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特開2024-172368環境情報提供システムおよび環境情報提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172368
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】環境情報提供システムおよび環境情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20241205BHJP
【FI】
G07B15/00 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090035
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上妻 祐介
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA02
3E127BA10
3E127CA02
3E127CA37
3E127CA47
(57)【要約】
【課題】入室予定の居室内の環境を入室前に知ることが可能な環境情報提供システムを提供することを目的とする。
【解決手段】ユーザーに付与された認証情報に基づいて前記ユーザーの居室内への入室の可否を判断するユーザー認証部と、前記ユーザーの携帯端末に前記居室内の室温を通知する室温通知部とを備えた環境情報提供システムにおいて、前記室温通知部は、前記ユーザーが入室する予定の前記居室内の予想室温を、前記ユーザーの携帯端末に通知する環境情報提供システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに付与された認証情報に基づいて前記ユーザーの居室内への入室の可否を判断するユーザー認証部と、前記ユーザーの携帯端末に前記居室内の室温を通知する室温通知部とを備えた環境情報提供システムにおいて、
前記室温通知部は、前記ユーザーが入室する予定の前記居室内の予想室温を、前記ユーザーの携帯端末に通知する
環境情報提供システム。
【請求項2】
前記居室の外部環境に関する情報と前記居室の室温とを関連付けて保持する環境相関情報保持部を備え、
前記室温通知部は、外部サーバーから取得した外部環境の予測情報に基づいて、前記環境相関情報保持部から前記居室の室温を抽出し、抽出した室温を前記予想室温として前記ユーザーの携帯端末に通知する
請求項1に記載の環境情報提供システム。
【請求項3】
外部サーバーから外部環境に関する情報を取得し、前記居室に設けた温度センサーから前記居室の室温を取得し、取得した各情報を関連付けして前記環境相関情報保持部に登録する環境相関情報取得部を備える
請求項2に記載の環境情報提供システム。
【請求項4】
前記環境相関情報取得部は、前記登録を定期処理として実施する
請求項3に記載の環境情報提供システム。
【請求項5】
前記ユーザーの前記居室内への入退履歴情報に基づいて、前記ユーザーの前記居室内への予想入室時間帯を算出する予想入室時間帯算出部を備え、
前記室温通知部は、前記予想入室時間帯算出部で算出した予想入室時間帯の予想室温を、前記ユーザーの携帯端末に通知する
請求項1に記載の環境情報提供システム。
【請求項6】
前記予想入室時間帯算出部は、前記算出を定期処理として実施する
請求項5に記載の環境情報提供システム。
【請求項7】
前記認証情報と前記携帯端末の連絡先とを関連付けて保持するユーザー情報保持部を備え、
前記室温通知部は、前記ユーザー情報保持部に保持された携帯端末の連絡先に、前記居室内の予想室温を通知する
請求項1に記載の環境情報提供システム。
【請求項8】
前記室温通知部は、前記ユーザー認証部において前記居室への入室時に認証されたユーザーの携帯端末に、前記居室内の室温を通知する
請求項1に記載の環境情報提供システム。
【請求項9】
前記ユーザー認証部において前記居室からの退室時に認証されたユーザーの携帯端末に、外部サーバーから取得した外部環境に関する情報を通知する外部環境通知部を備えた
請求項1に記載の環境情報提供システム。
【請求項10】
ユーザーに付与された認証情報に基づいて前記ユーザーの居室内への入室の可否を判断するユーザー認証部と、前記ユーザーの携帯端末に前記居室内の室温を通知する室温通知部とを備えた環境情報提供システムが実施する環境情報提供方法おいて、
前記室温通知部は、前記ユーザーが入室する予定の前記居室内の予想室温を、前記ユーザーの携帯端末に通知する
環境情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境情報提供システムおよび環境情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
