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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172373
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E02F3/43 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090046
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】藤田 嗣人
(72)【発明者】
【氏名】野田 大輔
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
(57)【要約】
【課題】積込対象の外に積込物がこぼれるのを抑制することが可能な作業機械を提供する。
【解決手段】荷台71上に設定された旋回終了位置82にバケット33が位置するように上部旋回体22を旋回させる旋回動作を上部旋回体22に行わせるとともに、バケット33が保持する積込物をバケット33から放出させる放出動作をアタッチメント30に行わせる動作制御手段と、バケット33が保持する積込物の保持状況、および、動作制御手段による動作状況の少なくとも一方を作業状況として取得する取得手段と、旋回終了位置82よりも上部旋回体22の旋回方向の手前側に放出開始位置83を設定する設定手段と、を有する。動作制御手段は、旋回動作の最中に、バケット33が放出開始位置83に位置した際に、放出動作を開始させる。設定手段は、取得手段が取得した作業状況に基づいて、放出開始位置83を設定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、
前記上部旋回体に設けられ、積込物を保持することが可能な先端アタッチメントを備えたアタッチメントと、
積込対象上に設定された旋回終了位置に前記先端アタッチメントが位置するように前記上部旋回体を旋回させる旋回動作を前記上部旋回体に行わせるとともに、前記先端アタッチメントが保持する前記積込物を前記先端アタッチメントから放出させる放出動作を前記アタッチメントに行わせる動作制御手段と、
前記先端アタッチメントが保持する前記積込物の保持状況、および、前記動作制御手段による動作状況の少なくとも一方を作業状況として取得する取得手段と、
前記旋回終了位置よりも前記上部旋回体の旋回方向の手前側に放出開始位置を設定する設定手段と、
を有し、
前記動作制御手段は、前記旋回動作の最中に、前記先端アタッチメントが前記放出開始位置に位置した際に、前記放出動作を開始させ、
前記設定手段は、前記取得手段が取得した前記作業状況に基づいて、前記放出開始位置を設定することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記取得手段は、前記先端アタッチメントが保持する前記積込物の量を前記保持状況として取得することを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記先端アタッチメントは、バケットであり、
前記取得手段は、前記バケット内での前記積込物の偏り具合を前記保持状況として取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記取得手段は、前記上部旋回体の旋回速度を前記動作状況として取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項5】
前記取得手段は、前記旋回動作時の前記先端アタッチメントの高さを前記動作状況として取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項6】
前記先端アタッチメントは、前記上部旋回体の前後方向に回動可能なバケットであり、
前記取得手段は、前記放出動作時の前記バケットの回動速度を前記動作状況として取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットで保持した積込物を容器内に放出する作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械を自動運転して、ダンプトラックの荷台の上方の積込位置の方に上部旋回体を旋回させるとともに、上部旋回体が、積込位置よりも旋回方向手前側の排土開始方位を向くときに、バケットに排土を開始させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-33826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のものでは、バケット内の土砂の量や、バケット内での土砂の偏り具合によっては、荷台(積込対象)の外に土砂がこぼれる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、積込対象の外に積込物がこぼれるのを抑制することが可能な作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられ、積込物を保持することが可能な先端アタッチメントを備えたアタッチメントと、積込対象上に設定された旋回終了位置に前記先端アタッチメントが位置するように前記上部旋回体を旋回させる旋回動作を前記上部旋回体に行わせるとともに、前記先端アタッチメントが保持する前記積込物を前記先端アタッチメントから放出させる放出動作を前記アタッチメントに行わせる動作制御手段と、前記先端アタッチメントが保持する前記積込物の保持状況、および、前記動作制御手段による動作状況の少なくとも一方を作業状況として取得する取得手段と、前記旋回終了位置よりも前記上部旋回体の旋回方向の手前側に放出開始位置を設定する設定手段と、を有し、前記動作制御手段は、前記旋回動作の最中に、前記先端アタッチメントが前記放出開始位置に位置した際に、前記放出動作を開始させ、前記設定手段は、前記取得手段が取得した前記作業状況に基づいて、前記放出開始位置を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、積込対象上に設定された旋回終了位置に先端アタッチメントを位置させる旋回動作の最中に、旋回終了位置よりも上部旋回体の旋回方向の手前側の放出開始位置に先端アタッチメントが位置した際に、放出動作が開始される。