(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172375
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】横編機
(51)【国際特許分類】
D04B 15/12 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
D04B15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090048
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】古川 航一
(72)【発明者】
【氏名】北原 健治
(72)【発明者】
【氏名】後藤 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】島崎 宜紀
【テーマコード(参考)】
4L054
【Fターム(参考)】
4L054AA01
4L054AB02
4L054KA33
(57)【要約】
【課題】ニードルベッド及びベッド状部材の駆動における誤差による部材同士の衝突を回避することができる横編機を提供する。
【解決手段】前後のニードルベッド110を長手方向へ相対的に移動させるための駆動力を生じさせる第一駆動源10と、ニードルベッド110に対して相対的に移動可能に設けられたベッド状部材140と、ベッド状部材140を移動させるための駆動力を生じさせる第二駆動源30とを具備し、第二駆動源30はニードルベッド110と連結され、制御部160は、第一駆動源10を駆動させることにより、ニードルベッド110を移動可能であるとともにニードルベッド110の移動に伴う第二駆動源30の移動に伴って、ベッド状部材140をニードルベッド110と一体的に移動可能であり、第二駆動源30を駆動させることにより、ニードルベッド110に対してベッド状部材140を相対的に移動可能である横編機100とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後に対峙する少なくとも2枚のニードルベッドと、
前記ニードルベッドと連結され、前後の前記ニードルベッドを長手方向へ相対的に移動させるための駆動力を生じさせる第一駆動源と、
前記ニードルベッドに対して相対的に移動可能に設けられたベッド状部材と、
前記ベッド状部材と連結され、前記ベッド状部材を移動させるための駆動力を生じさせる第二駆動源と、
前記第一駆動源及び前記第二駆動源の動作を制御可能な制御部と、
を具備し、
前記第二駆動源は、前記ニードルベッドと連結され、
前記制御部は、
前記第一駆動源を駆動させることにより、前記ニードルベッドを移動可能であるとともに、前記ニードルベッドの移動に伴う前記第二駆動源の移動に伴って、前記ベッド状部材を前記ニードルベッドと一体的に移動可能であり、
前記第二駆動源を駆動させることにより、前記ニードルベッドに対して前記ベッド状部材を相対的に移動可能である、
横編機。
【請求項2】
前記ベッド状部材の前記ニードルベッドに対する相対移動可能な範囲は、前記ニードルベッドの相対移動可能な範囲よりも小さい、
請求項1に記載の横編機。
【請求項3】
前記ニードルベッドに沿って延びるように形成され、前記ニードルベッドと前記第一駆動源とを連結する連結部材を具備し、
前記第二駆動源は、前記連結部材と連結される、
請求項1又は請求項2に記載の横編機。
【請求項4】
前記第二駆動源は、前記ニードルベッドよりも上方、かつ、前記ベッド状部材の側方に配置される、
請求項1又は請求項2に記載の横編機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードルベッド及びニードルベッドに対して相対的に移動可能に設けられたベッド状部材を具備する横編機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニードルベッドを具備する横編機の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、歯口を挟んで前後に対峙する少なくとも2枚のニードルベッドを備え、ニードルベッド上に多数の編針が進退動自在に配列された横編機が開示されている。このような横編機において、前後に対峙する少なくとも2枚のニードルベッドは相対的に移動(ラッキング)可能に構成される。また、ニードルベッドとは別にループプレッサーやトランスファージャックなどの補助床(ベッド状部材)が設けられる場合がある。