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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172333
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】内燃機関システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/28 20190101AFI20241205BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F02M37/28
F02D45/00 345
F02D45/00 369
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089986
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴之
【テーマコード(参考)】
3G384
【Fターム(参考)】
3G384AA03
3G384BA11
3G384BA47
3G384DA42
3G384ED04
3G384EE16
3G384FA00B
3G384FA14B
3G384FA64Z
3G384FA76B
(57)【要約】
【課題】燃料中の水の割合である燃料中水割合をより精度よく検出し、燃料中水割合が所定割合以上となった異常な場合には適切にメンテナンスを促し、内燃機関の不調や始動性の悪化をより抑制することができる、内燃機関システムの制御装置を提供する。
【解決手段】セジメンタ20は、燃料から水を分離する分離部21と、分離した水を捕集する捕水部22と、捕集された水量に関連する捕水関連量情報を出力する捕水関連量検出部23とを有する。制御装置50は、所定期間の間に内燃機関に噴射した燃料量を取得する燃料量取得部51aと、所定期間の間に捕集された捕水量を取得する捕水量取得部51bと、所定期間における燃料量と捕水量とに基づいて燃料中水割合を算出する燃料中水割合算出部51cと、燃料中水割合が所定割合以上である場合に異常であると判定してメンテナンスを促す督促情報を出力する督促情報出力部51dと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内の液体の燃料を内燃機関に供給する燃料経路に設けられて燃料から水を分離して捕集するセジメンタを有する内燃機関システムの制御装置であって、
前記セジメンタは、
燃料から水を分離する分離部と、
前記分離部にて分離した水を捕集する捕水部と、
前記捕水部に捕集された水量に関連する捕水関連量情報を出力する捕水関連量検出部と、
を有し、
前記制御装置は、
前記内燃機関に燃料を噴射するインジェクタを制御するとともに、所定期間の間に前記内燃機関に噴射した燃料量を取得する、燃料量取得部と、
前記捕水関連量検出部からの前記捕水関連量情報に基づいて、前記所定期間の間に前記捕水部に捕集された水量である捕水量を取得する、捕水量取得部と、
前記所定期間における前記燃料量と前記捕水量とに基づいて、燃料中の水の割合である燃料中水割合を算出する、燃料中水割合算出部と、
前記燃料中水割合が、所定割合以上である場合に異常であると判定してメンテナンスを促す督促情報を出力する、督促情報出力部と、
を有する、
内燃機関システムの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関システムの制御装置であって、
前記捕水関連量検出部は、前記捕水部に捕集された水量が満水量以上であるか否かを出力する満水検出装置を有しており、
前記所定期間は、前記捕水部に捕集されて前記満水量以上であった水量が空状態とされた捕水部空条件が成立してから前記満水検出装置で前記満水量以上であることを検出するまでの期間であり、
前記所定期間における前記捕水量は、前記満水量である、
内燃機関システムの制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の内燃機関システムの制御装置であって、
前記捕水関連量検出部は、前記捕水部に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置を有しており、
前記所定期間は、前記捕水部に捕集された水量が第1所定捕水量から第2所定捕水量となるまでの期間であり、
前記所定期間における前記捕水量は、前記第2所定捕水量から前記第1所定捕水量を減算した水量である、
内燃機関システムの制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の内燃機関システムの制御装置であって、
前記内燃機関は車両に搭載されており、
前記制御装置は、前記車両の走行距離を取得可能であり、
前記捕水関連量検出部は、前記捕水部に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置を有しており、
前記所定期間は、前記走行距離の計測を開始してから所定距離に達するまでの期間であり、
前記所定期間における前記捕水量は、前記走行距離が前記所定距離に達した時に前記捕水部に捕集されている前記捕水量から、前記走行距離の計測の開始時に前記捕水部に捕集されていた前記捕水量を減算した水量である、
内燃機関システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内の液体の燃料を内燃機関に供給する燃料経路に設けられて燃料から水を分離して捕集するセジメンタを有する内燃機関システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばディーゼルエンジン(内燃機関)では、燃料中の水に起因するエンジン不調や始動性の悪化を防止するために、燃料から水を分離して捕集するセジメンタ(ウォータセパレータとも言う)が、燃料経路に設けられている。燃料には、燃料タンク内に発生した結露等によって水分が混入している場合があるので、セジメンタを用いて燃料中から水を分離して捕集している。なお、セジメンタにて分離及び捕集した水は、セジメンタの捕水部に溜められるが、無くなる訳ではなく、満水に達した場合は捕水部に溜まった水を排水して空状態にする必要があるので、定期的なメンテナンスが必要となる。一般的なセジメンタには、満水に達した場合にメンテナンスを促すための満水検知スイッチ等が設けられており、当該満水検知スイッチがONとなった場合は、車両のインストルメントパネルに設けられた警告灯(メンテナンスを促す警告灯)を点灯させている。
【0003】
セジメンタが燃料中から水を分離する分離効率には限界があり、何らかの原因で燃料タンク内に比較的大量の水が混入して燃料中の水分量が所定割合以上となった場合、セジメンタでの水の分離が間に合わない。このような場合では、エンジン不調や始動性の悪化が発生する可能性がある。このため、燃料中の水分量が所定割合以上の場合は、燃料タンク内の水抜きや、燃料タンクに水が浸入するようなヒビや破損がないかチェックする等のメンテナンスを促すことが所望されている。
【0004】
例えば特許文献1には、燃料中の水を分離して、分離した水を水貯留部に溜めるセジメンタを有するコンバインなどの作業用走行車が記載されている。当該セジメンタは、水貯留部に溜まった水が水抜き作業を必要としないレベルではOFF、水抜き作業を必要とするレベルを超えるとON状態に切り替わる水検出センサを有している。そして水検出センサがONの場合は、液晶表示部の異常報知を表示させることが記載されている。また、単位時間あたりの水抜き作業の発生回数が所定回数よりも多い場合に、水抜き作業の発生頻度が高いと判定して、燃料タンクの整備を促す異常報知を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-017251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、燃料中の水の割合である燃料中水割合が所定割合以上であるか否かを検出するのではなく、単位時間あたりの水抜き作業の発生回数が所定回数よりも多いか否検出し、多い場合には燃料タンクの整備を促している。つまり、燃料中水割合を求めておらず、燃料中水割合よりも精度が落ちる単位時間あたりの水抜き作業の発生回数に応じて燃料タンクの整備を促している。従って、精度が落ちる分、エンジンに供給する燃料に水が混入してエンジン不調や始動性の悪化等が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、燃料中の水の割合である燃料中水割合をより精度よく検出し、燃料中水割合が所定割合以上となった異常な場合には適切にメンテナンスを促し、内燃機関の不調や始動性の悪化をより抑制することができる、内燃機関システムの制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は、燃料タンク内の液体の燃料を内燃機関に供給する燃料経路に設けられて燃料から水を分離して捕集するセジメンタを有する内燃機関システムの制御装置である。前記セジメンタは、燃料から水を分離する分離部と、前記分離部にて分離した水を捕集する捕水部と、前記捕水部に捕集された水量に関連する捕水関連量情報を出力する捕水関連量検出部と、を有する。そして前記制御装置は、前記内燃機関に燃料を噴射するインジェクタを制御するとともに、所定期間の間に前記内燃機関に噴射した燃料量を取得する、燃料量取得部と、前記捕水関連量検出部からの前記捕水関連量情報に基づいて、前記所定期間の間に前記捕水部に捕集された水量である捕水量を取得する、捕水量取得部と、前記所定期間における前記燃料量と前記捕水量とに基づいて、燃料中の水の割合である燃料中水割合を算出する、燃料中水割合算出部と、前記燃料中水割合が、所定割合以上である場合に異常であると判定してメンテナンスを促す督促情報を出力する、督促情報出力部と、を有する、内燃機関システムの制御装置である。
