(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172351
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】繊維屑回収装置及び仮撚加工機
(51)【国際特許分類】
B65H 54/88 20060101AFI20241205BHJP
B04C 5/04 20060101ALI20241205BHJP
B04C 5/12 20060101ALI20241205BHJP
B04C 5/28 20060101ALI20241205BHJP
B01D 45/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65H54/88
B04C5/04
B04C5/12 Z
B04C5/28
B01D45/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090007
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128923
【弁理士】
【氏名又は名称】納谷 洋弘
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100180297
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】今中 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】北川 重樹
【テーマコード(参考)】
3F057
4D031
4D053
【Fターム(参考)】
3F057CA01
3F057CA06
4D031AC04
4D031BA03
4D031BA10
4D031DA02
4D053AA03
4D053AB01
4D053BA04
4D053BB02
4D053BC01
4D053BD04
4D053CA01
4D053CC01
4D053CD01
4D053DA10
(57)【要約】
【課題】繊維屑と空気とを好適に分離し、繊維屑が外部に排出されることを抑制可能な繊維屑回収装置を提供する。
【解決手段】繊維屑回収装置1は、繊維屑移送配管11と、繊維屑回収部13と、繊維屑移送配管11と繊維屑回収部13との間に設けられる繊維屑分離部30と、導電部34とを備える。繊維屑分離部30は、繊維屑移送配管11に接続されて繊維屑を空気から分離する分離部31と、繊維屑から分離された空気を排出する空気排出部32と、空気から分離された繊維屑を排出して繊維屑回収部13に回収する繊維屑排出部33とを含む。導電部34は、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続する。分離部31は、導電性を有する樹脂材料で構成され、筒状の本体部35と、本体部35の下方に設けられて繊維屑排出部33に向けて径が小さくなる傾斜部39を有する繊維屑移送部36とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維屑を空気とともに移送する繊維屑移送配管に接続され、前記繊維屑移送配管の管内を移送された前記繊維屑を空気から分離する分離部と、
前記分離部に接続され、前記繊維屑が分離された後の空気を排出する空気排出部と、
前記分離部にて空気から分離された前記繊維屑を繊維屑回収部に排出する繊維屑排出部と、
を備え、
前記分離部は、
前記繊維屑移送配管が接続される筒状の本体部と、
前記本体部の下方に設けられて前記繊維屑排出部に連続する繊維屑移送部と、を有し、
前記繊維屑移送部は、前記本体部との接続部から前記繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部を有して構成され、
前記分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されている、繊維屑分離器。
【請求項2】
前記本体部は、円筒状に設けられ、前記繊維屑移送配管の長手方向が内周壁に沿うように前記繊維屑移送配管が接続され、前記繊維屑移送配管の管内を移送した前記繊維屑を、遠心力により前記内周壁に沿って下方へ移動させるように構成されている、
請求項1に記載の繊維屑分離器。
【請求項3】
前記空気排出部は、
当該空気排出部が前記分離部の内部に入り込まないようにしつつ、当該空気排出部の内部と前記分離部の内部とが連通して設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の繊維屑分離器。
【請求項4】
前記繊維屑は、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維屑分離器。
【請求項5】
前記傾斜部は、鉛直方向との間で成す角度が7~10[°](上下限値含む)となるテーパー状に形成されてなる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維屑分離器。
【請求項6】
前記空気排出部は、前記本体部の内部と連通する部位における水平方向に沿った開口面積が、前記繊維屑排出部の水平方向に沿った開口面積よりも大きくなるように構成されてなる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維屑分離器。
【請求項7】
繊維屑を空気とともに移送する繊維屑移送配管と、
前記繊維屑移送配管の管内を移送した前記繊維屑を回収する繊維屑回収部と、
前記繊維屑移送配管と前記繊維屑回収部との間に設けられ、前記繊維屑移送配管の管内を移送された前記繊維屑を空気から分離し、分離した前記繊維屑を前記繊維屑回収部に回収する繊維屑分離器と、
を備え、
前記繊維屑分離器は、
前記繊維屑移送配管に接続され、前記繊維屑を空気から分離する分離部と、
前記分離部に接続され、前記繊維屑が分離された後の空気を排出する空気排出部と、
前記分離部にて空気から分離された前記繊維屑を排出して前記繊維屑回収部に回収する繊維屑排出部と、
を含み、
前記分離部を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部を更に備え、
前記分離部は、
前記繊維屑移送配管が接続される筒状の本体部と、
前記本体部の下方に設けられて前記繊維屑排出部に連続する繊維屑移送部と、を有し、
前記繊維屑移送部は、前記本体部との接続部から前記繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部を有して構成され、
前記分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されている、繊維屑回収装置。
【請求項8】
前記導電部として、前記本体部の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられている、
請求項7に記載の繊維屑回収装置。
【請求項9】
前記導電部として、前記本体部と前記繊維屑移送配管とを連結して接続する管状の連結部材として構成された管状導電部が設けられ、
前記管状導電部は、導電性を有するゴム材料で構成されている、
請求項7又は請求項8に記載の繊維屑回収装置。
【請求項10】
前記空気排出部は、
当該空気排出部の下方側の端部が、前記繊維屑移送配管よりも上方となるように設けられる、
請求項7~9のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置。
【請求項11】
前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、
前記繊維屑分離器は、複数の前記繊維屑移送配管のそれぞれに対して1つずつ備えられている、
請求項7~10のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置。
【請求項12】
前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、
前記繊維屑回収部は、複数の前記繊維屑移送配管よりも少ない数だけ備えられている、
請求項7~11のいずれか1項のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気から繊維屑を分離する繊維屑分離器、及び空気から分離された繊維屑を回収する繊維屑回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
仮撚加工機或いは紡績装置などの繊維機械においては、繊維機械に繊維を掛ける際、或いは、繊維機械に備えられた巻取装置で繊維が巻き取られることで形成されたパッケージを交換する際であっても、繊維が供給され続ける。このため、繊維機械においては、従来より、糸掛け中或いはパッケージ交換中に、繊維屑を吸引して回収することが行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数の吸い込み口が設けられたサクション管と、サクション管の端部に接続された繊維屑捕集容器と、繊維屑捕集容器に接続された負圧ポンプ又は吸い込み送風機と、を備えた、連続走行する多数本糸用のサクション装置が開示されている。特許文献1に開示されたサクション装置では、負圧ポンプ又は吸い込み送風機の作動によってサクション管内が負圧となり、複数の吸い込み口からサクション管内に吸い込まれた繊維屑が、サクション管内を吸引されて繊維屑捕集容器に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたサクション装置では、サクション管の吸い込み方向の下流端側において繊維屑捕集容器を介して接続された負圧ポンプ又は吸い込み送風機の作動によって、繊維屑がサクション管内を吸引されて回収される。このようなサクション装置によれば、空気とともに繊維屑が外部に排出されるおそれがある。
【0006】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、繊維屑と空気とを好適に分離し、繊維屑が外部に排出されることを抑制可能な繊維屑分離器、及び繊維屑回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の繊維屑分離器は、
繊維屑を空気とともに移送する繊維屑移送配管に接続され、前記繊維屑移送配管の管内を移送された前記繊維屑を空気から分離する分離部と、
前記分離部に接続され、前記繊維屑が分離された後の空気を排出する空気排出部と、
前記分離部にて空気から分離された前記繊維屑を繊維屑回収部に排出する繊維屑排出部と、
を備え、
前記分離部は、
前記繊維屑移送配管が接続される筒状の本体部と、
前記本体部の下方に設けられて前記繊維屑排出部に連続する繊維屑移送部と、を有し、
前記繊維屑移送部は、前記本体部との接続部から前記繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部を有して構成され、
前記分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されている。
【0008】
上記(1)に記載の繊維屑分離器によれば、繊維屑移送配管から分離部の本体部へ移送された繊維屑は、筒状の本体部の内側で本体部の内周に沿った空気の流れによって下方の繊維屑移送部に移動する。そして、下方に移動した繊維屑は、傾斜部を有する繊維屑移送部で団子状にまとめられて、繊維屑排出部から排出されて繊維屑回収部へ回収される。さらに、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部から排出される。よって、上記(1)に記載の繊維屑分離器によれば、繊維屑と空気とが好適に分離され、空気排出部から繊維屑が外部に排出されることを抑制することができる。
【0009】
なお、筒状の本体部と、筒状の本体部との接続部から繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部と、を有する複雑な形状の分離部を金属材料で形成する場合、複数の部材を溶接して形成することが必要となる。このため、溶接部分でのバリが生じるため、バリの部分にて繊維屑が引っ掛かってしまい、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことになる。しかし、上記(1)に記載の繊維屑分離器によれば、分離部が、樹脂材料で形成されるため、溶接によるバリの発生がなく、筒状の本体部と傾斜部とが接続された複雑な形状でも樹脂の射出成型によって容易に形成することができる。また、上記(1)に繊維屑分離器によれば、分離部が、導電性を有する樹脂材料で構成されている。このため、分離部で空気から分離された繊維屑と分離部との摩擦で生じた静電気が分離部から流れて逃がされ、分離部が帯電してしまうことが防止される。これにより、分離部において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0010】
(2)本発明の繊維屑分離器において、前記本体部は、円筒状に設けられ、前記繊維屑移送配管の長手方向が内周壁に沿うように前記繊維屑移送配管が接続され、前記繊維屑移送配管の管内を移送した前記繊維屑を、遠心力により前記内周壁に沿って下方へ移動させるように構成されている、ことが好ましい。
【0011】
上記(2)に記載の繊維屑分離器によれば、繊維屑を遠心力によって円筒状の本体部の内周壁に沿って下方の繊維屑移送部に移動させ、傾斜部を有する繊維屑移送部で団子状にまとめ、繊維屑回収部に回収することができる。このため、繊維屑と空気とを更に好適に分離でき、空気排出部から繊維屑が外部に排出されることをより一層抑制することができる。
【0012】
(3)本発明の繊維屑分離器において、前記空気排出部は、当該空気排出部が前記分離部の内部に入り込まないようにしつつ、前記空気排出部の内部と前記分離部の内部とが連通して設けられる、ことが好ましい。
【0013】
上記(3)に記載の繊維屑分離器によれば、空気排出部は、分離部の内部に入り込まないようにしつつ分離部の内部と連通するように設けられているため、繊維屑が空気排出部に絡むことがなく、繊維屑と空気との分離を良好に行うことができる。
【0014】
(4)本発明の繊維屑分離器において、前記繊維屑は、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維である、ことが好ましい。
【0015】
一般的な摩擦帯電列では、ポリエステルはマイナスに帯電し易く、ポリアミドはプラスに帯電し易い。このため、分離部が、例えば、導電性を有しないポリエステルで構成されている場合、ポリエステル繊維である繊維屑が分離部に静電気で付着してしまうことを抑制できるものの、ポリアミド繊維である繊維屑は分離部に静電気で付着してしまい易くなってしまう。よって、分離部が、例えば、導電性を有しないポリエステルで構成されている場合は、ポリアミド繊維の付着を防止することが困難となる。しかし、分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されているため、上記(4)に記載の繊維屑分離器によると、繊維屑がポリエステル繊維及びポリアミド繊維のいずれであっても、繊維屑と分離部との摩擦で生じる静電気が分離部から逃がされ、分離部が帯電してしまうことを防止することができる。よって、繊維屑がポリエステル繊維及びポリアミド繊維のいずれであっても、分離部において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0016】
(5)本発明の繊維屑分離器において、前記傾斜部は、鉛直方向との間で成す角度が7~10[°](上下限値含む)となるテーパー状に形成されてなる、ことが好ましい。
【0017】
上記(5)に記載の繊維屑分離器によれば、繊維屑と空気とをより精度よく分離することができるとともに、繊維屑排出部を、繊維屑を排出するための十分な大きさとすることができ、繊維屑が詰まることを防止できる。
【0018】
(6)本発明の繊維屑分離器において、前記空気排出部は、前記本体部の内部と連通する部位における水平方向に沿った開口面積が、前記繊維屑排出部の水平方向に沿った開口面積よりも大きくなるように構成されてなる、ことが好ましい。
【0019】
上記(6)に記載の繊維屑分離器によれば、本体部の内部と連通する部位における水平方向に沿った空気排出部の開口面積を、繊維屑排出部の水平方向に沿った開口面積よりも大きくすることによって、空気排出部から繊維屑が外部に排出されることを、より効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明に係る繊維屑分離器は、上記(1)~(6)に記載された構成の全部を備えることは必須でない。例えば、上記(1)に記載された繊維屑回収装置に係る発明において、上記(2)~(6)に記載された構成の全部は必須でない。また、整合を図ることができる範囲で、上記(1)に記載された構成と、上記(2)~(6)のいずれかに記載された構成と、を任意に組み合わせたものを、本発明に係る繊維屑分離器とすることもできる。
【0021】
(7)本発明の繊維屑回収装置は、
繊維屑を空気とともに移送する繊維屑移送配管と、
前記繊維屑移送配管の管内を移送した前記繊維屑を回収する繊維屑回収部と、
前記繊維屑移送配管と前記繊維屑回収部との間に設けられ、前記繊維屑移送配管の管内を移送された前記繊維屑を空気から分離し、分離した前記繊維屑を前記繊維屑回収部に回収する繊維屑分離器と、
を備え、
前記繊維屑分離器は、
前記繊維屑移送配管に接続され、前記繊維屑を空気から分離する分離部と、
前記分離部に接続され、前記繊維屑が分離された後の空気を排出する空気排出部と、
前記分離部にて空気から分離された前記繊維屑を排出して前記繊維屑回収部に回収する繊維屑排出部と、
を含み、
前記分離部を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部を更に備え、
前記分離部は、
前記繊維屑移送配管が接続される筒状の本体部と、
前記本体部の下方に設けられて前記繊維屑排出部に連続する繊維屑移送部と、を有し、
前記繊維屑移送部は、前記本体部との接続部から前記繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部を有して構成され、
前記分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されている。
【0022】
上記(7)に記載の繊維屑回収装置によれば、繊維移屑送配管内を移送された繊維屑は、繊維屑移送配管に接続された繊維屑分離器を経て、繊維屑回収部に回収される。そして、繊維屑分離器では、繊維屑移送配管から分離部の本体部へ移送された繊維屑は、筒状の本体部の内側で本体部の内周に沿った空気の流れによって下方の繊維屑移送部に移動する。そして、下方に移動した繊維屑は、傾斜部を有する繊維屑移送部で団子状にまとめられて、繊維屑排出部から排出されて繊維屑回収部へ回収される。さらに、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部から排出される。よって、上記(7)に記載の繊維屑回収装置によれば、繊維屑と空気とが好適に分離され、空気排出部から繊維屑が外部に排出されることを抑制することができる。
【0023】
なお、筒状の本体部と、筒状の本体部との接続部から繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部と、を有する複雑な形状の分離部を金属材料で形成する場合、複数の部材を溶接して形成することが必要となる。このため、溶接部分でのバリが生じるため、バリの部分にて繊維屑が引っ掛かってしまい、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことになる。しかし、上記(7)に記載の繊維屑回収装置によれば、分離部が、樹脂材料で形成されるため、溶接によるバリの発生がなく、筒状の本体部と傾斜部とが接続された複雑な形状でも樹脂の射出成型によって容易に形成することができる。また、上記(7)に繊維屑回収装置によれば、分離部が、導電性を有する樹脂材料で構成されており、更に、分離部を外部の導体に対して電気的に接続する導電部が設けられている。このため、分離部で空気から分離された繊維屑と分離部との摩擦で生じた静電気が分離部から導電部へと流れて逃がされ、分離部が帯電してしまうことが防止される。これにより、分離部において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0024】
(8)本発明の繊維屑回収装置において、前記導電部として、前記本体部の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられている、ことが好ましい。
【0025】
上記(8)に記載の繊維屑回収装置によれば、導電部として、本体部の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられるため、分離部に生じた静電気を分離部の全周に亘って効率よく外部へ逃がすことができる。
【0026】
(9)本発明の繊維屑回収装置において、前記導電部として、前記本体部と前記繊維屑移送配管とを連結して接続する管状の連結部材として構成された管状導電部が設けられ、前記管状導電部は、導電性を有するゴム材料で構成されている、ことが好ましい。
【0027】
上記(9)に記載の繊維屑回収装置によれば、分離部に生じた静電気を本体部から繊維屑移送配管へと効率よく流して逃がすことができる。また、本体部と繊維屑移送配管とを連結する連結部材として設けられた導電部は、導電性を有するゴム材料で構成されるため、本体部と繊維屑移送配管との位置のずれを吸収でき、本体部と繊維屑移送配管との接続を容易に行うことができる。
【0028】
