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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017233
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240201BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240201BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240201BHJP
   H01M 50/141 20210101ALI20240201BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240201BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/264
H01M50/103
H01M50/141
H01M50/262 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119743
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】中野 峰士
(72)【発明者】
【氏名】飯田 純一
(72)【発明者】
【氏名】田丸 耕二郎
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匡平
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【テーマコード(参考)】
5H011
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA10
5H040AA01
5H040AA18
5H040AA32
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AY06
5H040CC20
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】液絡を抑制しつつ装置の大型化を抑制可能な蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置1は、電極積層体11及び第2シール部12を有する蓄電モジュール4と、第1方向D1に電極積層体11を挟むように配置された一対の拘束板8と、第1方向D1からみて第2シール部12の外側に配置され、一対の拘束板8を締結することにより電極積層体11を拘束する複数の締結具9及び支柱10と、を備える。第2シール部12の外周面12sには、下方に向かうほど外周面12sから離れるように傾斜する上面61sを有する庇部60が形成されている。庇部60における支柱10のそれぞれに対向する部分には、切り欠き70が形成されている。切り欠き70の縁部71には、当該縁部71から突出すると共に縁部71に沿って延在する壁部72が形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体、及び、前記電極の間を封止するように前記電極積層体の周囲に設けられたシール部を有する蓄電モジュールと、
前記第1方向に前記電極積層体を挟むように配置された一対の拘束板と、
前記第1方向からみて前記シール部の外側に配置され、前記第1方向に沿って延在すると共に前記第1方向に沿って前記一対の拘束板を接続することにより、前記電極積層体を拘束する複数の接続部材と、
を備え、
前記シール部の前記第1方向に沿った外周面には、前記第1方向の下方(に向かうほど前記外周面から離れるように傾斜する上面を有する庇部が形成されており、
前記庇部における前記接続部材のそれぞれに対向する部分には、前記接続部材から離間するように切り欠きが形成されており、
前記切り欠きの縁部には、当該縁部から前記第1方向の上方に突出すると共に前記縁部に沿って延在する壁部が形成されている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記壁部は、前記庇部の先端に至るように前記縁部の全体にわたって延在している、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1方向における前記壁部の上端面は、前記シール部における前記切り欠きに対応する部分の前記第1方向の上端面であるシール部上端面と面一か、前記シール部上端面よりも前記第1方向の上方に位置する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記接続部材における前記外周面に対向する部分の外縁の形状は、前記第1方向からみて円弧状であり、
前記切り欠きの前記縁部の形状、及び、前記壁部の形状は、前記第1方向からみて前記接続部材の前記外縁の形状に対応して凹む円弧状である、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記壁部は、前記第1方向の上方に向かうほど前記外周面から離れるように傾斜している、
