(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172317
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像処理装置及びその制御方法とプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241205BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J29/38 203
H04N1/00 912
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089954
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】横田 和幸
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AB51
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC39
5C062AC42
5C062AC45
5C062AE16
5C062AF01
5C062AF02
5C062AF06
5C062AF12
5C062BA02
(57)【要約】
【課題】ログイン中のユーザが画像処理装置を使用していない蓋然性が高い状況になると自動ログアウトを実行する画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置104は、携帯端末101との通信を行うBLE通信部372及びUWB通信部373と、BLE通信部372及びUWB通信部373を介して携帯端末101を所持したユーザのログインとログアウトを制御するCPU301を備える。CPU301は、携帯端末101を所持したユーザがログインしている状態において、該ユーザにより画像形成装置104で実行されたジョブが終了してから予め定められたログアウト時間Tが経過した場合に、該ユーザを自動でログアウトさせる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末との通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介して前記携帯端末を所持したユーザのログインとログアウトを制御する制御手段と、を備える画像処理装置であって、
前記制御手段は、前記携帯端末を所持したユーザがログインしている状態において、前記ユーザにより前記画像処理装置で実行されたジョブが終了してから予め定められたログアウト時間が経過した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ログアウト時間が経過する前に、前記ユーザの移動に伴って前記携帯端末が前記画像処理装置から予め定められたログアウト距離よりも遠くへ移動した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ユーザが所持している携帯端末が予め定められたログイン距離の範囲内に入った際に当該携帯端末との通信により当該ユーザを自動でログインさせ、
前記ログアウト距離は前記ログイン距離よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ログイン距離として、前記画像処理装置での設定値と前記携帯端末での設定値のいずれかを選択可能な第1のユーザインタフェースを備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ログアウト時間および前記ログアウト距離として、前記画像処理装置での設定値と前記携帯端末での設定値のいずれかを選択可能な第2のユーザインタフェースを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ジョブは前記携帯端末から前記通信手段を介して前記画像処理装置へ送信されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
携帯端末との通信を行う画像処理装置の制御方法であって、
ユーザが所持した携帯端末が予め定められたログイン距離の範囲内に入った際に当該携帯端末との通信により当該ユーザを自動でログインさせるステップと、
前記ユーザの移動により前記携帯端末が前記画像処理装置から予め定められたログアウト距離よりも遠くへ移動した場合に、または、前記ユーザにより前記画像処理装置で実行されたジョブが終了してから予め定められたログアウト時間が経過した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせるステップと、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1に記載の画像処理装置の前記制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
携帯端末を所持するユーザが予め定められたログイン距離の範囲内に入った際に当該携帯端末との通信により当該ユーザを自動でログインさせる制御手段を備える画像処理装置であって、
前記制御手段は、前記ユーザが前記画像処理装置にログインしている状態で、当該ユーザが当該画像処理装置を使用していない蓋然性が高いと判断した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末と通信可能に接続される画像処理装置及びその制御方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人の手を介さずに自動で処理を実行することが一般的に行われつつあり、その一例として、画像処理装置へのログイン処理及びログアウト処理の自動化が挙げられる。例えば、画像処理装置からの自動ログアウトを実施する方法として、操作部に対する操作が一定時間行われなかった場合に自動的にログアウトを実行する技術が知られている。一例として特許文献1には、画像処理装置に対する操作をイベントとして自動ログアウトを行う技術が記載されている。特許文献1に記載された技術では、画像処理装置の動作が終了し、且つ、ユーザが操作部に対する操作を行わない状態で所定の待機時間が経過すると、画像処理装置はログイン中のユーザを自動的にログアウトさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、画像処理装置において動作(処理)が行われていない時間をイベントに用いて自動ログアウトを実施する。そのため、ログイン中のユーザが画像処理装置から離れた状況、つまり、ユーザが画像処理装置を使用していない蓋然性が高い状況、であっても、待機時間が経過するまではログイン状態が継続してしまう。
【0005】
本発明は、ログイン中のユーザが画像処理装置を使用していない蓋然性が高い状況になると自動ログアウトを実行することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、携帯端末との通信を行う通信手段と、前記通信手段を介して前記携帯端末を所持したユーザのログインとログアウトを制御する制御手段と、を備える画像処理装置であって、前記制御手段は、前記携帯端末を所持したユーザがログインしている状態において、前記ユーザにより前記画像処理装置で実行されたジョブが終了してから予め定められたログアウト時間が経過した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ログイン中のユーザが画像処理装置を使用していない蓋然性が高い状況になると自動ログアウトを実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】携帯端末のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】画像処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】画像処理装置が管理するユーザ識別情報及びジョブ管理データの一例を示す図である。
【
図7】画像処理装置による測距方式を表した模式図である。
【
図8】画像処理システムで実行されるプリントジョブのすシーケンス図である。
【
図9】携帯端末のディスプレイでの各種表示例を示す第1の図である。
【
図10】携帯端末のディスプレイでの各種表示例を示す第2の図である。
【
図11】携帯端末と画像処理装置の間でやりとりされる各種パケットの構成を示す図である。
【
図12】画像処理装置の操作部の一例を示す図である。
【
図13】画像処理装置の操作部の別の例を示す図である。
【
図14】画像処理装置が携帯端末をログアウトさせる処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
<画像処理システムの概略構成>
図1は、実施形態に係るデータ処理システムの一例としての画像処理システムの概略構成を示す図である。画像処理システム100は、LAN103を介して通信可能に接続された無線LANターミナル102及び画像形成装置104,105,106,107を有する。無線LANターミナル102は、一般的なネットワークルータ機能を有する無線LANの親機であって、家庭内やオフィス等でWi-Fi(登録商標)による無線LAN機能を提供している。画像形成装置104~107は、画像処理装置の一例であり、少なくともプリンタ機能(印刷機能)を有するものとする。画像形成装置104~107は、更にコピー機能やスキャナ機能、ファクス送受信機能等を備えていてもよい。
【0011】
ユーザは、画像処理システムを構成する画像形成装置104~107のうち所望の画像処理装置に対して選択的にアクセスすることができる情報処理装置(コンピュータ)の一例である携帯端末101を所持して(身に付けて)いる。ユーザは、例えば、携帯端末101から画像形成装置104(又は他の画像処理装置)へプリントジョブ(印刷ジョブ)を送信し、画像形成装置104(又は他の画像処理装置)で画像形成処理(印刷処理)を行うことができる。
【0012】
携帯端末101と画像形成装置104~107との間の通信は、以下のようにして行われる。即ち、携帯端末101は、Wi-Fi機能を有効にすることで、無線LANターミナル102を介してLAN103に接続することができる。携帯端末101は、無線LANターミナル102が提供する無線LANエリアに入ると、予め設定していたログイン認証情報を利用して自動的にLAN103のネットワークに参加することができる。また、携帯端末101と画像形成装置104~107はそれぞれ、Bluetooth Low Energy(登録商標)(以下「BLE」と言う)による無線通信機能を備えている。BLE通信の電波が到達し合う装置間においては、WPAN(wireless personal area network)を形成することができる。同様に、携帯端末101と画像形成装置104,105,107はそれぞれ、UWB(Ultra Wide Band)による無線通信機能を備えている。UWB通信の電波が到達し合う装置間では、WPANを形成することができる。
【0013】
なお、本実施形態では、画像形成装置106はUWB通信機能を備えていないものとする。また、画像形成装置107と携帯端末101は距離的に大きく離れており、そのため、携帯端末101は画像形成装置107とBLE通信やUWB通信を行うことができないものとする。
