IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハナガタの特許一覧

<>
  • 特開-シュリンク包装体とその包装方法 図1
  • 特開-シュリンク包装体とその包装方法 図2
  • 特開-シュリンク包装体とその包装方法 図3
  • 特開-シュリンク包装体とその包装方法 図4
  • 特開-シュリンク包装体とその包装方法 図5
  • 特開-シュリンク包装体とその包装方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172392
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シュリンク包装体とその包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/08 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D71/08
B65D65/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090085
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135575
【氏名又は名称】株式会社ハナガタ
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】花方 敏之
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB99
3E067AC03
3E067AC12
3E067BA31B
3E067BA31C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB18B
3E067BB18C
3E067CA01
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB23
3E067EC28
3E067EE59
3E067FA04
3E067FB01
3E067FC01
3E086AA02
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD04
3E086AD16
3E086BA15
3E086BA33
3E086BB51
3E086BB67
(57)【要約】
【課題】重い液体入りペットボトルを複数集積結束して包装し、液体入りペットボトルの荷崩れを起こさず容易且つ安定に持ち運ぶことができるシュリンク包装体とその包装方法を提供する。
【解決手段】液体入り容器12を一方向に巻き回して集積結束して包装する熱収縮性の内側フィルム16と、内側フィルム16の外側を内側フィルム16に交差して巻き回して包装する熱収縮性の外側フィルム22を有する。複数の液体入り容器12がその中心軸を互いに平行にして、垂直方向に配置されて成る液体入り容器集合体14を有する。内側フィルム16は、液体入り容器12の中心軸方向に対して直角な方向に、液体入り容器集合体14の上面14aと下面14bの間の側面14c,14d,14eを一周して巻回されている。外側フィルム22は、液体入り容器集合体14の、上面14aと下面14bと、下面14bと上面14aの間に位置する一対の側面14c,14dとを一周している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液体入り容器を一方向に巻き回して集積結束する熱収縮性のシュリンクフィルムである内側フィルムと、前記内側フィルムの外側を前記内側フィルムに交差して巻き回して包装する熱収縮性のシュリンクフィルムである外側フィルムとが設けられ、
複数の前記液体入り容器がその中心軸を互いに平行に位置して、垂直方向に配置されて成る液体入り容器集合体が形成され、
前記液体入り容器集合体は、前記内側フィルムにより、前記液体入り容器の中心軸方向に対して直角な方向に一周して、前記液体入り容器集合体の上面と下面の間の4つの側面を巻き回して包装され、前記内側フィルムは、前記上面から離れた位置であって、前記上面とは反対の前記下面に近い位置にあり、
前記外側フィルムは、前記液体入り容器集合体の、前記上面と前記下面と、前記下面と前記上面の間に位置する一対の側面とを、一周して巻き回して設けられ、
前記内側フィルムと前記外側フィルムが前記液体入り容器に密着していることを特徴とするシュリンク包装体。
