(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172372
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ベルト装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090045
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 良宏
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200FA09
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA44
2H200GA47
2H200HB12
2H200JA02
2H200JC04
2H200JC13
2H200JC15
2H200LA25
2H200MA02
(57)【要約】
【課題】ベルトの片寄りを補正するにあたり、ベルトの端部の破損を回避することができるベルト装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動ローラ721と、従動ローラ722と、駆動ローラ721及び従動ローラ722に張設される無端状のベルト71と、を備えたベルト装置70は、従動ローラ722を揺動させる補正部80を備えている。従動ローラ722は、回転軸線αに沿った従動回転軸線方向Mに往復移動自在とされている。補正部80は、ベルト71が従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)へ片寄る力である寄り力F1に対する反力F2により従動ローラ722が従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)へ移動する移動動作を利用して従動ローラ722を揺動させる。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラと、従動ローラと、前記駆動ローラ及び前記従動ローラに張設される無端状のベルトと、を備えたベルト装置であって、
前記従動ローラを揺動させる補正部を備え、
前記従動ローラは、回転軸線に沿った従動回転軸線方向に往復移動自在とされており、
前記補正部は、前記ベルトが前記従動回転軸線方向における一方側へ片寄る力である寄り力に対する反力により前記従動ローラが前記従動回転軸線方向における他方側へ移動する移動動作を利用して前記従動ローラを揺動させる、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト装置であって、
前記従動ローラを前記回転軸線回りに回転自在に支持し、かつ、前記従動ローラと一緒に前記従動回転軸線方向に往復移動自在とされた支持移動部材を備え、
前記補正部は、前記ベルトの前記寄り力に対する前記反力による前記従動ローラ及び前記支持移動部材の双方の移動に連動して前記支持移動部材を変位させることにより、前記従動ローラを揺動させる、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルト装置であって、
前記補正部は、前記従動ローラを揺動させるカム機構を備えている、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項4】
請求項3に記載のベルト装置であって、
前記カム機構は、前記支持移動部材に設けられる第1カム部と、ベルト装置本体側の部材に設けられて前記第1カム部に摺接する第2カム部と、を備え、前記ベルトの前記寄り力に対する前記反力による前記従動ローラ及び前記支持移動部材の双方の移動のときに前記第1カム部が前記第2カム部に沿って摺動することにより、前記支持移動部材を変位させる、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項5】
請求項4に記載のベルト装置であって、
前記支持移動部材における前記第1カム部は、前記ベルト装置本体側の部材における前記第2カム部の上に自重で載置されている、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項6】
請求項4に記載のベルト装置であって、
前記第1カム部及び前記第2カム部のうちの一方のカム部の対向面が前記駆動ローラの回転軸線に対して傾斜する傾斜面とされており、
前記第1カム部及び前記第2カム部は、前記従動回転軸線方向における両側に設けられており、
前記従動回転軸線方向における両側に設けられた前記傾斜面は、傾斜方向が互いに逆方向である、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
請求項1に記載のベルト装置であって、
前記従動ローラは、前記ベルトを90度未満の角度で折り返すローラである、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項8】
請求項1に記載のベルト装置であって、
前記従動ローラの表面には多数の凹凸が形成されている、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項9】
請求項1に記載のベルト装置であって、
前記従動ローラの表面には多数の溝が形成されている、ことを特徴とするベルト装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載のベルト装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベルト装置、及び、複写機、複合機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動ローラと、従動ローラと、駆動ローラ及び従動ローラに張設される無端状のベルトと、を備えたベルト装置において、ベルトは、駆動ローラ及び従動ローラにより周回移動するが、周回移動中、様々な要因により従動ローラの回転軸線に沿った従動回転軸線方向への片寄りが発生する。