(10)本発明の繊維屑回収装置において、前記空気排出部は、当該空気排出部の下方側の端部が、前記繊維屑移送配管よりも上方となるように設けられる、ことが好ましい。
【0029】
上記(10)に記載の繊維屑回収装置によれば、空気排出部に繊維屑が絡まって繊維屑と空気との良好な分離が阻害されることを防止でき、繊維屑と空気とを良好に分離することができる。
【0030】
(11)本発明の繊維屑回収装置において、前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、前記繊維屑分離器は、複数の前記繊維屑移送配管のそれぞれに対して1つずつ備えられている、ことが好ましい。
【0031】
上記(11)に記載の繊維屑回収装置は、複数の繊維屑移送配管のそれぞれに対して1つずつの繊維屑分離器が備えられている。すなわち、繊維屑移送配管と繊維屑分離器とが1対1で接続されるため、他の繊維屑移送配管による制約を受けることなく、繊維屑移送配管と繊維屑分離器とを接続することができる。よって、繊維屑移送配管と繊維屑分離器とを、繊維屑と空気とが良好に分離される適正な位置において接続することができる。なお、「適正な位置」とは、例えば、繊維屑移送配管が空気排出部の下方側の端部よりも下方となる位置である。
【0032】
(12)本発明の繊維屑回収装置において、前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、前記繊維屑回収部は、複数の前記繊維屑移送配管よりも少ない数だけ備えられている、ことが好ましい。
【0033】
上記(12)に記載の繊維屑回収装置によれば、繊維屑回収部の数が繊維屑移送配管の数よりも少ないため、繊維屑回収装置を全体的にコンパクトにすることができる。すなわち、繊維屑分離器を備えることにより、繊維屑を団子状にして排出することができるため、繊維屑回収部の内部において繊維屑が占める容積を抑えることができる。また、繊維屑と空気とを分離して繊維屑が分離された後の空気を空気排出部から排出することにより、繊維屑移送配管にブロアを接続する等した従来の繊維屑回収装置のように空気を分離できない方式に比べて、空気が占めていた容積を抑えることもできる。その結果、本発明の繊維屑回収装置では、従来の繊維屑回収装置と比べてたくさんの繊維屑を繊維屑回収部に貯留することが可能となり、繊維屑回収部の数を抑えることできる。また、繊維屑回収部の数が少ないと、交換頻度の削減等、作業者の負荷を軽減することもできる。
【0034】
本発明に係る繊維屑回収装置は、上記(7)~(12)に記載された構成の全部を備えることは必須でない。例えば、上記(7)に記載された繊維屑回収装置に係る発明において、上記(8)~(12)に記載された構成の全部は必須でない。また、整合を図ることができる範囲で、上記(7)に記載された構成と、上記(8)~(12)のいずれかに記載された構成と、を任意に組み合わせたものを、本発明に係る繊維屑回収装置とすることもできる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、繊維屑と空気とを好適に分離し、繊維屑が外部に排出されることを抑制可能な繊維屑分離器、及び繊維屑回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】繊維屑回収装置が設置される繊維機械としての仮撚加工機の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る繊維屑回収装置の一例と、繊維屑回収装置に備えられる本発明の一実施の形態に係る繊維屑分離器の一例とを示す概略図である。
【
図3】繊維屑回収装置の繊維屑移送配管に設けられる吸い込み部の一例を示す断面図である。
【
図4】繊維屑回収装置における複数の繊維屑分離器と繊維屑回収容器とを示す斜視図の一例である。
【
図9】テーパー角と、空気排出部における空気の流量と、繊維屑排出部における空気の流量との関係性を示す実験結果の一例である。
【
図10】第1変形例に係る繊維屑回収装置と繊維屑回収装置に備えられる第1変形例に係る繊維屑分離器とを示す概略図である。
【
図11】第1変形例に係る繊維屑回収装置の繊維屑分離器及び繊維屑回収容器を示す斜視図である。
【
図12】
図12(A)は、第1変形例に係る繊維屑分離器の正面図であり、
図12(B)は、第1変形例に係る管状導電部を示す断面図である。
【
図13】第2変形例に係る繊維屑回収装置を示す概略図である。
【
図14】第3変形例に係る繊維屑回収装置を示す概略図である。
【
図15】第4変形例に係る繊維屑分離器の平面図である。
【
図16】第5変形例に係る繊維屑分離器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、仮撚加工機などの繊維機械に設置されて、繊維を回収する繊維屑回収装置、及び繊維屑回収装置に備えられる繊維屑分離器として、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0038】
図1は、繊維屑回収装置1(
図2参照)が設置される繊維機械としての仮撚加工機101の概略図である。
図2は、本発明の一実施の形態に係る繊維屑回収装置1の一例と、繊維屑回収装置1に備えられる本発明の一実施の形態に係る繊維屑分離器30の一例とを示す概略図である。繊維屑回収装置1は、仮撚加工機101或いは紡績装置などの繊維機械に設置される。本実施形態においては、繊維屑回収装置1が設置される繊維機械として、仮撚加工機101を例にとって説明する。以下の説明においては、まず、繊維屑回収装置1が設置される仮撚加工機101について説明し、次いで、本発明の一実施の形態に係る繊維屑回収装置1と繊維屑回収装置1に備えられる本発明の一実施の形態に係る繊維屑分離器30とについて説明する。なお、説明の便宜上、仮撚加工機101及び繊維屑回収装置1における上下方向、前後方向、及び左右方向の各方向は、
図1及び
図2に示されるとおりである。
【0039】
[仮撚加工機]
仮撚加工機101は、例えば、ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性合成繊維に、仮撚を施して捲縮を付与し、伸縮性に富んだ加工糸を製造する繊維機械として構成される。
図1を参照して、仮撚加工機101においては、主機台102が上下方向に延在して配置されている。更に、仮撚加工機101は、主機台102と作業空間103を挟んで対向配置されて複数の給糸パッケージ105を保持する給糸クリール104、主機台102の上方に配置されて給糸クリール104から供給された糸としての繊維Yを仮撚する仮撚装置106、主機台102に設けられて仮撚装置106で仮撚された繊維Yを巻き取る巻取装置107、などを有している。巻取装置107は、上下方向に沿って4段設けられている。更に、巻取装置107は、1段目から4段目までの各段において、前後方向に沿って複数並んで設けられている。なお、上下方向に並ぶ4段の各段において複数の巻取装置107が並ぶ前後方向は、水平方向に沿った方向であって、給糸クリール104と主機台102とが並ぶ方向(左右方向)に対して垂直な方向となる。
【0040】
給糸クリール104から仮撚装置106までの糸道には、糸走行方向の上流側から順に第1フィードローラ108、シフターガイド109、第1加熱装置110、冷却装置111が配置されている。また、仮撚装置106から巻取装置107までの糸道には、糸走行方向の上流側から順に第2フィードローラ112、インターレースノズル113、第2加熱装置114、第3フィードローラ115、オイリングローラ116が配置されている。
【0041】
第1フィードローラ108は、作業空間103の上方に配置されている。第1加熱装置110は、作業空間103の上方であって、第1フィードローラ108よりもさらに上方に配置されている。冷却装置111は、作業空間103の上方の第1加熱装置110よりも主機台102側に配置されている。そして、第1加熱装置110と冷却装置111は、作業空間103の上方において、主機台102から離れながら斜め上方へ向かって延びるように配置されている。シフターガイド109は、上下方向における第1フィードローラ108と第1加熱装置110との間に配置されており、仮撚加工機101に糸を掛ける際に、第1加熱装置110と冷却装置111内に繊維Yを通すために用いられる。
【0042】
第2フィードローラ112は、主機台102の上方に配置されている。インターレースノズル113は、主機台102の上方であって、第2フィードローラ112よりも下方に配置されている。第2加熱装置114は、主機台102に設けられ、作業空間103から見て、巻取装置107の裏側に配置されており、4段の巻取装置107の1段目から4段目まで上下方向に沿って延在している。このように各装置がレイアウトされて、給糸クリール104から巻取装置107までの糸道は、作業空間103を囲むように形成されている。
【0043】
仮撚加工機101においては、給糸クリール104から給糸された糸としての繊維Yが上述した各装置を送られて、巻取装置107に巻き取られることでパッケージ117が形成される。まず、第1~第3フィードローラ(108、112、115)は、糸走行方向の上流側から下流側へ繊維Yを送るためのローラであり、第1フィードローラ108の糸送り速度よりも第2フィードローラ112の糸送り速度が速くなるように各糸送り速度が設定されている。このため、第1フィードローラ108と第2フィードローラ112との間で繊維Yは延伸される。また、第2フィードローラ112の糸送り速度よりも第3フィードローラ115の糸送り速度が遅くなるように各糸送り速度が設定されている。このため、第2フィードローラ112と第3フィードローラ115との間で繊維Yは弛緩される。
【0044】
そして、第1フィードローラ108と第2フィードローラ112との間で延伸された繊維Yは、例えば、フリクションディスク式のツイスタである仮撚装置106によって撚りが付与されて送られる。仮撚装置106で形成される撚りは、第1フィードローラ108まで伝搬して、延伸されつつ加撚された繊維Yは、第1加熱装置110で加熱された後、冷却装置111で冷却され、撚りが固定される。加撚及び熱固定された繊維Yは、仮撚装置106を通過した後、第2フィードローラ112に至るまでに解撚される。
【0045】
このようにして延伸仮撚加工された繊維Yは、インターレースノズル113において適宜に交絡部が形成されて、集束性が付与された後、第2加熱装置114で弛緩熱処理され、オイリングローラ116を介して巻取装置107によって紙管に巻き取られ、パッケージ117を形成する。そして、満巻状態になったパッケージ117は、巻取装置107から作業者により取り外される。そして、新たな紙管が作業者により巻取装置107に取り付けられ、紙管への巻き取り作業が再開される。このようにして、パッケージ117の交換が行われる。本実施形態の繊維屑回収装置1は、上述した仮撚加工機101において設置されて使用される。以下、本実施形態の繊維屑回収装置1について説明する。
【0046】
[繊維屑回収装置の概要]
図2を参照して、繊維屑回収装置1は、主として、例えば、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)に対して設けられた一つの繊維屑回収容器13と、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれに対応して一つずつ設けられた複数の繊維屑分離器30と、複数の繊維屑分離器30のそれぞれに対応して設けられる複数の導電部34とを備える。このため、繊維屑回収装置1においては、繊維屑移送配管11(11a~11d)は複数備えられており、繊維屑分離器30は、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれに対して1つずつ備えられている。繊維屑移送配管11(11a~11d)は、繊維屑を空気とともに移送する配管である。繊維屑回収容器13は、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を移送した繊維屑を回収する容器である。複数の繊維屑分離器30は、繊維屑移送配管11(11a~11d)と繊維屑回収容器13との間に配置されている。繊維屑分離器30は、繊維屑移送配管11の管内を移送された繊維屑を空気から分離し、分離した繊維屑を繊維屑回収容器13に回収するものであり、詳細については後述する。なお、上記の「繊維屑」には、糸屑(繊維が集まって出来た繊維屑)等を含む。また、上記の「繊維屑回収容器13」は、本発明の「繊維屑回収部」に相当する。
【0047】
繊維屑回収装置1は、上述した仮撚加工機101において設置される。
図1を参照して、繊維屑回収装置1の複数の繊維屑移送配管11は、仮撚加工機101において上下方向に並んで例えば4段で配置される巻取装置107の各段に対応して配置される。このため、4段の巻取装置107が配置された本実施形態の繊維屑回収装置1では、4つの繊維屑移送配管11(11a~11d)が備えられている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、前後方向に沿って延びるように配置される。1段目から4段目までの巻取装置107の各段において、巻取装置107が前後方向に沿って並んで設けられており、各繊維屑移送配管11(11a~11d)も、巻取装置107が並ぶ前後方向に沿って延びるように配置されている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、上下に4段に並ぶ巻取装置107の各段において、前後方向に並ぶ各巻取装置107の近傍の領域から繊維Yとして生じる繊維屑を吸い込んで、空気とともに繊維屑を移送する。4つの繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれは、共通の繊維屑回収容器13に接続されている。そして、各繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を移送した繊維Yの繊維屑を含む空気は、繊維屑分離器30において、繊維Yとしての繊維屑と、繊維屑が分離された後の綺麗な空気とに分離される。空気から分離された繊維屑は、繊維屑回収容器13にて回収される。繊維屑が分離された後の綺麗な空気は、後述の空気排出部32(後述の
図5参照)から外部に排出される。なお、繊維Yは、例えば、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維であり、繊維Yとして生じる繊維屑も、例えば、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維である。
【0048】
ところで、繊維屑回収装置1においては、繊維屑分離器30が備えられており、繊維屑が分離された後の空気が繊維屑分離器30の空気排出部32(後述の
図5参照)から外部に排出されることにより、繊維屑回収容器13の数を繊維屑移送配管11(11a~11d)の数よりも少なくすることができる。これにより、繊維屑回収装置1を全体的にコンパクトにすることができる。すなわち、繊維屑回収装置1は、繊維屑分離器30を備えることにより、繊維屑を団子状にして排出することができるため、繊維屑回収容器13の内部において繊維屑が占める容積を抑えることができる。また、繊維屑と空気とを分離して繊維屑が分離された後の空気を空気排出部32から排出することにより、繊維屑移送配管11(11a~11d)にブロアを接続する等した従来の繊維屑回収装置のように空気を分離できない方式に比べて、空気が占めていた容積を抑えることもできる。その結果、本実施形態の繊維屑回収装置1では、従来の繊維屑回収装置と比べてたくさんの繊維屑を繊維屑回収容器13に貯留することが可能となり、繊維屑回収容器13の数を抑えることできる。また、繊維屑回収容器13の数が少ないと、交換頻度の削減等、作業者の負荷を軽減することもできる。なお、本実施形態では、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)の全部に対して1つの繊維屑回収容器13が備えられているが、これに限定されず、繊維屑回収容器13の数が繊維屑移送配管11(11a~11d)の数よりも少なければよい。
【0049】
なお、繊維屑回収装置1は、仮撚加工機101の巻取装置107で糸切り替えの時に糸を切らないように預け、かかる糸を、糸屑(繊維屑)として回収するものである。すなわち、繊維屑回収装置1は、
図1に示されるように、仮撚加工機101に繊維Yを掛ける際、或いは、仮撚加工機101の巻取装置107で形成されたパッケージ117を交換する際に、給糸クリール104から各装置(110、111、106、114)等を経て、巻取装置107の近傍の領域へと供給され続ける繊維Yを、繊維屑として吸い込み部から回収するために用いられる。このようにすることで、仮撚加工機101の巻取装置107でパッケージ117を交換する際に、巻取装置107の近傍に供給され続ける繊維Yとして生じる繊維屑を回収できるため、糸を切る必要がなく、仮撚加工機101の運転を継続することができる。以下、繊維屑回収装置1の構成の詳細について更に詳しく説明する。
【0050】
[繊維屑移送配管]
図2を参照して、繊維屑移送配管11(11a~11d)は、繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むための複数の吸い込み部15が各巻取装置107の近傍に設けられ、複数の吸い込み部15から吸い込まれた繊維Yの繊維屑が移送される配管として構成されている。繊維屑移送配管11は、導電性を有する金属材料で形成されており、導体である。なお、繊維Yの繊維屑を吸い込む吸い込み部15については、後述する。繊維屑移送配管11は、例えば、中空の円管状に設けられている。繊維屑移送配管11(11a~11d)は、複数設けられており、本実施形態では、上述のとおり4つ設けられている。
【0051】
4つの繊維屑移送配管11(11a~11d)として、最下段の1段目の巻取装置107に対応する第1繊維屑移送配管11aと、下から2段目の巻取装置107に対応する第2繊維屑移送配管11bと、下から3段目の巻取装置107に対応する第3繊維屑移送配管11cと、最上段の4段目の巻取装置107に対応する第4繊維屑移送配管11dとが設けられている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、その長手方向が前後方向に沿って延びた状態で、仮撚加工機101において配置される。更に、第1~第4繊維屑移送配管(11a~11d)のそれぞれは、1段目から4段目の巻取装置107の各段に対応する位置で前後方向に沿って延びるように配置される。また、本実施形態において、繊維屑分離器30は、第1繊維屑移送配管11aと繊維屑回収容器13との間に設けられる第1繊維屑分離器30aと、第2繊維屑移送配管11bと繊維屑回収容器13との間に設けられる第2繊維屑分離器30bと、第3繊維屑移送配管11cと繊維屑回収容器13との間に設けられる第3繊維屑分離器30cと、第4繊維屑移送配管11dと繊維屑回収容器13との間に設けられる第4繊維屑分離器30dとが設けられている。
【0052】
各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、前後方向に延びる長手方向における一方の端部(
図2に示される後側の端部)は閉止されており、他方の端部(
図2に示される前側の端部)は繊維屑分離器30に接続されている。
【0053】
[吸い込み部]
図2を参照して、吸い込み部15は、繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むための機構として設けられ、各繊維屑移送配管11(11a~11d)に複数設けられている。各繊維屑移送配管11に設けられる複数の吸い込み部15は、吸い込み管16と開閉機構17(後述の
図3参照)とを備えて構成されており、繊維屑移送配管11(11a~11d)において、その長手方向に沿って並んで設けられている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)において並んで設けられる複数の吸い込み部15のそれぞれは、各繊維屑移送配管11(11a~11d)において、巻取装置107に対応する位置に設けられている。より具体的には、複数の吸い込み部15のそれぞれは、各繊維屑移送配管11(11a~11d)において、仮撚加工機101(
図1参照)において上下に例えば4段に並ぶ巻取装置107(
図1参照)の各段で前後方向に並ぶ巻取装置107のそれぞれに対応する位置に設けられている。
【0054】
第1~第4繊維屑移送配管11(11a~11d)に設けられている吸い込み部15は、いずれも同様に構成されている。また、各繊維屑移送配管11(11a~11d)において複数並んで設けられている吸い込み部15は、いずれも同様に構成されている。
【0055】
吸い込み管16は、繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むための管状部材として設けられており、繊維屑移送配管11(11a~11d)よりも小径の管径を有し、途中屈曲して延びるように設けられている。吸い込み管16は、一端側が繊維屑移送配管11(11a~11d)に連通するとともに、他端側には、巻取装置107(
図1参照)の近傍に配置されて繊維Yの繊維屑を吸い込む吸い込み口16a(
図3参照)が設けられている。吸い込み口16aから吸い込まれた繊維Yの繊維屑は、繊維屑移送配管11の管内へと流入する。
【0056】
図3は、繊維屑移送配管11に設けられる吸い込み部15の一例を示す断面図である。なお、
図3は、開閉部材19を上方に押し上げられて、吸い込み口16aが開放された状態である。
