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特開2024-172319制御装置、制御装置の制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172319
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】制御装置、制御装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/175 119
B41J2/01 501
B41J2/175 121
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089957
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日下部 壮俊
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC28
2C056EE18
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングで交換タンクの交換を通知する。
【解決手段】制御装置は、印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、バッファタンクに液体を供給する交換タンクと、を有し、液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御し、液体の交換タンクが空であり、かつ、液体のバッファタンクに液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、交換タンクが交換可能である旨を通知する通知手段と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、
前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクが交換可能である旨を通知する通知手段と、
を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクを交換可能と判定する制御手段をさらに備え、
前記通知手段は、交換可能と判定された場合、前記交換タンクが交換可能である旨を通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記記録装置は、所定の液体が所定の交換タンクから徐々に所定のバッファタンクに供給される交換タンクと、前記交換タンクの全ての液体が前記交換タンクから前記バッファタンクに供給される交換タンクを有し、前記液体の交換タンクを交換する際、前記交換タンクの前記液体が前記液体のバッファタンクに全て供給される、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記所定の液体とは、前記沈降成分を含まない液体である、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記記録装置は、前記液体の交換タンクは複数の交換タンクを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの複数個分の空き容量がある場合に、前記通知手段は、複数個の前記液体の交換タンクが交換可能である旨を通知する、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記通知手段は通知する内容をUI画面に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記通知手段は通知する内容を音声により通知する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記沈降成分を含まない液体の交換タンクが空である場合、前記制御手段は前記沈降成分を含まない液体の前記交換タンクを交換可能とする判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記液体の交換タンクが交換可能でない場合には前記液体の交換タンクをロックし、前記液体の交換タンクが交換可能である場合には前記液体の交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項11】
印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、
前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクが交換可能である旨を通知するステップと、
を備える、
ことを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録装置における液体タンクの交換の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置において、印刷ヘッドユニットに液体を供給するために、交換用の交換タンクおよび記録装置内に設置されているバッファタンクのように複数の段階の液体タンクを備える構成が知られている。交換タンクが空になると新しい交換タンクと交換することによりバッファタンクに液体を供給し、バッファタンクから印刷ヘッドユニットに液体を常に供給可能な構成とすることで、連続印刷を可能とする。その際にバッファタンクおよび交換タンクの個別の液体残量表示を行う技術も知られている。例えば、メインタンクおよびサブタンクのような2つの容器を備える記録装置において、各容器の個別の残量状態または両容器の総量に対する残量状態を、液体残量画面およびその他の画面に表示する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-087200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録装置の中には、液体成分の分離および沈降を抑制するために定期的な液体の撹拌が必要な液体と、液体の撹拌が不要な液体とを扱う装置が存在する。このような記録装置では、撹拌機能を有さない交換タンクの中に撹拌が必要な液体を放置すると液体成分が分離および沈降してしまう虞があるが、特許文献1ではこの課題は考慮されていない。本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで交換タンクの交換を通知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る記録装置は、印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクが交換可能である旨を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、適切なタイミングで交換タンクの交換を通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】記録装置システムの装置構成を示す図。