【0014】
<携帯端末101のハードウェア構成>
図2は、携帯端末101のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯端末101は、例えば、スマートフォンやタブレットPC、モバイルPCであり、端末OS(オペレーティングシステム)や通話及びデータ通信を制御するプログラムが動作していても構わない。
【0015】
携帯端末101は、CPU202、ROM203、RAM204、ネットワークコントローラ205、音声制御部206、表示制御部207、入力制御部208、記憶装置209、位置検出部210、姿勢検出部219及び加速度検出部220を備える。これらは、システムバス201に接続されている。
【0016】
また、携帯端末101は、UWB通信部218、BLE通信部213、無線LAN通信部211及び電話データ通信部212を備えており、これらはネットワークコントローラ205に接続されている。携帯端末101は更に、マイク・スピーカ214、ディスプレイ215、タッチパネル216、GPSセンサ217、ジャイロセンサ221及び加速度センサ222を備える。但し、音声制御部206、マイク・スピーカ214、位置検出部210、GPSセンサ217、姿勢検出部219、ジャイロセンサ221、加速度検出部220、加速度センサ222及び電話データ通信部212は、携帯端末101に必ずしも必要ではない。
【0017】
ROM203は、携帯端末101を動作させるオペレーティングシステム(OS)や、通話及びデータ通信を制御するためのアプリケーション(プログラム)を記憶している。データ通信用アプリケーションとしては、印刷アプリケーションやメールソフト、ウェブブラウザ等がある。RAM204は、各種プログラムを実行(展開)するためのワークエリアと、プログラム実行時に一時的にデータ等を保存する一時記憶領域を有する。CPU202は、ROM203や記憶装置209に記憶されているプログラムをRAM204に展開することにより、携帯端末101の全体的な動作を制御しつつ、実行中のアプリケーションに応じた所定の機能を実現させる。
【0018】
記憶装置209は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置であり、携帯端末101を再起動させた際に必要となる各種の動作モード設定や稼働ログ等を記憶する。ネットワークコントローラ205は、携帯端末101と外部装置との間の通信制御を行う。無線LAN通信部211は、無線LANターミナル102を介してLAN103に参加し、LAN103に接続された各種装置との通信を可能とする。電話データ通信部212は、公衆交換電話網及び移動体通信網と携帯端末101との通信接続を行い、公衆交換電話網及び移動体通信網に接続されている外部装置(不図示)との間での通信を可能とする。BLE通信部213は、BLE無線信号が到達し合う範囲にある装置との間でWPANを形成して通信を行う。UWB通信部218は、UWB無線信号が到達し合う範囲にある装置との間で測距やデータ通信を行うWPANを形成して通信を行う。
【0019】
なお、ネットワークコントローラ205は、携帯端末101が無線LANのネットワークに参加可能な場合、無線LANの接続を優先するものとする。そして、ネットワークコントローラ205は、携帯端末101が無線LANのネットワークエリアから外れた場合には、移動体通信網が提供する無線通信ネットワークに参加するように排他的に制御を行う。一方、BLE通信やUWB通信については、独立して通信機能を制御することが可能となっている。
【0020】
音声制御部206は、例えば、ユーザによる電話での通話時、Webサイトの閲覧時や携帯端末101で撮影した動画の再生時等に使用される。マイク・スピーカ214は、音声制御部206に接続されており、音声データの入出力を行う。つまり、音声制御部206は、マイク・スピーカ214で入出力される音声データと音声データを用いる各種アプリケーションとを仲介する。
【0021】
表示制御部207には、液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ215が接続されている。表示制御部207は、ディスプレイ215に出力する情報の制御を行う。入力制御部208は、携帯端末101に設けられたボタン(不図示)やタッチパネル216を介してユーザが指示した情報の制御を行う。携帯端末101上で動作するアプリケーションは、音声制御部206、表示制御部207及び入力制御部208を利用して、ネットワーク通信情報や携帯端末101の様々な情報をユーザに提供する。
【0022】
GPSセンサ217は、GPS衛星からの電波を受信し、受信した信号を位置検出部210へ送信する。位置検出部210は、GPSセンサ217から取得した信号に基づいて携帯端末101の位置情報を生成してOSに提供する。ジャイロセンサ221は、携帯端末101の姿勢に応じた信号を姿勢検出部219へ出力する。姿勢検出部219は、ジャイロセンサ221から取得した信号に基づいて携帯端末101の姿勢情報を生成してOSに提供する。加速度センサ222は、携帯端末の動きを検出し、検出信号を加速度検出部220へ送信する。加速度検出部220は、加速度センサ222から取得した検出信号から携帯端末101の加速度情報を生成してOSに提供する。
【0023】
携帯端末101は、UWB通信部218を介して、画像形成装置104,105との間で通信を行うことができる。なお、前述したように、画像形成装置106はUWB通信機能を備えておらず、画像形成装置107は携帯端末101から大きく離れているためにUWB通信を行うことはできない。UWB通信部218は、少なくとも測距通信方式としてTWR(Two Way Ranging)方式に対応しているものとする。携帯端末101は、UWB通信部218を介して測距要求データを画像形成装置104,105へ送信し、対応する測距応答データを受信する。携帯端末101は、CPU202がデータ処理を施して距離を演算し、生成した距離情報をアプリケーションからの要求タイミングに応じてアプリケーションへ提供する。
【0024】
なお、携帯端末101は、画像処理システムを構成する画像形成装置104,105のみならず、UWB通信に対応する外部機器(不図示)に対する距離情報を取得することができる。また、携帯端末101は、画像形成装置104,105や他の外部機器から距離測定が要求された場合に、TWR方式による測距通信における測距要求データを受信し、受信した測距要求に対して測距応答データを送信することができる。
【0025】
<画像形成装置104のハードウェア構成>
図3は、画像形成装置104のハードウェア構成を示す図である。なお、画像形成装置105,107の構成は、画像形成装置104と同様の構成であるため、説明を省略する。また、画像形成装置106の構成は、UWB通信機能に関わるハードウェアを備えていない点を除いて画像形成装置104と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0026】
画像形成装置104は、ユーザが各種操作を行うための操作部140と、画像情報を読み取るスキャナ部10と、画像データを用紙に印刷するプリンタ部20と、画像形成装置104の全体的な制御を行うコントローラ300を備える。スキャナ部10及びプリンタ部20は、周知の構成で構わないため、説明を省略する。
【0027】
コントローラ300は、スキャナ部10とプリンタ部20の動作を制御し、また、LAN103やWi-Fi等を介して接続されている携帯端末101やプリントサーバ150(
図1に不図示)等の外部機器との間の通信を統括的に制御する。以下、コントローラ300の構成について説明する。
【0028】
コントローラ300は、携帯端末101をはじめとした外部機器(不図示)と各種の無線通信を可能とするWi-Fi通信部371、BLE通信部372及びUWB通信部373を有する。
【0029】
コントローラ300は、画像データを高速で転送する画像バス350に接続されたRIP(ラスタイメージプロセッサ)360、スキャナ画像処理部380、プリンタ画像処理部390、画像回転部330、画像圧縮部340及びデバイスI/F320を有する。
【0030】
RIP360は、携帯端末101から受信したプリントジョブに含まれるPDLコードをビットマップイメージに展開する。スキャナ画像処理部380は、スキャナ部10から入力された画像データに対して補正や加工、編集を行う。プリンタ画像処理部390は、プリンタ部20で出力(印刷)される画像データに対して補正や解像度変換等を行う。画像回転部330は、プリンタ部20で出力される画像データの回転を行う。画像圧縮部340は、多値画像データをJPEGで、2値画像データをJBIGやMMR、MH等の規格で圧縮する処理を行う。デバイスI/F320は、スキャナ部10及びプリンタ部20とコントローラ300を接続して、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0031】
コントローラ300は、システムバス307に接続されたCPU301、RAM302、ROM303、HDD304、操作部I/F306、ネットワークI/F310、モデム311及びイメージバスI/F305を有する。
【0032】
CPU301は、ROM303及びHDD304に格納されている所定のプログラムをRAM302に展開することにより、画像形成装置104を構成する各部の動作を統括的に制御する。RAM302は、CPU301が動作するためのワークエリアと、画像データ等を一時的に記憶するための記憶エリアを有する。ROM303は、CPU301が実行するブートプログラムを格納する。HDD304は、システムソフトウェア、画像データ、ソフトウェアカウンタ値等を格納する。
【0033】
操作部I/F306は、操作部140を介してユーザが入力した情報をCPU301に伝える役割を担うインタフェースである。ここで、操作部140は、各種情報を表示するディスプレイ1200(
図12及び
図13参照)を備える。CPU301は、操作部I/F306を介して操作部140のディスプレイ1200に各種情報を表示する。ネットワークI/F310は、LAN103と接続されており、プリントサーバ150やLAN103上の機器(不図示)との間の通信を行う。モデム311は、公衆交換電話網(不図示)と接続されており、公衆交換電話網を介してファクシミリ装置(不図示)との間でデータ通信(送受信)を行う。イメージバスI/F305は、システムバス307と画像バス350を接続し、データ構造を変換するバスブリッジとして機能する。
【0034】
コントローラ300は、スキャナ部10及びプリンタ部20との通信を行う内部通信I/F308を有する。また、コントローラ300は、時間計測を行うタイマー309を有する。本実施形態では、タイマー309はプリントジョブ実行後の時間経過の計測に用いられる。なお、コントローラ300は、画像形成装置104で実行されたプリントジョブやコピージョブの履歴を、ジョブごとのユーザ名や印刷部数、カラー印刷等、出力属性情報等をログ情報として、HDD304(又はRAM302)に記録、管理している。
【0035】
<携帯端末101のソフトウェア構成>