【0009】
次に、第2の発明は、上記第1の発明に係る内燃機関システムの制御装置であって、前記捕水関連量検出部は、前記捕水部に捕集された水量が満水量以上であるか否かを出力する満水検出装置を有している。そして前記所定期間は、前記捕水部に捕集されて前記満水量以上であった水量が空状態とされた捕水部空条件が成立してから前記満水検出装置で前記満水量以上であることを検出するまでの期間であり、前記所定期間における前記捕水量は、前記満水量である、内燃機関システムの制御装置である。
【0010】
次に、第3の発明は、上記第1の発明に係る内燃機関システムの制御装置であって、前記捕水関連量検出部は、前記捕水部に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置を有している。そして前記所定期間は、前記捕水部に捕集された水量が第1所定捕水量から第2所定捕水量となるまでの期間であり、前記所定期間における前記捕水量は、前記第2所定捕水量から前記第1所定捕水量を減算した水量である、内燃機関システムの制御装置である。
【0011】
次に、第4の発明は、上記第1の発明に係る内燃機関システムの制御装置であって、前記内燃機関は車両に搭載されており、前記制御装置は、前記車両の走行距離を取得可能であり、前記捕水関連量検出部は、前記捕水部に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置を有している。そして前記所定期間は、前記走行距離の計測を開始してから所定距離に達するまでの期間であり、前記所定期間における前記捕水量は、前記走行距離が前記所定距離に達した時に前記捕水部に捕集されている前記捕水量から、前記走行距離の計測の開始時に前記捕水部に捕集されていた前記捕水量を減算した水量である、内燃機関システムの制御装置である。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、所定期間の間に内燃機関に噴射した燃料量と、前記所定期間の間に捕水部に捕集された捕水量とに基づいて、燃料中の水の割合である燃料中水割合を求め、燃料中水割合が所定割合以上の場合はメンテナンスを促す督促情報を出力する。このため、単位時間あたりの水抜き作業の発生回数が所定回数以上であるか否かを判定する場合と比較して、燃料中水割合をより精度よく検出することが可能である。そして、燃料中水割合が所定割合以上となった異常な場合には適切にメンテナンスを促し、内燃機関の不調や始動性の悪化をより抑制することができる。
【0013】
第2の発明によれば、セジメンタが有する捕水関連量検出部が、捕水部に捕集された水量が満水量以上であるか否かを出力する満水検出装置を有する場合において、捕水部が満水になる毎に、適切に燃料中水割合を求めることができる。このため、比較的安価な満水検出装置を有するセジメンタであっても、適切に燃料中水割合を求めることができる。
【0014】
第3の発明によれば、セジメンタが有する捕水関連量検出部が、捕水部に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置を有する場合において、捕水部に捕集された水量が所定捕水量(第2所定捕水量-第1所定捕水量)となる毎に、適切に燃料中水割合を求めることができる。
【0015】
第4の発明によれば、セジメンタが有する捕水関連量検出部が、捕水部に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置を有する場合において、車両が所定距離を走行する毎に、適切に燃料中水割合を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】セジメンタを有する内燃機関システムの概略構成を説明する図である。
図2】第1の実施形態であって、セジメンタの捕水関連量検出部が満水検出装置(満水量以上の場合にONを出力)であり、満水検出装置特性の例を説明する図である。
図3】燃料中水割合と、セジメンタの捕水部の満水量に応じた限界走行距離と、の関係の目安を説明する図である。
図4】第1の実施形態における、制御装置の[全体処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図5】第1の実施形態において、イグニションスイッチがON状態からOFF状態にされた場合に制御装置で実行する処理手順の例を説明するフローチャートである。
図6】第1の実施形態において、イグニションスイッチがOFF状態からON状態にされた場合に制御装置で実行する処理手順の例を説明するフローチャートである。
図7】第1(及び第2、第3)の実施形態において、燃料量積算値(所定期間に噴射した燃料量)を求める処理手順の例を説明するフローチャートである。
図8】第1の実施形態の処理による動作波形の例を説明する図である。
図9】第2(及び第3)の実施形態であって、セジメンタの捕水関連量検出部が捕水量検出装置(捕水量に応じた捕水量検出情報を出力)であり、捕水量検出装置特性の例と、制御装置の処理で用いる[動作モード]との関係を説明する図である。
図10】第2の実施形態における、制御装置の[全体処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図11】第2(及び第3)の実施形態における[判定処理]の詳細の例を説明するフローチャートである。
図12】第2の実施形態の処理による動作波形の例を説明する図である。
図13】第3の実施形態における、制御装置の[全体処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図14】第3の実施形態の処理による動作波形の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、内燃機関10とセジメンタ20と制御装置50等を有する内燃機関システム1を説明し、制御装置50の処理手順における第1の実施形態~第3の実施形態について説明する。
【0018】
<内燃機関システム1の概略構成(図1)>
図1は車両に搭載された内燃機関システム1の概略構成を示している。内燃機関システム1は、内燃機関10、燃料タンク30、セジメンタ20、燃料ポンプ32、制御装置50等を有している。また車両内には、各種の制御装置の間で種々の情報の送受信を行うための通信回線70(CAN通信回線など)が設けられており、コネクタC2a、C2bを介して、ディーラ等が保有している通信機器71を通信回線70に接続することができる。また制御装置50は、コネクタC1b、C1aを介して通信回線70に接続されている。通信機器71を通信回線70に接続した場合、通信機器71は、通信回線70を介して制御装置50との間で種々の情報の送受信を行うことができる。
【0019】
内燃機関10は、例えばディーゼルエンジンである。制御装置50は、インジェクタ34a~34dを用いて燃料を噴射するタイミング及び噴射量を制御することで、内燃機関10を制御する。なお、内燃機関10の吸気側には、吸気マニホルド11が設けられており、吸気マニホルド11に接続される種々の機器やセンサ等について図示及び説明を省略する。また内燃機関10の排気側には、排気マニホルド12が設けられており、排気マニホルド12に接続される種々の機器やセンサ等について図示及び説明を省略する。また、内燃機関10に設けられる種々の機器やセンサ等についても、図示及び説明を省略する。
【0020】
燃料タンク30は、液体の燃料を貯蔵しており、燃料配管31及び燃料ポンプ32を介して燃料が吸い上げられ、高圧にされた燃料がコモンレール33に供給される。なお、燃料タンク30内の燃料には、結露等によって発生した水が混入する場合がある。
【0021】