図2】記録装置システムの機能構成を示すブロック図。
図3】バッファタンクおよび交換タンクの構成を示す図。
図4】液体残量のUI表示の状態を示す図。
図5】液体残量のUI表示の状態を示す図。
図6】液体残量のUI表示の状態を示す図。
図7】液体残量のUI表示の状態を示す図。
図8】液体残量のUI表示の状態を示す図。
図9】液体タンクの交換通知の制御を示すフローチャート。
図10】液体残量のUI表示の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本開示を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本開示の解決手段に必須のものとは限らない。尚、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、フローチャートにおける各工程(ステップ)については「S」で始まる符号を用いて示す。
【0009】
本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また「記録」とは、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に、画像、模様、パターン等を形成、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。さらに、「インク」(「液体」という場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。したがって、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、あるいはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色材の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における記録装置システムの装置構成の一例を示した図である。記録装置システム100(記録装置100)は、本実施形態において使用する連続した記録可能な連続紙130(以下、「ロール紙」と称する)に画像を記録する装置である。記録装置システム100は、制御用PC101、UI操作パネル102、ロール紙130を搬送する給紙ユニット103、特色印刷を行う第1室104、基本色印刷を行う第2室105、ロール紙130の巻き取りを行う排紙ユニット106を含む。なお本実施形態における記録装置はインクジェット記録装置とするが、液体トナーなどの液体を用いた電子写真方式の記録装置であってもよい。
【0011】
制御用PC101は記録装置システム100の各種制御を行うPCである。UI操作パネル102は装置の状態を表示してユーザに通知すると共に、ユーザの操作指示に応じて記録装置システム100を制御するための機構である。UI操作パネル102は制御用PC101に接続されている。給紙ユニット103は、ロール紙130を第1室104および第2室105に供給する装置である。給紙ユニット103は、回転軸109を中心にロール紙130の紙管を回転させてその紙管に巻かれているロール紙130を、搬送ローラ、給紙ローラなどの複数ローラを経由して、一定の速度で第1室104および第2室105に向けて搬送する。排紙ユニット106は、第1室104および第2室105から搬送されてきたロール紙130を、紙管を中心としてロール状に巻き取る装置である。排紙ユニット106は、回転軸118を中心に回転させて紙管に搬送されてきたロール紙130を、搬送ローラ、排紙ローラなどの複数のローラを経由して、一定の速度で回転軸118にロール紙130の印刷物として巻き取る。
【0012】
印刷開始前に、給紙ユニット103から、排紙ユニット106へロール紙130を通す。給紙ユニット103にロール紙130をセットして、ロール紙130の先端を斜行補正ユニット110の上に通す。次に、ロール紙130は第1室104の第1印刷ヘッドユニット107(第1印刷ヘッドデバイス)の下を通る。続けて、ロール紙130は乾燥ユニット111の上を通り、冷却ユニット112の上を通る。ロール紙130は第2室105のタイミングマーク検知ユニット113の下を通して、第2印刷ヘッドユニット108(第2印刷ヘッドデバイス)の下を通る。その後、ロール紙130は乾燥ユニット114の上を通り、冷却ユニット115の上を通る。ロール紙130はスキャナユニット116を通り、測色ユニット117の下を通り、排紙ユニット106に搬送される。
【0013】
ロール紙130を記録装置システム100内に通した後、記録装置システム100の制御用PC101に印刷ジョブが投入される。印刷ジョブが投入された後、UI操作パネル102において印刷スタートボタンが押下されると印刷が開始される。第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108はロール紙130に液体(インク)を吐出することで画像を形成する。第1印刷ヘッドユニット107へはWバッファタンク107aから液体が供給される。Wバッファタンク107aへはW交換タンク107bから液体が供給される。第2印刷ヘッドユニット108へは液体の色毎のバッファタンク108aから液体が供給される。バッファタンク108aへは交換タンク108bから液体が供給される。ユーザが交換タンク107bおよび108bを交換することにより、液体は第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108に供給される。なお交換タンク107bおよび108bを交換するためには、当該箇所の蓋を開ける必要があり、タンク交換完了後に蓋を閉じることで交換作業を完了する。蓋にはロック機構が備えられており、交換可能なタイミング以外での交換は実行できないよう制御されている。
【0014】