居室内の環境を快適に保つための技術として、下記特許文献1に開示の技術がある。この特許文献1には、「ドアの施解錠および空調制御を行う制御装置と、個人IDを近距離無線通信で読み取り前記制御装置に通信して認証情報を得る管理端末と、前記管理端末と前記近距離無線通信により得られる前記認証情報にある操作許可情報に従った制御操作を前記管理端末を介して前記制御装置に指令する携帯情報機器と、を備えた入退室管理システムにおいて、前記制御装置は個人IDに従った前記操作許可情報テーブルをもつことと、前記携帯情報機器は個人ID、近距離無線通信部、および前記操作許可情報に従った制御操作実行部を持つ」と記載され、また「負荷設備からの現在値データなどを制御装置は収集しているので、これを制御装置は携帯情報機器に配信する。こうすることで、図3に示した表示部の情報表示領域に現在の温度、湿度などの詳細情報を表示することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-125693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の技術では、居室への入室が許可された入室者は、入室者が所有する携帯情報機器の操作によって、空調制御を行う制御装置に指令を出すことができ、また入室した居室内の現在の温度湿度等を知ることができる。しかしながら、居室に入室する以前に、入室する予定の居室内の環境を知ることはできなかった。
【0005】
そこで本発明は、入室予定の居室内の環境を入室前に知ることが可能な環境情報提供システムおよび環境情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ユーザーに付与された認証情報に基づいて前記ユーザーの居室内への入室の可否を判断するユーザー認証部と、前記ユーザーの携帯端末に前記居室内の室温を通知する室温通知部とを備えた環境情報提供システムにおいて、前記室温通知部は、前記ユーザーが入室する予定の前記居室内の予想室温を、前記ユーザーの携帯端末に通知する環境情報提供システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、入室予定の居室内の環境を入室前に知ることが可能な環境情報提供システムおよび環境情報提供方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る環境情報提供システムの構成図である。
図2】実施形態に係る環境情報提供システムが保持する環境相関情報テーブルを示す図である。
図3】実施形態に係る環境情報提供方法における環境相関情報の登録処理の手順を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る環境情報提供方法における各ユーザーの予測入室時間帯の算出処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る環境情報提供方法における予想室温の通知処理の手順を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る環境情報提供方法における室温通知処理の手順を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る環境情報提供方法における外部環境の通知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した環境情報提供システムおよび環境情報提供方法の各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
≪環境情報提供システム≫
図1は、実施形態に係る環境情報提供システム1の構成図である。この図に示す環境情報提供システム1は、一例として職場ビルなどの各居室の室内温度(室温)を、居室に入室する前のユーザーに通知するためのシステムである。このような環境情報提供システム1は、携帯端末10、入退室認証装置20、居室3ごとに設置された温度センサー30、入退室情報管理部40、および制御装置50を有する。これらは、ネットワーク60を介して接続されている。次に、環境情報提供システム1の各部の構成を説明する。
【0011】
<携帯端末10>
携帯端末10は、例えばスマートフォンのように、居室の利用者であるユーザーが個人的に所持する端末装置であって、無線通信機能、入力機能、表示機能、および演算機能を有する。これらの携帯端末10は、以降に説明する制御装置50に登録されたものである。また、各携帯端末10は、各居室3に入退出する各ユーザーに対して付与された認証情報を保持する機能を有していてもよい。
【0012】
<入退室認証装置20>
入退室認証装置20は、居室3に入退出するユーザーから、各ユーザーに対して付与された認証情報を取得し、取得した認証情報を以降に説明する制御装置50に送信する。また入退室認証装置20は、制御装置50からの情報に基づいて、居室3の施錠を解除することにより、居室3に対するユーザーの入退出を可能する。このような入退室認証装置20において、ユーザーの認証情報を取得するためのインターフェースは、ユーザーによる入力部であってもよいし、ユーザーが保持する携帯端末10やIDカードの情報を読み取る読取部であってもよい。このような入退室認証装置20は、各居室3に対して設けられていてもよいし、複数の居室3の集合体であるエリア毎にもうけられていてもよい。なお、入退室認証装置20は、認証情報を取得するためのインターフェースは、入室の際に使用する居室外(またはエリア外)インターフェースと、退室の際に使用する居室内(またはエリア内)インターフェースとを有する。