そして、先端アタッチメントが保持する積込物の保持状況、および、動作制御手段による動作状況の少なくとも一方である作業状況に基づいて、放出開始位置が設定される。作業状況によって、先端アタッチメントからの積込物の放出の状況が変わる。よって、作業状況によって、積込対象の外に積込物がこぼれるのを抑制することができるような放出開始位置が変わる。そこで、作業状況に基づいて放出開始位置を設定する。これにより、積込対象の外に積込物がこぼれるのが抑制されるように放出開始位置を設定することができる。例えば、先端アタッチメントが保持する積込物の量が、積込物の保持状況として取得される。そして、先端アタッチメントが保持する積込物の量に基づいて、放出開始位置が設定される。先端アタッチメントが保持する積込物の量が多いほど、放出動作を開始したときに積込物がすぐに落ち始める。そして、放出開始位置が旋回終了位置から離れているほど、積込対象の外に積込物がこぼれやすくなる。そこで、先端アタッチメントが保持する積込物の量が多いほど、旋回終了位置の近くに放出開始位置を設定する。これにより、積込対象の外に積込物がこぼれるのを抑制することができる。また、例えば、上部旋回体の旋回速度が、動作制御手段による動作状況として取得される。そして、上部旋回体の旋回速度に基づいて、放出開始位置が設定される。上部旋回体の旋回速度が遅いほど、放出動作を開始したときに放出開始位置の真下の位置の近くに積込物が落ちる。そして、放出開始位置が旋回終了位置から離れているほど、積込対象の外に積込物がこぼれやすくなる。そこで、上部旋回体の旋回速度が遅いほど、旋回終了位置の近くに放出開始位置を設定する。これにより、積込対象の外に積込物がこぼれるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業機械の側面図である。
図2】作業機械の機能構成図である。
図3】作業機械およびダンプトラックの上面図である。
図4】作業状況と角度θとの関係を示す図である。
図5】バケットの側面図である。
図6】自動運転処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(作業機械の構成)
本実施形態による作業機械1は、作業機械1の側面図である図1に示すように、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械1は、先端アタッチメントで保持した積込物を積込対象に放出する作業を行う。本実施形態において、積込対象はダンプトラックの荷台であるが、土砂ピットなどであってもよい。また、本実施形態において、先端アタッチメントは、バケット33であるが、リフティングマグネットなどであってもよい。また、本実施形態において、積込物は土砂であるが、石や廃棄物(産業廃棄物など)、鉄屑などであってもよい。
【0011】
作業機械1は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0012】
下部走行体21は、作業機械1を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0013】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、アタッチメント30の先端部である先端アタッチメントであり、上部旋回体22の前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂(積込物)の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。バケット33は、土砂を保持することが可能である。
【0014】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。なお、シリンダ40は、電動シリンダであってもよい。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0015】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0016】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0017】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0018】
また、作業機械1は、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0019】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の現在の旋回角度である現在角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0020】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0021】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0022】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0023】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
また、作業機械1は、取得装置27を有している。取得装置27は、キャブ23の上に設けられている。本実施形態において、取得装置27はLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)である。取得装置27は、キャブ23の前方であってバケット33の内部が映り込むように走査方向が固定されている。なお、取得装置27は、アタッチメント30(特にブーム31)や上部旋回体22に設けられていてもよい。
【0025】