セジメンタ20は、内燃機関10に液体の燃料を供給する燃料経路(この場合、燃料配管31)に設けられている。燃料に水が混入している場合、内燃機関10の不調や始動性の悪化を招く可能性があるので、セジメンタ20を用いて燃料中の水を分離して捕集する。セジメンタ20は、分離部21、捕水部22、捕水関連量検出部23等を有している。
【0022】
分離部21は、(燃料(軽油)の質量と水の界面張力の違いを利用して)燃料から水を分離する。捕水部22は、分離部21にて分離した水を質量の違いを利用して捕集して溜めておく。捕水関連量検出部23は、捕水部22に捕集された水量に関連する捕水関連量情報を出力する。捕水関連量検出部23は、例えば、捕水部22に捕集された水量が満水量以上であるか否かを出力する満水検出装置(後述する第1の実施形態)、または捕水部22に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置(後述する第2、第3の実施形態)である。
【0023】
燃料ポンプ32は、燃料配管31を介して燃料タンク30から燃料を吸い上げ、高圧にした燃料をコモンレール33に供給する。コモンレール33に供給された高圧の燃料は、制御装置50から制御されるインジェクタ34a~34dを介して内燃機関10のシリンダ内に噴射される。
【0024】
制御装置50は、処理装置51(CPU)、RAM52、ROM53(Flash-ROM等)、タイマ54、EEPROM55(不揮発性記憶装置)等を含む電子制御ユニット(Electronic Control Unit、いわゆるECU)である。処理装置51は、所定のプログラムを逐次実行することによってデータの読み込み、数値演算、及び演算結果の出力等を行う。ROM53は、処理装置51が実行するプログラム及びマップ(ルックアップテーブル)等を記憶する記憶装置に相当している。RAM52は、処理装置51によって参照されるデータ等を一時的に記憶する。タイマ54は、内燃機関の回転センサ(図示省略)のインターバル時間の計測や、インジェクタからの燃料噴射出力などに使用される。EEPROM55(不揮発性記憶装置)は、制御装置50が作動を停止しても記憶したデータを保持する。なお、処理装置51は、燃料量取得部51a、捕水量取得部51b、燃料中水割合算出部51c、督促情報出力部51d等を有しているが、これらの詳細については後述する。
【0025】
また制御装置50には、捕水関連量検出部23からの捕水関連量情報が入力され、車速検出装置63からの検出信号やイグニションスイッチ64からの信号が入力される。また制御装置50は、インジェクタ34a~34dに制御信号を出力し、満水ランプ61やメンテ督促ランプ62を点灯または消灯させる制御信号を出力する。
【0026】
満水ランプ61は、セジメンタ20の捕水部22に捕集された捕水量が満水量Vmax以上となった場合に点灯されるランプである。ユーザは、満水ランプ61が点灯した場合は、ディーラ等へ車両を持ち込む。ディーラ等の作業者は、捕水部22に溜まった水を排水して空状態にする。
【0027】
メンテ督促ランプ62は、後述するように、燃料中に含まれている水の割合が、所定割合以上の異常である場合に点灯されるランプである。ユーザは、メンテ督促ランプ62が点灯した場合は、ディーラ等へ車両を持ち込む。ディーラ等の作業者は、燃料タンクの水抜き作業や、水が浸入するような破損等が燃料タンクに発生していないかのチェック等、燃料タンクのメンテナンスを行う。
【0028】
<第1の実施形態(図2図8)>
第1の実施形態では、セジメンタ20の捕水関連量検出部23が、図2に示すように、捕水部22に捕集された水量が満水量以上であるか否かを出力する満水検出装置である。
【0029】
<第1の実施形態の満水検出装置(捕水関連量検出部)の特性など(図2図3)>
図2の[満水検出装置特性]に示すように、満水検出装置は、捕水部22(図1参照)に捕集された水量が満水量以上の場合にON、満水量未満の場合にOFF、となる満水スイッチを備えている。捕水部22に蓄えられた水は無くなる訳ではなく、捕水部22には上限量Vzが設定されている。そして上限量Vzよりも少し低い水量として満水量Vmaxが設定されている。例えば満水量Vmaxは、約150[cc]程度に設定されており、一般的な環境で車両を利用した場合、数1000[km]~数10000[km]を走行した場合の燃料量で捕水量が満水量Vmaxとなるように設定されている。
【0030】
また図3は、燃料中の水の割合である燃料水割合と、当該燃料水割合の燃料で走行した場合の限界走行距離(捕水量が満水量Vmaxとなる走行距離)の目安を示している。図3に示すg(x)は、例えば燃料中水割合=Wxの場合、セジメンタが空の状態から満水量Vmaxとなるまでの限界走行距離=Dyであることを示している。当然、燃料中水割合が小さいほど、限界走行距離は長くなる。
【0031】
なお、セジメンタ20(図1参照)の水の分離効率は、例えば90~99[%]程度であるが、燃料中水割合が割合閾値Ws(図3参照)以上の場合、期待する分離効率で水が分離されず、分離しきれなかった水が内燃機関に供給される場合がある。一般的な車両の利用環境では、燃料中水割合が割合閾値Ws以上となることは無いが、燃料タンクに誤って水を入れてしまった場合や、燃料タンクにヒビや破損個所が存在して雨水等が浸入した場合等には、燃料中水割合が割合閾値Ws以上となる可能性がある。このような場合、車両をディーラ等に持ち込み、燃料タンク内の水抜き作業や、燃料タンクのチェック等のメンテナンスを行うべきであるので、当該メンテナンスを促す督促情報を出力(メンテ督促ランプの点灯等)する。第1~第3の実施形態では、そのための燃料中水割合をより精度よく検出する。なお、割合閾値Wsは、例えば数100[ppm]程度の値が設定され、セジメンタの種類毎に設定されており、第1~第3の実施形態にて使用される。
【0032】
<第1の実施形態の制御装置50の処理(図4図8)>
第1の実施形態では、図2に示す満水検出装置を備えたセジメンタを用い、捕水部の捕水量が、空状態から満水量以上になる毎に燃料中水割合Wを求め、求めた燃料中水割合Wに応じてメンテ督促ランプ(督促情報)の点灯/消灯を行う。第1の実施形態では、制御装置50は、図4図7に示す処理を実行し、図8の例に示す動作をする。
【0033】
<[全体処理](図4)>
次に図4に示す[全体処理]について説明する。制御装置50(処理装置51)は、所定時間間隔(例えば数100[ms]~数[sec])にて、図4に示す処理を起動し、ステップS010へ処理を進める。
【0034】
ステップS010へ処理を進めた場合、制御装置50は、車速検出装置63(図1参照)を用いて車速を検出し、当該車速と、図4の処理の起動間隔(所定時間間隔)に基づいて走行距離を算出する。そして走行距離積算値に走行距離を加算して記憶して、ステップS015へ処理を進める。なお走行距離積算値は不揮発性記憶装置に記憶される。また、後述するステップS035にて燃料中水割合Wの算出に走行距離積算値を使用しない場合は、ステップS010を省略してもよい。
【0035】
ステップS015にて制御装置50は、通信機器71からメンテ督促ランプ消灯情報を受信したか否かを判定する。メンテ督促ランプ62が点灯(燃料中水割合が異常)となってディーラの作業者が燃料タンクのメンテナンス(燃料タンクの水抜き等)を行った場合、作業者は通信機器71を車両の通信回線70に接続して(図1参照)、メンテ督促ランプ62の消灯要求であるメンテ督促ランプ消灯情報を送信する。制御装置50は、通信機器からメンテ督促ランプ消灯情報を受信している場合(Yes)はステップS020へ処理を進め、メンテ督促ランプ消灯情報を受信していない場合(No)はステップS025へ処理を進める。
【0036】
ステップS020へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをOFFに設定してステップS025へ処理を進める。なおメンテフラグは不揮発性記憶装置に記憶され、ステップS060、S065A、S065Bに示すように、メンテ督促ランプ62(図1参照)の点灯/消灯に使用するフラグである。
【0037】
ステップS025へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ判定完了フラグがONであるか否かを判定する。メンテ判定完了フラグは、不揮発性記憶装置に記憶され、セジメンタの捕水部が満水となって燃料中水割合を算出(ステップS035)した場合にONに設定され(図8に示す時刻T3、時刻T10)、満水となった捕水部から排水されて捕水部が空状態となった後のイグニションスイッチOFF――>ON時にOFFに設定される(図8に示す時刻T6、時刻T15参照)。制御装置50は、メンテ判定完了フラグがONの場合(Yes)はステップS060へ処理を進め、メンテ判定完了フラグがOFFの場合(No)はステップS030へ処理を進める。