【請求項2】
前記内側フィルムと前記外側フィルムは、加熱により熱収縮されて密着している請求項1記載のシュリンク包装体。
【請求項3】
前記内側フィルムは、巻き方向に交差する幅が、前記液体入り容器の中心軸方向の長さよりも短く、前記液体入り容器の前記下面側に配置され、前記液体入り容器集合体の前記上面側は前記内側フィルムが設けられていない非包装部となり、
前記外側フィルムの、巻き方向に交差する幅は前記液体入り容器集合体の幅より長く、巻き回した状態で前記液体入り容器集合体の両側に筒状に突出し、熱収縮した状態で筒状の部分は、前記液体入り容器集合体の側面の側縁部に沿って折り曲げられ、前記外側フィルムが巻き回されていない一対の側面の周縁部に密着し、前記外側フィルムが巻き回されていない一対の前記側面の中央は、前記外側フィルムで覆われず開口部が形成され、
前記開口部の前記液体入り容器集合体の前記上面側に、前記非包装部が露出している請求項2記載のシュリンク包装体。
【請求項4】
前記開口部の周縁に位置する前記外側フィルムの端部には、前記外側フィルムよりも強度が高い熱収縮性の樹脂で作られたテープ部材から成る補強材が設けられている請求項3記載のシュリンク包装体。
【請求項5】
複数の液体入り容器を一方向に巻き回して集積結束する熱収縮性のシュリンクフィルムである内側フィルムと、前記内側フィルムの外側を前記内側フィルムに交差して巻き回して包装する熱収縮性のシュリンクフィルムである外側フィルムとを用いるシュリンク包装方法において、
複数の前記液体入り容器をその中心軸を互いに平行に位置して、垂直方向に配置されて成る液体入り容器集合体を形成し、
前記内側フィルムにより、前記液体入り容器の中心軸方向に対して直角な方向に、前記液体入り容器集合体を一周して、前記液体入り容器集合体の上面と下面の間の4つの側面を巻き回して包装し、前記内側フィルムの位置は、前記上面から離れた位置であって、前記上面とは反対の下面に近い位置にあり、
この後、前記外側フィルムにより、前記液体入り容器集合体の、前記上面と前記下面と、前記下面と前記上面の間に位置する一対の側面を一周して巻き回し、
前記内側フィルムと前記外側フィルムを加熱して熱収縮させ、前記内側フィルムと前記外側フィルムを前記液体入り容器集合体に密着させて包装することを特徴とするシュリンク包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のペットボトル等の液体入り容器をシュリンクフィルムで包装するシュリンク包装体とその包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の飲料はペットボトル等の液体入り容器に入れて販売され、ペットボトル等の液体入り容器は多数本を一体に梱包して効率的に販売する形態がある。例えば、液体入りペットボトルの運搬や陳列には、複数の同形状の液体入りペットボトルをシュリンクフィルムで包装するシュリンク包装体が使用されている。このようなシュリンク包装体は、図6に示すシュリンク包装体1がある。このシュリンク包装体1で包装する液体入りペットボトルの容量は、例えば500mlである。シュリンク包装体1は、複数の液体入りペットボトル12を、ペットボトルの筒体の長手方向である中心軸方向に互いに平行に、6本ずつ4列に並べられた合計24本で形成された液体入りペットボトル集合体14を包装したものである。液体入りペットボトル集合体14は、液体入りペットボトル12の注ぎ口を閉鎖するキャップ12aどうしと、底部12bどうしが面一になって一層に並べられ、直方体形状となっている。
【0003】
シュリンク包装体1は、液体入りペットボトル集合体14の、キャップ12aが位置する上面14aと、底部12bが位置する下面14bと、上面14aと底部12bの間に位置する長側面14c,14dを、帯状のシュリンクフィルム21で一周して巻き回して帯掛けし、熱収縮により密着し、液体入りペットボトル12を束ねている。シュリンクフィルム21は、巻き方向に交差する幅が、液体入りペットボトル集合体14に巻き付けた状態で、液体入りペットボトル集合体14の上面14aの長手方向より少し長く、上面14aの長手方向両側に筒状に飛び出す。上面14aの長手方向両側に突出した筒状の部分は、加熱加工により熱収縮し、上面14a及び長側面14c,14dに交差する一対の短側面14eの、側縁部である4辺に沿って折り曲げられて短側面14eの周縁部に密着する。一対の短側面14eの中央には、シュリンクフィルム21で覆われず開口部23が形成される。開口部23の、上面14a側の周縁に位置するシュリンクフィルム21の端部21aは、シュリンク包装体1で包装された液体入りペットボトル集合体14を持ち上げる時の持ち手となる。