【0003】
従来のベルト装置では、ベルトの片寄りが進み、ベルトが従動ローラの外側にはみ出すのを規制するために、一般的には、従動ローラの従動回転軸線方向における両端部に端部規制部材(カラー)が設けられる。このようなベルト装置では、ベルトの片寄りによるベルトの端部の破損を招く。
【0004】
この点に関し、特許文献1には、ベルトの端部がベルト蛇行補正用のロール(従動ローラ)におけるベルト蛇行補正部材を押す押圧力を利用してベルト蛇行補正用のロールを揺動させてベルトの片寄りを補正する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の構成では、ベルトの片寄りを補正するにあたっては、端部規制部材を設けたベルト装置と同様、ベルトの端部がベルト蛇行補正部材に接触することになり、ベルトの端部の破損を招くことに変りはない。
【0007】
そこで、本開示は、ベルトの片寄りを補正するにあたり、ベルトの端部の破損を回避することができるベルト装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本開示に係るベルト装置は、駆動ローラと、従動ローラと、前記駆動ローラ及び前記従動ローラに張設される無端状のベルトと、を備えたベルト装置であって、前記従動ローラを揺動させる補正部を備え、前記従動ローラは、回転軸線に沿った従動回転軸線方向に往復移動自在とされており、前記補正部は、前記ベルトが前記従動回転軸線方向における一方側へ片寄る力である寄り力に対する反力により前記従動ローラが前記従動回転軸線方向における他方側へ移動する移動動作を利用して前記従動ローラを揺動させる、ことを特徴とする。
【0009】
また、本開示に係る画像形成装置は、前記本開示に係るベルト装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、ベルトの片寄りを補正するにあたり、ベルトの端部の破損を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係るベルト装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す画像形成装置における画像形成部、1次転写ベルト装置及び2次転写装置を示す断面図である。
【
図3A】第1実施形態に係るベルト装置における従動ローラ部分を手前側から視た斜視図である。
【
図3B】第1実施形態に係るベルト装置における従動ローラ部分を奥側から視た斜視図である。
【
図4A】第2実施形態に係るベルト装置における従動ローラ部分を手前側から視た斜視図である。
【
図4B】第2実施形態に係るベルト装置における従動ローラ部分を奥側から視た斜視図である。
【
図5A】第3実施形態に係るベルト装置における従動ローラ部分を手前側から視た斜視図である。
【
図5B】第3実施形態に係るベルト装置における従動ローラ部分を奥側から視た斜視図である。
【
図6A】従動ローラの表面に設けられた多数の凹凸の一例を示す斜視図である。
【
図6B】従動ローラの表面に設けられた多数の凹凸の他の例を示す斜視図である。
【
図6C】従動ローラの表面に設けられた多数の凹凸のさらに他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
〔画像形成装置〕
図1は、本実施の形態に係るベルト装置70を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。なお、図において、符号Xは、左右方向を、符号Yは、奥行方向(前後方向)を、符号Zは、上下方向を示している。
【0014】
画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンター機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で用紙等のシートPに画像形成する。
【0015】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160を備えている。原稿送り装置160は、1枚又は複数枚の原稿Gを1枚ずつ順に搬送する。画像読取装置102は、原稿送り装置160により1枚又は複数枚の原稿のうち1枚ずつ搬送される原稿Gを読み取る。また、画像読取装置102は、原稿Gを載置する原稿載置台130a(原稿セット台)を備え、原稿載置台130a上に載置された原稿を読み取る。画像読取部130は、走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿Gを読み取るか又は原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを原稿読取部130bで読み取って画像データを生成する。
【0016】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2~2、感光体ドラム3~3、ドラムクリーニング装置4~4、帯電器5~5、ベルト装置70を備えた1次転写ベルト装置19、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0017】
画像形成装置100は、複数色のトナーを用いて形成したトナー像をベルト71(この例では1次転写ベルト)に1次転写し、ベルト71に1次転写したトナー像をシートPに2次転写する。
【0018】
本実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色を用いたカラー画像、又は、単色〔例えばブラック(K)〕を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。なお、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックは、以下の説明では、それぞれ、単にY、M、C、Kという。
