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特開2024-172393熱可塑性樹脂フィルム、シーラントフィルム及び包装材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172393
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂フィルム、シーラントフィルム及び包装材
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20241205BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20241205BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20241205BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20241205BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20241205BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
B32B27/20 Z
B32B27/32
C08L23/00
C08K3/34
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090087
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 徹三
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 基邦
(72)【発明者】
【氏名】松井 匠秀
【テーマコード(参考)】
3E086
4F071
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB51
3E086CA01
3E086CA29
3E086DA06
4F071AA20
4F071AA78
4F071AB30
4F071AD05
4F071AF08
4F071AH04
4F071BA01
4F071BB06
4F071BC01
4F100AC03
4F100AC03A
4F100AK03
4F100AK03A
4F100AK71
4F100AK71A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CB03
4F100CB03B
4F100EH17
4F100EH17A
4F100EJ50
4F100GB15
4F100JL12
4F100JL12B
4J002BB001
4J002BB021
4J002BB031
4J002BB051
4J002BB061
4J002BB071
4J002BB081
4J002BB121
4J002BK001
4J002DJ036
4J002DJ056
4J002FD016
4J002GG02
(57)【要約】
【課題】オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムおよびこれを用いたシーラントフィルム、包装材を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)で形成したマトリックス相1の中に、分散相2として前記層状粘土鉱物(B)が分散して存在し、分散相2は、扁平状であって長軸方向がフィルム3の長さ方向に形成され、厚み方向がフィルム3の厚み方向に形成され、フィルム3中における分散相2の体積濃度が、1%以上40%未満であり、フィルム3の長さ方向および厚み方向を含むフィルム3の断面内において、分散相2を円形と仮定した場合の分散相2の周長(L1)と、分散相2を長方形と仮定した場合の分散相2の周長(L2)との比(L2/L1)が下記(式1)を満たす。
1.5≦L2/L1≦10・・・(式1)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともマトリックス相となるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と、前記マトリックス相中に分散して存在する分散相となる層状粘土鉱物(B)とを含むフィルムであって、
前記分散相は、扁平状であって長軸方向が前記フィルムの長さ方向に形成され、厚み方向が前記フィルムの厚み方向に形成され、
前記フィルム中における前記分散相の体積濃度が、1%以上40%未満であり、
前記フィルムの長さ方向および厚み方向を含む該フィルムの断面内において、前記分散相を円形と仮定した場合の該分散相の周長(L1)と、該分散相を長方形と仮定した場合の該分散相の周長(L2)との比(L2/L1)が下記(式1)を満たす
ことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
1.5≦L2/L1≦10・・・(式1)
【請求項2】
前記分散相の単位面積当たりの存在数が、3個/μm以上40個/μm未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項3】
前記フィルムには官能基として酸変性部を備えている相容化剤(C)をさらに含み、
前記分散相となる前記層状粘土鉱物(B)の層間がジアルキルアンモニウム塩により有機修飾されており、
前記分散相と前記相容化剤(C)とが結合する
ことを特徴する請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルムと、
前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に積層されたシール層と、
を備えることを特徴とするシーラントフィルム。
【請求項5】
前記シーラントフィルムの全体重量に対する前記分散相の重量割合が、1wt%以上15wt%未満の範囲内である
ことを特徴とする請求項4に記載のシーラントフィルム。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルムを用いて形成した
ことを特徴とする包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱可塑性樹脂フィルム、シーラントフィルム及び包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点からSDGs(Sustainable Development Goals)が取り上げられている。これに伴い、例えば軟包装材のような積層プラスチックフィルムなどは、リサイクル性、易廃棄性を向上するためのモノマテリアル化が重要な要素となってきている。
軟包装材で主に使用される材料としてオレフィン系樹脂が挙げられるが、一方でガスバリア性の観点では、オレフィン系樹脂材料のみで形成した熱可塑性樹脂フィルム(オレフィン系樹脂フィルム)では、水蒸気に対してのバリア性に優れるものの、酸素に対してのバリア性(酸素バリア性)に劣るという問題がある。
【0003】
従来は、オレフィン系樹脂フィルムの酸素バリア性を向上するための手段として、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」ともいう)やMXDナイロン
等のバリア性樹脂を積層させたり、蒸着層を形成させたりして、酸素バリア性を担保してきた。
しかしながら、バリア性樹脂の積層によってオレフィン系樹脂フィルムの酸素バリア性を向上する方法は、近年のモノマテリアル化の方向性と逆行している。また、蒸着層は屈曲性が悪いため、過度な屈曲により蒸着層が割れてガスバリア性が低下してしまう場合があった。
【0004】
そこで、こうしたモノマテリアル化の動きの中で、上記のような他樹脂(バリア性樹脂)の積層、蒸着層形成などの方法に代えて、オレフィン系樹脂に添加剤として層状鉱物を添加し、酸素バリア材として使用することで酸素バリア性を担保することが見直されている。
【0005】
層状鉱物をオレフィン樹脂中に分散させる方法としては、例えば官能基を含有するポリオレフィン系重合体を混ぜて混練することにより層状鉱物の剥離を行い、層状鉱物をオレフィン樹脂中に分散させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3489411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記技術は貯蔵弾性率等の機械特性の向上を目的としており、得られた複合材料(層状鉱物を分散したオレフィン樹脂)において、ガスバリア機能については何ら触れていない。また、剥離した層状鉱物のオレフィン樹脂内での存在状態なども、図中でランダムに示されているだけで何ら言及されていない。つまり、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加による酸素バリア性の向上は、実現できていなかった。
【0008】
本開示は上述した問題を鑑みたものであり、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムおよびこれを用いたシーラントフィルム、包装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の一態様による熱可塑性樹脂フィルムは、少なくともマトリックス相となるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と、前記マトリックス相中に分散して存在する分散相となる層状粘土鉱物(B)とを含むフィルムであって、前記分散相は、扁平状であって長軸方向が前記フィルムの長さ方向に形成され、厚み方向が前記フィルムの厚み方向に形成され、前記フィルム中における前記分散相の体積濃度が、1%以上40%未満であり、前記フィルムの長さ方向および厚み方向を含む該フィルムの断面内において、前記分散相を円形と仮定した場合の該分散相の周長(L1)と、該分散相を長方形と仮定した場合の該分散相の周長(L2)との比(L2/L1)が下記(式1)を満たす。
1.5≦L2/L1≦10・・・(式1)
【0010】