【0004】
しかし、液体入りペットボトル集合体14は重いため、薄いシュリンクフィルム21を使用すると、端部21aを持って持ち上げた時にシュリンクフィルム21が変形し、図6に示すように、液体入りペットボトル集合体14の中央付近に位置する液体入りペットボトル12が下方にずれて撓んでしまう。また液体入りペットボトル12は、キャップ12a側の直径が細いためキャップ12aどうしの間隔が狭くなり、底部12bどうしの間隔が広くなり、液体入りペットボトル12が互いに扇状に開いて、荷崩れや外側の液体入りペットボトル12の落下を起こしやすい。
【0005】
荷崩れを防ぐためには、概ね60μmの厚いシュリンクフィルを使用する必要がある。しかし60μmの厚いシュリンクフィルムは、熱収縮させる時間がかかり、包装作業に時間がかかる。さらに熱収縮に多くのエネルギーを必要とし、加熱装置の設定温度を上げる必要があり、包装工程にコストと時間がかかり経済的ではない。
【0006】
この問題を解決するものとして、薄いシュリンクフィルムを二重に巻き付けて包装することが考えられる。シュリンクフィルムを二重に巻き付けて包装するものとして、特許文献1に開示されているシュリンク包装体がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-147072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の包装装置の場合、軽い缶を密閉して包装するものであり、重い液体入りペットボトルを包装して液体入りペットボトルの荷崩れを起こさずに持ち運ぶことは考えられていない。また、内側フィルムと外側フィルムにより、隙間なく包装され、互いに密着しているため、シュリンクフィルムの端部に手をかけにくいという問題もある。
【0009】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、重い液体入りペットボトルを複数集積結束して薄いシュリンクフィルムで包装し、液体入りペットボトルの荷崩れを起こさず容易且つ安定に持ち運ぶことができるシュリンク包装体とその包装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の液体入り容器を一方向に巻き回して集積結束する熱収縮性のシュリンクフィルムである内側フィルムと、前記内側フィルムの外側を前記内側フィルムに交差して巻き回して包装する熱収縮性のシュリンクフィルムである外側フィルムとが設けられ、複数の前記液体入り容器がその中心軸を互いに平行に位置して、垂直方向に配置されて成る液体入り容器集合体が形成され、前記液体入り容器集合体は、前記内側フィルムにより、前記液体入り容器の中心軸方向に対して直角な方向に一周して、前記液体入り容器集合体の上面と下面の間の4つの側面を巻き回して包装され、前記内側フィルムは、前記上面から離れた位置であって、前記上面とは反対の前記下面に近い位置にあり、前記外側フィルムは、前記液体入り容器集合体の、前記上面と前記下面と、前記下面と前記上面の間に位置する一対の側面とを、一周して巻き回して設けられ、前記内側フィルムと前記外側フィルムが前記液体入り容器に密着しているシュリンク包装体である。前記内側フィルムと前記外側フィルムは、加熱により熱収縮されて密着しているものでも良い。
【0011】
前記内側フィルムは、巻き方向に交差する幅が、前記液体入り容器の中心軸方向の長さよりも短く、前記液体入り容器の前記下面側に配置され、前記液体入り容器の前記上面側は前記内側フィルムが設けられていない非包装部となり、前記外側フィルムの、巻き方向に交差する幅は前記液体入り容器集合体の幅より長く、巻き回した状態で前記液体入り容器集合体の両側に筒状に突出し、熱収縮した状態で筒状の部分は、前記液体入り容器集合体の側面の側縁部に沿って折り曲げられて、前記外側フィルムが巻き回されていない一対の側面の周縁部に密着し、前記外側フィルムが巻き回されていない一対の前記側面の中央は、前記外側フィルムで覆われず開口部が形成され、前記開口部の前記液体入り容器集合体の前記上面側には、前記非包装部が露出している。
【0012】
前記開口部の周縁に位置する前記外側フィルムの端部には、前記外側フィルムよりも強度が高い熱収縮性の樹脂で作られたテープ部材から成る補強材が設けられていても良い。