【0019】
画像形成装置100の画像形成部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがY、M、C、Kに対応付けられ、4つの画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdが構成されている。
【0020】
光走査装置1は、感光体ドラム3~3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2~2は、感光体ドラム3~3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3~3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4~4は、感光体ドラム3~3の表面の残留トナーを除去及び回収する。帯電器5~5は、感光体ドラム3~3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3~3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0021】
1次転写ベルト装置19は、ベルト71、1次転写ローラ6~6(1次転写部材)、複数のベルト張架ローラ72~72(駆動ローラ721及び従動ローラ722を含む張架ローラ)及びベルトクリーニング装置9を備えている。ベルト71及び複数のベルト張架ローラ72~72は、ベルト装置70を構成している。1次転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつベルト71の内側に設けられている。1次転写ローラ6~6は、感光体ドラム3~3の表面に形成された各色のトナー像を所定の周回移動方向Rへ周回移動するベルト71に1次転写する。複数のベルト張架ローラ72~72は、ベルト71を張架している。
【0022】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aとベルト71との間に転写ニップ部TN(転写ニップ領域)を形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ部TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ部TNを通過する際に、ベルト71の表面のトナー像が2次転写されて定着装置12に搬送される。ベルトクリーニング装置9は、シートPに転写されずにベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0023】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ローラ31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ローラ31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。
【0024】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのものであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPをベルト71上のトナー像のタイミングに合わせて搬送する。ベルト71上のトナー像は、ベルト71と2次転写ローラ11aとの間の転写ニップ部TNでシートPに2次転写される。
【0025】
なお、
図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0026】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0027】
〔ベルト装置70〕
(第1実施形態)
図2は、
図1に示す画像形成装置100における画像形成部50、1次転写ベルト装置19及び2次転写装置11を示す断面図である。
【0028】
図3A及び
図3Bは、それぞれ、第1実施形態に係るベルト装置70における従動ローラ722部分を手前側M1及び奥側M2から視た斜視図である。また、
図3Cは、
図3A及び
図3Bに示すベルト装置70を従動ローラ722側から視た側面図である。
【0029】
ベルト装置70は、ベルト71と、複数のベルト張架ローラ72~72と、を備え、ベルト張架ローラ72~72によりベルト71を張架して周回移動方向Rに周回移動させる。ベルト71は、ベルト張架ローラ72~72に張設されている。この例では、ベルト張架ローラ72~72は、駆動ローラ721と、従動ローラ722と、複数のテンションローラ723~723と、を含んでいる。
【0030】
ベルト張架ローラ72~72は、ベルト71を張架して周回移動方向Rに周回移動させる。ベルト張架ローラ72~72の両側の回転軸72a,72aは、画像形成装置本体101に設けられたベルト装置本体70aの一対の支持部材20,20(本体フレーム部材)によってそれぞれ回転自在に支持されている。ベルト張架ローラ72~72のうち、一のローラである駆動ローラ721は、図示を省略した回転駆動部(駆動モータ)からの回転駆動力が図示を省略した駆動伝達機構を介して伝達されて所定の方向に回転駆動される。ベルト張架ローラ72~72のうちの他の一のローラである従動ローラ722は、駆動ローラ721の駆動回転によって従動回転される。これにより、ベルト71は、周回移動方向R(この例では、画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdから転写ニップ部TNに向かう方向)に周回移動することができる。
【0031】
