられたパイプ状の部材である。前方ハンドル16は、主にメインハウジング10の上方および左方にわたって延在している。後方ハンドル18は、メインハウジング10の一部によって規定されている。後方ハンドル18は、前方ハンドル16よりも後方に配置されている。ユーザは、一方の手で前方ハンドル16を把持するとともに、他方の手で後方ハンドル18を把持することで、パワーカッタ2を持ち運ぶことができる。
【0030】
ブレードカバー6には、給水ホース20が取り付けられる。給水ホース20の一端は、プラグ22を介して、ブレードカバー6の側壁部に接続されている。給水ホース20の他端には、給水コネクタ24が設けられている。給水コネクタ24は、メインハウジング10に固定されており、例えば水道の蛇口といった外部の給水源に接続される。ユーザは、給水ホース20を介してブレードカバー6の内部に水を供給しながら、パワーカッタ2による切断作業を行うことができる。
【0031】
図2、
図3に示すように、パワーカッタ2は、電源インターフェース26と、制御ユニット28と、電動モータ30と、動力伝達機構32を備える。
図2に示すように、電源インターフェース26と、制御ユニット28と、電動モータ30は、メインハウジング10に設けられている。
図3に示すように、動力伝達機構32は、ベルトハウジング12に設けられている。
【0032】
図2に示す電源インターフェース26は、電池パックBをパワーカッタ2に電気的に接続するためのインターフェースである。電源インターフェース26は、制御ユニット28に電気的に接続される外部端子34を備える。電池パックBがパワーカッタ2に取り付けられると、外部端子34は、電池パックBに設けられた接続端子(図示せず)に接続される。
【0033】
制御ユニット28は、パワーカッタ2が備える電装部品の動作を制御する。制御ユニット28は、例えば、スイッチング素子を備えるインバータ回路と、スイッチング素子の動作を制御する制御回路を備える。制御ユニット28は、電池パックBから供給される電力を調整して電動モータ30に供給することで、電動モータ30の動作を制御することができる。
【0034】
電動モータ30は、例えばインナロータ型のDCブラシレスモータである。電動モータ30に電力が供給されると、電動モータ30は、モータシャフト(図示せず)を回転させる。
【0035】
図3に示す動力伝達機構32は、前述のモータシャフト(図示せず)に連結される遊星歯車機構(図示せず)と、遊星歯車機構に連結される入力シャフト36と、入力シャフト36に固定される入力プーリ38と、回転刃4が取り付けられる出力シャフト40と、出力シャフト40に固定される出力プーリ42と、入力プーリ38と出力プーリ42の間に架け渡された伝動ベルト44と、を備える。遊星歯車機構は、モータシャフトの回転を減速して、入力シャフト36に伝達する。入力シャフト36は、ベルトハウジング12に設けられたベアリング(図示せず)によって、左右方向に沿った軸周りに回転可能に支持されている。入力プーリ38および出力プーリ42は歯付きプーリであり、伝動ベルト44は歯付きベルトである。入力プーリ38に設けられた歯は、伝動ベルト44に設けられた歯に噛み合っている。出力プーリ42に設けられた歯は、伝動ベルト44に設けられた歯に噛み合っている。このため、入力プーリ38、伝動ベルト44、および出力プーリ42は、互いに連動して回転する。出力シャフト40は、ベアリング78、80(
図4参照)によって、軸A周りに回転可能に支持されている。
【0036】
電動モータ30は、動力伝達機構32を介して、回転刃4を回転させる。この場合、電動モータ30が発生させる動力は、モータシャフト(図示せず)、遊星歯車機構(図示せず)、入力シャフト36、入力プーリ38、伝動ベルト44、出力プーリ42、出力シャフト40を順に介して、回転刃4に伝達される。
【0037】
