(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172332
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コネクタ付きケーブル
(51)【国際特許分類】
H01R 13/648 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H01R13/648
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089985
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 敬太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昌輝
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB07
5E021FB14
5E021FC21
5E021FC40
5E021LA10
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により薄型化可能なコネクタ付きケーブルを提供する。
【解決手段】コネクタ付きケーブルは、ケーブルと、前記ケーブルに接続されたコネクタと、を有し、前記コネクタは、基板と、シェルと、を有し、前記シェルは前記ケーブルの端部と前記基板とを覆い、前記シェルは、前記ケーブルの外周を覆いかつかしめて固定するかしめ部を有し、前記かしめ部において、前記かしめ部同士が重なる重畳部は、前記ケーブルの軸方向から見た投影図で前記基板と重なる位置に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと、前記ケーブルに接続されたコネクタと、を有し、
前記コネクタは、
基板と、シェルと、を有し、
前記シェルは前記ケーブルの端部と前記基板とを覆い、
前記シェルは、前記ケーブルの外周を覆いかつかしめて固定するかしめ部を有し、
前記かしめ部において、前記かしめ部同士が重なる重畳部は、前記ケーブルの軸方向から見た投影図で前記基板と重なる位置に配置されている、
コネクタ付きケーブル。
【請求項2】
前記シェルは、第一シェルと、第二シェルと、を有し、
前記第一シェルと前記第二シェルは互いに結合する結合部を有し、
前記結合部は、前記基板の主面の上から前記シェルを見た場合に観察される、請求項1に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルを軸方向から見た状態での、前記シェルにおける短尺の辺の長さの、長尺の辺の長さに対する比は1:1.8以下1:2.2以上である、請求項1または請求項2に記載のコネクタ付きケーブル。
【請求項4】
前記ケーブルの直径に対する前記かしめ部の前記軸方向の長さは0.4倍から0.5倍である、請求項1または請求項2に記載のコネクタ付きケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ付きケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコネクタ付きケーブルにおいては、多芯ケーブルの端末に基板が付けられ、ケーブル端部と基板がシェルで覆われる例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/153347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年ではコネクタ付きケーブルの薄型化が求められている。そこで本開示は、簡易な構成により薄型化可能なコネクタ付きケーブルを提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、簡易な構成により薄型化可能なコネクタ付きケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコネクタ付きケーブルは、
ケーブルと、前記ケーブルに接続されたコネクタと、を有し、
前記コネクタは、
基板と、シェルと、を有し、
前記シェルは前記ケーブルの端部と前記基板とを覆い、
前記シェルは、前記ケーブルの外周を覆いかつかしめて固定するかしめ部を有し、