図2は、本実施形態における記録装置システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。記録装置システム100は、記憶部201、制御部202、操作表示部203、画像解析部204、画像形成部205、通信部206、用紙搬送部207、給紙部208、排紙部209、検査部210、および測色部211を備える。また、記録装置システム100は、音声部212(不図示)も備える。記憶部201、操作表示部203、画像解析部204、画像形成部205、通信部206、用紙搬送部207、給紙部208、排紙部209、検査部210、測色部211、および音声部212は、制御部202によって制御される。
【0015】
記憶部201は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)、HDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等により構成される。記憶部201には、制御部202のCPUで実行されるシステムプログラムおよび処理プログラムなどの各種プログラム、並びにこれらのプログラムの実行に必要な各種データが記憶されている。
【0016】
制御部202は、制御用PC101であり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを含む。制御部202のCPUは、記憶部201に記憶されているシステムプログラムおよび処理プログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、制御部202のCPUは、ユーザの指示に応じて、印刷ジョブ(以下、「ジョブ」と称する)を実行する画像形成処理を行うことが可能である。記録装置システム100を構成する各機能は制御部202のCPUの指示に基づき制御される。
【0017】
操作表示部203は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)で構成され、表示部203aおよび操作部203bを含む。表示部203aは、制御部202のCPUから入力される表示制御信号に従って、UI画面上に各種情報の表示を行う。操作部203bは、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを含み、ユーザによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部202のCPUに出力する。操作部203bからユーザ入力することにより、使用する用紙、印刷速度の情報、印刷枚数、印刷部数、印刷長さ等のいずれの条件を任意で設定することが可能である。表示部203aはバッファタンク107aおよび108aの液体残量、給紙ユニット103のロール紙残量、排紙ユニット106のロール紙空き容量を表示すると共に補給作業等の要否を表示することが可能である。具体的には、操作表示部203は、UI操作パネル102で実現される。
【0018】
画像解析部204は、出力指示を受けた印刷データに対して、解析処理、レンダリング処理、スクリーン処理を行い、記録装置システム100において印刷可能となるような出力形式へ変換する。画像形成部205は、第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108を介してロール紙130への画像の印刷を制御する。通信部206は、例えばLAN(Local Area Network)カードなどの通信制御カードで構成される。そして、LAN、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部装置(例えばパーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。
【0019】
用紙搬送部207は、記録装置システム100内部のロール紙130の搬送機構を制御する。用紙搬送部207は、複数のローラによって、給紙ユニット103から搬送されたロール紙130を第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108を経由して、排紙ユニット106へ搬送する。給紙部208は、給紙ユニット103を制御する。排紙部209は、排紙ユニット106を制御する。
【0020】
検査部210は、ロール紙130に吐出不良なく印刷できているかを確認するスキャナユニット116を制御する。検査部210は、第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108により印刷された吐出不良検査用のパターンをスキャナユニット116で読み取ることにより印刷された画像に吐出不良がないかを確認する。検査部210において吐出不良を検出した場合には、制御部202のCPUは記録装置システム100を停止させる。検査方法については、検査パターンを印刷してスキャナユニット116で読取る方法、印刷画像をカメラまたはスキャナで直接読取って検査する方法、ノズルからの吐出状況を監視する方法等、様々な方法がある。本実施形態では、検査パターンを印刷してスキャナユニット116で読取る方法で吐出不良がないか確認を行う構成を採用している。
【0021】
測色部211は、測色ユニット117を制御し、ロール紙130上から、制御部202のCPUによって指示された箇所を測色して色情報を取得する。なお、測色ユニット117はロール紙130の搬送方向および搬送方向の直交方向に移動可能であり、ロール紙130上の画像に限らず任意の箇所を測色することが可能である。また、測色ユニット117が測色するためには、ロール紙130の測色対象となる領域として、縦横共に1cm以上の正方形が同一の色で印刷されている必要がある。
【0022】
音声部212は、音声によりユーザに通知することが必要な内容をユーザに通知する。例えば、交換タンクの交換が必要になった場合、音声部212は音声により交換タンクの交換が必要になった旨を通知する。
【0023】
記録装置システム100においてロール紙130に画像形成処理を行う場合の動作について説明する。まず、ユーザは、ジョブの投入を行う。ユーザは外部装置においてジョブの画像データを作成し、ジョブの印刷設定を行い、通信ネットワークを介してこれらの情報を記録装置システム100に送信する。次に、記録装置システム100の制御部202のCPUは、通信部206を介して、外部装置から送信されたジョブの画像データ、ジョブの印刷設定情報及び納品巻数情報などが含まれたジョブチケットを受け付ける。これによりジョブの投入が完了する。投入されたジョブは画像解析部204により解析される。具体的にはジョブチケットの情報を抽出すると共に画像データから画素データを抽出し、印刷設定を反映した印刷物となるよう、画素位置毎に第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108で印刷可能な液体色に分解する。