図3を参照して、吸い込み管16は、繊維屑移送配管11(11a~11d)に対して、斜めに傾いた状態で接続されている。吸い込み管16は、繊維屑移送配管11の管内を流動する空気の流れの上流側(
図3に示される後側)から下流側(
図3に示される前側)に向かう方向と鋭角を成す角度で、繊維屑移送配管11(11a~11d)に接続されている。即ち、吸い込み管16は、繊維屑移送配管11(11a~11d)に対して、一方の端部側(
図3に示される後側)から繊維屑回収容器13に接続された他方の端部側(
図3に示される前側)に向かう方向と鋭角を成す角度で、接続している。このため、吸い込み口16a(
図3参照)から吸い込まれた繊維Y(
図1参照)の繊維屑は、繊維屑移送配管11の管内へと流入する際に、繊維屑移送配管11の管内の空気の流れの上流側から下流側に向かう方向に沿って流入する。繊維屑移送配管11の管内に流入した繊維Yの繊維屑は、繊維屑移送配管11の管内を流動する空気の流れによって下流側に移送される。
【0057】
吸い込み管16には、圧空噴射ノズル孔16dと誘導路16eとが設けられている。圧空噴射ノズル孔16dは、出口開口16bが設けられた一端側と吸い込み口16aが設けられた他端側との間において吸い込み管16内に圧縮空気を噴射するためのノズル孔として設けられている。圧空噴射ノズル孔16dは、圧縮空気を吸い込み管16内で出口開口16b側である一端側に向かって噴射するように構成されている。本実施形態では、圧空噴射ノズル孔16dは2つ設けられている。2つの圧空噴射ノズル孔16dは、いずれも、吸い込み口16a側から出口開口16b側に向かって且つ吸い込み管16の外周側から内周側に向かって延びることで、吸い込み流路16cに連通している。この構成により、2つの圧空噴射ノズル孔16dは、いずれも、圧縮空気を吸い込み管16内で出口開口16b側に向かって噴射するように構成されている。なお、圧空噴射ノズル孔16dの数は2つに限定されない。
【0058】
吸い込み管16の誘導路16eは、吸い込み管16において、吸い込み管16の周方向に沿って環状に延びる圧縮空気の流路として設けられている。誘導路16eは、圧空噴射ノズル孔16dに連通するとともに、後述のシリンダ室20に連通している。シリンダ室20に供給された圧縮空気が、誘導路16eへと流入し、誘導路16eから圧空噴射ノズル孔16dへと流入し、吸い込み流路16cへと噴射される。
【0059】
シリンダ室20は、本体部18の内部の円筒状の空間として形成されており、圧縮空気が供給されるように構成されている。シリンダ室20は、本体部18の内部に設けられた連通路20aを介して吸い込み管16の誘導路16eに連通している。このため、シリンダ室20に供給された圧縮空気は、誘導路16eへと流入して更に圧空噴射ノズル孔16dへと流入する。また、シリンダ室20には、吸い込み管16の圧空噴射ノズル孔16dから噴射するための圧縮空気を供給する圧縮空気供給管23が接続されて連通している。圧縮空気供給管23は、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源(不図示)に対して接続されている。圧縮空気供給管23には、連通状態と遮断状態との間で切り換えられるように開閉することで圧縮空気のシリンダ室20への供給を制御する電磁弁24が設けられている。電磁弁24の開動作が行われると、圧縮空気供給管23が連通状態となり、圧縮空気供給管23からシリンダ室20へと圧縮空気が供給される。電磁弁24の閉動作が行われると、圧縮空気供給管23が遮断状態となり、圧縮空気供給管23からシリンダ室20への圧縮空気の供給が遮断される。
【0060】
吸い込み部15では、電磁弁24が閉状態で圧縮空気供給管23が遮断されてシリンダ室20に圧縮空気が供給されていない状態では、バネ室25に配置されたバネ部材22の付勢力によって開閉部材19が回転軸29周りに回転し、吸い込み口16aが閉鎖される。この状態では、吸い込み部15による繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑の吸い込み動作は行われない。一方、電磁弁24が開状態で圧縮空気供給管23が連通してシリンダ室20に圧縮空気が供給されている状態では、ピストン21が上方に変位して開閉部材19を上方に押し上げ、吸い込み口16aが開放される。更に、シリンダ室20に圧縮空気が供給されている状態では、圧縮空気が圧空噴射ノズル孔16dへと流入し、圧空噴射ノズル孔16dから吸い込み管16の吸い込み流路16cへと圧縮空気が噴射される。吸い込み流路16cへ噴射される圧縮空気は、出口開口16b側へ向かって噴射される。このように、圧空噴射ノズル孔16dから吸い込み管16内に噴射された圧縮空気によって、吸い込み管16内で繊維Yの繊維屑を繊維屑移送配管11側に送る空気流が発生し、ひいては繊維屑移送配管11の内部で繊維Yの繊維屑を繊維屑分離器30側(
図3に示される前側)に送る空気流が発生する。このようにして、吸い込み口16aから吸い込まれた繊維Yの繊維屑を、繊維屑移送配管11の管内を移送させることができる。
【0061】
なお、吸い込み口から繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むことができて、吸い込んだ繊維Yの繊維屑を、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を移送させることができれば、その態様は特定の態様に限定されない。例えば、上述のように吸い込み管16内に圧縮空気を噴射してもよいし、繊維屑移送配管11の管内を例えばブロアで吸引して負圧にしてもよい。
【0062】
また、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内における空気の流速は1000m/min以上であることが好ましい。そのため、繊維屑移送配管11の管内における空気の流速が1000m/minに満たない場合には、例えば、繊維屑移送配管11(11a~11d)の一方の端部(例えば後側の端部)に圧縮空気を供給するための接続部を設けて、圧縮空気供給源(不図示)から供給される圧縮空気を、繊維屑移送配管11(11a~11d)の一方の端部側から繊維屑移送配管11(11a~11d)へと供給可能に構成してもよい。また、従来設けられていたブロアを繊維屑分離器30の近傍に設けて、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を吸引し、例えば空気の流速1000m/minを満たすために必要な不足分を補うようにしてもよい。
【0063】
[繊維屑分離器及び導電部]
図4は、繊維屑回収装置1における複数の繊維屑分離器30と繊維屑回収容器13とを示す斜視図の一例である。
図5は、繊維屑分離器30の一例を示す斜視図である。
図6は、繊維屑分離器30の一例を示す平面図である。
図7は、繊維屑分離器30の正面図の一例である。なお、本実施形態では、上述のとおり、第1繊維屑分離器30a~第4繊維屑分離器30dを備えているが、第1繊維屑分離器30a~第4繊維屑分離器30dはいずれも同じ構成である。また、第1繊維屑分離器30a~第4繊維屑分離器30dは、いずれも、本発明の「繊維屑分離器」を構成している。
【0064】
図4~
図7を参照して、繊維屑分離器30は、繊維屑移送配管11に接続されて繊維屑移送配管11の管内を移送された繊維屑を空気から分離する分離部31と、分離部31の上端側に設けられる空気排出部32と、分離部31の下端側に設けられる繊維屑排出部33と、を備えて構成されている。繊維屑分離器30に対応して設けられる導電部34は、分離部31と一体に又は連結されて設けられる。空気排出部32は、分離部31の上端側に接続され、繊維屑が分離された後の空気を排出するように構成されている。繊維屑排出部33は、分離部31にて空気から分離された繊維屑を繊維屑回収容器13に排出して繊維屑回収容器13に回収するように構成されている。導電部34は、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するために設けられている。
【0065】
分離部31は、円筒状の本体部35と、本体部35の下方に設けられるテーパー部36とを有して構成されている。本体部35とテーパー部36とは、一体に設けられている。一体に設けられた本体部35及びテーパー部36は、いずれも導電性を有する樹脂材料で構成されている。すなわち、本体部35とテーパー部36とが一体に設けられて形成された分離部31は、導電性を有する樹脂材料で構成されている。導電性を有する樹脂材料は、例えば、金属粉末或いは炭素繊維などの無機導体が樹脂材料に練り込まれた材料として構成されている。
【0066】
分離部31の本体部35は、円筒状に設けられ、繊維屑移送配管11が接続されるように構成されている。本体部35は、円筒状の側壁を構成する円筒部37と、円筒部37の上端面を構成する上面部38とを備える。上面部38には、円筒部37と同心で円筒部37よりも直径が小さい開口部38aが形成されている。円筒部37には、繊維屑移送配管11が接続される接続口37aが設けられている。接続口37aは、短い円管状の部分として設けられ、円筒部37の内部に連通するとともに外部に対して開口している。接続口37aの外部への開口部に繊維屑移送配管11の端部が嵌合して嵌め込まれていることで、繊維屑移送配管11と本体部35の円筒部37とが接続されている。
【0067】
テーパー部36は、本体部35の下方に設けられて繊維屑排出部33に連続するように構成されている。テーパー部36は、上端部が円筒部37と直径の大きさが同じ円形であり、下端部が上端部よりも直径の大きさが小さい円形である。テーパー部36は、上端部及び下端部が開放されており、正面視において上端部から下端部にむけて直線状に先細る傾斜部39を有する。そして、テーパー部36の傾斜部39は、本体部35との接続部から繊維屑排出部33に向けて径が小さくなるように形成されている。この傾斜部39は、詳細は後述するが、鉛直方向と傾斜部39の方向とで挟まれた鋭角側の角度θ(以下、「テーパー角θ」と称する。)は、7~10[°](上下限値含む)の範囲内であることが好ましい。テーパー部36は、上端部において、円筒部37の下端部に接続されている。また、テーパー部36と本体部35との間にはそれぞれの内部を仕切る部材がなく、テーパー部36の内部と本体部35の内部とは連通している。なお、「テーパー部36」は、本発明の「繊維屑移送部」に相当する。
【0068】
導電部34は、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するために設けられている。導電部34は、本実施形態では、分離部31の本体部35に対して一体に設けられており、本体部35の外周に沿ったフランジ部として構成されている。導電部34は、本発明の「フランジ状導電部」を構成している。フランジ状導電部として設けられた導電部34は、本体部35の円筒部37の外周に沿ったリング状に形成されているとともに円筒部37の外周に一体に設けられている。導電部34は、例えば、導電性を有する樹脂材料で構成されており、本体部35と一体に成形されている。
【0069】
図4を参照して、繊維屑分離器30は、下端側が繊維屑回収容器13の上端部に接続されているともに、繊維屑回収容器13の上方に設置された支持フレーム40によって支持されている。繊維屑回収容器13と支持フレーム40とは、いずれも金属材料で形成されており、導電性を有する導体である。支持フレーム40は、繊維屑分離器30を支持する支持テーブル40aを有しており、支持テーブル40aには、繊維屑分離器30が嵌め込まれるとともに繊維屑分離器30を支持するための貫通孔が設けられている。繊維屑分離器30は、繊維屑分離器30の分離部31が支持テーブル40aの貫通孔に嵌め込まれた状態で、支持フレーム40の支持テーブル40aによって支持される。繊維屑分離器30の分離部31が支持テーブル40aの貫通孔に嵌め込まれた状態では、繊維屑分離器30の導電部34が、支持テーブル40aの貫通孔の縁部と当接し、導電部34が支持テーブル40aによって支持された状態となる。これにより、繊維屑分離器30が支持フレーム40によって支持される。そして、分離部31と一体に設けられた導電部34が支持テーブル40aと当接している状態では、導電部34と導体である支持フレーム40とが電気的に接続されている。これにより、導電部34は、分離部31を外部の導体である支持フレーム40に対して電気的に接続するように構成されている。
【0070】
図4~
図7を参照して、繊維屑排出部33は、両端が開放された円筒状であり、繊維屑排出部33の内径とテーパー部36の下端部の内径とが同じ大きさである。繊維屑排出部33は、テーパー部36の下端部と同心となるように、上端部においてテーパー部36の下端部に接続されている。また、繊維屑排出部33は、下端部において、繊維屑回収容器13(
図4参照)に接続されている。繊維屑排出部33とテーパー部36との間にはそれぞれの内部を仕切る部材がなく、繊維屑排出部33の内部と本体部35の内部とは連通している。また、繊維屑排出部33は、分離部31のテーパー部36の下端部に対して一体に設けられていても結合されて設けられていてもよい。繊維屑排出部33がテーパー部36と一体に設けられる場合は、繊維屑排出部33は、テーパー部36と同様に、導電性を有する樹脂材料で構成される。
【0071】
図4~
図7を参照して、繊維屑が分離された後の空気を外部に排出する空気排出部32は、分離部31の上方で分離部31に接続されている。空気排出部32は、両端が開放された円筒状の管材を有しており、空気排出部32の内径と上面部38の開口部38aの直径とが同じ大きさである。空気排出部32は、開口部38aと同心となるように、下端部において開口部38aに接続されている。より詳しくは、空気排出部32は、空気排出部32の円筒状の部分が分離部31の本体部35の内部に入り込んでいない若しくはわずかしか入り込んでおらず、空気排出部32の円筒状の部位の下方側の端部と、分離部31(より詳しくは本体部35)の上面部38の下面とが面一となるように、或いは、空気排出部32の下方側の端部が上面部38の下面からわずかに突出した状態となるように、本体部35に接続されている。
【0072】
なお、
図7の例に示されるように、空気排出部32は、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが上面部38の下面からわずかに突出する場合であっても、空気排出部32の下方側の端部32aが、繊維屑移送配管11の上端部11eよりも上方であることが好ましい。本願発明者の知見によれば、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが繊維屑移送配管11の上端部11eよりも下方である場合、空気排出部32の円筒状の部位に繊維屑が絡まってしまい、繊維屑と空気との良好な分離が阻害されてしまうからである。そこで、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが少なくとも繊維屑移送配管11の上端部11eよりも上方となるようにすることで、空気排出部32の円筒状の部位に繊維屑が絡まってしまうことを防止でき、繊維屑と空気とを良好に分離することができる。本実施の形態では、上述の
図5に示されるとおり、空気排出部32の円筒状の部位の下方側の端部と、本体部35の上面部38(
図5参照)の下面とが面一の場合は、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが繊維屑移送配管11の上端部11eよりも上方となり、繊維屑と空気とを良好に分離することができる。
【0073】
ところで、1つの繊維屑分離器30に対して複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)が接続される場合、繊維屑移送配管11(11a~11d)と繊維屑分離器30との接続位置が制約を受けてしまう。例えば、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のうち一の繊維屑移送配管11aと繊維屑分離器30との接続位置は、他の繊維屑移送配管11b~11dによって制約を受ける。そうすると、一の繊維屑移送配管11aを、空気排出部32の円筒状の部位の下端部よりも下方となるように、繊維屑分離器30と接続できなくなるおそれがある。そこで、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれと繊維屑分離器30とを1対1で接続することで、繊維屑と空気とが良好に分離される適正な位置、すなわち繊維屑移送配管11(11a~11d)が空気排出部32の円筒状の部位の下端部よりも下方となる位置に、繊維屑移送配管11(11a~11d)と繊維屑分離器30とを接続することができる。
【0074】
空気排出部32と分離部31(より詳しくは本体部35)との間にはそれぞれの内部を仕切る部材がなく、空気排出部32の内部と分離部31の内部とは連通している。また、発明者の知見によれば、空気排出部32の内径(すなわち開口部38aの直径)よりも、繊維屑排出部33の内径(すなわちテーパー部36の下端部の内径)の方が大きい場合、繊維屑と空気との分離が不十分となり、空気排出部32から繊維屑が排出されるおそれがある。そのため、繊維屑排出部33の内径(すなわちテーパー部36の下端部の内径)は、空気排出部32の内径(すなわち開口部38aの直径)よりも小さい方が好ましい。
【0075】
なお、本実施形態においては空気排出部32及び繊維屑排出部33はいずれも円筒状であるが、これに限られず角筒状であってもよい。この場合、本体部35の内部と連通する部位(すなわち上面部38との接続部位)における水平方向に沿った開口面積が、繊維屑排出部33の水平方向に沿った開口面積よりも大きい方が好ましい。
【0076】
繊維屑移送配管11は、
図6に示されるように、長手方向が分離部31の本体部35の円筒部37の内周壁37bに沿うように、本体部35の上部において、本体部35の円筒部37に接続されている。すなわち、繊維屑移送配管11は、平面視において、分離部31の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されている。さらに言い換えると、繊維屑移送配管11の管内を移送した繊維屑としての繊維を含む空気の進行方向が円筒部37の内周壁37bに沿うように、繊維屑移送配管11と分離部31の本体部35とが接続されている。繊維屑移送配管11と分離部31とをこのように接続することで、繊維屑移送配管11の管内を移送した繊維屑を含む空気は、
図5に示されるように、円筒部37の内周壁37bに沿って周方向に移動するようになる。そのため、空気に含まれる繊維屑は、遠心力すなわち遠心分離の作用によって円筒部37の内周壁37bに沿って周方向に回転しながら下方へ移動させられる。円筒部37の内周壁37bに沿って回転しながら下方に移動した繊維屑は、さらに傾斜部39の内壁39aに沿って繊維屑排出部33に向けて移送される。繊維屑排出部33に向けて移送した繊維屑は、繊維屑排出部33から繊維屑回収容器13(
図4参照)に移送される。このようにして繊維屑移送配管11の管内を移送した繊維屑を含む空気から繊維屑を分離し、分離された繊維屑は、繊維屑回収容器13に回収される。一方、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部32から外部に排出される。
【0077】
なお、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれと繊維屑分離器30の分離部31とを1対1で接続した場合、繊維屑移送配管11(11a~11d)と分離部31とを適正な位置において接続することができることに加え、円筒部37の内周壁37bを確保できるようになり、繊維屑を確実にテーパー部36に送ることができる。
【0078】
[作用効果]
本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、繊維屑移送配管11から分離部31の本体部5へ移送された繊維屑は、筒状の本体部35の内側で本体部35の内周に沿った空気の流れによって下方の繊維屑移送部であるテーパー部36に移動する。そして、下方に移動した繊維屑は、傾斜部39を有するテーパー部36で団子状にまとめられて、繊維屑排出部33から排出されて繊維屑回収部である繊維屑回収容器13へ回収される。さらに、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部32から排出される。よって、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、繊維屑と空気とが好適に分離され、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されることを抑制することができる。
【0079】