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電装置が記載されている。この蓄電装置は、拘束具と、複数の蓄電ユニットと、複数の集電板と、絶縁板と、を含む。拘束具は、天板及び底板と柱とを含み、天板と底板との間に、複数の蓄電ユニットと複数の集電板と絶縁板とが配置されている。また、柱の上端部が天板に固定され、柱の下端部が底板に固定されている。蓄電ユニットは、シール部材と、シール部材の長壁部に形成された庇とを含む。庇は、長壁部の外周面から水平方向に離れるにつれて下方に向けて延びる傾斜面を有する傾斜部分を含む。拘束具の柱は、長壁部に沿って蓄電ユニットの積層方向に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/138110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の蓄電装置では、ある蓄電ユニット間の隙間に溜まった液体が、当該隙間から庇にたれ落ちて庇の傾斜面上を移動することによって、水平方向について別の蓄電ユニット間の隙間から離される。これにより、当該液体が別の蓄電ユニットの隙間に入り込むことを抑制することを図っている。この結果、当該液体による短絡(液絡)が抑制され得る。
【0005】
上記特許文献1に記載の蓄電装置では、拘束具の柱を、シール部材から張り出すように設けられた庇から所定の距離だけ離れた位置に設ける必要があるため、庇を設けない場合と比較して庇の分だけ蓄電装置が大型化することとなる。一方で、車両等への蓄電装置の搭載の際には、蓄電装置の大型化を抑制することが望ましい。
【0006】
本開示は、液絡を抑制しつつ装置の大型化を抑制可能な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る蓄電装置は、第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体、及び、電極の間を封止するように電極積層体の周囲に設けられたシール部を有する蓄電モジュールと、第1方向に電極積層体を挟むように配置された一対の拘束板と、第1方向からみてシール部の外側に配置され、第1方向に沿って延在すると共に第1方向に沿って一対の拘束板を接続することにより、電極積層体を拘束する複数の接続部材と、を備え、シール部の第1方向に沿った外周面には、第1方向の下方に向かうほど外周面から離れるように傾斜する上面を有する庇部が形成されており、庇部における接続部材のそれぞれに対向する部分には、接続部材から離間するように切り欠きが形成されており、切り欠きの縁部には、当該縁部から第1方向の上方に突出すると共に縁部に沿って延在する壁部が形成されている。
【0008】
この蓄電装置では、電極積層体の周囲にシール部が設けられると共に、当該シール部の外周面に対して、下方に向かうほど外周面から離れるように傾斜する上面を有する庇部が形成されている。このため、シール部の外周面に液体が付着した場合に、当該液体が庇部の上面上を下方に向かって移動することにより、外周面から離されて上面から落ちることとなる。よって、当該液体に依る短絡が抑制される。
【0009】
一方、この蓄電装置では、電極積層体を拘束するための接続部材が、シール部の外側に配置される。そして、庇部における接続部材に対向する部分には、接続部材から離間するように切り欠きが設けられている。このため、庇部に切り欠きが設けられていない場合と比較して、接続部材と庇部との距離を確保しつつ、接続部材をよりシール部の外周面の近くに配置することが可能となる。よって、装置の大型化が抑制される。
【0010】
さらに、この蓄電装置では、当該切り欠きの縁部には、第1方向の上方に突出しつつ縁部に沿って延在する壁部が形成されている。このため、切り欠きに対応する位置においてシール部の外周面に付着した液体が、切り欠きと接続部材との隙間に侵入することが壁部によって抑制される。つまり、上記のように切り欠きを設けた場合であっても、当該切り欠きに起因した液絡が抑制される。以上のように、この蓄電装置によれば、液絡を抑制しつつ装置の大型化が抑制可能である。
【0011】
本開示に係る蓄電装置では、壁部は、庇部の先端に至るように縁部の全体にわたって延在していてもよい。この場合、切り欠きに対応する位置においてシール部の外周面に付着した液体が、切り欠きの縁部に設けられた壁部によって、庇部の上面に確実にガイドされる。よって、液絡をより確実に抑制可能である。
【0012】
本開示に係る蓄電装置では、第1方向における壁部の上端面は、シール部における切り欠きに対応する部分の第1方向の上端面であるシール部上端面と面一か、シール部上端面よりも第1方向の上方に位置してもよい。この場合、シール部の上端面から外周面に向かって移動する液体が、壁部を乗り越えて切り欠きと接続部材との隙間に侵入することが抑制される。
【0013】
本開示に係る蓄電装置では、接続部材における外周面に対向する部分の外縁の形状は、第1方向からみて円弧状であり、切り欠きの縁部の形状、及び、壁部の形状は、第1方向からみて接続部材の外縁の形状に対応して凹む円弧状であってもよい。この場合、壁部と接続部材との距離を確保しつつ、壁部の端部(円弧の端部)側においてシール部の外周面との距離を拡大させ、庇部に向けて液体を流しやすくすることが可能である。
【0014】
本開示に係る蓄電装置では、壁部は、第1方向の上方に向かうほど外周面から離れるように傾斜していてもよい。この場合、壁部が第1方向と平行に延在する場合と比較して、第1方向からみたときの壁部の表面積が拡大されるため、より多くの液体を庇部に向けて流しやすくなる。また、この場合には、例えばシール部及び壁部を射出成形により形成する場合に、壁部が離型しやすくなり、製造が容易化される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、液絡を抑制しつつ装置の大型化を抑制可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る蓄電装置の第1方向及び第2方向を含む断面を示す概略断面図である。
図2図2は、一実施形態に係る蓄電装置の第1方向及び第3方向を含む断面を示す概略断面図である。
図3図3は、図1,2に示された蓄電モジュールを示す概略断面図である。