取得装置(取得手段)27は、バケット33が保持する土砂の保持状況を取得する。取得装置27は、取得装置27が取り付けられている位置からバケット33内の土砂までの距離を示す点群データ(三次元点群)を取得する。取得装置27が取得した点群データから、バケット33が保持する土砂の保持状況が特定される。ここで、保持状況は、バケット33が保持する土砂の量や、バケット33内での土砂の偏り具合である。
【0026】
なお、取得装置27はLiDARに限定されず、TOF(Time of flight)センサや、ステレオカメラなどであってもよい。
【0027】
(作業機械の機能構成)
作業機械1の機能構成図である図2に示すように、作業機械1は、コントローラ11と、記憶装置13と、を有している。
【0028】
記憶装置13は、例えば、コントローラ(設定手段)11によって設定された放出開始位置83(図3参照)を記憶する。詳細は後述する。
【0029】
コントローラ11には、角度センサ52が検出した、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度(姿勢)に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、ブーム傾斜角センサ61が検出した、ブーム31の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、アーム傾斜角センサ62が検出した、アーム32の姿勢に関する情報が入力される。また、コントローラ11には、バケット傾斜角センサ63が検出した、バケット33の姿勢に関する情報が入力される。
【0030】
また、コントローラ11には、取得装置27が取得した点群データが入力される。
【0031】
コントローラ11は、所定の自動運転動作を行うように、旋回装置25およびアタッチメント30を自動で動作させる。つまり、作業機械1は自動運転される。所定の自動運転動作は、具体的には、掘削、持ち上げ旋回、排土、復帰旋回を、この順番で繰り返す動作である。
【0032】
また、コントローラ(動作制御手段)11は、上部旋回体22を旋回させる旋回動作を上部旋回体22に行わせるとともに、バケット33が保持する土砂をバケット33から放出させる放出動作をアタッチメント30に行わせる。上記の「持ち上げ旋回」が、旋回動作に相当し、上記の「排土」が放出動作に相当する。
【0033】
作業機械1およびダンプトラック70の上面図を図3に示す。コントローラ(動作制御手段)11は、ダンプトラック70の荷台71から離れた掘削位置81において、バケット33に土砂を掘削させ、バケット33で土砂を保持させる。コントローラ(動作制御手段)11は、ダンプトラック70の荷台71上に設定された旋回終了位置82にバケット33が位置するように旋回動作を行わせる。
【0034】
また、コントローラ(設定手段)11は、旋回終了位置82よりも上部旋回体22の旋回方向の手前側に放出開始位置83を設定する。コントローラ(動作制御手段)11は、旋回動作の最中に、バケット33が放出開始位置83に位置した際に、放出動作を開始させる。
【0035】
旋回終了位置82よりも手前側の放出開始位置83で放出動作を開始させることで、自動運転のサイクルタイムを短縮することができる。しかし、バケット33内の土砂の量や、バケット33内での土砂の偏り具合などによっては、荷台71の外に土砂がこぼれる可能性がある。
【0036】
そこで、コントローラ(設定手段)11は、取得装置27やコントローラ11が取得した作業状況に基づいて、放出開始位置83を設定する。ここで、作業状況には、取得装置(取得手段)27が取得する保持状況と、コントローラ(取得手段)11が取得する動作状況とが含まれる。取得装置27が取得する保持状況は、上述のように、バケット33が保持する土砂の保持状況である。コントローラ11が取得する動作状況は、コントローラ(動作制御手段)11による上部旋回体22やアタッチメント30の動作状況であり、例えば、上部旋回体22の旋回速度、旋回動作時のバケット33の高さ、放出動作時のバケット33の回動速度である。
【0037】
ここで、図3に示すように、上部旋回体22の旋回中心から旋回終了位置82の方に延びる直線と、上部旋回体22の旋回中心から放出開始位置83の方に延びる直線とがなす角度をθとする。作業状況と角度θとの関係を図4に示す。
【0038】
取得装置(取得手段)27は、バケット33が保持する土砂の量を保持状況として取得する。具体的には、取得装置27は、バケット33が保持する土砂の体積を保持状況として取得する。コントローラ(設定手段)11は、バケット33が保持する土砂の量に基づいて、放出開始位置83を設定する。バケット33が保持する土砂の量が多いほど、放出動作を開始したときに土砂がすぐに落ち始める。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、つまり、角度θが大きいほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、バケット33が保持する土砂の量が多いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。つまり、バケット33が保持する土砂の量が多いほど(図4において作業状況が右側に移行するほど)、角度θを小さく設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0039】
なお、土砂の体積を土砂の量として取得する代わりに、または、これに加えて、土砂の質量を土砂の量として取得してもよい。本実施形態の作業機械1は、公知のペイロード機能を搭載している。ペイロード機能とは、バケット33に保持された土砂などの荷重を計測する機能である。
【0040】
