(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017232
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119741
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】柴田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】小田 仁
(72)【発明者】
【氏名】水野 彰紀
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS03
5H615SS05
5H615SS10
5H615SS16
(57)【要約】
【課題】積層ずれを低減するのに有用な積層鉄心の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係る積層鉄心の製造方法は、金属板を所定形状に沿って打ち抜いて、複数の鉄心部材を形成する形成工程と、所定の軸線まわりの周方向において互いに異なる位置に配置された第1位置決め部と第2位置決め部とを有する治具上に、複数の鉄心部材を積層する積層工程と、を含む。第1位置決め部は、複数の鉄心部材それぞれの第1部分の上記周方向における位置を規制する。第2位置決め部は、複数の鉄心部材それぞれの第2部分の上記周方向における位置を規制する。積層工程では、第1部分と第1位置決め部との間、及び、第2部分と第2位置決め部との間に隙間が設けられるように、治具上に複数の鉄心部材が積層される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を所定形状に沿って打ち抜いて、複数の鉄心部材を形成する形成工程と、
所定の軸線まわりの周方向において互いに異なる位置に配置された第1位置決め部と第2位置決め部とを有する治具上に、前記複数の鉄心部材を積層する積層工程と、を含み、
前記第1位置決め部は、前記複数の鉄心部材それぞれの第1部分の前記周方向における位置を規制し、
前記第2位置決め部は、前記複数の鉄心部材それぞれの第2部分の前記周方向における位置を規制し、
前記積層工程では、前記第1部分と前記第1位置決め部との間、及び、前記第2部分と前記第2位置決め部との間に隙間が設けられるように、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層される、積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
前記治具上で積層された状態の前記複数の鉄心部材を溶接する溶接工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された状態において、前記第1部分と前記第1位置決め部との間の隙間の大きさは、前記第2部分と前記第2位置決め部との間の隙間の大きさに略一致する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1位置決め部及び前記第2位置決め部それぞれは、前記軸線に直交する断面形状が、前記軸線を中心とした円の径方向に沿って延びるように形成されている、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記複数の鉄心部材それぞれは、環状に形成されたヨーク部と、前記ヨーク部に交差して延びる複数のティース部と、を含み、
前記第1部分は、前記複数のティース部のうちの互いに隣り合う一対の第1ティース部であり、
前記第2部分は、前記複数のティース部のうちの互いに隣り合う一対の第2ティース部であり、
前記第1位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記一対の第1ティース部の間に位置するように形成されており、
前記第2位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記一対の第2ティース部の間に位置するように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記複数の鉄心部材それぞれは、環状に形成されたヨーク部と、前記ヨーク部に交差して延びる複数のティース部と、を含み、
前記第1部分は、前記複数のティース部のうちの第1ティース部であり、
前記第2部分は、前記複数のティース部のうちの第2ティース部であり、
前記第1位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記第1ティース部を挟むように形成されており、
前記第2位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記第2ティース部を挟むように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記積層工程は、前記複数の鉄心部材それぞれの基準位置を前記周方向において相対的にずらしつつ、前記治具上に前記複数の鉄心部材を積層することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステータコアの製造方法が開示されている。この製造方法は、板材の環状部の径方向位置を位置出しするための径方向位置出し部と、板材のティース部の周方向位置を位置出しするための周方向位置出し部とを有する位置出し治具に、複数の板材を軸方向に積層させて位置出しする積層工程を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、積層ずれを低減するのに有用な積層鉄心の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る積層鉄心の製造方法は、金属板を所定形状に沿って打ち抜いて、複数の鉄心部材を形成する形成工程と、所定の軸線まわりの周方向において互いに異なる位置に配置された第1位置決め部と第2位置決め部とを有する治具上に、複数の鉄心部材を積層する積層工程と、を含む。第1位置決め部は、複数の鉄心部材それぞれの第1部分の上記周方向における位置を規制する。第2位置決め部は、複数の鉄心部材それぞれの第2部分の上記周方向における位置を規制する。積層工程では、第1部分と第1位置決め部との間、及び、第2部分と第2位置決め部との間に隙間が設けられるように、治具上に複数の鉄心部材が積層される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、積層ずれを低減するのに有用な積層鉄心の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、積層鉄心の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1に示される積層鉄心を構成する積層体の分解斜視図である。
図2(b)は、積層体の断面の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、積層鉄心の製造装置の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4(a)は、治具の一例を模式的に示す斜視図である。
図4(b)は、治具上に積層体が形成された状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、治具上に積層体が形成された状態の一例を模式的に示す上面図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、一対のティース部と位置決め部材との位置関係の一例を模式的に示す側面図である。