【0013】
また本発明は、複数の液体入り容器を一方向に巻き回して集積結束する熱収縮性のシュリンクフィルムである内側フィルムと、前記内側フィルムの外側を前記内側フィルムに交差して巻き回して包装する熱収縮性のシュリンクフィルムである外側フィルムとを用いるシュリンク包装方法であって、複数の前記液体入り容器をその中心軸を互いに平行に位置して、垂直方向に配置されて成る液体入り容器集合体を形成し、前記内側フィルムにより、前記液体入り容器の中心軸方向に対して直角な方向に、前記液体入り容器集合体を一周して、前記液体入り容器集合体の上面と下面の間の4つの側面を巻き回して包装し、前記内側フィルムの位置は、前記上面から離れた位置であって、前記上面とは反対の下面に近い位置にあり、この後、前記外側フィルムにより、前記液体入り容器集合体の、前記上面と前記下面と、前記下面と前記上面の間に位置する一対の側面を一周して巻き回し、前記内側フィルムと前記外側フィルムを加熱して熱収縮させ、前記内側フィルムと前記外側フィルムを前記液体入り容器集合体に密着させて包装するシュリンク包装方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシュリンク包装体とその包装方法は、重い液体入り容器を複数集積結束して比較的薄いシュリンクフィルムで包装し、液体入り容器の荷崩れを起こさず容易且つ安定に持ち運ぶことができる。シュリンクフィルムを2方向に巻回することにより、薄いシュリンクフィルムを使用しても強度が高く、変形が小さく、安定した包装体を得ることができる。薄いシュリンクフィルムを使用するため、熱収縮させるためのエネルギーや時間を省くことができ、経済的で包装の効率が良い。液体入り容器は、持ち上げた時に底部どうしの間隔が広がり荷崩れを起こし易いが、二重巻の内側に位置する内側フィルムが液体入り容器の底部どうしを一周して包装することにより、底部どうしの間隔が広がることを防ぐことができる。またシュリンク包装体には開口部が設けられ、開口部が持ち手となり持ちやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の第一実施形態のシュリンク包装体の斜視図である。
図2】この発明の第一実施形態のシュリンク包装体の包装方法を示す斜視図である。
図3】この発明の第一実施形態のシュリンク包装体の包装方法を示す斜視図である。
図4】この発明の第一実施形態のシュリンク包装体の加熱装置により加熱する工程を示す正面図である。
図5】この発明の第二実施形態のシュリンク包装体の包装方法を示す斜視図である。
図6】従来のシュリンク包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態のシュリンク包装体10は、シュリンクフィルム11,21により複数の被包装物を集積結束して包装するものであり、包装する被包装物は、液体入り容器である液体入りペットボトル12であり、ここでは容量は500mlである。シュリンク包装体10は、複数の液体入りペットボトル12を、ペットボトルの筒体の挿通方向である中心軸方向を互いに平行にそして略垂直方向を向くようにして一段に集積した液体入りペットボトル集合体14を包装するものである。液体入りペットボトル集合体14は、例えば図1に示すように、液体入りペットボトル12が6本ずつ4列に並べられた合計24本であり、液体入りペットボトル12の注ぎ口を閉鎖するキャップ12aを上方に、底部12bを下方にして並べた直方体形状となっている。
【0017】
液体入りペットボトル集合体14は、液体入りペットボトル12のキャップ12a側を上面14aとし、液体入りペットボトル12の底部12b側を下面14bとする。上面14aと下面14bは、各々液体入りペットボトル12が6本並べられた方向に長い矩形であり、上面14aと下面14bの間には、長い辺に連続する一対の長側面14c,14dと、短い辺に連続する一対の短側面14eが設けられている。つまり、上面14aの長手方向に交差する方向には、上面14a、長側面14c、下面14b、長側面14dが順に連接している。上面14aの長手方向には、上面14a、短側面14e、下面14b、短側面14eが順に連接している。図1は、左に長側面14dを、右に短側面14eを見た斜視図である。
【0018】