これらの各ベッドを個別に駆動させることが考えられるが、各ベッドの駆動における誤差(応答性の差や停止位置の誤差)が要因となって部材同士の衝突や編地編成への支障が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ニードルベッド及びベッド状部材の駆動における誤差による部材同士の衝突や編地編成への支障の発生を回避することができる横編機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明に係る横編機は、前後に対峙する少なくとも2枚のニードルベッドと、前記ニードルベッドと連結され、前後の前記ニードルベッドを長手方向へ相対的に移動させるための駆動力を生じさせる第一駆動源と、前記ニードルベッドに対して相対的に移動可能に設けられたベッド状部材と、前記ベッド状部材と連結され、前記ベッド状部材を移動させるための駆動力を生じさせる第二駆動源と、前記第一駆動源及び前記第二駆動源の動作を制御可能な制御部と、を具備し、前記第二駆動源は、前記ニードルベッドと連結され、前記制御部は、前記第一駆動源を駆動させることにより、前記ニードルベッドを移動可能であるとともに、前記ニードルベッドの移動に伴う前記第二駆動源の移動に伴って、前記ベッド状部材を前記ニードルベッドと一体的に移動可能であり、前記第二駆動源を駆動させることにより、前記ニードルベッドに対して前記ベッド状部材を相対的に移動可能であるものである。
このように構成することにより、ニードルベッド及びベッド状部材の駆動における誤差による部材同士の衝突を回避することができる。
【0008】
また、前記ベッド状部材の前記ニードルベッドに対する相対移動可能な範囲は、前記ニードルベッドの相対移動可能な範囲よりも小さくてもよい。
このように構成することにより、ニードルベッドに対してベッド状部材を相対的に移動させる際に、ベッド状部材が他の部材と衝突したり編地編成に支障が生じるのを回避することができる。
【0009】
また、前記ニードルベッドに沿って延びるように形成され、前記ニードルベッドと前記第一駆動源とを連結する連結部材を具備し、前記第二駆動源は、前記連結部材と連結されるようにしてもよい。
このように構成することにより、第二駆動源を連結部材を介してニードルベッドと連結させることができ、これにより第二駆動源の配置位置の自由度を向上させることができる。
【0010】
また、前記第二駆動源は、前記ニードルベッドよりも上方、かつ、前記ベッド状部材の側方に配置されるようにしてもよい。
このように構成することにより、第二駆動源のメンテナンス性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、ニードルベッド及びベッド状部材の駆動における誤差による部材同士の衝突や編地編成への支障の発生を回避することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態に係る横編機の構成を示した概略側面図。
【
図2】横編機の制御部及び駆動機構を示したブロック図。
【
図3】第一実施形態の駆動機構の配置位置を示す概略正面図。
【
図4】第一実施形態の駆動機構の各部材の連結の関係を示す模式図。
【
図5】第二実施形態の駆動機構の配置位置を示す概略正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る横編機100は、主としてニードルベッド110、キャリッジ120、糸道レール130、ループプレッサーベッド140、駆動機構150及び制御部160を具備する。
【0015】
ニードルベッド110は、歯口Sを挟んで前後に互いに対向するように配置されている。前後のニードルベッド110は、前後中央側(互いに対向する側)に向かうにつれて上方に傾斜するような側面視逆V字状に配置されている。各ニードルベッド110には、当該ニードルベッド110の長手方向(左右方向)に沿って多数の編針111が並ぶように設けられている。前後のニードルベッド110は、互いに編目の受け渡し(目移し)を行う際に、当該ニードルベッド110の長手方向へ相対的に移動することができる。
【0016】
キャリッジ120は、前後のニードルベッド110に対して上方から対向するように前後一対配置される。前後のキャリッジ120は、複数の糸道レール130を跨ぐように配置されたブリッジ120aにより連結されている。キャリッジ120は、サーボモータ(不図示)によって、ニードルベッド110の長手方向に沿って往復移動することができる。キャリッジ120には、ニードルベッド110の編針111を選択的に動作させるための選針機構(不図示)やカム機構(不図示)が設けられる。
【0017】
糸道レール130は、歯口Sの上方に、ニードルベッド110の長手方向に沿って延びるように複数配置される。糸道レール130には、編糸を給糸するヤーンキャリア(不図示)が移動可能となるように支持されている。
【0018】
ニードルベッド110の上方には、多数のループプレッサー141が歯口Sに対して進退動自在に支持されたループプレッサーベッド140が設けられている。ループプレッサーベッド140は、本発明の「ベッド状部材」の一例である。ループプレッサー141は、歯口S側に進出することにより、編目間に渡る糸やインレイ糸を押えることができ、編地や糸の浮き上がりを防ぐことができるように構成されている。
【0019】
ループプレッサーベッド140は、長手方向をニードルベッド110の長手方向へ向けて設けられる。ループプレッサーベッド140は、ニードルベッド110に対してニードルベッド110の長手方向に相対移動可能に設けられる。ニードルベッド110及びループプレッサーベッド140の移動は駆動機構150によって行われる。駆動機構150の構成については後述する。