なお、筒状の本体部35と、筒状の本体部35との接続部から繊維屑排出部33に向けて径が小さくなる傾斜部39と、を有する複雑な形状の分離部31を金属材料で形成する場合、複数の部材を溶接して形成することが必要となる。このため、溶接部分でのバリが生じるため、バリの部分にて繊維屑が引っ掛かってしまい、繊維屑回収容器13への繊維屑回収効率が低下してしまうことになる。しかし、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、分離部31が、樹脂材料で形成されるため、溶接によるバリの発生がなく、筒状の本体部35と傾斜部39とが接続された複雑な形状でも樹脂の射出成型によって容易に形成することができる。また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、分離部31が、導電性を有する樹脂材料で構成されており、更に、分離部31を外部の導体である支持フレーム40に対して電気的に接続する導電部34が設けられている。このため、分離部31で空気から分離された繊維屑と分離部31との摩擦で生じた静電気が分離部31から導電部34へと流れて逃がされ、分離部31が帯電してしまうことが防止される。これにより、分離部31において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収容器13への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0080】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、繊維屑を遠心力によって円筒状の本体部35の内周壁37bに沿って下方のテーパー部36に移動させ、傾斜部39を有するテーパー部36で団子状にまとめ、繊維屑回収容器13に回収することができる。このため、繊維屑と空気とを更に好適に分離でき、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されることをより一層抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1によれば、導電部34として、本体部35の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられるため、分離部31に生じた静電気を分離部31の全周に亘って効率よく外部へ逃がすことができる。
【0082】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、空気排出部32は、分離部31の内部に入り込まないようにしつつ分離部31の内部と連通するように設けられているため、繊維屑が空気排出部32に絡むことがなく、繊維屑と空気との分離を良好に行うことができる。
【0083】
なお、一般的な摩擦帯電列では、ポリエステルはマイナスに帯電し易く、ポリアミドはプラスに帯電し易い。このため、分離部31が、例えば、導電性を有しないポリエステルで構成されている場合、ポリエステル繊維である繊維屑が分離部31に静電気で付着してしまうことを抑制できるものの、ポリアミド繊維である繊維屑は分離部31に静電気で付着してしまい易くなってしまう。よって、分離部31が、例えば、導電性を有しないポリエステルで構成されている場合は、ポリアミド繊維の付着を防止することが困難となる。しかし、分離部31は、導電性を有する樹脂材料で構成されているため、本実施形態の繊維屑分離器30によると、繊維屑がポリエステル繊維及びポリアミド繊維のいずれであっても、繊維屑と分離部31との摩擦で生じる静電気が分離部31から導電部34へと逃がされ、分離部31が帯電してしまうことを防止することができる。よって、繊維屑がポリエステル繊維及びポリアミド繊維のいずれであっても、分離部31において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収容器13への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0084】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、テーパー部36は、本体部35との接続部から繊維屑排出部33に向けて径が小さくなる傾斜部39を有する。この傾斜部39において繊維屑と空気とを分離することができるため、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されてしまうことをより一層抑制できる。なお、上記の傾斜部39は、鉛直方向との間で成す角度が7~10[°](上下限値含む)の範囲内のテーパー状とすることで、繊維屑と空気とを精度よく分離しつつ、繊維屑排出部33が繊維屑で詰まってしまうことを防止することで繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出することができる。
【0085】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、本体部35の内部と連通する部位における水平方向に沿った空気排出部32の開口面積を、繊維屑排出部33の水平方向に沿った開口面積よりも大きくすることによって、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されることを、より効果的に抑制することができる。
【0086】
[実験例]
本実施形態を、以下の実験例により裏付けを行った。この実験例の結果について説明する。
図8は、繊維屑分離器30の正面図の一例である。
図9は、テーパー角θと、空気排出部32における空気の流量と、繊維屑排出部33における空気の流量との関係性を示す実験結果の一例である。後述の実験例1、実験例2、及び実験例3において用いた繊維は75デニールの仮撚糸である。
【0087】
なお、
図8及び
図9において、上下方向をY方向とし、とくに、上方向をY方向(正方向)とし、下方向をY方向(負方向)とする。
図9に示される流量は、Y方向のベクトル成分の流量をあらわしており、流量の値が正であるときは空気の流れがY方向(正方向)であることを示し、流量の値が負であるときは空気の流れがY方向(負方向)であることを示す。
【0088】
また、
図8を参照して、繊維屑分離器30の各部位の寸法を、繊維屑分離器30全体のY方向長さa、本体部35のY方向長さb、本体部35の内径c、空気排出部32のY方向長さd、空気排出部32の内径e、傾斜部39のY方向長さf、繊維屑排出部33のY方向長さg、繊維屑排出部33の内径h、テーパー角θとする。後述する実験例2では、繊維屑分離器30との接続部における繊維屑移送配管11の流入口の内径をiとする。
【0089】
(実験例1)
実験例1では、繊維屑分離器30の各部位の寸法を、a=280mm、b=80mm、c(内径)=80mm、d=50mm、e(内径)=48mm、g=10mm、h(内径)=31mmとし、テーパー角θを変更して、繊維屑排出部33から排出される繊維屑の良好性(以下「繊維屑排出の良好性」と称する)を検証した。テーパー角θについては、10°、15°、30°、40°で検証を行った。なお、傾斜部39のY方向長さfは、テーパー角θに応じて決まる寸法である。
【0090】
実験例1で得られた検証結果は、表1に示されるとおりである。表1は、テーパー角θと、繊維屑排出の良好性との関係性を示す実験結果の一例である。繊維屑は、繊維屑排出部33から良好に排出されるためには、団子状にまとまることが重要である。繊維屑が団子状となって繊維屑排出部33から良好に排出されたものをOK判定とし、繊維屑が団子状にならずに繊維屑排出部33から排出されなかったものをNG判定とし、繊維屑が団子状にまとまるものの5回のうち1回の頻度で繊維屑排出部33が詰まったものを△判定とした。
【0091】
【0092】
表1に示されるように、テーパー角θが10°を超えると、繊維屑排出の良好性はNG判定であった。テーパー角θが10°の場合、実験例1によれば、5回のうち1回は繊維屑が繊維屑排出部33で詰まったため△判定としたが、5回のうち4回は繊維屑が団子状にまとまって繊維屑排出部33から排出されたため、OK判定に近いものと考える。表1には示されていないが、テーパー角θが10°未満では、繊維屑排出の良好性は全てOK判定であった。
【0093】
以上の検証結果より、繊維屑排出部33から排出される屑糸の良好性の観点から、テーパー角θは10°以下であることが好ましいことが分かった。
【0094】
(実験例2)
実験例2では、繊維屑分離器30の各部位の寸法を、a=300.1mm、b=90mm、c=90mm、d=30mm、e=48mm、f=170.1mm、g=10mm、i=21mmとし、テーパー角θのみを変更して、空気排出部32におけるY方向の空気の流量、及び繊維屑排出部33におけるY方向の空気の流量の変化を検証した。テーパー角θについては、10°、9°、7°、5°で検証を行った。なお、繊維屑排出部33の内径hは、テーパー角θによって決まる寸法である。また、繊維屑移送配管11の内部における空気の流速は1000m/minと想定し、繊維屑移送配管11の流入口における空気の質量流量を0.014896kg/sとした。
【0095】
実験例2で得られた検証結果によれば、空気排出部32の内径e及び繊維屑排出部33の内径hが一定の大きさであることを前提とした場合、
図9に示されるように、繊維屑排出部33から排出される空気の流量が増加すると、空気排出部32から排出される空気の流量が減少することが分かった。また、空気排出部32から排出される空気の流量は、テーパー角θが小さくなるにつれて減少する。その一方、繊維屑排出部33から排出される空気の流量は、テーパー角θが7°を分岐として、テーパー角θをそれ以上に小さくしても減少せずに横ばいとなっている。ところで、空気排出部32の内径e及び繊維屑排出部33の内径hを一定とし、テーパー角θを小さくすると、それにともなって傾斜部39のY方向長さfが大きくなる。傾斜部39のY方向長さfが大きくなると繊維屑分離器30全体のY方向長さaが大きくなり、圧損が大きくなると考えられる。そのため、テーパー角を7°より小さくすると、空気排出部32から排出される空気の流量に対して、繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合が大きくなると考えられる。発明者の知見によれば、空気排出部32から排出される空気の流量に対して、繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合が大きくなると、繊維屑と空気との分離が良好に行われなくなる。そのため、テーパー角θの下限は7°以上であることが好ましい。
【0096】
上述の実験例1及び実験例2の検証結果を総合すると、テーパー角θは、7°~10°(上限値及び下限値を含む)の範囲内であることが好ましいことが分かった。
【0097】
(実験例3)
実験例3では、繊維屑排出部33の内径hと、空気排出部32から排出される空気の流量に対する繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合との関係性について検証した。なお、空気排出部32の役割としては、繊維屑が分離された後の空気を外気に排出できればよいため、空気排出部32の内径eを例えば48mmで一定とした。実験の結果については図示を省略するが、繊維屑排出部33におけるY方向(負方向)の空気の流量(絶対値)は、繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて大きくなり、繊維屑排出部33の内径hが小さくなるにつれて小さくなる。一方、空気排出部32におけるY方向(正方向)の空気の流量(絶対値)については、繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて小さくなり、繊維屑排出部33の内径hが小さくなるにつれて大きくなる傾向にある。上述のとおり、発明者の知見によれば、繊維屑排出部33の内径hは、空気排出部32の内径eよりも小さい方が好ましい。しかし、繊維屑排出部33の内径hが27mm以下では、繊維屑排出部33からの繊維屑の排出が困難になることが分かった。なお、繊維屑排出部33の内径hが27mmの場合、空気排出部32から排出される空気の流量と、繊維屑排出部33から排出される空気の流量との比率は、概ね7対3である。この比率は繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて小さくなる。例えば、繊維屑排出部33の内径hが27mm~35mmの範囲内では、繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて、空気排出部32から排出される空気の流量と、繊維屑排出部33から排出される空気の流量との比率が小さくなる。そして、繊維屑排出部33の内径hが35mmになると、空気排出部32から排出される空気の流量と、繊維屑排出部33から排出される空気の流量との比率が、概ね1対1となることが分かった。上述のとおり、空気排出部32から排出される空気の流量に対して、繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合が大きくなると、繊維屑と空気との分離が良好に行われなくなるため、繊維屑排出部33の内径hは35mm以下であることが好ましい。
【0098】
なお、上記の実験例1、実験例2、及び実験例3は、上述したとおり75デニールの仮撚糸を用いて行った結果であるが、本発明者は、他の繊維についても同様の検証を行っている。その結果、仮撚糸、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維については、傾斜部39を、鉛直方向との間で成す角度が7~10[°](上下限値含む)の範囲内のテーパー状とすることで、繊維屑と空気とを精度よく分離でき、繊維屑排出部33が繊維屑で詰まってしまうことを防止することで繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出することができた。とくに、75~450デニールの仮撚糸、150デニールのPET、及びナイロンについては、顕著な効果が得られたことを確認している。
【0099】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0100】
上述の実施形態では、導電部34が、本体部35の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部として設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。分離部31を外部の導体に対して電気的に接続する導電部は、例えば、以下の第1変形例に示される形態であってもよい。
【0101】
(第1変形例)
図10は、第1変形例に係る繊維屑回収装置1Aと繊維屑回収装置1Aに備えられる第1変形例に係る繊維屑分離器30とを示す概略図である。
図11は、第1変形例に係る繊維屑回収装置1Aの繊維屑分離器30及び繊維屑回収容器13を示す斜視図である。
図12(A)は、第1変形例に係る繊維屑分離器30の正面図であり、
図12(B)は、第1変形例に係る導電部(管状導電部)41を示す断面図である。
【0102】
図10~
図12を参照して、第1変形例の繊維屑回収装置1Aにおいては、繊維屑分離器30において、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部として、フランジ状導電部として設けられた導電部34に加え、さらに、管状導電部として設けられた導電部41が備えられている。
【0103】
導電部41は、本体部35と繊維屑移送配管11とを連結して接続する管状の連結部材として構成された管状導電部として設けられている。導電部41は、円管状の部材として設けられており、導電性を有するゴム材料で構成されている。円管状の導電部41は、両端が開口しており、一方の開口に対して本体部35の円筒部37の接続口37aが嵌合して接続され、他方の開口に対して繊維屑移送配管11の端部が嵌合して接続される。導電部41の一端部に円筒部37の接続口37aが接続され、導電部41の他端部に繊維屑移送配管11が接続されることで、導電部41を介して本体部35と繊維屑移送配管11とが連結されて接続される。また、繊維屑移送配管11は、導電性を有する金属材料で形成されており、導体である。そして、導電部41を介して分離部31の本体部35と繊維屑移送配管11とが連結されて接続されることで、分離部31と繊維屑移送配管11とが電気的に接続される。このように、管状導電部として設けられた導電部41は、分離部31を外部の導体である繊維屑移送配管11に対して電気的に接続するように構成されている。
【0104】
上述した第1変形例に係る繊維屑回収装置1Aによれば、分離部31に生じた静電気を本体部35から繊維屑移送配管11へと効率よく流して逃がすことができる。また、本体部35と繊維屑移送配管11とを連結する連結部材として設けられた導電部41は、導電性を有するゴム材料で構成されるため、本体部35と繊維屑移送配管11との位置のずれを吸収でき、本体部35と繊維屑移送配管11との接続を容易に行うことができる。
【0105】
なお、第1変形例に示される形態では、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部として、フランジ状導電部として設けられた導電部34とともに、管状導電部として設けられた導電部41が備えられる形態を例示したが、この通りでなくてもよい。フランジ状導電部としての導電部34が設けられておらず、管状導電部としての導電部41のみが設けられている形態が実施されてもよい。また、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部として、フランジ状導電部及び管状導電部以外の導電部の形態が実施されてもよい。例えば、分離部31と支持フレーム40とに連結された導体として設けられた導電部の形態が実施されてもよい。
【0106】
上述の実施形態では、各繊維屑移送配管11(11a~11d)に対応する繊維屑分離器30を、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれと、一つの繊維屑回収容器13との間に設けた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、後述の第2変形例~第5変形例に示される形態であってもよい。
【0107】
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係る繊維屑回収装置1Bを示す概略図である。
図13を参照して、第2変形例の形態では、繊維屑回収装置1Bは、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれに対応して、複数の繊維屑回収容器13(13a~13d)と、複数の繊維屑分離器30(30a~30d)とを備えている。
【0108】
詳しくは、繊維屑回収容器13は、第1繊維屑移送配管11aに対応する第1繊維屑回収容器13aと、第2繊維屑移送配管11bに対応する第2繊維屑回収容器13bと、第3繊維屑移送配管11cに対応する第3繊維屑回収容器13cと、第4繊維屑移送配管11dに対応する第4繊維屑回収容器13dとが設けられている。さらに、繊維屑分離器30(30a~30d)としては、第1繊維屑移送配管11aと第1繊維屑回収容器13aとの間に設けられる第1繊維屑分離器30aと、第2繊維屑移送配管11bと第2繊維屑回収容器13bとの間に設けられる第2繊維屑分離器30bと、第3繊維屑移送配管11cと第3繊維屑回収容器13cとの間に設けられる第3繊維屑分離器30cと、第4繊維屑移送配管11dと第4繊維屑回収容器13dとの間に設けられる第4繊維屑分離器30dとが設けられている。第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、長手方向が繊維屑分離器30の本体部(参照符号なし)の内周壁(参照符号なし)に沿うように、本体部(参照符号なし)に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11(11a~11d)と同様に、平面視において、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dが繊維屑分離器30(30a~30d)の本体部の円筒部の接線に沿うように、本体部に接続されている。
【0109】
このような第2変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33(
図5参照)から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32(
図5参照)から良好に排出することができる。
【0110】
(第3変形例)
図14は、第3変形例に係る繊維屑回収装置1Cを示す概略図である。
図14を参照して、第3変形例の形態では、繊維屑回収装置1Cは、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、一つの繊維屑回収容器13と一つの繊維屑分離器30とを備えている。
【0111】
繊維屑分離器30は、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、繊維屑回収容器13との間に設けられている。複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)は、繊維屑分離器30の上流側で合流しており、合流後の配管の長手方向が繊維屑分離器30の本体部35の内周壁(参照符号なし)に沿うように、本体部35に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11と同様に、平面視において、合流後の配管(参照符号なし)が繊維屑分離器30の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されていることが好ましい。
【0112】
このような第3変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32から良好に排出することができる。
【0113】
なお、第3変形例の形態では、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)の全部が、一つの繊維屑分離器30の上流側で合流しているが、これに代えて、繊維屑分離器30を複数設けて、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のうち2以上の繊維屑移送配管が繊維屑分離器30の上流側で合流するようにしてもよい。例えば、2つの繊維屑移送配管が一の繊維屑分離器の上流側で合流し、合流した状態で一の繊維屑分離器に接続されるとともに、他の2つの繊維屑移送配管が他の繊維屑分離器の上流側で合流し、合流した状態で他の繊維屑分離器に接続されるようにしてもよい。