図4は、携帯端末101のソフトウェアの構成及びソフトウェアが管理するデータ領域を説明するブロック図である。携帯端末101において、ROM203にはOS上で動作する印刷アプリケーション401と、各種ハードウェアを制御するためのデバイスドライバ群で構成されるプラットフォーム410と、その他のアプリケーション408がインストールされている。
【0036】
印刷アプリケーション401は、UI部402、プリンタ探索部403、印刷制御部404、Webブラウザ407及びドキュメント格納部409を含む。プラットフォーム410は、BLE通信制御部405、UWB通信制御部406及びWi-Fi通信制御部411を含む。
【0037】
UI部402は、アプリケーション固有の機能をユーザに設定させるためのユーザインタフェースを提供する。ドキュメント格納部409は、ソフトウェアがRAM204に記憶して管理しているデータの領域を示す。印刷制御部404は、プリントジョブの生成と、生成したプリントジョブを通信可能な画像処理装置へ送信する機能を提供する。なお、印刷アプリケーション401は、プリントジョブ実行指示機能のみに限らず、スキャンジョブ実行指示機能等を備えていてもよい。
【0038】
プリンタ探索部403は、LAN103上で、例えばmDNSに対応する外部機器を探索する。そして、プリンタ探索部403は、LAN103上から到達可能な外部機器の中から携帯端末101から印刷指示を出すことが可能な(=印刷アプリケーション401がサポートしている)画像処理装置の詳細情報をIPP(IPPS)により取得する。なお、通信方式は、mDNS(multicast Domain Name System)及びIPP((internet printing protocol)に限られない。プリンタ探索部403は更に、BLE通信制御部405によりBLE電波の送受信が可能なWPAN内において、携帯端末101がプリントジョブの実行を指示可能な画像処理装置を探索する機能を提供する。プリンタ探索部403は、UWB通信制御部406により画像処理装置との距離計測のための通信を制御して距離情報を取得する機能も提供する。Webブラウザ407は、LAN103経由で画像形成装置104にアクセスする場合に用いられるが、本実施形態では用いない。
【0039】
プラットフォーム410は、例えば、Google社のAndroid(登録商標)やApple社のiOS(登録商標)等のプラットフォームで構成することができる。プラットフォーム410は、プラットフォーム410上で動作するアプリケーションに対して各種ハードウェアを利用するためのAPIを提供する。BLE通信やUWB通信に関して提供されるAPIの一例として、アップル社の「Neaby Interaction」に準拠したAPIがある。また、別の例として、UWB通信の普及推進団体であるFiRa(登録商標)コンソーシアムによる通信プロトコル定義であるCSMLに準拠したAPIがある。なお、CSMLは、‘Common Service Management Layer specification’の略である。
【0040】
BLE通信制御部405、Wi-Fi通信制御部411及びUWB通信制御部406はそれぞれ、BLE通信部213、無線LAN通信部211及びUWB通信部218を制御するためのデバイスドライバである。
【0041】
UWB通信制御部406は、携帯端末101が探索した画像処理装置へプリントジョブを送信した後、画像処理装置からの測距要求に対して、特にUI部の確認や操作をユーザに求めることなく、測距応答を返信する。これにより、画像処理装置は、測距に基づくアクセスコントロール下で、測距制御対象である携帯端末101での操作を必要とすることなく、携帯端末101を所持したユーザの移動過程をトレースすることが可能となる。したがって、携帯端末101はUI部402を必ずしも必要とせず、携帯端末101を表示制御部207やディスプレイ215、タッチパネル216等を搭載しないUWB通信装置(UWB通信を実行可能な装置)に置き換えた画像処理システムの構成が可能である。例えば、任意のUI部を備えないTAG(例えば、IDカード、Apple社のAirTag(登録商標)等)をUWB通信装置として画像処理装置に登録し、画像処理装置からのアクセスコントロールの対象とすることができる。
【0042】
その他のアプリケーション408としては、携帯端末101のモーション検知を行うために、GPSセンサ217、ジャイロセンサ221、加速度センサ222及びタッチパネル216によりユーザの特定の動きを検知するアプリケーションが挙げられる。
【0043】
<画像形成装置104のソフトウェア構成>
図5は、画像形成装置104のソフトウェアの構成及びソフトウェアが管理するデータ領域を示すブロック図である。なお、画像形成装置105,107の構成は、画像形成装置104と同様の構成であるため、説明を省略する。また、画像形成装置106の構成は、UWB通信機能に関わるソフトウェアを備えていない点を除いて画像形成装置104と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0044】
画像形成装置104において、ROM303にはOS上で動作する印刷アプリケーション501と、各種ハードウェアを制御するためのデバイスドライバ群で構成されるプラットフォーム510とがインストールされている。印刷アプリケーション501及びプラットフォーム510の各ソフトウェアは、CPU301によりRAM302に展開されて実行される。
【0045】
印刷アプリケーション501は、UI部502、端末探索部503、印刷部504、ログイン認証部507、送信部513、コピー部514及び読み取り部515を含み、ログイン認証部507はユーザアカウント格納部509を有する。プラットフォーム510は、BLE通信制御部405、UWB通信制御部406、Wi-Fi通信制御部411、プリントジョブ格納部508及びドキュメント格納部511を有する。なお、プリントジョブ格納部508、ドキュメント格納部511及びユーザアカウント格納部509は、所定のソフトウェアがRAM302やHDD304に記憶して管理するデータ領域を表している。
【0046】
プラットフォーム510は、Linux(登録商標)等のOSやJAVA(登録商標)のバーチャルマシン、OSGi(登録商標)フレームワーク、デバイスドライバ群によって構成することができる。なお、OSGiフレームワークは、標準化団体であるOSGi Allianceが定義したJAVAベースのサービスプラットフォームである。
【0047】
プラットフォーム510は、プラットフォーム510上で動作するアプリケーションに対して各種ハードウェアを利用するためのAPIを提供する。BLE通信やUWB通信を用いたプロトコル制御に関しては、例えば、アップル社の「Neaby Interaction」やFiRaコンソーシアムによるCSMLに準拠したAPIが提供される。
【0048】
BLE通信制御部505は、BLE通信部372を制御するためのデバイスドライバである。Wi-Fi通信制御部512は、Wi-Fi通信部1271を制御するためのデバイスドライバである。UWB通信制御部506は、UWB通信部373を制御するためのデバイスドライバである。プラットフォーム510には、不図示であるが、プリンタ部20を制御するプリンタモジュールとスキャナ部10を制御するスキャナモジュールも存在する。また、プラットフォーム510は、プリントジョブ格納部508とユーザアカウント格納部509のデータを読み書きするためのAPIを印刷アプリケーション501に提供する。
【0049】
印刷アプリケーション501に含まれるUI部502,コピー部514,端末探索部503、印刷部504、読み取り部515,送信部513及びログイン認証部507は、プラットフォーム510上で動作するアプリケーションである。これらは、各種機能を提供するユーザインタフェースを操作部140のディスプレイ1200に表示する。
【0050】
コピー部514は、プラットフォーム510を介して、読み取り部515と印刷部504を制御してコピー処理を実行する。印刷部504は、ドキュメント格納部511に格納されたドキュメントデータやプリントジョブ格納部508に保存されたプリントジョブを印刷する機能を提供する。コピーや印刷による印刷物の出力は、プラットフォーム510のAPIを介して実行され、プラットフォーム510が印刷枚数を不図示のカウンタに記録する。
【0051】
送信部513は、読み取り部515から取得したドキュメントデータを外部機器へ送信する機能を提供する。UI部502は、操作部140からアプリケーション(例えば、コピー、印刷、送信)固有の機能を選択するためのメニュー画面等のユーザインタフェースを提供する。なお、操作部140のディスプレイ1200に表示されるトップメニュー画面の一例が
図13(a)に示されている。なお、
図13(a)の詳細については後述する。ログイン認証部507は、ユーザが画像形成装置104を利用する際のログイン機能を提供する。端末探索部503は、LAN103を通じて、プリントジョブを発行した外部機器や画像形成装置104に登録されたUWBTAG(UWB通信を実行可能なTAG)を探索する。端末探索部503による探索は、BLE通信制御部505、UWB通信制御部506及びWi-Fi通信制御部512が実行可能な無線通信方式で行われる。
【0052】
なお、端末探索部503による携帯端末101やUWBTAGの探索中には、UWB通信制御部506によりTWR方式による測距を行うことで距離情報を求めてアクセスコントロールが行われる。具体的には、ログイン認証部507が管理しているユーザアカウント格納部509とプラットフォーム510が管理しているプリントジョブ格納部508との間でユーザアカウントと距離情報が共有され、所定の条件との比較によりログイン認証処理が実施される。例えば、ユーザアカウント格納部509には、ユーザを識別する識別情報が保存されている。
図6(a)は、ユーザ識別情報の一例を示す図である。
図6(a)のユーザ識別情報では、少なくとも、ユーザ名(User_name)、パスワード(Pass_word)、ICカード番号(IC_card)、メールアドレス(Mail_Address)が記録、管理されている。本実施形態では画像形成装置104は更に、UWB通信制御部506が測距を行う対象のUWBTAGの識別情報(UWB_TAG_N(N:1以上の整数、
図6ではN=3)を1つ以上記録、管理することができるようになっている。
【0053】
また、画像形成装置104では、ユーザから受け付けたジョブのデータをはじめとする各種情報が、随時、プラットフォーム510の管理領域であるプリントジョブ格納部508に記憶、管理されるようになっている。つまり、所定のジョブを発行したユーザ名に対応付けられる形でアクセスコントロールを行う携帯端末101等のUWBTAG情報(UWBTAGである場合の情報)が記録される。
【0054】
図6(b)は、画像形成装置104が管理しているジョブ管理情報の一例を示す図である。ジョブ管理情報では、ジョブ固有の識別番号(JOB_ID)、ジョブの種類(JOB_type)、ジョブの実行ステータス(JOB_Status)、ジョブ実行日時(Date)及びジョブを発行したユーザ名(User_name)が管理される。また、ジョブの発行が携帯端末101等の外部機器によるものか画像形成装置104の本体操作によるものかを示すターミナル(terminal)が管理される。加えて、ターミナルが測距対象となる携帯端末101等のUWBTAG情報が管理される。ここでは、UWBTAG情報として、パーソナルエリアネットワークIDとアドレス(TAG_panid,TAG_addr)、測距値(Rang_Value)及びジョブ終了からのログイン継続時間(Time_Value)が管理される。
