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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172315
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G02B6/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089947
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】519283819
【氏名又は名称】CIG Photonics Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂 卓磨
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137AA05
2H137AB01
2H137AB05
2H137AB09
2H137AC02
2H137BA12
2H137BA15
2H137BA31
2H137BB12
2H137CA13A
2H137CA15A
2H137CA22A
2H137CA25A
2H137CA34
2H137CA74
2H137CA78
2H137CB06
2H137CC03
2H137DA07
2H137DA39
(57)【要約】
【課題】伝送特性の低下の防止を目的とする。
【解決手段】光モジュールは、光ファイバ22の先端面が露出する前面28を有するブロック26と、前面28の上部が側面46から上方に突出し、光ファイバ22および光導波路44の光軸が一致する導波路基板42と、導波路基板42の下面が固定される上面を有し、導波路基板42からブロック26の下に突出する突出部分を有し、上面はブロック26の下面に対向するベース基板56と、ブロック26を導波路基板42およびベース基板56に接着する接着剤48と、を有し、接着剤48は、ブロック26の前面28の上部と導波路基板42の上面で区画される隅部にある上方部分52と、ブロック26の前面28および導波路基板42の側面46の間に介在する中間部分50と、ブロック26の下面およびベース基板56の上面の間に介在する下方部分54と、を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの端部に取り付けられ、前記光ファイバの先端面が露出する前面を有するブロックと、
光導波路が作り込まれ、前記光導波路の先端面が露出する側面を有し、前記側面と前記ブロックの前記前面が対向し、前記前面の上部が前記側面から上方に突出し、前記光ファイバおよび前記光導波路の光軸が一致する導波路基板と、
前記導波路基板の下面が固定される上面を有し、前記導波路基板から前記ブロックの下に突出する突出部分を有し、前記上面は前記ブロックの下面に対向するベース基板と、
前記ブロックを前記導波路基板および前記ベース基板に接着する接着剤と、
を有し、
前記接着剤は、前記ブロックの前記前面の前記上部と前記導波路基板の上面で区画される隅部にある上方部分と、前記ブロックの前記前面および前記導波路基板の前記側面の間に介在する中間部分と、前記ブロックの前記下面および前記ベース基板の上面の間に介在する下方部分と、を含む光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記ブロックの前記下面および前記ベース基板の前記上面の間隔は、前記導波路基板の前記下面および前記ベース基板の前記上面の間隔よりも大きい光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載された光モジュールであって、
前記ブロックの前記下面は、前記導波路基板の前記下面よりも、高い位置にある光モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板の前記上面は、前記ブロックおよび前記導波路基板の下でフラットである光モジュール。
【請求項5】
請求項2に記載された光モジュールであって、
前記ブロックの前記下面は、前記導波路基板の前記下面よりも低い位置にある光モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板の前記上面は、前記導波路基板の下よりも、前記ブロックの下において、低くなっている光モジュール。
【請求項7】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記導波路基板および前記ベース基板の間に介在する接着層をさらに有し、
前記ベース基板の前記上面は、溝を有し、
前記接着層の端部が前記溝の内側に位置する光モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載された光モジュールであって、
前記溝は、前記導波路基板の前記側面の下端に沿って延びる光モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載された光モジュールであって、
前記溝は、前記導波路基板の前記下面に対向する光モジュール。
【請求項10】
請求項8に記載された光モジュールであって、
前記溝は、前記ブロックの前記下面に対向する光モジュール。
【請求項11】
請求項8に記載された光モジュールであって、