ベルト71は、無端状のものであり、ポリイミド等の柔軟性を有する樹脂材料で構成されている。
【0032】
第1実施形態に係るベルト装置70は、ベルト71の回転軸線αに沿った従動回転軸線方向Mにおける一方側(奥側M2又は手前側M1)及び他方側(手前側M1又は奥側M2)への片寄りを補正する補正部80(ベルト片寄補正装置、ベルト寄り抑制機構)を備えている。
【0033】
補正部80は、従動ローラ722を揺動させる。詳しくは、補正部80は、従動ローラ722を駆動ローラ721の回転軸線β(
図2参照)に直交する直交方向に沿った揺動軸線δ(
図3Aから
図3C及び後述する
図4Aから
図5C参照)回りに揺動させる。
【0034】
従動ローラ722は、従動回転軸線方向Mに往復移動自在とされている。補正部80は、ベルト71が従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)へ片寄る力である寄り力F1(
図3C参照)に対する反力F2(
図3C参照)により従動ローラ722が従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)へ移動する移動動作を利用して従動ローラ722を揺動させる。
【0035】
詳しくは、補正部80は、従動ローラ722の両側(M1,M2)において、一対の支持移動部材81,81と、揺動部82(この例では一対の揺動部82,82)と、を有している。支持移動部材81,81は、従動ローラ722の回転軸72a,72aの従動回転軸線方向Mにおける両端部に設けられている。支持移動部材81,81は、従動ローラ722の回転軸72a,72aを回転自在に設ける一方、従動ローラ722の回転軸72a,72aに対してEリング等の係止部材により従動回転軸線方向Mへの移動が規制さている。揺動部82,82は、従動回転軸線方向Mにおいてベルト71が寄ろうとする一方側(M2又はM1)へのベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722及び支持移動部材81,81の他方側(M1又はM2)への移動に連動して従動ローラ722を駆動ローラ721の回転軸線β(
図2参照)に対して傾くように揺動させる。このとき、従動ローラ722の傾斜方向は、ベルト71が寄ろうとする方向(M2又はM1)とは反対方向(M1又はM2)にベルト71を移動させるべき傾斜方向である。ここで、傾斜方向は、例えば、
図3Cに示すように、ベルト71がM1側に片寄ろうとする場合には従動ローラ722がM2側に移動してM2側がM1側に対して上がる方向であり、ベルト71がM2側に片寄ろうとする場合には従動ローラ722がM1側に移動してM2側がM1側に対して下がる方向である。
【0036】
揺動部82,82は、揺動支持部材82aと、軸受部材82bと、を備えている。揺動支持部材82aは、従動ローラ722の回転軸線αに沿った揺動軸線γ回りに揺動自在に支持部材20,20に支持されている。また、揺動支持部材82aは、軸受部材82bをベルト71の張架方向N(この例では左右方向X)に移動自在に支持する。軸受部材82bは、従動ローラ722の回転軸72a,72aを回転自在に、かつ、従動回転軸線方向Mに移動自在に支持する。
【0037】
従動ローラ722は、回転軸線αの傾きを変化させてベルト71を蛇行補正する蛇行補正ローラとして機能する。従動ローラ722における胴部72b(ローラ部)は、ベルト71の内面71aに接触する部分であり、この例では、ベルト71の幅よりも狭い幅を有している。従動ローラ722の回転軸72a,72aは、胴部72bの両側の端部からそれぞれ外側に突出している。
【0038】
従動ローラ722の回転軸72a,72aは、それぞれ支持移動部材81に対して従動回転軸線方向Mに移動不能かつ回転軸線α回りに回転自在とされている。また、従動ローラ722の回転軸72a,72aの支持移動部材81よりも両外側には、それぞれ軸受部材82bが回転軸線α回りに回転自在に挿通されている。従動ローラ722の回転軸72a,72aは、この例では、一定の径を有する円柱状の金属部材である。
【0039】
支持移動部材81は、ベルト71の従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)への寄り力F1に対する反力F2により、従動ローラ722と一緒に、他方側(M1又はM2)に移動する。
【0040】
支持移動部材81,81のうちの少なくとも一方側(この例では奥側M2)には、第1カム部81a(直方体の角部)(原動節)が設けられている。支持部材20,20のうちの少なくとも一方側(M2)には、第2カム部20a(傾斜ガイド部)(原動節と滑り又は転がり接触する従動節)が設けられている。第1カム部81a又は第2カム部20a(この例では20a)は、それぞれ、第2カム部20a又は第1カム部81a(この例では81a)と当接して第2カム部20a又は第1カム部81a(この例では81a)を摺動させる。第1カム部81a又は第2カム部20a(この例では20a)は、従動回転軸線方向Mにおける内側端20a11から外側端20a12に向けて外側に遠ざかるに従って回転軸線αに近づくように傾斜する傾斜面20a1を有している。
【0041】
この例では、支持移動部材81,81の第1カム部81aが設けられていない他方側(手前側M1)の支持移動部材81には、第1非カム部81b(対向部)(直方体の底面)が設けられている。支持部材20,20の第2カム部20aが設けられていない他方側(M1)の支持部材20には、第2非カム部20b(平坦部)が設けられている。第1非カム部81b又は第2非カム部20b(この例では20b)は、第2非カム部20b又は第1非カム部81b(この例では81b)と当接して第2非カム部20b又は第1非カム部81b(この例では81b)を摺動させる。第1非カム部81b又は第2非カム部20b(この例では20b)は、従動回転軸線方向M及び張架方向Nに沿った平坦面20b1を有している。