【0055】
なお、携帯端末101等から受信したジョブに対応するアクセスコントロールパラメータとして、更に以下の情報を管理するようにしてもよい。例えば、アクセスコントロールを行う距離条件(Rang_set(x),Rang_set(y))、自動ログアウトを実行する時間条件(Time_set(t))、携帯端末等の種別(Terminal)等の付加的属性を管理することも望ましい。
【0056】
ログイン認証部507とUWB通信制御部506は、相互の管理領域中におけるユーザ名(User_name)同士を紐付けて、携帯端末101等のUWBTAGの測距情報を共有する。これにより、ログイン認証部507は測距情報をアクセスコントロールに活用することができる。なお、ログイン認証部507には、
図9(d)を参照して後述するログイン認証を行う任意のTAGを登録可能なユーザインタフェースが提供されていてもよい。
図6(b)のジョブ管理情報で管理されるUWBTAG情報は1つである必要はない。例えば、複数のUWBTAGを活用するユーザ(例えば、
図6(b)中のsuzuki)に対しては、複数のTAGに対する測距値に対してアクセスコントロールによるログイン認証を行うことができるようにして、セキュリティレベルを高めるようにしてもよい。
【0057】
なお、印刷部504は、携帯端末101からLAN103を経由してプリントサーバ150に一時的に格納されたプリントジョブを、ログイン認証部507によるログイン認証の成功後に、プリントサーバ150から受信して印刷処理を実行する機能を提供する。印刷部504は、距離情報に基づき自動的に印刷を実施する機能を提供してもよい。ログイン認証部507は、
図13(a)を参照して後述するように、ユーザアカウント格納部509で管理される他のログイン方法との組み合わせによるログイン認証を、ユーザの志向に合わせて行うことができるようになっている。
【0058】
<UWB測距について>
図7は、画像形成装置104による携帯端末101に対する測距方法を説明する模式図である。ここでは、IEEE802.15.4グループにおいて規定されている、ANCHORとTAGとの間の距離を計測する手法を用いる。この測距手法では、空中を伝わる電波の速度に基づいて単位距離あたりのフレーム到達時間ToA(Time Of Arrival)を演算することによって測距を行う。
【0059】
図7は、ANCHORとTAGの間を双方向でフレーム送信を行うTWR方式を説明する模式図であり、TWR方式では、測距の主体をANCHORが担い、TAGが測距対象となる。ANCHORは、TAGとの間の距離を計測する場合、TAGに対してPOLLフレームを発行する。POLLフレームを受信したTAGは、自身宛であることを認識した場合、受信時から予め設定された時間(Treply)が経過するとRESPフレームをANCHORへ送信する。このRESPフレームには、Treply値が付与されている。RESPフレームを受信したANCHORは、POLLフレームの発行からRESPフレームを受信したまでの時間(Tround)と、RESPフレームに含まれるTreply値を用いて、POLLフレームとRESPフレームの伝達に要したToAを求める。なお、ToAを求める式は、
図7中に示されている。そして、ANCHORは、求めたToAと電波の伝搬速度(光速)からTAGまでの距離を演算する。
【0060】
本実施形態では、画像形成装置104(UWB通信部373、UWB通信制御部506)と携帯端末101(UWB通信部218、UWB通信制御部406)は、TWR方式による測距でのANCHORとTAGのどちらの役割にも対応することが可能となっている。よって、画像形成装置104と携帯端末101はそれぞれ、印刷アプリケーション401,501の要求に応じてフレームの送受信と演算処理を行い、測距対象物に対する測距を相互に行うことが可能となっている。
【0061】
<画像形成装置104で実行されるプリントジョブの動作プロセス>
図8は、画像処理システムで実行されるプリントジョブのシーケンス図である。携帯端末101を所持するユーザは、携帯端末101で印刷アプリケーションを起動した後、利用可能な画像処理装置を探索し、画像形成装置104を選択してプリントジョブを送信するものとする。プリントジョブを受信した画像形成装置104は、印刷処理が完了するまで携帯端末101と相互に通信を行って、協調連動する。
【0062】
図8においてS番号で示される各処理(ステップ)は、携帯端末101においてはCPU202がROM203に記憶されている所定のプログラムをRAM204に展開することにより実現される。また、
図8においてS番号で示される各処理は、画像形成装置104においてはCPU301がROM303に記憶された所定のプログラムをRAM302に展開し、画像形成装置104を構成する各部の動作を統括的に制御することにより実現される。
【0063】
以下では、S801~S811の処理は携帯端末101を主体として説明し、S812以降の処理は画像形成装置104を主体として説明する。また、S801~S811の処理の概要を説明した後に各処理の内容を具体的に説明し、その後、S812以降の処理の概要を説明した後に各処理の内容を具体的に説明することとする。
【0064】
S801では携帯端末101が、ユーザ操作に応じて印刷アプリケーション401を起動させる。これにより、携帯端末101のディスプレイ215には、印刷アプリケーションの第1のトップメニュー画面900(
図9(a)参照(詳細は後述する))が表示される。S802で携帯端末101は、利用可能な画像処理装置の探索(プリンタ探索)を開始する。S802の処理は、第1のトップメニュー画面900内のプリンタ選択ボタン901の押下をトリガとして実行される。
【0065】
S803で携帯端末101は、S802のプリンタ探索で検出された画像処理装置から送信してくるアドバタイズメントパケットを受信する。ここでは、携帯端末101と画像形成装置104との間の通信についてのみ説明することとする。S804で携帯端末101は、画像形成装置104とデータ通信を行うための接続を確立するためのペアリングを行う。S805で携帯端末101は、画像形成装置104との間で印刷アプリケーション401が必要とする情報の交換をGATT通信(1対1の接続通信)により行う。
【0066】
S806で携帯端末101は、画像形成装置104に対して測距要求パケットを送信する。S807で携帯端末101は、S806での測距要求パケットを受信した画像形成装置104から所定の時間経過後に送信されてくる測距応答パケットを受信する。測距応答パケットを受信した携帯端末101は、
図7を参照して説明した測距方法を用いて画像形成装置104との間の距離を求める。S808で携帯端末101は、検出された画像処理装置のリストを含むプリンタ探索画面1000(
図10(a)参照(詳細は後述する)をディスプレイ215に示す。
【0067】
ユーザは、S808でディスプレイ215に表示されたプリンタ探索画面1000から、利用する画像処理装置を選択する。そこで、S809で携帯端末101は、ユーザによるプリンタ探索画面1000からの画像処理装置の選択操作を受け付ける。これにより、後述するが、ディスプレイ215の表示は、第2のトップメニュー画面1020(
図10(c)参照(詳細は後述する)へ遷移する。なお、第1のトップメニュー画面900と第2のトップメニュー画面1020とでは、画像処理装置が未選択か選択済みかが異なる。S810で携帯端末101は、第2のトップメニュー画面1020に対するユーザ操作(写真印刷ボタン902又はファイル印刷ボタン903の押下)を受け付ける。
【0068】
S810でユーザが携帯端末101に印刷を指示すると、S811で携帯端末101は、プリントジョブの生成と、画像形成装置104へのプリントジョブデータの送信を行う。携帯端末101は、プリントジョブデータの送信が終了すると、ディスプレイ215の表示を印刷アプリケーションの第2のトップメニュー画面1020に戻す。以上のS801~S811が、携帯端末101が、プリントジョブを実行する画像処理装置を探索し、選択された画像処理装置へプリントジョブデータを送信するまでの流れである。
【0069】
なお、S802の処理では複数の画像処理装置が検出されることが想定される。その場合、各画像処理装置に対してS803~808の処理が行われ、検出された複数の画像処理装置の中からS809において1台の画像処理装置が選択され、その後、S810の処理が実行されることとなる。
【0070】
ここで、S801~S811の処理の具体的な内容について説明する。S802以降の説明では、携帯端末101により探索された画像処理装置を、必要に応じて、画像形成装置104に限定せずに説明する。
【0071】
[S801:印刷アプリケーションの起動処理]
図9及び
図10は、携帯端末101がユーザの指示を受け付けるユーザインタフェースとしての、携帯端末101のディスプレイ215での各種表示画面の例を示す図である。携帯端末101がユーザ操作を受け付けて印刷アプリケーション401を起動させると、携帯端末101のディスプレイ215には、印刷アプリケーションのトップメニュー画面が表示される。
図9(a)は、印刷アプリケーションの第1のトップメニュー画面900を示す図である。第1のトップメニュー画面900は、プリンタ選択ボタン901、写真印刷ボタン902、ファイル印刷ボタン903及び設定ボタン904を含む。
【0072】
プリンタ選択ボタン901は、プリントジョブを行う画像処理装置を探索、選択するための画面に遷移させる操作手段であり、
図9(a)に示されるように、未選択時には未選択である旨が表示される。写真印刷ボタン902は、携帯端末101に保存された写真(画像)を選択して印刷するための画面に遷移させる操作手段である。ファイル印刷ボタン903は、携帯端末101に保存された文書ファイル等を選択して印刷するための画面に遷移させる操作手段である。なお、写真印刷ボタン902及びファイル印刷ボタン903は、プリントジョブを行う画像処理装置が選択されていない状態では、操作無効となっている。設定ボタン904は、画像処理装置が実行するログイン認証(UWB測距結果に基づく自動ログイン認証、以下「UWB認証」という)の設定を行うための画面と任意のTAGのUWBTAG情報を登録するための画面に遷移させるための操作手段である。
【0073】
図9(b),(c)は、設定ボタン904が押下された場合にディスプレイ215に表示されるUWB認証設定画面910を示す図である。UWB認証設定画面910は、第1チェックボックス911、第2チェックボックス912、第1数値入力欄913、第3チェックボックス914、第2数値入力欄915、第4チェックボックス916及び第3数値入力欄917を含む。
【0074】
図9(b)の画面に対して下から上へのフリック操作(又はスワイプ操作)が行われると
図9(c)の画面となり、逆に、
図9(c)の画面に対して上から下へのフリック操作(又はスワイプ操作)が行われると
図9(b)の画面となる。つまり、UWB認証設定画面910は、1画面であるが、全範囲をディスプレイ215に一度に表示させることができず、ここでは便宜的に
図9(b),(c)に分けて示している。