【
図7】
図7(a)は、治具上に積層体が形成された状態における位置決め部材の一例を模式的に示す上面図である。
図7(b)は、積層体が加圧された状態の一例を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、治具上に積層体が形成された状態の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、治具上に積層体が形成された状態の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とする。
【0009】
[積層鉄心]
最初に、
図1及び
図2を参照して、一実施形態に係る積層鉄心1について説明する。積層鉄心1は、モータ用の積層鉄心、又は、その製造過程における中間生成物である。積層鉄心1は、例えば、
図1に示されるように、モータのステータ用のコア(固定子積層鉄心)である。モータのステータ(固定子)は、
図1に示される積層鉄心1に巻線が取り付けられることにより形成される。固定子とロータ(回転子)とが組み合わせられることにより、モータ(電動機)が形成される。以下、積層鉄心1が、固定子積層鉄心である場合を例に説明する。
【0010】
積層鉄心1は、全体として筒形状を呈している。積層鉄心1の中央部分には、積層鉄心1の中心軸に沿って延びる貫通孔1aが設けられている。貫通孔1aは、積層鉄心1の高さ方向に延びている。貫通孔1a内には、ロータが配置可能である。積層鉄心1は、ロータ用のコアと共にモータを構成する。積層鉄心1は、例えば、積層体1Aと、溶接ビード9と、を備える。
【0011】
積層体1Aは、複数のブロック体Bが積層されること(積み重ねられること)で形成される。
図2(a)に示される積層体1Aでは、5個のブロック体Bが積層されている。積層体1Aの積層方向は、積層体1Aの高さ方向でもあり、積層体1Aの中心軸の延在方向でもある。積層体1Aの中心軸は、積層鉄心1の中心軸に相当する。以下では、積層体1Aの積層方向を、単に「積層方向」と称する。
【0012】
ブロック体B(鉄心部材)は、複数の打抜部材Wが積層されることで形成されている。ブロック体Bは、複数の打抜部材Wが積層されて形成された積層体である。打抜部材Wは、後述する金属板MS(例えば電磁鋼板)が所定形状に沿って打ち抜かれて形成された板状体である。打抜部材Wは、積層体1A(ブロック体B)に対応する形状を呈している。複数のブロック体Bが、いわゆる転積されることによって、積層体1Aが形成されてもよい。
【0013】
「転積」とは、複数のブロック体Bを積層させて積層体1Aを得る際に、複数のブロック体B同士の角度を相対的にずらすことをいい、ブロック体Bを回転させつつ積層することを含む。転積の主な目的は、積層体1Aを構成する複数の打抜部材Wの間の板厚偏差を低減することである。複数のブロック体Bを転積する際には、複数のブロック体Bそれぞれの角度(複数のブロック体Bそれぞれの基準位置の周方向における位置)を相対的にずらしつつ、複数のブロック体Bが積層される。積層体1Aにおいて互いに隣り合うブロック体B同士の基準位置が、一定角度ずつ異なるように、複数のブロック体Bが順に積層されてもよい。上記一定角度は、360°/N(Nは、2以上の自然数)であってもよい。Nは3以上の自然数であってもよく、一例では、上記一定角度は、120°、90°、又は、72°である。上記一定角度は、180°であってもよい(Nは、2であってもよい)。
【0014】
複数のブロック体Bそれぞれは、ヨーク部2と、複数のティース部4と、を含む。ヨーク部2は、環状に形成されている部分である。ヨーク部2は、円環状を呈していてもよい。複数のティース部4は、ヨーク部2に交差して延びる部分である。複数のティース部4それぞれは、ヨーク部2の内縁から、内側に向かって延びている。複数のティース部4それぞれは、ヨーク部2の内縁から、積層体1Aの中心軸に向けて突出している。複数のティース部4は、ヨーク部2の周方向(ヨーク部2の延在方向)において、略等間隔で並んでいてもよい。上記周方向において、互いに隣り合うティース部4の間には、巻線を配置するための空間(スロット)が形成されている。
【0015】
ブロック体Bでは、複数の打抜部材W同士がカシメ部によって接続されていてもよい。ブロック体Bを構成する複数の打抜部材Wは、
図2(b)に示されるように、互いに積層された複数の打抜部材WTと、複数の打抜部材WTに更に積層された打抜部材WBと、を含む。打抜部材WBは、ブロック体Bの最外層(例えば図示の最下層)に位置している。
【0016】
打抜部材WTは、カシメ部6を有してもよい。カシメ部6は、打抜部材WTの主面Waに形成された凹部6aと、打抜部材WTの主面Wbに形成された凸部6bと、を含む。打抜部材WTは、主面Wa及び主面Wbが互いに対向するように積層されている。互いに隣り合う打抜部材WT同士の境界では、一方の打抜部材WTの凸部6bが、他方の打抜部材WTの凹部6aに嵌合している。これにより、打抜部材WT同士が接続されている。打抜部材WBは、カシメ部6に代えて貫通孔7を有する点で打抜部材WTと相違する。打抜部材WBは、打抜部材WTの凸部6bが形成された主面Wbに対向するように積層されている。打抜部材WTと打抜部材WBとの境界では、打抜部材WTの凸部6bが、主面Wbの貫通孔7に嵌合している。これにより、打抜部材WTと打抜部材WBとが接続されている。
【0017】
図1に示されるように、溶接ビード9は、積層体1Aの外表面に形成されている。溶接ビード9は、複数のブロック体Bを互いに積層して積層体1Aを形成した後に、複数のブロック体B同士が溶接されることによって形成される。溶接ビード9は、積層体1Aの積層方向に沿って、積層体1Aの一端面(例えば上端面)から他端面(例えば下端面)にかけて全体的に直線状に延びていてもよい。
図1に示される例とは異なり、溶接ビード9は、隣接するブロック体B同士の境界近傍に部分的に形成されていてもよい。溶接ビード9を形成する溶接によって、積層方向に並ぶ複数のブロック体Bが互いに固定されている。
【0018】
[積層鉄心の製造装置]
続いて、
図3を参照して、積層鉄心1を製造する製造装置10(積層鉄心の製造装置)について説明する。製造装置10は、帯状の金属板MSから積層鉄心1を製造するように構成されている。製造装置10は、アンコイラー20と、送出装置30と、プレス加工装置40と、コンベア50と、溶接装置60と、コントローラ100と、を備える。
【0019】
アンコイラー20は、コイル材22を回転自在に保持するように構成されている。コイル材22は、金属板MSがコイル状(渦巻状)に巻かれたものである。送出装置30は、金属板MSを上下から挟み込む一対のローラ32,34を含む。一対のローラ32,34は、コントローラ100からの動作指示に基づいて回転及び停止し、金属板MSをプレス加工装置40に向けて間欠的に送り出すように構成されている。
【0020】
プレス加工装置40は、コントローラ100からの動作指示に基づいて動作し、金属板MSを所定の形状に沿って打ち抜くことで、複数の打抜部材Wを形成するように構成されている。プレス加工装置40は、例えば、送出装置30によって送り出される金属板MSを複数のパンチにより順次、打ち抜き加工又は切り曲げ加工して、複数の打抜部材Wを形成するように構成されている。プレス加工装置40は、打ち抜き加工によって得られた複数の打抜部材Wを順次積層してブロック体Bを形成するように構成されていてもよい。コンベア50は、プレス加工装置40によって形成されたブロック体Bを溶接装置60に向けて搬送する。
図3に示される例とは異なり、コンベア50に代えて、人手によってブロック体Bが溶接装置60に搬送されてもよい。