シュリンク包装体10は、図1に示すように、液体入りペットボトル集合体14の、長側面14c、短側面14e、長側面14d、短側面14eを一周して巻き回す内側フィルム16が設けられている。内側フィルム16は、帯状のシュリンクフィルム11で形成され、シュリンクフィルム11は熱収縮性樹脂によるタテ1軸シュリンクフィルムであり、巻き方向に熱収縮するものである。つまり、内側フィルム16は、液体入りペットボトル12の中心軸方向に対して略直角な方向に一周して巻き回して帯掛けし、熱収縮により密着し液体入りペットボトル12の底部12bどうしの間隔が広がらないように束ねている。内側フィルム16の、巻き方向に交差する幅は、液体入りペットボトル12の高さ、つまり、液体入りペットボトル集合体14の上面14aと下面14bの間の長さより短く、例えば約100mmである。厚みは例えば40μmである。巻き方向の長さは、液体入りペットボトル集合体14を巻き回す時は例えば、約1630mm必要であり、熱収縮した状態ではこれより少し短くなる。巻き方向の長さは、包装する液体入りペットボトル12の形状や包装する本数により適宜変更する。内側フィルム16の長手方向に沿う一方の側縁部16aは、上面14aから離れ、他方の側縁部16bは下面14bにほぼ一致している。内側フィルム16の側縁部16aと、上面14aの間は、内側フィルム16が設けられていない非包装部17となる。内側フィルム16には、長側面14cと長側面14dの各中心に当接する位置に、巻き方向に交差するヒートシール部18が各々設けられている。内側フィルム16には、ヒートシール部18の両側に、ヒートシール部18に沿って開封用のミシン目が設けられてもよい。
【0019】
内側フィルム16の外側には、液体入りペットボトル集合体14の、上面14a、長側面14c、下面14b、長側面14dを一周して巻き回す外側フィルム22が設けられている。外側フィルム22は、内側フィルム16と同様に、帯状のシュリンクフィルム21で形成され、シュリンクフィルム21も熱収縮性樹脂によるタテ1軸シュリンクフィルムであり、巻き方向に熱収縮するものである。つまり、外側フィルム22は、液体入りペットボトル12の中心軸方向に交差するキャップ12aと底部12bを覆って巻きスリーブ包装をし、熱収縮により密着し、液体入りペットボトル12が上下方向にずれないように束ねている。外側フィルム22の、巻き方向に交差する幅は液体入りペットボトル集合体14の上面14aの長手方向より少し長く、巻き回した状態で液体入りペットボトル集合体14の両側に筒状に飛び出すものであり、例えば、680mmである。厚みは例えば50μmである。巻き方向の長さは、液体入りペットボトル集合体14を巻き回す時は例えば、約1175mm必要であり、熱収縮した状態ではこれより少し短くなる。巻き方向の長さは、包装する液体入りペットボトル12の形状や包装する本数により適宜変更する。液体入りペットボトル集合体14の両側に突出した筒状の部分は、熱収縮した状態で、短側面14eの4辺に沿って折り曲げられて、外側フィルム22が巻き回されていない一対の短側面14eの周縁部に密着する。短側面14eの中央は、外側フィルム22で覆われず開口部23が形成される。外側フィルム22には、下面14bに当接する位置に、巻き方向に交差するヒートシール部24が設けられている。外側フィルム22にも、開封用のミシン目が設けられてもよい。
【0020】
内側フィルム16と外側フィルム22は、いずれも熱収縮され、互いに密着し、さらに液体入りペットボトル集合体14に密着している。液体入りペットボトル集合体14は、上下方向の幅のうち下面14bに近い約1/2~1/4程度の幅の部分のみが内側フィルム16で帯掛けされ、上面14aに近い部分は非包装部17となり、短側面14eの開口部23の、下面14b側には内側フィルム16が位置し、上面14a側には非包装部17が位置して液体入りペットボトル12が露出している。開口部23の、上面14a側の周縁に位置する外側フィルム22の端部22aは、シュリンク包装体10で包装された液体入りペットボトル集合体14を持ち上げる時の持ち手となる。
【0021】