【0020】
制御部160は、横編機100の動作を制御するものである。制御部160は、RAM、ROM、HDD等の記憶部や、CPU等の演算処理部等を具備する。制御部160は、前記サーボモータの動作を制御することで、ニードルベッド110の長手方向に沿ってキャリッジ120を往復移動させることができる。キャリッジ120は、往復移動する際、給糸対象のヤーンキャリアを連行する。この際、キャリッジ120に搭載されたカム機構(不図示)等により、編針111を歯口Sに対して進退させることで、ニット、タック、ミス等の編成動作と、前後のニードルベッド110間での編目の受け渡しを行うことができる。このようなキャリッジ120の往復移動を繰り返すことによって、編地が編成される。
【0021】
図2に示すように、制御部160は、駆動機構150の後述する第一駆動モータ11及び第二駆動モータ31と電気的に接続され、編成プログラムに基づいて第一駆動モータ11及び第二駆動モータ31の動作を適宜制御することができる。第一駆動モータ11及び第二駆動モータ31が動作することにより、ニードルベッド110及びループプレッサーベッド140を移動させることができる。
【0022】
ここで、ループプレッサー141は、側面視において、ニードルベッド110に設けられた図示せぬ可動シンカーと重複する位置に設けられ、平面視において可動シンカー間に設けられる。ループプレッサーベッド140のニードルベッド110に対する相対移動可能な範囲は、1ピッチ以内に設定されている。ここで、1ピッチは、隣接する編針111同士の間隔のニードルベッド110の長手方向における長さである。
【0023】
このように、ループプレッサーベッド140のニードルベッド110に対する相対移動可能な範囲は、ループプレッサー141と可動シンカーとが衝突しないように非常に短い距離に設定されている。しかしながら、仮にニードルベッド110及びループプレッサーベッド140の移動を個別で制御する場合、ニードルベッド110の駆動源及びループプレッサーベッド140の駆動源の応答性の差や、ニードルベッド110及びループプレッサーベッド140それぞれの停止位置の誤差が積算されることによって、ループプレッサー141が可動シンカーに衝突するおそれがあった。そこで、本実施形態に係る横編機100においては、駆動機構150によって、ループプレッサーベッド140はニードルベッド110と一体的に移動可能に構成されている。
【0024】
次に、
図3及び
図4を用いて、駆動機構150の構成について説明する。なお、
図3及び後述する
図5においては、各部材の明確化のために、ニードルベッド110及びループプレッサーベッド140にハッチングを施している。
【0025】
駆動機構150は、ニードルベッド110及びループプレッサーベッド140を長手方向へ移動させるためのものである。本実施形態において、駆動機構150は、前側のニードルベッド110及びループプレッサーベッド140に対して1つ、後側のニードルベッド110及びループプレッサーベッド140に対して1つ設けられる。駆動機構150は、主として第一駆動源10、第一摺動板20、第二駆動源30及び第二摺動板40を具備する。
【0026】
第一駆動源10は、ニードルベッド110を長手方向へ相対的に移動させるための駆動力を生じさせるものである。第一駆動源10は、ニードルベッド110の本体ベッド112(
図3参照)の内部に配置される。第一駆動源10は、第一駆動モータ11及びボールねじ12を具備し、第一駆動モータ11が駆動するとボールねじ12が回転し、ボールねじ12に螺合するナット13がニードルベッド110の長手方向に直線移動するように設けられている。
【0027】
第一摺動板20は、長手の板状部材であり、長手方向をニードルベッド110の長手方向に向けて、ニードルベッド110の本体ベッド112に沿って延びるように設けられる。第一摺動板20の一端は、ニードルベッド110の一端(
図3では右端)と連結される。第一摺動板20の長手方向中途部には、中間部材50を介して第一駆動源10のボールねじ12に螺合するナット13が連結される。
【0028】
こうして、第一摺動板20は、ニードルベッド110と第一駆動源10のボールねじ12とを連結する。これにより、第一駆動モータ11を駆動させると、ニードルベッド110を長手方向へ移動させることができる。第一摺動板20は、本発明の「連結部材」の一例である。
【0029】
第二駆動源30は、ループプレッサーベッド140を移動させるための駆動力を生じさせるものである。第二駆動源30は、ニードルベッド110の本体ベッド112の内部に配置される。第二駆動源30は、第二駆動モータ31及びボールねじ32を具備し、第二駆動モータ31が駆動するとボールねじ32が回転し、ボールねじ32に螺合するナット33がニードルベッド110の長手方向に直線移動するように設けられている。第二駆動源30はハウジング(不図示)に収容され、当該ハウジングは中間部材60を介して第一摺動板20と連結される。第二駆動源30は、第一摺動板20の長手方向中途部で第一摺動板20と連結される。
【0030】