図4図4は、図1~3に示された蓄電モジュールの平面図である。
図5図5は、図4に示された部分P1の拡大図である。
図6図6は、図4に示された部分P2の拡大図である。
図7図7は、図4に示された部分P2の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、蓄電装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。また、各図には、第1方向D1を規定する第1軸、第2方向D2を規定する第2軸、及び、第3方向D3を規定する第3軸によって構成される直交座標系を図示する。一例として、第1方向D1は鉛直方向であり、第2方向D2及び第3方向D3は、互いに交差する2つの水平方向である。
【0018】
図1は、一実施形態に係る蓄電装置の第1方向及び第2方向を含む断面を示す概略断面図である。図2は、一実施形態に係る蓄電装置の第1方向及び第3方向を含む断面を示す概略断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられ得る。蓄電装置1は、第1方向D1に沿って積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対して第1方向D1に沿って拘束荷重を付加する拘束部材3と、を備えている。
【0019】
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは2つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、例えばバイポーラ電池であり、第1方向D1からみて矩形状をなしている。より具体的には、蓄電モジュール4は、第1方向D1からみて長辺と短辺とを有する長方形状である。蓄電モジュール4は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池、又は、電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0020】
モジュール積層体2では、第1方向D1に沿って隣り合う蓄電モジュール4の間に、導電板5が介在されている。これにより、複数の蓄電モジュール4が導電板5を介して電気的に接続されている。より具体的には、各蓄電モジュール4は、第1方向D1の一方の端面に正極端子面を備え、第1方向D1の他方の端面に負極端子面を備えており、導電板5を介して積層される複数の蓄電モジュール4が直列接続される。モジュール積層体2の第1方向D1の一端に位置する蓄電モジュール4の外側には、正極端子6aが引き出された集電板6が配置されて当該蓄電モジュール4に電気的に接続されている。また、モジュール積層体2の第1方向D1の他端に位置する蓄電モジュール4の外側には、負極端子7aが引き出された集電板7が配置されて当該蓄電モジュール4に電気的に接続されている。これらの正極端子6a及び負極端子7aを用いることにより、蓄電装置1の充放電が行われる。
【0021】
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、第1方向D1と、正極端子6a及び負極端子7aの引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向(ここでは第3方向D3)に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱部材としての機能を有する。
【0022】
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向に挟む一対の拘束板8と、拘束板8同士を締結することにより接続するボルト等の複数の締結具(接続部材)9と、締結具9の本体部(例えばボルトの軸部)を収容する支柱(接続部材)10と、を含む。拘束板8は、第1方向から見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。拘束板8は、第1方向D1からみて長辺と短辺とを有する長方形状である。拘束板8の内側面(モジュール積層体2側の面)には、板状の絶縁部材Fが設けられている。すなわち、モジュール積層体2と拘束板8との間には、集電板6又は集電板7と絶縁部材Fが介在される。これにより、拘束板8とモジュール積層体2(集電板6,7)との間が絶縁される。
【0023】
一方の拘束板8の縁部には、第1方向D1からみてモジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられ、他方の拘束板8の縁部には、挿通孔8aに対向する位置においてネジ穴8bが設けられている。締結具9は、一方の拘束板8の挿通孔8aから他方の拘束板8のネジ穴8bに向かって通され、他方の拘束板8のネジ穴8bに螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5が拘束板8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して第1方向に沿って拘束荷重が付加される。
【0024】
このように、締結具9は、モジュール積層体2(後述する第2シール部12)の外側に配置され、第1方向D1に沿って延在すると共に第1方向D1に沿って一対の拘束板8を互いに締結することにより、モジュール積層体2(後述する電極積層体11)を拘束する。支柱10は、一対の拘束板8の間に介在され、締結具9と共に第1方向D1に沿って延在している。支柱10は、第1方向D1についての一対の拘束板8の距離を規定することにより、モジュール積層体2への拘束力を規定する。
【0025】
