(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172376
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20241205BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E02F3/43 B
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090050
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】野田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大野 洋平
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003AC09
2D003AC10
2D003BA02
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA04
(57)【要約】
【課題】容器全体に偏りなく積込物を積み込むことが可能な作業機械を提供する。
【解決手段】コントローラは、土砂を荷台71内に放出した際に上面視において土砂が荷台71内に広がる面積が互いに異なる複数種類の放出動作をアタッチメント30に行わせることが可能である。コントローラは、荷台71内の状況に応じて、放出動作の種類を変更する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体と、
前記機械本体に設けられ、積込物を保持することが可能なバケットを備えたアタッチメントと、
前記バケットで前記積込物を保持する保持動作と、前記バケットが保持する前記積込物を容器内に放出する放出動作とを交互に繰り返すように、前記アタッチメントを自動で動作させるコントローラと、
を有し、
前記コントローラは、前記積込物を前記容器内に放出した際に上面視において前記積込物が前記容器内に広がる面積が互いに異なる複数種類の前記放出動作を前記アタッチメントに行わせることが可能であり、
前記コントローラは、前記容器内の状況に応じて、前記放出動作の種類を変更することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
複数種類の前記放出動作には、前記機械本体に対して前記バケットの一部の位置を前記アタッチメントの長手方向に固定しながら、前記積込物を放出する前記放出動作が含まれることを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
複数種類の前記放出動作には、前記アタッチメントの長手方向に前記バケットを移動させながら、前記積込物を放出する前記放出動作が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記容器内の状況を取得する状況取得装置を有し、
前記コントローラは、前記状況取得装置が取得した前記容器内の状況に基づいて、前記放出動作の種類を変更することを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記状況取得装置は、次の前記放出動作で前記積込物が放出される前記容器内のスペースの上面視における面積を、前記容器内の状況として取得することを特徴とする請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記容器内に積み込まれる前記積込物の目標形状を設定する形状設定手段を有し、
前記状況取得装置は、現時点で前記容器内に積み込まれた前記積込物の形状を、前記容器内の状況として取得し、
前記コントローラは、前記状況取得装置が取得した前記積込物の形状と、前記目標形状とに基づいて、前記放出動作の種類を変更することを特徴とする請求項4に記載の作業機械。
【請求項7】
前記容器内の状況を推定する推定手段を有し、
前記コントローラは、前記推定手段が推定した前記容器内の状況に基づいて、前記放出動作の種類を変更することを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記保持動作と前記放出動作とを繰り返す目標回数を設定する回数設定手段を有し、
前記推定手段は、現時点で前記保持動作と前記放出動作とを繰り返した回数と、前記目標回数とに基づいて、前記容器内の状況を推定することを特徴とする請求項7に記載の作業機械。
【請求項9】
前記容器内に積み込まれる前記積込物の目標質量を設定する質量設定手段を有し、
前記推定手段は、現時点で前記容器内に積み込まれた前記積込物の質量と、前記目標質量とに基づいて、前記容器内の状況を推定することを特徴とする請求項7に記載の作業機械。
【請求項10】
前記容器内に積み込まれる前記積込物の目標体積を設定する体積設定手段を有し、
前記推定手段は、現時点で前記容器内に積み込まれた前記積込物の体積と、前記目標体積とに基づいて、前記容器内の状況を推定することを特徴とする請求項7に記載の作業機械。
【請求項11】