また上記課題を解決するために、本発明の他の一態様によるシーラントフィルムは、前記熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に積層されたシール層と、を備える。
また上記課題を解決するために、本発明のさらに他の一態様による包装材は、上記熱可塑性樹脂フィルムを用いて形成される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムおよびこれを用いたシーラントフィルム、包装材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルムの一例を示す断面模式図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルムを表面から見た平面模式図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルムにおける分散相同士の重なりを示した断面模式図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルムにおける分散相間の厚み方向の距離を示した断面模式図である。
図5】本開示の第一実施形態の変形例による熱可塑性樹脂フィルムの一例を示す断面模式図である。
図6】本開示の第二実施形態に係るシーラントフィルムの一例を示す断面模式図である。
図7】本開示の第二実施形態に係るシーラントフィルムの別の一例を示す断面模式図である。
図8】本開示の第三実施形態に係る包装材の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示について詳細に記述する。なお、各図面は模式的に示した図であり、各部の大きさや形状等は理解を容易にするため現実のものとは異なり適宜誇張して示している場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものではない。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
【0014】
1.第一実施形態
以下、図1から図4を参照して、本開示の第一実施形態(以下、本実施形態という)に係る熱可塑性樹脂フィルムの構成について説明する。
【0015】
(1.1)熱可塑性樹脂フィルムの構成
図1は、本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム(単に「フィルム」と称する場合もある)3の一例を示す断面模式図である。より詳細には、図1は、熱可塑性樹脂フィルム3を厚み方向に切断した断面を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、マトリックス相1を形成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と、層状粘土鉱物(B)とからなる。
より具体的には、熱可塑性樹脂フィルム3は、少なくともポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と、層状粘土鉱物(B)とを含むフィルムであって、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)で形成されたマトリックス相1の中に、分散相2として層状粘土鉱物(B)が分散して存在している。酸素バリア性に優れた層状粘土鉱物(B)からなる分散相2は、マトリックス相1中に複数個独立して存在する。
【0016】
(1.1.1)マトリックス相の組成
熱可塑性樹脂フィルム3が包装材料として好適に使用されるためには、適度な柔軟性を持ちならびに加工性が良いことが求められる。そのため、マトリックス相1を形成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)としては、オレフィン由来の構成単位を有するポリマーであれば良く、例えばオレフィンをベースとした、低密度ポリエチレン(LDPE)、α-オレフィンとエチレンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等があるポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンとオレフィンを共重合したシクロオレフィンコポリマー及び、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン-酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られる、エチレン-メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のうち単体または複数を選択し適宜使用する事が可能である。
【0017】
またポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)には、エラストマー等のゴム成分を混練しても良い。ゴム成分を混ぜることで、耐衝撃特性を付与することができる。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)としてこれらの樹脂材料を用いて形成されたマトリックス相1は、適度な柔軟性を持ちならびに加工性が良く、包装材料として好適に使用することができる。
【0018】
(1.1.1.1)マトリックス相の体積割合
熱可塑性樹脂フィルム3におけるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、すなわちマトリックス相1の体積割合は、30%以上97%未満の範囲内であることが好ましい。体積割合が30%未満であると、熱可塑性樹脂フィルム3における耐衝撃性等の物性低下がみられる。また、体積割合が97%以上であると、分散相2(層状粘土鉱物(B))の重量割合が少なくなり酸素バリア効果が不十分となってしまう。
【0019】
(1.1.2)分散相の組成
分散相2を形成する層状粘土鉱物(B)としては、モンモリロナイト、ベントナイト、スクメタイト、天然マイカ、合成マイカ、あるいはそれらの有機修飾物等、公知の層状鉱物から選択することが可能である。
図1に示すように、分散相2(層状粘土鉱物(B))は、扁平状であって長軸方向が前記フィルムの長さ方向に形成され、厚み方向が熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に形成されている。ここで、熱可塑性樹脂フィルム3の長さ方向は、厚み方向に対しての直交方向である。また、熱可塑性樹脂フィルム3は、マトリックス相1中の分散相2が厚み方向に薄い扁平状に形成されている。より具体的には、層状粘土鉱物(B)は、熱可塑性樹脂フィルム3を厚み方向に切断した断面において単層では厚みが1~2nm程度、長軸および短軸が100~1000nm程度の扁平状になっており、これら単層が電気的引力により多層化し層状鉱物となっている。図1では、扁平楕円形状の分散相2を例示している。さらに、分散相2は、層状粘土鉱物(B)同士の末端基が水素結合により凝集し、一般的には凝集物として安定しているものである。
【0020】
分散相2、すなわち層状粘土鉱物(B)に用いられる有機修飾物は、1種類または2種類のジアルキルアンモニウム塩を用いることが好ましく、より詳細には、炭素数がC10~C20程度のアルキル鎖が用いられることが好ましい。また有機修飾物の修飾量は、層状粘土鉱物(B)全体の20~60wt%程度であることが好ましい。層状粘土鉱物(B)間に有機修飾物を修飾することで、層状粘土鉱物(B)間の層間距離が広くなり、樹脂がインターカレートしやすくなる。これにより、層状粘土鉱物(B)の層間剥離が起こりやすくなる。つまり本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3において、分散相となる層状粘土鉱物(B)の層間がジアルキルアンモニウム塩により有機修飾されていることが好ましい。
【0021】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、分散相2、つまり層状粘土鉱物(B)の体積割合、及び周長比が所定の条件を満たすことにより、フィルム3中の層状粘土鉱物(B)を後述する迷路効果により酸素ガスバリア性を良好に発現させることができる。以下、層状粘土鉱物(B)の上記体積割合、周長比について具体的に説明する。
【0022】
(1.1.2.1)分散相の体積割合
熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2すなわち層状粘土鉱物(B)の体積割合(体積濃度)は、1%以上40%未満であることが好ましく、より好ましくは3%以上30%未満であり、さらに好ましくは10%以上30%未満である。上記体積割合が所定条件(1%以上40%未満)を満たすことで、フィルム3中の分散相2を迷路効果が期待される構造(迷路構造)に形成することができる。
一方体積割合が1%未満であると、層状粘土鉱物(B)が少なくなりすぎて迷路効果が期待される構造とならず、酸素バリア効果が不十分となってしまう場合がある。また、体積割合が40%以上であると、製造時の樹脂圧力が高くなりすぎてしまい安定生産が難しい。また、ストランドを引取る際もストランドが硬く脆くなり安定的に引取ることが難しい。
【0023】
(1.1.3)その他の構成材料について
熱可塑性樹脂フィルム3は、上述したマトリックス相1(ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A))および分散相2(層状粘土鉱物(B))以外に、造核剤、補強フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、光安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、気泡防止剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックス等の添加材を用いても良い。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0024】