【0114】
(第4変形例)
図15は、第4変形例に係る繊維屑分離器30の平面図である。第4変形例の繊維屑回収装置(参照符号なし)は、第3変形例の繊維屑回収装置1Cと同様に、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、一つの繊維屑回収容器(参照符号なし)と、一つの繊維屑分離器30とを備えている。なお、第3変形例では、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)が繊維屑分離器30の上流側で合流しているが、第4変形例では、これに代えて、一つの繊維屑分離器30に対して、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)が接続されている。
【0115】
詳しくは、
図15を参照して、第4変形例の形態では、第1繊維屑移送配管11aと、第2繊維屑移送配管11bと、第3繊維屑移送配管11cと、第4繊維屑移送配管11dとが、一つの繊維屑分離器30の本体部35の周方向にずれた位置に接続されている。第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、長手方向が繊維屑分離器30の本体部35の内周壁37bに沿うように、本体部35に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11と同様に、平面視において、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dが繊維屑分離器30の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されている。このような第4変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32から良好に排出することができる。
【0116】
なお、
図15に示される第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、本体部35の上部に接続されていることが好ましい。ただし、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dの全部が上下方向において同じ位置であることは必須でなく、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dのうち一部または全部が、上下方向にずれて接続されていてもよい。
【0117】
(第5変形例)
図16は、第5変形例に係る繊維屑分離器30の斜視図である。第5変形例の繊維屑回収装置(参照符号なし)は、第3変形例の繊維屑回収装置1Cと同様に、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、一つの繊維屑回収容器(参照符号なし)と、一つの繊維屑分離器30とを備えている。
【0118】
図16を参照して、第5変形例の形態では、第1繊維屑移送配管11aと、第2繊維屑移送配管11bと、第3繊維屑移送配管11cと、第4繊維屑移送配管11dとが、一つの繊維屑分離器30の本体部35の上下方向にずれた位置に接続されている。第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、長手方向が繊維屑分離器30の本体部35の内周壁37bに沿うように、本体部35に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11と同様に、平面視において、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dが繊維屑分離器30の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されている。このような第5変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32から良好に排出することができる。
【0119】
なお、
図16に示される第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、上下方向には互いにずれているものの、本体部35の周方向の同じ位置において本体部35と接続されているが、これは必須でない。例えば、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dのうち少なくとも一つまたは全部が、本体部35の周方向にずれた位置において本体部35と接続されていてもよい。
【0120】
(その他の変形例)
上述の実施形態では、繊維屑回収装置1が仮撚加工機101に設置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。繊維屑回収装置1が、仮撚加工機101以外の繊維機械において設置される形態が実施されてもよい。例えば、繊維屑回収装置1が、紡績装置において設置される形態が実施されてもよい。
【0121】
上述の実施形態では、巻取装置107が上下方向に沿って4段設けられた仮撚加工機101に設置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。巻取装置107が上下方向に沿って3段以下或いは5段以上設けられた仮撚加工機101に設置される形態が実施されてもよい。この場合、上下方向に並ぶ巻取装置107の段数に応じた数の繊維屑移送配管11が設けられていてもよい。
【0122】
上述の実施形態では、繊維屑移送配管11が複数設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。繊維屑移送配管11が1つのみ設けられた形態が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 繊維屑回収装置
11 繊維屑移送配管
13 繊維屑回収容器(繊維屑回収部)
15 吸い込み部
30 繊維屑分離器
31 分離部
32 空気排出部
33 繊維屑排出部
34 導電部
35 本体部
36 テーパー部(繊維屑移送部)
39 傾斜部
Y 繊維
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維屑を空気とともに移送する繊維屑移送配管と、
前記繊維屑移送配管の管内を移送した前記繊維屑を回収する繊維屑回収部と、
前記繊維屑移送配管と前記繊維屑回収部との間に設けられ、前記繊維屑移送配管の管内を移送された前記繊維屑を空気から分離し、分離した前記繊維屑を前記繊維屑回収部に回収する繊維屑分離器と、
を備え、
前記繊維屑分離器は、
前記繊維屑移送配管に接続され、前記繊維屑を空気から分離する分離部と、
前記分離部に接続され、前記繊維屑が分離された後の空気を排出する空気排出部と、
前記分離部にて空気から分離された前記繊維屑を排出して前記繊維屑回収部に回収する繊維屑排出部と、
を含み、
前記分離部を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部を更に備え、
前記分離部は、
前記繊維屑移送配管が接続される筒状の本体部と、
前記本体部の下方に設けられて前記繊維屑排出部に連続する繊維屑移送部と、を有し、
前記繊維屑移送部は、前記本体部との接続部から前記繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部を有して構成され、
前記分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されている、繊維屑回収装置。
【請求項2】
前記導電部として、前記本体部の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられている、
請求項1に記載の繊維屑回収装置。
【請求項3】
前記導電部として、前記本体部と前記繊維屑移送配管とを連結して接続する管状の連結部材として構成された管状導電部が設けられ、
前記管状導電部は、導電性を有するゴム材料で構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の繊維屑回収装置。
【請求項4】
前記空気排出部は、
当該空気排出部の下方側の端部が、前記繊維屑移送配管よりも上方となるように設けられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置。
【請求項5】
前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、
前記繊維屑分離器は、複数の前記繊維屑移送配管のそれぞれに対して1つずつ備えられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置。
【請求項6】
前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、
前記繊維屑回収部は、複数の前記繊維屑移送配管よりも少ない数だけ備えられている、
請求項1~5のいずれか1項のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の繊維屑回収装置を備える仮撚加工機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気から分離された繊維屑を回収する繊維屑回収装置、及びこの繊維屑回収装置を備える仮撚加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
仮撚加工機或いは紡績装置などの繊維機械においては、繊維機械に繊維を掛ける際、或いは、繊維機械に備えられた巻取装置で繊維が巻き取られることで形成されたパッケージを交換する際であっても、繊維が供給され続ける。このため、繊維機械においては、従来より、糸掛け中或いはパッケージ交換中に、繊維屑を吸引して回収することが行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数の吸い込み口が設けられたサクション管と、サクション管の端部に接続された繊維屑捕集容器と、繊維屑捕集容器に接続された負圧ポンプ又は吸い込み送風機と、を備えた、連続走行する多数本糸用のサクション装置が開示されている。特許文献1に開示されたサクション装置では、負圧ポンプ又は吸い込み送風機の作動によってサクション管内が負圧となり、複数の吸い込み口からサクション管内に吸い込まれた繊維屑が、サクション管内を吸引されて繊維屑捕集容器に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたサクション装置では、サクション管の吸い込み方向の下流端側において繊維屑捕集容器を介して接続された負圧ポンプ又は吸い込み送風機の作動によって、繊維屑がサクション管内を吸引されて回収される。このようなサクション装置によれば、空気とともに繊維屑が外部に排出されるおそれがある。
【0006】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、繊維屑と空気とを好適に分離し、繊維屑が外部に排出されることを抑制可能な繊維屑回収装置、及び仮撚加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の繊維屑回収装置は、
繊維屑を空気とともに移送する繊維屑移送配管と、
前記繊維屑移送配管の管内を移送した前記繊維屑を回収する繊維屑回収部と、
前記繊維屑移送配管と前記繊維屑回収部との間に設けられ、前記繊維屑移送配管の管内を移送された前記繊維屑を空気から分離し、分離した前記繊維屑を前記繊維屑回収部に回収する繊維屑分離器と、
を備え、
前記繊維屑分離器は、
前記繊維屑移送配管に接続され、前記繊維屑を空気から分離する分離部と、
前記分離部に接続され、前記繊維屑が分離された後の空気を排出する空気排出部と、
前記分離部にて空気から分離された前記繊維屑を排出して前記繊維屑回収部に回収する繊維屑排出部と、
を含み、
前記分離部を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部を更に備え、
前記分離部は、
前記繊維屑移送配管が接続される筒状の本体部と、
前記本体部の下方に設けられて前記繊維屑排出部に連続する繊維屑移送部と、を有し、
前記繊維屑移送部は、前記本体部との接続部から前記繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部を有して構成され、
前記分離部は、導電性を有する樹脂材料で構成されている。
【0008】
上記(1)に記載の繊維屑回収装置によれば、繊維移屑送配管内を移送された繊維屑は、繊維屑移送配管に接続された繊維屑分離器を経て、繊維屑回収部に回収される。そして、繊維屑分離器では、繊維屑移送配管から分離部の本体部へ移送された繊維屑は、筒状の本体部の内側で本体部の内周に沿った空気の流れによって下方の繊維屑移送部に移動する。そして、下方に移動した繊維屑は、傾斜部を有する繊維屑移送部で団子状にまとめられて、繊維屑排出部から排出されて繊維屑回収部へ回収される。さらに、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部から排出される。よって、上記(1)に記載の繊維屑回収装置によれば、繊維屑と空気とが好適に分離され、空気排出部から繊維屑が外部に排出されることを抑制することができる。
【0009】
なお、筒状の本体部と、筒状の本体部との接続部から繊維屑排出部に向けて径が小さくなる傾斜部と、を有する複雑な形状の分離部を金属材料で形成する場合、複数の部材を溶接して形成することが必要となる。このため、溶接部分でのバリが生じるため、バリの部分にて繊維屑が引っ掛かってしまい、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことになる。しかし、上記(1)に記載の繊維屑回収装置によれば、分離部が、樹脂材料で形成されるため、溶接によるバリの発生がなく、筒状の本体部と傾斜部とが接続された複雑な形状でも樹脂の射出成型によって容易に形成することができる。また、上記(1)に記載の繊維屑回収装置によれば、分離部が、導電性を有する樹脂材料で構成されており、更に、分離部を外部の導体に対して電気的に接続する導電部が設けられている。このため、分離部で空気から分離された繊維屑と分離部との摩擦で生じた静電気が分離部から導電部へと流れて逃がされ、分離部が帯電してしまうことが防止される。これにより、分離部において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収部への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0010】
(2)本発明の繊維屑回収装置において、前記導電部として、前記本体部の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられている、ことが好ましい。
【0011】
上記(2)に記載の繊維屑回収装置によれば、導電部として、本体部の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられるため、分離部に生じた静電気を分離部の全周に亘って効率よく外部へ逃がすことができる。
【0012】
(3)本発明の繊維屑回収装置において、前記導電部として、前記本体部と前記繊維屑移送配管とを連結して接続する管状の連結部材として構成された管状導電部が設けられ、前記管状導電部は、導電性を有するゴム材料で構成されている、ことが好ましい。
【0013】
上記(3)に記載の繊維屑回収装置によれば、分離部に生じた静電気を本体部から繊維屑移送配管へと効率よく流して逃がすことができる。また、本体部と繊維屑移送配管とを連結する連結部材として設けられた導電部は、導電性を有するゴム材料で構成されるため、本体部と繊維屑移送配管との位置のずれを吸収でき、本体部と繊維屑移送配管との接続を容易に行うことができる。
【0014】
(4)本発明の繊維屑回収装置において、前記空気排出部は、当該空気排出部の下方側の端部が、前記繊維屑移送配管よりも上方となるように設けられる、ことが好ましい。
【0015】
上記(4)に記載の繊維屑回収装置によれば、空気排出部に繊維屑が絡まって繊維屑と空気との良好な分離が阻害されることを防止でき、繊維屑と空気とを良好に分離することができる。
【0016】
(5)本発明の繊維屑回収装置において、前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、前記繊維屑分離器は、複数の前記繊維屑移送配管のそれぞれに対して1つずつ備えられている、ことが好ましい。
【0017】
上記(5)に記載の繊維屑回収装置は、複数の繊維屑移送配管のそれぞれに対して1つずつの繊維屑分離器が備えられている。すなわち、繊維屑移送配管と繊維屑分離器とが1対1で接続されるため、他の繊維屑移送配管による制約を受けることなく、繊維屑移送配管と繊維屑分離器とを接続することができる。よって、繊維屑移送配管と繊維屑分離器とを、繊維屑と空気とが良好に分離される適正な位置において接続することができる。なお、「適正な位置」とは、例えば、繊維屑移送配管が空気排出部の下方側の端部よりも下方となる位置である。
【0018】
(6)本発明の繊維屑回収装置において、前記繊維屑移送配管は、複数備えられており、前記繊維屑回収部は、複数の前記繊維屑移送配管よりも少ない数だけ備えられている、ことが好ましい。
【0019】
上記(6)に記載の繊維屑回収装置によれば、繊維屑回収部の数が繊維屑移送配管の数よりも少ないため、繊維屑回収装置を全体的にコンパクトにすることができる。すなわち、繊維屑分離器を備えることにより、繊維屑を団子状にして排出することができるため、繊維屑回収部の内部において繊維屑が占める容積を抑えることができる。また、繊維屑と空気とを分離して繊維屑が分離された後の空気を空気排出部から排出することにより、繊維屑移送配管にブロアを接続する等した従来の繊維屑回収装置のように空気を分離できない方式に比べて、空気が占めていた容積を抑えることもできる。その結果、本発明の繊維屑回収装置では、従来の繊維屑回収装置と比べてたくさんの繊維屑を繊維屑回収部に貯留することが可能となり、繊維屑回収部の数を抑えることできる。また、繊維屑回収部の数が少ないと、交換頻度の削減等、作業者の負荷を軽減することもできる。
【0020】
本発明に係る繊維屑回収装置は、上記(1)~(6)に記載された構成の全部を備えることは必須でない。例えば、上記(1)に記載された繊維屑回収装置に係る発明において、上記(2)~(6)に記載された構成の全部は必須でない。また、整合を図ることができる範囲で、上記(1)に記載された構成と、上記(2)~(6)のいずれかに記載された構成と、を任意に組み合わせたものを、本発明に係る繊維屑回収装置とすることもできる。
【0021】
(7)本発明の仮撚加工機は、上記(1)~(6)のいずれか一つに記載の繊維屑回収装置を備えるものである。
【0022】
上記(7)に記載の仮撚加工機によれば、繊維屑と空気とが好適に分離され、繊維屑が外部に排出されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、繊維屑と空気とを好適に分離し、繊維屑が外部に排出されることを抑制可能な繊維屑回収装置、及び仮撚加工機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】繊維屑回収装置が設置される繊維機械としての仮撚加工機の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る繊維屑回収装置の一例と、繊維屑回収装置に備えられる本発明の一実施の形態に係る繊維屑分離器の一例とを示す概略図である。
【
図3】繊維屑回収装置の繊維屑移送配管に設けられる吸い込み部の一例を示す断面図である。
【
図4】繊維屑回収装置における複数の繊維屑分離器と繊維屑回収容器とを示す斜視図の一例である。
【
図9】テーパー角と、空気排出部における空気の流量と、繊維屑排出部における空気の流量との関係性を示す実験結果の一例である。
【
図10】第1変形例に係る繊維屑回収装置と繊維屑回収装置に備えられる第1変形例に係る繊維屑分離器とを示す概略図である。
【
図11】第1変形例に係る繊維屑回収装置の繊維屑分離器及び繊維屑回収容器を示す斜視図である。
【
図12】
図12(A)は、第1変形例に係る繊維屑分離器の正面図であり、
図12(B)は、第1変形例に係る管状導電部を示す断面図である。
【
図13】第2変形例に係る繊維屑回収装置を示す概略図である。
【
図14】第3変形例に係る繊維屑回収装置を示す概略図である。
【
図15】第4変形例に係る繊維屑分離器の平面図である。
【
図16】第5変形例に係る繊維屑分離器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、仮撚加工機などの繊維機械に設置されて、繊維屑を回収する繊維屑回収装置、及び繊維屑回収装置に備えられる繊維屑分離器として、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0026】
図1は、繊維屑回収装置1(
図2参照)が設置される繊維機械としての仮撚加工機101の概略図である。