前記推定手段は、次の前記放出動作が行われる前記容器内の位置に基づいて、前記容器内の状況を推定することを特徴とする請求項7に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットで保持した積込物を容器内に放出する作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダンプトラックの荷台の前後方向に沿って設定された目標軌道に沿って土砂を排土するショベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の排土方法では、土質やバケットの開き具合によって、荷台の前後方向に土砂のばらつきが生じる。そのため、荷台(容器)全体に偏りなく土砂(積込物)を積み込むのは困難である。
【0005】
本発明の目的は、容器全体に偏りなく積込物を積み込むことが可能な作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、機械本体と、前記機械本体に設けられ、積込物を保持することが可能なバケットを備えたアタッチメントと、前記バケットで前記積込物を保持する保持動作と、前記バケットが保持する前記積込物を容器内に放出する放出動作とを交互に繰り返すように、前記アタッチメントを自動で動作させるコントローラと、を有し、前記コントローラは、前記積込物を前記容器内に放出した際に上面視において前記積込物が前記容器内に広がる面積が互いに異なる複数種類の前記放出動作を前記アタッチメントに行わせることが可能であり、前記コントローラは、前記容器内の状況に応じて、前記放出動作の種類を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、容器内の状況に応じて、放出動作の種類が変更される。放出動作の種類によって、上面視において積込物が容器内に広がる面積が異なる。よって、容器内の状況に応じて、放出動作の種類を変更することで、積込物が容器内に広がる面積を変えることができる。例えば、容器内の空きスペースの上面視における面積が、容器内の状況として取得される。この場合において、空きスペースの上面視における面積が小さい場合に、積込物を容器内に放出した際に上面視において積込物が容器内に広がる面積が小さい放出動作に、放出動作の種類が変更される。これにより、容器内の空きスペースに積込物を偏りなく積み込むことができる。このように、容器内の状況に応じて、放出動作の種類を変更することで、容器全体に偏りなく積込物を積み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】ダンプトラックの荷台内に土砂が積み込まれていく様子を示す図である。
【
図7】第1実施形態において、放出動作の種類が変更される例を示す図である。
【
図8】第1実施形態において、放出動作の種類が変更される別の例を示す図である。
【
図9】ダンプトラックの側面図であり、荷台に積み込まれている土砂の高さが目標形状よりも低い場合を示す図である。
【
図10】ダンプトラックの側面図であり、荷台の後側部分において、土砂の量が目標形状よりも少ない場合を示す図である。
【
図11】第1実施形態において、放出動作の種類が変更されるさらに別の例を示す図である。
【
図12】第2実施形態において、放出動作の種類が変更される例を示す図である。
【
図13】第2実施形態において、放出動作の種類が変更される別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
[第1実施形態]
(作業機械の構成)
本発明の第1実施形態による作業機械1は、作業機械1の側面図である
図1に示すように、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械1は、バケット33で保持した積込物を容器内に放出する作業を行う。本実施形態において、容器はダンプトラックの荷台であるが、土砂ピットなどであってもよい。また、本実施形態において、積込物は土砂であるが、石や廃棄物(産業廃棄物など)などであってもよい。
【0011】
作業機械1は、下部走行体21と上部旋回体22とを備えた機械本体24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0012】
下部走行体21は、作業機械1を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置25を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0013】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能(起伏可能)に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、アタッチメント30の先端部である先端アタッチメントであり、前後方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、土砂(積込物)の、掘削、均し、すくい、などの作業を行う部分である。バケット33は、土砂を保持することが可能である。