【0042】
第1実施形態に係るベルト装置70では、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722の従動回転軸線方向Mにおける一方側(例えば奥側M2)への移動に伴い、支持移動部材81,81が従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2)に移動すると、一方側(M2)において第1カム部81aが第2カム部20aの傾斜面20a1に沿って摺動する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって上に上がる。また、他方側(例えば手前側M1)では第1非カム部81bと第2非カム部20bの平坦面20b1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2非カム部20bの平坦面20b1によって一方側(M2)に移動する。これにより、従動ローラ722が一方側(M2)で上側に傾斜するように従動ローラ722を揺動させることができる。
【0043】
一方、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722の従動回転軸線方向Mにおける他方側(例えば手前側M1)への移動に伴い、支持移動部材81,81が従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1)に移動すると、一方側(例えば奥側M2)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって下に下がる。また、他方側(M1)では第1非カム部81bと第2非カム部20bの平坦面20b1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2非カム部20bの平坦面20b1によって他方側(M1)に移動する。これにより、従動ローラ722が一方側(M2)で下側に傾斜するように従動ローラ722を揺動させることができる。
【0044】
なお、奥側M2の支持部材20の第2カム部20aに直方体の角部を設け、奥側M2の支持移動部材81の第1カム部81aに傾斜ガイド部を設ける場合も、奥側M2の支持部材20の第2カム部20aに傾斜ガイド部を設け、奥側M2の支持移動部材81の第1カム部81aに直方体の角部を設けた場合と同様の作用を得ることができる。
【0045】
具体的には、支持移動部材81は、一対の被係合部81c,81cを有している。一対の被係合部81c,81cは、移動部材本体の従動回転軸線方向Mにおける外側面から外側に突設されている。一対の被係合部81c,81cは、軸受部材82bの一対の係合部82b2,82b2に対して従動回転軸線方向Mに移動可能かつ回転軸線α回りに回転不能に係合される。これにより、支持移動部材81は、一対の被係合部81c,81cが軸受部材82bの一対の係合部82b2,82b2に係合された状態で従動回転軸線方向Mに沿って往復移動することができる。
【0046】
支持部材20,20には、従動回転軸線方向Mにおける外側に突出する揺動軸22が設けられている。揺動支持部材82aには、貫通孔82a1が設けられおり、貫通孔82a1が支持部材20,20における揺動軸22を挿通している。
【0047】
また、揺動支持部材82aには、張架方向Nに延びるスライド孔82a2と、スライド孔82a2に連通する取出孔82a3とが設けられている。取出孔82a3は、従動回転軸線方向M及び張架方向Nの双方に直交する直交方向h(この例では上下方向Z)のサイズがスライド孔82a2の直交方向hのサイズよりも大きいサイズとされており、軸受部材82bを挿通する。
【0048】
軸受部材82bは、揺動支持部材82aに対して、ベルト71の張架方向Nに移動自在に支持される一方、従動回転軸線方向Mに移動不能かつ回転軸線α回りに回転不能とされている。具体的には、軸受部材82bは、挿通部82b1と、一対の係合部82b2,82b2と、を有している。挿通部82b1は、スライド孔82a2に係合される。この例では、挿通部82b1には、スライド孔82a2の直交方向hにおける両側の縁部に係入される係入溝が張架方向Nに沿って設けられている。これにより、軸受部材82bは、スライド孔82a2に沿って張架方向Nに往復移動することができる。
【0049】
また、ベルト装置70は、付勢部材74,74(この例では巻ばね)をさらに備えている。付勢部材74は、ベルト71を引っ張る方向であるベルト引張方向N1(この例では駆動ローラ721とは反対方向)に従動ローラ722(この例では軸受部材82b)を付勢する。
【0050】
詳しくは、付勢部材74は、スライド孔82a2及び取出孔82a3内において、軸受部材82bをベルト引張方向N1に向けて付勢するように、軸受部材82bと、取出孔82a3のベルト引張方向N1とは反対側の端部との間に配置されている。これにより、付勢部材74は、従動ローラ722をベルト引張方向N1に向けて付勢することができる。
【0051】
以上説明したベルト装置70では、ベルト71の駆動ローラ721と従動ローラ722との間での引っ張り力によりベルト71と従動ローラ722との間で摩擦力が存在している。また、従動ローラ722が従動回転軸線方向Mに往復移動自在とされている。
【0052】
そうすると、例えば、ベルト71と従動ローラ722との間で摩擦力が存在している状態で従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)へ寄ろうとすると、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2が従動回転軸線方向Mに往復移動自在とされた従動ローラ722に加わり、従動ローラ722がベルト装置本体70a(駆動ローラ721)に対して従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)に移動する。このとき、補正部80が従動ローラ722の移動動作を利用して従動ローラ722を揺動させる。一方、従動ローラ722が従動回転軸線方向Mに移動しても、ベルト71は従動回転軸線方向Mに移動しない或いは殆ど移動しない。