造核剤及び補強フィラーとしては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸リチウムアルミナ、酸化チタン、アルミニウム、鉄、銀、銅等の金属、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、セルロースミクロフィブリル、酢酸セルロース等のセルロース類、ガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリアクリレート繊維等の繊維状フィラー、カーボンナノチューブ等のカーボン類等が挙げられる。
【0025】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、有機ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
【0026】
熱安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0027】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
【0028】
帯電防止剤としては、ノニオン系化合物、カチオン系化合物、アニオン系化合物等が挙げられる。
【0029】
難燃剤としては、ハロゲン系化合物、リン系化合物、窒素系化合物、無機化合物、ホウ素系化合物、シリコーン系化合物、硫黄系化合物、赤リン系化合物等が挙げられる。
【0030】
難燃助剤としては、アンチモン化合物、亜鉛化合物、ビスマス化合物、水酸化マグ
ネシウム、粘土質珪酸塩等が挙げられる。
【0031】
(1.1.4)熱可塑性樹脂フィルム内の分散相の構造
図1に示すように、本実施形態の熱可塑性樹脂フィルム3は、マトリックス相1中に分散相2が存在している。分散相2を形成する層状粘土鉱物(B)は扁平状であるが、完全に層剥離された単剥離状態とすることは困難であり、数層から数十層の凝集体として存在する場合がほとんどである。
【0032】
(1.1.4.1)分散相の周長比
分散相2の周長比は、熱可塑性樹脂フィルム3の長さ方向および厚み方向(図1参照)を含む断面内(フィルム断面内)における分散相2の周長、すなわち分散相2の断面の周長に基づいて算出される。具体的には、フィルム3の断面内において、分散相2を円形と仮定した場合(分散相2の断面形状を円形近似した場合)の分散相2の周長をL1とする。またフィルム3の断面内における分散相2を長方形と仮定した場合(分散相2の断面形状を長方形近似した場合)の上記断面の周長をL2とする。なお分散相2の断面は、より詳細には分散相2を形成する層状粘土鉱物(B)の凝集体の断面であり、周長L1,L2は当該凝集体の周長を示す。2種類の周長L1,L2のうち、周長L2は当該凝集体の実際の周長に近似したものである。
また周長L1は、分散相2の凝集体の球形近似による周長に相当し、周長L2は、分散相2の凝集体の直方体近似による周長に相当する。
【0033】
熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2、すなわち層状粘土鉱物(B)の周長L1,L2は、凝集体の長軸方向、短軸方向それぞれの長さや凝集体の層数などにより変化する。本例において周長L1,L2は、熱可塑性樹脂フィルム3中に存在する分散相2の短軸長さ、長軸長さ、断面面積の平均値を用いて算出される。
例えば周長L1は、分散相2の個々の凝集体の断面面積の平均値を求め、該面積の平均値相当の円形の周長として算出する。
また例えば周長L2は、分散相2の個々の凝集体の短軸長さ、長軸長さの平均値を求め、該平均値相当の長方形の辺の合計長さを算出する(周長L2=短軸長(平均値)×2+凝集体の長軸長(平均値)×2))。
分散相2の短軸長さ(凝集体の厚み)、長軸長さ、断面面積の平均値は、例えば、熱可塑性樹脂フィルム3のn箇所(n=3~10)の断面を透過電子顕微鏡(TEM)にて撮影し、撮影したTEM画像を用いて求める。具体的には、当該TEM画像内の分散相2の各凝集体について、断面の短軸長さ、長軸長さ、断面面積を測定し、それぞれの平均値を求める。
【0034】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、周長L1と周長L2との比(周長比L2/L1)が所定の条件を満たしている。具体的には、周長比L2/L1が1.5以上10以下(1.5≦周長比(L2/L1)≦10)である。また周長比(L2/L1)は、2.0以上10以下(2.0≦周長比(L2/L1)≦10)であることがより好ましく、さらに好ましくは3.0以上10以下(3.0≦周長比(L2/L1)≦10)である。
周長比(L2/L1)が所定条件(1.5以上10以下)を満たすことで、分散相2(凝集体)が直方体に近似した扁平形状の構造(断面形状が長方形近似の構造)となり、フィルム3中の分散相2を迷路効果が期待される構造(迷路構造)に形成することができる。
一方、周長比L2/L1が1.5未満であると、分散相2が球形に近似した構造(断面形状が円形近似の構造)となり迷路効果が期待される構造とならず、酸素バリア効果が不十分となってしまう場合がある。また周長比L2/L1が10を超えると、層状粘土鉱物(B)の製造自体がそもそも従来の量産工程では困難となってしまううえ、マトリックス相1中に分散した際には層状粘土鉱物(B)の増粘効果により成形時の粘度上昇や圧力上昇により、成形性が劣ってしまう場合がある。
【0035】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、上述のようにフィルム3中における分散相2の体積濃度が1%以上40%未満であり、且つ、周長比L2/L1が1.5以上10以下(1.5≦周長比L2/L1≦10)である。つまり、分散相2の上記体積濃度及び周長比が所定の条件を満たしている。これにより、フィルム3中における分散相2の状態を良好に制御して迷路構造が効率的に形成され、酸素ガスが熱可塑性樹脂フィルム3を透過する際に直線状に通過することができず、いわゆる迷路効果による酸素ガスバリア性の向上が見られる。
【0036】
(1.1.4.2)分散相の存在数
熱可塑性樹脂フィルム3(マトリックス相1中)における分散相2すなわち層状粘土鉱物(B)の存在数は、体積割合や凝集体の層数などにより変化する。層状粘土鉱物(B)の存在数は、熱可塑性樹脂フィルム3のフィルム断面を透過電子顕微鏡(TEM)にて100,000倍にて撮影し、分散相2の凝集体の存在数をカウント(計測)した際の単位面積(μm)当たりの存在個数を示す。本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、単位面積当たりの層状粘土鉱物(B)の存在数が3個/μm以上40個/μm未満であることが好ましく、より好ましくは7個/μm以上40個/μm未満であり、さらに好ましくは10個/μm以上40個/μm未満である。層状粘土鉱物(B)の存在数を3個/μm以上40個/μm未満とすることで、より優れた迷路効果が発揮され、酸素ガスバリア性のさらなる向上がみられる。
一方、分散相2の存在数が3個/μm未満であると、分散相2が少なくなりすぎて迷路効果が期待される構造とならず、酸素バリア効果が不十分となってしまう場合がある。また40個/μm以上であると、マトリックス相1中に分散した層状粘土鉱物(B)の増粘効果により成形時の粘度上昇や圧力上昇により、成形性が劣ってしまう場合がある。
【0037】
(1.1.5)熱可塑性樹脂フィルムの構造
図1に示すように、本実施形態の熱可塑性樹脂フィルム3は、厚み方向においてマトリックス相1中の分散相2が他の分散相2と重なりあって存在している。また、分散相2を形成する層状粘土鉱物(B)は扁平状であり、層状粘土鉱物(B)の厚み方向が、フィルムの厚み方向に形成されている。さらに、マトリックス相1を形成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)中の分散相2(層状粘土鉱物(B))の長軸方向が、厚み方向と直交する熱可塑性樹脂フィルム3の長さ方向(幅方向または奥行方向)に形成されている。図1では、熱可塑性樹脂フィルム3の長さ方向は左右方向として図示されている。
より詳細には、分散相2の長軸方向は、熱可塑性樹脂フィルム3の長さ方向に対して、ある一定の角度範囲内で形成されている。当該角度についての詳細は、後述する。
【0038】
また、図2は熱可塑性樹脂フィルム3の一方の表面3aを上から図示した平面透視図である。図2に示すように、平面視において分散相2(層状粘土鉱物(B))は、扁平な形状(本例では、扁平楕円形状)の平面部分が視認可能な状態で形成されている。
図1および図2に示すように、分散相2同士は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に重なりをもって分布している。図2は、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において、分散相2同士が重なって存在している状態を平面視で図示している。図2では、熱可塑性樹脂フィルム3の平面視において、上面となる一方の表面3a側の最表面に位置する分散相2を実線で示し、他方の表面3b側に向かって厚み方向に重なって存在する分散相2を点線で示している。
【0039】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3において、扁平な層状粘土鉱物(B)、すなわち分散相2が厚み方向に互いに重なりながら構造形成することで迷路構造を効率的に形成し、酸素ガスが熱可塑性樹脂フィルム3を透過する際に直線状に通過することができず、いわゆる迷路効果による酸素ガスバリア性の向上が見られる。分散相2同士の重なりが大きいと、迷路効果による酸素ガスバリア性がより十分に働くものである。
熱可塑性樹脂フィルム3は、この迷路効果を十分に発揮するために、上述のように分散相2の体積割合及び周長比が上記所定の条件を満たす。これにより、本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、酸素ガスバリア性の向上が見られる。
また分散相2の体積割合及び周長比が上記所定の条件を満たした結果として、熱可塑性樹脂フィルム3中において厚み方向に重なって隣接する分散相2同士の重なり幅D、および隣接する分散相2間の距離A(以後、分散相間距離Aともいう)が所定の条件を満たし、より確実に迷路効果を発揮可能な迷路構造が形成されることが好ましい。以下、図3図4を用いて重なり幅Dおよび距離Aについて詳細に説明する。