【0024】
投入されたジョブの印刷が開始されると、ロール紙130は図1で説明した経路を搬送し、制御部202のCPUは画像形成部205を介して第1印刷ヘッドユニット107にてタイミングマークおよび下地を印刷する。ロール紙130の搬送に伴い、乾燥ユニット111および冷却ユニット112を経由してロール紙130に印刷されたタイミングマークおよび下地がタイミングマーク検知ユニット113に到達する。タイミングマーク検知ユニット113がタイミングマークを検知したタイミングに基づいて制御部202のCPUはロール紙130に印刷を開始するタイミングを判定し、第2印刷ヘッドユニット108にて印刷を行う。印刷されたロール紙130がスキャナユニット116に到達すると、検査部210は前述した通り吐出不良がないかを確認する。印刷されたロール紙130が測色ユニット117に到達すると、測色部211は前述した通り、制御部202のCPUに指示されたロール紙130上の箇所を測色する。
【0025】
最後に、ロール紙130は図1において説明した経路を搬送され、排紙ユニット106に巻き取られる。制御部202のCPUは、交換タンク107bおよび108bから第1印刷ヘッドユニット107および第2印刷ヘッドユニット108までの液体供給制御、交換タンク107bおよび108bの交換作業に関する機構、およびUI画面を制御する。
【0026】
図3は、バッファタンクおよび交換タンクの構成を示す図である。第2印刷ヘッドユニット108は撹拌が不要な液体であるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック(以下、「C、M、Y、K」と呼ぶ)の各色を吐出する装置であり、各々の色のバッファタンク108aと接続している。バッファタンク108a内の液体は第2印刷ヘッドユニット108に供給され、バッファタンク108aの液体残量が空にならない限り印刷を継続できる構成である。バッファタンク108aは各々の交換タンク108bと接続しており、交換タンク108b内部の液体は適宜バッファタンク108aへと供給される。バッファタンク108aには残量センサ108cが搭載されておりバッファタンク内の液体残量を取得する。交換タンク108bには残量センサ108dが搭載され、残量センサ108dは交換タンク108b内に液体が残っているか否かを取得する。このように交換タンク108b内部の液体はバッファタンク108aを経由して第2印刷ヘッドユニット108へ供給される。印刷が継続すると最初に交換タンクの液体残量が空になる構成である。空になった交換タンク108bはユーザにより未使用交換タンク108bに交換される。なお、交換タンク1個分の液体容量は、バッファタンクが収容可能な液体容量の20%である。なお、この数値はあくまでも例示であり、この数値以外の値であっても良い。
【0027】
第1印刷ヘッドユニット107は撹拌が必要な、沈降成分を含む液体である白色のバッファタンク107a(以下、「Wバッファタンク107a」と呼ぶ)と接続している。Wバッファタンク107aはW交換タンク107bと接続している。Wバッファタンク107aには残量センサ107cが搭載され、残量センサ107cはWバッファタンク内の液体残量を取得する。Wバッファタンク107aにW交換タンク107b1個分以上の空き容量がある場合、W交換タンク107bはユーザにより未使用W交換タンク107bに交換される。交換された未使用W交換タンク107bのW液体の全量はWバッファタンク107aへ供給される。ここで、W液体の全量とは、W交換タンク107b内に残留物がある場合も含まれる。撹拌ユニットを有さないW交換タンク107bを交換直後に使い切ることにより、W交換タンク107b内でW液体の分離および沈降は発生しない。なお、W交換タンク1個分の液体容量は、Wバッファタンクが収容可能な液体容量の20%である。この数値はあくまでも例示であり、この数値以外の値であっても良い。また、Wバッファタンク107aの内部には撹拌ユニット107eが備わっている点、および、W交換タンク107bが2個存在する点がC、M、Y、Kのタンク構成とは異なる。W交換タンク107bは本実施形態では2個であるが、これは例示に過ぎない。W交換タンク107bは3個以上であっても良い。
【0028】
以降、CMYKの挙動は同一であるため、代表としてKを例に説明する。図4は、液体残量のUI表示の第1状態を示す図である。液体画面400は操作表示部203に表示され、交換タンク表示領域401およびバッファタンク表示領域402を含む。交換タンク表示領域401は交換タンクの状態を示す領域であり、状態の総括を示す通知領域403、CMYK交換タンクの状態を示すCMYK交換タンク状態表示部404、W交換タンク状態表示部405および406を含む。交換タンク状態表示部404、405、406には液体残量は表示されず、液体タンクが交換可能であるか否かのみの情報が表示され、ユーザはこの情報を認知することで交換対象の液体を識別する。バッファタンク表示領域402はバッファタンクの状態を示す領域であり、CMYKバッファタンクの状態を示すCMYKバッファタンク状態表示部407、Wバッファタンク状態表示部408を含む。CMYKバッファタンク状態表示部407およびWバッファタンク状態表示部408の残量は表示部上部の百分率の数値および画像の形状変化で表示される。
【0029】
図4に示される液体画面400はバッファタンクが満タンの状態を示している。CMYKバッファタンク108aおよびWバッファタンク107aの残量は100%である。CMYKバッファタンク状態表示部407およびWバッファタンク状態表示部408も同様に表示される。交換タンク108bには液体が残っておりCMYK交換タンク状態表示部404も交換を促す表示はされない。W交換タンク107bには液体が残っていないが、W交換タンク状態表示部405および406には交換を促す表示はされない。これは、撹拌ユニットを有さないW交換タンク107bの容量1個分の空きがWバッファタンク107aにはないからである。W交換タンク107bの容量1個分の空きがWバッファタンク107aに生じた場合に、W交換タンク107bを交換すると、交換されたW交換タンク107bからWバッファタンク107aへW液体が全て供給される。撹拌ユニットを有さないW交換タンク107bを交換直後に使い切ることにより、W交換タンク107b内でW液体の分離および沈降は発生しない。したがって、W交換タンク107bの容量1個分の空きがWバッファタンク107aに生じるまでは、W交換タンク状態表示部405または406に交換を促す表示はされない。したがって、通知領域403には交換を促すメッセージは表示されない。