【0053】
このように、本実施の形態によれば、補正部80は、従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)ベルト71の寄り力F1に対する反力F2により従動ローラ722が従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)へ移動する移動動作を利用して従動ローラ722を揺動させるので、ベルト71の片寄りを確実に補正することができる。すなわち、周回移動されるベルト71の従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)への片寄りは、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2により従動ローラ722が従動回転軸線方向Mに移動することにより補正される。しかも、ベルト71の片寄りを補正するにあたり、ベルト71が従動回転軸線方向Mに移動しない或いは殆ど移動しないので、端部規制部材(カラー)を設けることなく、従って、ベルト71の端部71eが端部規制部材に接触することがない。これにより、ベルト71の片寄りを補正するにあたり、ベルト71の端部71eの破損を回避することができる。
【0054】
本実施の形態において、ベルト装置70は、支持移動部材81を備えている。従動ローラ722を回転軸線α回りに回転自在に支持し、かつ、従動ローラ722と一緒に従動回転軸線方向Mに往復移動自在とされている。
【0055】
補正部80は、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722及び支持移動部材81の双方の移動に連動して支持移動部材81を変位させることにより、従動ローラ722を揺動させる。
【0056】
この構成では、従動回転軸線方向Mに往復移動自在とされた支持移動部材81を用いるといった簡単な構成で、従動ローラ722を揺動させることができ、これにより、ベルト71の片寄りを容易に補正することができる。
【0057】
補正部80は、従動ローラ722を揺動させるカム機構90を備えている。こうすることで、従動ローラ722を確実に揺動させることができ、これにより、ベルト71の片寄りを精度よく補正することができる。
【0058】
本実施の形態において、カム機構90は、第1カム部81aと、第2カム部20aと、を備えている。第1カム部81aは、支持移動部材81に設けられている。第2カム部20aは、ベルト装置本体70a側の部材(支持部材20)に設けられて第1カム部81aに摺接する。
【0059】
カム機構90は、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722及び支持移動部材81の双方の移動のときに第1カム部81aと第2カム部20aとが摺接することにより、支持移動部材81を変位させる。
【0060】
この構成では、支持移動部材81及びベルト装置本体70a側の部材(20)にカム部を設けるといった簡単な構成で、従動ローラ722を揺動させることができ、これにより、ベルト71の片寄りを容易に補正することができる。
【0061】
ところで、ベルト71が片寄らない場合は、〔従動ローラ722のスライド力(従動ローラ722が移動する力)〕≦(第1カム部81aが傾斜面20a1を摺動する負荷)となり、従動ローラ722及び支持移動部材81の従動回転軸線方向Mにおける位置は維持される。
【0062】
一方、ベルト71が従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)に片寄ろうとする場合は、(従動ローラ722のスライド力)>(第1カム部81aが傾斜面20a1を摺動する負荷)の関係を満たす必要がある。このとき、(従動ローラ722のスライド力)が小さいときでも(従動ローラ722のスライド力)>(第1カム部81aが傾斜面20a1を摺動する負荷)の関係を満たさないと、ベルト71が微小ながら従動回転軸線方向Mにおける一方側に片寄ってしまうことから、(第1カム部81aが傾斜面20a1を摺動する負荷)はできるだけ小さい方が望ましい。
【0063】
この点、本実施の形態において、支持移動部材81における第1カム部81aは、ベルト装置本体70a側の部材(20)における第2カム部20aの上に自重で載置されている。ここで、第1カム部81aと第2カム部20aとの接触面積はできるだけ小さい方がよく、例えば、第1カム部81aと第2カム部20aとの接触部が点接触又は線接触であってもよい。また、第1カム部81a及び第2カム部20aの少なくとも接触部分をフッ素系樹脂等の摩擦係数が小さい離型性材料で形成してもよい。
【0064】
このように、支持移動部材81における第1カム部81aがベルト装置本体70a側の部材(20)における第2カム部20aの上に自重で載置されることで、(従動ローラ722のスライド力)が小さいときでも(従動ローラ722のスライド力)>(第1カム部81aが傾斜面20a1を摺動する負荷)の関係を満たし易くすることができ、これにより、ベルト71が微小でも従動回転軸線方向Mにおける一方側に片寄ってしまうことを補正することができる。
【0065】
本実施の形態において、第1カム部81a及び第2カム部20aのうちの一方のカム部(この例では第2カム部20a)の対向面が駆動ローラ721の回転軸線β(
図2参照)に対して傾斜する傾斜面20a1とされている。
【0066】
こうすることで、従動ローラ722を揺動させる構成を容易に実現させることができる。
【0067】