【0013】
<温度センサー30>
温度センサー30は、各居室3内に設置されたものであって、各居室3内の室温を測定する。なお、居室3内には、温度センサー30の他に、湿度やその他の室内環境を測定するためのセンサーを設けてもよい。
【0014】
<入退室情報管理部40>
入退室情報管理部40は、認証情報保持部41と入退室履歴保持部42とを含む。認証情報保持部41は、居室3への入室を許可するユーザーに対して個別に付与された認証情報と、各居室3に付与されている識別情報とを紐づけて保持する。入退室履歴保持部42は、ユーザー毎の入退室履歴を、ユーザーの認証情報に紐づけて保持する。
【0015】
<制御装置50>
制御装置50は、入退室認証装置20から取得した認証情報に基づくユーザー認証を実施するとともに、ユーザーが保持する携帯端末10に、ユーザーが入室する予定の居室3内の環境を通知する。この制御装置50は、計算機によって構成されている。計算機は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部、およびネットワークインターフェースを備えており、記憶部に記憶されているプログラムをCPUが実行することにより各機能を発揮する。このような制御装置50は、各機能部として、ユーザー認証部51、入室時室温取得・通知部52、環境相関情報取得部53、予想入室時間帯算出部54、予想室温抽出・通知部55、天気、外気温取得・通知部56、ユーザー情報保持部57、および環境相関情報保持部58を有する。これらの各機能部は、次のようである。
【0016】
[ユーザー認証部51]
ユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得したユーザーの認証情報の認証判定を行う。ユーザー認証部51による認証判定は、入退室情報管理部40の認証情報保持部41に保持されている情報に基づいて実施される。ユーザー認証部51での認証判定の結果は、入退室認証装置20に送信される。またユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得したユーザーの認証情報が、入室時の情報であるか退室時の情報であるのかの入退室区分を判定する。
【0017】
[入室時室温取得・通知部52]
入室時室温取得・通知部52は、室温通知部のうちの一つである。この入室時室温取得・通知部52は、ユーザー認証部51による認証判定の結果が、正常判定であって、かつ入室の際に、入室予定の居室3内にある温度センサー30から居室3内の室温を取得し、ユーザーの携帯端末10へ通知する。入室時室温取得・通知部52による室温通知処理の手順は、以降の環境情報提供方法において詳細に説明する。
【0018】
[環境相関情報取得部53]
環境相関情報取得部53は、天気、湿度、外気温などの外部環境を外部サーバーから取得し、また各居室3内にある温度センサー30から各居室3の室温を取得する。外部サーバーは、例えば気象庁が保有するコンピューターであるか、または他の気象情報会社が保持するコンピューターである。環境相関情報取得部53は、例えば1時間毎の定期処理として上記の取得処理を実施し、取得した情報を環境相関情報保持部58の情報テーブルに登録する。環境相関情報取得部53による相関関係情報の登録処理の手順は、以降の環境情報提供方法において詳細に説明する。
【0019】
[予想入室時間帯算出部54]
予想入室時間帯算出部54は、入退室情報管理部40の入退室履歴保持部42に保持された情報に基づいて、ユーザー毎の予想入室時間帯を算出する。予想入室時間帯とは、各ユーザーが、それぞれの居室3に入室すると予想される時間帯である。予想入室時間帯算出部54は、例えば1日毎の定期処理として上記の取得処理を実施し、算出した予想入退室時間帯を保持する。予想入室時間帯算出部54による予想入退室時間帯の算出処理の手順は、以降の環境情報提供方法において詳細に説明する。
【0020】
[予想室温抽出・通知部55]
予想室温抽出・通知部55は、室温通知部のうちの一つである。この予想室温抽出・通知部55は、予想入室時間帯算出部54で算出した各ユーザーの居室3への予想入室時間帯における居室3内の室温を、環境相関情報保持部58から抽出し、抽出した室温を予想室温として各ユーザーの携帯端末10へ通知する。予想室温抽出・通知部55による予想室温の通知処理の手順は、以降の環境情報提供方法において詳細に説明する。
【0021】
[天気、外気温取得・通知部56]
天気、外気温取得・通知部56は、外部環境通知部である。この天気、外気温取得・通知部56は、ユーザー認証部51による認証判定の結果が、正常判定であって、かつ退室の際に、外部サーバーから外部環境に関する情報として天気、外気温を取得し、ユーザーの携帯端末10へ通知する。天気、外気温取得・通知部56による、このような外部環境通知処理の手順は、以降の環境情報提供方法において詳細に説明する。
【0022】
[ユーザー情報保持部57]
