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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172318
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】位置検出用磁石および位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20241205BHJP
   G01D 5/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G01D5/12 N
G01D5/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089955
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】松本 徹
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA12
2F077JJ07
2F077JJ22
2F077UU11
(57)【要約】
【課題】簡易な且つ小型な構成で位置検出のリニアリティを改善させることができる位置検出用磁石および位置検出装置を提供する。
【解決手段】
二極に着磁された位置検出用磁石1であって、位置検出用磁石1の着磁方向Aに平行な面のうちの一つの面C1に凸部C11~C13が一列に配列され、凸部C11~C13は、位置検出用磁石1と同一部材で同じ向きに着磁され、凸部C11~C13の配列の方向と着磁方向Aのなす角が直交しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二極に着磁された位置検出用磁石であって、
前記位置検出用磁石の着磁方向に平行な面のうちの一つの面に少なくとも3つ以上の凸部が一列に配列され、
前記3つ以上の凸部は、前記位置検出用磁石と同一部材で同じ向きに着磁され、
前記3つ以上の凸部の配列方向と前記着磁方向のなす角が直交しないことを特徴とする位置検出用磁石。
【請求項2】
前記少なくとも3つ以上の凸部のうちの1つは、前記一つの面の前記配列方向の中央に位置することを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項3】
前記少なくとも3つ以上の凸部のうちの両端の2つは、前記一つの面の端部に位置することを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項4】
前記少なくとも3つ以上の凸部のうちの両端の2つは、その磁石端部側が前記一つの面の端部より中央に位置していることを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項5】
前記少なくとも3つ以上の凸部の配列方向の間隔が、前記位置検出用磁石の中央部から外側に向かって変化することを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項6】
前記少なくとも3つ以上の凸部の配列方向の幅が、前記位置検出用磁石の中央部から外側に向かって変化することを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項7】
前記少なくとも3つ以上の凸部の高さは、前記位置検出用磁石の中央部から外側に向かって変化することを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項8】
前記中央に位置する凸部が曲面形状を有することを特徴とする請求項2に記載の位置検出用磁石。
【請求項9】
前記中央に位置する凸部が傾斜面を有することを特徴とする請求項2に記載の位置検出用磁石。
【請求項10】
前記中央に位置する凸部が階段形状を有することを特徴とする請求項2に記載の位置検出用磁石。
【請求項11】
前記少なくとも3つ以上の凸部は、棒状であって、前記凸部の配列方向と直交する方向において同一の高さで延在することを特徴とする請求項1に記載の位置検出用磁石。
【請求項12】
前記着磁方向は前記配列方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1記載の位置検出用磁石。
【請求項13】
前記着磁方向は前記配列方向と異なる方向であることを特徴とする請求項1記載の位置検出用磁石。
【請求項14】
請求項1に記載の位置検出用磁石と、
前記位置検出用磁石の前記凸部を有する面に対向した平行な面を垂直に貫く方向の磁束密度を検出可能であって、
前記位置検出用磁石の前記凸部を有する面に対向した平行な面内において、前記位置検出用磁石と相対移動可能であることを特徴とする磁気センサとを有することを特徴とする位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出用磁石および位置検出装置に関し、特に高精度な位置決めに用いられる位置検出用磁石および位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高精度な位置決めの必要性から磁石と磁気センサを用いて位置を検出する位置検出装置が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、磁石に接合されたヨークと磁気センサを用いた位置検出装置が開示されている。また特許文献2では、磁気センサと対向する面に所定の形状を有する位置検出用磁石が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3191530号公報
【特許文献2】特許第6476700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、位置検出のリニアリティを得るためにヨークが用いられており、磁気センサと磁石以外の構成部品が位置検出装置に必要であるため、装置全体が複雑化且つ大型化するという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に開示された従来技術では、位置検出のリニアリティが磁石端部近傍までは得られないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、簡易な且つ小型な構成で位置検出のリニアリティを改善させることができる位置検出用磁石および位置検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る位置検出用磁石は、二極に着磁された位置検出用磁石であって、前記位置検出用磁石の着磁方向に平行な面のうちの一つの面に少なくとも3つ以上の凸部が一列に配列され、前記3つ以上の凸部は、前記位置検出用磁石と同一部材で同じ向きに着磁され、前記3つ以上の凸部の配列方向と前記着磁方向のなす角が直交しないことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項14に係る位置検出装置は、前記位置検出用磁石と、前記位置検出用磁石の前記凸部を有する面に対向した平行な面を垂直に貫く方向の磁束密度を検出可能であって、前記位置検出用磁石の前記凸部を有する面に対向した平行な面内において、前記位置検出用磁石と相対移動可能であることを特徴とする磁気センサとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易且つ小型な構成で位置検出のリニアリティを改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図6】本発明の第6の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図7】本発明の第7の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図8】本発明の第8の実施形態に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図9】第1の実施形態の変形例に係る位置検出用磁石の上面図及び側面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図10図9の位置検出用磁石の別の角度での磁束密度の変化を示す図である。