【0075】
第1チェックボックス911は、UWB認証を行うか否かを選択するための操作手段である。第2チェックボックス912は、UWB認証を行う際の距離条件を自動設定にするか手動設定にするかの選択を受け付ける操作手段である。第1数値入力欄913は、距離条件の手動設定が選択された場合に、UWB認証を行うか否かの判定に使用する距離条件(自動ログイン距離)の入力を受け付ける操作手段である。第1数値入力欄913を設けることにより、画像処理装置の設置場所とユーザの動線との位置関係等の応じた実用的なアクセスコントロールを行うための調整が可能になる。
【0076】
第3チェックボックス914は、UWB測距に基づく自動ログアウトを行う場合の距離条件(自動ログアウト距離)を自動ログイン距離と同値とするか別の値として設定するかの選択を受け付ける操作手段である。第2数値入力欄915は、自動ログアウト距離を自動ログイン距離とは異なる値に設定するための操作手段である。第4チェックボックス916は、時間経過による自動ログアウトの時間条件(後述する自動ログアウト時間T)を自動設定にするか手動設定にするかの選択を受け付ける操作手段である。第3数値入力欄917は、自動ログアウト時間Tの手動設定が選択された場合に使用される値の入力を受け付ける操作手段であり、設定された自動ログアウト時間Tに従ってプリントジョブの実行後に自動ログアウトを実行することが可能になる。なお、自動ログアウトの詳細については後述する。
【0077】
UWB認証設定画面910で次へボタン918が押下されると、UWB認証設定画面910はTAG設定画面へ切り替わる。
図9(d)は、TAG設定画面920を示す図である。TAG設定画面920は、登録リスト921と戻るボタン922を含む。なお、TAG設定画面920で戻るボタン922が押下されると、TAG設定画面920からUWB認証設定画面910へ表示が切り替わる。
【0078】
TAG設定画面920は、任意のTAGのUWBTAG情報を登録するための入力を受け付けるユーザインタフェースである。携帯端末101は、携帯端末101とは独立したTAGのUWBTAG情報を任意の数だけ登録することが可能となっている。任意のTAGとは、例えば、Apple社のAirTag等のUWB通信が可能な通信デバイスであり、一般的に電池等の電源、UWB通信部、BLE通信部、記憶部及びマイコン等の制御ICから構成される通信デバイスであればよい。本実施形態において、画像形成装置104,105,107は、任意のTAGに含まれる。任意のTAGのUWBTAG情報を登録する方法としては、BLE通信でのペアリングを実施し、GATT通信によりUWBTAG情報を受信して登録を行う等の一般的な方法で構わない。
【0079】
任意のTAGのUWBTAG情報の登録時には、不図示であるが、任意の名称を入力することができるようになっていてもよい。また、登録リスト921に示されるように、登録済みTAGを選択的に受け付けることができるようになっていてもよい。本実施形態では、UWBTAG情報が登録される任意のTAGに、少なくとも画像形成装置104,105,107が含まれる。
【0080】
なお、UWBTAG情報は、本実施形態では、少なくともIEEE802.15.4で規定されているUWB通信を行う際の相手を特定するための情報である。UWBTAG情報は、PANID(Personal Area Network ID)やパケット送り元と送り先のアドレス、無線通信装置を個別に特定することができるように割り当てられたIEEE802準拠アドレスから構成される。UWBTAG情報はまた、広義のUWB通信に対応した無線通信装置であることを示す情報を含んでいてもよい。UWBTAG情報には更に、UWB通信に必要な通信能力情報や通信設定情報(
図11(b)~(d)参照(詳細は後述する))が含まれていてもよい。
【0081】
携帯端末101と画像形成装置104が通信制御に用いる通信プロトコルとしては、IEEE802.15.4の規定上に定義されている、FiRaコンソーシアムによるCSMLがある。別の通信プロトコルとしては、Apple社の「Near by Interaction Protocol」がある。UWBTAG情報は、所定の通信プロトコルに従うUWB通信において相手先を特定するための情報として使用される。
【0082】
なお、これらの規格は、UWB無線チップが他のワイヤレス技術に比べてエネルギを多く消費する性質がある。そのため、これらの規格では、UWB通信に先立って、近くのUWB通信装置を検知するために、セカンダリチャネル(多くの場合、BLE通信)によってUWB通信に関する能力や設定、アプリケーション間で必要なデータ等の情報交換が行われる。BLE通信(BLE通信でのGATT通信)については後述する。
【0083】
[S802:画像処理装置の探索処理]
携帯端末101のディスプレイ215に表示された第1のトップメニュー画面900にあるプリンタ選択ボタン901が押下されると、プリントジョブを実行するための画像処理装置の選択を受け付けるプリンタ探索画面が表示される。
図10(a)は、プリンタ探索画面1000を示す図である。プリンタ探索画面1000には、UWB通信により検出された画像処理装置が有するIPアドレス等の情報を含む装置リスト1001が表示される。なお、プリンタ探索画面1000には、S808での処理により得られた画像処理装置の情報が示されているため、装置リスト1001内の情報の詳細については、S808の詳細について後述する際に併せて説明する。
【0084】
[S803:BLE通信のアドバタイズメントパケットの受信処理]
図11(a)は、ペリフェラルとして機能している画像形成装置104が発信し、携帯端末101が受信するBLE通信でのアドバタイズメントパケットの例を示す図である。画像形成装置104が発信可能なBLE通信のアドバタイズメントパケットの形式は複数存在するが、ここではApple社の「AirPrint Bluetooth Beacon」形式のアドバタイズメントパケットを発信するものとする。BLE通信のアドバタイズメントパケットは、所謂、ビーコン信号としてブロードキャスト送信される無線標識データであり、数ミリ秒から数秒の間隔で発信される。
【0085】
BLE通信のアドバタイズメントパケット1110の先頭には、BLE通信を行う無線素子が信号の読み取りタイミングに使用するための‘Preamble’が1Byteで構成される。次に、BLEのアドバタイズメントパケットであることを示すための値が挿入される‘Access Address’が4Byteで構成される。次に、実データ領域として‘PDU(Protocol Data Unit)’が最大39Byteで構成される。但し、‘PDU’は、‘Header’として2Byte、‘Advertiser’s address’として6Byteが消費されるため、残りの31Byteで‘Advertiser’s Data’が構成される。
【0086】
ここで、‘Advertiser’s Data’の一例として、Apple社の「AirPrint Bluetooth Beacon」のフォーマットについて説明する。AirPrint Bluetooth Beaconに共通の値である‘Header’が9Byteで構成される。次に、IPアドレスの形式やアドバタイズメントパケットを発信している画像形成装置104がプリンタであるかプリントサーバであるかを示す情報として‘Connection Information’が1Byteで構成される。そして、プリントサーバ150から定められたプリンタのID情報を示す‘Server or Resource Path’が2Byteで構成される。更に、ポート番号の‘Port’が2Byteで構成され、IPアドレスの‘IP v4 Address or IP v6 Address’が16Byteで構成される。最後に、ビーコンが発している信号強度を示す‘Tx Power’が1Byteで構成される。
【0087】
アドバタイズメントパケット1110の最後尾には、符号誤り検出用のCRCが3Byteで構成され、以上によりアドバタイズメントパケット1110が構成される。なお、アドバタイズメントパケット1110の構成は、
図11(a)に示した構成に限定されるものではない。例えば、UWB通信に先立って必要な情報交換としてBLE通信をセカンダリチャンネルとして使用するパケット形式として、例えば、UWBTAG情報やUWB通信設定情報をアドバタイズメントパケットに含めた形式としてもよい。
【0088】
[S805:GATT通信処理について]
印刷アプリケーションが必要とする情報であって、携帯端末101と画像形成装置104との間でGATT通信により交換される情報は、BLE装置通信としての画像形成装置104が持つデータ構造及びその操作方法がプロファイルとして定義されたものである。本実施形態では、画像形成装置104は、S805のGATT通信時に、携帯端末101に固有のUWBTAG情報を受信することができるよう構成されている。なお、画像形成装置105,107も画像形成装置104と同様に構成されているが、画像形成装置104を例に以下に説明を続ける。
【0089】
画像形成装置104の基本的なプロファイル構成要素は少なくとも「機種名」を含む。また、Wi-Fi等のネットワーク通信装置としての画像形成装置104のプロファイル構成要素は少なくとも「IPアドレス」情報を含む。携帯端末101が取得したこれらの情報は、プリンタ探索画面1000に表示される。画像形成装置104は、UWB通信部373に固有のUWBTAG情報を携帯端末101に送信することができるように構成されている。UWB通信部373に固有のUWBTAG情報は、前述したBLE通信のアドバタイズメントパケットに付加されていてもよい。
【0090】
続いて、BLE通信でのGATT通信について説明する。
図11(b)は、UWB測距に適用可能な、FiRaコンソーシアムによるCSMLにおける通信キャパビリティメッセージ1120の仕様を示す図である。通信キャパビリティメッセージ1120は、通信プロトコルスタックにおけるネットワーク層とトランスポート層の各層で用いられる通信メッセージであり、携帯端末101と画像形成装置104の通信プロトコルのインタフェースとして機能する。
【0091】
携帯端末101と画像形成装置104は、FiRaデバイスとしての互換性や通信能力に係る情報をBLE通信やNFC等の別バンドの通信チャネルで交換する。携帯端末101と画像形成装置104の各ソフトウェア構成は、BLE通信制御部405,505の構成要素であって上位の印刷アプリケーション401,501から呼び出されるAPIの一部として、該当メッセージを処理する通信プロトコルスタックを実装している。
【0092】
通信キャパビリティメッセージ1120は、物理層のバージョン(FiRa PHY version)及びMAC層(データリンク層)のバージョン(FiRa MAC version)を含む。また、通信キャパビリティメッセージ1120は、UWB通信の役割(測距主体側となる「ANCHOR」と測距対象側となる「TAG」の機能をサポートしているか)を識別する‘Device roles’を含む。更に通信キャパビリティメッセージ1120は、測距方式(Ranging Methods)等のサポートしている測距に係る設定を含む‘UWB parameter support’を含む。画像形成装置104と携帯端末101は、‘Device roles’として「ANCHOR」と「TAG」の両モード対応している。また、測距方式として少なくともTWR方式をサポートしている。