前記溝は、前記導波路基板の前記側面の直下にある光モジュール。
【請求項12】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記ブロックは、複数のブロックであり、
前記導波路基板に作り込まれた前記光導波路は、複数の光導波路であり、
前記複数のブロックのそれぞれが取り付けられる前記光ファイバは、1つまたはそれ以上の光ファイバである光モジュール。
【請求項13】
請求項12に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板の前記上面は、隣同士の前記ブロックの間に凸部を有する光モジュール。
【請求項14】
請求項13に記載された光モジュールであって、
前記接着剤は、前記凸部の上に至らない光モジュール。
【請求項15】
請求項12に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板の前記上面は、隣同士の前記ブロックの間に凹部を有する光モジュール。
【請求項16】
請求項15に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板の前記上面は、前記凹部に隣接するエッジを有し、
前記接着剤の底面の先端は、前記エッジに揃っている光モジュール。
【請求項17】
請求項12に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板は、前記導波路基板が固定される本体を有し、
前記ベース基板は、前記本体から突出する複数の突出部を有し、
前記ベース基板は、隣同士の前記突出部の間に切り欠きを有し、
前記複数のブロックは、前記複数の突出部にそれぞれ接着されている光モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板の前記上面は、前記切り欠きに隣接するエッジを有し、
前記接着剤の底面の先端は、前記エッジに揃っている光モジュール。
【請求項19】
請求項17に記載された光モジュールであって、
前記複数のブロックのそれぞれは、前記複数の突出部が並ぶ方向で、前記複数の突出部の対応する1つの中央にある光モジュール。
【請求項20】
請求項1に記載された光モジュールであって、
前記ブロックは、前記ベース基板に接着される下基板と、前記下基板の上にある上基板と、を含み、
前記下基板および前記上基板の間に前記光ファイバが挟まれ、
前記下基板は、前記上基板よりも薄くなっている光モジュール。
【請求項21】
請求項20に記載された光モジュールであって、
前記上基板は、前記下基板との対向面に、前記光ファイバが配置されるV溝を有する光モジュール。
【請求項22】
請求項20に記載された光モジュールであって、
前記下基板は、前記ブロックの前面からの長さにおいて、前記上基板よりも短い光モジュール。
【請求項23】
請求項22に記載された光モジュールであって、
前記上基板および前記下基板を接着する接着材料をさらに有し、
前記上基板は、前記下基板から突出する突出下面を有し、
前記下基板は、前記前面とは反対の後端面を有し、
前記接着材料の一部は、前記突出下面および前記後端面で区画された隅部にある光モジュール。
【請求項24】
請求項23に記載された光モジュールであって、
前記ベース基板は、前記接着材料の前記一部に重ならない長さになっている光モジュール。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記ブロックは、光透過性材料から構成され、
前記接着剤は、光硬化型接着剤である光モジュール。
【請求項26】
請求項1から24のいずれか1項に記載された光モジュールであって、
前記接着剤は、熱膨張係数において、前記ベース基板よりも大きい光モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光モジュールには、光ファイバおよび光導波路の光軸の一致が要求される。光ファイバの先端にはファイバブロックが固定される(特許文献1及び2)。光導波路は導波路基板に取り付けられ、ファイバブロックおよび導波路基板が固定される(特許文献3)。両者の固定には接着剤が使用される(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-163604号公報
【特許文献2】特開2016-206308号公報
【特許文献3】特開2012-58409号公報
【特許文献4】特開2016-218280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着剤は、ファイバブロックおよび導波路基板の間に介在し、導波路基板の上にも盛り上がる。この盛り上がった部分が熱で膨張すると、ファイバブロックが傾き、光ファイバおよび光導波路の光軸が一致しなくなり、伝送特性が低下する。
【0005】
本発明は、伝送特性の低下の防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