図11図9の位置検出用磁石の着磁方向を異ならせた場合の磁束密度の変化を示す図である。
図12】本発明の実施形態に係る位置検出装置を説明するための図である。
図13図1の位置検出用磁石に対する第1の比較例に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図14図13の位置検出用磁石の磁束線を示す図である。
図15図1の位置検出用磁石に対する第2の比較例に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
図16図1の位置検出用磁石に対する第3の比較例に係る位置検出用磁石の上面図と、その磁束密度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、図1を参照して、第1の実施形態に係る位置検出用磁石1について説明する。図1(a)は位置検出用磁石1の上面図であり、図1(b)は位置検出用磁石1の磁束密度の変化を示す図である。
【0014】
位置検出用磁石1は、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C1に1列に配列される3つの凸部C11,C12,C13を有する。
【0015】
図1(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石1の凸部C11,C12,C13を有する面C1の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0016】
位置検出用磁石1は二極に着磁され、その着磁方向Aは図1(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0017】
凸部C11,C12,C13は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石1と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。また、面C1のX方向端部に、3つの凸部C11,C12,C13のうちの両端の凸部C12,C13が位置している。
【0018】
尚、着磁方向Aと凸部C11,C12,C13の配列の方向となす角は直交しなければ本実施形態に限定されない。
【0019】
図1(b)に示す曲線FC1は、位置検出用磁石1の凸部C11,C12,C13を有する面C1と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0020】
曲線FC1は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL1は曲線FC1を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E1は、曲線FC1と直線AL1の縦軸方向の差分を示す。
【0021】
このリニアリティ誤差E1が小さいほど、位置検出用磁石1は良好な位置検出用磁石として用いることができる。
【0022】
尚、本実施形態では凸部C11,C12,C13は、棒状の凸部としたが、面C1上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0023】
以下、図13を参照して、位置検出用磁石1に対する第1の比較例として、着磁方向に平行な面のいずれにも凸部を有しない従来の位置検出用磁石XXについて説明する。図13(a)は位置検出用磁石XXの上面図であり、図13(b)は位置検出用磁石XXの磁束密度の変化を示す図である。
【0024】
図13(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石XXの着磁方向に平行な面CXXの法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0025】
位置検出用磁石XXは二極に着磁され、その着磁方向Aは図13(a)において矢印で示されている。着磁方向AはX方向と同一の方向である。
【0026】
図13(b)に示す曲線FCXXは、図13(a)に示す面CXXと平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0027】
曲線FCXXは、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線ALXXは曲線FCXXを一次近似した直線を示す。
【0028】
曲線FCXXと直線ALXXの縦軸方向の差分であるリニアリティ誤差EXXと比較すると、第1の実施形態のリニアリティ誤差E1(図1(b))は小さい。特に、磁石端部近傍のリニアリティ誤差E1は、リニアリティ誤差EXXと比べてかなり小さくなっている。
【0029】
このように、位置検出用磁石1はリニアリティ誤差が小さく良好な位置検出用磁石であるといえる。
【0030】
図14は、図13に示す従来の位置検出用磁石XXの磁束線MFLを示す。
【0031】
図14において、直線TL上の磁束線MFLは、位置検出用磁石XXの磁石中央部ではX方向と平行になっており、Y方向の磁束密度が0となることがわかる。
【0032】
一方、位置検出用磁石XXの磁石端部に向かうと、直線TL上の磁束線MFLは、Y方向とほぼ平行になり、Y方向の磁束密度が位置検出用磁石XXの磁石中央部と比較して正の方向または負の方向に大きくなることがわかる。
【0033】
第1の実施形態ではこのため、面CXXに間隔をおいて複数の凸部を設けることで、磁石端部でのY方向の磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石1は、従来の位置検出用磁石XXより磁石端部まで良好なリニアリティを得ることができる。
【0034】
以下、図15を参照して、位置検出用磁石1に対する第2の比較例として、着磁方向に平行な面CXX1に凸部C11を有するが、凸部C12,C13は有さない位置検出用磁石XX1について説明する。図15(a)は位置検出用磁石XX1の上面図であり、図15(b)は位置検出用磁石XX1の磁束密度の変化を示す図である。
【0035】
図15(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石XX1の着磁方向に平行な面CXX1の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0036】