ベルトハウジング12には、シャフトロック46が設けられている。シャフトロック46は、バネによってベルトハウジング12に対して上方に付勢されている。ユーザがバネの付勢力に抗してシャフトロック46を下方に押し込むと、出力プーリ42がロックされて、出力シャフト40の回転が禁止される。ユーザがシャフトロック46の押し込みを辞めると、バネの付勢力によってシャフトロック46が上方に押し戻される。そして、出力プーリ42はアンロックされ、出力シャフト40の回転は許容される。
【0038】
図2に示すように、パワーカッタ2は、トリガスイッチ48と、トリガレバー50と、トリガロック52と、操作ボタン54をさらに備える。トリガスイッチ48と、トリガレバー50と、トリガロック52と、操作ボタン54は、後方ハンドル18に設けられる。トリガレバー50は、後方ハンドル18を把持する手の人差し指によって操作可能な位置に配置される。トリガレバー50が引き上げられると、トリガスイッチ48が押下される。トリガスイッチ48が押下される場合、トリガスイッチ48は、トリガオン信号を制御ユニット28に出力する。制御ユニット28は、トリガスイッチ48からトリガオン信号が出力されている間、電動モータ30を動作させる。一方、トリガレバー50が引き上げられない場合、トリガスイッチ48は押下されない。トリガスイッチ48が押下されない場合、トリガスイッチ48は、トリガオフ信号を制御ユニット28に出力する。制御ユニット28は、トリガスイッチ48からトリガオフ信号が出力されている間、電動モータ30を停止させる。また、トリガロック52は、後方ハンドル18を把持する手の親指によって操作可能な位置に配置される。トリガロック52は、バネ(図示せず)によって後方ハンドル18に対して左方に付勢されている。通常、トリガロック52は、トリガレバー50がトリガスイッチ48を押下しないように、トリガレバー50をロックしている。この状態では、トリガレバー50の引き上げ操作が禁止される。バネの付勢力に抗してトリガロック52が右方に押し込まれると、トリガレバー50がアンロックされ、トリガレバー50の引き上げ操作が許容される。従って、ユーザは、トリガロック52を押し込んだ状態で、トリガレバー50を引き上げることにより、電動モータ30を動作させ、回転刃4を回転させることができる。
【0039】
操作ボタン54は、後方ハンドル18の上面に配置される。本実施例では、制御ユニット28は、操作ボタン54の操作に応じて、メインハウジング10の前面に設けられる照明装置(図示せず)への電力供給を開始または中止する。即ち、操作ボタン54は、照明装置のON、OFFの切り替えを行うためのボタンである。
【0040】
(回転刃保持機構56)
図4に示すように、パワーカッタ2は、回転刃保持機構56をさらに備える。回転刃保持機構56は、出力シャフト40に設けられる。回転刃保持機構56は、出力シャフト40に対して回転刃4が固定されるように、回転刃4を保持する。回転刃保持機構56は、リングブッシュ58と、左側フランジ60と、右側フランジ62と、ボルト64と、ワッシャ66を備える。リングブッシュ58は、出力シャフト40にスライド可能かつ回転可能に取り付けられる。リングブッシュ58は、出力シャフト40とともに、回転刃4に設けられた貫通孔68に入り込んでいる。リングブッシュ58は、出力シャフト40と、貫通孔68の周縁部と、の間の隙間を塞ぐように配置される。左側フランジ60と右側フランジ62は、軸Aを中心に広がる略円盤形状を有している。左側フランジ60と右側フランジ62は、出力シャフト40にスライド可能かつ回転不能に取り付けられる。左側フランジ60は、中央部分が回転刃4の左面に対して左方にオフセットされており、中央部分よりも径方向外側の部分において回転刃4の左面に当接している。右側フランジ62は、中央部分が回転刃4の右面に対して右方にオフセットされており、中央部分よりも径方向外側の部分において回転刃4の右面に当接している。ボルト64は、例えば六角ボルトであり、雄ネジ70を備える。雄ネジ70は、出力シャフト40に規定された雌ネジ72に螺合される。ワッシャ66は、ボルト64の頭部と左側フランジ60の間に配置される。
【0041】