また、取得装置(取得手段)27は、バケット33内での土砂の偏り具合を保持状況として取得する。コントローラ(設定手段)11は、バケット33内での土砂の偏り具合に基づいて、放出開始位置83を設定する。例えば、バケット33の側面図である図5に示すように、土砂90がバケット33の先端の方に偏っているほど、放出動作を開始したときに土砂90がすぐに落ち始める。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、つまり、角度θが大きいほど、荷台71の外に積込物がこぼれやすくなる。そこで、土砂90がバケット33の先端の方に偏っているほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。つまり、土砂90がバケット33の先端の方に偏っているほど(図4において作業状況が右側に移行するほど)、角度θを小さく設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0041】
また、例えば、上部旋回体22の旋回方向におけるバケット33の前側に土砂が偏っているほど、放出動作を開始したときに土砂がすぐに落ち始める。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、つまり、角度θが大きいほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、上部旋回体22の旋回方向におけるバケット33の前側に土砂が偏っているほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。つまり、上部旋回体22の旋回方向におけるバケット33の前側に土砂が偏っているほど(図4において作業状況が右側に移行するほど)、角度θを小さく設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0042】
また、コントローラ(取得手段)11は、上部旋回体22の旋回速度を動作状況として取得する。上部旋回体22の旋回速度は、角度センサ52が検出した旋回角度から算出される。コントローラ(設定手段)11は、上部旋回体22の旋回速度に基づいて、放出開始位置83を設定する。上部旋回体22の旋回速度が遅いほど、放出動作を開始したときに土砂が放出開始位置83の真下の位置の近くに落ちる。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、つまり、角度θが大きいほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、上部旋回体22の旋回速度が遅いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。つまり、上部旋回体22の旋回速度が遅いほど(図4において作業状況が右側に移行するほど)、角度θを小さく設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0043】
また、コントローラ(取得手段)11は、旋回動作時のバケット33の高さを動作状況として取得する。バケット33の高さは、傾斜角センサ60が検出したアタッチメント30の姿勢から求まる。コントローラ(設定手段)11は、旋回動作時のバケット33の高さに基づいて、放出開始位置83を設定する。旋回動作時のバケット33の高さが低いほど、放出動作を開始したときに土砂が放出開始位置83の真下の位置の近くに落ちる。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、つまり、角度θが大きいほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、旋回動作時のバケット33の高さが低いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。つまり、旋回動作時のバケット33の高さが低いほど(図4において作業状況が右側に移行するほど)、角度θを小さく設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0044】
また、コントローラ(取得手段)11は、放出動作時のバケット33の回動速度を動作状況として取得する。バケット33の回動速度は、バケット傾斜角センサ63が検出した加速度や回転角度から算出される。コントローラ(設定手段)11は、放出動作時のバケット33の回動速度に基づいて、放出開始位置83を設定する。放出動作時のバケット33の回動速度が速いほど、放出動作を開始したときに土砂が放出開始位置83の真下の位置の近くに落ちる。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、つまり、角度θが大きいほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、放出動作時のバケット33の回動速度が速いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。つまり、放出動作時のバケット33の回動速度が速いほど(図4において作業状況が右側に移行するほど)、角度θを小さく設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0045】
なお、保持状況として、バケット33が保持する土砂の量、および、バケット33内での土砂の偏り具合を例示したが、保持状況はこれらに限定されない。また、動作状況として、上部旋回体22の旋回速度、旋回動作時のバケット33の高さ、および、放出動作時のバケット33の回動速度を例示したが、動作状況はこれらに限定されない。本実施形態では、これら作業状況の1つ以上に基づいて、放出開始位置83が設定される。
【0046】
(作業機械の動作)
次に、自動運転処理のフローチャートである図6を参照して、作業機械1の動作を説明する。
【0047】
まず、コントローラ11は、作業機械1に掘削を行わせる(ステップS1)。これにより、バケット33内に土砂が保持される。次に、コントローラ11は、作業機械1に持ち上げ旋回を開始させる(ステップS2)。これにより、上部旋回体22が旋回終了位置82に向かって旋回を開始する。
【0048】
次に、コントローラ11は、作業状況を取得する(ステップS3)。作業状況として、保持状況および動作状況の少なくとも一方が取得される。そして、コントローラ11は、取得した作業状況に基づいて、放出開始位置83を設定する(ステップS4)。