こうして、第二駆動源30は、第一摺動板20等を介してニードルベッド110と連結される。
【0031】
第二摺動板40は、長手の板状部材であり、長手方向をニードルベッド110の長手方向に向けて、ニードルベッド110の本体ベッド112に沿って延びるように設けられる。第二摺動板40は、第一摺動板20よりも上方に設けられる。第二摺動板40の一端は、適宜の部材を介してループプレッサーベッド140の一端(
図3では右端)と連結される。第二摺動板40の長手方向中途部には、中間部材70を介して第二駆動源30のボールねじ32に螺合するナット33が連結される。
【0032】
こうして、第二摺動板40は、ループプレッサーベッド140と第二駆動源30のボールねじ32とを連結する。これにより、第二駆動モータ31を駆動させると、ループプレッサーベッド140を長手方向に移動させることができる。
【0033】
次に、ニードルベッド110及びループプレッサーベッド140の移動の態様について説明する。
【0034】
制御部160が第一駆動源10の第一駆動モータ11を駆動させると、ボールねじ12の回転運動が直線運動に変換され、ボールねじ12に連結された第一摺動板20が左右方向に移動する。第一摺動板20の移動に伴って、ニードルベッド110が左右方向に移動するとともに、第一摺動板20と連結されたハウジング及び当該ハウジングに収容される第二駆動源30が左右方向に移動する。第二駆動源30の移動に伴って、第二駆動源30と連結された第二摺動板40が左右方向に移動し、第二摺動板40の移動に伴ってループプレッサーベッド140が左右方向に移動する。
【0035】
こうして、第二駆動源30とニードルベッド110とが連結されることにより、第一駆動源10を駆動させると、ニードルベッド110とループプレッサーベッド140とを一体的に移動させることができる。第二駆動源30は、ニードルベッド110に対して直接的に連結されるのではなく、第一摺動板20等を介して連結される。このため、第二駆動源30の配置位置の自由度を向上させることができ、例えば本実施形態のように第二駆動源30をニードルベッド110下の空間に内包することができ、機構のコンパクト化を図ることができる。
【0036】
一方、制御部160が第二駆動源30の第二駆動モータ31を駆動させると、ボールねじ32の回転運動が直線運動に変換され、ボールねじ32に連結された第二摺動板40が左右方向に移動する。第二摺動板40の移動に伴って、ループプレッサーベッド140が左右方向に移動する。
【0037】
こうして、第二駆動源30を駆動させると、ループプレッサーベッド140をニードルベッド110に対して相対的に移動させることができる。
【0038】
制御部160は、編成プログラムに基づいて、第一駆動源10及び第二駆動源30を選択的に駆動させることができる。
【0039】
制御部160は第一駆動源10を駆動させることにより、第二駆動源30を駆動させなくてもループプレッサーベッド140をニードルベッド110と一体的に移動させることができる。ループプレッサーベッド140とニードルベッド110との一体的な移動によって、応答性の差や停止位置の誤差の影響を低減できる。このため、ループプレッサー141が可動シンカー等の他の部材に衝突するのを回避することができる。
【0040】
一方、制御部160は第二駆動源30を駆動させることにより、ニードルベッド110に対するループプレッサーベッド140の相対位置を調整することができる。これにより、歯口S側に進出したループプレッサー141が対向側のニードルベッド110に設けられた可動シンカー等の部材と干渉するのを回避することができる。
【0041】
具体的には、前後のニードルベッド110の位置関係、及びニードルベッド110に対するループプレッサーベッド140の位置関係によっては、前後のループプレッサー141同士が対向する位置にあって片側のループプレッサー141しか進出できない場合や、ループプレッサー141が対向側の可動シンカーと対向する位置にあってループプレッサー141を歯口S側に進出させるとループプレッサー141が対向側の可動シンカーに干渉する場合がある。こうした場合に、ニードルベッド110に対するループプレッサーベッド140の相対位置を調整することによって、ループプレッサー141を他の部材に干渉することなく歯口S側に進出させることができる。
【0042】
次に、
図5を用いて、本発明の第二実施形態に係る横編機200の構成について説明する。以下では、第一実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
第二実施形態に係る横編機200は、駆動機構150に代えて駆動機構170を具備し、駆動機構170は第二駆動源30に代えて第二駆動源80を具備している。また、第一実施形態において第二駆動源30は第二摺動板40を介してループプレッサーベッド140と連結されているのに対し、第二実施形態において第二駆動源80はループプレッサーベッド140に対して直接連結されている。第二駆動源80は、ニードルベッド110よりも上方、かつ、ループプレッサーベッド140の側方(右方)に配置される。第二駆動源80は、第二駆動モータ81、ボールねじ82及びループプレッサーベッド140が直線状となるように配置される。第二駆動源80のボールねじ82に螺合するナット83は、ループプレッサーベッド140の一端と連結される。第二駆動源80の第二駆動モータ81は、第二駆動モータ81を支持するベース部材等の中間部材90を介して第一摺動板20と連結されている。