ボルト64は、右側フランジ62と、回転刃4と、左側フランジ60と、ワッシャ66と、を出力シャフト40に対して締結している。この状態では、出力シャフト40に設けられたフランジ部74とボルト64の頭部との間に、右側フランジ62と、回転刃4と、左側フランジ60と、ワッシャ66と、が挟み込まれる。これにより、回転刃4が、出力シャフト40に対して固定される。
【0042】
ユーザは、ボルト64を緩めることにより、ボルト64(およびワッシャ66)を出力シャフト40から取り外すことができる。ボルト64(およびワッシャ66)が出力シャフト40から取り外された状態では、ユーザは、左側フランジ60、回転刃4、リングブッシュ58、および右側フランジ62のそれぞれを出力シャフト40に対して左方にスライドさせて取り外すことができる。これにより、ユーザは、回転刃4および回転刃保持機構56を出力シャフト40から取り外すことができる。回転刃4および回転刃保持機構56が出力シャフト40から取り外された後の様子は、
図5に示される。
【0043】
(カバー保持機構76)
パワーカッタ2は、カバー保持機構76をさらに備える。カバー保持機構76は、ベルトハウジング12に設けられる。カバー保持機構76は、ブレードカバー6を軸A周りに回転可能に保持する。また、カバー保持機構76は、2つのベアリング78、80を介して、出力シャフト40を回転可能に保持している。本実施例では、便宜上、2つのベアリング78、80のうち直径が小さい方を「小径ベアリング78」と呼び、2つのベアリング78、80のうち直径が大きい方を「大径ベアリング80」と呼ぶ。
【0044】
図6に示すように、カバー保持機構76は、ベース部材82と、キャップ部材84と、ラバーリング86と、リングブッシュ88と、左側ワッシャ90と、右側ワッシャ92を備える。
【0045】
図5に示すように、ベース部材82は、ベルトハウジング12の左側部分を規定する部材である。ベース部材82には、金属(例えば、マグネシウム合金)が用いられる。ベース部材82は、第1筒状部94と、雄ネジ96と、第1カバー支持面98と、小径ベアリング受け部100と、大径ベアリング受け部102と、を備える。第1筒状部94の一端は、ベルトハウジング12の内部に開口している。第1筒状部94の他端は、ベルトハウジング12の外部に開口している。出力シャフト40は、第1筒状部94を介して、ベルトハウジング12の内部と外部に跨っている。第1筒状部94は、出力シャフト40を囲うように延びている。雄ネジ96は、第1筒状部94の外周面に規定されている。第1カバー支持面98は、第1筒状部94の周囲に円環状に規定された平面である。第1カバー支持面98は、軸Aの径方向および周方向に広がっている。第1カバー支持面98は、ラバーリング86と右側ワッシャ92を介して、ブレードカバー6を右方から支持している。小径ベアリング受け部100および大径ベアリング受け部102は、第1筒状部94の内周面に段差を設けることによって形成される。小径ベアリング受け部100は、小径ベアリング78に右方から当接している。大径ベアリング受け部102は、大径ベアリング80に右方から当接している。
【0046】
リングブッシュ88は、ベース部材82の第1筒状部94の外周面にスライド可能かつ回転可能に取り付けられる。リングブッシュ88は、第1筒状部94とともに、ブレードカバー6に設けられた貫通孔104に入り込んでいる。リングブッシュ88は、第1筒状部94と、貫通孔104の周縁部と、の間の隙間を塞ぐように配置される。
【0047】
キャップ部材84には、金属(例えば、アルミニウム合金)が用いられる。キャップ部材84は、第2筒状部106と、雌ネジ108と、第2カバー支持面110と、大径ベアリング押さえ部112と、を備える。第2筒状部106は、第1筒状部94の外側に配置される。雌ネジ108は、第2筒状部106の内周面に規定されている。雌ネジ108には、ベース部材82の雄ネジ96が螺合される。第2カバー支持面110は、第2筒状部106の右端において、円環状に規定された平面である。第2カバー支持面110は、軸Aの径方向および周方向に広がっている。第2カバー支持面110は、左側ワッシャ90を介して、ブレードカバー6を左方から支持している。大径ベアリング押さえ部112は、第2筒状部106の左端から軸Aの径方向内側に向けて突出している。大径ベアリング押さえ部112は、大径ベアリング80に左方から当接している。