図2は、本発明の一実施の形態に係る繊維屑回収装置1の一例と、繊維屑回収装置1に備えられる本発明の一実施の形態に係る繊維屑分離器30の一例とを示す概略図である。繊維屑回収装置1は、仮撚加工機101或いは紡績装置などの繊維機械に設置される。本実施形態においては、繊維屑回収装置1が設置される繊維機械として、仮撚加工機101を例にとって説明する。以下の説明においては、まず、繊維屑回収装置1が設置される仮撚加工機101について説明し、次いで、本発明の一実施の形態に係る繊維屑回収装置1と繊維屑回収装置1に備えられる本発明の一実施の形態に係る繊維屑分離器30とについて説明する。なお、説明の便宜上、仮撚加工機101及び繊維屑回収装置1における上下方向、前後方向、及び左右方向の各方向は、
図1及び
図2に示されるとおりである。
【0027】
[仮撚加工機]
仮撚加工機101は、例えば、ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性合成繊維に、仮撚を施して捲縮を付与し、伸縮性に富んだ加工糸を製造する繊維機械として構成される。
図1を参照して、仮撚加工機101においては、主機台102が上下方向に延在して配置されている。更に、仮撚加工機101は、主機台102と作業空間103を挟んで対向配置されて複数の給糸パッケージ105を保持する給糸クリール104、主機台102の上方に配置されて給糸クリール104から供給された糸としての繊維Yを仮撚する仮撚装置106、主機台102に設けられて仮撚装置106で仮撚された繊維Yを巻き取る巻取装置107、などを有している。巻取装置107は、上下方向に沿って4段設けられている。更に、巻取装置107は、1段目から4段目までの各段において、前後方向に沿って複数並んで設けられている。なお、上下方向に並ぶ4段の各段において複数の巻取装置107が並ぶ前後方向は、水平方向に沿った方向であって、給糸クリール104と主機台102とが並ぶ方向(左右方向)に対して垂直な方向となる。
【0028】
給糸クリール104から仮撚装置106までの糸道には、糸走行方向の上流側から順に第1フィードローラ108、シフターガイド109、第1加熱装置110、冷却装置111が配置されている。また、仮撚装置106から巻取装置107までの糸道には、糸走行方向の上流側から順に第2フィードローラ112、インターレースノズル113、第2加熱装置114、第3フィードローラ115、オイリングローラ116が配置されている。
【0029】
第1フィードローラ108は、作業空間103の上方に配置されている。第1加熱装置110は、作業空間103の上方であって、第1フィードローラ108よりもさらに上方に配置されている。冷却装置111は、作業空間103の上方の第1加熱装置110よりも主機台102側に配置されている。そして、第1加熱装置110と冷却装置111は、作業空間103の上方において、主機台102から離れながら斜め上方へ向かって延びるように配置されている。シフターガイド109は、上下方向における第1フィードローラ108と第1加熱装置110との間に配置されており、仮撚加工機101に糸を掛ける際に、第1加熱装置110と冷却装置111内に繊維Yを通すために用いられる。
【0030】
第2フィードローラ112は、主機台102の上方に配置されている。インターレースノズル113は、主機台102の上方であって、第2フィードローラ112よりも下方に配置されている。第2加熱装置114は、主機台102に設けられ、作業空間103から見て、巻取装置107の裏側に配置されており、4段の巻取装置107の1段目から4段目まで上下方向に沿って延在している。このように各装置がレイアウトされて、給糸クリール104から巻取装置107までの糸道は、作業空間103を囲むように形成されている。
【0031】
仮撚加工機101においては、給糸クリール104から給糸された糸としての繊維Yが上述した各装置を送られて、巻取装置107に巻き取られることでパッケージ117が形成される。まず、第1~第3フィードローラ(108、112、115)は、糸走行方向の上流側から下流側へ繊維Yを送るためのローラであり、第1フィードローラ108の糸送り速度よりも第2フィードローラ112の糸送り速度が速くなるように各糸送り速度が設定されている。このため、第1フィードローラ108と第2フィードローラ112との間で繊維Yは延伸される。また、第2フィードローラ112の糸送り速度よりも第3フィードローラ115の糸送り速度が遅くなるように各糸送り速度が設定されている。このため、第2フィードローラ112と第3フィードローラ115との間で繊維Yは弛緩される。
【0032】
そして、第1フィードローラ108と第2フィードローラ112との間で延伸された繊維Yは、例えば、フリクションディスク式のツイスタである仮撚装置106によって撚りが付与されて送られる。仮撚装置106で形成される撚りは、第1フィードローラ108まで伝搬して、延伸されつつ加撚された繊維Yは、第1加熱装置110で加熱された後、冷却装置111で冷却され、撚りが固定される。加撚及び熱固定された繊維Yは、仮撚装置106を通過した後、第2フィードローラ112に至るまでに解撚される。
【0033】
このようにして延伸仮撚加工された繊維Yは、インターレースノズル113において適宜に交絡部が形成されて、集束性が付与された後、第2加熱装置114で弛緩熱処理され、オイリングローラ116を介して巻取装置107によって紙管に巻き取られ、パッケージ117を形成する。そして、満巻状態になったパッケージ117は、巻取装置107から作業者により取り外される。そして、新たな紙管が作業者により巻取装置107に取り付けられ、紙管への巻き取り作業が再開される。このようにして、パッケージ117の交換が行われる。本実施形態の繊維屑回収装置1は、上述した仮撚加工機101において設置されて使用される。以下、本実施形態の繊維屑回収装置1について説明する。
【0034】
[繊維屑回収装置の概要]
図2を参照して、繊維屑回収装置1は、主として、例えば、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)に対して設けられた一つの繊維屑回収容器13と、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれに対応して一つずつ設けられた複数の繊維屑分離器30と、複数の繊維屑分離器30のそれぞれに対応して設けられる複数の導電部34とを備える。このため、繊維屑回収装置1においては、繊維屑移送配管11(11a~11d)は複数備えられており、繊維屑分離器30は、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれに対して1つずつ備えられている。繊維屑移送配管11(11a~11d)は、繊維屑を空気とともに移送する配管である。繊維屑回収容器13は、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を移送した繊維屑を回収する容器である。複数の繊維屑分離器30は、繊維屑移送配管11(11a~11d)と繊維屑回収容器13との間に配置されている。繊維屑分離器30は、繊維屑移送配管11の管内を移送された繊維屑を空気から分離し、分離した繊維屑を繊維屑回収容器13に回収するものであり、詳細については後述する。なお、上記の「繊維屑」には、糸屑(繊維が集まって出来た繊維屑)等を含む。また、上記の「繊維屑回収容器13」は、本発明の「繊維屑回収部」に相当する。
【0035】
繊維屑回収装置1は、上述した仮撚加工機101において設置される。
図1を参照して、繊維屑回収装置1の複数の繊維屑移送配管11は、仮撚加工機101において上下方向に並んで例えば4段で配置される巻取装置107の各段に対応して配置される。このため、4段の巻取装置107が配置された本実施形態の繊維屑回収装置1では、4つの繊維屑移送配管11(11a~11d)が備えられている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、前後方向に沿って延びるように配置される。1段目から4段目までの巻取装置107の各段において、巻取装置107が前後方向に沿って並んで設けられており、各繊維屑移送配管11(11a~11d)も、巻取装置107が並ぶ前後方向に沿って延びるように配置されている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、上下に4段に並ぶ巻取装置107の各段において、前後方向に並ぶ各巻取装置107の近傍の領域から繊維Yとして生じる繊維屑を吸い込んで、空気とともに繊維屑を移送する。4つの繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれは、共通の繊維屑回収容器13に接続されている。そして、各繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を移送した繊維Yの繊維屑を含む空気は、繊維屑分離器30において、繊維Yとしての繊維屑と、繊維屑が分離された後の綺麗な空気とに分離される。空気から分離された繊維屑は、繊維屑回収容器13にて回収される。繊維屑が分離された後の綺麗な空気は、後述の空気排出部32(後述の
図5参照)から外部に排出される。なお、繊維Yは、例えば、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維であり、繊維Yとして生じる繊維屑も、例えば、ポリエステル繊維又はポリアミド繊維である。
【0036】
ところで、繊維屑回収装置1においては、繊維屑分離器30が備えられており、繊維屑が分離された後の空気が繊維屑分離器30の空気排出部32(後述の
図5参照)から外部に排出されることにより、繊維屑回収容器13の数を繊維屑移送配管11(11a~11d)の数よりも少なくすることができる。これにより、繊維屑回収装置1を全体的にコンパクトにすることができる。すなわち、繊維屑回収装置1は、繊維屑分離器30を備えることにより、繊維屑を団子状にして排出することができるため、繊維屑回収容器13の内部において繊維屑が占める容積を抑えることができる。また、繊維屑と空気とを分離して繊維屑が分離された後の空気を空気排出部32から排出することにより、繊維屑移送配管11(11a~11d)にブロアを接続する等した従来の繊維屑回収装置のように空気を分離できない方式に比べて、空気が占めていた容積を抑えることもできる。その結果、本実施形態の繊維屑回収装置1では、従来の繊維屑回収装置と比べてたくさんの繊維屑を繊維屑回収容器13に貯留することが可能となり、繊維屑回収容器13の数を抑えることできる。また、繊維屑回収容器13の数が少ないと、交換頻度の削減等、作業者の負荷を軽減することもできる。なお、本実施形態では、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)の全部に対して1つの繊維屑回収容器13が備えられているが、これに限定されず、繊維屑回収容器13の数が繊維屑移送配管11(11a~11d)の数よりも少なければよい。
【0037】
なお、繊維屑回収装置1は、仮撚加工機101の巻取装置107で糸切り替えの時に糸を切らないように預け、かかる糸を、糸屑(繊維屑)として回収するものである。すなわち、繊維屑回収装置1は、
図1に示されるように、仮撚加工機101に繊維Yを掛ける際、或いは、仮撚加工機101の巻取装置107で形成されたパッケージ117を交換する際に、給糸クリール104から各装置(110、111、106、114)等を経て、巻取装置107の近傍の領域へと供給され続ける繊維Yを、繊維屑として吸い込み部から回収するために用いられる。このようにすることで、仮撚加工機101の巻取装置107でパッケージ117を交換する際に、巻取装置107の近傍に供給され続ける繊維Yとして生じる繊維屑を回収できるため、糸を切る必要がなく、仮撚加工機101の運転を継続することができる。以下、繊維屑回収装置1の構成の詳細について更に詳しく説明する。
【0038】
[繊維屑移送配管]
図2を参照して、繊維屑移送配管11(11a~11d)は、繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むための複数の吸い込み部15が各巻取装置107の近傍に設けられ、複数の吸い込み部15から吸い込まれた繊維Yの繊維屑が移送される配管として構成されている。繊維屑移送配管11は、導電性を有する金属材料で形成されており、導体である。なお、繊維Yの繊維屑を吸い込む吸い込み部15については、後述する。繊維屑移送配管11は、例えば、中空の円管状に設けられている。繊維屑移送配管11(11a~11d)は、複数設けられており、本実施形態では、上述のとおり4つ設けられている。
【0039】
4つの繊維屑移送配管11(11a~11d)として、最下段の1段目の巻取装置107に対応する第1繊維屑移送配管11aと、下から2段目の巻取装置107に対応する第2繊維屑移送配管11bと、下から3段目の巻取装置107に対応する第3繊維屑移送配管11cと、最上段の4段目の巻取装置107に対応する第4繊維屑移送配管11dとが設けられている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、その長手方向が前後方向に沿って延びた状態で、仮撚加工機101において配置される。更に、第1~第4繊維屑移送配管(11a~11d)のそれぞれは、1段目から4段目の巻取装置107の各段に対応する位置で前後方向に沿って延びるように配置される。また、本実施形態において、繊維屑分離器30は、第1繊維屑移送配管11aと繊維屑回収容器13との間に設けられる第1繊維屑分離器30aと、第2繊維屑移送配管11bと繊維屑回収容器13との間に設けられる第2繊維屑分離器30bと、第3繊維屑移送配管11cと繊維屑回収容器13との間に設けられる第3繊維屑分離器30cと、第4繊維屑移送配管11dと繊維屑回収容器13との間に設けられる第4繊維屑分離器30dとが設けられている。
【0040】
各繊維屑移送配管11(11a~11d)は、前後方向に延びる長手方向における一方の端部(
図2に示される後側の端部)は閉止されており、他方の端部(
図2に示される前側の端部)は繊維屑分離器30に接続されている。
【0041】
[吸い込み部]
図2を参照して、吸い込み部15は、繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むための機構として設けられ、各繊維屑移送配管11(11a~11d)に複数設けられている。各繊維屑移送配管11に設けられる複数の吸い込み部15は、吸い込み管16と開閉機構17(後述の
図3参照)とを備えて構成されており、繊維屑移送配管11(11a~11d)において、その長手方向に沿って並んで設けられている。各繊維屑移送配管11(11a~11d)において並んで設けられる複数の吸い込み部15のそれぞれは、各繊維屑移送配管11(11a~11d)において、巻取装置107に対応する位置に設けられている。より具体的には、複数の吸い込み部15のそれぞれは、各繊維屑移送配管11(11a~11d)において、仮撚加工機101(
図1参照)において上下に例えば4段に並ぶ巻取装置107(
図1参照)の各段で前後方向に並ぶ巻取装置107のそれぞれに対応する位置に設けられている。
【0042】
第1~第4繊維屑移送配管11(11a~11d)に設けられている吸い込み部15は、いずれも同様に構成されている。また、各繊維屑移送配管11(11a~11d)において複数並んで設けられている吸い込み部15は、いずれも同様に構成されている。
【0043】
吸い込み管16は、繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むための管状部材として設けられており、繊維屑移送配管11(11a~11d)よりも小径の管径を有し、途中屈曲して延びるように設けられている。吸い込み管16は、一端側が繊維屑移送配管11(11a~11d)に連通するとともに、他端側には、巻取装置107(
図1参照)の近傍に配置されて繊維Yの繊維屑を吸い込む吸い込み口16a(
図3参照)が設けられている。吸い込み口16aから吸い込まれた繊維Yの繊維屑は、繊維屑移送配管11の管内へと流入する。
【0044】
図3は、繊維屑移送配管11に設けられる吸い込み部15の一例を示す断面図である。なお、
図3は、開閉部材19を上方に押し上げられて、吸い込み口16aが開放された状態である。
図3を参照して、吸い込み管16は、繊維屑移送配管11(11a~11d)に対して、斜めに傾いた状態で接続されている。吸い込み管16は、繊維屑移送配管11の管内を流動する空気の流れの上流側(
図3に示される後側)から下流側(
図3に示される前側)に向かう方向と鋭角を成す角度で、繊維屑移送配管11(11a~11d)に接続されている。即ち、吸い込み管16は、繊維屑移送配管11(11a~11d)に対して、一方の端部側(
図3に示される後側)から繊維屑回収容器13に接続された他方の端部側(
図3に示される前側)に向かう方向と鋭角を成す角度で、接続している。このため、吸い込み口16a(
図3参照)から吸い込まれた繊維Y(
図1参照)の繊維屑は、繊維屑移送配管11の管内へと流入する際に、繊維屑移送配管11の管内の空気の流れの上流側から下流側に向かう方向に沿って流入する。繊維屑移送配管11の管内に流入した繊維Yの繊維屑は、繊維屑移送配管11の管内を流動する空気の流れによって下流側に移送される。
【0045】
吸い込み管16には、圧空噴射ノズル孔16dと誘導路16eとが設けられている。圧空噴射ノズル孔16dは、出口開口16bが設けられた一端側と吸い込み口16aが設けられた他端側との間において吸い込み管16内に圧縮空気を噴射するためのノズル孔として設けられている。圧空噴射ノズル孔16dは、圧縮空気を吸い込み管16内で出口開口16b側である一端側に向かって噴射するように構成されている。本実施形態では、圧空噴射ノズル孔16dは2つ設けられている。2つの圧空噴射ノズル孔16dは、いずれも、吸い込み口16a側から出口開口16b側に向かって且つ吸い込み管16の外周側から内周側に向かって延びることで、吸い込み流路16cに連通している。この構成により、2つの圧空噴射ノズル孔16dは、いずれも、圧縮空気を吸い込み管16内で出口開口16b側に向かって噴射するように構成されている。なお、圧空噴射ノズル孔16dの数は2つに限定されない。
【0046】
吸い込み管16の誘導路16eは、吸い込み管16において、吸い込み管16の周方向に沿って環状に延びる圧縮空気の流路として設けられている。誘導路16eは、圧空噴射ノズル孔16dに連通するとともに、後述のシリンダ室20に連通している。シリンダ室20に供給された圧縮空気が、誘導路16eへと流入し、誘導路16eから圧空噴射ノズル孔16dへと流入し、吸い込み流路16cへと噴射される。
【0047】
シリンダ室20は、本体部18の内部の円筒状の空間として形成されており、圧縮空気が供給されるように構成されている。シリンダ室20は、本体部18の内部に設けられた連通路20aを介して吸い込み管16の誘導路16eに連通している。このため、シリンダ室20に供給された圧縮空気は、誘導路16eへと流入して更に圧空噴射ノズル孔16dへと流入する。また、シリンダ室20には、吸い込み管16の圧空噴射ノズル孔16dから噴射するための圧縮空気を供給する圧縮空気供給管23が接続されて連通している。圧縮空気供給管23は、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源(不図示)に対して接続されている。圧縮空気供給管23には、連通状態と遮断状態との間で切り換えられるように開閉することで圧縮空気のシリンダ室20への供給を制御する電磁弁24が設けられている。電磁弁24の開動作が行われると、圧縮空気供給管23が連通状態となり、圧縮空気供給管23からシリンダ室20へと圧縮空気が供給される。電磁弁24の閉動作が行われると、圧縮空気供給管23が遮断状態となり、圧縮空気供給管23からシリンダ室20への圧縮空気の供給が遮断される。
【0048】
吸い込み部15では、電磁弁24が閉状態で圧縮空気供給管23が遮断されてシリンダ室20に圧縮空気が供給されていない状態では、バネ室25に配置されたバネ部材22の付勢力によって開閉部材19が回転軸29周りに回転し、吸い込み口16aが閉鎖される。この状態では、吸い込み部15による繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑の吸い込み動作は行われない。一方、電磁弁24が開状態で圧縮空気供給管23が連通してシリンダ室20に圧縮空気が供給されている状態では、ピストン21が上方に変位して開閉部材19を上方に押し上げ、吸い込み口16aが開放される。更に、シリンダ室20に圧縮空気が供給されている状態では、圧縮空気が圧空噴射ノズル孔16dへと流入し、圧空噴射ノズル孔16dから吸い込み管16の吸い込み流路16cへと圧縮空気が噴射される。吸い込み流路16cへ噴射される圧縮空気は、出口開口16b側へ向かって噴射される。このように、圧空噴射ノズル孔16dから吸い込み管16内に噴射された圧縮空気によって、吸い込み管16内で繊維Yの繊維屑を繊維屑移送配管11側に送る空気流が発生し、ひいては繊維屑移送配管11の内部で繊維Yの繊維屑を繊維屑分離器30側(
図3に示される前側)に送る空気流が発生する。このようにして、吸い込み口16aから吸い込まれた繊維Yの繊維屑を、繊維屑移送配管11の管内を移送させることができる。
【0049】
なお、吸い込み口から繊維Y(
図1参照)として生じる繊維屑を吸い込むことができて、吸い込んだ繊維Yの繊維屑を、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を移送させることができれば、その態様は特定の態様に限定されない。例えば、上述のように吸い込み管16内に圧縮空気を噴射してもよいし、繊維屑移送配管11の管内を例えばブロアで吸引して負圧にしてもよい。
【0050】