【0021】
溶接装置60は、コントローラ100からの動作指示に基づいて動作し、複数のブロック体Bが積層されて構成される積層体1Aに対する溶接作業を実行するように構成されている。
図3に示される製造装置10では、溶接装置60において積層体1Aが形成された後に、積層体1Aに対する溶接が実行されることで、積層鉄心1が製造される。溶接装置60の詳細については後述する。
【0022】
コントローラ100は、製造装置10に含まれる各装置を制御するコンピュータである。コントローラ100は、例えば、記録媒体に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置30、プレス加工装置40、コンベア50、及び、溶接装置60を動作させるための信号を生成するように構成されている。コントローラ100は、送出装置30、プレス加工装置40、コンベア50、及び、溶接装置60に上記信号をそれぞれ送信するように構成されている。
【0023】
(溶接装置)
続いて、
図4~
図6を参照して、溶接装置60について説明する。溶接装置60は、例えば、溶接治具70と、溶接機76と、を備える。溶接治具70(治具)は、複数のブロック体Bを積層させて、積層体1Aを形成するために用いられる治具である。溶接治具70は、その治具上に複数のブロック体Bを積層させることが可能となるように形成されている。溶接治具70は、複数のブロック体Bを積層する際に、各ブロック体Bの位置決めを行う機能を有する。溶接治具70は、ブロック体Bの中心軸まわりの周方向において、各ブロック体Bを位置決めする機能を有する。溶接治具70は、ブロック体Bの中心軸を中心とした円の径方向において、各ブロック体Bを位置決めする機能を更に有してもよい。ある方向での複数のブロック体Bの位置決めを行うことによって、その方向において、複数のブロック体Bの間での位置の差(積層ずれ)を縮小させることができる。
【0024】
溶接治具70は、例えば、下側プレート72と、拡径部材74と、複数の位置決め部材80と、を有する。下側プレート72は、
図4(a)に示されるように、板状に形成された部材である。下側プレート72は、当該プレートの上面に載置された複数のブロック体B(積層体1A)を支持するように構成されている。下側プレート72は、
図4(a)に示される例のように、上面視において四角形を呈していてもよく、
図4(a)に示される例とは異なり、円形等の他の形状を呈してもよい。下側プレート72の上面は、ブロック体Bを構成する打抜部材Wの外縁内の面積よりも大きい。
【0025】
拡径部材74は、溶接治具70において積層体1Aが形成される際に、径方向において複数のブロック体Bの位置決めを行う機能を有する。拡径部材74は、下側プレート72の上面(例えば、上面視における上面の略中央)に設けられている。拡径部材74は、
図4(a)に示されるように、円柱状に形成されていてもよい。拡径部材74は、円柱体を分割して得られる複数の拡縮部74aを含む。各拡縮部74aは、上面視において、扇状に形成されている。拡縮部74aは、所定の軸線Axを中心とした円の径方向に沿って、移動可能に設けられてもよい。軸線Axは、拡径部材74の上面視における円の中心に略一致していてもよく、複数の扇状の拡縮部74aそれぞれの頂点(円弧の中心)が軸線Axに重なっていてもよい。軸線Axは、下側プレート72の上面に対して垂直な仮想的な軸線である。
【0026】
複数の位置決め部材80は、溶接治具70上において複数のブロック体Bが積層される際に、上記軸線Axを中心とした周方向において、複数のブロック体Bの位置決めを行う機能を有する。複数の位置決め部材80は、下側プレート72に設けられている。複数の位置決め部材80は、軸線Ax(拡径部材74)を囲むように配置されている。複数の位置決め部材80は、軸線Axまわりの周方向(軸線Axを中心とした円の周方向)において、互いに異なる位置に配置されている。
【0027】
複数の位置決め部材80は、軸線Axを中心とした円周上に配置されていてもよい。この場合、複数の位置決め部材80は、上記円周上において、どのような間隔で配置されてもよく、例えば、互いに略等間隔に配置されてもよい。複数の位置決め部材80の間で、軸線Axまでの距離が互いに異なっていてもよい。溶接治具70上には、軸線Axとブロック体Bの中心軸とが略一致するように、複数のブロック体Bが積層される。溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態において、軸線Axまわりの周方向とブロック体Bの中心軸まわりの周方向とは略一致し、以下、これらの周方向を単に「周方向」と表記する。また、軸線Axを中心とした円の径方向、及び、ブロック体Bの中心軸を中心とした円の径方向(ティース部4が延びる方向)を単に「径方向」と表記する。
【0028】
溶接治具70は、3個以上、4個以上、又は、6個以上の位置決め部材80を有してもよい。複数の位置決め部材80それぞれは、軸線Axに沿って延びるように円柱状に形成されていてもよい。複数の位置決め部材80それぞれは、ブロック体Bを下側プレート72に載置した際に、ブロック体Bに含まれるいずれかの一対のティース部4(互いに隣り合う一対のティース部4)の間に位置してもよい。
図4(b)に示されるように、複数のブロック体Bそれぞれが、貫通孔1aに対応する貫通孔内に拡径部材74が挿入され、位置決め部材80が一対のティース部4の間に挿入されるように、溶接治具70に積層される。複数の位置決め部材80それぞれは、複数のブロック体Bが溶接治具70に積層されていく際に、対応する一対のティース部4(その位置決め部材80を間に挟む一対のティース部4)の周方向における位置を規制する。
【0029】
図5は、複数のブロック体Bが溶接治具70上に積層された際のブロック体Bと複数の位置決め部材80との位置関係を示す上面図である。複数の位置決め部材80それぞれは、溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態において、対応する一対のティース部4との間に隙間が設けられるように構成されている。位置決め部材80と対応する一対のティース部4との間に隙間が設けられるとは、位置決め部材80と一対のティース部4の両方との間に隙間が形成されることを意味する。なお、あるブロック体Bの一部の一対のティース部4においては、当該一対のティース部4のどちらか一方が、位置決め部材80に接触している場合もある。
【0030】
ここで、複数の位置決め部材80のうちの任意に選択された1つを「位置決め部材80A」と表記し、位置決め部材80Aとは異なる他の1つを「位置決め部材80B」と表記する。すなわち、複数の位置決め部材80は、位置決め部材80A(第1位置決め部)と位置決め部材80B(第2位置決め部)とを含む。位置決め部材80Aは、複数のブロック体Bそれぞれの複数のティース部4のうちの互いに隣り合う一対のティース部4(第1部分)の周方向における位置を規制する。位置決め部材80Bは、複数のブロック体Bそれぞれの複数のティース部4のうちの互いに隣り合う他の一対のティース部4(第2部分)の上記周方向における位置を規制する。溶接治具70において複数のブロック体Bが積層される際に、位置決め部材80Aと対応する一対のティース部4(一対の第1ティース部)との間、及び、位置決め部材80Bと対応する一対のティース部4(一対の第2ティース部)との間に隙間が設けられる。
【0031】