【0048】
ラバーリング86と、右側ワッシャ92と、ブレードカバー6と、左側ワッシャ90は、ベース部材82の第1カバー支持面98とキャップ部材84の第2カバー支持面110との間に挟み込まれている。これにより、ブレードカバー6が軸A周りに保持される。ブレードカバー6を挟み込む力(軸力ともいう。)は、キャップ部材84の締め付けトルク(即ち、雄ネジ96に対する雌ネジ108の締め付けトルク)に依存する。具体的には、キャップ部材84の締め付けトルクが大きくなるほど、ブレードカバー6を挟み込む力も大きくなる。なお、キャップ部材84の締め付けトルクは、ユーザが使用する中でキャップ部材84が簡単に緩まない程度に調整される。例えば、キャップ部材84の締め付けトルクは、20N・mから35N・mまでの範囲内となっている。
【0049】
図6に示すように、キャップ部材84は、鍔部114と六角部116を備える。鍔部114は、第2筒状部106の右端から軸Aの径方向外側に向けて突出している。鍔部114の外周面は、円筒形状を有している。第1カバー支持面98は、鍔部114の下面に相当する。六角部116は、鍔部114よりも左方に設けられている。六角部116は、中心軸が軸Aに沿って延びる六角柱形状を有している。パワーカッタ2の組み立て作業を行う者は、レンチ等の工具を用いて六角部116を把持した状態で、当該工具を軸A周りに回転させることで、キャップ部材84を締めることができる。また、六角部116の外周面は、鍔部114の外周面よりも軸Aの径方向内側に退避している。
【0050】
図5に示すように、小径ベアリング78は、小径ベアリング受け部100と、出力シャフト40に設けられた段差部118との間に挟み込まれる。これによって、小径ベアリング78は、所定の位置に保持される。また、大径ベアリング80は、大径ベアリング受け部102と、大径ベアリング押さえ部112との間に挟み込まれる。これによって、大径ベアリング80は、所定の位置に保持される。大径ベアリング80は、軸Aに直交する方向から見た時に、雄ネジ96および雌ネジ108とオーバーラップする位置に保持される。ここでいう「オーバーラップする」という表現は、大径ベアリング80を軸Aの径方向に沿って投影した部分が、雄ネジ96および雌ネジ108と重なり合うことを意味する。また、大径ベアリング80の右端は、雄ネジ96の右端よりも左方であって、雄ネジ96の左端よりも右方に配置される。大径ベアリング80の右端は、雌ネジ108の右端よりも左方であって、雌ネジ108の左端よりも右方に配置される。
【0051】
図7に示すように、キャップ部材84のうち最も外径の大きい部分(鍔部114)は、回転刃保持機構56のうち最も外径の大きい部分(左側フランジ60または右側フランジ62)よりも軸Aの径方向内側に退避している。従って、キャップ部材84の外周面は、回転刃保持機構56の外周面よりも軸Aの径方向内側に退避している。また、キャップ部材84の外周面は、ベース部材82の外面よりも軸Aの径方向内側に退避している。
【0052】
(変形例)
作業機は、パワーカッタ2以外の作業機であってもよい。例えば、作業機は電動丸鋸やチップソーであってもよい。
【0053】
作業機は、電動モータ30以外の原動機を備えてもよい。例えば、作業機は、エンジンを備えてもよい。
【0054】
作業機には、外部電源(例えば、商用電源)に接続するためのコネクタが設けられてもよい。この場合、作業機は、電池パックBから供給される電力によって動作する代わりに、外部電源から供給される電力によって動作してもよい。
【0055】
ベース部材82には、雄ネジ96の代わりに、雌ネジが設けられてもよい。この場合、キャップ部材84には、雌ネジ108の代わりに、雄ネジが設けられてもよい。ベース部材82の雌ネジに対してキャップ部材84の雄ネジを締め付けることによって、ブレードカバー6が軸A周りに保持されてもよい。