光モジュールは、光ファイバの端部に取り付けられ、前記光ファイバの先端面が露出する前面を有するブロックと、光導波路が作り込まれ、前記光導波路の先端面が露出する側面を有し、前記側面と前記ブロックの前記前面が対向し、前記前面の上部が前記側面から上方に突出し、前記光ファイバおよび前記光導波路の光軸が一致する導波路基板と、前記導波路基板の下面が固定される上面を有し、前記導波路基板から前記ブロックの下に突出する突出部分を有し、前記上面は前記ブロックの下面に対向するベース基板と、前記ブロックを前記導波路基板および前記ベース基板に接着する接着剤と、を有し、前記接着剤は、前記ブロックの前記前面の前記上部と前記導波路基板の上面で区画される隅部にある上方部分と、前記ブロックの前記前面および前記導波路基板の前記側面の間に介在する中間部分と、前記ブロックの前記下面および前記ベース基板の上面の間に介在する下方部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る光モジュールの全体断面図である。
図2図1に示す光モジュールの内部構造の部分平面図である。
図3図2に示す内部構造のIII-III線断面図である。
図4図1に示すブロックおよび光ファイバのIV-IV線断面図である。
図5図1に示す導波路基板のV-V線断面図である。
図6A】従来のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションのモデル断面図である。
図6B】本実施形態のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションのモデル断面図である。
図6C】従来のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションの結果図である。
図6D】本実施形態のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションの結果図である。
図7】光モジュールの製造プロセスの説明図である。
図8】第1の実施形態の変形例1に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。
図9図8に示す内部構造のIX-IX線断面図である。
図10】第1の実施形態の変形例2に係る光モジュールの内部構造の部分断面図である。
図11】第1の実施形態の変形例3に係る光モジュールの内部構造の部分断面図である。
図12】第2の実施形態に係る光モジュールの内部構造の部分断面図である。
図13】第3の実施形態に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。
図14図13に示す内部構造のXIV-XIV線断面図である。
図15】第3の実施形態の変形例に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。
図16図15に示す内部構造のXVI-XVI線断面図である。
図17】第4の実施形態に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。
図18図17に示す内部構造のXVIII-XVIII線断面図である。
図19】第4の実施形態の変形例に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。
図20図19に示す内部構造のXX-XX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る光モジュールの全体断面図である。光モジュールは、光トランシーバである。光トランシーバは、ルータまたはスイッチなどの光通信機器や、装置の信号入出力ポートとして使われる。電気的入出力には、プリント基板10に取り付けられた図示しないコネクタが使用される。ケース12の内部には、電子部品14(例えば集積回路チップ)があり、電気的および物理的な接続には、はんだ16が使用される。伝送線路と他の伝送線路の電気的接続には、ワイヤ18が使用される。
【0010】
ケース12にはアダプタ20が取り付けられており、アダプタ20には、光ファイバ22の端部に固定されたフェルール24が挿入されている。アダプタ20には、図示しない外部の光ファイバのフェルールを挿入することで、光学的入出力が図られる。光のインタフェースとして、MPO(Multi-Fiber Push On)コネクタが使われる。
【0011】
図2は、図1に示す光モジュールの内部構造の部分平面図である。図3は、図2に示す内部構造のIII-III線断面図である。
【0012】
光ファイバ22は、コア、クラッドおよび被覆を含む。クラッドは、コアより屈折率において低い。光ファイバ22は、端部では、被覆が取り除かれてコアおよびクラッドからなる。光ファイバ22の端部に、ブロック26が取り付けられている。複数の光ファイバ22の端部に、1つのブロック26が取り付けられている。ブロック26の前面28から、光ファイバ22の先端面が露出する。
【0013】
図4は、図1に示すブロック26および光ファイバ22のIV-IV線断面図である。ブロック26は、下基板30を含む。下基板30は、前面28とは反対の後端面32を有する。ブロック26は、下基板30の上にある上基板34を含む。下基板30および上基板34の間に光ファイバ22が挟まれている。下基板30は、上基板34よりも薄いことが多い。上基板34は、下基板30との対向面にV溝36を有する。V溝36に光ファイバ22が配置される。
【0014】
図3に示すように、上基板34は、下基板30から突出する突出下面38を有する。下基板30は、ブロック26の前面28からの長さにおいて、上基板34よりも短い。上基板34および下基板30は、接着材料40で接着されている。接着材料40の一部は、上基板34の突出下面38および下基板30の後端面32で区画された隅部にある。