【0040】
(1.1.5.1)分散相同士の重なり幅
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、すなわちマトリックス相1中の分散相2は、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に重なり合って隣接する分散相2(層状粘土鉱物(B))同士が重なりを持って形成されている。
熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2同士の重なり幅は、一の分散相2と隣接する他の分散相2とが重なり合っている領域の長軸方向の長さ(nm)である。本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3において、迷路効果を十分に発揮するための上記重なり幅Dは、マトリックス相1中において熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に隣接する分散相2同士の重なり幅の平均値として算出される。
【0041】
例えば上記重なり幅Dは、熱可塑性樹脂フィルム3のn箇所(n=3~10)の断面を透過電子顕微鏡(TEM)にて撮影したTEM画像を用いて算出される。具体的には、上記n箇所のTEM画像内の分散相2について、厚み方向に隣接する一の分散相2(分散相2x)と他の分散相2(分散相2y)との重なり幅D(xy)をそれぞれ測定し、測定された重なり幅D(xy)の平均値(=測定した重なり幅D(xy)の合計値/重なり幅D(xy)の測定個数)を、重なり幅Dとして求める。
【0042】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3において、厚み方向に隣接する分散相2(層状粘土鉱物(B))の重なり幅Dは、10nm以上700nm未満の範囲内である。これにより、迷路効果が十分に発揮され酸素バリア性を十分に得られる。隣接する分散相2同士の重なり幅Dが10nm未満であると、ガスの通過に際して抵抗がほとんどなく、迷路効果が十分に発揮されない。また隣接する分散相2同士の重なり幅Dが700nm以上であると、重なり幅Dに相当する部分のガス通過に対する抵抗は強いものの、重なり幅D相当部分以外のガス通過に対する抵抗が小さくなり、迷路効果が十分に発揮されなくなる。重なり幅Dは、より好ましくは50nm以上700nm未満、さらに好ましくは100nm以上600nm未満の範囲内であるとよい。また重なり幅Dを、厚み方向に隣接する分散相2(層状粘土鉱物(B))それぞれの長軸方向の長さの半分程度とすることで、酸素ガス流れが重なり幅D方向か又は重なり幅Dと反対方向かを問わずに迷路効果が良好に発揮されて酸素バリア性を十分に得ることができる。
【0043】
このように、マトリックス相1中において扁平な分散相2(層状粘土鉱物(B))同士が熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に重なり合い、重なり幅Dが所定条件(10nm以上700nm未満の範囲内)を満たす構造形成とすることで、上述の迷路効果による酸素ガスバリア性の向上が見られる。
以下、重なり幅Dの測定、算出について図3を参照しつつより詳細に説明する。
【0044】
図3は、熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2同士の重なり幅を示した断面模式図である。図3に矢印で示すように層状粘土鉱物(B)である分散相2(分散相2a~2h)は、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に重なりを持って形成されている。図3に示す例では、熱可塑性樹脂フィルム3においてマトリックス相1中に分散相2(層状粘土鉱物(B))として分散相2a~2hが存在している。分散相2a~2hそれぞれは、厚み方向において他の分散相2と一部が重なって配置されている。
【0045】
例えば図3中において重なり幅D(ab)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2a,2bの重なり幅であり、重なり幅D(ac)は上記厚み方向において隣接する分散相2a,2cの重なり幅である。また、重なり幅D(bd)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2b,2dの重なり幅であり、重なり幅D(de)は上記厚み方向において隣接する分散相2d,2eの重なり幅である。また、重なり幅D(ce)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2c,2eの重なり幅であり、重なり幅D(ef)は上記厚み方向において隣接する分散相2e,2fの重なり幅である。また、重なり幅D(eg)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2e、2gの重なり幅であり、重なり幅D(fh)は上記厚み方向において隣接する分散相2f、2hの重なり幅であり、重なり幅D(gh)は上記厚み方向において隣接する分散相2g、2hの重なり幅である。
【0046】
本例では、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向の両端とその間の中央部分の3箇所の断面TEM画像内の分散相2(層状粘土鉱物(B))について、それぞれ隣接する他の分散相2との重なり幅を測定し、3箇所の断面画像における平均値にて求めることができる。本例では、上記3箇所の断面TEM画像内において、重なり幅D(ab)、D(ac)、D(bd)、D(de)、D(ce)、D(ef)、D(eg)、D(fh)、D(gh)の9個の重なり幅を測定し、測定した各重なり幅の平均値(=測定した重なり幅D(ab)~(gh)の合計値/測定個数(9))を算出する。算出された平均値が、熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2の重なり幅Dとなる。
なお、平均値としての重なり幅Dの算出方法は、これに限られず、種々の方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によるTEM画像に代えて、走査電子顕微鏡(SEM)で取得したSEM画像を用いて隣接する分散相2同士の重なり幅を測定し、平均値を算出してもよい。
【0047】
(1.1.5.2)分散相間の距離
また本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3において、マトリックス相1であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)中の分散相2層状粘土鉱物(B)は、フィルムの厚み方向に重なり合って隣接する分散相2間の距離(分散相間距離)の平均値である分散相間距離Aが所定条件を満たしている。これにより、迷路効果が十分に発揮され酸素バリア性を十分に得られる。
ここで、分散相間距離Aは、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2同士の厚み方向の最短距離(nm)の平均値として算出される。例えば、隣接する層状粘土鉱物(B)間の距離(分散相間距離)の平均値(平均距離)である上記分散相間距離Aは、熱可塑性樹脂フィルム3のn箇所(n=3~10)の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影したTEM画像を用いて算出される。具体的には、上記n箇所のTEM画像内の分散相2について、厚み方向に隣接する一の分散相2(分散相2x)と他の分散相2(分散相2y)との厚み方向の最短距離を分散相間距離A(xy)として、それぞれ測定し、測定された分散相間距離A(xy)の平均値(=測定した分散相間距離A(xy)の合計値/分散相間距離A(xy)の測定個数)を、分散相間距離Aとして求める。
【0048】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3において、厚み方向に隣接する分散相2間の距離(厚み方向の最短距離)の平均値である分散相間距離Aは、1nm以上800nm未満の範囲内であればよく、1nm以上500nm未満の範囲内がより好ましい。これにより、迷路効果が十分に発揮され酸素バリア性を十分に得られる。上記分散相間距離Aが1nm未満の場合は、実質的に層状粘土鉱物(B)同士が接して凝集しているのと同等の状態であり、製造上、マトリックス相1中における分散相2の分散状態を制御することが不可能である。また上記分散相間距離Aが800nm以上であると、熱可塑性樹脂フィルム3を酸素ガスが通過するのに十分な距離となってしまうためガスの通過に際して抵抗がほとんどなく、迷路効果が十分に発揮されない。
【0049】
このように、マトリックス相1中において扁平な分散相2(層状粘土鉱物(B))同士が熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向に重なり合い、上記分散相間距離Aが所定条件(1nm以上800nm未満の範囲内)を満たす構造形成とすることで、上述の迷路効果による酸素ガスバリア性の向上が見られる。
以下、上記分散相間距離Aの測定、算出について図4を参照しつつより詳細に説明する。
【0050】
図4は、熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2間の厚み方向の距離を示した断面模式図である。図4に矢印で示すように、層状粘土鉱物(B)である分散相2(分散相2a~2h)は、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において、所定距離を保ちながら重なり合って形成されている。図4に示す例では、熱可塑性樹脂フィルム3においてマトリックス相1中に分散相2(層状粘土鉱物(B))として分散相2a~2hが存在している。分散相2a~2hそれぞれは、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において、隣接する他の分散相2と所定距離を保った状態で重なり合って配置されている。本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3では、9個の重なり幅D(ab)~(gh)における分散相2同士の厚み方向の距離(最短距離)を測定し、測定した当該距離の平均値として上記分散相間距離Aを算出する。