位置検出用磁石XX1は二極に着磁され、その着磁方向Aは図15(a)において矢印で示されている。着磁方向AはX方向と同一の方向である。
【0037】
図15(b)に示す曲線FCXX1は、図15(a)に示す面CXX1と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0038】
曲線FCXX1は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線ALXX1は曲線FCXX1を一次近似した直線を示す。
【0039】
曲線FCXX1と直線ALXX1の縦軸方向の差分であるリニアリティ誤差EXX1と比較すると、第1の実施形態のリニアリティ誤差E1(図1(b))は小さい。特に、磁石端部近傍のリニアリティ誤差E1は、リニアリティ誤差EXX1と比べてかなり小さくなっている。
【0040】
これは、面CXX1のX方向中央に1つの凸部C11のみを有する位置検出用磁石XX1に対し、面C1に、凸部C11だけでなく、X方向端部に2つの凸部C12,C13も位置検出用磁石1が有するからである。
【0041】
つまり、凸部を磁石端部近傍にも設けることにより、位置検出用磁石1では磁石端部の磁束密度の大きさや向きを調整することが可能となっている。
【0042】
以上より、位置検出用磁石1では、面C1に、X方向中央の凸部C11だけでなく、その両側に凸部C12,C13を設けることで、磁石中央部から磁石端部近傍まで良好なリニアリティを得ている。
【0043】
以下、図16を参照して、位置検出用磁石1に対する第3の比較例として、着磁方向に平行な面CXX2に凸部C12,C13の2つのみが設けられる位置検出用磁石XX2について説明する。図16(a)は位置検出用磁石XX2の上面図であり、図16(b)は位置検出用磁石XX2の磁束密度の変化を示す図である。
【0044】
図16(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石XX2の着磁方向に平行な面CXX2の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0045】
位置検出用磁石XX2は二極に着磁され、その着磁方向Aは図16(a)において矢印で示されている。着磁方向AはX方向と同一の方向である。
【0046】
図16(b)に示す曲線FCXX2は、図16(a)に示す面CXX2と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0047】
曲線FCXX2は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線ALXX2は曲線FCXX2を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E1は曲線FC1と直線AL1の縦軸方向の差分を示す。
【0048】
曲線FCXX2と直線ALXX2の縦軸方向の差分であるリニアリティ誤差EXX2と比較すると、第1の実施形態のリニアリティ誤差E1(図1(b))は小さい。特に、磁石端部近傍のリニアリティ誤差E1は、リニアリティ誤差EXX1と比べてかなり小さくなっている。
【0049】
これは、凸部として面CXX2のX方向端部にある凸部C12,C13のみを有する位置検出用磁石XX2に対し、面C1に、凸部C12,C13だけでなく、X方向の中央に凸部C11も位置検出用磁石1が有するからである。
【0050】
つまり、位置検出用磁石XX2では、X方向中央部において、曲線FCXX2にリニアリティは得られるが、凸部C11がないために磁束密度のY方向の変化が小さくなり、曲線FCXX2の中央部のその傾きが寝てくる。このため、曲線FCXX2は全体としてのリニアリティが悪い。
【0051】
一方、図1の位置検出用磁石1のように、X方向端部に凸部C12,C13が形成されるだけでなく、X方向中央部にも凸部C11を形成した場合、X方向中央部においての磁束密度のY方向の変化を大きくすることができる。すなわち、図16の曲線FCXX2とくらべ、曲線FC1はその中央部の傾きが立ってくる。このため、図1の曲線FC1は全体としてのリニアリティが曲線FCXX2と比べて優れている。
【0052】
以上より第1の実施形態では、位置検出用磁石1の面C1に2つの溝を形成し、X方向に配列する3つの凸部を設けている。これにより、位置検出用磁石1においてリニアリティを良好にすることができる。
【0053】
以上より第1の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0054】
ここで第1の実施形態では、面C1に設ける3つの凸部を、溝を2つ形成するという最小限の加工で実施する例を示したが本発明の構成はこれに限定されない。すなわち、本発明では、少なくとも3つ以上の凸部形状を、位置検出用磁石の後述する磁気センサ200(図12)が相対移動可能な対向面に一列に配列し、磁束密度の大きさや向きを調整し、リニアリティを改善できればよい。以下では、さまざまな実施形態を説明するが、記号および図の説明は、第1の実施形態と同様の場合、重複した説明は省略する。
【0055】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、面C1に1列に配列される3つの凸部C11,C12,C13を設けることで、リニアリティを改善した位置検出用磁石1について説明した。
【0056】
一方、第2の実施形態に係る位置検出用磁石2は、位置検出用磁石1と同様に、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C2に1列に配列される3つの凸部を有する。しかし第2の実施形態は、この3つの凸部のうちの両端部の凸部の大きさ・配置が第1の実施形態と異なる。
【0057】
以下、図2を参照して、位置検出用磁石2について具体的に説明する。図2(a)は位置検出用磁石2の上面図であり、図2(b)は位置検出用磁石2の磁束密度の変化を示す図である。
【0058】
図2(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石2の凸部C21,C22,C23を有する面C2の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0059】
位置検出用磁石2は二極に着磁され、その着磁方向Aは図2(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0060】
凸部C21,C22,C23は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石2と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。また、面C2のX方向端部には溝が形成されており、この結果、3つの凸部C21,C22,C23のうちの両端の凸部C22,C23の磁石端部側は、磁石端部より中央に位置している。
【0061】
図2(b)に示す曲線FC2は、位置検出用磁石2の凸部C21,C22,C23を有する面C2と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0062】