【0030】
図5は、液体残量のUI表示の第2状態を示す図である。液体画面500におけるWバッファタンク状態表示部508は、前述の液体画面400におけるWバッファタンク状態表示部408とは、液体残量の表示のみが異なる。液体画面500は、液体画面400からKおよびW液体を少し消費した状態を示している。Kの液体の場合はバッファタンク108aの残量は消費した液体量が交換タンク108bから供給されるため、Kバッファタンク108aの液体残量は100%のままである。すなわち、W交換タンクではない交換タンクにおいては、交換タンクからバッファタンクへ徐々に液体が供給される。Kバッファタンク状態表示部507も100%と表示される。K交換タンク108bには液体がまだ残っており、K交換タンク状態表示部504も交換を促す表示はされない。一方W液体の場合は、W交換タンク107bはすでに空であるから、W交換タンク107bからは液体が供給されない。したがって、Wバッファタンク107aの液体残量は95%に低下している。Wバッファタンク状態表示部508においても液体残量は95%と表示される。W交換タンク107bには液体が残っていない。しかし、W交換タンク107bの容量1個分の空きがWバッファタンク107aに生じていないため、W交換タンク状態表示部505および506には交換を促す表示はされない。したがって、通知領域503には交換を促すメッセージは表示されない。
【0031】
図6は、液体残量のUI表示の第3状態を示す図である。液体画面600におけるWバッファタンク状態表示部608は、前述の液体画面400におけるWバッファタンク状態表示部408とは、液体残量の表示のみが異なる。液体画面600は、液体画面500からKおよびW液体をさらに消費し、K交換タンク108bが交換可能となった状態を示している。Kバッファタンク108aの液体残量の通りKバッファタンク状態表示部607は100%と表示される。K交換タンク108bが空であるためK交換タンク状態表示部604は交換が必要である旨が表示される。Wバッファタンク107aの液体残量の通りWバッファタンク状態表示部608には液体残量は90%と表示される。W交換タンク107bには液体が残っていない。しかし、W交換タンク107bの容量1個分の空きがWバッファタンク107aに生じていないため、W交換タンク状態表示部605および606には交換を促す表示はされない。通知領域603には液体交換が必要である旨が表示される。この表示はユーザにK交換タンク108bの交換を促している。このとき、制御部202のCPUは音声部212を介して交換タンクの交換が必要である旨をユーザに通知しても良い。
【0032】
図7は、液体残量のUI表示の第4状態を示す図である。液体画面700におけるWバッファタンク状態表示部708は、前述の液体画面400におけるWバッファタンク状態表示部408とは、液体残量の表示のみが異なる。液体画面700は、液体画面600からKおよびW液体をさらに消費し、K交換タンク108bに加え、W交換タンク107bも交換可能となった状態を示している。Kバッファタンク108aの残量センサ108cが示す通りKバッファタンク状態表示部707には液体残量は90%と表示される。K交換タンク108bが空であるためK交換タンク状態表示部704は交換が必要である旨が表示される。Wバッファタンク107aの残量の通りWバッファタンク状態表示部708には液体残量は80%と表示される。W交換タンク107bの容量1個分の空きがWバッファタンク107aに生じたため、W交換タンク状態表示部705には交換を促す表示となり、W交換タンク状態表示部706には交換を促す表示はされない。通知領域703には液体交換が必要である旨が表示される。この表示はユーザにK交換タンク108bおよび1つのW交換タンク107bの交換を促している。W液体は撹拌が必要である。図7に示す状態では、Wバッファタンク107aの空き容量がW交換タンク107bの容量1個分しかないため、W交換タンク1個分のみの交換をUI画面に表示している。制御部202のCPUは音声部212を介して交換タンクの交換が必要である旨をユーザに通知しても良い。
【0033】
図8は、液体残量のUI表示の第5状態を示す図である。液体画面800におけるWバッファタンク状態表示部808は、前述の液体画面400におけるWバッファタンク状態表示部408とは、液体残量の表示のみが異なる。液体画面800は、液体画面700からKおよびW液体をさらに消費し、K交換タンク108bに加え、W交換タンク107bが2個とも交換可能となった状態を示している。Kバッファタンク108aの液体残量の通りKバッファタンク状態表示部807には液体残量は70%と表示される。K交換タンク108bが空であるため、K交換タンク状態表示部804は交換が必要である旨が表示される。Wバッファタンク107aの残量センサ108cが示す通りWバッファタンク状態表示部808には液体残量は60%と表示される。W交換タンク2個分の空きがWバッファタンク107aに生じたため、W交換タンク状態表示部805および806には交換を促す旨が表示される。通知領域803には液体交換が必要である旨が表示される。この表示はユーザにK交換タンク108bおよび2つのW交換タンク107bの交換を促している。制御部202のCPUは音声部212を介して交換タンクの交換が必要である旨をユーザに通知しても良い。
【0034】
図9は、液体タンクの交換通知の制御を示すフローチャートである。液体残量および交換タンクの交換要否を判定するために、所定のトリガ従って液体色毎にS901以降の処理が行われる。即ち、S901以降の処理は、所定のイベントトリガおよび周期トリガに従って実施される。イベントトリガとは記録装置システム100の起動時、印刷開始時、エラー発生時、交換タンクの交換完了時である。イベントトリガには、操作表示部203で液体情報を取得する画面が表示されるタイミングを含めても良い。周期トリガでは印刷中には10秒間隔、非印刷中には60秒間隔に実行する。エラー発生中など印刷が行われない状況では周期的な液体交換通知の判定を停止しても良い。これらの処理は制御部202のCPUの指示に基づき、主に記憶部201および操作表示部203を介して実行される。