前記かしめ部において、前記かしめ部同士が重なる重畳部は、前記ケーブルの軸方向から見た投影図で前記基板と重なる位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、コネクタ付きケーブルを簡易な構成により薄型化可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係るコネクタ付きケーブルの一例を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すコネクタ付きケーブルのコネクタの内部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すコネクタ付きケーブルのコネクタの内部を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すコネクタ付きケーブルの接続形態を示すケーブルの軸方向から見た投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示の一態様に係るコネクタ付きケーブルは、
(1)ケーブルと、前記ケーブルに接続されたコネクタと、を有し、前記コネクタは基板と、シェルと、を有し、前記シェルは前記ケーブルの端部と前記基板とを覆い、前記シェルは、前記ケーブルの外周を覆いかつかしめて固定するかしめ部を有し、前記かしめ部において、前記かしめ部同士が重なる重畳部は、前記ケーブルの軸方向から見た投影図で前記基板と重なる位置に配置されている。
【0010】
この構成によれば、基板の面方向の厚みが厚くなりにくく、コネクタ付きケーブル全体を薄型化することができる。
また、本開示のコネクタ付きケーブルによれば、ケーブルが基板の面と交差する方向に振られたとしても、かしめ部にかしめ部を開く負荷がかかりにくく、かしめ部を開きにくくすることができる。
【0011】
(2)上記(1)において、前記シェルは、第一シェルと、第二シェルと、を有し、前記第一シェルと前記第二シェルは互いに結合する結合部を有し、前記結合部は、前記基板の主面の上から前記シェルを見た場合に観察されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、ケーブルが基板の面に交差する方向に振られた場合にも結合されたシェルが開きにくい。
【0013】
(3)上記(1)または(2)において、前記ケーブルを軸方向から見た状態での、前記シェルにおける短尺の辺の長さの、長尺の辺の長さに対する比は1:1.8以下1:2.2以上であってもよい。
【0014】
(4)上記(1)から(3)において、前記ケーブルの直径に対する前記かしめ部の前記軸方向の長さは0.4倍から0.5倍であってもよい。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るコネクタ付きケーブルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
なお、
図1等に示すU、D、F、B、R、Lはコネクタ付きケーブル1における方向を示すものであり、Uは上方、Dは下方、Fは前方、Bは後方、Rは右方、Lは左方である。
【0017】
図1は、本開示に係るコネクタ付きケーブル1の一例を示す模式的な斜視図である。本実施形態に係るコネクタ付きケーブル1は、例えば、電子機器(図示省略)同士を接続するために用いることができ、ケーブル2の端部にコネクタ3が設けられている。コネクタ付きケーブル1は、
図1に示すように、ケーブル2と、コネクタ3を有している。
【0018】
図1に示すように、コネクタ3は、ブーツ4と、プラグ5と、基板6と、を有する。基板6は上方向(U方向)を向く表面および下方向(D方向)を向く裏面に、電線が接続可能なパッド7を有する(
図3参照)。以降、基板6の表面6a、裏面6bを総称して「主面」と呼称することがある。ブーツ4の一端の接続部10において、コネクタ3とケーブル2は接続されており、接続部10はストレインリリーフ9によって保護されている。
【0019】
以降の説明において、説明の都合上、コネクタ3の中央部からプラグ5に向かう方向を前方F、前方Fと反対向きでコネクタ3の中央部から接続部10に向かう方向を後方Bと呼ぶ。プラグ5は、前方Fに向かって突出している。プラグ5は、基板6を内部に取り込んで基板を覆う。
【0020】
次に
図2および
図3を参照し、本実施形態におけるケーブル2とコネクタ3について詳述する。
図2は、
図1に示すコネクタ付きケーブルのブーツ4の内部を示す斜視図である。
図3は、
図1に示すコネクタ付きケーブル1のコネクタ3の分解斜視図である。
【0021】
図2に示すように、コネクタ3(
図1参照)は、ブーツ4(
図1参照)の内部に、基板6と、基板6を覆うシェル20をさらに有する。シェル20は基板6を覆う金属製の部品であり、F方向端部にはプラグ5と接触する開口が設けられ、基板6を覆う本体部分におけるB方向の端部にはケーブル2内の複数の電線が挿入可能な開口が設けられている。
【0022】