曲線FC2は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL2は曲線FC2を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E2は曲線FC2と直線AL2の縦軸方向の差分を示す。
【0063】
図2(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第2の実施形態に係る位置検出用磁石2のリニアリティ誤差E2の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL2に曲線FC2が重なっていることがわかる。
【0064】
このように、第2の実施形態では、凸部と凸部の間隔を設けることに加え、凸部の磁石端部側を中央に位置させることで磁石端部の磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石2においてリニアリティを良好にすることができる。
【0065】
以上より第2の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0066】
尚、本実施形態では凸部C21,C22,C23は、棒状の凸部としたが、面C2上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0067】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、面C2に溝を4つ形成し、3つの凸部C21,C22,C23を設けることでリニアリティを改善した位置検出用磁石1について説明した。
【0068】
一方、第3の実施形態に係る位置検出用磁石3は、位置検出用磁石2と同様に、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C3に4つの溝が形成されている。しかし第3の実施形態は、第2の実施形態とは異なる大きさ及び位置の溝を形成して1列に配列される5つの凸部を設け、各凸部の間隔を中央部から外側に向かって変化させて良好なリニアリティを得ている点で第2の実施形態と異なる。
【0069】
以下、図3を参照して、位置検出用磁石3について具体的に説明する。図3(a)は位置検出用磁石3の上面図であり、図3(b)は位置検出用磁石3の磁束密度の変化を示す図である。
【0070】
図3(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石3の凸部C31,C32,C33,C34,C35を有する面C3の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0071】
位置検出用磁石3は二極に着磁され、その着磁方向Aは図3(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0072】
凸部C31,C32,C33,C34,C35は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石3と同一部材で同じ向きに平行に着磁され、Z方向に平行に配列されている。
【0073】
中央の凸部C31と凸部C32の間に形成される溝S312の幅と、中央の凸部C31と凸部C33の間に形成される溝S313の幅は同じ幅(=S1)となるよう加工される。
【0074】
同様に凸部C32と凸部C34の間に形成される溝S324の幅と、凸部C33と凸部C35の間に形成される溝S335の幅は同じ幅(=S2>S1)となるよう加工される。
【0075】
図3(b)に示す曲線FC3は、位置検出用磁石3の5つの凸部C31,C32,C33,C34,C35を有する面C3と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0076】
曲線FC3は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL3は曲線FC3を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E3は曲線FC3と直線AL3の縦軸方向の差分を示す。
【0077】
図3(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第3の実施形態に係る位置検出用磁石3のリニアリティ誤差E3の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL3に曲線FC3が重なっていることがわかる。
【0078】
このように、第3の実施形態では、凸部と凸部の間隔を中央から磁石端部に向かって変化させ、より細かく磁石端部の磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石3においてリニアリティを良好にすることができる。
【0079】
以上より、第3の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0080】
尚、本実施形態では凸部C31,C32,C33,C34,C35は、棒状の凸部としたが、面C3上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0081】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、面C3の凸部と凸部の間隔を中央部から外側に向かって変化させることでリニアリティを改善した位置検出用磁石3について説明した。
【0082】
一方、第4の実施形態に係る位置検出用磁石4は、位置検出用磁石3と同様に、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C4に1列に配列される5つの凸部が形成されている。しかし第4の実施形態は、凸部と凸部の間隔は同一とし、各凸部の配列方向(X方向)の幅を中央部から外側に向かって変化させることで良好なリニアリティを得ている点で第3の実施形態と異なる。
【0083】
以下、図4を参照して、位置検出用磁石4について具体的に説明する。図4(a)は位置検出用磁石4の上面図であり、図4(b)は位置検出用磁石4の磁束密度の変化を示す図である。
【0084】
図4(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石4の凸部C41,C42,C43,C44,C45を有する面C4の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0085】
位置検出用磁石4は二極に着磁され、その着磁方向Aは図4(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0086】
凸部C41,C42,C43,C44,C45は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石4と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。
【0087】
図4(a)に示すように、凸部C41,C42,C43,C44,C45の配列方向の幅をそれぞれW41,W42,W43,W44,W45として示す。
【0088】