【0093】
図11(c)は、UWB測距に適用可能な、FiRaコンソーシアムによるCSMLにおける通信コンフィギュレーションメッセージ1130の仕様を示す図である。通信コンフィギュレーションメッセージ1130は、通信キャパビリティメッセージ1120の交換に基づいて、UWB通信の設定(「ANCHOR」と「TAG」の設定、測距方式等)を決定するために、画像形成装置104と携帯端末101との間で交換される。
【0094】
携帯端末101と画像形成装置104の印刷アプリケーション401,501の要求に基づいて「ANCHOR」と「TAG」のrole(役割)の調停が行われて、‘Device roles’が決定される。具体的には、携帯端末101の印刷アプリケーション401の印刷制御部404によるプリントジョブの送信メッセージに対して、画像形成装置104の印刷アプリケーション501の端末探索部503が測距要求を発行する。こうして、UWB通信制御部406,506間のネゴシエーションによりroleの調停が行われる。プリントジョブを受信した画像形成装置104は、自身が測距の主体になるためにRoleを「ANCHOR」にするための通信コンフィギュレーションメッセージ1130を送受信し、roleを「TAG」から「ANCHOR」に変更して測距を行う。
【0095】
本実施形態では、携帯端末101からプリントジョブを画像形成装置104へ送信するモバイルプリントプロセスの過程において双方向で測距を行うことができ、また、ネゴシエーションにより役割を切り替えることが可能となっている。つまり、携帯端末101で画像形成装置104を探索、測距して装置リスト1001をディスプレイ215に表示させるまでの工程は、携帯端末101が「ANCHOR」で画像形成装置104が「TAG」として役割を果たしてネゴシエーションを行う。その後、携帯端末101からプリントジョブが発行されると、再度、役割のネゴシエーションが行われ、画像形成装置104が「ANCHOR」、携帯端末101が「TAG」となって測距が行われる。
【0096】
なお、通信コンフィギュレーションメッセージ1130は、ユーザごとに発行される異なるプリントジョブを1つの単位としてUWB通信処理を行う対象を識別するための‘UWB Session ID’を有する。また、通信コンフィギュレーションメッセージ1130は、「ANCHOR」と「TAG」を識別する‘Device Roles’を有する。これらにより、携帯端末101と画像形成装置104は、複数の接続相手を個別に識別することが可能となっている。
【0097】
このように、UWB通信を行うための設定情報の交換がBLE通信を用いて行われる。‘UWB Session ID’は、
図6(b)のジョブ理管理情報の識別番号(JOB_ID)と関連付けて、印刷アプリケーション401,501とUWB通信制御部406やBLE通信制御部405,505との間で連携可能になっていてもよい。これにより、画像形成装置104は、複数のプリントジョブを複数の異なる携帯端末から受け付けている状況において、プリントジョブの処理と連動して通信制御を同時並行又は時分割で行うことができる。
【0098】
[S806,S807:測距要求処理及び測距応答処理]
携帯端末101は、BLE通信による通信キャパビリティメッセージ1120と通信コンフィギュレーションメッセージ1130の交換を経て決定されたUWB通信設定とUWBTAG情報に基づき画像形成装置104に測距要求パケットを送信する。測距要求パケットは、
図7を参照して説明したIEEE802.15.4に規定されるTWR方式での測距を実施するための必要な形式で構成される。そのため、測距要求パケットは、少なくとも測距要求識別情報、要求元アドレス情報、要求先アドレス情報及びIEEE802準拠アドレスを含んでいればよい。
【0099】
ここで、IEEE802.15.4に準拠した測距要求パケットについて説明する。
図11(d)は、UWB測距で用いる測距要求パケットの構成を示す図である。UWB測距のための測距要求パケットは、一般的な通信プロトコルスタックにおける物理層とMAC層におけるUWBフレーム1140の構造で定義される。UWBフレーム1140は、SYNC(プリアンブル)、PHR(PHYヘッダ)、プリアンブルとPHYヘッダの境界を示すSFD(SFDフィールド)、PHY payload(PHYペイロードフィールド)から構成される。
【0100】
SYNC(プリアンブル)は、無線通信装置間で同期を取るため情報である。PHR(PHYヘッダ)は、測距のために発行されたフレームであるか否かを識別するフラグである‘Ranging’フィールドを有する。携帯端末101が測距を行うために画像形成装置104に送信する測距要求パケットでは、UWB通信制御部406より‘Ranging’フィールドは「1」に設定される。同様に、画像形成装置104が測距を行うために携帯端末101に送信する測距要求パケットでは、UWB通信制御部506より‘Ranging’フィールドは「1」に設定される。
【0101】
PHY payload(PHYペイロード)は、MHR(MACヘッダ)、MAC payload(MACペイロード)及びMAC footer(MACフッタ)から構成される。MHR(MACヘッダ)は、MAC層でのフレーム制御に使用されるフレーム形式を示す‘Frame Control’フィールド(フレーム制御フィールド)を有する。また、MHR(MACヘッダ)は、Destination PAN Identifer(パケット送信先PANID)と、Destination Address(パケット送信先アドレス)を有する。更に、MHR(MACヘッダ)は、Source PAN Identifier(パケット送信元PANID)と、Source Address(パケット送信元アドレス)等を有する。これらのPANIDやアドレス情報には、UWB通信制御部406,506において、携帯端末101と画像形成装置104に固有の情報が設定される。
【0102】
携帯端末101は、
図10(a)のプリンタ探索画面1000に表示された装置リスト1001から選択された画像形成装置104から得ているアドレス情報をパケット送信先PANID1145及びパケット送信先アドレスにセットする。一方、画像形成装置104は受信した測距要求パケットの‘Ranging’フィールド、パケット送信先PANID、パケット送信元PANID、パケット送信先アドレス及びパケット送信元アドレス等を解析する。この解析はUWB通信制御部506において行われ、画像形成装置104は、解析処理及び解析結果に基づく応答処理等に要する時間情報を含む測距応答パケットを生成して、携帯端末101へ送信する。
【0103】
[S808:装置リストの表示]
S808で携帯端末101のディスプレイ215に表示されるプリンタ探索画面1000(
図10(a))は、装置リスト1001、表示ボタン1002及び更新ボタン1003を含む。装置リスト1001には、探索された画像処理装置が一覧表示され、探索された画像処理装置ごとに、機種名、IPアドレス、距離及び通信インタフェースに関する情報が表示される。例えば、上段の機種名「C iR-3300-01」では、IPアドレスが「192.168.0.25」、距離が5.3m、通信方法としてUWB通信、BLE通信及びとWi-Fi通信が利用可能であること、が示されている。なお、装置リスト1001には、探索された画像処理装置の中から使用する装置を選択するために必要な情報が示されていればよく、図示の情報に限定されるものではない。
【0104】
更新ボタン1003が押下されるとS803~S807の処理が再実行されて装置リスト1001の表示内容が更新される。これにより、ユーザは探索中の状況変化を確認することができる。なお、携帯端末101は、装置リスト1001の表示を所定の時間ごとに自動的に更新する機能を備える。
【0105】
表示ボタン1002が押下されると、プリンタ探索画面1000は、探索条件設定画面へ遷移する。
図10(b)は、探索条件設定画面1010の一例を示す図である。探索条件設定画面1010は、通信規格選択欄1011と表示順設定欄1012を含む。
【0106】
通信規格選択欄1011は、探索対象(本実施形態では画像形成装置104)がサポートしている無線通信規格を選択するためのユーザインタフェースであり、所望の通信規格を満たす画像処理装置に探索対象を絞り込むことが可能となっている。表示順設定欄1012は、ここでは、探索された画像処理装置を携帯端末101から距離的に近い順に表示するか、使用頻度が高い順に表示するかを選択可能となっている。また、複数の画像処理装置が探索された場合に、生産性やプリントジョブが実行されるまでの待ち時間を考慮するか否かを設定することが可能となっている。更に、探索頻度の自動/手動の設定が可能となっている。探索条件に設定可能な項目は、これらに限られず、その他の項目を備えていてもよいし、逆に、これらの一部のみであってもよし、探索結果の絞り込みと表示順序はユーザにより設定可能となっていてもよい。
【0107】
[S809:プリントジョブに使用する画像処理装置の選択]
図10(c)は、装置リスト1001に表示された画像処理装置の中からプリントジョブを実行する装置が選択された後にディスプレイ215に表示される第2のトップメニュー画面1020を示す図である。第2のトップメニュー画面1020では、装置リスト1001から選択された画像処理装置がプリンタ選択ボタン901に表示されている。
【0108】
[S810:プリントジョブの選択]
第2のトップメニュー画面1020で、例えば、ユーザがファイル印刷ボタン903を押下すると、携帯端末101に保存されている文書ファイルのサムネイル一覧(不図示)がディスプレイ215に表示される。
図10(d)は、ユーザがサムネイル一覧から印刷対象の文書を選択したことでディスプレイ215に表示される印刷指示画面1030の一例を示す図である。印刷指示画面1030は、ユーザが選んだ文書の印刷設定を行い、画像処理装置に印刷を実行させるためのユーザインタフェースである。
【0109】
印刷指示画面1030は、プレビュー表示エリア1031、装置情報欄1032、印刷設定ボタン1033及び印刷実行ボタン1034を含む。プレビュー表示エリア1031には、ユーザが選択した文書或いは写真のプレビュー画像が表示される。装置情報欄1032には、第2のトップメニュー画面1020にある選択済みの画像処理装置の情報が表示される。印刷設定ボタン1033が押下されると、不図示の印刷設定画面に切り替わり、用紙サイズやカラーモード、給紙トレイ、部数等を設定することが可能となる。印刷実行ボタン1034が押下されると、プリントジョブが生成され、装置情報欄1032に表示されている画像処理装置への送信が行われる。
【0110】
[S811:プリントジョブのデータ送信について]
携帯端末101は、プリントジョブのジョブデータにUWBTAG情報やUWB認証設定画面(
図9(b),(c))での設定内容を付加して、S809で選択された画像処理装置へ送信する。ジョブデータにUWBTAG情報を付加する方法は、ジョブデータを構成するプリントデータのヘッダに含ませてもよいし、ジョブデータの送信手続きを構成する要素として送受信されるパケットのフィールドに付加されてもよい。
【0111】