本実施の形態において、第1カム部81a及び第2カム部20aは、従動回転軸線方向Mにおける片側に設けられている。
【0068】
こうすることで、部品点数を少なくすることができ、これにより、ベルト装置70の構成を簡素化することができる。
【0069】
(第2実施形態)
図4A及び
図4Bは、それぞれ、第2実施形態に係るベルト装置70における従動ローラ722部分を手前側M1及び奥側M2から視た斜視図である。また、
図4Cは、
図4A及び
図4Bに示すベルト装置70を従動ローラ722側から視た側面図である。
【0070】
第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
第2実施形態に係るベルト装置70は、第1実施形態に係るベルト装置70において、奥側M2の支持部材20に設けていた第2カム部20aに代えて第2非カム部20bを設け、奥側M2の支持移動部材81に設けていた第1カム部81aに代えて第1非カム部81bを設け、さらに、手前側M1の支持部材20に設けていた第2非カム部20bに代えて第2カム部20aを設け、手前側M1の支持移動部材81に設けていた第1非カム部81bに代えて第1カム部81aを設けたものである。
【0072】
第2実施形態に係るベルト装置70では、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722の従動回転軸線方向Mにおける一方側(例えば奥側M2)への移動に伴い、支持移動部材81,81が従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2)に移動すると、他方側(例えば手前側M1)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって下に下がる。また、一方側(M2)では第1非カム部81bと第2非カム部20bの平坦面20b1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2非カム部20bの平坦面20b1によって一方側(M2)に移動する。これにより、従動ローラ722が他方側(M1)で下側に傾斜するように従動ローラ722を揺動させることができる。
【0073】
一方、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722の従動回転軸線方向Mにおける他方側(例えば手前側M1)への移動に伴い、支持移動部材81,81が従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1)に移動すると、他方側(M1)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって上に上がる。また、一方側(例えば奥側M2)では第1非カム部81bと第2非カム部20bの平坦面20b1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2非カム部20bの平坦面20b1によって他方側(M1)に移動する。これにより、従動ローラ722が他方側(M1)で上側に傾斜するように従動ローラ722を揺動させることができる。
【0074】
なお、手前側M1の支持部材20に第1カム部(直方体の角部)を設け、手前側M1の支持移動部材81に第2カム部(傾斜ガイド部)を設ける場合も、手前側M1の支持部材20に第2カム部20aを設け、手前側M1の支持移動部材81に第1カム部81aを設けた場合と同様の作用を得ることができる。
【0075】
(第3実施形態)
図5A及び
図5Bは、それぞれ、第3実施形態に係るベルト装置70における従動ローラ722部分を手前側M1及び奥側M2から視た斜視図である。また、
図4Cは、
図4A及び
図5Bに示すベルト装置70を従動ローラ722側から視た側面図である。
【0076】
第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と同じ構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
第3実施形態に係るベルト装置70は、第1カム部81a及び第2カム部20aを従動回転軸線方向Mにおける両側に設けたものである。
【0078】
第3実施の形態において、第1カム部81a及び第2カム部20aは、従動回転軸線方向Mにおける両側に設けられている。
【0079】
従動回転軸線方向Mにおける両側(M1,M2)に設けられた傾斜面20a1,20a1は、傾斜方向が互いに逆方向である。換言すれば、従動回転軸線方向Mにおいて一方側(M2又はM1)に設けられた傾斜面20a1の傾斜方向は、他方側(M1又はM2)に設けられた傾斜面20a1の傾斜方向とは逆方向である。
【0080】
こうすることで、従動回転軸線方向Mに移動する従動ローラ722の単位移動量当たりの従動ローラ722が揺動する揺動量を大きくすることができ、それだけ、傾斜面20a1の傾斜角度に対する従動ローラ722の移動量を小さくすることができる。
【0081】
第3実施形態に係るベルト装置70では、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722の従動回転軸線方向Mにおける一方側(例えば奥側M2)への移動に伴い、支持移動部材81,81が従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2)に移動すると、一方側(M2)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって上に上がる。また、他方側(例えば手前側M1)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって下に下がる。これにより、従動ローラ722が一方側(M2)で上側にかつ他方側(M1)で下側に傾斜するように従動ローラ722を揺動させることができる。