【0038】
ステップS030へ処理を進めた場合、制御装置50は、満水スイッチ(図2参照)がONであるか否かを判定する。制御装置50は、満水スイッチがONである場合(Yes)はステップS035へ処理を進め、満水スイッチがOFFである場合(No)はステップS060へ処理を進める。
【0039】
ステップS035へ処理を進めた場合、制御装置50は、燃料量積算値と満水量(図2に示す満水量Vmax)に基づいて燃料中水割合W[ppm]を算出してステップS040へ処理を進める。なお燃料量積算値は、内燃機関に噴射した燃料量の積算値であり、後述する[燃料噴射時処理]にて積算される。また後述する[イグニションスイッチOFF――>ON時処理]にて、燃料量積算値(及び走行距離積算値)は、満水スイッチONとなったセジメンタの捕水部が空状態とされた後のイグニションスイッチのOFF――>ON時にリセットされる(図8に示す時刻T6、時刻T15参照)。
【0040】
制御装置50は、以下の(式1)にて燃料中水割合W[ppm]を算出する。
W=[V[L]/(Q[L]*ε)]*106 (式1)
なお(式1)における各項目は以下のとおりである。
W:燃料中水割合[ppm]
V:満水量Vmax[L]
Q:燃料量積算値[L]
ε:水分離効率(例えば0.9~0.99であり、セジメンタの種類に固有の効率)
【0041】
例えば、V[L]=満水量Vmax=150[cc]=0.15[L]、Q[L]=燃料量積算値=1000[L]、ε=0.99の場合、W=(0.15/1000*0.99)*106≒151.5[ppm]となる。
【0042】
なお、別の算出方法として、燃料量積算値の代わりに、平均燃費A[km/L]と走行距離積算値D[km]を用いて、以下の(式2)にて求めるようにしてもよい。平均燃費Aについては、制御装置50が適宜算出して記憶していてもよいし、通信回線を介して他の機器から取得してもよい。
W=[V[L]*A[km/L]/(D[km]*ε)]*106 (式2)
なお(式2)における各項目は以下のとおりである。
W:燃料中水割合[ppm]
V:満水量Vmax[L]
A:平均燃費[km/L]
D:走行距離積算値[km]
ε:水分離効率(例えば0.9~0.99であり、セジメンタの種類に固有の効率)
【0043】
例えば、V[L]=満水量Vmax=150[cc]=0.15[L]、平均燃費A[km/L]=20[km/L]、走行距離積算値D[km]=20000[km]、ε=0.99の場合、W=(0.15*20/20000*0.99)*106≒151.5[ppm]となる。
【0044】
ステップS040にて制御装置50は、燃料中水割合Wが割合閾値(所定割合に相当。図3参照)以上であるか否かを判定する。なお割合閾値は、燃料中の水の割合が異常であるか否かを判定する閾値であり、セジメンタの性能や実際の車両を用いた実験やシミュレーション等にて適切な値が求められて設定されており、例えば数100[ppm]程度の値が設定されている。制御装置50は、燃料中水割合Wが割合閾値以上の場合(Yes)はステップS045Bへ処理を進め、燃料中水割合Wが割合閾値未満の場合(No)はステップS045Aへ処理を進める。
【0045】
ステップS045Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをONに設定してステップS050へ処理を進める。なおメンテフラグは上述したように不揮発性記憶装置に記憶される。
【0046】
ステップS045Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをOFFに設定してステップS050へ処理を進める。
【0047】
ステップS050へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ判定完了フラグをONに設定してステップS060へ処理を進める。なおメンテ判定完了フラグは、上述したように不揮発性記憶装置に記憶される。
【0048】
ステップS060へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、メンテフラグがONである場合(Yes)はステップS065Aへ処理を進め、メンテフラグがOFFである場合(No)はステップS065Bへ処理を進める。
【0049】
ステップS065Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ督促ランプ62(図1参照、燃料中水割合が異常時に点灯)を点灯させ、ステップS070へ処理を進める。
【0050】
ステップS065Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ督促ランプ62を消灯させ、ステップS070へ処理を進める。
【0051】
ステップS070へ処理を進めた場合、制御装置50は、満水スイッチ(図2参照)がONであるか否かを判定する。制御装置50は、満水スイッチがONである場合(Yes)はステップS075Aへ処理を進め、満水スイッチがOFFである場合(No)はステップS075Bへ処理を進める。
【0052】
ステップS075Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、満水ランプ61(図1参照、捕水部が満水時に点灯)を点灯させ、図4に示す処理を終了する。
【0053】
ステップS075Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、満水ランプ61を消灯させ、図4に示す処理を終了する。
【0054】
<[イグニションスイッチON――>OFF時処理](図5)>
次に、図5に示す[イグニションスイッチON――>OFF時処理]について説明する。当該処理は、車両のイグニションスイッチをON――>OFFにした場合に実行され、セジメンタの捕水部の水量が満水量以上から空状態になったことの検出に使用される。制御装置50は、イグニションスイッチがON――>OFFにされた場合、図5に示す処理を起動してステップS110へと処理を進める。
【0055】
ステップS110に処理を進めた場合、制御装置50は、満水スイッチ(図2参照)がONであるか否かを判定する。制御装置50は、満水スイッチがONである場合(Yes)はステップS120Aへ処理を進め、満水スイッチがOFFである場合(No)はステップS120Bへ処理を進める。
【0056】
ステップS120Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、IGOFF時満水スイッチにONを記憶して図5に示す処理を終了する。なおIGOFF時満水スイッチは不揮発性記憶装置に記憶され、後述する[イグニションスイッチOFF――>ON時処理]にて利用される。
【0057】
ステップS120Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、IGOFF時満水スイッチにOFFを記憶して図5に示す処理を終了する。
【0058】
<[イグニションスイッチOFF――>ON時処理](図6)>
次に、図6に示す[イグニションスイッチOFF――>ON時処理]について説明する。当該処理は、車両のイグニションスイッチをOFF――>ONにした場合に実行され、セジメンタの捕水部の水量が満水量以上から空状態になったことの検出に使用される。制御装置50は、イグニションスイッチがOFF――>ONにされた場合、図6に示す処理を起動してステップS210へと処理を進める。
【0059】
ステップS210に処理を進めた場合、制御装置50は、IGOFF時満水スイッチがONであるか否かを判定する。制御装置50は、IGOFF時満水スイッチがONである場合(Yes)はステップS220へ処理を進め、IGOFF時満水スイッチがOFFの場合(No)は図6に示す処理を終了する。
【0060】
ステップS220へ処理を進めた場合、制御装置50は、(現在)満水スイッチがONであるか否かを判定する。制御装置50は、満水スイッチがONである場合(Yes)はステップS230へ処理を進め、満水スイッチがOFFである場合(No)は図6に示す処理を終了する。
【0061】
ステップS230へ処理を進めた場合、制御装置50は、満水量以上であったセジメンタの捕水部の水量が、ディーラの作業者のメンテナンスによって空状態にされた、と判定して、走行距離積算値をリセットし、燃料量積算値をリセットし、メンテ判定完了フラグをOFFに設定して(図8に示す時刻T6、時刻T15参照)、図6に示す処理を終了する。
【0062】