【0056】
ブレードカバー6の回転軸は、回転刃4の回転軸Aと一致していなくてもよい。例えば、ブレードカバー6の回転軸は、回転刃4の回転軸Aに対してわずかにオフセットされていてもよい。また、ブレードカバー6の回転軸は、回転刃4の回転軸Aに対してわずかに傾斜していてもよい。
【0057】
第1カバー支持面98(および/または、第2カバー支持面110)は、軸Aの全周にわたって連続的に広がっていなくてもよい。例えば、第1カバー支持面98(および/または、第2カバー支持面110)は、軸Aの周方向の一部に広がっていてもよい。あるいは、第1カバー支持面98(および/または、第2カバー支持面110)は、軸Aの周方向に沿って離散的に設けられてもよい。
【0058】
キャップ部材84は、大径ベアリング押さえ部112を備えていなくてもよい。この場合であっても、大径ベアリング80は、大径ベアリング受け部102と出力シャフト40に設けられたフランジ部74との間に挟み込まれて、所定の位置に保持される。
【0059】
ベース部材82は、小径ベアリング受け部100(および/または、大径ベアリング受け部102)を備えていなくてもよい。この場合、ベルトハウジング12に、小径ベアリング78(および/または、大径ベアリング80)を受けるための部材が設けられてもよい。
【0060】
大径ベアリング80は、軸Aに直交する方向から見た時に、雄ネジ96および雌ネジ108とオーバーラップする位置に保持されていなくてもよい。
【0061】
カバー保持機構76は、ラバーリング86と、左側ワッシャ90と、右側ワッシャ92のうち少なくとも一つを備えていなくてもよい。例えば、第1カバー支持面98は、ブレードカバー6の右面に当接して、ブレードカバー6を支持してもよい。また、第2カバー支持面110は、ブレードカバー6の左面に当接して、ブレードカバー6を支持してもよい。
【0062】
ラバーリング86に相当する弾性部材が、第2カバー支持面110とブレードカバー6の間に設けられてもよい。この場合、ラバーリング86は、第1カバー支持面98とブレードカバー6の間に設けられてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0063】
キャップ部材84の外周面のうち少なくとも一部は、回転刃保持機構56の外周面よりも軸Aの径方向外側に存在していてもよい。キャップ部材84の外周面のうち少なくとも一部は、ベース部材82の外面よりも軸Aの径方向外側に存在していてもよい。
【0064】
キャップ部材84の外面の形状は、適宜変更されてもよい。例えば、六角部116は、その他の多角柱形状(例えば、四角柱形状、八角柱形状)に置き換えられてもよい。あるいは、六角部116は、円筒形状に置き換えられてもよい。この場合、キャップ部材84をレンチ等の工具で把持することは不可能であってもよい。
【0065】
キャップ部材84に用いられる材料は、アルミニウム合金に限られない。例えば、アルミニウム合金以外の金属(例えば、マグネシウム合金)が、キャップ部材84に用いられてもよい。あるいは、樹脂(例えば、ナイロン)が、キャップ部材84に用いられてもよい。
【0066】
ベース部材82に用いられる材料は、マグネシウム合金に限られない。例えば、アルミニウム合金以外の金属(例えば、アルミニウム合金)が、ベース部材82に用いられてもよい。あるいは、樹脂(例えば、ナイロン)が、ベース部材82に用いられてもよい。
【0067】
(実施例の特徴)