次に、包装方法について図2図3に基づいて説明する。まず、液体入りペットボトル集合体14に内側フィルム16となるシュリンクフィルム11を一周して巻き回す方法について説明する。ここで、図示しないが、シュリンクフィルム11を一周して巻き回す装置について簡単に説明する。この装置には、上記特許文献1に開示された装置と同様に、液体入りペットボトル集合体14を運び入れる供給コンベアと、供給コンベアの下流側に連続しシュリンクフィルム11を取り付けた液体入りペットボトル集合体14を運び出す排出コンベアが並べられて設けられている。供給コンベアの下流側には、シュリンクフィルム11を所定の長さで切断するフィルムカット部が設けられている。フィルムカット部は、供給コンベアの流れ方向に交差する左右両側に位置する2部材からなり、2部材の間にシュリンクフィルム11を挟持してカットする。供給コンベアの両脇には、シュリンクフィルム11のフィルム原反26が設けられている。なお、フィルム原反26から引き出されたシュリンクフィルム11は、供給コンベアのコンベア面に対して幅方向が略直角に供給される。
【0022】
次に、液体入りペットボトル集合体14にシュリンクフィルム11を巻き回す方法について図2に基づいて説明する。まず、供給コンベアに24本の液体入りペットボトル12を集積して液体入りペットボトル集合体14とする。この時、液体入りペットボトル集合体14の上面14aを上方に向け、下面14bを供給コンベアに置き、長側面14dを供給コンベアの下流側に向ける。この時、左右一対のフィルム原反26から引き出されたシュリンクフィルム11は、先端同士がフィルムカット部により熱溶着されてヒートシール部18で連結され、供給コンベアの下流側で、供給コンベアのコンベア面に近い高さに横断している。液体入りペットボトル集合体14を載せて供給コンベアが移動すると、図2(a)に示すように、シュリンクフィルム11を押しながら一対のフィルムカット部の間を通過する。すると、シュリンクフィルム11のヒートシール部18は長側面14dのほぼ中心に当接し、一対の短側面14eはシュリンクフィルム11で覆われる。そして、図2(b)に示すように、一対のフィルムカット部が互いに近づく方へ移動し、長側面14cの中心付近で互いに当接しシュリンクフィルム11を挟んで熱溶着し、フィルム原反26から切り離され、長側面14cのほぼ中心に他方のヒートシール部18が形成されて一周して巻き回される。図2(c)に示すように、シュリンクフィルム11で巻き回された液体入りペットボトル集合体14は、排出コンベアにより下流に送られる。これにより、長側面14c、短側面14e、長側面14d、短側面14eの、下面14bに近い位置を一周して巻き回してシュリンクフィルム11の取り付けが完了する。
【0023】
次に、シュリンクフィルム11の外側に、外側フィルム22となるシュリンクフィルム21を一周して巻き回す方法について説明する。ここで、図示しないが、内側フィルム16の外側にシュリンクフィルム21を一周して巻き回す装置について簡単に説明する。この装置には、上記特許文献1に開示された装置と同様に、シュリンクフィルム11を取り付けた液体入りペットボトル集合体14を運び入れる供給コンベアと、供給コンベアの下流側に連続し液体入りペットボトル集合体14を移送しながらシュリンクフィルム11の外側にシュリンクフィルム21を取り付ける搬送コンベアと、シュリンクフィルム21を巻き回した液体入りペットボトル集合体14を運び出す排出コンベアが並べられて設けられている。供給コンベアの下方には、シュリンクフィルム21のフィルム原反が設けられ、供給コンベアと搬送コンベアの間に向けてシュリンクフィルム21を供給可能である。なお、フィルム原反から引き出されたシュリンクフィルム21は、搬送コンベアのコンベア面に対して幅方向が平行で、長手方向が搬送コンベアの流れ方向に略平行に供給される。搬送コンベアの近傍には、シュリンクフィルム21を液体入りペットボトル集合体14に巻き回すフィルム巻回装置が設けられている。
【0024】
次に、シュリンクフィルム11の外側にシュリンクフィルム21を巻き回す方法について図3に基づいて説明する。まず、供給コンベアにシュリンクフィルム11を取り付けた液体入りペットボトル集合体14を置き、この時、上面14aを上方に向け、下面14bを供給コンベアに置き、長側面14dを供給コンベアの下流側に向ける。液体入りペットボトル集合体14が供給コンベアから搬送コンベアへ載る際に、シュリンクフィルム21が供給され、図3(a)に示すように、シュリンクフィルム21の一方の端部21aが搬送コンベアと液体入りペットボトル集合体14の間に挟まれ、挟まれた状態で、液体入りペットボトル集合体14が搬送コンベアにより搬送される。そして、フィルム巻回装置により、液体入りペットボトル集合体14の周囲にシュリンクフィルム21の他方の端部21b側が巻き回される。液体入りペットボトル集合体14が搬送コンベアから排出コンベアへ載る際に、シュリンクフィルム21の他方の端部21bが排出コンベアと液体入りペットボトル集合体14の間に挟まり、図3(b)に示すように、シュリンクフィルム21の端部21aの外側に端部21bが重なる。シュリンクフィルム21の他方の端部21bが排出コンベアと液体入りペットボトル集合体14の間に挟まれた状態で、液体入りペットボトル集合体14が排出コンベアにより下流に送られる。