ユーザー情報保持部57は、ユーザーが保持する携帯端末10に関する情報を保持する。ユーザー情報保持部57が保持するユーザー情報は、各ユーザーが保持する携帯端末10の連絡先(例えばアドレス)であり、各ユーザーの認証情報に紐づけて携帯端末情報(連絡先)が保持される。
【0023】
[環境相関情報保持部58]
環境相関情報保持部58は、環境相関情報取得部53で取得した、天気、湿度、外気温と、各居室3内の室温との相関関係を、環境相関情報テーブルに登録して保持する。図2は、実施形態に係る環境情報提供システムが保持する環境相関情報テーブル[T1]を示す図である。図2に示すように、環境相関情報テーブル[T1]は、環境相関情報取得部53(図1参照)が取得した天気、湿度、外気温などの外部環境に関する情報と、各居室3a,3b,…の室内温度(室温)とを関連付けして保持する。
【0024】
≪環境情報提供方法≫
次に、実施形態に係る環境情報提供方法を説明する。ここで説明する環境情報提供方法は、図1に基づいて説明した環境情報提供システム1の制御装置50が保持する環境情報提供プログラムによって実施される各手順である。以下、図1および図2と共に、各フローチャートに基づいて、環境情報提供方法の各手順を説明する。
【0025】
<環境相関情報の登録処理>
図3は、実施形態に係る環境情報提供方法における環境相関情報の登録処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す登録処理の手順は、環境相関情報取得部53により、例えば1時間毎の定期処理として繰り返し実施される手順であって、以下のように実施される。
【0026】
[ステップS101]
ステップS101において、環境相関情報取得部53は、外部サーバーから現在の天気、湿度、外気温などの外部環境に関する情報をインターネット経由で取得する。
【0027】
[ステップS102]
ステップS102以降において、環境相関情報取得部53は、居室数分処理を実施する。
【0028】
[ステップS103]
ステップS103において、環境相関情報取得部53は、居室3内に設置された温度センサー30から、現在の居室3内の室温を取得する。
【0029】
[ステップS104]
ステップS104において、環境相関情報取得部53は、ステップS102およびステップS103で取得した情報を、環境相関情報保持部58の環境相関情報テーブル[T1]に登録する。この際、ステップS101で取得した外部環境に関する情報と同一の情報が、既に環境相関情報テーブル[T1]に登録されている場合がある。この場合、環境相関情報取得部53は、ステップS103で取得した居室3内の室温を、環境相関情報テーブル[T1]において対応する居室3の室温に上書きして登録し、居室3の室温を最新の情報に更新する。
【0030】
<予想入室時間帯の算出処理>
図4は、実施形態に係る環境情報提供方法における各ユーザーの予測入室時間帯の算出処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す算出処理の手順は、予想入室時間帯算出部54により、例えば1日毎の定期処理として繰り返し実施される手順であって、以下のように実施される。
【0031】
[ステップS201]
ステップS201以降において、予想入室時間帯算出部54は、ユーザー情報テーブル登録数分処理を実施する。
【0032】
[ステップS202]
ステップS202において、予想入室時間帯算出部54は、ユーザーの過去1ヶ月間の入退室履歴を、入退室情報管理部40の入退室履歴保持部42から取得する。
【0033】
[ステップS203]
ステップS203において、予想入室時間帯算出部54は、ステップS202で取得した入退室履歴から、最も早い入室時刻を当該ユーザーの最早入室時刻として抽出する。
【0034】
[ステップS204]
ステップS204において、予想入室時間帯算出部54は、ステップS202で取得した入退室履歴から、最も遅い入室時刻を当該ユーザーの最遅入室時刻として抽出する。
【0035】
[ステップS205]
ステップS205において、予想入室時間帯算出部54は、ステップS203およびステップS204で抽出した最早入室時刻と最遅入室時刻とから、当該ユーザーの予想入室時間帯を算出する。この場合、予想入室時間帯算出部54は、最早入室時刻と最遅入室時刻との間を予想入室時間帯としてもよいし、最早入室時刻と最遅入室時刻との間の中央の所定時間(例えば1時間)を予想入室時間帯としてもよい。
【0036】
予想入室時間帯算出部54は、以上のようにして算出したユーザー毎の予想入室時間帯を保持する。
【0037】
<予想室温の通知処理>
図5は、実施形態に係る環境情報提供方法における予想室温の通知処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す予想室温の通知処理の手順は、予想室温抽出・通知部55により、各ユーザーの居室3への入室日毎の処理として繰り返し実施される手順であり、以下のように実施される。
【0038】
[ステップS301]