シェル20は、少なくとも基板6の表面6aおよび裏面6bを所定の間隔を設けて覆うように構成されている。シェル20は、基板6の側面(左面と右面)に対しても覆うように構成されている。シェル20は、プラグ5に固定されている。シェル20は、さらにケーブル2の端部を覆う部分(かしめ部11に相当する)を有する。シェル20は、第一シェル20aと第二シェル20bとを有する、半割構造である。第一シェル20aはシェル20における左部を構成し、第二シェル20bはシェル20における右部を構成している。第一シェル20aおよび第二シェル20bは、いずれも上面視で矩形状かつ後面視でU字状の部材である。シェル20は、ケーブル2の軸方向から見た状態(上記の後面視と同じ)での、シェル20における短尺の辺の長さ(
図2においてh)の、長尺の辺の長さ(
図2においてD)に対する比が1:1.8以下1:2.2以上となるように構成される。第一シェル20aおよび第二シェル20bは、例えば、金属板の打ち抜き加工および曲げ加工により形成される。
【0023】
図2に示すように、シェル20は、第一シェル20aと第二シェル20bとが重なり合う部分である結合部21によって互いに固定されて構成される。第一シェル20aで結合部21となる部分が第一結合部21aであり、第二シェル20bで結合部21となる部分が第二結合部21bである。
本実施形態において、第一結合部21aは上面の縁部と下面の縁部となる。第二結合部21bは、上面の縁部と下面の縁部となる。第一結合部21aと第二結合部21bが結合部21において結合することで、第一シェル20aと第二シェル20bは互いに固定される。
【0024】
本実施形態において、第一結合部21aは凸部22aを有し、第二結合部21bは凹部22bを有する。また、第一シェル20aと第二シェル20bは第一シェル20aの凸部22aと第二シェル20bの凹部22bを噛み合わせることにより物理的に結合している。本開示における第一シェル20aと第二シェル20bとの結合部21は、シェル20における上面及び下面に存在する。すなわち、結合部21は、基板6の主面の上からシェル20を見た際および基板6の主面の下からシェル20を見た際に観察可能である位置に配置される。
【0025】
図3に示すように、第一シェル20aは、第一かしめ部11aを備えている。第二シェル20bは、第二かしめ部11bを備えている。本開示では、第一かしめ部11aと第二かしめ部11bを総称して「かしめ部11」と呼称することがある。また、
図3においては、説明のため、結合部21、凸部22a、凹部22bの図示は省略している。
【0026】
第一かしめ部11aはアーム部11a1と固定部11a2とを有する。アーム部11a1は、第一シェル20aにおける基板6を覆う本体部分のB方向端部かつ結合部21から最も離れた箇所(左端部)から、B方向に延びるように設けられている。固定部11a2は、アーム部11a1のB方向端部から、基板6の主面に対する法線方向に延びるように設けられている。
第二かしめ部11bは、第二シェル20bにおける基板6を覆う本体部分のB方向端部かつ結合部21から最も離れた箇所(右端部)から、シェル20のB方向に延びるように設けられている。
【0027】
第一かしめ部11aおよび第二かしめ部11bのそれぞれの幅は、コネクタ3に接続されるケーブル2の太さ等に応じて適宜決定される。本実施形態における第一かしめ部11aおよび第二かしめ部11bの幅は、ケーブル2の直径の0.4倍から0.5倍である。例えば、第一かしめ部11aの固定部11a2におけるケーブル2の軸方向に沿う方向の幅d1は、ケーブル2の直径の0.4倍から0.5倍である。第二かしめ部11bの幅d2はケーブル2の直径の0.4倍から0.5倍である。
【0028】
図3に示すように、本実施形態におけるケーブル2は、複数の電線50と、シールド層2bと、外被2cを有している。電線50は、導体51と、導体51を覆う絶縁層とを有する。ケーブル2のシールド層2bは金属編組等によって構成され、電線から出る電磁波の漏洩を抑制したり、外部の電磁波が電線50に伝搬され信号に乗ることを抑制したりする。外被2cは絶縁性樹脂により形成され、シールド層2bを外部に対して電気的に絶縁するとともにシールド層2bの損傷を抑制する。
【0029】
次に、
図2および
図3を用いて、ケーブル2とコネクタ3の接続態様について説明する。
ケーブル2と基板6との接続は、電線50の導体51をパッド7に接続することでなされる。その際、ケーブル2の端部から外被2cが所定長さ除去されて、複数の電線50が前記所定長さ分露出され、ケーブル2のシールド層2bは、外被2cの外周に折り返される。導体51が基板6に接続された状態として、かしめ部11をケーブル2にかしめ固定することによって、ケーブル2とシェル20を接続することができる。かしめ部11はシールド層2bを覆うようにしてケーブル2をかしめ固定している。シェル20はプラグ5にも接続されているので、シールド層2bとシェル20とプラグ5の電位を同一にすることができる。