【0015】
光モジュールは、導波路基板42を有する。導波路基板42の上には、図1に示すように、電気的な伝送線路が形成されてその上に電子部品14が搭載されていることが多い。導波路基板42には、図示しない光電素子、例えばフォトダイオードや光変調器なども作り込まれることもあり、電気信号および光信号の一方から他方への変換を行うようになっている。
【0016】
図5は、図1に示す導波路基板42のV-V線断面図である。導波路基板42には光導波路44が作り込まれている。光導波路44は、コアおよびクラッドからなる。クラッドの厚みはせいぜい数十ミクロンである。コアの幅や厚みは、シングルモード伝搬用であれば数μmが一般的である。
【0017】
導波路基板42の側面46から、光導波路44の先端面が露出する。導波路基板42の側面46とブロック26の前面28が対向する。光ファイバ22および光導波路44の光軸が一致している。ブロック26の前面28の上部が、導波路基板42の側面46から上方に突出する。ブロック26は、接着剤48で導波路基板42に接着される。接着剤48の中間部分50は、ブロック26の前面28および導波路基板42の側面46の間に介在する。接着剤48の上方部分52は、ブロック26の前面28の上部と導波路基板42の上面で区画される隅部にある。
【0018】
図3に示すように、光モジュールは、ベース基板56を有する。ベース基板56は、プリント基板10に接着されている(図1)。導波路基板42の下面は、ベース基板56の上面に固定される。導波路基板42およびベース基板56の間に接着層58が介在する。ベース基板56は、導波路基板42からブロック26の下に突出する突出部分を有する。ベース基板56の上面はブロック26の下面に対向する。ベース基板56は、接着材料40に重ならない短さになっている。
【0019】
ブロック26の下面およびベース基板56の上面の間隔は、導波路基板42の下面およびベース基板56の上面の間隔よりも大きい。つまり、接着剤48の下方部分54は、厚みにおいて接着層58よりも大きい。ブロック26の下面は、導波路基板42の下面よりも、高い位置にある。ベース基板56の上面は、ブロック26および導波路基板42の下でフラットである。
【0020】
ブロック26は、接着剤48でベース基板56に接着される。下基板30がベース基板56に接着される。接着剤48の下方部分54は、ブロック26の下面およびベース基板56の上面の間に介在する。接着剤48は、熱膨張係数において、ベース基板56よりも大きい。
【0021】
図6Aは、従来のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションのモデル断面図であり、図6Bは、本実施形態のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションのモデル断面図である。図6Cは、従来のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションの結果図であり、図6Dは、本実施形態のブロックおよび導波路基板の熱応力を計算したシミュレーションの結果図である。
【0022】
導波路基板142はシリコン、ブロック126は石英、ベース基板156はコバールを基材とする。これらの熱膨張率は、6×10-6/K以下という小ささである。一方、接着剤148は、有機物であり、その熱膨張率は、2×10-5/K以上という大きさである。環境温度が25度Cから85度Cまで変化すると、従来の構造の場合は図6Cの様に接着剤148の上方部分152の熱膨張によって、ブロック126は導波路基板142に対して傾く。その結果、光ファイバと光導波路の光軸がずれてしまう。
【0023】
これに対して、本実施形態では、接着剤148の上方部分152の膨張圧を、下方部分154の膨張圧が押し返す。これにより、図6Dに示す様にブロック126と導波路基板142の角度変位αが抑制され、従来例と比較して約1/18に軽減されるため、光結合効率の変動も少ない。これにより、光結合は安定する。従来例と本実施形態の熱応力シミュレーション結果について、特にA点のZ軸方向の変位と光導波路基板に対するブロックの角度変位αに着目して比較した表は次の通り。
【0024】
【表1】
【0025】
図7は、光モジュールの製造プロセス例の説明図である。光ファイバ22にはブロック26を固定し、ベース基板56には導波路基板42を固定する。その後、光ファイバ22と光導波路44の調芯を行う。調芯は、光出力をモニタしながらの位置決めであり、これにより光結合がなされる。その後、ブロック26を、導波路基板42およびベース基板56に接着する。接着剤48は、光硬化型接着剤であり、紫外線ライト60から紫外線を照射して硬化される。ブロック26が光透過性材料から構成されていると、紫外線の照射が容易である。
【0026】
[第1の実施形態の変形例1]