図5及び図6に示すように、イグニションスイッチON――>OFF時に満水スイッチ=ONであり、かつ、次のイグニションスイッチOFF――>ON時に満水スイッチ=OFFであった場合、捕水部に捕集されて満水量以上であった水量が空状態とされた捕水部空条件が成立したと判定して、燃料中水割合を求めるために必要とする走行距離積算値や燃料量積算値をリセットして積算を開始する。つまり、走行距離積算値、燃料量積算値は、捕水部が空状態から満水量以上になるまでの期間(所定期間に相当)の走行距離、燃料量をそれぞれ積算する。
【0063】
<[燃料噴射時処理](図7)>
次に、図7に示す[燃料噴射時処理]について説明する。当該処理は、制御装置50がインジェクタから燃料を噴射する毎に実行され、燃料量積算値を求めるために使用される。制御装置50は、インジェクタから燃料を噴射するごとに、図7に示す処理を起動してステップS310へと処理を進める。
【0064】
ステップS310に処理を進めた場合、制御装置50は、対象のインジェクタから燃料を噴射する制御信号を出力し、ステップS320へ処理を進める。なおステップS310は既存の燃料噴射処理であるので、詳細については説明を省略する。
【0065】
ステップS320にて制御装置50は、インジェクタから噴射した燃料量を、燃料量積算値に加算して、燃料量積算値を記憶し、図7に示す処理を終了する。なお燃料量積算値は、上述したように不揮発性記憶装置に記憶される。
【0066】
また、図5図6図7、及び図4のステップS035の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、内燃機関に燃料を噴射するインジェクタを制御するとともに、所定期間の間に内燃機関に噴射した燃料量を取得する、燃料量取得部51a(図1参照)に相当している。なお「所定期間」は、捕水部に捕集されて満水量以上であった水量が空状態とされた捕水部空条件が成立(図6のステップS210、S220がともに「Yes」の場合であり、図8の例では時刻T6、時刻T15)してから満水検出装置で満水量以上であることを検出するまでの期間(図8の例では時刻T6から時刻T10の期間)である。
【0067】
また図4のステップS035の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、捕水関連量検出部からの捕水関連量情報(この場合、満水スイッチのON/OFF)に基づいて、所定期間の間に捕水部に捕集された水量である捕水量(この場合、満水量)を取得する、捕水量取得部51b(図1参照)に相当している。
【0068】
また図4のステップS035の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、所定期間における燃料量(燃料量積算値)と捕水量(この場合、満水量)とに基づいて、燃料中の水の割合である燃料中水割合を算出する、燃料中水割合算出部51c(図1参照)に相当している。
【0069】
また図4のステップS040、S045A、S045B、ステップS060、S065A、S065Bの処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、燃料中水割合が所定割合(割合閾値)以上である場合に異常であると判定してメンテナンスを促す督促情報を出力(メンテ督促ランプを点灯)する、督促情報出力部51d(図1参照)に相当している。
【0070】
<第2の実施形態(図9図12)>
第2の実施形態では、セジメンタ20の捕水関連量検出部23が、図9に示すように、捕水部22に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置である。
【0071】
<第2の実施形態の捕水量検出装置(捕水関連量検出部)の特性など(図9)>
図9の[捕水量検出装置特性]に示すように、捕水量検出装置は、捕水部22(図1参照)に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する。捕水部22に蓄えられた水が無くならないことや、捕水部22には満水量Vmax及び上限量Vzが設定されていることは、第1の実施形態と同様である。そして第1の実施形態と同様、上限量Vzよりも少し低い水量として満水量Vmaxが設定され、例えば満水量Vmaxは、約150[cc]程度に設定されている。一般的な環境で車両を利用した場合、数1000[km]~数10000[km]を走行した場合の燃料量で捕水量が満水量Vmaxとなるように設定されている点も、第1の実施形態と同様である。
【0072】
なお図9に示す[動作モード]は、図10の処理の説明に使用している[動作モード]を示している。図10の処理では、捕水量<V1の場合は動作モード=0、V1≦捕水量<V2の場合は動作モード=1、V2≦捕水量<V3の場合は動作モード=3、V4≦捕水量の場合は動作モード=4、となるように処理を進めている。また図9において、捕水量V2-捕水量V1(=Vs1)=捕水量V3-捕水量V2(=Vs2)=捕水量V4-捕水量V3(=Vs3)としている。図10の処理では、捕水部の水量がV2(またはV3、またはV4)に達した際に、燃料中水割合Wを算出し、燃料中水割合Wが異常であるか否かを判定する。なお、V1、V2、V3、V4は、それぞれどのような値であってもよいし、V1~V4の4個でなくてもよい(4個でない場合は、図10の処理も個数に合わせて変更する)。
【0073】
<第2の実施形態の制御装置50の処理(図10図12図7)>
第2の実施形態では、図9に示す捕水量検出装置を備えたセジメンタを用い、捕水部に所定捕水量が溜まる毎に(図9に示すVs1、Vs2、Vs3が溜まる毎に)燃料中水割合Wを求め、求めた燃料中水割合Wに応じてメンテ督促ランプ(督促情報)の点灯/消灯を行う。第2の実施形態では、制御装置50は、図10図11図7に示す処理を実行し、図12の例に示す動作をする。なお図7の[燃料噴射時処理]については第1の実施形態にて説明しているので説明を省略する。
【0074】
<[全体処理](図10)>
次に図10に示す[全体処理]について説明する。制御装置50(処理装置51)は、所定時間間隔(例えば数100[ms]~数[sec])にて、図10に示す処理を起動し、ステップS410へ処理を進める。
【0075】
ステップS410へ処理を進めた場合、制御装置50は、車速検出装置63(図1参照)を用いて車速を検出し、当該車速と、図10の処理の起動間隔(所定時間間隔)に基づいて走行距離を算出する。そして走行距離積算値に走行距離を加算して記憶して、ステップS415へ処理を進める。なお走行距離積算値は不揮発性記憶装置に記憶される。また、後述する[判定処理]にて燃料中水割合Wの算出に走行距離積算値を使用しない場合は、ステップS410を省略してもよい。
【0076】
ステップS415にて制御装置50は、通信機器71からメンテ督促ランプ消灯情報を受信したか否かを判定する。メンテ督促ランプ62が点灯(燃料中水割合が異常)となってディーラの作業者が燃料タンクのメンテナンス(燃料タンクの水抜き等)を行った場合、作業者は通信機器71を車両の通信回線70に接続して(図1参照)、メンテ督促ランプ62の消灯要求であるメンテ督促ランプ消灯情報を送信する。制御装置50は、通信機器からメンテ督促ランプ消灯情報を受信している場合(Yes)はステップS420へ処理を進め、メンテ督促ランプ消灯情報を受信していない場合(No)はステップS425へ処理を進める。
【0077】
ステップS420へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをOFFに設定してステップS425へ処理を進める。なおメンテフラグは不揮発性記憶装置に記憶され、ステップS480、S485A、S485Bに示すように、メンテ督促ランプ62(図1参照)の点灯/消灯に使用するフラグである。
【0078】
ステップS425へ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量(捕水量検出装置からの捕水量検出情報に基づいて取得)がV1(図9参照)未満であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がV1未満の場合(Yes)はステップS430へ処理を進め、捕水量がV1以上の場合(No)はステップS435へ処理を進める。
【0079】
ステップS430にて制御装置50は、動作モードに「0」を設定(図9参照)してステップS435へ処理を進める。なお「動作モード」は、不揮発性記憶装置に記憶される。
【0080】
ステップS435に処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がVmax(満水量であり、図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がVmax以上である場合(Yes)はステップS465へ処理を進め、捕水量がVmax未満である場合(No)はステップS440へ処理を進める。
【0081】