【0082】
一方、ベルト71の寄り力F1に対する反力F2による従動ローラ722の従動回転軸線方向Mにおける他方側(例えば手前側M1)への移動に伴い、支持移動部材81,81が従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1)に移動すると、一方側(例えば奥側M2)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって下に下がる。また、他方側(M1)において第1カム部81aと第2カム部20aの傾斜面20a1とが摺接する。そうすると、支持移動部材81が第2カム部20aの傾斜面20a1によって上に上がる。これにより、従動ローラ722が一方側(M2)で下側にかつ他方側(M1)で上側に傾斜するように従動ローラ722を揺動させることができる。
【0083】
なお、両側(M1,M2)の支持部材20,20に第1カム部(直方体の角部)を設け、両側(M1,M2)の支持移動部材81,81に第2カム部(傾斜ガイド部)を設ける場合も、両側(M1,M2)の支持部材20,20に第2カム部20aを設け、両側(M1,M2)の支持移動部材81,81に第1カム部81aを設けた場合と同様の作用を得ることができる。
【0084】
(第1実施形態から第3実施形態)
第1実施形態から第3実施形態において、従動ローラ722は、ベルト71を90度未満の角度で折り返すローラである。
【0085】
ところで、従動ローラ722がベルト71を90度未満の角度で折り返すローラである場合、例えば、従動ローラ722が駆動ローラ721に対向する位置にあるローラである場合、ベルト71が従動ローラ722で片寄り易い。
【0086】
この点、本実施の形態において、従動ローラ722がベルト71を90度未満の角度で折り返すローラであることで、ベルト71が従動ローラ722で片寄り易いところ、補正部80によりベルト71の片寄りを確実に補正することができ、しかも、ベルト71の片寄りを補正するにあたり、ベルト71の端部の破損を回避することができる。
【0087】
図6Aから
図6Cは、従動ローラ722の表面722aに設けられた多数の凹凸の例を示す斜視図である。
【0088】
第1実施形態から第3実施形態において、従動ローラ722の表面722aには多数の凹凸が形成されている。
【0089】
こうすることで、ベルト71と従動ローラ722との間で摩擦力を向上させることができる。これにより、ベルト71の従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)への寄り力F1に対する反力F2により従動ローラ722を従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)へ移動させ易くすることができる。
【0090】
ここで、多数の凹凸は、多数の突起722b~722bであってもよいし(
図6A参照)、多数の溝722c~722cであってもよい(
図6B、
図6C参照)。多数の突起722b~722bは、ランダムに形成されていてもよく(
図6A参照)、格子状に形成されていてもよいし、千鳥状に形成されていてもよい。また、多数の溝722c~722cは、周方向に沿って形成された横溝722c1~722c1であってもよいし(
図6B参照)、従動回転軸線方向Mに沿って形成された縦溝722c2~722c2であってもよい(
図6C参照)。
【0091】
図6Aに示すように、従動ローラ722の表面722aに多数の突起722b~722bが形成されていることで、多数の突起722b~722bの形成という簡単な加工で、ベルト71と従動ローラ722との間で摩擦力を向上させることができる。これにより、ベルト71の従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)への寄り力F1に対する反力F2により従動ローラ722を従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)へ移動させ易くすることができる。
【0092】
第1実施形態から第3実施形態において、従動ローラ722の表面722aには多数の溝722c~722cが形成されていることで、多数の溝722c~722cの形成という簡単な加工で、ベルト71と従動ローラ722との間で摩擦力を向上させることができる。これにより、ベルト71の従動回転軸線方向Mにおける一方側(M2又はM1)への寄り力F1に対する反力F2により従動ローラ722を従動回転軸線方向Mにおける他方側(M1又はM2)へ移動させ易くすることができる。
【0093】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0094】
100 画像形成装置
101 画像形成装置本体
19 1次転写ベルト装置
20 支持部材(ベルト装置本体側の部材の一例)
20a 第2カム部
20a1 傾斜面
20a11 内側端
20a12 外側端
20b 第2非カム部
20b1 平坦面
22 揺動軸
3 感光体ドラム
70 ベルト装置
70a ベルト装置本体
71 ベルト
71a 内面
71e 端部
72 ベルト張架ローラ
721 駆動ローラ
722 従動ローラ
722b 突起
722c 溝
722c1 横溝
722c2 縦溝
72a 回転軸
72b 胴部
74 付勢部材
80 補正部
81 支持移動部材
81a 第1カム部
81b 第1非カム部
81c 被係合部
82 揺動部
82a 揺動支持部材
82a1 貫通孔
82a2 スライド孔
82a3 取出孔
82b 軸受部材
82b1 挿通部
82b2 係合部
F1 寄り力
F2 反力
M 従動回転軸線方向
M1 手前側
M2 奥側
N 張架方向
N1 ベルト引張方向
R 周回移動方向
X 左右方向
Y 奥行方向
Z 上下方向
h 直交方向
α 回転軸線
β 回転軸線
γ 揺動軸線
δ 揺動軸線