複数の位置決め部材80それぞれは、対応する一対のティース部4との間に隙間が設けられる程度の大きさに形成されている。位置決め部材80と対応する一対のティース部4との間に隙間ができるとしても、ブロック体Bの軸線Axまわりの角度をある範囲に合わせないと、積層時に、複数の位置決め部材80それぞれが対応する一対のティース部4の間が挿入されない。すなわち、ブロック体Bの軸線Axまわりの角度をある範囲にしないと、積層時に、位置決め部材80といずれかのティース部4とが干渉し、溶接治具70においてブロック体Bを積層することができない。そのため、位置決め部材80と対応する一対のティース部4との間に隙間が設けられるとしても、複数の位置決め部材80それぞれは、溶接治具70上においてブロック体Bの周方向における位置を規制する。複数の位置決め部材80それぞれは、ヨーク部2の内周面のうちの対応する一対のティース部4との間に位置する部分との間にも隙間を形成するように構成されている。
【0032】
図6(a)には、位置決め部材80A及び対応する一対のティース部4について、軸線Axから外側に向かって見た場合(
図5の矢印「V1」から見た場合)の側面図が示されている。
図6(b)には、位置決め部材80B及び対応する一対のティース部4について、軸線Axから外側に向かって見た場合(
図5の矢印「V2」から見た場合)の側面が示されている。
図6(a)及び
図6(b)には、3個のブロック体Bが積層された場合の例が示されている。
【0033】
1つの位置決め部材80である位置決め部材80Aに着目した場合、複数のブロック体Bの間において、位置決め部材80Aによって規制される一対のティース部4の周方向における位置が異なっている。この位置ずれの要因の一つに、ティース部4の形成位置の個体差がある。また、上面視にて、ヨーク部2の内縁又は外縁(複数のティース部4の内周面で規定される仮想円)は、製造誤差等により、真円とはならず、真円に近い楕円形状となる。そのため、上述の転積が行われると、互いに積み重ねられるティース部4同士の間に位置ずれが発生し得る。そして、対応する一対のティース部4の間に位置決め部材80が挿入されるように各ブロック体Bを溶接治具70に載置していくと、1つの位置決め部材80に着目した場合に、対応するティース部4同士の間に位置ずれ(積層ずれ)が生じ得る。
【0034】
ここで、1つの位置決め部材80と、対応する一対のティース部4の一方との間の隙間を「ga」と表記し、上記位置決め部材80と対応する一対のティース部4の他方との間の隙間を「gb」と表記する。位置決め部材80と対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさは、隙間gaの大きさと隙間gbの大きさとの合計値で表すことができる。隙間gaの大きさは、位置決め部材80と一方のティース部4との間の最短距離で定義される。隙間gbの大きさは、位置決め部材80と他方のティース部4との間の最短距離で定義される。
【0035】
位置決め部材80Aに着目した場合に、1つのブロック体Bでの隙間gaの大きさと隙間gbの大きさとの合計値は、他のブロック体Bでの隙間gaの大きさと隙間gbの大きさとの合計値に略一致してもよい。言い換えると、位置決め部材80Aと1つのブロック体Bの対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさは、位置決め部材80Aと他のブロック体Bの対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさに略一致してもよい。全てのブロック体Bの間において、位置決め部材80Aと対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさが略一致してもよい。
【0036】
位置決め部材80Aと対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさは、他の位置決め部材80である位置決め部材80Bと、位置決め部材80Bに対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさに略一致してもよい。この場合、位置決め部材80Aでの隙間gaの大きさと隙間gbの大きさとの合計値が、他の位置決め部材80での隙間gaの大きさと隙間gbの大きさとの合計値に略一致してもよい。本開示において、隙間の大きさ(又は、隙間の大きさの合計値)同士が互いに略一致するとは、ある1つの隙間の大きさ(合計値)が、他の隙間の大きさ(合計値)の0.95倍~1.05倍であることを意味する。
【0037】
複数の位置決め部材80のうちの1つである位置決め部材80Aが、他の1つである位置決め部材80Bとは、軸線Axに関して対称ではない位置に設けられてもよい。対称ではない位置とは、上面視において、1つの部材と軸線Axとを結ぶ仮想的な直線上に他の1つの部材が重ならない位置を意味する。位置決め部材80Aと位置決め部材80Bとが、軸線Axまわりの周方向において、互いに180°とは異なる角度(例えば、175°よりも小さい角度)だけ離れた位置に配置されていてもよい。少なくとも2つの位置決め部材80を対称ではない位置に配置することで、位置決め部材80Aでは、位置決め部材80Aを通る径方向でのブロック体Bの移動が規制されないところ、この径方向の移動を位置決め部材80Bによって規制することができる。また、位置決め部材80Bでは、位置決め部材80Bを通る径方向でのブロック体Bの移動が規制されないところ、この径方向の移動を位置決め部材80Aによって規制することができる。
【0038】
図4(a)に戻り、溶接装置60が備える溶接機76は、溶接治具70上において複数のブロック体Bが積層されて形成される積層体1Aの所定の溶接箇所を、複数のブロック体Bが互いに固定されるように溶接する。溶接機76は、いかなる溶接方式で溶接を実行してもよく、溶接方式の一例として、アーク溶接法が挙げられる。アーク溶接法としては、電極を溶かし溶加材としても用いる溶極式であってもよく、消耗しない電極を用い、別に溶加材を添加する非溶極式であってもよい。非溶極式の一例として、TIG溶接が挙げられる。
【0039】
溶接機76は、溶接治具70上に形成された積層体1Aが積層方向に加圧された状態で、溶接を実行してもよい。溶接治具70は、積層体1Aの上方に載置される上側プレートと、下側プレート72に対して近接又は離隔させるように上側プレートを駆動する駆動部と、を有してもよい。上側プレートを下側プレート72に対して近接させるように移動させることで、積層方向において積層体1Aが加圧されてもよい。
【0040】
[積層鉄心の製造方法]
続いて、
図3~
図5を参照して、積層鉄心1の製造方法について説明する。まず、金属板MSを所定形状に沿って打ち抜いて、複数のブロック体Bを形成する工程(形成工程)が行われる。例えば、
図3に示されるように、コントローラ100からの動作指示に基づいて、プレス加工装置40が、金属板MSを順次打ち抜きつつ複数の打抜部材Wを積層して、ブロック体Bを形成する。プレス加工装置40から排出されたブロック体Bは、個別に、又は、他のブロック体Bと共に、コンベア50によって溶接装置60に搬送される。
【0041】
次に、溶接治具70上に、複数のブロック体Bが積層される工程(積層工程)が行われる(
図4参照)。この工程において、複数のブロック体Bそれぞれの基準位置を周方向において相対的にずらしつつ、複数のブロック体Bが溶接治具70上に積層されてもよい。溶接治具70上での複数のブロック体Bの積層(溶接治具70上への複数のブロック体Bのセット)は、ロボット等の装置によって行われてもよく、人手で行われてもよい。
【0042】