また、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内における空気の流速は1000m/min以上であることが好ましい。そのため、繊維屑移送配管11の管内における空気の流速が1000m/minに満たない場合には、例えば、繊維屑移送配管11(11a~11d)の一方の端部(例えば後側の端部)に圧縮空気を供給するための接続部を設けて、圧縮空気供給源(不図示)から供給される圧縮空気を、繊維屑移送配管11(11a~11d)の一方の端部側から繊維屑移送配管11(11a~11d)へと供給可能に構成してもよい。また、従来設けられていたブロアを繊維屑分離器30の近傍に設けて、繊維屑移送配管11(11a~11d)の管内を吸引し、例えば空気の流速1000m/minを満たすために必要な不足分を補うようにしてもよい。
【0051】
[繊維屑分離器及び導電部]
図4は、繊維屑回収装置1における複数の繊維屑分離器30と繊維屑回収容器13とを示す斜視図の一例である。
図5は、繊維屑分離器30の一例を示す斜視図である。
図6は、繊維屑分離器30の一例を示す平面図である。
図7は、繊維屑分離器30の正面図の一例である。なお、本実施形態では、上述のとおり、第1繊維屑分離器30a~第4繊維屑分離器30dを備えているが、第1繊維屑分離器30a~第4繊維屑分離器30dはいずれも同じ構成である。また、第1繊維屑分離器30a~第4繊維屑分離器30dは、いずれも、本発明の「繊維屑分離器」を構成している。
【0052】
図4~
図7を参照して、繊維屑分離器30は、繊維屑移送配管11に接続されて繊維屑移送配管11の管内を移送された繊維屑を空気から分離する分離部31と、分離部31の上端側に設けられる空気排出部32と、分離部31の下端側に設けられる繊維屑排出部33と、を備えて構成されている。繊維屑分離器30に対応して設けられる導電部34は、分離部31と一体に又は連結されて設けられる。空気排出部32は、分離部31の上端側に接続され、繊維屑が分離された後の空気を排出するように構成されている。繊維屑排出部33は、分離部31にて空気から分離された繊維屑を繊維屑回収容器13に排出して繊維屑回収容器13に回収するように構成されている。導電部34は、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するために設けられている。
【0053】
分離部31は、円筒状の本体部35と、本体部35の下方に設けられるテーパー部36とを有して構成されている。本体部35とテーパー部36とは、一体に設けられている。一体に設けられた本体部35及びテーパー部36は、いずれも導電性を有する樹脂材料で構成されている。すなわち、本体部35とテーパー部36とが一体に設けられて形成された分離部31は、導電性を有する樹脂材料で構成されている。導電性を有する樹脂材料は、例えば、金属粉末或いは炭素繊維などの無機導体が樹脂材料に練り込まれた材料として構成されている。
【0054】
分離部31の本体部35は、円筒状に設けられ、繊維屑移送配管11が接続されるように構成されている。本体部35は、円筒状の側壁を構成する円筒部37と、円筒部37の上端面を構成する上面部38とを備える。上面部38には、円筒部37と同心で円筒部37よりも直径が小さい開口部38aが形成されている。円筒部37には、繊維屑移送配管11が接続される接続口37aが設けられている。接続口37aは、短い円管状の部分として設けられ、円筒部37の内部に連通するとともに外部に対して開口している。接続口37aの外部への開口部に繊維屑移送配管11の端部が嵌合して嵌め込まれていることで、繊維屑移送配管11と本体部35の円筒部37とが接続されている。
【0055】
テーパー部36は、本体部35の下方に設けられて繊維屑排出部33に連続するように構成されている。テーパー部36は、上端部が円筒部37と直径の大きさが同じ円形であり、下端部が上端部よりも直径の大きさが小さい円形である。テーパー部36は、上端部及び下端部が開放されており、正面視において上端部から下端部にむけて直線状に先細る傾斜部39を有する。そして、テーパー部36の傾斜部39は、本体部35との接続部から繊維屑排出部33に向けて径が小さくなるように形成されている。この傾斜部39は、詳細は後述するが、鉛直方向と傾斜部39の方向とで挟まれた鋭角側の角度θ(以下、「テーパー角θ」と称する。)は、7~10[°](上下限値含む)の範囲内であることが好ましい。テーパー部36は、上端部において、円筒部37の下端部に接続されている。また、テーパー部36と本体部35との間にはそれぞれの内部を仕切る部材がなく、テーパー部36の内部と本体部35の内部とは連通している。なお、「テーパー部36」は、本発明の「繊維屑移送部」に相当する。
【0056】
導電部34は、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するために設けられている。導電部34は、本実施形態では、分離部31の本体部35に対して一体に設けられており、本体部35の外周に沿ったフランジ部として構成されている。導電部34は、本発明の「フランジ状導電部」を構成している。フランジ状導電部として設けられた導電部34は、本体部35の円筒部37の外周に沿ったリング状に形成されているとともに円筒部37の外周に一体に設けられている。導電部34は、例えば、導電性を有する樹脂材料で構成されており、本体部35と一体に成形されている。
【0057】
図4を参照して、繊維屑分離器30は、下端側が繊維屑回収容器13の上端部に接続されているともに、繊維屑回収容器13の上方に設置された支持フレーム40によって支持されている。繊維屑回収容器13と支持フレーム40とは、いずれも金属材料で形成されており、導電性を有する導体である。支持フレーム40は、繊維屑分離器30を支持する支持テーブル40aを有しており、支持テーブル40aには、繊維屑分離器30が嵌め込まれるとともに繊維屑分離器30を支持するための貫通孔が設けられている。繊維屑分離器30は、繊維屑分離器30の分離部31が支持テーブル40aの貫通孔に嵌め込まれた状態で、支持フレーム40の支持テーブル40aによって支持される。繊維屑分離器30の分離部31が支持テーブル40aの貫通孔に嵌め込まれた状態では、繊維屑分離器30の導電部34が、支持テーブル40aの貫通孔の縁部と当接し、導電部34が支持テーブル40aによって支持された状態となる。これにより、繊維屑分離器30が支持フレーム40によって支持される。そして、分離部31と一体に設けられた導電部34が支持テーブル40aと当接している状態では、導電部34と導体である支持フレーム40とが電気的に接続されている。これにより、導電部34は、分離部31を外部の導体である支持フレーム40に対して電気的に接続するように構成されている。
【0058】
図4~
図7を参照して、繊維屑排出部33は、両端が開放された円筒状であり、繊維屑排出部33の内径とテーパー部36の下端部の内径とが同じ大きさである。繊維屑排出部33は、テーパー部36の下端部と同心となるように、上端部においてテーパー部36の下端部に接続されている。また、繊維屑排出部33は、下端部において、繊維屑回収容器13(
図4参照)に接続されている。繊維屑排出部33とテーパー部36との間にはそれぞれの内部を仕切る部材がなく、繊維屑排出部33の内部と本体部35の内部とは連通している。また、繊維屑排出部33は、分離部31のテーパー部36の下端部に対して一体に設けられていても結合されて設けられていてもよい。繊維屑排出部33がテーパー部36と一体に設けられる場合は、繊維屑排出部33は、テーパー部36と同様に、導電性を有する樹脂材料で構成される。
【0059】
図4~
図7を参照して、繊維屑が分離された後の空気を外部に排出する空気排出部32は、分離部31の上方で分離部31に接続されている。空気排出部32は、両端が開放された円筒状の管材を有しており、空気排出部32の内径と上面部38の開口部38aの直径とが同じ大きさである。空気排出部32は、開口部38aと同心となるように、下端部において開口部38aに接続されている。より詳しくは、空気排出部32は、空気排出部32の円筒状の部分が分離部31の本体部35の内部に入り込んでいない若しくはわずかしか入り込んでおらず、空気排出部32の円筒状の部位の下方側の端部と、分離部31(より詳しくは本体部35)の上面部38の下面とが面一となるように、或いは、空気排出部32の下方側の端部が上面部38の下面からわずかに突出した状態となるように、本体部35に接続されている。
【0060】
なお、
図7の例に示されるように、空気排出部32は、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが上面部38の下面からわずかに突出する場合であっても、空気排出部32の下方側の端部32aが、繊維屑移送配管11の上端部11eよりも上方であることが好ましい。本願発明者の知見によれば、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが繊維屑移送配管11の上端部11eよりも下方である場合、空気排出部32の円筒状の部位に繊維屑が絡まってしまい、繊維屑と空気との良好な分離が阻害されてしまうからである。そこで、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが少なくとも繊維屑移送配管11の上端部11eよりも上方となるようにすることで、空気排出部32の円筒状の部位に繊維屑が絡まってしまうことを防止でき、繊維屑と空気とを良好に分離することができる。本実施の形態では、上述の
図5に示されるとおり、空気排出部32の円筒状の部位の下方側の端部と、本体部35の上面部38(
図5参照)の下面とが面一の場合は、空気排出部32の円筒状の部分の下方側の端部32aが繊維屑移送配管11の上端部11eよりも上方となり、繊維屑と空気とを良好に分離することができる。
【0061】
ところで、1つの繊維屑分離器30に対して複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)が接続される場合、繊維屑移送配管11(11a~11d)と繊維屑分離器30との接続位置が制約を受けてしまう。例えば、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のうち一の繊維屑移送配管11aと繊維屑分離器30との接続位置は、他の繊維屑移送配管11b~11dによって制約を受ける。そうすると、一の繊維屑移送配管11aを、空気排出部32の円筒状の部位の下端部よりも下方となるように、繊維屑分離器30と接続できなくなるおそれがある。そこで、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれと繊維屑分離器30とを1対1で接続することで、繊維屑と空気とが良好に分離される適正な位置、すなわち繊維屑移送配管11(11a~11d)が空気排出部32の円筒状の部位の下端部よりも下方となる位置に、繊維屑移送配管11(11a~11d)と繊維屑分離器30とを接続することができる。
【0062】
空気排出部32と分離部31(より詳しくは本体部35)との間にはそれぞれの内部を仕切る部材がなく、空気排出部32の内部と分離部31の内部とは連通している。また、発明者の知見によれば、空気排出部32の内径(すなわち開口部38aの直径)よりも、繊維屑排出部33の内径(すなわちテーパー部36の下端部の内径)の方が大きい場合、繊維屑と空気との分離が不十分となり、空気排出部32から繊維屑が排出されるおそれがある。そのため、繊維屑排出部33の内径(すなわちテーパー部36の下端部の内径)は、空気排出部32の内径(すなわち開口部38aの直径)よりも小さい方が好ましい。
【0063】
なお、本実施形態においては空気排出部32及び繊維屑排出部33はいずれも円筒状であるが、これに限られず角筒状であってもよい。この場合、本体部35の内部と連通する部位(すなわち上面部38との接続部位)における水平方向に沿った開口面積が、繊維屑排出部33の水平方向に沿った開口面積よりも大きい方が好ましい。
【0064】
繊維屑移送配管11は、
図6に示されるように、長手方向が分離部31の本体部35の円筒部37の内周壁37bに沿うように、本体部35の上部において、本体部35の円筒部37に接続されている。すなわち、繊維屑移送配管11は、平面視において、分離部31の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されている。さらに言い換えると、繊維屑移送配管11の管内を移送した繊維屑としての繊維を含む空気の進行方向が円筒部37の内周壁37bに沿うように、繊維屑移送配管11と分離部31の本体部35とが接続されている。繊維屑移送配管11と分離部31とをこのように接続することで、繊維屑移送配管11の管内を移送した繊維屑を含む空気は、
図5に示されるように、円筒部37の内周壁37bに沿って周方向に移動するようになる。そのため、空気に含まれる繊維屑は、遠心力すなわち遠心分離の作用によって円筒部37の内周壁37bに沿って周方向に回転しながら下方へ移動させられる。円筒部37の内周壁37bに沿って回転しながら下方に移動した繊維屑は、さらに傾斜部39の内壁39aに沿って繊維屑排出部33に向けて移送される。繊維屑排出部33に向けて移送した繊維屑は、繊維屑排出部33から繊維屑回収容器13(
図4参照)に移送される。このようにして繊維屑移送配管11の管内を移送した繊維屑を含む空気から繊維屑を分離し、分離された繊維屑は、繊維屑回収容器13に回収される。一方、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部32から外部に排出される。
【0065】
なお、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれと繊維屑分離器30の分離部31とを1対1で接続した場合、繊維屑移送配管11(11a~11d)と分離部31とを適正な位置において接続することができることに加え、円筒部37の内周壁37bを確保できるようになり、繊維屑を確実にテーパー部36に送ることができる。
【0066】
[作用効果]
本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、繊維屑移送配管11から分離部31の本体部35へ移送された繊維屑は、筒状の本体部35の内側で本体部35の内周に沿った空気の流れによって下方の繊維屑移送部であるテーパー部36に移動する。そして、下方に移動した繊維屑は、傾斜部39を有するテーパー部36で団子状にまとめられて、繊維屑排出部33から排出されて繊維屑回収部である繊維屑回収容器13へ回収される。さらに、繊維屑が分離された後の空気は、空気排出部32から排出される。よって、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、繊維屑と空気とが好適に分離され、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されることを抑制することができる。
【0067】
なお、筒状の本体部35と、筒状の本体部35との接続部から繊維屑排出部33に向けて径が小さくなる傾斜部39と、を有する複雑な形状の分離部31を金属材料で形成する場合、複数の部材を溶接して形成することが必要となる。このため、溶接部分でのバリが生じるため、バリの部分にて繊維屑が引っ掛かってしまい、繊維屑回収容器13への繊維屑回収効率が低下してしまうことになる。しかし、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、分離部31が、樹脂材料で形成されるため、溶接によるバリの発生がなく、筒状の本体部35と傾斜部39とが接続された複雑な形状でも樹脂の射出成型によって容易に形成することができる。また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、分離部31が、導電性を有する樹脂材料で構成されており、更に、分離部31を外部の導体である支持フレーム40に対して電気的に接続する導電部34が設けられている。このため、分離部31で空気から分離された繊維屑と分離部31との摩擦で生じた静電気が分離部31から導電部34へと流れて逃がされ、分離部31が帯電してしまうことが防止される。これにより、分離部31において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収容器13への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0068】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、繊維屑を遠心力によって円筒状の本体部35の内周壁37bに沿って下方のテーパー部36に移動させ、傾斜部39を有するテーパー部36で団子状にまとめ、繊維屑回収容器13に回収することができる。このため、繊維屑と空気とを更に好適に分離でき、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されることをより一層抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1によれば、導電部34として、本体部35の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部が設けられるため、分離部31に生じた静電気を分離部31の全周に亘って効率よく外部へ逃がすことができる。
【0070】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、空気排出部32は、分離部31の内部に入り込まないようにしつつ分離部31の内部と連通するように設けられているため、繊維屑が空気排出部32に絡むことがなく、繊維屑と空気との分離を良好に行うことができる。
【0071】
なお、一般的な摩擦帯電列では、ポリエステルはマイナスに帯電し易く、ポリアミドはプラスに帯電し易い。このため、分離部31が、例えば、導電性を有しないポリエステルで構成されている場合、ポリエステル繊維である繊維屑が分離部31に静電気で付着してしまうことを抑制できるものの、ポリアミド繊維である繊維屑は分離部31に静電気で付着してしまい易くなってしまう。よって、分離部31が、例えば、導電性を有しないポリエステルで構成されている場合は、ポリアミド繊維の付着を防止することが困難となる。しかし、分離部31は、導電性を有する樹脂材料で構成されているため、本実施形態の繊維屑分離器30によると、繊維屑がポリエステル繊維及びポリアミド繊維のいずれであっても、繊維屑と分離部31との摩擦で生じる静電気が分離部31から導電部34へと逃がされ、分離部31が帯電してしまうことを防止することができる。よって、繊維屑がポリエステル繊維及びポリアミド繊維のいずれであっても、分離部31において繊維屑が静電気で付着することを防止でき、繊維屑回収容器13への繊維屑回収効率が低下してしまうことを防止できる。
【0072】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、テーパー部36は、本体部35との接続部から繊維屑排出部33に向けて径が小さくなる傾斜部39を有する。この傾斜部39において繊維屑と空気とを分離することができるため、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されてしまうことをより一層抑制できる。なお、上記の傾斜部39は、鉛直方向との間で成す角度が7~10[°](上下限値含む)の範囲内のテーパー状とすることで、繊維屑と空気とを精度よく分離しつつ、繊維屑排出部33が繊維屑で詰まってしまうことを防止することで繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出することができる。
【0073】
また、本実施形態の繊維屑回収装置1及び繊維屑分離器30によれば、本体部35の内部と連通する部位における水平方向に沿った空気排出部32の開口面積を、繊維屑排出部33の水平方向に沿った開口面積よりも大きくすることによって、空気排出部32から繊維屑が外部に排出されることを、より効果的に抑制することができる。
【0074】
[実験例]
本実施形態を、以下の実験例により裏付けを行った。この実験例の結果について説明する。
図8は、繊維屑分離器30の正面図の一例である。
図9は、テーパー角θと、空気排出部32における空気の流量と、繊維屑排出部33における空気の流量との関係性を示す実験結果の一例である。後述の実験例1、実験例2、及び実験例3において用いた繊維は75デニールの仮撚糸である。
【0075】
なお、
図8及び
図9において、上下方向をY方向とし、とくに、上方向をY方向(正方向)とし、下方向をY方向(負方向)とする。
図9に示される流量は、Y方向のベクトル成分の流量をあらわしており、流量の値が正であるときは空気の流れがY方向(正方向)であることを示し、流量の値が負であるときは空気の流れがY方向(負方向)であることを示す。
【0076】
また、
図8を参照して、繊維屑分離器30の各部位の寸法を、繊維屑分離器30全体のY方向長さa、本体部35のY方向長さb、本体部35の内径c、空気排出部32のY方向長さd、空気排出部32の内径e、傾斜部39のY方向長さf、繊維屑排出部33のY方向長さg、繊維屑排出部33の内径h、テーパー角θとする。後述する実験例2では、繊維屑分離器30との接続部における繊維屑移送配管11の流入口の内径をiとする。
【0077】
(実験例1)
実験例1では、繊維屑分離器30の各部位の寸法を、a=280mm、b=80mm、c(内径)=80mm、d=50mm、e(内径)=48mm、g=10mm、h(内径)=31mmとし、テーパー角θを変更して、繊維屑排出部33から排出される繊維屑の良好性(以下「繊維屑排出の良好性」と称する)を検証した。テーパー角θについては、10°、15°、30°、40°で検証を行った。なお、傾斜部39のY方向長さfは、テーパー角θに応じて決まる寸法である。