【0025】
液体入りペットボトル集合体14の周囲にシュリンクフィルム11とシュリンクフィルム21が巻き付けられた状態で、図4に示すように、加熱装置28に入れて加熱し、シュリンクフィルム11,21を熱収縮させて液体入りペットボトル集合体14に密着させ、内側フィルム16と外側フィルム22による包装が形成される。シュリンクフィルム21の互いに重なる端部21a,21bはヒートシール部24となり、図3(c)に示すように、シュリンク包装体10による包装が完了する。加熱装置28の設定温度は、40μm又は50μmの比較的薄いシュリンクフィルム11,21を熱収縮させるので、比較的低い温度で良く、加熱時間も、40μm又は50μmの薄いシュリンクフィルム11,21を熱収縮させるので短い時間で良い。
【0026】
シュリンク包装体10の使用方法は、複数の液体入りペットボトル12を液体入りペットボトル集合体14として束ねて包装し、運搬や陳列を行う。液体入りペットボトル集合体14を持ち上げる時は、開口部23の端部22aに指をかけて持ち上げる。液体入りペットボトル12の底部12bに近い位置は内側フィルム16で結束されているため、広がることが無く、荷崩れを起こすことが無い。開封用破断線が内側フィルム16と外側フィルム22に設けられている場合、開封用破断線で切断してシュリンク包装体10を開封する。
【0027】
この実施形態のシュリンク包装体10とその包装方法によれば、重い液体入りペットボトル12を複数集積結束して薄いシュリンクフィルム11,21で縦横の2方向に包装しているので、液体入りペットボトル12が荷崩れを起こさず容易且つ安定に持ち運ぶことができる。さらに、重い液体入りペットボトル12の持ち運びを安全に行うことができる。シュリンクフィルム11,21を二重巻することにより、薄いシュリンクフィルム11,21を使用しても強度が高く、変形が小さく、安定した包装体を得ることができる。例えば、500mlのペットボトル40本の包装体を形成して持ち運ぶ場合、75μm厚のシュリンクフィルムが必要なところ、上記実施形態の40μmと50μmの薄いシュリンクフィルム11,21を用いて、500mlのペットボトル40本の包装体を形成して、持ち運ぶこともできた。また、従来のシュリンク包装体の場合底の真ん中が下がる(垂れる)為、ロボット等でハンドリングするときに他の部材に衝突する等の弊害が出やすいが、このシュリンク包装体10の場合、中央部分の下垂を容易に防ぐことができる。
【0028】
その他、この実施形態のシュリンク包装体10とその包装方法によれば、薄いシュリンクフィルム11,21を使用するため、熱収縮させる温度を低くすることができ、加熱時間を短くすることができ、熱収縮のためのエネルギーを抑えることができ経済的で包装の効率が良い。液体入りペットボトル12はキャップ12a側の直径が細いため、持ち上げた時に底部12bどうしの間隔が広がることにより荷崩れを起こしやすいが、二重巻の内側に位置する内側フィルム16が液体入りペットボトル12の底部12bどうしを一周して包装するため、底部12bどうしの間隔が広がることを防ぐことができる。また、開口部23の、上面14a側の周縁に位置する外側フィルム22の端部22aは、シュリンク包装体10で包装された液体入りペットボトル集合体14を持ち上げる時の持ち手となり、開口部23の上面14a側には非包装部17が位置して液体入りペットボトル12が露出し、端部22aとの間に空間があり、持ちやすい。内側フィルム16と外側フィルム22に開封用破断線が設けられている場合は、開封用破断線を切断して容易に開封することができる。
【0029】
次にこの発明の第二実施形態について図5に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態のシュリンク包装体30は、短側面14eの中央部の、外側フィルム22で覆われていない開口部23の、長側面14d、上面14a、長側面14c側の周縁に位置する外側フィルム22の端部22d,22a,22cには、所定幅の補強材32が端部22d,22a,22cに沿って取り付けられている。補強材32は、シュリンクフィルム21よりも強度が高い熱収縮性の樹脂で作られたテープ部材である。または、熱収縮性の樹脂を端部22d,22a,22cに沿って所定幅に塗布し、強度を高めたものでも良い。