凸部C42,C44の夫々の幅W42,W43は同じ幅(=W1)に、また凸部C44,C45の夫々幅W44,W45は同じ幅(=W2<W1)になるよう加工される。
【0089】
図4(b)に示す曲線FC4は、位置検出用磁石4の凸部C41,C42,C43,C44,C45を有する面C4と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0090】
曲線FC4は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL4は曲線FC4を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E4は曲線FC4と直線AL4の縦軸方向の差分を示す。
【0091】
図4(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第4の実施形態に係る位置検出用磁石4のリニアリティ誤差E4の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL4に曲線FC4が重なっていることがわかる。
【0092】
このように、第4の実施形態では、複数の凸部の幅を中央から磁石端部に向かって変化させ、より細かく磁石端部の磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石4においてリニアリティを良好にすることができる。
【0093】
以上より、第4の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0094】
尚、本実施形態では凸部C41,C42,C43,C44,C45は、棒状の凸部としたが、面C4上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0095】
(第5の実施形態)
第4の実施形態では、面C4の凸部の配列方向の幅を中央部から外側に向かって変化させることでリニアリティを改善した位置検出用磁石4について説明した。
【0096】
一方、第5の実施形態に係る位置検出用磁石5は、位置検出用磁石4と同様に、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C5に同一間隔で1列に配列される5つの凸部を設けている。しかし第5の実施形態は、位置検出用磁石4とは異なる深さの溝を形成し、各凸部の高さを配列の中央部から外側に向かって変化させることで良好なリニアリティを得ている点で第4の実施形態と異なる。
【0097】
以下、図5を参照して、位置検出用磁石5について具体的に説明する。図5(a)は位置検出用磁石5の上面図であり、図5(b)は位置検出用磁石5の磁束密度の変化を示す図である。
【0098】
図5(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石5の凸部C51,C52,C53,C54,C55を有する面C5の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0099】
位置検出用磁石5は二極に着磁され、その着磁方向Aは図5(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0100】
凸部C51,C52,C53,C54,C55は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石5と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。
【0101】
中央部の凸部C51の両側にある溝の深さはD51(=D1)、凸部C52,C54の間にある溝の深さはD52(=D2>D1)、凸部C53,C55の間にある溝の深さはD53(=D2>D1)になるよう加工される。
【0102】
図5(b)に示す曲線FC5は、位置検出用磁石5の凸部C51,C52,C53,C54,C55を有する面C5と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0103】
曲線FC5は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL5は曲線FC5を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E5は、曲線FC5と直線AL5の縦軸方向の差分を示すがリニアリティ誤差E5を示す。
【0104】
図5(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第5の実施形態に係る位置検出用磁石5のリニアリティ誤差E5の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL5に曲線FC5が重なっていることがわかる。
【0105】
このように、第5の実施形態では、複数の凸部の高さを中央から磁石端部に向かって変化させ、より細かく磁石端部の磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石5においてリニアリティを良好にすることができる。
【0106】
以上より、第5の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0107】
尚、本実施形態では凸部C51,C52,C53,C54,C55は、棒状の凸部としたが、面C5上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0108】
(第6の実施形態)
第1~第5の実施形態では、矩形状の複数の凸部の間隔や幅、高さを変化させることでリニアリティを改善した位置検出用磁石1~5について説明した。
【0109】
一方、第6の実施形態に係る位置検出用磁石6は、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C6に1列に配列される複数の凸部のうち中央部にある凸部の形状を曲面形状とすることで良好なリニアリティを得ている点で第1~5の実施形態と異なる。
【0110】
以下、図6を参照して、位置検出用磁石6について具体的に説明する。図6(a)は位置検出用磁石6の上面図であり、図6(b)は位置検出用磁石6の磁束密度の変化を示す図である。
【0111】
図6(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石6の凸部C61,C62,C63を有する面C6の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0112】
位置検出用磁石6は二極に着磁され、その着磁方向Aは図6(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0113】
凸部C61,C62,C63は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石6と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。
【0114】
中央部の凸部C61は、中央部から磁石端部の凸部C62,C63に接続される曲面形状に加工される。図6(a)ではその曲面形状の一例として円弧形状ASが例示されている。また凸部C62,C63は矩形形状に加工される。