【0049】
次に、コントローラ11は、バケット33が放出開始位置83に達したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、バケット33が放出開始位置83に達していないと判定した場合には(S5:NO)、コントローラ11は、ステップS5を繰り返す。一方、ステップS5において、バケット33が放出開始位置83に達したと判定した場合には(S5:YES)、コントローラ11は、作業機械1に排土を開始させる(ステップS6)。
【0050】
次に、コントローラ11は、バケット33が旋回終了位置82に達したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において、バケット33が旋回終了位置82に達していないと判定した場合には(S7:NO)、コントローラ11は、ステップS7を繰り返す。一方、ステップS7において、バケット33が旋回終了位置82に達したと判定した場合には(S7:YES)、コントローラ11は、作業機械1に持ち上げ旋回を終了させる(ステップS8)。
【0051】
次に、コントローラ11は、作業機械1に排土を終了させ(ステップS9)、作業機械1に復帰旋回を行わせる(ステップS10)。そして、ステップS1に戻る。
【0052】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業機械1によれば、ダンプトラック70の荷台71上に設定された旋回終了位置82にバケット33を位置させる旋回動作の最中に、旋回終了位置82よりも上部旋回体22の旋回方向の手前側の放出開始位置83にバケット33が位置した際に、放出動作が開始される。そして、バケット33が保持する土砂の保持状況、および、コントローラ(動作制御手段)11による動作状況の少なくとも一方である作業状況に基づいて、放出開始位置83が設定される。作業状況によって、バケット33からの土砂の放出の状況が変わる。よって、作業状況によって、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができるような放出開始位置83が変わる。そこで、作業状況に基づいて放出開始位置83を設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのが抑制されるように放出開始位置83を設定することができる。
【0053】
また、バケット33が保持する土砂の量が保持状況として取得される。そして、バケット33が保持する土砂の量に基づいて、放出開始位置83が設定される。バケット33が保持する土砂の量が多いほど、放出動作を開始したときに土砂がすぐに落ち始める。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、バケット33が保持する土砂の量が多いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0054】
また、バケット33内での土砂の偏り具合が保持状況として取得される。そして、バケット33内での土砂の偏り具合に基づいて、放出開始位置83が設定される。例えば、土砂がバケット33の先端の方に偏っているほど、放出動作を開始したときに土砂がすぐに落ち始める。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、土砂がバケット33の先端の方に偏っているほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0055】
また、上部旋回体22の旋回速度が動作状況として取得される。そして、上部旋回体22の旋回速度に基づいて、放出開始位置83が設定される。上部旋回体22の旋回速度が遅いほど、放出動作を開始したときに放出開始位置83の真下の位置の近くに土砂が落ちる。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、上部旋回体22の旋回速度が遅いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0056】
また、旋回動作時のバケット33の高さが動作状況として取得される。そして、旋回動作時のバケット33の高さに基づいて、放出開始位置83が設定される。旋回動作時のバケット33の高さが低いほど、放出動作を開始したときに放出開始位置83の真下の位置の近くに土砂が落ちる。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、旋回動作時のバケット33の高さが低いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0057】
また、放出動作時のバケット33の回動速度が動作状況として取得される。そして、放出動作時のバケット33の回動速度に基づいて、放出開始位置83が設定される。放出動作時のバケット33の回動速度が速いほど、放出動作を開始したときに放出開始位置83の真下の位置の近くに土砂が落ちる。そして、放出開始位置83が旋回終了位置82から離れているほど、荷台71の外に土砂がこぼれやすくなる。そこで、放出動作時のバケット33の回動速度が速いほど、旋回終了位置82の近くに放出開始位置83を設定する。これにより、荷台71の外に土砂がこぼれるのを抑制することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 作業機械
11 コントローラ(動作制御手段、取得手段、設定手段)
13 記憶装置
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
27 取得装置(取得手段)
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
70 ダンプトラック
71 荷台(積込対象)
73,75 スペース
81 掘削位置
82 旋回終了位置
83 放出開始位置
90 土砂(積込物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6