【0044】
第一実施形態に係る横編機100と同様に第二実施形態に係る横編機200においても、制御部160は、第一駆動源10を駆動させることにより、ループプレッサーベッド140をニードルベッド110と一体的に移動させることができる。一方、制御部160は、第二駆動源80を駆動させることにより、ニードルベッド110に対してループプレッサーベッド140を相対的に移動させることができる。
【0045】
第二実施形態においては、第二駆動源80がニードルベッド110よりも上方かつループプレッサーベッド140の側方に配置されることにより、第二駆動源80のメンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0047】
例えば、第一実施形態においては、第一駆動源10とニードルベッド110とは第一摺動板20等を介して連結され、第二駆動源30とループプレッサーベッド140とは第二摺動板40等を介して連結されるものとしたが、各部材は直接的に連結されてもよい。
【0048】
また、各実施形態においては、本発明のベッド状部材はループプレッサーベッド140であるものとしたが、これに限定されず、例えば前後のニードルベッド110の間で目移しを行うためのトランスファージャックが設けられたトランスファージャックベッドであってもよい。
【0049】
また、本発明のベッド状部材は、編目作成時にシンカーループを押えるためのシンカー(固定シンカー又は可動シンカー)が設けられたシンカーベッドであってもよい。具体的には、通常、シンカーはニードルベッド110に設けられるが、シンカーをニードルベッド110とは別のシンカーベッドに設け、シンカーベッドをニードルベッド110に対して相対的に移動可能に設けてもよい。この場合、ニードルベッド110に設けられた編針111は、側面視において、シンカーベッドに設けられたシンカーと重複する位置に設けられ、平面視においてシンカー間に設けられる。以下、ベッド状部材がシンカーベッドであるときの効果について説明する。
【0050】
編針111がべら針である場合、針本体の片側に設けた羽根(薄板)の間に対向側の編針111を挿通させて目移しを行うが、羽根の分だけ編針111はシンカー間の中央よりも少しずれた状態で配置される。このため形成される編目は左右対称にならない。
【0051】
そこで、シンカーベッドをニードルベッド110の上方又は下方に設け、シンカーベッドをニードルベッド110に対して相対的に移動可能とすることにより、編針111がシンカー間の中央に位置するようにシンカーベッドを相対移動させることができる。これにより、左右均等な編目を形成することができるようになる。
【0052】
また、本発明のベッド状部材は、対向側のニードルベッド110であってもよい。また、横編機100,200が2段の前後のニードルベッド110を備える4枚ベッド機である場合、本発明のベッド状部材は上段のニードルベッド110であってもよく、上段のニードルベッド110に相対移動可能に設けられたループプレッサーベッドであってもよく、上段のニードルベッド110及びループプレッサーベッドの両方であってもよい。
【0053】
また、各実施形態においては、ループプレッサーベッド140のニードルベッド110に対する相対移動可能な範囲は1ピッチ以内に設定されているものとしたが、本発明のベッド状部材の種類に応じて任意の値とすることができ、例えばベッド状部材のニードルベッド110に対する相対移動可能な範囲は、ニードルベッド110の相対移動可能な範囲よりも小さく設定されていればよい。
【0054】
例えば、本発明のベッド状部材がトランスファージャックベッドである場合、トランスファージャックベッドに設けられたトランスファージャックは側面視においてニードルベッド110に設けられた編針111と重複しないため、トランスファージャックベッドを長手方向に相対移動させてもニードルベッド110と交差しない。ここで、ニードルベッド110の移動のための機構とトランスファージャックベッドの移動のための機構とは親子関係にあるため、トランスファージャックベッドの振り幅はニードルベッド110の振り幅に加算される形で実現される。このため、トランスファージャックベッドの相対移動可能な範囲を、ニードルベッド110の相対移動可能な範囲よりも小さく設定しても、トランスファージャックベッドの振り幅を確保することができる。本発明のベッド状部材が、対向側のニードルベッド110である場合、横編機100,200が4枚ベッド機である場合の上段のニードルベッド110である場合も同様である。
【符号の説明】
【0055】
10 第一駆動源
20 第一摺動板
30,80 第二駆動源
100,200 横編機
110 ニードルベッド
140 ループプレッサーベッド
150,170 駆動機構
160 制御部