なお、蓄電装置1では、1つの締結具9と当該締結具9を収容する1つの支柱10とからなる接続部材が、第1方向D1からみたときに拘束板8の長辺に沿って複数配列されている。また、接続部材同士は、第1方向D1からみたときに、拘束板8の短辺に沿う方向に互いに対向している。そして、当該対向する接続部材同士が互いに近づくほど、拘束板8を介して蓄電モジュール4に均一に拘束荷重を付加することが可能となる。
【0026】
図3は、図1,2に示された蓄電モジュールの構成を示す概略断面図である。図3に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の第2シール部(シール部)12と、を備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して、第1方向D1に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、一つの負極終端電極18、及び、一つの正極終端電極19)を含む。ここでは、電極の積層方向は蓄電モジュール4の積層方向と一致している。
【0027】
バイポーラ電極14は、第1面15a及び第1面15aの反対の第2面15bを含む電極板15、第1面15aに設けられた正極活物質層16、第2面15bに設けられた負極活物質層17を含んでいる。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極活物質層16は、セパレータ13を挟んで第1方向D1に隣り合う別のバイポーラ電極14の負極活物質層17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極活物質層17は、セパレータ13を挟んで第1方向D1に隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極活物質層16と対向している。
【0028】
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極活物質層17を含んでいる。負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、活物質層が設けられていない。負極終端電極18は、その第2面15bが電極積層体11の内側(第1方向D1についての中心側)になるように、電極積層体11の第1方向D1の一端に配置されている。負極終端電極18の負極活物質層17は、セパレータ13を介して、第1方向D1の一端のバイポーラ電極14の正極活物質層16と対向している。
【0029】
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極活物質層16を含んでいる。正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、活物質層が設けられていない。正極終端電極19は、その第1面15aが電極積層体11の内側になるように、電極積層体11の第1方向D1の他端に配置されている。正極終端電極19の正極活物質層16は、セパレータ13を介して、第1方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極活物質層17と対向している。
【0030】
負極終端電極18の電極板15の第1面15aは、電極積層体11の外側に臨む面である。負極終端電極18の第1面15aには、後述する金属板50を介して、導電板5が電気的に接続されている。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bは、電極積層体11の外側に臨む面である。正極終端電極19の第2面15bには、後述する金属板50を介して、別の導電板5が電気的に接続されている。
【0031】
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の周縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の周縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質層16及び負極活物質層17が形成されていない領域となっている。正極活物質層16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極活物質層17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。
【0032】
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
【0033】
電極積層体11は、絶縁性の樹脂からなる複数の第1シール部21を含む。複数の第1シール部21は、それぞれ、第1部分21aと第2部分21bと第3部分21cとを含む。第1部分21aは、第1方向D1からみて矩形枠状に形成されており、電極板15の周縁部15cに接合(例えば溶着)されている。第2部分21bは、第1方向D1からみて矩形枠状を呈しており、第1部分21aの一部の上に配置されている。すなわち、第1方向D1からみて、第2部分21bの内縁は、第1部分21aの内縁よりも外側に位置している。セパレータ13は、その周縁部が、第1部分21aの第2部分21bから露出された部分に配置されて接合(例えば溶着されている)。
【0034】
第3部分21cは、第1方向D1に沿って延びる矩形筒状を呈しており、複数の第1部分21a及び複数の第2部分21bを互いに接合して一体化している。第1部分21a及び第2部分21bは、例えば、1枚のシート状の部材を折り重ねることにより形成され得る。この場合、第3部分21cは、例えば、当該シート状の部材の折り曲げ箇所(第1部分21a及び第2部分21bの外側の端部)を溶着することにより形成される溶着端部である。