【0115】
図6(b)に示す曲線FC6は、位置検出用磁石6の凸部C61,C62,C63を有する面C6と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0116】
曲線FC6は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL6は曲線FC6を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E6は、曲線FC6と直線AL6の縦軸方向の差分を示す。
【0117】
図6(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第6の実施形態に係る位置検出用磁石6のリニアリティ誤差E6の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL6に曲線FC6が重なっていることがわかる。
【0118】
このように、第6の実施形態では、中央部の凸部C61を曲面形状(例えば円弧形状)とすることで、中央部から磁石端部に向かって連続的に磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石6において、リニアリティを良好にすることができる。
【0119】
以上より、第6の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0120】
尚、本実施形態では凸部C61,C62,C63は、棒状の凸部としたが、面C6上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0121】
(第7の実施形態)
第6の実施形態では、3つの凸部のうちの中央部の凸部を曲面形状とすることでリニアリティを改善した位置検出用磁石6について説明した。
【0122】
一方、第7の実施形態に係る位置検出用磁石7は、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C7に1列に配列される3つの凸部のうちの中央部の凸部に傾斜面を設けることで良好なリニアリティを得ている点で第6の実施形態と異なる。
【0123】
以下、図7を参照して、位置検出用磁石7について具体的に説明する。図7(a)は位置検出用磁石7の上面図であり、図7(b)は位置検出用磁石7の磁束密度の変化を示す図である。
【0124】
図7(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石7の凸部C71,C72,C73を有する面C7の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0125】
位置検出用磁石7は二極に着磁され、その着磁方向Aは図7(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0126】
凸部C71,C72,C73は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石7と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。
【0127】
中央部の凸部C71は、頂点P1,P2を繋ぐ、凸部C72と接続する傾斜面RP1と、頂点P3,P4を繋ぐ、凸部C73と接続する傾斜面RP2と、頂点P2,P3を繋ぐ、傾斜面RP1,RP2と接続する平面との3つの平面を有するよう加工される。また凸部C72,C73は、矩形形状に加工される。
【0128】
図7(b)に示す曲線FC7は、位置検出用磁石7の凸部C71,C72,C73を有する面C7との平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0129】
曲線FC7は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL7は曲線FC7を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E7は、曲線FC7と直線AL7の縦軸方向の差分を示す。
【0130】
図7(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第7の実施形態に係る位置検出用磁石7のリニアリティ誤差E7の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL7に曲線FC7が重なっていることがわかる。
【0131】
このように、第7の実施形態では、中央部の凸部C71に傾斜面RPを設けることで、中央部から磁石端部に向かって連続的に磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石7において、リニアリティを良好にすることができる。
【0132】
以上より、第7の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0133】
尚、本実施形態では凸部C71,C72,C73は、棒状の凸部としたが、面C7上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0134】
(第8の実施形態)
第7の実施形態では、3つの凸部のうちの中央部の凸部に傾斜面を設けることでリニアリティを改善した位置検出用磁石7について説明した。
【0135】
一方、第8の実施形態に係る位置検出用磁石8では、後述する着磁方向に平行な面のうちの一つの面C8に1列に配列される3つの凸部のうちの中央部の凸部を階段形状とすることで良好なリニアリティを得ている点で第7の実施形態と異なる。
【0136】
以下、図8を参照して、位置検出用磁石8について具体的に説明する。図8(a)は位置検出用磁石8の上面図であり、図8(b)は位置検出用磁石8の磁束密度の変化を示す図である。
【0137】
図8(a)に示す上面図の紙面奥行き方向をZ方向、位置検出用磁石8の凸部C81,C82,C83を有する面C8の法線方向をY方向、Z方向及びY方向に直交する方向をX方向とする。
【0138】
位置検出用磁石8は二極に着磁され、その着磁方向Aは図8(a)において矢印で示されている。着磁方向Aは、ZX平面と平行な方向で、配列方向とは直交しない方向である。
【0139】
凸部C81,C82,C83は、棒状の凸部であり、位置検出用磁石8と同一部材で同じ向きに着磁され、Z方向に平行に配列されている。
【0140】
中央部の凸部C81は、中央部から磁石端部の凸部C82,C83に接続される階段形状SPに加工される。また凸部C82,C83は矩形形状に加工される。
【0141】
階段形状SPの段数は、図8(a)で示すように複数有する。
【0142】
図8(b)に示す曲線FC8は、位置検出用磁石8の凸部C81,C82,C83を有する面C8と平行な離間距離Tの位置の平面上にある、X方向と平行な直線TL上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0143】
曲線FC8は、横軸がX方向の直線TL上での位置を示し、縦軸が直線TLを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線AL8は曲線FC8を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差E8は曲線FC8と直線AL8の縦軸方向の差分を示す。