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、パワーカッタ2(作業機の例)は、被切断物を切断するための回転刃4と、回転刃4が取り付けられる出力シャフト40と、出力シャフト40を回転駆動する電動モータ30(原動機の例)と、出力シャフト40を回転可能に保持するとともに、電動モータ30を収容するパワーカッタ本体8(作業機本体の例)と、回転刃4の一部を覆うブレードカバー6と、パワーカッタ本体8に設けられており、ブレードカバー6を軸A(カバー回転軸の例)周りに回転可能に保持するカバー保持機構76と、を備える。カバー保持機構76は、出力シャフト40を囲う第1筒状部94と、第1筒状部94の外周面に規定された雄ネジ96と、ブレードカバー6を右方向(第1方向の例)から支持する第1カバー支持面98(第1カバー支持部の例)と、を含むベース部材82(第1部材の例)と、第1筒状部94の外側に配置される第2筒状部106と、第2筒状部106の内周面に規定され、雄ネジ96が螺合される雌ネジ108と、ブレードカバー6を左方向(第2方向の例)から支持する第2カバー支持面110(第2カバー支持部の例)と、を含むキャップ部材84(第2部材の例)と、を備える。
【0068】
上記の構成によれば、第1筒状部94の内側に出力シャフト40を通過させることにより、カバー保持機構76が出力シャフト40に干渉することを回避できる。そして、第1筒状部94の外周面に規定された雄ネジ96をキャップ部材84の雌ネジ108に螺合させることにより、ベース部材82とキャップ部材84の間にブレードカバー6を挟み込むことができる。このため、特許文献1に開示されるようなネジ部材を用意する必要がない。これに伴い、ネジ部材を取り付けるための穴を設ける必要もなくなるので、カバー保持機構76を、軸Aの径方向に関して小型化することができる。従って、回転刃4の最大切り込み深さを大きくすることができる。
【0069】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1カバー支持面98と第2カバー支持面110のそれぞれは、軸Aの略全周にわたってブレードカバー6を支持している。
【0070】
仮に第1カバー支持面98と第2カバー支持面110が、軸Aの略全周にわたってブレードカバー6を支持していないと、ブレードカバー6がパワーカッタ本体8に対してガタつくおそれがある。上記の構成によれば、第1カバー支持面98と第2カバー支持面110のそれぞれが、軸Aの略全周にわたってブレードカバー6を支持している。このため、ブレードカバー6がパワーカッタ本体8に対してガタつくことを抑制できる。
【0071】
1つまたはそれ以上の実施形態において、パワーカッタ2は、出力シャフト40を回転可能に支持する大径ベアリング80(ベアリングの例)をさらに備える。ベース部材82は、大径ベアリング80に右方向から当接する大径ベアリング受け部102(第1ベアリング当接部の例)をさらに含む。キャップ部材84は、大径ベアリング80に左方向から当接する大径ベアリング押さえ部112(第2ベアリング当接部の例)をさらに含む。
【0072】
上記の構成によれば、カバー保持機構76は、大径ベアリング80を挟み込むことにより、大径ベアリング80の抜け止めとしても機能する。このため、大径ベアリング80の抜け止めを別個に用意する必要がないので、パワーカッタ2の部品点数を削減することができる。
【0073】
1つまたはそれ以上の実施形態において、軸Aに直交する方向から見た時に、雄ネジ96と、雌ネジ108と、大径ベアリング80と、が互いにオーバーラップしている。
【0074】
上記の構成によれば、軸Aの軸方向において、カバー保持機構76を小型化することができる。
【0075】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1カバー支持面98とブレードカバー6の間(第1カバー支持部とブレードカバーの間、および、第2カバー支持部とブレードカバーの間のうち少なくとも一方の例)に、ラバーリング86(弾性部材の例)が設けられる。
【0076】