【0051】
例えば図4中において分散相間距離A(ab)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2a,2b間の重なり幅D(ab)における厚み方向の距離(最短距離)であり、分散相間距離A(ac)は上記厚み方向において隣接する分散相2a,2c間の重なり幅D(ac)における厚み方向の距離(最短距離)である。また、分散相間距離A(bd)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2b,2d間の重なり幅D(bd)における厚み方向の距離(最短距離)である。また、分散相間距離A(de)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2d,2e間の厚み方向の重なり幅D(de)における距離(最短距離)であり、分散相間距離A(ce)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2c,2e間の重なり幅D(ce)における厚み方向の距離(最短距離)である。また、分散相間距離A(ef)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2e、2f間の重なり幅D(ef)における厚み方向の距離(最短距離)であり、分散相間距離A(eg)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2e、2g間の重なり幅D(eg)における厚み方向の距離(最短距離)である。また分散相間距離A(fh)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2f,2h間の重なり幅D(fh)における厚み方向の距離(最短距離)であり、分散相間距離A(gh)は熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において隣接する分散相2g、2h間の重なり幅D(gh)における厚み方向の距離(最短距離)である。
【0052】
本例では、例えば熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向の両端とその間の中央部分の3箇所の断面TEM画像内の分散相2(層状粘土鉱物(B))について、それぞれ隣接する他の分散相2との厚み方向の最短距離を測定し、3箇所の断面SEM画像における平均値にて求めることができる。本例では、上記3箇所の断面SEM画像内において、分散相間距離A(ab)、A(ac)、A(bd)、A(de)、A(ce)、A(ef)、A(eg)、A(fh)、A(gh)の9個の分散相間距離を測定し、測定した各分散相間距離の平均値(=測定した分散相間距離A(ab)~(gh)の合計値/測定個数(9))を算出する。算出された平均値が、熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2の分散相間距離Aとなる。
なお、平均値としての分散相間距離Aの算出方法は、これに限られず、種々の方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によるTEM画像に代えて、走査電子顕微鏡(SEM)で取得したSEM画像を用いて隣接する分散相2間の厚み方向の距離(最短距離)を測定し、平均値を算出してもよい。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3は、分散相2の体積割合や周長比が所定の条件を満たす。その結果、マトリックス相1中には、分散相2同士が熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向において重なりをもって存在しており、当該フィルムの厚み方向に重なり合って隣接する分散相2同士の重なり幅Dは、平均値で10nm以上700nm未満の範囲内であり、当該フィルムの厚み方向に隣接する分散相2間の距離(最短距離)の平均値(分散相間距離A)は、1nm以上800nm未満の範囲内である。これにより、熱可塑性樹脂フィルム3において上述の迷路効果が十分に発揮され、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。
なお、本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3における分散相2の上記重なり幅Dは、一の分散相2と、隣接する他の分散相2との間の上記分散相間距離Aが距離条件(1nm以上800nm未満)を満足していることを前提としている。つまり、上記分散相間距離Aが上記距離条件を満たしていない場合、上記重なり幅Dが幅条件(10nm以上700nm未満)を満たしていても、十分な酸素バリア性は発揮されない。
【0054】
(1.1.5.3)分散相の傾き
図3に戻って、熱可塑性樹脂フィルム3において、マトリックス相1中に存在する分散相2(層状粘土鉱物(B))は、熱可塑性樹脂フィルム3の水平面、すなわち厚み方向と直交する長さ方向と平行な面に対して、分散相2の長軸方向が0°以上20°以下の範囲内の傾き(角度)となっていることが好ましい。この熱可塑性樹脂フィルム3の水平面に対する分散相2の長軸方向の角度(長軸角度)が20°より大きいと、扁平な層状粘土鉱物(B)である分散相2同士の熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向における重なり幅Dが減少し、迷路効果によるガスバリア性効果が小さくなる場合がある。さらに好ましくは上記長軸角度が0°以上15°以下の範囲内である。なお、上記長軸角度は、絶対値であり、例えば上限値は熱可塑性樹脂フィルム3の水平面に対して+20°でもよいし-20°でもよい。
【0055】
また、熱可塑性樹脂フィルム3の水平面に対する分散相2(層状粘土鉱物(B))の長軸方向の角度(長軸角度)は、熱可塑性樹脂フィルム3の厚み方向の両端とセンターのn箇所(例えばn=3)の断面TEM画像から、熱可塑性樹脂フィルム3の水平面に対する個々の分散相2の長軸角度をそれぞれ測定し、平均値(測定値の合計(例えば分散相2a~2hそれぞれの長軸角度の合計値)/測定個数(例えば8))にて求める。なお、熱可塑性樹脂フィルム3におけるSEM画像の撮影箇所数nは例えば3~5であればよい(例えば図3の分散相2a~2h)。
【0056】
(1.2)変形例
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルムは、図1から図4に示す構成に限られない。例えば、本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルムは、相容化剤(C)を含んで形成されてもよい。図5は、本実施形態の一変形例に係る熱可塑性樹脂フィルム30の一構成例を示す断面模式図である。熱可塑性樹脂フィルム30は、マトリックス相10が分散相2および相容化剤(C)を含む点で、図1から図4に示す熱可塑性樹脂フィルム3と異なる。
以下、本変形に係る熱可塑性樹脂フィルム30の構成について説明する。なお、マトリックス相10は相容化剤(C)を含む点以外は熱可塑性樹脂フィルム3のマトリックス相1と同等である。このため、相容化剤(C)についてのみ詳しい説明を行い、同等の箇所については説明を省略する。また分散相2は、熱可塑性樹脂フィルム3の分散相2と同等のため同一の符号を付して説明は省略する。
【0057】
(1.2.1)相容化剤(C)の組成
相容化剤(C)は、マトリックス相1を構成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とは比較的相容性の良い樹脂であって、分散相2を構成する層状粘土鉱物(B)と結合し得る反応基が付与された分子構造からなる熱可塑性樹脂である。構造に官能基を含むポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と層状粘土鉱物(B)とにおいても化学的親和性は必ずしも高くないが、相容化剤(C)を添加することにより、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と層状粘土鉱物(B)との化学的親和性を向上させることができる。より具体的には、相容化剤(C)は層状粘土鉱物(B)の層間にインターカレート(侵入)して有機修飾物と結合し、層状粘土鉱物(B)の層間距離をさらに広げ、層間剥離が起こりやすい状態にさせることができる。
【0058】
熱可塑性樹脂フィルムの酸素バリア性向上において、相容化剤(C)は必ずしも必要ではないが、マトリックス相1を形成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)中の分散相2(層状粘土鉱物(B))の層間距離を広げて層間剥離を起こりやすくさせ、さらに粗大な凝集物を減少させ外観や成形性を向上させることができるため、一定量の添加を行う方が好ましい。
【0059】
相容化剤(C)の例としては、水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、アミド基、無水マレイン酸機等が挙げられる。マトリックス相10に含まれる相容化剤(C)は、官能基として酸変性部を備えており、分散相2と相容化剤(C)とが良好に結合することが好ましい。このため、特に無水マレイン酸基を有した相容化剤(C)が好適に用いられる。
熱可塑性樹脂フィルム30は、官能基として酸変性部を備えている相容化剤(C)を含み、分散相2を形成する層状粘土鉱物(B)の層間がジアルキルアンモニウム塩により有機修飾されて、分散相2と相容化剤(C)とが結合していることが好ましい。これにより、マトリックス相1を構成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と層状粘土鉱物(B)との化学的親和性を向上させることができる。