【0014】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0015】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0016】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0017】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0018】
また、作業機械1は、状況取得装置27を有している。状況取得装置27は、キャブ23の上に設けられている。本実施形態において、状況取得装置27はLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)である。状況取得装置27は、キャブ23の前方に走査方向が固定されている。なお、状況取得装置27は、アタッチメント30(特にブーム31)や上部旋回体22に設けられていてもよい。
【0019】
状況取得装置27は、ダンプトラックの荷台(容器)内の状況を取得する。状況取得装置27は、状況取得装置27が取り付けられている位置からダンプトラックの荷台内までの距離を示す点群データ(三次元点群)を取得する。状況取得装置27が取得した点群データから、荷台内の状況が特定される。ここで、荷台内の状況は、荷台のどこに土砂がどれくらい積み込まれているかを示すものである。
【0020】
なお、状況取得装置27はLiDARに限定されず、TOF(Time of flight)センサや、ステレオカメラなどであってもよい。
【0021】
(作業機械の機能構成)
作業機械1の機能構成図である
図2に示すように、作業機械1は、コントローラ11と、通信装置12と、記憶装置13と、を有している。
【0022】
通信装置12は、携帯端末90と通信可能である。携帯端末90は、作業現場にいる作業者により操作される端末であり、例えばタブレット端末である。なお、携帯端末90は、スマートフォン等であってもよい。
【0023】
記憶装置13は、ダンプトラックの荷台内に積み込まれる土砂の目標形状を記憶している。
【0024】
コントローラ11には、状況取得装置27が取得した点群データが入力される。
【0025】
コントローラ11は、所定の自動運転動作を行うように、旋回装置25およびアタッチメント30を自動で動作させる。つまり、作業機械1は自動運転される。所定の自動運転動作は、具体的には、掘削、持ち上げ旋回、排土、復帰旋回を、この順番で繰り返す動作である。
【0026】
また、コントローラ11は、バケット33で土砂を保持する保持動作と、バケット33が保持する土砂をダンプトラックの荷台内に放出する放出動作とを交互に繰り返すように、アタッチメント30を自動で動作させる。上記の「掘削」および「持ち上げ旋回」が、保持動作に相当し、上記の「排土」が放出動作に相当する。
【0027】
ここで、ダンプトラック70の荷台71内に土砂が積み込まれていく様子を
図3に示す。
図3に示す例では、放出動作は3回行われる。ここで、荷台71の長手方向と、アタッチメント30の長手方向とは平行である。つまり、作業機械1は、荷台71の後側部分(図中右側部分)に対向している。よって、作業機械1は、荷台71の長手方向に沿って排土位置を移動させていく。
【0028】
図3に示す例では、同じ種類の放出動作が3回行われる。この放出動作では、機械本体24に対してバケット33の基端部33aの位置がアタッチメント30の長手方向に固定されながら、基端部33aを中心にバケット33が回動される。基端部33aは、アーム32との接続部分である。1回目の放出動作では、荷台71の前側部分(図中左側部分)に土砂が積み込まれる。2回目の放出動作では、荷台71の中央部分に土砂が積み込まれる。3回目の放出動作では、荷台71の後側部分(図中右側部分)に土砂が積み込まれる。
【0029】
ここで、3回目の放出動作で土砂が積み込まれる荷台71内のスペース73の上面視における面積が、1回目および2回目の放出動作で土砂が積み込まれる荷台71内のスペースの上面視における面積Dよりも狭い場合を考える。この場合において、3回目の放出動作が、1回目および2回目の放出動作と同じ種類の放出動作であれば、3回目の放出動作で積み込まれた土砂が、2回目の放出動作で積み込まれた土砂の上に被さる。その結果、荷台71内の土砂の高さにばらつきが生じてしまう。
【0030】
そこで、本実施形態では、コントローラ11は、土砂を荷台71内に放出した際に上面視において土砂が荷台71内に広がる面積が互いに異なる複数種類の放出動作をアタッチメント30に行わせることが可能である。本実施形態では、3種類の放出動作をアタッチメント30に行わせることが可能であるが、放出動作の種類はこれに限定されない。
【0031】
3種類の放出動作を
図4から
図6に示す。
図4に示す放出動作は、アーム32との接続部分である基端部33aを中心にバケット33を回動させる動作である。この放出動作を、動作Aとする。動作Aは、機械本体24に対してバケット33の一部(基端部33a)の位置をアタッチメント30の長手方向に固定しながら、土砂を放出する動作である。動作Aで土砂が積み込まれる荷台71内のスペースの上面視における面積を面積Aとする。動作Aによれば、荷台71内の比較的狭い範囲に土砂を積み込むことができる。