予想室温抽出・通知部55は、入室日の当日の天気、湿度、外気温などの外部環境の予測情報を、外部サーバーからインターネット経由で取得する。ここで、入室日の当日とは、予め設定された日であり、例えば居室が職場である場合はユーザーの出勤日の当日であって、具体的な一例としては月曜日~金曜日の週日である。また予測情報は、例えば時間帯毎または時間毎の情報であることとする。予想室温抽出・通知部55は、全ユーザーの予想入室時間帯よりも早い時間、例えば当日の前夜の所定時間に、外部環境の予測情報の取得処理を実施する。
【0039】
[ステップS302]
ステップS302以降において、予想室温抽出・通知部55は、ユーザー情報テーブル登録数分処理を実施する。なお、予想入室時間帯算出部54で算出した各ユーザーの予想入室時間帯が、広範囲にわたっていて例えば半日以上ズレてるような場合、ステップS301もユーザー情報テーブル登録数分処理に含めてもよい。この場合、各ユーザーの予想入室時間帯よりも所定時間だけ早い時間に、ステップS301の処理を実施する。
【0040】
[ステップS303]
ステップS303において、予想室温抽出・通知部55は、予想入室時間帯算出部54から当該ユーザーの予想入室時間帯を抽出する。
【0041】
[ステップS304]
ステップS304において、予想室温抽出・通知部55は、ステップS301で取得した外部環境に関する予測情報と一致する情報が、環境相関情報保持部58の環境相関情報テーブル[T1](図2参照)に有るか否かを判断する。この際、予想室温抽出・通知部55は、先ず、ステップS301で取得した外部環境の予測情報の中から、ステップS303で抽出した当該ユーザーの予想入室時間帯における外部環境の予測情報を抽出する。そして、抽出した予想入室時間帯の予測情報と一致する情報が、環境相関情報保持部58の環境相関情報テーブル[T1](図2参照)に有るか否かを判断する。
【0042】
有る(YES)と判断した場合には、ステップS305に進み、無い(NO)と判断した場合にはステップS307に進む。なお、外部環境の予測情報と一致する情報であるか否かは、許容範囲を設けて判断してもよい。一例として外気温であれば、±1℃の範囲を一致として判断してもよい。
【0043】
[ステップS305]
ステップS305において、予想室温抽出・通知部55は、環境相関情報テーブル[T1](図2参照)から、ステップS304で外部環境の予測情報と一致すると判断した外部環境に関連付けて保持された室温の中から、当該ユーザーの居室3の室温を抽出する。
【0044】
[ステップS306]
ステップS306において、予想室温抽出・通知部55は、当該ユーザーの携帯端末10に、ステップS305で抽出した室温を予想室温として通知し、処理を終了させる。
【0045】
[ステップS307]
一方、ステップS307において、予想室温抽出・通知部55は、当該ユーザーの携帯端末10に、予想室温の取得不可を通知し、処理を終了させる。
【0046】
<室温通知処理>
図6は、実施形態に係る環境情報提供方法における室温通知処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す室温通知処理の手順は、各ユーザーが、入退室認証装置20にて、ユーザー認証を実施したタイミングで開始される手順であり、以下のように実施される。
【0047】
[ステップS401]
ステップS401において、ユーザー認証部51は、入退室認証装置20からユーザーの認証情報を取得する。
【0048】
[ステップS402]
ステップS402において、ユーザー認証部51は、ステップS401で取得した認証情報に基づいてユーザー認証(認証判定)を実施する。この際、ユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得した認証情報が、認証情報保持部41に保持されているか否かを判断し、保持されていれば認証された(認証OK)と判断する。また、ユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得した認証情報が、入室時に取得した情報であるか否かを判断する。
【0049】
ユーザー認証部51は、以上の判断の結果、入退室認証装置20から取得した認証情報が認証され(認証OK)、かつ入室時の情報であると判断した場合に、ステップS403に進む。それ以外の場合には、処理を終了させる。
【0050】
なお、ユーザー認証部51は、ステップS401で取得した認証情報が、入室時の情報であるか否かにかかわらず、認証情報保持部41に保持されている場合(認証OK)であれば、その情報を入退室認証装置20に送信する。これにより、入退室認証装置20は、当該ユーザーの居室3への入室を許可し、例えば入室予定の居室3を解錠する。
【0051】
[ステップS403]
ステップS403において、入室時室温取得・通知部52は、ユーザー情報保持部57から、ステップS401で取得した認証情報に関連付けて保持されている携帯端末10の連絡先(例えばアドレス)を抽出する。
【0052】
[ステップS404]
ステップS404において、入室時室温取得・通知部52は、当該ユーザーが入室する予定の居室3に設けられた温度センサー30から室温を取得する。当該ユーザーが入室する予定の居室3は、ステップS401で取得した認証情報に関連付けて認証情報保持部41に保持されている居室である。