【0060】
また熱可塑性樹脂フィルム30における相容化剤(C)の官能基の酸価は、10mgKOH/g以上60mgKOH/g未満の範囲内であることが好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上50mgKOH/g未満の範囲内である。官能基の酸価が10mgKOH/g未満であると、酸価が弱すぎて多量の相容化剤を入れなくてはならず、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の体積割合が減少し、物性面の低下を引き起こす場合がある。官能基の酸価が60mgKOH/g以上であると、酸価が強すぎてポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)との相容性が悪くなり、外観を損なう場合がある。
【0061】
(1.2.1.1)相容化剤(C)の体積割合
熱可塑性樹脂フィルムにおける相容化剤(C)の体積割合は、1%以上50%未満の範囲内であることが好ましい。体積割合が1%未満であると、分散相2である層状粘土鉱物(B)が層剥離するための十分な体積量が確保できない状態となってしまう。このため、相容化剤(C)を添加しても熱可塑性樹脂フィルム30の酸素バリア性が不十分となる場合がある。また、相容化剤(C)の体積割合が50%以上であると、熱可塑性樹脂フィルム30における耐衝撃性等の物性低下が起こる場合がある。相容化剤(C)の体積割合は、より好ましくは5%以上30%未満の範囲内である。
【0062】
(1.3)製造方法
本実施形態の熱可塑性樹脂フィルム3,30を製造する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を使用することが可能である。
【0063】
熱可塑性樹脂フィルム3,30の作製方法としては、例えば、射出成型機や、押出成形機、インフレーション法を用いた製膜方法を用いる事が可能である。また押出成形においても、フィードブロック法やマルチマニホールドを介したTダイで製膜する方法など、いずれの方法で製造しても良い。
【0064】
本実施形態では、押出成形機を用いた熱可塑性樹脂フィルム3,30の成形方法を説明する。マトリックス相1となるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と分散相2となる層状粘土鉱物(B)、熱可塑性樹脂フィルム30に含有される相容化剤(C)は、例えば単軸押出機や二軸押出機、混練機などで混練される。好ましくは二軸押出機や混練機のようなせん断応力が強くかかる方法が良く、さらに好ましくは、二軸押出機のような連続的に製造できる方が好ましい。
【0065】
押出機で混練する方法は任意の方法を選択すれば良く、スクリューの構成や材料の投入順序、設定温度等は適宜調整を行えば良い。層状粘土鉱物(B)の分散のためにせん断応力を強くかけたければ、より低温設定で混練したり、滞留時間を長くするようなスクリュー構成などで混練すれば良い。さらに例えば、二酸化炭素や窒素ガスを押出機内に添加し材料の可塑化を進行させれば、通常融点よりもさらに低い温度設定での混練も可能である。
【0066】
上記押出機で混練した材料は、Tダイを通してそのままフィルム化することも可能だし、束状(ストランド)としてマスターバッチ化し、改めて別の押出機でフィルム化を行っても良い。単層で押出して形成した熱可塑性樹脂フィルム3,30を別のポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)と接着剤を介して積層し、シーラントフィルムとしても良い。あるいは、上記押出機で混練した材料をフィルム化する際に他の押出機を共押出として、そのまま2層または3層構造のシーラントフィルムとしても良い。シーラントフィルムについては後述する。
【0067】
熱可塑性樹脂フィルム3,30となるフィルムの冷却方法に関しては、上述成形機に準じて使用する事が可能であり、例えばTダイ法では、エアーチャンバー、バキュームチャンバー、エアナイフ等の空冷方式、冷水パンへ冷却ロールをディッピングする等の水冷方式等特に制限されることはない。熱可塑性樹脂フィルム3,30またはこれを用いたシーラントフィルムに表面凹凸形状を付与する場合には、シリコーンゴム、NBRゴム、またはフッ素樹脂等を加工したニップロールと、金属を切削加工した冷却ロールとを0.1MPa以上の圧力を印加した接触部に溶融樹脂を流入し、冷却する方式が特に好ましい。
【0068】
図3に示す熱可塑性樹脂フィルム3,30のように分散相2(層状粘土鉱物(B))の向き(長軸方向)を良好に揃えるには、フィルム化する際の樹脂流速を早めたり、引取機とのドロー比を大きくしたりするのも有効である。また、得られた熱可塑性樹脂フィルム3,30を延伸機を用いて延伸するのも有効である。これら製造方法は特に制限されない。
【0069】
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3,30、また後述する第二実施形態に係るシーラントフィルムは、他基材と積層して包装材とすることができる。包装材については後述する。熱可塑性樹脂フィルム3,30を単体フィルムまたは積層体(シーラントフィルム)として用いる包装材の場合、スタンディングパウチの他に、三方袋、合掌袋、ガゼット袋、スパウト付きパウチ、ビーク付きパウチ等にも用いる事が可能である。また、当該包装材(包装袋)の製袋様式は特に制限されるものではない。
【0070】
上述の様に、熱可塑性樹脂フィルム3,30を単体フィルムとして用いる、又は他基材と積層して用いる(シーラントフィルム、包装材)のいずれの場合でも、適宜、後工程適性を向上する表面改質処理を実施することが可能である。例えば、単体フィルムとしての使用時の印刷適性向上、積層構成(シーラントフィルム、包装材)として使用時のラミネート適性向上のために他基材と接触する面に対して表面改質処理を行うことが可能である。表面改質処理はコロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理等のフィルム表面を酸化させる事により官能基を発現させる手法や、易接着層のコーティング等のウェットプロセスによる改質を好適に用いることが可能である。
【0071】
なお製造方法は上述した方法に限定されるものではなく、成形機により製膜した樹脂成形体を、インラインまたはオフラインの延伸処理を施しても構わない。その他、適宜必要な工程や添加剤を加えることは制限されるものではない。
【0072】
(本実施形態の効果)
本実施形態および上記変形例に係る熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂フィルム3,30)であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂フィルム3,30)は、少なくともマトリックス相1となるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と、マトリックス相1中に分散して存在する分散相2となる層状粘土鉱物(B)とを含むフィルムであって、分散相2は、扁平状であって長軸方向が熱可塑性樹脂フィルム3,30の長さ方向に形成され、厚み方向が熱可塑性樹脂フィルム3,30の厚み方向に形成され、フィルム3中における分散相2の体積濃度が、1%以上40%未満であり、前記フィルムの長さ方向および厚み方向を含む該フィルムの断面内において、分散相2を円形と仮定した場合の分散相2の周長L1と、分散相2を長方形と仮定した場合の分散相2の周長L2との周長比(L2/L1)が1.5以上10以下(1.5≦L2/L1≦10)である。
この構成によれば、分散相2により迷路効果が発揮される構造(迷路構造)が効率的に形成され、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。
【0073】
(2)
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3,30は、分散相2の単位面積当たりの存在数が、3個/μm以上40個/μm未満の範囲内である。
この構成によれば、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性がさらに向上された熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる
(3)
本実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム30は、官能基として酸変性部を備えている相容化剤(C)をさらに含み、分散相2となる層状粘土鉱物(B)の層間がジアルキルアンモニウム塩により有機修飾されており、分散相2と相容化剤(C)とが結合する。
この構成によれば、マトリックス相1を構成するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と層状粘土鉱物(B)との化学的親和性を向上させることができる。
【0074】
2.第二実施形態
次に、図6および図7を参照して、本開示の第二実施形態(以下、本実施形態という)に係るシーラントフィルムの構成について説明する。
【0075】
(2.1)シーラントフィルムの構成
分散相2を含むマトリックス相1であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とは別のポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)を積層することでシーラントフィルムとして構成することができる。
ここでは一例として、熱可塑性樹脂フィルム3を用いたシーラントフィルム6について説明するが、熱可塑性樹脂フィルム30も熱可塑性樹脂フィルム3と同様に、シーラントフィルムに用いることができる。つまり、本実施形態に係るシーラントフィルム6は、熱可塑性樹脂フィルム3,30と、マトリックス相1、すなわち分散相2を含むポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とは別のポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)とを含んで形成され、熱可塑性樹脂フィルム3、30の少なくとも一方の面に積層されたシール層4を備える。これにより、シーラントフィルム6は、上述の迷路効果によって酸素バリア性が向上し、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムを用いたシーラントフィルムを提供することができる。