【0032】
図5に示す放出動作は、バケット33を、まず、バケット33の開口面が鉛直になるように回動させ、その後、機械本体24に対する位置であって、バケット33の先端33bの前後方向の位置を維持しながら、バケット33の開口面が下を向くように、ブーム31、アーム32、および、バケット33を駆動させる動作である。ここで、前後方向とは、バケット33がアーム32に対して回動する方向である。この放出動作を、動作Bとする。動作Bは、機械本体24に対してバケット33の一部(先端33b)の位置をアタッチメント30の長手方向に固定しながら、土砂を放出する動作である。動作Bでは、バケット33の回動の初期から後期にわたって、土砂が放出される位置がほぼ同じになる。よって、動作Bによれば、荷台71の定点に土砂を積み込むことができる。動作Bで土砂が積み込まれる荷台71内のスペースの上面視における面積を面積Bとする。面積Bは、面積A(
図4参照)よりも狭い。
【0033】
図6に示す放出動作は、荷台71の長手方向に沿ってバケット33を移動させながら、バケット33を回動させる動作である。この放出動作を、動作Cとする。動作Cは、アタッチメント30の長手方向にバケット33を移動させながら、土砂を放出する動作である。ここで、
図6に示すように、荷台71の長手方向と、アタッチメント30の長手方向とは平行である。なお、荷台71の長手方向と、アタッチメント30の長手方向とが直交している場合には、荷台71の幅方向(長手方向に直交する方向)に沿ってバケット33を移動させながら、動作Cを行うことになる。動作Cで土砂が積み込まれる荷台71内のスペースの上面視における面積を面積Cとする。面積Cは、面積A(
図4参照)よりも広い。動作Cによれば、荷台71内の比較的広い範囲に土砂を積み込むことができる。
【0034】
コントローラ11は、荷台71内の状況に応じて、放出動作の種類を変更する。コントローラ11は、状況取得装置27が取得した荷台71内の状況に基づいて、放出動作の種類を変更する。
【0035】
放出動作の種類が変更される例を
図7に示す。
図7に示す例では、動作Aで、荷台71の前側部分(図中左側部分)に土砂が積み込まれ、その後、動作Aで、荷台71の中央部分に土砂が積み込まれている。この状況において、次の放出動作では、荷台71の後側部分(図中右側部分)に土砂が積み込まれる。荷台71の後側部分のスペース75は、次の放出動作で土砂が積み込まれるスペースである。スペース75の上面視における面積は、面積Aよりも狭く、面積B以上である。よって、スペース75に対して動作Aを行うと、荷台71の中央部分に積み込まれた土砂の上に土砂が被さり、荷台71内の土砂の高さにばらつきが生じてしまう。
【0036】
そこで、
図7に示す例では、状況取得装置27は、スペース75の上面視における面積を、荷台71内の状況として取得する。コントローラ11は、放出動作の種類を動作Aから動作Bに変更する。これにより、スペース75に対して動作Bが行われる。その結果、スペース75に土砂を偏りなく積み込むことができる。状況取得装置27で荷台71内の状況を直接取得することで、放出動作の種類を変更する判定を的確に行うことができる。
【0037】
なお、放出動作の種類が変更される別の例である
図8に示すように、スペース75の位置は、荷台71の後側部分に限定されず、荷台71の中央部分などであってもよい。この例では、動作Aで、荷台71の前側部分(図中左側部分)に土砂が積み込まれ、その後、動作Aで、荷台71の後側部分(図中右側部分)に土砂が積み込まれている。この状況において、次の放出動作では、荷台71の中央部分に土砂が積み込まれる。荷台71の中央部分のスペース75は、次の放出動作で土砂が積み込まれるスペースである。スペース75の上面視における面積は、面積Aよりも狭く、面積B以上である。この場合においても、コントローラ11は、放出動作の種類を動作Aから動作Bに変更する。これにより、スペース75に対して動作Bが行われる。
【0038】
なお、スペース75は、まだ土砂が積み込まれていない空スペースに限定されず、すでに土砂が積み込まれているが、他よりも土砂の高さが低いスペースなどであってもよい。
【0039】
ダンプトラック70の側面図である
図9、
図10に示すように、コントローラ(形状設定手段)11は、荷台71内に積み込まれる土砂の目標形状76を設定する。目標形状76は、記憶装置13に記憶される。状況取得装置27は、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の形状(現在形状77)を、荷台71内の状況として取得する。コントローラ11は、状況取得装置27が取得した現在形状77と、目標形状76とに基づいて、放出動作の種類を変更する。
【0040】
例えば、
図9に示すように、荷台71全体に見て、荷台71に積み込まれている土砂の高さが目標形状76よりも低い場合に、放出動作が動作Cに変更される。そして、荷台71全体に対して、動作Cが行われる。これにより、荷台71に積み込まれている土砂の形状を、目標形状76に近づけることができる。
【0041】
また、例えば、