図8は、第1の実施形態の変形例1に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。図9は、図8に示す内部構造のIX-IX線断面図である。ベース基板56の上面は、溝62Aを有する。溝62Aは、導波路基板42の側面46の下端に沿って延びる。溝62Aは、導波路基板42の下面に対向する。導波路基板42およびベース基板56の間に接着層58が介在する。接着層58の端部は、溝62Aの内側に位置する。これにより、接着剤48が接着層58に接触しないので、両者の接触による悪影響を避けられる。また、接着層58が側面46よりもブロック26側に流れ出るのを防いでおり、これは、ブロック26を導波路基板42に接着する際に生じる悪影響を防いでいる。
【0027】
[第1の実施形態の変形例2]
図10は、第1の実施形態の変形例2に係る光モジュールの内部構造の部分断面図である。ベース基板56の上面は、溝62Bを有する。溝62Bは、導波路基板42の側面46の下端に沿って延びる。溝62Bは、ブロック26の下面に対向する。導波路基板42およびベース基板56の間に接着層58が介在する。接着層58の端部は、溝62Bの内側に位置する。これは、ブロック26を導波路基板42に接着する際に、側面46よりもブロック26側に出た接着層58が高さ方向に盛り上がったりするなど、組み立て上の悪影響が生じてしまうのを防いでいる。接着剤48が接着層58に接触しても問題ない場合に適用することができる。
【0028】
[第1の実施形態の変形例3]
図11は、第1の実施形態の変形例3に係る光モジュールの内部構造の部分断面図である。ベース基板56の上面は、溝62Cを有する。溝62Cは、導波路基板42の側面46の下端に沿って延びる。溝62Cは、導波路基板42の側面46の直下にある。導波路基板42およびベース基板56の間に接着層58が介在する。接着層58の端部が溝62Cの内側に位置する。これにより、接着剤48が接着層58に接触しないので、材料混合などの悪影響を避けられ、前述したような組み立て上の悪影響を防ぐことができる。
【0029】
[第2の実施形態]
図12は、第2の実施形態に係る光モジュールの内部構造の部分断面図である。ブロック226の下面は、導波路基板242の下面よりも低い位置にある。しかし、ベース基板256の上面が、導波路基板242の下よりも、ブロック226の下において、低くなっている。これにより、ブロック226の下面とベース基板256の上面との間にスペースを確保することができ、接着剤248を配置することができる。スペースの確保は、導波路基板242が薄く、ブロック226の下基板230が厚くても可能である。ベース基板256の上面において、高低差の境目で接着層258の底面が止まるようになっている。これにより、接着層258と接着剤248の接触を防止することができる。その他の詳細には、第1の実施形態の内容を適用可能である。
【0030】
[第3の実施形態]
図13は、第3の実施形態に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。図14は、図13に示す内部構造のXIV-XIV線断面図である。ブロック326は、複数のブロック326である。導波路基板342に作り込まれた光導波路344は、複数の光導波路344である。複数のブロック326のそれぞれが取り付けられる光ファイバ322は、1つまたはそれ以上の光ファイバ322である。
【0031】
ベース基板356の上面は、隣同士のブロック326の間に凸部364を有し、全てのブロック326の外側に凸部346を有する。接着剤348は、凸部346,364の上に至らない。つまり、凸部346,364は、硬化前に接着剤348の横方向の流動を止めることができ、より接着剤348の形状を制御できる。複数のブロック326の接着は1つずつ行ってもよい。その場合、凸部364は、先の接着に使用した接着剤348が、隣の接着領域に流れ込むことを防止し、次の適切な接着を可能にする。ブロック326の両側に凸部346,364があれば、接着剤348を区画することができるのでその量を適切に管理可能である。その他の詳細には、第1の実施形態の内容を適用可能である。
【0032】
[第3の実施形態の変形例]
図15は、第3の実施形態の変形例に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。図16は、図15に示す内部構造のXVI-XVI線断面図である。ベース基板356の上面は、ブロック326の両サイドに凹部366を有する。ベース基板356の上面は、凹部366に隣接するエッジを有する。接着剤348の底面の先端は、エッジに揃っている。つまり、凹部366は、硬化前に接着剤348の流動を止める。複数のブロック326の接着は1つずつ行ってもよい。その場合、凹部366は、先の接着に使用した接着剤348が、隣の接着領域に流れ込むことを防止し、次の適切な接着を可能にする。ブロック326の両側に凹部366があれば、接着剤348を区画することができるのでその量を適切に管理可能である。
【0033】
[第4の実施形態]
図17は、第4の実施形態に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。図18は、図17に示す内部構造のXVIII-XVIII線断面図である。ブロック426は、複数のブロック426である。導波路基板442に作り込まれた光導波路444は、複数の光導波路444である。複数のブロック426のそれぞれが取り付けられる光ファイバ422は、1つまたはそれ以上の光ファイバ422である。ベース基板456は、導波路基板442が固定される本体を有する。ベース基板456は、本体から突出する複数の突出部468を有する。複数のブロック426は、複数の突出部468にそれぞれ接着されている。