【0076】
図6は本実施形態に係るシーラントフィルム6の一例を示す断面模式図であり、図7は本実施形態に係るシーラントフィルム6の他の例を示す断面模式図である。
図6に示すように、シーラントフィルム6は、2層に積層した構成でもよい。具体的には、シーラントフィルム6は、熱可塑性樹脂フィルム3の一方の表面(本例では表面3a)にシール層4を積層した2層構成でもよい。なお、2層構成のシーラントフィルム6は、図6に示す構成に限られず、熱可塑性樹脂フィルム3の他方の表面(本例では表面3b)にシール層4を積層した構成でもよい。
【0077】
また、図7に示すように、シーラントフィルム6は、3層に積層した構成でもよい。具体的には、シーラントフィルム6は、熱可塑性樹脂フィルム3の両表面(本例では表面3a,3B)にそれぞれシール層4を積層した3層構成でもよい。
さらに図示しないが、シーラントフィルム6は、4層以上に積層した構成でもよい。図7のように3層構成にした場合には、熱可塑性樹脂フィルム3の表裏面(表面3a,3b)上に設けられたポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)、すなわちシール層4は同じ組成であっても良いし、異なる組成であっても良い。
【0078】
シーラントフィルム6においては、熱可塑性樹脂フィルム3はシール層としては使用できない。熱可塑性樹脂フィルム30も同様である。これは、熱可塑性樹脂フィルム3,30には層状粘土鉱物(B)、すなわち分散相2が含まれるためである。分散相2は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が有するシール性を低減する作用を有する。したがって、シーラントフィルム6におけるシール性は、分散相2を含まないポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)で担保することが好ましい。
【0079】
図7に例示するようにシール層4が熱可塑性樹脂フィルム3の表裏面に設けられる場合、熱可塑性樹脂フィルム3に積層されたシール層4の少なくとも一方であるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)に、低温シール特性を持たせることが好ましい。これにより、シーラントフィルム6のシール性が向上し、シーラントフィルムとして好適に使用される。
【0080】
シーラントフィルム6のシール層4に用いるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)の主材料としては、オレフィン由来の構成単位を有するポリマーであれば良く、オレフィンをベースとした、低密度ポリエチレン(LDPE)、α-オレフィンとエチレンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等があるポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンとオレフィンを共重合したシクロオレフィンコポリマー及び、上記オレフィンと酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン-酢酸ビニルコポリマーやオレフィンの側鎖を変性して得られる、エチレン-メチルアクリレート共重合(EMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)等のうち単数又は複数を選択し適宜使用する事が可能である。
【0081】
シール層4に用いるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)は、マトリックス相1に用いるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)と同一の樹脂であっても良いし、異なる樹脂であっても良い。また、図7に例示するようにシール層4が熱可塑性樹脂フィルム3の表裏面に設けられる場合、シール層4それぞれに用いるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D)は、同一の樹脂であっても良いし、異なる樹脂であっても良い。
【0082】
シーラントフィルム6の全体重量に対する熱可塑性樹脂フィルム3中の分散相2(層状粘土鉱物(B))の重量割合は、1wt%以上15wt%未満の範囲内であることが好ましい。また、シーラントフィルム6に熱可塑性樹脂フィルム30を用いる場合においても同様に、分散相2(層状粘土鉱物(B))の重量割合は1wt%以上15wt%未満の範囲内であることが好ましい。
シーラントフィルム6において分散相2の重量割合が1wt%未満であると、体積割合も1%未満となり酸素バリア性が不十分となる場合があり、15wt%以上であるとリサイクル適性が低下してしまい好ましくない。シーラントフィルム6における分散相2の重量割合は、より好ましくは、2wt%以上10wt%未満の範囲内である。なお、熱可塑性樹脂フィルム3,30をシーラントフィルムとしてではなく単層で用いる場合は、熱可塑性樹脂フィルム3,30の全体重量における分散相2(層状粘土鉱物(B))の重量割合は1wt%以上15wt%未満の範囲内に限られない。
【0083】
(本実施形態の効果)
本実施形態および上記変形例に係るシーラントフィルム6であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(4)
本実施形態に係るシーラントフィルム6は、上記第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂フィルム3,30のいずれか)と、当該熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方の面に積層されたシール層4と、を備える。
この構成によれば、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムを用いたシーラントフィルムを提供することが可能となる。
(5)
本実施形態に係るシーラントフィルム6は、シーラントフィルム6の全体重量に対する分散相2の重量割合が、1wt%以上15wt%未満の範囲内である。
この構成によれば、確実に酸素バリア性が十分となり、且つリサイクル適性を良好とすることができる。
【0084】
3.第三実施形態
次に、図8を参照して、本開示の第三実施形態(以下、本実施形態という)に係る包装材の構成について説明する。
【0085】
(3.1)包装材の構成
本開示の上記第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム(熱可塑性樹脂フィルム3,30)は、単層で用いられるだけでなく、包装材の形成に用いることができる。
図8は、本実施形態に係る包装材の一構成例を示す断面模式図である。本実施形態に係る包装材9は、上記第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3を用いて形成した包装材である。なお、包装材9の構成はこれに限られず、上記第一実施形態の変形例に係る熱可塑性樹脂フィルム30を用いて形成してもよい。
【0086】
図8に示すように、包装材9は、熱可塑性樹脂フィルム3を備える上記第二実施形態に係るシーラントフィルム6を用いて形成することができる。図8では、図7に示す3層構成のシーラントフィルム6を用いて包装材を形成する例を示す。具体的には、包装材9は、シーラントフィルム6に接着剤7を介して基材8を積層した構成を有する。このような包装材9は、水蒸気バリア性および酸素バリア性の両方が良好で、例えば食品等様々な包装や洗剤等のスタンディングパウチ(自立容器)などに利用できる。なお、包装材9はこの構成に限られず、シーラントフィルム6でなく単層の熱可塑性樹脂フィルム3,30に接着剤7を介して基材8を積層して包装材としてもよい。
【0087】
基材8としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、アクリル、紙、アルミ等のうち単数または複数を選択し適宜使用する事が可能である。またこれらの材料は延伸されていても良く、好ましくは二軸延伸されていると良い。さらに基材8の表面、裏面には、蒸着膜によるバリア層や印刷層などの機能層がさらに積層されていても良い。
【0088】
このように、本実施形態に係る包装材9は、上記第一実施形態に係る熱可塑性樹脂フィルム3,30のいずれかを用いて形成される。この構成によれば、オレフィン系樹脂への層状鉱物添加により酸素バリア性が向上された熱可塑性樹脂フィルムを用いた包装材を提供することが可能となる。
【0089】
以上、本開示の実施形態を例示したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではないことはいうまでもない。また、以上の実施の形態を組み合わせて用いることは、任意である。
【0090】
[実施例]
本開示の各実施形態を参照しつつ、以下、各実施例、比較例について説明する。なお、本開示は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)として「プライムポリマー社製ホモPP樹脂(F-300SP)」を用いてマトリックス相とし、層状粘土鉱物(B)として有機処理ベントナイト「ホージュン社製有機処理ベントナイト(エスベンNX)」を用いて分散相とした。さらに、相容化剤(C)として「理研ビタミン社製PP酸無水物(MG-441P)」を添加して熱可塑性樹脂フィルムを形成した。
上記各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=70:20:10とした。