【0035】
S901において、制御部202のCPUはバッファタンク107aおよび108aの液体残量を残量センサ107cおよび108cから取得し、取得した値を記憶部201に記憶し、処理はS902へ進む。S902において、制御部202のCPUは交換タンク107bおよび108bの液体残量を残量センサ107dおよび108dから取得し、取得した値を記憶部201に記憶し、処理はS903へ進む。S903において、制御部202のCPUは記憶部201に記憶されている液体撹拌の要否情報を参照し、Kの液体は撹拌が不要であり、W液体は撹拌が必要であることを取得し、処理はS904へ進む。
【0036】
S904において、制御部202のCPUはS902において取得した交換タンクの液体残量が空であるか否かを判定する。交換タンクが空である場合には、処理はS906へ進む。交換タンクが空でない場合には、処理はS905へ進む。S905において、制御部202のCPUは交換タンク107bおよび108bを交換不可であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。Kの液体の場合、液体画面300および400に例示した状態となる。制御部202のCPUが交換不可であると判定した後は、制御部202のCPUは当該交換タンク用の蓋のロックを解除せず、ユーザは交換タンク107bおよび108bを交換することはできない。
【0037】
S906において、制御部202のCPUは、S903において取得した液体撹拌の要否情報に基づき、空になった交換タンクが液体撹拌を必要とする液体用の交換タンクであるか否かを判定する。制御部202のCPUが、液体撹拌を必要とする液体用の交換タンクであると判定した場合には、処理はS908へ進む。制御部202のCPUが、液体撹拌を必要としない液体用の交換タンクであると判定した場合には、処理はS907へ進む。S907において、制御部202のCPUはK交換タンク108bが交換可能であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。Kの液体の場合、液体画面600,700、800に例示した状態となる。制御部202のCPUが、K交換タンク108bが交換可能であると判定した後、制御部202のCPUはK交換タンク108bの蓋のロックを解除し、ユーザはK交換タンクを未使用K交換タンクに交換する。ユーザが未使用K交換タンク108bを交換した後に蓋を閉じると、制御部202のCPUは再び蓋をロックする。その後、制御部202のCPUはKバッファタンク108aの液体残量に応じて未使用K交換タンク108bから液体を適宜供給する。制御部202のCPUは、K交換タンク108bが空であると判定した場合、K交換タンク108bの蓋のロックを解除する。K交換タンク108bが空であってもKバッファタンク108aに十分な液体が存在する場合は、記録装置システム100は印刷を行うことができる。これはKバッファタンク108aに十分な液体が存在する場合は、印刷に支障をきたす事象が発生しないからである。
【0038】
S908において、制御部202のCPUは、Wバッファタンク107aにW交換タンク107bの容量1個分の空きがあるかを判定する。本実施形態では、Wバッファタンク107aの液体残量が80%以下である場合には、制御部202のCPUはWバッファタンク107aにW交換タンク107bの容量1個分の空きがあると判定し、処理はS910へ進む。Wバッファタンク107aの液体残量が80%より多い場合には、制御部202のCPUはWバッファタンク107aにW交換タンク107bの容量1個分の空きが無いと判定し、処理はS909へ進む。S909において、制御部202のCPUはW交換タンク107bを交換不可であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。W液体の場合、液体画面400,500、600に例示した状態となる。制御部202のCPUが交換不可であると判定した後は、制御部202のCPUはW交換タンク107b用の蓋のロックを解除せず、ユーザはW交換タンク107bを交換することはできない。
【0039】
S910において、制御部202のCPUは、Wバッファタンク107aにW交換タンク107bの容量2個分の空きがあるかを判定する。本実施形態では、Wバッファタンク107aの液体残量が60%以下である場合には、制御部202のCPUはWバッファタンク107aにW交換タンク107bの容量2個分の空きがあると判定し、処理はS912へ進む。Wバッファタンク107aの液体残量が60%より多い場合には、制御部202のCPUはWバッファタンク107aにW交換タンク107bの容量1個分の空きがあると判定し、処理はS911へ進む。
【0040】
S911において、制御部202のCPUはW交換タンク107bの1個を交換可能であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。W液体の場合、液体画面700に例示した状態となり、W交換タンク状態表示部705が交換可能であることが示される。このとき、制御部202のCPUは音声部212を介して交換タンクの交換が必要である旨をユーザに通知しても良い。W液体には、2つのW交換タンク107bが存在する。1つ目は、W交換タンク状態表示部705で示されるW1に対応するW交換タンク107b(以下、「W1交換タンク」と呼ぶ)である。2つ目は、W交換タンク状態表示部706で示されるW2に対応する交換タンク107b(以下、「W2交換タンク」と呼ぶ)である。制御部202のCPUは交換可能であると判定した後は、制御部202のCPUはW1交換タンク107b用の蓋のロックを解除し、W2交換タンク107bの蓋のロックは解除しない。W液体は撹拌が必要であるため、W交換タンクをセットする際、ユーザはW交換タンクを手振りで撹拌する必要がある。ユーザは蓋のロックが解除された空のW1交換タンクを取り出し、撹拌直後の未使用W交換タンクと交換して蓋を閉じると、制御部202のCPUは再び蓋をロックする。その後、制御部202のCPUはWバッファタンク107aに、未使用W1交換タンク107bからW液体を供給する。Wバッファタンク107aはW1交換タンク107bの1個分の容量を受ける空き容量があるため、未使用W1交換タンク107bのW液体は全てバッファタンク107aに供給される。その結果、W1交換タンク107bは再び空になるが、液体画面400および500に例示したように、制御部202のCPUは交換を促す通知を行わない制御を実行する。