【0034】
ベース基板456は、隣同士の突出部468の間に切り欠き470を有する。切り欠き470が無ければ、ベース基板456の平面形状は矩形である。ベース基板456の上面は、切り欠き470に隣接するエッジを有する。接着剤448の底面の先端は、エッジに揃っている。つまり、切り欠き470は、硬化前に接着剤448の流動を止める。これにより、接着剤448を区画することができるのでその量を適切に管理可能である。複数のブロック426の接着は1つずつ行ってもよい。その場合、切り欠き470は、先の接着に使用した接着剤448が、隣の接着領域に流れ込むことを防止し、次の適切な接着を可能にする。その他の詳細には、第1の実施形態の内容を適用可能である。
【0035】
[第4の実施形態の変形例]
図19は、第4の実施形態の変形例に係る光モジュールの内部構造の部分平面図である。図20は、図19に示す内部構造のXX-XX線断面図である。複数のブロック426のそれぞれは、複数の突出部468Aが並ぶ方向で、複数の突出部468Aの対応する1つの中央にある。突出部468Aは、図18に示す突出部468Aよりも幅において狭い。そのため、接着剤448の底面の先端は、突出部468Aの両側のエッジに揃っている。したがって、接着剤448の量をさらに適切に管理可能である。
【0036】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態を説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0037】
[実施形態の概要]
(1)光ファイバ22の端部に取り付けられ、前記光ファイバ22の先端面が露出する前面28を有するブロック26と、光導波路44が作り込まれ、前記光導波路44の先端面が露出する側面46を有し、前記側面46と前記ブロック26の前記前面28が対向し、前記前面28の上部が前記側面46から上方に突出し、前記光ファイバ22および前記光導波路44の光軸が一致する導波路基板42と、前記導波路基板42の下面が固定される上面を有し、前記導波路基板42から前記ブロック26の下に突出する突出部分を有し、前記上面は前記ブロック26の下面に対向するベース基板56と、前記ブロック26を前記導波路基板42および前記ベース基板56に接着する接着剤48と、を有し、前記接着剤48は、前記ブロック26の前記前面28の前記上部と前記導波路基板42の上面で区画される隅部にある上方部分52と、前記ブロック26の前記前面28および前記導波路基板42の前記側面46の間に介在する中間部分50と、前記ブロック26の前記下面および前記ベース基板56の上面の間に介在する下方部分54と、を含む光モジュール。
【0038】
接着剤48の上方部分52の膨張によって、ブロック26に傾く力が加えられるが、下方部分54の膨張によって反対方向の力がブロック26に加えられる。これにより、ブロック26の傾きが防止され、光ファイバ22と光導波路44の光結合が安定する。
【0039】
(2)(1)に記載された光モジュールであって、前記ブロック26の前記下面および前記ベース基板56の前記上面の間隔は、前記導波路基板42の前記下面および前記ベース基板56の前記上面の間隔よりも大きい光モジュール。
【0040】
(3)(2)に記載された光モジュールであって、前記ブロック26の前記下面は、前記導波路基板42の前記下面よりも、高い位置にある光モジュール。
【0041】
(4)(3)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板56の前記上面は、前記ブロック26および前記導波路基板42の下でフラットである光モジュール。
【0042】
(5)(2)に記載された光モジュールであって、前記ブロック226の前記下面は、前記導波路基板242の前記下面よりも低い位置にある光モジュール。
【0043】
(6)(5)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板256の前記上面は、前記導波路基板242の下よりも、前記ブロック226の下において、低くなっている光モジュール。
【0044】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記導波路基板42および前記ベース基板56の間に介在する接着層58をさらに有し、前記ベース基板56の前記上面は、溝62Aを有し、前記接着層58の端部が前記溝62Aの内側に位置する光モジュール。
【0045】
(8)(7)に記載された光モジュールであって、前記溝62Aは、前記導波路基板42の前記側面46の下端に沿って延びる光モジュール。
【0046】
(9)(8)に記載された光モジュールであって、前記溝62Aは、前記導波路基板42の前記下面に対向する光モジュール。
【0047】
(10)(8)に記載された光モジュールであって、前記溝62Bは、前記ブロック26の前記下面に対向する光モジュール。
【0048】
(11)(8)に記載された光モジュールであって、前記溝62Cは、前記導波路基板42の前記側面46の直下にある光モジュール。
【0049】