ステップS440に処理を進めた場合、制御装置50は、動作モードが「0」であるか否かを判定する。制御装置50は、動作モードが「0」である場合(Yes)はステップS445へ処理を進め、動作モードが「0」でない場合(No)はステップS440Aへ処理を進める。
【0082】
ステップS445へ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がV1(図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がV1以上である場合(Yes)はステップS460へ処理を進め、捕水量がV1以上でない場合(No)はステップS465へ処理を進める。
【0083】
ステップS460へ処理を進めた場合、制御装置50は、動作モードに「1」を設定(図9参照)してステップS465へ処理を進める(図12の時刻T24、時刻T28参照)。
【0084】
ステップS465へ処理を進めた場合、制御装置50は、走行距離積算値をリセットし、燃料量積算値をリセットして(図9の時刻T24、時刻T28参照)、ステップS480へ処理を進める。なお、走行距離積算値、燃料量積算値は、第1の実施形態と同様、不揮発性記憶装置に記憶される。
【0085】
ステップS440Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、動作モードが「1」であるか否かを判定する。制御装置50は、動作モードが「1」である場合(Yes)はステップS445Aへ処理を進め、動作モードが「1」でない場合(No)はステップS440Bへ処理を進める。
【0086】
ステップS445Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がV2(図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がV2以上である場合(Yes)はステップS450Aへ処理を進め、捕水量がV2未満である場合(No)はステップS480へ処理を進める。
【0087】
ステップS450Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量V2-捕水量V1(=Vs1(図9参照))を判定水量(後述する[判定処理]にて利用)に代入して、ステップS455Aへ処理を進める。
【0088】
ステップS455Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、後述する[判定処理]を実行してステップS460Aへ処理を進める。なお後述する[判定処理]は、燃料中水割合Wの算出と、算出した燃料中水割合Wの値が異常であるか否かの判定(メンテフラグのON/OFF)を含む。
【0089】
ステップS460Aにて制御装置50は、動作モードに「2」を設定(図9参照)してステップS465へ処理を進める(図12の時刻T21、時刻T25、時刻T29参照)。
【0090】
ステップS440Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、動作モードが「2」であるか否かを判定する。制御装置50は、動作モードが「2」である場合(Yes)はステップS445Bへ処理を進め、動作モードが「2」でない場合(No)はステップS440Cへ処理を進める。
【0091】
ステップS445Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がV3(図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がV3以上である場合(Yes)はステップS450Bへ処理を進め、捕水量がV3未満である場合(No)はステップS480へ処理を進める。
【0092】
ステップS450Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量V3-捕水量V2(=Vs2(図9参照))を判定水量(後述する[判定処理]にて利用)に代入して、ステップS455Bへ処理を進める。
【0093】
ステップS455Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、後述する[判定処理]を実行してステップS460Bへ処理を進める。なお後述する[判定処理]は、燃料中水割合Wの算出と、算出した燃料中水割合Wの値が異常であるか否かの判定を含む。
【0094】
ステップS460Bにて制御装置50は、動作モードに「3」を設定(図9参照)してステップS465へ処理を進める(図12の時刻T22、時刻T26、時刻T30参照)。
【0095】
ステップS440Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、動作モードが「3」であるか否かを判定する。制御装置50は、動作モードが「3」である場合(Yes)はステップS445Cへ処理を進め、動作モードが「3」でない場合(No)はステップS480へ処理を進める。
【0096】
ステップS445Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がV4(図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がV4以上である場合(Yes)はステップS450Cへ処理を進め、捕水量がV4未満である場合(No)はステップS480へ処理を進める。
【0097】
ステップS450Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量V4-捕水量V3(=Vs3(図9参照))を判定水量(後述する[判定処理]にて利用)に代入して、ステップS455Cへ処理を進める。
【0098】
ステップS455Cへ処理を進めた場合、制御装置50は、後述する[判定処理]を実行してステップS460Cへ処理を進める。なお後述する[判定処理]は、燃料中水割合Wの算出と、算出した燃料中水割合Wの値が異常であるか否かの判定を含む。
【0099】
ステップS460Cにて制御装置50は、動作モードに「4」を設定(図9参照)してステップS465へ処理を進める(図12の時刻T22、時刻T26、時刻T30参照)。
【0100】
ステップS480へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグがONであるか否かを判定する。なおメンテフラグは不揮発性記憶装置に記憶され、ステップS480、S485A、S485Bに示すように、メンテ督促ランプ62(図1参照)の点灯/消灯に使用するフラグである。制御装置50は、メンテフラグがONの場合(Yes)はステップS485Aへ処理を進め、メンテフラグがOFFの場合(No)はステップS485Bへ処理を進める。
【0101】
ステップS485Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ督促ランプ62(図1参照、燃料中水割合が異常時に点灯)を点灯させ、ステップS490へ処理を進める。
【0102】
ステップS485Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ督促ランプ62を消灯させ、ステップS490へ処理を進める。
【0103】
ステップS490へ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がVmax(満水量であり、図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がVmax以上である場合(Yes)はステップS495Aへ処理を進め、捕水量がVmax未満である場合(No)はステップS495Bへ処理を進める。
【0104】
ステップS495Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、満水ランプ61(図1参照、捕水部が満水時に点灯)を点灯させ、図10に示す処理を終了する。
【0105】
ステップS495Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、満水ランプ61を消灯させ、図10に示す処理を終了する。
【0106】
<[判定処理](図11)>
次に、図11に示す[判定処理]について説明する。当該処理は、図10におけるステップS455A、S455B、S455Cにて実行され、図9に示す捕水量が、V2、またはV3、またはV4、に達した際に実行される。制御装置50は、ステップS455A、またはS455B、またはS455Cの処理を実行する際、図11に示す[判定処理]のステップS510へ処理を進める。
【0107】