【0053】
[ステップS405]
ステップS405において、入室時室温取得・通知部52は、ステップS404で取得した居室3内の室温を、ステップS403で取得した携帯端末10の連絡先に通知する。
【0054】
<外部環境通知処理>
図7は、実施形態に係る環境情報提供方法における外部環境の通知処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す外部環境の通知処理の手順は、各ユーザーが、入退室認証装置20にて、ユーザー認証を実施したタイミングで開始される手順であり、以下のように実施される。
【0055】
[ステップS501]
ステップS501において、ユーザー認証部51は、入退室認証装置20からユーザーの認証情報を取得する。
【0056】
[ステップS502]
ステップS502において、ユーザー認証部51は、ステップS501で取得した認証情報に基づいてユーザー認証(認証判定)を実施する。この際、ユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得した認証情報が、認証情報保持部41に保持されているか否かを判断し、保持されていれば認証された(認証OK)と判断する。またユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得した認証情報が、退室時に取得した情報であるか否かを判断する。なお、居室3が職場である場合、ユーザー認証部51は、入退室認証装置20から取得した認証情報が、勤務時間を終了した定時後の退室時に取得した情報であるか否かの判断としてよく、さらに提示後の初回の退室時に取得した情報であるか否かの判断としてもよい。この判断は、入退室情報管理部40の入退室履歴保持部42の情報に基づいて実施される。
【0057】
ユーザー認証部51は、以上の判断の結果、入退室認証装置20から取得した認証情報が認証され(認証OK)、かつ退室時の情報であると判断した場合に、ステップS503に進む。それ以外の場合には、処理を終了させる。
【0058】
なお、ユーザー認証部51は、ステップS501で取得した認証情報が、退室時の情報であるか否かにかかわらず、認証情報保持部41に保持されている場合(認証OK)であれば、その情報を入退室認証装置20に送信する。これにより、入退室認証装置20は、当該ユーザーの居室3からの退室を許可し、例えば入室予定の居室3を解錠する。
【0059】
[ステップS503]
ステップS503において、天気、外気温取得・通知部56は、ユーザー情報保持部57から、ステップS501で取得した認証情報に関連付けて保持されている携帯端末10の連絡先(例えばアドレス)を抽出する。
【0060】
[ステップS504]
ステップS504において、天気、外気温取得・通知部56は、現在の天気、外気温を外部サーバーからインターネット経由で取得する。
【0061】
[ステップS505]
ステップS505において、天気、外気温取得・通知部56は、ステップS504で取得した現在の天気および外気温を、ステップS503で取得した携帯端末10の連絡先に通知する。これにより、ユーザーは、居室3を出る前に居室3外の環境を知ることができ、例えば雨が降っていれば傘を持って居室3からでることができる。
【0062】
<実施形態の効果>
以上説明した実施形態によれば、認証情報が付与されたユーザーの携帯端末に対して、入室予定の居室3内の予測室温が通知されるため、ユーザーは居室に入室する前に居室3内の環境を知ることが可能である。これにより、例えば出勤前のユーザーは、居室3への予測入室時間帯の予測室温に基づいて、出勤時の服装を選択することができ、職場における快適性の向上を図ることができる。
【0063】
また特に近年では、働き方改革の一環として、在宅勤務と出社を併用する職場が広がりつつある。この場合、職場への出勤に際しては、出勤時の居室(職場)内の服装(薄着、厚着)について判断が難しい場合があるが、このような場合であっても予測室温に基づいて出勤時の服装を選択することができる。これにより、在宅勤務から出社への切り替えに際し、環境(暑さ、寒さ)の変化から体調を崩すことを防止することもできる。
【0064】
なお、本発明は上記した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。例えば、実施形態においては居室が職場ビル内のものである場合を例示したが、これに限定されることはなく、様々な建物内の居室に対して適用可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…環境情報提供システム
3,3a,3b…居室
10…携帯端末
30…温度センサー
51…ユーザー認証部
52…入室時室温取得・通知部(室温通知部)
53…環境相関情報取得部
54…予想入室時間帯算出部
55…予想室温抽出・通知部(室温通知部)
56…外気温取得・通知部(外部環境通知部)
57…ユーザー情報保持部
58…環境相関情報保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7