複数のブロック体Bを積層する工程では、最初に、1個目のブロック体Bが、溶接治具70上にセットされる。1個目のブロック体Bは、下側プレート72の上面に対して一方の主面を対向させた状態で、複数の位置決め部材80それぞれが、対応する一対のティース部4の間に挿入されるように、溶接治具70上にセットされる。その後、2個目のブロック体Bが、1個目のブロック体Bの基準位置の周方向における位置(角度)に対して、2個目のブロック体Bの基準位置の周方向における位置を所定角度だけ異ならせて、溶接治具70上の1個目のブロック体B上に重ねられる。2個目のブロック体Bも、複数の位置決め部材80それぞれが、2個目のブロック体Bにおける対応する一対のティース部4の間に挿入されるように、溶接治具70上にセットされる。
【0043】
3個目以降のブロック体Bについても、1つ前のブロック体Bの基準位置に対して基準位置の角度を所定角度だけずらしつつ、複数の位置決め部材80それぞれが対応する一対のティース部4の間に挿入されるように、溶接治具70上に順にセットされる。溶接治具70上にセットされる際に、複数の位置決め部材80によって、複数のブロック体Bそれぞれの周方向における位置が規制されて、周方向での位置決めが行われる。複数のブロック体Bを積層する工程において転積が行われるので、溶接治具70上に形成された積層体1Aの互いに隣り合うブロック体Bの間では、基準位置の角度(周方向での位置)が互いに異なっている。
【0044】
溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された後に、拡径部材74により径方向での位置決めが行われる。例えば、複数の拡縮部74aそれぞれが、径方向において軸線Axから外側に向かって移動することで、拡縮部74aの外周面が、溶接治具70に積層されている複数のブロック体Bそれぞれの内周面に当接する。これにより、複数のブロック体Bそれぞれに、外向きの力が付与される。溶接治具70は、例えば、複数のブロック体Bの外周面を径方向に沿って位置決めする部材を有している。複数の拡縮部74aにより径方向において外向きの力が付与されると、複数のブロック体B(積層体1A)は、拡縮部74aと外周面側の位置決め部材との間で、径方向において挟持される。その結果、複数のブロック体Bが径方向において位置決めされる。
【0045】
次に、溶接治具70上に積層された状態の複数のブロック体Bを溶接する工程(溶接工程)が行われる。この工程では、例えば、溶接治具70上に形成された積層体1A上に、溶接治具70が有する上側プレートが載置される。そして、駆動部によって、上側プレートを積層体1A(下側プレート72)に向かって下降させる。これにより、積層体1Aが下側プレート72と上側プレートとで挟まれた状態において、積層体1Aに対して所定の大きさの荷重が付与される。積層体1Aに荷重が付与された状態で(積層体1Aが加圧された状態で)、溶接機76によって、積層体1Aの溶接が行われる。溶接機76の溶接によって、例えば、積層方向に沿って延びる複数の溶接ビード9が形成される(
図1参照)。以上の工程によって、積層鉄心1(固定子積層鉄心)が製造される。
【0046】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0047】
ブロック体Bにおける打抜部材W同士は、カシメ部に代えて、種々の公知の手法で接続(接合)されていてもよい。ブロック体Bに含まれる複数の打抜部材W同士は、接着剤又は樹脂材料を用いて互いに接続されてもよい。あるいは、打抜部材Wに仮カシメを設け、仮カシメを介して複数の打抜部材W同士を接続して仮積層体を得た後、仮カシメを当該仮積層体から除去することによって、ブロック体Bが得られてもよい。「仮カシメ」とは、複数の打抜部材Wを一時的に一体化させるのに使用され、且つ、製品(積層鉄心1)を製造する過程において取り除かれるカシメを意味する。
【0048】
上述の例では、溶接装置60において複数のブロック体Bが積層されているが、コンベア50において搬送される前に、溶接治具70の一部を用いて、複数のブロック体Bが積層されてもよい。コンベア50での搬送前に、溶接治具70の一部(例えば、下側プレート72、及び、複数の位置決め部材80を含む一部)が、搬送部材として用いられてもよい。コンベア50での搬送前に、上記搬送部材上において、複数のブロック体Bが転積されながら積層されていることで、積層体1Aが形成されてもよい。積層体1Aが形成された状態の上記搬送部材が、コンベア50によって溶接装置60まで搬送されてもよい。
【0049】
上述の例では、位置決め部材80の軸線Axに直交する断面形状が円形を呈している。複数の位置決め部材80それぞれの上記断面形状は、楕円を呈していてもよく、多角形(例えば、四角形)を呈していてもよい。複数の位置決め部材80の間において、上記断面形状が異なっていてもよい。溶接治具70は、拡径部材74を有していなくてもよい。
【0050】
図7(a)に示されるように、溶接治具70は、複数の位置決め部材80に代えて、複数の位置決め部材82を有してもよい。
図7(a)では、複数の位置決め部材82のうちの1つの位置決め部材82が示されている。複数の位置決め部材82それぞれは、軸線Ax(位置決め部材82の延在方向)に直交する断面形状が径方向に沿って延びるように形成されている。この例では、複数の位置決め部材82のうちの1つの位置決め部材82が、第1位置決め部を構成し、他の1つの位置決め部材82が、第2位置決め部を構成する。複数の位置決め部材82の少なくとも一部が、ブロック状となるように、上記断面形状が四角形であってもよい。
【0051】
図7(b)に示されるように、拡径部材74及び位置決め部材82によって位置決めが行われても、複数のブロック体Bが積層された積層体1Aでは、斜めに傾いている(倒れている)場合がある。溶接治具70上で積層体1Aが形成された後、積層体1A上に上側プレート78が載置され、積層体1Aに対して積層方向において荷重が付与される(加圧される)。積層体1Aでの傾きの程度によっては、荷重が付与された際に、
図7(b)での破線の矢印で示されるように、位置決め部材に対して水平方向(下側プレート72の上面に沿った方向)の力が付与され得る。その結果、位置決め部材が斜めに傾いてしまい、複数のブロック体Bの間での周方向における積層ずれが大きくなってしまうおそれがある。これに対して、位置決め部材82の断面形状を径方向に沿って延ばすことで、位置決め部材82の剛性が向上し、位置決め部材が斜めに傾いてしまう可能性を低減できる。
【0052】
上述の例では、1本の位置決め部材によって、互いに隣り合う一対のティース部4の周方向における位置が規制されるが、2本以上の部材によって、対応する一対のティース部4の周方向における位置が規制されてもよい。
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、溶接治具70は、複数の位置決め部材80に代えて、複数の位置決め部材84を有してもよい。複数の位置決め部材84それぞれは、2本以上の位置決めピンを含んでもよい。
【0053】
一例では、複数の位置決め部材84それぞれは、位置決めピン85aと、位置決めピン85bと、を含む。
図8(a)に示されるように、上面視において、位置決めピン85a及び位置決めピン85bは、互いに離れた状態で配置されている。位置決めピン85a及び位置決めピン85bは、軸線Axを中心とした円周上に並んで配置されている。位置決めピン85a及び位置決めピン85bは、溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態で、互いに隣り合う一対のティース部4の間に位置している。位置決めピン85a及び位置決めピン85bが、対応する一対のティース部4の周方向における位置を規制する。
【0054】
溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態で、位置決めピン85a及び位置決めピン85bを含む位置決め部材84と、対応する一対のティース部4との間には隙間が形成される。溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態で、位置決めピン85aは、一対のティース部4の一方寄りに位置し、位置決めピン85bは、一対のティース部4の他方寄りに位置する。
図8(b)は、
図8(a)における矢印「V3」から見た側面図である。
図8(b)に示されるように、位置決めピン85aと一方のティース部4との間に隙間が形成され、位置決めピン85bと他方のティース部4との間に隙間が形成される。位置決めピン85aと一方のティース部4との間の隙間が、
図6(a)及び
図6(b)における隙間gaに対応し、位置決めピン85bと他方のティース部4との間の隙間が、
図6(a)及び
図6(b)における隙間gbに対応する。
【0055】
1つの位置決め部材84に着目した場合、
図4(a)又は
図5に例示される溶接治具70を用いた場合と同様に、複数のブロック体Bの間で、隙間ga及び隙間gbの大きさの合計値が、互いに略一致していてもよい。
図4(a)又は
図5に例示される溶接治具70を用いた場合と同様に、1つの位置決め部材84での隙間ga及び隙間gbの大きさの合計値が、他の位置決め部材84での隙間ga及び隙間gbの大きさの合計値に略一致していてもよい。
【0056】
複数の位置決め部材84の任意に選択された1つを「位置決め部材84A」と表記し、他の1つを「位置決め部材84B」と表記する。位置決め部材84Aと、位置決め部材88Aに対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさは、位置決め部材84Bと、位置決め部材84Bに対応する一対のティース部4との間の隙間の大きさに略一致してもよい。この場合、位置決め部材84A(第1位置決め部)での隙間gaの大きさと隙間gbの大きさの合計値が、位置決め部材84B(第2位置決め部)での隙間gaの大きさと隙間gbの大きさの合計値に略一致してもよい。溶接治具70上にブロック体Bをセットする際に、複数の位置決め部材84(例えば、複数組の位置決めピン85a,85b)それぞれを一対のティース部4の間に挿入しつつ、ブロック体Bを重ねていく必要がある。この場合、複数の位置決め部材84によって、複数のブロック体Bそれぞれの周方向の位置が規制されて、周方向での位置決めが行われる。位置決め部材84Aにより周方向の位置が規制される一対のティース部4が一対の第1ティース部を構成する場合、位置決め部材84Bにより周方向の位置が規制される一対のティース部4が一対の第2ティース部を構成する。
【0057】
上述の例では、1つの位置決め部材が、対応する一対のティース部4の周方向における位置を規制するが、位置決め部材が、対応する1つのティース部4を間に挟んで、当該ティース部4の周方向における位置を規制してもよい。
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、溶接治具70は、複数の位置決め部材80に代えて、複数の位置決め部材88を有してもよい。複数の位置決め部材88それぞれは、例えば、位置決めブロック89aと、位置決めブロック89bとを含む。
【0058】
図9(a)に示されるように、上面視において、位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bは、互いに離れた状態で配置されている。位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bは、軸線Axを中心とした円周上に並んで配置されている。位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bは、溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態で、1つのティース部4を間に挟むように位置している。位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bが、対応する1つのティース部4の周方向における位置を規制する。複数の位置決め部材88を有する溶接治具70が用いられる場合には、複数の位置決め部材88のうちの1つの位置決め部材88が、その位置決め部材88に対応する1つのティース部4(第1部分)の周方向における位置を規制する第1位置決め部を構成する。また、複数の位置決め部材88のうちの他の1つの位置決め部材88が、その位置決め部材88に対応する他の1つのティース部4(第2部分)の周方向における位置を規制する第2位置決め部を構成する。
【0059】
溶接治具70上に複数のブロック体Bが積層された状態で、位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bを含む位置決め部材88と、対応する1つのティース部4との間には隙間が形成される。位置決め部材88と対応するティース部4との間に隙間が設けられるとは、位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bの両方と、対応するティース部4との間に隙間が形成されることを意味する。なお、あるブロック体Bの一部のティース部4において、当該ティース部4が、位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bのいずれか一方と接触している場合もある。
【0060】
図9(b)は、
図9(a)における矢印「V4」から見た側面図である。
図9(b)に示されるように、位置決めブロック89aとティース部4との間には隙間ga1が形成されており、位置決めブロック89bとティース部4との間には隙間gb1が形成されている。位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bを含む位置決め部材88と、対応するティース部4との間の隙間の大きさは、隙間ga1の大きさと隙間gb1の大きさの合計値で表される。隙間ga1の大きさは、位置決めブロック89aと対応するティース部4との間の最短距離で定義される。隙間gb1の大きさは、位置決めブロック89bと対応するティース部4との間の最短距離で定義される。
【0061】
1つの位置決め部材88に着目した場合、1つのブロック体Bでの隙間ga1の大きさと隙間gb1の大きさとの合計値は、他のブロック体Bでの隙間ga1の大きさと隙間gb1の大きさとの合計値に略一致してもよい。言い換えると、位置決め部材88と1つのブロック体Bの対応するティース部4との間の隙間の大きさは、その位置決め部材88と他のブロック体Bの対応するティース部4との間の隙間の大きさに略一致してもよい。全てのブロック体Bの間において、位置決め部材88と対応する1つのティース部4との間の隙間の大きさ(隙間ga1及び隙間gb1の大きさの合計値)が略一致してもよい。
【0062】
複数の位置決め部材88の任意に選択された1つを「位置決め部材88A」と表記し、他の1つを「位置決め部材88B」と表記する。位置決め部材88Aと、位置決め部材88Aに対応するティース部4(第1ティース部)との間の隙間の大きさは、位置決め部材88Bと、位置決め部材88Bに対応するティース部4(第2ティース部)との間の隙間の大きさに略一致してもよい。この場合、位置決め部材88Aでの隙間ga1の大きさと隙間gb1の大きさの合計値が、位置決め部材88Bでの隙間ga1の大きさと隙間gb1の大きさの合計値に略一致してもよい。溶接治具70上にブロック体Bをセットする際に、複数の位置決め部材88それぞれの位置決めブロック89a及び位置決めブロック89bの間に対応するティース部4を挿入しつつ、ブロック体Bを重ねていく必要がある。この場合、複数組の位置決めブロック89a及び位置決めブロック89b(複数の位置決め部材88)によって、複数のブロック体Bそれぞれの周方向の位置が規制されて、周方向での位置決めが行われる。