【0035】
第2シール部12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形筒状に形成されている。第2シール部12は、電極積層体11を包囲するように電極積層体11の周囲に設けられている。第2シール部12は、第1シール部21を外側から包囲するように第1シール部21に接合(例えば溶着)されている。第2シール部12は、例えば、樹脂の射出成型によって形成され、第1方向D1に沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2シール部12は、例えば、射出成型時の熱によって第1シール部21の外表面に溶着されている。
【0036】
第1シール部21及び第2シール部12は、第1方向Dに沿って隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。すなわち、第1シール部21及び第2シール部12は、電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止するためのものである。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。電解液の少なくとも一部は、セパレータ13、正極活物質層16及び負極活物質層17内に含浸され得る。
【0037】
第1シール部21及び第2シール部12は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
【0038】
図1~3に示されるように、第2シール部12は、一対の外周面12sと、外周面12s同士を接続する一対の外周面12rと、を含む。外周面12s及び外周面12rは、第1方向D1に沿って延びる面である。ここでは、外周面12sが第3方向D3に交差(直交)する面であり、外周面12rが第2方向D2に交差(直交)する面である。また、外周面12sの第2方向D2への長さは、外周面12rの第3方向D3への長さよりも長い。上述した導電板5において、流路5aは、第3方向D3に沿って延在し、導電板5の第3方向D3に交差する一対の表面に開口している。
【0039】
したがって、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12s側の隙間は、流路5aに対する冷媒の導入及び導出に利用される(冷媒が通過する)。一方、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12r側の隙間は、流路5aに対する冷媒の導入及び導出に利用されない。このため、モジュール積層体2では、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12s側の隙間は開放されており、外周面12r側の隙間は封止材Eにより封止されている。
【0040】
ここで、蓄電モジュール4は、一対の金属板50を備えてもよい。本実施形態では、金属板50は、第1方向D1における電極積層体11の一端(負極終端電極18側の端部)及び他端(正極終端電極19側の端部)に設けられている。一対の金属板50のうちの一方は、負極終端電極18の電極板15の第1面15aと導電板5とに接触する。一対の金属板50の他方は、正極終端電極19の電極板15の第2面15bと別の導電板5とに接触する。このように、蓄電モジュール4では、負極終端電極18及び正極終端電極19のさらに外側に金属板50が設けられることになる。第1方向D1における一端に配置された金属板50(負極終端電極18)は、蓄電モジュール4の負極端子面を構成する。また、第1方向D1における他端に配置された金属板50(正極終端電極19)は、蓄電モジュール4の正極端子面を構成する。
【0041】
一対の金属板50の一方の周縁部は、負極終端電極18の電極板15に設けられた第1シール部21の第1部分21aと、当該第1部分21aの反対側に設けられた別の第1部分21aとによって挟持されている。これらの一対の第1部分21aは、第3部分21cによって接合(例えば溶着)されて一体化されている。一対の金属板50の他方の周縁部は、正極終端電極19の電極板15に設けられた第1シール部21の第1部分21aと、当該第1部分21aの反対側に設けられた別の第1部分21aとによって挟持されている。これらの一対の第1部分21aについても、第3部分21cによって接合(例えば溶着)されて一体化されている。金属板50は、活物質層が形成されていない電極板15といった金属箔(未塗工箔)である。
【0042】
引き続いて、第2シール部12について詳細に説明する。図4は、図1~3に示された蓄電モジュールの平面図である。図5は、図4に示された部分P1の拡大図である。図5の(a)は、図4のVa-Va線に沿っての概略断面図であり、図5の(b)は模式的な斜視図である。図4,5に示されるように、第2シール部12には、庇部60が設けられている。
【0043】
庇部60は、後述するように、蓄電モジュール4の一方の端子面近傍に付着した液体が、第2シール部12の外周面をつたって蓄電モジュール4の他方の端子面側に流れて、蓄電モジュール4の正極端子面と負極端子面とが当該液体を介して短絡することを抑制する機能を有する。上述したように、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の外周面12r側の隙間は封止材Eによって封止されているため、各蓄電モジュール4の外周面12rに庇部60を設ける必要性が低い。このため、蓄電モジュール4では、庇部60は、第2シール部12の外周面12s,12rのうちの外周面12sのみに設けられている。