より詳細には、上記各材料を「日本製鋼所製二軸押出機(TEX25αIII)」に入れ、温度160℃、回転数300rpmにて溶融混練を行った後、ストランドダイから押出し水槽にて冷却した後、カッターにて切断しマスターバッチとして成形体を得た。この成形体を「アクスモールディング製Φ40mm単軸押出機」にてTダイを通してフィルム化し、エアナイフを用いて冷却ロールにて引取り、得られたフィルムを実施例1による熱可塑性樹脂フィルムとして評価した。
【0092】
(実施例2)
溶融混練時の二軸押出機の回転数を150rpmとした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
(実施例3)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=85:5:10とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
(実施例4)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=94:1:5とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
(実施例5)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=42:38:20とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
【0093】
(実施例6)
層状粘土鉱物(B)として「片倉コープアグリ社製有機処理合成マイカ(ソマシフMAE)」を用いて分散相とした。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=71:19:10とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の熱可塑性樹脂フィルム作製した。
【0094】
(実施例7)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)として「三井・ダウ ポリケミカル社製エチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂(AN4228C)」を用いてマトリックス相とし、層状粘土鉱物(B)として「片倉コープアグリ社製有機処理合成マイカ(ソマシフMAE)」を用いて分散相とした。また、相容化剤(C)は使用しなかった。
上記各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=83:17:0とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例7の熱可塑性樹脂フィルム作製した。
【0095】
(実施例8)
実施例1において、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合を、(A):(B):(C)=80:10:10としてフィルム化したサンプルを、さらにオフラインで逐次二軸延伸により延伸した。延伸温度は160℃、延伸倍率は3×3倍とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で実施例8の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
【0096】
(比較例1)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合を(A):(B):(C)=80:20:0とし、相容化剤(C)を使用しなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法で比較例1による熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
(比較例2)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=35:45:20とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
(比較例3)
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、層状粘土鉱物(B)および相容化剤(C)の各材料の体積割合は、(A):(B):(C)=94.5:0.5:5とした。それ以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の熱可塑性樹脂フィルムを作製した。
【0097】
[測定・評価結果]
各実施例および比較例の熱可塑性樹脂フィルムに対し、「分散相(層状粘土鉱物(B))の周長比L2/L1」、「分散相(層状粘土鉱物(B))の存在数(個/μm)」をそれぞれ測定し、「押出成形性」、「酸素バリア性」を評価した。測定・評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。
【0098】
(分散相の周長比)
熱可塑性樹脂フィルムの分散相の周長比については、まずフィルム厚み方向の両端とセンター(厚み方向の中央部分)の3箇所の断面を透過電子顕微鏡(TEM)「株式会社日立ハイテクサイエンス製 透過電子顕微鏡 H-9500」にて100,000倍にて撮影し、当該3箇所のTEM画像から、個々の層状粘土鉱物(B)の凝集体の短軸長さ、長軸長さ、断面面積を測定し、それぞれの平均値を求めた。求めた当該凝集体の断面面積の平均値より、当該面積相当の円形の周長をL1とした。また、実際の凝集体の周長の近似として凝集体の断面を長方形近似したときの周長をL2(=短軸長の平均値×2+凝集体の長軸長の平均値×2)とした。さらに、周長L1と周長L2との比(周長比L2/L1)を求めた。
【0099】
(分散相の存在数)
熱可塑性樹脂フィルムの分散相の存在数は、周長比と同様、フィルム厚み方向の両端とセンターの3箇所の断面を透過電子顕微鏡(TEM)「株式会社日立ハイテクサイエンス製 透過電子顕微鏡 H-9500」にて100,000倍にて撮影し、当該3箇所のTEM画像から、個々の層状粘土鉱物(B)の凝集体の存在数をカウントした。なおその際、画像から切れている層状粘土鉱物(B)の凝集体はカウントから省いた。カウントした存在数を画像面積範囲で割ることで、単位面積当たりの分散相(層状粘土鉱物(B))の存在数(個/μm)を求めた。
【0100】
(押出成形性)
押出成形性評価では、二軸押出成形時の圧力、およびストランドの引取性を確認した。成形時の圧力に関しては、混練部の押出機内圧力が15MPa以上の場合を×とし、13MPa以上15MPa未満の場合を△とし、13MPa未満の場合を〇とした。ストランドの引取性に関しては、問題なく引取れる場合を〇、ストランドが切れる等、引取りが困難な場合を×とした。
なお、押出成形性評価としては、一つでも△がある場合は△とし、一つでも×がある場合は×とし、両方〇の場合は〇とした。
【0101】
(酸素バリア性評価)
酸素バリア性評価では、「GTRテック株式会社製 高感度水蒸気透過度測定装置 GTR-3000」を用い、温度30℃、ドライ環境で酸素透過度の測定を実施した。酸素透過度がポリプロピレンフィルム(PP)単体比として、サンプル/PP単体の値が0.1以下となる条件を高バリア性フィルムであり評価「◎」、0.1より大きく0.2以下となる条件をバリア性フィルムであり評価「〇」、0.2より大きく0.3以下となる条件を評価「△」、0.3より大きいものをバリア性が不十分であり評価「×」とした。
【0102】
(総合評価)
上記各実施例および、各比較例における測定値・評価結果を、フィルムの組成とともに表1に記載する。
総合評価として、押出成形性または酸素バリア性のどちらかが×である場合、総合評価も×とした。
【0103】
【表1】
【0104】
(評価結果)
表1に示したように、本開示の上記実施形態に基づく実施例1~8では、迷路効果が十分に発揮されたため酸素バリア性が良好で、バリア性に優れたポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)を提供できることが確認された。とりわけ実施例6では、体積濃度や周長比が高く層状粘土鉱物(B)の凝集体の分散状態が良くバリア性が高かった。
【0105】
なお、実施例5にて層状粘土鉱物(B)の体積濃度が比較的高かったため、成形時の圧力が高くなり押出成形性が△となったが、成形自体は可能であった。
また、実施例2においては周長比が比較的低めであり、実施例4においては体積濃度が比較的低めであり、酸素バリア性が△となったが、十分な迷路効果は確認された。また実施例7においては、相容化剤(C)が無く層状粘土鉱物(B)の凝集体が大きめで周長比が比較的低めであったが、酸素バリア性は△で、十分な迷路効果は確認された。
【0106】
一方比較例1では、層状粘土鉱物(B)の凝集体の層剥離が困難であり周長比が低くなってしまったため、結果として迷路効果が十分に発揮されずに酸素バリア性の評価が不合格(×)となった。また、比較例2では、体積濃度が高すぎて押出機内の圧力が過剰に高くなり押出機が停止してしまい、押出成形が困難なため押出成形性の評価が不合格(×)となった。つまり、フィルムとして成形できなかった。また比較例3では、体積濃度が低すぎたため、層状粘土鉱物(B)は層剥離しているものの、結果として迷路効果が十分に発揮されずに酸素バリア性が悪くなった。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示は、酸素バリア性が向上した熱可塑性樹脂フィルムとして安定的に製造することができ、リサイクル性まで考慮した熱可塑性樹脂フィルムとして利用できる。さらに、これを用いたシーラントフィルム、包装材として利用できる。
【符号の説明】
【0108】
1、10 マトリックス相(ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A))
2 分散相(層状粘度鉱物(B))
3、30 熱可塑性樹脂フィルム
4 シール層(ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(D))
6 シーラントフィルム
7 接着剤
8 基材
9 包装材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8