【0063】
上述の例では、溶接治具70等の治具上で積層体1Aが形成された後に積層体1Aに対する溶接が行われることで、複数のブロック体B同士が固定されるが、溶接以外の手法によって、複数のブロック体B同士が互いに固定されてもよい。溶接以外の手法により、複数のブロック体B同士を固定する際に、下側プレート72に複数の位置決め部材80,82,84,88が設けられた積層治具(治具)が用いられてもよい。溶接以外の手法としては、例えば、接着剤を塗布しつつ積層及び加圧を行って固定する方法、溶融樹脂を固化させて樹脂部を形成して固定する方法が挙げられる。
【0064】
溶接治具70又は上記積層治具等の治具を用いて、打抜部材Wが1枚ずつ積層されて、積層体が形成されてもよい。この場合、積層体に含まれる複数の打抜部材Wそれぞれ(各打抜部材W)が、鉄心部材を構成する。積層体において互いに隣り合う打抜部材W同士は、溶接、接着剤の塗布、接着鋼板を利用する方法、又は、樹脂部を形成する方法によって接続されてもよい。
【0065】
プレス加工装置40において複数の打抜部材Wが形成された後に、複数の打抜部材Wを積層することで仮積層体が形成されてもよい。そして、仮積層体から打抜部材Wを1枚ずつ取り出して、打抜部材Wの主面に接着剤を塗布しつつ、上記積層治具上で複数の打抜部材Wが順に重ねられてもよい。接着剤が塗布された複数の打抜部材Wが積層されて上記積層治具上に積層体が形成された後に、積層方向において積層体が加圧されてもよい。この例では、積層方向に隣り合う打抜部材W同士が、塗布された接着剤によって固定される。
【0066】
プレス加工装置40によって打ち抜かれる金属板MSが、接着機能を有する被膜を含んでもよい。接着機能を有する被膜が形成された金属板MS(接着鋼板)がプレス加工装置40によって打ち抜かれて、上記被膜を含む複数の打抜部材Wが形成されてもよい。上記被膜を含む複数の打抜部材Wが、上記積層治具において積層されて積層体が形成されてもよい。積層治具上に積層体が形成された後に、積層治具上で積層方向において積層体を加圧しつつ加熱することで、接着機能を有する被膜を硬化させてもよい。上記被膜が硬化することによって、積層方向に隣り合う打抜部材W同士が固定される(一体化される)。
【0067】
上述の例では、ブロック体Bの周方向の位置決めを行う際に、溶接治具70等の治具の位置決め部材によって、ティース部4の周方向の位置が規制されるが、治具の位置決め部材によって、ティース部4以外の部分の周方向の位置が規制されてもよい。一例では、ヨーク部2の外周面に設けられた位置決め用の溝、又は、ヨーク部2の外周面に設けられた膨出部に形成された貫通孔の周方向の位置が、治具の位置決め部によって規制されてもよい。治具上に複数のブロック体B又は複数の打抜部材Wが積層された状態において、位置決め部と、位置決め用の溝、貫通孔(これら溝、貫通孔を区画する面)との間に隙間が形成されてもよい。
【0068】
上述の例では、積層鉄心1が、ステータ用のコア(固定子積層鉄心)である場合を例に説明したが、積層鉄心1は、ロータ用のコア(回転子積層鉄心)であってもよい。ロータ用のコアは、円柱状を呈していてもよく、積層方向に延びる中心孔(貫通孔)が形成されていてもよい。ブロック体B及び打抜部材Wは、回転子積層鉄心に対応した形状を有していてもよい。積層鉄心1が、ロータ用のコアである場合においても、周方向における位置を規制する複数の位置決め部が設けられた治具上に、複数のブロック体B又は複数の打抜部材Wが積層される。ブロック体B等の外周面又は内周面に設けられた位置決め用の溝、又は、永久磁石が配置される磁石孔等の貫通孔の周方向における位置が、治具の複数の位置決め部によって規制されてもよい。
【0069】
以上に説明した種々の例のうちの1つの例で説明した事項の少なくとも一部が、他の例に適用されてもよい。
【0070】
[実施形態の効果]
以上に説明した積層鉄心1の製造方法は、金属板MSを所定形状に沿って打ち抜いて、複数の鉄心部材を形成する形成工程と、所定の軸線Axまわりの周方向において互いに異なる位置に配置された第1位置決め部と第2位置決め部とを有する治具上に、複数の鉄心部材を積層する積層工程と、を含む。第1位置決め部は、複数の鉄心部材それぞれの第1部分の周方向における位置を規制する。第2位置決め部は、複数の鉄心部材それぞれの第2部分の周方向における位置を規制する。積層工程では、第1部分と第1位置決め部との間、及び、第2部分と第2位置決め部との間に隙間が設けられるように、治具上に複数の鉄心部材が積層される。
【0071】
例えば、上述の特許文献1に記載の技術のように、2箇所のティース部それぞれを、2つの位置決め部(2組の位置出しピンの間)に嵌合させる場合、製造誤差等によって、位置決め部と干渉して打抜部材(コア材)を治具上にセットできないおそれがある。また、複数の鉄心部材を治具上で積層する際に、周方向における位置決めを行う方法として、複数の鉄心部材の1箇所(例えば、固定子積層鉄心を構成する複数の鉄心部材それぞれの1つのティース部:以下、「対象箇所」という。)を基準に行うことが考えられる。上記方法では、対象箇所に対して、周方向において位置決め部材を当接させることで、複数の鉄心部材それぞれの対象箇所の周方向における位置が揃えられる。しかしながら、複数の鉄心部材それぞれの、対象箇所に対応し、周方向において異なる位置にある別の箇所(例えば、複数の鉄心部材それぞれの別のティース部)では、製造誤差等に起因して周方向での積層ずれが大きくなる。一例では、複数の鉄心部材が固定子積層鉄心を構成する場合、対象箇所である基準のティース部以外の別のティース部において、積層ずれが大きくなる。その結果、積層鉄心の全体を考慮した際に、互いに重なるティース部同士の積層ずれの大きさを示す尺度の最大値が、大きくなってしまう。
【0072】
1箇所を基準として周方向における位置決めを行う方法に対して、上述した積層鉄心1の製造方法では、治具上に複数の鉄心部材が積層される際に、第1部分と第1位置決め部との間、及び、第2部分と第2位置決め部との間に隙間が設けられる。これにより、治具上に積層される際に、複数の鉄心部材それぞれの第1部分と、複数の鉄心部材それぞれの第2部分とが、位置決め部材で規定される範囲で、周方向における位置が調節される。そのため、上記方法のように、第1部分では積層ずれは極端に小さいが、第2部分においては積層ずれが大きくなるという懸念がない。その結果、治具上で積層された複数の鉄心部材において、全体として積層ずれの程度を小さくすることできる。言い換えると、治具上の複数の鉄心部材において、複数の鉄心部材それぞれの周方向における位置を揃えたい部分での積層ずれの大きさを示す尺度の最大値を小さくすることができる。従って、本製造方法は、積層ずれの低減に有用である。
【0073】
以上に説明した製造方法は、上記治具上で積層された状態の複数の鉄心部材を溶接する溶接工程を更に含んでもよい。この方法では、複数の鉄心部材の周方向における位置が、全体的に小さくなっている状態で、溶接を行うことができる。その結果、積層ずれが低減された状態の積層鉄心を得ることが可能である。
【0074】