(12)(1)から(11)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記ブロック326は、複数のブロック326であり、前記導波路基板342に作り込まれた前記光導波路344は、複数の光導波路344であり、前記複数のブロック326のそれぞれが取り付けられる前記光ファイバ322は、1つまたはそれ以上の光ファイバ322である光モジュール。
【0050】
(13)(12)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板356の前記上面は、隣同士の前記ブロック326の間に凸部364を有する光モジュール。
【0051】
(14)(13)に記載された光モジュールであって、前記接着剤348は、前記凸部364の上に至らない光モジュール。
【0052】
(15)(12)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板356の前記上面は、隣同士の前記ブロック326の間に凹部366を有する光モジュール。
【0053】
(16)(15)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板356の前記上面は、前記凹部366に隣接するエッジを有し、前記接着剤348の底面の先端は、前記エッジに揃っている光モジュール。
【0054】
(17)(12)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板456は、前記導波路基板442が固定される本体を有し、前記ベース基板456は、前記本体から突出する複数の突出部468を有し、前記ベース基板456は、隣同士の前記突出部468の間に切り欠き470を有し、前記複数のブロック426は、前記複数の突出部468にそれぞれ接着されている光モジュール。
【0055】
(18)(17)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板456の前記上面は、前記切り欠き470に隣接するエッジを有し、前記接着剤448の底面の先端は、前記エッジに揃っている光モジュール。
【0056】
(19)(17)又は(18)に記載された光モジュールであって、前記複数のブロック426のそれぞれは、前記複数の突出部468Aが並ぶ方向で、前記複数の突出部468の対応する1つの中央にある光モジュール。
【0057】
(20)(1)から(19)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記ブロック26は、前記ベース基板56に接着される下基板30と、前記下基板30の上にある上基板34と、を含み、前記下基板30および前記上基板34の間に前記光ファイバ22が挟まれ、前記下基板30は、前記上基板34よりも薄くなっている光モジュール。
【0058】
(21)(20)に記載された光モジュールであって、前記上基板34は、前記下基板30との対向面に、前記光ファイバ22が配置されるV溝36を有する光モジュール。
【0059】
(22)(20)又は(21)に記載された光モジュールであって、前記下基板30は、前記ブロック26の前面28からの長さにおいて、前記上基板34よりも短い光モジュール。
【0060】
(23)(22)に記載された光モジュールであって、前記上基板34および前記下基板30を接着する接着材料40をさらに有し、前記上基板34は、前記下基板30から突出する突出下面38を有し、前記下基板30は、前記前面28とは反対の後端面32を有し、前記接着材料40の一部は、前記突出下面38および前記後端面32で区画された隅部にある光モジュール。
【0061】
(24)(23)に記載された光モジュールであって、前記ベース基板56は、前記接着材料40の前記一部に重ならない長さになっている光モジュール。
【0062】
(25)(1)から(24)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記ブロック26は、光透過性材料から構成され、前記接着剤48は、光硬化型接着剤である光モジュール。
【0063】
(26)(1)から(25)のいずれか1項に記載された光モジュールであって、前記接着剤48は、熱膨張係数において、前記ベース基板56よりも大きい光モジュール。
【符号の説明】
【0064】
10 プリント基板、12 ケース、14 電子部品、16 はんだ、18 ワイヤ、20 アダプタ、22 光ファイバ、24 フェルール、26 ブロック、28 前面、30 下基板、32 後端面、34 上基板、36 V溝、38 突出下面、40 接着材料、42 導波路基板、44 光導波路、46 側面、48 接着剤、50 中間部分、52 上方部分、54 下方部分、56 ベース基板、58 接着層、60 紫外線ライト、62A 溝、62B 溝、62C 溝、126 ブロック、142 導波路基板、148 接着剤、152 上方部分、156 ベース基板、226 ブロック、230 下基板、242 導波路基板、248 接着剤、256 ベース基板、258 接着層、322 光ファイバ、326 ブロック、342 導波路基板、344 光導波路、346 凸部、348 接着剤、356 ベース基板、364 凸部、366 凹部、422 光ファイバ、426 ブロック、442 導波路基板、444 光導波路、448 接着剤、456 ベース基板、468 突出部、468A 突出部、470 切り欠き。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20