ステップS510に処理を進めた場合、制御装置50は、(現在)メンテフラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、メンテフラグがONの場合(Yes)は図11の処理を終了してステップS460A(またはS460B、またはS460C)へ処理を戻し、メンテフラグがOFFの場合(No)はステップS520へ処理を進める。制御装置50は、(現在)メンテフラグがONの場合(燃料中水割合Wの値が異常の場合)では、メンテフラグがONの状態を維持する。なおステップS510は省略してもよい。
【0108】
ステップS520に処理を進めた場合、制御装置50は、燃料量積算値と判定水量(図10に示すステップS450A、S450B、S450C参照)に基づいて燃料中水割合W[ppm]を算出してステップS530へ処理を進める。なお燃料量積算値は、内燃機関に噴射した燃料量の積算値であり、上述した[燃料噴射時処理](図7参照)にて積算される。また燃料量積算値及び走行距離積算値は、図10及び図12に示すように、捕水量≧Vmaxの場合、捕水量<V1の場合、動作モードが「0」――>「1」、「1」――>「2」、「2」――>「3」、「3」――>「4」に更新された場合、のそれぞれでリセットされる。
【0109】
また燃料中水割合W[ppm]は、上述した(式1)または(式2)にて、「V:満水量Vmax[L]」の代わりに「V:判定水量[L]」を用いて算出される。
【0110】
ステップS530にて制御装置50は、燃料中水割合Wが割合閾値(所定割合に相当。図3参照)以上であるか否かを判定する。なお割合閾値は、燃料中の水の割合が異常であるか否かを判定する閾値であり、セジメンタの性能や実際の車両を用いた実験やシミュレーション等にて適切な値が求められて設定されており、例えば数100[ppm]程度の値が設定されている。制御装置50は、燃料中水割合Wが割合閾値以上の場合(Yes)はステップS540Bへ処理を進め、燃料中水割合Wが割合閾値未満の場合(No)はステップS540Aへ処理を進める。
【0111】
ステップS540Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをONに設定して図11に示す処理を終了してステップS460A(またはS460B、またはS460C)へ処理を戻す。なおメンテフラグは上述したように不揮発性記憶装置に記憶される。
【0112】
ステップS540Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをOFFに設定して図11に示す処理を終了してステップS460A(またはS460B、またはS460C)へ処理を戻す。
【0113】
また図7、及び図11のステップS520の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、内燃機関に燃料を噴射するインジェクタを制御するとともに、所定期間の間に内燃機関に噴射した燃料量を取得する、燃料量取得部51a(図1参照)に相当している。なお「所定期間」は、捕水部に捕集された水量が第1所定捕水量から第2所定捕水量となるまでの期間(図12の例では捕水量が、V1からV2、V2からV3、V3からV4、となるまでの期間)である。
【0114】
また図10のステップS450A、S450B、S450C、図11のステップS520の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、捕水関連量検出部からの捕水関連量情報(この場合、捕水量検出装置からの捕水量検出情報)に基づいて、所定期間の間に捕水部に捕集された水量である捕水量(第2所定捕水量から第1所定捕水量を減算した水量であり、図10のステップS450A、S450B、S450Cの判定水量)を取得する、捕水量取得部51b(図1参照)に相当している。
【0115】
また図11のステップS520の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、所定期間における燃料量(燃料量積算値)と捕水量(この場合、判定水量)とに基づいて、燃料中の水の割合である燃料中水割合を算出する、燃料中水割合算出部51c(図1参照)に相当している。
【0116】
また図11のステップS530、S540A、S540B、図10のステップS480、S485A、S485Bの処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、燃料中水割合が所定割合(割合閾値)以上である場合に異常であると判定してメンテナンスを促す督促情報を出力(メンテ督促ランプを点灯)する、督促情報出力部51d(図1参照)に相当している。
【0117】
<第3の実施形態(図13図14)>
第3の実施形態では、セジメンタ20の捕水関連量検出部23は、第2の実施形態と同様に、図9に示すように、捕水部22に捕集された水量に応じた捕水量検出情報を出力する捕水量検出装置である。捕水部22に捕集された水量が所定水量ごとに燃料中水割合Wを算出及び判定をする第2の実施形態に対して、第3の実施形態では、所定距離を走行するごとに燃料中水割合Wの算出及び判定をする点が異なる。また第2の実施形態の「動作モード」の代わりに、第3の実施形態では「計測開始フラグ(図14参照)」を用いている点も異なる。
【0118】
<第3の実施形態の制御装置50の処理(図13図14図7図11)>
第3の実施形態では、図9に示す捕水量検出装置を備えたセジメンタを用い、車両の走行距離が所定距離(走行距離閾値)に達する毎に燃料中水割合Wを求め、求めた燃料中水割合Wに応じてメンテ督促ランプ(督促情報)の点灯/消灯を行う。第3の実施形態では、制御装置50は、図13図11図7に示す処理を実行し、図14の例に示す動作をする。なお図7の[燃料噴射時処理]については第1の実施形態にて説明しており、図11の[判定処理]については第2の実施形態にて説明しているので、これらの説明は省略する。なお第3の実施形態では、第2の実施形態と同様、図9に示す特性の捕水量検出装置を用いて図9中のV1、Vmaxを使用するが、V2、V3、V4は使用しない。
【0119】
<[全体処理](図13)>
次に図13に示す[全体処理]について説明する。制御装置50(処理装置51)は、所定時間間隔(例えば数100[ms]~数[sec])にて、図13に示す処理を起動し、ステップS610へ処理を進める。
【0120】
ステップS610へ処理を進めた場合、制御装置50は、車速検出装置63(図1参照)を用いて車速を検出し、当該車速と、図13の処理の起動間隔(所定時間間隔)に基づいて走行距離を算出する。そして走行距離積算値に走行距離を加算して記憶して、ステップS415へ処理を進める。なお走行距離積算値は不揮発性記憶装置に記憶される。
【0121】
ステップS615にて制御装置50は、通信機器71からメンテ督促ランプ消灯情報を受信したか否かを判定する。メンテ督促ランプ62が点灯(燃料中水割合が異常)となってディーラの作業者が燃料タンクのメンテナンス(燃料タンクの水抜き等)を行った場合、作業者は通信機器71を車両の通信回線70に接続して(図1参照)、メンテ督促ランプ62の消灯要求であるメンテ督促ランプ消灯情報を送信する。制御装置50は、通信機器からメンテ督促ランプ消灯情報を受信している場合(Yes)はステップS620へ処理を進め、メンテ督促ランプ消灯情報を受信していない場合(No)はステップS625へ処理を進める。
【0122】
ステップS620へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグをOFFに設定してステップS625へ処理を進める。なおメンテフラグは不揮発性記憶装置に記憶され、ステップS680、S685A、S685Bに示すように、メンテ督促ランプ62(図1参照)の点灯/消灯に使用するフラグである。
【0123】
ステップS625へ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量(捕水量検出装置からの捕水量検出情報に基づいて取得)がVmax(満水量であり、図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がVmax以上である場合(Yes)はステップS650へ処理を進め、捕水量がVmax未満である場合(No)はステップS630へ処理を進める。
【0124】
ステップS630へ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がV1(図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がV1以上である場合(Yes)はステップS635へ処理を進め、捕水量がV1未満である場合(No)はステップS650へ処理を進める。
【0125】