【0044】
庇部60は、第1部分61と第2部分62とを含む。第1部分61は、基端部において外周面12sに接続されており、先端部において第2部分62に接続されている。第1部分61は、第1方向D1の下方(鉛直下方)に向かうにつれて外周面12sとの距離D12が漸増するように傾斜している。これにより、第1部分61の上面(第1方向D1の上方に臨む面)61sは、第1方向D1の下方に向かうほど外周面12sから離れるように傾斜した傾斜面とされている。なお、庇部60は、外周面12sと第1部分61との間に介在された平坦部64を含む。平坦部64の第1方向D1の上方に臨む面64sは、第2方向D2及び第3方向D3に沿って延びる平坦面(水平面)とされている。ここでは、第1部分61は、基端部において平坦部64を介して外周面12sに接続されている。
【0045】
第2部分62は、第1部分61の先端部から第1方向D1に略平行に(略垂直に)下方に向かって延在している。したがって、第2部分62では、第1方向D1についての位置によらずに、外周面12sとの距離D12が略一定とされている。なお、外周面12s及び上面61sには、庇部60の延在方向(ここでは第2方向D2)に沿って所定の間隔で、複数の補強用のリブ63が形成されている。リブ63は、第1部分61の上面61sから第1方向D1の上方に向かって突出し、外周面12sに接続されている。
【0046】
ここで、第2シール部12の外周面12sの外側には、第1方向D1に沿って延在する複数の金属製の支柱10(及び締結具9)が配置されている。したがって、庇部60における支柱10に対向する部分では、庇部60が金属部品に近接することとなる。これに対して、蓄電モジュール4では、支柱10を逃すように庇部60に切り欠き70を設けることにより、庇部60と支柱10との距離を確保している。この点について、より具体的に説明する。
【0047】
図6は、図4に示された部分P2の拡大図である。図6の(a)は、模式的な平面図であり、図6の(b)は、模式的な斜視図である。図7は、図4に示された部分P2の断面図である。図7の(a)は、図6の(b)のVIIa-VIIa線に沿っての概略断面図であり、図7の(b)は、図6の(b)のVIIb-VIIb線に沿っての概略断面図である。図4,6,7に示されるように、庇部60における支柱10に対向する部分には、庇部60が支柱10から離間するように(当該庇部60と支柱10との距離が拡大するように)切り欠き70が形成されている。
【0048】
ここでは、支柱10は、庇部60に対向する第1部分10pと、庇部60の反対側の第2部分10rとを含む。支柱10における締結具9が挿通される挿通孔10hは、第1部分10p及び第2部分10rにわたって設けられている。第1方向D1からみたときの切り欠き70の縁部71の形状は、第1方向D1からみたときの支柱10の第1部分10pの外縁の形状に相補的な形状とされている。ここでは、第1方向D1からみたときの支柱10の第1部分10pの外縁の形状は、庇部60側に凸となる円弧状であり、これに対応して、第1方向D1からみたときの切り欠き70の縁部71の形状は、支柱10と反対側に凹む円弧状である。一例として、切り欠き70の縁部71の円弧の曲率は、第1部分10pの外縁の円弧の曲率と同等以上とされ得る。庇部60では、この切り欠き70において、支柱10との距離D10が一定以上に確保される。
【0049】
切り欠き70の縁部71には、壁部72が設けられている。壁部72は、縁部71から第1方向D1の上方に突出すると共に、縁部71に沿って延在している(庇部60の第1部分61の上面61sに向かうように延在している)。ここでは、壁部72は、庇部60の先端(第1部分61の先端)に至るように縁部71の全体にわたって延在している。より具体的には、壁部72は、庇部60の延在方向において切り欠き70を挟む一対の第1部分61のうちの一方の第1部分61の先端から、他方の第1部分61の先端にかけて連続して設けられている。壁部72は、(例えば第1方向D1及び第3方向D3を含む断面内(図7の(b))において)、第1方向D1の上方に向かうほど外周面12sから離れるように(距離D12が拡大するように)第1方向D1に対して傾斜している。
【0050】
より具体的には、図7の(a)に示されるように、縁部71に沿った壁部72の延在方向の端部(円弧の端部)では、壁部72は第1方向D1に対して傾斜しておらず、第1方向D1の位置に依らずに距離D12が一定とされている。一方、図7の(b)に示されるように、壁部72のそれ以外の大部分(例えば壁部72の延在方向の中心を含む部分)では、壁部72は、第1方向D1の上方に向かうほど外周面12sから離れるように(距離D12が拡大するように)第1方向D1に対して傾斜している。なお、ここでは、第2シール部12の角部が面取りされており、外周面12sに傾斜部が形成されている。壁部72が外周面12sから離れるようにとの意味、及び、距離D12は、外周面12sに傾斜部が形成されていない場合の第3方向の位置(外周面12sの傾斜部以外の第3方向の位置)を基準としている。
【0051】
第1方向D1についての壁部72の高さは、第1方向D1についての第2シール部12の切り欠き70に対応する部分12iの高さ以上である。すなわち、壁部72の上端面72tは、第2シール部12の切り欠き70に対応する部分12iの上端面12t(シール部上端面)と略面一か、又は、上端面12tよりも第1方向の上方に位置する(すなわち、上端面12tから第1方向D1の上方に突出している)。これにより、例えば、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の間の隙間から切り欠き70側に液体が流出した場合に、壁部72によって確実に当該液体を受けて、庇部60の上面61sに向けてガイドする(流す)ことが可能となる。