【0030】
次に、シュリンク包装体30の包装方法について図5に基づいて説明する。被包装物は液体入りペットボトル集合体14であり、シュリンクフィルム11,21を巻き回す装置は第一実施形態のシュリンク包装体10を包装する装置と同じである。
【0031】
まず、液体入りペットボトル集合体14の長側面14c、短側面14e、長側面14d、短側面14eの、下面14bに近い位置をシュリンクフィルム11で一周して巻き回して取り付ける。この工程は、第一実施形態の図2と同様である。
【0032】
次に、シュリンクフィルム11の外側に補強材32が取り付けられたシュリンクフィルム21を巻き回す方法について図5に基づいて説明する。シュリンクフィルム21の、端部21aに交差する一対の端部21cの中間付近を含む一部には、補強材32が予め取り付けられている。補強材32の長さは、上面14aに沿う長さと、長側面14dと長側面14cに沿う長さのうち各々上面14aに連続する約半分のみを足したものである。取り付ける方法は、一般的に行われている方法で行う。
【0033】
まず、図5(a)に示すように、補強材32が取り付けられたシュリンクフィルム21の一方の端部21aが搬送コンベアと液体入りペットボトル集合体14の間に挟まれ、挟まれた状態で、液体入りペットボトル集合体14が搬送コンベアにより搬送される。そして、フィルム巻回装置により、液体入りペットボトル集合体14の周囲にシュリンクフィルム21の他方の端部21b側が巻き回される。液体入りペットボトル集合体14が搬送コンベアから排出コンベアへ載る際に、シュリンクフィルム21の他方の端部21bが排出コンベアと液体入りペットボトル集合体14の間に挟まり、図5(b)に示すように、シュリンクフィルム21の端部21aの外側に端部21bが重なる。シュリンクフィルム21の他方の端部21bが排出コンベアと液体入りペットボトル集合体14の間に挟まれた状態で、液体入りペットボトル集合体14が排出コンベアにより下流に送られる。
【0034】
液体入りペットボトル集合体14の周囲に、シュリンクフィルム11と、補強材32が取り付けられたシュリンクフィルム21が巻き付けられた状態で、加熱装置28に入れて加熱し、シュリンクフィルム11,21を熱収縮させて液体入りペットボトル集合体14に密着させ、内側フィルム16と外側フィルム22が形成され、シュリンクフィルム21の互いに重なる端部21a,21bはヒートシール部24となり、図5(c)に示すように、補強材32が取り付けられたシュリンク包装体30による包装が完了する。加熱装置28の設定温度と加熱時間は、第一実施形態のシュリンク包装体10と同様である。
【0035】
この実施形態のシュリンク包装体30とその包装方法によれば、上記実施形態と同様の使用方法であり、同様の効果を有するものである。外側フィルム22の端部22a、22d,22cに補強材32が設けられているため、シュリンクフィルム21が薄くても、持ち上げた時に不用意に破断することが無く、また伸縮して開口部23が広がることが無く、安全に運搬することができる。作業者の手への当たりも柔らかくなる。補強材32を外側フィルム22に取り付ける方法は、一般的に行われている方法で行うことができ、特別な装置を必要としない。
【0036】
なお、この発明のシュリンク包装体とその包装方法は、上記実施形態に限定されず、包装する液体入り容器は、液体入りペットボトルに限らず、アルミやスチールの金属容器や、ガラス、陶器、紙パック、その他の樹脂製容器でもよい。液体入り容器の本数や集積する配列は適宜変更可能であり、液体入り容器の容量は500ml以外でも良い。内側フィルムと外側フィルムを巻き回す方法は、上記以外でも良い。使用するシュリンクフィルムの材料は自由であり、またタテ1軸シュリンクフィルム以外でも良い。
【符号の説明】
【0037】
10,30 シュリンク包装体
11,21 シュリンクフィルム
12 液体入りペットボトル
12a キャップ
12b 底部
14 液体入りペットボトル集合体
14a 上面
14b 下面
14c,14d 長側面
14e 短側面
16 内側フィルム
17 非包装部
22 外側フィルム
23 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6