【0078】
実験例1で得られた検証結果は、表1に示されるとおりである。表1は、テーパー角θと、繊維屑排出の良好性との関係性を示す実験結果の一例である。繊維屑は、繊維屑排出部33から良好に排出されるためには、団子状にまとまることが重要である。繊維屑が団子状となって繊維屑排出部33から良好に排出されたものをOK判定とし、繊維屑が団子状にならずに繊維屑排出部33から排出されなかったものをNG判定とし、繊維屑が団子状にまとまるものの5回のうち1回の頻度で繊維屑排出部33が詰まったものを△判定とした。
【0079】
【0080】
表1に示されるように、テーパー角θが10°を超えると、繊維屑排出の良好性はNG判定であった。テーパー角θが10°の場合、実験例1によれば、5回のうち1回は繊維屑が繊維屑排出部33で詰まったため△判定としたが、5回のうち4回は繊維屑が団子状にまとまって繊維屑排出部33から排出されたため、OK判定に近いものと考える。表1には示されていないが、テーパー角θが10°未満では、繊維屑排出の良好性は全てOK判定であった。
【0081】
以上の検証結果より、繊維屑排出部33から排出される糸屑の良好性の観点から、テーパー角θは10°以下であることが好ましいことが分かった。
【0082】
(実験例2)
実験例2では、繊維屑分離器30の各部位の寸法を、a=300.1mm、b=90mm、c=90mm、d=30mm、e=48mm、f=170.1mm、g=10mm、i=21mmとし、テーパー角θのみを変更して、空気排出部32におけるY方向の空気の流量、及び繊維屑排出部33におけるY方向の空気の流量の変化を検証した。テーパー角θについては、10°、9°、7°、5°で検証を行った。なお、繊維屑排出部33の内径hは、テーパー角θによって決まる寸法である。また、繊維屑移送配管11の内部における空気の流速は1000m/minと想定し、繊維屑移送配管11の流入口における空気の質量流量を0.014896kg/sとした。
【0083】
実験例2で得られた検証結果によれば、空気排出部32の内径e及び繊維屑排出部33の内径hが一定の大きさであることを前提とした場合、
図9に示されるように、繊維屑排出部33から排出される空気の流量が増加すると、空気排出部32から排出される空気の流量が減少することが分かった。また、空気排出部32から排出される空気の流量は、テーパー角θが小さくなるにつれて減少する。その一方、繊維屑排出部33から排出される空気の流量は、テーパー角θが7°を分岐として、テーパー角θをそれ以上に小さくしても減少せずに横ばいとなっている。ところで、空気排出部32の内径e及び繊維屑排出部33の内径hを一定とし、テーパー角θを小さくすると、それにともなって傾斜部39のY方向長さfが大きくなる。傾斜部39のY方向長さfが大きくなると繊維屑分離器30全体のY方向長さaが大きくなり、圧損が大きくなると考えられる。そのため、テーパー角を7°より小さくすると、空気排出部32から排出される空気の流量に対して、繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合が大きくなると考えられる。発明者の知見によれば、空気排出部32から排出される空気の流量に対して、繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合が大きくなると、繊維屑と空気との分離が良好に行われなくなる。そのため、テーパー角θの下限は7°以上であることが好ましい。
【0084】
上述の実験例1及び実験例2の検証結果を総合すると、テーパー角θは、7°~10°(上限値及び下限値を含む)の範囲内であることが好ましいことが分かった。
【0085】
(実験例3)
実験例3では、繊維屑排出部33の内径hと、空気排出部32から排出される空気の流量に対する繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合との関係性について検証した。なお、空気排出部32の役割としては、繊維屑が分離された後の空気を外気に排出できればよいため、空気排出部32の内径eを例えば48mmで一定とした。実験の結果については図示を省略するが、繊維屑排出部33におけるY方向(負方向)の空気の流量(絶対値)は、繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて大きくなり、繊維屑排出部33の内径hが小さくなるにつれて小さくなる。一方、空気排出部32におけるY方向(正方向)の空気の流量(絶対値)については、繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて小さくなり、繊維屑排出部33の内径hが小さくなるにつれて大きくなる傾向にある。上述のとおり、発明者の知見によれば、繊維屑排出部33の内径hは、空気排出部32の内径eよりも小さい方が好ましい。しかし、繊維屑排出部33の内径hが27mm以下では、繊維屑排出部33からの繊維屑の排出が困難になることが分かった。なお、繊維屑排出部33の内径hが27mmの場合、空気排出部32から排出される空気の流量と、繊維屑排出部33から排出される空気の流量との比率は、概ね7対3である。この比率は繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて小さくなる。例えば、繊維屑排出部33の内径hが27mm~35mmの範囲内では、繊維屑排出部33の内径hが大きくなるにつれて、空気排出部32から排出される空気の流量と、繊維屑排出部33から排出される空気の流量との比率が小さくなる。そして、繊維屑排出部33の内径hが35mmになると、空気排出部32から排出される空気の流量と、繊維屑排出部33から排出される空気の流量との比率が、概ね1対1となることが分かった。上述のとおり、空気排出部32から排出される空気の流量に対して、繊維屑排出部33から排出される空気の流量の割合が大きくなると、繊維屑と空気との分離が良好に行われなくなるため、繊維屑排出部33の内径hは35mm以下であることが好ましい。
【0086】
なお、上記の実験例1、実験例2、及び実験例3は、上述したとおり75デニールの仮撚糸を用いて行った結果であるが、本発明者は、他の繊維についても同様の検証を行っている。その結果、仮撚糸、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維については、傾斜部39を、鉛直方向との間で成す角度が7~10[°](上下限値含む)の範囲内のテーパー状とすることで、繊維屑と空気とを精度よく分離でき、繊維屑排出部33が繊維屑で詰まってしまうことを防止することで繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出することができた。とくに、75~450デニールの仮撚糸、150デニールのPET、及びナイロンについては、顕著な効果が得られたことを確認している。
【0087】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0088】
上述の実施形態では、導電部34が、本体部35の外周に沿ったフランジ部として構成されたフランジ状導電部として設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。分離部31を外部の導体に対して電気的に接続する導電部は、例えば、以下の第1変形例に示される形態であってもよい。
【0089】
(第1変形例)
図10は、第1変形例に係る繊維屑回収装置1Aと繊維屑回収装置1Aに備えられる第1変形例に係る繊維屑分離器30とを示す概略図である。
図11は、第1変形例に係る繊維屑回収装置1Aの繊維屑分離器30及び繊維屑回収容器13を示す斜視図である。
図12(A)は、第1変形例に係る繊維屑分離器30の正面図であり、
図12(B)は、第1変形例に係る導電部(管状導電部)41を示す断面図である。
【0090】
図10~
図12を参照して、第1変形例の繊維屑回収装置1Aにおいては、繊維屑分離器30において、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部として、フランジ状導電部として設けられた導電部34に加え、さらに、管状導電部として設けられた導電部41が備えられている。
【0091】
導電部41は、本体部35と繊維屑移送配管11とを連結して接続する管状の連結部材として構成された管状導電部として設けられている。導電部41は、円管状の部材として設けられており、導電性を有するゴム材料で構成されている。円管状の導電部41は、両端が開口しており、一方の開口に対して本体部35の円筒部37の接続口37aが嵌合して接続され、他方の開口に対して繊維屑移送配管11の端部が嵌合して接続される。導電部41の一端部に円筒部37の接続口37aが接続され、導電部41の他端部に繊維屑移送配管11が接続されることで、導電部41を介して本体部35と繊維屑移送配管11とが連結されて接続される。また、繊維屑移送配管11は、導電性を有する金属材料で形成されており、導体である。そして、導電部41を介して分離部31の本体部35と繊維屑移送配管11とが連結されて接続されることで、分離部31と繊維屑移送配管11とが電気的に接続される。このように、管状導電部として設けられた導電部41は、分離部31を外部の導体である繊維屑移送配管11に対して電気的に接続するように構成されている。
【0092】
上述した第1変形例に係る繊維屑回収装置1Aによれば、分離部31に生じた静電気を本体部35から繊維屑移送配管11へと効率よく流して逃がすことができる。また、本体部35と繊維屑移送配管11とを連結する連結部材として設けられた導電部41は、導電性を有するゴム材料で構成されるため、本体部35と繊維屑移送配管11との位置のずれを吸収でき、本体部35と繊維屑移送配管11との接続を容易に行うことができる。
【0093】
なお、第1変形例に示される形態では、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部として、フランジ状導電部として設けられた導電部34とともに、管状導電部として設けられた導電部41が備えられる形態を例示したが、この通りでなくてもよい。フランジ状導電部としての導電部34が設けられておらず、管状導電部としての導電部41のみが設けられている形態が実施されてもよい。また、分離部31を外部の導体に対して電気的に接続するための導電部として、フランジ状導電部及び管状導電部以外の導電部の形態が実施されてもよい。例えば、分離部31と支持フレーム40とに連結された導体として設けられた導電部の形態が実施されてもよい。
【0094】
上述の実施形態では、各繊維屑移送配管11(11a~11d)に対応する繊維屑分離器30を、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれと、一つの繊維屑回収容器13との間に設けた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、後述の第2変形例~第5変形例に示される形態であってもよい。
【0095】
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係る繊維屑回収装置1Bを示す概略図である。
図13を参照して、第2変形例の形態では、繊維屑回収装置1Bは、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のそれぞれに対応して、複数の繊維屑回収容器13(13a~13d)と、複数の繊維屑分離器30(30a~30d)とを備えている。
【0096】
詳しくは、繊維屑回収容器13は、第1繊維屑移送配管11aに対応する第1繊維屑回収容器13aと、第2繊維屑移送配管11bに対応する第2繊維屑回収容器13bと、第3繊維屑移送配管11cに対応する第3繊維屑回収容器13cと、第4繊維屑移送配管11dに対応する第4繊維屑回収容器13dとが設けられている。さらに、繊維屑分離器30(30a~30d)としては、第1繊維屑移送配管11aと第1繊維屑回収容器13aとの間に設けられる第1繊維屑分離器30aと、第2繊維屑移送配管11bと第2繊維屑回収容器13bとの間に設けられる第2繊維屑分離器30bと、第3繊維屑移送配管11cと第3繊維屑回収容器13cとの間に設けられる第3繊維屑分離器30cと、第4繊維屑移送配管11dと第4繊維屑回収容器13dとの間に設けられる第4繊維屑分離器30dとが設けられている。第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、長手方向が繊維屑分離器30の本体部(参照符号なし)の内周壁(参照符号なし)に沿うように、本体部(参照符号なし)に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11(11a~11d)と同様に、平面視において、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dが繊維屑分離器30(30a~30d)の本体部の円筒部の接線に沿うように、本体部に接続されている。
【0097】
このような第2変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33(
図5参照)から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32(
図5参照)から良好に排出することができる。
【0098】
(第3変形例)
図14は、第3変形例に係る繊維屑回収装置1Cを示す概略図である。
図14を参照して、第3変形例の形態では、繊維屑回収装置1Cは、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、一つの繊維屑回収容器13と一つの繊維屑分離器30とを備えている。
【0099】
繊維屑分離器30は、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、繊維屑回収容器13との間に設けられている。複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)は、繊維屑分離器30の上流側で合流しており、合流後の配管の長手方向が繊維屑分離器30の本体部35の内周壁(参照符号なし)に沿うように、本体部35に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11と同様に、平面視において、合流後の配管(参照符号なし)が繊維屑分離器30の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されていることが好ましい。
【0100】
このような第3変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32から良好に排出することができる。
【0101】
なお、第3変形例の形態では、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)の全部が、一つの繊維屑分離器30の上流側で合流しているが、これに代えて、繊維屑分離器30を複数設けて、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)のうち2以上の繊維屑移送配管が繊維屑分離器30の上流側で合流するようにしてもよい。例えば、2つの繊維屑移送配管が一の繊維屑分離器の上流側で合流し、合流した状態で一の繊維屑分離器に接続されるとともに、他の2つの繊維屑移送配管が他の繊維屑分離器の上流側で合流し、合流した状態で他の繊維屑分離器に接続されるようにしてもよい。
【0102】
(第4変形例)
図15は、第4変形例に係る繊維屑分離器30の平面図である。第4変形例の繊維屑回収装置(参照符号なし)は、第3変形例の繊維屑回収装置1Cと同様に、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、一つの繊維屑回収容器(参照符号なし)と、一つの繊維屑分離器30とを備えている。なお、第3変形例では、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)が繊維屑分離器30の上流側で合流しているが、第4変形例では、これに代えて、一つの繊維屑分離器30に対して、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)が接続されている。
【0103】
詳しくは、
図15を参照して、第4変形例の形態では、第1繊維屑移送配管11aと、第2繊維屑移送配管11bと、第3繊維屑移送配管11cと、第4繊維屑移送配管11dとが、一つの繊維屑分離器30の本体部35の周方向にずれた位置に接続されている。第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、長手方向が繊維屑分離器30の本体部35の内周壁37bに沿うように、本体部35に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11と同様に、平面視において、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dが繊維屑分離器30の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されている。このような第4変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32から良好に排出することができる。
【0104】
なお、
図15に示される第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、本体部35の上部に接続されていることが好ましい。ただし、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dの全部が上下方向において同じ位置であることは必須でなく、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dのうち一部または全部が、上下方向にずれて接続されていてもよい。
【0105】
(第5変形例)
図16は、第5変形例に係る繊維屑分離器30の斜視図である。第5変形例の繊維屑回収装置(参照符号なし)は、第3変形例の繊維屑回収装置1Cと同様に、複数の繊維屑移送配管11(11a~11d)と、一つの繊維屑回収容器(参照符号なし)と、一つの繊維屑分離器30とを備えている。
【0106】
図16を参照して、第5変形例の形態では、第1繊維屑移送配管11aと、第2繊維屑移送配管11bと、第3繊維屑移送配管11cと、第4繊維屑移送配管11dとが、一つの繊維屑分離器30の本体部35の上下方向にずれた位置に接続されている。第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、長手方向が繊維屑分離器30の本体部35の内周壁37bに沿うように、本体部35に接続されている。すなわち、
図6を参照して説明した繊維屑移送配管11と同様に、平面視において、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dが繊維屑分離器30の本体部35の円筒部37の接線に沿うように、本体部35に接続されている。このような第5変形例に示される形態であっても、空気から繊維屑を好適に分離することができ、繊維屑排出部33から繊維屑を良好に排出できるとともに、繊維屑が分離された空気を空気排出部32から良好に排出することができる。
【0107】
なお、
図16に示される第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dは、いずれも、上下方向には互いにずれているものの、本体部35の周方向の同じ位置において本体部35と接続されているが、これは必須でない。例えば、第1繊維屑移送配管11a~第4繊維屑移送配管11dのうち少なくとも一つまたは全部が、本体部35の周方向にずれた位置において本体部35と接続されていてもよい。
【0108】
(その他の変形例)
上述の実施形態では、繊維屑回収装置1が仮撚加工機101に設置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。繊維屑回収装置1が、仮撚加工機101以外の繊維機械において設置される形態が実施されてもよい。例えば、繊維屑回収装置1が、紡績装置において設置される形態が実施されてもよい。
【0109】
上述の実施形態では、巻取装置107が上下方向に沿って4段設けられた仮撚加工機101に設置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。巻取装置107が上下方向に沿って3段以下或いは5段以上設けられた仮撚加工機101に設置される形態が実施されてもよい。この場合、上下方向に並ぶ巻取装置107の段数に応じた数の繊維屑移送配管11が設けられていてもよい。
【0110】
上述の実施形態では、繊維屑移送配管11が複数設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。繊維屑移送配管11が1つのみ設けられた形態が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 繊維屑回収装置
11 繊維屑移送配管
13 繊維屑回収容器(繊維屑回収部)
15 吸い込み部
30 繊維屑分離器
31 分離部
32 空気排出部
33 繊維屑排出部
34 導電部
35 本体部
36 テーパー部(繊維屑移送部)
39 傾斜部
101 仮撚加工機
Y 繊維
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】