【0041】
S912において、制御部202のCPUは、W交換タンク107bの双方を交換可能であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。W液体の場合、液体画面800に例示した状態となる。上記の事象が生じるのは以下の理由によるためである。Wバッファタンク107aにW交換タンク107bの1個分の空き容量が生じても記録装置システム100は印刷可能であるため、Wバッファタンク107aの液体残量は徐々に減少する。Wバッファタンク107aの液体残量は定期的にチェックされているので、Wバッファタンク107aの液体残量は75%→65%→55%と徐々に減少する。したがって、W交換タンク107bの補充が無ければ、Wバッファタンク107aにW交換タンク107bの2個分の空き容量が生じる。
【0042】
制御部202のCPUが、2つのW交換タンク107bが交換可能であると判定した後、制御部202のCPUはW交換タンク107bの双方のロックを解除する。ユーザは蓋のロックが解除された空の2つのW交換タンク107bを取り出し、手振り撹拌された2つの未使用W交換タンク107bに交換して蓋を閉じると、制御部202のCPUは再び蓋をロックする。Wバッファタンク107aにはW交換タンク107bの2個分の容量を受ける空き容量があるため、2つの未使用W交換タンク107bのW液体はWバッファタンク107aに全て供給される。その結果2つのW交換タンク107bは再び空になるが、液体画面400および500に例示したように、制御部202のCPUは交換を促す通知を行わない制御を実行する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、適切なタイミングで交換タンクの交換を通知することが可能となる。これにより、未使用交換タンクから速やかにバッファタンクに供給することが可能となる。
【0044】
[第2実施形態]
第1実施形態では、S911において制御部202のCPUが図7に示される液体画面700でW交換タンク状態表示部705、即ち、W1交換タンク107bを交換対象としているが、これに限られない。具体的にはW1交換タンク107bおよびW2交換タンク107bを交互に交換する構成としても良い。交換タンクを交互に交換することで、交換時に作業する蓋の開閉などの関連部品の損傷を平準化することができる。以下に、本実施形態の詳細を説明する。尚、本実施形態ではW液体の交換タンクは2個であるとして説明を行うが、これは例示に過ぎない。W液体の交換タンクは3個以上であっても良い。
【0045】
以下の説明においては、第1実施形態との差分を説明する。まず、制御部202のCPUはW交換タンク用の蓋をロックする際にW1交換タンク107bまたはW2交換タンク107bのどちらの蓋をロックしたかという情報を最終交換タンク情報として記憶部201に格納する。最終交換タンク情報の初期値はW2交換タンク107bとする。次のW交換タンク107bを交換する際に、制御部202のCPUは最終交換タンク情報ではないW交換タンク107bから交換させるよう指示する。
【0046】
図10は、液体残量のUI表示の第6状態を示す図である。液体画面1000において、Wバッファタンク1008は前述の液体画面700とはW交換タンク状態表示部1005および1006の状態のみが異なる。液体画面1000において、W交換タンク状態表示部1005には交換を促す表示はない。交換を促す表示はW交換タンク状態表示部1006に表示される。通知領域1003には液体交換が必要である旨が表示される。このとき、制御部202のCPUは音声部212を介して交換タンクの交換が必要である旨をユーザに通知しても良い。
【0047】
次にS911において、制御部202のCPUはW交換タンク107bの1個を交換可能と判定し、記憶部201から最後に交換したW交換タンク107bの情報を取得する。最後に交換したW交換タンクの取得結果がW2交換タンク107bである場合には、制御部202のCPUはW1交換タンク107bを交換可能と判定する。これは、第1実施形態の図7の液体画面700に例示した状態と同じである。本実施形態では最後に交換したW交換タンクの取得結果がW1交換タンク107bであるため、制御部202のCPUはW2交換タンク107bを交換可能であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。即ち、液体画面1000に例示した状態となる。
【0048】
制御部202のCPUがW2交換タンク107bを交換可能であると判定した後、制御部202のCPUはW2交換タンク107bの蓋のロックを解除し、W1交換タンク107bの蓋のロックは解除しない。W液体は撹拌が必要であるため、ユーザはW交換タンクを手振りで撹拌する必要がある。ユーザは蓋のロックが解除された空のW2交換タンクを取り出し、撹拌直後の未使用W交換タンクに交換して蓋を閉じると、制御部202のCPUは再び蓋をロックする。制御部202のCPUはロックした蓋はW2交換タンク107bであることを識別しており、記憶部201の最終交換タンク情報をW2交換タンク107bと書き換えて記憶する。次回、W交換タンク107bを1個だけ交換する場合には、W1交換タンク107bが交換可能となる。即ち、液体画面700に例示した状態になる。
【0049】
その後、制御部202のCPUはWバッファタンク107aに、未使用W2交換タンク107bからW液体を供給する。この際、Wバッファタンク107aにはW2交換タンク107bの1個分の容量を受ける空き容量があるため、未使用W2交換タンク107bの液体はWバッファタンク107aに全て供給される。その結果、W2交換タンク107bは再び空になるが、液体画面400および500に例示したように、制御部202のCPUは交換を促す通知を行わない制御を実行する。
【0050】