【0052】
なお、図6に示されるように、第2シール部12の切り欠き70に対応する部分12iとは、例えば、外周面12sに交差する第3方向D3からみて、切り欠き70に重なると共に第1方向D1に沿って延びる帯状の部分である。
【0053】
一方、第1方向D1についての壁部72の高さは、第1方向についての第2シール部12の最も高い部分12kの高さ以下である(部分12kについては図5の(b)参照)。すなわち、壁部72の上端面72tは、第2シール部12の最も高い部分12kの上端面よりも第1方向の下方に位置する。部分12kは、部分12iとは異なる部分であって、例えば、第2シール部12のリブ63に対応する位置に設けられた盛り上がった部分である。これにより、壁部72が、複数の蓄電モジュール4の積層を阻害することが避けられると共に、隣り合う蓄電モジュール4の第2シール部12の間の隙間を利用した流路5aに対する冷媒の導入及び導出を阻害することが避けられる。
【0054】
第1方向D1からみたときの壁部72の形状は、縁部71の形状と同等の形状を有している。したがって、ここでは、第1方向D1からみたときの壁部72の形状は、縁部71の形状に対応して円弧状である。また、上述したように、壁部72は、第1方向D1の上方に向かうにつれて外周面12sから離れるように傾斜している。したがって、この例では、壁部72の外周面12s側の第1面72s(液体のガイド面)、及び、第1面72sの反対側の第2面72r(支柱10に対向する面)の形状は、第1方向D1の上方に向かうにつれて縮小する部分的な円錐面となる。
【0055】
なお、図4に示されるように、第1方向D1からみたとき、支柱10は、切り欠き70の外部に位置している。換言すれば、第1方向D1からみたとき、支柱10は、庇部60の先端面(第2部分62の外側面)よりも外側に位置している。したがって、仮に、庇部60の切り欠き70が設けられていなくても、支柱10は庇部60に接触しない。ただし、切り欠き70が設けられず支柱10と庇部60とが極端に近づく場合には、寸法公差が大きかったり、振動や衝撃が加わったりすることで支柱10と庇部60とが接触するおそれがあり、好ましくない。なお、変形例としては、第1方向D1からみたときに、支柱10と庇部60との距離D10が一定以上確保される範囲において、支柱10の少なくとも一部が切り欠き70の内部(すなわち、庇部60の先端面(第2部分62の外側面)よりも内側)に位置してもよい。
【0056】
以上説明したように、蓄電装置1では、電極積層体11の周囲に第2シール部12が設けられると共に、当該第2シール部12の外周面12sに対して、下方に向かうほど外周面12sから離れるように傾斜する上面61sを有する庇部60が形成されている。このため、第2シール部12の外周面12sに液体が付着した場合に、当該液体が庇部60の上面61s上を下方に向かって移動することにより、外周面12sから離されて上面61sから落ちることとなる。よって、当該液体に依る短絡が抑制される。なお、外周面12sに付着する液体は、例えば、蓄電モジュール4の内部から漏出した電解液や、蓄電モジュール4の外部からの結露水等である。
【0057】
一方、蓄電装置1では、電極積層体11を拘束するための接続部材(特に支柱10)が、第2シール部12の外側に配置される。そして、庇部60における支柱10に対向する部分には、支柱10から離間するように切り欠き70が設けられている。このため、庇部60に切り欠き70が設けられていない場合と比較して、支柱10と庇部60との距離D10を確保しつつ、支柱10をより第2シール部12の外周面12sの近くに配置することが可能となる。よって、装置の大型化が抑制される。
【0058】
さらに、蓄電装置1では、切り欠き70の縁部71には、第1方向D1の上方に突出しつつ縁部71に沿って延在する壁部72が形成されている。このため、切り欠き70に対応する位置において第2シール部12の外周面12sに付着した液体が、切り欠き70と支柱10との隙間に侵入することが壁部72によって抑制される。つまり、上記のように切り欠き70を設けた場合であっても、当該切り欠き70に起因した液絡が抑制される。以上のように、蓄電装置1によれば、液絡を抑制しつつ装置の大型化が抑制可能である。
【0059】
また、蓄電装置1では、壁部72は、庇部60の先端に至るように縁部71の全体にわたって延在している。このため、切り欠き70に対応する位置において第2シール部12の外周面12sに付着した液体が、切り欠き70の縁部71に設けられた壁部72によって、庇部60の上面61sに確実にガイドされる。よって、液絡をより確実に抑制可能である。
【0060】
また、蓄電装置1では、第1方向D1における壁部72の上端面72tは、第2シール部12における切り欠き70に対応する部分12iの第1方向D1の上端面12tと面一か、上端面12tよりも第1方向D1の上方に位置している。このため、第2シール部12の上端面12tから外周面12sに向かって移動する液体が、壁部72を乗り越えて切り欠き70と支柱10との隙間に侵入することが抑制される。
【0061】
また、蓄電装置1では、支柱10における外周面12sに対向する部分の外縁の形状は、第1方向D1からみて円弧状であり、切り欠き70の縁部71の形状、及び、第1方向D1にからみたときの壁部72の形状は、支柱10の外縁の形状に対応して凹む円弧状である。このため、壁部72と支柱10との距離D10を確保しつつ、壁部72の端部(円弧の端部)側において第2シール部12の外周面12sとの距離を拡大させ、庇部60に向けて液体を流しやすくすることが可能である。
【0062】