図10に示すように、荷台71の後側部分(図中右側部分)において、土砂の量が目標形状76よりも少ない場合に、放出動作が動作Bに変更される。そして、荷台71の後側部分において、動作Bが行われる。これにより、荷台71に積み込まれている土砂の形状を、目標形状76に近づけることができる。
【0042】
上記の実施形態では、荷台71の長手方向と、アタッチメント30の長手方向とが平行である場合、つまり、作業機械1が、荷台71の後側部分に対向している場合について説明した。しかし、放出動作の種類が変更されるさらに別の例である
図11に示すように、荷台71の長手方向と、アタッチメント30の長手方向とが交差(直交)していてもよい。つまり、作業機械1が、荷台71の側面に対向していてもよい。この場合、作業機械1は、荷台71の幅方向(長手方向に直交する方向)に排土位置を移動させていく。そして、荷台71の幅方向の奥側に動作Aで土砂を積み込んだ結果、荷台71の幅方向の手前側のスペース78の上面視における面積が、面積Aよりも狭く、面積B以上である場合に、コントローラ11は、放出動作の種類を、動作Aから動作Bに変更する。そして、コントローラ11は、スペース78に対して動作Bを行う。これを、荷台71の長手方向に排土位置をずらしながら繰り返す。
【0043】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業機械1によれば、
図7、
図8に示すように、荷台71内の状況に応じて、放出動作の種類が変更される。放出動作の種類によって、上面視において土砂が荷台71内に広がる面積が異なる。よって、荷台71内の状況に応じて、放出動作の種類を変更することで、土砂が荷台71内に広がる面積を変えることができる。例えば、荷台71内の空きスペースの上面視における面積が、荷台71内の状況として取得される。この場合において、空きスペースの上面視における面積が小さい場合に、土砂を荷台71内に放出した際に上面視において土砂が荷台71内に広がる面積が小さい放出動作に、放出動作の種類が変更される。これにより、荷台71内の空きスペースに土砂を偏りなく積み込むことができる。このように、荷台71内の状況に応じて、放出動作の種類を変更することで、荷台71全体に偏りなく土砂を積み込むことができる。
【0044】
また、
図4、
図5に示すように、複数種類の放出動作には、機械本体24に対してバケット33の一部の位置をアタッチメント30の長手方向に固定しながら、土砂を放出する放出動作(動作A、動作B)が含まれる。このような放出動作によれば、荷台71内の比較的狭い範囲に土砂を積み込むことができる。
【0045】
また、
図6に示すように、複数種類の放出動作には、アタッチメント30の長手方向にバケット33を移動させながら、土砂を放出する放出動作(動作C)が含まれる。このような放出動作によれば、荷台71内の比較的広い範囲に土砂を積み込むことができる。
【0046】
また、状況取得装置27によって荷台71内の状況が取得される。荷台71内の状況を直接取得することで、放出動作の種類を変更する判定を的確に行うことができる。
【0047】
また、
図7、
図8に示すように、次の放出動作で土砂が放出される荷台71内のスペースの上面視における面積が、荷台71内の状況として取得される。そして、この面積に基づいて、放出動作の種類が変更される。例えば、次の放出動作で土砂が放出されるスペースの上面視における面積が小さい場合に、土砂を荷台71内に放出した際に上面視において土砂が荷台71内に広がる面積が小さい放出動作に、放出動作の種類が変更される。これにより、次の放出動作に対応するスペースに土砂を偏りなく積み込むことができる。
【0048】
また、
図9、
図10に示すように、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の形状が、荷台71内の状況として取得される。そして、取得された土砂の形状と、目標形状76とに基づいて、放出動作の種類が変更される。例えば、荷台71内に積み込まれる土砂の形状が、目標形状76に近づくように、放出動作の種類が変更される。この場合、荷台71内に積み込まれる土砂の形状を、目標形状76に近づけることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の作業機械101について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0050】
第1実施形態の作業機械1は、状況取得装置27を有していた。よって、コントローラ11は、荷台71内の状況を直接取得することができた。これに対して、本実施形態の作業機械101は、状況取得装置27を有していない。よって、コントローラ11は、荷台71内の状況を直接取得することができない。
【0051】
そこで、コントローラ(推定手段)11は、荷台71内の状況を推定する。コントローラ11は、自身が推定した荷台71内の状況に基づいて、放出動作の種類を変更する。
【0052】
放出動作の種類が変更される例を
図12に示す。