以上に説明した製造方法では、上記治具上に複数の鉄心部材が積層された状態において、第1部分と第1位置決め部との間の隙間の大きさは、第2部分と第2位置決め部との間の隙間の大きさに略一致してもよい。この場合、第1部分と第2部分との間で、治具上に積層される際に位置決め部によって規定される調節可能な範囲が略一致する。そのため、治具上で積層された複数の鉄心部材において、全体として積層ずれの程度を更に小さくすることできる。従って、積層ずれの低減に更に有用である。
【0075】
以上に説明した製造方法では、第1位置決め部及び第2位置決め部それぞれは、軸線に直交する断面形状が、軸線を中心とした円の径方向に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合、第1位置決め部及び第2位置決め部それぞれの剛性が向上する。治具上の複数の鉄心部材が積層方向において加圧されると、積層方向に交差する方向において位置決め部に外力が加わり、位置決め部が倒れて、位置決め部による周方向の位置の規制が解除される可能性がある。これに対して、上記方法では、位置決め部の剛性が向上しているので、積層方向での加圧に起因して発生する外力によって位置決め部が倒れ難い。その結果、位置決め部による位置の規制が解除される可能性が低減される。従って、積層ずれの低減に更に有用である。
【0076】
以上に説明した製造方法では、複数の鉄心部材それぞれは、環状に形成されたヨーク部2と、ヨーク部2に交差して延びる複数のティース部4と、を含んでもよい。上記第1部分は、複数のティース部4のうちの互いに隣り合う一対の第1ティース部であってもよく、上記第2部分は、複数のティース部4のうちの互いに隣り合う一対の第2ティース部であってもよい。第1位置決め部は、治具上に複数の鉄心部材が積層された際に、周方向において一対の第1ティース部の間に位置するように形成されていてもよい。第2位置決め部は、治具上に複数の鉄心部材が積層された際に、周方向において一対の第2ティース部の間に位置するように形成されていてもよい。この場合、ティース部4に対して周方向における位置の調節(規制)が直接行われるので、複数のティース部4それぞれにおける積層ずれを、ティース部4以外の箇所で位置決めを行う方法に比べて、小さくすることができる。従って、ティース部4での積層ずれを低減するのに有用である。
【0077】
以上に説明した製造方法では、複数の鉄心部材それぞれは、環状に形成されたヨーク部2と、ヨーク部2に交差して延びる複数のティース部4と、を含んでもよい。上記第1部分は、複数のティース部4のうちの第1ティース部であってもよく、上記第2部分は、複数のティース部4のうちの第2ティース部であってもよい。第1位置決め部は、治具上に複数の鉄心部材が積層された際に、周方向において第1ティース部を挟むように形成されていてもよい。第2位置決め部は、治具上に複数の鉄心部材が積層された際に、周方向において第2ティース部を挟むように形成されていてもよい。この場合、ティース部4に対して周方向における位置の調節(規制)が直接行われるので、複数のティース部4それぞれにおける積層ずれを、ティース部4以外の箇所で位置決めを行う方法に比べて、小さくすることができる。従って、ティース部4での積層ずれを低減するのに有用である。
【0078】
積層工程は、複数の鉄心部材それぞれの基準位置を周方向において相対的にずらしつつ、治具上に複数の鉄心部材を積層することを含んでもよい。この方法では、いわゆる転積が行われるので、治具上に積層された複数の鉄心部材において、板厚の偏差を縮小させることができる。一方、転積が行われることで、複数の鉄心部材それぞれの第1部分の間、及び、複数の鉄心部材それぞれの第2部分の間において、位置決めの実行有無に関係なく、周方向における位置の差が大きくなり得る。その結果、仮に、1箇所を基準に周方向での位置を合わせると、複数の鉄心部材それぞれの他の箇所での周方向での位置の差が大きくなってしまう。これに対して、以上に説明した積層鉄心1の製造方法では、全体としての積層ずれが低減される。したがって、本製造方法を用いて積層ずれを縮小することが有用である。なお、転積の角度が、360°/Nであり、Nが3以上の自然数である場合に、位置決めの実行有無に関係なく、周方向における位置の差が大きくなる傾向があり、本製造方法を用いて積層ずれを縮小することが更に有用である。
【0079】
[付記]
本開示は、以下の付記1~7の方法を含んでいてもよい。
<付記1>
金属板を所定形状に沿って打ち抜いて、複数の鉄心部材を形成する形成工程と、
所定の軸線まわりの周方向において互いに異なる位置に配置された第1位置決め部と第2位置決め部とを有する治具上に、前記複数の鉄心部材を積層する積層工程と、を含み、
前記第1位置決め部は、前記複数の鉄心部材それぞれの第1部分の前記周方向における位置を規制し、
前記第2位置決め部は、前記複数の鉄心部材それぞれの第2部分の前記周方向における位置を規制し、
前記積層工程では、前記第1部分と前記第1位置決め部との間、及び、前記第2部分と前記第2位置決め部との間に隙間が設けられるように、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層される、積層鉄心の製造方法。
<付記2>
前記治具上で積層された状態の前記複数の鉄心部材を溶接する溶接工程を更に含む、付記1に記載の製造方法。
<付記3>
前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された状態において、前記第1部分と前記第1位置決め部との間の隙間の大きさは、前記第2部分と前記第2位置決め部との間の隙間の大きさに略一致する、付記1又は2に記載の製造方法。
<付記4>
前記第1位置決め部及び前記第2位置決め部それぞれは、前記軸線に直交する断面形状が、前記軸線を中心とした円の径方向に沿って延びるように形成されている、付記1~3のいずれか1つに記載の製造方法。
<付記5>
前記複数の鉄心部材それぞれは、環状に形成されたヨーク部と、前記ヨーク部に交差して延びる複数のティース部と、を含み、
前記第1部分は、前記複数のティース部のうちの互いに隣り合う一対の第1ティース部であり、
前記第2部分は、前記複数のティース部のうちの互いに隣り合う一対の第2ティース部であり、
前記第1位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記一対の第1ティース部の間に位置するように形成されており、
前記第2位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記一対の第2ティース部の間に位置するように形成されている、付記1~4のいずれか1つに記載の製造方法。
<付記6>
前記複数の鉄心部材それぞれは、環状に形成されたヨーク部と、前記ヨーク部に交差して延びる複数のティース部と、を含み、
前記第1部分は、前記複数のティース部のうちの第1ティース部であり、
前記第2部分は、前記複数のティース部のうちの第2ティース部であり、
前記第1位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記第1ティース部を挟むように形成されており、
前記第2位置決め部は、前記治具上に前記複数の鉄心部材が積層された際に、前記周方向において前記第2ティース部を挟むように形成されている、付記1~4のいずれか1つに記載の製造方法。
<付記7>
前記積層工程は、前記複数の鉄心部材それぞれの基準位置を前記周方向において相対的にずらしつつ、前記治具上に前記複数の鉄心部材を積層することを含む、付記1~6のいずれか1つに記載の製造方法。
【符号の説明】
【0080】
1…積層鉄心、2…ヨーク部、4…ティース部、B…ブロック体、W…打抜部材、MS…金属板、70…溶接治具、Ax…軸線、80,82,84,88…位置決め部材、ga,gb,ga1,gb1…隙間。