さらに、蓄電装置1では、壁部72は、第1方向D1の上方に向かうほど外周面12sから離れるように傾斜している。このため、壁部72が第1方向D1と平行に延在する場合と比較して、第1方向D1からみたときの壁部72の表面積が拡大されるため、より多くの液体を庇部60に向けて流しやすくなる。また、この構成によれば、例えば第2シール部12及び壁部72を射出成形により形成する場合に、壁部72が離型しやすくなり、製造が容易化される。
【0063】
以上の実施形態は、本開示の蓄電装置の一態様について説明したものである。したがって、本開示に係る蓄電装置は、上述した蓄電装置1を任意に変形したものとされ得る。
【0064】
例えば、上記実施形態では、蓄電装置1は、第1方向D1に沿って積層された複数の蓄電モジュール4を備えていた。しかし、蓄電装置1における蓄電モジュール4の数は任意であり、例えば1つであってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、支柱10の外周面12sに対向する部分の外縁の形状と、切り欠き70の縁部71及び壁部72の形状とは、互いに相補的な関係であり、一例として円弧状であった。しかし、これらの形状は互いに無関係に設定されてもよいし、円弧状以外の形状であってもよい。例えば、支柱10の外周面12sに対向する部分の外縁の形状が矩形であり、切り欠き70の縁部71及び壁部72の形状が円弧状であったり、その反対であったりしてもよい。ただし、支柱10の外周面12sに対向する部分は、導電板5の流路5aから導出された冷媒を受ける部分でもある。したがって、当該部分が円弧状であると、例えば当該部分が矩形状である場合と比較して、導電板5の流路5aから導出された冷媒のスムーズな流通に有利である。
【0066】
また、上記実施形態では、壁部72は、切り欠き70の縁部71の全体にわたって延設されていたが、切り欠き70の縁部71の一部に設けられていてもよい。この場合、一例として、壁部72は、切り欠き70の縁部71のうちの最も外周面12sに近接する点を含む一部の範囲に設けられ得る。
【0067】
また、上記実施形態では、第1方向D1についての壁部72の高さは、第1方向D1についての第2シール部12の切り欠き70に対応する部分12jの高さ以上であった。しかし、第1方向D1についての壁部72の高さは、第1方向D1についての第2シール部12の切り欠き70に対応する部分12jの高さ未満であってもよい。すなわち、壁部72の上端面72tが部分12jの上端面12tよりも第1方向D1の下方に位置していてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、壁部72は、第1方向D1の上方に向かうにつれて外周面12sから離間するように延在していたが、第1方向D1の位置によらずに外周面12sとの距離D12が一定となるように延在していてもよい。
【0069】
さらに、上記実施形態では、一対の拘束板8を締結具9により締結することで接続していた。しかし、締結によらずにピン止めや溶接などにより拘束板8を接続してもよい。
【0070】
以上の実施形態について、以下に付記する。
【0071】
本開示に係る蓄電装置は、[1]「第1方向に沿って積層された複数の電極を含む電極積層体、及び、前記電極の間を封止するように前記電極積層体の周囲に設けられたシール部を有する蓄電モジュールと、前記第1方向に前記電極積層体を挟むように配置された一対の拘束板と、前記第1方向からみて前記シール部の外側に配置され、前記第1方向に沿って延在すると共に前記第1方向に沿って前記一対の拘束板を接続することにより、前記電極積層体を拘束する複数の接続部材と、を備え、前記シール部の前記第1方向に沿った外周面には、前記第1方向の下方(に向かうほど前記外周面から離れるように傾斜する上面を有する庇部が形成されており、前記庇部における前記接続部材のそれぞれに対向する部分には、前記接続部材から離間するように切り欠きが形成されており、前記切り欠きの縁部には、当該縁部から前記第1方向の上方に突出すると共に前記縁部に沿って延在する壁部が形成されている、蓄電措置」である。
【0072】
本開示に係る蓄電装置は、[2]「前記壁部は、前記庇部の先端に至るように前記縁部の全体にわたって延在している、上記[1]に記載の蓄電装置」であってもよい。
【0073】
本開示に係る蓄電装置は、[3]「前記第1方向における前記壁部の上端面は、前記シール部における前記切り欠きに対応する部分の前記第1方向の上端面であるシール部上端面と面一か、前記シール部上端面よりも前記第1方向の上方に位置する、上記[1]又は[2]に記載の蓄電装置」であってもよい。
【0074】
本開示に係る蓄電装置は、[4]「前記接続部材における前記外周面に対向する部分の外縁の形状は、前記第1方向からみて円弧状であり、前記切り欠きの前記縁部の形状、及び、前記壁部の形状は、前記第1方向からみて前記接続部材の前記外縁の形状に対応して凹む円弧状である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の蓄電装置」であってもよい。
【0075】
本開示に係る蓄電装置は、[5]「前記壁部は、前記第1方向の上方に向かうほど前記外周面から離れるように傾斜している、上記[1]~[4]のいずれかに記載の蓄電装置」であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…蓄電装置、4…蓄電モジュール、8…拘束板、9…締結具(接続部材)、10…支柱(接続部材)、11…電極積層体、12…第2シール部(シール部)、12s…外周面、60…庇部、61s…上面、70…切り欠き、71…縁部、72…壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7