図12に示す例では、1回目の放出動作で、荷台71の前側部分(図中左側部分)に土砂が積み込まれ、2回目の放出動作で、荷台71の中央部分に土砂が積み込まれ、3回目の放出動作で、荷台71の後側部分(図中右側部分)に土砂が積み込まれる。ここで、1回目および2回目の放出動作として動作Aが行われた場合、3回目の放出動作で土砂が積み込まれるスペース79の上面視における面積が、面積Aよりも狭く、面積B以上となることが、過去の作業実績から類推される。
【0053】
コントローラ(回数設定手段)11は、保持動作と放出動作とを繰り返す目標回数を設定する。例えば、目標回数は、携帯端末90(
図2参照)からの指示によって設定される。
図12に示す例の場合、目標回数は3回である。コントローラ11は、現時点で保持動作と放出動作とを繰り返した回数と、目標回数とに基づいて、荷台71内の状況を推定する。例えば、現時点で保持動作と放出動作とを2回繰り返している場合、次の放出動作は3回目となる。そして、1回目および2回目の放出動作として動作Aが行われた場合、3回目の放出動作で土砂が積み込まれるスペース79の上面視における面積が推定される。推定されるスペース79の面積は、面積Aよりも狭く、面積B以上である。そこで、コントローラ11は、放出動作の種類を、動作Aから動作Bに変更する。そして、コントローラ11は、スペース79に対して動作Bを行う。これにより、スペース79に土砂を偏りなく積み込むことができる。
【0054】
このように、過去の作業実績を用いれば、保持動作と放出動作とを何回繰り返すと、荷台71内で土砂がどのような状況になるかがわかる。よって、現時点で保持動作と放出動作とを繰り返した回数から、荷台71内の状況を好適に推定することができる。そして、荷台71内の状況を推定することで、荷台71内の状況を直接取得可能な装置を用いなくても、放出動作の種類を好適に変更することができる。
【0055】
なお、コントローラ(質量設定手段)11は、目標回数を設定する代わりに、荷台71内に積み込まれる土砂の目標質量を設定してもよい。例えば、目標質量は、携帯端末90(
図2参照)からの指示によって設定される。ここで、本実施形態の作業機械101は、公知のペイロード機能を搭載している。ペイロード機能とは、バケット33に保持された土砂などの荷重を計測する機能である。バケット33に作用する荷重と、放出動作を行った回数とから、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量がわかる。
【0056】
コントローラ(推定手段)11は、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量と、目標質量とに基づいて、荷台71内の状況を推定する。例えば、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量と、目標質量との差がバケット1杯分の質量であれば、次の放出動作は最終回(3回目)であることがわかる。そして、1回目および2回目の放出動作として動作Aが行われた場合、3回目の放出動作で土砂が積み込まれるスペース79の上面視における面積が推定される。推定されるスペース79の面積は、面積Aよりも狭く、面積B以上である。そこで、コントローラ11は、放出動作の種類を、動作Aから動作Bに変更する。そして、コントローラ11は、スペース79に対して動作Bを行う。これにより、スペース79に土砂を偏りなく積み込むことができる。
【0057】
このように、過去の作業実績を用いれば、荷台71内に積み込まれた土砂の質量がどれくらいであれば、荷台71内で土砂がどのような状況になるかがわかる。よって、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量から、荷台71内の状況を好適に推定することができる。
【0058】
なお、ダンプトラック70の荷台71に作用する荷重から、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量を求めてもよい。この場合、ダンプトラック70と作業機械101との間で通信が行われる。
【0059】
また、コントローラ(体積設定手段)11は、目標回数や目標質量を設定する代わりに、荷台71内に積み込まれる土砂の目標体積を設定してもよい。例えば、目標体積は、携帯端末90(
図2参照)からの指示によって設定される。記憶装置13は、バケット33の容積を記憶する。バケット33の容積と、放出動作を行った回数とから、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積がわかる。
【0060】
コントローラ(推定手段)11は、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積と、目標体積とに基づいて、荷台71内の状況を推定する。例えば、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積と、目標体積との差がバケット1杯分の容積であれば、次の放出動作は最終回(3回目)であることがわかる。そして、1回目および2回目の放出動作として動作Aが行われた場合、3回目の放出動作で土砂が積み込まれるスペース79の上面視における面積が推定される。推定されるスペース79の面積は、面積Aよりも狭く、面積B以上である。そこで、コントローラ11は、放出動作の種類を、動作Aから動作Bに変更する。そして、コントローラ11は、スペース79に対して動作Bを行う。これにより、スペース79に土砂を偏りなく積み込むことができる。