S912において、制御部202のCPUはW交換タンク107bの双方を交換可能であると判定し、図9に示されるフローチャートの処理は終了する。W液体の場合、液体画面800に例示した状態となる。制御部202のCPUは双方のW交換タンク107bを交換可能であると判定した後、制御部202のCPUは双方のW交換タンク107bの蓋のロックを解除する。ユーザは蓋のロックが解除された空の2つのW交換タンク107bを取り出し、手振り撹拌された2つの未使用W交換タンク107bに交換して蓋を閉じると、制御部202のCPUは再び蓋をロックする。制御部202のCPUは蓋をロックする度にロックした蓋を識別し、記憶部201の最終交換タンク情報をロックした方のW交換タンク107bに書き換えて記憶する。この際、Wバッファタンク107aにはW交換タンク107bの2個分の容量を受ける空き容量があるため、2つの未使用W交換タンク107bのW液体はWバッファタンク107aに全て供給される。その結果2つのW交換タンク107bは再び空になるが、液体画面400および500に例示したように、制御部202は交換を促す通知を行わない制御を実行する。
【0051】
制御部202のCPUが双方のW交換タンク107bを交換可能であると判定した場合は、制御部202のCPUは双方のW交換タンク107bの蓋のロックを解除する。別法として、制御部202のCPUは記憶部201の最終交換タンク情報を書き換えなくても良い。ユーザは蓋のロックが解除された空の2つのW交換タンク107bを取り出し、手振り撹拌された2つのW交換タンク107bに交換して蓋を閉じるため、最終交換タンク情報を書き換える必要はない。これにより、蓋の開閉などの関連部品の損傷を平準化することが可能となる。W交換タンク107bが3個以上である場合は、最終交換タンク情報ではなく、次に使用するW交換タンク107bを示す情報を用いて、順番に複数のW交換タンク107bが使用される。Wバッファタンク107aに複数個分の空きが生じた場合は、複数個分のW交換タンク107bが交換可能である旨をUI操作パネル102に表示し、ユーザは複数個のW交換タンク107bを未使用W交換タンクと交換することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、適切なタイミングで交換タンクの交換を通知することが可能となる。また、複数の交換タンクを有する撹拌を必要とする液体においては、最後に交換した交換タンクの情報を記憶することにより、関連部品の損傷を平準化することも可能となる。
【0053】
[第3実施形態]
第1実施形態では、S906において制御部202のCPUが記憶部201から取得する液体撹拌の要否情報が固定値として説明したが、条件に応じて変更する構成にしても良い。具体的には、W液体のバリエーションで分離および沈降が生じにくいものを使用する場合に、制御部202のCPUは、操作表示部203経由で液体撹拌の要否情報を更新して当該W液体の撹拌を不要と変更することができる。W液体が撹拌を必要としない場合には、W液体もCMYKの液体と同様な交換タンクの交換作業を行う。W液体が撹拌を必要とする場合には、W液体は第1実施形態と同一の交換タンクの交換作業を行う。したがって、適切なタイミングで交換タンクの交換を通知することが可能となる。
【0054】
[その他の実施形態]
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0055】
上述した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0056】
(構成1)印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクが交換可能である旨を通知する通知手段と、を備える、ことを特徴とする制御装置。
【0057】
(構成2)前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクを交換可能と判定する制御手段をさらに備え、前記通知手段は、交換可能と判定された場合、前記交換タンクが交換可能である旨を通知する、ことを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0058】
(構成3)前記記録装置は、所定の液体が所定の交換タンクから徐々に所定のバッファタンクに供給される交換タンクと、前記交換タンクの全ての液体が前記交換タンクから前記バッファタンクに供給される交換タンクを有し、前記液体の交換タンクを交換する際、前記交換タンクの前記液体が前記液体のバッファタンクに全て供給される、ことを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0059】
(構成4)前記所定の液体とは、前記沈降成分を含まない液体である、ことを特徴とする構成3に記載の制御装置。
【0060】
(構成5)前記記録装置は、前記液体の交換タンクは複数の交換タンクを有する、ことを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0061】
(構成6)前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの複数個分の空き容量がある場合に、前記通知手段は、複数個の前記液体の交換タンクが交換可能である旨を通知する、ことを特徴とする構成5に記載の制御装置。
【0062】
(構成7)前記通知手段は通知する内容をUI画面に表示する、ことを特徴とする構成1または6に記載の制御装置。
【0063】
(構成8)前記通知手段は通知する内容を音声により通知する、ことを特徴とする構成1または6に記載の制御装置。
【0064】
(構成9)前記沈降成分を含まない液体の交換タンクが空である場合、前記制御手段は前記沈降成分を含まない液体の前記交換タンクを交換可能とする判定する、ことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0065】
(構成10)前記制御手段は、前記液体の交換タンクが交換可能でない場合には前記液体の交換タンクをロックし、前記液体の交換タンクが交換可能である場合には前記液体の交換タンクのロックを解除する、ことを特徴とする構成2に記載の制御装置。
【0066】
(構成11)印刷ヘッドデバイスに、沈降成分を含む液体を供給するバッファタンクと、前記バッファタンクに前記液体を供給する交換タンクと、を有し、前記液体を用いて印刷を行うことが可能な記録装置を制御する制御装置であって、前記液体の交換タンクが空であり、かつ、前記液体のバッファタンクに前記液体の交換タンクの1個分以上の空き容量がある場合に、前記交換タンクが交換可能である旨を通知するステップと、を備える、ことを特徴とする制御装置の制御方法。
【0067】
(構成12)コンピュータを、構成1乃至10のいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10