【0144】
図8(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、第8の実施形態に係る位置検出用磁石8のリニアリティ誤差E8の方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線AL8に曲線FC8が重なっていることがわかる。
【0145】
このように、第8の実施形態では、中央部の凸部C81を階段形状SPとすることで、中央部から磁石端部に向かって細かく磁束密度の大きさや向きを変えている。これにより、位置検出用磁石8において、リニアリティを良好にすることができる。このとき、凸部C81の階段形状はその段数が多いほど、より細かにリニアリティが調整可能となる。
【0146】
尚、階段形状SPの形状は本実施例に限定されないが、階段形状SPは凸部C82,C83に接続される方がより好適である。階段形状SPが凸部C82,C83に接続しない場合、例えば、階段形状SPの階段部を中央部に集中させた場合、中央部分しか曲線FC8の傾きが立たず、端部近くでは曲線FC8の傾きが立たなくなるためである。
【0147】
以上より、第8の実施形態では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0148】
尚、本実施形態では凸部C81,C82,C83は、棒状の凸部としたが、面C8上に一列に配列されていれば棒状でなくてもよい。
【0149】
(第1の実施形態の変形例1)
次に第1の実施形態の変形例1に係る位置検出用磁石1aについて説明する。
【0150】
本変形例に係る位置検出用磁石1aは、第1の実施形態に係る位置検出用磁石1と同一形状であるが、その磁束密度の変化を第1の実施形態とは異なる位置・方向から測定している点で異なる。以下、位置検出用磁石1aにおいて、第1の実施形態に係る位置検出用磁石1と同一の構成については符号の最後に「a」を付し、重複した説明は省略する。例えば、位置検出用磁石1aには、3つの凸部C11a,C12a,C13aが、位置検出用磁石1の3つの凸部C11,C12,C13と同一の場所に同一形状で形成される。
【0151】
以下本変形例について図9を用いて説明する。
【0152】
図9(a)は位置検出用磁石1aの上面図であり、図9(b)はその正面図、すなわち位置検出用磁石1aの-Y方向の面を示す図であり、図9(c)は位置検出用磁石1aの磁束密度の変化を示す図である。
【0153】
図9(b)に示すように、直線TLは、位置検出用磁石1aの面C1aと平行な離間距離Tの位置の平面上にあって、Y方向からみてZ方向における位置検出用磁石1aの中央に位置する直線である。
【0154】
直線TLPは、図9(b)に示すように、直線TLに対して、Z方向に平行に移動した直線である。
【0155】
直線TLAは、図9(b)に示すように、面C1aと平行な離間距離Tの位置の平面上にあって、直線TLに対して一定の角度(ここでは20度)傾いたものである。尚、20度というのは例示であって、他の角度であってもよい。
【0156】
図9(c)に示す曲線FCPは、直線TLP上でのY方向の磁束密度の変化を示す。また図9(c)に示す曲線FCAは、直線TLA上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0157】
曲線FCP,FCAは、横軸がX方向の直線TLP,TLAの夫々の上での位置を示し、縦軸が直線TLP,TLAの夫々を通過するY方向の磁束密度を示す。また図9(c)に示す直線ALP,ALAは、夫々曲線FCP,FCAを一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差EPは、曲線FCPと直線ALPの縦軸方向の差分を、リニアリティ誤差EAは、曲線FCAと直線ALAの縦軸方向の差分を示す。
【0158】
図9(c)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、本変形例のリニアリティ誤差EP,EAの方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線ALP,ALAに曲線FCP,FCAの夫々が重なっていることがわかる。
【0159】
このように、凸部C11a,C12a,C13aは棒状であってZ方向に同一高さで延在していることにより、本変形例のように第1の実施形態とは異なる位置・方向からその磁束密度の変化を測定しても第1の実施形態の場合と同様の効果がえられる。すなわち、本変形例に示す形状に凸部を形成することにより磁束密度の大きさや向きを調整することで、位置検出用磁石1aにおいてリニアリティを良好にすることができる。
【0160】
以上より、変形例1では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0161】
尚、位置検出用磁石1aの磁束密度の変化を、図9(a)の位置からZX平面上で位置検出用磁石1aを20°傾けた状態で測定した場合も、位置検出用磁石1aにおいてリニアリティを良好にすることができる。この場合について以下図10を用いて説明する。
【0162】
図10(a)は位置検出用磁石1aの上面図であり、図10(b)は位置検出用磁石1aの磁束密度の変化を示す図である。
【0163】
図10(b)に示す曲線FCA1は、横軸が直線TLA上での位置を示し、縦軸が直線TLAを通過するY方向の磁束密度の変化を示す。また図10(b)に示す直線ALA1は、曲線FCA1を一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差EA1は、曲線FCA1と直線ALA1の縦軸方向の差分を示す。
【0164】
この場合においても、図10(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、図10(b)に示すリニアリティ誤差EA1は小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線ALA1に曲線FCA1が重なっていることがわかる。
【0165】
このように、本変形例では、ZX平面上で位置検出用磁石1aを傾けた場合においても位置検出用磁石のリニアリティを良好にすることができる。
【0166】
(第1の実施形態の変形例2)
次に第1の実施形態の変形例2に係る位置検出用磁石1bについて説明する。
【0167】
本変形例に係る位置検出用磁石1bは、第1の実施形態に係る位置検出用磁石1と同一形状であるが、その着磁方向が第1の実施形態とは異なる。以下、位置検出用磁石1bにおいて、第1の実施形態に係る位置検出用磁石1と同一の構成については符号の最後に「b」を付し、重複した説明は省略する。例えば、位置検出用磁石1bには、3つの凸部C11b,C12b,C13bが、位置検出用磁石1の3つの凸部C11,C12,C13と同一の場所に同一形状で形成される。
【0168】
以下本変形例について図11を用いて説明する。
【0169】
図11(a)は位置検出用磁石1bの上面図であり、図11(b)はその正面図、すなわち位置検出用磁石1bの-Y方向の面を示す図であり、図11(c)は位置検出用磁石1bの磁束密度の変化を示す図である。
【0170】