こうして携帯端末101から画像処理装置へ送信された情報により、画像処理装置から携帯端末101の測距対象に係る情報を伝達することが可能になる。なお、UWBTAG情報は、
図9(d)のTAG設定画面920で設定されたUWBTAG情報についても適応され、画像処理装置に伝達される。また、プリントジョブの画像処理装置への送信に併せて、携帯端末101を特定するためのUWBTAG情報も送信されるため、画像処理装置によるUWB測距が可能となる。また、ジョブデータの送信は、通常、Wi-Fi等よりも帯域の高い通信にハンドオーバーして送信される。
【0112】
以上が、S801~811の処理の詳細である。
【0113】
次に、
図8のフローチャートの説明に戻り、S812以降の処理について以下に説明する。S812で画像形成装置104は、ジョブデータの送信元である携帯端末101を測距対象として特定する。S813で画像形成装置104は、画像形成装置104を「ANCHOR」とし、携帯端末101を「TAG」として、測距処理を行う。
【0114】
S813の処理は、S814~S817の処理の繰り返しである。即ち、画像形成装置104は、S814で携帯端末101へ測距要求を送信し、S815で携帯端末101からの測距応答を受信する。そして、画像形成装置104は、S816でUWB測距を行い、S817でUWB測距により得られた距離をUWB認証を行うために予め定められた自動ログイン距離と比較する。画像形成装置104は、S817での判定が真になるまでS814~S817の処理を繰り返し、S817での判定が真になるとS818の処理を実行する。なお、S817での判定の条件については後述する。
【0115】
S818で画像形成装置104は、ユーザアカウント格納部509を参照してUWB認証(ログイン認証)を行う。S819で画像形成装置104は、操作部140を介してユーザによるプリントジョブの選択を受け付ける。S820で画像形成装置104は、選択されたプリントジョブを実行(つまり、印刷処理を実行)する。S821で画像形成装置104は、ユーザが選択したプリントジョブの印刷実行後に、ログインを継続している時間tの計測を開始する。
【0116】
以上のS812~S821が、画像形成装置104がプリントジョブデータを受信した後、携帯端末101でログインしたユーザの自動ログアウト処理を実行する前までの流れである。続いて、S812~S821の処理の具体的な内容について説明し、その後、S821の後に実行される自動ログアウト処理について説明する。
【0117】
[S812:測距対象の特定]
画像形成装置104は、S811で携帯端末101から送信されてきたプリントジョブデータを、プラットフォーム510のプリントジョブ格納部508に保持する。そして、画像形成装置104は、印刷アプリケーション501の端末探索部503がプリントジョブデータと共に取得するジョブ送信元のTAG情報及びUWB認証のための設定情報を参照して、携帯端末101を測距対象として特定する。
【0118】
[S813のループ]
〔S814~S815:測距要求の送信と測距応答の受信〕
画像形成装置104は、測距対象(携帯端末101)を特定すると、UWB通信装置として役割(role)のネゴシエーションを行い、画像形成装置104を「ANCHOR」、携帯端末101を「TAG」に決定して、測距を開始する。本実施形態では、ジョブの受信に応じて「ANCHOR」と「TAG」の役割を変更する仕組み、具体的には、画像形成装置104がジョブ送信元を測距する主体となってアクセスコントロールを行ってUWB認証を行う仕組みを備えている。
【0119】
画像形成装置104から携帯端末101への測距要求は、端末探索部503が特定したUWB測距の対象である携帯端末101のTAG情報に基づき、UWB通信制御部506のAPIを呼び出すことにより実行される。このときの測距要求パケットは、
図7に示したIEEE802.15.4に規定されるTWR方式での測距を実施するための必要な形式で生成され、少なくとも測距要求識別情報、要求元アドレス情報、要求先アドレス情報を含む。画像形成装置104からの測距要求パケットを受信した携帯端末101は、所定の時間経過後に測距応答パケットを画像形成装置104へ送信する。
【0120】
〔S816~S817:測距と距離判定〕
携帯端末101からの測距応答パケットを受信した画像形成装置104は、画像形成装置104から携帯端末101までの距離xをTWR測距方法により求める。なお、TWR測距方法については、
図7を参照して説明済みであるため、ここでの説明は省略する。求められた距離情報は、
図6(b)に示すジョブ管理情報の「Rang_Value」に変数としてアップデートされる。
【0121】
画像形成装置104は、UWB測距により得られた距離xを予め定められた自動ログイン距離Xと比較し、‘x<X’の関係が満たされるまで、S814~S817の処理を繰り返し行う。自動ログイン距離Xには、携帯端末101での設定値又は画像形成装置104での設定値を用いることができる。携帯端末101での設定値とは、
図9(b)のUWB認証設定画面910の第1数値入力欄913に入力されている自動ログイン距離の値である。画像形成装置104での設定値とは、第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210(
図12(a)参照)において入力された認証距離(
図6(b)のジョブ管理情報内のアクセスコントロール距離条件(Rang_set(x)))の値である。
【0122】
図12(a)は、画像形成装置104の操作部140の一例を示す図であり、ディスプレイ1200に第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210が表示されている状態を示す図である。第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210は、トップメニュー画面1300(
図13(a)参照)のメニューボタン1303(
図13(a)参照)が押下されることで表示されるメニュー画面(不図示)から開くことができる。
【0123】
操作部140は、タッチパネルとして構成されたディスプレイ1200の他に、
図12(a)に示されるように、ホームボタンや設定ボタン、テンキー(数字キー)、スタートボタンやストップボタン、リセットボタン等の機械式ボタンを備えている。なお、ホームボタン等はディスプレイ1200内にアイコンとして設けられていてもよい。
【0124】
第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210は、認証及びログインに関する設定情報の入力を受け付けるユーザインタフェースであり、自動ログイン距離Xを認証距離設定欄に手動で入力することが可能となっている。そして、自動ログイン距離Xとして携帯端末101での設定値と画像形成装置104での設定値のどちらを優先するかを第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210から選択することが可能となっている。画像形成装置104は、「端末優先」が選択されている場合、BLE通信において携帯端末101から取得した自動ログイン距離(
図9(b)の第1数値入力欄913の値)を適用して、UWB認証を行う。一方、「MFP優先」が選択されている場合、第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210での「認証距離設定」での入力値を用いてUWB認証が行われる。
【0125】
また、UWB認証以外のログイン方法として、ユーザアカウント格納部509で管理されているICカード番号(IC_Card)やキーボード入力によるパスワード(Pass_word)による認証との組み合わせ論理を選択することができるようになっている。
図12(a)の例では、UWB測距によるアクセスコントロールとICカード認証がAND条件、キーボード入力に対してはOR条件となっている。この場合、ICカードを所持したユーザがICカード認証の認証距離内に移動した際にICカード読み取りが行われて認証が行われる。
【0126】
第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210にある右へボタン1211が押下されると、ディスプレイ1200の表示は、第2のUWBアクセスコントロール設定画面1220へ遷移する。
図12(b)は、ディスプレイ1200に第2のUWBアクセスコントロール設定画面1220が表示されている操作部140の状態を示す図である。第2のUWBアクセスコントロール設定画面1220にある左へボタン1221が押下されると、ディスプレイ1200の表示は、第1のUWBアクセスコントロール設定画面1210へ戻る。
【0127】
第2のUWBアクセスコントロール設定画面1220は、UWB測距の開始/終了条件を受け付けるユーザインタフェースである。第2のUWBアクセスコントロール設定画面1220では、UWB測距の開始条件として、「ジョブ受付」及び/又は「モーション検知」の選択を行うことが可能となっている。なお、「モーション検知」とは、携帯端末101でのセンサ群(GPSセンサ217、ジャイロセンサ221、加速度センサ222、タッチパネル216)によりユーザの特定の動きが検知されたことを示す。モーション検知の機能はアプリケーション408として携帯端末101にインストールされており、画像形成装置104は、携帯端末101において特定の動きが検知された通知を受けて携帯端末101に対する測距を行うことでユーザを追跡する。これにより、ユーザの行動を予測して電力モードの遷移制御を行うこと等が可能となる。なお、複数のユーザがそれぞれ所持する複数の携帯端末からのプリントジョブを行おうとした際に、複数のユーザが自動ログイン認証距離の範囲内に入る時間が重なる場合が想定される。この場合、画像形成装置104は、付加的要素として、例えば、UWB認証のための排他的条件として、その他のログイン方法を組み合わせることが可能となっていてもよい。
【0128】
第2のUWBアクセスコントロール設定画面1220では、UWB測距の終了条件として、「ログアウト」、「距離設定」及び「モーション検知」の選択が可能となっている。「距離設定」が選択された場合、ユーザが所持している携帯端末101が画像形成装置104から所定距離だけ離れたときに、UWB測距は終了する。
【0129】
このように、第1及び第2のUWBアクセスコントロール設定画面1210,1220は、UWB測距を行う場合のニーズや選択に柔軟に対応することが可能なユーザインタフェースとなっている。
【0130】
なお、画像処理システムを構成する画像形成装置104,105,107は、プリントサーバ150を共有して、互換性のある画像処理装置群に対して印刷を実行する装置を選択することができる「留め置き印刷機能」を備えていてもよい。この場合、画像形成装置104,105,107は、測距対象を特定する処理、測距要求の送信、測距応答に基づく測距、自動ログイン距離に対する距離判定処理を、同時並行で実施することが可能となる。
【0131】
[S818:UWB認証(ログイン認証)]
S817で‘x<X’の判定が真になることで実行されるUWB認証では、ユーザアカウント格納部509を参照してログインIDと関連付けられたUWBTAG情報の照合が行われ、照合が問題なく完了するとログインが許可されるようになっている。なお、前述したように、ユーザアカウント格納部509は、