【0061】
このように、過去の作業実績を用いれば、荷台71内に積み込まれた土砂の体積がどれくらいであれば、荷台71内で土砂がどのような状況になるかがわかる。よって、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積から、荷台71内の状況を好適に推定することができる。
【0062】
なお、本実施形態の作業機械101が、LiDARやTOFセンサ、ステレオカメラなどのセンサを備えている場合には、このセンサで荷台71内の土砂を撮像することで、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積を求めてもよい。
【0063】
また、放出動作の種類が変更される別の例である
図13に示すように、コントローラ(推定手段)11は、次の放出動作が行われる荷台71内の位置に基づいて、荷台71内の状況を推定する。
図13に示す例では、境界線80よりも荷台71の前側部分(図中左側部分)のスペースの上面視における面積は、面積Aよりも広い。また、境界線80よりも荷台71の後側部分(図中右側部分)のスペースの上面視における面積は、面積Aよりも狭く、面積B以上である。そこで、次の放出動作が行われる荷台71内の位置が、境界線80よりも荷台71の前側部分であれば、コントローラ11は、放出動作の種類を、動作Aに変更する。一方、次の放出動作が行われる荷台71内の位置が、境界線80よりも荷台71の後側部分であれば、コントローラ11は、放出動作の種類を、動作Bに変更する。これにより、境界線80よりも荷台71の後側部分に土砂を偏りなく積み込むことができる。
【0064】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る作業機械101によれば、荷台71内の状況が推定される。荷台71内の状況を推定することで、荷台71内の状況を直接取得可能な装置を用いなくても、放出動作の種類を好適に変更することができる。
【0065】
また、
図12に示すように、現時点で保持動作と放出動作とを繰り返した回数と、目標回数とに基づいて、荷台71内の状況が推定される。例えば、過去の作業実績を用いれば、保持動作と放出動作とを何回繰り返すと、荷台71内で土砂がどのような状況になるかがわかる。よって、現時点で保持動作と放出動作とを繰り返した回数から、荷台71内の状況を好適に推定することができる。
【0066】
また、
図12に示すように、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量と、目標質量とに基づいて、荷台71内の状況が推定される。例えば、過去の作業実績を用いれば、荷台71内に積み込まれた土砂の質量がどれくらいであれば、荷台71内で土砂がどのような状況になるかがわかる。よって、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の質量から、荷台71内の状況を好適に推定することができる。
【0067】
また、
図12に示すように、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積と、目標体積とに基づいて、荷台71内の状況が推定される。例えば、過去の作業実績を用いれば、荷台71内に積み込まれた土砂の体積がどれくらいであれば、荷台71内で土砂がどのような状況になるかがわかる。よって、現時点で荷台71内に積み込まれた土砂の体積から、荷台71内の状況を好適に推定することができる。
【0068】
また、
図13に示すように、次の放出動作が行われる荷台71内の位置に基づいて、荷台71内の状況が推定される。例えば、次の放出動作が行われる荷台71内の位置が、荷台71の端部であれば、その端部における荷台71内のスペースの上面視における面積は小さいと推定される。この場合に、土砂を荷台71内に放出した際に上面視において土砂が荷台71内に広がる面積が小さい放出動作に、放出動作の種類が変更される。これにより、荷台71の端部における荷台71内のスペースに土砂を偏りなく積み込むことができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0070】
1,101 作業機械
11 コントローラ(形状設定手段、推定手段、回数設定手段、質量設定手段、体積設定手段)
12 通信装置
13 記憶装置
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 機械本体
25 旋回装置
27 状況取得装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
33a 基端部
33b 先端
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
70 ダンプトラック
71 荷台
73,75 スペース
76 目標形状
77 現在形状
78,79 スペース
80 境界線
90 携帯端末