ステップS635へ処理を進めた場合、制御装置50は、計測開始フラグがONであるか否かを判定する。なお計測開始フラグは、不揮発性記憶装置に記憶され、燃料中水割合Wの算出に必要な燃料量積算値や走行距離積算値を更新している間にONとされ、燃料中水割合Wを算出した場合にOFFとされるフラグである(図14参照)。制御装置50は、計測開始フラグがONの場合(Yes)はステップS660へ処理を進め、計測開始フラグがOFFの場合(No)はステップS640へ処理を進める。
【0126】
ステップS640へ処理を進めた場合、制御装置50は、(現在の)捕水量を取得して開始時捕水量へ代入して記憶する。なお開始時捕水量は不揮発性記憶装置に記憶される。また制御装置50は、走行距離積算値をリセットし、燃料量積算値をリセットしてステップS645へ処理を進める。なお走行距離積算値、燃料量積算値は、第1及び第2の実施形態と同様、不揮発性記憶装置に記憶される。
【0127】
ステップS645にて制御装置50は、計測開始フラグをONに設定してステップS660へ処理を進める。
【0128】
ステップS650へ処理を進めた場合、制御装置50は、走行距離積算値をリセットし、燃料量積算値をリセットしてステップS655へ処理を進める。
【0129】
ステップS655にて制御装置50は、計測開始フラグをOFFに設定してステップS660へ処理を進める。
【0130】
ステップS660へ処理を進めた場合、制御装置50は、走行距離積算値が走行距離閾値以上であるか否かを判定する。制御装置50は、車両の走行距離(走行距離積算値)を取得可能である。走行距離閾値は、例えば2000[km]程度の値が設定され、例えば走行距離閾値に2000[km]が設定されている場合では、車両が2000[km]走行するごとに、燃料中水割合Wの算出及び判定(ステップS665~S675)が実施される。制御装置50は、走行距離積算値が走行距離閾値以上である場合(Yes)はステップS665へ処理を進め、走行距離積算値が走行距離閾値未満である場合(No)はステップS680へ処理を進める。
【0131】
ステップS665へ処理を進めた場合、制御装置50は、(現在の)捕水量を取得し、取得した捕水量から開始時捕水量(ステップS640参照)を減算した捕水量を判定水量に記憶し、ステップS670へ処理を進める。
【0132】
ステップS670にて制御装置50は、上述した[判定処理]を実行してステップS675へ処理を進める。なお[判定処理]については上述しているので説明を省略する。また[判定処理]は、燃料中水割合Wの算出と、算出した燃料中水割合Wの値が異常であるか否かの判定(メンテフラグのON/OFF)を含む。
【0133】
ステップS675にて制御装置50は、計測開始フラグをOFFに設定(図14の時刻T41、時刻T42、時刻T43、時刻T45、時刻T46、時刻T47、時刻T49、時刻T50参照)してステップS680へ処理を進める。
【0134】
ステップS680へ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテフラグがONであるか否かを判定する。なおメンテフラグは不揮発性記憶装置に記憶され、ステップS680、S685A、S685Bに示すように、メンテ督促ランプ62(図1参照)の点灯/消灯に使用するフラグである。制御装置50は、メンテフラグがONの場合(Yes)はステップS685Aへ処理を進め、メンテフラグがOFFの場合(No)はステップS685Bへ処理を進める。
【0135】
ステップS685Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ督促ランプ62(図1参照、燃料中水割合が異常時に点灯)を点灯させ、ステップS690へ処理を進める。
【0136】
ステップS685Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、メンテ督促ランプ62を消灯させ、ステップS690へ処理を進める。
【0137】
ステップS690へ処理を進めた場合、制御装置50は、捕水量がVmax(満水量であり、図9参照)以上であるか否かを判定する。制御装置50は、捕水量がVmax以上である場合(Yes)はステップS695Aへ処理を進め、捕水量がVmax未満である場合(No)はステップS695Bへ処理を進める。
【0138】
ステップS695Aへ処理を進めた場合、制御装置50は、満水ランプ61(図1参照、捕水部が満水時に点灯)を点灯させ、図13に示す処理を終了する。
【0139】
ステップS695Bへ処理を進めた場合、制御装置50は、満水ランプ61を消灯させ、図13に示す処理を終了する。
【0140】
また図7、及び図11のステップS520の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、内燃機関に燃料を噴射するインジェクタを制御するとともに、所定期間の間に内燃機関に噴射した燃料量を取得する、燃料量取得部51a(図1参照)に相当している。なお「所定期間」は、走行距離の計測を開始(図13のステップS640にて走行距離積算値をリセット)してから所定距離(走行距離閾値)に達するまでの期間である。図14の例では、走行距離積算値が「0」から「走行距離閾値」に達するまでの期間が「所定期間」であり、時刻T41から時刻T42、時刻T42から時刻T43、時刻T44から時刻T45、時刻T45から時刻T46、時刻T46から時刻T47等が相当する。
【0141】
また図13のステップS640、S665、図11のステップS520の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、捕水関連量検出部からの捕水関連量情報(この場合、捕水量検出装置からの捕水量検出情報)に基づいて、所定期間の間に捕水部に捕集された水量である捕水量(図13のステップS665の判定水量)を取得する、捕水量取得部51b(図1参照)に相当している。この場合の捕水量は、走行距離が所定距離に達した(走行距離積算値が走行距離閾値に達した)時に捕水部に捕集されている捕水量から、走行距離の計測の開始時に捕水部に捕集されていた捕水量(図13のステップS640の開始時捕水量)を減算した水量(図13のステップS665の判定水量)である。
【0142】
また図11のステップS520の処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、所定期間における燃料量(燃料量積算値)と捕水量(この場合、判定水量)とに基づいて、燃料中の水の割合である燃料中水割合を算出する、燃料中水割合算出部51c(図1参照)に相当している。
【0143】
また図11のステップS530、S540A、S540B、図13のステップS680、S685A、S685Bの処理を実行している制御装置50(処理装置51)は、燃料中水割合が所定割合(割合閾値)以上である場合に異常であると判定してメンテナンスを促す督促情報を出力(メンテ督促ランプを点灯)する、督促情報出力部51d(図1参照)に相当している。
【0144】
本発明の、内燃機関システムの制御装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、形状、外観等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、例として図示したフローチャートや動作波形は、これらに限定されるものではない。
【0145】
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。また、本実施形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
【0146】
また本実施形態にて説明した種々の閾値等は、実際の車両を用いた実験やシミュレーション等によって適切な値が選定されて設定されている。
【符号の説明】
【0147】
1 内燃機関システム
10 内燃機関
11 吸気マニホルド
12 排気マニホルド
20 セジメンタ
21 分離部
22 捕水部
23 捕水関連量検出部
30 燃料タンク
31 燃料配管
32 燃料ポンプ
33 コモンレール
34a、34b、34c、34d インジェクタ
50 制御装置
51 処理装置(CPU)
51a 燃料量取得部
51b 捕水量取得部
51c 燃料中水割合算出部
51d 督促情報出力部
61 満水ランプ
62 メンテ督促ランプ
63 車速検出装置
64 イグニションスイッチ
70 通信回線(CAN通信回線)
C1a、C1b、C2a、C2b コネクタ
71 通信機器
図1
図2
図3
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図5
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図10
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