【0030】
次に
図2、
図4を参照し、ケーブル2がコネクタ3にかしめ固定される態様について説明する。
図4は、かしめ部11と基板6をケーブル2の軸方向から見た投影図である。なお、
図4においては模式的な説明のため、シェル20の一部について図示を省略している。
図2は、ケーブル2がかしめ部11によってかしめ固定された状態を示している。
図2に示すように、ケーブル2は、第一かしめ部11aと第二かしめ部11bがケーブル2に圧着されることで、かしめ固定される。
【0031】
図3はケーブル2がかしめ固定される前の状態を示している。
図3の状態から
図4の状態に変形する場合、まず、第一かしめ部11aのアーム部11a1および第二かしめ部11bを適宜折り曲げてケーブル2に密着させる。次に第一かしめ部11aの固定部11a2をケーブル2の曲面に合わせて湾曲変形させ、第二かしめ部11bと重ねる。塑性変形したアーム部11a1がケーブル2および第二かしめ部11bをケーブル2に押さえつけ、かしめ部11はケーブル2をかしめ固定する。
【0032】
図4に示すように第二かしめ部11bは、ケーブル2の軸方向から見た投影図において、基板6と重なる位置において、ケーブル2と密着している。第一かしめ部11aは、アーム部11a1がケーブル2の外周を覆うように密着し、第二かしめ部11bと重畳している。アーム部11a1はケーブル2の軸方向から見た投影図において、基板6と重なる位置において第二かしめ部11bと重畳する。第一かしめ部11aと第二かしめ部11bとが重なり合う重畳部Cは、ケーブル2の軸方向から見た投影図において、基板6と重なる位置に配置される。
【0033】
上述したように、本実施形態における接続部10はケーブル2に対して、第二かしめ部11bを圧着させてかしめ固定する。また、第一かしめ部11aと第二かしめ部11bとを重畳させることでケーブル2をより強固にかしめ固定する。なお、
図4では第一かしめ部11a同士が重畳している例を示したが、第一かしめ部11aは少なくとも一部が第二かしめ部11bと重畳していればよい。
【0034】
従来からコネクタ付きケーブルのケーブルとコネクタの固定はかしめ固定によってなされることがあった。かしめ固定はかしめ部をケーブルに密着させ、かしめ部同士を重畳させて行う。そのため、かしめ部同士が重なる重畳部が位置する箇所が、重畳部ではない箇所に比べ厚くなる。発明者はかしめ部の重畳部をシェルの幅方向に位置させることでコネクタを薄型化することができることに気が付いた。
【0035】
本開示のコネクタ付きケーブル1によれば、かしめ部11同士が重なる重畳部Cは、ケーブル2の軸方向から見た状態で基板6と重なる位置に配置されている。この構成によれば基板の面方向の厚みが厚くなりにくく、コネクタ付きケーブル全体を薄型化することができる。
【0036】
また、本開示のコネクタ付きケーブル1によれば、ケーブル2が基板6の主面と交差する方向(上方向および下方向)に振られたとしても、かしめ部11同士が重なる重畳部Cは、ケーブル2の軸方向から見た状態で基板6と重なる位置(つまりコネクタ厚さ方向の位置ではなく幅方向の位置)に配置されているため、かしめ部11を開くような負荷がかしめ部11にかかりにくい。このため、かしめ部11を開きにくくすることができ、コネクタ付きケーブルの強度を向上させることができる。
【0037】
本開示に係るコネクタ付きケーブル1は、第一シェル20aと第二シェル20bとの結合部21を、基板6の主面の上からシェル20を見た場合に観察されるように位置させている。これにより、ケーブル2が基板6の面に交差する方向に振られた場合も結合されたシェルが開きにくい。
【0038】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0039】
1 コネクタ付きケーブル
2 ケーブル
2b シールド層
2c 外被
3 コネクタ
4 ブーツ
5 プラグ
6 基板
6a 表面
6b 裏面
7 パッド
9 ストレインリリーフ
10 接続部
11 かしめ部
11a 第一かしめ部
11b 第二かしめ部
11a1 アーム部
11a2 固定部
20 シェル
20a 第一シェル
20b 第二シェル
21 結合部
21a 第一結合部
21b 第二結合部
22a 凸部
22b 凹部
50 電線
51 導体
C 重畳部
h シェルの短尺の辺の長さ
D シェルの長尺の辺の長さ
d1 第一かしめ部の幅
d2 第二かしめ部の幅