図11(b)に示すように、直線TLbは、位置検出用磁石1bの面C1bと平行な離間距離Tの位置の平面上にあって、Y方向からみてZ方向における位置検出用磁石1bの中央に位置する直線である。
【0171】
また図1に示すように、位置検出用磁石1の着磁方向Aは、凸部C11,C12,C13の配列方向であるX方向に平行でかつY方向およびZ方向と直交する。これに対し、図11(b)に示すように、位置検出用磁石1bの着磁方向AAと、凸部11b,C12b,C13bの配列方向であるX方向とのなす角は直交せず(ここでは30度)、Y方向と直交する。尚、30度というのは例示であって、他の角度であってもよい。
【0172】
図11(b)に示す曲線FCAAは、直線TLb上でのY方向の磁束密度の変化を示す。
【0173】
曲線FCAAは、横軸がX方向の直線TLb上での位置を示し、縦軸が直線TLbを通過するY方向の磁束密度を示す。また直線ALAAは曲線FCAAを一次近似した直線を示し、リニアリティ誤差EAAは、曲線FCAAと直線ALAAの縦軸方向の差分を示す。
【0174】
図11(b)と図13(b)を比較すると、位置検出用磁石XXのリニアリティ誤差EXXより、本変形例のリニアリティ誤差EAAの方が小さく、磁石端部近傍まで一次近似直線ALAAに曲線FCAAが重なっていることがわかる。
【0175】
このように、本変形例では、着磁方向AAがX方向と平行でなく角度を有する場合においても、第1の実施形態の場合と同様の効果が凸部形成により得られている。すなわち、凸部形成により磁束密度の大きさや向きを調整することで、位置検出用磁石1bにおいてリニアリティを良好にすることができる。
【0176】
以上より、変形例2では、簡易且つ小型な構成で位置検出用磁石のリニアリティを改善させている。
【0177】
(第9の実施形態)
次に、図9を用いて前述した位置検出用磁石1aを含む位置検出装置100について説明する。
【0178】
図12は、第9の実施形態に係る位置検出装置100を示す図である。
【0179】
図12において、位置検出装置100は、位置検出用磁石1aと、磁気センサ200(例えばホール素子といった磁束密度の大きさに比例した電圧を出力するセンサなど)を有する。
【0180】
磁気センサ200は、位置検出用磁石1aの面C1aに対向した平行な面を垂直に貫く方向(Y方向)の磁束密度を検出する。
【0181】
また、磁気センサ200は、図示しない相対移動機構に位置検出用磁石1aとともに組み込まれ、直線TLを含むZX平面上を位置検出用磁石1aに対して相対移動可能となっている。
【0182】
これにより、磁気センサ200により直線TL,TLP,TLA上のY方向の磁束密度を検出可能となる。
【0183】
以上本実施形態によれば、位置検出用磁石1aのaの面C1aに対向した平行な面を垂直に貫く方向の磁束密度を磁気センサ200で検出できるようになる。このため、簡易且つ小型な構成でリニアリティが良好な位置検出装置100を提供できる。
【0184】
尚、上述の各実施形態における位置検出用磁石は、焼結磁石やボンド磁石など種類は問わず、その材質もネオジム、フェライトなどさまざまなものが適用可能である。
【0185】
また、上述の各実施形態における位置検出用磁石の凸部形状の製作方法も切削加工や研削加工などの除去加工、射出成型や圧縮成形などのモールド加工など磁石の種類や材質によって適宜選択可能である。
【0186】
本発明の位置検出用磁石の用途として、例えば撮像装置では、AF機構、ズーム機構、振れ補正機構の位置検出などに用いることが可能である。また、自動車においては、本発明の位置検出用磁石は、アクセルやブレーキなどのペダル位置検出、各種レバーの位置検出などに用いることが可能である。また、本発明の位置検出用磁石は、ステージ装置の位置検出などにも用いることが可能である。このように、本発明の位置検出用磁石の用途は広く、様々な用途の位置検出に使用可能である。
【0187】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0188】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)二極に着磁された位置検出用磁石であって、前記位置検出用磁石の着磁方向に平行な面のうちの一つの面に少なくとも3つ以上の凸部が一列に配列され、前記3つ以上の凸部は、前記位置検出用磁石と同一部材で同じ向きに着磁され、前記3つ以上の凸部の配列方向と前記着磁方向のなす角が直交しないことを特徴とする位置検出用磁石。
(構成2)前記少なくとも3つ以上の凸部のうちの1つは、前記一つの面の前記配列方向の中央に位置することを特徴とする構成1に記載の位置検出用磁石。
(構成3)前記少なくとも3つ以上の凸部のうちの両端の2つは、前記一つの面の端部に位置することを特徴とする構成1又は2に記載の位置検出用磁石。
(構成4)前記少なくとも3つ以上の凸部のうちの両端の2つは、その磁石端部側が前記一つの面の端部より中央に位置していることを特徴とする構成1又は2に記載の位置検出用磁石。
(構成5)前記少なくとも3つ以上の凸部の配列方向の間隔が、前記位置検出用磁石の中央部から外側に向かって変化することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1つに記載の位置検出用磁石。
(構成6)前記少なくとも3つ以上の凸部の配列方向の幅が、前記位置検出用磁石の中央部から外側に向かって変化することを特徴とする構成1乃至5のいずれか1つに記載の位置検出用磁石。
(構成7)前記少なくとも3つ以上の凸部の高さは、前記位置検出用磁石の中央部から外側に向かって変化することを特徴とする構成1乃至5のいずれか1つに記載の位置検出用磁石。
(構成8)前記中央に位置する凸部が曲面形状を有することを特徴とする構成2に記載の位置検出用磁石。
(構成9)前記中央に位置する凸部が傾斜面を有することを特徴とする構成2に記載の位置検出用磁石。
(構成10)前記中央に位置する凸部が階段形状を有することを特徴とする構成2に記載の位置検出用磁石。
(構成11)前記少なくとも3つ以上の凸部は、棒状であって、前記凸部の配列方向と直交する方向において同一の高さで延在することを特徴とする構成1乃至10のいずれか1つに記載の位置検出用磁石。
(構成12)前記着磁方向は前記配列方向と同じ方向であることを特徴とする構成1乃至11のいずれか1つ記載の位置検出用磁石。
(構成13)前記着磁方向は前記配列方向と異なる方向であることを特徴とする構成1乃至11のいずれか1つに記載の位置検出用磁石。
(構成14)構成1乃至13のいずれか1つに記載の位置検出用磁石と、前記位置検出用磁石の前記凸部を有する面に対向した平行な面を垂直に貫く方向の磁束密度を検出可能であって、前記位置検出用磁石の前記凸部を有する面に対向した平行な面内において、前記位置検出用磁石と相対移動可能であることを特徴とする磁気センサとを有することを特徴とする位置検出装置。
【符号の説明】
【0189】
1,1a,1b,2~8,XX,XX1,XX2 位置検出用磁石
A,AA 着磁方向
C11~C13 凸部
C21~C23 凸部
C31~C33 凸部
C41~C43 凸部
C51~C53 凸部
C61~C63 凸部
C71~C73 凸部
C81~C83 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16