図6(a)に示したユーザアカウント一覧に示される通りに、ログインIDやパスワード、UWB認証のための任意のUWBTAG情報が関連付けられて記憶されている。これらのユーザアカウント情報は、操作部140のディスプレイ1200に表示される所定の操作画面(不図示)から登録可能となっている。
【0132】
UWB認証が完了すると、画像形成装置104の操作部140のディスプレイ1200にトップメニュー画面が表示される。
図13(a)は、S818でのUWB認証の完了に伴ってディスプレイ1200に表示されるトップメニュー画面1300の一例を示す図である。トップメニュー画面1300には、「コピー」や「ファックス」、「プリント」等の機能選択ボタンが配置されている。また、トップメニュー画面1300には、UWB測距に基づくログイン認証中、つまり、UWB認証中であることを明示するためのUWB認証中アイコン1302やUWBロゴ1301が表示されている。
【0133】
[S819:ジョブ選択]
トップメニュー画面1300で「プリント」アイコンが押下されると、ディスプレイ1200での表示は、ジョブ選択画面へ遷移し、実行するプリントジョブの選択を受け付ける。
図13(b)は、ジョブ選択画面1310の一例を示す図である。ジョブ選択画面1310には、2件のプリントジョブがその詳細と共に表示されている。例えば、下段の「文書」は、携帯端末101からS811で画像形成装置104へ送信されてきたプリントジョブを表している。上段の「プレゼン」は、例えば、携帯端末101のユーザが携帯端末101又は別の通信装置(例えば、ラップトップPC等)からプリントサーバ150に送信してプリントサーバ150に一時保存されているプリントジョブである。なお、前述したように、画像形成装置104は、プリントサーバ150に限らず、ネットワーク103に接続された他の画像処理装置に一時保存されているプリントジョブの情報を入手して、ジョブ選択画面1310に表示させることが可能となっていてもよい。
【0134】
ジョブ選択画面1310には、印刷設定の確認と変更を受け付けるための入力画面(不図示)へ遷移させるためのプリント設定ボタンと、プリント画像をプレビューさせるための画面表示ボタンが設けられている。また、ジョブ選択画面は、プリントジョブを削除するための削除ボタンと、プリント動作を一時停止させるプリント停止ボタンと、プリント実行指示を受け付けるプリント開始ボタンが設けられている。
【0135】
[S820~S821:印刷処理とログイン継続時間の計測]
ジョブ選択画面1310においてプリントジョブが選択されて、プリント開始ボタンが押下されると、画像形成装置104での印刷処理が実行される。印刷処理が完了すると、ユーザがジョブの印刷実行後にログインを継続している時間(ログイン継続時間t)の計測がタイマー309により開始される。計測されたログイン継続時間tは、後述する自動ログアウト処理に使用される。また、
図6(b)のジョブ管理情報のログイン継続時間(Time_Value)の値が、計測されたログイン継続時間tで更新される。
【0136】
以上が、S812~821の処理の詳細である。
【0137】
次に、ログイン継続時間tの計測に基づいて、画像形成装置104が携帯端末101を自動ログアウトさせる処理について説明する。
図14は、画像形成装置104が携帯端末101をログアウトさせる処理のシーケンス図である。画像形成装置104は、UWB認証後にUWB測距を継続して行うことによって携帯端末101の位置を監視し、予め設定された自動ログアウト距離又は自動ログアウト時間の条件が満たされると、携帯端末101のユーザを自動的にログアウトさせる。
図14のシーケンス図に示す動作フローは、
図8のシーケンス図と同様に、携帯端末101及び画像形成装置104を構成するハードウェアとソフトウェアを構成する各部の協調動作によって実現される。
【0138】
S1401で画像形成装置104は、S1402~S1406の処理を繰り返すことにより、携帯端末101を自動ログアウトさせるか否かを判断する。S1402~S1404の処理は、S814~S816の処理と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0139】
S1405で画像形成装置104は、S1404で得られた画像形成装置104から携帯端末101までの距離xをログアウトさせるための自動ログアウト距離Yと比較する。自動ログアウト距離Yには、携帯端末101での設定値を用いてもよいし、画像形成装置104での設定値を用いてもよい。携帯端末101での設定値とは、BLE通信において携帯端末101から取得した
図9(b)のUWB認証設定画面910の第2数値入力欄915に入力されている自動ログアウト距離の値である。画像形成装置104での設定値とは、
図6(b)のジョブ管理情報にあるアクセスコントロールを行う距離条件(Rang_set(y))の値である。
【0140】
S1406で画像形成装置104は、S821でタイマー309が計測しているログイン継続時間tを自動ログアウト時間Tと比較する。自動ログアウト時間Tは、携帯端末101を保持するユーザが、画像形成装置104の自動ログアウト距離Yの範囲内に滞在していても、画像形成装置104を操作する蓋然性が低いと判断される値に設定されることが望ましい。自動ログアウト時間Tには、携帯端末101での設定値を用いてもよいし、画像形成装置104での設定値を用いてもよい。携帯端末101での設定値とは、BLE通信において携帯端末101から取得した、
図9(c)のUWB認証設定画面910の第3数値入力欄917に入力されている自動ログアウト時間(自動ログアウトが有効である場合に限る)である。画像形成装置104での設定値とは、画像形成装置104が保持する
図6(b)のジョブ管理情報にある自動ログアウトを実行する時間条件(Time_set)である。
【0141】
S1402~S1406の処理は、S1405とS1406の処理の一方の判定が真となるまで繰り返される。なお、1つのジョブの実行が指示された後、S1405とS1406の判定の両方が偽のままで別のジョブの実行が指示された場合、タイマー309は、別のジョブの実行前までログイン継続時間tを破棄して、新たにログイン継続時間tの計測を開始する。
【0142】
S1407で画像形成装置104は、S1405とS1406の処理の一方の判定が真となった場合に、ログイン中の携帯端末101を自動的にログアウトさせる処理を行う。こうして、携帯端末101のユーザが画像形成装置104を使用しない蓋然性が高いと判断される場合に、携帯端末101のユーザを画像形成装置104から自動的にログアウトさせることができる。これにより、例えば、画像形成装置104は、自身を速やかに省電力モードへ移行させて省電力化を図ることができる。
【0143】
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)携帯端末との通信を行う通信手段と、前記通信手段を介して前記携帯端末を所持したユーザのログインとログアウトを制御する制御手段と、を備える画像処理装置であって、前記制御手段は、前記携帯端末を所持したユーザがログインしている状態において、前記ユーザにより前記画像処理装置で実行されたジョブが終了してから予め定められたログアウト時間が経過した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする画像処理装置。
(構成2)前記制御手段は、前記ログアウト時間が経過する前に、前記ユーザの移動に伴って前記携帯端末が前記画像処理装置から予め定められたログアウト距離よりも遠くへ移動した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする構成1に記載の画像処理装置。
(構成3)前記制御手段は、前記ユーザが所持している携帯端末が予め定められたログイン距離の範囲内に入った際に当該携帯端末との通信により当該ユーザを自動でログインさせ、前記ログアウト距離は前記ログイン距離よりも大きいことを特徴とする構成2に記載の画像処理装置。
(構成4)前記ログイン距離として、前記画像処理装置での設定値と前記携帯端末での設定値のいずれかを選択可能な第1のユーザインタフェースを備えることを特徴とする構成3に記載の画像処理装置。
(構成5)前記ログアウト時間および前記ログアウト距離として、前記画像処理装置での設定値と前記携帯端末での設定値のいずれかを選択可能な第2のユーザインタフェースを備えることを特徴とする請求項2乃至4のいうずれか1つに記載の画像処理装置。
(構成6)前記ジョブは前記携帯端末から前記通信手段を介して前記画像処理装置へ送信されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
(構成7)携帯端末を所持するユーザが予め定められたログイン距離の範囲内に入った際に当該携帯端末との通信により当該ユーザを自動でログインさせる制御手段を備える画像処理装置であって、前記制御手段は、前記ユーザが前記画像処理装置にログインしている状態で、当該ユーザが当該画像処理装置を使用していない蓋然性が高いと判断した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせることを特徴とする画像処理装置。
(構成8)コンピュータを構成1乃至7のいずれか1つに記載の画像処理装置の前記制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
(方法1)携帯端末との通信を行う画像処理装置の制御方法であって、ユーザが所持した携帯端末が予め定められたログイン距離の範囲内に入った際に当該携帯端末との通信により当該ユーザを自動でログインさせるステップと、前記ユーザの移動により前記携帯端末が前記画像処理装置から予め定められたログアウト距離よりも遠くへ移動した場合に、または、前記ユーザにより前記画像処理装置で実行されたジョブが終了してから予め定められたログアウト時間が経過した場合に、前記ユーザを自動でログアウトさせるステップと、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【0144】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0145】
例えば、上記実施形態では、画像処理装置の一例として少なくともプリンタ機能を有する画像形成装置を取り上げたが、本発明に係る画像処理装置は、スキャナ(スキャン専用機)やファクス機能付き電話機等であってもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、画像処理装置が自動的に携帯端末をログアウトさせる構成としたが、これに限らず、S1405とS1406の処理の一方の判定が真となった際に、画像処理装置から携帯端末へログアウトを促す通知を行うようにしてもよい。この場合、携帯端末は、画像処理装置からのログアウト要請に応じた画面(ユーザインタフェース(不図示))をディスプレイに表示し、ユーザ操作を待つこととなる。
【0147】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0148】
20 プリンタ部
104 画像形成装置
301 CPU
372 BLE通信部
373 UWB通信部
502 UI部
507 ログイン認証部
1210 第1のUWBアクセスコントロール設定画面