ベース部材82、キャップ部材84、および、ブレードカバー6のそれぞれには、硬度の高い材料(例えば、金属)が用いられることが予想される。このため、第1カバー支持面98とブレードカバー6が互いに接触していると、ブレードカバー6の回転に伴って、第1カバー支持面98とブレードカバー6が著しく摩耗してしまう。上記の構成によれば、第1カバー支持面98とブレードカバー6の間に、比較的硬度の低いラバーリング86が設けられる。このため、第1カバー支持面98とブレードカバー6が摩耗することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、ブレードカバー6がパワーカッタ本体8に対してガタつくことを抑制できる。
【0077】
1つまたはそれ以上の実施形態において、パワーカッタ2は、出力シャフト40に設けられており、回転刃4が出力シャフト40に対して固定されるように回転刃4を保持する回転刃保持機構56をさらに備える。軸A(出力シャフトの回転軸の例)に直交する方向から見た時、キャップ部材84(カバー保持機構のうち回転刃とブレードカバーの間に存在する部分の例)の外周面は、回転刃保持機構56の外周面よりも軸Aの径方向内側に退避している。
【0078】
上記の構成によれば、カバー保持機構76を、回転刃4の最大切り込み深さに影響を与えない程度まで小型化することができる。これにより、回転刃4の最大切り込み深さを可能な限り大きくすることができる。
【0079】
1つまたはそれ以上の実施形態において、キャップ部材84(第1部材および第2部材のうち少なくとも一方の例)は、中心軸が軸Aに沿った六角部116(多角柱形状の例)を含む。
【0080】
仮にベース部材82およびキャップ部材84が六角部116を有していない場合、レンチ等の工具によってベース部材82およびキャップ部材84を把持することができない。この場合、パワーカッタ2の製造者(具体的には、パワーカッタ2の組み立て作業を行う者)にとって、十分な締め付けトルクをもって雄ネジ96と雌ネジ108を締結することが困難になり得る。上記の構成によれば、キャップ部材84が六角部116を有するので、レンチ等の工具によってキャップ部材84を把持することができる。このため、パワーカッタ2の製造者にとって、十分な締め付けトルクをもって雄ネジ96と雌ネジ108を締結することが容易になる。
【0081】
1つまたはそれ以上の実施形態において、キャップ部材84(第1部材および第2部材のうち少なくとも一方の例)には、アルミニウム合金が用いられる。
【0082】
アルミニウム合金は、金属の中では比較的軽量である。また、アルミニウム合金は、ネジを含む様々な形状への加工が容易である。上記の構成によれば、キャップ部材84に、アルミニウム合金が用いられる。このため、キャップ部材84を軽量化できる。さらに、キャップ部材84を容易に加工することができる。
【符号の説明】
【0083】
2 :パワーカッタ
4 :回転刃
6 :ブレードカバー
6a :取手
8 :パワーカッタ本体
10 :メインハウジング
12 :ベルトハウジング
14 :開口部
16 :前方ハンドル
18 :後方ハンドル
20 :給水ホース
22 :プラグ
24 :給水コネクタ
26 :電源インターフェース
28 :制御ユニット
30 :電動モータ
32 :動力伝達機構
34 :外部端子
36 :入力シャフト
38 :入力プーリ
40 :出力シャフト
42 :出力プーリ
44 :伝動ベルト
46 :シャフトロック
48 :トリガスイッチ
50 :トリガレバー
52 :トリガロック
54 :操作ボタン
56 :回転刃保持機構
58 :リングブッシュ
60 :左側フランジ
62 :右側フランジ
64 :ボルト
66 :ワッシャ
68 :貫通孔
70 :雄ネジ
72 :雌ネジ
74 :フランジ部
76 :カバー保持機構
78 :小径ベアリング
80 :大径ベアリング
82 :ベース部材
84 :キャップ部材
86 :ラバーリング
88 :リングブッシュ
90 :左側ワッシャ
92 :右側ワッシャ
94 :第1筒状部
96 :雄ネジ
98 :第1カバー支持面
100 :小径ベアリング受け部
102 :大径ベアリング受け部
104 :貫通孔
106 :第2筒状部
108 :雌ネジ
110 :第2カバー支持面
112 :大径ベアリング押さえ部
114 :鍔部
116 :六角部
118 :段差部
B :電池パック